リモートで働く新入社員向けのハードウェア選択・配布を支援するFirstbaseが約60億円調達

Firstbase(ファーストベース)は米国時間3月25日、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)が主導するシリーズBラウンドの資金調達を発表した。TechCrunchが同社のシリーズAを取材したのは1年前、世の中のリモートワークシフトが本格化した頃だった。

現在、よりハイブリッドな世界で、大小の企業がオフィス内の社員と在宅勤務の社員のバランスをどのようにとるかを考えており、我々はFirstbaseがどのように将来計画を立てているかに興味があった。

このスタートアップは、遠隔地にいるスタッフの入社を支援し、必要なハードウェアを必要なときに受け取れるようにするための支援を行っている。パンデミック時に転職した人なら、テクノロジー製品を新入社員に届けるのは必ずしも簡単なプロセスではないことを知っているだろう。この問題は、オフィスと個人の物理的な距離が遠くなる程、より複雑になる。

前回話したときから、同社は機能の幅を広げている。Firstbaseは、現在も顧客の新入社員がハードウェアを選ぶのを手伝い、出荷や回収、管理を担当している。そして、その提供内容に融資が加わった。現在、Firstbaseは、顧客が通常料金で、新入社員のハードウェアや、家具など遠隔地にあるオフィス周辺機器の購入代金を支払うことができるようにしている。

ハイブリッド時代の成長

Firstbaseにとって重要なのは、部分的にオフィスに戻りつつある世の中にどう適合していくかということだ。2021年4月以降の16倍の収益成長、同様の期間での7倍の顧客増加など、最近の四半期でスタートアップ級の指標を掲げた後、市場はFirstbaseの遠隔従業員サービス製品を以前より歓迎しなくなるのだろうか。

創業者兼CEOのChris Herd(クリス・ハード)氏はTechCrunchに、ハイブリッドな労働力を持つ企業は、Firstbaseを、オフィス内の従業員だけでなく、自宅から働く従業員にもハードウェアを供給していると語った。TechCrunchは、平均的な企業がどこに向かっているのかをより良く把握するために、リモートファーストの企業とハイブリッドスタイルの企業の間の顧客分布について同社に尋ねた。ハード氏によると、Firstbaseの顧客構成はかなり均等であるが、ハイブリッド型と言われる企業の中には、依然としてリモートワークが大半を占めている企業もあるという。

仕事の未来はまだ流動的だ。

しかし、Firstbaseが構築しているものは、オフィスの世界にきちんと適合する可能性がある。このスタートアップは、米国、英国、ヨーロッパで倉庫を拡張することを計画している。この物理的なフットプリントによって、同社は従業員との間でのデバイスの流れを管理し、必要性から納品までのタイムラグを抑えることができる。世界的なチップ不足の中、重要なサプライチェーン業務を第三者に任せることは、より多くのオフィスなど現実世界での労働力を求める企業にとっても魅力的であることがわかる。

TechCrunchは、Firstbaseが現在の活動に加えて、モバイルデバイス管理(MDM)ビジネスに参入する計画があるかどうかに興味があった。Jamf(ジャムフ)のようなMDMは、現在公開されているが、デバイスの物理的な配送やケアに関わるよりも、デバイス上でより多くの仕事をする。ハード氏は、2年前、MDM機能の構築は検討事項であったと述べている。しかし、その間にFirstbaseは、顧客が既存のMDM製品やHRIS(人事情報システム)ソフトウェアシステムを置き換えるのではなく、それらのシステムにプラグインすることを望んでいることを知った、と彼はいう。

もしFirstbaseがMDMツールを持たない中小企業に十分な販売をすれば、やがて小規模な顧客向けにシンプルなものを構築できるかもしれない。

とはいえ、シリーズAやBステージのスタートアップ企業との取引を想定していた同社は、数百人、数千人の従業員を雇用する顧客へと成熟度を高めていると、ハード氏は述べている。これは、5桁の取引ではなく、6桁の取引を意味すると、彼は言った。非公開企業は通常、このような一般的な指標以上のものを共有しないが、このケースでは、会社の最近の成長率を説明するのに役立っている。

Firstbaseは、ソフトウェア、ハードウェア、金融技術を巧みに組み合わせた企業だ。そのため、粗利やその他の経済的な詳細を推測するのは困難だ。誰かがデッキをリークするか、あるいはできるだけ早く会社が公開され、我々がデータを覗き見ることができるようになることを願う。

画像クレジット:filmstudio / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Yuta Kaminishi)

会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

会社に届く郵便物を自宅から管理できる、クラウド郵便サービス「atena」(アテナ)を提供するN-Technologies(N Inc.)は3月25日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資による1億2500万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家の千葉道場ファンド、また千葉道場ファンド・Scrum Ventures・Coral Capital。2021年9月のプレシリーズAラウンド以来3回目の資金調達にあたり、累計調達額は2億5500万円となった。

調達した資金は、atenaのマーケティング活動、オペレーション投資の強化にあて、事業の成長スピードを加速する。今後も、郵便物のための出社から社会を解放し、リモートワークの推進や新しい働き方の実現に寄与する。

atenaは、会社に届く郵便物をすべて電子化することで、PCなどの端末から郵便物の内容を閲覧できるサービス(エンタープライズ企業向けには「atena Cloud」を用意)。郵便物の受け取り・管理・スキャニング・不要な郵便物の処理などの作業を、すべてシステムで一元管理が可能で、例えばリモートワークにおいて、「郵便物の確認」のためだけの出社を行うといった必要がなくなるという。会社に届くすべての郵便物を電子化し自宅から一元管理、クラウド郵便サービスのatenaが1.25億円のシリーズA調達

また、セキュリティ対策も万全に構築しており、国際認証規格「ISO/IES 27001:2013」の取得、生体認証に守られた環境の整備などを実施。国内外の上場企業やスタートアップ企業、税理士事務所などで導入が進んでおり、完全リモート化に成功した顧客が増えているそうだ。

 

フォードはCiscoと提携して電気自動車をビデオ会議の空間に

Ford(フォード)のEVピックアップトラック「F-150ライトニング」には最近、双方向充電機能が搭載され、万一のときに家庭用バックアップ電源として使えるようになった。今度は会議ソフトウェア「Webex」のメーカーであるCisco(シスコ)との新たな提携で、EVをオフィスのバックアップにしようとしている。

FordのJim Farley(ジム・ファーリー)CEOは米国時間3月22日「我々は全力で、スタートアップのスピードと限りないイノベーションをもたらす、お互いに独立しつつ補完するビジネスを構築しています」と発表した。同社がここ数カ月で発表した計画としては、EVとICE(内燃機関)事業の分離、2023年末までに年間60万台のEV生産、今後数年間でヨーロッパ市場に7種類の新型EV投入がある。

Fordがアメリカ人ドライバーの心をつかむには、2020年3月以来インターネットで最も頻繁に使われている用途であるオンライン会議を電気自動車に装備する以上に良い方法はないだろう。Fordの電気自動車プログラム担当バイスプレジデントであるDarren Palmer(ダレン・パーマー)氏は報道発表で「我々は人と人とがつながる方法を検討しています。人々が自動車を高品質のオフィスとして活用しコラボレーションをしない理由は見当たりません」と述べた。

そのためにFordとCiscoは提携して「SYNC4A(Fordのインフォテインメントシステム)のブラウザエクスペリエンスを開放」し、現在はHTML5セントリックのOS上でネイティブに動作するWebexアプリを開発中だ。パーマー氏は「Fordは電気自動車の次世代エクスペリエンスに向けてWebex by Ciscoで連携することに期待しています。Webexはセキュアで没入できるコラボレーションのエクスペリエンスを提供すると我々は考えています」と述べた。

家からビデオ会議に参加しているときに猫がウェブカメラの前に飛び出してくるのは、まあまあかわいいかもしれない。子どもが後部座席で誰が触ったとか触っていないとか大声で騒いでいるのは、あまりかわいくはない。このように大音量で妨害されることを防ぐために、将来のFordのEVにはWebexの「Optimize for My Voice(自分の声に最適化)」機能が搭載される。これは車内にいて会議に参加していない人はすべて自動でミュートする機能だ。ドライバーが注意散漫にならないように「Webexなどのコラボレーション機能は車が止まっているときだけ動作し、運転中はオーディオのみにします」とパーマー氏は述べた。両社はアプリの最終的なリリースのスケジュールを明らかにしていない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Kaori Koyama)

Workbounceの「GoogleとSlackの融合」B2B営業チーム向けツール、Index Venturesから約3.1億円を調達

Workbounceの創業者たち(画像クレジット:Workbounce)

商用製品の販売は昨今かなり複雑なプロセスになっており、パンデミックはそれをさらにややこしくした。営業チームは、特にやりとりの多くがバーチャルであるハイブリッドな世界では、自社製品への信頼を築くことの難しさに阻まれがちだ。Highspot、Seismic、Showpadのようなレガシーセールスツールは、異なる時代に作られたということもある。

英国を拠点とするWorkbounce(ワークバウンス)は、複雑な製品に関する膨大な量のコンテンツを検索できるようにし、営業担当者が案件を獲得するために必要な情報を見つけられるようにすることが解決策になると考えている。これは、プラットフォームに依存せず、Googleドライブ、Slack(スラック)、Notion(ノーション)などのツールに接続することで実現される。同社は、この製品を営業チーム向けの「Google meets Slack(グーグルとスラックの融合)」と呼んでいる。

このたび同社は、Index Venturesとエンジェル投資家のグループから270万ドル(約3億1300万円)の初期段階の資金を調達した。この資金調達はタイムリーなものだ。Crunchbaseによると、セールスイネーブルメントツールへの投資は過去5年間で22倍に成長しており、2017年の2100万ドル(約24億3300万円)から2021年には4億7700万ドル(約552億6500万円)に増加している。

Rowan Bailey(ローワン・ベイリー)氏とAdam Smith(アダム・スミス)氏(2021年3月にWorkdayが7億ドル / 約811億円で買収した従業員フィードバック企業Peakonの最初の採用者の1人)によって2021年初めに設立されたWorkbounceは、営業チームが使用するすべての異なるナレッジハブへの単一のエントリポイントとして機能するという。

共同創業者兼CEOのスミス氏は声明でこう述べている。「企業が営業やカスタマーサービスチームを通じて顧客と1対1でエンゲージする方法は変化しており、それは顧客の期待の高まりと、我々の働き方のシフトの両方が原因です。次世代のB2B関係は、単に製品やサービスを販売するだけでなく、ソリューションに向けたコラボレーションが重要になるでしょう」。

Workbounceは、そのリモートファーストの構造は、ポストパンデミックの世界のために構築されているという。

「Workbounceは、営業ナレッジにアクセスし、B2Bの顧客関係を改善するための主要なツールになる可能性を秘めています」とIndex Venturesのパートナー、Hannah Seal(ハンナ・シール)氏は付け加えた。「職場が変化するにつれ、適切な情報を適切なタイミングで見つけることがますます困難になっています。Workbounceはこの問題を解決し、営業チームが顧客とエンゲージし、取引を成立させることを支援します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

自宅から離れた好きな場所にホーム(オフィス)環境を提供するAnyplaceが6.1億円調達

リモートワークの時代、人々は好きな時に好きな場所で暮らせるよう、できる限りの柔軟性を求めている。

長期滞在の選択肢を増やそうと、スタートアップ企業が次々と登場しているのも当然のことだ。Anyplaceもそんなスタートアップの1つだ。自称「デジタルノマド」であるSatoru Steve Naito(内藤聡)氏によると、2017年にサンフランシスコに拠点を置くAnyplaceを共同設立したのは、自分自身がこのプロダクトを欲していたからだという。

その名の通り、Anyplaceは、ホテルやレンタカーを30日以上ほとんどどこでも予約できるマーケットプレイスとしてスタートした。当マーケットプレイスは今日、60カ国以上、450以上の都市で展開されている。そして現在このスタートアップ企業、Anyplaceは、最新の製品であるAnyplace Selectの提供を開始し、オペレーターとしての役割に移行しつつある。この製品は、リモートワーカーや企業の出張者が「完全に設備が整った」ホームオフィスなどの家具付きの部屋を利用して、どこでも仕事ができるようにするために設計されたものだ。

パンデミックが猛威を振るい、オフィスが閉鎖され続ける中、柔軟に移動できる人がかつてないほど増えた。Anyplaceは2021年、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴでSelectの提供を開始し、開始から7カ月で100万ドル(約1億1500万円)のランレートを達成したと、同社のCEOを務める内藤氏はいう。Selectのサービスの月次収益成長率は平均50%以上、今月現在、稼働率は90%以上となっている。

AnyplaceはGreystarやAvalonBayなどの不動産デベロッパーと提携し、マンションを借りて家具を揃え、Selectで価格を上乗せしてマスターリースしている。各部屋には「完全なオフィス設備」が揃っており、フレキシブルな期間契約(最低30日間)が可能だ。設備には高さ調節可能なスタンディングデスク、人間工学に基づいた椅子、約86cmの「超ワイド」モニター、プロ用マイク、ウェブカメラ、折り畳み式グリーンバック、パソコンスタンド、ドッキングステーション、キーライトなどが含まれている。

「Selectに掲載されているすべての部屋で、ホームオフィスと同等以上の生産性を実現します。全室1Gbpsインターネット対応なので、Wi-Fiの速度も問題ありません」と内藤氏は語る。

他の都市に住んでみたいというリモートワーカーは、なぜAirbnbで物件を借りないのだろうか?リモートワークのために家や部屋を用意することは、思っているほど簡単ではないと内藤氏は主張する。Wi-Fiの速度が遅い部屋もあれば、適切なデスクや専用のワークスペースがない部屋もある。

「現在の宿泊施設のほとんどは、パンデミック前の滞在に最適化されています。ホテルやAirbnbに滞在している間、人々は本当に1日中部屋で仕事をしていました。しかし、パンデミック後の世界では、Zoomコールをする時間が増え、部屋で仕事をするようになりました。だから私たちはパンデミック後の世界に最適化した宿泊施設を作っています」と内藤氏はいう。

確かに、サービス業の巨人Airbnbは昔から短期滞在に注力しているが、現在は、Airbnbのマーケットプレイスで長期滞在が増加している。つまり長期滞在の需要が増加している。2021年5月、AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏はYahoo Financeに対し、Airbnbの宿泊の24%がAnyplaceだったと語った(わずか2年前は14%)。さらにこのトレンドの裏付けとなるのは、Airbnbが最近、この分野の別のスタートアップ企業であるZeus Livingを支援しているということだ。同社は当初、企業の出張者向けの柔軟なオプションの提供に重点を置いていたが、現在はより幅広い潜在顧客層へと拡大している。

これまでAnyplaceはマーケットプレイスを運営していただけだったが、新たなSelectの提供により、現在はより幅広いビジネスの焦点をオペレーターにシフトしている。

内藤氏はTechCrunchに対し「Airbnbは競合ではなく、パートナーであり、実は最大の獲得チャネルの1つです。Airbnbが独自のインベントリーを持つオペレーターの領域に進出するとは思っていません。彼らの強みはプラットフォームビジネスです」と語る。

Anyplaceはインベントリーを他の市場に「積極的に」拡大し、機能改善を続けるために、シリーズAで530万ドル(約6億1100万円)を調達したと発表した。これはGA Technologiesが主導し、Jason Calacanis、Launch Fund、日本のサッカースターで(Will Smithとともに)Dreamers Venturesの共同設立者である本田圭佑、メルカリ共同設立者の富島寛、East Venturesが参加した。今回のラウンド資金調達で、Anyplaceは合計800万ドル(約9億2330万円)を調達し、現在は17人である従業員の増強にも充てられる予定だ。

内藤氏によると、当スタートアップはすでに次のラウンドの資金調達を開始しており「急成長とAnyplace Selectが提供する宿泊施設に対する需要の急増」によって、すでに「いくつかの投資の約束」を受けているという。具体的には、米国の主要都市、特にハワイ、マイアミ、オースティン、デンバーといった人気の高いリゾート地への進出を考えていると内藤氏はいう。

内藤氏はTechCrunchにこう語った。「デジタルノマドになるために、フルタイムの仕事を辞める必要はもうないのです。パンデミック以前は、ノマド的なライフスタイルを送るためには、会社を辞めてフリーランサーや中小企業のオーナーになる必要がありました。しかし今では、Google、Facebook、Twitterのようなハイテク大手が、従業員にフルタイムのリモートワークを許可しています。パンデミックは、多くの新しいタイプのノマドを生み出しました。つまり、これは人々の働き方における大きなパラダイムシフトなのです」。

本田圭佑はTechCrunchに、初めて会ったときに内藤の「気概」を感じたとメールで語ってくれた。

「彼は、どのようにしてJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス) のような米国の有名な投資家からの資金調達に成功したのかを話してくれました。簡単ではなかったし、苦労もした。彼は、移民の創業者が直面する言語やその他さまざまな障壁を乗り越えたのです」本田氏はいう。スタートアップで成功するためには、気概が最も重要なものの1つだと思います。また、彼が望んだ製品を、彼自身が居住し、仕事をしている場所で作り上げたことにも感銘を受けました」。

さらに本田氏は、サッカー選手として多くの国を旅し「多くのホテルやAirbnbの部屋に宿泊した」という。

そしてこのようにTechCrunchに語った。「Anyplace Selectのように、オフィス環境が完備された宿泊施設は見たことがありません。明らかに自宅で仕事をする人が増えており、そのような人たちは1つの場所だけに住みたいとは思っていないのです。Anyplace Selectは、パンデミック後の世界において、そのような人たちの標準的な宿泊施設になるでしょう」。

画像クレジット:Anyplace

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

経理アウトソーシングのメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

経理アウトソーシングを手がけるMerryBiz(メリービズ)は2月28日、同社代表取締役について、創業者の工藤博樹氏から、現取締役の山室佑太郎氏に同日付けで交代すると発表した。取締役陣は従来通り、経営管理・事業戦略担当の太田剛志氏を含む3名。「バーチャル経理アシスタント」のさらなる成長とサービス提供体制の強化、および新事業の研究・開発への投資を目的に、代表交代となったという。

代表後任となる山室氏は、創業期に近い2015年に同社へ参画し、2016年より取締役を務め経営を推進、2017年のオンライン経理アウトソーシングサービス「バーチャル経理アシスタント」のローンチから本事業の陣頭指揮を担当。経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

企業フェーズの変化支える最適配置とチーム経営

工藤氏は、2011年7月にメリービズを創業。代表取締役として、レシート・領収書の入力代行サービスを主力事業としていた時代からこれまでの、いわゆる「ゼロイチ(0→1)」を牽引。創業から10年を経て、事業が成長フェーズへ移る中、組織作りや事業全体の指揮に長けた山室氏に代表を交代。工藤氏はR&D担当役員として、次なるサービスの研究・開発にも明確な投資にコミットしていくという。

これまで、元々チーム経営をしてきたMerryBiz。株主を含めてコミュニケーションを密に取ってきた。「代表者の交代というファクトはまだインパクトが大きいので、ステークホルダーを心配させないように丁寧に対話を重ねてきました。代表が誰かではなく、適材適所の配置をして事業を成長させることに主眼を置いています」と、工藤氏は明かす。「CxO自身がポジショニングに凝り固まりすぎず、事業のスケールをより優先事項に置くことで、状況によって柔軟な体制を取れるようになり攻守バランス良く成長していけると感じています」と太田氏。代表を引き継ぐ山室氏も「内部の各個人を評価するというより、MerryBizという法人がどう成長するかに合わせて各自の能力を当てはめていくことを重視しています」と述べた。経理アウトソーシング「バーチャル経理アシスタント」を運営するメリービズ、最適配置を重視した代表者交代でチーム経営を強化

カリスマのある代表者が牽引する企業が注目されることが多いが、有機的なコミュニケーションを重視したチーム経営は今の時代にフィットしてきているのかもしれない。チーム経営についての詳しい鼎談はこちら

今後は、バーチャル経理アシスタントの力強い成長の実現、および新事業の研究・開発への投資を進める。2021年は、社員数増加にともなう本社の拡大移転や、事業を支えているプロ経理リモートワーカーの登録者数が1000名を超えるなど、大きな節目となった。今回の体制変更により、顧客企業への業務支援・DX推進支援などを通じた価値提供はもちろん、全国各地の有能なリモートワーカーにさらに活躍の場をもたらすことを目指す。

「デスクレス」ワーカーを対象とした企業向け学習プラットフォームの拡大に向けて英EduMeが約23億円調達

B2B市場で新たなチャンスを狙うテック企業が注目を寄せる「デスクレス」ワーカー。2022年1月、この分野を対象としたeラーニングツールのスタートアップが成長を促進するための資金調達ラウンドを発表した。

ロンドン発のEduMe(エジュミー)は、急成長中のテック企業やさまざまな場所から働く従業員やパートナーを抱える企業を対象に、企業が自由に構築できるオンライントレーニングや教育を「マイクロラーニング」モジュール形式で提供するスタートアップだ。今回のシリーズBラウンドで2000万ドル(約22億9000万円)を調達した同社は、これまで一定の成長を遂げてきた米国でのさらなる事業拡大を図るためにこの資金を活用する予定だという。

今回のラウンドはWorkday(ワークデイ)の戦略的投資部門であるWorkday Ventures(ワークデイ・ベンチャーズ)とProsus(プロサス)が共同でリードしており、EduMeのシリーズAをリードしたValo Ventures(ヴァロ・ベンチャーズ)も参加している。HRプラットフォームであるWorkdayによる投資は、企業内学習やデスクレスワーカーをターゲットにした取り組みを同社が検討しているということの表れでもあるため(どちらも同社の現在のプラットフォームにとって最適な補足要素である)非常に興味深く、また将来M&Aにつながる可能性もなきにしもあらずである。一方EduMeは、IT分野でeラーニングをより使いやすくすることができれば、そこに成長のチャンスがあると踏んでいる。

EduMeのCEO兼創設者であるJacob Waern(ジェイコブ・ワーン)氏はインタビュー中で次のように話している。「デスクレスワーカーへのサービス提供方法のエコシステムが変化しています。アプリを10個持つのは邪魔なので、CRMプラットフォームなどと統合し、従業員が簡単に繋がれるコンテンツを提供したいと考えています」。

EduMeへの投資の他にもProsusは複数のEdTech企業に注力しており、同じく1月に同社は若い消費者ユーザーをターゲットとするオンライン家庭教師プラットフォーム、GoStudent(ゴースチューデント)の大規模ラウンドを主導すると発表した。

かつては敬遠されていたものの、今や主流となったデスクレスワーカー市場への着目は、EduMe自身のDNAを反映している。

もともとは新興国(現在はラテンアメリカ、当時はラテンアメリカとアフリカ)を中心に事業を展開する通信事業者、Millicom(ミリコム)により、通信事業者の顧客層にeラーニングを提供する目的で始まったのが同サービスだ。当時Millicomに在籍し、同サービスを構築したワーン氏は、同サービスが消費者や個人事業主ではなく企業に最も支持されていることを知り、先進国も含めたより広い市場でこの機会を倍増させるために事業のスピンアウトを決行した(EduMeはMillicomからの出資を受けていないとワーン氏は話している)。

急速に規模を拡大し、多様なチームとのコミュニケーション方法を必要としていたライドシェアリングや宅配業者などの業種を初期ユーザーとして見いだした同社。その後、物流、モバイルネットワーク事業者、小売、接客業、ヘルスケアなどの企業にも導入が進められ、現在では、Gopuff(ゴーパフ)、Deliveroo(デリバルー)、Deloitte(デロイト)、Uber(ウーバー)、Vodafone(ボーダフォン)など、約60社のグローバルな顧客を有している。EduMeは、総ユーザー数、使用されている学習モジュール、その他の指標を公開しておらず、評価額についても触れていない。

同社の成長の影には、B2Bのテクノロジー市場における一大トレンドが存在する。デスクレスワーカーは従来、いわゆるナレッジワーカー層に隠れ無視されてきた。1日中パソコンに向かっているナレッジワーカーは、オンライン学習ツールを購入して使用するターゲットとしてあまりにも明白だったからだ。簡単に言えば、こういったユーザーを対象に製品を開発し、販売する方がはるかに簡単だったのだ。

それがここ数年で大きく変わることになる。最も重要なのは、モバイルテクノロジーとクラウドコンピューティングの進歩によってこの進化が促進されたという事実だ。ナレッジワーカーもそうでない人も、今では誰もがスマートフォンを使って仕事をし、より高速な無線ネットワークを利用して小さな画面での利用を想定したアプリケーションを外出先で利用している。

そして最近、その変化を加速させたのが新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックだ。リモートワークが当たり前になったことで、より多くの人に向けたソリューションが民主化されるようになった。ワーン氏によると、現在世界の労働人口の約80%がデスクレスと推定されているという。

リモートワークの台頭が拍車をかけたのはそれだけでない。物理的な共通スペースでともに仕事をすることができなくなったため、オンライン学習ツールは、企業がチームとコミュニケーションをとったり、トレーニング、オンボーディングや専門的能力の開発に利用したりするための、最も重要かつ中心的な存在となった。

このトレンドの成長は非常に大きなビジネスへと変革しており、2020年の企業内学習関連の市場は、2500億ドル(約28兆6211億円)と推定されている。パンデミックの他、ビジネスや消費者の長期的な習慣の変化がもたらす成長の加速により、2026年には4580億ドル(約52兆4247億円)近くにまで膨れ上がる見込みだという。

リモートワーカーおよびデスクレスワーカーに焦点を当てているという点が、現在の市場におけるEduMe独自のセールスポイントだと同社は考えているようだが、実際はこの分野唯一のプレイヤーと呼ぶには程遠く、激しい競争に直面することになるだろう。企業内学習を促進するために多額の資金を調達したスタートアップには、360Learning(360ラーニング)LearnUpon(ラーンアポン)Go1(ゴーワン)Attensi(アテンシ)などがあり、さらにLinkedIn(リンクトイン)もこの分野に大きな関心を持っている。

「パンデミックによって私たちの働き方は、想像もつかないほどの変化を遂げました。それにともない、従来のようなデスクを持たない従業員を多く持つ急成長中の業界をサポートする必要性は高まる一方です」。Workday Ventures のマネージングディレクター兼代表の Mark Peek (マーク・ピーク)氏は声明中でこう伝えている。「EduMeの革新的なトレーニング・学習プラットフォームは、拡大し続けるデスクレスワーカーに対応しながら、組織が変化を乗り越えて成長するのを支援しており、弊社が EduMe をサポートする理由はそこにあるのです」。

画像クレジット:Smith Collection/Gado/Getty Images / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェのリポットが連携

猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェ運営のリポットが連携

あらゆるスペースを貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」を運営するスペースマーケットと、全国20店舗展開する「猫カフェMOCHA」運営のリポットが連携し、MOCHAをワークスペースとして利用できる「猫カフェMOCHAソロワークプラン」を提供開始すると発表した。MOCHAがソロワーク予約に対応するのは今回が初という。スペースマーケット限定で事前予約が行える。

今回の取り組みにより、自宅にペットがいない方でも「オンライン会議中に猫が通り過ぎる」「猫がPCを操作して不可解な文書を作成する」といった、猫好きがあこがれるシチュエーションを実現できる。猫に仕事を邪魔される「日本一集中できないワークスペース」予約開始、スペースマーケットと猫カフェ運営のリポットが連携

猫カフェMOCHAソロワークプラン

  • 販売期間:2月21日〜3月31日
  • 価格:3025円(税込・サ別)/日
  • 特典:フリードリンク、猫ちゃんへのおやつ(550円分)、お仕事終わりの「お疲れ様チョコ」(先着100名)、次回以降スペースマーケットの「ソロワークスペース」予約時に利用できる800円割引クーポン
  • 利用用途:テレワーク(ビデオ会議は周囲の他顧客に配慮の上で実施可能)
  • 予約方法スペースマーケットから予約可能。ソロワークプランは2月21日より販売予定
  • 詳細猫カフェMOCHAソロワークプラン

スペースマーケットによると、リモートワークの定常化や人流の変化に伴い、平日の日中帯を中心に仕事のために1人で場所を借りる「ソロワーク」の利用が前年同月比3.5倍(2022年1月時点)に増加しているという。また利用者の増加とともに予約スペースも多様化しており、個室型ワークボックス、ホテルの客室などの個室以外にも、コワーキングスペース、カフェ、ホテルラウンジなどのオープンスペースを席単位で利用するケースも増えているそうだ。

一方、飲食店は立地や時間帯による繁閑の差が激しく、平日昼間の集客が大きな課題となっている。MOCHAでは、顧客への新しい体験の提供と平日昼間の遊休時間の有効活用を目的としており、今回の取り組みに至ったという。

2014年1月設立のスペースマーケットは、「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンを掲げ、スペースシェアの文化創造・拡大に取り組むスタートアップ企業。スペースを貸し借りするプラットフォーム「スペースマーケット」には、全国1万8000件以上のスペースを掲載。住宅、古民家、会議室、撮影スタジオ、映画館、廃校など多岐にわたるスペースを撮影・会議・イベントなどに利用できる。

遠隔地採用のスタートアップDeelの新機能は企業が暗号資産でペイロールを蓄えるオプション

2019年、Alex Bouaziz(アレックス・ブアジズ)氏とShuo Wang(シュオ・ワン)氏は、企業がコンプライアンスに基づいて世界中の人材を遠隔地から雇用し、給与を支払うことを目指すスタートアップ、Deel(ディール)を設立した。

2人のミッションは真剣そのものであり、リモートワークがこれからは主流になるというビジョンは、新型コロナの大流行よりも先にあり、新型コロナは同社の提供するサービスへの需要を一層高めることになった。

Deelは、企業が現地法人を介さずに5分以内に従業員や契約社員を雇用することを可能にすると主張している。また「ワンクリックで」で150以上の通貨でチームへの支払いが可能だとのことだ。

「私たちは、企業がどこでも誰でも雇用できるようにしたいのです」とブアジズ氏はTechCrunchに語っている。「才能はどこにでもありますが、チャンスはそうではありません。だから、我々はそれを少し平準化し、企業が誰でも採用できるようにしたいのです。ただ、もっと重要なのは、出身地に関係なく、彼らにふさわしい経験を提供することです」と語る。

ブアジズ氏は、これまで「一度もオフィスで働いたことがない」と告白するなど、確実に有言実行している。

ブアジズ氏とワン氏は、明らかに何かを掴んでいた。10月のDeelは、シリーズDで4億2500万ドル(約489億円)を調達し、55億ドル(約6331億円)と評価された。ブアジズ氏は12月に、2021年の同社が「400万ドル(約4億6000万円)から5000万ドル(約57億5500万円)以上のARRになり、60カ国以上で50人から550人以上に……そして6億ドル(約690億円)以上を調達した」と公に語っており、その成長ぶりは驚くほど透明である。

2021年、Deelは契約者向けに「Crypto Withdrawals(クリプト・ウィズドローワル)」を開始し、Deelを通じて支払われた人は、支払いの一定割合をビットコイン、イーサリアム、USDC、ソラナとダッシュで直接Coinbaseアカウントに引き出し、ほぼ瞬時に出金できるようになった。

しかし、これまでDeelを利用する雇用主は、遠隔地の従業員への支払いに暗号資産を使用するオプションを持っていなかった。

現在、このスタートアップはその使命をさらに一歩進め、企業に暗号資産で給与資金を確保する方法を提供しようとしている。まず、ブアジズ氏によると「最も急速に成長しているステーブルコインであり、ドルに固定されているため、変動する余地が少ない」ことからUSDCを利用することにした。企業がインターナショナルなチームに対して暗号資産を使って支払いを行うことは、Coinbase(コインベース)、Shopify(ショッピファイ)、Dropbox(ドロップボックス)など、Deelの6000を超える既存顧客の多くに歓迎されそうなオプションである。

Deelチームによると「柔軟性は、どこで雇うかだけでなく、どのようにチームに支払うかということでもあるはずです」とのことだ。

共同創業者のシュオ・ワン氏、アレックス・ブアジズ氏(画像クレジット:Deel)

この新しい製品機能は、暗号資産で資金を引き出すことを労働力に任せるのに対して、雇用者がUSDCでチームに即座に支払うことができるようになるという点で「Crypto Withdrawals」とは異なるものだと同社は述べている。

具体的には、USDCで資金を保有している企業は、グローバルチームの給与や支払いをまかなうために、Coinbaseのアカウントを介してDeelに直接支払いを行うことができる。企業がDeelにお金を払い込むと、契約者は暗号資産を含む150以上の通貨で出金することができる。

Deelによると、企業が主に暗号資産で業務を行っている場合、従業員に支払う前に、例えば米ドルに変換するための為替手数料を支払うことを心配する必要もない。暗号資産で直接支払えばいいのだ。

「これは、取引手数料や通貨手数料が少ないエンド・ツー・エンドの暗号資産支払い体験であり、さらに、企業や請負業者が銀行口座にお金を保持する必要性を排除します」と述べている。

Deelにとって、この動きは暗号資産の主流化における次のステップだ。

「これは暗号資産企業にとって画期的なことです」とBouazizは述べている。

Deelによると、この動きは、会社の暗号資産残高を使用してチームに支払いを行いたい企業と、暗号資産で支払いを受けたいというチームメンバーの両方からの「急増」した需要によって促されたとのことだ。例えば、同スタートアップによると、暗号資産給与支払いに対する需要は前月比10%増となった。

その他、同社が発表した愉快な統計データをいくつか紹介しよう。2021年の7月から12月の間に、支払いの2%が暗号資産で引き出された。2021年12月にDeel経由で約470万ドル(約5億4100万円)が暗号資産で従業員に支払われ、2021年11月から49%増加した。興味深いことに、暗号資産の出金の地域別内訳は、ラタム(52%)、EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ、34%)、NAM(北米)(7%)、APAC(アジア太平洋、7%)とのこと。

画像クレジット:cokada / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ロボット遠隔制御サービスHATSを開発するキビテクが1.5億円調達、システム開発や実証実験推進・エンジニア採用強化

ロボット遠隔制御サービス「HATS」などを開発しているキビテクは2月16日、第三者割当増資による1億5000万円の資金調達を2022年1月に行ったと明らかにした。引受先は、リード投資家のSpiral Capital Japan Fund 2号投資事業有限責任組合、また九州オープンイノベーション1号投資事業有限責任組合。

調達した資金は、システムの開発推進とともに、エンジニア採用の強化と実証実験にあて、さらなる事業の加速化を図る。コロナ禍により、非対面・非接触や遠隔操作での搬送ニーズの需要が高まっていることから、ロボット導入DX化の課題解決、ロボットのマーケット拡大に貢献するという。

キビテクが開発中のHATS(Highly Autonomous Teleoperation Service)は、様々なロボットにアドオンすることで遠隔制御を実現するサービス。各ロボットにキビテクが開発した装置をアドオンしたうえでシステムに接続することで、遠隔オペレーターがロボットを制御可能となる。

自律ロボットの場合、予想外の出来事に対応できず、頻繁な停止で作業効率が低下するなどの課題があることから、ロボット導入に踏み切ることができない現場や、導入後のロボット運用に課題を感じている現場に役立つサービスを目指すという。

またHATSの場合、現場ごとに違う様々な課題・状況に応じて人がロボットを補完する半自動化が実現でき、現場フローに沿った柔軟な対応が行える。人ならではとされていた、ロボットでは難しい作業や業界の解決に取り組むとしている。

知能ロボットの開発を行うスタートアップ「キビテク」は、東京大学の人型ロボット研究室JSK(情報システム工学研究室)出身者が主となり、2011年11月に設立。ロボット遠隔制御システムの開発・販売やロボットシステム受注開発を事業として手がけている。また、ロボティクス技術の活用とロボット遠隔オペレーターという新しいリモートでの働き方を提案し、社会課題の解決とともに、現場の人手不足といった課題の解決を目指している。

エンジニアの満足度を重視して生産性を上げるパフォーマンス管理ダッシュボード「Okay」

雇用主が「大辞職時代」における労働者の減少を何とかしようと模索し、在宅勤務の従業員をつなぎとめようとする中、Okay(オーケー)の共同創業者兼CEOであるAntoine Boulanger(アントワン・ブーランジェ)氏は「ナレッジワーカーにとって、生産性と従業員満足度の区別がなくなってきている」ことから、同社の定量的かつ共感的なマネジメント手法への需要が伸びているという。

TechCrunchでは2年前、エンジニアリングマネージャーが効果的で積極的に従事しているチームを率いるためのエンジニアリング可視化ツール「Okay」を紹介した。当時Okayは、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)から220万ドル(約2億5000万円)の新規資金を調達したばかりだった。ブーランジェ氏は、共同創業者のTomas Barreto(トーマス・バレット)氏とともに、Boxでの出会いをきっかけにOkayを立ち上げたと語っていた。

「この2、3年で見られたのは、完全にリモート化されたチームをどのように管理すればよいのかという、人々、マネージャー、チームにとっての移行期でした」とブーランジェ氏は付け加えた。「人々は、より多くの可視性を求めており、チームで何が起こっているのかを理解したいと考えています。パンデミック初期には会議が増えましたが、人々はさまざまなことに慣れ、今はオフィスに戻ろうとする中で、同じような移行が再び起きています」。

Okayの一連のツールは、社内で構築されたツールの大部分を置き換えることを目的としており、エンジニアが生産性を感じて仕事に取り組めない原因となっている、中断された作業や不十分なツーリングの状況を把握できるようにする。同社の製品は、Googleカレンダー、GitHub、PagerDuty、CircleCIなどのソフトウェアを含む、企業の既存ツールと統合することができる。

過去1年間で、SourcegraphやmParticleなどの顧客を含め、売上と顧客数が約10倍に増加した。これは、アウトプットを測るのではなく、開発プロセスのボトルネックを特定することに焦点を当てた、エンジニアリングの生産性に対するアプローチによるものだとブーランジェ氏は考えている。

この勢いをさらに加速させるために、Okayは新たに440万ドル(約5億円)の資金を調達した。今回はKleiner Perkins(クライナー・パーキンス)が主導し、Stripe(ストライプ)のCEOであるPatrick Collison(パトリック・コリソン)氏、Plaid(プレイド)、Brex(ブレックス)、Instacart(インスタカート)の幹部らが参加した。

今回の資金調達は、統合オプションの数の拡大、新機能の追加、人材採用などに充てられる。ブーランジェ氏は、より大きな企業をサポートすることを目指している。同社が注力しているのは数百人のエンジニアを抱える企業がいる市場だが、いずれは数千人のエンジニアを擁する企業をサポートできるようにしたいとのこと。

同氏はこうも語っている。「複雑なデータを扱う製品の構築に3年を費やしたため、シニアチームにはこれに取り組んでもらい、お客様とのパートナーシップを築いてきました。エンジニアリングチーム、市場参入のための努力、そしてデザインをさらに倍増させたいと考えています。興奮しているエリアの1つは、クエリを共有する方法を確立し、社内の誰もがデータを共有できるようにすることです」。

画像クレジット:Okay

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

中国の旅行最大手Trip.comがハイブリッドオフィスを採用

世界中で数多くのテック企業が過去2年間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)期間中、リモートワークあるいは何らかのハイブリッドモデルに切り替えた。しかし中国では、ほとんどのテック企業が2020年夏以降オフィスに戻っている。国のゼロ・コロナ政策による感染者数減少のおかげだ。こうした通常生活の中、ある中国企業がリモートワークを続ける決断をした。

3月1日から、中国最大の航空券・ホテル予約プラットフォームTrip.com(トリップ・ドット・コム)は、従業員が許可を得れば週2日まで在宅勤務することを可能にすると2月15日に発表した。1999年に設立され、2019年にCtrip(シートリップ)からTrip.comにブランド変更した同社は、2021年6カ月間実施したリモートワークの試行に参加した従業員1600名の75%に「健康の改善」が見られたことを受け、今回の行動に至った。実験には技術、プロダクト、ビジネス、マーケティング各部門の中核スタッフおよび約400名の管理職が参加した、と広報担当者がTechCrunchに語っている。

参加者の93%が、自分の時間を「より有効に」使えたと感じ、社員の離脱率は、期間中約3分の1に減った。60%近くが、ハイブリッドワークを「強く」支持する、と試行終了後に答えた。

同社従業員は3月以降、自宅、喫茶店などあらゆる場所で働く申請ができる。各部門のマネージャーは、チームの目標、各個人の状況に基づいてリモートワークを認めるかどうかを判断する、と広報担当者はいう。またマネージャーは、自己判断で取り決めを調整することができる。

ハイブリッド方式はまずTrip.comの中国国内の事業所に適用され、海外の支店は「現地の状況と新型コロナ防衛措置に応じて」このモデルを適用する予定だ。

Trip.comは、NASDAQおよび香港証券取引所に上場しており、過去数年に海外競合他社を次々と買収して国際的に拡大している。2016年に17億400万ドルでスコットランドのSkyscanner(スカイスキャナー)を買収した。2019年には、インドのMakeMyTrip(メイクマイトリップ)の持ち株を半数近くへと増やした。そして2020年にはオランダの旅行会社グループ、Travix(トラビックス)を金額非公開で買収した。

2020年12月時点のTrip.comおよび関連会社の従業員数は約3万3400名で、うち約3万名が中国国内だ。

Trip.comの共同ファウンダー・会長のJames Liang(ジェームズ・リャン)氏は中国社会問題のコメンテーターとして頻繁に登場している。この柔軟な勤務体系を考えた際、コンピューター・サイエンティストで経済学者でもあるリャン氏は、中国の人口統計学上の課題も念頭に置いていたに違いない。

リャン氏は声明で、ハイブリッド勤務は「企業、従業員、地域社会すべてにとってのマルチ・ウインです。効率を犠牲にすることなく従業員の満足度を高めるだけでなく、交通渋滞を緩和し、環境保護にも役立ちます。住宅価格の高騰と地域格差を軽減し、家族や女性のキャリア育成と出産率の向上にも貢献します」と語った。

Trip.comによるハイブリッド・オフィス採用は、中国テック業界の過重労働カルチャーに対する懸念と批判が高まる中で生まれた。同社は、リモートワークが生産性を犠牲にしないことを示している。2021年の実験参加者の71.9%が、ハイブリッドワークは業績に影響を与えなかったと報告した。

関連記事:Bilibiliコンテンツモデレーター過労死疑惑で中国テック業界の長時間労働文化の議論が再燃

「ハイブリッドワークモデルが将来中国の主要企業全体に広まることを願っています。それは社会と経済に有益で広範囲にわたる影響を与えるでしょう」とリャン氏は語った。

画像クレジット:Olivier Douliery / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

STORESプラットフォームのheyが新人事制度WORK LOCAL開始、居住地の制限を撤廃し採用対象エリアを全国各地に拡大

STORESプラットフォームのheyが新人事制度WORK LOCAL開始、居住地の制限を撤廃し採用対象エリアを全国各地に拡大

「お商売のデジタル化」を支援する「STORES」(ストアーズ)プラットフォームを手がけるヘイ(hey)は2月14日、新たな人事制度「WORK LOCAL」を開始すると発表した。「日本全国、どこでも居住可能」「月15万円まで交通費支給」とすることで、採用対象エリアを全国へ拡大し、多様な働き方を推進する。

WORK LOCAL」概要

  • 日本中全国どこでも居住可能
  • 交通費は月15万円まで支給
  • 特急(利用条件あり)、新幹線、飛行機の通勤も可能
  • リモート環境整備の補助金(ホームオフィスサポート)として毎月1万円支給

コロナ禍で中小事業者を取り巻く環境は大きく変化し、首都圏に限らず、ローカル(地域・地元)の事業者がネットショップの開設や、来店予約制の導入など 新たな商売の形に挑戦する機会が増えたという。heyにおいても、ネットショップ開設や予約システムなど複数のサービスを通して、街のお店のデジタル化を支援する機会が増えているそうだ。

また、heyの社員自身も働き方が多様化。都内に引っ越さずに地元から働いたり、自分や家族が望む地域へ移住したりと、社員自身が全国各地へ働く場所を広げ、その地域で暮らすことで、「こだわりや情熱、たのしみによって駆動される経済」を支えることが自然な形になりつつあるという。

同制度実施にあたり、heyの社員を対象に行ったアンケートでは、回答者の約8割が(同制度を)「活用してみたい」、さらに約3割が「すでに移住をした・これから移住を予定している」と回答(アンケート実施期間:2022年2月7日〜2月8日。回答数:72名)。新しい働き方が浸透し始めているという。

heyは、事業成長に伴い採用を強化し、特にエンジニア人材は100名の増員・強化を予定。今後の組織拡大を見据え、全国どこからでも働ける新しい人事制度「WORK LOCAL」を通して、社員の地元・地域に根ざした働き方にも柔軟に対応するとしている。

heyは、「Just for Fun」をミッションに、こだわりや情熱、楽しみにより駆動される経済の発展を支援。ネットショップ開設「STORES」、POSレジ「STORES レジ」、キャッシュレス決済の「STORES 決済」、オンライン予約システム「STORES 予約」など、商売のデジタル化を支援する「STORES プラットフォーム」の展開を通じて、誰もがこだわりをもっと自由に発揮できる社会を目指している。

リモートワーク用ネットワーキングツールtwine、ビデオチャット内で参加者をマッチングさせるプラットフォームGlimpseを買収

バーチャルイベントやリモートチーム向けのネットワーキングツールを提供するtwine(トゥワイン)は、まもなくZoomにそのサービスを提供する予定だ。これは、バーチャルイベント向けに設計された「スピードマッチング」プラットフォームを開発していたY Combinator(Yコンビネーター)が支援するスタートアップGlimpse(グリンプス)の買収のおかげだ。Glimpseのアイデアは、現実世界のイベントで一般的に行われているつながりを促進する方法を提供することであり、AIを使ってビデオチャット内で参加者をマッチングさせることで、それをオンラインに持ち込むことであった。最近、Glimpseは、イベント主催者がZoomミーティング、ウェビナー、イベントにスピードネットワーキングを追加できるようにするための新しい統合をテストしていた。

関連記事:バーチャルイベントにネットワーキング機能を追加するためにtwineが3.6億円調達、ビデオチャットアプリから方針転換

この統合は、Glimpseと他の数社が早期にアクセスすることができたZoomの新しい「ブレイクアウトルーム」APIによって実現された。両社は、リモートで人をつなぐという同じような分野で仕事をしていたが、GlimpseのZoomとの統合は、製品開発の面でtwineをリードしていた。さらに、twineの共同創業者兼CEOのLawrence Coburn(ローレンス・コバーン)氏は、自社がGlimpseに取引を奪われたこともあったと認めている。

今回の買収で、Glimpseの技術は、より幅広いZoomユーザーへの展開計画も含め、twineの顧客ベースに利用できるようになる。

Zoomの新しいブレイクアウトルームAPIを使って作られたアプリは、今後数週間のうちに、Zoomクライアントの中で動作するように設計された、または他の方法でその機能を拡張するために設計された数十のアプリを収容している同社のアプリストアZoom App Marketplaceに追加される予定だ。近日発売予定の「twine for Zoom」もその1つで、マッチングツールやネットワーキング、バーチャルウォータークーラーツールを利用できるようになる。これはバーチャルイベントだけでなく、社内交流会や全体会議、新入社員の受け入れ、コミュニティのミートアップなど、他のタイプのミーティングにも利用することが可能だ。

「私たちは長い間、Glimpseのチームと製品を賞賛してきました。彼らとチームを組むことに興奮しています」と、コバーン氏は述べている。「彼らがZoomのエコシステムの中で作り上げたものは、リモートチームやバーチャルイベントに画期的なインパクトを与えるものであり、まさに驚くべきものです」。

Glimpseは比較的若い会社で、売上も少ないが、顧客は150社に増え、さらに700社の企業が同社のプラットフォームの利用を希望しているとのことだった。顧客は、EdTech企業、VC、企業顧客など多岐にわたる。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、eBay(イーベイ)などの大企業に利用されている。

「Glimpseは、Zoom App Marketplaceを活用して顧客体験を向上させた、非常に革新的な企業の好例です」と、Zoom Apps & IntegrationsのプロダクトリードであるRoss Mayfield(ロス・メイフィールド)氏は述べ「Twineチームがtwine for Zoomを市場に投入するのを楽しみにしています」と、加えた。

Glimpseは、スタートアップアクセラレーターであるY Combinatorの2020年冬バッチに参加し、YCとMaven Ventures(メイブン・ベンチャーズ)の両方からシードステージの投資を受けていた。共同創業者のHelena Merk(ヘレナ・メルク)氏とBrian Li(ブライアン・リ)氏は、移行期間中もtwineに対応できるようにリテーナーとして残る予定だ。しかし、3人の従業員からなるチームは、現在16人のフルタイム従業員を抱えるtwineに加わることになる。両社ともまだ初期の会社であることから、これは小さなエグジットであるため、買収条件は公開されていない。ただし、私たちは、7桁台(数億円)のオールストックディールであると理解している。

画像クレジット:Twine

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカンは2月4日、東日本電信電話(NTT東日本)との提携を深化し、ニューノーマルな働き方に適応する共同検討の新サービス、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」(キープル)の提供を開始すると発表した。

また同提携の一環として、NTT東日本本社オフィスの執務スペース約300席にKeepleを2021年12月より展開。Keepleでは、VACANが提供する座席の即時予約サービス「VACAN Noline Autokeep Module」(ノーライン オートキープ モジュール)を活用することで、素早い開発およびサービス提供を実現しているという。同モジュールは、VACANが提供する座席の予約サービス「VACAN Noline Autokeep」の機能をベースとしており、導入環境に応じて必要な機能を随時カスタマイズできる仕組み。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

昨今、リモートワークの浸透、オフィスのフリーアドレス化、フレックス勤務などのワークスタイルの変化により、様々な課題が生じている。バカンは、これら課題を見える化し、ワークプレイスの最適化、組織と人、人と人との新たなコミュニケーションの実現に向け、今後もNTT東日本と連携してサービスをブラッシュアップし、展開を加速させるとしている。

オフィス内の空いている座席を検索・予約、座席利用データを基に席の配置や導線設計の見直しなども行える

バカンのKeepleは、オフィスの座席に設置された専用タブレットと専用ウェブサービスを活用することで、座席の予約やオフィス内での社員の現在位置を検索できるサービス。

専用サイトにスマートフォンからアクセスすることで、オフィス内の空いている座席を検索・予約できる。また座席を予約した者は、座席に設置されているQRコードやタブレットのバーコードを読み取ることで、チェックインが可能となる。

事前予約を行っていない場合は、席が空いていれば座席に設置されているタブレットから直接利用予約が可能。

座席の満空情報は、専用サイト以外にも、オフィスに設置してあるサイネージなどの情報端末からも確認できる。座席の利用率や残席数などをリアルタイムに分析することで、おすすめの座席をレコメンドし簡単に座席を選べるようにサポートするといった機能も実装しているという。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

また、オフィス内における社員同士のコミュニケーションを活性化させるために、「社員の位置検索」機能も提供。位置検索機能において、探したい社員の名前を専用画面に入力することで、利用している席の場所を見つけられる。これにより、フリーアドレス特有の人を見つけにくいといった課題を解決し、スムーズな対面での会話を実現している。

さらに、利用データを基に各デスクの利用状況を可視化可能。これらデータを活用することで、席の配置や導線設計の見直しなどが可能となり、オフィス運用をデータでサポートするとしている。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

リモートワークを中心とする人材事業を展開するキャスターが13億円のシリーズD調達、既存事業拡大と新規事業領域に進出

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」などの人材事業を展開するキャスターは2月2日、シリーズDラウンドとして、第三者割当増資による総額13億円の資金調達の実施を発表した。引受先は、インキュベイトファンド、グリーンコインベストメント投資事業有限責任組合、AXIOM ASIA Private Capital、UNICORN2号ファンド投資事業有限責任組合(山口キャピタル)、第一生命保険。

調達した資金により、広告宣伝・新規事業開発・事業拡大に伴う採用などに注力し、既存事業の拡大と新たな事業領域への進出に取り組む。コロナ禍でリモートワーク化を急速に進めている企業の人材リソースニーズに応えるための資本にあてるという。

2014年9月設立のキャスターは、「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、創業時よりフルリモート経営で組織を運営。誰もがリモートワークという働き方を選べるよう、リモート中心の総合人材サービスを展開している。

CASTER BIZシリーズをはじめ、スタートアップの事業開発・組織開発を支援するコンサルティング事業など、現在10事業を展開している。CASTER BIZは、2021年に取引社数累計2900社(解約したクライアントも含む)を突破、前期の全社売上は過去最高額を記録したという。

副業の約8割がリモート前提に―副業マッチングのシューマツワーカーが「副業系サービスカオスマップ 2022年版」公開

  1. 副業の約8割がリモート前提に―副業マッチングのシューマツワーカーが「副業系サービスカオスマップ 2022年版」公開

副業したい人と企業をつなげる副業マッチングサービス「シューマツワーカー」を運営するシューマツワーカーは2月2日、副業系サービスカオスマップの2022年版を公開した。同調査では、225の副業系サービスを、リモート・現場型・単発・継続という軸で整理した上で、その特徴ごとに9つのグループに分類し、マッピングを行っている。

シューマツワーカーによると、同調査により、副業系のサービス数は前年版の調査比で約1.2倍、2017年の調査版からは約4.2倍(54社→225社。何を副業マッチングサービスとして数えるかの厳密な掲載の定義は2017年版と2022年版では異なる)と、働き方改革・副業解禁という時流の中で、スキルシェア・副業系サービスが急増したことがわかったという。また、そのうち約82%のサービスがリモート副業を前提としている。コロナ禍でニューノーマルな生活様式が浸透しつつ「副業」のあり方も変わってきているとした。

カオスマップの読み方と各グループの説明

カオスマップのうち、縦の軸は場所を選ばない「リモート型」の副業と、その場に行くことが必須の「現場型」としている。また、横の軸は「単発型」と「継続型」と設定。この2種類の軸に対し、左上をAゾーン(リモート×単発)、右上をBゾーン(リモート×継続)、左下をCゾーン(現場型×単発)、右下をDゾーン(現場型×継続)という4種類のゾーンに分け、225個の副業マッチングサービスのロゴをマッピングした。さらに、副業の特徴により、9グループに分類した。

4つのゾーン

  • Aゾーン(左上):リモート×単発
  • Bゾーン(右上):リモート×継続
  • Cゾーン(左下):現場型×単発
  • Dゾーン(右下):現場型×継続

副業の特徴による9グループの内訳

  1. 総合型スキルマーケット型:クラウドソーシングやスポットコンサルのように、様々なスキル・知見を提供・購入し合うもの
  2. 特化型スキルマーケット型:何らかのスキルに特化。スキルのジャンルは大きく13のサブグループにわかれており、「家事代行」「DIY」のように現場必須のものから、「翻訳」「ライティング」などリモートでできるものまで、縦長の幅広いグループとなっている
  3. ポイ活型:アンケートに答えたり、商品のレビューを書くなどの、比較的隙間時間に作業しやすい「リモート×単発」グループ。誰でも始めやすい副業
  4. シェアリングエコノミー型:家・車・場所といった所有しているものを貸し出すなど、遊休資産の運用を副業収入につなげるグループ。カオスマップ上、このグループ以外の副業は基本的に労働に対する報酬を得るものといえるため、特色のあるグループとなっている
  5. ギグワーク・すきまバイト型:「現場型×単発」のグループ。Uber Eatsのようなフードデリバリーや、「旅×副業」といった移動を前提としている
  6. 企業で一定期間副業型:ビジネススキルを活かし、所属企業とは別の企業で、プロジェクト的に(あるいは継続的に)副業をするというケース。マーケティングや営業・人事などの職域特化、女性特化・地方特化など、多様な切り口のサービスが存在する
  7. 表現・発信型:ライバーやSNSなどが含まれる。「表現・発信型の副業」は、費やす時間に対しての金銭的な収入が確約されるとは限らないものの、フォロワーが多くなれば企業のPR案件をインフルエンサーとして宣伝することや、投げ銭・有料コンテンツの販売という機能により、収益を得ることも可能な仕組みがある
  8. EC関連:家の不用品やハンドメイド品の物販を売買するグループ。自らネットショップを構築するものと、プラットフォーム上に出品するもののサブジャンルがある。CtoCマーケットの隆盛に伴い、出品代行といった関連サービスも見受けられる
  9. オンサイトで継続型:治験ボランティア、牛乳配達・新聞配達・販売・飲食の接客系などの仕事が含まれる(ロゴではなくカテゴリーの名前で記載)

コロナ禍・ニューノーマルの生活様式により、約82%近くの副業がリモート可能なものに

副業市場全体でサービスが増加する中で、特にサービス数が増加したのは、グループ2の「特化型スキルマーケット」とグループ6の「企業で一定期間副業」。

グループ2「特化型スキルマーケット」には、DIYや出張シェフ、ペットケアなどの個人の特技やスキルを活かしたバラエティ豊かなマッチングサービスが並ぶ。一方、グループ6「企業で一定期間副業」には、マーケティング・営業・人事など職域に特化したサービスや、女性特化・地方特化サービスなど、多様な切り口のサービスが見受けられる。

グループ6「企業で一定期間副業」につながる背景としては、有名企業・地方自治体の副業人材が相次いで「副業人材を活用したイノベーション」に取り組んでおり、需要側である企業サイドに「副業人材の活用」という意識が浸透しつつあることが1つの要因と考えられるという。

また、コロナ禍およびニューノーマルの生活様式の中で、リモートワーク・テレワークの浸透により浮いた「通勤・支度時間分」を活かして副業を探す人が増えたこと、また「リモート副業」という方法で居住圏外での副業にチャレンジする人も増えたことが、これらサービスへの登録者の増加やのマッチング創出の追い風となっているとしている。

2022年のカオスマップに掲載したサービスのうち、約82%近くの副業がリモート可能なものであり、現場型の副業(配達デリバリー、介護、治験ボランティアなど)は全体の約18%となった。コロナ禍のニューノーマルの生活様式の中では、「新しい仕事」が誕生し、従来型の働き方を前提とする仕事の数は相対的に激減しているといえるという。

チャットやビデオ会議の代わりにアバターを採用、孤独を感じない快適なデジタルワークプレイスを提供する「Pesto」

Pesto’の社員アバター(画像クレジット:Pesto)

私たちの仕事の世界がメタバースに移行しつつある中、以前はPragli(プラグリ)として知られていたPesto(ペスト)は、リモートワークを少しでも孤独を軽減しようと、アバターアプローチで参入している。

「Zoom疲れ」は、2019年に会社の構想を練り始め、1年後に正式発表したDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏と共同創業者のVivek Nair(ヴィヴェク・ネア)氏にとってリアルなものだった。彼らのアイデアは、従業員が職場でアバターをカスタマイズできるデジタルネイティブなヒューマンワークプレイスで、アバターがビデオの代わりとなり、疲労感が少なく、よりパーソナルになるというものだ、CEOのサフレノ氏はメールで説明した。

「workplace(ワークプレイス)」には、社員が作ったさまざまな部屋があり、スクリーンシェア、ビデオ、ゲーム、または空間的な機能を含むオーディオファーストのコラボレーションのための組織的なスペースとなる。

「私たちがPestoを設立したのは、テキストチャットとビデオ会議の間で行き詰まったからです」と、サフレノ氏は付け加えた。「テクストチャットは、やりとりが多く、時間がかかるのでイライラしますし、また、ビデオ会議は堅苦しく、スケジュールを組むのが大変でした。ビデオ会議は、やる気をなくさせるようで、楽しいものではないです。Pestoは、より人間らしいリモートワークの方法なのです」。

2年近く経った今、Enhatch(エンハッチ)、Sortify.tm(ソルティファイ.tm)、HiHello(ハイヘロー)、FullStory(フルストーリー)、aiPass(aiパス)、Tidal Migrations(タイダルマイグレーション)といった企業の1万以上のチームと連携し、ユーザーは1億分以上の音声とビデオを記録しており、同社の初期の仕事は成果を上げている。

米国時間2月1日、同社は、Headline(ヘッドライン)が主導し、K9 Ventures(K9ベンチャーズ)、Rucker Park Capital(ラッカーパークキャピタル)、NextView Ventures(ネクストヴューベンチャーズ)、Collaborative Fund(コラボレーティブファンド)、Correlation Ventures(コーリレーションベンチャーズ)、Garrett Lord(ギャレット・ロード)、Nikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)、Joe Lau(ジョー・ラウ)が参加する500万ドル(約5億7300万円)のシード資金調達を発表した。

サフレノ氏は、世界は「産業革命以来、人々の働き方に最大の変化が起きています」と、語る。オフィスの稼働率が20%以下にとどまっている中、ほとんどの社員が対面式の仕事に戻る可能性は低いにもかかわらず、オフィスで働くために作られたツールを使わざるを得なくなっていると彼は考えている。これに対し、Pestoは、対面よりもデジタルで共同作業や交流を行う未来の仕事に適合するように設計されていると、彼は付け加えた。

利益率や売上高は明らかにしなかったが、1年前は創業者2人だけだったのが、今では従業員数は8人に増えたという。

今回の資金調達により、ペストは総額600万ドル(約6億8800万円)の投資を行うことになる。この資金は、製品設計やエンジニアリングチームの雇用、製品開発、特に職場のメタバース体験を深める機能の構築し、より複雑なコラボレーションニーズを持つ大企業をターゲットにした開発に使われる予定だ。

Pestoは現在、無料で利用できるが、2022年後半には有料ティアを導入する予定だ。

HeadlineのパートナーであるJett Fein(ジェット・ファイン)氏は「こだわりのあるユーザーベース」を持つ企業をよく探しており、Pestoにそれを見出した。

リモートワークがなくなるとは思えないので「より本格的でコラボレーション可能なツール」が求められているのだと、彼は付け加えた。Pestoは、多くの企業や従業員が抱えている、ビデオ会議疲れやコラボレーションスペースの不足といった問題を解決してくれると確信しているからだ。

このように、同社のメタバース機能は「自然で自由な人間同士の交流」を職場に取り戻すことができる点で、際立っていると感じており、今後このような従業員間の交流に投資する企業が増えていくことが予想される。

「Doug(ダグ)、Vivek(ヴィヴェック)、Daniel Liem(ダニエル・リエム)氏(創業者 / 製品責任者)の3人は、まさに未来の仕事のために作られたプラットフォームを作り上げました」とファイン氏はいう。「過去数年間、私たちは分散型チームで仕事をすることの利点と落とし穴を目の当たりにしてきました。自由と柔軟性を手に入れた反面、職場でよく見られる仲間意識や予定外の会話は失われてしまいました。Pestoはこうした課題に対する答えであり、遠隔地でのコラボレーションや共同作業が、直接会っているときと同じかそれ以上に効果的に感じられるような未来を創造するものです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

従業員のウェルビーイングを管理、ポストコロナ期の燃え尽き症候群を防ぐQuan

新型コロナウイルス流行収束後のバーンアウト(燃え尽き症候群)の増加、リモートワークへの移行、そして「大量退職時代」が辞書に載るようになった今、企業は人材を確保するのに苦労している。

Culture Amp(カルチャー・アンプ)やGlint(グリント)のようなカルチャープラットフォームは、別の時代に構築されたものであり、人事部にインサイトやレポートを提供するが、それらの多くは2022年に適合しているとは言えない。また、従業員のウェルビーイングは、依然としてますます重要な課題になっている。

新たなスタートアップ企業のQuan(クアン)は、エンゲージメント調査とウェルビーイング手当の間にあるギャップに対処するために、Y Combinator(ワイコンビネーター)をはじめ、オランダのインパクトファンドや複数の匿名のエンジェル投資家たちから、プレシード資金として115万ドル(約1億3000万円)を調達した。

女性が主導するオランダのスタートアップとして初めてY Combinatorに採用された創業者のArosha Brouwer(アロシャ・ブラウワー)氏とLucy Howie(ルーシー・ハウイー)氏は、医師、心理学者、セラピストと一緒にこの問題を研究し、200以上の予測因子に裏打ちされた20以上のウェルビーイングの下位次元を特定したと述べている。

Quanは、2021年3月にベータ版製品を発表し、現在は12の組織と提携を結び、1000人以上の有料ユーザーを獲得しており、プラットフォームのエンゲージメント率は88%に達しているという。

ブラウワー氏は筆者に次のように語った。「あまりにも長い間、人材・行動様式プラットフォームのプレイヤーたちは、ウェルビーイングを効果的に管理する方法を提供せずに『従業員エンゲージメント』や『従業員エクスペリエンス』を測定し、それをビジネス指標に直接結び付けてきました。そのため、バーンアウトや有害な企業文化といった問題が誤った方向に進んでしまう傾向にあるのです。Quanは、社会的な問題を効果的に解決するためには、それを経済的な問題(またはインセンティブ)にもしなければならないと考えています。冷厳な事実ですが、企業に従業員を大事にさせるためには、それが企業の利益にどのように影響するかを直接測定する必要があるのです」。

Quan社は現在、企業のリーダー向けに無料のアクセストライアルを提供している。

画像クレジット:Quan founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

バグバウンティ大手HackerOneが約56.6億円調達、在宅勤務によるクラウド利用増加が後押しに

バグ懸賞と侵入テストのスタートアップ、HakerOne(ハッカーワン)が4900万ドル(約56億6000万円)のシリーズEラウンドを完了した。この1年、在宅勤務の増加によってクラウド利用が急増した結果だ。

セキュリティ問題を探すハッカーと、問題を解決したい企業の間を取り持つ同社は、最近の成長について、12月のホリデーシーズンを前にインターネットを駆け巡った広く普及しているオープンソースロギングプラットフォーム、Log4j(ログフォージェイ)の欠陥をはじめすとる「ゼロデイ脆弱性」のまん延によって加速されたものだと語った。

同社は、この1年間に侵入につながっていた可能性のある重大、深刻な脆弱性を1万7000件以上発見しており、12月にLog4jバグが発見された後だけでも2000件以上の脆弱性が報告されたと語った。

HackerOneのCEOであるMarten Mickos(マーテン・ミコス)氏は、発見された攻撃の増加について、企業や政府が「これほど脅威にさらされたことはありません」と語った。

調達した資金は、研究開発および市場開拓業務の拡大に使用するつもりだと同社は言っている。

シリーズEの4900万ドルを加えて、HakcerOneの2021年設立以来の総調達額は1億6000万ドル(約184億7000万円)近くになった。ラウンドをリードしたのはGP Bullhound(GPブルハウンド)で、他に既存出資者のBenchmark(ベンチマーク)、NEA、Dragoneer Investment Group(ドラゴニア・インベストメント・グループ)、およびValor Equity Partner(ベイラー・イクイティー・パートナー)が参加した。

2012の開業以来、HackerOneは同社のバグ懸賞プログラムをさまざまな顧客に提供しており、リストには米国防省、Google(グーグル)、Dropbox(ドロップボックス)、Microsoft(マイクロソフト)、Twitter(ツイッター)の名前もある。

画像クレジット:Alexandre Dulaunoy / Flickr

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook