3Dプリントで睡眠時無呼吸治療器具を新型コロナ用人工呼吸器に換えるアダプターを生産

米食品医薬品局(FDA)が、Formlabsの3Dプリント部品に緊急時使用認可(emergency use authorization、EUA)を認めた。この部品は、睡眠時無呼吸の治療に使われていた二相性陽圧呼吸(BiPAPマシン)を現在、強く求められている人工呼吸器に換えることができる。今週末にかけて、数十件もの人工呼吸器やそのアクセサリーに認可が下りた。

Formlabsはマサチューセッツ州サマービルの工場にある150台の3Dプリンターを動員してこの部品を製造し、全米の病院と地方自治体に配布することを計画している。

NorthwellHealth設計のニ相陽圧呼吸器用アダプターの3DプリントにFDAの緊急時使用認可が下りた。このアダプターを使って、睡眠時無呼吸症候群の患者が使用するBiPAPマシンを機能的な侵襲的人工呼吸器に換えることができる。

FormlabsのCEOであるMax Lobovsky(マックス・ロボフスキー)氏は、プレスリリースで「これまでの30年間、FDAの緊急時使用認可は片手で数えるほどしか下りてない。全国の病院がFormlabsの3Dプリンターを使って自分でアダプターを作ることができるし、感染がひどい地域では量産も可能だ」と述べている。

関連記事:3DプリンティングのFormlabsが米食品医薬品局の認可をもらって綿棒の量産へ

Formlabsだけでなく、数多くの3Dプリント企業が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに対応してアクションを起こしている。この前例のない状況が、3Dプリントならではのさまざまな技術的課題を作り出している。Formlabsは既にウイルス検査キットで使う綿棒を3Dプリントで製造することで貢献している。この他にもFormlabsはマスクシールドや、シュノーケルマスクを防護服に換えるアダプターも作っている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3Dプリントで作った生体工学的な珊瑚が珊瑚礁の光合成能力を模倣する

珊瑚礁の大量絶滅は地球規模の惨事だが、彼らの有機体としてのこれまでの成功の圧倒的な大きさは、科学に教訓を与えている。その好例が、ケンブリッジ大学の研究者たちが作った3Dプリントによる「バイオニック珊瑚」だ。それは、脆い微生物を重ねた骨格以上のもので、むしろ自分で自分を生み出しているのだ。

3Dプリントで作る珊瑚の話は実は2年前にもあり、そこでは別の研究者たちが、珊瑚のような複雑な形の構造物をプリントして、それを本物の珊瑚やそのほかの生き物が育つための基盤(ソリッドベース)にすることを提案した。それは良いアイデアだが、でも珊瑚には単なるソリッドベース以上のものがある。

実は珊瑚は、珊瑚自身の有機体とその中に住む藻類との、高度に進化した共生体だ。藻類は光合成によって宿主のために糖を作り、珊瑚は藻類に安全な生活環境を与える。そして興味深いことに、珊瑚は光の収集と方向変えをきわめて効率的に行う。この共生関係は何百万年にもわたって高い生産性を維持してきたが、海水の温度上昇と酸性化によって、成功に必要な微妙なバランスが崩壊した。

ケンブリッジのチームが理解したのは、珊瑚の微細な生態系の模倣に成功するためには、住民である藻類のために太陽光を捉えて拡散する特殊な能力の模倣も必要なことだ。彼らは珊瑚の構造を細部まで調べて、それを顕微鏡的なレベルにまで再生することに成功した。ただし彼らが使ったのは耐久性のある剛体の培養基ではなく、実際に作ったのは生きているゲルのようなものだ。

このプロジェクトの研究論文を書いたケンブリッジの化学者Daniel Wangpraseurt氏が、こう言っている: 「われわれが作った人工珊瑚の組織と骨格は、ポリマーのゲルとセルロースのナノ素材でドープしたヒドロゲルを組み合わせて、生きている珊瑚の光学的性質を模倣している」。

藻類にもやはり、その混合液が注入された。そして研究者たちは、そのいわば生きている物質をプリントした。このようなテクニックは、医療分野ではすでに試験や利用に供されている。たとえば、インプラントするための器官や組織の部分をプリントするのだ。しかし今回の場合は特定の大きな形をプリントするのではなく、表面に当たった光の到達距離を最大化する、きわめて複雑な内部構造を作らなければならない。しかもそれが非常に高速に行われないと、藻類は露光によって死ぬ。

そうやってバイオプリントされた構造体は藻類の理想の家になり、通常の媒質の何倍もの速さで成長する。しかしそれは、次のステップが珊瑚を超高速に育てることである、という意味ではない。いやむしろ、これが珊瑚の復活に寄与する、と考えられる根拠は何もない。しかし一方では、このような形のシミュレーションが、珊瑚と藻類のパートナーシップが栄える生態系や栄養補給系の、より深い理解に導くかもしれない。

同時にまた、藻類を倍速で育てられることには、商業的魅力もある。そしてMantazと呼ばれるスタートアップが、この技術の短期的な利用を追究しようとしている。

画像クレジット: ケンブリッジ大学

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Relativity Spaceは3Dプリントとクラウドベースのソフトウェアで新型コロナの嵐をやり過ごす

他のどの業界とも同様に宇宙関連の若いスタートアップや企業でも、新型コロナウイルス危機の煽りを受けてレイオフが相次いでいる。しかし、Relativity Space(レラティビティー・スペース)は、なんとかレイオフを回避できた。それどころか、世界的パンデミックにも負けず、新規に従業員を雇用している。RelativityのCEOで創設者のTim Ellis(ティム・エリス)氏は、大型3Dプリントと、クラウドベースのツールとテクノロジーの導入にフォーカスしたことが、会社を苦境に追い込まなかった大きな要因だと話している。

Relativityが間もなく完成させるロケットは、エンジンから胴体、さらにはその中間にあるものまで、ほとんどが3Dプリント部品で構成されるため、基本的にほぼ途切れることなくプロトタイプの製造を進めることができた。Relativityは、航空宇宙と防衛に携わる企業の例に漏れず、必要不可欠な事業と認知されているのだが、相当早い時期から新型コロナウイルスの潜在的な危険性に対処し、従業員の健康と安全を確保すべく手を打ってきたとエリス氏は言う。米国でこの病気が問題視され始めた3月9日、公式な規制や自宅待機の要請が出される以前に、Relativityでは早くも従業員に自宅勤務を勧めていた。

「それができたのは、一部には私たちの自動プリント技術のおかげです。工場にはごくごくわずかな人間しかいませんが、それでもプリンターを動かし続けることができます」とエリス氏はインタビューで話してくれた。「現に今はたった1人で数台のプリンターを見ていますが、実際にプリントが行われています。文字通りワンマン運転です。その一方、この2週間ほどの間に、会社の業務の大半を自宅で処理できるようにしました」。

たった1人の現場担当者で工場全体を管理できる能力は、現在の状況において、競争上、非常に大きな強みであり、同時に従業員の健康と安全を大切に守る方策でもある。エリス氏によると、同社はすでに複数の地域で業務を行っているという。ケープ・カナベラルとフロリダに加えて、ミシシッピ州のジョン・C・ステニス宇宙センターとロサンゼルス本社だ。Relativityではまた、米国内の離れた場所からも数名の従業員がテレワークしている。同社は早くから、全員が一箇所に集まらなくてもデザインや開発が行えるように体制を整えていたのだ。

「私たちはワークフローを円滑にするために、独自のソフトウェアツールを開発しました。それが大変に優れています」とエリス氏。「しかも、ITAR(国際武器取引規制)と複数の暗号プロトコルに準拠しつつクラウドに深く対応した企業ということだけでも、本当に有利なのです」。

自社開発のソフトウェアとクラウドベースのツールに集中したことに加え、エリス氏は、一番新しい資金調達ラウンド 、 2019年10月にクローズした1億4000万ドル(約152億円) のタイミングも、新型コロナウイルス危機への備えに貢献したと考えている。Relativityはレイオフを回避し、新たな求人も開始しただけではない。パートタイムも含め、全従業員に給与を全額支給し続けている。これはすべて、今思えば先を見通したビジネスモデルのおかげなのだが、現在の国際的ビジネス状況におけるこの目覚ましい優位性は、実際のところ単に幸運の賜物だとエリス氏は言う。それでもこれまでのRelativityの回復力は、一部には新型コロナウイルスのパンデミックに起因する大きな永続的変化の現れだと彼は信じている。

「それによって本当に変わるもの【中略】は、国際的なサプライチェーンへのアプローチです」と彼は言う。「もっと多くのものを米国内で生産して、サプライチェーンの過度なグローバル化への依存を減らそうという圧力が高まると思います。私たちがずっと3Dプリンターを使ってきたのは、そのためでもあります。それは、ごくわずかな作業員で、今のような状況下でもロケットの第1段が作れてしまう自動化のテクノロジーというだけではありません。サプライチェーンに関して言えば、限られた数の供給業者と、いくつもの製造方法からなる簡素なサプライチェーンを持つことで、供給業者やサプライチェーンの停止による大打撃を大幅に減らせるのです」。

新型コロナウイルス危機が、2021年に最初の3Dプリントロケットを飛ばすという予定を含めた打ち上げスケジュール全体に、どこまで影響を与えるかはまるで予測できないが、テレワークと社会的隔離指示に難なく添える製造ラインで多くの業務がこなせるとエリス氏は期待している。ジョン・C・ステニス宇宙センターのエンジン試験場といった提携施設が閉鎖されれば、確かに打撃にはなる。だがRelativityの回復力は、この危機的状況が去ったあかつきには、あらゆる種類の製造業の模範となるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

3DプリンティングのFormlabsが米食品医薬品局の認可をもらって綿棒の量産へ

米国マサチューセッツ州の3Dプリンターと3Dプリンティングの事業を展開するFormlabs(非上場)が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査キット用に設計した綿棒が、近く米食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration、FDA)から認可される見通しだ。

綿棒や試薬など、検査キットのサプライチェーンがグローバルにおよぶので、検査を容易に拡大できないことが米政府が新型コロナウイルスの国内における感染の広がりを知る妨げになっていた。

FormlabsのCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)を務めるDavid Lakatos(デビッド・ラカトス)氏は「昨日FDAから通知を受け取り、これ(同社製の綿棒)がクラスワンの『人道機器向け治験適用免除』になった。ISO 135の非破壊検査でコントロールされる施設と設備で作られる限り、適用免除になる」と説明した。

患者は全米で見つかっているので、検査は疾病の広がりが速い地域が優先され、その他の地域には検査キットなどが行き渡らず、それらの地域では感染の広がりの全貌がなかなか把握できない。

綿棒に関しては問題がもっと複雑で、喉から手が出るほど必要な検査キットの部品なのにメーカーが少なく、これまでは米国で1社、イタリアで1社だけだった。

「約1週間半前に、弊社はこの取り組みに加わった」とラカトス氏は語る。

同氏によると「Formlabsには3Dプリンターが6万台あるので生産量を増やせるし、最近オハイオ州に買った工場では手術用クラスの高品質な製品も作れる」とのこと。

現在同社は、人間を使った試験を終えようとしており、オハイオの生産施設の能力を拡張している。同氏によると、同社が1日に供給できる綿棒の量は10万本だ。「そのプリンティングは開始しているが、検品でOKとなるまでは出荷しない」と説明する。

現在、綿棒の多くはパートナーの病院のマークがついているが、今後は大手流通企業とも協力して彼らの流通チャネルにもアクセスし、全米でおよそ3000病院に綿棒を納めたいという。

「なんと言っても、これら綿棒をぜひ世の中に出したい」と同氏は話す。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3Dプリンタでロケットエンジンを作り廃プラ燃料で噴射に成功したSkyrora

ロケットの打ち上げ事業を展開している英国エディンバラ拠点のSkyroraは、小さな人工衛星用の新しい打ち上げロケットを開発中だ。同社はこのほどその新型ロケットエンジンの地上静止噴射に成功し、実際の打ち上げに向かって大きく前進した。

Skyroraのロケットエンジンは3Dプリンタを使ってる点で新しいだけでなく、その燃料が廃プラスチックから作られている点にも注目だ。その新種の燃料は「Ecosene」と呼ばれ、同社によると競合製品よりもグリーンで、エコロジー的にも健全だそうだ。

Skyroraがテスト中のロケットエンジンは、最終的に全長22mの打ち上げロケットであるSkyrora XLの最後のステージで力を発揮する。Rocket Labの全長17mのElectronに近く、SpaceXのFalcon 9の全長70mにはおよばない。しかし、複数のペイロードを地上から最大500kmまでの複数の軌道へ配達できる。これは小型の衛星ペイロードでよく使われる低地球軌道だ。Skyroraは、廃プラから独自の方法で得られたケロシンであるEcoseneと、通常のロケット燃料であるRP-1ケロシンの両方で噴射して燃料としての性能を比較した。

Skyroraによると、1000kgの廃プラからおよそ600kgのケロシンを作ることができ、温室効果ガスの排出量は競合製品よりも約45%少ないという。Ecoseneには冷凍保存をしなくていいという利点もあり、長期間タンクに入れておける。同社によるとこの性質は、同社が実用打ち上げを予定している彼らの母国であるスコットランドの宇宙船基地の条件に合っているそうだ。

今回の試験噴射だけで新燃料の可用性が決まるわけではないが、その結果は今後のさまざまなテストに向けて励みになる。そしてSkyrora XLロケットの英国からの最初の打ち上げは、2022年を予定している。

【編集部注】TechCrunchは、米国ロサンゼルスで6月25日に開催する「2020 – TechCrunch Sessions: Space」で初めて宇宙テクノロジー専門のイベントを企画している。チケットは、今からでも買える

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

1mmのダビデ像を3Dプリンターで出力、ミクロ・アンジェロだ!

3Dプリンティングはもうあらゆる産業分野で利用されているので、いまさらデモをしなくも誰もがその有用性を知っている。しかし、だからといってデモがなくなるわけではない。そのほとんどは「またか」というものだが、中には驚かされるケースもある。その1つが高さ1ミリメートルのダビデ像だ。ミケランジェロの有名な彫刻を、新しいテクノロジーを用いて銅で出力したのだという。

タイニー・ダビデと名づけられたミニ彫刻は、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のスピンオフ企業、Cytosurge(サイトサージ)からさらにスピンオフしたExaddon(エクサドン)が製作した。幅は1ミリメートルの数分の1、重量は0.002ミリグラム(2マイクログラム)しかない。

用いられた3プリンターはCERESと呼ばれ、イオン化された液状の銅の微粒子を噴霧する。噴霧量は1秒あたりフェムトリットル(1000兆分の1リットル)のレベルだという。直径が1000分の1ミリメートル程度の物体まで出力可能で、タイニー・ダビデのプリントには12時間かかった。もっと簡単な構造の物体であれば、もちろんずっと速くできたはずだ。

出力された像のディテールは驚くべきものだ。当然、ミケランジェロの傑作をこのサイズで100%表現するのは不可能だが、髪の毛や筋肉まで見事に再現されている。仕上げのバフがけや外部の支持構造などはいっさい必要としなかった。

もちろん高度なリソグラフィーの技術を使えば、ナノメートル級の微細な構造を作ることはできるが、これは半導体チップ製造でもわかるとおり、途方もなく金のかかる大掛かりな設備を専門家が細心の注意を払って操作しなければならない。3Dプリンターなら、データさえ与えれば任意の形状の3Dプリントを、室温で数時間のうちに出力できる。

CERES 3Dプリンター

もっともExaddonの専門家によれば、やはりノウハウが必要だったようだ。

ExaddonのGiorgio Ercolano(ジョルジオ・エルコラーノ)氏のブログ記事によれば「タイニー・ダビデは、ミケランジェロの傑作の単なるミニチュアではない。製作に使う3Dコンピュータモデルの元データにはオープンソースのCADファイルを利用したが、3D出力が可能なマシンコードに変換には、3Dプリンティングのプロセスに関する深い理解が不可欠だった。我々は元データを微少部分へとスライスしたが、ここにCERESの積層マイクロ製造システムの核心部分がある」という。

もちろん縮小化にも限界があり、マイクロメートルのサイズでは、ダビデ像は子供用の色粘土で作ったヘビのように見える。しかし、いずれはこうしたサイズでも3D出力できるようになるのだろう。

Exaddonのテクノロジーは Micromachinesに詳細が発表されている。最初に開発されたのは数年前だが、改良を重ねて当時よりはるかに進歩しているということだ。

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滑川海彦@Facebook

3Dプリントでサービスを立ち上げたCarbonがランボルギーニから部品を受注

3DプリンティングサービスのCarbonは米国時間12月16日、Lamborghini(ランボルギーニ)とのパートナーシップの拡大を発表した。3Dプリントによる物作りサービスで業績好調の同社は、この自動車メーカーのハイブリッドスポーツカーSián FKPの中央とサイドのダッシュボードの空気孔を作ることになった。

2月に発表された両社のパートナーシップでは、CarbonがランボルギーニのUrus SUVの燃料キャップとエアダクトの留具をプリントする契約だった。ささやかな受注だが、でも重要だ。ランボルギーニはフォード(Ford)に次いでCarbonとパートナーすることになった。

自動車メーカーが特注の3Dプリントでパーツを作る傾向にあることは明らかで、しかもCarbonはAdidas(アディダス)などとの過去のパートナーシップの実績で、スケーラビリティをある程度証明している。でもこのような契約が、最初は小さな部品から始まり、その結果次第で射出成形による大量生産に移行することは避けられない。

Carbonによると、そんな初期段階を3Dプリントにすることによって、従来的な製造方法に比べて製造に要する期間を12週削減できる。素材のEPX 82は一連のストレステストを経ているので、出来上がる製品の強度も信頼できる。

関連記事:Carbon’s new CEO discusses local manufacturing, funding and a potential IPO(Carbonが元デュポンのトップを新CEOに迎える、未訳)

ランボルギーニのCTOであるMaurizio Reggiani氏はプレスリリースで「Carbonのデジタル製造プラットホーム(Digital Manufacturing Platform)を利用すると部品の最初のコンセプトから、それが実際に見本車に使われるまでに3週間しかかからない。しかもその間に、十分な満足が得られるまで何度でも試作を繰り返すことができる。それからわずか3か月後には、生産を開始できる」と語っている。

Carbonの新CEOであるEllen Kullman氏はTechCrunchのインタビューで、既存のパートナーシップをより充実させてから新しいパートナーシップを開拓したい、と語った。彼女曰く、「うちの過去の実績を活かせる機会は山ほどある」そうだ。

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Formlabsが歯科専用の3Dプリンターを発売

今年のCESで3DプリンターのメーカーであるFormlabsに、同社のプリンターを使って、これまでよりも早く安価に義歯を作る初期の実験について話を聞いた。

それから数カ月後、同社はそのコンセプトに深入りしていた。彼らは歯科専用の3Dプリンターを発売し、「Formlabs Dental」という新しい事業部門を立ち上げ、歯科医療に最適の素材を得るためにレジンのサプライヤーを買収した。

重要なのは同社のプリンターが、光造形法(Stereolithography、SLA)を使ってる点。これに対して、3Dプリントという言葉を聞いて誰もが思い浮かべるのが熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling、FDM)だ。光造形法はその名のとおり、光、ここでは紫外線レーザーを精密に照射して、ネバネバしていたレジンを目的の形に硬化する。これに対してFDMプリンターは、固形の素材を熱で溶かし、それをグルーガンのようなノズルから押し出して積層して目的の形を作る。SLAは精度が高く、FDMは安くてしかもさまざまな色や性質の素材を使える。

Formlabsはその歯科専用のプリンターをForm 3bと呼んでいる。それは、同社がこの春発売したForm 3の特殊バージョンだ。ただし製造コストは一般的なForm 3よりも約1000ドル高い。でもそのソフトウェアは歯科医療のワークフローに即しており、また教育訓練やサポート、そして修理に代わる新品交換に応ずるためのサービス体系「Dental Service Plan」がついてくる。歯科医は仕事を休めないので、故障時には修理ではなく新品交換で応ずる。3bはまた、歯科用レジンに向けて最適化されているが、それについて同社は詳しく語らなかった。

レジンと言えば、同社は2012年の創業以来レジンのメインのサプライヤーだったSpectraを買収した。買収の条件を同社は公表していないが、買収を機に同社は医療規格のレジンを得るために数百万ドルかけてクリーンルームを作り、FDAにも登録できた。Spectraの既存の顧客は、継続して同社のレジンを購入できる。

同社の新しい事業部門「Formlabs Dental」は、歯科用の新素材の開発と、プリンターを既存の歯科医のワークフローにぴったり合った製品にするための改良にフォーカスする。同社によると、現状ではForm 3bで、クラウン、ブリッジ、透明リテーナー、インプラント施療時の施術ガイド(サージカルガイド)、カスタムマウスガード(オクルーザルスプリント)、そして義歯をプリントできる。

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MITが作った小さな歩くモーターは自分たちを自分で組み立てて複雑なロボットになる

未来のロボットは少しずつ「ウォーリー」的ではなくなり、「蟻の大群を迎えるボルトロン」のようになるだろう。MITのNeil Gershenfeld(ニールガーシェンフェルド)教授と彼の学生たちが作った歩行するモーターを見ていると、そう思わずにはいられない。このモーターは、磁石とコイルとわずかな構造部品の寄せ集めにしか見えないが、前後に歩くことができ、複雑な機械の歯車を左や右に回すこともできる。

この小さな動く微生物はそれだけでもすごいが、仲間や他のロボット部位と組み合わさると真価を発揮する。それがガーシェンフェルド教授らの狙いだ。同じ材料から他の重要部位を組み立てることはすでにできたが、今後はそれらの重要部位をそれら自身が自動的に組み立ててもっと大きな構造物を作り、仕事ができるようにしたい。

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これらの小さなロボットはギア(歯車)も動かせる。それらをもっと大きく作り、より現実性のあるシステムにするには、そのことが重要だ(画像クレジット:MIT)

つまり、小さな歩くモーターとその仲間を彼ら自身が自分で組み立てると、あるときは農業用ロボットのシステムの一部になり、別のときには災害救助ロボットになる。そこまで行くのはまだまだ先の話だが、ガーシェンフェルド教授はすでにMITの大学院生Will Langford(ウィル・ラングフォード)と一緒に、回路を自動的に作る3Dプリンターを作っている。これを未来に延長すれば、デジタルの青写真を入力すれば完全に機能する高度なロボットを作れるようになるだろう。

静的な部品の組み立てを自動化するのではなく、この微小ロボットのように、部品自身が自分たちを自分で自己組み立てする。それが最先端のロボティクスという馬の鼻先にぶら下げた人参だ。映画「ターミネーター」に出てくるT-1000のような高度な能力は、部品ロボットに対して適正な行動制限を設定できれば可能だろう、という期待もある。

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光で素材を硬化する3Dプリンターがオブジェクト全体を一気に一度でプリントする

3Dプリントはハードウェアのデザインや設計の方法を変えたが、しかしどのプリンターも基本的な制約を共有している: それらは要するにオブジェクトを、下の方から、一層また一層と素材を積み上げて作っていく。UC Berkeley(カリフォルニア大学バークリー校)のこの新しいシステムはしかし、ビデオを感光性レジンの入ったジャーに投射し透過することによって一度にオブジェクトを作る。

このデバイスを作者たちはレプリケーター(replicator, 複製機)と呼んでいるが、残念ながらそれはMakerBotの登録商標だ。仕組みとしてはきわめてシンプルだが、それをこの研究のリーダー、バークリーのHayden Taylorよりもうまく説明することは難しいだろう:

基本的には、そこらで売っているビデオプロジェクターでいい。私も、自分の家から持ってきたものを使った。それをラップトップにつないで、計算によって作り出した一連の画像を投射する。それと同期してモーターがシリンダーを回転させれば、その中のレジンが3Dプリントされる。

もちろん、いろいろ細かい点は難しい。たとえばレジンの配合、そして何よりも、投射する画像の計算だ。でも、このツールのきわめてシンプルなバージョンなら、それを作るための障壁はそんなに高くない。

光を使う3Dプリント技術は前からある。今あるそれらのデバイスは、レーザーなどの光を使って素材を目的の形に硬化する。でも、一度に一つの薄い層しか作れないことは同じだ。“ホログラフィック”プリンティングという、交差する光線を使う方法もあるが、かなり難しい…バークリーはローレンスリヴァモア国立研究所と一緒にそのプロジェクトをやったことがある。

Taylorのデバイスでは、最初に、複製を作りたいオブジェクトをスライス状にスキャンする。CTスキャナーに似ているが、実はチームはそもそも最初に、CTスキャナーからヒントを得たのだ。

回転しているレジンに光を投射すると、オブジェクト全体の素材がほぼ一度で硬化する。数回転を要するのだが、個別の描画動作を何百回何千回もやるわけではない。

これには、スピード以外にも利点がある。出来上がったオブジェクトは平滑だ…今のプロトタイプ段階ではやや粗いが。また、ほかの3Dプリンターでは難しい突起や空洞も作れる。レジンを既存のオブジェクトのまわりに硬化することもできる。下図は、ドライバーの軸に取っ手を付けた例だ。

ひとつのプリントに色などの異なる複数の素材を使えるし、硬化しなかったレジンはすべて再利用できる。大型化やプリントの精度アップが今後の課題だが、そのアドバンテージには十分な説得力があるから、ずっと持続する研究開発であることは確かだろう。

彼らのペーパーは今週、Science誌に載った

画像クレジット: UC Berkeley

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Googleが3Dプリンターを使って古代遺跡を複製している

3Dプリントの最大のセールスポイントは、これまでの方法では作るのが難しかったオブジェクトを、作れることにある。しかしGoogleと業務用3DプリンターのメーカーStratasysのコラボレーションは、誰もがよく知ってるものを作ろうとしている。

最近GoogleのOpen Heritage Projectに新たに加わったのは、Google Arts and CultureがStratsysの多色プロトタイピングマシンJ750 3Dを使って作った古代遺跡や歴史的建造物の模型だ。その目的は、博物館に行く人や研究者たちに貴重な史跡へのアクセスを与えると同時に、それらを時間の猛威(経年変化)から護ることだ。

Google DesignのテクノロジストBryan Allenが、発表声明の中でこう述べている: “プロジェクトの目的はこれらの文化的遺物を物理的に再現して、博物館に来る人や研究者たちに本物を見る感動と感激を与えることだ。そのために、3Dプリントを使った。3Dプリントも今ではいろんな素材を使えるから、色や質感を本物に近づけ、また細部まで頑丈に作れる”。

チームは3Dスキャナーを使ってオブジェクトや古代遺跡の3Dデザインを作っている。それらはファイルとしてアクセスでき、手元の3Dプリンターでプリントすることもできる。

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ガラスを3DプリントするシステムをMITの研究者たちが完成

溶けたガラスのロープをエンドレスに吐き出すマシンは、この言葉だけを見ると不気味かもしれないが、MITの連中はまさにそれを完成させた。3D Printing and Additive Manufacturingに載ったペーパーで、研究者のChikara Inamura, Michael Stern, Daniel Lizardo, Peter Houk, そしてNeri Oxmanらが記述しているガラスの3Dプリントシステムは、熱い素材を完全にコントロールして最終製品を作ることができる。

彼らのG3DP2と呼ばれるシステムは、“3域温度コントロールシステムと4軸モーションコントロールシステムをデジタルに統合した、溶融ガラス用の新しいAM*プラットホームであり、その生産能力と信頼性はすでに産業用の実用レベルに達している。製品の精度と再現性は高く、それらも、これまでガラスでは不可能だったレベルだ”、という。〔*: AM, additive manufacuturing, 付加(的)製造技術…3Dプリントのこと。〕

このシステムは、溶けたガラスを収めた加熱ボックスと、オブジェクトをプリントする温度制御されたボックスを使用する。可動性のプレートが、プリントの進行とともにオブジェクトを下へ下へと下げていき、プリントヘッドはその上で動く。このシステムが興味深いのは、そのまま即、装飾や建築用に使える透明なガラス構造物を作ることだ。研究者たちは溶融ガラスを押し出すシステムに細心の注意を払い、不純物や構造上の問題がない状態でガラスが冷えて固まるよう工夫した。

“将来的には、ガラスの優れた素材特性(透明性、強度、化学的安定など)とこのAM技術を組み合わせることによって、新しい形の多機能なビルディングブロックを作れるようになるだろう”、と彼らは言っている。

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3Dプリンターがプラスチックでなく濡れた紙パルプを使ったら楽しいアートができる

紙弾(かみつぶて)を撃って遊ぶ子どもたちのように、デザイナーのBeer Holthuisも、いたずらをするための最良の素材は濡れた紙だ、と考えた。彼の3Dプリンター、RepRapの粗末なクローンは、文字通り紙パルプの長い紐(ひも)を吐き出して、プラスチックよりも持続可能性のある3Dオブジェクトを作る。

3DPrint.comの記事によると、Holthuisは、大量の廃棄物で汚染を増大させない素材を探していた。そして彼は、すりつぶした紙に到達した。濡れた紙を押し出すと、パルプの太い飾り紐のようなものができて、それを重ねると装飾的なオブジェクトを作ることができた。

“そうやってプリントしたオブジェクトのデザインは、この技術の可能性と美しさを示すものだ”、とHolthuisは語る。“触感がいいし、紐の太さやプリントのスピードを変えていろんな形を作れる。しかも、意外と強度があって、長持ちする”。

おもしろいのは、彼は天然バインダーを使って層をくっつけているので、完全にリサイクル可能であることだ。紙をマシンに放り込んで、自動的にパルプを作らせたら、リサイクルの過程も自動化されるだろう。でも、このお話の最良の部分は、作品がまるで、高度な知性を持った蜂のコロニーが他の集団と交易するために作った物のように見えることだ。そう思うと、楽しいよね。

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3Dプリントした部品などの表面を安全に平滑化するZortraxのApoller平滑システム

ZortraxApollerは、同社がSmart Vapor Smoothing(電脳気化平滑)と呼ぶデバイスで、3Dプリントされたオブジェクトの表面を溶剤を使ってなめらかにする。その結果、製品は射出成形で作った品物のようになり、FDMプリンティングに必ずある細いラインがなくなる。

そのシステムは電子レンジのようなボックスの中で複数のパーツを一度に処理できる。そのボックスの中で、霧状にした溶剤でパーツを覆い、溶剤にその仕事をさせる。終わったら、残った霧状溶剤を回収室に吸い取る。溶剤が少しでも残っているとボックスのドアが開(あ)かないので、人間が大量のアセトンを吸い込むおそれがない。デスクトップで使うデバイスであり、クリスマスパーティーをやってるオフィスの空気中に溶剤の雲が生ずる危険性もあるので、このことは重要な配慮だ。

同社の説明より: “霧状溶剤で平滑化したものは、射出成形で作ったパーツのように見える。使ったフィラメントによって、表面はつやがあったり、マットだったりする。二段階濃縮により、300ミリリットルの溶剤で複数回のプリント結果を平滑化できる。そのため、場合によっては、典型的なFDMプリンター4台の一週間ぶんの出力を一日で自動的に平滑化でき、しかも質的劣化はない”。

FDMプリントは構造的にちゃちっぽく見えることが多いから、この平滑化は一種の化粧処理であり、たぶん理論的には、3Dプリントしたパーツからモールド(型)を作ることができるだろう。実際には、アセトンで平滑化したパーツは、つやつやして外見が良いから、これから射出整形やフライス盤などで作る最終製品の姿を正しく理解できるだろう。

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3Dプリントで作られた銃を見るとそれを作ったプリンターを特定できる

ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者たちが、3Dプリンターに指紋があることを見つけた。設計のわずかな違いで、プリント物がプリントされたプリンターを同定できるのだ。未来の捜査官は、3Dプリントされたオブジェクトのレヤー(プラスチックの層)を調べて、それをプリントした3Dプリンターを特定できる。

研究のペーパーの主筆Wenyao Xuはこう言う: “3Dプリントはいろんなすばらしい使い方があるけど、贋作者にとって夢のような道具でもある。しかしもっと心配なのは、ピストルやライフルなどの小火器を、許可のない人も含め、誰でも持てるようになることだ”。

研究者たちが見つけたのは、プラスチックの層にある小さな皺(しわ)で、プリンターの機種や使用されたフィラメント、ノズルのサイズなどが分かることだ。マシンの細部のちょっとした偏りや癖によって、不完全なパターンがプリントされるのだ。彼らはその技術を、PrinTrackerと呼んでいる。

“人の指紋のように、これらのパターンはユニークで再現性がある。その結果、パターンを調べることによってその特定の3Dプリンターにたどり着くことができる”、と研究者たちは書いている

この方法は主に、MakerbotのようなFDMプリンターに有効だ。それらは、フィラメントの長いスプールを使ってプラスチックの層をビルドプレートに落としていく。

しかし銃の3Dプリントに使われるプリンターは複雑で高価な機種が多いので、個々の層の変異が少なく、使われたプリンターの同定が難しいこともある。でも、そんな銃でも、一部の単純な部品には見て分かる変異がある。

Xuは曰く、“3Dプリンターの各機種は、どれも同じであるように作られるが、製造工程でわずかな違いが生じ、それにより、プリントされるどのオブジェクトにも、ユニークで不可避で変更不可能なパターンが生ずる”。

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ジレット、Formlabsと提携してカミソリのハンドルを3Dプリント

3Dプリンティングの製造利用は再三話題にはなるものの、本格的な応用例はほとんどない。GilletteとMIT出身のスタートアップ、Formlabsの提携から生まれたプロジェクトが、そんな興味深い未来のい可能性を垣間見せる。

たしかに、カミソリのハンドルのカスタマイズというのは目新しさ以上の何物でもないかもしれない。Invisalignの歯列矯正、人口装具、さらにはスニーカーと比べても革新的とは言えないが、もしスケーラブルになれば、多くの人の日々の生活の一部をなす製品に新たなレベルのカスタム化を加えられる可能性がある。

今のところGilletteの3Dプリントカミソリハンドルプログラムは、シェービングの巨人が個数限定で行っているパイロットプログラムにすぎない。価格は材質に応じて19ドルから45ドルまで。ユーザーはRazor Makerサイトを使って自分だけの特徴あるバージョンを作ることができる。ハンドルはGilletteのボストン本社にあるFormalbsの装置でプリントされる。

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Palette 2はどんな3Dプリンターもカラー化する

Mosaic ManufacturingのPalette 2——オリジナルのPaletteの改訂版——は自己完結のフルカラー3Dプリンティングシステムだ。複数の色のフィラメントを切ったりつないだりして、作品のプリントに合わせてプリンターに送り込む。Splice Coreと呼ばれる独特の内部カッターがフィラメントを適切な長さに切ってプリントに使うフィラメントの色を迅速に切り替える。

プリンターは4色を出力可能になり、好きな色も好きな量だけプリントできる。余分な色はタワーと呼ばれる小さな塊に射出するので、必要に応じて各色をわずかな量でも多くの量でも利用できる。フィラメント切れ検出もあるので長時間かけて大きな作品を作ることもできる。

Paletteは既存の多くの3Dプリンターで使うことが可能で、Paletteや上位機種のPalette Proを使うためにプリンターを改定する必要はない。Canvasという新しいソフトウェアを使うとユーザーはカラープリントの計画を立てて、命令をPaletteとプリンターの両方に送り込める。

Palette 2の価格は449ドル、Proは699ドル。ProはPalette 2よりも高速にプリントできる。

これは実に賢い工夫だ。プリンターに全部の仕事をやらせる代わりに、フィラメントに働かせる。ほぼあらゆるプリンターでPaletteを使うことが可能だが、現在同社は多くの人気プリンターにネイティブサポートをするよう交渉している。スマートフォンのケースや伸縮可能な素材を使ったラバー風ウォッチバンドや教材なども3Dプリントできる。いちばん印象深いのは何か? このシステムを使うと脳の断面図をプリントして腫瘍の部分を黄色で表すことができる。(まだ)完全なフルカラーではないものの、Paletteは低予算でカラー3Dプリントを考えている人にとってはすばらしいソリューションだ。

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この新しい素材オーセチックスはエネルギーを抱き込んで自分の中に保存する

オーセチックス(auxetics)は、エネルギーを与えられると膨らんだり角が飛び出たりせずに、そのエネルギーを内部に保存する素材だ。押したり叩いたりするたびにそのエネルギーを蓄え、それを一定のペースで発散する。しかし歴史的にはこれらの素材には鋭利な角があって、押しすぎると簡単に破損した。そこでロンドンのクイーンメアリー大学とケンブリッジ大学の研究者たちは、オーセチックスもっと丈夫に効率的に利用する方法を発見した。この方法では、エネルギーを保存してそれを機械的に、何千回も放出するシステムを作れる。

クイーンメアリー大学のDr. Stoyan Smoukovはこう語る: “新しい素材設計の輝かしい未来は、それらがデバイスやロボットを置換していくことにある。すべてのスマートな機能を素材に埋め込める。たとえば鷲が獲物をくちばしでつつくときのように、オブジェクトを何度でもつつくことができるし、新たな力を加えることなく万力のように物を保持できる”。

たとえばロボットがこのシステムを使ったら、物を手で握って、それを離すときが来るまで手をずっと閉じていられる。開いて物を下に落とすときまで、手や鉤爪などに力を送り続ける必要がない。

このプロジェクトに参加した学部学生Eesha Khareはこう言う: “高熱など厳しい条件にさらされる素材の大きな問題は、その膨張だ。これからは、熱源との距離によって変わる温度勾配に合わせて、連続的に膨張特性が変わる素材を設計できる。それによって素材は自動的に、何度も繰り返される厳しい変化に対し、自分を自然に調節できる”。

このプロジェクトは3Dプリントを使って、歯のついたアクチュエータをつかむ小さなクリップを作った。エネルギーを放出するためには、物の反対側を引っ張って歯を外す。システムの全体はきわめて単純だが、エネルギーによってその素材が伸びたり膨らんだりせず、むしろそのエネルギーを蓄えるという事実は重要だ。これと同じ技術を使って、弾(たま)が装甲や防具に当たったら、その弾をつかんでしまうことが可能だろう。人も兵器も、より長寿になるね。

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光造形3DプリンターのFormlabsが新たな資金調達ラウンドでユニコーンの仲間入り

光の力で樹脂を硬化するユニークな3Dプリンターで脚光を浴びたFormlabsが、ユニコーンになった。マサチューセッツに本社を置く同社はこのほど、1500万ドルの新たな資金調達を行った。これにより同社の調達総額は1億ドルになり、またハードウェアスタートアップにしては珍しく、評価額が10億ドルを超えた。その最新の資金調達は4月の3000万ドルの後続投資で、New Enterprise Associatesがリードした。

3Dプリンティング業界の現状から見ると、このマイルストーンは二重の意味で印象深い。3Dプリントは、最初に長年の誇大な期待があり、そしてバブルがはじけ、競争が激化した。しかし2012年にほそぼそとKickstarterで生まれたFormlabsは、デスクトップサイズの業務用3Dプリンターで最初から明確な差別化を図った。

その技術はたちまち、ハードウェアのプロトタイプを作っている連中に歓迎された。彼らは以前から、MakerBotなどでおなじみのプラスチック沈積型3Dプリンターよりも精細な3Dプリント技術を求めていた。近年同社は、デスクトップの製造技術をさらに強化し、同社の既存の技術と共に、製造業のための3Dプリントという、需要のきわめて多い世界に売り込みをかけている。

今回の資金調達と並行してFormlabsは、GEの元CEO Jeff Immeltを取締役会に迎えた。

Immeltはプレスリリースでこう述べている: “同社の重要な成熟期にFormlabsで仕事ができることは、きわめて喜ばしい。チームはこれまで傑出した進歩を示し、デスクトップ3Dプリンターの中では最良の製品を作り、エンジニアリングやヘルスケア、製造業などきわめて多様な業界で成功を収めている。同社は2011年の創業以来、競合他社を大きく抜き去り、3Dプリンティングにおけるリーダーになっている。今後さらに多くの業界から採用が増え、技術も前進していく中で、私は同社の次のフェーズを支援していきたい”。

Formlabsは現在、北米、ヨーロッパ、およびアジアに500名の社員を抱えている。

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最終製品の色が光によって変わる3Dプリントの技術をMITのチームが開発

これもまた、MITのCSAIL(コンピューターサイエンス人工知能研究所)のクールなプロジェクトだ。研究者たちは、3Dプリントの工程に色が変わるという性質を持たせることによって、材料の無駄遣いを減らそうとしている。省資源はこんなプロジェクトにしては大げさな目標だが、しかし少なくとも、3Dプリントで何かを作ることが、なお一層消費者にとって魅力的になるだろう。

3Dプリントの工程そのものは、特に変わったところはなくてふつうで、液状のレジンに紫外線を当てて硬化する。変わっているのは、フォトクロミック(photochromic, 光によって色が変わる)な染料を加えることだ。そうすると最終製品の表面は、そこに当たる光によって色が変わる。研究者たちはこの技術を“ColorFab”と呼んでおり、それは3Dプリントの世界では何かのネーミングによく使われるパターンだ。

熱で色が変わるTシャツのHypercolorというブランドが昔からあるけど、それに似ていなくもない。でもこの研究を指導しているStefanie Mueller教授によると、光が当たっているかぎりその色を保持するから、むしろE Ink(電子インク)に似ている、という。しかも単純に色が変わるだけでなく、解像度を高くすれば複雑な模様も作れる。

チームの期待としては、製品の色が変わるようになれば、次から次と無駄な衝動買いがなくなるだろう、という。

“みんな、新しいスマートフォンや、新しいスマートフォンケースを欲しがるけど、資源の無駄遣いをせずに製品の外見をフレッシュにする方法が、あった方が良いのではないか”、とMuellerは語る。

でも企業は、次々と新製品が売れなければ困るから、Muellerの説は難しいだろう。しかしそれでも、3Dプリントの新しい技法としては、とてもおもしろい。実装が簡単だから、大衆的普及も早いのではないか。

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