モトローラが米国スマートフォン市場で第3位を獲得、まだ闘志は残っている

スマートフォン市場に、まだサプライズがあるんだね、少しは。米国市場のトップと2位なら、おそらく誰もが知っている。しかしCounterpoint Researchの最新の数字で、Motorola(モトローラ)が辛うじて2位を固持していると知ったら、思わずえっ?と言いたくなるだろう。

同ブランドにとっても、ここ10年、20年は順調ではなかった。世紀の変わり目には勢いある名前だったが、ポストiPhoneの世界は同社にとって厳しかった。巨額の損失後、Motorolaは2つに分かれ、モビリティ部門を2011年にGoogleに売った。Googleのハードウェアの成績はご存知のとおりで、3年後にはまた持ち主が変わった。

Lenovo(レノボ)は昔のブランドにとって、はるかに居心地の良い家だった。その成功の主な理由は、前述の上位ブランドが支配しているハイエンドの市場を避ける意思決定にあった。中でもブラジルとインドが、同社の主要市場になった。同時に米国も、重要な市場として残った。米国市場はミドルレンジのモデルや機やエントリーモデルが手薄だったため、そこが同社にとっておいしいマーケットになった。

Counterpointの数字によると、Motorolaの2021年の売上成長率は前年比で131%と驚異的だ。その結果同社は米国で400ドル(約4万9000円)未満のスマートフォンでは第2位、全機種では3位になった。特に売れたのが同社の300ドル(約3万6000円)未満のスマートフォンで、それにより同社は市場全体の10%をつかまえている。

画像クレジット:Counterpoint Research

2008年の勢いが戻ってきたわけではないが、携帯電話の市場をスマートフォンが支配して以降では、同社にとって最良の結果だ。プリペイドのプロバイダーであるMetro、Cricket、Boostなどは大物で、今では市場の約28%を支配している。しかしながら最も重要なのは、このリストにない名前だ。このところ業界にとっておかしな年が続いたが、その中で明らかにLenovoは好位置に付けていた。

米国のエンティティリストに載ってからは、Huawei(ファーウェイ)はもう敵ではない。またR&Dの大半をこれまたGoogleに売ったHTCは、眠ったように静かになり、VR方面へ舵を切った(その評価は未定)。しかし、最大の不在はLGだ。

2021年4月にこの韓国のハードウェア企業はスマートフォン市場から完全にいなくなった。そのとき同社は、次のような声明を残している。「これからのLGはモバイルの専門技術を生かし続け、6Gといったモビリティ関連の技術を開発し、スマートフォン以外の事業分野でその競争力をさらに強化していきます。20年間におよぶLGがモバイル事業で開発したコア技術は、現在および将来の製品に保持適用されていきます」。

LGのこのような動きによって、市場には完全にMotorolaの形をした穴が開いたようだ。スマートフォンメーカーとしての成功には、名門ブランドであることも寄与している。つまり、多くの人たちの意識から消え去りつつも、その栄光の日々からの「のれん」の力は強く、購入の意思決定を誘うのだ。ふところにあまり余裕がない人が、たとえばウォルマートで300ドルのスマートフォンを買うときには、自分がよく知っている名前に気持ちが傾くだろう。Razrの栄光の日々が20年も前であっても。業界人でもない一般消費者は、そんなことどうでもいい。現在の同社は、一貫して堅牢な低価格スマートフォンのメーカーという評価だから。

それを「カムバック」と呼んでもよい。それに反論する気はない。

画像クレジット:Motorola

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Nothing初のスマホは今夏発売予定、クラウドファンディングで追加資金調達へ

誰がなんと言おうと、Nothing(ナッシング)はティーザーをさらにもったいぶる方法を知っている。同ハードウェアスタートアップの弁明として、同社は米国時間3月23日朝に行われたイベントは「ロードマップ」の公開であるとし、具体的には、同社のラインアップに加わる別のデバイスに言及したが、その製品に関する情報はあまり提供しなかった。しかし同社は少なくとも、噂されていた2番目のハードウェア「Nothing Phone(1)」の発売予定を確認した。

我々は3月初め、Mobile World Congress(MWC)において、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏が企業幹部たちとミーティングを行い、ワイヤレスイヤフォンのEar(1) と同様に透明感を強調したデザインを特徴とするバージョンのデバイスを披露していたことを紹介し、このデバイスの存在を確認した。

今回のオンラインイベントで同社は、製品にSnapdragonチップが搭載されることを含め、いくつかの詳細を発表した。Qualcomm(クアルコム)がNothingに出資していることを考えれば、驚くことではない。同じくペイ氏が設立したOnePlusに似て、このデバイスはAndroidを独自に改良したNothing OSを搭載し「Nothing製品や他の世界トップブランドの製品を簡単に接続、統合するオープンでシームレスなエコシステム上に構築される」という。

エコシステムは常にNothingの戦略の中核にあり、その統合がどのようなものなのか興味深いところだ。Apple(アップル)やSamsung(サムスン)などがモバイルを中心としたソーラーシステムを構想しているのと同じように、同社は携帯電話がそのシステムのハブとして機能することを思い描いているのは間違いないだろう。Nothingは4月、OSのプレビューを提供するつもりだという。

画像クレジット:Nothing

ソフトウェアは、OnePlusがOxygenOSで提供しようと取り組んできたもの、つまり、あまり多くの追加ソフトウェアを追加せずに、Androidに手を加える形に似ているようだ。外観的には、同社の「アナログ」デザイン言語を踏襲することになる。同社は、(Androidを土台にするとはいえ)ハードウェアとともにOSレイヤーを開発することで、Appleのような道を歩もうとしているのだ。同社のヘッドフォンはすぐに対応し、AirPodsやTesla(テスラ)などの自動車を含むサードパーティ製品のサポートに取り組んでいる最中だとペイ氏はいう。

Nothingは、携帯電話のOSアップデートを3年間、セキュリティアップデートを4年間提供することを約束している。

というわけで、同社はEar(1)が確立したパターンを踏襲し、今後数カ月のあいだ、次期スマホのより詳細な情報をチラ見せしていくことになるのだろう。

携帯電話のニュースとともに、同社は、わずか2週間前に実施された7000万ドル(約84億8000万円)のシリーズBに続いて、さらにクラウドファンディングで資金を調達することを発表した。同社が目指しているのは1000万ドル(約12億1000万円)で、VCが支援したラウンドと同じ評価額で募集される。現在、事前登録を受け付けており、4月5日に正式公開される予定だ。ファンに金銭的な利益を与えることで、コミュニティの関与を促進しようとするこの戦略は、これまで同社にとって成功を収めてきた。

このデバイスは、モバイル関連のスタートアップ企業にとって厳しい、しかし期待が集まる時期に登場することになる。初代iPhoneが発売されてから15年が経ち、携帯電話への関心は薄れている。パンデミック以前から売り上げは横ばい、低迷していたが、その後のサプライチェーンの制約やチップ不足とともに、この傾向はさらに悪化している。LGやHTCのようなかつての主要プレイヤーは、この業界から完全に撤退するか、劇的に規模を縮小している。

Nothingは、Essentialの失敗から生まれたプライバシー重視のOSOMを含む、新しいモバイルスタートアップ各社の小さなムーブメントに加わることになる。ちなみにペイ氏とNothingは、EssentialのIPを買収したが、同社は最終的にその名前を使って何もしていない。

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

NothingがSnapdragon搭載のスマートフォンを3月23日発表か、約81億円のシリーズB調達

Nothing(ナッシング)にとって、Mobile World Congress(MWC)は序曲だった。この若いハードウェアのスタートアップは、ミーティングルームで、舞台裏で、次に何が来るかを議論しながらショーを過ごした。会期中に述べたように、すぐに出る答えはスマートフォンであり、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏は主要なモバイル企業幹部たちとの内密なミーティングで、このデバイスを喜んで披露していた。

英国時間3月9日、Nothingは3月23日に開催されるライブストリーミングイベントで、今後の動きについて説明すると発表した。このタイミングは、我々が最近の記事で指摘した「来月までに」というタイムラインと確かに一致しており、来るべきAndroidデバイスの最初の実物を垣間見ることができることを大いに暗示している。

画像クレジット:Nothing

また、EQT VenturesとC Venturesの共同出資による7000万ドル(約81億1000万円)の新たな資金調達もその方向性を示している。同社はリリースで「この資金は、Qualcomm Technologies(クアルコム テクノロジーズ)とそのSnapdragonプラットフォームとの提携による新しい製品カテゴリーの創出、および元Dyson(ダイソン)のデザイン責任者Adam Bates(アダム・ベイツ)氏が率いる新しいLondon Design Hubでの事業の拡大に使用されます」と述べている。

Qualcommは2021年10月、Nothingが5000万ドル(約57億9000万円)のシリーズAエクステンションラウンドを調達した際に、同社の戦略的パートナーとして発表された。

「今回の資金調達により、シームレスなデジタル未来という当社のビジョンの次の段階を実現するための燃料を得ることができました」とペイ氏は発表で述べている。「コミュニティと投資家のみなさまのご支援に感謝しています。当社の最初の年はウォームアップでした。今度のイベントで、Nothingで何を作っているのかを明らかにするのが待ち遠しいです」。

ペイ氏は、先週バルセロナで開催されたイベントでも、Qualcommの幹部らと一緒に写真を撮られている。もちろん、このチップメーカーは最近では携帯電話以外の部品も製造しているが、ペイ氏とSnapdragon、およびAndroidのアカウントとのTwitterでのやり取りで、さらなる裏付けを得られる。

この製品は、2021年のEar(1)ワイヤレスイヤフォンに続く、Nothingの第2弾となる。初報で述べたように、このスマートフォンは、筐体の一部に透明性を持たせるなど、前モデルとデザイン的な要素を共有することになる見込みだ。

「THE TRUTH」発表会は、米国東部標準時3月23日午前9時(日本時間午後11時)にキックオフされる。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

ロシアのスマホ市場でシェア1位のサムスンが同国向け製品出荷を停止、家電や半導体も

Samsung Electronics(サムスン電子)は現地時間3月5日「現在の地政学的情勢のため」ロシアへの全製品の出荷を停止していることを明らかにした。

同社は「次のステップを決定するため、この複雑な状況を積極的にモニターし続ける」と述べている。

Samsungは、ロシアでのサービスを停止する予定があるかどうかについてのコメントを避けた。事情に詳しい関係者がBloomberg(ブルームバーグ)に語ったところによると、輸出停止対象はスマートフォンや半導体、家電などを含む全製品だという。

制裁に参加したMSCやMaersk(マースク)などの世界的な海運会社がロシアの港での全運航を停止することを決定し、ロシアへの航路やフライトが停止している。韓国の海運会社であるHMM(旧称:現代商船)も先週、サンクトペテルブルクへの貨物サービスを停止し、Samsung、LG、Hyundai(現代)などの韓国企業がロシアに製品を送ることができなくなった。

4日、ウクライナの副首相兼デジタル相のMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)氏は、サムスンのJong-Hee Han(ハン・ジョンヒ、韓宗熙)副会長宛てに送った手紙で、ロシアでのサービスや製品の供給を一時的に停止するよう促した。

フェドロフ氏は、4日にツイートした手紙の中で「歴史の一部となり、このような異常事態に協力して頂きたいのです」と述べている。「そうした行動がロシアの若者や活動的な人々を動かし、不名誉な軍事侵略を主体的に阻止することにつながると信じています。私たちは貴社の支援を必要としています。2022年、住宅地、幼稚園、病院を狙う戦車、多連装ロケットランチャー、ミサイルに対して、近代的な技術はおそらく最良の応酬となるでしょう。ウクライナとともに立ち、何百万人もの罪のない命を救ってください!」。

サムスンは声明でこう述べている。「私たちの思いは、影響を受けたすべてのみなさまとともにあります。全従業員とその家族の安全を確保することを最優先に考えています。当社は、難民のための援助を含む、この地域の人道的努力を積極的に支援する予定です」。

同社は、100万ドル(約1億1500万円)相当の家電製品を含む600万ドル(約6億9200万円)を現地の人道支援活動に寄付する他、従業員からの自発的な寄付も行っている。

ロシアにおけるスマートフォン市場は、Statcounterのデータによると、2021年にはSamsungが約26.6%のシェアを獲得してトップに立ち、23%を占めるApple(アップル)と19.9%のXiaomi(シャオミ、小米科技)がそれに続いている。

このニュースは、ウクライナ侵攻を受け、多くのテック企業がロシアでのサービス運営を停止する決定を下した数日後に発表された。

Apple(アップル)は先週、ロシアでの製品販売を停止したことを発表した。Microsoft(マイクロソフト)も、ロシアでの新規販売製品・サービスをすべて停止したと発表している。

画像クレジット:Karlis Dambrans / Getty Images

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Den Nakano)

サムスン 、アプリのスロットリング問題に対処するアップデートをリリースへ

Samsung(サムスン)は同社のAndroidスマートフォンの一部で、何千ものアプリのパフォーマンスを制限しているという苦情に対応した。TechCrunch宛の声明で同社の広報担当者は、Samsungはソフトウェアをアップデートして、ユーザーがスロットリングをよりコントロールできるようにするという。ただし、このアップデートが配信されるスケジュールは明らかになれていない。

「私たちの優先事項は、消費者に最高のモバイル体験を提供することです。製品について寄せられるフィードバックを大切にし、慎重に検討した結果、ユーザーがゲームアプリの実行中にパフォーマンスを制御できるように、近日中にソフトウェアアップデートを展開する予定です」と、Samsungの広報担当者は電子メールで述べている。

Samsungのこの約束は、同社のスマートフォンがおよそ1万のアプリのパフォーマンスを制限しているという報告に応じたものだ。その報告は最初Android Authorityに掲載され、Twitter上の苦情にもなり、さらにSamsungの韓国のコミュニティフォーラムにも載った。同社のGame Optimizing Service(GOS)ソフトウェアはCPUとGPUのパフォーマンスを最適化してゲームを長時間プレイしたときの過熱を防ぐが、それがこの問題の核心のようだが、影響が及んだアプリはゲームだけではない。

しかしながらSamsungは、GOSがゲーム以外のアプリの制限をしているという苦情を否定している。

「GOSはデバイスの温度を有効に管理しながらゲームアプリがすばらしいパフォーマンスを達成できるように設計されています。GOSはゲーム以外のアプリのパフォーマンスを管理しません」という。

ユーザーの報告によると、Samsungは、TikTokやInstagramのようなゲームでないアプリを、ゲームアプリと同じように帯域制限していたというが、Samsungはそれを断固否定している。ただし、それ以上の詳しい説明はない。報告によると、影響が及んだのがベンチマークアプリだけではないことを、ユーザーが目撃している。それによると、テスト時にはパフォーマンスが実際よりも良かったようなこともある。しかしこれに関してもSamsungの説明はない。

アプリの制限が発覚したメーカーはSamsungだけではない。2021年はOnePlusが、OnePlus 9と9 Proで、バッテリー寿命を改善するために多くの人気アプリを制限した認めた。Samsungと同様に最適化機能をユーザーがもっと強力にコントロールできるようにするという。

画像クレジット:georgeclerk/Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Essentialの後継OSOMが同社初の携帯電話について語る「OV1のリリース延期には理由がある」

Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス)は、OSOM(オーサム)の大きなデビューの場となるはずだった。数カ月にわたる予告の後、Essential(エッセンシャル)の破綻をきっかけに設立されたこの北米(米国 / カナダ)のスマートフォンメーカーは、1週間の主要モバイルニュースの中で、最初のハンドセットを披露する予定だったのだ。しかし、計画は変更された。他の大陸で開催される主要なカンファレンスに参加するのは、まだ難しいという判断がなされたのだ。そして、時には大手チップメーカーから「発売を四半期遅らせられないか」と打診されることもある。

関連記事:Essentialの崩壊後、後継者OSOMはプライバシーを重視した新端末を計画する

OSOMは当然ながら、Qualcomm(クアルコム)の最新チップを搭載した新しいデバイスの発売を延期することは、賢明なビジネス判断であると納得したようだ。つまり、OV1の発売を第3四半期から第4四半期に変更したのだ。しかし、これで終わりというわけではない。第4四半期に携帯電話を購入する人はたくさんいる。実際、第3四半期になると、2021年のSnapdragonの大々的な発表が少し古く感じられるようになるくらいだ。

明らかな理由により、同社は次のチップが何であるかを開示することはできない。しかし、OSOMがフラッグシップクオリティのデバイスの発売に注力していることを考えると、それがSnapdragon 8 Gen 1の後継になることはかなり確実なようだ。それがSnapdragon 8 Gen 1+(長ったらしくなってきている)に相当するものか、Snapdragon 8 Gen 2になるかは、発売時期とQualcommのロードマップ次第となるだろう。

「彼らは私たちがローカルであることを気に入ってくれているのです。直接仕事をしているチームとは、長い歴史があります」と、創設者兼CEOのJason Keats(ジェイソン・キーツ)氏はTechCrunchに語っている。「私たちのパートナーの1つは、Qualcommが『なんてこった、彼らと一緒に仕事をしているのか?私たちも、君たちのやっていることにもっと関わりたい』と驚くほどの規模のものです。彼らは、OSOMには何か新しいこと、エキサイティングなことをするチャンスがあると言って戻ってきました。すべての仕組みを変えるために。そして、私たちが巨大企業ではないというのもあると思います。もし彼らの利回りが巨大でなくても、私たちに1カ月に500万個のチップを出荷する心配はありませんから」と語った。

同社は、これまでに2000万ドル(約23億円)の資金を調達しているため、発売日については若干の余裕がある。また、シリーズAの発表まで「2〜3週間」となっている。初回販売は比較的控えめだが、キーツ氏は、同社の直販方式とAmazonなどの追加チャネルによる北米および欧州での売り上げが、同社の急成長を後押しすると考えており、1年後の世界出荷台数でトップ5/10になることを期待している。ただし、BBK(Opo/OnePlus、Vivo、Realme、iQOO)はすべて一塊になっていることが非常に重要な注意点ではある。

OSOMが冒頭で述べたように、ここではプライバシーが重要なポイントとなる。さらなる詳細が発表されるのを待っているところだが、同スタートアップは、とりわけ箱に同梱されるUSB-Cについて、いくつかの知見を提供してくれている。このUSB-Cは、普通の充電とデータ共有を切り替えることができる物理スイッチを備えているそうだ。これは巧妙な追加機能で、驚くことにこれまで見たことがない。スイッチと一緒に、どちらのモードにあるのかがわかるようにランプが点滅する。このケーブルは単体でも販売される予定で、価格は未定だ。

「私たちは、ユーザーにコントロールを与え、指先でプライバシーを確認できるようにすることを重視しており、私たちが作るすべてのものにそれを組み込みたいと考えています」。とデザイン担当副社長のDave Evans(デイブ・エヴァンス)氏は、TechCrunchに語っている。「電話機だけでなく、箱の中に入っているものすべてにです。そのケーブルがあれば、いつでも、デバイスに電源を入れようとしているのか、情報の転送を開始しようとしているのかを周りに知らせることができ、完全にコントロールすることができるのです」と語る。

同社は、追加の詳細をポツポツと発表した。フレームはステンレススチール、フロントはGorilla Glass Invictus、背面はセラミックで、カラーはホワイト、マットブラック、そして3つ目の「ファン」カラーが用意されている。基本的には全体を通してプレミアムな素材を使用している。

Qualcommの目玉の一部は、(予想だが)未発表のSnapdragonチップに統合されたカメラ周りにある。OV1は、48メガピクセルと12メガピクセルのデュアル背面カメラに、16メガピクセルのフロントカメラを搭載し、すべてソニー製のセンサーだ。

画像クレジット:OSOM

「Essentialが犯した最大の過ちの1つは、カメラにほとんど力を入れていなかったことです」と、キーツ氏は以前の自身の雇用主について語る。「『すばらしいデザインとエンジニアリング、ただし、微妙なコネクティビティとひどいカメラ体験』といったレビューを読むことになってしまいます」と語る。

このデバイスは、デュアル物理SIMスロットを搭載している。同社は、EssentialとSprint(スプリント)との契約を振り返り、リリースをどのキャリアにも縛りたくはないと語った。また、PH-1よりも物理的に大きくなっているが、これはバッテリーがより大きくなったためで、バッテリーは現在の値では「1日以上」もつ。OV1は、ウルトラワイドバンドにも対応する予定だ。

正確な発売日も価格もまだ未定だ。しかし、キーツ氏は、プライバシーに焦点を当てたこのデバイスが「1000ドル(約11万5000円)よりだいぶ下」になると以前話していた。これは率直に言って、最近のフラッグシップの中では安価だと言ってもよいだろう。このニュースは、Nothing(ナッシング)がスマートフォン競争に参入し、来月までに大きな発表を行うという私たちの最近の報道の後に続いている。Nothingは、Essentialの崩壊後に資産を購入したことで注目を浴びたが、創業者のCarl Pei(カール・ペイ)氏は、同社は一時的にその名前の復活も検討したそうだが、当時の決断はあくまでブランディングのためだったことをTechCrunchに認めた。

この携帯電話は、10年間の爆発的な成長の後、売上高の停滞に苦しんできた業界の過渡期に登場することになる。スマートフォンの世界は、少なくとも成熟期に入っている。購買意欲は鈍化し、人々は近年劇的に向上した端末の品質に概ね満足している。現在、市場の一部は一握りのプレイヤーによってコントロールされているため、真の破壊はボトムアップで起こる必要があるのだ。

OSOMは、プライバシーが売上を確保する差別化要因として十分であることに大きな賭けをしている。つまり、プライバシーと、その懸念を払拭するための適切なマーケティング予算だ。同社はまた、自社を単なるハードウェア・メーカー以上の存在とみなしている。正直にいうと、最近はどこもそうでなければならないことが多い。

「私たちは、プライバシーのためのソリューション全体を構築しています」とキーツ氏はいう。「私たちは、ユーザーのプライバシーを保護するためのデバイス、ソフトウェア、サービスを作りたいと考えています。それは、単にアプリケーションストアからアプリをダウンロードするだけでなく、ソフトウェアパートナーを当社のハードウェアに統合し、彼らが実際に働くための基盤を提供するのと同じくらいシンプルなことかもしれません。システムレベルでインストールすることができるのです」と語った。

それは、さまざまなソリューションで他企業と提携することも含まれる。1月、OSOMはHPとの「長期的な戦略的パートナーシップ」を正式に発表したが、具体的な契約内容はこれからになるだろう。

画像クレジット:OSOM

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

セキュリティを強化した企業や政府機関向け新型AndroidスマホをブラジルのSikurが発表

BlackBerry(ブラックベリー)が企業の携帯電話として使われていたのは、今からもう何年も前のこと。タッチスクリーン式電話や「BYOD(Bring Your Own Device)」の流れが、そのすべてに終止符を打った。しかし、セキュリティに平均以上の懸念を持つ企業や政府機関に向けた専用モバイルハードウェアというコンセプトは、技術史の中に過ぎ去ってしまったわけではない。

ブラジルのソフトウェア企業であるSikur(シクール)は、2015年に「GranitePhone(グラナイトフォン)」というブランドで情報流出防止 / セキュリティ強固版のAndroidを搭載したスマートフォンをリリースして以来、このコンセプトを推し進めてきた。2018年には「SikurPhone(シクールフォン)」がその後を継いだ。

そして現在、同社はMobile World Congress 2022(モバイルワールドコングレス2022)で、セキュリティ強化を「保証済み」の新しいAndroid端末を発表した。これには「Sikur One(シクール・ワン)」というやや誤解を招きそうな(しかし、ある種の層に向けたマーケティングだと思われる)名称が付けられている。

この端末は「防御力を高め、機密情報を根源で暗号化する」と宣伝されている「Sikurのエンジニア保証済み」機能パッケージによる「ゼロ・トラスト(一切信用しない)」コンセプトを謳っている。

この内蔵セキュリティ機能には、デバイスの暗号化、サードパーティストアからのアプリのインストールをデフォルトで拒否、位置情報サービスのハードブロックなどが含まれる。もちろん後者は、Googleの多層な設定とユーザーデータへの貪欲さのおかげで、平凡なAndroid機ではオフにするのが一筋縄ではいかないと悪名高いものだ。

また、Sikurの「Android Verified Boot(Android検証起動)」は、内蔵システムアプリを追放することで、攻撃される面積を縮小し、さらに / またはデバイスを「軽量で安全」に保つと、宣伝文では述べている。

そして、いくつかの標準的なソフトウェアを編集したにもかかわらず、この端末は「完全に設定され、使う準備ができている」とSikurは言っており、さらに「一般的な機種と同等の使いやすさ」を備えていると主張する(それは具体的に何に使いたいかに依るだろうが)。

またこの端末は、ロックされたブートローダーや、OTA(無線アップデート)によるパッチ適用で、アプリやOSを常に更新された状態に保つことができる。ユーザーが手動でアップデートしなければならない状態にしておくと、その間にセキュリティ上の脆弱性が生じる可能性があるからだ。

さらにSikurは「パスワード不要の認証トークン機能」をアピールしており、これがフィッシングやマルウェアの攻撃を防ぐのに役立つと勧めている。デフォルトのネットワーク設定も、セキュリティに配慮して調整されている(さらに、安全でないWi-Fiへの接続を保護するために、SikurのセキュアVPNも利用できる)。

期待される通り、リモートロックとリモートワイプ機能も搭載している。

このデバイスには、デフォルトの通信アプリとして「Sikur Messenger(シクール・メッセンジャー)」が搭載されている。この同社のエンド・ツー・エンド暗号化メッセージングアプリは、安全な企業内チャットアプリ(メッセージ、音声、ビデオ通話などをサポート)として、また、安全なプライベートクラウドにデータを保持してファイル保存・共有するために使用できる。

ただし、このレベルのセキュアな通信は、Sikur Messengerのマイクロネットワーク内でのみ可能であり、このソフトウェアを搭載したデバイスを支給された社員のみが参加することができる(とはいえ、このメッセンジャーアプリは標準的なAndroid、iOS、Windowsでも利用可能なので、同社のモバイルハードウェアでなくてもアクセスできる)。

スペック面では、Sikur Oneは6.5インチのスクリーン、Android 11を動作させるオクタコアプロセッサ、4000mAhのバッテリーを装備している。

4G端末(5Gではない)であり、4GBのRAMと128GBの内部ストレージ(拡張スロットで最大512GBまで追加可能)を搭載している。

前後にカメラも搭載されており、デュアルSIMにも対応。カラーオプションは「ステルス(当然、ブラック)」のみの設定だ。

「一般的なデバイスはオープンで、設定を変更される恐れがあります。システムにダメージを与えたり、マルウェアを導入したりするようなアプリをインストールし、データ漏洩やスパイの扉を開くことができてしまいます。Sikur Oneなら、空港やレストランなどの公共ネットワークで行われる接続も保護されます」と、SikurのFabio Fischer(ファビオ・フィッシャー)CEOは声明で述べている。

この携帯電話は、Sikurとブラジルの電子機器メーカーであるMultilaser(マルチレーザー)の共同開発によるものだ。

Sikurは、このデバイスでは「大企業や政府機関」をターゲットにしており、セキュリティと、欧州の一般データ保護規則やブラジルの個人情報保護法のようなプライバシー規制への幅広い遵守の両方を懸念している組織に向けて、今週から先行販売を開始すると、広報担当者は語っている。

「デバイスは中南米、米国、欧州、中東で販売されています」と、この広報担当者は述べ「中でもブラジルと米国は、当社にとってこれまでのところ最大の市場です」と続けた。

Sikurによれば、同社は2015年以来、約3万5000台の端末を販売したという。

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モバイルが盛り上がりに欠ける中、地味なMWCが閉幕

先週、奇妙なMWC(Mobile World Congress、モバイルワールドコングレス)になりそうだとの記事を書いた。「奇妙」というのは、今までの常識を超えて、すべてが「奇妙」になるという意味だ。世界的なパンデミック時に開催される2度目のショーであることに加え、スマートフォン業界が大きな変化を遂げたからだ。

前回の記事の内容を、簡単に箇条書きで紹介する。

  • 人々のデバイスのアップグレードの頻度が減り、他の場所にお金を使うようになった
  • サプライチェーンの問題やチップ不足が足を引っ張っている
  • LGとHTCは携帯電話の製造を中止し、劇的に縮小した。しかし、後者は少なくとも、ある流行語(ブロックチェーン)から別の流行語(メタバース)へと 飛び移る準備ができている
  • Huawei(ファーウェイ)は制裁を受けて一歩退いた立場に
  • Samsung(サムスン)やApple(アップル)といった企業は、今や自身のイベントに依存している
  • その結果、中国市場はXiaomi(シャオミ)をはじめとする多数のBBK(歩歩高)傘下企業に開放された
  • Qualcomm(クアルコム)は大型のSnapdragon(スナップドラゴン)チップを発表し、この技術を搭載した最初のデバイスの開発を各社を競わせている。

これらは、事実上スマートフォンの展示会となっていた同イベントにとって、逆風となっているように感じられる。個人的にはMWCは本来の姿であったB2B / ネットワーク / キャリアの展示会に戻る運命にあるのではないかと考えていたが、今週のバルセロナでは、ほぼその通りの展開になったようだ。

消費者にとって間違いなく2大ニュースとなる製品がSamsungのGalaxy Book 2 Proと Lenovo(レノボ)のThinkPad X13sという、どちらもノートPCであることは、表向きはスマートフォンの展示会となっている雰囲気にとって刺激的なものとはいえない。Huaweiもまた、電子書籍リーダー / タブレットのMatePad PaperとMateBook X Pro(#notMacbook)という2種類の携帯電話ではないデバイス(#notphones)で、ちょっとした話題作りに成功した。

ショーの直後、私はHuaweiのCTOであるPaul Scanlan(ポール・スキャンラン)氏に、米国の制裁によって同社がGoogle(グーグル)やQualcomm(クアルコム)のような巨大企業へのアクセスが遮断され、消費者向けの努力が妨げられたことを受けて、舵取りを余儀なくされた同社の計画について質問した。彼の答は以下のようなものだ。

その他の、電源管理、バッテリー、HarmonyOS層のソフトウェアなどで差別化を図っています。また、コネクテッドトレッドミル、コネクテッドバイク、コネクテッドテレビ、コネクテッドスピーカー、コネクテッドエアコン、コネクテッド心拍計などの、あらゆる要素をつなぐHarmony(ハーモニー)を、AppleやGoogleなどのエコシステムから差別化しようとしています。

【略】中国国内ではまだ好調です。海外では、GMS(Google Mobile Services)やiOSのエコシステムといったものと差別化できる機能が必要な場合がありますが、これは当社にとっては難しいことです。そのため、コンシューマービジネスグループを拡張し、スマートフォンだけでなく、他のさまざまなデバイスを含めるようにしたのです。スマートフォンについては、1年間で300億ドル(約3兆5000億円)程度の打撃を受けました

同社は、今回のウクライナ侵攻を受けたロシア市場における位置づけについてはコメントを控えた。

その他、多くの主要中国メーカーが実機の発表をリードした。TCLは、その30シリーズに、5GをサポートしたTCL 30 5Gを含む、多数のモデルを追加した。また、まだコンセプト段階の新しい折りたたみ式スマートフォンも披露した。旧HuaweiブランドのHonor(オナー)は6.8インチのフラッグシップ機Magic4を、旧XiaomiブランドのPoco(ポコ)は6.7インチのX4 Pro 5Gを披露した。一方、OnePlus(ワンプラス)は、年頭のCESで発表した10 Proの詳細について、さらに情報を提供した。

この1週間は、こうしたニュースを見逃していたとしても、許されるだろう。

今週、最もエキサイティングだったスマートフォンのニュースは、ショーの外で起こったものだった。このカテゴリーには、確かな経歴を持つ2つの新しいプレイヤーが参入しようとしている。上に述べたような理由から、今この瞬間は、この領域に入ることは非常にチャレンジングであると同時に、やりがいのある時期であると言えるだろう。このカテゴリー十分に成熟しているが、もしかしたら人々は、状況を一変させる新しいプレイヤーを待っているのかもしれない。

まずはNothing(ナッシング)だ。このハードウェアスタートアップは、創業者Carl Pei(カール・ペイ)氏の最初の会社であるOnePlusに続いて、新しい携帯電話を発売する準備を進めている。ある情報筋がTechCrunchに語ったところによれば、Nothingは2022年4月までに最初の携帯電話を発表する予定だという。バルセロナの展示会場の奥で、このデバイスは披露された。同社の最初の製品であるEar(1)と同様に、透明な部分を持つことは分かっているが、それ以上はよくわかっていない。

一方、Essential(エッセンシャル)の華々しい崩壊の跡から立ち上がったOSOM(オソム)は、当初、MWCを最初のデバイスであるOV1の発表の場とする予定だった。しかし、最終的にQualcommが同社に断りきれないほどのオファーを出し、デバイスのリリースを第3四半期から第4四半期に延期した。

創業者でCEOのJason Keats(ジェイソン・キーツ)氏は、TechCrunchの取材に対し「地元に密着していることが評価されているのです。私たちはチームと直接仕事をする長い歴史を持っています」と語った。「私たちのパートナーの1つは、Qualcommに『なんてこった、彼らと一緒に仕事をしているのですか。あなたたちやっていることに、もっと関わりたいですね』』と言わせるほどの大企業です。彼らは、繰り返しOSOMには何か新しいこと、エキサイティングなことをできる機会があると言っています。すべての仕組みを変える機会です。また、私たちが巨大企業ではないという理由から、彼らの生産力が巨大ではなかったとしても、1ヵ月に500万個のチップを出荷する心配をする必要はないということもあると思います」。

同社はまた、いくつかの仕様を紹介し、データ転送と充電の切り替えが可能なスイッチ付きの賢いUSB-Cコネクタを披露した。正直言って、他の企業が挑戦していないのが不思議なくらいだ。

ほぼ予想通りの展開とはなったものの、スマートフォンの最高峰の展示会としてのMWCを私はまだあきらめたわけではない。2022年もまた、業界や世の中全体にとって、ユニークなチャレンジに満ちた奇妙な年だった。人々の注意は、今は当然ながら別のところに注がれている。

画像クレジット:Josep Lago / AFP/Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:sako)

カール・ペイ氏のNothingがスマートフォンを開発中

OnePlus(ワンプラス)を共同設立してから7年後、Carl Pei(カール・ペイ)氏は、2020年にこのスマートフォンメーカーを離れ、自身のベンチャー企業を起ち上げた。Nothing(ナッシング)と名づけられたこの会社は、現在までに透明なイヤフォン「Ear (1)」という製品を1つだけ発表している。しかし、この経営者は、自分が名を成した業界への復帰を準備しているようだ。

Nothingは1年以上前からスマートフォンの開発に取り組んでおり、2022年4月までに発表する予定だと、この件について直接知っている関係者が、TechCrunchに語った。ペイ氏は、バルセロナで今週開催された携帯電話関連のイベント「Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス)」において、業界の主要経営幹部たちと行った会談の中で、このデバイスの試作品を披露したという。TechCrunchはペイ氏がQualcomm(クアルコム)の最高経営責任者とそのような会談している写真を見た。

この近々登場するデバイスに関する詳細はほとんどわからないが、情報提供者はこの製品が、Nothingの最初の製品と同じデザイン言語と、そこに見られる「透明性という要素」を共有することになると言及している。2021年に発売されたこのイヤフォンは、ロンドンに拠点を置くハードウェアスタートアップの同社によると、1月下旬の時点で40万台を出荷しているという。

ペイ氏は、このイヤフォンを発表する直前の2021年7月、TechCrunchによるインタビューで、同社が複数の異なるデバイスをロードマップに載せていることを明かしていた。「私たちは、多くの製品を開発中です。2022年の初めには、コミュニティクラウドファンディングを実施し、150万ドル(約1億7000万円)をコミュニティに割り当てました。それはあっという間に買われてしまいましたが、私たちはその資金調達ラウンドの一環として、開発中の製品をいくつか紹介するプレゼンテーション資料を用意しました。当社の製品のコードネームはPokémon(ポケモン)から取っているので、このスライドにはたくさんのポケモンが登場します。私たちは複数のカテゴリーを検討していますが、それらが何であるかはまだ発表していません」と、同氏は語った。

ペイ氏は確かに、OnePlusの共同設立者でその原動力としての経歴を持っている。同社初のデバイスは2014年、すでに成熟して飽和状態にあると思えたカテゴリに登場した。それでも、この製品は、フラッグシップ機並みの品質と中級機並みの価格を武器に、米国市場への参入という難業を成し遂げた。2021年、OnePlusはハードウェアチームを、同社の過半数を所有するOppo(オッポ)と合併させた。Oppoは、Vivo(ヴィーヴォ)、Realme(リアルミー)、iQOO(アイクー)といった主要ブランドとともに、BBK(歩歩高電子工業)の傘下にある。

この会談が行われた今回のMWCは、特に地味なイベントとなった。携帯電話業界は、長年の売上低迷と減少に悩まされており、最近は新型コロナウイルスの影響による購買習慣の変化、サプライチェーンの停滞、チップ不足によって、さらに悪化している。スマートフォン市場は、革新を起こすのに適した状況にあるといえるが、携帯電話が目新しいものから何処にでもあるものに成長し、良質の製品が安価に入手できるようになった今、それを実現することは至難の業だ。それでもNothingは、確かに旋風を巻き起こすのに十分な資金を持っている。同社は、GV、Tony Fadell(トニー・ファデル)氏、Casey Neistat(ケイシー・ナイスタット)氏、Kevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Steve Huffman(スティーブ・ホフマン)氏など著名な投資家から、7000万ドル(約81億円)以上を調達している。

また、Nothingは同じようにコミュニティによる牽引を重視することで、独自のファン層を築くことにも成功している。ペイ氏が興味を持っているスニーカー市場から明らかに着想を得た、リリーススケジュールやマーケティングキャンペーンの手法も同様だ。しかし、99ドル(約1万1500円)のワイヤレスイヤフォンに興味を持たせることはできても、確立されたスマートフォンの世界でそれを行うことはまったく別の問題である。

長年、携帯電話産業を先導してきたLGやHTCなどの企業は落ち込み、Google(グーグル)のような大手企業でさえ、この業界には計り知れない困難があることがわかってきた。現在はApple(アップル)、Samsung(サムスン)、Xiaomi(シャオミ)などのプレイヤーが世界的な売上を支配しており、BBK傘下の前述のブランドがそれに続いている。先週、新規参入のOnward Mobility(オンワード・モビリティ)は、BlackBerry(ブラックベリー)ブランドを再起動する計画を破棄すると発表した

Essential(エッセンシャル)は、3億ドル(約350億円)もの巨額の資金を調達したにもかかわらず、成功できなかったことで有名だが、Andy Rubin(アンディ・ルービン)氏が設立した同社には、多くの失策や問題が指摘されている。ペイ氏の会社はその後、Essentialブランドを買収したが、これは同社が、この不運なハードウェアメーカーの名前を採用することを検討していた際の動きであったと、ペイ氏は後にTechCrunchに語っている。一方、Essentialの従業員の多くは、自分たちの新しいスマートフォン会社としてOSOM(オーサム)を起ち上げ、2022年中の製品発売を計画している。

なお、今回の報道について、Nothingはコメントを辞退した。

画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh, Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

再編の必要性に迫られるスマホ業界を牽引する見本市MWCは、また同じことの繰り返しになるのか?

いつからこうなったのか正確なところはわからないが、Mobile World Congress(モバイルワールドコングレス、MWC)はある時点でスマートフォンの展示会になった。テック見本市の世界に身を置くのはすばらしい。携帯電話のインフラの世界ではほとんど欠けている、外向きの興奮があるのは確かだ。

大手の携帯電話会社の大きなブースと派手なプレスカンファレンスは、それこそニュースを生み出すコンテンツであり、そうでなければ取引だけのイベントになってしまうかもしれないものに世界中の目を向けさせる。ハードウェアメーカーは、こうした展示会と連動した発表サイクルに組み込まれてきた。CESでは、家電製品、ウェアラブル製品、食器洗い機、そして自動車までもが発表される。しかし、MWCでは携帯電話が主役だ。

ただ、ここ数年、スマートフォン業界は大きく冷え込んでいる。斬新なものから必需品への移行は避けられないが、世界的なパンデミック以前から、スマートフォンの販売はすでに停滞傾向にあった。ユーザーが通信会社のアップグレードサイクルについていかなくなり、購入習慣が鈍化した。また、プレミアム端末の価格が1000ドル(約11万5000円)超と高騰するにつれ、アップグレード必須の機能のペースもゆるやかになった。

マーケティング部門がいくら説得しようとも、家電においては世代を超えた技術の革新が毎年起こるわけではない。このような状況では、皮肉なことに意図しない方への展開もある。スマートフォンは、各社がしのぎを削っているうちに全体的にかなり良くなってきた。500〜600ドル(約6〜7万円)以上も出せば、最近では失敗することはまずない。

もちろん、一部のデバイスは他のデバイスより優れているが(そうでなければ、筆者は仕事を失うことになる)、業界の進歩により、製品は耐久性が増し、バッテリーは長持ちし、スペックも向上している。その結果、製品の寿命を人為的に短縮するような計画的陳腐化も以前のようではない。確かに、仕様に関係なく(筆者はおそらくそうした一部の仕様について書く)、毎年アップグレードを要求する熱狂的な人たちが常に少なからずいる。しかし、全体として、携帯電話はより良くなっていて、人々は長くそれらを保持する。埋立地にとっては純粋に良いことだが、販売面では踊り場となる。

これらのことは、成熟したカテゴリーでは予想されることだ。iPhoneが登場して2022年で15年だ。Android端末も来年15年目を迎える。しかし、販売台数の減少傾向は、パンデミックによって加速した。まず、人々が家から出られなくなったという単純な事実がある。ある人は職を失い、また別の人は休業を余儀なくされ(その後の大辞職はいうに及ばない)、可処分所得が端末買い替えを促すものになった。家電製品に使っていた金を、代わりにホームオフィス改装に使うようになった。

そして、サプライチェーンが滞り、チップ不足に陥った。つまり、多くの市場で、アップグレードをしたい人がそうすることができなかった。そして当然のことながら、これらの問題は、チップメーカーや部品メーカーに対する影響力がはるかに小さい中小企業に不釣り合いな影響を与えた。

どう考えても変なMWCになる運命だった。2020年には、CESがぎりぎりで開催を終えた1カ月半後に、主要テックイベントの中で最初に開催を取りやめたものの1つになった。2021年の展示会は、かなり規模を縮小して行われた。2022年は、CESとMWCの運命が少し逆転し、MWCはオミクロン変異株による最悪の事態から逃れたようだ。一方、CESでは、開催を前にしてテック界の大手ブランドがオミクロン変異株の影響で二の足を踏むことになった。影響力の大きな他の主要グローバルイベントはいうまでもない。

筆者は2022年の展示会には参加しない。バルセロナで1週間過ごせなかったことは今も悲しいが、結局、参加はさほど理にかなうものではなかった。展示会はこの仕事の大きなやりがいの1つだった。世界有数の都市で、TechCrunchの奇妙な冒険の数々が繰り広げられるという魅力的な展示会だ。そんなことに興味を持ってくれる8人の人たちのために、いつか回顧録を書くかもしれない。

聞いたところ、数日後に迫ったこの大きな展示会は、あまり話題になっていないようだ。大規模な対面式イベントに対する一般的な違和感に加え、世界最高のスマートフォン発表の場としてのMWCの終わりの始まりを示しているような要因が重なっている。モバイルネットワークとインフラに関する主要イベントとしての命は、たとえ外見上の輝きが失われたとしても、確かに残されている。

Apple(アップル)のように、各社が独自に開催するイベントでデバイスを発表する傾向が広がっている。この動きは、やはりパンデミックによって加速した。企業は遠隔プレゼンテーションのために独自のインフラを整備することを余儀なくされたからだ。Samsung(サムスン)は今月初めにS22を発表し、まさにそれを実現した。もちろん、すべての企業がAppleやSamsung(あるいはGoogle)のような影響力を持っているわけではなく、MWCやCESのようなイベントに自社を結びつけることはまだ意味がある。

モバイル業界全般も、ここ数年で目覚ましい変貌を遂げた。LGは携帯電話の製造をやめた。HTCはまだ製造しているかもしれないが、少なくとも劇的な方法でこのカテゴリーから手を引いている。同社は前述の最初のAndroid携帯のメーカーであるため、これは注目に値する。一方、Huawei(ファーウェイ)は、Android OSとQualcomm(クアルコム)のチップの使用を禁止する制裁を科されるなど、最近多くの問題に対処している。しかし、現実のものとなったHarmonyOSの携帯電話をいくつか見ることができるかもしれない。

後者については、QualcommのSnapdragonのリリースサイクルが、展示会会場Fira de Barcelona以外のところ息づいていると言ってもよいだろう。最新のSnapdragonフラッグシップの使用は、実際には差別化要因ではないが(Qualcommは世界のモバイルチップ市場の3分の1弱を占めている)、企業はそれを使っていち早く市場に参入することで、若干のアドバンテージを得ることができる。Qualcommの大きなイベントはいま毎年12月に開催され、発売時期はどんどん早まってきている。

Lenovo(レノボ)は、Motorolaの新しい携帯電話Edge Plusを発表したばかりで、主に低価格志向のこのブランドは1000ドルの大台にのせないようにしている。つまり、Motorolaの親会社はノートパソコンに固執する可能性が高いということだ。同様に、SamsungはGalaxy S22をすでに発表しており、この展示会で新しいGalaxy Bookを発表するものと思われる。どちらも技術的には「モバイル」と言えると思うが、スマートフォン展示会としてのMWCのイメージをさほど高めはしない。

そのため、主要なプレイヤーはあまり残っていない。Huawei陣営が泥沼から抜け出そうとしていることに加え、他の中国メーカーもこの空白を埋めることができるかもしれない。Oppo(オッポ)のOnePlusブランドは、CESを前にフラッグシップ端末を発表したが、親会社は展示会の場を利用して何らかの発表を行う可能性が十分にある。

TCLも同様で、独自のブランドを確立しようと引き続き取り組んでいる。一方、Xiaomi(シャオミ)とVivo(ビボ)は、母国とインド以外の市場での地位確立に取り組んでいる。ただし、世界1位と2位のスマートフォン市場は成長の余地が十分にある。

MWCは来週開催されるが、この展示会、そして業界全般の行方を断言するのは時期尚早だ。せいぜい、ハードウェアメーカーにとって奇妙な時期の移行期間、つまり、業界が次の大きなディスラプターにぶつかることを期待して地平線に目を向けているぎこちない過渡期だ。

画像クレジット:Pau Barrena/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

さようならSamsung Galaxy Note、そのエッセンスは新Galaxy S22 Ultraの中に

正直に告白すると、Samsung(サムスン)が初代Noteを発表したとき、筆者は懐疑的だった。国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA)のメッセ・ベルリンの群衆の中でそう思ったのは、私1人ではなかったはずだ。5.3インチのディスプレイは、平均的なスクリーンが3.5インチ強であった年には想像を絶する大きさだった。スタイラスは、痕跡器官のように携帯電話に備わっていた。それは、集合的に(そして楽しく)進化してきたPalm Pilot時代からの、奇妙で不必要な遺物のようなものだった。

Samsungは、昔のものと似たような反発を受けた直近のデバイスに関して、そのような懐疑論を正しく指摘している。折りたたみ式ディスプレイのような新しいイノベーションに直面したとき、筆者はこのことについてよく考える。新しいイノベーションが失敗することに賭けることに時間を費やしていたら、かなりの実績があることになる。これは、つきものであり、我々が身を置くこの奇妙な業界の性質でもある。革新的であればあるほど、失敗する可能性は高くなる。

しかし、Noteはあらゆる合理的な指標からみて成功だった。発売から9カ月で1000万台を販売したとSamsungは発表した。初代iPhoneの登場から4年半、すでに閉塞感を漂わせ始めていたカテゴリーに、新しいアイデアを注入する一助となった。Samsungは、Blackberry後の世界でモバイルファーストのバーチャルオフィスというアイデアを取り入れる新しい方法を模索していて、そしておそらく最も重要なことは、ファブレット時代の到来を告げたことだ。2014年には、4.7インチのiPhone 6が登場し、3.5インチや4インチを理想的なスクリーンサイズとして称賛する時代は終焉を迎えたとApple(アップル)でさえ認めざるを得なくなった。

もちろん、Noteのイノベーションの全てが、すごく斬新だったわけではない。発売後、スタイラスに勢いがあると感じられた時期もあった。モバイルのフォームファクタでは、入力デバイスは不当に悪者扱いされていたのかもしれない。多くのメーカーがスタイラスを試したが、最終的にはタブレット用に特別に設計された大型のペンシルの方がはるかに大きな成功を収めた。

しかし、トレンドがどうであろうと、Noteは最後までS-Penを使い続けた。S-Penは、SamsungがNoteとGalaxy Sとの間の境界線を曖昧にし続ける中で、真の差別化要因だった。そして、皮肉にも、スマートフォンのS-Penは、ブランドとしてGalaxy Noteよりも正式に長生きした。ブランド名に関して移り気な傾向があるSamsungのような企業にとって、10年というのは家電ブランドとしてはなかなかの長寿命だ。同社が低価格の旗艦ブランドで取った動きを見るといい。

分析会社によると、終わりに向かうにつれ、売上は停滞し始め、さらに減少しさえした。しかし、その点についてはNoteだけではなかった。高級スマートフォン市場全体が、パンデミック以前から停滞していた。人々が単純にそれほど早くアップグレードする市場ではなかった。高級スマートフォンはより高価になり、また、もう数年使用するのに十分なものだった。一方、Galaxy Sシリーズの製品は大きくなり続け、2021年にはS-Penが追加された。

大退職時代の中で多くがそうであったように、Noteも再編成のために1年休みを取った。2022年になる頃に、Samsungは折りたたみ式の製品ラインアップをフラッグシップにすると宣言し、これもNoteが戻ってこないことを示す証拠のひとつとなった。SamsungがGalaxy Ultra 22にS-Penスロットを組み込むと、Noteの魂はその体を離れ、マーケティング資料で時々言及されるブランドの限界領域を漂うようになった。発売前に筆者がSamsungの担当者と交わした会話で、彼らはS-Penによるメモ取りなどの機能に関して、より抽象的な「Note体験」に言及する権利を留保していると付け加えた。筆者は発表の際に意見を言ったが、ここで繰り返して言ってもいいだろう。NoteブランドはGalaxy Sよりも強い。 あるいは、少なくとも瞬時に認識できる。Samsungは、Galaxy S22 Noteとしてであっても、Noteブランドを維持すべきだ。

筆者は、発売の数週間前に、このデバイスを少し触る機会があった。この記事にたくさんの写真があるのはそのためだ。 基本的には、正式なレビューに先立ち、製品の写真を撮ったり、少しいじったりする時間だ。当然ながら、私はGalaxy S22 Ultraの方に直行した。デバイスを手に取った瞬間に思ったのは、この端末は名前は違うがまさに「Galaxy Note 22」そのものだということだ。見た目もNote、動作もNote、音もNoteだ。

だから、もしあなたが黒一色の服を着て、ギャラクシーノート型のキャンドルを灯していたとしても、落ち着いていられる。まるでNoteが恐ろしい殺人事件を目撃し、政府の保護を受けなければならなくなったようなものだと考えてほしい。あるいは、Galaxy Sと結婚して、その名字を名乗るようになったのだと。わからない。どちらでも良いと思う方を。

しかし、興味深い(そしてあまり議論されていない)のは、この新デバイスがS22の上位機種を事実上崩壊させるということだ。新しい携帯電話を買うとき、もしあなたが付属品を重視するタイプの人なら、S-Penは付属品の中に入っている。それは、全てが最上位というSamsungの長年のアプローチの論理的な拡張だ.

S22とS22 Plus、S22 PlusとS22 Ultraは200ドル(約2万3000円)の差があるが、前者の2つは後者の2つよりも共通するDNAを持っている。実際、ディスプレイとバッテリーの大きさが、この2つの大きな違いだ。S22 PlusとUltraの場合にもそれは当てはまり、最上位機種はさらに高解像度のメーンカメラと追加の望遠、より多くのメモリとストレージオプション(それぞれ8GB〜、128GB〜というのは同じ)、100倍のスペースズーム(もう1つは30倍)、前述のSペンとそのすべての付属物を手に入れることができる。

以下は、1200ドル(約13万8000円)のGalaxy S22 Ultraの基本スペックだ。

  •  501ppiの6.8インチディスプレイ
  •  背面カメラ4基:108MP(ワイド)、12MP(ウルトラワイド)、10MP(ペリスコープ望遠)、10MP(望遠)、100倍スペースズーム、10倍光学ズーム
  • 5000mAhバッテリー
  • 8GB〜12GB RAM、128GB〜1TBストレージ
  • 4K動画撮影
  • Snapdragon 8 Gen 1 (市場による)
  • ディスプレイ内指紋リーダー

最後の3点は、全体的に同じだ。しかし、例えば、6.6インチのスクリーンと4500mAhのバッテリーではなく、6.8インチと5000mAhを望むなら、めでたいことに、S-Penも手に入れることができる。裏を返せば、当然ながら、少なくとも1200ドルを払わなければ、そのNoteの機能は手に入らないということだ。Samsungは、超高級機種とそれ以外のGalaxy Sシリーズの境界線として、S-Pen機能を維持する計画であることをはっきりとさせた。

非常に高価なスマートフォンの壮大な計画の中で、このいずれかが最終のプロダクトだとは思わないが、同社が他の製品に長年にわたるプロダクトラインを統合する際に、少なくとも少しの摩擦があったに違いない。正直に言えば、突然S22のベースモデルが6種類も登場したら、「複雑すぎる」と同社を批判するかもしれない。

Samsungはここでいくつかの決断を迫られ、S-Penを超プレミアムな機能にする方向へ向かった。そのため、S-Penの200~400ドル(約2万3000〜4万6000円)する価値が好きかどうか、急きょ自問自答することになる人もいるだろう。

もちろん筆者は、他人のためにその質問に答えることはできない。筆者は長い間、S-Penは興味深く、時には非常に便利な機能だと感じてきた。過去10年間のS-Penの進化は、より使いやすくなったソフトウェアのアップグレードと、この製品の最も面白い機能をいかに新鮮に保つかという企業努力のように感じられる追加機能の組み合わせだった。パワーポイントのスライドを高度化するためにスタイラスを使うことは非常に便利なのだろうか?そうでもない。格好いいか? そうかもしれない。

本当に便利なのは、「テキストに変換」のような改良点だ。自身の乱暴で読みにくい筆跡にいかによく対応するか、筆者は一貫して感銘を受けてきた。筆者の字はペンと紙でも十分ひどいのに、光沢のあるスクリーン上でスタイラスを使うとなれば尚更だ。しかしソフトウェアはほぼ常に筆者が伝えようとしていることを見抜いてくれる。私の筆跡が思ったほど悪くないのか(ひどい)、それともソフトウェアが非常に優れているかだ(こちらが正しい)。

Samsungは過去10年間、S-Penの約束を見事に果たしてきた。しかし、最初のNoteが登場したときでさえ、多くのユーザーはすでにタッチスクリーンで上手にタイピングできるように訓練されていた。多くの人にとって、Noteは、現在Samsungのユーザーがハイエンドな6.6インチと6.8インチの間で選択している大画面携帯電話の世界への入り口だった。Galaxy Sラインを向上させようとSamsungは効果的にNoteを再利用した。

しかし、私たちに残されたものは、10年以上にわたるスマートフォン戦争から生まれた素晴らしい(おそらく、詰め込みすぎではあるが)成果である。S22 Ultraは、その重量にもかかわらず、驚くほど滑らかな躯体を維持している。実は、初代Galaxy Noteはあり得ないほど大きいとみられ、多くの点でそれが当てはまった。2011年当時、あれだけの画面をサポートするには、もっと多くの携帯電話が必要だった。しかし、エッジトゥエッジディスプレイのような画期的な技術により、より大きなスクリーンを小さな端末で実現することができた。

間違いなくS22 Ultraは、6.43 x 3.07 x 0.35インチ(163.3×77.9×8.9ミリ)という巨大なタンクだ。平均的な体格の成人男性で、平均的な大きさの手を持つ筆者は、8オンス(226グラム)のデバイスが扱いにくいと感じる瞬間があった。これは、大きな端末を手に入れるために支払う代償だ。そして、Samsungはきっと嬉しそうにこう言うだろう。もしスクリーンが大きすぎるなら、いくつか折りたたみ式のものがあるので、喜んで売ろう、と。

  1. Ultra

  2. Ultra2

  3. Ultra3

  4. Ultra4

  5. Ultra5

  6. Ultra6

  7. Ultra7

  8. Ultra8

  9. Ultra9

  10. Ultra10

  11. Ultra11

  12. Ultra12

  13. Ultra13

  14. Ultra14

  15. Ultra15

  16. Ultra16

  17. Ultra17

  18. Ultra18

 

カメラも高品質だ。季節外れの暖かな2月の朝、筆者は嬉々として端末を持って近所を回った。S22は、2022年の携帯電話端末で撮影できる写真のなかでも最高レベルのものを撮ることができる。ナイトショットは、ここ数世代で目覚ましい進歩を遂げた。Samsungにとって、この点での最も重要な競争相手は最新のPixelだ。この端末で、Googleはついにハードウェアも重要であることを認めた。

ナイトショットは、Ultraと低スペックのS22モデルの最大の違いを感じる部分の1つだ。つまり、これらの改善は、1〜2世代で徐々に浸透する可能性があることを意味する。スペースズームも100倍という驚異的な倍率だが、その分、忠実度は劇的に低下する。この機能が目新しさをはるかに超えたとは筆者には思えなかった。108MPセンサーで撮影した画素を合成して、より多くの光を取り込むノナバイニングのような機能の方が、日常的に使うにははるかに有意義だ。

赤ちゃんのころのブライアン。修復済みのもの。

また、先に追加されたPhoto Remaster(写真修復)やObject Eraser(オブジェクト抹消)など、Samsungはソフトウェア面でも改良を続けている。オートフレームは複数の被写体の撮影を改善し、改良されたポートレートモードは深度マップを活用し、ボケ効果を生かしたより精密なカットアウトができるようになった。ウサギの撮影では驚くほどうまくいく、と喜んでお伝えしよう。ディスプレイは、端末の長年の課題だった屋外での視認性を向上させ、特に前述の朝の写真撮影の際には、その威力を発揮した。5000mAhの大容量バッテリーは、26時間という長時間使用にも耐えた。

S22 Ultraはとても良い携帯電話だ。本当に疑問の余地はなかった。S22 Ultraは、Galaxyの両ラインのベストを組み合わせたとは言えないが、両ラインの論理的な中心点に位置している。SとNoteは、過去数世代にわたって、ゆっくりと互いに姿を変えてきた。しかし、より大きな疑問は、この製品が高級スマートフォンの運命について何を語っているのか、ということだ。

このカテゴリーはここ数年、その輝きを失いつつある。Samsungがフォールダブルの登場によって復活させたいと考えているのは、興奮だ。しかし、最も楽観的に予測するにしても、フォールダブルが話題を独占するのは、まだまだ先の話だ。

一方で、Samsungは、あらゆる付属品を真にプレミアムな価格帯のデバイスに詰め込むという、得意とすることを続けていくだろう。しかし、S-Penが決定的な要素でない限り、大多数のユーザーはGalaxy S22の低価格帯端末に満足するはずだ。

現在も抱えているが、多くの嵐を乗り越えてきた愛されるブランドにとって、Noteがこのように静かに後景に流れていくのを見るのは奇妙だ。しかし、Noteは間違いなく太陽の下で輝いたときがあり、たとえSamsungが次の作戦のためにNoteのブランドをなくしても、そのイノベーションはスマートフォン分野への広範な影響の中で生き続けるだろう。

画像クレジット: Brian Heater

[原文へ]

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

印Jio Platforms、Android端末のロック画面にコンテンツを表示させるGlanceに約231億円投資

Jio Platformsが、Android端末のロック画面にメディアコンテンツやニュースやカジュアルゲームを提供するGlanceに、2億ドル(約231億円)を投資したと現地時間2月14日に両社は発表した。これはMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏の帝国が、南アジア市場で到達している4億2千万以上の通信契約者への提供を拡大しようとしている一連の投資における最新のものとなる。

Jio Platformsの親会社で、アジアでもっとも富裕なアンバニ氏が経営するReliance Industriesによると、今回の投資はInMobi Groupの子会社Glanceに対するシリーズDの一部だ。この新たな投資でGoogleが投資しているGlanceの評価額は約17億ドル(約1965億円)になる、と近い筋はいう。

2019年に創業したGlanceは、スマートフォンの人気機種に最初からインストールされて提供され、現在ではユーザー数が4億に達しているという。

この問題を直接知るGlanceのシニアエグゼクティブによると、ユーザー層のかなりの部分がスマートフォンを購入してから1週間以内にGlanceを無効にし、多くの場合、小売店のオーナーが自らGlanceを削除しているという。

Glanceはアジアで上位のAndroidスマートフォンベンダーとタイアップしており、その中にはXiaomiやSamsungもいる。この2社は、インド最大のスマートフォンベンダーだ。

今回の投資の契約では、JioPhone NextハンドセットにGlanceが搭載される。JioPhone Nextは、GoogleとJioが協力して作ったスマートフォンで、徹底的に最適化されたAndroidオペレーティングシステムが動き、約87ドル(約1万100円)で販売される。

両社は、共同声明で次のように述べている。「これは、Glanceと、モバイルのエコシステムのグローバルプレイヤーとの一連の戦略的パートナーシップの最新の例である。契約は、GlanceとReliance RetailとJioの今後のさらなる戦略的コラボレーションに導くと期待され、デバイスとコマースとコンテンツとゲームのエコシステムのすべてにわたるコラボレーションを含意している」。

Jioによると、Glanceは今回得た資金をアジアの外の重要な国際市場への進出に投じていく。それらの市場は、米国、ブラジル、メキシコ、そしてロシアなどとなる。またGlanceの内容としてはライブコンテンツとコマースを充実させる。この両方をロック画面で表示したいと同社は願っている。

InMobi Groupの創業者でCEOのNaveen Tewari(ナビーン・テワリ)氏は、声明で「ムケシュ・アンバニ氏は私の若い頃からの深大なるインスピレーションの源泉であり、このたび氏の傘下のJioが私たちの旅路の戦略的パートナーになってくれたのは、たいへんな名誉なことです」と述べている。

テワリ氏はさらに「GlanceへのJioの投資はビジョンと哲学の深いシナジーをもたらします。Jioは真にディスラプティブな企業です。それにより数百万のユーザーがインターネットにアクセスできるようになり、インドを世界最大のインターネット市場にしました。Relianceは今回、JioPhone Nextのローンチでスマートフォン市場をディスラプトしています。JioのGlanceへの投資と、JioPhone Nextのロック画面上のGlanceのプレゼンスにより、ユーザーのインターネット体験にパラダイムシフトが起きるでしょう」という。

画像クレジット:Glance

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

保証つき中古iPhoneを再生・再販するSwappie、欧州での事業拡大に向け約142億円を調達

サミ・マルティネン氏とエマ・レイヒコイネン氏(画像クレジット:Swappie)

フィンランドを拠点とするSwappieは、中古iPhoneの再生・再販を行う企業だ。すべてのプロセスを請け負い、整備されたデバイスは12カ月間の保証付きで、独自のマーケットプレイスで販売される。2020年には、欧州の新しい市場に進出するために、3580万ユーロ(約47億円)のシリーズBをクローズした。

同社はこのたび、グロースエクイティ企業であるVerdaneがリードする1億800万ユーロ(約142億円)のシリーズCラウンドを実施した。既存投資家であるLifeline Ventures、Inventure、Reaktor Ventures、TESIも参加した。今回のラウンドにより、同社の累計調達額は1億4900万ユーロ(約196億円)を超えた。

Swappieの共同創業者兼CEOであるSami Marttinen(サミ・マルティネン)氏は、声明の中でこう述べている。「当社は、品質を標準化し、サステナビリティの役割を擁護し、中古車を購入するのと同じように整備されたスマートフォンを購入することを一般的にすることで、Swappieがこの分野における消費者の認知度と信頼性を高められると心から信じています」。

中古・整備済みスマートフォンの市場全体は、2022年から2027年の間に年率10.23%で成長すると予測されている。スマートフォンは、2022年には1億4600万トンのCO2を排出すると予測されている。Swappieによれば、人々が携帯電話を1年でもより長く使用することで、約200万トンの排出量を削減できるという。

VerdaneのパートナーであるJanne Holmia(ヤンネ・ホルミア)氏はこう述べている。「人々や企業がより持続可能なライフスタイルへと移行していく中で、iPhoneの再生やリコマースの分野は大きく成長しており、それにともない、Swappieは再生済みスマートフォンにおける欧州のマーケットリーダーとなる可能性を示しています」。

しかし、欧州の電子機器リフレッシュ市場を制するための競争は、まだ終わっていない。

2021年、欧州の再生電子機器マーケットプレイスであるRefurbedは、Evli Growth PartnersとAlmaz CapitalがリードしたシリーズBで5400万ドル(約62億4000万円)の資金を調達した。Refurbedは、130社の再生品業者が同社のマーケットプレイスで販売するという、少し変わったアプローチをとっている。

ドイツ、オーストリア、アイルランド、フランス、イタリア、ポーランドで事業を展開している同スタートアップは、他の3カ国にも拡大する予定だ。

この分野では他に、Back Market、Swappa(米国)、Amazon Renewなどが競合している。また、ドイツにはRebuyもある。これからも、まだまだ競争は激化していくだろう。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

パンデミック後の世界で折りたたみスマホは成功するか?アナリストはその継続的な成長を予測する

先週Samsung(サムスン)はNoteを永遠に葬ってしまった。それは象徴的な行為だった。なんと言ってもスマートフォンは、同社のGalaxy S系列の最先端であり続けるだろう。でもそれは、10年続いたブランドの終わりを表している。それはまた、フォルダブルへの自信を示す機会の1つでもあり、Noteからモバイルのフラグシップの王座を奪うことでもあった。

出だしでさまざまなつまずきを経験したにもかかわらず、Samsungは折りたたみ式スマートフォンという技術の先導者だ。同じぐらい長い企業は他にもいるが、先鞭をつけたのはこの韓国のハードウェア大手であり、同社はモバイルの未来と信ずるこのカテゴリーに他社よりずっと多い投資をしているらしい。

Samsungは少し前に、フォルダブルの市場はニッチより大きいと宣言した。私がSamsungの経営者だったら、やはりそう言っただろう。市場全体の一部として考えても、答はやはり「イエス」だ。まず、それは依然として、大企業とはいえ1つの企業の領域であり、しかもその企業の全台数の小さなパーセンテージにすぎない。

いろいろなアナリスト企業が過去数年間、このカテゴリーの成長を予測しているが、最近のCanalysの予想は、過去にあまり見たことも聞いたこともない、おもしろい視点を提供している。すなわちそれは「パンデミックはこのカテゴリーの成長に貢献するか」という問いだ。

確かにそれは、ちょっとわかりづらい視点だ。そもそも、パンデミックはこれまでも、スマートフォンに負の影響を与えているではないか。理由はいくつかある。まず、誰にとっても明らかなのは、人びとがあまり出かけなくなっているので、新しいスマートフォンなんかいらない。休業で職を失い、可処分所得が減り、しかも前からスマートフォンは更新サイクルが遅くなり価格が高くなっている。もっと最近では、半導体の不足とサプライチェーンの問題が業界を押さえつけている。

人びとが電子製品にお金を投じる機会といえば、家で仕事をするためのPCの購入ぐらいだ。でもこの曇り空が晴れ渡ったら、これらの反対を見ることになるのだろうか?

CanalysのRunar Bjørhovde(ルナー・ビョーロフデ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「フォルダブルの今後の成長の契機は、パンデミックの間に、多くの人びとが画面の大きいデバイスを使い始めていることだ。消費者は、自分が日常使うモバイルデバイスに、絶えずもっと良いユーザー体験を求め続けている。特に生産性とエンタープライズの方面では、欲求のバーがさらに高くなり、大きな画面を求めている。だからパンデミックの回復とともに、消費者のニーズと欲求を満たすフォルダブルスマートフォンのような製品を提供する新たな機会が、スマートフォンのベンダーに訪れる」。

これはおもしろい理屈だが、はたして人びとは、パンデミックの前に比べて大型画面のデバイスにもっとなじんでいるのだろうか?この疑問に対し、人びとは家を出なくなっているのに、スマートフォンを使う機会は増えている、と反論できるかもしれない。

1月に公表されたオーストラリアの研究者たちの報告によると「この悪質なウイルスの地域社会への伝染を防ぐために多くの国がロックダウンを課し、それにより私たちの日常生活が変わっている。ステイ・ホームやワーク・アト・ホームが、もっとも有効な感染予防措置として、個人のレベルとコミュニティのレベルの両方で、世界中で推奨されている。この自己隔離が人びとをますますスマートフォンに向かわせ、それにより互いの接続を維持しようとしている」という。

現時点では、フォルダブルの台数が増え続けていることに疑問の余地はない。Canalysは具体的な数字を挙げて、2021年には890万台のフォルダブルが出荷され、2024年には3000万台を超えると予想している。これまでの需要の停滞への反作用として、パンデミックがこれらの数字に寄与するのではないか。パンデミックでアップグレードが2年遅れ、サプライチェーンの問題もあり、新しいハンドセットを買う気になっている消費者が増えていて、しかも少々高い機種を買うのではないか。

Canalysのもう1人のアナリストによると、高級機の売上減少がメーカーを刺激してハイエンドのイノベーションを推し進めた、という。Toby Zhu(トビー・ズー)氏は次のように主張する。「Androidのベンダーは高級機の分野で大きなプレッシャーに圧されている。800ドル(約9万2000円)以上のスマートフォンが2019年には18%下落し、その間にiOSは68%伸びたからです。Googleと主なAndroidデバイスのベンダーは、製品の差別化と最先端のユーザー体験に重点投資して、ハイエンドの顧客へのアピールを続ける必要があります」。

そんな中でSamsungがある程度成功していることが、一気にフォルダブルのダムの水門を開いた。最も顕著な例であるOppoは、Find Nが初期から好評で「フォルダブルの正しい姿」という褒め言葉を、あちこちからもらった。それは、Motorolaなどによる初期のフォルダブルとは極端に違う設計だ。私の場合は、2021年のGalaxy Z Flipが、フォルダブルを本気で検討する気になった最初の機種だ。そのフォームファクタはGalaxy Foldより扱いやすく、お値段も安い。

Googleなどがもっと投資をして、フォームファクタの選択肢の幅を広げれば、関心を持つ人が増えるだろう。デバイスの生産量が増えれば、コストも下がる。ただし上記2024年の予測である3000万台は、Counterpoint Researchによると2021年に13億9000万台と言われる、スマートフォン全体の出荷量の中ではバケツの中の水一滴だ。

こんな話でいつも大きな疑問符になるのが、Apple(アップル)だ。何年も前から、折りたたみ式iPhoneの噂はあるし、発売は早くて2023年とも言われている。それらの噂によると、今は生産の問題を解決中であり、市販されるのかどうかも未定だそうだ。しかし初期のフォルダブルたちが辿った道を見れば、慎重になるのも当然だ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】Galaxy S22 Ultra、サムスンのファブレットNoteは永遠の眠りにつき「Ultra」として生まれ変わる

Noteは死んだ。10年以上経て、Samsung(サムスン)は正式に革新的なファブレットに幕を下ろした。ブランドは今後も存続するが、それは限定的なマーケティングに止まるだろう。「私たちはNoteをもっと体験してもらうという考え方が強くなっています」と先の説明会で担当者は言っていたが。

Noteが眠りにつくとき、Unpackedイベントの影から見慣れた人物が姿を現した。まるでよくあるメロドラマのように、登場人物は悲劇的な死を迎えるが、デウス・エクス・マキナ、その俳優(まだ契約中)は以前のシーズンでは設定さえなかった一卵性双生児として再び登場する。これがGalaxy S22 Ultraだ。

Galaxy Sシリーズのハイエンドモデルは、悲劇的な死を遂げた兄弟と一緒に、Lucille Ball(ルシル・ボール)とHarpo Marx(ハーポ・マルクス)の鏡があるかのような芸を簡単に実現することができる。今回のイベントまで、私は新しいデバイスに触れる(そして写真を撮る)機会があった。初期の画像ではよくわからなかったが、製品を少し使ってみたことで、Galaxy S 22 Ultraは、あらゆる意味でNoteだと確信を持っていうことができる。

画像クレジット:Brian Heater

確かに同社はここ数世代、境界線を曖昧にすることに費やしてきた。Galaxy Sのラインナップはサイズアップを続け、2021年のUltraでSペン機能を追加された。もちろん、Sペン用スロットがない状態でのSペン対応は、まぁ控えめにいっても不便なものだ。しかし、そこでスマートフォンににスタイラススロットを追加すると、別のNoteになってします。2つのモデルはDNAを共有しており、そのルック&フィールは、丸みを帯びたエッジに至るまで、100%Noteのものである。

私なら、その名称を「Samsung Galaxy S 22 Note」にしただろう、いや「Galaxy Note 22」だ。私は「Galaxy Note」は「Galaxy S」よりもブランド認知度が高いのではないかと思うが、マーケティングの専門家ではない。残念なことに、Samsungの誰かがGalaxy SシリーズはNoteブランドを静かに忘れてしまうほど十分に強力だと判断したのだ。

画像クレジット:Brian Heater

ブランドは複雑で、サムスンは多くのスマートフォンを製造している。そのフォルダブルがフラッグシップモデルの地位を獲得したことで、同社は物事を少し統合することを選択し、最終的にGalaxy SシリーズにNoteを吸収することは、その逆よりも理に適っている。しかし、これはSシリーズによる完全なNoteの乗っ取りではない。スタイラス機能はまだUltra専用で、モデル間の境界線を維持するために、このままだろうと同社は述べている。

Noteシリーズは、ポストiPhoneの世界でスタイラスを再普及させるのに非常に効果的だった、私たちの多くが予想していた以上に。しかし、結局のところスマートフォン全体のパズルの中では、まだ比較的ニッチな存在であることには変わりがない。また、ワコムのデジタイザーをディスプレイパネルに追加し、スタイラスを統合することで、製品のコストが増加している。

  1. CMC_0794

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  2. CMC_0795

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  3. CMC_0799

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  4. CMC_0800

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  5. CMC_0803

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  6. CMC_0810

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  7. CMC_0812

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  8. CMC_0813

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  9. CMC_0814

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  10. CMC_0816

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  11. CMC_0820

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  12. CMC_0823

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  13. CMC_0825

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  14. CMC_0827

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  15. CMC_0828

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  16. CMC_0829

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  17. CMC_0840

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  18. CMC_0849

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  19. CMC_0864

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  20. CMC_0868

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  21. CMC_0869

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  22. CMC_0871

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  23. CMC_0882

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  24. CMC_0883

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  25. CMC_0894

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  26. CMC_0896

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  27. CMC_0899

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  28. CMC_0904

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  29. CMC_0916

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)
  30. CMC_0919

    Samusung Galaxy S22、S22 Ultra、Galaxy Tab(画像クレジット:Brian Heater)

S22 Ultraの価格は1199ドル(約13万8700円)で、Note 20とNote 20 Ultraの中間になる(前者に100ドル[約1万1600円]近い)。そのため、6.8インチのディスプレイも同様だ。QHD+は120Hzのリフレッシュレートで、S22シリーズ(S22+は6.1インチ、S22は6.6インチ)に共通する優れた機能だ。スペック的には、1000ドル+αを支払って期待されるほど堅牢なものだ。

米国では、新しいSnapdragon 8 Gen1プロセッサを搭載している。これは市場によって異なるが、5000mAhの大容量バッテリーも同様だ。8GBのRAMでストレージは128GBまたは256GBだ。背面のカメラはあなたのトライポフォビア(集合体恐怖症)を引き起こすのに十分すぎるほどの性能を持つ。

画像クレジット:Brian Heater

12メガピクセルの超広角カメラ、100倍のスペースズームの10メガピクセルの望遠レンズ(3倍光学ズーム、10倍光学ズーム)、そして108メガピクセルの広角カメラでノンビニングを採用して9つのピクセルを1つに統合している。8K動画は24コマ/秒、4K動画は60コマ/秒での撮影が可能だ。低照度での撮影や動画が改善された他、新しい深度マップによりポートレートモードの撮影が向上している。一方、標準のS22とS22+は、背面カメラシステムを3つ(超広角、広角、30倍スペースズームのシングルテレ)に減らしています。フロントのセルフィーカメラは3モデルとも40メガピクセルのカメラを搭載している。

これらのモデルはCorning Gorilla Glass Victus+を採用し、アーマーアルミフレームと相まって保護性能が向上している。また、より持続可能なハードウェアの生産に向けた同社の幅広い取り組みの一環として、漁網を再利用して「部分的」に作られたプラスチックが利用されている。Samsungは次のように述べている。

これらのデバイスは、使い捨てプラスチックを排除し、リサイクルされたポストコンシューマー材料(PCM)や再生紙など、他の環境配慮材料の使用を拡大するための継続的な取り組みを反映するものです。このような変革により、Galaxyテクノロジーの未来は、最先端の製品設計をもたらし、より良い環境への影響をもたらすでしょう。

画像クレジット:Brian Heater

新モデル「S22」は米国では本日より予約受付を開始し、2月22日より発売を開始する。1119ドルのUltraに加え、S22は799ドル(約9万2400円)から、S22+は999ドル(約11万5500円)からとなっている。今回のイベントでさらに、新しいタブレットも3モデル発表された。Galaxy Tab S8、S8+、S8+も本日予約開始で、それぞれ1099ドル(約12万7100円)、899ドル(約10万4000円)、699ドル(約8万800円)となる予定だ。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

2021年のスマートフォン出荷台数は2017年以来初めて増加

2020年になる前に、世界のスマートフォンの出荷台数はすでに縮小し始めていたが、2年間のパンデミックと、その結果としてのサプライチェーンとチップの制約で数字はさらに悪化していた。しかしCounterpoint ResearchIDCのレポートによると、2021年に市場はやっと2017年以来初めての成長を経験している。

Counterpointは全体の前年比成長率を4%とし、IDCはやや楽観的な5.7%としている。しかし両社とも、第4四半期は6%または3.2%の減少としている。半導体の不足が続いたため減少は予想されていたが、小さなメーカーは特に影響が大きく、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)などのようにサプライチェーンの工夫ができない分、第4四半期の減少も大きかった。

両調査会社とも、2022年の伸び率ではSamusungがトップで、どちらも6%となっている。Appleが2位だ。また最近のCanalysのレポートでは、Appleが1位になっている。3社の調査レポートの傾向に大きな違いはない。Apple自身も、その優秀だった決算報告でこの傾向を確認したが、そこではiPhoneの成功が特に大きく寄与していた。

画像クレジット:Counterpoint Research

AppleのiPhone部門は前年比で9%増の716億3000万ドル(約8兆2529億円)だった。Tim Cook(ティム・クック)CEOは、サプライチェーンの制約は引き続き同社のハードルであり、需要に供給が追いつかない市場も一部にあった。しかし問題は収まりつつあり、前進できると決算報告で述べている。このような問題は、最終的には、そうでなければより強固に回復したであろう市場を指し示している。

IDCリサーチディレクターのNabila Popal(ナビラ・ポパル)氏は「2021年は、供給の制約がなければ、劇的に高い成長率になっていたという事実が、2021年の健全な5.7%の成長率をさらにポジティブなものにしています」とリリースで述べている。「私にとっては、ほぼすべての地域で大きな潜在需要があるというメッセージになります。消費者需要の弱体化をめぐる課題がある中国でさえ、第4四半期の市場は予想をはるかに上回り、正確には5%上回ったが、それでも前年同期比では減少しています」。

画像クレジット:IDC

中国は引き続きサプライチェーンの制約により強い打撃を受けているが、2位と3位のスマートフォン市場は2021年に成長を遂げた。

「米国の成長は、Apple初の5G対応iPhone 12シリーズの需要が2021年の第1四半期まで伸び続けていたことが大きな要因です。この需要は年間を通じて継続し、ブラックフライデーやホリデーシーズンのプロモーションのおかげで第4四半期は好調に終わりました。インドでも中・上位機種の買い替え率の上昇、入手性の向上、魅力的な融資オプションにより、好調な1年となりました」とCounterpointのアナリストであるHarmeet Singh Walia(ハーミート・シン・ワリア)氏は述べている。

10年近くにわたる力強い成長の後、アップグレードサイクルの遅れ、高価格、市場の飽和により、パンデミックの前にスマートフォンの需要の減少は拡大していた。新型コロナウイルスは、消費者の消費意欲を減退させ、その減速にさらに拍車をかけた。これらの問題は、サプライチェーンの問題によってさらに悪化してしまった。しかし、需要の高まりと5Gのようなものが再び消費者の関心を呼び起こしているが、全体の出荷量はまだパンデミック以前のレベルを下回っている。

画像クレジット:Fajrul Islam/Getty Images

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

2月のイベントに向けてサムスンがGalaxy SとNoteの融合を予告

2021年夏、Samsung(サムスン)は10年ぶりに新型Noteデバイスを発売しないことを発表した。ハードウェアの巨人がフォールダブルに焦点を移すことを認めたため、愛されてきたこのファブレットの未来については、大きく、未解決の問題だった。

さらに、Samsungの主要なフラッグシップであるGalaxy Sシリーズは、Noteとの境界線を着実に曖昧にしてきている。「今回、新しいGalaxy Noteを発表する代わりに、我々はNoteデバイスで愛されてきた機能をさらに多くのSamsung Galaxyデバイスに広げていく」と、同社の社長は当時書いていた。

そのため、Sシリーズの画面サイズは年々着実に大きくなり、2021年1月にはS21 UltraでS-Pen機能が追加された。8月には、Galaxy Foldシリーズに独自のスタイラスを追加し、Noteは静かに廃止されるのではないかと考える人もいた。

CESを終え、MWCを目前に控えた今、私たちはUnpacked開催時期の範囲に突入していることに気づいた。毎年、Sシリーズの最新機種が発表される時期だ。Roh(ロー)氏は、2011年当時、その5.3インチディスプレイがいかに小さな混乱を巻き起こしたかを回想し、Noteの生涯を祝うやや曖昧な表現を用いた投稿をまたもや行っている。IFAでの発表の場にいなかった人たちのために触れておくと、当時、大画面のスマホは今よりもずっと大きく、厚いデバイスを意味していたのだ。

この投稿は、同社のフォルダブルのためにより多くのスペースを作るために、2つのフラッグシップが適切な統合を果たしたことを強く示唆している。

「SamsungのGalaxy端末が新しく進化するたびに、私たちはモバイルカテゴリー全体を再定義するような機能を導入してきました。そして、私たちは再び業界のルールを塗り替えようとしています。2022年2月のUnpackedで、私たちがこれまで作った中で最もnoteworthy(注目に値する[編集部が強調])Sシリーズのデバイスを紹介します。私たちのSamsung Galaxyの最高の体験を1つの究極のデバイスに集約した、次世代のGalaxy Sがここにあります」。と同幹部は書いている。

この中の「Noteworthy(注目に値する)」という言葉は、この文脈では多くのことを意味する可能性がある。一番わかりやすいのは、S22 UltraがS22 Noteになることだと思われる。それは、適切なスタイラススロットを意味するのだろうか?ライン全体にSペンが統合されると思っていいのだろうか?私は、この投稿が「注目に値するデバイス」という単数形を使っていることから、その可能性は低いと考えている。これらのデバイスを取り巻くリークの頻度を考えると、早期に回答されるかもしれないし、回答されないかもしれないが、まだイベントまでのリードでいくつかの大きな疑問が残っている。また、夜間や低照度での撮影の改善や、近年同社が重要視しているサステイナブルデザインの採用も予定されている。

Samsungは、新しいスマートフォンと無名のGalaxyタブレットの予約開始を控え、消費者の興奮とブランドロイヤルティがユーザーを乗せるのに十分であるということに再び賭けているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

eSIMの進化版iSIMをクアルコムがデモ、SIM機能をSoCに統合し専用チップ不要

eSIMの進化版iSIMをクアルコムがデモ、SIM機能をSoCに統合し専用チップ不要

クアルコムとVodafone、Thalesの3社は、「iSIM」搭載スマートフォンのデモを実施しました。Snapdragon 888を搭載したGalaxy Z Flip3を用いました。

「iSIM」は、従来のeSIMソリューションの進化版です。

SIMの機能をSoCに統合することで、別チップが必要なeSIMに比べて省スペース化を実現。IoTや小型ウェアラブル端末など、これまでSIM機能を組み込めなかったモバイル端末でもセルラー接続を実現します。

加えて、SoCにSIM機能が組み込まれるため、パフォーマンス、メモリ容量も向上できるといいます。

オペレーターは既存のeSIMインフラを活用したリモートでのSIM提供が可能となります。

Engadget日本版より転載)

スマホ出荷台数がサプライチェーン問題で伸び悩む中、アップルが1位に返り咲く

サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。

Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。

「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。

画像クレジット:Canalys

より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。

アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。

「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。

一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。

画像クレジット:Apple event photo

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スマートフォンの整備品を販売する仏Back Market、評価額約6530億円に

フランスのスタートアップ企業であるBack Market(バック・マーケット)が、またしてもメガラウンドの資金調達を行った。5月に3億3500万ドル(約384億円)のシリーズDラウンドを実施した同社は、米国時間1月11日、シリーズEラウンドで5億1000万ドル(約584億円)を調達したこと発表。同社の企業価値は57億ドル(約6530億円)と評価されている。

Back Marketという会社に馴染みのない人のために説明すると、同社は電子機器(主にスマートフォン)のリファービッシュ品(整備品)専門のマーケットプレイスを運営している。つまり、スマートフォンの価格は高すぎると思う人が、新品の定価を払わずとも、良い状態のスマートフォンを手に入れることができるというわけだ。

消費者が、通信会社やスマートフォンメーカーから新品の携帯電話を購入する代わりに、Back Marketで電話機を購入する理由はさまざまだ。お金を節約するためだけでなく、同社の多くの顧客は、新機種が前世代のモデルと比べて機能が少ししか進化していないと考えている。

また、さらなる廃棄物を生み出したくないという理由で中古品を選ぶ顧客も多い。古いスマートフォンの多くは結局、引き出しの中に入れられたままになっている。バッテリーを交換したり、時にはディスプレイを交換したりすれば、古い機種も十分に魅力的なリファービッシュ品に生まれ変わることができるのだ。

Back Marketは、自ら直接デバイスを再生するわけではない。代わりにサードパーティ業者が、Back Marketの調達パートナーとなっている。Back Marketのマーケットプレイスに自社の在庫を掲載することで、これらの業者はより簡単に買い手を見つけることができる。

一方で買い手にとっては、Back Marketを通じてデバイスを購入すれば、30日間の返金保証が付くという安心が得られる。これまで合計600万人の顧客がBack Marketでデバイスを購入しているという。

Sprints Capital(スプリンツ・キャピタル)が主導した今回の資金調達ラウンドには、Eurazeo(ユーラゼオ)、Aglaé Ventures(アグラエ・ベンチャーズ)、General Atlantic(ジェネラル・アトランティック)、Generation Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)などの既存投資家も参加した。最近、フランスのテックエコシステムは勢いづいており、PayFit(ペイフィット)、Qonto(クォント)、Ankorstore(アンコールストア)といった企業が、この数日間にそれぞれ数億ユーロ(数百億円)の資金調達を発表している。

「私たちの目標は、消費者がテック製品を購入する際に、リファービッシュ品の機器が最初の選択肢となるようにすることです。米国の自家用車市場では、消費者が中古車を信頼して購入するため、中古車は新車販売台数の2倍も売れています。それと同じような展開が、エレクトロニクス市場でも起こることを、我々は期待しています」と、共同創業者兼CEOのThibaud Hug de Larauze(ティボー・ユーグ・ド・ラローズ)氏は声明で述べている。「これらのファンドの支援と信頼は、当社の顧客基盤の拡大と併せ、Back Marketの歩みにおいて、さらには循環型経済全体にとって重要なステップとなります」。

Back Marketにとって特に重要な指標は平均故障率だ。現時点におけるその数字は、約4%と同社では見積もっている。これは、25台に1台の割合で、何らかの形で期待通りの動作をしない個体があるということだ。だからこそ、顧客満足度を高めるためには、カスタマーサービスが重要になる。同社によると、新型機種の故障率は3%と推定されるという。

Back Marketでは、米国市場に明確に注力することで、規模が倍増すると期待している。同社は現在、650人の従業員を抱え、欧州、米国、日本を含む16カ国で事業を展開している。

画像クレジット:Daniel Romero / Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)