モバイルアプリのリリースプロセスを効率化するRunwayが約2.3億円のシード資金を追加調達

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Runway(ランウェイ)は、ドレスレンタルのRent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)のiOSチームが直面した課題をきっかけに設立されたスタートアップだ。このほどベータテストを終え、モバイルアプリのリリースサイクルを簡易化サービスを公開する。同社いわく、モバイルアプリ・リリースの「航空管制」サービスだ。また同社はBedrock Capitalのリードで実施した200万ドルのシード・ラウンドで資金を追加調達した。

ラウンドには、Array Ventures、Chapter One、Breakpoint Capital、Liquid 2 Ventures、Four Cities、Harvard Management Seed Capital、SoftBank Opportunity Fund、およびさまざまなエンジェル投資家が参加した。

Runwayの構想は、Rent the Runwayの初期モバイル・アプリ・チームで一緒に働いていた、Gabriel Savit(ガブリエル・サヴィット)氏、Isabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィロン)氏、およびMatt Varghese(マット・バーギース)氏という4人の共同ファウンダーから生まれた。前職で4人は、アプリのリリースには多くの無駄な時間が費やされ、Slack(スラック)などのアプリを使った社内コミュニケーションで多くの行ったり来たりが起きるなど、数々のオーバーヘッドがともないことを体験した。エンジニアリング、プロダクト、マーケティング、デザイン、品質管理などの部門すべてが、アプリのリリース・プロセスに関わる各自の役割に関して互いに状況を報告し合わなければならなかった。それは、今でもドキュメントやスプレッドシートの共有を通じてよく行われていることだ。

Runwayは、代わりにアプリのリリースサイクルにともなうさまざまな部分を管理することに特化した専用ソフトウェアを提供する。

そのシステムは、企業の既存のツール、GitHub(ギットハブ)、JIRA(ジラ)、Trello(トレロ)、Bitrise(ビットライズ)、CircleCI(サークル・シーアイ)などを統合して、何が行わているのか、どのアクションアイテムが残っているかなどの最新情報を全チームに送る。今年の春にベータ公開して以来、Runwayは対応するインテグレーション(統合)を2倍に増やし、現在はLinear、Pivotal Tracker、Jenkins,GitHub Actions、GitLab CI、Travis CI、Slack、Bugsnag、Sentry、TestRailなどにも対応しており、近々さらに増やす予定だ。

画像クレジット:Runway

テスト期間中、Runwayは少数の初期ユーザーによって使用され、3月時点でClassPass(クラスパス)、Kickstarter(キックスターター)、Capsule(カプセル)などが同プラットフォームを使って40以上のアプリをリリースした。

ベータ開始以来、顧客ベースは10倍に増え、現在Gusto(ガスト)、NTWRK(ネットワーク)、Brex(ブレックス)、Chick-fil-A(チック・フィル・エー)などのほか、エンタープライズ分野の大物企業も顧客リストに入っていると同社は語る(その1つは「人気のフード・デリバリー・アプリ」だと本誌は理解している)。顧客の何社かから、Runwayを旧方式に代えて使うことを支持するメッセージが同社のウェブに掲載されている。たとえばClassPassのモバイル責任者、Sanjay Thakur(サンジェイ・タクー)氏は、Runwayを使った結果、システムの「混乱が減り」、リリースに費やす時間も減ったと語った。

「エンジニアたちは私に、リリースマネージャーの仕事でて多忙を極める時期の負荷が軽減されたと言っています」とタクー氏は言った。

KickstarterのシニアiOSエンジニア、Hari Singh(ハリ・シング)氏は、Runwayのおかげで「状況が整理された」と話し、「チームの全員が同じものを見ているのはすばらしいことです。起きていることに関する主観的意見がなくなるました」と指摘した。

「Runwayはリリースを早くしただけでなく、リリースのことを心配する必要をなくすことで、メンタル面のストレスを軽減しました」とNTWRKのシニアソフトウェアエンジニアであるDave Cowart(デイブ・コォート)氏は言う。「かつてはリリースを必要以上にためらっていました。今はスムーズにいくことも最小限の努力ですむこともわかっています」

現時点で、3月以降にアーリーアダプターたち同プラットフォームを使ってリリースしたアプリは計700本を超えている。また同社は3月のベータ以来いくつか重要なプロダクト変更も行ってきた。

画像クレジット:Runway

たとえば、これまで手動で行われてきたタスクのさらなる自動化、不安定なフェーズのリリースを自動的に停止する、安定したフェーズのリリースの自動的な加速、アプリストアの「What’s New」セクションへの標準リリースノートの登録、段階パーセンテージの自動更新する(Andoidを含む)、アプリストアで最新ビルドを選択する、iOSのベータレビュー用の新しいビルドの送信、リリースサイクルの最後にリリースにタグ付けする、変更履歴の自動生成、リリースアーティファクトの付加、不足ラベルの追加、プロジェクト管理ツールのチケットにバージョンを固定するなどだ。

Runwayはさらに、ホットフィックス(緊急修正)リリースの迅速化、社外ステークホルダーに回覧する承認機能、スクリーンショット・ビュアー、承認ゲート、CIパイプはラインからアーティファクトダウンロードを直接生成する機能、回帰テストの統合、安定度監視の統合、TestFlightおよびPlay Storeベータ・トラック・テスティングの統合、コード中のバージョン番号の自動更新など高頻度リリースのための追加機能、役割、承認、アクセス管理リストのサポートなど様々な拡張を実施した。同社はSOC 2認証も取得した。

今なお取り組んでいる分野が、新規顧客の導入プロセスの簡素化だ。Runwayは幅広いプラットフォームとして作られているため、顧客が数多くのアプリやサービスをRunwayに接続する初期設定プロセスには時間がかかる。それでもRunwayは、多くのチームの異なるツールやプロセスに適応する同システム能力は、最終的にセールスポイントになるものであり、導入の障壁にはならないと信じている。

正式公開にあたり、Runwayは1アプリ当たり月額400ドル(約4万5900円)の標準プランを継続するほか、トップ企業の導入を見据えて大企業向けのカスタム・エンタープライズ価格を追加した。将来はインディーチーム向け新プライシングの追加も考えているという。

Runwayは新たな資金を、複数のフルスタックエンジニア(特に元モバイル・エンジニア)、成長とマーケティングを担当するフルタイム社員1名を含む新規雇用に充てると語った。同社はすでに、元シニアモバイルエンジニアを初のフルタイム社員として採用している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)