新築物件のオンライン接客を支援、VR内覧システム「ROOV」が数億円規模の資金調達

クラウド型のVR内覧システム「ROOV」を開発するスタイルポートは4月28日、マーキュリアインベストメントとヒノキヤグループを引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

今回の調達は同社にとってシリーズBラウンドに該当するもの。具体的な金額は公開されていないが、関係者によると数億円規模とみられる。スタイルポートでは調達資金を活用してセールスや開発体制を強化し、新築分譲マンションやオフィス物件に加えて、戸建て住宅などにもROOVの対象領域を広げていく計画だ。

現場で内覧しているような体験をオンライン上で実現

ROOVはCADデータから室内空間を3DCG化することで、実際に現場を歩き回りながら内覧しているような体験をオンライン上で実現する。独自開発したエンジンにより、部屋の採寸や家具のシミュレーション、カラーセレクトなどの豊富な機能を「一般的なPCやタブレット、スマホ端末のブラウザ上で動かせる」のが大きな特徴だ。

不動産VR系のプロダクトでは360度カメラなどで撮影した画像からVRコンテンツを制作するタイプのものも多いが、ROOVでは図面データを3DCGに変換するアプローチを採用。そうすることで建設中の建物など、室内の画像が取得できないような場合にも対応する。

ビジネスモデルは月額10万円からのSaaS型(VRデータ制作料は別途必要で40万円から)。現在は新築のマンション販売やオフィス案件で活用が進み、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、大和ハウス工業、伊藤忠都市開発など大手デベロッパーを中心に累計45社、100プロジェクトで導入されているという。

ROOVは販売担当者が対面接客時に使う補助ツールとしてはもちろん、オンライン上で顧客にプレゼン資料や3DCGデータなど役に立つ情報を丸っと共有することにより、自宅で検討してもらう際の参考資料にもなる。

同サービスの役割は図面だけではイメージが掴みづらい部分を3DCGコンテンツなどを用いて補完することだ。顧客はURLをクリックするだけで“オンラインマンションギャラリー”に入室し、気になる部屋の様子をいつでもチェックすることが可能。高価なデバイスや専用アプリを用意する必要もない。

また顧客がROOV上でアクティブに物件をチェックすることは販売担当者にとっても大きな価値がある。同サービスでは顧客ごとに個別のURLが発行され、各顧客のオンライン上での検討状況が可視化される仕組みになっているからだ。

「ベテラン営業マンでなくても、ROOVを使いながら説明をすることでコミュニケーションの質が良くなって(契約までの)商談回数が減ったり、モデルルームへの再来率が上がったりといった効果が出ている。対面販売の効率が上がるというのがわかりやすいメリット。またモデルルームがないタイプの部屋を紹介する際にROOVで代替するという使い方もされている」

「また行動ログを解析することで、顧客がどんな部屋に興味を持っているのかを把握できるのもポイントだ。たとえば商談の際は2LDKの物件の説明をしていた顧客が、実際は自宅で3LDKの物件を見ていたので、次の商談で予算に合うコンパクト3LDKを提案して制約に至った例もある」(スタイルポート代表取締役の間所暁彦氏)

間所氏によるとこれまでは対面接客の質をあげるコミュニケーションツールとして訴求することが多かったが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で前提や現場のニーズが大きく変わったという。そもそもモデルルームでの対面販売が当面難しくなり、オンライン化の流れが加速。その選択肢としてROOVにも問い合わせが急増し、4月については1〜3月の月間平均受注量を1週間で獲得するほどのペースで推移しているそうだ。

「これまで新築のマンション販売は対面が主流だったのが、対面の機会を作れなくなることで『メインの説明はオンライン、対面は最後のクロージングだけ』という流れに変わってきている。オンライン商談に使えるサービスとして認知されることで受注も増え、以前は何回プレゼンをしても響かなかったような企業からも問い合わせが来るようになった」(間所氏)

新築戸建て住宅市場など、ROOVの活用領域の拡張目指す

スタイルポートは2017年10月の設立。不動産業界一筋で分譲マンションの開発や不動産投資ファンドの組成などに携わってきた間所氏と、リクルートやエムスリーを経てべンチャー支援などを行なっていた中條宰氏が共同で立ち上げた。

事業アイデアについては「不動産の世界をアップデートする」ことをテーマに、海外の不動産テック事例などもリサーチしながら時間をかけて検討したそう。その中でピンときたのが3Dカメラを用いたバーチャル内覧サービス「Matterport」であり(同社は昨年4800万ドルを調達)、ROOVの原型も同サービスをベンチマークにしながら、日本の業界慣習や生活習慣に合うような形で作ったという。

現在スタイルポートでは30名強のメンバーのうち、約7割をエンジニアが占める。3DCGデータを標準的なデバイスのブラウザ上でサクサク動かすための独自エンジンや、制作工程を徹底的に自動化・効率化するための仕組みはすべて社内で開発。一部屋あたりの制作時間は「平均的なものと比べて1/6ほどの時間でできる」そうで、これらが同社にとっての強みにもなっている。

今後はこれまで培ってきた技術と知見をもとに、まずは新築マンションやオフィス領域のニーズをしっかりと取りきるのが目標。その上で新築戸建て市場などROOVの活用領域を拡大するべく、開発体制や営業体制を強化する計画だ。

なお投資家の2社とは事業面でも連携する予定とのこと。ハウスメーカーのヒノキヤグループとは戸建て領域へのサービス展開に関して、伊藤忠商事を中心にサンケイビルや日本土地建物建物など不動産・物流業界の事業会社とパートナーシップを組むマーキュリアインベストメント(マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合)とはLPとのさまざまな事業連携に関して今後具体的な取り組みを検討していくという。

Facebookがバーチャルリアリティー会議を「バーチャルのみ」で開催

毎年春に行われているテック、デベロッパー向けカンファレンスが、新型コロナのために中止を余儀なくされていることはすでに明らかだが、テック各社は2020年後半のイベントからも撤退を始めている。

本日(米国時間4/16)Facebook(フェイスブック)は、バーチャルリアリティーに特化した同社のOculus Connect 7(オキュラス・コネクト7)カンファレンスのリアル部分を新型コロナのために中止し、デジタル方式のみとすることを発表した。Facebookはイベントの日付をまだ発表していないが、例年9月か10月始めに開催されている。

「新型コロナによる公衆衛生危機の広がりを鑑み、今年後半に開催予定のOculus Connect 7をデジタル方式に転換することを決定した」と同社のブログに書かれている。「苦渋の決断だったが、われわれは当社のデベロッパー、従業員はじめOC7カンファレンスに関わる全員の健康と安全を優先する必要があった」

今週、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、観衆を伴うスポーツイベントがこの夏に戻ってくることは「ありそうにない」と語った。主要なテック企業は春と夏のデベロッパーカンファレンスのリアル部分をすでに中止しているが、知事によるこの中止要請は、春から秋へとスケジュール変更されたテックイベントの日程がどれほど現実的であるかに疑問を投げかけた。

この種のカンファレンスはインディーゲーム業界にとって従来から非常に重要な存在であり、小さなゲーム会社はこうした集まりをパブリッシャーとの関係構築に利用している。ここ数年バーチャルリアリティー界の主要イベントが、誇大流行の衰えとともに次々と終了する中、Oculus ConnectはVRデベロッパーの間でおそらく最も重要な年次イベントとなっている。

F8カンファレンスのリアル部分中止の際と同様、Facebookは「サンノゼ地域住民に貢献している組織を重点的に」50万ドル(5500万円)を寄付すると言っている。

画像クレジット:GABRIELLE LURIE

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

未来のAR/VRヘッドセットはスイスのCrealが研究するライトフィールド技術が本命か

何年にもわたって話題になってきたARとVRはこのところ静かになっているが、一部の投資家たちは、技術的欠陥が克服されれば、それらはモバイルデバイスに取って代わるかもしれないという展望を持っている。

ディスプレイの基本的な技術を研究開発しているスイスのスタートアップCrealは、VRとARのヘッドセットをさらにリアルな光学的技術によって、今よりも快適なデバイスにしようとしている。

同社は2019年にInvestiereとDAA Capital Partnersから、シリーズAで740万ドル(約8億2000万円)を調達した。さらに今週にはEUの技術革新促進事業であるHorizon 2020から助成金を獲得して、同社のライトフィールドディスプレイ技術の研究開発を継続することになった。

関連記事: Can Apple keep the AR industry alive?… アップルはARを産業にできるか(未訳、有料記事)

ライトフィールドディスプレイは、これまでとはかなり異なる種類のディスプレイだ。今あるARやVRのヘッドセットは、右の目と左の目に若干異なる像を見せることで立体画像を表示するが、未来のヘッドセットは、目がどこを見ているかによって像のフォーカスを変える。ライトフィールドディスプレイやライトフィールドカメラは、前方でも奥でもどこにでも焦点が合う像を作り出す。この技術によって、輻輳(ふくそう)調節矛盾(vergence-accommodation conflict)に由来する目の疲れがなくなり、顔に近いオブジェクトとも対話でき、VRの視界が細部までもっとわかりやすい世界になる。

下の動画は、同社の技術を一般的なレンズで撮影した映像で擬似的にデモしている。

ライトフィールド技術の実装には、いろんなやり方がある。Magic Leapはこの技術の軽量バージョンを同社のヘッドセットに採用し、目の動きの捕捉によって切り替わる2つの焦点面を利用している。この可変焦点(varifocal)方式には、Oculusを通じてFacebookも投資しており、複数の面の間でユーザーが焦点を変えられるヘッドセットのプロトタイプを披露したことがある。

関連記事: Oculusが次世代ヘッドセットのプロトタイプを公開

Crealもライトフィールドの技術を小型化するために、Facebookのような大企業と同じ困難に対処しなければならない。それは何を犠牲にするか、という問題だ。同社の最も近い目標は、その技術を仮想現実のヘッドセットに組み込むことだが、数年後にはそれを軽量のARヘッドセットにも応用したいと考えている。

新しい技術を構築するCrealのようなスタートアップは、世界不況の影響を受けやすいだろう。最前線にある技術への投資は、不況の犠牲になりやすい。不安定な経済が今後も続けば、Facebookのような大企業がますます有利になり、同様の技術に取り組んでいるスタートアップは生き抜くためにコスト削減を強制される。

Oculusは最近、VRニッチ市場に成功しているが、拡張現実のハードウェアはスタートアップにとってもっと難題だ。2019年はMeta、ODG、 Daqriなど多くの企業が閉鎖された。3月初めにはBloombergが、Magic Leapは数十億ドル(数千億円)の資金を獲得した後、売却を視野に入れていると報じている。ARは特に売ることが難しい。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

仮想現実も現実世界に合わせてビジネス縮小

触覚フィードバックスーツを身にまといコンピューターを顔につなぐことほど、社会的な距離を感じられるものはないと思える今日このごろだが、位置情報ベースの仮想現実(VR)のスタートアップも、その他のエンターテインメントビジネス同様、事業縮小を余儀なくされている。

こうした動きは、映画館をはじめとする人の多く集まる場所の閉鎖が始まってすぐに起きた。ディズニーが支援するVRのスタートアップであるThe Voidは、米国時間3月16日に北米の全店舗を閉鎖すると発表した。ロサンゼルスのTwo Bit Circusも閉店した。COVID-19のためだ。Dreamscape Immersiveもロサンゼルス、ダラス、コロンバス、およびドバイのVRエンターテイメント・センターを一時的にすべて閉店したと発表している。

「私たちには仮想現実を世界のみんなと共有する楽しみがある一方で、現実世界で起きていることも無視できない」とDreamscape Immersiveのウェブサイトに書かれている。

米国本土にある位置情報ベースのVRスタートアップがすべて、営業停止しているわけではない。A16zが支援するSandbox VRは、ロサンゼルスとサンフランシスコ(これらの市ではほとんどのエンターテインメント施設の閉鎖を義務付けている)の施設を一時的に休業したが、米国のその他の地域ではウェブサイトでの予約受付を続けている。TechCrunchは同社に連絡を取り詳細を確認している。

全米の地方自治体が不要不急のビジネスの一時閉鎖を推奨していることから、広範囲にわたる営業停止は驚きではなく、中でもエンターテインメントビジネスは真っ先に影響を受けている。AMCとRegalは3月16日に、米国の全劇場を一時閉鎖すると発表した。

関連記事:AMC will close all US theaters for six to 12 weeks

位置情報ベースVRのスタートアップ各社は、ここ1年厳しい状況に直面している仮想現実業界の中で、耐久力の高い企業だ。Sandbox VRは8200万ドル(約87億8800万円)以上の資金を投資家から集め、Dreamscape Immersiveは3600万ドル(約38億5800万円)、The Voidは2000万ドル(約21億4300万円)をそれぞれ調達している。

これらのスタートアップのほとんどが、ゲームコンテンツを開発あるいはライセンスして、ユーザーが予約してタイトルを試す環境を提供している。彼らの成功は、大々的に売り出されながら当初の期待を大きく裏切る結果になった消費者向けVRヘッドセットとは無関係でいたことも大きな理由だろう。

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロサンゼルスのAmazeVRが韓国・仁川に初のロケーションベースのVR設置

ロサンゼルスを拠点とするバーチャルリアリティーエンターテインメント配信サービスのAmazeVRが、ソウルの仁川国際空港に施設をオープンし、ロケーションベースのバーチャルリアリティー(VR)体験の世界への第一歩を踏み出した。

また、AmazeVRは先週、資金調達総額を約900万ドル(約9億8000万円)に拡大するため、250万ドル(約2億7000万円)の追加出資を受けた。

韓国LGからの支援を受けて2019年5月に設立されたAmazeVRは、資金の調達先としてPartners InvestmentやYG Investment、そして韓国のポップアーティストを多数管理し、レコードレーベル、タレントエージェンシー、制作会社、イベント管理、コンサート制作会社を所有しているYG Entertainmentを追加した。

韓国の大手テクノロジー企業らによって設立されたAmazeVRは、第1ターミナルに向かう仁川の空港駅に、1万1000平方フィートのエンターテイメントハブを開設した。同社によると、メディテーションやリラクゼーション向けVRビデオのエリアがあるという。

また、YG investmentの人気ミュージシャンによる没入型パフォーマンスを披露するステージや、子供向けの屋内遊び場もある。

「オンラインVR市場のリーダーとしての主要な目標の1つは、我々のディストリビューションを拡大し、オフラインでも没入型体験を可能にする能力を拡大することだ」と、Amazon VRのCEOであるSteve Lee(スティーブ・リー)氏は声明で述べている。「仁川国際空港にあるこのロケーションベースハブを通じて、AmazeVRが作り出すすばらしいコンテンツだけでなく、VR全般の魅力的なコンテンツを未開拓の市場にもたらすことができる。我々の投資家は音楽やエンターテイメント業界との深いつながりによって、ユニークなVR体験やすばらしいコンテンツによって、VRを世界に広められることを認識している」

AmazeVRはAtlas VFelix&Paul Studiosといった、没入型エンターテインメントスタジオと提携している。

「私たちの使命は、市場の消費者を信じることだ」と、AmazeVRのコンテンツ責任者ことEarnest Lee(アーネスト・リー)氏は語る。「VR市場はまだ初期段階だが、我々はロケーションベースのエンタテイメントに進出している。これは、ロケーションベース業界に参入する第一歩だ」。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

センサー満載のハイテクグローブ開発の「HaptX」が13億円を追加調達

ハイテクグローブを開発している会社が新たな資金を手にした。HaptXが作っているのはVRやロボティクスアプリケーション向けのセンサー満載のグローブで、企業ユーザー向けに触覚のシミュレーションや抵抗力のフィードバックも行う。

米国シアトルを拠点とする同社は1200万円の資金調達ラウンドを完了した。参加したのは、Mason Avenue Investments、Taylor Frigon Capital Partners、Votiv Capital、Keiretsu Forum、Keiretsu Capital、Amit Kapur of Dawn Patrolの各社。HaptXの総調達額はこれで1900万ドル(約20億8100万円)になった。同社は、この資金を次世代グローブハードウェアの開発に向けるとのこと。

私は昨年このグローブを使ってみる機会を得た。繋がれた圧縮空気ユニットを使って手袋形状の内側にある空気ポケットを拡大縮小することで、VR空間でつかんでいるものが実際に手の中にあるように感じられるちょっと奇妙な体験だった。

関連記事:HaptX is bringing touch to VR with a pair of scary-looking gloves and a pneumatic suitcase

ここで言うまでもないことだが、バーチャルリアリティー業界の消費者市場への参入は期待どおりには進んでいない。業務分野での利用の方がやや期待が持てそうだが、それでも社内イノベーションプロジェクトの域を出ていないものがほとんどだ。HaptXは他のVRスタートアップと同じ企業ユーザー基盤をターゲットにしているようで、顧客の多くはデザインやビジュアル化のプロセスでこのグローブを使っている。HaptXは自らをVR専門の会社として売り出すことを避け、ロボティクス分野へと拡大してリアル世界の入力と出力に基づくソリューションを提供しようとしている。

今回の資金調達の発表とあわせて、HaptXはAdvanced Input Systemsと製品開発、製造、市場開発で協力することを発表した。HaptXは企業向けに特化しているので、残念ながらJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のメカスーツは作っていないようだが、今年のカンファレンスでベゾス氏がこのテクノロジーをデモしている素晴らしいGIF動画を送ってきてくれた。

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Valve、Half-LifeのVRタイトルを開発中と発表

何年も前から噂になっていたが、Valve(バルブ)はVR(バーチャルリアリティー)向けのHalf-Lifeタイトルを開発している。

新タイトルの公式発表はValveの新しいTwitterアカウントで行われ、同社は今週中にさらなる詳細の公開を約束している。

新しいアカウントからの最初のツイートでこのようなニュースを流すのは少々奇妙だが、Valveの古くからの公式Streamアカウントもニュースをリツイートしているため、これは本物であることがわかる。

残念ながら、私たちは米国時間11月21日の午前10時まで、新タイトル「Half-Life: Alyx」について知り得ない。12年前にValveが「Half-Life」の筋書きを途中でやめたとき、シリーズは中断してしまったが、ようやくAlyx Vance(Half-Life 2のNPCキャラクター)の結末を知ることになる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹Twitter

Holorideが「車内VR」アトラクションを初公開

Audi(アウディ)をスピンアウトしたHoloride(ホロライド)は、Ford(フォード)およびUnversal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)との提携によって初めて製品を一般公開する。同社はバーチャルリアリティーに独自の工夫を加えた製品開発に特化している。自動車が走っている間に乗客が体験する車内VRだ。

車の中でVRというと矛盾や危険を感じるかもしれないが、Holorideのアプローチを知れば、十分理にかなっていることがわかる。TechCrunchは今年のCESで体験し、車の移動とバーチャル没入環境をマッチングさせた同社の技術が驚くほど魅力的な体験を実現していると感じた。

この会社はこれまでに水中アドベンチャーやマーベルのアベンジャーシリーズなどを手掛けてきたが、今回公開するのは「フランケンシュタインの花嫁」というアトラクションで、10月14日から11月9日までハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。ニュースリリースによると、登場するバーチャルモンスターや障害物は、すべて2020年モデルのFord Explorer SUVの中で体験するアトラクションにマッピングされている。

HOLO0824

エンターテイメント技術のスタートアップ、Holorideは、フォードおよびユニバーサル・ピクチャーズと提携して 「Unviersal Monsters Presents Bride of Frankenstein Holoride」を開発した。この没入感の高いVR体験は、ハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。

ストーリーはユニバーサルの悪霊映像専門のサブブランドであるUniversal Monsters(ユニバーサル・モンスターズ)が担当し、Holorideは車のスピードやステアリング情報などのドライビングデータを使って、プレイヤーの実際の移動とVRを同期させる。

フォードとの提携は、アウディがこのベンチャーをスピンアウトさせた理由のひとつでもある。当時フォードは、Holorideがどのメーカーの車の後部座席でも使わえることを願っていると語った。

今回の同社初の一般公開は、Holorideチームにとって将来の商品化やテクノロジーの展開計画を占う重要な試みだ。車内VRはニッチなユースケースに思えるが、そのニッチが、自宅用にヘッドセットを買いそうにない多くの潜在ユーザーにVRを使ってもらうきっかけになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HTCの新しいCEOはスマートフォンの革新を怠っていたことを認めた

数カ月前のことだが、私たちはHTCの共同設立者でCEOのCher Wang(シェール・ワン、王雪紅)氏をTechCrunch Disruptのステージに招待した。しかし、人生がどうなるかはわからない。2週間前、同社はワン氏がその役職を辞任することを発表した。なお、その役職は、通信業界で長い経験を持つYves Maitres(イヴ・メイタース)氏によってすぐに引き継がれる。ありがたいことに、元Orangeの幹部だったメイタース氏も、先週のイベントのステージへの登壇を承諾してくれた。

メイタース氏は、OnePlusの共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ、裴宇)氏の直後に登壇した。両社のコントラストはこれ以上ないほどに際立っていた。創業6年という短い期間で、OnePlusは幅広い業界のスマートフォンのトレンドに逆らいながらも、安定した成長を遂げることに成功した。

一方HTCは、何年も苦しみ続けてきた。第2四半期には、この台湾のハードウェアメーカーは5期連続の四半期損失を計上した。7月には、スタッフの約4分の1を解雇している。それは急速な落ち込みだった。アナリストの数字によれば、2011年には同社は世界のスマートフォン販売の約11%を占めていた。だが現在、その数字は通常そうしたレポートの中で「その他」に分類されるようになっている。

このようなイベントでメイタース氏に話を聞くことは、外部から何年も新しい会社を観察してきた新任幹部としての洞察を知ることができる、貴重な機会である。このようなことから、彼はHTCの苦労についてさっぱりとした率直さで語った。

「HTCはスマートフォンのハードウェアの革新を中断していました」と彼は聴衆に語りかけた。「そして、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)、そして最近ではHuawei(ファーウェイ)が、そのハードウェアへの投資に信じられないほどの労力をつぎ込んできました。だが私たちはそうしませんでした。なぜなら、私たちは仮想現実の革新に投資してきたからです。

私が若かったとき、誰かがこう言いました「間違っているときに正しいことをしてもそれは間違っているし、正しいときに間違えることは正しいことなのだ」と。私は、私たちが間違っているときに正しいことをしていたと思っています。なので私たちはそれを巻き返さなければなりません。タイミングを間違えたのです。タイミングを予測することは非常に難しいことです。HTCはタイミングという点でミスを犯しました。それは重大な間違いで、私たちはその代償をいま払っています。それでも私たちは革新、人材、そして貸借対照表という意味ではまだ多くの資産を抱えています。そして私は、タイミングの間違いから回復している途中だと思っています」。

ここで「タイミングの間違い」と言及されているのは主に、R&D資金の大部分をXR、主にVive部門を通じてVRに投じるとした同社の決定だ。メイタース氏は、HTCのXR製品がモバイルを追い越すのには、およそ5年かかると予測していると語った。

「それをより短くするために最善を尽くしますが、そのためにはお客様による採用がカギとなります」と彼は説明した。「人びとがどのようにテクノロジーをどのように採用していくのか。私たちは、それが絶対的に重要であることを知っています。そして最終的に私たちは、まったく新しくて珍しい、仮想的なものを扱う、目の前の人間たちを相手にすることになるのです」。

モバイル側では、メイタース氏は5Gが成長の主なボトルネックだと考えている。同社が最高に活躍できるのは発展途上国であるという意見に反して、彼はこの先のHTCの活動は「GDPの高い国」に焦点を当てた、より高級な携帯電話に向けたものになると述べた。

「競争は変化しています」と彼は言う。「私たちは皆、世界的な市場シェアが低下している状況に直面していて、顧客の方々はこの先最新のファーウェイの電話を持てないことに失望しています。HTCが今後数カ月で解決していくクラス最高のハードウェアと写真という観点から、どのようにお客様が望むものをご提供できるかが私たちの課題です」。

この先の数字はHTCの取締役会による決定に大きく依存するものの、メイタース氏自身は会社の収益性の回復に関しては楽観的な予測を続けている。

「私は本当に、キャリアが5Gを展開するやり方に、この先が左右されるだろうと考えています」と彼は言う。「ご存知のように、2020年が5Gの出発点になるでしょう。通常ネットワークの展開には2年かかります。なので2023年には広い範囲がカバーされることになるでしょう。これが、2025年が、おそらくはもっと早い時期が、転換点になるだろうと私が信じている理由です。キャリアの展開速度に依存しているのです」。

[原文へ]

(翻訳:sako)

ベライゾンがディズニー支援のVRスタートアップ「Jaunt」の資産を取得

1億ドルの資金を調達した後、バーチャルリアリティーコンテンツのスタートアップであるJaunt(ジョーント)はここ数年不安定な状態を続けていた。どうやら冒険物語はついに終わるようだ。米通信大手のVerizon(ベライゾン)が同社のテクノロジーを買収したことを発表した。

FacebookによるOculusの買収に続き、JauntもVRブームの波に乗ったかたちだが、この数年没入型エンターテインメントのビジネス機会を探し、ソフトウェアからカメラのハードウェアまで手を広げてきたた同社は、過去1年、拡張現実や「ボリュメトリックビデオ」と言われる技術に焦点を当てたビジネスを追究する一方で、自社のVR資産の売却先を探していた。

「昨年、Spinview Globalが同社のVR技術を買う話が報じられたが何も起こらなかった」と広報担当者がTechCrunchに話した。Verizonが買ったJauntの技術資産には、VR技術だけでなく最新のARへの取り組みも含まれている。買収に伴う社員の移動はなさそうだが、軌道に乗るまで何人かのJaunt社員が協力することになるだろう。

同社の広報担当者は、買収後の会社の方針については言及しなかった。

Verizonはなぜこれらの資産を必要としているのか?Verizon Media(TechCrunchはその一部)はすでに、バーチャルリアリティーコンテンツスタジオのRYOTを傘下に持ち、360度コンテンツやAR/VRコンテンツ全般を扱っている。同社のVR部門であるEnvrmntは基本的に、モバイル環境でもっと効率よく動くARやVRアプリの開発に集中している。Jauntはかつて狭いバンド幅への対応が必要な放送事業に取り組んでいたのでそのための経験を持っているはずだ。

契約金額はまだわかっていないが、JauntはこれまでにGV、Disneyからから計1億ドルの投資を受けている。昨年10月、同社は「相当数の社員」を解雇し、年末にはオフィス家具をオークションに出した。

関連記事:Disney-backed Jaunt lays off ‘significant’ number of employees as it moves away from VR

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookのHorizonは巨大なVRマルチプレイヤーワールド

Facebookは、米国時間9月25日、映画「レディ・プレイヤー1(Ready Player One)」に出てくる「オアシス(Oasis)」のようなVR世界を、独自に構築中であると発表した。それがFacebook Horizon(ホライズン)だ。サンドボックス化された仮想現実の世界で、その中にユーザーが独自の環境やゲームを構築できるもの。そこで友達と遊び、交流したり、他のユーザーが造成した地形を探索したりすることができる。つまり、ネット上の仮想世界、Second Life(セカンドライフ)のFacebook版のようなものだ。

Horizonは、2020年初頭に非公開ベータとして開始される予定となっている。ユーザーは、自分を表すアバターを自由に作成し、Telepods(テレポッド)と呼ばれるポータルを使って、仮想の地域を行ったり来たりすることができる。また映画を観たり、友達といっしょにいろいろなメディアを楽しんだり、「Wing Strikers」といったマルチプレーヤーのゲームで遊んだりすることも可能。Horizon Locals(地元住民)という人間のガイドもいて、ユーザーを支援してくれる。VRの世界での安全を守り、荒らしがはびこらないようにする。

早期アクセスを希望するユーザーは、ここからベータ版に申し込むことができる。

Horizonの立ち上げにあたってFacebookは、既存のソーシャルVR体験、Facebook Spacesと、Oculus Roomsを、1025日に閉鎖する。Horizonが利用可能となるまでは、多少のブランク期間が発生する。Oculus Roomsは、ユーザーが自由に模様替えを楽しめるVRの貸室として、2016年に登場した。一方のFacebook Spacesは、2017に公開され、ユーザー同士がチャットしたり、映画を観たり、友達とVRの自撮りもできるようなもの。しかしいずれも、多少のソーシャル機能を備えたロビーの待合室のように感じられるもので、その先に控える本格的なVRゲームへの入り口に過ぎないもの、という雰囲気は拭えなかった。そうしたものとは対照的に、Horizonは目的地であり、単に目新しいだけでなく、ユーザーが長い時間を過ごすことができる場所として設計されている。

Facebook Horizonの仕組み

一見した範囲では、HorizonはSecond Lifeを近代化したもの、一人称のSims(シムズ)、AltspaceVRが意図していたものを成就させるもの、あるいはプレステのPSVRを利用したDreamsや、子供にも人気のクロスプラットフォームのRobloxと競合するもの、と考えられる。2016年にFacebookは、Oculusの新しい従業員全員に、「レディ・プレイヤー1」の小説を配っていた。それ以来、彼らはその世界の構築に熱心に取り組んできたようだ。

Facebook Horizonは、ある町の広場に集められた状態からスタートする。そこに足を踏み入れる前に、ユーザーは、かなり広範囲をカバーする何でもアリのアバターツールを使って、自分の容姿や服装を自由に設定できる。ユーザーは、VRの内部でHorizon World Builderを使って、ゲームの競技場、休暇で行く隠れ家などを作ったり、そうした場所で可能な活動を定義したりできる。いずれもプログラミングは不要だ。

Facebook Horizonでは、オブジェクトをゼロから構築できる

たとえば、熱帯の海に浮かぶ島を設計し、友人を招待して、仮想のプライベートビーチでいっしょに過ごすこともできる。Oculusにもあった彫刻機能、Mediumに似たオブジェクトクリエーターを使えば、自分のアバターに着せるカスタムTシャツなど、何でも作ることができる。また、本格的に開発したい人は、ビジュアルなスクリプトツールを使って、インタラクティブに応答する体験を作成することも可能だ。

Horizonの安全性については、Facebookは「市民権」のページを設けて説明している。そこには、「Facebook Horizonの市民として、敬意の持てる快適な文化を創り出す義務があります… Horizonの市民は友好的で、開放的、そして好奇心も強いのです」と書かれている。Horizon Localsは、VRの世界を歩き回っていて、質問に答えてくれたり、技術的または安全上の問題がある場合には、ユーザーを支援してくれる。彼らは、顧客サポートでもあり、また世界の治安部隊でもあろうとしているのだろう。

Facebook Horizonには、Localsがいて、安全と技術面のサポートを提供してくれる

万一、ちょっと手が付けられないような状態になってしまったら、シールドボタンをタップして中断し、Horizonと並立するプライベート空間に閉じこもることもできる。ユーザーは、自分用の個人的な空間の境界を定義できる。その中には、他の誰も顔を出したり、踏み込んだりすることができない。そこでは、黙秘、遮断、報告といった一般的なツールがすべて利用できる。Facebookが、コミュニティの風潮の大筋を定義し、こうした保護機能も用意したことは、賢明な措置と言えるだろう。

Facebook CEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、米国サンノゼで開催されたOculus Connect 6カンファレンスで、Horizonを発表した。同氏によれば、Facebookとコミュニティが、VRサンドボックスについて、より多くの経験を積むにつれて「Horizonが拡大し、良いものになっていく中で、このような性質を持つことになる」と説明した。

Horizonでは、ユーザーが独自の島や地域を作成することも可能

Horizonは、ソーシャルインタラクションを促進することに腐心しているようなビジネスにとっては、まさに意義のあるものだろう。ユーザーがそこに留まった時間に応じて、広告収入を得ることもできる。Horizonの中には、いろいろなブランドの仮想の看板、おもちゃや家具を購入できるFacebook運営のショップ、ナイキの靴やシュプリームのシャツなどのブランド品を扱うサードパーティのモール、などが登場することも容易に想像できる。そうしたものからの収益の分配や、ゲームの世界の利用、特別な惑星の探検などが可能となるサブスクサービスの収入が、Facebookを潤すことになる。

Facebookも、市場に登場してから15年が経過し、新鮮味もだいぶ薄れてきた。ユーザーも新たな社交の場を求めている。多くのユーザーは、Facebook上での近況のアップデートや、しらじらしいライフイベントには見切りを付けている。きれいな写真が並ぶInstagramや、しがらみのないSnapchatの方に引き寄せられているのだ。Facebookは、もしSpacesに替わる独自のVR機能が開発できなければ、脇に追いやられる危険もあった。Horizonが、ユーザーが現実の生活から逃避でき、友達と自分の生活を比較して妬んだりする必要のないVR世界を提供できれば、Facebookに飽きてしまったり、窮屈さを感じているユーザーにアピールするはずだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが描く「ポストウェブ」の未来、マルチプレイヤーVR空間「Horizon」を来年スタート

5年前、FacebookはVRの草分けであるOculusを20億ドルで買収した。今週、ニューラルインターフェースのパイオニアであるCTRL-Labsを5億ドルを上回る金額で買収し、大規模なマルチプレイヤーVR共有空間「Horizon」を来年はじめにスタートすると発表した。

OculusはFacebook Reality Labsという(やや不気味な名前の)組織となり、Facebookの初期エンジニア15人の一人で、デスクトップからモバイルへの広告モデルの移行を指揮したAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が長を務めることになった。同氏が今までよりずっと興味深く、長期的な変化を担うプロジェクトの責任者なったことは想像に難くない。ワールドワイドウェブから、その先にある何かへの変化だ。

Facebookの数十億ドル規模の大きな賭けは、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の水晶玉の中に浮かぶビジョン。ウィリアム・ギブソンの言葉を借りるなら「サイバースペース」の新開地であり、かつてOculusの新入社員に配られていた映画「READY PLAYER ONE」(レディ・プレイヤー1)の世界で言う「オアシス」になることは間違いない。バーチャルリアリティー(仮想現実)は、我々の現実世界と仮想的な事物を組み合わせるミクストリアリティー(複合現実)とも言ってもいい。

私には皆さんの呆れている顔が目に浮かぶ。たしかに突飛な発想であることはわかっている。AR(拡張現実)やVRは、核融合やブラジルと同じく、いつかはやって来ると言われている時間が長すぎて、真面目に将来を考えるのが難しくなっている。「ニューロマンサー」が最初に出版されたのは1984年だった。Jaron Lanier(ジャロン・ラニアー)氏が最初の本格的VRヘッドセットとモーションキャプチャーウェアラブルであるEyePhoneとDataGloveをデモしたのは30年以上前のことだ。共有グローバルVR空間という発想が、ますますレトロフューチャーのように感じるのも無理はない。

しかしザッカーバーグ氏の示す変化への道は明白であり、ゲームを橋渡しに使うところは実践的だ。世界最初で最高の巨大マルチプレイヤーオンラインVRゲームを作る(Magic Leapのミクストリアリティーよりも没入的であり、従って説得力もある)。Facebookのパワーと規模と富を使ってゲーマーたちを集め、月間ユーザー数百万人の人気コミュニティーを作る。

そして、VRがゆっくりとウェブ自身に取って代わるという大きなビジョンへと推移する。ノートパソコンをヘッドセットで置き換え、スマートフォンをスマートメガネで、キーボードをニューラルインターフェースで置き換える。一度に変わるのではなく、少しずつ何年もかけて、Horizonのゲーム世界が交流やメッセージのためのプラットフォームになり、ゲームだけでなく仕事にも使われるようになる。そのときインターネットの住人たちはFacebookのウェブサイトを訪れたり、アプリを開くだけではなく、(たとえ仮想的にせよ)文字通りFacebookの塀に囲まれた庭園に住むようになる。

そんなビジョンはいよいよ薄気味悪いのでは?そのとおり。本当に実現するのか?まあ、多分そうはならない。しかし、それが大きな富をもたらし、したがって現在進行中のFacebookの数十億ドルの賭けが理にかなっている可能性がゼロより十分に大きいことは認めざるを得ない。

もちろんこれは、Facebook唯一の将来へのビジョンではない。数ある賭けのひとつにすぎない。 ソーシャルメディア広告からメッセージと決済へとピボットすることも考えられる。現在の途方もなく成功しているビジネスを捨てて、経験も実験もされたことのないビジネスモデルに移行する道を探ろうとする彼らの意欲を称賛しないわけにはいかない。

賭けは成功するのか?Facebook HorizonやVRやニューラルインターフェースは、ウィリアム・ギブソンの言った「何十億人もが毎日体験している共感覚幻想」への玄関口なのだろうか? オッズが高いとは言えないが、現実世界のどれと比べてもチャンスはありそうに思える。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

OculusのVRコンテンツの売り上げが約110億円を超える

Facebook(フェイスブック)は何十億ドルもの資金をVR(仮想現実)事業に投資しており、資金を回収する道のりは長いかもしれないが、少なくとも利益を上げている。

Oculus Connectの壇上でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、Oculus Storeの売上が1億ドル(約110億円)を超えたと発表した。この数字は複数のVRヘッドセットを合算したものだが、ザッカーバーグ氏によると、売り上げの20%が過去4カ月間に販売されたOculus Questのタイトルからのものであり、新型ヘッドセットのユーザーがコンテンツに多くの資金を費やしていることを示唆している。

同社はスタンドアロン型ヘッドセットのOculus Questを売り出しており、ケーブルレスなこの製品が一般消費者への普及のための最良の方法だと考えていることは明らかだ。今回のマイルストーンは、コンテンツへの数億ドルの投資には及ばないが、Facebookは今後も投資を継続する見通しだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

FacebookがOculus Linkを発表、スタンドアロンのQuestでPCゲームを楽しめる

Oculus Connect 6のカンファレンスの壇上でFacebookのCEOを務めるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、11月のソフトウェアアップデートによってスタンドアロンのVR(仮想現実)ヘッドセットとPCコンテンツの境界線をさらに曖昧にすると発表した。

Oculus Linkは、ユーザーがOculus QuestをUSB-CでPCに接続し、モバイルチップセットを搭載したヘッドセットで現在よりも高品質なグラフィックスで電力消費の多いPCコンテンツを再生できるようにする。

システムの制限はまだわからない。最近のUSB-Cコードは使用できるようだが、電源のパススルーができるものが必要だ。Oculus QuestもOculus Rift Sも多くのシステムスペックを共有していることを考えると、FacebookがスタンドアロンのOculus Questにより、PC VRを置き去りにしようとしていることは明らかだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

VrealがVRゲームストリームプラットフォームを閉鎖

ライブストリーマーがプレイしていた世界をVRユーザーが探検できる、野心的なゲームストリーミングプラットフォームのVrealがベンチャーキャピタルから1500万ドル(約16億円)を調達した後に閉鎖し、スタッフをレイオフする。この情報は同社のウェブページ上に掲載された。

シアトルベースのVrealは、Axioma VenturesやUpfront Ventures、Intel Capitalなどの投資家から資金を調達していた。同社は2018年初旬にシリーズAで1170万ドル(約12億円)を調達している。

Vrealの技術は、ゲームストリーマーが自分のいるVR世界の3D環境を共有することを可能にし、ユーザーがアバターとなってストリーマーの周りを歩き回ったり、ライブストリーマーのプレイを聞きながら観察者として探検ができる。

2015年に設立されたこのスタートアップは、ライブストリーミング技術によりここ数年のVR業界でもっとも誇大広告された企業だった。昨年のはじめにシリーズAを終えた時点で、彼らのプラットフォームはまだアルファ版前の段階だった。なお、プラットフォームは数カ月後の6月にEarly Access on Steamにてローンチされた。

Vrealの空っぽのウェブサイトに掲載された「新たな現実への移行…」というブログ投稿には、「残念ながら、VR市場は我々が期待していたほどには急速に成長せず、一方で我々は確かに時代の先を行っていた。その結果、Vrealは業務を停止し、我々の素晴らしいメンバーは別の機会へと移行することになった」と記載されている。

シリーズAの発表後に私が指摘したように、Vrealのプラットフォームは「VRハードウェアを持っている視聴者向けにVRハードウェアによるストリーミングサービスを提供するという、非常にニッチなプロダクト」であった。VRハードウェアに関する同社の宗教的忠誠心は、コンテンツを楽しんだり制作するための唯一の方法であり、プラットフォームへのリーチの方法を制限しすぎたのだろう。2カ月前、同社は実験的なウェブブラウザをプラットフォームに追加してリーチを広げると発表したが、その動きは小さすぎ、そして遅すぎたようだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

VRはある種の手術訓練に効果がある、VR手術訓練のスタートアップによる研究結果

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のDavid Geffen(デヴィッド・ゲフェン)医学校で実施された最近の検証試験によると、VR(バーチャルリアリティー)が手術の訓練に多大な効果をもたらす可能性がある。

本研究は、VR手術訓練のスタートアップであるOsso VRの資金提供を受けて行われたもので、同社の訓練手法を利用した被験者は、総合的な手術能力が230%向上した。

これは膨大な数値だが、バーチャルリアリティー訓練の効果に関する研究はまだ始まったばかりだ。

それでも、この「脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘による外科技術訓練におけるバーチャルリアリティーツールのランダム化対照試験」は、バーチャルリアリティーによる訓練が現実世界の状況に役立つという長年抱かれてきた仮説を実証する第一歩だ。

バーチャルリアリティー訓練の特徴は「いつでも」「どこでも」行える応用性であるとOsso VRは謳っており、今回の研究結果は一定の制御環境下で同社の主張が正しい可能性を示唆している。

UCLAは、Osso VRの技術について追加の試験、検証、および実用化の可能性を検討する価値があるかどうかを調べるためにこの試験を行った。

UCLAの研究では、20人の被験者を一定の習熟度に達するまで従来の訓練を受けた群、およびVR訓練を受けた群とに分割した。次に被験者は脛骨髄内釘固定のシミュレーションを実施し、被験者がどちらの群に属するかを知らない観察者が被験者を採点した。

VR訓練を受けた学生は手順を2%早く完了し、より多くの項目を正確に実施したことが、本試験専用のチェックリストによる採点でわかった。

「整形外科医にとって、技術がエビデンスによって裏付けされていることは極めて重要である。当社のユーザーや顧客には、まったく新しい訓練方法を使用することで、このプラットフォームが効果的かつ信頼性が高いことを体験してもらいたい」とOsso VRのCEOで共同ファウンダー のJustin Barad(ジャスティン・バラッド)医学士が声明で語った。「これらの研究結果は、今日の医療産業が直面する膨大な課題に対する挑戦の始まりにすぎない。われわれのゴールは、この業界が生み出す価値を明らかにして世界中の患者たちに届けることだ」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTubeがメイクアップAR実装、ユーザーはレビューを見ながら仮想メイクできる

メイクアップのチュートリアルとレビューは、新製品を教えてくれることはもちろん、どのように使えば良いかを教えてくれるので、YouTubeで最も人気のあるカテゴリーとなっている。

そのYouTubeが、今度はYouTubeアプリ自身の中に仮想メイクアップを行う拡張現実(AR)機能を導入し、その体験をさらに刺激的なものにしようとしている。この機能は「AR Beauty Try-On」(拡張現実美容トライ)という名前で、YouTubeの視聴者がメイクアップチュートリアルを視聴する際に、分割した画面上で体験できるようにデザインされている。

利用可能な場合には、画面の上部でYouTubeのメイクアップレビューやチュートリアルビデオが再生され、自分のフロントカメラからの映像が下半分に表示される。ここで、YouTubeの視聴者は、上半分でビデオを再生しながら、たとえば新しい口紅などの色のパレットをタップして、自分の顔に適用することができる。

現在は開発のごく初期段階(αテスト段階)であり、GoogleのインハウスブランドコンテンツプログラムであるFameBitを通じて、YouTubeのクリエイターたちに提供されている。このプログラムを通じて、ブランドは、自社製品をマーケティングしてくれるYouTubeインフルエンサーと有料スポンサーシップを通じてつながる。

YouTubeによれば、これまでAR Beauty Try-Onをいくつかの美容ブランドでテストしたところ、YouTube iOSアプリで利用可能な場合、視聴者の30%がこの機能を利用したということである。これは決して大多数ではないが、この機能を試した人たちは、仮想口紅を80秒以上試し続けるなど、十分に引きつけられていた。

M·A·C CosmeticsはAR Beauty Try-Onキャンペーンを開始した最初のブランドだ、その中では、試用の結果をリアルタイムで見せることも行われている。

AR Beauty Try-Onは、最近始まったGoogle検索内でのAR利用や、開発者向けプラットフォームであるARCoreへのアップデートなどの、Googleが提供するARへの複数の取り組みのうちの最新のものだ。

とはいえ、仮想メイクアップ試用体験を提供するのは、Googleが最初の企業というわけではない。さまざまなソーシャルネットワーキングアプリの楽しいメイクアップフィルター以外にも、YouTubeのAR Beauty Try-Onに似た体験を提供してくれる、YouCam MakeupSephoraVirtual ArtistUltaGLAMLabなどを含む多くのAR美容アプリが存在している。ロレアルはまた、自社のウェブサイトの上で、ライブ試用機能を提供しており、また仮想メイクアップ機能をサイトに追加するために、昨年Facebookと提携している。TargetのオンラインBeauty Studioは、多数のブランドや製品を使った仮想メイクアップも提供している。

YouTubeのAR Try-Onが提供する他との違いは、単に楽しい消費者向け製品やオンサイトのeコマースコンバージョンのためのツールというだけではなく、ARを活用した広告キャンペーンを実際に提供する点だ。

AR広告フォーマットの開始は、米国時間6月18日にGoogleが発表したいくつかの新しい広告プロダクトの1つである。

同社はまた、モバイルウェブ用のSwirl(スワール、単語としての意味は「渦」)と呼ばれる新しい没入型表示フォーマットを提供した。これによって消費者は360度の方向から製品を眺めることができる。Swirlは、商品の回転、ズームイン、ズームアウト、そしてアニメーション再生を可能にする。

このフォーマットは「ディスプレイ&ビデオ 360」を通してのみ利用可能だとGoogleは語っている。ブランドは、Googleの3DプラットフォームPoly上の新しいエディタを使用して、Swirlディスプレイ広告を作成することができる。すでに3Dアセットがある場合には、その代わりにGoogle Web Designerの中の 3D/Swirlコンポーネントを使用してSwirl広告を作成することができる。

香水メーカーのゲランは、消費者の注目を集めるために、動く広告にSwirlを利用している。

ディスプレイ&ビデオ 360のもう1つの新しいフォーマットは、広告表示中にYouTubeのライブストリームコンテンツを掲載することができる。これもまたGoogle Web Designerで構築することが可能だ。

新しいツールは今年の夏にブランドや広告主たちに提供される予定だとGoogleは述べている。

[原文へ]

(翻訳:sako)

不動産中心に2000社以上が活用、VRクラウド「スペースリー」が4億円を調達

360度VRコンテンツを制作できるSaaS型のクラウドサービス「スペースリー」を運営するスペースリーは6月3日、DNX Ventures、Archetype Ventures、DBJキャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額4億円を調達したことを明らかにした。

スペースリーにとって今回の資金調達は2018年3月に実施した約1億円のシードラウンドに続くシリーズAという位置付け。VC3社はすべて前回からのフォローオン出資となる。

同社では調達した資金を活用して人材採用やマーケティング活動を強化していく計画。現在軸となっている不動産領域に加えて人材研修領域での事業展開に力を入れつつ、蓄積されたデータを活用した研究開発にも取り組むという。

なおスペースリーでは資金調達と合わせて清田陽司氏が技術顧問に就任したことを発表した。同氏は人工知能学会編集委員会 副委員長であり、大手不動産メディアを運営するLIFULLのAI戦略室 主席研究員を務める人物だ。

月額4980円から使えるVRクラウドサービス

スペースリーは事業者のVRコンテンツの制作・活用を後押しするクラウドサービスだ。

市販の360度カメラで撮影した写真に、管理画面上で簡単な編集を加えればVRコンテンツとして接客や営業活動に利用することが可能。簡単な操作でコンテンツ内にテキストやリンク、カスタマイズした問い合わせボタンを組み込めるなど使い勝手の良い編集機能や、高画質な画像処理機能を備える。

またブラウザベースに特化していて、作るのも見るのもデバイスを問わない。PCやタブレット、スマホから同じように制作・閲覧でき、店頭営業に用いるだけでなくサイトに埋め込んだりメールなどでURLを共有したりと、幅広い用途で使えるのもウリだ。

料金は月額4980円からの定額制で、保存できる画像の上限数や機能などに応じた3つのプランを展開。顧客を支援するオプションとして対面接客時に便利な小型のVRグラス「カセット」や、撮影・コンテンツ制作代行サポートなども提供している。

現在の利用企業数は2000社を突破。中でも全体の8割ほどを占める不動産分野が好調で、継続率は98.5%(昨年1年間の月次チャーンレートの平均が1.5%)ほどだという。

たとえば導入企業の1社である宅都ホールディングスでは、大学受験シーズンにスペースリーを上手く活用したことで、大学近隣の賃貸仲介店舗の接客数が前年より50%アップ。物件予約の7割が現地での内覧無しで決まったそうだ。

今回の事例ではVRデバイス「Oculus Go」を店頭に備え、スペースリーに昨年追加されたオプション機能「瞬間接客VR」をフル活用した。

この接客システムはVR遠隔同期技術を活用し、アプリ不要、クリックひとつで簡単に市販のVRデバイスを使用して物件を紹介できるというもの。担当者の画面と顧客がVRデバイス越しに見ている映像が同期するため、顧客は実際に現地で内見をしているような感覚で、担当者の説明を受けながら室内の様子をチェックできるのが特徴だ。

受験シーズンは特に込み合う時期なので、短時間で多くの物件を効率良く確認できるのは担当者・顧客双方にとってメリットが大きい。そもそも学生用賃貸マンションの場合、内覧時にはまだ部屋が使われている状態が多いため、中の様子を見れないケースも少なくないそうだ。

宅都ホールディングスにおいてはスペースリーの活用によって、内覧なしでも予約に至るケースが増加。現地での内覧件数が大幅に減ることで顧客1組あたりの接客時間が短縮され、より多くの顧客に物件を紹介できることにも繋がったという。

VR研修領域の展開やデータを活用したR&Dも強化

ビジネス用途でVRを活用するという観点では、不動産は他の領域と比べても比較的導入が進んでいる領域と言えるだろう。リコーのような大企業から、スペースリーやナーブなどスタートアップまで、国内でも関連するプレイヤーの数が増えてきた。

スペースリー代表取締役社長の森田博和氏によると、直近1年だけでも業界の反応が大きく変わってきたそう。「『そもそもVRって何に使えるの?』という反応は少なく、導入を考えているという企業からの問い合わせや他社ツールと比較される機会が増えている。(顧客経由の)紹介も多くなってきた」という。

競争も激しくなりつつはあるが、上述した瞬間接客VRや編集機能を始めとするプロダクトの使い勝手、アカウントの数に応じて柔軟に設計できる料金プランなどを理由に顧客を獲得できているとのこと。成功事例も積み上がってきた中で、ある程度“勝ちパターン”が見えてきているようだ。

直近ではこれまで磨いてきたプロダクトや蓄積してきたナレッジを活用し、不動産領域に続く新たな柱としてVR研修領域の本格展開も始めている。

今回の資金調達はまさにこれらの取り組みを加速させるためのもの。マーケットフィットした不動産領域で事業拡大を目指すほか、すかいらーくホールディングス(飲食)や大同メタル工業(工場)と実証を行ってきたVR研修領域にも力を入れる計画だ。

また昨年開設したラボを通じて、データ分析や画像解析などVR分野におけるAIの実用化にも継続的に取り組むという。

「機械学習を用いてコンテンツの角度を最適な形に補正する機能や、写真に変なものが写り込んでしまった際に補完する機能などは今後実装されていく予定。(コンテンツを)見てる人の関心に合わせて、インターフェースが切り替わったり、加わったりするような機能なども含めて、蓄積してきたデータを反映した仕組みの開発も進める」(森田氏)

今後は「蓄積したデータを使ってどれだけ新しい価値を提供できるか」が1つの差別化ポイントになると話す森田氏。調達した資金を活用しながら行動データや360度VRデータを用いた研究開発を強化し、より便利なプロダクトへと進化させていきたいという。

Google I/O最大のVRニュースはVRニュースがなかったこと

GoogleがVRの白昼夢から覚めつつある。人々がすでに所有しているスマートフォンを利用してVR体験を実現するという同社の意欲的計画はI/Oカンファレンスで言及されなかった。

2016年と2017年をかけて、モバイルVR市場形成の壮大な計画を掲げ、プラットフォームのDaydreamが市場を支配することを約束してきたGoogleが、ヘッドセットの生産とPlay StoreでのVRコンテンツの販売計画をほぼ断念した。

唯一のバーチャルリアリティーに関するニュースは、Googleの最新スマートフォンであるPixelが、同社自身のVRプラットフォームをサポートしないことだった。The Vergeが伝えた。

Googleは2016年と2017年に、2世代のDaydream Viewヘッドセットを発売したが、昨年は新製品もなく、今年のステージではプラットフォームにもヘッドセットにも一切言及がなかった。

GoogleはI/O 2017のVR中心の基調講演で、HTCおよびLenovo(レノボ)との提携によってスタンドアロンデバイスを提供する計画を詳しく話した。HTCはその後プログラムを離脱し、Lenovoが予想から大きく遅れてMirage Soloを発売したあとも、Googleは新しい追跡技術のWorldSenseを利用するためのアップデートもコンテンツの優先提供をも行わなかった。現在同社はこのデバイスを開発キットであることをうたっているが、具体的に何のための開発なのかはわからない。

FacebookのVR部門であるOculusは、Googleが最後にVRハードウェアを発表して依頼、2種類のスタンドアロンVRヘッドセットを発表、発売した。

「VRに関して、現在当社はサービスおよびVRが真に活用できる分野に焦点を合わせている」とGoogleのVR/AR責任者のClay Bavor氏がCNETのインタビューで語り、同社がまだハードウェアの実験中であることを説明した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VR/MR技術で医療現場のコミュニケーションを革新するHoloEyesが2.5億円を調達

VRやMR技術を用いて医療現場のコミュニケーションを支援するHoloEyesは4月26日、SBIインベストメント、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタルの各社が運用するファンドを引受先とした第三者割当増資により、総額約2億5千万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

HoloEyesが手がける「HoloEyesXRサービス」は患者のCTスキャンデータやMRIデータから3次元のVR/MRアプリケーションを生成し、 医療分野におけるコミュニケーションを革新するサービスだ。

同社によると、医療現場では3次元的立体構造物である人体の状態を把握する際、CT/MRIなどによって撮像された2次元の状態にあるデータを閲覧し、医師の脳内で3次元に変換しているという。この作業は医師にとっても大きな負担となるだけでなく、医学生らが学習する際や患者が理解する際にも多くの労力がかかる原因になっていた。

この状況をXR(VR/MR)などのテクノロジーによって改善できないか、というのがHoloEyesのアプローチだ。

HoloEyesXRサービスはCT映像から作成したポリゴンファイルをアップロードすれば、最短10分でVR/MRアプリを自動生成してくれるのが特徴。価格は1ケース1万円から提供する。2018年4月の発売以降、39の医療施設が導入していて、444のケースで活用事例があるとのこと。発売以前のPoC事例も含めると50以上の医療施設が500を超えるケースで利用しているようだ。

今後HoloEyesでは医療機器対応を中心とするHoloEyesXRサービスのアップデートを進めるほか、調達した資金を活用して事業基盤の拡張や組織基盤の強化に取り組む計画。合わせて「新たな時代における知識や手技の優れた継承方法としての可能性が感じられるVR教育配信サービスの開発(主な用途)」にも着手するとしている。