Visaがアーティストやミュージシャンを対象としたNFTプログラムを開始

クレジットカード大手のVisa(ビザ)は、小規模事業者をデジタル経済に取り込むため、NFT(非代替性トークン)クリエイタープログラムを開始した。

Visaの暗号資産(暗号資産)部門責任者、Cuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏はTechCrunchに「過去1年間、NFTのエコシステムが急速に成長しているのを目の当たりにしました。NFTが新しい形のeコマースを表していると考えています」と語った。

小規模事業者の頭の中は、従来の「家族経営の実在店舗」から、デジタルに特化した企業を立ち上げ、NFTのような新しいツールを活用したいクリエイターや起業家による他の独立したビジネスへと進化していると、シェフィールド氏は述べた。

1年間の集中プログラムであるVisa Creator Programは、アーティスト、ミュージシャン、ファッションデザイナー、映画制作者などのクリエイターを集め、NFTを使ったビジネスを構築できるようにする。

シェフィールド氏は、初回のプログラムではクリエイターの数に上限はなく、すべてのメンバーがVisaの顧客やメンターの幅広いネットワークにアクセスできるようになる、と述べた。

「大規模な業者やブランドは、どうすれば参加できるかを毎日尋ねています」と同氏は語った。「我々にとってNFTが非常にエキサイティングなのは、人々がビジネスを構築し、オンラインで販売するための参入障壁を低くしてくれると考えているからです」。

従来の物理的な商品の販売方法は多くの物流をともなうため、中小企業や個人が競争し、規模を拡大するのは難しかった。「NFTは、クリエイティブな人、アーティスト、才能のある人が、デジタルな方法で完全に商品を生産することを可能にします」とシェフィールド氏は話す。

元メジャーリーガーで、現在はAkuのアーティストであるMicah Johnson(マイカ・ジョンソン)氏は、この初回プログラムの参加者の1人だ。Visaは2021年10月にパートナーシップを発表したが、その時はジョンソン氏がプログラムに参加していることは明かしていなかった。

ジョンソン氏のAku NFTは、同氏が甥から「黒人の宇宙飛行士ってあり?」という質問を聞いて作ったキャラクターをベースにしている。

同氏の10部構成のコレクションは、スパゲッティとミートボールに覆われたヘルメットから、シンプルでスマートな白いヘルメットまで、さまざまな要素を身につけた黒人男性の宇宙飛行士のポージングで構成されている。Aku NFTのウェブサイトによると、価格は1790〜3万7000ドル(約22万〜450万円)だ。

ジョンソン氏は「NFTがアーティストを可能にすることを身をもって体験しました」とTechCrunchに語った。「私はこのアイデアと使命感を持って、文字通り自宅のガレージで絵を描いていましたが、それを世界的な企業に成長させることができたのです。NFTがなければ、今の私の立場はないでしょう」。

Visaは暗号資産コミュニティと無縁ではなく、過去12カ月間、暗号資産の擁護者だった。2021年8月に人気のCryptoPunkのNFTを購入したことで話題になったが、シェフィールド氏はこの購入が同社の唯一のNFTにはならないだろうと述べた

NFTの収集以外にも、Visaは暗号資産チームを増強し、2021年12月には顧客やパートナーがこの分野への深入りを検討できるよう、暗号資産アドバイザリー業務を開始した。

「(NFTは)商取引を再構築し、新たな機会を創出することができる基本的な原始ツールだと考えています。しかし、どのように進化していくのかについては、まだ多くの疑問があります。どのブロックチェーンを使えばいいのか。どのようにして目立つのか。どのような方法で顧客にアプローチするのか。そして、クリエイターが我々から学ぶことができると思うのと同じくらい、我々は彼らから学びたいのです」とシェフィールド氏は話した。

同氏によると、Visaは今後、これらの暗号資産技術にどっぷりと浸かって商取引の未来を追いかけたいと考えている。「我々はNFTに非常に興奮しています。NFTが多くの異なるネットワークにまたがって存在すると考えているので、すべての(NFT)マーケットプレイスがVisaカードを受け入れることができるようにしたいのです」。

次のステップはどうなるか。Visaは、オンラインで何かを購入するのと同じくらいNFT購入を簡単にしたいと考えている、と同氏はいう。

「現在のNFT購入体験はかなりハードルが高く、取引所に行って暗号資産を買い、それを別のウォレットに移すという複数のステップが必要です。新しい消費者がこの分野に参入するのは非常に難しいのです」と同氏は指摘する。

このプログラム以外にも、クレジットカード会社は、消費者にとってNFTをより購入・アクセスしやすくするための方法を検討している。消費者がこの分野に参入しやすくするためにVisaが取り組んでいる「数々の取り組み」があるが、シェフィールド氏は今後同社がNFTに特化した製品やサービスを発売する時期については明かさなかった。

「小規模事業と商業は、世界中の町や近隣のコミュニティを構築する上で本当に重要な役割を担っています。地元の理容店やパン屋には、親しみやすい顔があります。そして今、私たちが目にしているのは、クリエイターが商業とNFTを利用して、共通の信念や理想を持つ人々が集う、志の高いコミュニティを世界中に築きつつあるということです」。

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、Bitcoin(ビットコイン)を対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

今や220兆円を超える市場に成長した暗号資産ですが、2022年、業界全体を揺るがしかねない問題として注目されているのが、ステーブルコインに関する規制です。ステーブルコインに対して厳しい規制がかけられれば、最近ブームとなっているNFT(ノン・ファンジブル・トークン)やDeFi(分散型金融)にとっても逆風になるという見方もあります。

本稿では、クラーケンの本社がある米国におけるステーブルコイン規制の最新情勢と論点の整理を行います。

そもそもステーブルコインとは?

ステーブルコインは、暗号資産エコシステムにおける潤滑油的な存在です。ビットコイン(Bitcoin)のような資産性はありませんが、機関投資家が暗号資産取引を行うときに入れる担保であったり、NFTやDeFiといった新たなサービスにおける決済や担保手段として使われています。

代表的なステーブルコインは、米ドルと連動するUSDT(テザー)とUSDC(USDコイン)です。ブロックチェーンデータ企業CoinMetricsによりますと、ステーブルコイン市場は1400億ドル(約21兆円)。そのうちUSDTとUSDCは90%近いシェアを持っています。

NFTやDeFiにとっても逆風?米国のステーブルコイン規制の最新情勢と論点整理

ステーブルコインの市場規模

「銀行並み」の規制

2021年から米国ではステーブルコインに対する規制の必要性を訴える声が多く聞かれるようになりました。例えば、米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は、2021年9月、ステーブルコインについて「ポーカーのチップのようなもの」と独特の表現でリスクに警鐘を鳴らしました

そして2021年11月、大統領直下の金融市場ワーキンググループ(PWG)がステーブルコインに関するレポートを公開してから、規制をめぐって雲行きが怪しくなりました。PWGのレポートは、米議会議員に対してステーブルコインの発行体を「銀行のような機関」として規制する法律を通すように提案しました。その中で特に注目されているのが、保険加入金融機関(IDI)のみにステーブルコインの発行を許可するという部分です。

2022年2月、PWGレポートの主な執筆者である財務省の幹部が、上院の公聴会で、ステーブルコイン発行体に対する銀行並みの規制案に関して、柔軟に対応すべきであると発言し、これまでのスタンスから軟化したといわれていますが、詳細は明らかになっていません。

暗号資産業界の反応

2021年11月のPWGレポート公開後、米国の暗号資産関連の業界団体ブロックチェーン協会(Blockchain Association)は、すぐにPWGレポートの分析レポートを公表しました。同協会は、ステーブルコインの流動性の向上や担保となる資産の証明といった観点から規制を歓迎する一方、ステーブルコイン発行体を保険加入金融機関として規制することには明確に反対しました。理由として、数多くのステーブルコインがある中で特定のステーブルコインを規制面で優遇することになること、大手銀行などが競争上の優位性を持ってしまうことを挙げています。

「そのような規制はイノベーションを窒息させて、新しいステーブルコインプロジェクトが米国に来なくなり、現在のフィンテック企業に対する規制の流れと逆行することになるだろう」

この他、PWCによる規制案は「ステーブルコイン発行体に必要不可欠な活動をするすべてのエンティティ」も規制の対象としていますが、同協会は、この定義はあいまいであり、「マイナーやソフトウェア開発者」も含まれてしまうのではないかと懸念しています。

クラーケンは、ステーブルコイン規制の動向を注視しています。グローバル市場でUSDT、USDC、DAI、PAXGという4つの主要ステーブルコインを取り扱っており、ステーブルコインの暗号資産市場における役割の大切さを実感しています。ブロックチェーン協会同様に、「古いルール」を新しい市場に無理矢理導入するといったような拙速な対応はするべきではなく、まずはステーブルコインついて正しく理解することが先決と考えています。

また、米国以外で英国やEUでもステーブルコインの規制が検討されていますが、国ごとに異なるルールと基準が設けられる「つぎはぎの規制」を避けるため、国際的な協調関係の強化が重要になるとクラーケンは考えています。

2021年末から日本でもステーブルコインの発行体に対する規制について議論があり、2022年の通常国会に資金決済法改正案の提出を目指すと報じられ、2022年3月に入り実際に提出されました。ただ、米国をはじめ世界各国では規制当局と業界側の対話が続いている状態であり、日本でもステーブルコインの発行体や暗号資産交換業を含む様々なステークホルダーの意見を取り入れて議論を続ける必要があると考えています。

画像クレジット:Tezos on Unsplash
CoinMetrics

グーグルが支援する印Glance、NFTを推進するためにゲームプラットフォームGambitを買収

Google(グーグル)の投資を受けているGlance(グランス)が、モバイルゲーム製品の強化と同社のZ世代ユーザー層にNFTを提供開始することを目指し、インドのGambit(ギャンビット)を買収したことがTechCrunchによって確認された。

広告大手InMobi(インモビ)グループの共同創業者であり、GlanceのCOOであるPiyush Shah(ピユシュ・シャー)氏はこの買収を確認したが、取引の財務条件については言及を避けた。同氏はTechCrunchのインタビューで、この買収により、Jio Platformsも出資している同社はライブゲームショーやNFTベースのインセンティブをユーザーに提供し、ゲーム体験を豊かにすることができると述べている。

携帯電話メーカーと提携し、メディア、エンターテインメント、ニュースのコンテンツを携帯電話のロック画面に表示するGlanceは、最近、ゲームに注力している。4億台以上の端末で利用されているこのスタートアップは、2021年、同社のプラットフォームでカジュアルゲームを試験的に導入し、すぐにユーザーの間で受け入れられた。

近年、より若い企業であるRoposo(ロポソ)やShop101を買収したGlanceは、小規模な企業を買収し、Glanceのプラットフォームを広げながら提供するサービスを大幅にスケールアップすることで知られている。

「毎月約1000万人の人々が、Glanceでゲームのライブ配信を視聴しています。そこで我々が考えたのは、このプラットフォームでライブゲームショーも行うにはどうしたらいいか、ということでした」とシャー氏はいう。

NFTは、ユーザーにとって無数のメリットをもたらすと彼はいう。「デジタル仮想資産を所有することで、ユーザーがゲーム内で強いキャラクターを構築できるといった実用的な利点があると同時に、これらのNFTはNFTマーケットプレイスや取引所で出品・取引され、ユーザーの収益や所有に貢献することができます」と同氏は述べている。

シャー氏は、GlanceのWeb3の推進はまだ初期段階であることを指摘し、スタートアップがNFTを立ち上げるためにどのブロックチェーンを使用しているか、また提携を予定している組織について明らかにすることを避けた。しかし、Glanceは9カ月以上にわたってこの分野を評価してきたという。

同スタートアップは、ゲーマーやインフルエンサー、他のゲーム会社と提携する予定だという。同社プラットフォーム上のNFTは、ゲームのマイクロモーメントと高次元仮想アバターをキャプチャする、と彼は付け加えた。

「これによりクリエイター、ストリーマー、デベロッパーは、アセットやNFTベースのゲーム制作を通じて収益化を図るとともに、ゲーマーに好まれるユニークな体験を提供できる可能性があります」と、このスタートアップは述べている(Glanceは、インドの現地規制を理由に、Nostragamusを運営する設立6年のGambitが提供するファンタジースポーツの導入は回避する)。

Gambitの共同創業者であるYashashvi Takallapalli(ヤシャシヴィ・タカラパッリ)CEOは、声明で「GlanceとGambitの強みを組み合わせ、すべての人に合ったゲームが存在するという信念のもと、今後1年間でGlance Gamesの月間アクティブゲーマー数を2倍にすることを想定しています」と述べている。

Glanceは約17億ドル(約2076億円)の評価を受けており、Web3に進出するインドの最新の大手企業となる。

ファンタジースポーツ大手のDream11は、NFTスタートアップRarioの30〜40%の株式を約1億ドル(約122億円)で取得する方向で交渉中だと、この件に詳しい関係筋は述べている(インドの新聞Economic Timesは、先にこの取引の詳細を一部報じた)。Sequoia Capital Indiaが支援するNFTスタートアップFanCrazeは、ICCとの独占提携を維持しており、今週初めには資金調達ラウンドで1億ドル(約122億円)を調達したと発表している。

インドのゲーム開発会社SuperGamingは2月、暗号資産取引所WazirXの共同創業者であるSiddharth Menon(シッダールト・メノン)氏と提携し、TegroというWeb3ゲームマーケットを立ち上げた。

画像クレジット:

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

山手線31番目の駅「シン・秋葉原駅」が3月25日11時開業、新規駅開業時の記念入場券を「入場記念NFT」として無料配布

JR東日本(東日本旅客鉄道)、ジェイアール東日本企画HIKKYは、オリジナルの共同運営バーチャル空間「Virtual AKIBA World」(VAW。バーチャル アキバ ワールド)を3月25日11時よりオープンし、「バーチャル秋葉原駅」を開業する。これに向け、VAWで展開するコラボレーションやコンテンツを3月23日に発表した。

Virtual AKIBA World(VAW。バーチャル アキバ ワールド)概要

  • 開業日時:3月25日11時(開業まではティザーサイトとなっており、VAWWにアクセスできない)
  • サイトURL:https://jrakiba.vketcloud.com/VAW/
  • メンテナンス:隔週木曜10~15時
  • 利用料:無料

また山手線31番目の駅であるバーチャル秋葉原駅開業記念として、「入場記念NFT」(1枚予定)を無料配布する。従来より駅が新規開業する際に発行している記念入場券を、史上初の「デジタル上の駅開業」であることからNFTのデジタル入場券で発行する。この受け取りには、「LINE」および「LINE BITMAX Wallet」への登録が必要となっている。配布時期は、5月中旬頃予定。記念グッズであるため実在するJR秋葉原駅への入場には使用できないほか、LINEが提供しているNFTマーケットプレイスや、その他のNFTマーケットプレイスを通じた出品は不可。参加方法は、3月25日より公式サイトと公式Twitterで公開する。

JR東日本がバーチャル空間「シン・秋葉原駅」3月25日11時開業、新規駅開業時の記念入場券を「入場記念NFT」として無料配布

コラボレーションするのは、「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「シン・ウルトラマン」「シン・仮面ライダー」の4作品によって構成されたプロジェクト「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」。コラボ期間中は「バーチャル秋葉原駅」から「シン・秋葉原駅」と呼称を変更。さらに、バーチャル空間では各キャラクターが描かれたVAWオリジナルデザインのグラフィックで来場者を迎える。また5月13日公開予定のシン・ウルトラマンより、ウルトラマンの3D立像をVAWに設置。来場者同士で集まり記念撮影を行なえる。

セレクトショップ「BEAMS」とのコラボでは、シン・秋葉原をテーマとした期間限定の店舗装飾やVAWオリジナルTシャツの受注販売、オリジナルノベルティを配布。対象店舗は新宿駅新南口NEWoMan2Fの「ビームスニューズ」「ビームス大宮」「ビームス立川」。期間は3月25日~4月7日。VAW内のシン・ウルトラマン3D立像を撮影し対象店舗のスタッフに提示すると、先着順でオリジナルノベルティをプレゼントするそうだ。

JR東日本がバーチャル空間「シン・秋葉原駅」3月25日11時開業、新規駅開業時の記念入場券を「入場記念NFT」として無料配布

アトレ秋葉原でもコラボ展開を行なう。VAWオリジナルコラボビジュアルで館内装飾の実施するほか、キャンペーン期間中に商品を500円(税込)以上購入するごとにシン・秋葉原駅オリジナルキャラクターカードをランダムでプレゼント。このカードはシン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースの4作品からなり、1種ずつすべて揃えるとVAWオリジナルデザインのグラフィックが現われる。配布期間は4月1日~15日。

JR東日本がバーチャル空間「シン・秋葉原駅」3月25日11時開業、新規駅開業時の記念入場券を「入場記念NFT」として無料配布

ラジオ局「文化放送」のA&Gゾーンとも連携する。VAW内に文化放送ブースを展開するほか、A&G番組のパーソナリティーやスタッフ、リスナーがVAWの特徴である「オフ会ルーム」を使用してのVR交流を行なう予定。

JR東日本がバーチャル空間「シン・秋葉原駅」3月25日11時開業、新規駅開業時の記念入場券を「入場記念NFT」として無料配布


©TTITk
© TOHO CO., LTD. ©カラー ©2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ ©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

NFT総合マーケットLINE NFTが4月13日開始―吉本興業など17コンテンツと提携・Web3への入口を目指す

LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCは3月23日、NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」(記事執筆現在はティザーサイト)を4月13日より開始すると発表した。ローンチラインナップとして、吉本興業など計17コンテンツと提携しており、エンターテインメントやスポーツ、ゲーム、アーティスト、アニメ、キャラクター、イベントの7ジャンル100種類以上のNFTを販売する。今後はソフトバンクやZホールディングスのグループ企業などとの協業を通じ、さらなる拡大を目指す。

ローンチ時に販売されるNFTのラインナップは、吉本興業ホールディングスによる人気芸人のネタをNFT用撮りおろした限定NFT動画「よしもとNFT劇場」、歌手や俳優として活躍するNissy(西島隆弘)の今後の活動と関連したNFTやLINE用のヨッシースタンプのNFTなどを予定。

昨今、海外のNFT市場が爆発的に広がり、国内でも多くの企業がNFT事業に参入している一方、NFTは、購入までのハードルの高さやNFTを保有する価値・意味が十分に理解されていないという課題がある。

これに対してLINE NFTでは、月間9000万人が利用するLINEからNFTを購入(一次流通)およびユーザー間で取引(二次流通)できることに加えて、その先にあるNFTを持つことによる楽しみを感じられるような場を提供するという。また今後は、LINE NFTにより誰でもNFTにアクセスできる環境を提供し、Web3への入口をユーザーに届けることを目指す。

LINE NFTで購入したNFTは、LINEアカウントですぐに登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」で保管可能。自分のNFTをLINEの友達と交換したり送り合ったりできる。また、キャンペーンプラットフォーム「LINEで応募」といったLINEの他サービスとの連携も進めることで、購入特典やキャンペーン景品などにNFTを付与する機会を増やす。LINEのプロフィールにNFTを設定可能とするほか、現在国内で約600万セット以上が発売されているLINEスタンプにおいて、NFTを活用する予定。

今後の展開としては、ソフトバンクやZOZO、Zホールディングスと協業し各社が提供する各種サービスと連携を予定。ソフトバンクとは、同社提供の動画配信サービス「バスケットLIVE」での動画NFTを取り扱う予定。また同社コンテンツ配信サービス「5G LAB」とも技術的な連携を深めてxR技術を活用した立体感・臨場感のあるNFTの検討を進めているという。加えてNFT購入時の決済手段としてPayPayの導入も検討中。「ヤフオク!」にNFTを出品・落札できるよう準備している。

ZOZOとは一部のファッションブランドとのNFT販売を予定しており、ファッション領域におけるNFTの協業を検討。

「LINE GAME」「LINE MUSIC」「GYAO!」といったエンターテインメントサービスを運営するZホールディングス傘下のZ Entertainmentと連携し、動画やライブ配信といったエンターテインメント領域におけるNFT事業の推進を図る。

Web3のデジタルIDスタートアップ、Unstoppable Domainsが約1211億円のユニコーン評価額で資金調達を交渉中

ブロックチェーンのネーミングシステムプロバイダーとして人気のUnstoppable Domainsが、10億ドル(約1211億円)の評価額で資金調達ラウンドを実施する交渉をまとめていると、この件に詳しい3人の関係者がTechCrunchに語った。

同スタートアップは、Draper Associates、Coinbase Ventures、Protocol Labs、Naval Ravikantを含む多くの新規および既存投資家と、新たな資金調達ラウンドで約6000万ドル(約72億6300万円)を調達すべく交渉していると、検討中かつ非公開であるため匿名を希望した情報筋は語った。

このラウンドはまだクローズしていないので条件が変わる可能性がある、と彼らは注意を促している。同社は米国時間3月22日にはコメントを控えた。

Unstoppable Domainsは、人々が暗号のためのユーザー名を作成し、分散型デジタルIDを構築するためのサービスを提供している。同社は、特定のTLDを持つドメインを5ドル(約605円)という低価格で販売しており、これまでに210万以上のドメインを登録する手助けをしてきたと、そのウェブサイトで述べている。提供する人気のTLDには、.crypto、.coin、.bitcoin、.x、.888、.nft、.daoなどがある。

Amazon(アマゾン)のAWS、Uber(ウーバー)、Slack(スラック)などの企業で働いたメンバーを含むUnstoppable Domainsは、分散化された各ドメイン名をEthereumブロックチェーン上のNFTとして鋳造し、オーナーにより広範なコントロールと所有権を与えている。

ドメイン名を持つことで、ユーザーは無意味に長いウォレットアドレスを友人や企業とわざわざ共有する煩わしさから解放される。

Unstoppable Domainsはまた、OpenSea(オープンシー)、Coinbase Wallet(コインベースウォレット)、Rainbow Wallet、Chainlink、Brave browser、ETHMailなど140以上のアプリケーションと統合されている。90以上のDAppsが、EthereumとPolygonのためのシングルサインオンサービスである同社の製品「Login with Unstoppable」をサポートしており、暗号コミュニティを苦しめる経験の1つに対処している。

投資家へのピッチデッキで、同スタートアップは「分散WebのCoinbase」を構築しようとしていると述べた。その幅広いサービスのおかげで現在では、ENS、Solana Bonfida、Tezos、Handshakeと競合している。

同社は24万人以上の顧客を集め、2021年は5300万ドル(約64億1800万円)の収益を計上したと、2人の情報筋が語っている。また、利益も出ているという。TechCrunchが入手したピッチデッキによると、同社は2022年、企業と提携して自社のTLDを立ち上げる予定だという。

画像クレジット:Unstoppable Domains

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

Bored ApesのNFTスタートアップYuga Labs、約4836億円のモンスター評価額でシードラウンドを調達

NFTに懐疑的な人々が嫌いがちな数百万ドル(数億円)もする「サルのJPEG」メーカーYuga Labsは、Andreessen Horowitzから40億ドル(約4836億円)の評価額で4億5000万ドル(約544億円)の資金調達をしたと米国時間3月23日に発表した。

Bored Apes Yacht Clubを運営するこのマイアミのNFT企業は、これまで資金調達を行っていなかったが、以前からNFTブームの主要企業を支援しようとするVCからの注目を集めていた。このラウンドにはAnimoca Brands、LionTree、Sound Ventures、Thrive Capital、FTX、MoonPayなどの投資家も参加している。

Yuga Labsはその地位をますます強めている。2022年2月初め、同スタートアップはLarva Labsから人気のNFTプロジェクトCryptoPunksとMeebitsの資産を買収したことを発表した。また同社は、創業者と幹部が実質的な出資を行っているApeCoinを立ち上げたばかりでもある。このトークンは、取引初日に数十億ドルの時価総額を集めた。Yuga Labsは間もなく、この勢いを「Otherside」と呼ばれるメタバースの独自バージョンにつなげようとしており、他の多くのNFTプロジェクトのアバターも統合する予定だ。

関連記事:Bored ApesのNFTプロジェクトに公式の「ApeCoin」トークンができた

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

なぜWeb3の富裕層は現金ではなく暗号通貨を寄付しているのか

ロシアとウクライナの戦争が激化する中、暗号資産は海外の寄付者がウクライナを支援するのに不可欠なツールとなっている。このような状況下での暗号資産による募金活動の成功は、暗号資産保有者が慈善活動の目的を支援するためにコインを手放すという、2022年大流行した広範なトレンドを反映している。

世界中の慈善団体が、ウクライナを支援するために暗号資産による寄付を募っている。人気の暗号資産寄付プラットフォームEndaoment(エンダオメント)は、2月下旬の戦争勃発以来、ウクライナを支援する慈善団体が200万ドル(約2億4000万円)超を集めたと明らかにした。また、別の暗号資産非営利プラットフォームThe Giving Block(ザ・ギビング・ブロック)もすでに150万ドル(約1億8000万円)もの暗号資産による寄付を受けておりキャンペーンのウェブページによると、United Way Worldwide(ユナイテッド・ウェイ・ワールドワイド)やSave the Children(セーブ・ザ・チルドレン)などさまざまな認定非営利団体を支援するウクライナ緊急対応基金に2000万ドル(約24億円)を暗号資産で集めるキャンペーンを3月19日に発表した。

暗号資産を寄付のツールとして活用しようとしているのは、非営利団体だけではない。主要な暗号資産取引所との提携の詳細を説明している新しいウェブサイトによると、ウクライナ政府はすでにBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Tether(テザー)、Polkadot(ポルカドット)、その他の暗号資産で5400万ドル(約64億円)超を集め、主に軍資金として活用している。ウクライナ政府のデジタル変革省は、暗号資産を通じて寄付を呼び込む取り組みの先頭に立っており、新しいパートナー企業はこれらの寄付をフィアット通貨に換えてウクライナの中央銀行に送るのを支援するとウェブサイトにはある。

ウクライナ侵攻は、確かに暗号資産を寄付するきっかけとなったが、この仕組みは2021年にあらゆる種類の慈善活動で人気が急上昇した。

米国を拠点とする501(c)3非営利団体への暗号資産寄付を促進する非営利団体のEndaomentは、プラットフォーム上での寄付額が2021年に25万3000ドル(約3000万円)から2800万ドル(約33億円)へと100倍になった。The Giving Blockも、年次報告書によると、2021年の寄付額が6900万ドル(約82億円)超となり、前年比1558%増と急増した。

こうしたことから疑問が湧く。寄付者はなぜ現金ではなく暗号資産をおくることを選ぶのだろうか。

The Giving Blockの共同創業者でCEOのPat Duffy(パット・ダフィー)氏は、税制優遇措置が重要な動機付けだとTechCrunchに語った。

「もしあなたが何か慈善的なことをしたいと思っていて、価値を認められた暗号資産を持っているなら、その暗号資産は最も税優遇措置を受ける寄付の方法です」とダフィー氏は話した。

米国を拠点とする寄付者にとって、501(c)3団体に暗号資産を寄付する場合と、ウクライナのような外国政府に寄付する場合とでは、大きな違いがある。前者は寄付者に有利な税優遇措置がとられることが多く、後者はそうではない。

法的に認められた非営利団体に現金を寄付すると、寄付者は税控除対象となり、慈善団体に寄付した分だけ支払うべき税金を減らすことができる。暗号資産や株式などの資産を寄付することは、現金で寄付するよりもさらに有益だ。というのも、税控除に加えてもう1つの重要な税優遇措置を受けることができるからだ。

通常、暗号資産保有者が利益を確定するために、価値が上がった後にコインを売却した場合、その利益の最大37%をキャピタルゲイン税として支払わなければならない。しかし、コインを寄付すれば、キャピタルゲイン税を支払う必要はない。この2つの税優遇措置は、デジタル通貨の価値が上がり続けることを期待してできるだけ多くのデジタル通貨を保有したいと考える暗号資産保有者が、現金を寄付する代わりに実際に慈善団体にコインを提供することを望む理由の1つだ。

資産寄付の手段として人気があるのが、ドナー・アドバイズド・ファンドだ。暗号資産やその他の資産、現金を専用口座に拠出することで、即時税控除を受けることができ、時間の経過とともに価値を高めることができる。口座保有者は最終的に自分の裁量で口座内の資金を非営利団体に振り向けることができ、すべての資金をすぐに使用する必要はない。Fidelity(フィデリティ)の慈善寄付部門、Endaoment、The Giving Blockは、暗号資産を受け入れることができるドナー・アドバイズド・ファンドを提供している。

ダフィー氏は、税優遇措置は暗号資産を提供する寄付者の取引を促進かもしれないが、暗号資産による慈善活動の唯一の動機ではないと指摘した。暗号資産の寄付者は、株式や現金を寄付する寄付者よりも多額を寄付する傾向があると付け加えた。

「暗号資産に関わっている人、特に暗号資産を扱い始めたばかりの人は、最先端にいること、世界を変える何かの一部になることに関心を持っています」とダフィー氏はいう。

暗号資産分野のトレンドと同様に、アイデンティティとコミュニティの感覚が参加促進の中心的な役割を担っている。精通した慈善団体は最終的に寄付された暗号資産を使う前にフィアット通貨に変換しているが、この文化的な現象を利用している。

「暗号資産ユーザーのためのスペースをもうける非営利団体は、他の団体を凌駕しています」とダフィー氏は話した。

セーブ・ザ・チルドレンのような大きな非営利団体は、そのリソースと規模から、暗号資産寄付プログラムを構築することができたが、多くの中小規模の慈善団体は、このオプションを追求していない。暗号資産の寄付は、慈善事業全体のごく一部に過ぎない。Giving USAによると、米国の慈善団体は2020年に寄付者から推定4700億ドル(約56兆円)超を受け取った。

米国証券取引委員会のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)委員長を含む規制当局は暗号資産が詐欺や不正行為と関連していることを指摘しており、非営利団体は関与することをためらっているのかもしれない。また、暗号資産による寄付の受け入れに対応する技術やインフラが整っていない団体もある。

インターネット上で強固なプレゼンスを持たない零細の非営利団体はときに、暗号資産の受け入れは「宝くじ」のようなものだと考える、とダフィー氏は話した。同氏は、このような考え方に注意を促し、オンラインプレゼンスを持たない非営利団体は、暗号資産の統合を構築する前に「基本に忠実であるべき」だと述べた。

EndaomentとGiving Blockの年次報告書によると、両プラットフォームで2021年最も多く寄付に使われた暗号資産はEthereumだった。Ethereumは、他の暗号資産を抜いて、2021年に両プラットフォームで最も寄付された暗号資産となり、以前から人気のあったBitcoinやChainlinkをも上回った。

暗号資産の寄付はコインだけにとどまらず、NFT(非代替性トークン)の慈善プロジェクトも寄付者の間で人気を博している。例えば、人気NFTアーティストのPplpleasrは、Endaomentのプラットフォームを利用して、自身のアート作品の収益をStand with Asians Community Fundに寄付した。それぞれの年次報告書によると、EndaomentとThe Giving Blockのプラットフォームでは、合わせて約2000万ドル(約24億円)のNFTによる寄付が行われた。

特にNFTは、非営利団体にとって長期的な寄付の流れを生み出す可能性を秘めている。Solana(ソラナ)ベースのNFTマーケットプレイスMetaplex(メタプレックス)は、寄付APIスタートアップChange(チェンジ)との統合により、自社プラットフォームのクリエイターがNFTの販売を通じて定期的なロイヤルティ支払いで事前活動を支援することを可能にしている。

Web3のクリエイターは、NFTの寄付を「自分の作品を通して遺産を残す」機会だと考えていると、Changeの共同創業者Sonia Nigam(ソニア・ニガム)氏はTechCrunchに語った。

「これは、従来の慈善事業ではなく、クリエイターの実用化に関するものです。スマートコントラクト技術によって、インパクトが製品自体に宿り、そして永続的に寄付することができます」とニガム氏は語った。

「NFTのコレクションが始まると、彼らは、例えばすべての二次販売のうち2%を気候変動との戦いにずっと提供するという目標を設定します。そうすれば、再販のたびにクリエイターの初志が失われることはないため、クリエイターにとってエキサイティングなものになります。非営利団体にとっては、定期的な寄付のルートを確保することは常に第一の目標です」。

2021年は暗号資産による寄付が牽引してきたが、特に3月のウクライナ支援のための迅速な資金動員は、暗号資産コミュニティが他のものを支援するための触媒となる可能性がある。

TechCrunch Disrupt SF 2017に登場したヴィタリック・ブテリン氏(Ethereum考案者)

ロシア出身のEthereum共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は先週、暗号資産投資家Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏のチームが主催したTwitterスペースの会話で、最近の支援キャンペーンによって開かれた可能性について語った。

「(ブロックチェーンと暗号資産分野の)本当に中核となる多くの人々は、自由を支持し、より民主的な組織化の方法をサポートし、人々が基本的なものとして平和的に自分の個人的および経済的生活を持つ能力を一般的にサポートしたいと考えてその分野にいると思います」とブテリン氏は述べた。

ウクライナでこうした権利が侵害されるのを見て、暗号資産コミュニティの関心が高まったと同氏は語り、このような意識の高まりは、著名な暗号資産プロジェクトに携わる多くの人がウクライナ人であることが一因だと分析している。

ウクライナを支援するための暗号資産寄付キャンペーンの成功は、暗号資産が「非常に迅速に資金を集めることができるかなり優れた手段」であることを実証したと同氏は付け加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

Bored ApesのNFTプロジェクトに公式の「ApeCoin」トークンができた

最速成長中の暗号資産スタートアップ界にあっても、Yuga Labs(ユガ・ラブズ)は特別に爆発的な一年を過ごした。

NFT(非代替性トークン)プロジェクト、Bored Apes Yacht Club(BAYC、ボアード・エイプス・ヨット・クラブ)を運営する同スタートアップは、2021年4月にスタートしたばかりながら、たちまちのうちに時価総額で最大価値のNFTプロジェクトになった。現在ある1万枚の画像の最も安いものでも、暗号資産のEthereum(イーサリアム)で24万ドル(約285万円)相当の価値がある。同社は評価額50億ドル(約5942億円)で銀行から資金調達する計画だと報じられているが(広報担当者は金額についてのコメントを拒んだ)、Yuga Labsは将来を見据えて、大きな話題となったApeCoin(エイプコイン)をベースにしたPay-to Earn(P2E、遊んで稼ぐ)ゲームのために新たな提携を結ぶことを明らかにした。

数百万ドル(数億円)のサルの画像やMonkey Moneyは、将来シリコンバレーVCの注目を一手に引き受けるものにはなりそうもないが、Yuga Labsは、新しいゲームとトークンが、自分たちの知的財産に基づく主要な暗号経済のきっかけになることを期待している。そしてYugaは先週、Larva labs(ラーバ・ラブズ)から資産を買収した結果、高い評価のCryptoPunks(クリプトパンク)やMeebits(ミービッツ)などを獲得して、自社のNFTコレクションをさらに拡充した。

関連記事:Yuga LabsがCryptoPunksのNFTコレクションの権利をクリエイターLarva Labsから取得

このエコノミーを立ち上げるためには、規制遵守を確実にするための特別な法的工作が必要だ。SEC(証券取引委員会)は、NFTプロジェクトとは概して距離をおいているが(ただしまったくというわけではない)、無記名証券のように振る舞うトークンを売っている暗号スタートアップ各社は、以前から取り締まり対策に余念がない。

そういうわけでYuga Labsは非常に注意深く、公にはトークンの公開から自らを切り離している。代わりにトークンは、このNFTプロジェクトとつながりのある諮問委員会メンバーからなる、ApeCoin DAO(エイプコイン・ディー・エー・オー)と呼ばれる組織が発行するが、メンバーの中にはYuga Labsの社員も役員いない。APE Foundation(APEファウンデーション)と呼ばれる組織も作られ、ApeCoin DAOの決定事項を監視する。さらに、DAOはBAYCプロジェクトの公式ブランディングも扱う。これはYuga Labsが、Boared Apesの青いロゴの1/1(One of One) NFTという形で「gifting(贈呈)」するものだ。

ここまで読んでややこしいなと思った人へ、2022年の暗号資産の世界へようこそ。

ApeCoin DAO諮問委員会のメンバーには、Reddit(レディット)共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、FTXのAmy Wu(エィー・ウー)氏、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)のMaaria Bajwa(マーリア・バジュワ)氏、Animoca(アニモカ)のYat Siu(ヤット・スー)氏、Horizen Labs(ホライズン・ラブズ)のDean Steinbeck(ディーン・スタインベック)氏らがいる。

トークン所有者は、DAOの決議に投票することが可能で、委員会が「コミュニティの決定を実行する」と広報担当者はいう。Yugaは公式にはEthereumベースのトークンを発行しないが、同社およびBAYCプロジェクトの設立メンバーは、同トークンの総供給高の1/4近くの所有者となり、Bored ApesとMutant ApesのNFT所有者は、合わせてトークン総割当高の15%を受け取る

Yuga Labsの広報担当者は、Apeトークンが、Coinbase(コインベース)、FTX、eToro(イートロ)、Kraken(クレークン)、OKX、Gemini(ジェミニ)、Binance(バイナンス)およびBinance USを含む主要交換所で「近々」取引が開始されるという。Yugaの幹部は誰1人としてインタビューに応じることがなく、会社はApeCoin DAOとYuga Labsの関係についてそれ以上の詳細を明らかにすることも拒んだ。

10億APEコインの割当状況の詳細は以下の通りだ。

  • 8%がBored Apes Yacht Clubの創業者チームへ
  • 16%がYuga Labsチームへ(そのうち総トークン供給高の1%に当たる部分はJane Goodall Foundation Legacy Foundationに寄贈)
  • 14%が「創立貢献者」へ。これはYugaのパートナーおよび出資者からなると思われる
  • 15%がBored Apes and Mutant Apesコレクションの所有者へ
  • 47%が今後DAOの「エコシステムファンド」の一部として提供される。

画像クレジット:BAYC

このトークンが実際、何をするのかについて全貌はまだ明らかではないが、ApeCoinがYuga Labsが開発中のタイトルでゲーム通貨として使われることはわかっている。タイトルには、サンフランシスコ拠点のゲームスタジオ、nWay(エンウェイ)と共同開発している未発表タイトルも含まれる。nWayは、Power Rangers(パワーレンジャーズ)、WWEなどの会社から知的財産をライセンスして、バトルゲームをいくつか公開している。

名前のないそのタイトルは、play-to earnと呼ばれる暗号ゲーム機構を活用すると見られ、ユーザーはタイトルをプレイするために注ぎ込んだ時間と努力に応じてトークンを獲得する。この仕組みは、「Axie Infinity」というゲームが普及にひと役買っていて、同ゲームでは2021年数十億ドル(数千億円)の取引があり、親会社のSky Mavis(スカイ・メイビス)が30億ドル(約3563億円)の評価額で資金調達することにつながった。

新タイトルは2022年中に公開される、とYuga Labsはいう。

このタイトルが、2021年末発表されたAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)と共同提供されるplay-to-earn型ゲームタイトルに加えてリリースされるというのは興味深い。同社はさらに、Animocaの既存タイトル「Benji Bananas」でもApeCoinを利用できるようにすると話した。

The Block(ザ・ブロック)の記事によると、同社は別にMetaRPGというゲームタイトルも計画していて、いくつかのNFTプロジェクトと互換性があるという。さらには2022年中にバーチャル土地の販売にも手を広げる計画があり、これらの取り組みによって2022年の純売上は4億5500万ドル(約540億円)に達すると同社は予測している。

NFTは2021年に爆発的ヒットとなり、すでに主要テック企業からの支持も取り付けている。Twitter(ツイッター)はNFTプロフィール写真の限定的サポートを開始し、Facebook(フェイスブック)は最近Instagram(インスタグラム)にNFTを組み込む計画を表明し、Stripe(ストライプ)はNFTのための暗号サポートを開始した。

関連記事:マーク・ザッカーバーグ氏、InstagramにNFTを近々導入すると発言

NFTは、消費者の強固な反発も招いており、特にゲーマーの間では、NFTが実際にはゲームのオーナーシップを民主化することはなく、むしろマイクロトランザクション(少額取引)を加速することを恐れている。他に、NFTの発行にともなうブロックチェーン操作のエネルギー依存の高さから、環境への影響を懸念する人たちもいる。

Yugaのゲーミング業界への参入が、BAYCブランドの成長戦略の一大要素であることは間違いないが、ブロックチェーンゲームは未だに明らかなニッチであり、同社はこれを拡大することを望んでいる。

「Bored Ape Yacht Clubがどこまで大きくなるのかわかりませんが、それは私が大きくなると思っていないという意味ではありません。むしろ私は、できるなら、Yugaがビッグになることで私たちがユニークで特別なものをたくさん作れるようになり、より大きなコミュニティにさまざまな形で話ができるようになることを願っています」ととYugaのCEOであるNicole Muniz(ニコール・ムニス)は、2022年2月に行われたD3 Networkのインタビューで語っている。

画像クレジット:BAYC

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・ザッカーバーグ氏、InstagramにNFTを近々導入すると発言

Meta(メタ)は、メタバースの中で暗号資産をマイニングして欲しいと思っている。

SXSWで行われた対談で、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、Instagram(インスタグラム)にNFT(非代替性トークン)を「近いうちに」導入する予定であることを明らかにした。MetaのCEOで創業者のザッカーバーグ氏は詳細について多くを語らなかったが、Instagramのチームが技術的な課題を解決すれば、アプリにNFTを統合することが可能になると示唆した。

ザッカーバーグ氏はShark Tank(シャーク・タンク)のDaymond John(デイモンド・ジョン)氏との対談で「近いうちにNFTをInstagramに導入することに取り組んでいます」と述べた。「今日ここでは、正確な発表はできませんが、今後数カ月の間に、お手持ちのNFTを取り込めるようにして、できれば環境の中でNFTの鋳造(ミント)もできるようにしたいと思っています」。

2021年12月には、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モッセリ)氏が、より多くの人々にこの技術を提供することを目標に、NFTを「積極的に探求」していることを認めていた。モッセリ氏はInstagramのストーリーで「私たちが遊べるおもしろい場所だと思うし、できればクリエイターを助けたいのです」と語っている。

計画はすでに始まっていた。2021年の夏、Instagramは「Creator Week」(クリエイターウィーク)という招待制のバーチャルサミットを開催したが、その招待状にはイベントが「NFTクリエイターのためのプライベートイベント」だと書かれていたのだ。

InstagramのNFTへの関心は、親会社であるMetaの、デジタル商品で満たされ利益を生み出す、相互接続された仮想世界の大きなビジョンと一致している。ザッカーバーグ氏は「Metaverse(メタバース)でアバターが着ている服がNFTとしてマイニングされ、異なる場所へ持ち運べるようになればいいと思います」と語った。

今回のNFTの計画は、Metaの計画を追ってきた人たちにとっては、それほど大きな変化ではないが、この技術を嫌うクリエイターにとっては、この統合は大いなる悩みのタネになるだろう。

Twitterは2022年初めに、プレミアムユーザーがNFTプロフィール写真を使えるようにした。この統合はMetaが今回示唆したものよりも簡単なものだ。しかしJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の暗号資産宣伝と、Twitter上での既存NFTコミュニティの間では、そのNFT機能はInstagramのものよりも親しみを持たれているだろう。

また、Metaがこれまで提供した暗号世界での実績は、控えめ目に言っても不完全だ。中央銀行や規制当局の逆風にさらされた同社は、独自の暗号資産に関する壮大な計画を縮小し、業界を揺るがすイノベーションという当初の宣言とは似ても似つかぬものにした。

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画像クレジット:Alexander Koerner/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

メタバースの内と外で生まれるビジネスは「インターネット」の進化をなぞる?

今、国内ではメタバースが熱い。「Oculus」(現在は、ブランド名が「Meta」に変更されている)が2018年から販売しているスタンドアロンVRゴーグルのおかげで、高価なPCや接続に関する複雑な知識なしに、メタバースの世界に入れるようになったからだ。また、マスメディアで報道されるようになったことも要因だろう。

早くからメタバース(当初はVRと呼ばれていたが)に着目し、今やメタバースに住んでいると言っても過言ではないShiftallのCEO岩佐琢磨氏は、自社でメタバース関連のアイテムを開発している。

そんなメタバース界の当事者である岩佐氏には、メタバースの楽しさや、他国との温度感の差、メタバース内での生活を快適にするアイテムなどについて聞いてきた。3回目となる今回は、メタバースとそれにまつわる今後のビジネスなどについて話を伺った。

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メタバースでの滞在時間が長くなることで生まれる新ビジネス

人は実生活において、住まいの居心地を良くしたり、人に会うときには好印象を持ってもらうためきれいな身なりをするように心がけるものだ。そのために、より快適な家を求めたり、家具を買ったりするし、美容院に行く、流行の服を買うといった消費が発生する。

同様に、メタバース内で生活する人が増えれば、その空間(ワールド)や自分(アバター)をより良いものにしたいというニーズが生まれ、そこにビジネスも生まれる発生する。

「すでに、経済活動が行われています」と岩佐氏はいう。「例えばアバター作家といった職業も誕生しています。しかもそのビジネスは国境を超えたものです。現在、日本のメタバースシーンで人気を博しているアバターは、日本だけでなく韓国のクリエイターによるものも多いです。現在のところ、まだメタバースに足を踏み入れている人の数は決して多くはありませんが、今後、その人数は増えていくでしょう。自分を表現するアバターはとても大切なものです。そこで1つ5000円のアバターでも購入されることは十分に考えられます。それを全世界規模で、例えば100万人が買うようになったらかなりの経済規模になります」。

また、ワールドにはもっとビジネスチャンスがありそうだ。

「今後、ホームページを持つように企業はそれぞれワールドを持つようになるかもしれません。またイベントを開催するときなどに特設ページを用意するように、企業がメタバースでイベントを行う際、そのイベントごとにコンセプトや雰囲気が違うワールドが必要になると思います」と岩佐氏はいう。

それはたとえば人気コミックを販売している出版社が、昔の日本を舞台にした作品と海を舞台にした作品でそれぞれイベントを行いたいと考えた場合、それぞれのイメージに合った会場を用意するのと似ている。

「今後、ホームページ以上に多様なワールドが必要とされ、作られていくのではないかと思います。そのため、ワールドを作ることができる人へのニーズが高まり、経済が回っていく日は遠くないでしょう」と岩佐氏は語る。

このようにメタバース内でのビジネスで暮らして人たちが登場する時期はまったくわからないというが、すでにアバタービジネスをグループで行っている人たちが出始めていることから「数万人から数十万人規模の人が、メタバースの世界の中で作ったもので生活できるようになるのには、そう長い時間がかからないのではないか」と岩佐氏は予測している。

NFTがメタバース内のビジネスとして成り立たない理由

また「メタバース」と同じく新しい技術としてNFTも注目を集めている。ブロックチェーン技術を使ったNFTなどのサービスは、デジタルで作られたもう1つの世界であるメタバースと親和性が高いのではないかと漠然と考えていた。

しかし、岩佐氏は「NFT×メタバースは現時点ではあまり相性が良くない」とバッサリ否定する。それぞれのユーザーと事業者がお互いに異質な存在になっているというのがその理由だ。

「NFTで売買したデータ、それ自体はいくらでもコピーできます。ただ、NFTであればその正当な所有権が誰にあるのか、というトランザクションの履歴をチェーンの上に保存でき、それを改ざんできないという特性があるだけです」という。

つまり、NFTアートを購入した場合、買った本人は権利を持っているということで自尊心が満たされ、さらにその権利を売って儲けることもできるだけだともいえる。

「メタバースの中で大切なことは、絵の所有権ではなく絵そのもの。ワールドにそれを飾ることに価値があるのです。すばらしい絵が飾られているすばらしい空間があることに意味があります」と岩佐氏は語る。飾る絵を選び、用意することが重要なのだ。NFTアートである必要はないのだ。

また、現在のところVRChatを提供しているプラットフォームSteamは、暗号資産やNFTを全面的に禁止している。これは余計なトラブルを避けるためのルールでもあるのだろうが、暗号資産、NFTがメタバースで現状、その成長に必要なものではない、ユーザーに強く求められているものではないということでもあるだろう。

求められるであろうガジェット

メタバースを巡るビジネスは、その中だけのものにとどまらない。

例えば前回の記事で紹介した、メタバース内での生活をより快適にするためのガジェットとしてShiftallはヘッドマウントディスプレイ「MeganeX」や、自分の動きを自在にトラッキングしてくれる「HaritoraX」、また仮想空間の温度をリアルに感じられるようにするウェアラブルデバイス「Pebble Feel」を開発、提供する。

メタバースを楽しむために開発されたアイテム。左上から時計回りに「MeganeX」、音漏れを防ぐBluetoothマイク「mutalk」「Pebble Feel』

「ヘッドマウントディスプレイ、コントローラー、トラッキングデバイスが、現時点でのハードウェア3大デバイスでしょう」と岩佐氏。「ただ、今後はもっとさまざまな分野のものが増えてくると考えている」と語る。

「CES 2022 では、メタバース内で触れられたときに、その触覚を感じるスーツのようなものが発表されていました。そうしたハプティクススーツとHaritraXのようなトラッキングデバイスがセットになったようなものが出てくるかもしれません。

現時点では、ヘッドセットの下に表情をセンシングするフェイシャルトラッカーデバイスを装着して現実の表情とアバターの表情を同期させている人もいます。デバイスの形状や種類は、どんどん変化していくのではないでしょうか」(岩佐氏)

そのような中で、VRChatがOpenSound Control(以下、OSC)という新しいプロトコルに対応したことが発表された。OSCは、オーディオ機器と音楽パフォーマンス向けのコントローラーを接続するためのプロトコルだが、その他の機器との接続にも利用可能でアイデア次第でこれまでなかった機器をメタバースの世界につなげることができる。

「例えば、脈波センサーを付けて、脈拍が上がったら、アバターの顔を赤くする、現実世界の室温が25℃を超えたらアバターが上着を脱ぐ。逆に、アバターが靴を脱ぐ操作をしたら、エアコンの温度を2℃下げるなど現実世界側を操作することも可能になります」と岩佐氏。

VRChatがOSCに対応したことで、脈波センサーを付けて、脈拍が上がったらアバターの顔を赤くするといったことも可能になる

また、コミニケーションをとる上で壁となる言語についても、OSCを使ってText to Speachで話す、外部ツールに話す内容をいったん投げて翻訳させるといったこともすでにできるようになる。とはいえ「まだまだ翻訳ツールには改善の余地があるため、言語ごとに人が集まっているのが現状。時間の経過とともに解決されるのではと期待している」とのこと。

電子工作が得意な人たちが、すでにさまざま操作を個人的にテストしているが、今後、それらのアイデアが製品化することも十分考えられる。

Metaをはじめとするテック企業が新しいビジネスのフィールドとして新サービスをスタートさせることも多いが、まだまだ始まったばかりの「メタバース」。今後、その体験を現実のものに近づける(もしくは現実では不可能なことを可能にする)新たなガジェットや新サービスが発表されていくだろう。

現在、私たちの周りに当たり前のように存在するインターネットと同様に、メタバースももっと身近なものになり生活の一部になる可能性は大きい。特にコロナ禍で人と人との距離感が変わった今、遠く離れていても目の前にいるかのように他人とコミュニケーションがとれるメタバースは加速度的に進化していくかもしれない。

そしてそれにともなって、そこで生きる、生活の糧を得る人も生まれてくる。インターネット黎明期、まずそこにアクセスしホームページで情報を公開したり得たりすることだけで興奮していたが、現在そこは、eコマースをはじめとしたビジネスの舞台にもなっている。メタバースでもまた同様のことが起こることが予想される。新しい世界は、また新しい可能性に満ちている。

Yuga LabsがCryptoPunksのNFTコレクションの権利をクリエイターLarva Labsから取得

Bored Apes Yacht Club(ボアード・エイプス・ヨット・クラブ)のメーカーであるYuga Labs(ユガ・ラボ)は米国時間3月11日「CryptoPunks(クリプトパンクス)」と「Meebits(ミービッツ)」のNFT(非代替性トークン)コレクションの権利を、クリエイターのLarva Labs(ラルバ・ラボ)から取得したと発表した。

Bored ApesとCryptoPunksは、時価総額で最も価値の高い2つのNFTコレクションであり、合計すると現在の価格で少なくとも36億ドル(約4200億円)以上の価値があると言われている。Yuga Labsは過去数カ月、資金調達の交渉を行っていると噂されていたが、正式な発表は一切していない。

今回の買収の条件は発表されていない。

CryptoPunksとMeebitsのNFTはコミュニティのメンバーたちが所有しているが、キャラクターの知的財産権は長い間、プロジェクトのクリエイターが所有していた(そしてそれが物議を醸してきた)。今回の発表で、Yuga LabsはこれらのNFTの完全な商業利用権を、個々の所有者に与えることを示唆している。著作権を完全に譲渡するわけではないものの、これはLarva Labsよりも一歩進んだ、所有者が長く望んでいたことだ。

今日はビッグニュースをお知らせします。Yugaは、CryptoPunksとMeebitsのコレクションを@LarvaLabsから取得しました。そしてまず最初に、そのNFTを保有しているみなさんに完全な商業権を与えます。私たちがBAYCとMAYCの保有者にしたのと同様に。

Yuga Labs

「私たちは長い間、CryptoPunksと、このプロジェクトの創設者であるMatt(マット)とJohn(ジョン)の仕事を賞賛してきました。彼らはNFTとより広範な暗号資産の世界を前進させてきました。私たちは彼らが築いたブランドを、Yugaで築き上げる未来に引き継ぐことを光栄に思います」と、Yuga LabsのTwitter(ツイッター)アカウントからのツイートには書かれている。

CryptoPunksプロジェクトは、2017年にユーザーが無料で請求できた1万枚のNFTから始まった。それは最も初期のNFTプロジェクトの1つであり、最も影響力のあるプロジェクトの1つであると、一般的に考えられている。2020年後半になると、このピクセル画のポートレートの価格は急騰し始め、最も希少なものは数百万ドル(数億円)、最も安価なものでも現在20万ドル(約2350万円)近い価格で取引されている。2021年5月、Larva Labsの創業者たちはMeebitsという後続プロジェクトをリリースし、一次販売では発売から数時間で数千万ドル(数十億円)の売上を記録した。

Larva Labsの創設者たちは、現段階でプロジェクトからほぼ完全に手を引くことになった。Yuga Labs はブログ記事で、同社から423のCryptoPunksと1711のMeebitsも買い取ったと詳述しており、Larva Labsの創設者たちには、今回の買収に含まれなかった彼らのジェネレーティブアート・プロジェクトである「Autoglyphs(オートグリフィス)」に加え、CryptoPunksとMeebitsをそれぞれわずか数個ずつ、残しているだけだと述べている。

Bored Apesプロジェクトのコミュニティを積極的に構築するため、Yuga Labsはより意欲的な道を歩み、パートナーシップを明らかにした。

「これは、しかし、Larva Labsが買収されたというわけではありません。【略】私たちが次に取り組むものについては、準備が整うまでお話することはありませんが、しかし概して私たちは、私たちが最も得意とすること、つまり奇妙な新しいものを作る仕事に戻ることに興奮しています」と、Larva Labs創業者たちのブログ記事には書かれている。

画像クレジット:Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース空間・現実世界でNFTを誰もが活用し価値を発揮できるプラットフォーム開発を目指すSuper Massive Global(スーパー マッシブ グローバル)は3月10日、シードラウンドとして、第三者割当増資による1億1000万円の資金調達を2月18日に行ったことを発表した。引受先はCBCなど合計8社。2021年にZero-Tenなどから2回にわたる資金調達を受けており、累計調達額は2億5000万円となった。今回調達した資金は、プラットフォーム開発とパートナー企業との業務環境の整備にあてる。

2020年9月設立のSuper Massive Globalは、「バーチャルと現実の境界線を無くす」ことをビジョンに掲げるスタートアップ企業。同社は、国境や人種・性別・文化、そして空間を超えて企業とユーザーといった誰もが楽しく生活をしながら収入や権利を持つことができる「Play to Earn」という世界観の実現を目指しているという。

そのために、メタバース空間内でNFTを発行し、現実世界また誰でも活用可能とすることで、企業・個人どちらも収入を得られる新たなプラットフォームの開発を進めている。

イーサリアム互換ブロックチェーン構築クラウドなどを手がけるG.U.テクノロジーズがプレシリーズAで2.6億円の追加調達

イーサリアム(Ethereum)互換ブロックチェーン構築クラウドサービスなどを手がけるG.U.テクノロジーズは3月8日、プレシリーズAとして第三者割当増資による2億6000万円の追加調達を実施し、総額3億6100万円の資金調達を完了したと発表した。

引受先は、Coral Capitalと自然キャピタル。調達した資金は、NFTなどWeb3種の領域、エンタープライズ・ブロックチェーン領域、ステープルコインなどフィンテック領域におけるソリューション提供へ向けた開発強化にあてる。

G.U.テクノロジーズは、金融やフィンテックのバックグラウンドを持つ稲葉大明氏と、ウェブブラウザーLunascape創始者の近藤秀和氏が、親会社G.U.Labsで進めていたブロックチェーン研究の成果を元に、2020年10月にスピンアウトする形で設立したスタートアップ。

同社は、独自のイーサリアム互換Layer2ブロックチェーンを構築できるソリューション「G.U.Blockchain Cloud」、DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」を提供。Lunascape Wallet Extensionは、Google Chrome拡張機能として利用する。また、ブロックチェーン関連の情報サイト「G.U.net」も運営している。

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

今後は、エンタープライズ向けのイーサリアム互換Layer2コンソーシアム・ブロックチェーンの運営をはじめ、Web3時代を見据えたステーブルコイン、DeFi、NFTを含む様々な実証実験を提携企業と進める。また、顧客のブロックチェーンビジネスを支援するためのインフラやツール提供、コンサルティングや開発支援を強化していく予定。

「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3も示唆

「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3の可能性も示唆

YouTubeは2月18日、日本版YouTube公式ブログのエントリー「2022年の展望:コミュニティ、コラボレーション、コマース」を公開した。「クリエイター向け」「視聴者向け」「パートナー向け」に2022年の展望を掲載しており、新たなサービスやツールのリリースを予定していることを紹介。Web3、メタバースについても触れている。

Web3については、クリエイター向けの話題の中で「Web3もまたクリエイターに新たな機会をもたらします」と紹介。「ブロックチェーンやNFTのような新しいテクノロジーによって、クリエイターはファンとより深い関係を築くことができるようになるでしょう」としている。「このような新しいテクノロジーには、責任を持って取り組むべきことが沢山ありますが、同時に素晴らしい可能性も秘めていると考えています」という。「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3の可能性も示唆

メタバースについては、視聴者向けとして採り上げている。「より没入感の高い視聴体験をどうすれば提供できるか」を考えているという。まずはゲームへの適用を検討しており、「ゲームにもっとインタラクションを持たせ、よりリアルな体感を導入することを目指します」としている。

凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

凸版印刷は2月18日、メタバースへの社会的な関心の高まりを受け、自分の分身として生成されたアバターに対し、唯一性を証明するアバター生成管理基盤「AVATECT」(アバテクト)を開発したと発表した。2月より試験提供を開始する。

凸版印刷は、写真1枚で3Dアバターを自動生成できる同社サービス「MetaCloneアバター」や、構築したメタバースの中で様々なビジネスを行う事業者などに向けて、AVATECTの試験提供を実施。複数のメタバース事業者間における同一アバターの行動分析や、それに伴うプライバシー保護の有用性の検証を経て、2022年9月までにアバター管理事業を開始し、2025年度までにメタバース関連事業として100億円の売り上げを目指す。

昨今、メタバース市場への関心が高まる一方、本人の許可や確認のない映像などによりアバターが生成されてしまう危険性や、アバターのなりすまし・不正利用がメタバース普及の大きな課題になっているという。また凸版印刷は、メタバース上でアバターの行動に対する倫理規定が進んでおらずディープフェイクのようなリスクが生じる危険性があると指摘。

凸版印刷は、メタバース普及に伴うそれらセキュリティリスクを低減させるため、アバターの出自や所有者情報を管理すると同時に、NFTや電子透かしによってアバターの唯一性・真正性を証明できるアバター生成管理基盤として、AVATECTを開発した。

アバターに関するメタ情報を管理

アバターを生成した際に「モデル情報」(氏名・身体的特徴・元となる顔写真など)、「モデルが当該アバター生成に対して許諾しているか(オプトイン)の情報」「アバター生成者(もしくは生成ソフトウェア、サービス)情報」「アバター生成日時情報」「現在のアバター利用権情報」などを、メタ情報として記録。「アバター生成管理基盤」に、アバター本体とメタ情報を紐づけて保管する。

NFT化と電子透かしで唯一性と真正性を証明

生成したアバターをNFT化することで、アバターに唯一性を示す情報を付与する。一方、NFT化だけではアバターの不正コピーや二次加工は防止できないため、AVATECTでは、目視では判別できない情報「電子透かし」を埋め込むことで、オリジナルかコピーされたものかを判別できるようにし、アバターの真正性を証明する。凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

アバターの本人認証(2022年度実装予定)

凸版印刷が提供する「本人確認アプリ」との連携により、アバターの登録やメタバースへのアバターのアップロードロード権限を、本人確認された利用者のみに限定することを実現する。またこの本人確認アプリでは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が提供する公的個人認証システムと連携し、マイナンバーカードを使って本人確認を行う。

将来的には、メタバース内で提供される会員入会申込みやオンライン決済のような本人確認が必要なサービスにおいて、アバターと本人確認された利用者を紐づけることで、サービス事業者が本人確認書類の確認プロセスを経ずにサービス提供を行えるようにする。

Web3のパワープレイヤー「アニモカブランズ」が日本進出、戦略的子会社「Animoca Brands株式会社」が11億円のシード調達

Web3のパワープレイヤー「アニモカブランズ」が日本進出、戦略的子会社「Animoca Brands株式会社」が約11億円のシード調達

香港拠点のAnimoca Brands(アニモカブランズ)は2月15日、日本における戦略的子会社「Animoca Brands株式会社」(Animoca Brands KK)の2021年10月25日設立を発表した。またAnimoca Brands KKは、シードラウンドとして約11億円の資金調達を2022年1月に完了したと明らかにした。引受先は、IPX1号ファンド(MCP アセット・マネジメント)、Animoca Brands。シードラウンド完了を経て、今後東京都港区を拠点に日本における事業拡大に取り組む。

Animoca Brands KKは、大手出版社、ブランド、教育、スポーツ競技団体、アスリート、アーティスト、ゲーム会社といった、日本の知財やコンテンツ(IP)ホルダーがグローバルで直接コミュニティを作るとともにファンを獲得し、トラフィックを創生することを支援する目的で設立。具体的には、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームを構築・提供し、日本の知財・IP ホルダーがWeb3のエコシステムの中で自らNFTやトークンを発行できる仕組みを提供。これにより、ファンとのコミュニティの構築・成熟化を支援するという。

  1. Web3のパワープレイヤー「アニモカブランズ」が日本進出、戦略的子会社「Animoca Brands株式会社」が約11億円のシード調達

スーパーボウル2022に登場したテック広告のベストとワースト

米国資本主義を理解するために、スーパーボウル中継で見たCMについて翌日語り合う井戸端会議以上のものがあるだろうか。フード・デリバリー・アプリから、なんとApple製ではないスマホまで、昨日の夜数々のテック企業が視聴者の注目を集め、おかげで我々は、友人たちにNFT(非代替性トークン)は暗号資産と同じではないことを説明しなければならなくなった。

イタさと有効性で測った、2022年のスーパーボウルのベスト(とワースト)テック広告を以下に紹介しよう。

Coinbase(コインベース)

QRコードがDVDのスクリーンセーバーのように黒い画面を跳ね回り、ジェネリックなテクノ・ソングが流れる中、原色を切り替えていく。私はスマートフォンを取り出しQRコードをスキャンした、やらない理由がないから。部屋の向こうから友人が叫んだ「やっちゃだめだ!ウイルスかもしれない!それどころか暗号かも!」。もちろん、そのQRコードは私の端末でCoinbaseのウェブサイトを開き、新規ユーザーには購入義務なしで15ドル(約1733円)のBitcoin(ビットコイン)を提供していた。Coinbaseの最高プロダクト責任者、Surojit Chatterjee(スロジット・チャタージー)氏によると、このCMの人気は絶大で、Coinbaseは過去に類を見ないトラフィックを経験した。

有効性:6/10

このCMに効果があったことは明らかだ、なぜなら集中したトラフィックでウェブサイトがダウンしたのだから。ただし、ウェブサイトがダウンしたということは、失ったものもあるはずだ。

「暗号資産について語る代わりに、いくらかプレゼントすることにしました」とい彼らのマーケティング戦術も私は買っていない。どんな投資でも同じだが、自分が何に投資しているかを知っていることが、おそらく良いことだ!状況を把握するためには市場に参加しなければならないのは確かだが、消費者に投資して欲しいものが何であるかを、どの暗号資産CMも説明していないのは実に不可解だ。

イタさ:7/10

このレトロ美は実際どこかクールだ。弾むQRコードはリスキーだが、私は他のどれよりもこのCMを覚えている、ということはうまくいっている。しかしQRコードの行き先は、特典情報が書かれたウェブサイトで、そのウェブサイトが少々イタい。Coinbaseはサイトに「WAGMI」と書いていて、これは暗号資産界のスラングで、「we are gonna make it」(私たちは成功します)のことで「我々は数年のうちに燃え尽きて多くの人々に損をさせるスタートアップではありません」という意味だ。しかし、WAGMIと言っているということは、実はNGMI(not going make it、うまくいくわけない)を恐れていることを暗示しているのかもしれない。

関連記事:CoinbaseがNFT市場参入を発表、OpenSeaに対抗するマーケットプレイスを準備中

FTX

 

これもまたもう1つの暗号資産交換プラットフォーム。カリブ諸島、バハマ拠点のFTXは、先月4億ドル(約462億円)の資金調達を完了し、企業価値が320億ドル(約3兆7000万円)に達した。資金のいくらかはマーケティングに使うことになるのだから、著名な気難しいLarry David(ラリー・デヴィッド)監督に初めてのスーパーボウルCM制作を依頼したのも当然だろう。

CMの設定は「Curb Your Enthusiasm(邦題:ラリーのミッドライフ★クライシス)」のスターが何事にも懐疑的なあまり、大きな投資のチャンスを逃したというもの。彼はEdison(エジソン)に、彼の電球はNGMI(直接の引用ではない)だと言い、さらに食洗機なんて使う意味はない、なぜなら食器にシャワーを浴びせればいいのだから、という。

ラリー・デヴィッド監督は暗号資産を理解していないので、それはこの先端産業が実に、実に、実にすばらしいに違いないことを意味している。

有効性:6/10

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)によると、FTXと広告代理店のdentsuMBは、80本の脚本を検討し、分散型金融を電球の発明に位置づけるこのコンセプトに決定したそうだ。そして、「Seifeld」(となりのサインフェルド)の共同クリエイターでもあるデヴィット監督による4日間の撮影と、280時間にわたる編集の結果、7時間半の撮れ高を60秒に凝縮した。そして、さらに200時間を費やしてこのCMのティーザーを制作した。

というわけで、この努力には敬意を払わなくてはならない(加えて、ラリー・デヴィッドは私の問題含みのお気に入り)。でもだめだ。膨大な時間とお金をかけたこの広告は、暗号資産の仕組みを何1つ教えてくれない。

イタさ:10/10

CMにはラリー・デヴィッド氏が登場する。

Crypto.com(クリプト・ドットコム)

これまたもう1つの巨額なマーケット予算の暗号資産取引所Crypto.comはFTXとよく似たアプローチをとった。彼らはスターのパワーを使って、暗号資産はテクノロジーの次の段階に過ぎないことを視聴者に信じ込ませようとした。しかし選んだタレントは、どちらかというとスポーツファンの方が馴染みがあるだろう。この30秒のスポットCMで、LeBron James(レブロン・ジェームズ)が若き日の自分に向かって「歴史を作りたかったら自分で指揮を取らなくてはだめだ」という。次にCrypto.comのロゴが画面に現れる。

有効性:7/10

みんなスポーツ界のスターをテレビで見るのが好きだ。しかしこのCMは暗号資産について、CoinbaseやFTXよりも説明していない。そしてこのCMは、FTXのCMよりはるかに予算が少なく、衣装とセットの切り替えと特殊効果がまん延している。

イタさ:8/10

私はここに関わっている物理学についてもっと知りたい。レブロンはどうやって時間内に戻ったのか? 若き日の自分に我々の時代の暗号ブームについて話しているということは、レビロンはNBAに行けなくて、ということは21世紀にフロリダ州南部で成功したプロスポーツチームは現れなかったといこと?あまりにも疑問が多い。

Meta Quest 2(メタ・クエスト・ツー)

 

Facebook(フェイスブック)は自らをMeta(メタ)に再ブランドしただけではなく、自社のVRヘッドセットもOculus Quest(オキュラス・クエスト、同社が買収したVR会社の名前)から、単にMeta Questへと変更した。

このCMは、まぎらわしくてうっとうしい。要するに、何人かのアニマトロニックミュージシャン(ピザチェーンのChuck E. Cheese[チャッキーチーズ]風の店で一緒に働いている)が職を失い、一緒に集まることができなくなった。しかしMeta Quest 2を使うことで、人生の苦難を忘れソーシャルVRアプリ、Horizon Worlds(ホライゾンワールド)で足のないアバターとなって集合する。

有効性:3/10

目的がブランド認知であるならば、まあいいだろう。しかしこのCMは「現実世界に不満ですか? メタバースをやってみましょう」的にやってくる。しかも、Horizon Worldは、CMで見せているものとは程遠い洗練度なので、完成度で減点された。

イタさ:9/10

ラリー・デヴィッド監督を雇うべきだったがそうははしなかった。

関連記事:かつてフェイスブックと呼ばれた会社が「Oculus」ブランドをさりげなく抹殺

Google Pixel 6(グーグル・ピクセル・シックス)

同社のスマートフォン、Pixel 6の魅力を披露するために、GoogleはスーパースターのLizzo(リゾ)と組んでReal Tone(リアル・トーン)機能にスポットを当てた。

「子どもの頃から、卒業アルバムの写真は残らずひどいものでした」というナレーションが、卒業衣装をまとった友人たちの写真に重ねられる。顔色が暗く写った人たちが写真の背景に溶け込んでいる。

次にGoogleは、同社のReal Tone機能をつかって撮影した写真を見せる。コンピューター処理写真技術を使ってさまざまな肌の色の人たちの写真を正確に表現する技術だ。華麗な写真が、ラゾの未公開トラックが流れる中で映し出される。

有効性:10/10

GoogleはCMにリゾの新曲を持ってきた。TechCrunchのAnnie Saunders(アニー・サンダーズ)記者のことばを借りると「私はスーパーボウルを見なかったけれど、リゾのPixelの広告はInstagram(インスタグラム)で見ました。リゾのやっていることはすべてが正しくて善です」。

イタさ:2/10

CMにイタいところはまったくないのだが、スマートフォン・ビジネスにおけるApple(アップル)と比べたGoogleの市場シェアは彼らにとって少々イタいかもしれない。

関連記事:あらゆる肌色の顔を美しく見せるPixel 6カメラのReal Tone、多様性を広げるAI技術

T-Mobile

Miley Cyrus(マイリー・サイラス)氏と彼女の名付け親、Dolly Parton(ドリー・パートン)氏が、揃ってT-Mobile(ティー・モービル)の5Gネットワークを2本の30秒スポットで宣伝した。最初の1本でドリー・パートン氏はPSA(公共サービス広告)風に登場し、自分たちの携帯電話のためにAT&T(エーティーアンドティー)やVerizon(ベライゾン)から乗り換えましょう、と人々に推奨する。次に彼女はマイリーを呼び、あなたの声で携帯電話を救うように促す。次のCMでは、マイリーが録音スタジオで「携帯電話たちのために行動しましょう / 彼らはとても多くのことをしてくれました」といった心のこもった歌詞を大きな声で歌っている。彼女はさらに、黒のブレザーと革手袋姿ではっきりと「T-Mobile」の名前も歌った。

有効性:7/10

私は注目した、なぜならドリー・パートンとマイリー・サイラスは楽しいと思っているからだ。ふたりは他社ネットワークのよくないといわれる5Gカバーエリアを強く叩いたかもしれないが、フットボールの精神に則ってタックルなりなんなりして攻めて欲しい。

イタさ:9/10

Uber Eats(ウーバー・イーツ)

Uber Eatsでは、アルミホイルやスポンジ、キャンドルなどの生活必需品も注文できる、食品だけではない。そこでこのCMは、Jeniffer Coolidge(ジェニファー・クーリッジ)氏やGwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロー)氏、Trevor Noah(トレバー・ノア)氏、Nicholas Braun(ニコラス・ブラウン)氏といったセレブたちが、何が食べ物で何がそうでないかに困惑するとどうなるかを見せている。

有効性:8/10

これで困った時にUber Eatsでアルミホイルを変えることがわかった。しかしこれは、この会社のマーケティングのしくじりを覆い隠そうとしているように感じる。おそらく、Uber Eatsをスタートする時「eatsとnot eats」の両方を示す名前を選ぶべきだったことを。

イタさ:8/10

使われている、Capone(カポーン)の「Oh No(オー・ノー)」は、1年ほど前にTikTok(ティックトック)で流行った曲だ。すでに話題性のないトレンドを利用して若い世代にアピールしようとすることは、ある種のイタさだ。

Amazon(アマゾン)

音声コントロールデバイスのSmart Homeを発売して以来、Amazonは消費者の間で繰り返される恐怖を緩和しなければならなくなった。Alexa(アレクサ)は私を見張っているの? 知り過ぎじゃない? 彼女が強くなりすぎたらどうなるの?

しかしAmazonは、もしAlexaが人の心を読めたら何が起きるかを数百万人の視聴者に見せることにした。女優のScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)氏が夫で”Saturday Night Live”(サタデー・ナイト・ライブ)のColin Jost(コリン・ジョスト)氏の横で目を覚ました時、Alexaは彼の心を読んでマウスウォッシュのエクストラ・ストロングを注文した。ヨハンソン氏がジョスト氏にしゃべるのをやめて欲しいと思った時、Alexaは大きな音のするブレンダーを動かした。

有効性:6/10

最終的にジョスト氏とヨハンソン氏は、この心を読むマシンはやっぱり良くないという結論を下すが、私が思うにこのCMの目的は楽しませることであって、製品が何をするかを説明することではない。それでもジョスト氏はスマート・デバイスを使ってテレビをつけることに成功し、Alexaのあまり怖くないスキルを見せた。怖くないのは、Alexaが心を読める「ように」見えて、「実際には」心を読んでいなからだ。

イタさ:7/10

このCMはどこかおもしろい!しかし、Amazonの作った広告を見て笑うことはイタい。イタいものを持ってきてしまったのは、我々の失敗だ。

 

AmazonはPrime Video(プライム・ビデオ)がサーズデー・ナイト・フットボールの独占中継局になることを予告し、AmazonとNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)が結んだ11年契約の始まりを飾った。

有効性:9/10

9月15日から、フットボールファンは木曜夜のゲームをPrime Video独占中継で見ることができる。わかりやすい!簡潔だ!これはフットボール・ファン視聴者に特化してつくられた広告だが、誰がスーパーボウルを見るのだろう?フットボールファンだ!

イタさ:5/10

「私たちは来シーズンまでずっと、この世界をゲームなしで生きていかなければなりません」というナレーションが、フットボールロスのために巨大なあごひげを伸び放題にしている人物を背景に流される。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

英歳入関税庁が2.2億円相当の脱税案件の捜査にともないNFTを押収、英法執行機関として初

英歳入関税庁が2.2億円相当の脱税案件の捜査にともないNFTを押収、英法執行機関として初

Dinendra Haria/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

英国の歳入関税庁(HMRC)が、詐欺事件に関わる調査の一環としてNFT3つを押収したことを明らかにしました。当局によると、このNFTに関して140万ポンド(約2.2億円)以上の付加価値税(VAT)詐欺の疑いがあり、調査の一環としてのNFTおよび5000ポンド(約78万円)相当の暗号資産を押収したとのこと。英国の法執行機関がNFTを押収するのは今回が初めてとされます。

容疑者は偽造身分証明書、プリペイド電話、VPNなどを使い、250以上の偽装企業を通じた金品の売買に応じて徴収されるVATの額をごまかしていたとされ、脱税の疑いで逮捕されました。

調査はまだ進行中ですが、HMRCの経済犯罪担当副局長ニック・シャープ氏は、このNFTの「押収事例が暗号資産を脱税に利用すれば金を隠しおおせると思っている人たちへの警告になる」と述べ「われわれは常に新しい技術に対応し、犯罪者が資産を隠そうとする方法を研究把握している」としています。

NFTとは、デジタルアートワークやビデオゲームのキャラクターなどバーチャルなアイテムの所有権を追跡するために、ブロックチェーン技術を応用した非代替性トークンのことで、これが添付されたデジタルアートや、何らかのデータが本物かどうかを証明する鑑定書のようなものといえばわかりやすいかもしれません。

巨額の案件がいくつかニュースになり、その結果2021年には総額400億ドルを超えるNFTが販売、取り引きされたと伝えられています。しかしNFTには法的な規制や保護が整備されていない状況であり、たとえば自己売買(いわゆるウォッシュトレード)を繰り返すことによる価格つり上げから、まがい物、盗作品などを使った詐欺案件も急増しています。

NFT売買大手の米OpenSeaは、今回のNFTの押収について「犯罪者が暗号のしくみを隠れ蓑にできないことを示している」とし「執行機関がその取り引きを追跡して違法行為に使われたNFTと暗号資産を押収し犯罪者に利益を得させないようにできる」とコメントしています。

(Source:BBC NewsCNBCEngadget日本版より転載)

【コラム】所有の新しいかたち、P2Pファイル共有から音楽NFTまで

Outkast(アウトキャスト)の海賊版が販売されていた2003年に、そのMP3のコピーを所有することでロイヤリティー(著作物使用料)を得られる世界を想像できただろうか。

NFT(非代替性トークン)やWeb3への批判が高まる中、ヒップホップ界のレジェンドでありイノベーターであるNas(ナズ)は、自身のシングル2曲をNFTでリリースしている。ファンはこれを購入することにより、ストリーミングのロイヤリティを得ることができる。音楽NFTの人気の高まりにより、次のような非常に興味深い議論に注目が集まっている。ブロックチェーンは、トレントの自由でオープンであるという利点に相反するものだろうか。ブロックチェーンは、コンテンツの違法コピー製作者と同じように、ゲートキーパーを排除しようとしているのだろうか。

アーティストとファンの対立

デジタルエンターテインメントの歴史の中で最も対立が激しかったのは、Napster(ナップスター)が登場してきた時期と、2000年代、BitTorrent(ビットトレント)が広く普及した時期だ。この時期、音楽業界、映画業界が大きく変わり、アーティストとファンが対立した。2000年代の終わりには知的財産権の行使が急増し、同時に、Spotify(スポティファイ)、Netflix(ネットフリックス)、Apple Music(アップルミュージック)などに代表されるような、デジタル商品の消費者向けオプションが大幅に拡充した。

Web3への移行が始まり、デジタル所有権、知的財産マネジメント、クリエイターの権利といった概念に再び注目が集まっている。Web3を批判する人たちはトレントの特性と比較して否定することが多い。トレントは「知的財産権への革新を求める抵抗」の表れで、コンテンツがよりオープンで自由で利用しやすいインターネットを生み出したのに対し、ブロックチェーンはその逆のことを行っている、というのがその言い分だ。

これには的外れな点がある。まずユーザーがトレントを利用する理由として、金銭面の節約という人もいたが、多くの人にとっては公式の有料コンテンツに比べて利便性が圧倒的に高いからというものだった。トレントの動きは、急速な技術革新によって引き起こされた、時代遅れのビジネスモデルに対する消費者の反発と捉えると、非常にわかりやすい。その意味で、Web3はまさにトレント時代の精神を継承したと言える。

もう1つの問題は、Web3を批判する人たちが当時の実際の論点を忘れてしまっていることだ。哲学的な考えを持った当時の違法コピー製作者たちは、その行為の大義名分として、アーティストは中間業者のせいで不利益を被っていると指摘していた。

「アーティストはツアーで稼いでいるから問題ない」というのがその時の目立った主張で、大規模な音楽出版社はたいてい悪者とされた。実際には、トレントがレコードの売上に影響を与え、音楽出版社とアーティストの両方の利益が損なわれた可能性が高い。トレントの動きをWeb1.0支持者によるWeb2.0移行への反発としてのみ捉え直すのは、コンテンツの違法コピーにより不利益を被る人たちを無視する「バラ色のメガネ」をかけた楽観主義だ。

また、自らの権利を主張し、音楽出版社側に付いていたと思われる多くのミュージシャンもファンの反感を買ったが、これによりトレントの道徳的優位性が高まるということはなかった。

一方、Web3では、コンテンツへのアクセスだけでなく、そのコンテンツで何ができるかということも重要視されている。言い換えれば、コンテンツの実用性と価値、とりわけこの問題の中心であるクリエイターにとってのそれが重要になる。ゲートキーパーを排除しようとする点では、Web3の構築者とトレントのサービス提供者は多くの同じ目標を共有している。

しかしWeb3は、強力な希少性、透明性、完全な所有権、明確な出所など、トレントよりはるかに優れた武器をこの戦いのためにクリエイターやファンに提供する。アーティストが自分のコンテンツを直接所有し、自分のコミュニティとのつながりを維持することは、これまで以上に容易になってきている。Web3はある点ではトレントに敬意を表しつつ、アーティストとそのファンにとってより有意義で、彼らに経済的な力を与えることのできるインフラを提供している。

ゲートキーパーの排除

トレントとブロックチェーンは、どちらもピア・ツー・ピアの分散型テクノロジーであるという点で類似している。また、NFT人気の高まりにより、ブロックチェーンはコンテンツを配信するためのより一般的な方法になりつつある。コンテンツ配信はビットトレントが手がけるサービスでもある。これらのテクノロジーの大きな違いの1つは、知的財産権に対するそれぞれのユーザーのアプローチだ。

トレント時代、Web3時代のどちらにおいても常に認識されているのは、創作活動は難しく、楽しく、利益や称賛に値するという事実だ。知的財産権は、このような創作活動が継続的に行われることを保証する1つの方法である。これまでの知的財産権の制度では、創造活動の価値は、ゲートキーパー、レントシーカー(既得権者)、中間業者によって圧倒的に掌握されていた。こうした枠組みでは、中間業者は価値を「発掘」するための手段に過ぎないということが見逃されている。

私と同じようにシャワーを浴びながら好きなように歌う人たちには好感しかないが、アーティストが何もない部屋に閉じこもって創作活動をしても、家賃を支払う助けにはならない。そのために、音楽出版社、レーベル、管理会社、代理店などが登場してきたのだ。賛否両論あるものの、こういった中間業者は、テクノロジーや配信手段の特質を考えると、非常に長い間、信じられないほどの成功を収めてきた。それでも、決して価値の発掘が大きな問題としてなくなったわけではない。もっと詳しいことが知りたい方には「shill on Twitter(Twitter上のサクラ)」の部屋がある私のNFT Discord(ディスコード)を紹介したい。

ともあれ、トレント時代に激しい対立が生まれた要因は、これらの中間業者が、支援するべき才能あるクリエイターが手にするよりはるかに大きな力と価値を持つようになったと考えられたことにある。とりわけ急速に技術革新が進む時代にありながらである。

Web3の大きなゴールは、トレントのサービス提供者が追い込んできたゲートキーパーを根本的に排除することだ。Web3に問題があるとすれば、その1つは、ゲートキーパーが数多く存在するということだ。このような透明で分散化されたツールを使えば、自分が苦労して稼いだお金が支援したいクリエイターやプロジェクトに直接使われているのを実感できることが増えていく。

オープン台帳やスマートコントラクト、ホワイトペーパーは、かつてクリエイターが強制的に結ばされていた不可解で機密性の高い契約とは際立って対照的だ。これまでは知的財産権がクリエイターを保護してきたが、これからは新しいメカニズムがその役割りを果たすことが期待されており、利益を得るのはクリエイター自身であると確信できるようになった。あるアーティストの言葉を借りれば、このテクノロジーによって「クリエイターを増やし、音楽を増やし、そして人間としての体験を増やしていく」ことが可能になるのだ。これを「昔は知的財産権は悪だったが、今は知的財産権は善だ」とまとめては、両者の動きの核心を完全に理解していないことになる。

権利を求める戦い

NFTは、アルバムや物理的なアートと完全に置き換わるものではない。音楽を聴いたり美しいものを集めたりするのに、暗号資産ウォレットは(おそらく)必要ないだろう。NFTはファンに新しい体験を提供すると同時に、権利設定とクリエイターの自活能力の両方に大きな影響を与える。

私は4年以上かけてTwitch(ツイッチ)の音楽サービスを構築し、そのうちのかなりの時間をDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の調査に費やしたため、米国のデジタル知的財産権の行使には頭痛がともなうをことをよく知っている。

NFTは、それよりはるかに明確で、透明性が高く、相互運用性があり、効率的なビジネス手法だ。すべての所有権の詳細は法律用語に埋め尽くされることなく、単純なコンピューターでも理解できる言葉で書かれている。さらにこれらの契約がシンプルであれば、ライセンスの利用が大幅に促進される。これは、購入しやすいMP3への移行が音楽ストリーミング産業の始まりとなった流れと同様だ。人々はやるべきことをしたいと考えており、それを容易にかなえられる製品があれば、それを実行に移す。

つまり、NFTはコラボレーションへの障壁を下げ、ファン自らもクリエイターを志せるきっかけなるということだ。ファンがアルバムを所有すれば、そのアルバムを使ってリミックスやサンプリングができるようになるだけでなく、ストリーミングしたり、バーで流したり、映画やポッドキャストのサウンドトラックに入れたりする権利も得られるというのであれば、それはとてもすばらしいことだ。

当然のことながら、NFTの利用に際して譲渡される権利はアーティストが所有しているか、権利者により譲渡される必要がある。これが独立系アーティストがこの領域でのイノベーションと早期導入を後押しする理由だ。彼らは自分たちのために公正な権利プロファイルを保持しており、そのおかげで活動の余地がさらに広がる。

契約を結んでいるアーティストにも参加のチャンスはある。自分の肖像や制作したアートをベースにしたアートやコレクター向けのNFTを発行することができるだろう。私は、クリエイターがNFTをメリットバッジやコンサートなどのライブイベントへのアクセスパスとして活用しているを見るのが好きだ。多くのミュージシャンがこのような新しい手法を使い、自分たちのファンクラブを変えることに成功している。そこでは、完全な所有権と、一緒にコミュニティを構築する機会を得られる。

訴訟ではなく、コラボレーション

ブロックチェーンのテクノロジーは、自分のファンを把握する、中間業者を介さずにファンに物を贈ったり売ったりする、共有されたアーティファクトやシグナルでコミュニティを形成することなどを可能にして、アーティストがファンとのコミュニティを構築するための直接的な方法を提供する。

こういった活動を組み合わせることで、アーティストは20年前(特にファンを訴えていたころ)をはるかにしのぐコミュニティ形成力が得られる。そしてこれらのことはすべて、かつて消費者へのアクセスを管理していた中間業者を介さなくとも実行可能だ。

さあ、一息ついて、クリエイターたちにこの新しい領域を開拓する余地を与えよう。そして、これから構築される新しい物事を保護するために知的財産法が役立つのであれば、それを称えよう。私たちは、近年の技術的な動きにおいて最も重要な原則が、いまだ有効であることを喜び、そして理解することができる。その原則とは次のようなものである。「作品を生み出すというのはたいへんなことであり、クリエイターとその作品は保護されるに値する」。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Chris Fortier、翻訳:Dragonfly)