Workbounceの「GoogleとSlackの融合」B2B営業チーム向けツール、Index Venturesから約3.1億円を調達

Workbounceの創業者たち(画像クレジット:Workbounce)

商用製品の販売は昨今かなり複雑なプロセスになっており、パンデミックはそれをさらにややこしくした。営業チームは、特にやりとりの多くがバーチャルであるハイブリッドな世界では、自社製品への信頼を築くことの難しさに阻まれがちだ。Highspot、Seismic、Showpadのようなレガシーセールスツールは、異なる時代に作られたということもある。

英国を拠点とするWorkbounce(ワークバウンス)は、複雑な製品に関する膨大な量のコンテンツを検索できるようにし、営業担当者が案件を獲得するために必要な情報を見つけられるようにすることが解決策になると考えている。これは、プラットフォームに依存せず、Googleドライブ、Slack(スラック)、Notion(ノーション)などのツールに接続することで実現される。同社は、この製品を営業チーム向けの「Google meets Slack(グーグルとスラックの融合)」と呼んでいる。

このたび同社は、Index Venturesとエンジェル投資家のグループから270万ドル(約3億1300万円)の初期段階の資金を調達した。この資金調達はタイムリーなものだ。Crunchbaseによると、セールスイネーブルメントツールへの投資は過去5年間で22倍に成長しており、2017年の2100万ドル(約24億3300万円)から2021年には4億7700万ドル(約552億6500万円)に増加している。

Rowan Bailey(ローワン・ベイリー)氏とAdam Smith(アダム・スミス)氏(2021年3月にWorkdayが7億ドル / 約811億円で買収した従業員フィードバック企業Peakonの最初の採用者の1人)によって2021年初めに設立されたWorkbounceは、営業チームが使用するすべての異なるナレッジハブへの単一のエントリポイントとして機能するという。

共同創業者兼CEOのスミス氏は声明でこう述べている。「企業が営業やカスタマーサービスチームを通じて顧客と1対1でエンゲージする方法は変化しており、それは顧客の期待の高まりと、我々の働き方のシフトの両方が原因です。次世代のB2B関係は、単に製品やサービスを販売するだけでなく、ソリューションに向けたコラボレーションが重要になるでしょう」。

Workbounceは、そのリモートファーストの構造は、ポストパンデミックの世界のために構築されているという。

「Workbounceは、営業ナレッジにアクセスし、B2Bの顧客関係を改善するための主要なツールになる可能性を秘めています」とIndex Venturesのパートナー、Hannah Seal(ハンナ・シール)氏は付け加えた。「職場が変化するにつれ、適切な情報を適切なタイミングで見つけることがますます困難になっています。Workbounceはこの問題を解決し、営業チームが顧客とエンゲージし、取引を成立させることを支援します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

社内に散らばる膨大なナレッジを検索できるサービス「Dashworks」

企業が成長すると、それにともなって、社員たちが知っているべき重要な情報が増える。テクノロジーの利用が複雑化すると、Slackのスレッドにあったり、Jiraのチケットにあったり、ファイルとしてDropboxにアップされていたりと情報はあちこちに散在してしまうことになる。

Dashworksは、そんな社内のナレッジを集約する場所を目指しているスタートアップだ。カスタマイズ可能なスタートページと検索エンジンを備え、何十種類もの企業向けサービスに接続し、必要なものを見つけるための1つのハブを提供する。

仕事用のノートPCのホームページとしてDashworksは構築されている。全社的なアナウンスやFAQの作成、ブックマークの共有など、ハンドブック、OKR、組織図など、必要なのになかなか見つからないものを見つけることができる。

しかし、それ以上に印象的なのは、ツールを横断した検索機能だ。FacebookやCrestaといった企業で自然言語処理の経験を積んだ共同創業者のPrasad Kawthekar(プラサド・カワテカール)氏とPraty Sharma(プラティ・シャルマ)氏は、Dashworksに質問をすると、前述のSlackのスレッド、Jiraのチケット、またはDropboxファイルといったすべてのナレッジから回答を得ることができるツールを構築している。ユーザーが登録したサービスの関連ファイルの検索結果ページが表示されるが、質問の答えを知っていると判断した場合は、ページの一番上にGoogleのスニペットスタイルで表示される。

画像クレジット:Dashworks

現在、DashworksはAirtable、Asana、Confluence、Dropbox、Gmail、Google Drive、Intercom、Jira、Notion、Slack、Salesforce、Trelloなど30以上の人気サービスに接続することが可能で、需要に応じて順次追加していく予定だ。

これらのサービスやナレッジに他社がアクセスすることは、不安なことかもしれない。Dashworksのチームは、それを十分承知しているようだ。SOC-2認証を取得していること、サービスを停止する場合、データはすべてサーバーから消去されること、そしてツールをホスティングできるチームには、完全なオンプレミス版を提供していることという。

今週、DashworksはPoint72 Venturesが主導し、South Park Commons、Combine Fund、Garuda Ventures、GOAT Capital、Unpopular VenturesおよびStarling Venturesが支援する400万ドル(約4億6000万円)のラウンドを調達したと発表している。また、Twitchの共同創業者であるEmmett Shear(エメット・シアー)氏やGustoの共同創業者であるJosh Reeves(ジョシュ・リーブス)氏とTomer London(トーマー・ロンドン)氏など、多くのエンジェルたちがこのラウンドを支援している。同社は、Y Combinatorの2020年冬季にも参加していた。

画像クレジット:Dashworks

画像クレジット:Dashworks

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

全メンバーにとってベストな会議日時を教えてくれるチーム向けカレンダーアプリ「Rise」

チームワークに特化したカレンダーアプリに取り組む新しいスタートアップ、Rise(ライズ)を紹介する。Riseは、あなたが計画していることを確認、あなたのチームが今何をしているかをチェックし、さらに重要なこととして、チーム全体にとってできるだけ都合のよいミーティングをスケジュールするのを助ける。

現在プライベートベータ版であるRiseは、Lachy Groom(レイチーグルーム)、Stewart Buttlefield(スチュワート・バトルフィールド)、Adriaan Mol(アドリアン・モル)、そしてビジネスエンジェルたちの長いリストから300万ドル(約3億4500万円)を調達した。

上のスクリーンショットを見る限り、Riseは多くのカレンダーアプリと同じように見える。しかし、主な差別化機能は、スケジュール管理エンジンで、そのおかげで次の会議の最適な開始時間について考える必要がない。Calendly(カレンダリー)のリンクは必要ないのだ

アカウントを作成すると、Riseはあなたにとっての完璧な1週間を設定するよう求める。つまり、あなたの1週間の青写真のようなものだ。例えば、午前中のミーティングは苦手という人もいるだろう。逆に、ミーティングに適した時間帯を設定することもできる。Riseは、1週間をミーティングタイムとフォーカスタイムに分ける。

チームがRiseに登録したら、コマンドバーを開いて「来週、サムとサラとミーティング」などと入力すれば、新しいミーティングを作成することができる。アプリは自動的に情報を解析し、あなたが他の2人のチームメンバーと新しいミーティングを予定したいことを理解する。

Riseは、すべての参加者の空き時間、タイムブロック、およびプリファレンスをチェックする。裏側では、各時間帯のランキングアルゴリズムがあり、Riseは最も良いランキングの結果を選ぶ。その結果、チームメンバー全員が集中するための時間を取り戻すことができる。

このスタートアップは、SaaS(Software-as-a-Service)方式で、毎月のサブスクリプションを提供したいと考えている。チームはRiseを使い始める前に、自分のアカウントをRiseに接続し、Riseをずっと使っていたらどれだけ時間を節約できたかを見ることができる。

もしRiseが多くの企業にカレンダーを使うように説得できれば、社外の人とのミーティングにおもしろいネットワーク効果が期待できるかもしれない。例えば、Riseを使っている2つの会社の間で、関係者全員にとって適切なタイミングで、Riseが自動的にミーティングをスケジュールしてくれるかもしれない。

Riseを使用していない人とのミーティングのスケジュールに関しては、明白な解決策はない。Calendlyは、忙しい人が空き時間のリンクを共有するための一般的なオプションであり、Riseはこの面でいくつかの既存の競合があることを認識している。

「空室状況をすばやくコピー&ペーストしたり、カレンダーのランディングページを作成したりと、類似の製品にあるような、明らかに追加できることがいくつかあります。しかし、そのような機能を提供するすばらしい製品もすでにあり、本当に10倍の飛躍を遂げるのは難しいでしょう」と、Riseの共同設立者であるRick Pastoor(リック・パストーア)氏は私に語ってくれた。

パストーア氏は「GRIP(グリップ)」というプロダクティヴィティについての本も書いており、オランダで好評を得ている。その著書は75000 部以上も売れている。Riseは、最近出現しているカレンダーのスタートアップの新しい波の一部で、Cron(クロン)、Hera(ヘラ)、Amie(アミー)などと競合することになる。

Riseは、時間管理に関する意見を述べることで、競合他社に差をつけられると考えている。「私たちは、ノブやオプションでいっぱいのコックピットを作りたいとは思いません。私たちは、ユーザーやチームが最も重要なことに到達するのを助けたいのです。そのためには、最初のインプットが必要ですが、実は、スケジュールを指定しなくても、時間管理を確実に把握できるようになれば、すぐにでも、それらを移動させたいと思っています」とパストーア氏は述べている。

画像クレジット:Rise

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(文:Romain Dillet、翻訳:Yuta Kaminishi)

MetaのWorkplaceがWhatsAppを統合、コミュニケーション機能拡充へ

もともと企業の従業員がコミュニケーションをとるためのソーシャルネットワークとして構築された、Facebook(現Meta)のアプリWorkplace(ワークプレイス)には700万人以上のユーザーがいる。特にフロントライン、デスクレス、デスクベースの従業員が混在する多国籍組織で、経営陣が従業員全員とつながりを保ち、従業員が互いに仕事についてチャットできる手段として支持されている。そして今、その利便性をさらに高めるためにさらなる機能を追加する。Workplaceは、Metaが所有する数十億人のユーザーを抱える人気のメッセージングアプリWhatsApp(ワッツアップ)との統合を間もなく追加し、Workplaceの顧客がメッセージングアプリを使ってお知らせをクロスポストしたり、その他のデータを従業員と共有したりできるようにする予定だ。

WhatsAppの機能は、2022年後半に稼働する見込みだ。メッセージング・コミュニケーションが最初の立ち上げの一部のようだが、同社は他の種類のWorkplaceや生産性機能をWhatsAppに統合する方法にも取り組んでいて、例えば、2020年11月にWorkplaceで最初にローンチされた、シフトワーカー同士がシフトを交換し、マネージャーとその計画システムをループ内に保つ方法であるShift Coverを統合することも検討している。

Workplaceの責任者Ujjwal Singh(ウッジワル・シン)氏は、正確な時期について具体的には述べなかった。どのように機能するかについて「詳細を詰めている」ところであり、いくつかの決定はまだなされておらず、焦点はその消費者向けアプリのDNAにあるものを法人向けサービスとしていかに活用するかだと説明している。

「これはしばらく前から取り組んでいたことです」とシン氏はインタビューで語り、この2社はFacebook傘下の同じ安定した会社だが、例えば2021年のWhatsApp API拡張など、WhatsAppが行ってきた異なるビジネスの発表の内容が最初に整う必要があったことを指摘した。また、顧客と一緒になって機能を構築してきた。「消費者向けアプリに出るものには気をつけたいのです。企業が安全に使える方法でやりたかったのです」。

WhatsAppにビジネス用途を、Workplaceに機能性を持たせるという動きは、どちらも久々の試みだが、両製品の幅広い戦略、そしてMetaの戦略全体と合致している。

Metaでは、顧客向けサービスとバックエンドの両方で、さまざまなアプリをより密接に連携させるというミッションを何年も前から掲げている。その戦略には、MessengerとInstagramのメッセージ機能を統合し、消費者がアプリを横断してコミュニケーションできるようにしたことも含まれている。また、WhatsApp for Businessを利用している企業は、例えばFacebookでコンタクトを開始し、WhatsApp上で直接会話を続けることができるようにするなど、ビジネス / 商業的な側面にも重点を置いている。このような取り組みは議論の余地がないわけではないが、それでも徐々に展開されてきた。

これにより、各プラットフォームの利用が増えるだけでなく、広告を出したり、WhatsApp for Businessのようなプレミアム製品を利用したりと、一般的にMetaでより多くの商業活動を行おうと企業に思わせる。また、Metaを単なるアプリ間の広告をベースとするコンシューマー向け製品とするだけではなく、Metaのためにより大きなユースケースを構築する可能性もある。

Workplace は当初、Slack(スラック)の台頭に対するFacebooの対抗策として始まった。多くの人がすでに仕事以外のやり取りに(そして仕事でも)Facebook を使っていて、社員も仕事の雑談や計画にFacebookが使えることを証明しているのに、なぜ新興企業に美味しいとこ取りをさせるのか、と考えた。

長期的に見ると、この最初の理論はFacebookの思惑どおりにはいかなかったようだ。当初、Workplaceを生産性向上のハブとして位置づけるために、Slackに見られるような多くの統合を導入し、ナレッジワーカー向けのコラボレーションやコミュニケーションに関する多くのネイティブ機能を追加した。しかし、最近では、やや焦点が変わってきているようだ。

まず、SlackやMicrosoft(マイクロソフト)のTeamsといった製品が引き続き存在し、評判を高めている。この変化に追随するように、Workplaceはこれらのプラットフォームとより密接に連携するようになった(直近では、動画機能などでTeamsを統合した)。第二に、Workplaceは「デスクレス」と呼ばれる、1日中コンピュータの前に座っているのではなく、携帯電話を主な手段として上司や同僚、組織全体とやり取りをするフロントラインワーカーや接客ワーカーに、新たなユーザーを見出した。

「米国外の多くのフロントラインワーカーは、仕事をこなすのにWhatsAppのような消費者向けツールを使っています」とシン氏は話す。「シフト管理にWhatsAppを使うのはその一部に過ぎない、というデータも持っています。データによると、フロントラインワーカーは意思決定をする経営陣から切り離されていると感じているようです。それがこの統合の重要なポイントです」。ここで同氏が言っているのは、同社が米国時間1月20日に発表した、Workplaceがどのように発展しているかを裏づける新しい調査についてだ。半数強(54%)のフロントラインワーカーが、組織の本部とつながっていると感じていると回答していることがわかった。これは、そのギャップを埋める方法としてWorkplaceやWhatsAppを構築することにチャンスを見出した理由の1つだ。

長期的には、このWhatsAppの統合と、同社がデスクレスワーカーにサービスを提供するために行っている幅広い動きは、BlinkYoobicのようにフロントラインの従業員と彼らの職場における特定の要件や機能をターゲットとした新しいアプリの波の中にWorkplaceを位置づけるものだ。Facebookがこのままシンプルなメッセージングコミュニケーションツールにとどまるのか、それともそうしたユーザーに特化した機能を構築し始めるのか、注目されるところだ。この分野は競争が激しい。2021年に2億ドル(約228億円)を調達したWhen I Work、7100万ドル(約81億円)を調達したHomebase、ホームサービスのプロに焦点を当てたWorkizWorkWhile、(2021年にSquareが買収したCrew、(2021年9月に上場申請した)Justworksなどが顧客争奪戦を繰り広げている。

画像クレジット:xPACIFICA / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

eコマースのカスタマーサービスで繰り返される作業の自動化をサポートするZowie

Zowieの共同創業者マット・シオレック氏とマヤ・シェーファー氏(画像クレジット:Zowie)

顧客サービスの内容は、ほぼ数種類に限定される。まず返品、そして返金、そして品質管理部門に対する質問だ。これらは、同じ内容が繰り返されることも多く、また、もっと複雑な話題で顧客エンゲージメントを深めるための時間はなかなか得られない。例えば情報をプロダクト部門へつないだり、顧客にとってベストのプロダクトを探す手伝いをするといったことはできていない。

Zowieを創業したMaja Schaefer(マヤ・シェーファー)氏とMatt Ciolek(マット・シオレック)氏は、繰り返されることが多いサービスは自動化できると考えている。同社を興した2019年、2人はプロダクト開発と、顧客調査の仕事をしていたeコマース企業での経験をブレンドしようと考えていた。

CEOのシェーファー氏は「顧客サービスは、既存のソリューションで解決する問題ではないということを私たちは悟りました。それらのソリューションはどれも実装がとても難しいからです。実装には数カ月も必要で、さらにその後、メンテナンスが困難になります」という。

2人は、繰り返し行われる仕事の解決策としてチャットボットをクライアントに提案し、数週間でその構築を任された後、Zowieのアイデアを思いついた。

顧客サービスにAIによるチャットボットを使うやり方は、新しいものではない。2021年1年でも、ForethoughtHeydayCognigyLandbotHeyflowなどが、この分野で資金調達を発表している。

しかし、競合他社の中には、回答などのワークフロー情報をツールに入力する必要があるものもあるとシェーファー氏はいう。その代わり、ZowieのZowie X1テクノロジーは、製品やブランドに特有のリクエストワークフローを最初から自動化する。同社は数分でデータを分析し、Zowieがサポートできるサポートチケットの割合(場合によっては50%)を顧客に伝えることができる。

シェーファー氏は、チャットボットの導入により、エージェント1人あたり1日2時間程度が解放され、チャットボットが回答しない質問を受け付けたり、より複雑な問題を解決したり、より多くのサポートを売上につなげたりすることが可能になると見積もっている。平均して、顧客は最大45%の売上増を実現することが可能だと、彼女はいう。

2020年から2021年にかけて売上が3倍になった同社は、資金調達を目指すことを決め、Gradient Venturesと10xFoundersが主導し、LatticeのCEOであるJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、GiessweinのCEOであるMarkus Giesswein(マルクス・ジースバイン)氏、以前の投資家であったInovo Venture Partnersが参加してシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達した。

ZowieはGiessweinを含む約100社の顧客と取引している。彼女は今回の資金を製品開発、マーケティング、販売、米国および北米全域の商業チームの成長に充てたいという。同社の従業員は現在36名で、2022年中にチームを倍増させる計画だ。

Zowieが拡大しようとしている製品機能には、ウェブサイトから電子メール、WhatsAppまで、できるだけ多くのチャネルでの自動化、および営業サイドでカスタマージャーニーをナビゲートできるような機能の実現が含まれている。

Gradient VenturesのジェネラルパートナーであるDarian Shirazi(ダリアン・シーラーズ)氏は、短期間で大きな収益を上げたことと、創業者たちが築いているビジネスに惹かれたこともあり、Zowieを選んだと語る。

「Zowieを見ていて感じた差別化の1つは、ナレッジベースを生成してくれるeコマース向けの初のAIチャットボットであることでした。他は質問に答えるためのナレッジベースを用意しなければならず、そんな時間がない企業もあります。私たちはチャットボットの期待していますが、巨大でバーティカルなeコマース向けにうまくやった人はいませんでした」とシーラーズ氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

モバイルアプリのリリースプロセスを効率化するRunwayが約2.3億円のシード資金を追加調達

NVIDIAがエッジコンピューティング向け超小型AIスーパーコンピューターJetson AGX Orin発表

Runway(ランウェイ)は、ドレスレンタルのRent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)のiOSチームが直面した課題をきっかけに設立されたスタートアップだ。このほどベータテストを終え、モバイルアプリのリリースサイクルを簡易化サービスを公開する。同社いわく、モバイルアプリ・リリースの「航空管制」サービスだ。また同社はBedrock Capitalのリードで実施した200万ドルのシード・ラウンドで資金を追加調達した。

ラウンドには、Array Ventures、Chapter One、Breakpoint Capital、Liquid 2 Ventures、Four Cities、Harvard Management Seed Capital、SoftBank Opportunity Fund、およびさまざまなエンジェル投資家が参加した。

Runwayの構想は、Rent the Runwayの初期モバイル・アプリ・チームで一緒に働いていた、Gabriel Savit(ガブリエル・サヴィット)氏、Isabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィロン)氏、およびMatt Varghese(マット・バーギース)氏という4人の共同ファウンダーから生まれた。前職で4人は、アプリのリリースには多くの無駄な時間が費やされ、Slack(スラック)などのアプリを使った社内コミュニケーションで多くの行ったり来たりが起きるなど、数々のオーバーヘッドがともないことを体験した。エンジニアリング、プロダクト、マーケティング、デザイン、品質管理などの部門すべてが、アプリのリリース・プロセスに関わる各自の役割に関して互いに状況を報告し合わなければならなかった。それは、今でもドキュメントやスプレッドシートの共有を通じてよく行われていることだ。

Runwayは、代わりにアプリのリリースサイクルにともなうさまざまな部分を管理することに特化した専用ソフトウェアを提供する。

そのシステムは、企業の既存のツール、GitHub(ギットハブ)、JIRA(ジラ)、Trello(トレロ)、Bitrise(ビットライズ)、CircleCI(サークル・シーアイ)などを統合して、何が行わているのか、どのアクションアイテムが残っているかなどの最新情報を全チームに送る。今年の春にベータ公開して以来、Runwayは対応するインテグレーション(統合)を2倍に増やし、現在はLinear、Pivotal Tracker、Jenkins,GitHub Actions、GitLab CI、Travis CI、Slack、Bugsnag、Sentry、TestRailなどにも対応しており、近々さらに増やす予定だ。

画像クレジット:Runway

テスト期間中、Runwayは少数の初期ユーザーによって使用され、3月時点でClassPass(クラスパス)、Kickstarter(キックスターター)、Capsule(カプセル)などが同プラットフォームを使って40以上のアプリをリリースした。

ベータ開始以来、顧客ベースは10倍に増え、現在Gusto(ガスト)、NTWRK(ネットワーク)、Brex(ブレックス)、Chick-fil-A(チック・フィル・エー)などのほか、エンタープライズ分野の大物企業も顧客リストに入っていると同社は語る(その1つは「人気のフード・デリバリー・アプリ」だと本誌は理解している)。顧客の何社かから、Runwayを旧方式に代えて使うことを支持するメッセージが同社のウェブに掲載されている。たとえばClassPassのモバイル責任者、Sanjay Thakur(サンジェイ・タクー)氏は、Runwayを使った結果、システムの「混乱が減り」、リリースに費やす時間も減ったと語った。

「エンジニアたちは私に、リリースマネージャーの仕事でて多忙を極める時期の負荷が軽減されたと言っています」とタクー氏は言った。

KickstarterのシニアiOSエンジニア、Hari Singh(ハリ・シング)氏は、Runwayのおかげで「状況が整理された」と話し、「チームの全員が同じものを見ているのはすばらしいことです。起きていることに関する主観的意見がなくなるました」と指摘した。

「Runwayはリリースを早くしただけでなく、リリースのことを心配する必要をなくすことで、メンタル面のストレスを軽減しました」とNTWRKのシニアソフトウェアエンジニアであるDave Cowart(デイブ・コォート)氏は言う。「かつてはリリースを必要以上にためらっていました。今はスムーズにいくことも最小限の努力ですむこともわかっています」

現時点で、3月以降にアーリーアダプターたち同プラットフォームを使ってリリースしたアプリは計700本を超えている。また同社は3月のベータ以来いくつか重要なプロダクト変更も行ってきた。

画像クレジット:Runway

たとえば、これまで手動で行われてきたタスクのさらなる自動化、不安定なフェーズのリリースを自動的に停止する、安定したフェーズのリリースの自動的な加速、アプリストアの「What’s New」セクションへの標準リリースノートの登録、段階パーセンテージの自動更新する(Andoidを含む)、アプリストアで最新ビルドを選択する、iOSのベータレビュー用の新しいビルドの送信、リリースサイクルの最後にリリースにタグ付けする、変更履歴の自動生成、リリースアーティファクトの付加、不足ラベルの追加、プロジェクト管理ツールのチケットにバージョンを固定するなどだ。

Runwayはさらに、ホットフィックス(緊急修正)リリースの迅速化、社外ステークホルダーに回覧する承認機能、スクリーンショット・ビュアー、承認ゲート、CIパイプはラインからアーティファクトダウンロードを直接生成する機能、回帰テストの統合、安定度監視の統合、TestFlightおよびPlay Storeベータ・トラック・テスティングの統合、コード中のバージョン番号の自動更新など高頻度リリースのための追加機能、役割、承認、アクセス管理リストのサポートなど様々な拡張を実施した。同社はSOC 2認証も取得した。

今なお取り組んでいる分野が、新規顧客の導入プロセスの簡素化だ。Runwayは幅広いプラットフォームとして作られているため、顧客が数多くのアプリやサービスをRunwayに接続する初期設定プロセスには時間がかかる。それでもRunwayは、多くのチームの異なるツールやプロセスに適応する同システム能力は、最終的にセールスポイントになるものであり、導入の障壁にはならないと信じている。

正式公開にあたり、Runwayは1アプリ当たり月額400ドル(約4万5900円)の標準プランを継続するほか、トップ企業の導入を見据えて大企業向けのカスタム・エンタープライズ価格を追加した。将来はインディーチーム向け新プライシングの追加も考えているという。

Runwayは新たな資金を、複数のフルスタックエンジニア(特に元モバイル・エンジニア)、成長とマーケティングを担当するフルタイム社員1名を含む新規雇用に充てると語った。同社はすでに、元シニアモバイルエンジニアを初のフルタイム社員として採用している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

法人設立、会計、税金、規制遵守など煩わしいバックオフィス管理を行うSleek、ビジネス構築に集中したい起業家向けサービス強化

Sleekの創業者ジュリアン・ラブリエール(右)とエイドリアン・バーゼル氏(左)(画像クレジット:Sleek)

起業家や中小企業は、カンパニーセクレタリー業務、簿記、銀行業務、税務、給与計算、雇用サービス、保険など、サイロ化された機能への対応に苦労することがよくある。

フランスの起業家Julien Labruyere(ジュリアン・ラブリエール)氏とAdrien Barthel(エイドリアン・バーゼル)氏は2017年にSleek(スリーク)を設立し、起業家がシンガポールと香港で事業を設立して運営するのを支援した。Sleekは法人設立、行政、会計、税金、ビザから規制遵守まで、すべてを処理するバックエンドのOSプラットフォームを構築した。

同社の使命は、Sleekによってバックオフィスの煩わしさをすべて取り除くことで、ビジネスの構築に集中したい起業家やビジネスオーナーにとって最適なプラットフォームになることだと、バーゼル氏は述べている。

Sleekは米国時間11月16日、White Star Capital(ホワイト・スター・キャピタル)とJungle Ventures(ジャングル・ベンチャーズ)がリードする1400万ドル(約15億9800万円)のシリーズAラウンドを獲得したことを発表した。これにより、Sleekの総調達額は2400万ドル(約27億3900万円)となった。

この資金は、技術および製品開発の強化、人員の増強、既存市場でのプレゼンスの拡大、オーストラリアや英国を含む新規市場への参入に使用される。

英国市場への参入にともない、Sleekは、英国の法人設立管理会社で、2005年の設立以来、45万社以上の法人を設立してきたLtd Companies(Ltdカンパニーズ)の買収を発表した。Sleekは、既存のLtd Companiesのサービスに同社のスタックを加え、英国の中小企業向けのオペレーティングシステムを構築する。

Sleekは設立以来、シンガポールだけでなく、香港、オーストラリア、英国、フィリピンにも拠点を拡大してきた。

同社は、パンデミック時に顧客ポートフォリオの規模を2倍にした。興味深いのは、Sleekの顧客は経済全体の混乱の影響をあまり受けていないようだ、とバーゼル氏はTechCrunchに語っている。また、2021年初めには1000万ドル(約11億4100万円)の年間経常収益を達成したとバーゼル氏は述べている。

5000社以上のポートフォリオを管理しているSleekは、2020年に140万件以上の簿記取引を処理し、約7億ドル(約799億円)の収益を計上した。

Sleekは最近、中小企業の銀行口座開設を簡素化したSleekビジネスアカウントを発表した。これにより、起業家や中小企業の経営者は、Sleekアプリを使ってわずか1日で預金口座を開設し、取引を開始することができ、口座開設前の煩わしい書類作成の必要性がなくなった。さらに、ユーザーはSleekのダッシュボード上で、他の会社の指標と一緒に口座の詳細を確認することができ、会計や簿記のための銀行照合を効率的に行うことができる。また、送金やカード発行に対応した製品のリリースも予定している。

「Sleekビジネスアカウントのリリースにより、起業家のためのオペレーティングシステム(OS)を構築するという当社の製品ビジョンに、大きな一歩を踏み出すことができました」とバーゼル氏は述べている。

また、経験豊富なCFO(最高財務責任者)がビジネスインテリジェンスツールを介してクライアントの会計データにアクセスし、クライアントへの提案や分析(予算編成、戦略、資金調達)を行うCFOサービスを試験的に開始した。

「テクノロジーが人間の超効率化を可能にする未来では、人間は手作業よりも顧客へのアドバイスに多くの時間を費やします。現在、当社のカンパニーセクレタリーは、従来の会社の4~5倍多くのクライアントにアドバイスを行っていますが、その機能の100%自動化を実現し、クライアントへのアドバイスのみに集中できるようにすることを目指しています」と、バーゼル氏はTechCrunchに語っている。

White Star Capitalの創業者兼マネージングパートナーであるEric Martineau-Fortin(エリック・マルティノー・フォーティン)氏は「我々は、Sleekの優れたパートナーとなり、我々のグローバルなカバーエリアを活用して、すべての中小企業が抱える根本的な問題を解決し、ヨーロッパやオーストラリアへの成長を加速できると信じています」と語っている。

「Sleekは、世界中の起業家や中小企業が抱えるバックオフィス管理という、まだ十分なサービスが提供されていない領域の課題に取り組んでいます。Sleekの地域を超えた成長と急速な拡大は、プラットフォームの導入が加速していることと、それがエコシステムにもたらす価値を証明しています」。とJungle VenturesのマネージングパートナーであるDavid Gowdey(デビッド・ゴウディ)氏は語っている。

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

マイクロソフトがアプリを横断して使えるコラボツール「Microsoft Loop」を発表

Microsoft(マイクロソフト)は、Google(グーグル)が2009年に立ち上げて2010年に早々と閉鎖し、運の尽きたリアルタイムメッセージング&コラボレーションプラットフォームGoogle Waveを復活させる。

この再登場は予想すべきだったかもしれない。2019年にMicrosoftはFluid Frameworkを発表した(Fluentデザインシステムと混同しないで欲しい)。ここでのアイデアは、ビジネス文書の性質と、開発者がリアルタイムアプリケーションを構築する方法を再発明しようとするものに他ならなかった。同社は2020年にFluidをオープンソース化し、自社のOfficeアプリケーションのいくつかに組み込みを開始した。そして米国時間11月2日、Igniteカンファレンスにおいて、Fluidをベースにしたまったく新しい製品を発表した。Microsoft Loopだ。

Loopは、Fluidフレームワークを採用した新しいアプリケーションであり、新しいコンセプトでもある。Fluidフレームワークは、リアルタイム編集ベースのアプリケーションを作成するために、開発者が自由に組み合わせられる柔軟なコンポーネントを提供し、ユーザーが文書でコラボするための新しい体験を創り出す。リアルタイムのコラボに加えて、開発者用のフレームワークとプロトコルを提供することで、Waveをあらゆる場所で利用できるようにするというのが、Google Waveの約束でもあった。

そしてあなたはこういうかもしれない。Teamsのためのものではないのか? なぜこれがTeamsに組み込まれていないのか、と。その通りだ。それらの取り組みは進行中だ。しかしLoopアプリでもある。このアプリは、Microsoftがいうところの「パワフルでフレキシブルなキャンバスと、アプリ間を自由に移動して同期を保つポータブルなコンポーネントを組み合わせたもので、チームがともに考え、計画し、創造することを可能にする」ものだ。

Loopには3つの要素がある。リスト、テーブル、ノート、タスクなどの「生産性の原子単位(atomic units of productivity)」(このフレーズを考え出した人には脱帽だ)であるLoopコンポーネント「コンポーネントを整理し、ファイルやリンク、データなどの他の有用な要素を取り込み、チームが考え、つながり、コラボするのに役立つ柔軟なキャンバス」であるLoopページ、そしてみんなが取り組んでいることを把握し、共有する目標に向けての進捗を確認できる共有スペースであるLoopワークスペースだ。

Waveにはなかったことだが、Loopの中核的な機能として、Loopはカーソルの位置をリアルタイムに追跡することができる。これはメタバースの現状を表す。カーソルを動かしているときほど、会議に参加していることをアピールできるものはない。

間もなく提供されるLoop / Fluentの新しいコンポーネントとしては、投票表(Google Waveの最初の機能だ)とステータストラッカーがある。

Google Waveは明らかに時代の先を行っていた。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

4000社導入のクラウド受付システムRECEPTIONISTが資金調達、VC投資先企業へのサービス提供プランも発表

RECEPTIONIST代表取締役CEO橋本真里子氏(写真左)、グローバル・ブレイン田﨑茉莉花氏(写真右)

RECEPTIONIST代表取締役CEO橋本真里子氏(写真左)、グローバル・ブレイン田﨑茉莉花氏(写真右)

非効率な受付業務をデジタル化するクラウド受付システムなどを展開するRECEPTIONIST(レセプショニスト)は7月19日、グローバル・ブレインからの資金調達実施と、ベンチャーキャピタル(VC)9社と連携して、投資先スタートアップをRECEPTIONISTのサービスで支援する「VC連携 スタートアップ支援プラン」の提供開始を発表した。

元受付嬢として、受付業務の非効率性を熟知する代表取締役CEOの橋本真里子氏は、2016年にRECEPTIONISTを設立し、2017年1月に受付業務をデジタル化するクラウド受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。2021年4月時点には、導入企業4000社となったという。橋本氏は、日程調整や会議室管理も受付業務同様に効率化の必要性を感じていたことから、日程調整ツール「調整アポ」、会議室管理の「RECEPTIONIST for Space」も開発し、展開している。

RECEPTIONISTは受付システム・受付方法において特許(第6429965号)を取得しており、調整アポ、RECEPTIONIST For Spaceと併用することで、「日程調整→会議室予約→来客受付→会議室管理までをワンストップで効率化」できるという。橋本氏はこれを、「人がやらなくて良い仕事はシステムに任せ、社会や人々に余白をつくり、工夫して仕事できるためのコミュニケーションサービス」と位置づけて成長を目指している。金額は非公表ながら、今回調達した資金は、これらサービスの拡大・加速をはかるための採用・開発強化に役立てられる。

同時に発表された「VC連携 スタートアップ支援プラン」は、9社のVCとの連携により、各社の投資先企業にRECEPTIONISTの3つのサービスを6カ月間無料で提供するというプログラム。業務の効率化を支援し、本来の事業に専念してもらうという。参加VCは、ANRI、iSGSインベストメントワークス、ABBALab、グローバル・ブレイン、Salesforce Ventures、大和企業投資、ツネイシキャピタルパートナーズ、Bonds Investment Group、One Capitalとなっている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:業務効率化(用語)RECEPTIONIST(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

企業の標準作業手順の自動化を支援するシンガポールのNimblyが5.1億円調達

店舗やレストランを中心とした多くの職場は、業務を円滑に進めるためにスプレッドシートを使った手作業に頼っている。シンガポールに拠点を置くNimbly(ニンブリー)は、そのプロセスをより自動化するためのソフトウェアを開発している。提供する機能には、デジタルチェックリスト、在庫管理、現場監査などがあり、モバイルアプリからアクセスすることができる。今回、同スタートアップは、Insignia Ventures Partnersが主導し、Sovereign’s CapitalとSaison Capitalが参加したプレシリーズAで、460万ドル(約5億1000万円)を調達したことを発表した。

2018年に、Daniel Hazman(ダニエル・ハズマン)氏とJonathan Keith(ジョナサン・キース)氏によって創業されたNimblyは、現在、インドネシア、シンガポール、マレーシア、米国など7カ国100以上の組織で使用されている。Nimblyのユーザーの大部分は、小売業や飲食業で、たとえばKFC(ケンタッキーフライドチキン)、Kopi Kenangan(コピ・ケナンガン)、7-Eleven(セブン-イレブン)、Under Armour(アンダーアーマー)などが含まれている。また、Cargill(カーギル)やWilmar(ウィルマー)のように、日用消費財や農業分野の顧客もいる。

今回の資金調達により、調達額は570万ドル(約6億3000万円)となる。新しい資金は、レストラン運営会社であるExpress Food Group(エクスプレス・フード・グループ)との新たな提携を含む、Nimblyの東南アジアでの事業拡大や、さらなる分析、覆面調査、従業員トレーニングなどの製品の追加のために投入される。

Nimblyは、スプレッドシート、電子メール、メッセージングアプリの機能を1つのアプリにまとめることで、それらを置き換えるようにデザインされている。ここには、チェックリスト、監査、ライブビデオなどが含まれ、確実にすべての拠点で標準作業手順が守られるようにする。例えばレストランでは、食品の安全性や衛生基準が守られているかどうかをNimblyで確認することができる。日用消費財(FMCG)企業であれば、店舗での在庫状況の把握や、競合他社との比較などの情報共有に使うことができ、農業分野であれば、生産者が農場でサステナブルな対策をとっているかどうかを確認することに使うことができる。

Insignia Venture Partnersの創業マネジメントパートーナーであるYinglan Tan(インラン・タン)氏は次のように語った「SaaS企業は、東南アジアでは新たな分野として注目されています。あらゆる規模や業種の企業がソフトウェアツールへの移行、さらにはアップグレードを考えています。なので、ダニエルとジョナサンたちやNimblyのチームとパートナーシップを組むことができて、非常にうれしく思っています。彼らはこの分野の企業プロセス支援ソフトウェアの開発で、アジアで先行していますし、やがて世界展開も視野に入れていますから」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Nimblyシンガポール資金調達業務効率化

画像クレジット:Nimbly

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)