double jump. tokyoが「NBA Top Shot」のDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

doublejump. tokyoがNBA Top ShotやCryptokittiesのDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

ブロックチェーン技術を用いたアプリ開発を行うdouble jump.tokyoは4月22日、「Cryptokitties」(クリプトキティ)や「NBA Top Shot」(NBAトップショット)を手がけるDapperLabs(ダッパーラボ)と提携したと発表した。DapperLabsが開発するブロックチェーン「Flow」(フロー)に関するNFTおよびブロックチェーンゲームなどの対応、トランザクションが正しいかどうかを検証・合意形成を行うValidatorNode(バリデーターノード)の運用を開始する。

Flowは、NFTを世に広めた初のコンテンツ「Cryptokitties」などのDapperLabsが手がけている、新たなブロックチェーン。現在は、Flow上で動作する同社開発・運営のNFTトレーディングカードゲーム「NBA Top Shot」が人気で、サービス開始後の流通取引総額が約400億円となったことから第2のNFTブームを生み出すきっかけのひとつとなっている。

double jump.tokyoは今回のパートナー提携により、Flowを通じたNFT・ブロックチェーンゲームの海外展開の推進、またFlowの日本進出を支援する。同時に、ValidatorNodeの運用を開始することで、Flowチェーンの地理的な分散性に貢献する。

またdouble jump.tokyoが開発してきた、AWS Key Management Service(AWS KMS)を使ったビジネス向け「Flow Wallet SDK」をオープンソース(MITライセンス)として提供開始。すでに「AWS KMS authorizer (signer) for Flow blockchain」としてGitHub上で公開している。Flowでサービス展開を行う企業に広く使用してもらうことでFlowエコシステムに貢献するとしている。

Ethereum上のNFT標準規格「ERC-721」の生みの親「DapperLabs」がFlowを新規開発

Flowは、Cryptokittiesと、Ethereum上のNFT標準規格ERC-721を生み出したDapperLabsが、新たなブロックチェーンとして開発した。

doublejump. tokyoがNBA Top ShotやCryptokittiesのDapperLabsと提携、「Flow」ブロックチェーンの日本進出支援

現在のEthereumは、ガス代の高騰をはじめとするスケーリング問題に直面していること、コンシューマー向けのレイヤー1ブロックチェーンが存在しないことなどの課題が広く知られており、これに対してFlowは、DapperLabsがゲームやアプリ、またNFTなどのためにゼロから開発したブロックチェーン基盤と位置付けている。

Flowのユースケースとしては、先のNBA Top Shotが挙げられる。NBA Top Shotでは、ローンチしてから2021年2月末までの5カ月間で2億3000万ドルの取引が行われており、世界中から話題を集めている。

double jump.tokyo

2018年4月設立のdouble jump.tokyoは、ブロックチェーン技術を用いたゲームおよびアセットの開発・運営・販売を手がけるブロックチェーンゲーム専業開発会社。

数多くのゲーム(モバイルソーシャルゲーム、PCオンラインゲーム、家庭用ゲームなど)およびプラットフォームの開発・運営、ブロックチェーン技術および暗号資産を含むファイナンスにおけるノウハウを有するメンバーが参画している。

同社のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリプトヒーローズ)は2019年8月、DappRadarにおいて、ブロックチェーンゲームとして世界No.1のユーザー数、トランザクション数を記録した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)Amazon Web Services / AWS(製品・サービス)Ethereum(製品・サービス)ERC-721(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)Dapper Labs(企業)
double jump.tokyo(企業)Flow(製品・サービス)ブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

スポーツ選手のNFTと独占コンテンツを販売するSportsIconが「7桁」ドルの資金調達

スポーツ選手の関連品は、主にその信奉者が支払う価格によって価値が決まる投機的資産の一種だ。非代替性トークン(NFT)は、このスポーツ・メモラビリアと相性が良い。新規スタートアップ企業のSportsIcon(スポーツアイコン)は、スポーツに特化したNFTを通じて、さらに多くの価値を提供することを目指しており、アスリートとの直接のコラボレーションや、プロスポーツ選手によるレッスンを、1品物のデジタルグッズに添えて提供する。

SportsIconは、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)のCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガーレゴズルー)氏から支援を受けている。NFTの流行を牽引する同社は、「NBA Top Shot(NBAトップショット)」という人気ゲームサービスを展開している企業だ。他にも、ラッパーのNas(ナズ)氏(彼の投資先には、数々の新規企業に対する予見的な賭けが含まれている)や、元NBA選手のAndrew Bogut(アンドリュー・ボーガット)氏、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)のパートナーであるNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏などがSportsIconに出資している。同社は事業開始と合わせて初回の資金調達を発表したが、総額は明らかにせず「7桁台(数億円)」とだけ述べている。

SportsIconはまず最初に、アスリートたちとのコラボレーションにより、彼らのスポーツキャリアの歴史的な瞬間を記念して作成された15〜20のNFTを公開する予定だ。これらのNFTには「2時間のマスタークラス」が付属し「ファンは、彼らのメンタルとフィジカルのトレーニング方法、テクニック、ベスト・プラクティスを学ぶことができます」と、同社はプレスリリースで述べている。

このマスタークラスを提供するというやり方は、同社共同設立者であるChris Worsey(クリス・ウォージー)氏が、Coursematch(コースマッチ)をはじめとする数々の教育テクノロジー系スタートアップを起ち上げた経歴に由来する。この取り組みで重要なことは、市場に投入するNFTと一緒にパッケージ化される独占コンテンツであることだと、ウォージー氏はTechCrunchに語っている。このコンテンツは、アスリートと一緒に2日間の撮影を行って制作され、1日目は「彼らの道のりや過去についてのインタビュー」、2日目はトレーニングフィールドでの撮影となっている。このような独自コンテンツを作ることによって、SportsIconは差別化を図ると、ウォージー氏は述べている。

「これが重要なポイントです。コンテンツには希少性が備わっていることが魅力になります」と、ウォージー氏はいう。「私たちは、このコンテンツを他の場所で公開することはありません」。

「アイコン的なアスリートとの長期的な関係を築くことを望んでいる」と、ウォージー氏は語っているが、金銭的な詳細や分配は契約ごとに異なるという。場合によっては、アスリートが自分の選んだ慈善団体に収益を寄付することもある。各々の作品はオークションにかけられ、1パックあたり10ドル(約1080円)から999ドル(約10万7800円)で販売される見込みだ。ウォージー氏によると、より高価なパックは「アイコンが最高の瞬間を語っているような、本当に貴重なもの」になるという。パックの中には、サイン入りの記念品や試合のボックス席など、現実世界の物品も含まれる。

ウォージー氏によれば、SportsIconの真の差別化は、コンテンツに力を入れ、独自であるだけでなく、高品質なものを作ることだという。

「SportsIconが他と違うのは、私たちがコンテンツに投資しているからです」と、ウォージー氏はTechCrunchに語った。「私たちは世界レベルのディレクターを雇って、世界レベルのコンテンツを制作しています」。

このスタートアップ企業は、デビューとなるNFTで一緒に仕事をするアスリートについてはまだ明らかにしていないが、同社のプラットフォームに登場する最初のスポーツスターは、サッカー、テニス、MMA、バスケットボール、野球の選手で、それぞれの分野におけるスターとの契約交渉が現在進行中であると、述べている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SportsIconNFTスポーツ資金調達NBA

画像クレジット:Patrik Giardino / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】もしものときにNFTや暗号資産を失わないようにする方法

本稿の著者Erin Bury(エリン・ベリー)氏は、トロントに拠点を置く総合的なオンライン不動産計画サービスWillfulのCEOで共同創業者。

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消費者が富を築く場合、その内容はたいてい、現金、投資、不動産、自動車、宝飾品、美術品をはじめとする「有形の」資産である。しかし、最近は新たなタイプの資産も増えている。暗号資産(仮想通貨)や、最近注目され始めたNFTなどの「デジタル資産」だ。

我々は今、史上最も大規模な「富の移転」を経験している。今後数十年で、16兆ドル(約1745兆円)に相当する資産の所有権が移転すると予測されているのだ。物理的な資産であれば、緊急時や死亡時にその所有権を比較的容易に移転できるが、デジタル資産の場合はそうはいかない。

カナダのオンライン遺書作成サービスWillful(ウィルフル)から委託されてAngus Reid(アンガス・リード研究所)が実施した最新の調査によると、自分のパスワードとアカウントに関する全情報を自分以外の誰かに伝えてある消費者はわずか4人に1人だったという。この調査結果を考えると「消費者はデジタル資産を相続させる準備ができるのだろうか、何十億ドル(何千億円)にも相当する暗号資産が誰にも受け継がれずにデジタルの世界に取り残されることになるのだろうか」と疑問に思わずにはいられない。

物理的な資産であれば、緊急時や死亡時にその所有権を比較的容易に移転できるが、デジタル資産の場合はそうはいかない。

2021年のニュースはデジタル資産に関する話題でもちきりだ。暗号資産は目新しいものではないが、その価値が急騰したり、Elon Musk(イーロン・マスク)氏などの億万長者が暗号資産を支持する発言をしたり、米大手銀行Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)をはじめとする従来型の金融機関がBitcoin(ビットコイン)の取引を取り扱うようになったりしたことで、2020年あたりから暗号資産への注目度が高まっている。何らかの形態の暗号資産を所有している場合、それにアクセスするには64桁のパスコードで構成されるプライベートキーを使うしかない。このプライベートキーがわからなければ、暗号資産にアクセスすることはできない。

ビットコインを購入した後にハードドライブを破棄したりプライベートキーを紛失したりしなければ、今頃は大金持ちになっていたのに、という体験談は数多くある。有名なのは、暗号資産取引所Quadriga(クアドリガ)を創設したGerald Cotten(ゲラルド・コットン)氏の例だ。コットン氏が2018年に急死した当時、同氏は顧客から預かった2億5000万ドル(約272億7000万円)以上の暗号資産を運用していたが、プライベートキーを知っているのが死亡した本人だけだったため、それらの暗号資産資産が実質的に凍結されてしまったのだ。

暗号資産と同じくブロックチェーンによってホストされるNFT(非代替性トークン)という形態のデジタル資産についても、最近、さまざまなニュースを見聞きする。中でも度肝を抜かれたのは、Beeple(ビープル)というアーティストのNFT作品が老舗オークションハウスChristie’s(クリスティーズ)に出品され6900万ドル(約75億円)で落札されたというニュースだ。他にも、トロントでNFTのバーチャル住宅が60万ドル(約6600万円)以上で売れたとか、昔流行ったNBA選手のトレーディングカード遊びのような感覚でNBA選手のプレー中の写真や動画を取引できるプラットフォームの取引高が2億ドル(約219億円)を超えたというニュースもあった。最近注目され始めたこのNFTという資産形態は、デジタル資産に、有形資産と同じか、場合によっては有形資産よりも高い価値が付される可能性があることを証明している。そして、暗号資産と同じように、NFT資産にアクセスする場合にもプライベートキーが必要のようだ。

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生前に遺言書が作成されていれば、故人の資産はその遺言に基づいて分配されるし、遺言書が作成されていない場合は法定相続割合に基づいて分配される。遺言書には、誰がどの資産を相続するか、という概要が記されていることはあっても、最新の資産目録や、パスワード、アクセスキーなどの情報が記載されていることはほとんどない。遺族または遺言執行人が故人のアカウント情報を知らないために引き取り手がおらず、銀行で眠っている資産は何百億ドル(何兆円)にものぼる

銀行口座であれば、遺言執行人が金融機関に連絡し、遺言書の写しや死亡証明書の提出等の必要な手続きを行えば、故人の口座の有無を確認したり、口座内の資産を動かしたりすることは可能だ。しかし、デジタル資産の場合はそう簡単ではない。遺族が銀行に連絡して、故人がNFT資産を所有していたかを問い合わせることはできない。NFTや暗号資産の全体目録のようなものは存在しないし、すべてを統括している中央管理組織もない。そもそも、意図的に分散化されている仕組みなのだ。これは、プライバシー保護の点では理想的なのだが、故人が価値あるデジタル資産を所有していたかどうかを知りたい遺族にとっては少し厄介な仕組みだ。

さらに言えば、故人がデジタル資産を持っていたかどうかを確認するだけでは不十分だ。その資産にアクセスする方法も知る必要がある。Angus Reid Forum(アンガス・リード・フォーラム)がWillfulの委託を受けて実施した最近の調査によると、35歳以下の消費者のうち家族や恋人にアカウント情報を伝えている人の割合は19%で、他の年齢層よりも低かった(ちなみに、55歳以上の消費者のうち家族や恋人にアカウント情報を伝えている人の割合は32%だった)。これは当然のことだ。年齢が若ければ、自分が死ぬことや死亡後の財産分与について考えることは少ないだろう。しかし、テクノロジーを使い慣れている若い世代こそ、その身に何かあった場合に、残された資産のせいで家族を困らせてしまう可能性がある。

では、デジタル資産を守るために消費者は何をすべきなのだろうか。第1に、1Password(ワンパスワード)などのパスワード管理ツールを使用することだ。このようなツールを使えば、アカウントに関するあらゆる情報、ログイン情報、デジタル資産用のプライベートキー、その他の重要な情報すべてをまとめておくことができ、管理者アクセス用パスワード1つを遺言執行人に伝えるか、自分の遺言書に記すだけで済む。

この方法を使えば、自分の身に何かがあった場合に、家族や遺言執行人が自分のアカウントに簡単にアクセスできる。しかし同時に、家族や遺言執行人にリスクを負わせる場合もある、とDirective Communication Systems(DCS、ディレクティブ・コミュニケーション・システムズ)の創業者Lee Poskanzer(リー・ポスカンザー)氏は指摘する。多くのウェブサイトやアプリではパスワードの共有が利用規約の中で明示的に禁止されており、一部の国や地域のプライバシー保護法ではアカウント所有者へのなりすましが禁止されているためだ(米国では「蓄積通信法」と「電子通信プライバシー法」がそれに相当する)。いうまでもないことだが、二要素認証を求められるアカウントが増えており、遺言執行人が故人のスマホにアクセスできなければ、二要素認証に必要な情報を確認するのは困難だろう。

DCSは、死亡時のデジタル資産移転をサポートするプラットフォームだ。しかも、そのためにDCSにパスワードを提出する必要はない、とポスカンザー氏はいう。DCSは遺産管理者と協力して、Google(グーグル)やソーシャルメディアなどのコンテンツプロバイダーに必要書類(死亡証明書、お悔やみ欄の記事、身分証明書など)を提出する。必要書類の内容はコンテンツプロバイダーによって異なるが、それを提出すると、コンテンツプロバイダーからDCSに対し、対象アカウントのコンテンツのデータダンプがクラウド経由で提供される。

第2に、デジタルウォレットやデジタル取引所を使ってデジタル資産を保管することを検討できる。家族がそのウォレットや取引所にアクセスにできれば(この場合でもプライベートキーは必要だが)、ウォレットまたは取引所が独自に定めている死亡手続きを実行できるかもしれない。

例えば、Coinbase(コインベース)は、アカウント所有者が死亡した場合に個人のデジタル資産を遺言執行人または遺族に払い戻すための手順を明確に定めている。万一の場合に備えて、プライベートキーを物理的な紙に書き、それを貸金庫や耐火金庫などの安全な場所に保管して、自分の死亡時に遺言執行人がその保管場所にアクセスできるようにしておくこともできる。

第3に、最新の資産目録を作成し、遺言執行人や家族の中でも特に親しい人物がその目録を見られるようにしておくことだ。この目録には、物理的な資産とデジタル資産の両方を記載し、年に一度か、あるいは新たな資産を取得したときや金融機関を変更したときなどに、定期的に見直して更新する必要がある。最後に、遺言書を作成して自分の資産をどのように分配したいかを明確に記し、デジタル資産の分配方法についても具体的な指示を書いておくことだ。

遺言書の作成は、種類を問わずあらゆる資産を守るため、あるいは未成年者の後見人などの重要な指名を行うためのベストプラクティスであるだけでなく、アカウント内の資産を遺族に引き渡してもらうためにも必要なステップだ(例えば、コインベースでは、故人のアカウント内の資産を遺産管理者に引き渡してもらうには、遺言書の写しを提出しなければならない)。

莫大な富が次の世代へと移転されていくにつれて、銀行、フィンテック企業、暗号資産取引所、ソーシャルメディアプラットフォームをはじめとするコンテンツプロバイダーは、死亡手続きを明確に定めるようになり、デジタル資産の有無を生前に誰かに伝えることや、遺族がそのような資産にアクセスすることは今よりも容易になっていくだろう。そうなるまでは、本記事で紹介した方法を実行することによって、自分が希望する人物や組織に遺産を確実に分配し、自分のデジタル資産が行き場を失ってデジタル煉獄に閉じ込められるのを防ぐことができる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT暗号資産コラムWillful遺言終活デジタル遺産資産管理

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(文:Erin Bury、翻訳:Dragonfly)

NFTとは何か?デジタル収集家たちのなぜ今、熱狂しているのか?

代替不可能なトークン(NFT、Non-fungible token)は、Ethereumなどのブロックチェーン上の唯一無二の価値を表現するデジタルアイテムの1つである。NFTは2年ほど前から存在しているが、猫のアニメーションNBAのクリップバーチャル家具といったビジュアルアートを収集する手段として急速な盛り上がりを見せている。

「突発的に」といっても過言ではない。Cointelegraph(コインテレグラフ)によると、2020年後半に900万ドル(約9億9000万円)相当のNFT製品が買い手に売れたという。2021年2月初めには24時間枠で6000万ドル(約66億円)相当のデジタル商品が取引されている。

いったい何が起こっているのか。2021年2月にNew York Times(ニューヨークタイムズ)がこのトレンドについて詳しく報じた記事に加えて、ウィスコンシン州在住のBeepleというアーティストについて書かれたEsquire(エスクァイア)の記事が新たな関心を呼んだ可能性が高い。Beepleはウィスコンシン州出身の父親でもあるデジタルアーティストで、過去13年間にわたり日々制作してきたデジタル描画作品が2020年12月に飛ぶように売れ始めた。転換点のさらなる裏づけが必要なら(現時点で豊富にある)、BeepleことMike Winkelmann(マイク・ヴィンケルマン) 氏の作品がChristie’s(クリスティーズ)を通じて公開されたことを考慮して欲しい。これは由緒あるオークション会社がデジタル作品だけを販売する初めてのケースとなる。

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この市場について、そしてなぜリアルタイムで爆発的に成長しているのかを詳しく知るために、元インターネット起業家のDavid Pakman(デイビッド・パックマン)氏に話を聞いた。同氏は数十年前にベンチャー企業Venrockに入社後、すぐにBitcoin(ビットコイン)の動向を探り始め、2015年からベイエリアにある自宅で暗号資産(仮想通貨)をマイニングしている人物だ(「コンピューターが並ぶ棚を見に来る人に『ちょっと説明しにくい』という感じだった」)。

同氏がNFTの将来性を早くから確信し、新興企業Dapper Labs1500万ドル(約16億4650万円)のシリーズAラウンドを主導するようVenrockを説得したのも驚くことではないだろう。Dapper Labsの主力製品は、暗号資産で購入して育てられる限定版のデジタル猫CryptoKittiesだった。

当初はこのコンセプトにとまどう向きもあったが、パックマン氏は以前から、Dapperが提供するものがさらに広がりを見せることを予想していた。実際、最近NBAと結んだDapperの収集可能なハイライトクリップの販売契約は、すでに多大な関心を集めており、Dapperは現在、評価額20億ドル(約2200億円)で新たに2億5000万ドル(約274億円)を調達したと報じられている。パックマン氏はこの数字を確認したり訂正したりすることを控えたが、その他の質問についてはチャットで回答してくれた。ここでは長さと明確さの観点から編集されている。

TechCrunch(以下「TC」):デイビッド、私たちにもわかりやすく説明していただけますか?なぜ世界は今、NFTに熱狂しているのでしょうか。

パックマン氏(以下「DP」):暗号資産の最大の問題の1つは、難解な用語を使ってごく基本的な概念を説明していることです。約4割近くの人々が、野球のカード、靴、アートワーク、ワインなどをコレクションしています。これにはたくさんの心理的な理由が存在します。セットを完成させることを求める人もいます。投資目的で行う人もいます。家宝としての相続を考えている人もいます。しかし、デジタルの所蔵品はコピーするのが容易であったため、実世界でしかコレクションを行うことができませんでした。

そしてブロックチェーンが登場し、デジタルコレクションを不変のものにし、コピーできないものを誰が所有しているかを記録し始めました。スクリーンショットをとることはできますが、デジタルの収集物を実際に所有していることにはならず、スクリーンショットは何の力もありません。売ることも取引することもできません。その強力な裏付けとなるものがブロックチェーンです。そこで私は、暗号ベースのコレクションの存在感は大きくなり、事実上暗号の主流を取り込み、一般の人々を暗号資産に深く関与させることになると確信していました。それが今まさに起こっていることです。

TC:人々がアイテムを集める理由について語ってくれましたが、ステータスについては触れていませんでした。それが動機の1つであると仮定すると、オンラインで集めたものをどのように顕示できるでしょうか?

DP:私たちが収集する理由としてステータスを顕示ことも挙げられますが、デジタルの世界でコレクションを顕示することはより簡単であると思います。私が車のコレクターだった場合、私の車を見せる唯一の方法はガレージに足を運んでもらうことですが、それは一定数の人にしかできません。しかし、オンラインでは、デジタルコレクションとして公開することができます。例えばNBA Top Shopは、自分が体験したことを容易に披露できます。誰もがページを持っていて、アプリが出てきて、アプリ内の誰にでもそれを公開したり、ソーシャルネットワークに投稿したりできます。そして、自分のコレクションがどれだけ大きなものであるか、どれだけエキサイティングなものであるかを示すのは、実に簡単です。

TC:2020年の10月にDapperはこの動画モーメントサービスを開始しています。ポケモンのセットのように、パックを買うと何か「すばらしい」ものがもらえることはわかりますが、何がもらえるかはわかりません。その売上のほぼ半分が先週に入って達成されましたが、どのような背景がありますか?

DP:現在の利用数は3万人から4万人程です。1日に50%から100%成長していますが、成長は極めてオーガニックなものです。このゲームはまだベータ版の段階で、Twitterに投稿する以外のマーケティングは行っていません。私たちはまだバグを解決していませんし、解決すべきバグもたくさん残っていますので、これを市場に出して多くの利用者を獲得しようという計画は今のところありません。

しかし、何人かのNBAプレイヤーはこれを見て「ソーシャルメディア上で」自分のモーメントに熱狂しました。そして「もう少し高い値段で取引したい」というような動きもあるかもしれません。しかし、私はこれを再生しているのはごく普通の人だとも考えています。クレジットカードがあれば再生でき、利用者の65%はこれまで暗号資産を所有したり取引したことがありません。そこで私は、暗号ベースのコレクションが主流のユーザーを暗号資産に引き込むことができるという主張が、私たちの目の前で展開されていると考えています。

TC:Dapperの報酬はどうなっていますか?

DP:二次売上の5%と、100%から一次売上の取引原価を引いた金額が得られます。もちろん、私たちはNBAとも提携しており、NBAもその一部を回収しています。しかし、それはシステムがどのように機能するかの基本的な経済性です。

TC:NBA側には毎年支払われるべき最低額があり、それ以上の額を受け取ることになっていますか?

DP:NBAや選手会との関係について、正確な経済条件は公表していないと思います。しかし、明らかにNBAが知的財産権の所有者であり、チームや選手が経済的に参加しているのは良いことです。なぜなら、彼らこそがここで知的財産を生み出しているからです。

ただ、こうした瞬間が高く評価された場合(パック販売の商品が高額で購入された場合)、その評価の95%は所有者に支払われます。したがって、これは野球カードに非常によく似ていますが、今では知的財産所有者は、製品のライフサイクルを通じて彼らの知的財産の下流の経済活動に参加することができます。これは、あなたがNBAであろうと、何十年もIPライセンスビジネスに携わってきたディズニーのようなものであろうと、非常に魅力的なことであると思います。

そして、このNFTスペースが起きているのはメジャーIPだけではありません。個人のクリエイター、ミュージシャン、デジタルアーティストがデジタルアートを作って、5枚だけコピーしてオークションにかけることができます。将来的には作品が売れるたびに少しずつ収集することも可能です。

TC:NBA Top Shotについては、同じ限定版クリップに何を支払うかという点で価格は大きく変動します。これはなぜでしょうか?

DP:理由は2つあります。1つは希少なアイテムのように低い数字の方が高い数字よりも価値があるということです。つまり、たとえば特定のレブロン社が500枚のコピーを作って、私がその1番を所有し、あなたがその399番を所有しているとすると、市場は低いほうの数字に高い価値を与えることになります。これは限定版のコレクター・ピースの典型です。おもしろいコンセプトですね。しかしとても人間的な概念です。

もう1つは、このゲームに参加する需要が徐々に増えているため、人々はより高い価格を喜んで支払うようになっているということです。そのため、時間の経過とともにこれらの瞬間の価格が大幅に上昇しています。

TC:暗号関連の難解な言葉の中には人々を不安にさせるものがあると指摘されましたが、パスワードを忘れたなどの理由で、世界のビットコインの20%が所有者から永久にアクセスできないという事実もそうだと思います。基本的にデジタルロッカーやデジタルウォレットに保存しているこれらのデジタルアイテムにリスクはありますか?

DP:これは複雑なトピックですが、Dapperは、Dapperのウォレットに自分のモーメントを保存している人たちのために、ある種のパスワード回復プロセスが効果的に存在するような方法でこれが起こらないようにしようとしています。

Dapperのアカウントから離れて別のアカウントに移動することもでき、パスワードの回復を自分で行うことができます。

TC:なぜ複雑なトピックなのですか?

DP:集中アカウントストレージはユーザーにとって便利ですが、何らかの理由で信用できなくなる可能性があると考える人もいます。つまり、企業がユーザーのプラットフォーム設定を解除したり、アカウントを無効にしたりする可能性があるということです。そして暗号の世界では、誰もあなたのプラットフォームを解除することができないようにすること、あなたが購入するもの(暗号資産やNFT)があなた自身のものであるようにすることについて、ほとんど信仰性に近い情熱が存在します。長期的には、Dapperはそれをサポートすることになるでしょう。どこでも好きな場所に自分のモーメントを移動できるようになります。しかし現時点においても顧客は「パスワードを忘れたからモーメントを取得できない」と心配する必要はありません。

Dapper Labsが独自のブロックチェーンを構築した理由や、米国がデジタル米ドルを設立したことについてパックマン氏が考えていることなどの詳細については、ここで私たちの会話を聞くことができる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT暗号資産Dapper Lab

画像クレジット:Cryptokitties

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

【コラム】NFTはより大きな金融資本の経済発展の一部でしかない

本稿の著者Dominik Schiener(ドミニク・シーナー)氏はIOTA Foundationの共同創設者で会長。2011年からブロックチェーンの世界にいてスイス、英国、ドイツのスタートアップにも関わっている。彼の主な焦点は、DLTやAIなどのデジタルインフラで物理インフラを改善する方法だ。

ーーー

非代替性トークン(NFT)は今、非常に熱いトレンドであり、このテーマについて扱った記事はこの数週間で数千本に達した。本記事でも同じテーマを扱うのは何だか申し訳ないのだが、トークン経済の潜在性が持つ重要な意義が見過ごされていることを考えると、書かずにはいられないのだ。

NFTは、金融資本の世界で起きているずっと大きな発展のわずかな一部でしかない。人々が今、少し困惑しながら苦笑いして見ているNFTは、シリコンバレーの台頭以来機能してきた投資モデルを今後10年もしないうちに完全に変えてしまうだろう。

何が「非代替」なのか

NFTが注目を集めるようになった最初の段階は奇妙なもので、一群のごくわずかな人が富を手にし、ほとんどの人はただ困惑するばかりだった。単に一時的な流行だとNFTを見限る前に、それは決して従来の投資の枠組みで使いやすいよう設計されたものではなかった、という点を考えておくのは意義のあることだろう。

NFTが具体的にどのように発展していくのかを想像するのは難しいかもしれないが、この新しい経済が従来の経済モデルの乾ききった表面からどのように浸透していくのか、その概要はすでに見え始めている。

オークションで6900万ドル(約76億円)のJPEG画像を販売することは、馬車の持ち主が小型原子炉を馬車の上に縛り付け、実際のところは相変わらず馬が引っ張っているのに「これは原子力で動く馬車なんです」と言い張るのとあまり変わらない。周りの人からは注目されるだろうが、根本的な変化は何1つ起こっていない。

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ニュースの見出しをにぎわす最近のNFTの販売例は、どれもこの種の後ろ向きな考え方の実例だ。そして「原子炉は過大評価されている」と言って馬車の持ち主を批判している傍観者たちは、このことが長期的に見て持つ意義にまだ気づいていない。もしかすると、馬が嫌いなだけかもしれない。

クジラとイヌとユニコーン

大航海のための資金調達手段という投資の概念の芽生えから、今日見られるようなベンチャーキャピタルの勃興に至るまで、金融資本の世界はいつでも選ばれし者たちだけの楽しみであった。これは、現在の投資モデルが、大きな投資をした者が大きな勝利を得られるというコンセプトに基づいているからだ。

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全世界の金融資本のほとんどすべては巨大なクジラ(大金を賭けられる投資家)やユニコーン(大成功を遂げた新興企業)といった伝説の生き物によって成り立っており、凡人はその一端を垣間見られるだけでも幸運だと思っている。資本の世界における成功者(ビッグドッグ)を生み出す理論は、最上位の投資家たちの意向を汲んで動く、強力な仲介者たちを基礎として築かれているのである。

Bitcoin(ビットコイン)の発明は、金融の発達史において画期的な出来事だ。ビットコイン自体は、結局のところ有力者たちの新たな遊技場になってしまったとはいえ、テクノロジーの面でビットコインの誕生が投じた一石は、今や世界を大きく変える波になろうとしている。そもそも、ブロックチェーンは分散台帳技術(DLT)の応用例の1つであり、この技術は地球の裏側にいる人へ即座にメッセージを送れることと同じほど重要なブレイクスルーなのだ。

DLTの実用化は、金融資本にとってもはや強力な仲介者が不要になったこと、もしくはいかなる仲介者も不要になったことを意味する。現在は、双方の当事者間で送金、取引契約、投資のための信頼関係を確立する時にどうしても中間者が必要となる。そのような中間者が提供するサービスに対する支払いは、大企業や大富豪ならばビジネスに不可欠なコストとしてあきらめられるだろうが、多くの人にとっては参入の障壁となる支出のままである。

DLTでは信用関係がネットワークのアーキテクチャによって確立され、アーキテクチャそのものに組み込まれているので、そのような障壁を打破できる。DLTを利用すれば、インターネットに接続する人なら誰でも、自分の経済力の許す範囲で大富豪と同じスタイルのビジネスを展開でき、それを支えるのがトークンによる決済なのだ。

柔軟に変化していくトークン経済

投資の分散化のメリットは無視できないほど数多くあるため、大手投資家は今後数年の間にDLT経済を導入するようになるだろう。オートメーションによって取引はいっそうスムーズになり、取引の結果や市況の変化はすばやく(リアルタイムで)反映され、透明性によってセキュリティは向上し、金融商品やサービスのさらなるカスタマイズが可能になる。大型投資家が分散型金融を導入することは、すべての人にとって純粋に好ましい影響を及ぼすだろう。

この新しいシステムの肝となるのがトークンであり、NFTはその一種にすぎない。台頭しつつあるこの経済モデルでは、決済トークンがお金の役割を果たし、証券トークンが株式と同様の意味を持ち、ユーティリティトークンが容量や帯域幅のような機能を提供する。そして、ハイブリッドトークンではこれらのトークンがミックスされて新たな形態が生まれる。なんだかよくわからないがおもしろそうだ、と思われただろうか。実際そうなのだ。

ここで理解しておきたいのは、トークンによって置き換えられるのは株式やその他の投資商品にとどまらず、何かを購入する時の仲介者役(投資ブローカー、クレジットカード会社、プラットフォームプロバイダー、銀行など)も置き換えられる、ということだ。分散型経済は今よりもっとオープンで、直接的な市場になることだろう。

トークン経済の真価とは

上述のようなことすべてがどのようにして起こるのか、具体的には想像しにくいかもしれない。しかし、この新しい経済が従来の経済モデルの乾ききった表面からどのように浸透していくのか、その概要はすでに見え始めている。その突破口は、現実の経済が不合理なものになっている分野で最もはっきり認めることができる。

現在急速に伸びているギグエコノミーでは、もはや誰も安定した職に就くことはなく、まるで傭兵のようにギグからギグへと渡り歩く。私たちの首にくくりつけられた石臼のような大量のサブスクリプションについてはどうだろう。ミュージシャンにとって苛立ちの元になっているストリーミングプラットフォームとの関係や、アーティストと画廊との関係についても考えてみよう。この惑星に根深く残る貧困問題に圧迫されている人の数も考えて欲しい。

これらはすべて、生活と仕事のモデルがいよいよ従来の入れ物には収まらなくなってきていることを示すものだ。それらの側面は最適化されているとはとても言えないものだが、その原因を指摘することも、どのような解決策があるかを指し示すこともできていない。トークンを使用した分散型経済には、これらのマイナス面、矛盾、機能不全をすべて除去し、それよりもはるかにわかりやすくエレガントなもので置き換えるだけのポテンシャルが秘められている。

新しい現実がどのようなものになるのか、それがもたらす結果の一部については比較的想像しやすい。例えば、9種類のサブスクリプションに支払うのではなく、欲しいと思った時に欲しいコンテンツに直接支払うことが可能になる。アーティストがギャラリーに稼ぎの半分を持っていかれたり、ミュージシャンがすべての稼ぎをストリーミングプラットフォームに渡したりする代わりに、そのような種類のコンテンツ向けに構築された柔軟なネットワークを通じて自分の作品に対する支払いを直接受け取れるようになるだろう。また、不動産投資のようなこれまで手の届かなかったセクターを含め、投資するためにブローカーに手数料を払う代わりに、関心のあるエンタープライズに直接投資できるようになる。そして、貧困による圧迫や、守りの固められた階級間の境界線が排除され、障壁を打破して誰もが価値にアクセスできるようになる。

トークン経済の展望について、まだ想定されていない側面が数多くあることだろう。だからこそ今後が非常に楽しみだ。インターネットに接続できる人なら誰でも参加でき、意義深い仕方で貢献できるような経済がグローバルに広がっていけば、まだ利用されていない資産が持つ何兆ドルもの価値が活用されることになる。ためらう理由はあるだろうか。どうすれば最短距離でそこまで到達できるだろうか。

何をすべきかは明らか

この新しい経済を実現させる上で最も難しい問題は、すでにクリアされている。合意形成システムを分散型に変え、取引と投資のために資産をデジタル化するシステムと組み合わせる方法に関する技術的な理解はもう得られているのだ。

このシステムを軌道に乗せるために必要な残りの作業は、かなり明確だ。まず何より先に、この新たなシステムがその草創期に生態系に与える影響について考えなければならない。マイニングファームを完全に法律で禁止するか、ファームが電力ソースとして非再生可能エネルギーを使用できる割合についてできるだけ厳しい制限を加えることが必要だ。新しい経済のバックボーンがこの惑星を破壊してしまうものならば、大きくなる前にシャットダウンし、完全に停止させなければならない。システムは生態学的にサステナブルであることが必須だ。

次に懸念されるのは、さまざまな暗号資産やトークンがあるのに、現状ではまだそれらに共通する規格も共通のネットワークも存在しないことだ。多様な暗号資産が存在しながら、そのことが話題にも上らないのは驚くべきことであり、非常にもどかしい。

それはまるで、多数の企業が電球を発明するのに飽き足らず、独自のソケットや配線規格まで発明し、それぞれが自分たちのやり方こそ最善で最後には勝利すると主張しているようなものだ。電球はすばらしいが、お願いだからソケットは統一してもらいたい、と思うのは当然のことだ。このすばらしいトークン経済も、私たちが中立的で相互運用性のあるネットワークを作らなければ決して羽ばたけない。さらに、そのネットワークは無料かつスケーラブルなものでなければならない。

差し迫った懸案事項の最後のものは、規制と法的枠組みだ。暗号資産の世界には、干渉されることを極度に嫌う無政府主義的な考えを持つ人々がまだ非常に多い。これは、私たちのコミュニティが長期的に目指している目標の達成に寄与しない。

バリューチェーンに存在するあらゆる仲介者を排除することには大賛成だが、それは、いかなる規制機関からも自由なおとぎの国を作るという意味ではない。分散型経済向けの法的枠組みは、オープンソースによるコミュニティ主導で構築された透明性の高いオペレーションという私たちの精神と調和するものだ。私たちすべてが、まだ発生期にあるテクノロジーに関する全面的かつ緻密な規制づくりに協力しなければならない。

エコロジー、相互運用性、規制を合言葉にすれば、ユーザーがこの新しい経済の力を活用するための実用アプリやその他のインフラの構築に取りかかることができるだろう。余剰電力を地域のスマートパワーグリッドに販売することから、自分の労働の対価を受け取ることまで、その用途は無限にある。そしてもちろんNFTの購入もその用途の1つであり、新しい経済においては今よりはるかに有意義な存在になることだろう。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFT分散型経済暗号資産コラム

画像クレジット:imaginima / Getty Images

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(文:Dominik Schiener、翻訳:Dragonfly)

NFTはアーティストとミュージシャンだけでなくマネーロンダリングの分野でも注目を浴びる

暗号資産(仮想通貨)業界に注目するメディアが、あるトレンド追っている。Google(グーグル)検索のデータによれば、NFT(非代替性トークン)に対する関心が高まっており、今ではそれが2017年のICO(イニシャル・コイン・オファリング)のブームに匹敵するレベルに達している。

証券取引委員会がICOの周辺を嗅ぎ回り、ある場合にはマネーロンダリングに使用されていたと判断されるに至ったため、ICOが話題に上ることがなくなったのは記憶に新しい。そして今、トークンを追跡できるNFTでも、悪用される可能性があることをブロックチェーン取引の専門家は感じている。トークンを追跡できるからこそ、可能性があるということだ。

NFTがある意味で、デジタル収集品であることをほとんどの読者はすでにご存じだろう(この話題を避けるのは無理がある)。対象はPDFファイルでもツイートでも、デジタル化されたニューヨーク・タイムズのコラムでも構わない。

同じアイテムのコピーがどれだけ存在するとしても、アイテムに英数字の長い文字列が書きこまれることで編集不可能になる。初期段階から暗号資産に投資してきたVenrock(ヴェンロック)のDavid Pakman(デヴィッド・パクマン)氏の説明によれば、このコードはブロックチェーンにも同時に記録されるので、アイテムの所有者に関して記録が恒久的に残るのだ。PDFやツイート、NYタイムズのコラムなどを他の人がスクリーンショットで保存することは可能でも、そのスクリーンショットをなにかに利用することはできないが、NFT所有者はその収集品をさらに高い価格で売ることが(少なくとも理論的には)可能だ。

現時点でのNFT最高額は、約15日前にデジタルアーティストのMike Winkelmann(マイク・ウィンケルマン)が「Everydays:The First 5000 Days(日常:最初の5000日)」という作品で記録した6900万ドル(約76億円)という驚くべき額だ。これは現在活動中のアーティストのうち、Jeff Koons(ジェフ・クーンズ)とDavid Hockney(デヴィッド・ホックニー)に次ぐ3番目のオークション価格である。Beeple(ビープル)という名前を使うウィンケルマンは今回の取引で、自身が2月にクリプトアート作品を売却した際の660万ドル(約7億3000万円)という記録を塗り替えた。(彼は今週の初めに、別の作品も600万ドル、約6億6500万円で売却した)。このような熱狂の中、ビープル自身はメディアに対して、クリプトアートに「注目が集まっている」が、多くのNFTが「最終的に無価値になる」だろうとも語っている。

これほど大きな金額が絡むため、専門家はNFTが犯罪の温床となることを危惧しているが、それに対する対策はまだ講じられていない。

最も現実的に考えられる問題は、取引をベースとしたマネーロンダリングだ。つまり、取引の決済と見せかけて違法な収益を合法的なもののようにするのだ。アートの世界ではこの点がすでに大きな問題になっているが、NFTは芸術作品に類似しているうえ、現在はその金額が安定していない。

ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェーナリシス)で政府関連業務の責任者を務めるJesse Spiro(ジェッセ・スピロ)氏は、次のように説明する。「(従来の)芸術作品を利用した取引ベースのマネーロンダリングを特定する1つの方法は、(鑑定人に)適正な市場価格を提示してもらい、関係している作品の価格と適正価格を比較することで、請求額が過大または過小である取引、つまり本来の価値に対して値段が高すぎたり低すぎたりする取引を(監視)することでした」。

一例としてNBAのハイライトクリップを取り上げるが、数多くのNFTがさまざまな価格で販売されているのは良いことだ。スピロ氏が指摘するように、この状況ではアイテムの平均価格を計算できるため、不審な取引を見つけやすくなる。

一方で、販売履歴を把握できないケースでは、最終的な価格は「購入者が払いたいと思った額になるので」、違法な取引であるとは「断定できなくなってしまう」。スピロ氏によると「当事者同士が(取引を)成立させてしまえばよいのだ」という。

デジタル資産は他の犯罪にも使われることがあり、NFTにもその可能性がある。暗号資産市場の調査会社Solidus Labs(ソリダス・ラボ)の共同創設者兼CEOであるAsaf Meir(アサフ・メイア)氏は、個人や団体が同じ金融商品を同時に売却・購入する仮装売買や、同一組織内の2つのアカウント間が関係するクロス取引などを例に挙げて指摘する。ある資産の価格について虚偽の記録を作り出し、実際の市場価格を反映させないためにそのような手法が使われる。

どちらの手法もマネーロンダリングを防止する法律では違法であるものの、この行為を取り締まることが従来の方法では特に難しい。「市場では小売が一般的なため、複数のアカウントが手を組んで、複数のアドレスを使ってさまざまなアクションを実行できてしまうことが、暗号資産市場のやっかいな点です。利益を受けるオーナーが、別々の組織や機関のアカウントを使うこともあれば、同じ機関のアカウントを使う場合もあります」とメイア氏はいう。同氏と同社の共同創設者はGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)で出会い、株式の電子取引デスクで働くうち、デジタル資産に対する監視に関する問題が解決されていないことにすぐに気づくようになった。

NFTが違法な送金に利用されるものだとすべての人が考えているわけではないことも、覚えておくべきだろう。NFTマーケットプレイスのDapper Labs(ダッパー・ラボ)にも投資しているパクマン氏は「暗号資産の推進派はこのような問題に気を悪くしていますが、政府はマーケットプレイスや取引所に乗り込み、『商売がしたければ、顧客の個人情報とマネーロンダリング防止に関する法律に従い、顧客全員の身元を確認しろ』ということができます。このようにすると、一定額を超える不審な取引については、書類確認の実施が必要になります」と語る。

この2つの手順を踏むことで、不審な取引が見つかった時に当局がマーケットプレイスや取引所を呼び出し、ユーザーの身元確認を強制しやすくなる。

不審な取引が発生してから取り締まるまでに時間が経過してしまった場合、そのプロセスがどれほど効果的かという疑問も残る。それに対するパクマン氏の回答は「どんな情報でもさかのぼって調査することは可能です。今は目をつけられていなくても、1年後にFBIが追跡し始めるのも簡単です」というものだ。

暗号資産を使ってもっと簡単に多額の資金を移転できるのに、マネーロンダリングに手を染める人たちがわざわざNFTを利用するだろうかという別の疑問もある。ブロックチェーン分析プラットフォームElementus(エレメンタス)の共同創設者兼CEOであるMax Galka(マックス・ガルカ)氏は「NFTはマネーロンダリングにもってこいの媒体にならないと私が考える理由の1つは、二次市場の流動性が低いことです」という。つまり、犯罪者が取引に関係する可能性を下げにくいというわけだ。

以前はDeutsche Bank(ドイツ銀行)とCredit Suisse(クレディ・スイス)で証券トレーダーを務めていたGalka(ガルカ)氏は、犯罪者たちがNFTを使わずに、流動性があって代替性の高い(トークン内に一意の情報が書き込まれない)トークンを分散型取引所で購入するのではないか、とも考えている。その方法を使えば、資金を追跡することは非代替性トークンよりも難しくなる。

「NFTがマネーロンダリングに利用される可能性は確かにありますが、その目的に利用できる資産がブロックチェーンの分野にたくさんあることを考えれば、(NFTをその他の方法と比べた時に)ベストな選択とはならないでしょう」とガルカ氏は語る。

チェーナリシス社のスピロ氏も理論上はこの意見に賛成しているが、NFTの作成と販売が急速に増大しているため、必要なプロセスが整備されていないことが多いと警鐘を鳴らす。

「NFTの大部分はイーサリアムのブロックチェーンで動いています。技術的に追跡可能なのは確かです。NFTを運用している組織はコンプライアンスを順守し、ブロックチェーンの犯罪捜査や分析に協力して、資金の流れを把握できるようにしていることになっています」と同氏は語る。

「取引を追跡でき、ユーザーがトークンを流通紙幣などに交換する時点で(個人情報の)提出が義務付けられており」、法執行機関や規制機関がその取引と違法行為との関連性を確認できるのが理想だと同氏はいう。

現時点ではそのような制度が整っていないことが、Nifty Gateway(ニフティー・ゲートウェイ)2021年3月初めに発生した盗難事件で露呈した。泥棒が高尚な趣味を持っていたなら、同社の顧客は収集品を取り戻すことはできなかったかもしれない。

「現在のところ、NFTに関するコンプライアンスには不明瞭な点があります」とスピロ氏はいう。

「マネーロンダリングの手法が簡単であれはよいというわけではありません。犯罪者たちが探している方法というのは、マネーロンダリングする資金を差し押さえられる可能性が最も小さい方法です。NFTがそれにあたるというわけではありませんが、弱点があれば必ずそこを突いてくるでしょう。犯罪者たちはいつでも目を凝らして抜け穴を探しているのです」とも同氏は付け加えている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTマネーロンダリング暗号資産

画像クレジット:Beeple

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

メルカリが新会社「メルコイン」の設立を4月下旬に設立します。メルカリの子会社として、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行い、暗号資産交換業者の新規登録も行います。

発表によると、メルカリグループは「メルコイン」を「メルカリ」「メルペイ」に続く事業の柱に育てる方針。今後は売上金のビットコインでの受け取り機能の提供や、メルペイで決済・送金・与信・資産運用・暗号資産を1つのウォレットで管理できる機能を提供します。

また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

暗号資産をめぐっては、米国の決済サービス大手「ペイパル」が自社ウォレットでの取り扱い開始を発表したほか、テスラが自社製品の購入代金にビットコインを利用可能とするなど、各社の参入が相次いでいます。

2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

新会社を設立し、暗号資産事業に取り組むことで、「メルカリ」においては、売上金のビットコインでの受取り機能の提供や、「メルペイ」においても決済・送金機能の提供に留まらず、与信、暗号資産・資産運用の機能を一つのウォレットで提供していく等、より簡単に金融サービスを利用できる環境を構築していきます。

また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

【メルコイン概要】
会社名:株式会社メルコイン / Mercoin, Inc.
設立日:2021年4月下旬(予定)
資本金:5,000万円(株式会社メルカリ100%子会社)
事業内容:暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発
代表者名:青柳直樹
主要役員:
取締役CISO 曾川景介
取締役 伏見慎剛
監査役 栃木真由美
所在地:〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー

(Source:メルカリEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:フィンテック
タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

メルカリが暗号資産・ブロックチェーン領域参入、新会社「メルコイン」は暗号資産交換業者として申請予定

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また、価値交換を実現するブロックチェーン技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)等、これまでのモノ・金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形の創出を目指すといいます。

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2020年末からの価格高騰を受けて、暗号資産全体の時価総額は200兆円を超え、金の時価総額(1200兆円)の6分の1に迫っています。また、直近では米フィデリティがビットコインETFの承認申請をSEC(米証券取引委員会)に行ったことでも話題を集めています。

発表の全文は下記の通りです。

株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行うことを目的に、メルカリの子会社として2021年4月下旬(予定)に株式会社メルコイン(以下、新会社)を設立することを決定いたしましたので、お知らせいたします。
※メルコインは、今後、暗号資産交換業者の新規登録申請を行う予定です。

暗号資産は、現在、暗号資産全体の時価総額が200兆円※1を超え、これまで採掘された金の時価総額約1200兆円[※2]の6分の1の規模に迫るなど、大きな存在になりつつあります。国内の暗号資産やブロックチェーンの領域においては、2017年4月に「資金決済に関する法律」が改正され、以降、様々な事業者が暗号資産交換業に参入、資産運用を中心に活用が広がっています。一方、グローバルな環境においては、資産運用に加え、決済や送金での利用等、様々なシーンで暗号資産やブロックチェーンの活用が広がっており、国内においてもこれまでに無い新たな顧客体験を提供できる可能性があると考えています。

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また、価値交換を実現するブロックチェーンの技術に取り組むことで、NFT(Non-fungible token)[※3]等、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたい考えです。メルカリは、メルコインにおける新たな挑戦を通じて、メルカリグループの新たな柱となりうる事業の企画・開発を目指してまいります。

※1:CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/ja/)2021年3月30日時点
※2:出典(グラム単価:https://www.kitco.com/kitco-gold-index.html、金の採掘量:https://www.gold.org/about-gold/gold-supply/gold-mining/how-much-gold)2021年3月30日時点
※3:NFT(Non-fungible token)とは、ブロックチェーン上に記録されるNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、デジタル資産や権利などの所有や譲渡を記録するものです。

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タグ:暗号資産 / 仮想通貨(用語)SEC / 米証券取引委員会(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)中央銀行デジタル通貨(CBDC)Bitcoin / ビットコイン(用語)ブロックチェーン(用語)Paypal(企業)メルカリ / Mercari(企業)メルペイ(製品・サービス)日本(国・地域)

ザ・ウィークエンドがNFTオークションで未発表曲とアート作品販売を予告

2021年のスーパーボウルでヘッドライナーを務めたミュージシャンのThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)ことAbel Tesfaye(エイベル・テスファイ)氏は、NFT(非代替性トークン)に注目している最新のアーティストの1人だ。

その具体的な行動として、Nifty Gatewayとの提携を発表した。Nifty Gatewayは、2021年2月にアーティストのBeeple(ビープル)と協力してデジタルアート作品を競売にかけ、660万ドル(約7億3000万円で販売したNFTのマーケットプレイスだ(これは非常に印象的な数字だったが、Christie’sでBeepleの別の作品が6900万ドル、約76億円で落札されると、すぐに影が薄くなってしまった)。

The WeekndとNifty Gatewayが4月3日土曜日(日本時間4月4日)に開催するセールは、主に2つの要素で構成されている。1つは今後も他のプラットフォームでは入手できない未発表の楽曲で、もう1つはStrange Loop Studios(ストレンジ・ループ・スタジオ)がThe Weekndと協力して開発したビジュアルアートだ。

今回のセールでは、3種類のアート作品にそれぞれ異なるフィルターをかけた楽曲のクリップを添えて販売される。これらの作品は、期間限定だが、販売数は限定されない。また、24時間限定のオークションでは、世界に1つだけの作品が、フィルターを通さないフルバージョンの楽曲とともに出品されるという。

「ブロックチェーンは、歴史的に門番たちによって閉ざされてきた産業を民主化しています」とThe Weekndは声明で述べている。「私はファンのために革新を起こし、この古臭い音楽業界を変える方法を常に探してきましたが、NFTによってクリエイターが自分の言葉でこれまで以上に見られ、聞かれるようになる状況を見て、心から興奮しています。私もこの動向に貢献したいと考えており、近い将来、これが音楽業界の仕組みに組み込まれていくことを期待しています」。

NFTは基本的に、画像や音声、動画などのデジタルアートと結びついたブロックチェーン上の資産だ。デジタルアート自体は通常、複製することが可能だが、NFTはその真の所有権を証明する。

NFTに対する関心は、この数カ月で爆発的に膨れ上がった。オークションで目を見張るような価格がつけられたり、デジタルの世界でアーティストに経済的な利益をもたらす技術として期待が高まっているためだ。その一方で、大量のエネルギーを使用することや、それによる気候変動への影響などから、批判の声も上がっている。

The WeekndとNifty Gatewayによるオークションは、4月3日土曜日の太平洋時間午前11時(日本時間4月4日午前3時)に開始される。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTオークション音楽The Weeknd

画像クレジット:Pari Dukovic

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ConsenSysがエネルギー効率を99%向上したNFTエコシステムを発表、第1弾は現代アートの巨匠ダミアン・ハースト氏

昨今のNFT(非代替性トークン)の流行は、デジタルアーティストにとっては興味深い出来事だ。テクノロジーによって作品を制作する方法は飛躍的に進歩したが、それによって利益を得る方法はそれほど進歩していない。

これまでのところ、クリプトをいち早く採用したアーティストたちが最も注目を集めているようだが、より組織的に活動しているアーティストもトークンの世界に足を踏み入れている。大きな障壁の1つは、Ethereum(イーサリアム、ETH)ブロックチェーンに関連する環境問題だ。Ethereumブロックチェーンは、新しいアートワークを作成するために大量のエネルギーを必要とし、非常に高い取引手数料が発生する。気候変動への懸念から、初期のアーティストたちは物議を醸した。

ここ数カ月の間に、Ethereumの利点を保ちながら速度の向上、コスト削減、エネルギー使用量の削減を約束するブロックチェーン製品が数多く登場しているが、中でも注目を集めたDapper Labs(ダッパー・ラブス)のFlow(フロー)ブロックチェーンは、同社のNBA Top Shot(NBAトップショット)製品をサポートしている。そして米国時間3月30日、ConsenSysから「Palm」と呼ばれるレイヤー2(セカンドレイヤー)の新規参入者がデビューした。PalmはEthereumのメインネットワーク上のサイドチェーンとして動作するが、人気の高い仮想通貨ウォレットMetaMaskを通じてサポートされる。

Palmのローンチの一環として、英国の現代美術家であるDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏は、彼が初めててがけるNFTプロジェクト「The Currency Project」を、同プラットフォームのPalm NFT Studioで立ち上げることを発表した。

Ethereumは、よりエネルギー効率の高いプルーフ・オブ・ステーク(Proof-of-stake、PoS)方式のコンセンサス構造に移行することをすでに表明しているが、それがどれほど早く実現するかは不明だ。現在、Ethereumでは(ビットコインと同様に)プルーフ・オブ・ワーク(Proof-of-work、PoW)方式を採用している。PoW方式では、チェーン内の次のブロックを採掘する場所の優先順位を決めるためにエネルギーを大量に消費するが、ネットワークのトラフィックが増えれば増えるほど、エネルギー消費量も高くなる。そのため、暗号化されたマイニングを行う企業は、常に最新のハードウェアに投資して優位性を保ち、より多くの電力を使用しなければならない。PoSではそのようなパワー消費や機器のニーズを減らし、評判や資産保有量(stake、発行済の全コイン総量に対する保有コインの割合)に基づいて次のブロックを採掘するネットワーク上のノードを選択する。セキュリティ面では回避する必要があるいくつかのトレードオフがあり、クリプトコミュニティの多くはこの妥協に満足していないが、賛成派は環境問題が優先されるべきだと主張している。

Palmを開発したチームはプレスリリースの中で、このエコシステムは「PoWシステムに比べ、エネルギー効率が99%向上しています」と述べた。

Dapper LabsのFlowとは異なり、PalmはEthereum開発者コミュニティとの相互関係から利益を得ており、Nifty(ニフティ)を含むいくつかの業界パートナーシップを紹介した本日の発表にもそうした要素が見られた。このニュースは、折しもDapper Labsによる3億500万ドル(約337億8000万円)の資金調達と同じ日に発表された。この資金注入によりDapper Labsは、NFTスペース全体に現在起こっている熱狂をもたらしたTop Shotの勢いをさらに加速させることができるだろう。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ConsenSysNFT

画像クレジット:Panuwat Sikham / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

爆発的な勢いのNFTアートのマーケットプレイス「SuperRare」が約10億円調達

NFT(非代替性トークン)のエコシステムは爆発的な勢いを見せており、その勢いに乗るべく準備をしていたスタートアップ企業が多くの資金を得ている。

ここ数週間で数千万ドル(数十億円)も売り上げているNFTアートプラットフォームのSuperRareは、投資家から数百万ドル(数億円)を調達した。900万ドル(約10億円)のシリーズAラウンドは、Velvet Sea Venturesと1confirmationがリードした。このラウンドに参加した他の投資家はCollaborative Fund、Shrug Capital、Third Kind、SamsungNext、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Guy Oseary’s Sound Ventures、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Naval Ravikant(ネイバル・ラヴィカント)氏、Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏などだ。

資金調達の発表では、チームは暗号アートシーンを 「世界的な現象」 と呼んだ。

SuperRareは2018年にアートプラットフォームを立ち上げて以来、販売するアートをより綿密にキュレーションするクローズドなアーリーアクセスプラットフォームを維持することで、差別化を図ってきた。プラットフォーム上のすべての作品は、すべてがシングルエディションかつ一点のみの販売となる。来年には、チームは同サイトを大々的に立ち上げる予定だとしている。同社はこのプラットフォームでのアート販売に対して3%の取引手数料を得る他、さらに一次販売に対しては15%のギャラリー手数料を得ている。プラットフォームの特徴は、クリエイターが作品の価値を高めることで、2次販売時に10%の手数料を得ることができることだ。

NFTによるアート作品の販売はここ数週間で急増しているが、SuperRareが運営するEthereum(イーサリアム)のメインネットにはスケーラビリティの問題があるため、主流になるにはまだ多くの構造的問題がある。多くの企業がスピードを向上させ、エネルギー使用量と取引手数料を削減するレイヤーツーのインフラを構築している。米国時間3月30日、ConsenSysはPalmというプラットフォームをローンチし、アーティストのDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏をプラットフォームの最初のアーティストとして起用した。

ブロックチェーンのスタートアップは長い仮想通貨の冬を経て、スタートアップへの投資を急増させNFTへの熱意を高め、ビットコイン価格の高騰の中で復讐するように戻ってきている。また30日にはNBAトップショットのメーカーであるDapper Labsが、3億500万ドル(約340億円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SuperRareNFTアート

画像クレジット:SuperRare

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(文:Lucas Matney、翻訳:塚本直樹 / Twitter