自動運転車の視界に入っていない歩行者を検出できるRF探知技術

イスラエルのViziblezoneは、自動運転車が歩行者をもっと確実に見つけられるようにしたいと考えている。それには、歩行者が車のセンサーの視界にいなくてもという高い目標もある。歩行者検出専門のスタートアップはこれまで聞いたことがないが、どんなことにも最初がある。Viziblezoneは、毎年何百万人もの歩行者が車で負傷しているという大きな問題に、初めて挑戦したスタートアップかもしれない。

近くに歩行者がいることを車に警告するために、OurCrowdのインキュベーターLabs/02で育ったViziblezoneは、スマートフォンと車中の検出装置を利用する。同社の主張によると、そのソリューションは自動運転車が本格的に普及したときに特に役に立つという。

同社のファウンダーでCEOのGabi Ofir氏はこう述べる(彼はMotorolaで20年間、通信プロトコルの仕事をしていた)。「Viziblezoneは、ソフトウェアによる費用効率の良い歩行者検出装置を提供する。それは車内や携帯電話のRF装備を路上の人間用のアイアンドームに換える。今では歩行者もそのほとんどがモバイルデバイスを持っているから、この検出装置はそれらをスマートなビーコンに換えて、車から見えるように、そして避けられるようにする」。

同社のソリューションはもちろん自動運転車を狙っているが、車中のスマートフォンを利用すれば今の車でも使えると同社は言う。視覚的なセンサーを使わないので天候等に左右されず、検知範囲は最大で150メートルぐらいだ。

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航空機の鳥の衝突試験は義務化されているがドローンはまだまだこれから

鳥は飛行機にとってとても危険だから、鳥の衝突試験が義務付けられている。では、ドローンはどうだろう? 無人機による空港の妨害増えているから、もうじきドローンの衝突試験も義務化されるかもしれないが、ドイツの研究者たちによると、その試験にはドローンを高速な砲弾とする空気砲で、航空機を砲撃することが含まれるらしい。

フラウンホーファー研究機構のフライブルグ研究所で行われているその研究は、試験すべきパラメーターを同定しようとしている。

たとえば鳥の衝突は、冷凍の鶏や七面鳥などを空気砲で撃ちこんで試験している。きれいではないけど、やらざるを得ない。でもこの場合、鳥とドローンを同一視することはできない。

関連記事: Drone sighting at Germany’s busiest airport grounds flights for about an hour…ドイツ最繁忙の空港がドローンで1時間機能停止(未訳)

研究所のSebastian Schopferer(セバスチアン・ショプフェラー)氏がニュースリリースでこう述べている。「ドローンと鳥では動きが全然違うし、またドローンの方がずっと重い。だから、鳥の衝突試験に合格した航空機がドローンにも耐えうるとは結論できない」。

チームは、ドローンの質量の大半を占める電池とエンジンを空気砲に装弾した。翼やその搭載用のアームは軽いから、容易に破砕するだろう。だから大きな被害はない。

drone testing

左の航空機に時速数百マイルで衝突した後のドローンのエンジンと電池の残骸

ドローンは秒速115〜255メートルで、厚さ最大8mmのアルミ板を砲撃した。当然ながら、アルミ板は「大きく変形し」、翼のないドローンは「完全に破壊された」。破壊の過程を高速カメラで記録したが、残念ながらその映像は非公開だ。

いろんな種類の試験をやってみて、有意義なものと不要で無関係なものを選り分ける必要がある。でも、時速900kmのドローン弾で砲撃すると、その被害はどれも同じに見えるのに、なぜ貴重なお金と時間を使って500回もテストするのか? 翼やアームを含めると、違う結果になるのか? どの速度ならアルミ板を貫通するのか? 何が有効な保護対策か? などなど、多くの研究課題がある。現在は、もっと大きな無人機を使って加速や減速もできる試験台を作っている。

十分な量のテストを行えば、試験のやり方が標準化されるだけでなく、高価で破損も多い試験台ではなく、シミュレーションでいろんな素材を試せるだろう。チームは、そう期待している。

画像クレジット: PHILIPPE HUGUEN/AFP

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蜂のサイズの飛行ロボ「Robobee X-Wing」は動力を光から得て持続飛行する

TechCrunchはハーバード大学の飛行ロボットRobobeeの進化を数年前から追っている。最初は飛ぶことを覚え、2015年には泳げるようになり、2017年には水から跳び出すことができた。そして今回のRobobee X-Wingは、光を自分の太陽電池に集めることによって飛べるようになった。光のあるところなら無限に飛び続けることができる。

この大きさでは、飛ぶことは極めて難しい。小さいから離陸も飛行も昆虫みたいに簡単にできるだろうとお思いかもしれないが、実際は自己動力の飛行は小さいほど難しい。昆虫の飛行は、われわれが自然界で出会うもっとも不可解で奇跡のような偉業なのだ。

小さな2つの翼を動かす動力を有線で外部から供給するなら、飛行は簡単だ。これまで、Robobeeなどもそれをやってきた。電源を本体に搭載したり、あるいは身につけたソーラーパネルにレーザーを照射するなどの方法は、ごく最近の試みだ。

関連記事:太陽光とレーザーの力で羽ばたく昆虫ロボットRoboFlyは電力供給の無線化に成功

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今度のRobobee X-Wing(翼が4枚なのでX型)は、電池もレーザーも使わない新しい段階を達成した。普通のフルスペクトルの光が上にあるだけでよい。現状では太陽光よりも明るいのだが、現実の条件に一歩近づいた。

ハーバードのMicrorobotics Laboratory(超小型ロボット研究所)のチームは、エネルギー変換のシステムと翼の機械系を極力軽量化してそれを達成した。全重量が1/4グラムで、ペーパークリップの約半分。消費電力も超微量だ:

わずか110–120ミリワットの電力を消費するこのシステムは、蜂のような同サイズの昆虫と同程度の推力効率がある。この昆虫サイズの航空機は、瞬間的な跳躍や離陸上昇ではなく普通の飛行を無線で維持できる機として、最軽量である。

上記の最後のところは、競合する他の研究に影を投げかけている。まだそれらの研究は「ふつうの飛行を無線で維持できる」状態ではない(詳細はよくわからないが)。たとえば下の記事のオランダの羽ばたく飛行ロボットは電池を搭載して1km飛行する。「飛行を維持できる」といえば、これぐらいしか思い浮かばない。

関連記事: 昆虫からヒントを得た羽ばたくロボットが一回の充電で1kmを飛ぶ

Robobeeのビデオでは、離陸がペットボトルロケットみたいだ。スペース的に不可能だったのは、高度な飛行制御回路や、使わないエネルギーの保存、ホバーリングなどだ。

それらはチームにとって次のステップだろうし、しかも簡単ではない。重量が増えて新しいシステムが加われば、航空機として完全に別のものになる。でも数か月から1年ぐらい経てば、本物の蜻蛉のようにホバーリングできるようになっているだろう。

Nature誌に、Robobee X-Wingについて極めて詳細に記述されている。

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脳でコントロールするロボットやコンピューターが手術不要で実現する

カーネギーメロン大学とミネソタ大学の共同研究グループが、ブレインコンピュータインタフェース(Brain-Computer Interface、BCI、脳とコンピューターのインタフェイス)およびロボット工学における大きな突破口を開いた。彼らが開発したのは、人間が自分の心でロボットアームをコントロールする方法だ。手術のような侵襲的な手続きは要らない。

この実験のマインドコントロールロボットは、高度な運動制御能力も示した。画面の上で動くコンピューターのカーソルを、追うことができたのだ。これは言うまでもなくロボット工学の分野における大きな前進であり、個別ケースではなく一般的に、コンピューターを脳で制御できる可能性を実証している。それにはありとあらゆる用途がありえるが、麻痺などで運動能力に制約のある人でも、コンピューター化されたデバイスを操作できるようになるだろう。

これまで成功した高精度のBCI技術は、脳の信号をピックアップするインプラントを必要とした。インプラントを埋め込むのは危険であるだけでなく、高価であり、人間への長期的な影響も解明されていない。そのため広く普及することはなく、少数の人たちだけが恩恵に与っていた。

研究グループが開発した画期的な技術では、体内に装着するのではなく皮膚に貼ったセンサーからの低品質な信号を利用する。彼らは皮膚感覚と機械学習を結びつけて、ユーザーからの信号を捉える。その信号の起源は脳の内奥だが、捉えた信号には非侵襲的なテクニックにありがちなノイズがない。

この画期的な発見は、医療現場での実用化に向けてそう遠くないかもしれない。チームは、近く臨床試験を始めたい意向だ。

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物の裏側をレーザー光の反射から像として求めるカーネギーメロン大らの研究

未来の自動運転車やそのほかのマシンインテリジェンスシステムは、視線の向かう先には見えないものからでも詳細な画像データを集められるだろう。カーネギーメロン大学(CMU)とトロント大学、およびユニバーシティカレッジロンドンの研究から生まれたテクニックを使うと、ここにいるまま「あの角を曲がった先」を見ることができる。

その方法は、特殊な光源とセンサー、そしてコンピュータービジョンの処理により、ここからは見えない場所の詳細な像を推測したり構築できる。それは、これまで写真や肉眼でしか得られなかった像よりもさらに詳細だ。

ただしこのテクニックには現状でやや制約があり、CMUのロボット研究所のSrinivasa Narasimhan教授によると「比較的狭い範囲内」でないと有効でない。

その制約はこのテクニックを、非視線型(non-line-of-site、NLOS)コンピュータービジョンの分野のテクニックと併用すれば緩和できる。そんなテクニックの一部はすでに商用化されており、たとえばテスラ(Tesla)のAutopilot(オートパイロット)システムは、反射ないし跳ね返ってきたレーダー信号を利用して、テスラ車の前面の、人の視線が届かない部分を見ている。

今回の新しい研究で使われたテクニックは、多くの自動運転車システムが利用しているライダーシステムと似た動作原理だ(ただしテスラはレーザー光線を使う視覚システムを嫌ってることで有名だ)。CMUとそのパートナーの研究機関は超高速のレーザー光線を使い、それの壁からの跳ねっ返りで、角の向こう側に隠れているオブジェクトを照らしている。

センサーが跳ね返ってくる光を捉え、そして反射光が原点に帰還するのに要した時間を計算する。そのほかのさまざまな測度も含め、ターゲットのオブジェクトのジオメトリー(幾何学的形状)の情報も使って、オブジェクトを正確かつ詳細に再構築する。その方法は、紙のような光を遮るものが介在していても有効なので、現実世界の環境センサーとしての有効な利用もありえそうだ。

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今アメリカ全国でテスト走行している自動運転車は1400台あまりで80社以上の企業が関与

今日(米国時間6/11)ワシントン,D.C.で行われたUber Elevate Summitで、米運輸省長官Elaine Chao氏が、アメリカの路上で現在行われている自動運転車のテストに関する数字をいくつかシェアした。それによると、現在テスト中の自動運転車やトラックなどの車両の総台数は1400台あまりで、その企業数は80社以上、D.C.を含めて37の州でテストは行われている。

これにより現在アメリカでテストされ開発されている自動運転車の全体的な概要と規模が分かる。関連して、公道で自動運転車のテストを開始した最初の州のひとつであるカリフォルニアでは、現在62社がテストの実行を登録している。上でChao長官が挙げた80社あまりに対して62社だから、相当な数だ。

Chao長官はドローンの数字も挙げたが、それによると、現在アメリカで登録されているドローンの機数は159万機あまりであり、内37万2000以上が商用として登録されている。さらにそのうち13万6000機は、登録者が商用のドローンオペレーターであり、Chao長官はこれに関し、アメリカに新しい職種が生まれた、と言った。

スピーチの後半で長官が強調したのは、現在彼女が統轄している運輸省とその執行部は、「テクノロジーに関して中立的で命令や支配をしない」ことだ。また同省は、「勝者と敗者を決めるような行政はしない」。今回D.C.に集まったオーディエンスはほとんど民間部門の人たちだから、彼女の言葉を聞いて喜んだことだろう。

Chao長官の下で米運輸省が導入し、つねに改良に努めているガイドラインやルール、そして各種事業はもっぱら業界寄りであり、業界にとっての障害物を取り除くという姿勢だ。その姿勢は、自動運転技術やドローンの運用、そして宇宙船の打ち上げ能力への商用アクセスにも及んでいる。しかし最近Chao長官は、彼女のそのような姿勢がもたらす利害の衝突の可能性に関して批判されている。

画像クレジット: Ford

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一般市販部品で誰でも作れるオープンソースの四足ロボ

政府からの100万ドルの研究助成金がなくても、わずか数千ドルと確かな技術力があれば本格的なロボティクスプロジェクトが可能だ。スタンフォードの学生たちはDoggoと名付けた四足ロボットでそれを証明した。その最大の特徴は、一般市販の部品だけでできること。もちろん肘や膝などの関節部分には、大量のグリースが要るけど。

ロボットとオートメーションに関するIEEEの国際会議でプレゼンするために作ったDoggoは、Stanford Robotics ClubのExtreme Mobilityチームの作品だ(彼らのペーパーがここにある)。その目的は、ほかの人たちでも作れるような現代的な四足ロボットを最小の費用と最少のパーツで作ることだ。

このかわいいロボットは、一見ごつごつしているけど、その多角形の脚は意外なほどしなやかで、きびきびと歩き、1m近く垂直ジャンプもする。スプリングやショックアブソーバーはいっさい使っていないが、脚にかかる力を毎秒8000回サンプリングすることによって、素早く反応する。まるでモーター自身が(仮想的に)スプリングでもあるかのように。

動く(前進と上方ジャンプ)ことだけが目的で、自律能力はないし、自分のまわりの世界を理解する能力もない。でもすてきなのは、誰でも作れることだ。特殊なモーターや部品は何も使ってなくて安上がりだから、一般的にロボット工学の最初の教材になるだろう。Doggoを自分で作ってみたい人のための、設計と必要な部品の詳細はGitHubのここにある

チームのリーダーのNathan Kau氏はスタンフォードの学内紙で「四足ロボットは研究でよく使われるが、研究プロジェクトごとにゼロからそれを開発しなければならない。このStanford Doggoはオープンソースのロボットとして、比較的少ない予算でも各研究者が自分なりの四足ロボットを作れる」とコメントしている。

Extreme Mobilityチームは同大のRobotic Exploration Labとコラボレーションして、Doggoの改良に取り組むつもりだ。改良作はDoggoの倍ぐらいの大きさになり、Wooferと呼ばれる。

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Amazonがテクノロジー教育のNPO FIRSTと組んでロボティクス教育の助成事業を展開

今週の半ばにAmazonは、Canvasの買収を発表した。このあまり知られていないコロラドのスタートアップは、倉庫における配送業務のための自動運転システムを作っている。それは未来の倉庫の自動化を真剣に考えている同社の、最近の一連の動きの中では最新の動きだ。

昨年同社は。Amazon Future Engineerの立ち上げを発表した。それは教室におけるSTEM教育の便宜を提供する事業だ。その事業の立ち上げを支援してもらうためにAmazonは、STEM振興の非営利団体FIRSTとパートナーして、とくに恵まれない人びとにロボティクス教える一連の助成事業を作ろうとした。

その計画は21の州の100校で、今年の秋から動き出す。事業にはFIRSTのロボティクス授業チームの支援や先生の教育が含まれ、さらに10000ドルの助成により地元のAmazonフルフィルメントセンターの見学旅行も行う。同社の倉庫には現在、計10万台あまりのロボットがいる。

FIRSTのファウンダーであるDean Kamen氏がニュースリリースでこう言っている。「われわれのロボティクス授業チームと活動をすべての学校に提供していきたいが、Amazonはこの目標の実現を助けてくれる。FIRSTでは、授業に参加するすべての子がプロになれる。FIRSTの授業には、テクノロジーやコンピューター科学や生産工程の実際を体験する実習課程もある。それによって児童生徒は前進し、イノベーションを着想することもできる」。

今年初めにAmazonは、同社の第2本社のローンチ(こちらはのちに廃案になった)の前にニューヨーク地区の教室で同社の投資によりテクノロジー教育を展開する、と発表した。左のリンクの記事は、ニューヨークのAmazon第2本社は廃案でも教育事業の方は続く、と報じている(未訳)。

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メジャーリーグのピッチャーの投球を400万球分析して人間審判の誤審率を計算

ボストン大学の院生たちが、メジャーリーグ(Major League Baseball、MLB)の過去11シーズン(2008〜2018)の400万投あまりの投球を調べた結果は、人間アンパイアにとってうれしいものではなかった。その調査によると、2018年に球審は、ボールとストライクを34294回誤審している。それは1ゲームあたりでは14回、1イニングあたりでは1.6回だ。

1シーズンに32のチームがそれぞれ162ゲーム戦うのだからそれほど大きな数ではないが、でもそれは多くの憤慨した観客たちが長年疑っていたことを確認するには十分だ。

調査によると、MLBの審判の平均年齢は46歳、平均経験年数は13年だ。各シーズンに球審はホームプレートの後ろで約4200球の投球を判定する。面白いことに、調査結果では若くて経験の浅い審判のほうがベテランよりも成績がいい。

誤審の頻度は、当然かもしれないがプレーの性質によって異なる。これまで何度か球場に足を運んだことのある人たちの多くが、審判は今どっちがリードしているかによってピッチャーかバッターのどちらかをえこひいきすると疑っている。その点はどうか。

調査にはこう書かれている。「調査結果によれば、アンパイアは特定の状況下では圧倒的にバッターよりもピッチャーに有利な判定をする。バッターが2ストライクのときは、次の球がボールでもストライクと判定した誤審率が29%で、2ストライクでなかった場合の誤審率15%に比べほぼ倍である」。

なお、このニュースの1か月前のMLBの発表では、同団体が現在、独立リーグ、アトランティックリーグのマイナー戦でロボット審判の利用を試行している、ということだった。それは、将来のある時点でメジャーがその技術を実装することを目指している。最近は野球のテレビ放送でストライクゾーンの図解が表示されるようになったため、球審のロボット化という話題も、急に現実味を帯びてきている。

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リンゴ収穫ロボをニュージーランドの大農園が初めて本格採用

Abundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)を、TechCrunchでは3年ぐらい前から追っている。そして今、このSRIからスピンアウトした企業が成熟期を迎えた。Abundantの今週の発表によると、ニュージーランドのT&G Globalが、同社のロボットを使ってリンゴの収穫を始める。

Abundantによると、実際には同社のロボットがこの南北両半球にまたがる大農業企業の周年収穫作業に採用される、ということであり、ニュージーランドはたまたまその開始地点だ。

AbundantのCEO Dan Steere氏は発表に伴うプレスリリースで、こう述べている。「リンゴの自動収穫機の開発は、複数の技術的難問を並列的に解いていくことを要する。収穫適期の果実をどうやって見分けるのか。それらをどうやって傷つけずに収穫するのか。果樹園の中をどうやって安全に走行するのか。これらの問題の解決に向けて開発とテストを進めるためには、生産者との密接なパートナーシップにより、現実の状況にアクセスできることが不可欠である。それによって初めて、技術の商業的利用が可能になる」。

これまで小規模なパイロット事業を進めてきたAbundantだが、T&Gとの契約は初めての商用展開だ。これまで、このベイエリアの企業は1200万ドルを調達している。その中には2017年の、GV(Google Ventures)のリードによるシリーズAの1000万ドルも含まれる。やっと商用化に向けてのスタートを切った同社は、今後、世界中の農産物の収穫作業に革命をもたらすかもしれない。

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しぼんだ風船で物をつかむMITのロボットハンドは自重100倍の重さを持ち上げる

生物からヒントを得たソフトなロボットは、ロボット工学の中でももっともエキサイティングな分野だ。それらは、障害物に挟まれても壊れずに搾(しぼ)られたり、自分のまわりの世界に形を合わせることのできるマシンだ。MITのCSAILとハーバードのWyssの共同プロジェクトは、彼らのこれまでの研究成果を利用して、デリケートなオブジェクトを扱うことができ、自重の100倍の重さのものを持ち上げることのできる、ソフトロボットのグリッパー(gripper, 物を掴み上げる機能部位)を開発した。

グリッパー本体は折り紙からアイデアをもらった骨格構造をしていて、それを布やしぼんだ風船で包んでいる。それは最近チームが別のプロジェクトで、ローコストの人工筋肉を設計したときに採用したやり方だ。コネクターがグリッパーをロボットの腕に取り付け、真空装置が空気をグリッパーから吸い取って、オブジェクトのまわりにぴったり貼りつかせる。

Soft Roboticsの商用グリッパーのように、このデバイスは柔らかいので、複雑な視覚システムがなくてもいろんなオブジェクトをつかめる。また、つかむとき、デリケートなオブジェクトに傷をつけない。

MITのDaniela Rus教授がニュースリリースの中でこう言っている。「これまでの荷造りロボットはごく一部のオブジェクトしか扱えなかった。とても軽いオブジェクトや、箱や筒のような形状によくなじむオブジェクトだ。でもわれわれのMagic Ballグリッパーでは、ワインの瓶やブロッコリー、ぶどう、卵などさまざまなオブジェクトを、掴んで持ち上げて置くことができる。言い換えると、重いオブジェクトと軽いオブジェクト、デリケートなオブジェクトと頑丈なオブジェクト、定型的なオブジェクトと形がさまざまなオブジェクト、これらの両方をつかめるのだ」。

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鳥やコウモリのように「そこらへん」に止まれるドローン

ドローンはいろんなことで便利に使えるが、その便利さは彼らが空中にとどまれる時間に制限されることが多い。もっと軽くなるべきかもしれない。でも、上図のようなかぎ爪をつけたドローンなら、どこにでもとまったり自分をひっかけたりして電池の無駄遣いを防ぎ、飛行時間を延ばせるだろう。

そのかぎ爪は、この記事の最後でご紹介するように、ものすごく多国籍の研究者チームが鳥やコウモリからヒントを得て作った。チームは、鳥などの空を飛ぶ動物が、自分がとまりたい面の性質に合わせて独自の脚やかぎつめを発達させていることに気づいた。どこかに座ることもあれば、どこかにぶら下がることもある。羽根をたたんで、どこかに寄りかかることもある。

研究者たちは、こう書いている。

これらのどんな場合でも、動物の足の適切な形をした部分が環境中の面と対話をして、飛ぶ努力を減らしたり、完全にとまったりする。私たちの目標は、このような、「とまる」(Perching)という行為を無人航空機にさせることだ。

え、ドローンを鳥のように木にとまらせるの?まさか!

我々は、回転翼で飛ぶ無人航空機のために、外部動力で動作するモジュール構造の着陸装置を設計した。それは、動力式の握り部(Gripper、グリッパー)モジュールと、それの指に装着される接触部(Contact、コンタクト)モジュールから成る。

モジュール構造にしたために、とまったり休んだりするために使える構造物の形状や種類の範囲が、単純に鳥の脚やかぎつめを模倣する場合に比べて大きく広がった。

関節のある足のような単体で複雑な構造物を避けて、チームはドローンに、3Dプリントで作った特殊な形状の静的モジュール複数と、ひとつの大きなグリッパーを与えた。

ドローンはLiDARなどの奥行き検知センサーを使って自分のまわりを調べる。近くにある面の性質も検知して、自分がとまれる面の例を収めたライブラリとマッチングする。

上図右上のような四角いエッジでもAのようにとまれる。柱ならBのようにバランスをとる。

柱があってそこにとまりたければ、その柱を上からつかむ(上図下左)。水平方向の棒なら、握ってぶら下がったり、必要なら起き上がったりする。棚のようなものなら、小さな穴を開けて自分をその隅に固定する(上図A)。そのとき、モーターは完全に停止できる。これらのコンタクトモジュールは、ミッションの性質や状況に応じて形を変えられる。

率直に言ってこれは全体的に、プロトタイプにしてはできすぎだ。難しいのは停泊に使える面の認識と、正しく着地するための姿勢制御だろう。でも現状ですでに、十分実用性がある。業務用や軍用なら、これでも十分ではないか。数年後にはこれが、すべてのドローンの標準装備になるかもしれない。

このシステムを説明しているペーパーは、Science Robotics誌に載っている。省略してもよい人は一人もいないと思うから執筆者全員を挙げると、エール大学と香港科学技術大学とスウェーデン王立工科大学のKaiyu Hang氏、Ximin Lyu氏、Haoran Song氏、Johannes A. Stork氏、Aaron M. Dollar氏、Danica Kragic氏、そしてFu Zhang氏だ。

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史上最年少の女性下院議員が主張「労働者はオートメーションを恐れるな」

オートメーションへの地殻変動的な移行を、失職について語らずに議論することは不可能だ。テクノロジーに反対する人びとは、「熟練技能を必要としない」職業分野で大規模な失業が起きることをおそれて批判する。一方テクノロジー肯定派の人たちは、その種の記事は大げさになりがちだと言う。でも労働力のシフトは、太古の昔からそうであったように今も起きている。

しかし今週行われたSXSWで、ニューヨーク州出身の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)氏は、まったく違う見解を述べた。

The Vergeによると、彼女はある質問への答でこう述べている。「自動化で仕事を失うという妖怪を怖がるべきではない。自動化は、むしろ喜ぶべきだ。でも、それを喜べないのは、私たちが、仕事がなければ死ぬという社会に生きているからだ。そして、そのことの中核にあるものこそが、私たちの本当の問題だ」。

聴衆からの質問に対するこの答は、オートメーションに関するこれまでのさまざまな会話の中で、あまり聞かれない見方だ。いちばん多いのは、業界を代弁するような人びとが、テクノロジーがこれまでの「退屈で汚くて危険な」仕事を置換すると主張する説。多くのロボット賛美派が言うには、それらは本当は誰もがやりたがらない汚れ仕事だ。

【ウィリアム・ギブスン「これは政治家が言う言葉としては衝撃的に知的だ」】

一方オカシオ=コルテス氏の答は、彼女の民主社会主義者としての見解を述べている。それは、正しく実装されたテクノロジーは労働者を資本家のシステムから解放できる、今は労働者が、自分の存在と生計をそのシステムに冷酷に縛り付けられている、と見る議論だ。

この新人女性議員は、オートメーションが社会にもたらす利益を指摘して、自分の立場を明らかにしようとする。

The Vergeの引用によると、オカシオ=コルテス氏の発言はこうだ。「オートメーションに関して、私たちは喜ぶべきだ。それによって、可能性としては、自分自身を教育する時間が増えるし、アートを創る時間や、科学にお金をかけて研究する時間、発明に集中する時間、宇宙に行く時間、自分たちが今住んでる世界をエンジョイする時間も増える。必ずしもすべての創造性が賃金に結びついていなくてもよいのだから」。

オカシオ=コルテス氏は、ビル・ゲイツ氏がQuartz誌のインタビューで語っていることを引用して、このビジョンを実現するためにはロボットに課税することもひとつの方法だ、と言う。彼女はこう言ったそうだ。「ゲイツ氏が本当に言ったのは企業に課税することだけど、『ロボットに課税する』のほうが言いやすいから」。

オートメーションに関する質問への彼女の答は、未来に関してとりわけ楽観的な一部のライターたちの喝采を浴びた。

小説家のウィリアム・ギブスンは、「これは政治家が言う言葉としては衝撃的なほど知的だ」とツイートした。それは少なくとも、今や陳腐化している話題への新鮮な観点であり、われわれ全員が共有するテクノロジーの未来をめぐる重要な会話に、生命(いのち)を吹き込むものだ。

オートメーションが向こう数十年で雇用に大きな影響をもたらすことは、疑問の余地がない。倉庫などの業種では、その多くをすでに目にしてきた。この主題に関するすべての研究が認めているのは「破壊される」雇用の数は数千万以上だが、新たに“創られる”数はその膨大な数の小部分にすぎないことだ。

でも、この女性下院議員のコメントはそれらの具体的な数とは関係なく、たぶん我々がこれまでずっと間違った問いを尋ねていたのではないかということを示唆している。

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Amazonの電子ベストは労働者とロボットの安全な共同作業を支える

昨年Amazonは、25あまりの倉庫等で、労働者の安全性のための新しい着衣を採用した。そのRobotic Tech Vestと呼ばれる着衣は、一見すると二本のサスペンダーを電子回路を内蔵するベルトにくっつけたもののようだ。このAmazon Roboticsが設計した製品は、労働者がロボットシステムを修理したり、落下した品物を回収したりするときの安全を確保することが目的だ。Amazonのロボットシステムのセンサーが着用者を感知すると、動きを遅くして衝突を避けようとする。

つまりこのベストは、ロボットの障害物回避検出機能と協働する。

Amazon RoboticsのVP Brad Porterはこう語る: “われわれのロボットシステムは全体的に、複数の安全システムを採用している。それには、訓練素材もあれば、入り口の物理的なバリヤー、プロセス制御、オンボードなどさまざまだ。過去には、人間が自分が作業しているセルのグリッドをマークすると、ロボットのトラフィックプランナーがその区域の方向へルートを回していた。しかしこのベストで可能になったのは、ロボットが遠くからでも人間を検出して、その旅程プランをスマートにアップデートする。人間がそのゾーンを明示的にマークしなくてもよい”。

仕事の現場に人間とロボットの対話があるときには、言うまでもなく安全が重要な課題になる。労働安全衛生局OSHA(Occupational Safety and Health Administration)はこう言っている: “調査によれば、ロボット事故の多くがルーチン以外の運用条件で起きている。それらは、プログラミング、メンテナンス、試験、セットアップ、調整などだ。このような運用の間に、労働者が一時的にロボットの作業圏域に入ってしまうことがある。そしてそこで、意図せざる操作が傷害を招くことがある”。

12月には、Amazonの20数名の倉庫労働者が病院に搬送された。その、熊撃退スプレーの爆発事故には、ロボットが関与していた疑いがある。ロボットと人間のコラボレーションが一般的になるに伴い、安全を最優先して、これらの巨大な金属製マシンと付き合うことが重要だろう。

Porterによると、ベストのテストは“大成功”だったそうだ。ベストの総起動回数は100万回を超え、その結果がすべて、システムのログと共に記録された。

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Samsungの障害者用外骨格製品を試着して歩いてみた

Samsungの新しい事業であるロボット部門は、その中途半端な姿勢が疑問を喚(よ)んでいるが、でも同時に同社は、そのGEMS(Gait Enhancing and Motivation System, 歩行の強化と動機付けシステム)を嬉々としてデモしてくれた。

デモには、三つの着用型外骨格、A(ankle/足首), H(hip/尻), そしてK(knee/膝)が含まれていた。それぞれ、異なるニーズと筋肉に奉仕するが、歩行アシスタント+介護者の力とバランスのアップ、という機能性は同じだ。

障害者等用の外骨格製品はもちろん、Samsung以前にもいろんな企業が作っている。そのそれぞれが、歩行の補助やリハビリ、あるいは仕事の現場などで難しい作業のアシスタントとして利用されている。RewalkやEkso, SuitXなどの企業が強力な製品を提供しており、また複数の自動車企業がこの分野に投資している。

そんな中で、新人Samsungが何を提供できるのか、まだよく分からないが、確実なのは同社がお金持ちであることだ。ノウハウも、そして優秀な社員も抱えている。ロボットに関しても、本気で取り組めば、きっとすばらしい製品を作れるだろう。

H(hip/尻)システムを試着してみたが、アシストと抗力機能は完成しているようだ。同社の社員は抗力(resistance)機能のことを、水面下を歩くような感覚、と言ったが、もっと良い比喩が欲しいね。アシスト機能は、最初はよく分らなかったが、実際に階段を上がってみると納得できた。

ロボットもそうだが、この外骨格プロダクトも、スマートフォンとテレビとチップの会社と思われている同社の製品群の、どのへんにどうやって収まるのか。次のCESが始まる前に、組織も事業も元気に動き出すことを期待したい。

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四足ロボットANYmalがチューリッヒの地下の下水路を冒険旅行する

CheetahbotやSpotのような複数脚のロボットの多様な用途については、すでに多くが語られてきたが、でも実際にそれらが実現するためには、分野ごとに多くの困難がある。そして、下水道の点検という重要な仕事の訓練のために、このスイス製の四足ロボットは地下深くへと下(お)りていった。今後の実際の仕事には、人命救助もありうるだろう。

ETH Zurich / Daniel Winkler

このロボットはANYmalと呼ばれ、スイス国立工科大学、略称ETH Zurichと、そこからのスピンオフANYboticsの長期的なコラボレーションだ。その最新の冒険は、大学のあるチューリッヒ市の地下にある下水道の旅で、最終的には、検査や修理の自動化を目指している。

多くのロボットプラットホームと同様、ANYmalも長年の開発史を抱えている。でもカメラや、ライダーのようなセンサー類が小型化高性能化したのはごく最近のことなので、暗闇の中での作業も可能になり、第一候補として下水管という汚い場所でテストされることになった。

多くの都市が延々と長い々々地下構造を抱えており、しかもそれらの点検は専門家にしかできない。危険でかったるい仕事だから、自動化の最右翼候補だ。人間がやると1年に1度しかできない点検を、ロボットなら楽々、一週間に一度できる、としたらどうだろう。おかしい箇所を見つけたときだけ、人間を呼べばよい。災害で人が行けなくなった場所や、小さすぎて人が入れない場所でも、活躍してくれるだろう。

関連記事: MIT’s Cheetah 3 robot is built to save lives(未訳)

しかしもちろん、ロボット軍団が(前に何かで見たように)下水路に住めるためには、その環境を経験し学習しなければならない。最初は最小限の自動化にとどめ、徐々にやれることを増やしていくのだ。

ANYboticsの協同ファウンダーPeter Fankhauserが、ETHZのストーリーでこう言っている: “研究室でうまくいっても、現実世界でうまくいくとは限らない”。

ロボットのセンサーやスキルを現実世界の状況でテストすると、エンジニアたちが取り組むべき新しい知見と大量のデータが得られる。たとえば、完全に暗い環境でもレーザーを利用する画像タスクなら行えるが、大量の水蒸気や煙が充満していたらどうか? ANYmalは、そんな環境でも正しい感知能力を発揮できなければならない。それが、最初からの設計目標だった。

ETH Zurich / Daniel Winkler

彼らはまず、脚にセンサーを付ける方式を試した。良い結果とまずい結果の両方が得られた。次に試したのが、ANYmalが手のひらを壁に触れてボタンを見つけたり、温湿度や壁の質感を得る方法だ。この方法は、操縦者の即興や機転が必要で、完全自動化にはほど遠かった。まず、ロボットにやらせることを、リストアップしよう!。

下のビデオで、チューリッヒの地下を旅する下水道検査官ANYmalをウォッチできる。

画像クレジット: ETH Zurich

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

国際宇宙ステーション(ISS)の新型ロボットは宇宙を浮遊するAlexaみたいでヤバイな

Cimonをご紹介しよう。3Dプリントで作ったこの浮遊するロボットは、AirbusがGerman Space Agency(ドイツ宇宙局)のために作ったものだ。彼は6月から国際宇宙ステーションのクルーだが、Gizmodoによれば、彼の活躍が一般公開されるのはこれが初めてだ。

実はこの、IBM Watsonで動いている浮遊する顔型ロボットは、宇宙における人間と機械の対話を研究する役目を担う、ものすごく高価なAmazon Echoを思わせる。下のビデオは主に、CimonとEuropean Space Agency(EU宇宙局, ESA)の宇宙飛行士Alexander Gerstとの対話を映している。

Gerstが彼の“好きな曲”をリクエストすると、CimonはKraftwerkの“Man Machine”をかける。すると宇宙飛行士は彼と‘握手’する。そしてロボットに、ビデオを撮るよう要求する。Cimonはそれにも成功するが、明らかに曲の中断にとまどっているようだ。二人の共同作業チームの、ちょっと荒っぽい出会いでした。

“彼の最初の出番には満足している。CimonのデベロッパーとAlexanderは二人とも、Cimonがまた仕事に戻ってくることを期待している”、とESAは言っている。“このHorizonsミッションの現段階では今後のセッションは予定されていないが、宇宙飛行士とロボットアシスタントとのすばらしいコラボレーションの始まりを告げたと言える。人工知能の、宇宙におけるあり方の好例だろう”。

次回は、ものごとがもっとスムーズにいくと良いね。絶対にやってはいけないのは、宇宙ロボットを怒らせることだぞ。

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Toyotaの人型ロボットT-HR3はDocomoの5Gで遅延のないリモコンができる

ToyotaがT-HR3を世界に披露したのは、昨年のちょうど今ごろだ。このヒューマノイドロボット(人型ロボット)は、“Pacific Rim”など、いろんなSFシリーズに出てくる半電動の人の動きを模倣できる。このロボットはこれまでの1年間でいくつかの新しい芸を学んだが、中でもすごいのは、コントローラーをケーブルでつながずに、5Gからコントロールできることだ。

その次世代ワイヤレス技術を使って操縦者は、最大10キロメートルの遠距離からロボットをリモコンできる。ただしプレスリリースとその画像ではそうだが、デモはケーブルを付けたロボットで行われた。しかし日本のキャリアDocomoの5Gを使うと、遠距離からこのロボットを、低いレイテンシでコントロールできる。

でもこんなロボットが、小さな怪獣をやっつけること以外の、何の役に立つのだろうか? Toyotaがねらっているのは、家庭用とヘルスケアだ。同社は、“モビリティによってより豊かになる社会”をビジョンしている。

しかしこれは、ロボット本体だけでなく、次世代ワイヤレス技術‘5Gで何ができるか’のデモとしても優れている。今や世界中のネットワーキング企業が、スマートフォンやコンピューターを超える、5Gならではの新しい技術機会を探している。来年初めに東京で行われるDocomoのイベントには、このロボットも当然‘出演’する。

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Amazonがロボティクスのテスト&シミュレーションプラットホームをクラウドサービスとして立ち上げ

AmazonのデベロッパーカンファレンスRe:Inventの週は、AWS RoboMakerのローンチで口火を切った。このクラウドベースのシステムは、すでに広く普及しているオープンソースソフトウェアRobot Operating System(ROS)を利用して、デベロッパーがロボティクスアプリケーションを開発しテストするための場を提供する。

RoboMakerは、通常長時間を要するロボティクスの開発工程の、スピードアップを可能にするプラットホームだ。このサービスが提供するツールには、実際のロボティクス開発をシミュレーションするためのAmazonの機械学習技術やアナリティクスが含まれる。

このシステムは、倉庫作業用のロボット集団のような、整列的な作業を行なうロボット群の展開管理にも利用できる。

同社の声明文に曰く: “AWS RoboMakerはインフラストラクチャのプロビジョニングを自動化し、オペレーティングシステムのソフトウェアとROSのダウンロード、コンパイル、および構成を行なう。AWS RoboMakerのロボティクスシミュレーションにより、屋内や小売店舗、レース走路など、既存の施設における大規模で並列的なロボティクスのシミュレーションを容易に行える。それによりデベロッパーはアプリケーションをオンデマンドでテストでき、複数のシミュレーションを並列に実行できる”。

このサービスは、Amazonがロボティクスに本格的に注力し始めたことの象徴でもある。同社は前から倉庫用ロボティクスをデプロイしており、それらは今年のホリデーシーズンにも大活躍するだろう。また、フルフィルメントのスピードアップのために荷積みロボットを開発している、との報道もあり、さらに2019年には家庭用ロボットの発売が予定されているという。

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TWIICEの外骨格ウェアラブルロボットは身障者用装具の理想に近づいている

テクノロジーの世界に、“完成された技術”というものはめったにないし、外骨格*もまだ完成にはほど遠い技術だ。それらは、あることはあるけどすべて開発途上であり、高価で、重くて、性能も機能も限られている。そんな中で、ロボットウェアラブルのTWIICEは、ユーザーからの要望を積極的に取り入れて大きく進歩している。〔*: exoskeleton, 日本語Wikipediaでは“パワードスーツ”で載っている。〕

TWIICEがデビューしたのは2016年で、最初はほかのすべての外骨格同様、ビジョンはあるが実体が乏しい、という状態だった。その製品は足の不自由な人のための下半身外骨格で、松葉杖で体を支えながら使用する。理想にはほど遠く、重くて動きもかたいので、まだまだ一般的な普及は難しい。

でもこれまでの2年間で、かなり改良された。重量は前と同じだが、本体の重量はユーザーの負荷にはならないのであまり関係ない。しかし前よりも体重の重いユーザーでも支えられるようになり、モーターから伝わる力も強くなった。そして何よりも、薄型になり、体への馴染みが良くなった。

でも、何より重要なのは、装着と作動をユーザー自身でできるようになったことだろう。そのことを、スイスの元曲芸師で今はハンドサイクリングのチャンピオンSilke Panがビデオでデモしている。彼女は車いすから自分で立ち上がり、外骨格に身を沈め、足と胴体にファスナーを装着、それからデバイスを作動させて直立する。

その後彼女は階段を上がったりするが、ぼくにとっては、見ているだけでも怖い。でも彼女はアスリートだからね。

このように、自分一人で何でもできることは、身体障害者にとって、とても重要だ。そしてTWICEは、まさにそれを目指しているのだ。

この外骨格はまだ、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究プロジェクトだが、もっと完成度が高くなった段階で商品化を予定している。今後ますます多くのエンドユーザーからの要望やフィードバックを取り入れて、改良を重ねていけば、未来のすばらしいバージョンが完成するだろう。

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