マーク・ザッカーバーグ氏、InstagramにNFTを近々導入すると発言

Meta(メタ)は、メタバースの中で暗号資産をマイニングして欲しいと思っている。

SXSWで行われた対談で、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、Instagram(インスタグラム)にNFT(非代替性トークン)を「近いうちに」導入する予定であることを明らかにした。MetaのCEOで創業者のザッカーバーグ氏は詳細について多くを語らなかったが、Instagramのチームが技術的な課題を解決すれば、アプリにNFTを統合することが可能になると示唆した。

ザッカーバーグ氏はShark Tank(シャーク・タンク)のDaymond John(デイモンド・ジョン)氏との対談で「近いうちにNFTをInstagramに導入することに取り組んでいます」と述べた。「今日ここでは、正確な発表はできませんが、今後数カ月の間に、お手持ちのNFTを取り込めるようにして、できれば環境の中でNFTの鋳造(ミント)もできるようにしたいと思っています」。

2021年12月には、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モッセリ)氏が、より多くの人々にこの技術を提供することを目標に、NFTを「積極的に探求」していることを認めていた。モッセリ氏はInstagramのストーリーで「私たちが遊べるおもしろい場所だと思うし、できればクリエイターを助けたいのです」と語っている。

計画はすでに始まっていた。2021年の夏、Instagramは「Creator Week」(クリエイターウィーク)という招待制のバーチャルサミットを開催したが、その招待状にはイベントが「NFTクリエイターのためのプライベートイベント」だと書かれていたのだ。

InstagramのNFTへの関心は、親会社であるMetaの、デジタル商品で満たされ利益を生み出す、相互接続された仮想世界の大きなビジョンと一致している。ザッカーバーグ氏は「Metaverse(メタバース)でアバターが着ている服がNFTとしてマイニングされ、異なる場所へ持ち運べるようになればいいと思います」と語った。

今回のNFTの計画は、Metaの計画を追ってきた人たちにとっては、それほど大きな変化ではないが、この技術を嫌うクリエイターにとっては、この統合は大いなる悩みのタネになるだろう。

Twitterは2022年初めに、プレミアムユーザーがNFTプロフィール写真を使えるようにした。この統合はMetaが今回示唆したものよりも簡単なものだ。しかしJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の暗号資産宣伝と、Twitter上での既存NFTコミュニティの間では、そのNFT機能はInstagramのものよりも親しみを持たれているだろう。

また、Metaがこれまで提供した暗号世界での実績は、控えめ目に言っても不完全だ。中央銀行や規制当局の逆風にさらされた同社は、独自の暗号資産に関する壮大な計画を縮小し、業界を揺るがすイノベーションという当初の宣言とは似ても似つかぬものにした。

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画像クレジット:Alexander Koerner/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

今夏、いよいよアウディのセダンとSUVにHolorideのVR技術が搭載

この夏、Audi(アウディ)のセダンとSUVを皮切りに、バーチャルリアリティが量産車に導入されようとしている。

Holoride(ホロライド)は米国時間3月12日、オースティンで開催されたテック・音楽・映画のカンファレンス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」で、同社のヘッドセットを使ったバーチャルリアリティエンターテインメントシステムが、最新のMIB 3ソフトウェアを搭載したAudiの一部モデルで6月にデビューすると発表した。この発表は、数年前にAudiから独立した同社にとって画期的だ。消費者の注目を集める新しい方法を見つけようと、自動車メーカーの関心が高まっていることを示すものでもある。

Holorideは、後部座席に乗る人の物理的な世界を拡張現実と結びつけ、クルマの動きと連動した乗車体験を実現するシステムだ。このシステムはブランドに依存しないため、他の自動車メーカーもサポートすることができる。

Holorideは、スウェーデンのADASソフトウェア開発企業であるTerranet(テラネット)と提携した。提携により、VRシステムのセンサーとソフトウェアスタックの力で、環境を迅速かつ正確に捉え、解釈することが可能になった。TerranetのVoxelFlowシステムが、クルマから受け取ったデータポイントに基づきVRの動きを計算する。

車載用バーチャルリアリティコンテンツを構築するためのソフトウェアもオープンソース化されており、開発者がコンテンツを作成し、いずれはマネタイズできるようになっている。

今のところ、VRシステムの利用に必要な追加費用はヘッドセットだけだが、自動車メーカーや開発者がサブスクリプションサービスを販売したり、特定の機能に課金することで、クルマの所有者から収益を上げる可能性は無限にある。Allied Market Research(アライドマーケットリサーチ)のレポートによると、世界の自動車用AR・VR市場は2025年までに6億7400万ドル(約789億円)に達すると予測されている。

VRエンターテインメントを量産車に導入することは、ドライバーレスカーが登場した後にクルマの中で利用されるようなコンテンツを開発する最初のステップでもある。ミュンヘンに拠点を置くVR企業のHolorideと、同社の一部を所有するAudiは、自動運転車の技術スタックに早くから着手し、短期的には、人間が運転するクルマからより多くの収益を得たいと考えている。

ドライバーレスカーが普及すれば、誰もが乗るだけになるため、車内コンテンツとエンターテインメントの将来の市場機会は膨大だとHolorideは主張する。

また、一番乗りすることでHolorideが「Elastic Content」と呼ぶ新しいメディアカテゴリーを確立する機会にもなる。ヘッドセットを装着して空飛ぶ円盤や潜水艦を操作している間にも、VRシステムはクルマの動きに適応し、その人のVR体験はクルマの加速、旋回、停止といった動きを取り入れる。

HolorideとAudiによれば、その可能性は無限大だ。クルマに乗っている人は、仮想世界でElrondのブロックチェーンがサポートするNFTを購入・収集できるようになる。位置情報ゲームは、ポケモンGOのように、仮想世界を物理世界の場所やイベントと結びつけることができるだろう。

もちろん、VRでは乗り物酔いが気になるところだ。Holorideは、クルマの動きと同期させることで症状を軽減させるという。

2021年1200万ドル(約14億円)を3000万ドル(約35億円)の評価額で調達したミュンヘンの同社は、2019年のCESでVRシステムのプロトタイプをデビューさせ、ラスベガスモータースピードウェイで記者らをドライブに連れ出した。カラフルな仮想現実の世界は、Disney(ディズニー)などのパートナーとともに作られた。めまいを感じた記者もいれば、いい感じだという記者もいた。

画像クレジット:Holoride

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

毎年40万人が参加するテック・音楽イベントSXSWが新型コロナの影響で中止

SXSWは、3月13日から22日にかけて米国テキサス州オースティンで開催される予定だったテックと音楽の祭典を新型コロナウイルス懸念のため中止すると正式に発表した。ただ、日程を変更しての開催を模索している。「先立って緊急事態を宣言したが、公衆衛生当局そして我々の衛生担当責任者の勧めに従ってSXSWを中止する命令を発出した」とオースティン市長Steve Adler(スティーブ・アドラー)氏は3月6日の記者会見で述べた。

SXSWは「市長の命令に従い、カンファレンスをキャンセルする」と説明している。「我々はイベントの日程変更を模索しており、SXSW EDUで始まる2020年のイベント参加者になるだけ早くバーチャルSXSWをオンラインで提供できるように努めている。登録済みの人、クライアント、参加者に可能な限り早く連絡を取り、FAQを公開する」。出席者やスポンサーが払い戻しを受けられるのかどうかは不明だ。

オースティン暫定保健局(Interim health authority)のMark Escott (マーク・エスコット)氏は、トラヴィス郡で新型コロナウイルス(COVID-19)感染のケースは確認されていないが、今回の中止は「嵐に見舞われるのに備えた、先を見越した措置」と話した。「SXSWに参加する人々はパネルやコンサートで互いに近い位置で長時間を過ごし、また登録している出席者は新型コロナウイルスにさらされている国内外から参加するため、SXSWの中止は正しい動きだ」エスコット氏は説明した。

SXSWでTexas Tribuneエディターのエヴァン・スミス氏と話すバラク・オバマ米大統領(2016年3月11日 / AFP / MANDEL NGAN)

今回のニュースの3日前には、アドラー氏が「現時点でSXSWの中止が安全確保につながるか、証拠はない」と発表するために記者会見を開いた。3月3日の時点でトラヴィス郡は新型コロナウイルス感染のケースはゼロだとしていた。

SXSWはテック、音楽、そしてテキサスの天候とビール、バーベキューを楽しみながら知り合いを増やすメディア業界が集まる場所として知られる。10年前は新しいソーシャルアプリを立ち上げるのにホットな場所だった。過去数年間はオタクっぽくも主流でもなくなり、SXSWは資金潤沢な企業が“クール”であることを示す場になっていた。

今年のカンファレンス中止を求める請願は5万4000人もの署名を集めた。起業家インフルエンサーのTim Ferris(ティム・フェリス)氏はアドラー氏にイベントの中止を求めた。SXSWは展示ブース購入者や出席者への払い戻しを拒んでいた。カンファレンスにフルにアクセスできるプラチナバッジは1550ドル(約16万円)する。

2019年のSXSWのステージで語る筆者と、インスタグラムの共同創業者Kevin Systrom氏、Mike Krieger氏(2019年3月11日、写真:Chris Saucedo/Getty Images for SXSW)

中止決定に先立ち、著名なスポンサーやスピーカー、パーティーオーガナイザーの多くが不参加を決め、カンファレンスは難しい状況に置かれていた。NetflixやApple、Amazon、Twitter、Facebook、LinkedIn、Google、Vevo、TikTok、Warner/HBO、そしてCNNなどはすべてイベントや製品発表、映画試写会、従業員による登壇をキャンセルしていた。

Google I/O、Facebook F8、GDC、Collisionトロント、MWC(モバイル・ワールド・コングレス)など、ほかの主要なテックカンファレンスの多くもすでに開催を中止したか、オンラインに移行した。マイアミのウルトラ・ミュージック・フェスティバル、そしてベルギーのトゥモローランドもキャンセルされた。Limeの会長、Joe Kraus(ジョー・クラウス)氏と筆者はSXSWでトークイオベントに出席する予定だったが、それもキャンセルとなった。

オースティンが受ける影響はかなり大きなものになりそうだ。SXSWは広大な敷地で開催される伝統的なフェスティバルではない。市内の何百もの場所でパネルやパーティー、コンサートなどが同時に開催される。特にミュージシャンにとっては日程調整による旅費はかなり高額で、またツアーのスケジュールはタイトだ。今回のキャンセルは収益面での負荷が大きく、日程再調整は難しい。何十万もの出席者の恩恵を受ける市内のバー、レストラン、小売店も売上に大きな打撃を受けることになりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi

売上と共に増大するテクノロジー企業の社会的責任

主要プラットフォームが成長を続けるなか、FacebookやApple、Google、Amazonをはじめとする大手企業は人類全体にまで影響を及ぼすようになった。そしてその影響はポジティブなこともあれば、そうとは言えないときもある。

そのため大手のプラットフォーマーは、ユーザーの行動を把握するだけでなく、どんな場合にユーザー(もしくはプラットフォーマー自身)が不正をはたらいたり、悪意を持ってサービスを操作したりするか、ということを理解しなければならない。同様に、AIのような個別のテクノロジーやそのほかの先進的な技術、そしてそれらの影響についても各企業が責任を負わなければならないのだ。

これこそが、テキサス州オースティンで先週行われたSouth by Southwest(SXSW)に共通するテーマだった。

勢いを増すAI議論

先述の通り、各プラットフォームがこの問題に深く関わっている一方で、テック界のアイコン的存在であるイーロン・マスクは、SXSWのQ&Aセッションのなかで、AIの暴走に対して不安の声を挙げた。彼は、狭義の意味での(そしてあまり賢くない)AIの時代が近いうちに終りを迎え、もっと汎用性の高いAIの時代が訪れると考えているのだ。特にマスクは、強力なAIが発展をとげるうちに、いずれ人間と同じような能力を持った機械が誕生することを懸念している。なお、既に弊誌のJon Shieverが指摘している通り、もちろんマスク自身は自らが構築してきた企業群を、来るべき終末の時への対策として考えているようだ。

SXSWに登壇したイーロン・マスクとJonathan Nolan(Photo: Getty Images/Chris Saucedo)

「狭義の意味でのAIは種の存続を脅かすレベルのものではなく、その影響はスキルの転移や職業の喪失、兵力の増強といった程度――つまり人間の存在を揺るがすような根本的な影響力は狭義のAIにはない。しかしデジタル・スーパー・インテリジェンスについてはそうは言えない」とオーディエンスに向かって語ったマスク。

さらに彼は、人類への影響という点において、未来のAIは核兵器をも上回るかもしれないと述べた。

テック企業の責任

あなたがマスクの意見に賛同するにしろしないにしろ、はたまた彼が自分のビジネスを推進するために虫のいいことを言っていると考えているにしろ、マスクはテクノロジー界のスタートアップ、そして大手起業が共に考えなければならない責任について触れていると言えるのではないだろうか。

少なくとも、CNNのDylan ByersとSXSWのステージに上がったAppleのEddy Cueはそう考えているようだ。彼はインタビューのなかで「テクノロジーは人類の可能性を広げる素晴らしいものだが、それ自体が善というわけではない。つまりテクノロジーを生み出す人たちがその方向性を決めるのだ」と語った。

確かにTwitterの共同創業者たちは、10年以上前に同サービスを作ったときに、そのうちボットが誕生して選挙に影響を与えることになるとは思ってもいなかっただろう。しかし時間の経過とともに、Twitterだけでなく主要プラットフォームすべてに関し、ユーザーはさまざまな動機を持ってサービスを利用しているということが明らかになった。そして各プラットフォーマーは、一部のユーザーが他の人たちを操作するためにサービスを使っていることがわかった時点で、何かしらの対策をとらなくならなければいけなくなったのだ。

SXSWの壇上で話すAppleのEddy Cue(Photo: Ron Miller)

ByersがApple以外の企業について何度も質問したにもかかわらず、CueはFacebookやGoogleといった企業の内情については知らないため、彼自身はAppleについてしか話すことができないとその質問をかわした(Cueは具体的な競合の名前さえ挙げなかった)。「Appleはあなた(Byers)が挙げたような企業とは違う。私たちは顧客のプライバシーを最重要事項として考えている」(Cue)。また彼は、Appleは広告企業ではないため、収集するデータの量もプラットフォーマーより少なく、「ユーザーの購買行動には興味がない」とさえ語った。

「フェイクニュース」対策としてのAI活用の課題に関するパネルディスカッション中には、Facebookのグローバル・ポリシー・ディベロップメント・チームのAndy O’Connellが、不正な操作が行われているとわかったときに、Facebookは何らかのアクションをとる責務を負っていると述べた。さらに、「フェイクニュースは社会全体の問題である一方で、私たちはテクノロジーの力を使って(その影響を抑える)対策を練っているほか、投資によって改善できる部分もある」と語ったO’Connel。彼によれば、Facebookの共同創業者・CEOマーク・ザッカーバーグは、プラットフォームの安全性を高める上でフェイクニュースの拡散が課題になっており、Facebookに流れ込む虚偽もしくは誤解を招くようなニュースの数を減らしていかなければならないと考えているようだ。

テクノロジーの限界

O’Connellの指摘通り、フェイクニュースはFacebookやテクノロジーの力だけでどうにかできるものではない。これは社会問題であり、社会全体が問題解決にあたらなければいけないのだ。もちろんテクノロジーがその助けになることもあるが、すべての問題についてテクノロジー頼みというわけにもいかない。ここで難しいのは、あるテクノロジーが誕生した時点では、それがどのような行動をとるかや、人がどのようにそのテクノロジーを使うかといったことを予測できないということだ。

(Photo: Ron Miller)

結局のところ、この記事で触れたような問題(なかには問題になるとさえ思われなかったものさえある)の解決は一筋縄ではいかない。どんなに善意を持って問題の解決にあたったとしても、すべてのアクションやその反応によって、さらに予想だにしない結果が生まれる可能性さえある。

しかし、あるテクノロジーがもたらす膨大な経済的利益や社会への影響に見合った責任を受け入れられるかどうかは、そのテクノロジーを生み出した企業にかかっている。この点についてCueは、「全員に(あるところで境界線をひく)責任がある。これこそAppleが行っていることであり、私たちがAppleという企業を運営する上で大切にしていることだ。今日の世界では誰もが責任を負わなければならず、私たちもそうしようとしている」と語った。

そうはいっても言うは易し行うは難し。暴走を止めるには十分な思慮や緻密さ、対応力が必要であり、ひとつひとつの決断がもたらす影響についても吟味しなければならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

SXSWにイーロン・マスクがサプライズ登場――宇宙旅行のビジョンを語る

TeslaとSpaceXの共同ファウンダー、イーロン・マスクは、HBOのSFスリラー、Westworld,(ウエストワールド)をテーマとしたSWSXのパネルディスカッションに突如現れて喝采を浴びた。 テレビ・ドラマのシリーズの共同製作者、ジョナサン・ノーランの紹介でステージに登場したマスクに聴衆は「イーロン、アイラブユー!」と叫んだ。

ステージでマスクは宇宙旅行の素晴らしさについて語った。 Teslaを宇宙に送れたことについて「こういう時代に生まれたことに幸運を感じる」と述べた。マスクはまず現代の社会で不幸な出来事が無数に起きていることを認めた。

「世界中で恐ろしいことが毎日起きている。解決しなければならない問題が数多くある。意気阻喪させられるような悲劇だらけだ」とマスクは言う。

「しかし悲惨な問題をひとつずつ解決していくことだけが人生ではない。人生には自分を奮い立たせるような目標が必要だ。毎朝目を覚ましたときに人類の一員であることに喜びを感じられるような目標だ。これがわれわれが目標としていることだ」

マスクはSpaceXが最近、Falcon Heavyの発射に成功したことについて触れた。Falcon 9にブースターをさらに2基追加した大型ロケットはダミーのペイロードとしてマスクの愛車のチェリーレッドのTeslaとSpaceXが開発した宇宙服を来たマネキンを搭載していた。

またマスクはロシアの科学者で宇宙旅行の父と呼ばれるコンスタンチィン・ツィオルコフスキーに深い感謝を表明した。ツィオルコフスキーは「地球は人類のゆりかごだ。しかし人類はずっとゆりかごに留まってはいないだろう」述べたことでも知られる。

マスクは「人類は宇宙に向けて飛び立ち、そうすることによって認識の枠組も変えていかねばならない」というツィオルコフスキーのビジョンを知って興奮したことを述べた。

「うまく表現できないくらい興奮した。生きていてよかったと思った。皆さんも同様であってほしい」

ジョナサン・ノーランとウエストワールド・シリーズの共同製作者、リサ・ジョイは以前、Falcon Heavyの打ち上げを紹介する短いビデオを製作したことがある。このビデオはマスクのInstagramからアクセスできる。

Instagram Photo

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画像;Photo by Amy E. Price/Getty Images for SXSW/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オースチンの町はUberとLyftなしでやっていけ・・・なかった

約1年前にUberとLyftがいなくなったオースチンで数日間過ごしたあと、私はこの街が相乗りの両巨人なしでも問題なくやっていることについて記事を書こうとアイデアを練り始めた。

昨年5月にUberとLyftが去って以来、様々な代役が登場した。例えばRide AustinFastenFareなどは事実上Uber、Lyftと同じ体験を提供している。地図で場所を指定すれば車がやってくる。どの会社もオースチンの身元調査法を遵守しており、中にはドライバーや乗客から徴収する金額の低い会社もある。

UberとLyftがオースチンの指紋採取に基づく身元調査の要求を、頑なに拒否してきたのは間違いだったのではないかと私は思い始めた。実際、米国の一主要都市が、こうして両社がいなくても困らないことを示しているではないか。

それも困るまでのことだった。

SXSW最大の夜ともいえる昨夜は雨だった。そして誰もが車に乗りたかった。ちょうどその時、アプリは次々とダウンした。多すぎる要求に耐えられずRide AustinとFastenは事実上文鎮化した。読み込み中画面のままになるか利用できる車はないとしか言わなかった。実際には車は走っていた。

乗客は足止めを喰らい、ドライバーは客と結びつく術もなく街を走り回った。

私は何人かの(タクシー以外の)ドライバーが現金か[デジタルキャッシュの]Venmoを受け取って客を乗せているという話を聞いた。それは、UberとLyftがいなくなった直後、規制に沿ったライバルたちが取って代わるまでの間を彷彿とさせる光景だった。当時はメンバー3万人のFacebookグループで、ドライバーが現金と引き換えに乗客を誘っていた。

Ride AustinはFacebookの投稿に、午後7:15から深夜まで断続的にダウンを繰り返し、「データベースに発見されていなかった問題があり、スケールテストの際に発覚しなかった」ことが理由だと書いた。またFastenもオースチンの地元紙に、雨とSXSWが重なったためアプリに「通常の12倍のアクセスがあった」ことがクラッシュにつながったと伝えた。

会社はSXSWを犯人扱いしているが、ドライバーによれば、大晦日やAustin City Limitsのイベントなど需要の高い夜にはしょっちゅうアプリがオフラインになっているという。

UberとLyftの二社寡占に不満を言う人々はいるが、両社が技術的問題によって乗車できなくなることのない安定したプラットフォームを提供していることは認めざるを得ないだろう。

今日は何事もなく過ぎているようだが、UberとLyftがいなくても都市は問題なく機能する、ということを証明する機会をオースチンが逃したことは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2016 SXSW日本勢の展示から──AR風のスマートグラス、IoTシャツ、スマート浄水器、うつ病支援などが競う

2016年3月中旬に米オースティンで開催された2016 SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)のトレードショーの会場で目にした日本からの出展は、「AR(拡張現実)風」のスマートグラス、モーションキャプチャ機能付きシャツ、水をリサイクルしてキャンプ先でシャワーが使い放題にするスマート浄水器、うつ病患者支援アプリ、それにスマートフォン再利用の概念を広めるプロジェクトなど、実にカオスな光景だった。SXSWはデジタル系の商業イベントというだけでなく、メディアアートやエンタテインメント系イベントとしての性格も強い。そんな独特の風土の中でどんな展示が頑張っていたのかを報告していく。

Telepathy Walkerは「ある意味シースルー」なAR的用途を狙う

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Telepathy Walkerの実機。視線上にマーカーがあるAR風の操作感を狙うスマートグラスだ。価格は「299ドルから」。

テレパシージャパンが展示したのは同社のスマートグラス「Telepathy Walker」だ。2016年1月のCESで発表したもの。この3月より、Kickstarterおよび日本のクラウドファンディングサイトkibidango(きびだんご)で、開発者向けバージョンは特別価格299ドルからの値付けで予約を受け付けている。この価格から分かるようにB2C向けの展開も考えている。特に開発者向けバージョンを低価格に供給することで、知見の蓄積を図る。

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Telepathy Walkerの画面例。視線にマーカーが重なる感覚でナビゲーションしてくれる。

実際に装着してみた。非透過型ディスプレイを搭載するスマートグラスなのだが「ある意味でシースルーAR」的な感覚を提供する製品だった。片眼の視線上にディスプレイの画像が見える。カメラで撮ったライブ映像にコンピュータによる表示をオーバレイ表示した、いわゆるAR風の映像だ。視野角はあまり大きくないが、モニタ以外の部分は肉眼で普通に見える。スマートグラス筐体にも、視線をなるべく妨げず素通しにするように穴が開けてある。体感上は、視線上にマーカーが見え、なおかつ広い周辺視界を確保した形となる。このような作りは、Telepathy創業者の井口尊仁氏が目指していた路線の現実解なのかもしれない。なお、OSとしてAndroidを搭載する。

Xenomaのe-skinはモーションキャプチャ用のシャツ

Todai to Texas」は東京大学発スタートアップのSXSW出展を支援する取り組みだ。日本で開催したコンテストを勝ち抜いた8組が出展。必ずしも東大発スタートアップに限らず、東大卒業生や在学生を含むチームによるプロトタイプ作品も含まれている。力作もあれば、意表を突く展示もある。

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モーションキャプチャの機能を備えるシャツ、e-skin。洗濯も可能。

事業化に最も近い位置にいたのはXenomaのe-skinだ。センサーや回路を縫い込んだモーションキャプチャ用のシャツだ。洗濯しても大丈夫な強度を持ち、価格も日常的に着る衣類の価格の水準に収まる。このプロモーションビデオを見ると概要が分かる。

スタジオを整えマーカーを人体の要所に装着、カメラを使ってモーションキャプチャを実施するのに比べると、e-skinを使えば圧倒的に手軽かつ低価格に人体の動きの情報を取得できる。お察しの通り「VRゲームに使えないか」との問い合わせが寄せられているとのこと。またライフログ(例えばお年寄りや子供の監視など)や、スポーツへの応用も考えている。

AIMEDICALのうつ病患者支援アプリには精神科医とAI研究者が取り組む

AIMEDICALの展示にはちょっと心が動いた。内容は「回復期のうつ病患者を支援するスマートフォンアプリ」だ。東京大学出身の精神科医である青木藍氏(ブースではキモノ姿で説明してくれた)とAI研究者のチームが開発した。事業家、会社設立へ向けて準備中とのことだ。

想定ユーザーは、例えば病院から退院して治療を続けながら社会復帰を目指しているような人だ。このような人は「再発したくない」という強い動機があり、また医療行為の枠組みの中でアプリを使ってもらいやすい。事業モデルとしては、医療の現場にいる精神科医や心理士と組むこと、また患者の社会復帰をケアする取り組みを進める団体などと協力することを目指している。

アプリの概要は次のようになる。スマートフォンが取得するライフログにより、ユーザーが活動している時間帯が分かる。それに加えて本人の気分の上がり下がりもアプリ上で手軽に入力できるようにした。これらのデータを突き合わせ、例えば「回復期にしては活動量が多すぎる」や「生活リズムが不規則になっている」「気分の上がり下がりのバランスが正常値を逸脱している」といった良くない兆候を早期に検出できる。今後数カ月でアプリの正式版をリリースする見込みだ。

HOTARUはスマート浄水器によるキャンプ用シャワーを展示

キャンプで使えるシャワーを展示したのがHOTARUだ。センサーとソフトウェアで制御するスマート浄水器を使い水をリサイクルすることで、わずか20Lの水で一家族が2週間シャワーを使えるようになる。クルマがあれば手軽にキャンプに持って行けて、キャンプ先でシャワー使い放題というわけだ。搭載するスマート浄水器については、家庭向け給水など、より大きな需要がある展開も考えている。

Ubisnapは電磁気学を駆使した5軸モーションキャプチャユニット

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モーションキャプチャユニットUbisnap。手巻きのコイル群が手の動きを検出するセンサーだ。

Ubisnapは、手の動きのモーションキャプチャをするユニットだ。写真で想像が付くかもしれないが、複数のコイルを活用して手の動き、向きを検出する仕組みだ。東京大学工学部3年の学生が手巻きコイルと「2年で習ったばかりの」電磁気学の知識、それにプリント基板の切削によるラピッドプロトタイピングで作成した電子回路を組み合わせて作った。事業化を狙ったものというよりはプロトタイプ作品の色彩が強いが、なかなかの人気を集めていた。

手の動きのモーションキャプチャの分野ではカメラを使うLeap Motionが有名だ。本格的な手の動きの検出にはデータグローブというデバイスがある。それらに対する優位性を聞いてみた。「画像センサで手の動きを解析するには『手のモデル』が必要なので、例えば『ペンを持った手の動き』などの応用のたびにモデルを拡張しないといけないが、Ubisnapはモデル構築の手間がなくキャプチャできる。またデータグローブは高価だが、こちらは安価」とのことだ。

OTOPOTは「声を水に換えて貯める」デバイス

DSC04310OTOPOTの外見は「フタ付きの茶碗」のように見える。フタを開けると録音モードになり、伝言を吹き込める。録音された伝言がある場合、OTOPOTを振ると水音がするので、そうと分かる。フタをもう一回開けると、伝言が再生される。伝言を消すには、フタを開けてOTOPOTを横にすればいい。水が流れ出るように、伝言も流れ出る。

大学の授業でデザインの課題で作ったものを機能を搭載させて発展させたとのこと。東大生が混じったチームによりTodai to Texasのコンテストに出場し、SXSW出展を勝ち取った。事業化については「SXSWでの反響を見てから」考えるそうだ。

Smile Explorerは赤ちゃんの笑顔を撮るベビーカー

Smile Explorerはカメラ付きのベビーカーで、載せている赤ちゃんが笑顔になったときに写真を撮ってくれる。それだけでなく、スマートフォンアプリにより、「どの場所を散歩していたときに笑顔になったか」を教えてくれる。親と赤ちゃんとのコミュニケーション向上に使って欲しい、という狙いがあるそうだ。電通の有志によるチームの参加とのこと。

BUBBLYは、フィジカル&オンライン両面の投げ銭デバイス

DSC04359sBUBBLYは、ストリートミュージシャンを応援する投げ銭用デバイスだ。物理的なコインを投入すると、シャボン玉が吹き出て場を盛り上げてくれる。ストリーミングで視聴しているオーディエンスがオンラインで投げ銭することでシャボン玉を出す応用も考えている。デモブースでは、ときおりミュージシャンが演奏し、それをシャボン玉が応援する。音楽イベントが発展して大きくなったSXSWの会場には、とてもよく似合った展示だったと思う。

このデバイス自体は、ラピッドプロトタイピングを応用した成果物だ。投げ銭の検出は、この種の応用でよく使われる超音波による距離センサを使う。シャボン玉を吹き出すメカの中心的な部品は3Dプリンタを使って成形した。「製品を売り出したい」との気持ちを持っているそうだ。

スマートフォン再利用を広める運動、phonvert

DSC04316phonvertは、ある意味で最大の変化球だった。最初は中古スマートフォンをIoTデバイスとして再利用するためのソリューション──だと想像していたが、そうではないのだという。スマートフォン(Phone)を別の目的に利用する(Convert)という意味の造語「phonvert」とその概念を広めることが、今回の展示の目的だったのだ。

中古のスマートフォンは立派なIoTデバイスだ。十分に高性能なCPUとメモリ、Wi-Fi、Bluetooth、加速度センサ、GPS、カメラ、USBなどの機能が使える。中古スマートフォンをうまく使えば、例えば「子供の場所をトラッキングして報告してくれるデバイス」などの応用がいくらでも思いつく。ただし、このような応用を一種類思いついただけでは、あるいは応用のためのミドルウェアなりソリューションなりを作ってそれが成功しただけでは「僕らの一つのアイデアやプロダクトが事業化できて、それで終わりだ」と出展者は説明する。世の中に与えるインパクトとしては、「phonvert」の造語が広まり、大勢の人々がスマートフォン再利用について考えることの方が、より大ききなインパクトがあると考えた訳だ。ちなみに出展者は「事業化は全然考えていません。純粋な学生団体です」とのことだ。

phonvertの出展内容は、積み上げられた中古スマートフォンの山と、そしてスマートフォン再利用のアイデアを大勢の人々に手書きで書いてもらった「紙」を貼り付けたものだ。張り出された多くのアイデアは、phonvertの概念に心を動かされた人がそれだけいることの証拠だ。振り返ると、これはこれでSXSWという場の力をうまく取り入れた展示だったような気がする。

ここまで8件が「Todai to Texas」の展示である。

富士通はIoTシューズ、電通はダンスを楽譜のように扱うソフト

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富士通のInteractive Shoes Hub。インソールの内側に複数のセンサーが組み込まれている。

以下は、日本企業からの出展などを紹介していく。富士通が出展したのは「Interactive Shoes Hub」だ。靴のインソールにセンサー類が組み込
まれていて「IoTシューズ」を実現できる。センサーの種類は圧力、ジャイロ、加速度、温度、湿度で、Bluetoothによりスマートフォンと連携でき、バッテリーはUSB充電でき40時間動き続ける。耐久性にも自信があるそうだ。このテクノロジー自体は以前から各種イベントに出展しているが、今回は従来よりも薄くした。

万歩計のような活動量計との違いは、足の上げ方、下ろし方のような細かな情報も取得できること。歩いているのか、走っているのか、足取りは疲れているか、元気そうか、そうしたディティールまで分かる。この技術をどう使うかは、あえて特定しない形で出展しているそうだ。インソールの量産やサービスの提供など幅広い分野で、このテクノロジーを事業化するパートナーを募集中とのこと。

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電通のMOTION SCOREのデモ。DJが操るBPMに合わせ、CGの人体がダンスを踊る。DJ機材を操作しているのはテクニカルディレクターの“元”ひがやすを氏。

電通が出展した「Motion Score」は、演奏中の音楽のビートに合わせてCGの人体が踊るソフトウェアテクノロジーだ。「楽譜のように」1拍ごとの人体の動きを記録し、拍の間はリアルタイムに補完することで情報量を圧縮でき、また演奏中の音楽のビートに合わせてCGを踊らせることができる。今回のSXSWで開催されたピッチコンテストReleaseIt at SXSWのファイナリストに選ばれた。この技術は、公開中のスマートフォンアプリ「ODDLetter」にも組み込まれている。コンサートの演出に使うなどB2B系の展開を考えている。

ネクストが出展した「GRID VRICK」は、注文住宅の間取りや家具の配置をLEGOブロックで指示し、部屋のレイアウトをCG/VRで確認できるというもの。壁をどこに置くか、ソファやテレビなどの配置、それに日照シミュレーションなどが可能だ。このテクノロジーは過去複数の展示会で出展しているが、この2016年4月より不動産業界向けに発売するとのこと。

博報堂グループのSIXが展示し、通る人の多くが覗き込んでいった展示がLyric Speaker。歌詞を表示してくれるスピーカーだ。スタートアップのコンテスト2015 SXSW Acceleratorのファイナリストに選ばれている。

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歌詞を表示するスピーカー、Lyric Speaker。

 

最後に「番外編」としてトレードショーなどが開催されている主会場からやや離れた一軒の店を借り切って開催した展示「Japan House」での一コマ。大阪大学/ATRの石黒浩教授と、石黒教授そっくりに作られたアンドロイド「ジェミノイド」が並んで座っている様子だ。この光景、SXSWというイベントの場では妙に馴染んで見えてきたのが不思議だった。

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石黒浩教授とジェミノイド。

 

 

SXSWにおけるGoogle Glassの紹介セッション全50分がYouTubeに登場, とくにデベロッパは必見

これを読んでる人のほとんどがSXSWを見るためにテキサス州オースチンまで行けなかった人だと思うが、しかもその中で、Googleのあの意欲的なGlassプロジェクトをちょっとでも体験した人となると、すごく少ないだろう。過去数週間、あちこちでGlassのおもしろそうな話を読んで悶(もだ)えていた人も、しかしご安心を。GoogleがSXSWにおけるGlassのセッション全篇50分を、YouTubeにポストしたのだ。

そのプレゼンは”Building New Experiences with Glass”(Glassで新しい体験を作る)と題され、GoogleのSenior Developer Advocate、Timothy JordanがGoogle Glassの説明紹介役を務めた。こんな実物実演は前にもあったが、Jordanは側面にあるトラックパッドをいじったり、Google+のお友だちからのアップデートをチェックしたりしながら、Glassのインタフェイスを分かりやすく説明した。

しかもJordanのセッションは、現場のデベロッパたち向けに、このヘッドマウントデバイスのためのサービスはどうやって作るのか、それをちらっと見せてくれた。彼は、実際の開発過程は簡単である(“複雑でない”)と何度も言ったが、デベロッパたちにGlass向けの開発がいかなるものかを実感させるには十分なプレゼンだった。しかし、Glassがエンドユーザに何をもたらすかについては、Jordanは強気だった。あるGoogle社員のように、今のタッチスクリーンは人類を無力化する、とまでは言わなかったが、彼は、これまでの対話の方式は、人間の現実生活と事象とを互いに疎外する、と言った。

“テクノロジが必要以上に人間の邪魔をしている”、と彼は指摘する。“Project Glassは、そんな状態を解決しようとする。人は、大好きなテクノロジにアクセスしつつ、今そのときの現実から遊離することもない”。

JordanとGoogleの彼の上司たちは、みんながGlassを愛していると思いこんでいるが、本当の陪審がやってくるのはまだ先だ。Googleは今年の終わりごろにGlassを一般消費者向けに大々的に発売するつもりだが、しかし並行して数千名のテスターたちによるモニタテストもやっている。Googleはこの未来的な製品のターゲットをとても慎重に見極めようとしているが、でも実際に発売されたら話はまったく違ってくるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


大企業役員の道を捨てスタートアップを起業した元SunのScott McNealyにインタビュー

テク業界で、飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパーカンパニーと言えば、往年のSun Microsystemsに勝るものはない。そのとき同社を率いていたのが協同ファウンダで当時のCEO Scott McNealyだ。だから今のMcNealyの姿は、見る人にとって一種のカルチャーショックかもしれない。彼は数年前に新しい会社、企業のソーシャル化を助けるWayinを起業して、石ころと砂ほこりだらけのスタートアップの世界に飛び込んだのだ。

今週本誌TechCrunchは、テキサス州オースチンで行われたSXSW(South By Southwest)でMcNealyをつかまえ、大企業からスタートアップへ移行した理由や、その過程で学んだことなどを聞いた。彼の話は、シリアスであると同時に、とてもユーモラスでもあった。

またScott McNealyは本来、歯に衣着せぬテク業界の毒舌論客としても有名なので、その方面の話もいろいろ聞けた。ソーシャルの世界と企業との橋渡し、教育の未来、オープンソースの重要性、テクファウンダたちの人類愛的役割、などなど。では、上のビデオをご覧いただこう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


(パソコン+ゲーム専用機)÷2=Xi3社のPiston, 予約受付を開始

Xi3が最近、ゲーム用パーソナルコンピュータPistonの予約受付を開始した。先週のSXSWの会場で、同社のCMO David Politisをつかまえて話を聞く機会があった。彼は、PistonはPCの良いところ+ゲーム専用機の良いところだ、と語った:

ゲーム専用機は小型でしかもゲーム環境が充実している。でもそれらはクローズドでアップデートできない。一方コンピュータは、いろんなソフトウェアがあるし、ベーシックなコンピューティングのほかに、Webサーフィンなどもできる。でも図体が大きいし電気も食う。それに、醜い。

Politisに言わせるとPistonは両者の中間だ。サイズとエレガンスではゲーム専用機、モジュール的でアップデート可能な点はPCだ。Xi3社は今、デベロッパたちにPiston専用のゲームを作らせているらしい。

Politisは発売日を明言しなかったが、今年のクリスマス商戦には、ということだった。予定価格は999ドル99セント、予約価格は899ドル99セントだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


地図・施設情報を集約するFoursquare、実現を目指すのは「忍びの地図」?!

Dennis Crowley | CrunchBase Profile未だにFoursquareを「チェックインしてバッジを獲得し、メイヤーを争うためのツールだと考えている人も多いかもしれない。あるいは友だちがどこにいるのかを探すツールだと思っている人もいるかもしれない。確かにそういう使い方もある。しかし地図情報に加えて人びとの訪問頻度等の膨大な情報を集積した今、Foursquareが提供しているのは、そうした範囲に留まらないものとなっている。

SXSWのステージで、Anil DashとFoursquareのCEOであるDennis Crowleyが対談を行なっていた。Foursquareがどのような進化を遂げてきたのかという内容だ。友だちのいる場所を発見するなどといった内容から、いまでは「世界を発見」するツールになってきているのだという話をしていた。

Crowley曰く、現在では公表されているよりもはるかに多くの企業がFoursquareの地図データを利用しており、APIを活用した開発を行なっているとのこと。Foursquareの場所データベースには5000万以上の情報が蓄積されており、しかも頻繁に更新されている。新しい施設がオープンすれば即座にFoursquare上にも反映され、逆に施設がクローズしてしまった場合にも速やかに当該情報が行き渡るようになっている。

Foursquareにおけるチェックインについて、CrowleyはGoogleのウェブクローラーに例えた話をしていた。「利用者のひとたちが興味を持つ場所、ないし興味をなくしてしまった場所についての情報が、絶え間なくFoursquareに集約されるのです」。

それでもデータの活性化という面で魅力的なのだが、最近では活性化の手段が、利用者からの情報以外にも広がっていることを強調している。つまりAPIを公開していることで、他のアプリケーションからも位置情報データが多数寄せられるようになっているのだ。たとえば位置情報付きでInstagramに投稿した場合、その情報はFoursquareにも寄せられることになるわけだ。

この面でいえば、FoursquareとAPI利用者の間には、ある種の共生関係が成立していると言えるかもしれない。Foursquareが最高の地図データを提供し、それを利用者に公開する。そして利用者からの見返りとしてAPIを利用するアプリケーションのユーザーが興味を持っている場所についてのデータがFoursquareに集まることになる。

こうした流れは、地図そのものを変えることに繋がる。Crowley曰く、地図はその登場のときからほとんど姿を変えずに利用され続けてきている。しかし膨大なデータを集約することで、利用者が興味を持ち、そして利用者にとってより重要な意味を持つ地図を示すことができるようになるとしている。

Foursquareが提供する「パーソナライズ」した地図とは、たとえばハリー・ポッターに出てくる「忍びの地図」のようなものだとCrowleyは言う。ハリー近くで、まさにハリーに関連する情報を提示してくれるわけだ。「データは十分に集まってきています。みなさんにとっての『忍びの地図』を実現することもできると考えています」とCrowleyは述べている。

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(翻訳:Maeda, H)

自転車乗り必携?!:Chaotic Moon、周囲360度を記録するビデオカメラ搭載自転車用ヘルメットを開発

SXSW Interactiveのような大規模テックイベントでの楽しみのひとつは、地元のアントレプレナーたちと直接に会って、どんな仕事をしているのか見せてもらえることだ。と、いうわけで、今回はChaotic Moonにおじゃました。オースチンでシステム開発およびアプリケーション開発を行なっている。

Chaotic Moonの仕事としてはルパート・マードックのThe Dailyを思い起こす人も多いだろうか。あるいは最近登場してきたMarvel Unlimitedに注目している人も多いかもしれない。このChaotic Moon、最近従業員のひとりが自転車に乗っているときにひき逃げにあってしまった。こうした事故を防ぐにはどういう仕組みが必要なのだろうかと、自転車乗りむけのプロダクトを開発した。

作り上げたのは7つのカメラを搭載する自転車用ヘルメット(プロトタイプ)だ。周囲360度をカバーし、急な動きや大きな音を検知するために加速度センサーおよびマイクも搭載している。このプロダクトは、何か緊急事態が発生した際の情報収集を行う自転車向けの「ブラックボックス」として機能する。しかしそれだけではなく、自転車の安全についての注目を集め、自転車業界に向けて、こうしたプロダクトが簡単かつ比較的安価に作成できることを示すのも目的としている。

「簡単」というのは、製作期間の話だ。Chaotic Moon LabのGMを務めるWhurleyによると、1週間ほどで本プロダクトを作り上げたのだそうだ。ちなみに「カメラを搭載するだけなら簡単だろう」と考える人もいるかもしれない。実は本プロダクト用にソフトウェアの開発も行なっている。すなわちすべてのカメラからの情報を一斉にダウンロードして同時に表示するというアプリケーションだ。動作の様子については、冒頭に掲載したビデオ映像を確認してみて欲しい。

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(翻訳:Maeda, H)