米国のAmazon Fire TVに無料コンテンツのタブが登場

ストリーミングプラットフォームのRokuには、映画やテレビ番組を無料で楽しめることで人気のThe Roku Channelがある。AmazonのFire TVプラットフォームにも、これに対抗するサービスが登場した。米国時間5月13日、AmazonはFire TVの「無料」タブを米国で公開した。利用者はここから無料の映画、テレビ番組、ニュースなどのコンテンツを簡単に見つけられる。このタブには、AmazonのIMDb TVやTwitchのほか、TUBI、Pluto TV、Crackle、The CWといった他社のアプリも表示される。

このタブでは、Red Bull、PBS、PBS Kidsなど、無料コンテンツを提供しているほかのアプリも紹介されている。

Fire TVの無料タブの使い勝手は、The Roku Channelとは少し異なる。The Roku Channelは無料でストリーミングできるコンテンツだけに絞られているのに対し、Fire TVの無料タブの一番上には「注目のアプリ」がある。そしてAmazonのアプリであるIMDb TVが先頭に表示されて目立っている。

その後には、コンテンツがテーマごとに整理されて横方向に並ぶ。ここでは新作、トレンド、人気といったカテゴリーで、無料の映画やテレビ番組を利用者に合わせておすすめする。AmazonのFire TV用ニュースアプリの行もある。Amazonによれば、無料タブのコンテンツのほとんどはAmazonのものではなく他社が提供しているものだという。

無料タブにはさらに別のタイプのコンテンツもある。複数のストリーミングサービスから制限が解除されて公開されているコンテンツや、プライムビデオから無料で提供するキッズ&ファミリー向け番組などだ。

Amazonは、IMDb TV、Pluto TV、TUBIなどのアプリを通じてFire TV全体で2万本以上の映画とテレビ番組を無料で視聴できると説明している。ただし無料タブはコンテンツをすべて表示するものではなく、厳選したものだけを表示するという。

無料タブの登場は、AmazonがRokuの無料チャンネルを意識していることの現れだ。Rokuの無料チャンネルはトップクラスの人気チャンネルに成長し、ユーザーにRokuをアピールしている。Rokuは2020年第1四半期の収益報告で、3月末時点で3980万人のアクティブユーザーがいると述べた。一方のAmazonは、1月時点でFire TVのアクティブユーザーは4000万人以上と発表した。つまり両社は、ユーザー数では互角の戦いをしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンが新型コロナ禍の便乗値上げ禁止の法制化を米議会に求める

Amazon(アマゾン)は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの間の便乗値上げに対して何もしなかったとして多くの批判を浴びてきた。同社はおよそ50万件の悪質な品目ページを取り下げるなどしてそれなりの努力はしてきたが、その反応の遅さが批判された。また、需要の多い品目の多くがアフィリエイト経由で売られ続けていた。

しかし米国時間5月13日、同社の公共政策担当副社長を務めるBrian Huseman(ブライアン・フセマン)氏が議会宛ての公開書簡で、全国的な危機の間の価格釣り上げを違法とする法律の策定を議員たちに求めた。その書簡には、すでにそのような法律がある州の例としてテネシー州などが挙げられている。

「価格を釣り上げる悪徳業者の責任を追及しようとするアマゾンの協力的な取り組みによって、1つのことが明らかになりました。消費者を守るには、価格の釣り上げを禁じる強力な全国レベルの法律が必要です」と同氏。「現在、米国の約3分の2の州では、危機的状況下での価格つり上げは禁止されています。しかし、州によって異なる基準は、法の執行に協力して消費者を保護し、法を遵守するために取り組む小売業者にとって大きな課題となっています」と続ける。

アマゾンのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏も、先月の例年の株主宛て書簡でこの問題を取り上げている。「価格釣り上げ対策を強化するためにアマゾンは州の司法長官との特別なコミュニケーションチャネルを作り、消費者の苦情は直ちにアマゾンに伝わるようにしている」と述べた。

確かに同社は部分的な対策努力はしている。同社によれば、米国のストアにおいて4000件近いセラーアカウントをポリシー違反で取り下げたという。しかし需要の多い品目をざっと検索して見ただけでも、かつてはどこででも買えたようなありきたりの家庭用品におそろしい高値が付いている。特に値上げがひどいのは、洗濯や掃除用の製品だ。

メディア支援サービスを提供しているThinknumに頼んで、アマゾンおけるClorox(クロックス)ブランドの製品の昨年後半から本日までの価格の推移をグラフにしてもらった:

地域の小売店の棚ががら空きになれば、生活のためにますますアマゾンが頼りになる。悪質なセラーはそこにつけこもうとする。生活必需品以外の需要の少ない品目にも便乗値上げが伝染して、とくにNintendo Switchなどの製品は関心の増加とサプライチェーンの不具合も絡めて売値が急騰している。

同社が指摘しているように、このようなポリシーを法律で強制することは一種の曲芸にも似ている。 フセマン氏は書簡で「簡単に申し上げると、緊急事態が宣言されたら手を消毒するジェルのPurll(パール)が一瓶400ドルになることを避けたいのです。そして、サプライチェーンの寸断な、やむを得ない事情による値上げは認めなければなりません。しかも、禁則はすべてサプライチェーンのすべての段階に適用され、最終的な売り手だけがメーカーやサプライヤーによる代価の釣り上げをかぶるようであってはなりません」とコメントしている。

画像クレジット: Philippe Lopez/AFP/ Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国12州の州司法長官がアマゾンとホール・フーズに新型コロナ禍の労働環境について公開書簡

Amazon(アマゾン)のCEOを務めるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏とWhole Foods(ホール・フーズ)のCEOを務めるJohn MackeyIn(ジョン・マッケイ)氏に宛てた連名の公開書簡で、米国の12州の州司法長官が、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの脅威の下で働いている労働者の保護を強化するよう求めている。書簡はマサチューセッツ州司法長官であるMaura Healey(マウラ・ヒーリー)氏が執筆し、コネチカット、デラウエア、イリノイ、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、ペンシルベニア、およびD.C.の各州司法長官が署名している。このメンバーは3月にも同様の書簡を送っている。

書簡に付随するプレスリリースでヒーリー氏は「アマゾンとホール・フーズには、新型コロナウイルスパンデミックの間に従業員と顧客を護るための、あらゆる可能な手段を講ずる責任と義務がある。我々は再び両社に呼びかけることによって、彼らが州の法律と国の指導方針を遵守して、危機の間に企業の基盤である労働者の安全を確実に維持するように働きかけたい」。

書簡で強調されているのは、病欠と安全措置、従業員に何かを通告する場合の方法、そして最近相次ぐ世間の注目を浴びるような解雇の問題だ。特に最後の問題は、9名の民主党上院議員による同様の趣旨の書簡を裏打ちするものだ。上院議員たちは「従業員の解雇が危険な労働条件に関して内部告発をしたことへの報復ではないか」と問うていた。

州司法長官たちは 「そのような行為は、もし証明されれば、職業安全健康法11条c項および、一部の州の報復を禁じている法律に違反している可能性がある。この公衆衛生の緊急事態においては、報復と感じられただけでも、健康と安全に関する合理的な懸念を表明しようとする従業員を黙らせる効果があり、これらの社員やその同僚、顧客、および公衆を深刻な危険にさらすものである」と述べている。

この書簡はこれまでより一歩進んで、アマゾンが所有するホール・フーズの行為を別個に取り上げている。具体的には「州司法長官事務所や一般公衆が、これらの深刻な展開をホール・フーズから直接ではなく、メディアの記事から間接的に知っていることは問題である。したがって我々はホール・フーズ自身が、そのポリシーやプロセスの説明を提供するよう求める。特に重要なのは、同社店舗における新型コロナウイルスの状況を消費者や一般公衆、そして公衆衛生当局に通知するために、どのようなポリシーやプロセスが用いられているかである」という内容だ。

アマゾンは、内部告発者を解雇したという説をもちろん否定し「パンデミックの間も従業員が仕事を続けられるための措置を取っている」と主張している。書簡では「アマゾンとホールフーズはともに大きな売上増を経験しているだけでなく消費者が家にいて食料品を買うことが増え、オンラインショッピングにますます頼るようになっている」と結んでいる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazon KendraはAIと機械学習で企業内サイトの検索精度を強化

エンタープライズサーチは常に難題だった。目標は社内用のGoogle検索だ。キーワードを入力すると結果の上位に、常に完璧な結果を得たい。でもローカルな検索ではコンテンツが少ないので、満足な結果を得ることが難しかった。

Google(グーグル)にはWorld Wide Webという大きな宇宙があるが、エンタープライズが得る検索結果はもっと小さい。対象が少なければ理想的な結果を得やすいと思いがちだが、事実はその逆だ。データは、多ければ多いほど目的の情報を得やすい。

Amazon(アマゾン)は、エンタープライズサーチでもウェブのような完全な結果が得られるために、機械学習の導入による検索技術のアップデートを目指している。

米国時間5月11日に同社が一般公開したAmazon Kendraは、同社が昨年のAWS re:Inventで発表したクラウドベースのエンタープライズサーチプロダクトだ。自然言語処理の機能があるのでユーザーは単純に質問を入力でき、すると検索エンジンに接続された複数のリポジトリから正確な答えを見つける。

同社はリリース声明で「Amazon Kendraはエンタープライズサーチをゼロから作り直して、ユーザーは正しいキーワードだけでなく本当の質問を入力して、複数のデータサイロ全域を検索できる。そして内部では機械学習のモデルを利用してドキュメントの内容とそれらの間の関係を理解し、リンクのランダムなリストではなくユーザーが求める正確な答を提供する」と説明している。

AWSはこの検索エンジンを、IT、ヘルスケア、保険など主要な業種分野別にチューンアップしている。年内に対応を予定している業種分野は、エネルギー、工業、金融サービス、法務、メディア、エンターテインメント、旅行とホスピタリティ、人事、ニュース、通信、鉱業、食品と飲料、そして自動車だ。

ということは、この検索エンジンは各専門分野の特殊な用語も理解するので、導入したらその日からすぐに使える。また、会社で作るアプリケーションやウェブサイトにKendraを組み込んでもいい。現在では検索入力に必須ともいえる、入力補助機能(先行入力機能)もある。

エンタープライズサーチの歴史は長いが、今回AIと機械学習が加わったことによって、ついにその最終解が得られたと言えるかもしれない。

関連記事:AWS announces new enterprise search tool powered by machine learning(AWSがエンタープライズサーチに機械学習を導入、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ウォーレン氏やサンダース氏を含む9人の上院議員が労働者の解雇でAmazonに公開書簡

マサチューセッツ州選出の民主党員Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏をリーダーとする9人の上院議員グループが今週、Amazon(アマゾン)のCEO Jeff Bezos氏宛に公開書簡を送り、最近の社員解雇に関する詳しい情報を求めている。その声明は、COVID-19と気候変動に関する同社のポリシーを強硬に批判した4名の従業員の解雇に言及している。

Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏とCory Booker氏、Kamala Harris氏、Sherrod Brown氏、Kirsten Gillibrand氏、Ed Markey氏、Richard Blumenthal氏、およびTammy Baldwin氏らが署名しているその書簡は、次のように述べている:

これら4名のワーカーが、彼らの解雇に先駆けて、Amazonの倉庫における労働者の健康と安全を護るために活動してきたことは、公開されている彼らの履歴において明らかであり、しかし他方には、「内規」への違反に関するAmazonの曖昧な公開声明があるのみである。これらの状況に鑑みわれわれは、その内規なるものが何であるかを正しく知るための、さらなる情報を求めるものである。

書簡は9つの質問を呈示し、BezosとAmazonに5月20日までの回答を求めている。上院議員たちが具体的に指摘しているのは、Christian SmallsとBashir Mohamed、Maren Costa、およびEmily Cunninghamの解雇であり、全員が同社のCOVID-19対応を公然と批判していた、としている。4名の内何名かは、彼らの解雇が内部告発と直接に結びついていると信ずる、と公けに声明しているが、Amazonはそれを断固否定している。

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当時TechCrunch宛ての声明で同社は、「社員の労働条件を批判する権利を、弊社はすべての社員に認めている。しかしそれは、いかなる内規に違反してもよいとする無条件の免罪性を意味するものではない。これらの社員は、内規への違反を繰り返したために解雇した」、と言っている。

5月1日には副社長のTim Bray氏が公然と同社を去り、Amazonはまた一人社員を失うことになった。そしてその日には、国中のワーカーが労働条件をめぐってメーデーのストに参加した。

関連記事: AWSの上級役員で技術者のティム・ブレイ氏が従業員解雇に抗議してAmazonを辞職

Bray氏はこう書いている: 「Amazonの副社長として残ることは、自分が忌み嫌う行為を黙認することになる。だから辞めた。被害者は抽象的な実体ではなく本物の人間だ。名前もある。Courtney Bowden(コートニー・ボーデン)、Gerald Bryson(ジェラルド・ブライソン)、Maren Costa(マレン・コスタ)、Emily Cunningham(エミリー・カニンガム)、Bashir Mohammed(バシル・モハメッド)、Chris Smalls(クリス・スモールズ)だ。全員が非白人または女性またはその両方なのは、確実に偶然だ。そう思いたいね」。

上院議員たちの書簡は、同社における不平等に関するBray氏の懸念を反映するかのように、次のように問うている: 「Amazonでは、技術系労働者と倉庫労働者と役員が規律と解雇に関する同一のポリシーを有しているか?」。

上院議員たちがAmazonに圧力をかけようとしたのは、これが初めてではない。Sanders氏は同社の最低賃金(時給)を15ドルに上げる要求と活動のリーダー格になり、Warren氏は2020年の大統領選出馬にあたって、同社を(GoogleやFacebookなどと共に)分割すべきと主張した。

関連記事: Workers prepare to strike May 1, amid strained pandemic working conditions…パンデミックの労働条件悪化の中で労働者はメーデー参加を準備(未訳)

一方Amazonはこのところ、同社のコロナウイルスへの対応をめぐる論調にとても敏感になっている。Bezos氏の例年の株主宛書簡と同社の決算報告の両方で、それは大きく扱われている。今週初めには、倉庫労働者がまた一人、ウイルス検査で陽性になったあとで死亡した。また4月半ばには、Amazonの少なくとも74の倉庫で一部の労働者が陽性だった。

本誌は、書簡に関するコメントをAmazonに求めている。

画像クレジット: Erin Clark for The Boston Globe/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニューヨーク市にあるAmazonの配送センターの従業員1名が新型コロナで死亡

今週初めにAmazon(アマゾン)は、同社のスタテンアイランドのフルフィルメントセンターのスタッフたちに、1人の従業員が新型コロナウイルス(COVID-19)で亡くなったことを告げた。このニュースは最初にThe Vergeが報じた。その従業員は4月初めに症状が現れ、4月11日に隔離された。彼は職場に戻ってこなかった。

スポークスパーソンはTechCrunchに対して「ニューヨークのスタテンアイランドの職場で1人の同僚を失ったことを、私たちは深く悲しんでいる。彼の家族と愛する人びとも今私たちの思いの中にいる。そして私たちは、彼の仲間の同僚たちも支援している」と語っている。

アマゾンによると、同社はスタテンアイランドの施設の個々の問題が直接関連しているとは考えていない。同社によると、その従業員は倉庫で働く他の従業員と接触していなかったという。

必須のサービスに分類されているアマゾンは、当地における在宅命令中でも操業停止していない。CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が保有するWashington Post紙は4月半ばに、アマゾンの少なくとも74の倉庫とフルフィルメントセンターでウイルス陽性の検査結果が出たと報じている。3月の終わりごろにはカリフォルニア州ホーソーンの同社施設で1人の従業員が、症状が出てから数日後にウイルスで死亡した

関連記事: ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

同社は、従業員たちが自宅にいる消費者のために商品をパッケージして発送する際、ウイルスの拡散を防ぐための正しい保護対策を採っていないと批判されている。アマゾンは同社の声明とジェフ・ベゾス氏の株主宛書簡の両方で非難をきっぱりと否定し、同社は安全措置を講じておりアマゾンの従業員専用の検査施設を建設する計画だ、と述べている。

同社は3月半ばにスタテンアイランドのワーカーが検査で陽性になった後、ガイドラインの提供を開始した。しかし何人の従業員が検査で陽性になり、何人がウイルスで亡くなったのかは明らかでない。

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同社は金曜日のメーデー抗議集会で標的になった著名なリテイラー数社のひとつだ。そして先日には、副社長のTim Bray(ティム・ブレイ)氏が、同社が複数の内部告発者を解雇したことに抗議して退社した

スタテンアイランドの大型施設JFK8は、ニューヨーク市にサービスを提供するアマゾンのハブだ。同施設はパンデミックの間に、アマゾンの複数の抗議活動の焦点になっていた。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSの上級役員技術者が社員の解雇に抗議してAmazonを退社

Amazon(アマゾン)では、メーデーのストライキに参加するために病欠をした労働者が多かったが、その中でTim Bray氏は、彼の同社での最後の日を過ごしていた。Amazon Web Servicesの副社長で「勲功技術者」(Distinguished Engineer)の称号を持つ」彼は今日(米国時間4/29)、5月1日はこのリテール大手における彼の最後の日であると発表し、批判的な発言をする社員をAmazonが解雇したことに言及した。

XMLの共同作者としていちばんよく知られていると思われるBray氏は、Amazonで5年あまりを過ごし、その前はGoogleとSunに在籍した。自分の記事の中で彼はAmazonを「これまでで最良の職場」と呼び、そのあとで、労働運動を組織したEmily Cunningham氏とMaren Costaly氏が解雇されたことを忍耐の限界と指摘している。

関連記事: アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

Costa氏とCunningham氏は、解雇がAmazonの環境に関する履歴やCOVID-19の危機の間における従業員の取り扱いを批判したことと直接関連していると述べているが、当然ながら同社はその関連を否定して、「われわれはこれらの社員を内規違反を繰り返したために解雇した」と言っている。

[Tim Bray: 金曜日はAmazonにおける私の最後の日だった。[サーバーがちょっとオーバーヒートしてるが、放っておこう。すぐ終わるから。]]

Bray氏はどうだったかというと、彼は公式のチャネルを通じて自分の懸念を述べたが、結局は辞めることになった、と言っている。

Bray氏はこう説明している: 「そうなった以上、Amazonの副社長として残ることは、自分が忌み嫌う行為を黙認することになる。だから、辞めた。被害者は抽象的な実体ではなく本物の人間だ。名前もある。Courtney Bowden、Gerald Bryson、Maren Costa、Emily Cunningham、Bashir Mohammed、Chris Smallsなどなど。全員が非白人または女性またはその両方なのは、確実に偶然だ。そう思いたいね」。

関連記事: Workers prepare to strike May 1, amid strained pandemic working conditions…パンデミックの不当な労働条件で5月1日に労働者たちがストを計画(未訳)

Bray氏の記事は、彼が役員として仕える企業の公正でない権力構造の告発だ。その記事は主に、全世界のAmazonの倉庫における措置にフォーカスしており、COVID-19への対応と、同社が間違いなく一つの役を演じてきた後期資本主義に関する広義の不平や苦情の両方に関わっている。彼はその措置を、彼自身がそれまでいた事業部であるAWSと比較している:

私が働いたAmazon Web Services(同社の「クラウドコンピューティング」部門)は、それとは全然違う。そこは労働者を人間的に扱うし、ワーク/ライフバランスにも努め、ダイバーシティの針を動かそうと苦労している(ほとんど失敗だがでもどこでもそうだ)。そして、大体のところ、倫理的な組織だ。私はそのリーダーシップを心から賞賛している。もちろん、ワーカーたちには力がある。平均給与はきわめて高く、気に入らない者はその日のうちに別の会社で、同額かまたはそれより高い給与の仕事を得られる。

Amazonは、コメントを拒否した。

画像クレジット: ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSが放送局級のライブ配信が可能になるデバイス「Elemental Link」をリリース

米国時間5月4日、AWSはElemental Link(日本語ページ準備中)を発表した。これはポータブルな動画圧縮、アップロード用ハードウェアデバイスで AWS Elemental MediaLive サービスと組み合わせて誰でも手軽に放送局レベルの高品位なライブ動画配信が可能となる。重さは500g、価格は995ドル(約10万6000円)で、カメラに接続すると動画にリアルタイムで強力な圧縮をかけてAWSのライブ配信サービスにアップロードする。

デバイスはファンレスなので耳障りな作動音はなくカメラの横に置ける。Etherntに加えてビデオ信号の入力用にHD-SDIとHDMのポートがある。LinkはAWSのライブ配信サービス、Elemental MediaLiveにライブ動画を供給するデバイスで、デバイスは接続速度を検出して最適なデータ出力を行う。AWSの管理コンソールからリモートで操作できる。

AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏は発表で「放送局のような環境であれば、専用のハードウェアとエンジニアのチームが極めて高い水準でビデオのキャプチャ、エンコード、ストリーミング、保存を行う。しかし学校の授業、企業のプレゼンやカンファレンス、インディーのパフォーマンス、小規模なスポーツイベントなどでは、ハイエンドのビデオをライブ配信する予算やノウハウがないのが普通だ。高品質な動画を高い信頼性でストリーミング配信するにはこれまでは専用のハードウェアと操作が複雑なソフトウェアのインストールが必要だった」と説明する。

AWSは クライアントにネットワーク局を持つだけなく、最近人気が急上昇しているゲームビデオのTwitch TVの配信もホストしており、ストリーミングの経験は豊富だ。

もちろんLinkデバイスのターゲットは個人のゲーマーではなく高品位で安定したビデオ配信を必要とする企業などの組織だ。AWSのElemental MediaLiveサービスはTwitchのような一般ユーザー向けストリーミングプラットフォームよりは操作は複雑だ。また複数のカメラやパソコンなどビデオソースを切り替えながらライブ配信をしようとすれば、Open Broadcaster SoftwareのOBS Studioのようなソフト、BlackmagicのATEM Miniなどのハードが必要になるだろう。

Linkからインターネット経由でアップされたビデオはMediaLiveが処理し、外部の各種ストリーミングサービスに適したフォーマットで出力することになる。バー氏によれば、AWSはリソースのモデル化テンプレートを提供するCloudFormationを利用して簡単にこの設定が行えるよう準備をしているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

パンデミックが吉と出たクラウドインフラストラクチャのベンダーは売上が急増

企業のクラウドへの移行が安定的な動きとして始まっていたのは、COVID-19の影響よりも前からだと言っても過言ではない。それは2019年のRe:inventのキーノートでAndy Jassy氏が言ったように、AWSにとって十分な速さではないかもしれなかったが、でもそれが起きていたことは事実であり、クラウドインフラストラクチャの市場全体が売上の着実な増加を経験していた。

市場の主な選手たちの至近の四半期の決算を見ると、パンデミックと経済の低迷で成長が鈍化した気配もない。むしろそれは、成長に貢献しているのかもしれない。

Synergy Researchが発表した数字によると、クラウドインフラストラクチャの全体の市場規模は2020Q1で290億ドルである。

画像クレジット: : Synergy Research

長年この市場をウォッチしているSynergyのJohn Dinsdale氏によると、パンデミックはささやかながらその成長に貢献している。数字は伸びても企業が無傷であるわけではないが、でも企業がオペレーションをオフィスからシフトしていることも、第一四半期にクラウドの需要が増加した一因と思われる。

Dinsdale氏は、声明で次のように述べている: 「確かに、パンデミックはクラウドのプロバイダーにとっても問題だが、この先の見えない時期にあってパブリッククラウドは、正常なオペレーションを維持しようとして苦労しているエンタープライズに柔軟性と避難場所を提供している。クラウドプロバイダーの売上は目を見張るほどの成長率で伸びており、AWSとAzureを合わせた年商は600億ドルを優に超える勢いだ」。

100億ドルあまりの四半期売上で市場の1/3を支配するAWSが先頭を走り、マーケットシェアでは他の追随を許さない。二位のMicrosoft(マイクロソフト)は59%という急成長を見せ、市場の18%を握っている。数字を公表しないMicrosoftに代わってSynergyの試算によれば、Azureの四半期売上は52億ドルだ。一方Googleは、28億ドルで三位である。

それぞれ国内のマーケットシェアはAWSが32%、Microsoftが18%、Googleが8%だ。これらの比率はかなり安定しているが、しかしMicrosoftはここ数四半期の間に数ポイントを稼ぎ、成長率ではAmazonを上回っている。

関連記事: AWSのQ1は売上は1兆円を突破し年商4兆円超が視界に

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米下院司法委員会がAmazonのベゾス氏に不当競争問題について証言を要求

Amazonに難題が持ち上がった。米下院の重要な委員会がAmazonに不当競争行為があったのではないかと疑っている。

先週、5月1日に下院司法委員会はAmazon創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に超党派で書簡を送った。これはベゾス氏に対して、自身の以前の発言とWall Street Journal(WSJ)の最近の記事との矛盾について説明を求めるものだ。この書簡はAmazonが自身のデータベースからサードパーティーのビジネスやプロダクトに関する情報を収集し、Amazonブランドの競合プロダクトを開発するという慣行を特に問題にしている。

WSJの記事は「Amazonは自社ブランドのプロダクトを製造、販売する際、自身のプラットフォームでサードパーティのマーチャントから得た競争上の秘密と考えられるような情報を使用していないと議会その他に対して主張してきた」と述べている。

しかしWSJは多数の元社員から得た文書やインタビューによって、Amazonがこうした情報を利用してきたことを発見した。同社はビジネス上で最も有望な製品のジャンル、価格、機能などを決定するにあたって競合プロダクトの情報を参考にしていたと指摘している。

下院司法委員会は書簡で、過去のビジネス慣行に対する委員会の質問に対してベゾス氏は「誤解を招き、あるいは犯罪を構成するような虚偽ないし宣誓違反の証言をした」疑いがあるとしている。

さらに委員会は書簡で「当委員会の本来的活動の一環であるデジタル市場における競争の実態を調査、認識する作業にあたって、Amazonのデジタル市場での競争慣行についての質問に同社が正しく回答することは不可欠だ」と述べ、必要であればCEOに対して召喚状を発行するとしている。

新型コロナウイルス危機は米国のハイテク企業に対する規制強化の動きにある程度ブレーキをかけた。しかし今回の司法委員会の書簡は、我々の生活が大混乱に陥っている中でも、多くの議員が依然としてハイテク企業の責任に強い関心を抱いていることを明らかにした。

以下のScribdで書簡の全文を読むことができる。

画像クレジット:David Ryder / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSのQ1は売上が100億ドルを突破し年商400億ドルが視界に

Amazon(アマゾン)のクラウド部門であるAWSは、それ自身単独でも相当成功している。今日(米国時間4/30)の同社の発表では、四半期売上が100億ドルを突破し、このクラウド事業の年商は400億ドルを超える見通しとなった。

それは純利益が前年同期より10億ドル減って25億ドルになったAmazonの決算報告の、明るい側面だ。

多くの企業がAmazonのビジネスの全体を見ようとするが、しかしAWSは2006年にAmazonのサイドビジネスのようなものとして始まり、強力な独自のビジネスへと成長した。ただし、今なお33%の成長率で活発に成長しているが、そろそろ大数の法則が働き始めてやや鈍化してきた。

関連記事: Amazon Q1 beats on net sales of $75.5B but posts net income of $2.5B, down $1B on a year ago…Amazonの2020Q1は売上好調で利益はダウン(未訳)

Microsoftの昨日の決算発表によるとAWSのライバルAzureは59%も成長したが、率ではなくマーケットシェアの絶対額では、先頭馬のAWSが相変わらず強い。

BloombergのJon ErlichmanがAWSのQ1の売上を過去7年ぶん、ツイートで羅列している。それを見ると、AWSの成長のすさまじさがよく分かる:

2014年には、それは年商ほぼ40億ドルのビジネスだった。今年はその10倍近くになり、まだ成長はやまない。市場がまだまだ大きいから成長の余地が十分にある。今はパンデミックとそれによる経済の停滞にみんなが悩んでいるが、実は経済の低迷は企業をクラウド化へ向かわせる強力な動機になる。それまでクラウドを考えもしなかったような企業ですら、迅速な移行を検討する。

パンデミック好機説はすべてのクラウドベンダーについて言えることだが、経済が縮小すればむしろ、これらのベンダーが提供するサービスの需要が高まり、そのため当面の間、成長が続くのだ。

関連記事: AWS is sick of waiting for your company to move to the cloud…AWSは一般企業のクラウド化に未来を賭ける(未訳)

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニューヨーク州司法長官がAmazonのCOVID-19対策を「不適切」「ぞっとする」労働方針と呼ぶ

報道によると、ニューヨーク州の司法長官事務所がアマゾン(Amazon)に送った厳しい内容の書簡で、同社がCOVID-19パンデミックに際して採った措置は「きわめて不適切で、労働安全衛生法(Occupational Safety and Health Act)のいくつかの規定に違反しているおそれがあり」、そしてまた、率直な発言をする労働者を解雇したことは「他の社員への脅しのメッセージ」を送っている、と述べている。

その、まだ公開されていないがNPRが入手した書簡は、本誌も今司法長官事務所に確認を求めているが、情報のみで法的行為は含まれていない。しかしその言葉は、次のステップが法的行為であるかのような、厳しさに満ちている。

今調査を継続しているが、これまでに得た情報からは、COVID-19パンデミックに対して採ったAmazonの健康と安全に関する措置がきわめて不適切で、労働安全衛生法の複数の条項に違反しているおそれがあるとの懸念を喚び起こすものである。

これらはまさしく、過去2か月にわたって多くの倉庫労働者が指摘した懸念だ。自分が働いている施設の労働条件について抗議したChris Smallsは、3月に解雇された。

—ツイート訳—
[ニューヨーク州司法長官事務所James: パンデミックのさなかにChris Smallsと彼の同僚たちは、社員保護の欠如に勇敢にも抗議し、そして解雇された。現在すべての法的オプションを検討中であり、労働関係局に調査を求めている。Amazonよ、恥を知れ。]
[フィナンシャル・タイムズDave Lee: Amazonはスタテンアイランドのフルフィルメントセンターで抗議活動を組織したChris Smallsを解雇したが、解雇理由は社会的距離への違反と他の社員を危険にさらしたこと、としている。]

Amazonは、Smallsは労働者を 扇動したから解雇されたのではない、と言っている。しかし報道によると、Jeff Bezosが同席する会議で同社の法務部長が、「いつも話題になる労働者の安全の問題」に彼を結びつける前に、彼を「組合結成と労働者組織化運動全体の顔に」してしまえ、と示唆した。

(Amazonはこれらのコメントが言われたことを確認も否定もしなかったが、言ったとされる当人のものか不明な謝罪文を送ってきた。)

2週間後にはさらに、発言の多い2人の社員が、「数度にわたる内規違反」で解雇された。当然ながら、その理由付けはいつもどおりだ。

ニューヨーク州司法長官事務所の書簡は、「不法な報復」の可能性を調査中と言い、その根拠を次のように述べている:

Smalls氏の解雇のあと、多くの労働者が、彼らの懸念について発言することを恐れるようになった、と伝え聞いている。これは、パンデミックの間に送るメッセージとしては特別に危険であり、健康と安全に関する社員の発言を抑えることは、文字通り生と死を分かつ問題である。

Amazonはいつものように、同社は労働に関しては模範生だ、と抗議している。つまり同社はいつものように、Smallsのような労働者の言うことに矛盾している。彼らはその労働の現実を同社の倉庫で実際に体験したのだ

AmazonはNPRに対しても、いつもの論点を繰り返している: 「Amazonの健康と安全について他と比較することを、全員に奨励している。危機に際しての対策の実装の速さも、他のリテイラーと比べていただきたい」。司法長官は、同社のこの誘いに乗る気のようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonが悪徳業者追放のためビデオ会議で出店業者の身元確認をテスト

Amazonは2020年4月26日、ビデオ会議を使って出店業者の身元確認を行う新システムのテストを開始すると発表した。この方法は、自社プラットフォーム上の詐欺対策として出店者の身元確認を行うAmazonの一連の取り組みの中のひとつだ。これにより2019年には250万件の怪しい業者によるAmazonでの製品販売を阻止できたと、同社は主張している。

2020年の初め、Amazonは実際の面接で出店業者の確認を行うテストを開始した。だが、新型コロナウイルスの大流行と社会的距離の確保要請のために、2月からリアルタイムのビデオ会議に切り替えたという。

この試験プログラムは現在、米国、イギリス、中国、日本の市場で実施されている。今日までに、1000件を超える出店業者がこの試験的な審査によるアカウント登録に臨んだと、Amazonは話している。

出店業者の審査では、Amazonの担当チームがビデオ会議を立ち上げ、個人IDが本人と一致するか、提出された申請書の内容が正しいかを確認する。またAmazonでは、第三者の情報源を使った追加確認も行う。さらにこのビデオ会議では、業者の登録に関して問題があればそれを伝え、解決法の指導にも利用される。

「Amazonは、誠実な起業家が滞りなく販売アカウントを開設し事業が始められるよう、出店業者のエクスペリエンス向上に努めると同時に、悪徳業者のブロックも積極的に行っています」と、Amazonの広報担当者は今回の新しい取り組みについて述べた。「私たちは社会的距離の確保を実施しているため、出店を望む業者の確認をビデオ会議で可能にする方法を試しています。この試験運用により、私たちは出店を望む業者と個別につながることができると同時に、不正な業者はますます隠しごとがしにくくなります」とのことだ。

ビデオ会議に加え、独自の機械学習システムを使用して、出店前の業者の確認を行うとも同社は話している。このシステムは、数百種類ものデータポイントを分析して潜在的リスクを特定する。例えば以前にAmazonから排除されたアカウントとのつながりはないか、などだ。さらに承認までの間に、熟練の調査員による申請書類の審査が行われる。

だがこの出店業者の確認は、Amazonが行ってきた詐欺対策の1つに過ぎない。

業者が偽商品を売りまくり消費者をだますという深刻な問題は、オンライン通販サイト全体を悩ませ続けているNike(ナイキ)Birkenstock(ビルケンシュトック)のように、そこまで苦労してAmazonで販売する意味はないと判断した業者もある。

詐欺問題を避けているとして、Amazonはずっと以前から非難されてきたのだが、つい最近になって数十億ドル(数千億円)を投じてこの問題に対処することを誓った。不正な販売業者や偽商品の販売業者を相手取り、法廷闘争にも打って出た。

例えば2018年にはファッションデザイナーのVera Bradley(ヴェラ・ブラッドリー)と、モバイルアクセサリーのメーカーOtterbox(オッターボックス)と共同で、偽商品に関する3つの訴訟を起こしている偽レビューを購入している出店業者と、偽レビュー産業に携わる業者に対しても訴えを起こした。

2019年にAmazonは、Project Zero(プロジェクト・ゼロ)の展開を発表し、Amazonの詐欺との戦いを支援する数々のツールのブランドへの提供も行っている。ブランドはロゴ、登録商標、その他の重要なデータをAmazonに任意で提供すると、それを使ってAmazonは、販売されている無数の製品から偽物と疑わしき商品を、より積極的に抽出できるようになる。

もうひとつのツールにシリアライゼーションがある。製造段階で各製品に一意のコードを与え、後にそのコードをスキャンすれば正規品だと確認できるというものだ。「トランスパレンシー(透明性)」と名付けられたこのツールは、2019年夏にヨーロッパ、カナダ、インドの市場にも拡大された

しかしこうした初期の取り組みと違うのは、出店業者の確認は一旦販売リストに掲載された後の商品の削除や、不正商品の消費者への発送を止めるだけではない点だ。そもそも、販売リストに掲載される不正商品を減らそうという試みなのだ。

画像クレジット:Beata Zawrzel / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

SaaSアプリケーションとAWSサービスをデータフローで統合するAmazon AppFlowがローンチ

AWSが今日(米国時間4/22)、Amazon AppFlowローンチした。それはAWSとGoogle AnalyticsやMarketo、Salesforce、ServiceNow、Slack、Snowflake、ZendeskなどなどSaaSアプリケーションとの間の、データの移送を容易にするサービスだ。同様のサービスとしてMicrosoft AzureのPower Automateなどがあり、いずれも何らかのイベントをトリガーとして、一定の時間に、またはオンデマンドでデータの伝送を開始する。

しかし競合製品とやや違ってAWSはこのサービスを、ワークフローを自動化する方法としてよりもむしろ、データ伝送サービスと位置づけている。そしてデータフローは双方向が可能だが、AWSの発表は主に、SaaSアプリケーションからそのほかのAWSサービスにデータを送ってさらに分析する、という使い方にフォーカスしている。そのためにAppFlowには、伝送時にデータを変換するさまざまなツールがある。

AWSの主席アドボケイト(advocate, 製品推奨係)Martin Beeby氏が、今日の発表で次のように述べている: 「デベロッパーはSaaSアプリケーションとAWSのサービスの間でデータを受け渡して分析するために、大量の時間を費やして両者の統合のためのコードを書いている。それはとても高くつく仕事であり、数か月かかることもある。データの要求が変われば、そうやって書いた統合に、さらに高くつく複雑な変更を加えなければならない。技術的リソースが十分にない企業は、アプリケーションのデータを手作業でインポートしエクスポートしているかもしれない。それもまた時間がかかるし、データ遺漏のリスクがあり、人的エラーも入り込む」。

データのフローは、ソースのアプリケーションを呼び出してデスティネーションのAWSサービスに送る場合、AppFlowの料金体系では1フローにつき0.001ドルだ。しかし通常のAWSの使い方では、データ処理のコストもある。それは、1GBあたり0.02ドルからだ。

AWSの副社長Kurt Kufeld氏は次のように言う: 「弊社の顧客は、データの保存や処理や分析はAWSでやりたい、と言う。彼らはまた、サードパーティのさまざまなSaaSアプリケーションも使っていて、AWSとそれらのアプリケーション間のデータフローを管理するのが難しい、とも言っている。Amazon AppFlowは、AWSとSaaSアプリケーションのデータを、オープンで公共的ネットワークであるインターネット上で移動せずに、直感的なわかりやすいやり方で結びつける。Amazon AppFlowを使えば、企業のすべてのアプリケーションに散在する数ペタバイト、ときには数エクサバイトものデータをAWSに持ち込むことができ、しかもそのためにカスタムのコネクターを開発したり、APIとネットワークの接続性を管理する必要もない」。

サポートされているサービスはまだ比較的少なく、ソースが14、デスティネーションが4(Amazon RedshiftとS3、Salesforce、Snowflake)だ。デスティネーションとして、AmazonのストレージサービスS3しかサポートされていないソースもある。

もちろん、統合の数は今後増えるだろうが、今のところはサポートされるサービスがもっと多くなることを、AppFlowのチームの努力に期待したい。

AWSは長年、この市場を競合他社に譲ってきたが、しかしそれでも、AWSの複数のサービス間のサーバーレスのワークフローを作るツールAWS Step Functionsや、複数のアプリケーションをこれもサーバーレスで接続するEventBridgeなどがある。サポートされているサードパーティのソースは、今のところEventBridgeの方が多い。でも名前にEventがあるように、これはAWSでイベントをトリガーすることが主で、アプリケーション間のデータ伝送がメインではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アマゾンの社員が新型コロナ下における労働条件でさらなる抗議活動を計画

在宅命令で世界の大部分が一時的に休止している中で、Amazon(アマゾン)は動き続けている。スーパーマーケットやドラッグストアへ行くという日常的な用事すら危険になっているため、米国でも海外でも、この小売大手が多くの人びとにとって必要不可欠なビジネスだ。

同社は多くの人びとに生活必需品を提供し続けているが、現在はその労働政策にも光があたっている。それはAmazonにとって初めてのことではない。同社は一貫して、新型コロナウイルスパンデミック間の公正と安全を欠く労働条件という示唆をはねつけてきたが、労働者たちは今週、同社の労働政策に対する大規模な抗議活動を計画している。

労働者たちの権利団体United for Respect(尊敬のための団結)によると、Amazonの50の事業所から300名あまりの従業員が抗議活動に参加する。同団体の趣意書によると、「新型コロナウイルスのアウトブレークに対するAmazonの対応は、Amazon社員の生命を増大したリスクと曝露にさらした」とし、多数の事業所で従業員がウイルスに感染したことを挙げている。

同団体が求めているのは、確認された新型コロナウイルス発症者に関する透明性と、衛生条件の向上、そして関連する社員福利の拡充だ。例えばそれは2週間の有給病休や、パートタイムやドライバーなど正社員でない労働者の健康の確保となる。

TechCrunchに送られてきた書面において、Amazonはこれらの主張を強く否定している。同社は、抗議声明を大げさと表現し、かねてからの主張を繰り返した。

AmazonのスポークスパーソンであるLisa Levandowski(リサ・レヴァンドウスキ)氏は 「複数の労働組合が組織した本日のイベントへの社員参加記事は、著しく誇張されている。本日既に25万人あまりが出勤しており、先週よりもむしろ多くの人びとが彼らのコミュニティ(担当地区)に奉仕している。この時期の彼らの努力に大きく感謝し、また誇りに思っている。組合の組織者たちの主張もまったくの嘘だ。真実はマスクや検温、手洗い、休憩時間の増加、昇給などが弊社全体のスタンダードであり、社員の健康と安全には常に深く配慮している。この危機においてAmazonが採っている健康と安全に関する措置を、他のリテラーとぜひ比較していただきたい」と述べている。

先週はさらに2人の社員が、Amazonのポリシーを公の場で批判したとして解雇されたという。3月には、スタテンアイランドの社員が労働条件を批判して解雇された。

Amazonは関連性を否定している。同社は「雇用主の労働条件を批判するすべての従業員を我々はサポートする。しかしそれは、社内のポリシーの何に違反してもよいとする全面的な免責ではあい。これらの社員は社内のポリシーに繰り返し違反したため解雇した」という。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

個人の違法解雇につながる?雇用主は従業員に新型コロナテストを実施できるのか

Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が先週株主に送った毎年恒例のレターでは、当然のことながら新型コロナウイルス(COVID-19)について多く割かれていた。同氏はパンデミックを克服するためのさまざまなレベルでの取り組みを示した。その中には、従業員向けテストラボの設置が含まれていて「症状がない人を含め、全Amazon従業員を定期的に検査する」と書かれていた。

Amazonが、熱やその他の新型コロナ特有の症状がある従業員にテストを行うというのは既知の事実だ。結局のところ、同社は米国やその他の多くの国にとって小売を支える主要企業の1つだ。ウイルスが小包経由でうつされるとは考えられない、と世界保健機関(WHO)は述べたが、その一方でウイルスが倉庫内でかなり早く広まる可能性がある。

しかし症状のない従業員をテストするというのは、テストキットが限られているため、緊急性は低い。しかし、WHOやCDC(米疾病予防管理予防センター)、他の機関がそろって指摘しているように、症状がなくてもウイルスを運ぶことは大いにあり得る。この事実が新型コロナをより恐ろしいものにしている。

テストが広く利用できるようになったら、実際のところ、症状があるかないかにもかかわらず雇用主が従業員にテストを行えるのかをはっきりさせることが重要になる。公共の安全と個人の権利を考慮しなければならない大事な問題だ。

米雇用機会均等(EEO)委員会は、障害を持つアメリカ人法(ADA)のもとに雇用主向けのガイドラインを積極的にアップデートしている。

ADAとリハビリの法律を含むEEO法は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック時でも適用される。しかし、CDCや州・地方の公衆衛生機関が雇用主向けに出している新型コロナウイルスに関するガイドラインや提案を雇用主が守ることを妨げない。雇用主は、新型コロナウイルスパンデミックが広がるにつれ、公衆衛生当局が出すガイダンスが変わり得ることを考慮すべきだ。ゆえに、雇用主は職場の安全性維持に関する最新情報を引き続きフォローする必要がある。

パンデミックに対応するためにアップデートされたものの1つが、体温チェックを含むスクリーニングだ。「パンデミックの間は、ADAが適用される雇用主は従業員にパンデミックを起こしているウイルスによる症状があるかどうかを尋ねることができる」と米雇用機会均等委員会は続ける。「新型コロナウイルス感染症に関しては、症状として発熱や悪寒、咳、息切れ、喉の痛みなどが挙げられる。雇用主はADAに従って従業員の病気についての全情報を機密の医療記録として扱わなければならない」。

我々は、雇用と商事の訴訟を専門とするDebevoise & Plimptonの弁護士、Tricia Bozyk Sherno(トリシア・ボジック・シェルノ)氏に質問をぶつけた。

「既存従業員の場合、健康調査や検査は、特定の従業員がその健康状態によって『直接的な脅威』になると雇用主が合理的確信を持つ場合のみ許される」とシェルノ氏は説明する。「新規従業員に関しては、仮雇用契約のあとで雇用主が健康調査を実施することをADAは認めている。しかし個人が働き始める前に受ける検査は、同じ部門の従業員に提供されているものと同一のものでなければならない。既存のEEOCガイダンスが想定している主な『健康調査』は体温測定だ。参考ガイダンスでは新型コロナウイルス感染症テストについてまだ言及されていない」。

テストに関する現在のルールは、直近のガイドラインのもとでは完全に明確ではない。ただ、テストが広く受けられるようになり、また州政府が外出規制を緩和し始めているため、今後ルールがはっきりすると思われる。パンデミックがもはや脅威でなくなれば、ガイダンスは適用されないことが予想される。その後、ADAガイドラインのもとに残るものはといえば、新型コロナウイルス感染症のような症状をめぐっての個人の違法解雇だ。

「ADAは障害を持つ個人に対する差別を禁じていて、雇用主にはそうした個人に合理的配慮を提供することを義務付けている。地方自治体の法律が、影響を受けている従業員に追加の保護策を提供するかもしれない」とシェルノ氏は話している。

画像クレジット:zhangshuang / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

事業用不動産は新型コロナ終息後の回復に影

ここ数年の好景気により、事業用不動産のオーナー、不動産業者、土地所有者たちは、年間数千億ドルもの収益を上げてきた。

それが今、新型コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた経済危機で、大打撃を受けている。さらに悪いことに、不動産業界は元に戻れないほどに変わり果ててしまう可能性もある。

今、賃貸料を回収するのは明らかに至難の業である。National Multifamily Housing Councilによれば、米国では、3月5日の時点で家賃を支払えた世帯が81%であったが、4月5日にはそれが69%まで激減した。昨年の同じ時期には82%の世帯が家賃を支払っていたのに、だ。

解雇された人や自宅待機となった人の数が急増したことを考えると、この数は、5月5日までに、ほぼ間違いなく悪化するだろう。

事業用不動産でも、問題は深刻になりつつある。賃料を支払えなくなり、立ち退きを余儀なくされた小売店やレストラン業は数え切れない。さらに、大手チェーンの中にも、賃借料の支払いが困難になったり支払いを拒否したりする企業が増えている。

例えば、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じるところによると、WeWorkは米国にある一部の施設の賃借料を支払えず、リース契約についての再交渉を試みている。とはいえ、WeWorkは自社がコワーキングスペースを提供するテナントには賃料の請求を続けている

StaplesSubway、Mattress Firmも、賃貸料の値下げ、リース契約の修正、新型コロナウイルスの影響で被った損失を埋め合わせるその他の措置を講じるよう建物のオーナーに強く迫るため、賃貸料の支払いを停止したのである。

目まぐるしい変化

一番答えが知りたい質問は、次に何が起こるかということだ。行き詰ってしまった資産を何とかしようと、その方法を探る人たちもいるが、事業用不動産市場が元に戻らないという可能性は非常に高い。

小売業者やレストランが姿を消していく一方で、オンラインで事業を展開する企業の業績は上がっている。Amazonは、悪い評判がないとは言えないが、それでも一日ごとに市場シェアを拡大している。実際、Amazonの時価総額は今週1兆ドルの大台を取り戻した。

数週間前に報じた通り、ストリートウェアのオンライン販売を手掛けるStockXも急成長している。StockXのCEOであるScott Cutler(スコット・カトラー)氏は、その時にこう語っていた。「StockXは、これまでもずっと希少性の高い購買プラットフォームだったが、実際の店舗に行けなくなった今、StockXの利用者はさらに増えている」。

特に、サンフランシスコ、シカゴ、ボストン、ニューヨークといった市場では状況が急速に変化する可能性がある。個人経営の店やレストランがしのぎを削るエリアであったのに、ベンチャー企業の従業員やサラリーマンたちが突然在宅勤務となってその業務形態に順応してきており、消費需要が落ち込んでいるためだ。

Cadenceの創設者兼CEOであるNelson Chu(ネルソン・チュー)氏の例を考えてみよう。Cadenceは、ニューヨークにおいて17人のスタッフで証券化プラットフォームを運営する駆け出しの会社である。最近、400万ドルの資金調達に成功し、先月、住宅地内の物件の賃貸契約を結んだ。その契約では、オフィスを移転できるまでは、賃借料を請求されないことになっていた。

Cadenceにしてみれば、良い条件である。使ってもいない場所の貸借料の支払いを心配しなくて済むのだ。それにもかかわらず、Chu氏は、リモートで働かなければならない状況に追い込まれたことで、自社の業務形態にリモートワークをもっと組み込む余地があることに気づかされたと述べている。

Chu氏は次のように語っている。「これまでリモートワークがビジネスを継続する上で悪影響を及ぼすのではないかと心配されてきた。しかし現在、リモートワークが強いられる中でも、業務には何の支障も出ていない。これは、オフィスの規模を縮小し、州外に住む従業員が毎日出勤しなくても運営が成り立つことを示しているのではないだろうか」。

想像に難くないが、これまでテレワークというトレンドに同調してこなかった他の起業家や経営陣も、Slack、Googleスプレッドシート、Zoomなどのツールを使うようになり、同じ結論に達しつつある。

生き残りをかけて

リモートワークに関するこの新たな可能性は、不動産会社に直接影響する。

事業用不動産向けサービス会社大手のCBREで、調査と分析のディレクターを務めるColin Yasukochi(コリン・ヤスコチ)氏はこう語っている。「リモートワークは現在、その運用が活発に検討されている分野である。今はリモートワークを余儀なくされている状況だが、その働き方を今後も続ける企業が当然出てくるだろう。問題はリモートワークの規模や期間がわからないことだ」。

この状況はもちろん、CBREや他の不動産業界が今年期待していた動向ではない。昨年11月にCBREが発行した「市場展望」レポートの内容はかなり楽観的だった。当時は、「不測のリスクがなければ」と前置きした上で、「活発な経済活動、強固な財務基盤、低金利、資産クラスとしてある程度の魅力が不動産にあること」について考えると、2020年は事業用不動産業界にとって「非常に良い年」になるであろうと推測していたのである。

ご存知の通り、その後の数カ月間に生じた「不測のリスク」により、企業は休業に追い込まれ、産業界のほぼすべてのセクターにおいて一時解雇が余儀なくされている。また、ウイルス感染の本質が明らかになった今、オフィスに再び出勤できるようになったとしても、人が密集する職場に行くことに気乗りしない人が出ることも十分に考えられる。

オフィスに行かずに仕事ができることを知ってしまえば、間違いなくそうなるであろう。

それが、今後のオフィス用スペースの需要減少につながる可能性は高い。そして、減少したのと同じ(またはそれより大きな)スペースが、新たな形体のオフィスに利用されることになるかもしれない。このことは、事業用不動産業者を含め、誰にもまだわからないのだ。

Mark George(マーク・ジョージ)氏はカリフォルニア州サンノゼ在住の仲介業者で、Cresaという事業用不動産会社に勤務している。現在、在宅勤務を行っており、同じく初めてリモートワークを行う妻とオフィスを共有し、子どもたちと一緒に家にいる時間を楽しんでいる。「しかし、特に不動産業では、自宅から出られない状況で業界の動向の変化を把握するのは難しい」と同氏は言う。

ジョージ氏によると、仲介業者は「いくぶん孤立している」。「物件を見せられないので、内見などの仕事はすっかりなくなってしまった。どの地方自治体でも庁舎は閉まっていて許可を得られないため、不動産業界はまさに休業状態だ」とのことだ。

「最終段階まで来ていた取引は」新型コロナウイルスが米国で勢いを増す前に「おそらく契約までこぎ着け」た。しかし「契約成立まであと少しだったが、最終段階とは言えない取引はどうなったかわからない。私が見てきた取引は、全て保留になっている。皆が待機状態に陥っている」と同氏は語っている。

同じくCresaに勤務しており、サンフランシスコ在住のBrandon Leitner(ブランドン・ライトナー)氏も同じように感じており、「取引に急速な動きはない」と言う。それでも、自社がTwitterのような大企業をはじめ、シリーズAラウンドやシードラウンドのスタートアップとも取引があるため、現在の市の外出禁止令が解除され、仲介業者が再び物件を見せられるようになれば、取引は再び活発化するであろうと期待している。

CBREによると、過去数年間、サンフランシスコで商業用スペースは1平方フィート(1000平方cm)当たり88ドルで取り引きされていたが、ライトナー氏は、その価値が「最低でも10%、おそらく20~30%」低下すると予想している。要因としては、市内にある200万平方フィートのスペースを押さえていた複数の企業がそれを手放したがっており、取引が可能になるとすぐにその物件が市場に出回ることが挙げられる。

特に、取引可能な320万平方フィートの商業用スペースがすでにあることを考えると、この数字は大きい。さらに、CBREのヤスコチ氏は、過去6カ月間だけでも「相当」なスペースが市場に上がってきたと述べている。

回復に望みをかける

ライトナー氏が言うように、「市場に上がる物件の数を増やすことを今は控えたい」と言う不動産所有者には、ありがたくない話である。

同氏は、不動産所有者が「現実的」であり、「できる限り譲歩して」踏みとどまり、新たなテナントを募集するようにと提案している。もちろん、できることには限界がある。土地所有者もたいてい負債を抱えているのだ。つまり、業績不振が長引き、オフィス利用者の数が元に戻らなければ、自分たちも苦境を乗り切るのに、金融業者に頼らざるを得なくなるのである。

サンノゼ在住の仲介業者であるジョージ氏は金融業者は投資を保護するためにも、不動産業者に助けを差し伸べるだろうと考えている。連邦準備制度も、銀行に不動産ローンの支払いを先送りする権限を与えることで、不動産所有者が賃貸料の請求を先延ばししやすくする可能性もある。

とはいえ、新型コロナウイルス感染症の終息後、事業用不動産マーケットが元に状態に完全に戻るのかどうかは、フタを開けてみなければわからない。

ヤスコチ氏は「このパンデミックは、我々が今までに経験したことのない事態だ」と語っている。CBREのエコノミストは第2四半期と第3四半期の目算が「非常に厳しい」と予測しているが、同氏によると、第4四半期には市場に「大幅な上昇傾向が見られるかもしれない」とのことである。

ただし、「これは、需要が回復するか、業務拡張計画が延期になるのか、それとも永久に白紙になるのかにかかっている」とも語っている。

今のところヤスコチ氏は、特に地元サンフランシスコの市場では、通常通りのビジネスに戻れるだろうと楽観視しているようである。「Bay Areaは何かあるとすぐ悪影響を受ける気がするが、たいてい回復も早い」と語っている。

業界関係者は、その回復に望みをかけているに違いない。

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(翻訳: Dragonfly)

ベゾス氏がアマゾン全従業員の新型コロナ検査の詳細を株主へのレターで説明

世界が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに苦しんでいる中、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は4月16日、毎年恒例のAmazon(アマゾン)株主へのレターを発表した。同社はほぼあらゆる面で新型コロナの影響を受けており、当然のことながらオープンレターの中身は、現在も続いている新型コロナウイルス危機への対応が中心となっている。

その中でも特に細かく言及しているのが、先週発表されたAmazonが独自に設置するテストラボについてだ。ベゾス氏はレターの中で、同社が「まったく症状のない人を含め、全社員の定期的なテスト」を検討していると記している。多くの患者は症状がないため、定期的なテストは感染拡大を止めるのに理想のものだ、とレターにはある。

そうしたテストが義務となるのかどうかは明らかではない。また、症状のない従業員のテスト義務化が法的にどうなのかもはっきりしない。米雇用機会均等委員会が最近公表した新型コロナ流行に関するADAガイドラインには、「パンデミックの間、雇用主は従業員が新型コロナの症状を示していたらテストを尋ねてもよい。症状には発熱、悪寒、咳、息切れ、喉の痛みなどが含まれる」とある。

もちろん、テスト提供に限りがあることは議論すべき問題だ。しかしAmazonが準備しているのは、社内でのウイルス拡散、また社外にウイルスを広げるのを阻止するための従業員テスト専用のラボだ。結局のところ、自宅に閉じこもっている多くの米国人にとってAmazonはなくてはならない小売となっている。少なくとも同社の74の倉庫・配送センターの従業員でウイルス陽性が確認された。このウイルスはボール紙の表面で24時間、プラスティック表面だと数日間生きることができる。また、箱などの表面を介してうつることもあり得る。

「テスト対応能力を上げるべく取り組んでいる」とベゾス氏は書いている。「研究科学者からスペシャリストを引っ張ってくるプログラムマネジャー、ソフトウェアエンジニアに至るまで、Amazonチームは通常の業務を離れてテストラボの設置に専念している。初のラボを設置するために必要な装置の組み立てを開始し、フロントラインの従業員へのテストを間もなく少数で始めたい。どれくらい作業が進められるか確かではないが、試す価値はあると考えている。何か明らかになれば情報を共有する」。

同社はまた、従業員がウイルスを保有していないかを判断するため、世界中の同社の建物で体温チェックを導入した。その他の対策としては、定期的な消毒、マスクの支給、社会的距離維持の義務化がある(こうした手段をとればウイルスに感染する可能性は低いとするWHOのポリシーのアップデートをTechCrunchに案内してきた)。

今週初め、同社の危機対応を声高に批判した従業員2人が解雇されたことが明らかになった。2020年3月に解雇されたスタテン島の従業員を含めると、解雇者は計3人になる。同社は、解雇と社会からの批判の関連性を否定し「内部規則を繰り返し破ったためにこれらの従業員を解雇した」と主張した。

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(翻訳:Mizoguchi

フランスの裁判所がアマゾンは必需品以外の注文を制限すべきと判決

フランス・ナンテールの裁判所は、Amazon(アマゾン)が今後数週間のうちに、フランス国内での注文を大幅に制限すべきだとの判決を下した。AFPある労働組合が入手した判決によると、アマゾンは食料品や衛生、健康関連商品の注文のみ受け付けられるという。

アマゾンは24時間以内に判決に従わなければ、1日あたり100万ユーロ(約1億2000万円)の罰金がかせられる。

フランスでは新型コロナウイルスによる大規模なロックダウンが始まって以来、アマゾンは既に非必需品よりも必需品を優先している。つまり、アマゾンでビデオゲームを注文した場合、自宅に届くまでに1週間以上かかる可能性があるということだ。

しかし、フランスにある6カ所のフルフィルメントセンターはすべて、米国時間4月14日現在も通常通り運営されている。3月にMediapartは、アマゾンの幹部が倉庫労働者を守るために十分なことをしていないと発言している音声記録を共有した。例えばソーシャルディスタンス(社会的距離)を尊重するのは特に難しい、といったものだ。

これまで、フランスでは少なくとも1人のアマゾンの従業員が、新型コロナウイルスに感染していると診断された。労働組合のSud Solidairesは裁判所命令に触れ、従業員を保護するために倉庫を完全に閉鎖するようアマゾンに求めた。

裁判所は、このような状況下ではアマゾンは通常通りの運営を続けることはできないと判断した。しかし、同社はまだ必需品の注文を受けつけることができる。今後さらに受注を増やすのであれば、業務の見直しが必要となる。

Le Parisienによると、この判決は新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するリスク審査が終わるまで、最長1カ月間有効であるという。また、裁判所は制限の延長を決定することができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、Amazon(アマゾン)の倉庫の状況を公に批判していた2人の従業員が、同社によって解雇された。UXデザイナーのEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏とMaren Costa(マレン・コスタ)氏はともに「我々のビジネスモデルが気候危機に貢献しないようにすることが、我々の責任であると信じている」をモットーとするAmazon Employees for Climate Justiceのメンバーでもあった。

解雇を最初に報じたのは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が所有するThe Washington Post(ワシントン・ポスト)で、同社の倉庫や配送センターに勤務する少なくとも74人の従業員が、この新型コロナウイルスの陽性反応を示したことによる。少なくとも、アマゾンが広範囲におよぶ都市閉鎖の中で配送サービスの維持に苦慮している中、世論は同社に批判的だ。

一方アマゾンは、従業員がパンデミック中の従業員の待遇を批判したために解雇されたという考えに反論している。「我々は、雇用者の労働条件を批判するすべての従業員の権利を支持する」と、同社の広報担当者はTechCrunchに語っている。「しかしそれには、あらゆる内部活動に対する包括的な免責が伴うわけではない。(2人の従業員が)繰り返し社内規定を違反したために、彼らを解雇した」。

アマゾンは違反行為を明示していないが、同社には同時に経営陣の承認なしに商習慣について公の場で議論することを禁止するポリシーがある。カニンガム氏とコスタ氏はThe Washington Postに対し、企業慣行に対する公の批判を理由に解雇されたと考えていると述べた。

今回の解雇は、Staten Islandの配送センターの従業員で、かつ労働条件にも批判的だったChris Smalls(クリス・モールズ)氏の解雇から半月後に実施された。この出来事を受けて、民主党の議員たちはベゾス氏に公開書簡を送っている。議員たちは書簡で「団結する権利は我々の経済の基盤である。何世代にもわたって労働者が成し遂げてきた数多くの大いな進歩に対する責任がある」と記している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter