リクルーターが直接投稿した求人と求人サイトの広告を集約、既存サービスと対抗する求人情報ポータルTalent.comが約141億調達

オンライン採用は、第一次インターネットブームの初期の大ヒット商品の1つだった。しかし、より多くのビジネスプロセスがオンラインに移行する中、オンライン求人検索はただ与え続け贈り物のような存在だ。そこで米国時間3月16日、この分野の別のポータルが、より革新的で確かな技術でこの分野の既存企業に対抗するために、大規模な資金調達を行ったというニュースが飛び込んできた。リクルーターが直接投稿した求人広告と、サードパーティの求人サイトの広告の両方を集約するポータルサイトのTalent.com(タレントドットコム)は、シリーズ Bラウンドの1億2000 万ドル(約141億9800万円)を調達した。同社はこの資金を、国際展開を続け、このプログラム検索プラットフォームにさらに投資し、ユーザー向けの新しい製品とサービスを導入するために使用する予定である。

Talent.comはかなり国際的なプロフィールを持っている。現在、78カ国、29言語にわたって100万社の約3000万件の求人情報を掲載し、その範囲内で毎月2800万人以上のアクティブな訪問者があるのだ。しかし、このスタートアップ自体はモントリオールを拠点とし、今回のラウンドではカナダのVC、Inovia Capital(イノヴィア・キャピタル)がリードし、以前の支援者 Caisse de depôt et placement du Québec (ケベック州金融公社/CDPQ) と新しい投資者 Investissement Québec(インベストメント・ケベック)、Climb Ventures(クライム・ベンチャーズ)、BDC Capital(ビーディーシー・キャピタル)、Fondaction(フォンダクション)およびHarbourVest Partners(ハーバーべスト・パートナー)も参加している。この1億2000万ドル(約141億9800万円)の株式と同時に、BMO Financial Group(ビーエムオー・ファイナンシャル・グループ)のTechnology & Innovation Banking Group(テクノロジー&イノベーション・バンキング・グループ)から新たに3000万ドル(約35億5000万円)の負債性資金も調達している。

Talent.comの共同創業者で共同CEOのLucas Martínez(ルーカス・マルティネス)氏は、Maxime Droux(マキシム・ドルー)氏、Benjamin Philion(ベンジャミン・フィリオン)氏と共同で同社を設立した。同士はインタビューの中で、この資金を使って、消費者が探しているものにもっと関連した結果を見るための技術をさらに構築し、広告の反応性を測定するツールやクリックされた人に応じて料金を請求するツールを使って、雇用主にとってより魅力あるプラットフォームとすることが目的だと語っている。

(コンテンツに興味を持ってもらうためには、適切な表現が必要であることを、同社自身が身をもって知っている。同社は以前、フィンランド語で「アドバイス」を意味するNeuvooという社名だったのだが、収益性は高かったものの、その単語の発音につまずく人が多く、またその意味が大衆市場とは特に関係がないこともあり、あまり急成長しなかった。そこでNeuvooは2019年に社名を見直すことを決め、Talent.comが売りに出されているのを見ると、それに飛びつき、ブランドを変更したのだ。このドメインには130万ドル[約1億5000万円]を支払ったが、不思議なことに残りの詳細は3年間NDAの対象であり、誰が売却を行ったのかは不明である。マルティネス氏は「Google?」と私が聞くと、笑って「違う」と答えたが、それ以上詳しくは語らなかった)

また、同社はこの資金をさらなる国際展開のために投資している。マルティネス氏は、同社が欧州の新たなハブ拠点を設立しているバルセロナから取材に応じた。

現在、この市場には、Indeed.com(時価総額660億ドル[約7兆8090億円]、SimplyHiredなどのブランドを所有する日本の人材大手Recruit Holdingsが所有)や、2021年上場したZipRecruiter(ジップリクルーター)、LinkedIn(リンクトイン)、検索大手Google(グーグル)などのビッグプレイヤーがいる。しかし、今日、新しいテクノロジーと市場からの期待の変化を活用して、新たな競争戦線を導入し、これらの老舗企業に真っ向から立ち向かうスタートアップが数多く存在する。

Deel(ディール)Remote(リモート)のように、自らをリモート従業員の雇用を支援するプラットフォームと位置づける企業もあれば、Turing(テューリング)のように、リモートという概念を取り入れ、エンジニアという特定の人材プールに焦点を絞っている企業もある。SmartRecruiters(スマートリクルーターズ)は、人材紹介の「Salesforce(セールスフォース)」になることを目指しており、Beamery(ビームリー)のような他の企業もこの目標を追いかけている。Dover(ドーバー)は、別の企業分野からコンセプトを借りて(そのバズワードはオーケストレーション)、採用プラットフォームを構築している。そしてJobandtalent(ジョブアンドタレント)Workstream(ワークストリーム)Fountain(ファウンテン)は、カジュアル、ギグ、時間給労働者をターゲットにしたビジネスモデルを持っている。

Talent.comは、後者3社と同様に、時間給労働者やギグワーカー、熟練労働者を含む市場を主なターゲットとしている。求人広告のプログラムアプローチに加え、雇用主向けのその他のツールとしては、既存の応募者追跡システムやCRMを統合する機能がある。消費者向けには、基本的な求人情報の検索に加え、給与の調査、居住地の税金を差し引いた給与の計算、検索結果をより適切にするためのプロフィール質問への回答などの機能が提供されている。これは、この製品が将来どのように発展していくかという道筋を示すものでもあるだろう。

「これは非常に重要なことです」とマルティネス氏はいう。「就職活動は意欲的なものです。多くの人が、応募している仕事に適性がありません。そこで私たちは、経験と教育を組み合わせ、ユーザーが例えばエンジニアになりたいのであれば、そうすべきであると導いているのです。私たちは、あなたが誰であるかを知り、あなたの履歴書を私たちのプラットフォーム上に置き、その分野の教育プログラムをオンラインで紹介します。これが、ユーザーに対してより多くの価値を提供することになるのです」。と語った。

投資家の興味をそそったのは、ユーザーからより多くの収入を得るための幅広いサービス群に対する取り組みだ。

「人材獲得競争は、企業が今直面している大きな課題によって、さらに激化しています。Talent.comは、雇用主が人材を調達し、採用するための最大かつ最も国際的なプラットフォームの1つになるまで急成長しました。このパートナーシップは、真の求職者中心のプラットフォームとなるための一連の付加価値製品を立ち上げ、成長の新たな段階を促すものです」とInovia CapitalのパートナーであるChris Arsenault(クリス・アーセノー)氏は声明の中で語っている。

画像クレジット:Patrick Strattner / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

IT中心にグローバル人材の獲得支援を行うフォースバレーが約3億円調達、SaaS事業を強化

日本企業が世界中の優秀な人材を獲得する支援を行うフォースバレー・コンシェルジュは3月14日、第三者割当増資による総額3億円の資金調達を行ったと発表した。引受先は、ベネッセホールディングス、日本管理センター、Orchestra Investment、ザ・スタンド、アリストテレスパートナーズ、佐々木食品工業、琉球インタラクティブ、古庄秀樹氏、そのほか事業会社多数と個人投資家多数。調達した資金は、同社が運営する「Connect Job WORKERS」と「Connect Study ABROAD」のソフトウェアへの開発投資、マーケティング投資、運営体制の強化へあてる。

これまでフォースバレーは、世界と企業をつなぐ国境を越えたグローバル採用支援事業「Connect Job」を運営してきた。そこで培った豊富なネットワークを基に2021年にリリースされたのが、特定技能外国人と日本企業を結びつけるConnect Job WORKE、外国人留学生と日本の教育機関を結び付けるConnect Study ABROADというふたつの紹介プラットフォームとなる。

さらに同社では、コロナ禍により外国人の受け入れが厳しくなっている中で事業のSaaS化を進めると同時に、オンラインの日本語教育や人材のリモート採用、越境のクラウドソーシングなど、コロナ禍の再拡大を見据えこれら新規事業モデルをリリースする準備をしてきたという。今後は、外国人の採用支援のみならず、留学から進学・就職・転職に加え来日に向けたビザの獲得から生活の開始まで共通DXプラットフォーム上でサポートし、拡大する外国人経済圏向け事業のさらなるスケールを目指すという。

2007年11月設立のフォースバレー・コンシェルジュは、Connect Jobのブランドのもと、世界中の人材と企業をつなぐグローバル採用支援事業を営む企業。同社データベースには186の国と地域、累計約40万人の人材が登録されており、日本の大手グローバル企業、IT企業を中心に地方や中小企業まで約400社と取引実績を持つという。また、経済産業省・沖縄県・富山県・静岡県・長野県など、省庁・地方自治体からの事業を受託している。

労働者が「フレキシブルな仕事」に何を求めているのか、WorkWhileは新たな見解を示す

WorkWhile(ワークワイル)の共同設立者であるJarah Euston(ジャラ・ユーストン)氏は、労働者を柔軟で信頼できる仕事に結びつけるという使命感を持っており、そう考えるのは彼女1人だけではない。しかし、彼女が際立っているのは、彼女が今日の労働市場の多くは誤った考え方の上に成り立っていると考えていることだ。

「私は、労働者が求めるのは無限の柔軟性だという考えには賛成できません」と、彼女はTechCrunchのインタビューで語っている。「それはおそらく、時給制の仕事で家賃を払おうとしたことがない人たちによるもので、請求書を支払うだけの十分な収入がある見通しや保証をするものではありません」と語る。

彼女はさらに「労働者は柔軟なスケジュールを必要としていますが、無限の柔軟性を求めているわけではありません【略】誰かがUberのドライバーになり、30分運転して、3時間ビーチに座って、さらに10分運転したいといった考えは、市場が自ら語った偽りなのです」と述べた。

労働者が何を得て、どのくらいの頻度でそれを得ることができるのかを理解するのに役立つプラットフォームがないことが、ユーストン氏が共同創業者のAmol Jain(アモル・ジャイン)氏とともにWorkWhileを立ち上げることに興味を持たせるきっかけとなった。2019年に設立されたWorkWhileは、時間給労働者を空いているシフトにつなげるだけでなく、翌日払い、遠隔地からのヘルスサービスへのアクセス、給与の透明性といった特典を提供する。

WorkWhileは、本拠地であるサンフランシスコ・ベイエリアをはじめ、ロサンゼルス、アトランタ、マイアミ、北ニュージャージー、アトランタ、シアトル、ヒューストン、ニューヨーク・メトロなど13の市場でサービスを運営している。ユーストン氏のビジョンに沿ったこの成長は、投資家の大きな関心を集めている。

このスタートアップは本日(米国時間2月23日)、Reach Capital(リーチ・キャピタル)が主導し、Khosla Ventures(コスラ・ベンチャーズ)、F7 Ventures(F7ベンチャーズ)などの既存投資家、Chamaeleon(カメレオン)、Position Ventures(ポジション・ベンチャーズ)、Gaingels(ガインガル)などの新規投資家が参加して、1300万ドル(約14億8900万円)のシリーズAを最近調達したと発表している。

最終的にWorkWhileが目指すのは、シフトだけでなく、常駐サポートやサービスも含めて(週の働き方にかかわらず)、より離れづらい労働者を持つマーケットプレイスを構築することだ。Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏が設立したRunner(ランナー)は、最近、同じようなアプローチで立ち上がった。パートタイムのオンデマンド労働者をW-2社員として雇用し、より安定した仕事を提供し、その後、テック関連のオペレーションでの仕事へとつなげるという方法だ。Bluecrew(ブルークルー)も同様のサービスを提供しているが、バーテンダー、イベント管理、警備、データ入力、カスタマーサポートなどの仕事を紹介する前に人材を雇用している。

安定した柔軟な仕事への関心が高まっているのは、大型辞職の反動もあるだろうが、フリーランス経済が成熟し、非定型の仕事を求める労働者でもサポートを求めるようになったことを示す、さらなるサインでもある。WorkWhileによると、Advance Auto Parts(アドバンス・オート・パーツ)、Ollie’s Bargain Outlet(オーリーズ・バーゲン・アウトレット)、Good Eggs(グッド・エッグズ)、Thistle(シスル)、Edible Arrangements(エディブル・アレンジメンツ)、Dandelion Chocolate(ダンデライオン・チョコレート)、Bassett Furniture(バセット・ファニチャー)といった企業でシフトが埋まっているとのことだ。

画像クレジット:WorkWhile

ユーストン氏によると、WorkWhileのプラットフォームで働く人の80%が週に30時間以上働きたいと考えており、60%が週に40時間以上働きたいと考えているという。「WorkWhileでは、『ギグ』という言葉は使わないようにしています。ギグプラットフォームと見られたくありません」とユーストン氏はいう。「安定した給料を得るための最高の場所として見てもらいたいのです」と語る。

労働者に優しいという売り文句に加え、WorkWhileは労働者にサービスの利用料を一切課さない。その代わり、WorkWhileを利用する企業には、労働者に支払われる料金に応じたパーセント型の手数料を請求することで利益を得ている。もちろん、雇用主にとっては、より信頼性が高く、離職率の低い労働力が期待できる。

ユーストン氏によると、同社は「人々が仕事についてどう感じるか」を示すデータポイントを見つけ、それを基にプロフィールを作成することが重要であるという。例えば、WorkWhileに入社した社員は、まずオリエンテーションを受け、その後、行動テストを受けることになる。

「難しくはありませんが、まさに指示に従っていくテストです」と彼女はいう。「1年に何回病欠の電話をしたかや、他の人は1年に何回病欠の電話をすると思うかといった、職場を取り巻く意識について確認しているのです」と語る。WorkWhileの現在の欠勤率はわずか5%で、予定されている労働者がシフトに参加するかどうかを予測する精度は76%だ。

このような方法でデータポイントを追跡することの課題は、歴史的に見過ごされてきた人々や社会経済的に低いバックグランドを持つ人々に不釣り合いに重くのしかかることである。結局のところ、このスタートアップは、主にパートタイムでフレキシブルな仕事を探している人向けではない。それは市場のすべての層を取り除いてしまいかねない。もう1つ興味深いデータがある。WorkWhileのプラットフォームで働く時間給労働者の約28%が暗号資産を所有しているということだ。

ユーストン氏によると、アプリでは「あえて意図的に」人口統計学的な質問をせず、前述の理由から予測モデリングの要因に年齢を含めないようにしているとのことだ。WorkWhileは、任意の労働者調査に基づいて、ユーザーの80%がPOC(有色な肌を持つ人々)であると認識しているという。

「私たちのモデルの哲学は、人々が働くことを妨げるのではなく、むしろリスクを管理することです。例えば、誰かがシフトに現れる可能性が50%未満であると予測した場合、顧客の要求が満たされるように予備の労働者を送ったほうがよいでしょう」と彼女は付け加えた。「我々のモデルが間違っていて、労働者がシフトに現れた場合は、そのバックアップの労働者には支払いは行われますが、顧客には請求されません」と語る。

同社は、誰もが働こうとすることを制限していないと主張しているが、より高い評価を受けた人に新しいシフトの最初の機会を優先して提供している。「将来的に、現場への移動が困難かもしれないと私たちが予測する人たちへのサポートを充実させることも視野に入れています。[…]もし私たちが、あなたが車を持っていないとわかった場合、相乗りオプションを提示することを検討することができます」と彼女は言った。

画像クレジット:WorkWhile

画像クレジット:SunnyGraph / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

学生向けジョブマッチングマーケットプレイスのZenjobが約57.5億円を獲得

欧州のカジュアルなジョブマッチングにさらなる資金を。小売、物流、接客などの分野で副業を探す学生を対象とし、一時的な労働力を必要とする雇用者と結びつけることを約束するマーケットプレイス・プラットフォームのZenjob(ゼンジョブ)は、5000万ドル(約57億5100万円)のシリーズDラウンドの資金調達を完了した。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、3000万ドル(約34億5100万円)のシリーズCを調達して以来、わずか2年弱の間に、このような資金調達を行った。

他の多くの「現代的人材派遣会社」と同様、Zenjobは派遣社員を直接雇用し、給与や事務処理など関連する管理業務を請け負い、派遣社員の経験をさらに簡易化する。また、シフト終了後72時間以内に給与の半額を支払うという約束もあり、従来の派遣会社に比べて送金が早くなる可能性がある。

一方、雇用主はZenjobと契約を結び、必要に応じて短期・長期の仕事を含む派遣社員を予約することができる。

Zenjobは配送、小売、物流、eコマース、接客、サービス業などの「大手」企業と取引をしているというが、顧客名は明らかにしていない。

現在、欧州の2つの市場で1万カ所以上の場所にある2500社以上が、オンデマンドで派遣社員を確保するために同社のプラットフォームに登録しており、毎月4万人以上の労働者が副業を予約するためにこのプラットフォームを使っているという。

2015年に設立されたこのスタートアップによると、これまでにドイツとオランダで100万件以上の仕事をマッチングしているとのことだ。

今回のシリーズD調達はAragon(アラゴン)が主導し、Acton Capital(アクトン・キャピタル)、Atlantic Labs(アトランティック・ラボ)、Forestay(フォーステイ)、Axa Venture Partners(アクサ・ベンチャー・パートナーズ)などZenjobの既存の全投資家が参加している。

この新しい資金調達は、2022年夏に立ち上げを予定している英国市場を含む欧州内での事業拡大と、新しく「ホワイトカラー」タイプの職種のサポートなど、拡大する顧客基盤のニーズに対応するための、データに基づく新たな自動化機能を含む製品開発に当てられるという。

「当社は2022年、英国でZenjobの販売を開始し、欧州の新規市場に対する投資を継続します。また、ドイツとオランダでも事業を拡大しています」と、同社は説明している。「技術チームを増強し、プラットフォームのスケーリングと新しい自動化機能に多大な投資を行う予定です」とも付け加えた。

「需要が多いので、ナレッジワークとオフィスワークのオファーを拡大する予定です」と語る。

Zenjobは、スペインのJobandtalent(ジョブアンドタレント)CornerJob(コーナージョブ)、ルクセンブルグのJob Today(ジョブ・トゥディ)など、増加する、技術者を対象とした派遣社員のジョブマッチングを行うプラットフォームと競合している。

ギグプラットフォームのUber(ウーバー)もこの分野に注目しており、パンデミック時のロックダウンで乗り合いタクシーが需要の打撃を受けたため、2020年に英国のドライバー向けにWork Hubを立ち上げ、2019年には米国でUber Worksという、シフトを見つけるためのアプリを発表している。

欧州連合(EU)では、ギグプラットフォームにおける偽りの自己雇用に対処することを目的とした規制が導入され、プラットフォームワーカーに関する最低基準を定めた汎EU的な法的枠組みが設けられる予定だが、これにより、オンデマンド労働の需要が直接雇用する人材仲介業者に流れ、エージェント型の人材派遣プラットフォームの需要が加速される可能性がある。これにより、ギグプラットフォームは、何千人もの配達員やその他の非正規労働者を雇用する必要がなくなる。

競合状況について話すと、Zenjobは、人材派遣市場、ジョブマッチング、プラットフォームに関しては、テクノロジーが最大の差別化要因になると主張している。

「この市場に目を向けると、人材派遣と仕事探しを面倒で時間のかかるものにしているタスクを処理するためのテクノロジーを利用することに関して、私たちは表面を削ったにすぎません」と指摘する。「そのため、私たちは、プラットフォームと必要なすべてのプロセスの内部技術開発に多くの重点を置いています。現在、約75%のプロセスが完全に自動化されていますが、近い将来、95%以上にすることを目指しています」と語っている。

「私たちのモデルがうまく機能しているのは、技術に重点を置くことで、(高度な自動化により)高品質の人材を使った非常に迅速なサービスを、取引先の企業に提供することができるからです。私たちのビジネスの残りの半分は、人材に最高の経験と利益を提供することだけに集中しているので、高い成就率と信頼できる人材を提供することができるのです。提供する仕事には相場以上の報酬を支払い、現在アプリを使っていつでも仕事を予約できる4万人以上の人たちの体験と満足度をとても大切にしています」。と語る。

また、Zenjobは、まだ開拓されていない大きな成長があると主張している。例として、ドイツを挙げ、人材派遣の95%以上はまだほとんどオフラインで行われているという。

「そのため、私たちは、非常に伝統的な方法でジョブマッチングや人材派遣に取り組んでいる大企業と競合しています」と同社は述べている。「私たちのアプローチは100%デジタルで、私たちを通して仕事を予約してくれる人たちに提供できる利点を常に改善するよう努力しています。迅速な支払い、24時間365日いつでも仕事の予約が可能です」と語った。

画像クレジット:Zenjob

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

引っ越しを簡単にして「大量辞職時代の従業員」にアピールするPerchPeekが12.6億円調達

従業員の引っ越しには、20〜30種類にもおよぶ複雑な手続きが必要となる。また、市場に出回っているサポートパッケージの多くは、柔軟性に欠け、コストもかかる。また、こうした引っ越しサービスを利用できるのは、通常は企業のトップだけで、社員は対象外となっている。しかし、さらに大きな問題が企業に立ちはだかっている。それは、パンデミックによって引き起こされた「大量辞職」(グレート・レジグネーション)だ。従業員は海外に新しいチャンスを求めている。引っ越ししやすい仕組みを提供すれば、彼らを引き留めることができるだろうか?

PerchPeek(パーチピーク)は、このような従業員の引っ越し問題を解決し、企業が従業員の引っ越し要求を受け入れやすくするためのリロケーション(引っ越し)プラットフォームだ。同社がこのたびシリーズAで800万ポンド(約12億5000万円)の資金を調達した。この調達ラウンドは、Stage 2 CapitalとAlbionVCが主導した。

PerchPeekの共同創業者であるPaul Bennett(ポール・ベネット)氏、Ace Vinayak(エース・ビナヤック)博士、Oliver Markham(オリバー・マーカム)氏は、共同声明の中で次のように述べている。「すべてのプロセスを1つのプラットフォームに集約し、利用しやすい価格帯で優れたサポートを提供することで、転勤する従業員の引っ越しを支援するだけでなく、雇用主が高価値の福利厚生を従業員に提供することができます」。

SaaSベースの調達分析プロバイダーであるBeroe(ベロー)によると、世界の従業員引っ越し市場は、引っ越しを行えるようにするためのコストや複雑さが原因で、現在335億ドル(約3兆9000億円)の規模に達している。

PerchPeekによると、同社には世界47カ国(さらなる遠隔地を含む)への従業員の引っ越しをサポートするステップバイステップのアプリがあり、企業の転勤コストを最大70%削減できるとしている。

また、インスタントメッセージで専門家が物件や周辺施設を案内してくれる。

競合他社には、Relocity(リロシティ)やDwellworks(デュエルワークス)(いずれも米国)などがある。しかし、PerchPeekは、顧客体験と広域に置かれた拠点で勝負するつもりだという。同社は2020年1月以降、5000人以上の人の移動を助けたと主張している。クライアントには、Thoughtworks(ソートワークス)、Liberty Global(リバティ・グローバル)、Impala Travel(インパラ・トラベル)、INEOS(イネオス)などがある。

AlbionVCの投資マネージャーであるNadine Torbey(ナディーン・トービー)はいう。「パンデミックは、人々が仕事や生活を選択する方法の変化を加速させました。PerchPeekは、市場を完全に解放し、ますます流動化が進み、グローバル化する人材プールを可能にする、待望のディスラプションなのです」。

画像クレジット:Perchpeek app

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

遠隔地採用のスタートアップDeelの新機能は企業が暗号資産でペイロールを蓄えるオプション

2019年、Alex Bouaziz(アレックス・ブアジズ)氏とShuo Wang(シュオ・ワン)氏は、企業がコンプライアンスに基づいて世界中の人材を遠隔地から雇用し、給与を支払うことを目指すスタートアップ、Deel(ディール)を設立した。

2人のミッションは真剣そのものであり、リモートワークがこれからは主流になるというビジョンは、新型コロナの大流行よりも先にあり、新型コロナは同社の提供するサービスへの需要を一層高めることになった。

Deelは、企業が現地法人を介さずに5分以内に従業員や契約社員を雇用することを可能にすると主張している。また「ワンクリックで」で150以上の通貨でチームへの支払いが可能だとのことだ。

「私たちは、企業がどこでも誰でも雇用できるようにしたいのです」とブアジズ氏はTechCrunchに語っている。「才能はどこにでもありますが、チャンスはそうではありません。だから、我々はそれを少し平準化し、企業が誰でも採用できるようにしたいのです。ただ、もっと重要なのは、出身地に関係なく、彼らにふさわしい経験を提供することです」と語る。

ブアジズ氏は、これまで「一度もオフィスで働いたことがない」と告白するなど、確実に有言実行している。

ブアジズ氏とワン氏は、明らかに何かを掴んでいた。10月のDeelは、シリーズDで4億2500万ドル(約489億円)を調達し、55億ドル(約6331億円)と評価された。ブアジズ氏は12月に、2021年の同社が「400万ドル(約4億6000万円)から5000万ドル(約57億5500万円)以上のARRになり、60カ国以上で50人から550人以上に……そして6億ドル(約690億円)以上を調達した」と公に語っており、その成長ぶりは驚くほど透明である。

2021年、Deelは契約者向けに「Crypto Withdrawals(クリプト・ウィズドローワル)」を開始し、Deelを通じて支払われた人は、支払いの一定割合をビットコイン、イーサリアム、USDC、ソラナとダッシュで直接Coinbaseアカウントに引き出し、ほぼ瞬時に出金できるようになった。

しかし、これまでDeelを利用する雇用主は、遠隔地の従業員への支払いに暗号資産を使用するオプションを持っていなかった。

現在、このスタートアップはその使命をさらに一歩進め、企業に暗号資産で給与資金を確保する方法を提供しようとしている。まず、ブアジズ氏によると「最も急速に成長しているステーブルコインであり、ドルに固定されているため、変動する余地が少ない」ことからUSDCを利用することにした。企業がインターナショナルなチームに対して暗号資産を使って支払いを行うことは、Coinbase(コインベース)、Shopify(ショッピファイ)、Dropbox(ドロップボックス)など、Deelの6000を超える既存顧客の多くに歓迎されそうなオプションである。

Deelチームによると「柔軟性は、どこで雇うかだけでなく、どのようにチームに支払うかということでもあるはずです」とのことだ。

共同創業者のシュオ・ワン氏、アレックス・ブアジズ氏(画像クレジット:Deel)

この新しい製品機能は、暗号資産で資金を引き出すことを労働力に任せるのに対して、雇用者がUSDCでチームに即座に支払うことができるようになるという点で「Crypto Withdrawals」とは異なるものだと同社は述べている。

具体的には、USDCで資金を保有している企業は、グローバルチームの給与や支払いをまかなうために、Coinbaseのアカウントを介してDeelに直接支払いを行うことができる。企業がDeelにお金を払い込むと、契約者は暗号資産を含む150以上の通貨で出金することができる。

Deelによると、企業が主に暗号資産で業務を行っている場合、従業員に支払う前に、例えば米ドルに変換するための為替手数料を支払うことを心配する必要もない。暗号資産で直接支払えばいいのだ。

「これは、取引手数料や通貨手数料が少ないエンド・ツー・エンドの暗号資産支払い体験であり、さらに、企業や請負業者が銀行口座にお金を保持する必要性を排除します」と述べている。

Deelにとって、この動きは暗号資産の主流化における次のステップだ。

「これは暗号資産企業にとって画期的なことです」とBouazizは述べている。

Deelによると、この動きは、会社の暗号資産残高を使用してチームに支払いを行いたい企業と、暗号資産で支払いを受けたいというチームメンバーの両方からの「急増」した需要によって促されたとのことだ。例えば、同スタートアップによると、暗号資産給与支払いに対する需要は前月比10%増となった。

その他、同社が発表した愉快な統計データをいくつか紹介しよう。2021年の7月から12月の間に、支払いの2%が暗号資産で引き出された。2021年12月にDeel経由で約470万ドル(約5億4100万円)が暗号資産で従業員に支払われ、2021年11月から49%増加した。興味深いことに、暗号資産の出金の地域別内訳は、ラタム(52%)、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ、34%)、NAM(北米)(7%)、APAC(アジア太平洋、7%)とのこと。

画像クレジット:cokada / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

リファラル採用SaaSのMyRefer、タレント・アクイジションSaaS「MyTalent」のベータ版をリリース

リファラル採用プラットフォームを提供するMyReferは、欠員補充などの短期的な採用ニーズを充足させる短期的な「リクルーティング」ではなく、中長期を見据えて会社を成長させるために転職潜在層から優秀なタレントを持続可能に獲得する「タレント・アクイジション」を実現するHRX(Human Resource Transformation)構想を発表した。

第1弾として、採用候補者との「つながり」を管理することで、掛け捨て型の採用から積立型の採用活動に変えるタレント・アクイジションSaaS「MyTalent(マイタレント)」のβ版を本日、2022年2月7日より提供開始する。

MyTalentでは、採用候補者のタレントプール構築、アプローチ、持続可能な仕組み化までを一元管理。過去の採用候補者で当時見送りとなった人材、社員の紹介での候補者、退職社員、ホームページの問い合わせなどから登録があった人材など、あらゆる応募チャネルから形成されるタレントデータを蓄積する。また、採用サイトへの来訪やメール反応から興味スコアを自動計測したり、過去の辞退・不合格理由からメールテンプレートを設計、ファン度をもとに最適なスカウトメールを送信、採用率向上を目指すという。

人材情報を蓄積していくタレント・アクイジションの時代へ

海外のHR市場では、欠員補充などの短期的な採用ニーズを充足させるために人材紹介や求人広告から母集団を形成して選考する短期的なリクルーティングではなく、中長期を見据えて会社を成長させるために転職潜在層へ採用マーケティングを行い、優秀なタレントを持続可能に獲得するタレント・アクイジションの概念が一般化してきているという。

代表の鈴木貴史氏は「日本企業がより競争力を高めるには、人をベースに事業を作り、優秀なタレント人材を獲得することが最重要課題です。その上で企業成長を促進させるために、候補者を資産化して戦略的にタレントを獲得、育成する『タレント・アクイジション』へと変革していく必要性を感じ、本件のリリースに至りました」と語った。同社は、リファラル採用SaaS「MyRefer」、タレント・アクイジションSaaS「MyTalent」を皮切りに、戦略的採用マーケティングを支援するプラットフォーム構想を進めていくという。

「デスクを持たない労働力」管理HRプラットフォームのSnapshift、市場拡大に向け約51.9億円調達

このいわゆる「大量自主退職時代」には、多くの現場作業員(看護師、トラック運転手など)が新型コロナウイルス感染流行をきっかけに自分の生活を見直しており、その一方で旧来の企業はこの新しい世界秩序に苦心している。従業員はまた、より良いコミュニケーションも求めているため、このようなコミュニケーションをアプリ化することは理に適っている。

フランスを拠点とするSnapshift(スナップシフト)は、レストラン向けのスタッフ管理ウェブソリューションとしてスタートし、Bpifrance(ビーピーアイフランス、フランスの政府系投資銀行)とFemmes Business Angels(フェム・ビジネス・エンジェルズ)から390万ユーロ(約5億1000万円)の資金を調達した。しかし、この会社は明らかに賢いアイデアを思い付いていた。そしてそれは、私たちが今、生きている時代に合わせて作られたようなものだ。

今やこのHR(人的資源)プラットフォームは、いわゆる「デスクレスワークフォース(デスクを持たない労働力)」を管理するためのプラットフォームとして生まれ変わった。これは、かつてブルーカラーやフロントラインワーカーと呼ばれていた人々のことを指す今風の言葉である。

Snapshiftは今回、4500万ドル(約51億9000万円)のシリーズAグロースエクイティ資金を調達した。このラウンドはHighland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)が主導し、既存投資家であるBpifranceとUL Invest(ULインベスト)も参加した。

Snapshiftは、2021年に同社のサービスに対する「大きな需要」があったことを受け、現在はSubway(サブウェイ)、Pizza Hut(ピザハット)、Spar(スパー)、Amorino(アモリーノ)、Biocoop(ビオコープ)、Fitness Park(フィットネスパーク)、Columbus Cafe(コロンブス・カフェ)、Carrefour(カルフール)など、6000社以上の顧客を抱えているという。

今回の資金調達は、欧州のレストラン、ホテル、小売業など、すべての中小企業にサービスを拡大するために使用される予定で、スペインが最初の国際ターゲット市場となる。

Snapshiftのオリジナル製品は、スタートアップ企業やレストランの起業家であるOlivier Severyns(オリヴィエ・セヴェリンス)氏が、自身のスタッフ当番表を管理するために作ったものだった。その後、同氏は他の企業向けにSnapshiftを起ち上げることを決めた。現在では70名以上の従業員を抱えているが、2022年には150名に増員することを目指している。

セヴェリンス氏は、次のように述べている。「私たちの使命は、中小企業が人事関連のあらゆる事柄を理解し、最適化するための支援をすることです。給与管理やスタッフのスケジュール管理を簡素化し、刻々と変化する社会法や雇用法などの複雑な問題についてガイダンスを提供します。Snapshiftの顧客の多くは、新型コロナウイルスが招いた持続的な人材確保の問題から影響を受けています。Snapshiftの製品によって、顧客は管理システムを近代化し、信頼と透明性を促進することで、従業員にとって『働きがいのある会社』にすることができるのです」。

Highland EuropeのパートナーであるJean Tardy-Joubert(ジャン・タルディ・ジュベール)氏は、次のように述べている。「私たちは、広範なホスピタリティおよびサービス業界で、Snapshiftが解決しているまさにそのようなペインポイントに悩む無数の企業と話をしました。多くの業界が、ますます深刻さを増している人材不足の問題に直面している今、Snapshiftのミッションクリティカルなプラットフォームを他の業界に導入する大きなチャンスがあると、私たちは確信しています。オリヴィエと彼のチームが、このような短期間で成し遂げたことに非常に感銘を受けています」。

セヴェリンス氏は「当社の最大のライバルはExcel(エクセル)です。当社の顧客の80~90%は、Excelから初めてのデジタルスケジューリングソリューションに移行しています」と付け加えた。

しかし、SnapshiftにはSkello(スケロ)とPlanday(プランデイ)というSaaSの競合企業が存在する。

同じくフランスを拠点とするSkelloは、これまでに5440万ドル(約62億7000万円)を調達しており、デンマークのPlandayは、7310万ドル(約84億2000万円)を調達している。このように、HR機能をシンプルなアプリにするための競争が繰り広げられているのだ……。

画像クレジット:Snapshift founder Olivier Severyns

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フロントラインワーカーのためのチャット&人事アプリFlipがユーザー数100万人突破で約34.5億円を調達

共同創業者兼製品責任者のGiacomo Kenner(ジャコモ・ケナー)氏、CMOのAnn Kathrin Stärkel(アン・カトリン・スターケル)氏、創業者兼CEOのBenedikt Ilg(ベネディクトイ・ルグ)氏、CFOのGeorg Renz氏(画像クレジット:Flip)

世界の労働人口の8割以上約27億人はコンピューターの前で日々を過ごしていないため、テクノロジーに関しても格差が激しく、彼らをユーザーとして対象としたIT投資は1%程度と言われている。それが、スマートフォンやアプリの台頭で急速に変化しており、米国時間2月2日、その流れを受けてビジネスが好調なスタートアップの1社が、このチャンスに飛びつくべく、資金調達を発表している。

フロントラインで働く人々が互いにチャットしたり、マネジメントチームから連絡を受けたり、シフトの入れ替えなどの人事活動を行うためのコミュニケーションアプリを作っているFlip(フリップ)は、3000万ドル(約34億5200万円)を調達したそうだ。ドイツのシュトゥットガルトに拠点を置き、主にドイツ語圏のDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)で利用されているこのスタートアップは、この資金を利用して、まずは英国をはじめとする新しい市場に進出する予定だと、CEO兼創業者のBenedikt Ilg(ベネディクト・イルグ)氏は述べている。

Notion Ventures(ノーション・ベンチャーズ)とベルリンのファンドHV Capital(HVキャピタル)が共同でこのラウンドをリードし、これまでの出資者であるCavalry Ventures(キャバルリー・ベンチャーズ)とLEA Partners(LEAパートナーズ)、そしてVolkswagen(フォルクスワーゲン)会長Matthias Müller(マティアス・ミューラー)氏をはじめとする多くの個人出資者が参加している。

Meta(メタ)のWorkplace、Microsoft(マイクロソフト)のTeamsCrew(現在はSquareが所有)、Blink(ブリンク)Yoobic(ヨービック)When I Work(ウェン・アイ・ワーク)Workstream(ワークストリーム)など、世界の労働者の同じ分野、そしてコミュニケーションに関する同じユースケースを対象としたアプリが市場に多数存在している。実際、2月2日、Snapshift(スナップシフト)という、主に人事側に焦点を当てたフロントラインの仕事アプリも資金調達を発表したばかりだ。

しかし、混戦のように見えるこの分野には、3つのことがいえる。第一に、この市場は十分に大きく、断片的であるため、長期的にいくつかの強力なプレイヤーが混在する可能性があるということ。第二に、この市場はまだかなり新しいので、各プレイヤーが進化や革新を遂げる可能性はまだたくさんあるということ(イルグ氏は、FlipのアプリがGDPRの規則に厳格に準拠していることが、他の企業がGDPRに準拠していると主張するも、実際には準拠していない際に、同社がビジネスを獲得するのに役立っていると述べている)。また、かなり基本的な部分でも、同社はユーザーインターフェースや操作性だけでなく、アプリのサイズ、携帯電話上で占有する容量、使用するために必要な帯域幅など、アプリを使いやすくしている。

「私はFlipを始める前にPorsche(ポルシェ)で製造の仕事をしていたので、マネジメントとのコミュニケーション不足など、その気持ちはよくわかります」とイルグ氏はいう。「私たちは、画面数も少なく、ダウンロードして使用することに関して、この分野で最もシンプルなアプリケーションです。これが、エンドユーザーのために私たちが作って提供したい製品の精神です」。と語る。

そして三つ目は、成功のためにはクリティカルマスが重要だとすれば、Flipは実際に前面に躍り出ているということだ。

McDonald’s(マクドナルド)、Rossmann(ロスマン)、Edeka(エデカ)、Magna(マグナ)、Mahle(マーレ)など、現在までに200社、約100万人のユーザーを獲得している。パンデミックにより、最前線で働く人たちが突然、人々の意識の中心に現れた瞬間、Flipの収益は急上昇し、2021年は6倍になったとイルグ氏は語った(このスタートアップは、実際の収益や評価額を公表していない)。

この分野を追っている人は、先々週、WorkplaceがMcDonald’sを顧客として発表することを望んでいたものの、それを控えていたという話を書いたことに気づいたかもしれない。FlipのMcDonald’sとの契約人数は、現在約6万人。McDonald’sはすでにFlipと公の場で協働していることを考えると、Workplaceとの契約がどうなるかは興味深いところだ。いずれにせよ、この案件がいかに大きな意味を持つかは明白である。

今日のアプリは、主に雇用主が、日中動き回っている、通常は1つの場所で働くことのない、より広範囲の従業員とコミュニケーションをとるために使用されている。また、従業員同士も、主に生産性向上のために、シフト交換や給与明細の確認など、コミュニケーションをとるためにアプリを使うが、仕事に直接関連する機能を実行するために使うわけではない。この分野は、Yoobicのようなライバルが機能を構築している分野であり、イルグ氏は、Flipもその可能性を検討し始めていると述べた。

Notion VenturesのJos White(ヨス・ホワイト)氏は「Flipは、デスクを持たない社員1人ひとりが、自社のコミュニケーションプロセスに真に参加する機会を提供します。このような社員を積極的に取り込むことには、大きな可能性があります。Flipが英語圏の市場で拡大する際に、我々の専門知識と経験でサポートできることを楽しみにしています」と声明で述べている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】「大量退職時代」はテックワーカーがキャリア代理人を利用するきっかけになるか?

大量退職時代(The Great Resignation、ザ・グレート・リジグネーション)は、テックワーカーに彼らの力を再認識させた。給料は上がり、人材需要は高まり、もしあなたがStripe(ストライプ)のエンジニアなら、アイデアのタネもないうちからプレ・シード会社を支援してくれる投資家が少なくとも3人いる。

しかし、求人熱の高まりは、進路決定をやさしくするわけでは決してない。もしあなたがShopify(ショッピファイ)のクリエイティブ・ディレクターか、Thrasio(スラシオ)のプロダクト責任者なら、オファーが殺到するだろう。

Free Agency(フリー・エージェンシー)は、2019年にSherveen Mashayekhi(シャービーン・マシャエキ)氏とAlex Rothberg(アレックス・ロスバーグ)氏が共同設立したスタートアップで、スタートアップ人材に対する熱望をビジネスの糧にしようとしている。テックワーカーも、ハリウッドスターやスポーツ選手が代理人から受けているのと同じようなサービスの恩恵に預かれるはずだ、とこのスタートアップは考えた。Free Agencyは、プロダクト、エンジニアリング、マーケティング、デザインなどの分野にわたり、中級から上級幹部レベルの候補者に代理人サービスを提供する。これまでに同社は、4700回の面接で候補者を支援し、交渉の結果獲得した提示給与総額は2億ドル(約229億4000万円)に上るとFree Agencyは推定している。

例えばFree Agencyが手がけたあるクライアントは、プロダクト担当シニアディレクターとして90万ドル(約1億円)の報酬を得て前職の総報酬から53%急増した。その過程で同社は、Snapchat(スナップチャット)、Coinbase(コインベース)、Lyft(リフト)などの企業と計21回の面接を設定し、クライアントは求職活動中1通の応募書類もメールも送る必要がなかった。

「当社のネットワークと仕事検索エンジンを使って、クライアントが寝ている間に面接を設定しました」とマシャエキ氏はメールに書いた。

このエージェントモデルは、ハリウッドでは比較的よく見かけるものだが、テック業界はサードパーティーを通じたキャリアマネージメントという発想をまだ受け入れていない。転職マーケットプレイスを設立し、Toptal(トプタル)やStella.ai(ステラ・エーアイ)などの求人会社で働いた経験を持つマシャエキ氏は、人材活用におけるテクノロジー利用は、伝統的に雇用者を喜ばすためのもので、従業員のためではないと話す。

「もしあなたが人材テック分野のエンタープライズ向けスタートアップのファウンダーなら、雇用者のところへ行って『私のツールを買ってください』と『マーケットプレイスにお金を払ってください』というほうが簡単です。なぜなら相手は問題の緊急性を理解しているから」と彼はいう。「雇用者は、そのお金が雇用と従業員維持の問題を解決することを理解していますが、候補者は歴史的にそういうお金の使い方をしてきませんでした」。

「スパム」を送ったり候補者の「パターンマッチ」をするために雇用者から料金を取るのではなく、Free Agencyは候補者の目的のみに焦点を当てている。同社は、候補者に初年度報酬の5~10%程度を請求して利益を得る。

一方雇用者は、Free Agencyが1週間に最大5人の候補者を紹介するサブスクリプションサービスを無料で利用できる。キャリアを管理するためにリクルーターに金を払えと従業員にいうのは大きな頼み事だ。しかも、候補者は今の職に満足していれば、そのサービスを少なくとも数年間、おそらくもっと長い間必要としない、

マシャエキ氏は、Free Agencyは入社時だけでなく、社内異動、能力向上など昇進サイクルを通じて候補者を手助けすることで価値を示すことができると強調する。現在同社は積極的にプロダクトを拡充しており、エンジニアリング・チームはキャリア・オペレーティング・システムの開発を進めている。そこではユーザーが求人情報や勤務評価、報酬評価などを行える。

もう1つの疑問は、Free Agencyは同社のサービスを最も必要としている人たちに提供するのか、という点だ。歴史的に過小評価され、概してネットワークとのつながりがなく重要な情報を得られない人たちだ。それとも、すでに十分つながりのある人たちをもっとよいところに着地させる手伝いをするだけなのか。

「率直に言って、Free Agentsに登録されている人たちの多様性の内訳は可もなし不可もなしです」とマシャエキ氏がメールで語った。同社は営業、顧客獲得、および市場開拓プログラムを展開してこれを変えようとしている。現在同社のプラットフォーム上にいる代理人は60%が女性で、20%が過小評価グループ出身だ。

こうした疑問符をつけられながらも、Free Agencyは2021年12月、1000万ドル(約11億5000万円)のシリーズAラウンドをアーリー・ステージ投資会社、Maveron(マベロン)のリードで完了した。さらに、Free Agencyのクライアント20社も出資しており、他にKevin Durant(ケビン・デュラント)氏のThirty Five Ventures、Resoloute、Bloomberg Beta、Kygo(カイゴ)氏のPalm Tree Crewなども参加した。同社は以前に、535万ドル(約6億1000万円)のシードラウンドも完了している。

それでもFree Agencyの最終テストは、管理された職探しを積極的に外部委託しようとい候補者を十分な数集められるかどうかだ。大量退職時代は、転職希望者がFree Agencyのようなサービスを試してみる推進力になっているかもしれないが、一度、波が去った後、求職者がどこまで確信を持てるかは不透明だ。

関連記事:従業員のウェルビーイングを管理、ポストコロナ期の燃え尽き症候群を防ぐQuan

画像クレジット:Gary Waters / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンジニア採用育成支援サービス「TechTrain」を提供するTechBowlが1.3億円のプレシリーズA調達

U30(30歳以下)に特化したエンジニアの教育事業と人材マッチング「TechTrain」(ユーザー向け/企業向け)を展開するTechBowlは1月27日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億3000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は博報堂DYベンチャーズ、D4V、SMBCベンチャーキャピタル。調達した資金により、TechTrainへの開発投資・広告・マーケティング強化・人材採用を促進する。

TechTrainは、50社100名を超える有名企業のエンジニアに対して、好きな時に、1on1で技術やキャリア相談が行えるオンラインサービス。「現役ITプロエンジニアが、会社の垣根を越え、次世代のエンジニアをみんなで育てる」という思想で立ち上げられた。サービス開始から2年半でユーザー数は4000人を突破し、現在では累計5000件以上の面接ののち、200社以上の企業のエンジニア採用支援を行った。

TechTrainの特徴は、「パーソナライズド・エンジニアリング」、実践型開発ドリル「Railway」、実践型ワークサンプル「MISSION」の3つ。パーソナライズド・エンジニアリングは、新規登録時にスキルレベルを診断し、利用目的(就職またはスキルアップ)を掛け合わせ計10パターンのカリキュラムを展開する。これにより、各ユーザーのレベル感や希望に合わせた「パーソナライズド・エンジニアリング」を提供できるという。

2つ目のRailwayは、実務で直面するケースに絞った、現役エンジニアメンターが完全内製した教材。ユーザーは、コピー&ペーストではなく自力でコードを書く基礎力を身に付けられ、実践を想定したスキルアップが可能となる。電車の路線マップのように、技術分野ごとに問題を出題。各問題に自動合否判定システムを組み込んでおり、教育のオートメーション化を実現した。

MISSIONは、各社CTOが出題する実践型ワークサンプルを基に、オンラインで各社の事業・技術・文化を、自身でプログラミングしながら理解を深められるというもの。クリアすれば企業から特別オファーがある。候補者と企業の双方が効率的かつ高精度なマッチングが行える。

アジアのHRテックプラットフォームDarwinboxがTCV主導で約81.9億円調達、ユニコーンに

投資家が「アジアのSaaS化」と呼ぶトレンドを、人事テックプラットフォームDarwinbox(ダーウィンボックス)がリードする中、同社は新たに7200万ドル(約81億9400万円)の資金調達ラウンドで評価額を3倍以上に引き上げ、ユニコーンになった。

Technology Crossover Ventures (テクノロジー・クロスオーバー・ベンチャーズ/TCV) は、Netflix(ネットフリックス)、Meta(メタ)、Spotify(スポティファイ)、Airbnb(エアービーアンドビー)などの企業を支援することで知られる投資家で、ハイデラバードを拠点とするこのスタートアップのシリーズD資金7200万ドルをリードした。

Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インド)、Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)、3One4 Capital(スリーワンフォー・キャピタル)、Endiya Partners(エンディヤ・パートナーズ)、SCB 10Xなどの既存投資家もこのラウンドに参加し、Darwinboxの調達額は過去最高の1億1000万ドル(約125億円)を超え、10億ドル(約1137億円)を超える価値を持つことになったと、創業6年の同スタートアップは述べている。

Darwinboxは、クラウドベースの人材管理プラットフォームを運営している。このスタートアップの名を冠したプラットフォームは、従業員の「採用から退職まで」のサイクルニーズ全体を管理する。Starbucks(スターバックス)、Domino’s(ドミノピザ)、最近デカコーン化したSwiggy(スウィギー)、Tokopedia(トコペディア)、Zilingo(ジリンゴ)、Kotak(コタック)など数百の企業が、新入社員の入社手続きや業績、退職率の把握、継続的なフィードバックループの確立のためにこのプラットフォームを利用している。

今回の資金調達は、Darwinboxが力強い成長を遂げた1年に続くものだ。共同設立者のChaitanya Peddi(チャイタニア・ペディ)氏は、TechCrunchのインタビューで、世界中の企業が従業員と連携し、従業員にサービスを提供するツールを探すのに奔走したパンデミックがDarwinboxの成長を加速させたと語っている。

同スタートアップによると、2021年の収益は2倍になり、全体の収益の約20%を占める東南アジア地域では3倍に成長したという。

チャイタニア・ペディ氏、ジャヤント・パレティ氏、ロヒト・チェンナマネニ氏の3人(写真左から)は、2015年末にDarwinboxを共同設立した。(画像クレジット:Darwinbox)

このスタートアップは、社員同士がつながりを保つためのソーシャルネットワークや、電話からすばやく音声コマンドで休暇申請やミーティングの設定を行うAIアシスタントなど、フルスタックのサービスを提供しており、Gartner(ガートナー)のエンタープライズ向けクラウドHCMのマジック・クアドラントにアジアのスタートアップとして唯一取り上げられるなど、その地位を確立している。

Darwinboxの顧客の3分の1は、以前はOracle(オラクル)やSAP、Workday(ワークデイ)などの定評あるプラットフォームを利用していた人々であることも、この幅広いサービスによって説明できるかもしれない。

TCVのジェネラルパートナーであるGopi Vaddi(ゴピ・ヴァディ)氏は「我々は、非常に共鳴的な製品で大規模な産業を根本から変革しようとしている、先見性のある創業者を後ろで投資できることにとても興奮します」と、声明の中で述べている。

「また、非常にインパクトがあり、急速に進化するHRテクノロジーの分野でまさにそれを実践している優れたチームを支援し、グローバルHCMリーダーへの道をともに歩んでいけることをうれしく思っています」。と語る。

Lightspeed Venture PartnersのパートナーであるDev Khare(デヴ・カレ)氏は、Darwinboxは、アジアから世界へ向けて構築しているスタートアップのコホートの一部であるという。「私は、アジアのSaaS化を強く信じています。アジア向けのSaaS企業の市場には引き合いが増えており、5年前に観察したものとは大きく変わっています」と、同氏は2019年にLinkedInに投稿している。

「なぜアジア向けSaaSがカテゴリーとして存在する必要すらあるのか、疑問に思われるかもしれません。なぜ米国や欧州のベンダーがここで支配し続けることができないのでしょうか?私の考えでは、これらの欧米のベンダーは実際に支配したことはなく、市場のトップをかすめただけなのです。インドやアジアで実際に起こっていることは、パッケージ・アプリケーションのユーザーではなかった企業や、テクノロジーを利用するユーザーではなかった従業員(ブルーカラー労働者など)が、紙ベースのマニュアルプロセスからSaaSへと直接飛び越え始めているということです」と彼は書いている。

Darwinboxは、今回の資金をチームの拡大とグローバル展開のさらなる推進に充てる予定だ。また、製品ラインナップを拡充し、企業が自社の人事テックエコシステムにプラグアンドプレイできるような補助的なサービスやソリューションを多数追加することも目指している。

同社は、他のスタートアップとの合併や買収によって、これらの製品のいくつかを追加することも視野に入れていると、ペディ氏は述べている。

画像クレジット:Darwinbox

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

韓国の人事自動化プラットフォームflexが約329億円の評価額で約36.7億円のシリーズBを獲得

韓国を拠点とする人材管理プラットフォームのflex(フレックス)は、米国時間1月17日、評価額2億8700万ドル(約329億円)で、3200万ドル(約36億7600万円)のシリーズBラウンドを完了したと発表した。これで合計調達額が4200万ドル(約48億2500万円)に達することになった、今回の資金調達は、Greenoaks(グリーンオークス)が主導し、DST Global Partners(DSTグローバル・パートナーズ)が参加した。

同社のミッションは、企業が手作業の人事業務プロセスを自動化して合理化し、より人材に集中できるようにすることだ。同社の自動化ツールは給与計算、電子署名サポート、入社・退社手続き、人材分析などにおいて、グループ間でシームレスなデータフローを実現し、従業員の体験を最適化する。また、2022年第1四半期には、パフォーマンスレビュー(業績評価)とタレントリレーションズマネジメント(人材関係管理)ツールも発表する予定だ。

「flexでは、HRを『Human Resources(人事)』ではなく、『Human Relations(人間関係)』と定義しています。私たちは、人事チームが従業員を管理し、サービスを提供するために世界クラスのソフトウェアがふさわしいと考えています。しかし今日、多くの組織がいまだにスプレッドシートやレガシー製品を使っていることは明らかです」と、flexのCEOであるHaenam Chang(ヘナム・チャン)氏は述べている。

設立2年のこのスタートアップは、今回の資金を、需要に応じた事業の拡大、人事オートメーションやSaaS製品の開発、従業員の増員などに充てる予定だ。

シリーズBの資金調達は、多くの製品の発売と新規顧客の獲得により、2021年と比較して約10倍の収益成長を達成したことを背景に行われた。同社は、主にIT分野の中小企業にサービスを提供してきた。しかし、2022年、中小企業の新しい業界をターゲットにすることで、対応可能な市場を拡大する計画だ。なお、ユーザー数や顧客数については、質問されても明らかにしなかった。

現在、flexは、過去20年間の技術進歩への適応が遅れていた人事機能とプロセスを近代化するSaaSソリューションを提供することで、韓国での成長に注力している。同社は、韓国における人材管理の文化的ニュアンスと人事規制を深く理解しているため、韓国企業に合わせた製品群を提供するのに有利な立場にあると述べている。

「一部の企業は、従業員を把握し、管理方法を改善するためのソリューションを導入していますが、ほとんどの企業が、従業員に関するその場限りの決定を下す際に、直感や不十分なデータに依然として依存しています。flexでは、従業員データの信頼できるソースと、従業員を管理するための豊富なツールセットでお客様を支援し、個人と組織のパフォーマンスを最大化させます。私たちの目標は、単に優れた人事ソフトウェアソリューションを提供することではなく、企業が最も重要な資産である従業員をよりよく把握・管理できるようにすることです」とチャン氏は述べている。

GreenoaksのJosh Cho(ジョシュ・チョウ)氏は「韓国は世界で最も大きくダイナミックな経済の1つですが、歴史的に企業が従業員を管理し給与を支払うためのネイティブなソリューションがなく、企業は不満を抱えながら独自のソリューションを開発しなければなりませんでした。flexは、国内初の次世代人事情報システムおよび給与計算プラットフォームを急速に構築しています。私たちは、企業がパフォーマンス管理から採用、給与計算など、すべての人事機能を1カ所で処理できるようにするエンド・ツー・エンドの製品に関する彼らのビジョンに期待しています」と語っている。

画像クレジット:metamorworks / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

外国人特定技能人材のマッチングプラットフォームtokutyが3000万円のシード調達

外国人特定技能人材のマッチングプラットフォームtokutyが3000万円のシード調達

外国人特定技能人材のマッチングプラットフォーム「tokuty」(トクティー)を運営するトクティーは1月18日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による3000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はマネックスベンチャーズ。

調達した資金により、顧客基盤および提携パートナーの拡大・UXの向上を図る。

  • 営業体制の強化:特定技能人材の採用企業の開拓、海外人材会社とのパートナーシップ提携の促進に向け、日本人・外国人の営業人員を強化
  • プロダクト開発の強化:tokuty上における、高精度の自動マッチング、ビザ申請業務の効率化に向け、機能追加・ユーザビリティー向上を図る

2018年8月設立のトクティーは、外国人人材採用・労務管理サービスを展開するグローバルスタートアップ。tokutyのβ版を2020年10月にローンチ。tokutyは、「特定技能人材を採用したい企業」と「外国人特定技能人材」をtokuty上でマッチングすることで、国境を超えた新たな就労機会を提供するサービスとしている。外国人特定技能人材のマッチングプラットフォームtokutyが3000万円のシード調達

企業の法務の形を変え、その活用方法の進化を目指すLawtrades

Lawtradesの共同創業者アシシ・ワリア氏とラード・アーメッド氏(画像クレジット:Lawtrades)

企業の法務も、独立の弁護士や法律事務所との契約を採用しているところが多い。そこでLawtradesは法律のプロたちに、独立して独自のバーチャルな法律家になる方法を提供する。

Raad Ahmed(ラード・アーメッド)氏とAshish Walia(アシシ・ワリア)氏が2016年に同社を立ち上げたときは、スタートアップや小企業を主な顧客と想定し、誰もがやるようにプロダクトを市場に合わせようとしたが、わかってきたのは、そんな大きさの企業が法律業務を利用するのはプロジェクトベースが多く、頻度も少なく、会社が倒産して短期で終わる場合もあることだ。

2019年、同社は法務部門に売り込むことで中堅企業やエンタープライズレベルの企業との取引にピボットし、そこから成長が加速したとアーメッド氏はいう。

今日、LawtradesはDoordashやGusto、Pinterestなどを顧客とし、彼らにリモートで雇うことができるプロフェッショナルの柔軟性に富むマーケットプレイスを提供している。同社の技術で、法律のプロと企業の両方がプロフィールを作り、お互いをマッチさせ、プロジェクトをモニターし、当プラットフォーム経由で決済する。

「つまりそれは新たなインターネットネイティブのワークモデルで、私たちが法務から始めたのは、それが1000億ドル(約11兆4000億円)の市場でありながら過去100年間ディスラプトされていないからです」とアーメッド氏はいう。

Lawtradesアプリのデザイン(画像クレジット:Lawtrades)

LinkedInでは、何百人もの応募者の中から優秀な人材を探し出さなければなりませんが、アーメッド氏とワリア氏は、それとは異なる採用体験を構築したいと考えていた。また、プロフェッショナルは、オーバーヘッドやその他の費用が請求可能な時間数に含まれている法律事務所とは異なり、一律の価格体系を提供することができる。

2021年には売上が倍増し、Four Cities Capitalがリードする600万ドル(約6億9000万円)のシリーズAを完了した。参加した投資家はDraper Associatesと500 Startupsだ。そのラウンドには100近い顧客やエンジェル投資家、そしてGumroadの創業者Sahil Lavingia(サヒール・ラヴィンヤ)氏やTeachableのAnkur Nagpal(アンクル・ナグパル)氏、GoDaddyのCEOであるAman Bhutani(
アマン・ブタニ)氏など、企業の創業者も参加した。

「リモートの法律業務がやっと認められるようになり、多くの法律家たちが大きな法律事務所を去って自分で仕事をするようになっているため、私たちはすでに黒字で、収益をベースとする資金調達ができる。大量の希薄株による資金調達をする必要がない」とアーメッド氏はいう。

関連記事:離婚手続きを弁護士のサポートを受けながらスムーズかつ低コストで進められる「Hello Divorce」

2021年の終わりに、Lawtradesの顧客は80社、進行中の仕事は150だった。人材の面では、預かっているプロフィールが1000を超え、それは2020年の400に比べて大幅増だ。現在は招待制のみで、ネットワークが5%を受け取る。ネットワークの構成は女性60%、マイノリティーが35%以上いる。

アーメッド氏によると、12月に同社の推定年商は800万ドル(約9億1000万円)に達し、前年の300万ドル(約3億4000万円)から大きく伸びた。今日まで、ネットワークのプラットフォーム上での収益が110万ドル(約1億3000万円)、プラットフォーム上でログオンされた仕事時間は2021年で6万時間を超え、前年比で200%の増だった。

アーメッド氏の計画では、今回の資金を社名変更とiOSアプリの立ち上げ、法律以外に財務や経営コンサルティングなど他の専門分野への拡張に使いたいとのこと。また、国際化も狙っている。そして社員数を現在の15名から30名に増やし、プロダクトやサポート、そして営業方面を充実したいという。

「仕事の世界は今、ユニークな位置にいる。人びとはリモートで仕事をし、企業は人材を求めている。そこで今は全面的な人材戦争が起きていて、優秀な人ほど待遇が良い。私たちのモデルの良い点は、個人が自分のやりたい仕事を得られることだ。すばらしい人材が集まってくるのも、そして彼らが待遇の良い仕事にありつけるのも、そのためだ。今後も改良を進めて、週40時間労働の限界を広げたい」とアーメッド氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

従業員の報酬に秩序と公平性をもたらすシステムAssembleが約5.7億円の資金を獲得

どの企業も従業員の給与を決定し、その報酬を何らかの方法で管理していく必要がある。多くの場合、スプレッドシートと、給与計算、財務、人事システムなどの異なるシステム間を行き来しているだろう。また、企業は、同レベルの経験を持つ従業員に対して、同じ仕事に対して同水準の報酬を支払っていることを確認する必要がある。

アーリーステージのスタートアップであるAssemble(アセンブル)は、このプロセスを整理したいと考えており、米国時間1月11日、Susa Ventures(スーザ・ベンチャーズ)、Goldcrest Capital(ゴールドクレスト・キャピタル)および複数の業界エンジェル投資家から500万ドル(約5億7600万円)のシード投資を受けたと発表した。

Assembleの共同設立者であるEnrique Esclusa(エンリケ・エスクルーサ)氏は、同スタートアップが報酬決定のためのエンゲージメントシステムを構築したと述べている。

「これは、通常はバラバラのシステムで管理されている報酬と労働力のデータをすべて1カ所に集め、会社全体のさまざまな関係者がアクセスできるだけでなく、実行可能で理解しやすいようにするためのシステムです」と彼は説明した。

エスクルーサ氏と共同設立者のLisa Wallace(リサ・ウォレス)氏は、ウォレス氏が採用を担当し、エスクルーサ氏が財務と事業運営を管理していた別の企業で一緒に働いていた。そこで2人は、この種の情報を管理することがいかに難しいかを、身をもって知ったのである。

「私たちが気づいたのは、すべてが仮想的にスプレッドシートで管理されていたということです。このデータとフレームワークをまとめ、会社全体の意思決定を行う人々に正しい情報を共有し、人を雇い、引きつけ、失わない競争力を持つだけでなく、財政的な責任と公平・公正さを持った意思決定を行うためには、とても苦痛で時間のかかる方法でした」と、彼は述べた。

そこで2020年、この2人の創業者が集まり、自分たちが経験した問題に対処するための製品を作ることを決めたのだ。

ウォレス氏によると、企業は通常、組織を構築した後に、それを修正するために、コンサルタントがさまざまなシステムから情報を引き出す必要があるため、直接的な方法で公平性を考慮することはないという。Assembleは、最初から報酬体系に公平性を組み込むように設計されている。

「重要なのは、1つの場所で報酬の公平性分析を実施したり、別の場所で管理職に単発の可視性を提供したりすることだけではありません。報酬に関わる複数のステークホルダーからなるエンゲージメントのレイヤーを組織全体に設けることです。Assembleは、報酬システムに公平性を最初から組み込むように設計されています。というのも、報酬にはさまざまなステークホルダーが存在し、各自さまざまな目標があるため、簡単にレールを外れてしまうことがあるからです」と、彼女はいう。

画像クレジット:Assemble

Assembleは現在10名の従業員を持ち、多様な創業チームと給与の公平性に関わるDE&I(多様性、公平性、包摂性)ミッションを掲げており、多様で包摂性のある企業づくりに取り組んでいる。

「私たちは多様な候補者を面接し、評価するために、各採用案件に対してかなり協調的な努力をしてきました。それは、私がとても重視していることです。エンリケと私は、自分たちの時間の3分の1を採用活動に費やしています」と語った。加えて、従業員数は10名と少ないが、多様性の数値は多くの指標でかなり良好であると述べている。

「会社としてのヒスパニック系は40%で、従業員の60%が移民か移民の子どもなんです」と彼女はいう。現在10名の社員のうち、女性はわずか2名だが、ウォレス氏は今後の採用で対応する予定だという。また、歴史的に存在感の薄いエンジェル投資家をキャップテーブルに迎え入れ、資金調達の面でも多様性の確保に取り組んでいるという。

報酬は組織内では単独で存在しえないため、AssembleはWorkDay、Gusto、ADP、Bamboo HRなどの人事・給与ソフトツールと連動して動作するようになっている。

画像クレジット:Golden Sikorka / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Akihito Mizukoshi)

日立ソリューションズ、熟練面談者のノウハウをノンコーディングでAIモデル化できる「面談支援AIサービス」開始

日立ソリューションズ、熟練面談者のノウハウをノンコーディングでAIモデル化する「面談支援AIサービス」を1月5日開始

日立ソリューションズは、熟練面談者のノウハウをノンコーディングでAIモデル化し、面談の課題解決支援に利用できる「面談支援AIサービス」を2022年1月5日から開始する。これは、スマートフォンやPCのブラウザー上において、熟練面談者のノウハウを学習したAIモデルが、面談を受ける被面談者の受け答えから表情や言葉を分析し、特性の評価予測が行えるというもの。

企業における面談には、採用面談のほかにも、事業の効率化を進めるために従業員に対して定期的に行うものもある。特に「ジョブ型人材マネージメント」では、人材の有効活用のために質の高い面談がさらに重要になってくる。しかし、面談者の経験や好みによって評価にばらつきが出たり、熟練面談者の都合がつかず、経験の浅い面談者が対応しなければならなかったり、面談者と被面談者とのスケジュールが折り合わないなど、様々な課題がある。

そこで日立ソリューションズでは、評価したい指標と、被面談者に対する熟練面談者の評価結果を学習させたAIモデルを作成可能となる「面談支援AIサービス」を開発した。これを使うことで、経験の浅い面談者でも熟練者に近い対応ができるようになるほか、被面談者の評価が定量化できるという。また、面談者が立ち会わない、アバターを使った「セルフ面談」も可能になる。日立ソリューションズは、製造や建設分野などの無期雇用派遣事業を展開するUTグループと概念検証(PoC)を行ったところ、「AIモデルの予測が熟練面談者の評価と比較しても大差なく、実用可能であることを確認」できたとのことだ。

「面談支援AIサービス」の特徴は次のとおり。

  • 定量的で高水準な評価支援:熟練面談者と同等の評価を行うAIモデルの評価予測を、面談者が参考にすることで、キャリア面談などの効率的な実施を支援
  • ノンコーディングでAIモデルを作成
    評価したい指標と、被面談者に対する熟練面談者の評価結果を学習させるだけで、効率的にAIモデルが作成できる。評価したい指標は、企業や組織、業務ごとに設定可能
  • AI育成による継続的な精度向上:AIモデルが熟練面談者の評価結果と異なる結果を出した場合は、業務のプロフェッショナルである熟練面談者が評価結果の違いをAIモデルにフィードバックすることによって、評価の精度を継続的に向上させることが可能(この機能は2022年春に導入予定)
  • 面談者の育成:経験の浅い面談者は、熟練面談者のノウハウを学習したAIモデルのスキル評価結果を活用することで、あたかも熟練面談者が寄り添うように面談を行うことができ、判断基準を学ぶことで、スキルアップを図れるという

これは、月額式のクラウドサービス。月額料金は、月あたり200回や1000回など、面談回数や用途・規模に応じて個別に見積もられる。また、画面カスタマイズ、API連携、動画の特徴量分析なども個別に対応可能とのことだ。

リモートでのエンジニア発掘、採用、管理を支援するTuringが約98億円調達、転勤望まぬエンジニアからの需要急増

コーンフェリーの調査によると、テクノロジー業界のエンジニア人材を巡っては需要が供給を上回る深刻な状況が続き、2030年までに乖離は広がり、8500万件のポジションが埋まらない見通しだ。より包括的かつグローバルなアプローチで人材を発掘、採用、管理することでこの流れを食い止めることができると考えるスタートアップが、自社のプラットフォームの構築を継続するため、大規模な資金調達を米国時間12月20日に発表した。

AIを使ってエンジニアの発掘、評価、採用、入社、リモートでの管理(人事やコンプライアンスの面も含む)を「タレントクラウド」という大きなプラットフォームで行うTuring(チューリング)が、シリーズDラウンドで8700万ドル(約98億円)を調達した。このラウンドで11億ドル(約1250億円)のバリュエーションがついた。WestBridge Capitalがこのラウンドをリードし、前回の出資者であるFoundation Capital、新規投資家のStepStone Group、AltaIR Capital、戦略的投資家のHR Tech Investments LLC(Indeedの関連会社)、Brainstorm Ventures, Frontier Ventures, Modern Venture Partners, Plug and Play Scale Fundも参加した。このラウンドは応募超過となったため、同社はバリュエーション40億ドル(4520億円)でSAFEノートも募集した。こちらも応募超過となった。

今回の資金調達の背景には、Turingの力強い成長がある。世界各地にいる、転勤ができない、あるいは転勤を望まないエンジニアからの需要が急増したのだ。創業者でCEOのJonathan Siddharth(ジョナサン・シッダールト)氏はインタビューで、候補者総数が2020年1年間で9倍に増え、140カ国、100万人のエンジニアや開発者が、プロジェクトを探しているか、すでにプロジェクトに携わっていると話した。(2020年、同社が3200万ドル[約36億円]の資金調達を発表したとき、このプラットフォームには18万人の開発者がいるとのことだった)。現在、約100のテクノロジーと15の職種をカバーしており、エントリーレベルからエンジニアリング・ディレクター、CTO候補まで、幅広い職種をカバーしているとシッダールト氏はいう。

関連記事:エンジニアをリモートで調達・管理するAIベースのプラットフォーム開発のTuringが約33億円調達

人気の職種は、フルスタックエンジニア、フロントエンドやバックエンドの言語を専門とするエンジニア、そしてサイトの信頼性を高めるエンジニアだ。近い将来、Turingはプロジェクト管理などの隣接分野にも進出し、新製品への道を開く予定だ。企業がTuringを使って個々人をチームとして管理するのではなく、チーム全体を管理できるような製品だ。

このプラットフォームに対する需要も拡大している。顧客はテクノロジー企業から、ビジネスのさまざまな側面の運営や構築を支援するエンジニアを必要とする非テクノロジー企業まで、多岐にわたっており、Johnson & Johnson、Coinbase、Rivian、Dell、Disney、Plume、VillageMDなどが含まれる。

「私たちは今、リモートファーストの世界に生きており、誰もがその価値を享受しようと競っています」とシッダールト氏は話す。

Turingは、採用とリモートワークに関するいくつかの基本的な前提に基づいて設立された。その前提は現在の市場環境で受け入れられ、新型コロナウイルス感染症がおそらく恒久的に位置づけを変え、姿を変えた。パンデミック以前も、リモートワークが受け入れられることもあったが、多くの場合、企業は実際にインフラを整え、人々がオフィス環境で一緒に働けるようにするだけでなく、できるだけ多くの時間を過ごすよう奨励した。そのために、無料でおいしい食事、ビリヤード台やその他の娯楽、一眠りしたいときの仮眠室さえ用意した。

こうしたことは、オフィスカルチャーに関する凝り固まった考え方の中で広がっただけでなく、募集や採用にも影響を与えた。仕事のためには引っ越すものであったし、会社と従業員は大がかりなビザの手続きを経なければならなかった。しかも、ベイエリアのような特定のハイテク拠点への転居を求められることが多かった。これは、地域のインフラや家賃、市や町の大きな社会構成に大きな負担をかけることを意味した。

新型コロナがゲームを完全に変えた今、私たちはみな、仕事をするために、しかも仕事を首尾よく進めるために、そうしたことが本当に必要だったのかどうかを自問している。

Turingは、そのような問いかけに事実上、響き渡る声で「ノー」と答えるプラットフォームだ。

「Twitter、LinkedIn、Siemensはリモート化を進めており、その理由は明白です」とシッダールト氏は話す(いずれもTuringの顧客ではなく、リモート化を進める企業の例だ)。「今やエンジニアのプールを利用することができます。賢い人々は他の人がいないところに目を向けています。また、分散型チームの成功も証明されています」。

しかし、リモートマネジメントが簡単だというわけではない。エンジニアのパイプラインを構築し、彼らを評価する方法を考え、彼らと連絡を取り続ける必要がある。そのため、Turingが構築されたのは、発掘のためだけではなく、その他のハードスキルやソフトスキル支援のためでもある。シッダールト氏によると、ほとんどの人は有期のプロジェクトで登録するが、中には組織内のもっと長期的な、さらには正社員のポジションで働く人もいる。このような人材不足の問題に取り組んでいるのは、Turingだけではない。

Fiverr、Upwork、LinkedIn、その他多数のプラットフォームで、エンジニアがどこにいても簡単に探し出すことができる。Turingが構築したプラットフォームは、エンジニアと関わる際に生じる、より特殊なエンド・ツー・エンドのニーズに対応する(この点では、先にデザイナーやクリエイターの採用・管理プラットフォームで資金調達を行ったSupersideと少し似ている)。

StepStone GroupのパートナーJohn Avirett(ジョン・アビレット)氏は「世界中の開発者にすばらしい機会を提供するというTuringの野心的なビジョンは刺激的です」と声明で述べた。「『インテリジェント・タレント・クラウド』は、アクセスを民主化し、契約を結ぶ以上の永続的なつながりを作る驚くべき方法です。彼らは、そのプロセスを、個人と採用する企業のための長期的なキャリアプランにまで洗練させました」。

「Turingは、巨大な業界のあらゆる『脚』を製品化しており、その顔と認識を将来にわたって恒久的に変えました」とFoundation CapitalのAshu Garg(アシュ・ガルグ)氏は付け加えた。

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録を受付開始

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録受付開始エンジニア特化型人材サービスやシステム開発受託を行うBranding Engineerは、ブロックチェーン、暗号資産といったWeb 3.0(Web3)に関するプロダクトの開発に携わるエンジニア向けの採用プラットフォーム「Guilders(α版)」の事前登録受付を開始すると発表した。サービス自体にもブロックチェーンやNFTの技術を活用するという。同社は2013年10月に設立し、2020年7月にマザーズに上場している。

採用コストが高いブロックチェーン業界エンジニア

スカウト受領でトークンがもらえる、Web3エンジニア向け採用サービスGuildersが事前登録受付開始ブロックチェーン関連のニュースは今も非常に多く、プロジェクトも新設され続け、Web3エンジニアへの需要は高まっている。しかし、プロジェクトの多さやエンジニアのスキル判断者不足から、Web3のプロダクト開発企業とエンジニア同士のマッチングには、工数がかかりがちだ。Guildersでは、求職者が職を探す、採用企業側が優秀なエンジニアを選ぶ、エンジニア同士のコミュニケーションが継続するという3フェーズに分けて、Web3エンジニアの採用を支える。

まず、求職者向けには、数あるプロジェクトの中でも、成長性の高いものや、著名VCから出資を受けているものなど、一定の信頼のおけるプロジェクトを中心に掲載することで、リサーチコストを削減することを目指す。

次に、採用企業側へは、エンジニアのスキルを可視化し採用工数を減らせるように、TOEICなど各種語学検定のような、エンジニアの検定・資格制度を導入していく予定であるという。現在、エンジニアの採用においては、開発チームが自らTwitterなどのSNS上で人材を探してくることが少なくない。さらに、経験年数よりもスキルが物を言う職種であるためプロフィールだけでは判断ができず、開発チームが自ら面談やコーディングテストを行い、本来の業務である開発の時間が奪われるという課題があった。採用・人事部門でもスキルチェックできるようになれば、既存の開発チームの負荷を減らすことができるという狙い。

プラットフォーム内でNFTを流通させコミュニティ化も

Guildersでは、これらのほかに、NFTによる資格証明書の発行や、エンジニアが同プラットフォーム上でスカウトを受けることで、独自トークンがもらえる仕組みを検討しているという。代表取締役の河端保志氏によれば「従来は、優秀な人ほどスカウトが過剰にくることを嫌ってサービスを積極的に利用せず、転職に困っている人ほどプロフィールの充実化を図る傾向がありました。これに対し、Guildersでは、優秀なエンジニアでもスカウトサービスを利用するモチベーションになるよう、エンジニアがスカウトを受けると、インセンティブとして独自トークンをもらえるように設計しようと考えております」とのこと。このほかに、プラットフォーム上でのトークンの流通、運営のDAO(自律分散型組織)化など、Web3に根ざしたコミュニティ化を進め、メタバース領域へも事業展開を考えているという。

同社初のグローバル展開へ

Branding Engineerはこれまで日本国内で事業展開をしてきたが、Guildersは日本国内に限らず、グローバルな展開を視野に入れているという。Web3のトレンドにあわせ、優秀なエンジニアと秀逸なプロダクトをマッチングするボーダレスな世界を生み出すことを見据えている。リモートワークによる就業機会の拡大をとらえ、既存のサービス利用者に対しても、新たな働き方の提供を目指す。

複業・転職マッチングOffers運営のoverflowが3億円のシリーズA調達、2022年開始を目指し人材管理SaaS開発

複業・転職マッチングOffers運営のoverflowが3億円のシリーズA調達、2022年開始を目指し人材管理SaaS開発

エンジニア・デザイナー・PMなどプロダクト開発人材の複業・転職マッチングプラットフォームOffers(オファーズ)を運営するoverflowは12月14日、シリーズAラウンドにおいて3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、FFGベンチャービジネスパートナーズ、DNX Ventures、アカツキ「Heart Driven Fund」、三菱UFJキャピタルなど。調達した資金は、既存事業の成長および新規事業立ち上げを目的とした積極的な人材採用にあてる。

同社は2019年よりOffers(ユーザー登録ページ企業登録ページ)を開始し、これまで累計300社、1万人を超えるユーザーが利用しているという。今回、その次なるサービスとして、新たな人材管理SaaSを2022年の開始を目指し開発を進めると明らかにした。Offersと新サービスによって、採用から評価までワンストップで管理を行えるようにすることで、同社提唱の新採用手法「複業転職」を軸にした採用市場の活性化をリードするとしている。