決済のコイニーとネットショップのSTORES.jpが経営統合、持株会社「ヘイ」を設立へ

決済サービスを手がけるコイニーと、ネットショップ開設サービス「STORES.jp」を手がけるブラケットが経営統合をすることが、関係者筋からの情報で明らかになった。2月1日付けで新たに事業持ち株会社のヘイ(hey)を設立。その参加にコイニーとブラケットが参画するという(厳密には2月1日付けで現在のコイニーをヘイに社名変更、新設分割で新会社としてコイニーを立ち上げ、旧コイニーの事業を継承。またヘイがブラケットを株式交換で100%子会社化、さらにブラケットがストアーズ・ドット・ジェイピーに社名変更するというスキームだ)。

ヘイの資本金は約10億7000万円。代表取締役社長には、フリークアウト・ホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏、代表取締役副社長にはコイニー代表取締役の佐俣奈緒子氏、取締役にはブラケット代表取締役兼 CEOの塚原文奈氏、同取締役会長の光本勇介氏がそれぞれ就任する予定だ。日経新聞でも本件を報じているが、関係者からの話を総合すると、佐藤氏が筆頭株主になるほか、同氏を含めた4人の経営メンバーで株式の過半数以上を保有。加えてフリークアウトホールディングスも大株主として同社に出資しているという。

そういえば昨年末にアンケートを実施した「2018年のトレンド予想」の記事において、個人投資家としても活動する佐藤裕介氏が「個人発の商売が、手数料の高いプラットフォームの外へ出る」といった予想を語ってくれたが、今回の「決済とECプラットフォームの連携」という座組みは、まさにそんな個人発の商売の可能性を広げるアプローチになるのではないだろうか。STORES.jpと同じくネットショップ開設サービスを提供するBASEも、1月に15億円の資金調達と決済事業のPAY.JPの分社化を発表したばかりだ。

なおコイニー、STORES.jpはいずれも2012年にサービスを開始。いずれも非上場のため詳細な実績は公開していないが、これまでTechCrunchで報じてきたところで言えば、コイニーは2017年2月のインタビューで、「3年前から月間決済額は100倍に成長している」ということだったし、STORES.jpは2016年10月のインタビューで「2015年10月以降は単月黒字、右肩上がりの成長を続けている」ということだった。

モバイル決済のコイニーが三井住友海上キャピタル、三菱UFJキャピタルなどから3億円の資金調達

モバイル決済サービス「Coiney」を提供するコイニーは8月9日、三井住友海上キャピタル三菱UFJキャピタルがそれぞれ運営するファンドを引受先とした第三者割当増資、および日本政策金融公庫からの融資により、合計約3億円を資金調達したと発表した。今回の調達は2017年2月に、産業革新機構やSBIグループ、電通グループなどから実施した総額約8億円の調達に続くもので、このシリーズでの調達資金の総額は約11億円となる。

コイニーはペイパルの日本法人立ち上げに参画していた佐俣奈緒子氏が2012年3月に設立。今年2月の調達の際の記事にも詳しいが、Squareが日本でサービスを展開を始める前の2012年10月にはモバイル決済サービスCoineyをローンチしていた。その後、2015年秋にスマートフォンやタブレットと連携した専用カードリーダーで決済ができる「Coineyターミナル」、2016年8月に手軽に決済ページを作成できる「Coineyペイジ」を提供開始。2016年9月には、AIと決済データを活用して企業評価・融資審査を行う「Coineyエンジン」サービスも始めている。今年に入ってからは、4月に訪日中国人観光客向けにモバイル決済「WeChat Pay(微信支付)」に対応したQRコード決済サービス「Coineyスキャン」の提供も始め、事業を順調に拡大してきた。

コイニーでは一連の資金調達により、これら各サービスのさらなる事業拡大と新サービス提供に必要な開発、およびセールス・マーケティング人員の強化を進めるとしている。

今後開発を予定する新サービスについては、代表取締役社長の佐俣氏が2月の資金調達の際、TechCrunch Japanの取材に対し、「今までも『現金がなくなる世界が来る』といわれていたが、将来はカードも、ひょっとしたらスマートフォンもなくなって、手ぶらで生活する社会が来ると思う。新しいサービスも開発していきたい」と話している。

モバイル決済のコイニーがぐるなびと提携、飲食店でWeChat Pay決済可能な「ぐるなびPay」登場

モバイル決済サービス「Coiney」を提供するコイニーは6月26日、ぐるなびと提携し、同日からぐるなびが始める飲食店向け決済サービス「ぐるなびPay」にCoineyの決済機能を提供すると発表した。

コイニーでは、スマートフォンやタブレットとWi-FiやBluetoothで接続して決済ができる、手のひらサイズのICカード対応端末「Coineyターミナル」を2015年秋から提供。2017年4月には訪日中国人観光客向けにモバイル決済「WeChat Pay(微信支付)」に対応したQRコード決済サービス「Coineyスキャン」の提供も始めていた。

客が提示したQRコードを店側が読み取って決済するCoineyスキャン

一方のぐるなびでは、2017年4月、同じくスマホ・タブレットに対応した飲食店向けモバイルPOSシステム「ぐるなびPOS+(ポスタス)」を提供開始。ぐるなびPOS+では、受注・販売管理、来客の客単価・注文点数・注文商品の分析のほか、勤怠・シフト管理などの業務支援機能も備えている。

ぐるなびPayでは、コイニーが提供するCoineyターミナルによるクレジット決済と、CoineyスキャンによるWeChat Pay決済が利用できる。また、ぐるなびPOS+と連携することで、注文入力から決済までをスムーズに行えるようになるという。

WeChat Payは中国のテンセントが提供するモバイル決済サービス。QRコードで決済が行え、中国国内では、コンビニやレストラン、小売店などで日常的に使われている。2016年現在で8億人以上のユーザーが利用しているといわれ、訪日中国人観光客向けの決済手段としては、銀聯カードやアリババグループが提供するモバイル決済「Alipay」と並び、注目されている。

ぐるなびPayの決済手数料は、CoineyターミナルやCoineyスキャンと同じ3.24%。コイニーでは今回の提携により、ぐるなび加盟店に対しCoineyターミナルやCoineyスキャンの導入を進め、飲食店の“キャッシュレス対応”促進を図るとしている。

モバイル決済のコイニーが8億円の資金調達、AI使った与信サービスも金融機関向けに本格展開

コイニー代表取締役社長の佐俣奈緒子氏

コイニー代表取締役社長の佐俣奈緒子氏

Squareが日本に上陸するより以前、2012年10月にモバイル決済サービス「Coiney」をローンチしたコイニー。同社が2月6日、総額約8億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

コイニーでは今回の資金調達において、産業革新機構(既存株主)、SBIインベストメントの手がけるFinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合等のファンド、電通デジタル・ホールディングスが手がける電通デジタル投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資と、コイニーのパートナーとなっている西武信用金庫からの融資をそれぞれ実施している。同社は今回の調達をもとに自社サービスの事業拡大と、新サービス提供に向けた開発およびセールス、マーケティング人員の強化を進めるとしている。

当初コイニーが手がけていた決済サービスは、スマートフォンのイヤフォンジャックに挿して利用する小さなカードリーダーを使った、いわばSquareライクなものだけだった。その後2015年秋には、スマートフォンとBluetoothやWi-Fiで連携する手のひらサイズのICカード対応端末「Coineyターミナル」の提供を開始。2016年8月には、手軽に決済ページを作成できる「Coinetペイジ」を、同年9月にはAIとトランザクションデータを活用した企業評価・融資審査エンジンの「Coineyエンジン」を提供するなど、事業を拡大してきた。

「Coineyターミナル」

「Coineyターミナル」

「決済は積み上げていくサービス。サービスインから1年後に13億円を調達したのち、粛々とやっていた」——コイニー代表取締役社長の佐俣奈緒子氏はこう振り返る。

スマートフォンで決済できるようになることから、当初はCtoCを含む「小さな決済」の領域でサービスが広がるのではないかと考えていたコイニーだったが、その結果はあまり良いものではなかったという。「当時はファーマーズマーケットや、美容、グルメといった領域に営業していましたが、実はそれほど伸びていませんでした」(佐俣氏)

そこで方向を転換、病院をはじめとした医療領域や中古車販売店、整備工場といった自動車領域、リフォームやリノベーションといった住まい領域を中心にサービスを拡大させた。「ターゲットにしたのは、単価が高くて、クレジットカードを使いたいけれども現状は現金しか使えないところ。日本人は単価の安いものでクレジットカードを使わないのも分かった。中古車ディーラーが軒先で決済したり、提携するリクシルでは、営業マンが営業先で決済をする、といった使い方をしている。ポイントは『決済を簡単にする』こと。手数料を安くする(料率は3.24%〜)、入金を早くする(振込依頼から2営業日)といったことが重要」(佐俣氏)

勝負すべき領域は見つかったが、一方では課題も残っていた。「(スマートフォンのイヤフォンジャックに挿して使う)リーダーを使った決済は、読み取り精度もそうだが、それよりも(動作が)簡単すぎて不安という声もあった」(佐俣氏)。そこで、ICカードの読み取りにも対応した専用端末であるCoineyターミナルも提供するに至った。

具体的な金額は公開していないが、月間決済額もサービス開始から順調に伸びているとのこと。加盟店あたりの月間決済額(平均)も、当初は13万円ほどだったが、現在では70万円まで増加した。佐俣氏は国内のモバイル決済市場について「決済額ベースで現状が数千億円、2020年に1.5兆円くらいになるかと思う」と語っている。

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コイニーが現在注力しているのは、地方の金融機関との連携だ。業務提携するクレディセゾンを通じて西武信用金庫と事業面でもパートナーシップを結んでいるが、今後は金融機関の顧客向けにCoineyを展開。そのトランザクションデータをCoineyエンジンに利用することで、金融機関がスピーディーで正確な与信情報を提供することも狙う。「ひとことでFinTechといっても、さまざまな分野がある。(サービスを提供して)金融機関からお金をもらうFinTechベンチャーは多いが、コイニーはお金を流すようなことをしていく。金融機関にメリットがあるから、我々のプロダクトをもっと売って下さい、という考えだ」(佐俣氏)

佐俣氏は、コイニーの将来について次のように語る。「このビジネスモデルは5年前のモデル。次の5年のために作りたいことがある。今までも『現金がなくなる世界が来る』といわれていたが、将来はカードも、ひょっとしたらスマートフォンもなくなって、手ぶらで生活する社会が来ると思う。新しいサービスも開発していきたい」

コイニー、決済ページが簡単に作れる「Coineyペイジ」を提供——WeChat Payへの対応も発表

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先ほどは決済サービス「AnyPay」の正式ローンチに関するニュースが流れたが、スマホ・タブレット向け決済サービスを提供するコイニーも昨日、今日と決済サービスに関する発表を行っている。

同社は8月31日、決済ページをネット上で簡単に作成できるサービス「Coiney(コイニー)ペイジ」と開発者向けの「CoineyペイジAPI」を発表。9月1日には、中国・テンセント提供のモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」とのアクワイアリング(加盟店獲得・契約・管理業務)契約を締結したことを発表した。

リアルとオンラインの決済をまとめて管理

まずはCoineyペイジについてお伝えする。コイニーではスマホ・タブレット専用の決済端末を利用した、実店舗向けのモバイル決済サービス「Coiney」を提供してきたが、オンラインショップも運営する加盟店からは「リアルとオンラインの決済をまとめて管理したい」との要望が多かったという。コイニー代表取締役の佐俣奈緒子氏は「事業者にとって分かりやすく、簡単に代金徴収方法の幅を広げられる仕組みを作りたかった」と話す。

Coineyペイジでは、オンラインショップの機能の中でも請求・決済に特化。管理画面から商品名やサービス名と金額を入力するだけで決済用のページが作成でき、顧客へメールなどでURLを送信することで請求が完了する。デザインの簡単なカスタマイズは管理画面から行えるが、ショッピングカートや予約機能などとの連携は、CoineyペイジAPIを利用して行うことになる。

想定される利用シーンについて、佐俣氏は「Coineyを既に利用している工務店の場合、これまではリフォーム施工後にCoiney端末を使って客先で決済をしていたのが、今後はCoineyペイジを使った事後決済も可能になる。今までオンライン販売は銀行決済のみに対応していた家具店もあるが、Coineyペイジで決済ページを作ってURLをメールで送ることで、海外からの受注にも対応できるようになる」と例を挙げた。

年内にはWeChat Pay対応も

また、コイニーは9月1日、中国のテンセントが提供する、アプリを利用したモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」のアクワイアリング(加盟店獲得・契約・管理業務)契約を締結。一般公開に先駆けて、東急カードにWeChat Payサービスの提供を始める。

WeChat Paymentは、中国で人気を集める(月間アクティブユーザー(MAU)7億6000万人以上)メッセージングアプリ「WeChat」の決済機能。ユーザーがあらかじめ銀行口座を登録しておけば、ユーザーもしくは店舗がWeChatのQRコードを提示し、もう一方がそのコードをスキャンするだけで、キャッシュレスで決済が完結する。日本の銀行口座には対応していないため馴染みがないが、中国ではさまざまなシーンで日常的に利用が進んでいるという。

コイニーでは幅広い決済手段を提供することで、Coiney導入店舗の訪日外国人対応を強化する。例えば宿泊施設などであれば、事前予約のオンライン決済はCoineyペイジで行い、施設訪問時や利用後の決済であればWeChat PayアプリやCoiney端末でのクレジット払いができるようになる。先行する東急を除いては、年内にサービス受付開始を予定している。

「より多くの決済、お金の流れに関わるサービスを提供したい。加盟店にリアルの店舗を持っているのが我々の強み。そこへさらにネットの決済もつなげていくことで、お店の人のお金の管理をもっと簡単に、楽にしていきたい」(佐俣氏)

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国産モバイル決済のCoiney(コイニー)も決済手数料を3.24%に変更、入金サイクルも短縮し競争が本格化

今年5月にSquareが日本でローンチされてから、国内のモバイル決済サービスの競争は加速している。

PayPal Hereと楽天スマートパスはカードリーダーを有料で販売していたが、実質無料になるキャンペーンを行うなど様々な施策を行っている。

その中でも大きな動きが決済手数料だった。PayPal Hereと楽天スマートパスはSquareの3.25%に対抗し、3.24%へと改定してきた。そして本日、少し遅れて日本のモバイル決済スタートアップのCoineyも決済手数料を3.24%にすると発表した(現在は4%)。

8月21日からCoineyの取引は全てこの手数料で利用できる。これで国内で展開されているモバイル決済サービスの手数料はSquareの3.25%を除いて他3社は3.24%となり、手数料に関してはSquareの優位性はなくなった。

また、Coineyは入金サイクルの短縮も発表している。Squareと楽天スマートペイは銀行口座への振込が決済日の翌日/翌営業日で、PayPal Hereは(銀行により異なるが)3日から1週間ほどかかる。これに対してCoineyは毎月25日締め翌月末の振込になっており、資金繰りが厳しい店舗からすると導入の障壁になっていただろう。

しかし、手数料変更日と同じく8月21日からは月に6回までの支払いが可能となった。締め日が5日ごとになり、支払いはそれぞれの締め日から12日後にまで短縮された。

入金サイクルはSquare、楽天スマートペイに比べると依然差はあるが、今後実績が積み上がるにつれて改善されることだろう。なお、入金時の手数料に関しては3万円未満が105円、3万円以上は210円をユーザーが負担する。この点に関しては楽天スマートペイは210円(楽天銀行は手数料無料)、PayPal Hereは5万以上は210円、Squareは無料となっている。

この他、これまではメールでのみの対応だったレシートをプリントアウトできるように、9月中旬からプリンターを試験的に提供するそうだ。

Squareが日本でローンチした際には決済手数料の安さと入金サイクルの早さが目立っていたが、こぞって競合サービスが改善してきた。今後はさらにこれらの点では差別化が難しくなるだろう。となると、この先重要になってくるのはPOSレジの機能やSquare Walletのような顔パス決済(ここまで来ると”モバイル”決済ですらないが)といった点になるのかもしれない。

今後の各社の動きにも引き続き注視していきたい。


日本版SquareのCoineyの経営にサイバーエージェントの西條晋一氏が参画

Coineyは日本版Squareとして注目を集めるスタートアップである。昨年秋には試験的にサービスをスタートさせていて、一部店舗がCoineyのサービスを利用して決済をしているという。そして、この2月にはイーストベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、エンジェル投資家となったアトランティスの木村新司氏から1億円の資金調達をしている。

このCoineyにサイバーエージェントの元専務取締役でまもなく同社を去る西條晋一氏が取締役として経営に参画する。

確かにこれまでもスタートアップ企業に、大手企業の経営者や経営に携わってきた人物が取締役として就任するケースはたくさんあったが、それは、非常勤の経営を監視するための取締役としてである。今回、西條氏は自身の起業がスタートする以前に、Coineyのビジネスを加速させる役割として加わっている。Coineyには若い世代が集まっているので、事業経験が豊富な西條氏は大手企業との提携などがメインの仕事となるようだ。

西條氏は大学卒業後、伊藤忠に入社し、その後2000年にサイバーエージェントに入社。ベンチャーキャピタル事業のシーエー・キャピタル(現サイバーエージェント・ベンチャーズ)やゲーム事業のジークレスト、FX事業のサイバーエージェントFXといった事業の立ち上げを行い、それぞれの企業の代表取締役として活躍している。サイバーエージェントの収益面で大きな功績を残している。同社の専務取締役就任後も、米国事業を立ち上げて責任者としてサンフランシスコでその時間の多くを過ごしていた。

専務取締役退任時には、サイバーエージェントのFX事業をおよそ200億円でヤフーに売却して大きなキャッシュをもたらしている。

Coineyの目下の課題は提携先の拡充だろう。現在は複数のクレジットカード会社と組んでビザとマスターのクレジットカードに対応しているが、今後は他のクレジットカードサービスや電子マネーなどにも対応していきたいと考えている。そしてサービスが正式にスタートした際には加盟店の拡充が成功の鍵となる。西條氏がCoineyの事業に集中して関われる時間は限られているだろうが、そこまでにある程度の結果が出てくるものと予想される。