MITの科学者が1年で10万回の反復実験が可能なロボットを開発

科学はエキサイティングなはずだが、実際にはおそろしく退屈なこともある。何千回も同じことを繰り返す実験もあるが、そんなものは自動化してほしいところだ。そこでMITの科学者が作ったロボットは、ある種の実験の結果を観察し、フォローアップを計画する。このロボットは、最初の1年で10万回の実験を行った。

流体力学という分野は、大量の複雑で予測不可能な力を扱い、それらを理解する最良の方法が同じことを何度も繰り返して一定のパターンを見つけることだったりする。これはあまりにも単純化した言い方だが、ここでは流体力学の詳しい説明はやめておこう。

繰り返して観察することを要する現象のひとつが、渦励振動(Vortex-Induced Vibration)だ。この一種の撹乱現象は、たとえば水上をより滑らかに効率的に航行する船を設計するときなどに重要になる。そのためには、船が水の上を進む様子を何度も何度も観察しなければならない(自動車のボディーの空気抵抗を減らすためにも、同種の実験を行う)。

でもこれは、ロボットにぴったりの仕事だ。しかもMITの科学者がIntelligent Tow Tank(インテリジェントな曳航水槽、ITT)と名付けた実験用ロボットは、水上で何かを引っ張るという物理的な仕事をするだけでなく、結果を知的に観察し、ほかの情報も得るためにセットアップを変え、価値ある報告が得られるまでそれを繰り返す。

今日Science Robotics誌に掲載された彼らの研究論文には「ITTはすでに約10万回の実験を済ませており、本質的には博士課程の学生が在学中に2週間ごと実施する実験を完了しています」と書かれている。

ロボット本体の設計よりも難しかったのは、流体系の表面の水流を観察して理解し、より有益な結果を得るためにフォローアップを実行する部分のロジックだ。通常は人間(院生など)が毎回の実行を観察してランダムに変わるパラメータを計り、次にどうするかを決める。でもその退屈でかったるい仕事は、優秀な科学者に向いているとは言えない。

だからそんな機械的な繰り返し作業はロボットにやらせて、人間は高レベルの概念や理念にフォーカスすべきだ。彼らの研究論文は、同じように実験を自動化するCMU(カーネギーメロン大学)などのロボットを紹介している。

彼らの研究論文では「これによって、実験を伴う研究にパラダイムシフトがもたらされ、ロボットとコンピューターと人間がコラボレーションして発見を加速し、これまでのやり方では無理だったような大きなパラメータ空間でも迅速かつ効果的に探索できるようになるだろう」と書かれている。インテリジェントな曳航水槽を記述している研究論文はここで読める。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ヒュンダイとソウル市が共同事業で自動運転車の路上テストへ

BusinessKoreaの報道によると、Hyundai(ヒュンダイ)がソウル市と交わした覚書により、同社は来月からカンナム地区で6台の自動運転車の公道上のテストを行う。その取り決めによると、6台の車は12月に23の道路でテストを開始する。2021年には15台に増やし、水素燃料電池による電動車を公道上でテストする。

ソウル市はスマートインフラストラクチャを提供し、それらの車とコミュニケーションする。それにはインターネットに接続された交通信号なども含まれ、また交通情報などの情報を0.1秒間隔でヒュンダイの車に中継する。このようなリアルタイムの情報フローは、自動運転テスト車の安全な運転を最適化するために必要な、可視性の提供に大きく寄与するに違いない。またヒュンダイも情報を共有し、自動運転のテストに関するデータをこの技術に関心のある学校やそのほかの組織に提供して、市内における彼ら自身の自動運転技術のテストに貢献する。

ソウル市とヒュンダイともに、このパートナーシップによって世界のトップレベルの都心部における自動運転技術の展開を構築し、それを商用サービスに進化させ、同時に2024年までには自動運転車専門のメーカー企業を稼働させたいと望んでいる。

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ロボットアームの動きは適度に遅いほうが不気味の谷現象を防げる

ロボットアームは空中に投げた物でもつかめるほど速く動けるが、でも実際にそうすべきだろうか?Disney Research(ディズニー研究所)が行った実験によると、ロボットを操作している人間を不安がらせないためには、そこまですべきでない。同研究所のロボット技術者たちは、人間が正常と感じるためにはロボットの反応時間を遅くした方がいいことに気づいた。

ディズニーはもちろん、何十年も前からロボットに関心があり、そのテーマパークにおけるオートメーションは世界でもっとも有名なロボットの一部だ。でもそれらのロボットには、人間と直接対話する機会がほとんどない。そこで同社の研究所は一連の研究プロジェクトにより、安全でしかも不気味ではない、ロボットと人間の共存を研究してきた。

今回の研究テーマは、ロボットに物を手渡すとき、怖がらずに自然にそれができるためにはどうするかだ。もちろん、人間がチケットや空のカップなどに手を伸ばしたとき、ロボットが電光石火のスピードで間髪をいれずそれらをつかみ取ったら、危険であるだけでなく人間は恐怖を感じるだろう。

関連記事:投げられたラケットなどもキャッチできるスーパー・ロボットアーム登場

そこで、この場合の、擬人化された猫に取り付けられているロボットアームは、正常な人間の速さで動く。しかし、でも、いつその腕を伸ばすべきか? 実験で分かったのは、人間は自分に何かが手渡されようとしていることの認識に1秒を要し、その後手を伸ばしてそれをつかむ。コンピュータービジョンのシステムなら、物を認識して手を伸ばす動作がもっと速いが、それは人間が見ると奇妙に感じる。

研究者たちが行った実験では、ロボットが人間からリングを受け取るスピードや遅延を三種類に変えてみた。

ロボットの手の動きが速いと、人間はそれを「温かみがなくて不快」と感じた。遅い速度が一番好評だった。ロボットの手の動きに初動時の遅延がないと、それも人間にとっては不安だった。ただし遅延が長すぎると、やはり不安が生じた。

誰かの手が自分のほうへ伸びてきて自分の手から何かを取ろうとするときには、そのための快適な間合いがあることがわかった。その動きはある程度遅いほうが良い。適度に遅くてしかも遅すぎないことが、人間らしさを感じさせる。

この手渡しシステムは、米国時間11月7日に発表される研究論文に詳しく説明されている。実験はしっかりとした日常的環境で行われ、物の動きや予期せざる力などもある。ディズニーワールドのカフェでおしゃれキャットのロボットが、あなたの手からマグを取り上げるようになるのはまだ先の話だが、でもそのロボットの手の動きが人びとを怖がらせるほど「目にも止まらぬ速さ」ではないことは、これで確実になった。

画像クレジット: Disney Research

参考記事: 不気味の谷現象

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デリバリーロボが地図なしで配達先のドアを自力で見つける方法

MITの研究者が開発した新しい行路発見方法は、さまざまな業界で客先まで物を届けなければならないロボット、いわゆるデリバリーロボットにとても役に立つ。彼らが考案したのは、前もって地図が与えられていなくてもロボットが客先の入り口のドアを見つける方法だ。

今ある自走デリバリーロボットの多くは、Starshipが開発してその後Postmatesなど多くの企業が採用した、車輪付きクーラーボックスタイプも含めて、顧客が外の路上に立っていなければならない。しかし未来のデリバリーロボットが自力でドアまで辿り着くためには、人間の配達員と同じく詳細な地図的能力(マッピング能力)だけが問題ではない。

MIT Newsによると、正確に客先のドアまで行けるためにご近所全体のマッピングができる能力は、それを全国レベルあるいは全世界レベルで実現しようとすると非常に難しい。それは一般的に難しいだけでなく、個々のユーザー企業の特殊性に合わせたマッピング能力ともなると桁違いに難しい。そこで研究者チームは詳細なマッピング方式を諦め、ロボットが現場で周囲の情報を処理してドアの場所を見つける方法を考えた。

これは、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)と呼ばれる方法の変形だ。MITのチームはちょっとした工夫により、ロボットがまわりの物を見つけてそれにラベルを付けていくセマンティックマップではなく、「前進するコスト」のマップというものを考案した。それは、訓練用の地図から得られたデータを使ってロボットが自分の身の回りのヒートマップを作る。そしてその色分けマップの中に「いちばん正面ドアらしいもの」を見つけ、そこへの最も効率的な経路を割り出す。

私たち人間も、初めて訪れる家では「家の正面ドアとはこんな形をしていて壁のどこそこにあるものだ」という過去の知識に基づいて入り口のドアの所在を判断する。MITのデリバリーロボットは、それと似たことをする。それはどちらも思考力を使わない直感的な判断だ。

ロボットが既存の地図に頼らずにAI的な能力で自分の周囲の環境を判断できることには、今後いろんなユースケースがありうる。でも商用のユースケースとして今のところいちばん需要が大きいのは、デリバリーロボットだろう。

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MITのブロック型ロボットは相互通信によって集団行動

MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(コンピューターサイエンスと人工知能研究所、 SAIL)が考案したこのキューブ状のロボットは、自力で移動し、お互いとコミュニケーションして協調しながら自分たちを何らかの構造物へ組み立てる。その振る舞いをMITの研究者たちは蜂の巣作りみたいだと述べた。ビデオを見るとその様子がよく分かる。


このキューブ状のロボットは平らな面の上を転がったり、お互いの上や向こう側に行ったり、短い距離をジャンプしたりする。そして最近の改良で簡単なコミュニケーションができるようになった。固有のバーコードを自分のIDとして持っているので、互いに個体を同定できる。16のブロックが自分のコミュニケーションシステムを使い、自力で動き回って仕事をする。主な仕事はさまざまな形状を作ることだが、矢印や光線に従うこともできる。

今の彼らにできることはごく限られているが、研究者たちが夢見ているのは、このような自己組み立て型ロボットが、災害時などに自力で橋や傾斜路や階段などになってくれることだ。それにもちろん、もっと世俗的なアプリケーション、例えばゲームなどに応用しても面白いと彼らは感じている。

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自動運転車からは見えない歩行者を影で予見するシステムをMITが開発

どの点を見ても自動運転車の能力はまだ人間ドライバーを超えてはいない。でも、最終的には自動運転車に搭載された技術が、コーナーの向こう側を見るなど人間には推測すらできないことをやってのけるかもしれない。この件については、何年も前から研究開発が進められているが、MITの最新システムは既存技術を使って低コストで、まるで手品のようなワザをやり遂げる。

Toyota Research Institute(TRI)が支援しているMITの研究プロジェクトが、影の微小な変化からコーナーに何か動くものが入ってくることを予見するシステムを作った。それは自動運転車で使えるだけでなく、同じスペースで人間と一緒に仕事をするロボットにも役に立つ。例えば、病院のお手伝いロボットなどだ。

そのシステムは汎用の学式カメラを使い、コンピュータービジョンの一連のテクニックで光の強さや密度の変化をモニターして、影が動いているものの影か、静的なものの影かを判定する。そして動いているものなら、その道筋を予測する。

これまでのテストでは、この方法はカメラではなくLIDAR(ライダー、レーザーによるセンシング技術)を利用する既存のシステムよりも有能だった。もちろん、LIDARはコーナーの向こう側を予見できない。コーナーの向こう側から何か動くものがやってくることの検出では、このMITのシステムがLIDARを使ったシステムより0.5秒早かった。自動運転車の世界で0.5秒は十分に長い時間だ。事故を起こすと避けるの違いにも結びつくだろう。

目下、この実験は屋内で行われていて、コーナーの向こうからやってくるものの速度はそんなに速くないし、光は都市の本物の屋外のように激しい変化がない。だから実用化までには、研究者たちの課題がまだ山のようにたくさんある。でもうまくいけば未来の自動運転車は、路上の歩行者や自転車やほかの車に、十分敏速に対応できるようになるだろう。

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NASAが月の南極の地表下で結氷水を探すVIPER探査車を2022年に打ち上げ

NASAは月に、黄金のように貴重な液体を探している。それは石油ではなく、ごく普通の水だ。水が恒久的にあれば我々にとっても必要だから、それを知ることはきわめて重要だ。そこでNASAは、VIPER(バイパー)と呼ばれる探査車を月の南極へ送り込もうとしている。それは1972年以来最も長期の月面ミッションになる。

VIPERは、Volatiles Investigating Polar Exploration Rover(揮発性物質調査用極地探検探査車)の頭字語で、計画では2022年12月に月面へタッチダウンする。そのミッションは、極地域の恒久的に影の部分に水の存在を直接目撃して、その量を求めること、だ。

月のその年中暗い部分は、何百万年もかけて氷結水を集めてきた。陽が当たらないので、溶けないし蒸発もしない。NASAはすでにこれまで、一般的な領域で探針を地表下に差し込み、結氷水の存在を確認したが調査としての精度は低い。ロボットを送って正確な測定をすべきだ。

VIPERはゴルフカートぐらいの大きさで、探査用の機器を積んでいる。その中のNeutron Spectrometer System(中性子スペクトル分析システム)が、地表下の水を見つける。それに関してはNASAのアドミニストレーターであるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏が昨日、少し言及している

関連記事:NASA Administrator Jim Bridenstine explains how startups can help with Artemis Moon missions(人間の月滞在事業にスタートアップも貢献できる、未訳)

VIPERが水の上に来ると、TRIDENT(The Regolith and Ice Drill for Exploring New Terrain、新たな地質構造を探求するための表土と氷用ドリル)が展開される。それは文字どおりTrident(三叉鉾)のようだが今週出会った最高の頭字語だ。そのドリルは長さが1mで、スペクトロメーター(分光器)が月の土壌を分析するための試料を掘り取る。

試料採掘とスペクトル分析を大面積にわたって行うと、地表下の水の所在を地図に落とし、大きなパターンを掴めるだろう。月の上の、人間が大好きな物質の存在をもっと体系的に理解できるかもしれない。

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探査車VIPERがマップした月の表面下の結氷の視覚化

トップの画像でおわかりのように、この探査車は目下開発途上だ。まだ、その動き回る部分をテストしているにすぎない。それは探査車本体の一番肝心な部分だけど。

月の南極の陽が射さない部分でのミッションだから、ソーラーパネルなどはなく今回積む電池で100日しか仕事できない。しかしそれでも、米国が月面で過ごした日数の記録を更新する。最近の数年間で大量の探査車を月面の至るところに展開した中国の場合はどうだろうか。

おもしろいことに、この探査車の展開は外部契約プロジェクトであるCommercial Lunar Payload Services(月面商用荷重サービス)の一環だ。つまりこのペイロードサービスに参加するどこかの企業がたぶん、VIPERを軌道から月面へ着地させる着陸船を作るのだ。打ち上げが近くなれば、もっと詳しい記事を書けるだろう。

関連記事:NASA calls for more companies to join its commercial lunar lander program(商用月面着陸船に多くの企業の参加をNASAは求む、未訳)

画像クレジット: NASA

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OpenAIの人間的なロボットは片手でルービックキューブを解く

ルービックキューブをもっと速く解く変わったやり方という話題には、いつも独特のかったるさがある。目隠しをしたり、ジャグリングをしながらだったり、片手だったり、やり方はさまざまだが、やってる人は真剣でも、どことなく目立ちたがり屋の雰囲気が伴う。

OpenAIも、目立ちたがり屋の仲間入りをしたかったようだ。彼らが作ったロボットハンドDactyl(ダクティル、動物の指)も、ルービックキューブを解けるのだ。

イーロン・マスク氏などが支援するこの非営利団体は、ロボットハンドがルービックキューブを片手で解くことを学習した、と発表した。その偉業は、このロボットがとくにキューブ(立方体)を上手に扱うことのデモンストレーションでもある。この前は、このロボットが現実世界での訓練なしで、仮想シミュレーションだけで未知のオブジェクトと対話するところを見た。そして今度のDactylは、その能力をベースに、新しい技を学習した。

関連記事:OpenAI’s robotic hand doesn’t need humans to teach it human behaviors(OpenAIのロボットハンドは人間がいなくても人間の動きを教えられる、未訳)

ロボットがルービックキューブを分析してその解き方を見つけることと、さまざまな条件下で実際にその動きができることは次元が違う話題だ。しかし、解き方を「学習する」ということは、例えば指が全部縛られているなどの深刻な障がいがあっても、システムが自分で自分を調整してパズルを解く過程を見つけることだ。Dactylにはそれができる。

まだ欠陥はあるし、人間の世界チャンピオンに勝つのはまだ無理だが、下のビデオではロボットハンドがルービックキューブを4分足らずで解いている。やはり相当すごい。

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3Dのコンピュータービジョンと特製のロボットアームでイチゴの収穫を自動化

近い将来Traptic(トラプティック)のロボットは、もっといろんな種類の作物を収穫できるだろう。でも今のところ、このサウスベイに拠を置くチームはもっぱらイチゴにフォーカスしている。

米国では、果物の約88%がカリフォルニアで穫れる。その中でもイチゴ類はディスラプトの機会が大きい。労働力の不足に移民政策の引き締めが加わって、畑には大量の未収穫作物が放置されている。人手不足のために農家は、実った作物の約5分の1を失っている。

もちろん今すでに、さまざまな主要商品作物にオートメーションが適用されている。小麦やトウモロコシの収穫は、相当前から機械化されている。しかし、イチゴなどのフルーツには、独特の難しい側面がある。あまりにも繊細なので機械化に向かず、ピッカーと呼ばれる人間の摘果労働者の器用な手を必要とする。

Traptic Blog Photo 3

しかし今年のDisrupt Battlefieldに出たTrapticは、専用機のロボットでこの問題に挑戦している。ロボットアームは一般市販品だが、グリッパーとソフトウェアは自社製で、同社のそのデバイスはもっぱらイチゴの収穫作業の介助が目的だ。

アームはカートの上部のスペースに、そのスペースを囲むように5ないし6本ある。視覚系は3Dカメラとニューラルネットワークを利用してイチゴを見つけ、その熟度を判断する。そしてイチゴの位置を1mmの精度で判断して摘み取る。

でもこのロボットの最もユニークな部分は特製のグリッパー(Gripper、つかむ部分)だろう。ロボット用のグリッパーも、今ではいろんな市販品がある。でも上述の理由により、Trapticはイチゴの摘み取りに厳密に適したグリッパーを必要とした。それは正確であると同時に、熟したイチゴをキズつけない優しさも必要だ。

そこで同社が最終的に到達したのは、完全に厳密でもなく、完全に柔軟でもないグリッパーだ。爪が収まる金属製の基部はゴムバンドで覆われて、一定性のない果実の形に適応する。しかしそれと同時に果実をぴったりと保持して、植物本体から取り去る。

Trapticの現在のマシンはケレス(Ceres)と呼ばれ、トラクターの後ろに取り付けて牽引される大きな箱だ。現在、カリフォルニアの北部と南部の農家がテストしているが、極端に違う両方の気候でうまく行けば、イチゴ農家が年間を通して利用できるだろう。

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同社は当面、ロボットが人間ピッカーをリプレースするのではなく、彼らを助けると定義している。でも最終的にはこんなデバイスが人間の労働者をリプレースするのだろう。Trapticがマシンのリース料金を人間労働者の賃金と同じく収量ベースにしているのも、そんな未来を展望しているからだ。しかし労働力不足と言いながら人口は増加している現状では、それはまだまだ遠い未来の話だ。

Trapticは今後、オレンジやメロン、トウガラシなど、そのほかの作物の自動収穫機も開発していくつもりだ。

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巨大戦闘ロボ開発のMegaBotsに未来開けず、ついにeBayでオークションに

MegaBots(メガボッツ)が倒産した。ベイエリアで戦闘ロボットを作っていた同社がビデオで「現在の形のMegaBotsはこれで終わる」と声明し、これを機に15トンのEagle PrimeロボットをeBayに出品した。そのオークションは1ドルから始まったが、現在(日本時間9月25日午後6時)は数十名が入札し5万ドル(約540万円)を超えている。

画像クレジット:SN Jacobson/MegaBots Inc.(画像は一部変えている)

eBayのページには、「ロボットは機能する。会社が倒産したのでオークションに出しただけである」と書かれている。FAQには、この特殊なロボットの特徴と扱い方が以下のように記載されている。

ダート(未舗装の道)は得意でない。平滑な硬い面が好きだ。泥のような柔らかいダートだと、足がのめり込んでしまって、自分で足を上げられない。ダートでない普通の地面なら前進後退OKだが、上手に向きを変えられるのは舗装面の上だけだ。75%の人が「これをバーニングマンに連れていくかい?」と尋ねるだろう。そのたびにあなたは、上記を説明しなければならない。実際に一番多い質問がこれだった。

MegaBotsによると、このロボットの制作には約250万ドル(約2億7000万円)かかっている(多くはクラウドファンディングでまかなった)。だからeBayで5万ドルは超安い。落札者は送料も負担しなければならないが、おそらく西海岸では4000ドル(約43万円)以上、東部なら1万7000ドル(約180万円)以上はするだろう。

もちろん、この新品みたいな巨大戦闘ロボットでお金を稼げるだろう。MegaBotsによると、米国内のショウで7000ドル稼いだこともある。今ならもっと稼げるかも。

会社はどうなったのかというと、ここ数年利益が出ずジリ貧が続いた。クラウドファンディングでは派手に人気者になったが、それが利益にはつながらなかった。

公開されたビデオで共同創業者のMatt Oehrlein(マット・オーレイン)氏は「また資金切れになった。この製品で利益を上げることができなかった。3年前にローンを組んだが、その利息の支払いがこれ以上できない。だから会社の資産を売り払って銀行にできるかぎり借金を返したい。その後、倒産の手続きに入れるだろう」とコメントしている。

オーレインは会社の将来について含みを残すが、しかし資産売却とその後の倒産処理にそれほどの将来性は感じられない。一方共同創業者のGui Cavalcantiはソフトロボットの企業Breeze Automationを作り、4月のTC Sessions: Roboticsに初登壇した。

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ミシガン大学が釘打ち機能内蔵ドローンを開発中

FAA(米連邦航空局)は、ドローンに火炎放射器や拳銃などの武器を装備することに罰則を設けた。でも、ネイルガンは武器だろうか?シューティングゲームのQuake以外でも?そうではないことを望みたい。ミシガン大学のロボット工学者たちが、屋根板を屋根に釘打ちする機構(ネイルガン)を備えたドローンを開発した

大学のドローンテスト施設で撮られたビデオを見ると、離陸した同機は屋根の先端へ接近し、慎重にネイルガンを打ち込み、やや後退してからさらに二度釘を打ち込んだ。

現状は単なるデモンストレーションで、改良の余地は大きい。ドローン自身がカメラを搭載せず、位置を固定したカメラのシステムと近くのマーカーでドローンの位置を知り、次の場所を指示している。

現在のところ開発のごく初期段階だが、いずれはこういったドローンが内蔵カメラなどを使って、次にタッチダウンする場所を見つけるだろう。コンピュータービジョンの技術は今とても進歩しているから、屋根瓦のコーナーを見つけるなんて朝飯前だろう。

いまはまだ、ドローンは自由飛行しているし電動ネイルガンを使っているので、10分ぐらいしか飛べず、数ダースの釘しか打ち込めない。電力を本体外部からケーブルで供給すれば、もっと長く飛べて、しかも強力なエアネイルガンを使えるだろう。

関連記事:That night, a forest flew(山火事の跡地にドローンで植林する、未訳)

ドローンはすでに、いろんな産業で使われている。ビルを検査し、木を植えている。そしてこの実験で、また1つ用途が広がった。屋根葺きは単調でしかも危険な作業だから、エキスパートが監視しコントロールするドローンにやらせるのがベストだろう。

ミシガン大学のMatthew Romano(マシュー・ロマーノ)氏らが書いたこのドローンの研究論文(PDF)は、今年のInternational Conference on Robotics and Automation(ロボティクスとオートメーションに関する国際会議)にも提出された。

画像クレジット:ミシガン大学

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既存の建機を後付けキットで自動運転車にするBuilt Robotics

建設機械の自動化を志向しているBuilt Roboticsが、シリーズBのラウンドで3300万ドルを調達したことを米国時間9月19日に発表した。

建設業界は世界的に人手不足だが、Builtの狙いは、一人のオペレーターが同時に複数の自動化建機をコントロールし、自分自身は機械にはできない作業のために何かに乗るというやり方だ。これなら、例えば従来5人のチームを要した現場を1人で担当できるだろう。

Built Roboticsは建機をイチから作るのではなく、あちこちの現場でよく使われている建機を自動化する。同社は、掘削機やブルドーザーやスキッドステアローダーなどに取り付けるキットを売っている。そのキットはライダー(Lidar)やGPSやWi-Fiなどのテクノロジーをマシンの内奥に組み込み、自動化のための脳を与える。あるいは建機メーカー企業がBuilt Roboticsの変換ボックスを買って自社製品に取り付け、マシンが自動運転モードで動いた時間ぶん使用料を払うという方式もある。

操縦者のいない重さ20トンのマシンが、回りの人に注意せずに建設現場を走り回ることは誰も望まない。そこで同社の自動化マシンは、自分のまわりを常時監視する。TechCrunchの4月の記事では、次のように書いた:

建機に搭載された複数のカメラが人の接近を絶えず監視している。何かの不具合で機体が傾き始めたり、地中に何かがあると、センサーがそれを感知し電源を切る。マシンの背後には大きな赤い緊急停止ボタンがあり、またオペレーターのデスクにもワイヤレスの停止ボタンがある。

数カ月前には、Builtを搭載した建機のデモを見た。

今回のシリーズBラウンドは、ヨーロッパの大企業Siemens(シーメンス)の投資部門Next47がリードし、Building Venturesとこれまでの投資家であるFounders Fund、Presidio Ventures、Lemnos、そしてNEAが参加した。これによりNext47のT.J. Rylander(T・J・ライランダー)氏がBuiltの取締役会に入る。

同社は2017年にシリーズAで1500万ドルを調達しているので、調達総額は4800万ドルになる。Builtの共同創業者であるNoah Ready-Campbell(ノア・レディ-キャンベル)氏によると、社員数がここ数か月で倍増し、今では40名近くなっているとのこと。

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クソロボット製作者のシモーネ・ギールツがDisrupt SFに登壇

来月は楽しいゲストがやってくる。クソロボット(Shitty Robots)で有名なSimone Giertz(シモーネ・ギールツ)氏が、米国サンフランシスコのMoscone Center(もスコーン・センター)で10月2日から4日まで行われるDisrupt SFに登場するのだ。

彼女は米国に住むスウェーデン人の発明家で、YouTubeのチャンネル登録者が192万人もいる。テクノロジーとアートの結びつきを奇抜なレンズを通していろんな角度から実験しまくる、創意豊かなDIYビデオが好評だ。

ギールツ氏は自称クソロボットの制作で有名なだけでなく、いろんな発明がある。スープと朝食を食べさせてくれたり、クリスマスカードを描いてくれたり、口紅を塗ってくれるアームは、出来不出来の落差が大きくて笑えた。もっと最近の口コミで広まった傑作は、電動工具を持ち出して自分のTesla車をピックアップトラックに変えてしまったやつだ。

サンフランシスコのステージで見せてくれる作品の中には、毎日カレンダーのようなすごく面白いものがあるだろう。このLED点灯カレンダーは昨年Kickstarterで60万ドルを集めたもので、ユーザーがいい習慣を身につけることが目的だ。瞑想、必ずデンタルフロスで歯を磨く、ブログを書く、あるいは、チューロ(メキシコ風揚げパン)を食べるとか。

Disrupt SFには、ギールツ氏のほかにもおもしろいゲストがいっぱい。キティホークのSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏や、元国家安全保障局長官のMike Rodgers(マイク・ロジャーズ)氏、遺伝子編集技術CRISPRのRachel Haurwitz(レイチェル・ハウルウィッツ)氏、そしてSalesforceのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏やBoxのAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏などなど、数十名が登壇する。

今からチケットを買いたい人は、ぜひここで!。

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FarmWiseの全自動除草ロボットが脱プロトタイプに向けて15億円を調達

農業の自動化は作業が多様だから難しいが、そんな中で良い仕事をしているロボット企業や自動操縦企業もいくつか存在する。例えば、投資家たちに関心を持たれたFarmWise(ファームワイズ)はこのたび1450万ドル(約15億円)を調達して、その自動運転除草車の開発を継続している。

今はまだプロトタイプだが、その車は大量の材木伐採労働者を運ぶ車両のように見える。でも実際にはかなり精密な装置で有害な雑草と作物を見分け、雑草だけを慎重に引き抜く。

FarmWiseのCEO Sebastien Boyer(セバスチャン・ボイヤー)氏は最新の資金調達を発表するプレスリリースで「1台のFarmWiseのロボットが1日に人口40万人ぐらいの中都市の人びとを養えるだけの作物の農地を除草できる。これからは、弊社の特許である植物検出技術をさらに拡張強化して、農家の除草処理量と作物の収量を増やしたい」とコメントしている。

おそらくこのロボットは最初、概念実証(Proof of concept、POC)も兼ねて、特定の作物向けに開発されデモされたのだろう。

そして今や概念実証には成功したようだ。Calibrate Venturesがリードした1450万ドルのラウンドは、そういう初期の成功の賜物。除草の自動化は決してやさしい問題ではないから、3年足らずで商用化にこぎつけたのはすごいことだ。農家も、テクノロジーが嫌いではない、実際に仕事をしてくれるならば。しかし、広大なモノカルチャーが大半を占めるアメリカの農家では、ちょっとした問題やエラーが大損害をもたらすこともある。

関連記事:自動運転除草機のFarmWiseがプロトタイプ製造パートナーにミシガン州の自動車企業を選ぶ

同社は以前、シードラウンドで570万ドルを調達した。それは2017年のAlchemist Acceleratorのデモデーでデビューした直後だった。ロボットは、なにしろお金がかかる!

今度の新たな投資でFarmWiseの脱プロトタイプと商用化に一層拍車がかかることが期待される。でもこれぐらいの金額では大量生産はまだまだだろう。どこかから大口注文を受けて、それが弾みになるといいのだが。

そしてまた、このずんぐりしたかわいらしい車は、AIの開発も重要だ。ボイヤー氏はこう述べる。「今後は、弊社のさまざまなロボットが作物のための専門医として活躍し、健康状態を常時モニターして適切な対策を教えるだろう」。

というわけでこの巨大林業マシンのようなプラットホームは除草を繊細に行うだけでなく、今後はアブラムシやカビもチェックして必要な治療を施すだろう。

そして作物に対する多様な検査ができるためには、同社はデータのエキスパートにもならなければならない。究極的に、農地の全作物の個体チェックができるなら、農家にとってこんなに嬉しいことはほかにない。

画像クレジット: FarmWise

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人によるコントロールと機械学習を融合したスマート義手

義肢は年々良くなっているが、それらの強度と精度が使いやすさや能力(実際にできること)に貢献していないこともあり、とくに手足を切断手術した人たちがごく初歩的な動作しかできない場合が多い。

スイスの研究者たちが調べた有望と思われるやり方では、手動では制御できない部分をAIが引き受ける。

問題の具体的な例として、腕を切断した人が膝の上でスマート義手を制御する場合を考えてみよう。残存する筋肉に取り付けられたセンサーなどからの信号で、義手はかなり容易に腕を上げ、ある位置へ導き、テーブルの上の物をつかむ。

でも、その次はどうなる?指をコントロールするたくさんの筋肉と腱はない。そして義手の人工的な指を、ユーザーが望む曲げ方や伸ばし方ができるように解析する能力もない。ユーザーにできることが、単に総称的な「握る」や「放す」の指示だけなら、実際に手でできていたことを実行するのほぼ不可能だ。

そこが、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(École polytechnique fédérale de Lausanne、EPFL)の研究者の出番だった。義手に「握れ」と「放せ」と命令したあと、それから先の動作を特に指示しなくても最良の握り方を見つけられるなら問題はない。EPFLのロボット工学の研究者たちは長年、「握り方の自動的な見つけ方」を研究してきた。だから今の義手の問題を解決するには、彼らがうってつけなのだ。

epfl roboarm

義手のユーザーは、本物の手がない状態でさまざまな動きや握りをできるだけうまく試みながら、そのときの筋肉信号を機械学習のモデルに解析・訓練させる。その基礎的な情報で、ロボットの手は自分が今どんなタイプの把握を試みているのかを知り、目的物との接触領域を監視して最大化することによって、手はリアルタイムで最良の握りをその場で作り出す。落下防止機構も備えており、滑落が始まったら0.5秒以内に握りを調節できる。

その結果、目的物はユーザーが基本的には自分の意思でそれを握ってる間、しっかりとやさしくその状態を維持する。目的物の相手をすることが終わってコーヒーを飲んだり、ひと切れのフルーツをボウルから皿に移したりするときは、その目的物を「離し」、システムはこの変化を筋肉の信号で感知して実際に離す行為を実行する。

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MicrosoftImagine Cupを取った学生たちのやり方を思い出すが、それは手のひらにカメラを付けた義手の腕が目的物のフィードバックを与え、正しい握り方を教えていた。

一方こちらはまだまだ実験段階で、サードパーティ製のロボットアームと、特別に最適化していないソフトウェアを使っている。でもこの「人とAIとの共有コントロール」には将来性が感じられ、次世代のスマート義手の基盤になるかもしれない。チームの研究論文はNature Machine Intelligence誌に掲載されている。

画像クレジット:EPFL

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITの自動操船ロボは複数の船の自動編隊が可能に

完全自動操縦のロボット船、ここで駄洒落を言うなら「ロボート」を作る努力がMITで続いている。今回彼らが試みたのは、個々の船が自分の位置を自分で変えて、全体として船隊の形を自動的に変える能力だ。

この前TechCrunchが「ロボート」を見たときは、ふつうの航行ができるほどの自律性は持っていたし、複数の船がお互いをつかまえて基本的な形の船隊を作ることができた。しかし今度は、相手をつかまえて接続するだけでなく、相手から離れて違う形の船隊を自力で作れる。

自動編隊を実現するロボートのために研究者たちが考えたアルゴリズムは、ロボット船がお互いから離れて、他船に衝突しない航路をたどり、他の船と再接続して別の形の船隊を作るまでの過程を、すべて自分で計画する。彼らはそれを、シミュレーションとMITのプールの両方で見せてくれたが、そこでは上図のような矩形の平底船のロボットが、自分たちを直線状や矩形、そしてL字形にさえも編成した。

つまり彼らはテトリスの基本形をマスターしたのだが、でもそれは、ロボット船が自分たちの力で、いろんな形とサイズの橋や海に浮く台座、はしけなどになれるための、重要なステップだ。容易に海上作業ができるようになれば、都市再開発の仕事もはかどるだろう。

船隊の形を自由に変える能力には、「ワーカー」と「コーディネーター」という2つのタイプのロボット船が貢献している。両者が組み合わさることによって船隊の形が決まり、そのときGPSと測定器のあるコーディネーターが、お互いの相対的な向きや移動速度を決める。ワーカーにはアクチュエータがあって、船全体の操縦を助ける。コーディネーターはお互いに協調しながら、現在の並び方を常時チェックし、目標とする形と比較する。比較に基づいて各船に動きの指示を出し、新しい隊形を達成する。

実験に使われたロボット船は90cm×45cm程度の大きさだが、今後はその4倍になる。でも、船が大きくなってもアルゴリズムは変わらない。アルゴリズムが一定であることは、今後巨大な実用船を作って動かす場合などにとても重要だ。その当面の目標は、アムステルダムのネモ科学博物館の60mの運河の上を、歩いて渡れる浮橋を来年作ることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動操縦エアタクシーよる公共交通ネットワークでEHangと広州市が協力

自動操縦の旅客用および貨物用低空飛行航空機、貨客積載ドローンを作っているEHangが、そのエアタクシーの初の実用ネットワークを広州市に構築する。同社の発表によると広州市は、その全市的展開パイロット事業の主催団体になる。

パイロット事業は、低空を回転翼で飛ぶ航空機が都市の交通機関としてふさわしいことを示すだけでなく、そのネットワーク全体を中央的な交通管制ハブから自動的に運用管理できることを実証する。その交通管制ハブは、EHangと広州市の共同開発になる。

EHangは今年の初めに中国の民間航空局から自動操縦旅客航空機サービスの唯一のパイロット企業として認められ、すでに今年初めウィーンでEHang 184に乗客を乗せて飛行をデモし、また2018年には広州市でも数回の飛行を行った。

交通管制システムにより自動操縦航空機ネットワークの安全な運用を確保するだけでなく、EHangは広州市と共同で、そのネットワークの運用に必要なインフラストラクチャも構築している。たとえば自動操縦は、その初期的段階だけでなく、その運用をサポートする垂直離着陸場Vertiportの使用についても試験される。また都市交通機関として定着するために必要な、商用パートナーとの協働も行われる。

都市の公共交通機関のこのような新しい技術によるネットワークは、成長著しく交通量の増大も激しい広州市のような都市にふさわしい。しかもこの低空飛行航空機のネットワークは、過密都市において自動運転車などの陸上車に比べてアドバンテージが大きいだろう。自動運転車は、従来の一般車両や歩行者、自転車などとの争いや折り合いが運用の難点だが、都市上空の低空域は完全に空いている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

トヨタがAIスタートアップのPreferred Networksと提携 支援サービスロボット開発へ

トヨタは2014年に設立された人工知能とディープラーニングを専門とするスタートアップのPreferred Networksと提携し、人々の日常生活を支援するサービスロボットの開発をすすめる。

両社は8月7日、トヨタのヒューマン・サポート・ロボット(HSR)のプラットフォームを利用した共同研究開発について発表した。トヨタが2012年に開発したこのプラットフォームは、日常生活の中で人々と一緒に仕事ができるように設計された基本的なロボットだ。主な用途は、介護における基本的なケアとアシスタントだ。ロボットは1本のアーム、ディスプレイ、カメラ、車輪付きベースを備え、アイテムを片付けたり、遠隔操作や通信機能を提供する。

Preferred NetworksはすでにすでにトヨタのHSRに関する経験があり、2018年に日本で開催されたロボットカンファレンスのCEATECにて、自動で部屋を掃除するようにプログラムされたロボットのデモを展示した。システムは物体を認識し、人間からの特定の指示に従い、データベースから定義できない物体を片付けることができた。

トヨタはPreferred Networksのために数十台のHSRユニットを貸与し、今後3年間にわたり研究成果と知的財産を共有しながら、成果の活用に制限をもうけずに研究開発を進める。

トヨタの目標は、地域の人々と一緒に働ける商用ホームロボットを開発することにある。同社は複数の学術研究機関と提携している子会社のトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)での研究を含め、さまざまなプロジェクトを進めている。トヨタはまた、2020年の東京オリンピックに向けていくつかのロボットプロジェクトを公開しており、いくつかのフィールドテストを実施する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

自動運転技術を車いす利用者向けにチューニングしたシャトルカー

輸送や交通の自動化を目指すMay Mobilityが、いわゆる自動運転技術に関しては単なるアクセシビリティー以上のものを実現しようとしている。その同社は最近、自動運転シャトル車の車いすバージョンの開発を始めた。そのプロトタイプのテストが最初の供用予定地オハイオ州コロンバスで行われ、コミュニティの人びとからのさまざまなフィードバックを集めた。

車いす利用者のための乗車と下車の便宜および、シャトルの走行中の安全確保が設計に導入されている。最初に得られたフィードバックからは乗下車のためのが補助スロープがもっと長くて傾斜がゆるくないといけないことが分かった。関連して、乗車と下車のための停車場の設計にも、問題があった。

本格供用に向けて改善点がまだいろいろあるが、最初のパイロット的運用はもうすぐコロンバスとプロビデンス、およびグランドラピッズで行われる予定だ。

同社によると最終的には、そのソリューションは少なくとも、今の公共交通機関における車いす介助方式と同等、とユーザーに感じてもらえるものでなければならない。

may mobility alisyn malek

May Mobilityの共同創業者でCOOであるAlisyn Malek氏が2019年7月10日のTechCrunch Sessions: Mobilityに登場

May Mobilityの共同創業者でCOOのAlisyn Malek(アリサイン・マレック)氏は、TechCrunch Sessions: Mobilityでこう語った。「どうやって、交通を誰にとっても容易なものにできるだろうか?この問題意識の中でとくに重要なのが誰にとってもの部分だ」。

このような低速の電気自動車に関しては、米国など多くの国でまだその設計や安全性機能に関して明確な指針や規制がない。そこで同社が考えたのが、障害者向けの設計に関して最初からコミュニティと協働することだ。自動運転車を作っている企業のほとんどが「まるで決まり文句のように、これまで自動車に乗れなかった人でも乗れるようになる」と言う。しかし実際には、そんなアクセシビリティーのために具体的で現実的な工夫を実装しているところはほとんどない。

しかしごく一部の企業、例えばライドシェアサービスのLyftは、自動運転車を開発しているAptivおよび全米視覚障害者連合とパートナーして、目の不自由な人でも利用できる自動運転車サービスを設計している。しかしMay Mobilityのシャトルサービスは、ひとつの会社や機関としての完全な管理体制の中で商用のコミュニティサービスとして展開できる。つまり同社のアクセシビリティー対策は、既存のバス会社やタクシー会社、もしくは一部の行政サービスなどでもすぐに採用して実用化できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

MITが作った小さな歩くモーターは自分たちを自分で組み立てて複雑なロボットになる

未来のロボットは少しずつ「ウォーリー」的ではなくなり、「蟻の大群を迎えるボルトロン」のようになるだろう。MITのNeil Gershenfeld(ニールガーシェンフェルド)教授と彼の学生たちが作った歩行するモーターを見ていると、そう思わずにはいられない。このモーターは、磁石とコイルとわずかな構造部品の寄せ集めにしか見えないが、前後に歩くことができ、複雑な機械の歯車を左や右に回すこともできる。

この小さな動く微生物はそれだけでもすごいが、仲間や他のロボット部位と組み合わさると真価を発揮する。それがガーシェンフェルド教授らの狙いだ。同じ材料から他の重要部位を組み立てることはすでにできたが、今後はそれらの重要部位をそれら自身が自動的に組み立ててもっと大きな構造物を作り、仕事ができるようにしたい。

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これらの小さなロボットはギア(歯車)も動かせる。それらをもっと大きく作り、より現実性のあるシステムにするには、そのことが重要だ(画像クレジット:MIT)

つまり、小さな歩くモーターとその仲間を彼ら自身が自分で組み立てると、あるときは農業用ロボットのシステムの一部になり、別のときには災害救助ロボットになる。そこまで行くのはまだまだ先の話だが、ガーシェンフェルド教授はすでにMITの大学院生Will Langford(ウィル・ラングフォード)と一緒に、回路を自動的に作る3Dプリンターを作っている。これを未来に延長すれば、デジタルの青写真を入力すれば完全に機能する高度なロボットを作れるようになるだろう。

静的な部品の組み立てを自動化するのではなく、この微小ロボットのように、部品自身が自分たちを自分で自己組み立てする。それが最先端のロボティクスという馬の鼻先にぶら下げた人参だ。映画「ターミネーター」に出てくるT-1000のような高度な能力は、部品ロボットに対して適正な行動制限を設定できれば可能だろう、という期待もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa