NASAとESA、JAXAが新型コロナ監視用の地球観測ダッシュボードを開発

NASAは、欧州宇宙機関(ESA)および日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を監視するために衛星からの地球観測データを収集し、ダッシュボードを介して提供することに取り組んでいる。このダッシュボードは各機関が運用する地球観測衛星によって収集された写真、大気の質、温度、気候などの指標データを統合したものだ。

新型コロナウイルスに関する地球観測データは、水質、気候変動、経済活動、農業における世界的な変化を把握できる。これは政治家、保健当局、都市計画者などに重要な情報を提供し、都市に住み働く人々の暮らし方を大きく変えている、現在進行中の世界的な新型コロナウイルスの短期的、あるいは長期的な影響を調査するための重要な情報を提供することを目的としている。

プロジェクトに関わっている各宇宙機関は、4月にプロジェクトを立ち上げ、機関を超えた国際的なコラボレーションをあっという間にまとめた。これまでのデータでは、活動の減少による大気や水質などの環境の改善といった大きな変化だけでなく、港湾での荷揚げ作業やショッピングモールの駐車場の車の台数など、主要な経済活動が大きく減速していることも示している。

このプロジェクトは特に新型コロナウイルスとその影響に関するデータを提供することを目的としており、現在の計画では同ウイルスによるパンデミックのみを対象としているが、ESAの地球観測プログラム担当ディレクターであるJosef Aschbacher(ジョセフ・アシュバッハ)氏は電話会議の中で、ダッシュボードを新型コロナウイルスの範囲を超えて拡張するかどうかをすでに検討していると述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

欧州宇宙機関が系外惑星研究に向け衛星を打ち上げ

欧州宇宙機関(ESA)は米国時間12月18日の朝早く、フランス領ギアナの宇宙センターから、ロシアのSoyuz(ソユーズ)ロケットで衛星を打ち上げた。同ロケットに搭載されていたのは、いわゆる「系外惑星の探査衛星」(CHEOPS)で、地球の周りを回る軌道に投入され、系外惑星に関するより正確なデータをもたらす。

CHEOPSが特に対象とするのは恒星の前を通過する太陽系外の惑星で、これらは遠くの恒星から放射される光の一部を遮るために観測が可能となる。これらの惑星は地球よりも大きいものから、海王星のような中〜大型ガス惑星に近いサイズまでと、特に大型な惑星の観測を目指している。

これらの系外惑星の発見で重視されるのは、その密度や地球や火星のように岩石からできているか、あるいは土星や木星、天王星のようにガスでできているのかなどだ。これは惑星が潜在的に居住可能であるか(ハビタブル)を決定するうえで重要な要素である。

CHEOPSは今朝のうちに、南極の地上局との通信に成功しており、軌道への投入と運用はすべて計画通りに進んでいるようだ。ソユーズロケットにはその他にも、ESAやフランス国立宇宙研究センターなどが運用する科学・研究用衛星が搭載されていた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

炎と栄光、そして科学のために逝った周回機Rosettaと着陸船Philae、冥福を祈る

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しばらく、Rosetta(ロゼッタ)について比喩的に考えてみよう。それは、初めて彗星に着陸した画期的な宇宙船だ。この軌道周回機はその最後の仕事を、今朝(米国時間9/30)早く実行し、最後まで制御されている状態で彗星の表面に激突して、自分を破壊した。そして、その最後の1分間に収集したデータが、きわめて貴重だった。

硬着陸で探査機のPhilae(フィラエ)を失ったが、リスクに満ちた、魅惑的な、そして大成功のミッションだった。彗星とのランデブーは、難しいけどすごいことだ。そして今日は、European Space Agency(欧州宇宙機関)のチームの12年に及ぶ労苦の、終わりだ。

多くのミッションがハードウェアの悲運で終わるが、その点ではRosettaも最初から、そのほかの多くの探測機や軌道周回機と変わらぬものとして計画された。今回のRosettaの場合は、最後の仕事が彗星の希薄な大気からガスと粉塵を採集することと、その表面の数百フィート上空から高精細の画像を撮ることだった(それまでは19キロ上空を軌道周回していた)。

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最初の(記事タイトルの下の)写真が、最後の画像だ。そして上の画像は、探査機が永眠したあたりのモザイクだ。下のサウンドは、宇宙船オペレーションマネージャーのSylvain Lodiotによる、信号消滅の公式発表だ。

ESAのディレクターAlvaro Giménezが、ミッションの終了を告げるブログ記事でこう述べている: “数十年にわたる大規模な国際的努力によりわれわれは、世界的な科学研究所が彗星の経年進化を研究するという、そのほかの彗星追跡事業が試みなかったミッションを達成できた”。

“このミッションは人びとの一生のキャリアとなり、得られたデータは今後の数世代に及ぶ科学者たちを、向こう数十年にわたって多忙にするだろう”。

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記事を書いてる当人が感傷的になってきたので、このへんにしよう。次のミッションもあるからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

欧州宇宙機関が3Dプリントで月の土から月面基地を作る方法を研究

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ビルなどの建物を完全に3Dプリントだけで作る、という話がにぎわっているが、その種の野望はいつまでも地上だけにとどまってはいない。Phys.orgの記事によると、欧州宇宙機関(European Space Agency, ESA)とそのパートナーであるロンドンの設計事務所 Foster + Partnersが、生命維持能力のある月面基地を3Dプリントで作れないか、という研究に着手した。

もちろん、月塵だけでは建築素材にならないだろうから、研究者たちはその月面基地の耐久性を高める方法を模索している。月塵の代わりに実験では、酸化マグネシウムとその結合安定剤として塩を用いる。また月面上へ直接、押し出し成型を行う実験は、真空の中で行っている。

F+Pによる初期の概念設計では、荷重耐性の高い大きなドームを作り、その中をセル状(細胞状)の構造にすることによって、住民を環境中の放射能と流星塵から保護する。探究すべき実用上の問題が、まだすべて分かっているわけではないが、プリント工程そのものは、少なくとも地球上ではうまくいくようだ。

イギリスで3DプリンタのメーカーMonoliteを創業したEnrico Diniは、“弊社の現在のプリンタは押出能力が毎時2メートル、次世代機は毎時3.5メートルになる”、と言っている。彼によると、建物全体が完成するまでに要する時間は約1週間だ。月面上ではどうなるか、それはまだ未知数だが。

とはいえ、月そのものを使って月面基地を作るという考えは、一見途方もないようだが、同様のアイデアは実は前からある。たとえば80〜90年代に構想されたMars Direct計画は、同様の考え方に基づいて長期的な火星探検のための燃料を管理しようとする。そのやり方は、まず無人宇宙船を火星へ送り、船内の原子炉を使って火星の大気中の水素を‘加工’し、メタンと酸素を作る。のちに打ち上げる有人宇宙船が、帰還用の燃料としてそれを使う。宇宙旅行にとっては重量が最大の制約要因だから、居住環境を着地点にある素材だけで作れるなら、かなり楽に、ハワイ諸島やアラスカなみの永続的な飛び地を、はるか遠くの宇宙空間に作れるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))