運搬ロボ開発のLocus Roboticsが約43億円を資金調達、DHLが本格導入、UPSが試験導入

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、多くの企業が前進する手段として自動化に目を向ける中、ロボット工学にも大きな影響を与えるだろう。大規模な自動化は避けられないと以前から考えられてきたが、企業が人間的な要素を排除するプロセスを模索する中で、このパンデミックはその動きを加速させようとしている。

Locus Roboticsはこれまで、資金調達で大きな問題を抱えていなかった。米国マサチューセッツ州を拠点とするこのスタートアップは、昨年4月に2600万ドル(約28億円)を調達(未訳記事)しており、今回のシリーズDラウンドで4000万ドル(約43億円)を調達した。これで総額は1億500万ドル(約110億円)以上になる。Zebra Technologiesが主導した今回の最新ラウンドは、Locus Roboticsがヨーロッパ本社の立ち上げで事業を拡大しようとしている同社にとっては、非常に重要なものとなっている。

「今回の資金調達により、Locusはグローバル市場への展開を加速させることが可能になる」とCEOのRick Faulk(リック・フォーク)氏はリリースの中で述べている。「世界中の小売業、産業、ヘルスケア、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業が新型コロナウイルスのパンデミックを乗り切る上でのサポートを強固にし、より立場を強化することを保証する」。

Locusは、米国ではビンを運搬するロボットですでに好評を得ている。2月には、同社のロボットが1億ユニットのピッキングを達成したことが明らかになった。これは、ペンシルバニア州にあるDHLの施設での出来事だ。その翌月、DHLは2020年に同社のロボット1000台を配備することで合意。4月には、UPSが自社施設でLocusロボットを試験的に導入することを発表した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iRobotが芝刈りロボット「Terra」の発売を無期延期

iRobot(アイロボット)は米国時間4月28日の四半期決算報告で、同社の芝刈りロボット「Terra」の発売を無期延期したことを発表した。Roomba(ルンバ)のメーカーでもある同社は、待望のホームロボットの2020年の発売を断念した。

当然のように同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響による不確実性を理由に挙げている。具体的には「市場の現状」だという。同社広報がTechCrunchに送った声明は以下のものとなる。

他の多くの消費者向けテクノロジー会社と同様、iRobotも新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受け、市場開拓と製品開発の優先順位を再考しなければならなかった。市場の現状を踏まえ、iRobotはロボット芝刈り機 Terraの2020年発売を中止し、中核事業やその他の戦略への取り組みを優先する必要に迫られた。iRobotは今でも芝刈りロボットの大きな可能性を信じており、Terraの発売は中止するものの、時期が来たときには発売の可能性を再評価するつもりだ。この決定は、iRobotがこの景気停滞を乗り越え、消費者向けロボットのリーダーとして、継続的に利益を生む会社として成長することを確かにするものだ。

関連記事:iRobotのロボット芝刈り機、10年の開発期間を経て商品化

無期延期の理由が、どれほど世界のサプライチェーン問題によるもので、どれほど単なる需要不足のためなのかはわからない。人と人との接触を減らして感染リスクを回避するロボットやAIの発達によって、新型コロナウイルスはオートメーションへの関心を高めた。しかし、多くの人々が自宅で過ごす時間が増えたことで、1000ドル(約10万7000円)近い商品は消費者が景気刺激策に投じる対象でなくなる可能性が高い。

この「優先順位の変更」は、ビデオ会議ロボットのAvaを数年前にスピンオフされた会社として興味深い洞察だ。新型コロナ危機は、長い目でみればリモート学習の現実性を認識した人々の役に立つ製品開発を探求する理由になるかもしれない。

iRobotは今後について具体的なことは言及していないが、このような無期限の延期は、同社の次期看板製品にとってよい兆候とはいえない。例え究極の理由がパンデミックだとしてもだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITが筋肉でロボットをコントロールするシステムを開発、ドローンをジェスチャーで正確に操縦

MITの計算機科学と人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Lab、CSAIL)が、今手がけている筋肉の信号でデバイスを制御するプロジェクトをビデオで披露した。彼らの最新の成果ではドローンを完全かつ細かく制御でき、手と腕のジェスチャーだけを使って複数の輪を通り抜けることができた。これは、デバイスをバイオフィードバックでコントロールし、別途ジェスチャー認識のための光学系などを必要としないだけでなく、細かい明確な制御ができるので、遠隔制御の応用領域を大きく広げることができる。

この研究グループも、さまざまな利用分野を展望している。たとえば、複数のロボットのコラボレーションの産業分野への応用だ。もう一つの領域がドローンの操縦で、現実世界での用途に大きな利点をもたらす。例えば、パイロットがVRで大きな視界を獲得できれば、ドローンの複数の編隊をコントロールすることも可能だろう。これでたとえば、大きな建設現場の測量を一人でできたりするだろう。あるいは人が行くのが困難なオフショアのプラットホームなどで、遠隔の機器装置を検査できる。

ロボットと人間のシームレスな対話は、ロボット工学の究極の目標の1つだ。人間は自分の動作や環境を効果的に扱うことを直観的にできるから、ロボットを制御したりロボットと一緒に仕事をするときもそうありたいと願う。人間が環境と対話するときは、思考と行為が基本的には並列で生じているが、機械や遠隔のツールが相手のときはその滑らかさと直観性が翻訳過程で失われ、ロボットの学習過程や訓練は急峻な学習曲線になる。

人間と一緒に安全にコラボレーションで仕事ができるロボットの研究開発は、ロボティクスでなくコボティクス(Cobotics、協働ロボット)と呼ばれる。これは、人とロボットの対話をもっと自然で直観的に、そして究極的には安全にするための研究開発の進歩から生まれる。この分野でのMITの研究は、大規模な仕事でも訓練やプログラミングが少なくてすむ未来の工業用ロボットに結実するだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleの研究でロボット犬の小走りが簡単に

ロボットが優れていればいるほど、その設計の際に参考にされたオリジナルの動物の方が、はるかに優れていることが多い。その理由の一部は、犬のように歩く方法を犬から直接学ぶことが難しいためだ。だがGoogleのAIラボによるこの研究が、その学習をかなり簡単にしてくれるだろう。

カリフォルニア大学バークレー校との共同研究であるこの研究の目的は、対象(模範的な犬)から、軽い小走りや方向転換のような「敏捷な行動」を、効率的かつ自動的に四足歩行ロボットに取り入れる方法を見つけることだった。この種の研究はこれまでも行われてきたが、研究者のブログ投稿が指摘しているように、確立されたトレーニングプロセスを実施するためには「しばしば多くの専門家の洞察を必要とし、多くの場合、望ましいスキルごとに時間のかかる報酬調整プロセスを伴う」ことがあった。

もちろんこのやり方はうまくスケールアップすることはできず、動物の動きがロボットによって十分に近似されることを確実にするためには、手動調整が欠かせなかった。どんなに犬っぽいロボットであっても、実際には犬ではない。そして実際の犬の動き方はロボットが動くべきやり方とは異なっている可能性があり、そのことでロボットが倒れたり、ロックしたり、その他の失敗が引き起こされる。

Google AIプロジェクトは、通常の手順に制御されたランダム性を追加することで、これに対処している。通常は犬の動きがキャプチャされて、足や関節などの重要なポイントが注意深く追跡されている。そうしたポイントは、デジタルシミュレーションの中で、ロボットの動作として近似される。ロボットの仮想バージョンは、犬の動きを自分自身で模倣しその過程で学習を行う。

そこまではまあ上手くいく。だが真の問題は、そのシミュレーションの結果を使用して実際のロボットを制御しようとするときに発生する。現実の世界は、理想化された摩擦法則などがを持つ2D平面ではないからだ。残念ながらそれが意味することは、修正されていないシミュレーションベースの歩行では、ロボットが地面に転倒してしまう傾向が出るということなのだ。

これを防ぐために、研究者たちは仮想ロボットの重量を増やしたり、モーターを弱くしたり、地面との摩擦を大きくしたりして、シミュレーションで使用する物理パラメータにランダム性の要素を加えた。これにより、どのように歩くかを記述する機械学習モデルは、あらゆる種類の小さなばらつきや、それらがもたらす複雑さを考慮しなければならなくなり、それらを打ち消す方法も考えなければならなくなった。

そうしたランダム性に対応するための学習を行ったことで、学習された歩行方法は現実世界でははるかに堅牢なものとなり、目標とする犬の歩き方をまあまあのレベルで真似ることができ、さらには方向転換や回転のようなより複雑な動きも、人の手による介入なしに、少しばかりの追加の仮想トレーニングで行うことができるようになった。

当然のことながら、必要に応じて手動で微調整を動きに追加することもできるが、現状ではこれまで完全に自動で行うことができたものよりも、大幅に結果は改善されている。

同じ投稿に記載されている別の研究プロジェクトでは、他の研究者グループが、ロボットに指定された領域の外を避け、転倒したときには自分で起き上がるようにさせながら、自律的に歩くことを教えたやり方を説明している。これらの基本的なスキルが組み込まれたロボットは、人間の介入なしに連続してトレーニングエリアを歩き回り、その結果かなり満足できる歩行スキルを習得できた。

動物から敏捷な行動を学習することに関する論文はこちらで読める。また、ロボットが自律的な歩行を学習することに関する論文(バークレー大学とジョージア工科大学との共同研究)は、こちらで読むことができる。

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(翻訳:sako)

衛星燃料補給技術のOrbitFabが米国立科学財団から資金を獲得

軌道上の衛星燃料補給技術の実用化が、これまでになく現実的なものとなってきた。この技術は軌道上ビジネスのコストと持続可能性の改善に非常に役立つものだ。 2019年のTechCrunch Battlefieldファイナリストである、スタートアップのOrbitFab(オービットファブ)は、軌道上での燃料補給を実現するために取り組んでいる企業の1つである。このたび米国立科学財団(NSF)の初期ステージ高度技術R&D推進組織であるAmerica’s Seed Fundと、その目標へ向かうための新たな契約を結んだ。

この契約が目的としているのは、2つの宇宙船を接続して燃料を送り込むエンドツーエンドのプロセスを管理するために、宇宙でのランデブーおよびドッキング機能を提供するソリューションの開発だ。OrbitFabは2019年10月に開催されたDisruptで、これを可能にするためのコネクタハードウェアを発表している。現在そのハードウェアはRapidly Attachable Fluid Transfer Interface (RAFTI、迅速着脱可能燃料移送インターフェイス)という名前で呼ばれている。RAFTIは、燃料である推進剤を供給および排出するために衛星で使用されている既存のバルブに代わるものとして設計されている。その狙いは、地上での燃料補給と宇宙での燃料補給(あるいは必要に応じて1つの衛星から別の衛星への移送)の互換性を提供できる、新しい標準を確立することだ。

OrbitFabは既に、国際宇宙ステーション(ISS)まで2度飛行することに成功し、2019年には軌道上実験室に水を供給した最初の民間企業となった。同社は栄光に満足することはない、今回の新しい契約は、2020年夏に同社の試験施設で行われる予定のRAFTIのドッキング技術実証の準備に役立つだろう。

長期的には、これはNSFと結ぶ複数年契約の第1段階(フェーズ1)に過ぎない。フェーズ1に含まれるのは、最初のデモを行うための25万ドル(約2690万円)であり、このデモは最終的には宇宙で行う燃料販売ビジネスの最初の試行につながる。OrbitFabのCMOであるJeremy Schiel(ジェレミー・シエル)氏によればそれは「2年以内」に行われるということだ。

「この試行には2つの人工衛星、すなわち私たちのタンカー(補給衛星)と顧客の衛星が必要です。低地球軌道(LEO)でドッキング、燃料交換、デカップリングを行い、私たちの能力を実証できるまでこのプロセスを何度でも繰り返します」と彼はメールで述べている。

これまで軌道上燃料補給に関する多くの技術プロジェクトとデモンストレーションが行われてきており、業界最大の企業の中にもこの課題に取り組むものがいる。しかし、OrbitFabのアプローチは、衛星の大小や企業の違いを乗り越えて活用できる共通標準を提案することで、シンプルさと実現の容易さを目指している。RAFTIを広く採用されるインターフェースにするために、OrbitFabは既に30の異なるプロジェクトや組織と協力していると述べている。

これが成功すれば、OrbitFabは将来の軌道上の商業的な運用環境を支えることができるようになるだろう。宇宙船が軌道上に達したあとは、そこを周回する燃料ステーションが宇宙船からの需要に応えることができるため、燃料は打ち上げコストにおいてほとんど気にならなくなり、燃料を個別価格ではなくバルク価格で購入することができるようになる。

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(翻訳:sako)

UPSとドイツのWingcopterが共同で配達用多目的ドローンを開発

宅配大手のUPSがドイツのWingcopter(ウイングコプター)と共に、新しいタイプの配達用ドローンを開発している。米国でも世界でも今はロジスティクス企業のドローンによる配送が増えているが、新型機はその方面の需要を狙っている。Wingcopterはすでに電動の垂直離着陸機(eVTOL)を設計しており、最大航続距離約120kmで、許容最大風速は70mで最大約240km/hでフライトさせることができる。

Wingcopterは、UPSのドローンデリバリ子会社Flight Forwardと提携する。昨年の7月にできたこの子会社が、UPSの商用ドローンデリバリ事業を担当する。2019年10月にFlight ForwardはFAA(連邦航空局)から、荷物配達用ドローン専門の航空会社として認可を得ている。

Wingcopterはすでに、ドローンの商用利用のデモを終えており、例えば2020年始めに製薬企業Merckとのデモで、同社の自動操縦eVTOLによる小型荷物のドイツ国内Merk事業所間の配送に成功した。また、UNICEFなどの救援団体とのパートナーシップにより、僻地に医薬品や救命器具などを運んだ経験もある。

このコラボレーションには、Wingcopterの航空機を米国における商用配送に使用する認可を得る目的もある。認可が下りれば、今後両社はこの垂直離着陸タイプの多様な機種を開発して、いろんなニーズに応えていくだろう。ヘルスケアやホスピタリティ、小売業など、想定される需要分野は少なくない。

Wingcopterの主な利点は、ホバーリングや垂直離陸から低ノイズの前進飛行に切り替えができることだ。そのため人口過密地帯での利用に適している。同社のティルトローターの設計は、この垂直飛行と水平飛行をスムーズに切り替えられるだけでなく、雨や強風といった悪天候下でも安定飛行できるという利点もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

三菱電機が提携するRoboTireのロボットは10分で4本ものタイヤを交換する

ある日、サービスステーションの待合室で苦痛の時間を過ごしていたVictor Darolfi(ビクトール・ダロルフィ)氏はふとひらめいた。「俺はAmerica’s Tiresに3時間もいる。工場でのタイヤ着脱にロボットを使おう」と創業者のダロルフィ氏は説明する。「サービス業界にロボットを導入してはどうだろうか」と。

これがベイエリア拠点のロボティクス企業RoboTire(ロボタイヤ)の始まりだ。同社はSpark RoboticsでCEOを務めていたダロルフィ氏が2018年10月に設立した。そして今、最新のY Combinatorスタートアップ群の一角としてステルスモードで登場する準備が整った。RoboTireは車のタイヤを即座に交換する能力を実現しており、すでに業界の関心を集めている。

「タイヤ4本の取り外し・取り付けを10分でできる」とダロルフィ氏は説明する。「人間がタイヤ4本の交換作業をすると通常60分はかかる」。もっと早く交換できる人はいるかもしれないが、1日8時間その作業をすることはできない。

三菱電機との提携のもと、現在のところ25万ドル(約2800万円)のシステムをデザインしている。サービスセンターやディーラー、その他のアウトレットに貸し付けることを想定し、パイロット事業では、早く試したい人のために、同社はタイヤ1本あたり5〜7ドル(約550〜780円)でサービスを提供する。最終的にプロダクトを本格展開するときには10〜15ドル(約1100〜1700円)になる見込みだ。

RoboTireは、このロボットが1カ月あたり1万ドル(約110万円)ほどを稼ぎ、2年で元が取れると予想している。ブリヂストンのようないくつかの有名企業と協議している一方で、カリフォルニア州・サンカルロス拠点のToole’s Garagemがパイロット事業を行う最初のパートナー企業になっている。

RoboTireは2019年2月に17万ドル(約1885万円)を調達した。その後、YCに加わる前、Type One VenturesとBackend Capitaによる100万ドル(約1億1000万円)のシードラウンドをクローズした。

自動車業界や製造業界に多くの人材がいるものの、就業機会が乏しいダロルフィ氏の地元、デトロイトでシステムの製造と組み立てを計画している。

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(翻訳:Mizoguchi

安価な市販素材でMITがソフトロボットの皮膚となる触覚センサーを開発

MITのCSAILのチームが、ソフトロボット製のロボットアームに触覚を持たせるための「皮膚」を設計し、そのデモを披露した。その経過は今週のIEEE Robotics and Automation Lettersに載っているが、研究者はソフトロボットの本体に、妨害電波を遮断するために使われるシールド素材で作った柔軟性のあるセンサーをかぶせた。シールド素材には圧抵抗効果があるので、折り曲げなどの動きをセンスできる。

通常は剛体であるその素材で切り紙のようなものを作り、それをレーザーでカットして鎖(くさり)状に組み立てると、上図のように伸ばしたり曲げたりできるようになり、ロボットの形状に付着して一緒に動くようになる。電磁シールド材は市販品なので、ソフトロボットという成長分野に低コストで触覚を導入できる。

CSAILのDaniela Rus氏が、この研究を発表するリリースでこう言っている: 「ご自分の体を考えてみましょう。目を閉じても皮膚からのフィードバックで世界を再構成できます。それと同じ能力を、ソフトロボットに持たせたかったのです」。

研究者はニューラルネットワークを作ってこの人工皮膚からの結果を処理し、信号とノイズを分離した。そしてそのデータを、従来的なモーションキャプチャーシステムで補強した。今後CSAILは、人工皮膚のための新しい構成をいろいろ探求し、またニューラルネットワークも改良したいとしている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボットが軌道上で部品から宇宙船を組み立てるMaxarとNASAの実験

NASAは宇宙船の軌道上における給油と、特別製のロボットによる新たな部位の組み立てのデモンストレーションをMaxarに1億4200万ドル(約154億円)で発注した。

space infrastructure dexterous robot(宇宙のインフラストラクチャとなる器用なロボット)の(ほぼ)頭字語をとりSPIDERと呼ばれるこのプロジェクトは、NASAのRestore-Lミッションの一環として、軌道上でのタスクの自動化をデモンストレーションする。それは人工衛星の構成変更や修理、新しい部位のスクラッチからの製造などのタスクといったものとなる。

Restore-Lの宇宙船が最初にやることは、衛星と同期して捕捉して接続し、軌道上で給油を行い、衛星を新しい軌道へリリースすることだ。その後、宇宙船はMaxar製のロボットアームを使ってマルチパネルアンテナのリフレクターを組み立てるテストを行う。

最後に、別のハードウェアであるTethers UnlimitedのMakerSatが長さ10〜20メートルのビームを押し出し、それを親衛星が調べ、離したりくっつけたりしてその丈夫さをデモする。

NASAのJim Reuter(ジム・ロイター)氏はプレスリリースで「大きく強力な部位をいくつも打ち上げ、そのあと、それらを宇宙で組み立てて宇宙船を作る技術を実証して、宇宙技術におけるアメリカの世界的な優位性を維持したい。この技術のデモンストレーションは、宇宙内ロボティクスという新しい技術分野を開くだろう」と述べている。

ミッションの明確なタイムラインはないが、着手は2020年代を予定している。それは来週のElectronで飛ばせるような小さな実験ではなく大きくて高価なものであり、大型ロケットのペイロードをすべて占領するほどのプロジェクトだ。

デモンストレーションにすぎないとはいえ、Maxarは今後、いろいろな人工衛星上で宇宙内組み立てが日常的に行われるようになると考えている。同社は以前、地上デモを行なったが、もちろんそれが本物の代わりになるわけではない。

Maxarは半ばロボットアーム専業の企業で、NASAにも過去に6基納めている。現在、火星上空にあるThe one on InsightとThe Mars 2020 Roverだ。しかし、どうもNASAのネーミングには花がないね。

TechCrunchは3月にUC BerkeleyでロボティクスとAIのセッションを行い、そのステージにMaxarの宇宙ロボティクスのトップをお招きしたい。宇宙ロボットに関して、詳しい話が聞けるだろう。

SPIDERは、低地球軌道で衛星に給油を行う@NASAのRestore-LプロジェクトのためにMaxarが作っている宇宙船バスに統合される。SPIDERは、軌道上における宇宙船部位のロボットによる組み立てと構成変えを可能にする。詳しくは: pic.twitter.com/XfPquzmsKiを。

— Maxar Technologies (@Maxar) January 31, 2020

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

大学病院が血液サンプルの配送にドローンを利用

ドローンは食べ物の配達には向いてないかもしれないが、でも病院が使えば命を救うこともある。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の大学病院であるJacobs Medical Center(ジェイコブス・メディカル・センター)では、運送大手UPSが運用するMatternet(マターネット)のドローンを使って、検査用血液などを同病院の複数の施設間で送受する試験を開始した。

このような事業はMatternetにとって三度目だ。まずUPSとの 最初のパートナーシップでは、ノースカロライナのWakeMed病院で1900回の飛行を行った。またチューリッヒでSwissPostが行った飛行では、墜落事故で中断した運用を今月再開する。

関連記事:UPSがドローンスタートアップのMatternetと組んで医療サンプルを輸送

速達性を要求される生物学的標本などの配送は、クーリエサービス(バイク便)が利用されることが多いが、どんなバイクの名人も渋滞には勝てない。

ドローンによる配達は自動操縦になるが、リモートで監視が行われるし、ジェイコブス病院とがんセンターのMoores Cancer Center(ムーアズ・キャンサー・センター)と実験医学センターのCenter for Advanced Laboratory Medicine(センター・フォー・ラボラトリー・メディシン、先端臨床検査センター)はお互いに距離1マイル(約1.6km)未満の見通し線上にある。

今月はドローンスタートアップのMatternetにとって大きな月だ。試験事業が並行して2つもあるし、またヘルスケア専門のVC、McKesson Venturesからの戦略的投資の話もある。

画像クレジット: Matternet

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

空棚や価格間違い、展示問題などを素早く見つけるZebraの在庫管理ロボット「SmartSight」

店舗に入り、補充が必要な棚を見つけたことは何度あるだろうか?これは頻繁に発生する問題であり、一方で特に大規模な小売施設では在庫を常に満たすことは困難だ。そんな問題に対し、Zebra Technologies(ゼブラ・テクノロジー)は解決策を提供する。これは棚をスキャンし、在庫の不足を従業員に報告するロボットだ。

「SmartSight」ロボットは、コンピュータビジョン、機械学習、ワークフローの自動化、およびロボット機能を組み合わせて、店舗の通路を移動し棚をチェックするハードウェア、ソフトウェア、およびサービスのソリューション。そして在庫不足、価格設定の問題、および展示の問題を見つける。問題を発見すると、Zebraのモバイルコンピューターを介して、従業員に問題の発生場所と内容を伝えるメッセージを送る。

このロボットはZebraのEMA50モバイルオートメーション技術を利用しており、在庫管理やオンライン注文システムを含む、ほかの店舗システムと連携している。Zebraによれば、利用可能な在庫を95%まで増加させ、手作業で在庫を確認する従業員の稼働時間を週平均65時間削減できると主張している。

この種の作業に必要な従業員の数は減るだろうが、Zebraのエンタープライズモバイルコンピューティング担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるJoe White(ジョー・ホワイト)氏によると、そのような作業を担当する人材を見つけるのは必ずしも容易ではないという。

ホワイト氏は声明で、「SmartSightとEMA50は、競争の激化や労働力不足への懸念の中で、小売業者がオンデマンド経済のもたらす機会を十分に活用できるように開発された」と述べている。

これはロボット工学を活用して、従業員が店舗の棚に商品を補充しつつ、ほかの問題を発見するのを支援するソリューションだ。SmartSightロボットは今四半期後半から予約制で提供される。つまり、小売業者はロボットの所有やメンテナンスについて心配する必要がない。問題が起きれば、Zebraが責任を持って修理する。

Zebraはニューヨーク市で今週開催されているNRF 2020のカンファレンスにて、この発表を行った。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Bossa Novaの在庫管理ロボットがウォルマートの全米1000店舗に導入

ベイエリアに拠点を置くBossa Nova Robotics(ボサ・ノバ・ロボティックス)は米国時間113日の朝、在庫をスキャンするロボットを米国のWalmart(ウォルマート)の1000店舗に導入する計画を発表した。この計画は、現在の350店舗に追加して650店舗にロボットを導入するものだ。

2005年にロボット玩具のスタートアップとしてピッツバーグで創業したBossa Nova Roboticsにとって、これは大きな発表だ。同社は2017年にウォルマートとの最初の契約を発表し、50台程度のロボットを導入していた。

高さ6フィート(約1.8m)のこのロボットには腕がなく、他社が提案しているような在庫整理の機能は使えない。つまり、手動での在庫整理を直接置き換えるようには設計されていないのだ。代わりに退屈な在庫作業を保管し、置き換えるように設計されている。

具体的には、紛失した商品を探して棚をスキャンし、その情報を中央のコンピューターに送り返す。それにもとづき、従業員は適切な交換品を見つけることができる。今回のロボットの注文は確かに大量ではあったが、これは米国に存在する5000店舗のウォルマートのうちの数分の1である。なお、最新ロボットの導入は今夏に完了する。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

プログラマブルな猫ロボ「Meet MarsCat」は飼い主と一緒に成長・進化する

CES 2020で、製品の見せ方の完成度が高かったジャンルといえば断然、家庭向けロボットだ。そして中でも最もかわいらしいのが、工業用ロボットメーカーのElephant Robotics(エレファント・ロボティクス)が出展したロボペット「MarsCat」だろう。このロボットペットは完全に自律的なコンパニオンで、接触や音声に反応するだけでなく、おもちゃで遊ぶこともできる。ほんの数分間遊んだだけで、誰もが好きになってしまいそうだ。

MarsCatの出自は一風変わっている。なぜならElephant Roboticsは、Cobots(コボット)と呼ばれる、工場や組み立てプラントで人間と一緒に仕事をする工業用ロボットのメーカーだからだ。Elephantは2016年の創業で、今では協働ロボットの製造ラインが3つもあり、韓国、米国、ドイツなど世界中の企業に販売網を広げている。

MarsCatは、そんな同社の初めての家庭用製品で、もちろん工場や研究所ではなく家庭で使用する。初めてのとは言っても、これまでに蓄積されたロボット製造技術が至るところで生かされているはずだ。たとえば脚や尻尾や頭部の関節の動きがとても滑らかで、座る、立つ、歩く、遊ぶ、人の動きを注視するなどの動作を完全に自律で実現する。

しかもMarsCatは、そんな機能性が最初からあるだけでなく、ユーザーがプログラミングしてカスタマイズできる。全体をRaspberry Piが動かしていて、プログラミングする人のためのオープンなライブラリとしてMarsCat SDKが同梱される。そのAPIを使えば、ロボットの動きや機能を完全にコントロールしプログラミングできる。だから、STEM教育の教材にもなるし、ロボティクス(ロボット工学)の勉強もできる。

MarsCatは今、Kickstarterでクラウドファンディングを実施しているが、目標額の2万ドル(約220万円)はとっくに超えて、10万ドル(約1100万円)以上には達しそうだ。Elephant RoboticsのCEOで共同創業者のJoey Song(ジョーイ・ソング)氏によると発売は3月の予定なので、そんなに長く待たされることはない。

  1. MarsCat-5

  2. MarsCat-8

  3. MarsCat-7

  4. MarsCat-4

  5. MarsCat-1

  6. MarsCat-3

ロボットペットは現在さまざまな製品が市場に出ているが、ソング氏によるとMarsCatのように高度な機能がたくさんあってしかもそのわりには安いという製品はほかにない。例えば、現状でいろんな音声コマンドに応答できるし、ユーザーとのコミュニケーションを通じて進化できる。ユーザーがたくさん話せばお喋りになるし、たくさん遊んでやれば遊びが大好きな子猫みたいになる。しかもプログラミングができるオープンなプラットホームだ。支援者価格699ドル(約7万6600円)はお買い得だろう。

ソニーのAibo(アイボ)はMarsCatの犬バージョンだが、米国の小売価格が2899ドル(約31万7600円)なので、MarsCatはお買い得だ。しかも、本物の猫と違ってMarsCatには排泄も抜け毛もない。それも魅力の1つだろう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

もしかするとClicbotは家庭用ロボCozmoの後継者になるかもしれない

ロボティクスにおけるAnkiの本当の遺産は、十分に解明されるまであと数年はかかるだろう。同社が開発した家庭用けロボットのCozmoに込めたビジョンは結局崩壊したが、家庭用ロボットに対する同社の取り組み方は、これからも永遠に残る遺産ではないだろうか。

CESで取材した家庭用ロボットメーカーであるKeyi Techの代表者は、Ankiとの比較をあわててはぐらかし、同社のモジュール構造のロボットであるClicbotはあくまでもSTEMの教材であり、Cozmoのようなフレンドリーな家庭用コンパニオンのタイプではないと主張した。

しかし、そのClicbotのキャラクターがアニメからヒントを得ていることは歴然だ。それどころかKeyiによると、同社はAnkiの真似をするためにKickstarterのアニメーターを起用して、筒状の頭部の中央に1つ目巨人のような目を作った。しかもさらに、製品全体に生き物のような暖かみのある外見がある。

CESの会場でのデモは限られていたが、Clicbotsが一列に並んでネイティブアメリカンのロックバンドであるRedboneのヒット曲「Come and Get Your Love」に合わせて踊った。確かにこれは素晴らしい。また、もう1つのデモでは、顔の横をなでられたClicbotが愛らしく応えてくれた。

しかしデバイスそのものも、そこに込められた主張も、そして目的とする市場も、やはりAnkiとは大違いだ。モジュール構造なので、アプリを使って自由に構成できる。てコーヒーを淹れることもできるようだが、Ankiが狙っていた自律的なロボットのペットという位置付けではない。このロボットキットは300ドルからだ。近くAmazonで発売される。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

サムスンのフレンドリーなロボットボール 「Ballie」

Samsung(サムスン)は、ボール型ロボットのBallieを発表した。これは、人やペット、そしてスマート家電と共生するロボットだ。

デモを見る限り、このBB-8にも似たロボットは非常に魅力的だ。しかしこのような家庭用ロボットが登場しては消えていくのを見ると、この製品が実際に市場に登場し、宣伝どおりに機能するのかどうかは非常に懐疑的だ。

家庭用ロボットとしては非常に洗練された新型Aiboでさえ、まだポテンシャルが残されている気がするし、なにより極めて高額だ。膨大なリソースや世代交代、何年もの繰り返しにもかかわらず、登場が早すぎた愛らしいロボットの遺体の山が築かれている。

Ballieに興味がないわけではない。しかし、この動画を見て誰がBallieを面白いと思うだろうか?もちろん、実際にどのような製品になるのか、そして家庭でどのように機能するのかは不明瞭だ。この動き回るロボットボールにセキュリティやリマインダー、配達アラームが組み込まれていたら面白い。そして、願わくば適正な価格で市場に登場することを期待したいものだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

小型ロボットLovotの「永遠の愛」は約33万円で手に入る

ロボットの友人からの永遠の愛はいくらだろうか? 正直なところ、それは3000ドル(約33万円)が妥当なようだ。日本のロボットスタートアップ、Groove X(グルーブX)はCESでLobotを展示するために帰ってきたが、この驚くほど高度なロボットは、数年経っても数多くのテクノロジーファンを魅了している。

数年の間、CESに登場してきたこのフレンドリーな小型ロボットは、約1カ月前にようやく日本で発売された。これはAibo(アイボ)にも連なる、「孤独を慰めるために設計されたロボット」の最新モデルだ。設立から4年経つ同社は、このモデルはAiboよりも進んでおり、約50個のオンボードセンサーと複数のCPU(そして1基の充電ドック)を備えているという。

 

 

CESのプレイベントでは、Lobotがいかにそれを初めて見る人の興味を引く様に感心させられた。Lobotは大胆かつ小さなロボットで、知らない人に近づくことを恐れず、Aiboの時の経験とは根本的に異なっていた。

Aiboのように、Lovotは時間をかけて持ち主の顔を覚え、家に帰ってきたら挨拶するようにデザインされている。苔のような布で覆われた外装は確かにAiboよりも暖かく、抱きしめたくなるもので、またLovotも抱かれるのを嫌がることはない。

 

 

アメリカでの販売予定については、確定した情報はない。Groove Xの創業者兼CEOの林要氏によると、「もし投資家を見つけられれば、おそらくアメリカに進出するだろう」と述べている。ただし、アメリカの消費者が、高価な家庭用ロボットに関心があるかどうかは不透明だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

猫枕ロボに小型・低価格バージョンが登場

Qoobo(クーボ)の開発者であるユカイ工学の青木俊介氏はいつもクーボをトートバッグに入れて持ち歩いている。彼が写っている写真や動画には必ず、クーボも一緒に写っている。そしてこの猫枕ロボットは、どんなときでも会話のきっかけになるからすごい。それはちょっと見ただけでは、つまらないものにしか見えない。毛でおおわれた丸い枕で、なでると尻尾を振る。それだけだ。でも高齢化が進んでいる日本のような国では、本物のペットを飼う時間やお金のない人たちにとって、暖かみのある癒やしになるだろう。

しかしそのクーボも高すぎて買えない人がいるから、ユカイ工学は来週のCESでPetit Qoobo(プチ・クーボ)を披露する。このクーボの弟は機能的にはお兄さんと同じだが、サイズはほぼ半分、そして価格は未定だがやはり半額ぐらいなるだろう。

この小型バージョンのクーボはまだプロトタイプで、日本で3月にクラウドファンディングを開始する。そして秋には、Amazon(アマゾン)とユカイ工学のサイトで発売される。

今度のバージョンでは、なでて尻尾を振るだけでなく、マイクロフォンで音を検知したり、触るとときどきゴロゴロ声を発したりする。前よりも元気な猫という感じだ。

人生にはクーボが必要とまでは言わないが、でも写真などでこれを見るたびに、そばにいる誰か一人が必ず「ほしい!」と言う。小さくて安くなったバージョンも、猫アレルギーの人やアレルギーでない人に、爆発的に売れるだろう。

CES 2020 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

最大荷重約200kg、小型航空機のようなPykanoドローンで大農場の農薬散布を自動化する

現代の農業は、農地が圧倒的に広大なので、噴霧などの作業も非常に難しい。そこでPykaは、もっぱら人力に頼っていたその仕事を翼のある自動運転の電動航空機にやらせることにし、しかも規制当局からの認可まで取得した。

DroneSeedで見たように、噴霧などの作業を行うための飛行はとても危険だ。地表すれすれを飛ばなければならないし、しかも地面以外の障害物もある。しかしそれは、自動化に適した作業でもある。いくつかの飛行パターンを、何度も何度も繰り返す作業だからだ。

Pykaのやり方は、ドローンでよく行われている方法とは異なっている。ドローンを用いる場合、その方法は複数の回転翼による操縦のしやすさと離着陸の容易さを活かす傾向にあるが、しかしながら、ドローンは大農場に散布に必要な大量の農薬などを搭載できない(残念ながら)。

Pykaが作った航空機は、従来からある薬剤散布用の単座機に似ているが、コックピットがない。3枚のプロペラを持ち、内部スペースのほとんどは、荷物とバッテリーを搭載するために使われている(最大荷重約200kg)。もちろん自動飛行のために、一連のセンサーシステムとコンピューターも搭載している。

Pykaの平地離陸距離はわずか50メートルなので、わざわざ滑走路を作ったり、遠方から目的の農地までの長距離をフライトしてエネルギーを浪費することもない。面倒といえばバッテリーの交換だが、それは地上のクルーがやってくれる。地上クルーはフライトコースの決定も行うが、実際の飛行経路選択と一瞬の判断は搭載されたコンピューターが担当する。

人間の入力がなくても障害物を見分ける航跡の例

このEgretと呼ばれる飛行機の噴霧能力は、1時間約100エーカーで、ヘリコプターとほぼ同じだが、自動運転航空機なのでその精度は高く、より低空をフライトできる。難しい操縦を人間が行わないため、その点でも安全だ。

さらに重要なのは、国のお墨付きがあるということだろう。Pykaの主張によると、同社は世界で初めて、電動の大型自動操縦航空機の商用化を認められた企業だ。小型ドローンはあちこちで承認されているが、EgretはPiper Cubといった従来の小型航空機のサイズに近い。

ただし航空機だけに関してはそれで良いが、大規模展開については他の問題もある。航空管制や他の航空機との通信、それに関連した機体の認可条件、センサーの能力と回避能力の長距離化などがそれになる。しかしPykaのEgretは、これまでに試験農場で何千マイルもフライトしているため、特別に認可を取得することができた。なお、Pykaは同社のビジネスモデルや顧客、売り上げに関しては口をつぐんでいる。

同社の創業チーム、Michael Norcia(マイケル・ノルチャ)氏、Chuma Ogunwole(チュマ・オグンウォル)氏、Kyle Moore(カイル・ムーア)氏、そしてNathan White(ネイサン・ホワイト)氏らは、いずれも関連分野のさまざまな有名企業の出身。それらはCora、Kittyhawk、Joby Aviation、Google X、Waymo、Morgan Stanley(の元COO)などだ。

同社の1100万ドル(約12億円)のシードラウンドをPrime Movers Labがリードし、これにY Combinator、Greycroft、Data Collective、そしてBold Capital Partnersが参加した。

画像クレジット: Pyka

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

深海調査のための自動運転深海艇を運用するTerradepthが約8.8億円を調達、創業者はNavy SEALs出身

海洋は、まだその多くが探検されていない。だからそこには、大量の貴重な情報が眠っていることだろう。海洋、中でも深海は、その地図の作成やデータの収集に、機器の操縦をはじめとして多くの人手を要し、費用が膨大なので、短期的な調査しか行われていない。

しかしテキサス州オースチンで元米海軍特殊部隊のNavy SEALs(ネイビーシールズ)にいた二人が立ち上げたTerradepth(テラデプス)は、自動運転の潜水艇を使ってこの状況を変えようとしている。それを適切な規模の船隊として展開すれば、深海に関する情報をサービスとして提供できるだろう。

同社は、ストレージのハードウェアを作っているSeagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)がリードするラウンドで、800万ドル(約8億8000万円)を調達した。同社はこの資金で、来年の夏には同社が持つ技術のデモンストレーションを実際の海域で行えるだろう。その後同社は、さらに規模を広げて潜水艇をネットワークでつなぎ、「Autonomous Hybrid Vehicles」、またはAxVと呼ぶ自動運転水中ロボットの船隊を運用するつもりだ。

同社の技術により潜水艇は自動運転で航行するため低コストで大規模運用可能で、そのデータは、元データや同社の機械学習システムが分析したデータ、あるいはクラウド上のサードパーティが分析したデータとして獲得あるいは提供できるとTerradepthは説明する。また彼らは沖合にある機器装置やリソース向けにマルチスペクトル画像や、監視データ、予報予測サービスなどを提供していきたいとしている。

Terradepthのチームには、共同創業者のJoe Wolfel(ジョー・ウェルフェル)氏とJudson Kauffman(ジャドソン・カウフマン)氏のほかに、ソフトウェアやハードウェア、それにロボティクスの専門技術者もいる。彼らの潜水艇は深海潜航と海面航行の両方が可能になっており、深海機と海面機が適宜コミュニケーションを行う。両方を同時に充電でき、集めたデータを人工衛星に送り、さらにデータセンターや顧客に中継できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インテルの最新RealSenseライダーカメラは在庫管理という巨大市場を目指す

Intel(インテル)は米国時間12月11日、同社のRealSenseシリーズに新製品を加えた。そのL515と呼ばれる製品はテニスボールぐらいの大きさで、もっぱら倉庫のロジスティクスで使われることを狙っている。それは世界中の商取引において、ものすごく重要で自動化がどんどん進んでいる分野だ。

この新しいカメラのそのほかのありえる利用分野としては、リテール、ヘルスケア、3Dのスキャンニング、ロボティクスなどが挙げられる。アイスホッケーのパックのようなこのデバイスは場面のスキャンができ、数百万のデプスポイント(奥行き点)から成る点群を1秒で作れるとインテルは語る。このサイズにしてはかなりすごいことだ。

インテルによると「L515は、それ自身が新しい独自の機種系列であり、0.25〜9mの範囲で高品質な映像を安定的に提供する。また2300万以上の正確なデプスピクセルを毎秒提供し、デプス(奥行き)の解像度は1024 x 768ドット、毎秒30コマとなる。このIntel RealSenseのライダーカメラの特徴は、内部にビジョンプロセッサーとブレ抑制機構があり、光子がデプスに達するまでのレイテンシーも短い。L515は軽量なので、消費電力が3.5W未満で電池寿命が長い。常に即使える状態を維持するL515は、較正の必要もなく、その全寿命においてデプスの精度を保つ。

このRealSense系新製品は、同様のカメラをドローンやロボティクス、あるいはAR、VRなどの消費者製品向けに作ってきた同社が、ロジスティクスという巨大な利益を上げられそうな市場に注力するようになったことの表れだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa