Essentialの崩壊後、後継者OSOMはプライバシーを重視した新端末を計画する

2020年のEssential(エッセンシャル)の崩壊は、これほど高い注目を集めた家電スタートアップの敗退としては近年稀に見るものだった。2017年、泣く子も黙る人物が壮大な野心と3億3000万ドル(約377億7700万円)を投じて立ち上げたEssentialは、業界の問題やそれにまつわる失望、創業者Andy Rubin(アンディ・ルービン)氏に対する疑惑などが重なり業務停止に追いやられた。

最終的にはCarl Pei(カール・ペイ)氏が自身の新会社のために同ブランドを購入。ペイ氏は同社名を「Nothing(ナッシング)」と名づけているが「『Essential』は、同社が『Nothing』になる以前に社内で候補としていた名前の1つでした。そのために商標権を取得したのです。Essentialで何かをする予定はありません」と同氏は2022年初めに話している。

より精神的な後継者に近い存在がOSOMという形で登場した。元Essentialの社員らが設立した同社は、ここ数カ月の間にわずかに報道がなされたもののほとんど公になることはなかった。しかし米国時間12月21日、カリフォルニア州クパチーノに拠点を置く同社は、多くの人が予想していたことを正式に発表した。OSOM(「awesome」と同音)は携帯電話を開発しているのだ。

同社が開発中のOV1デバイスを見ると、少なくとも外観的にはEssential PH1を世に送り出したのと同じチームが手がけた作品であることがよくわかる。しかし同製品はモジュール関連の機能ではなく、中核として「プライバシー」を念頭に置いて設計されている。つまりユーザーがデータのプライバシーを確実にコントロールできるように設計されているのである。

MWC 2022を目前にして、それ以外の詳細はまだ明らかになっていない。そこで私は、2021年中旬に共同設立者でありCEOのJason Keats(ジェイソン・キーツ)氏にOSOMとその携帯電話の詳細について聞いてみることにした。

TC:発表は約2カ月後ですね?

JK:そうですね、詳細をお伝えするのは2カ月先になります。MWCで発表を行い、2022年の夏に出荷する予定です。今できるのは、私たちが携帯電話を作っているということの発表だけです。みなさんにはとても期待していただいており、2022年はファンのみなさんに何かをお届けしたいと思っていたので、辛うじて間に合うことができました。

TC:御社はまだ謎めいた存在であるため、どういった人のことをファンと考えたら良いのでしょうか。

JK:驚いたことに、Essentialのファンは初期の頃からとても支援してくださっており、将来に向けて今私たちが作っているものに対しても大きな期待を寄せてくれています。それから今後、根強いAndroidファンのみなさんも多く獲得することができると思います。現在、Pixel以外ではフラッグシップ的なAndroidフォンが存在しません。そこを改善し、またプライバシーを重視したソフトウェアをすでに開発していますし、さらなる改良を続けています。

TC:既存のチームの中で、Essentialから移ってきた人は何人いますか?

JK:EssentialでPH1を作ったときは総勢30人くらいだったと思います。そのチームから15人ほどが参加しています。デザイン、エンジニア、プロダクトデザイン、ソフトウェアエンジニアリングなど、本当にコアなメンバーが揃っています。

TC:チーム全体の規模はどうですか?

JK:約30人です……3分の2以上がエンジニアです。

TC:事実上、ゼロになってしまった会社をどのように再建したのですか?

JK:Essentialで起こったすべての欠陥や出来事の中で、私が(ルービン氏を)永遠に称賛することができるのは彼のリクルート能力です。彼は信じられないような才能を持った人材を採用してきました。彼から会社が潰れると聞いたとき、私は次の行き先を模索しました。Google(グーグル)やApple(アップル)では働きたくないし、Amazon(アマゾン)に行きたいわけでもありません。ここには密接に協力し、一緒に苦難の道を歩んできたすばらしいチームがあります……。

私たちは(Essentialの)最大の問題が、おそらく焦点の欠如であることに気づきました。私たちは目的を持つ必要があると考えました。何のために解決しようとしているのか。特に2020年の時点では、プライバシーに関する一貫した取り組みが行われていないことに気づいたのです。

TC:世間はこれ以上新しい携帯電話ブランドを必要としているでしょうか。

JK:はい、確実に必要だと思います。プライバシーの保護に重点を置いているものが必要であり、それには大きな理由があります。仮に当社がプライバシー保護のためのソフトウェアを開発しているソフトウェア会社だったら、Play Storeで公開して、人々にインストールしてもらえば良いことです。しかし、携帯電話に入れたアプリだけでは、システムに組み込まれていないため簡単に無視したり、オフにしたりすることができます。デバイスに組み込まれていないからです。それが我々のやるべき仕事です。当社はOEMメーカーであり、Qualcomm(クアルコム)のTrustZoneにアクセスでき、そのシステムソフトウェアにアクセスできるため、ユーザーが使用を選択できる真のプライバシー重視のソフトウェアを構築することができます。どちらにしても、ユーザーに選択肢を与えることが重要なのです。

TC:プライバシーを主なセールスポイントとするこの携帯電話に飛びついてもらうというのは、難しいことだとは思いませんか?

JK:米国においては、AppleユーザーではなくAndroidユーザーをターゲットとしています。その場合、Androidユーザーにはブランドロイヤリティがあまりなく、ユーザーはいろいろと試してみたいと考えています。プライバシーに関してはすでに複数のパートナーと提携し、プライバシーのために彼らのソフトウェアやハードウェアを使用している人についての高度な統計データを共有してもらっていますが、そこから見えた数字は驚くべきものでした。プライバシーへの大きな需要があり、人々がプライバシーのためにお金を費やしていることがわかったのです。

TC:現実的にはどのくらいの台数を想定していますか?(米国、カナダ、そしてヨーロッパ全体に)幅広く見据えているようですが、Essentialの数字は予想されていたものとは違っていたようですね。

JK:おもしろいことに、Essentialが開始した時の初年度の目標は10万台でした。結果、初年度のエンドユーザーへの販売台数は30万台弱でした。最大の問題は、(ルービンが)多額の資金を調達していたため200万台の出荷が期待されていたということです。10万台を想定してスタートし、30万台売れたとしたらそれは大成功と言えるでしょう。要はどのような指標を使うかということなのです。OSOMの場合、初年度に20万台売れたら大喜びでしょう。私たちはこれから長い間ここにいる予定ですから。

TC:(Essentialでは)外部からの期待が大きすぎたために物事が崩れてしまったのでしょうか?

JK:何が悪かったのか話し始めれば本が一冊できてしまうほどです。些細なこともたくさんありました。

TC:ひと言でまとめると?

JK:トップが下した多くの決断は、我々が成功するためには直感に反するものでした。

TC:御社の資本金については560万ドル(約6億4000万円)を調達したことが報告されています。これまでの資金調達はどのようなものでしたか。

JK:2000万ドル(約22億9000万円)を確保しました。そのうちのいくらかは投資家によるもので、一部はチャネルパートナーからの予約注文でした。初年度にサポートできるだけの最大数に近い注文数をすでに受けています。投資家の大部分は私と共同設立者のWolfgang(ウォルフギャング)から来るものが多く、外部のVCはすべて主にカナダの企業でした。

TC:最初のシード資金に加えて、シリーズAはありましたか?

JK:現在、シリーズAの真っ最中です。

TC:Playground(プレイグラウンド)は関わっていますか?

JK:いえ、彼らとはじっくりと話をしました。ブルース、マット、ピーターといった同社のチームとは今でもとても良い友人です。今でもアイデアの相談相手として頼っています。

TC:会社が正式に設立されたのはいつですか?

定款は2020年4月20日に提出されました。

TC:社名を「Awesome(すごい)」という単語と同音にした理由は?また名前と文字とどちらを先に思いついたのですか?

JK:(ルービン氏)からEssentialが潰れると聞いた20分後には「よし、自分のことは自分でやろう」と決意していました。私は分かりやす過ぎるものが好きではありません。家中に配線やプラグなどあれこれあって気が狂いそうになりますよね。それで別の製品のアイデアを思いついたのですが、これはいずれ作るかもしれませんし、作らないかもしれません。携帯電話とは何の関係もない、ただクレイジーなアイデアです。でもそのアイデアは目に見えないし、頭にも残っていない。スタートレックで未来のテクノロジーの話をするときに、人々や一般の消費者が本当にイメージするものは何かというと、何かがエーテルの中から答えてくれるという感覚だと思うんです。壁から20cm離れたところの机の上の置いてある、長さ3メートルのケーブルがついた物ではありません。アイデアはエーテルから出てくる「Out of Sight Out of Mind(目に見えず気づかない)」というものでした。ああ、OSOMか。じゃあ「Awesome」と呼ぼうと思い、香港のホテルから登録しました。

TC:そのような初期のアイデアを今応用しているものはありますか?プライバシーは当然その1つでしょうか。

JK:当社のソフトウェアを構築する方法として、まったくその通りの考えを応用しています。目に見えず、気づかないというのが我々の発想ですから、安全を確保したいときには、自分のデバイスが安全を確保してくれているということをただ信じればいいのです。

TC:現在は米国の会社なのでしょうか?

JK:はい。当社はデラウェア州のCコーポレーションです。他のハイテク企業と同じように、おそらくすべてがまったく同じ住所で登録されています。

TC:カナダ政府に対してインセンティブについて話をしているようですが……今後もクパチーノに本社を置き続けるつもりですか?

JK:今のところは宙に浮いた状態です。米国法人であるOSOM Productsは存続し続けますが、いずれ本社はカナダに移すかもしれません。

TC:EssentialとOSOMの共通点は何ですか?哲学、または美的感覚など。

JK:美的感覚は100%共通しています。同じデザイナーDave Evans(デイヴ・エヴァンス)と私がインダストリアルデザインを担当していて、PH1の後継機とは考えていませんでしたが、最初のプロトタイプを見たら「明らかに同じチームがデザインしたものだね」と気づきました。素材の面でも外観の面でも、同じスタッフが引き継いでいます。ソフトウェアチーム、特にAndroidとセキュリティアップデートに関しては、Essentialの超高速アップデートを担当したチームがここOSOMにいます。

TC:広告については、世に溢れる800社の携帯電話メーカーとの差別化をどのように図る計画ですか。

JK:とても楽しみにしているのでまだ何も教えたくありません。でも、こうとだけ言っておきましょう。当社の幅広いチームに同キャンペーンのアイデアやドラフトを見せると、当初からEssentialにいた人たちはみんな「なんでこれを今までやらなかったんだろうと」と言います。差別化のためには、マーケティングに費用をかけなければなりません。調達した資金の大部分がマーケティングに使われています。

TC:スペック面では何を期待したら良いですか?

JK:ハード面でもソフト面でも、フラッグシップモデルといえるでしょう。

TC:最初のハードとして価格を抑えるのは難しいですか?

JK:そんなことはありません。私がEssentialから引き継いだチームは、サプライチェーンに関しては世界でも最高レベルです。パートナーも驚くほど協力的で、驚くようなレートを手に入れることができました。「AppleやGoogleと同じ価格で提供して欲しい」という内容のミーティングを何度か行ったことがあります。

TC:では他のフラッグシップモデルと似たような価格となっているのですね。

JK:1000ドル(約11万円)を大きく下回ることになるでしょう。

画像クレジット:OSOM

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

OnePlus 10 Proは強力なバッテリーと最新のSnapdragonを搭載

OnePlusは10 Proの発売にあたり、共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ)氏を見習ったようだ。CESが近日発売されるデバイスについて知りたいことがすべて1つの便利な場所で手に入る時代は終わったようだ。その代わりに、同社は最新のフラッグシップ機に関する情報を少しずつ提供している

中国での発表会で初めて正式なデザインの一部を見ることができた。そして米国時間1月5日、この製品に関するいくつかの重要なスペックが明らかになった。先の記事で述べたように、同社は非公式のCESへの出展を取りやめており、今週はデバイスを確認するための大きな対面イベントは行われない(おそらくそれが最善の策だろう)。これはまた、他の重要な情報を待つ必要があるということでもある。

画像クレジット:OnePlus

いくつかの信頼できそうなリークにより、OnePlus 10 Proが、Qualcommの最新フラッグシッププロセッサSnapdragon 8 Gen 1を搭載する最初のデバイスの1つになることが情報筋からわかった。これは、2021年の888の後継機種として生まれ変わったものだ。OnePlusは(親会社のOppoとともに)最初にリストアップされたパートナーの一団に含まれていたため、その可能性は予想されていた。

画像クレジット:OnePlus

システムはAndroid 12ベースのOxygenOSを搭載し、同社はこれまでベータ版として披露してきたOppoのColorOSと最近組み合わせている。ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートを誇り、背面のトリプルカメラシステムは4800万画素、5000万画素、800万画素のレンズを搭載している。カメラシステムの詳細については、今後のアップデートで明らかになると思われる。5000mAhの大容量バッテリーと80Wの有線 / 50Wのワイヤレス充電を搭載。さらなる詳細は、近日公開予定になっている。

画像クレジット:OnePlus

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

サムスンの最新格安フラッグシップ「Galaxy S21 FE」は約8.1万円から

CESは一般的に、あまり携帯電話の展示会ではない。それは、今から1〜2カ月先にあるモバイルワールドコングレス(MWC)に備えて目玉となるモバイルニュースを保存する傾向があるSamsung(サムスン)にとっては間違いなく言えることだ。代わりにこのイベントは、どちらかというとテレビ、洗濯機など、大きな製品が対象となる。

しかし、過去数年間、この家電製品の巨人は同社のフラッグシップSシリーズの発売の直前に、格安フラッグシップを発表するための舞台としてこのショーを使用している。長年にわたり、Samsungは、これまで「Lite」をはじめ、さまざまな製品名を考えてきたが「Fan Edition」の略である「FE」に落ち着いた。どうやら2021年の端末が、同社にとって大きな成功だったようだ。「2020年第4四半期の発売以来、Galaxy S20 FEは1年ほどで1000万台を販売し、過去1年間でSamsungの最も売れたGalaxyスマートフォンの1つとなった」と記されている。

画像クレジット:Samsung

結局のところ「Lite」というネーミングは、スペック的に「〜以下」という事実に繋がってしまうという考え方に行き着いたのだろう。つまり、これらのデバイスを一種のファンサービスと位置づけ、高価格帯のデバイスの豪華さの一部を提供しながら、コストを抑えるという名目で出血の一部を鈍化させているのだ。

今回発表されたGalaxy S21 FE 5Gの場合、開始価格は699ドル(約8万1200円)だ。これは、同社が2021年のS20で打ち出した価格帯と同じであり、手頃な価格のフラッグシップ機のトップに躍り出たGoogle(グーグル)のPixel 6よりも100ドル(約1万1600円)高い(ここでフラッグシップと格安の定義の区別が曖昧になってしまったら申し訳ない)。

画像クレジット:Samsung

「我々はGalaxy S20 FEとGalaxy S21のラインナップに信じられないほどの反響を得ました」と、SamsungのTM Roh(TM・ロー)氏はリリースで述べている。「だから我々は、S21 FE 5Gと同じアプローチを適用し、我々の忠誠なGalaxyのファンに最も重要なプレミアム機能を搭載しました。なぜなら、我々は彼らにとって最も重要なニーズを満たしているスマートフォンを提供することに焦点を当てているからです」。

この端末は、120Hzのリフレッシュレートを持つ6.4インチのディスプレイを搭載し、その後継となるSnapdragon 8 Gen 1がXiaomi(シャオミ)などの企業のフラッグシップ機に搭載され始めている中、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon 888プロセッサが搭載されている。1200万画素のメイン、3200万画素の超広角、1200万画素の望遠のトリプルカメラシステムを搭載している。さらに6GBまたは8GBのRAMと、128GBまたは256GBのストレージ、そして4500mAhのしっかりしたバッテリーも搭載されている。もちろん、その名のとおり5G対応だ。

画像クレジット:Samsung

デザインは標準的なS21から多くのヒントを得ているが、高級感があった造りは、より低価格のプラスチック製に変更されている。S21 FEは1月11日から出荷が開始される予定だ。

画像クレジット:Samsung / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

かつて世界を支配したBlackBerry、その後、変化してしまった世界

Apple(アップル)とAndroid(アンドロイド)の時代に忘れられがちだが、かつてBlackBerry(ブラックベリー)がビジネス向けスマートフォン市場を独占していた時期があった。Motorola(モトローラ)、Nokia(ノキア)、Samsung(サムスン)もあった。しかし、ビジネスではBlackBerryが圧倒的だった。頑強で安全、機能的だった。

TechCrunchが米国時間1月3日朝報じたように、BlackBerryは残りのサービスを終了する。BlackBerry OS 7.1とBlackBerry 10を搭載したBlackBerryデバイスを使用しているユーザー(一体何人残っているのか疑問だが)は、データだけでなく、かつて有名だったBlackBerryメッセージサービスなどにもアクセスできなくなる。明日(米国時間1月4日)にはすべてが停止されるのだ。

その運命のシャットダウンの日が近づいているが、iPhoneやAndroidが登場する前のBlackBerryがいかにユビキタスであったか、そしてその市場シェアの落ち込みがいかに急激だったかを理解するのは難しいかもしれない。物理キーボードとメッセージングサービスを組み合わせたBlackBerryは、社外の同僚とコミュニケーションを取る手段として、人々に愛用された。良くも悪くも、BlackBerryは多くのビジネスパーソンにモバイル時代の到来を告げた。

Comscoreは、2010年にBlackBerryが43%のシェアを獲得した当時のモバイル市場シェアのデータを追跡した。BlackBerryがスマートフォンのトッププラットフォームとして絶頂期を迎えた頃だ。その数字は同社にとって高水準だったと言えるだろう(その数字はプラットフォームの普及率を示すものであり、販売台数ではないことに注意)。

月/年 市場シェア(上位スマホプラットフォーム別)
Jan 2010 43%
Jan 2011 30.4%
Jan 2012 15.2%
Jan 2013 5.9%

見てのとおり、BlackBerryは、スマートフォンの頂点の座から、瞬く間に一桁台にまで落ち込んだ。AppleとAndroidのタッチスクリーンに完全に打ちのめされ、マーケットシェアの大部分を失った。BlackBerryは最終的にこうした変化に対応し、2011年にはBlackBerry Torchをリリースした。だが、それはあまりにも小さく、あまりにも遅すぎた。さらに、ディスラプション理論の典型的な例として、物理キーボードを愛用していた人々は、BlackBerryのタッチスクリーンになじめなかったのだ。

2011年にMicrosoft(マイクロソフト)と提携し、BlackBerryのデフォルトの検索エンジンをBingにしたことも、今にして思えば絶望的な行動だったが、当時は同社がいろいろ試していることがより肯定的に受け止められた。しかし、何をやってもうまくいかなかった。

社運が傾くなか、2013年にCEOとしてJohn Chen(ジョン・チェン)氏を迎えた。チェン氏は、電話からセキュリティソフトウェアへと同社をシフトさせるプロセスを始めた。

なぜセキュリティなのか。BlackBerryはセキュリティに関しては絶対に磐石との評判だったため、合理的な転換だと思われたのだ。同社は2016年にこの変更を正式に発表した。同社は現在、企業や政府機関へのセキュリティソフトウェアの販売に全面的に注力している。時価総額は50億ドル(約5750億円)程度と控えめだが、まだ存在する。

同僚のBrian Heater(ブライアン・ヒーター)が先の記事で指摘したように、BlackBerryスタイルのデバイスはまだ存在するが、古いBBオペレーティングシステムは動いていない。

もちろん、選択肢はたくさんある。ただし、5G BlackBerryブランドのデバイスを約束したOnwardMobilityは、2021年に発表するとの約束にもかかわらず、現在まだMIA(音信不通)のままだ。カナダの血統を引くOSOMのデバイスもある。やはりプライバシーに焦点を当てたその製品も、2022年2月末のMobile World Congressまで発表されないだろう。

だが、かつてビジネスパーソンや政治家の変わらぬ伴侶であった愛すべきBlackBerryは「ネクスト・ビッグシング(次の大きなもの)」に破壊された別のデバイスとして、歴史に残ることになりそうだ。

画像クレジット:Wojciech30 / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 4.0 license.

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

本当にクラシックなBlackBerry端末の使用を止めるときがきた

BlackBerryの長く孤独な死は、明日(米国時間1月4日)に新たな節目を迎える。同社はついにレガシーサービスへのアクセスを終了する。しがみつくようにBlackBerry OS 7.1とBlackBerry 10搭載デバイスを使っているユーザーは、同日、実質的にその機能を失ってしまう。携帯電話を使って行うこと、つまりデータ、電話、SMS、911アクセスなどの主要な機能が使えなくなる。

同社が指摘しているように、この動きはまだ先が長い。BlackBerryは2016年に自社製ハードウェアを捨て、TCL(2020年に終了を宣言)のような企業にブランドを明け渡した。同社は2020年に、1月4日のシャットダウンを発表しており、BlackBerryが重要な移行期間を提供していないと非難することはできない。声明では次のように記されている。

BlackBerryのへの移行におけるもう1つのマイルストーンとして、BlackBerry 7.1 OS以前、BlackBerry 10ソフトウェア、BlackBerry PlayBook OS 2.1および以前のバージョンのレガシーサービスを廃止する措置を取る予定であり、2022年1月4日を使用停止または終了日とする予定です。この日をもって、これらのレガシーサービスおよびソフトウェアをキャリアまたはWi-Fi接続で実行するデバイスは、データ、電話、SMS、911機能を含め、信頼性をもって機能しなくなります。私たちは、忠実なパートナーやお客様に対する感謝の気持ちを込めて、この日までサービスを延長することを選択しました。

もちろん、そこにはたくさんの選択肢がある。しかし、5G BlackBerryブランドのデバイスを約束したOnwardMobilityは、2021年の発表を約束したにもかかわらず、現在まだ「MIA(作戦行動中行方不明)」のままだ。カナダの名門OSOMのデバイスもある。しかし、やはり、プライバシーに焦点を当てたこの製品は、2022年2月末のMobile World Congressまで発表されないだろう。

それまでの間、BlackBerryが世界のリーダーや芸能人、一般人から選ばれ、モバイルの世界を支配していた時代を思い出してみよう。しかし、ハードウェアの世界では、物理キーボードも含めて、金のものは残らない。R.I.P. BB classic。本当だよ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

【コラム】10年前のCES 2012を振り返る「Ultrabook、Noka Windows、全家庭に3Dプリンターを!」

家電製品(consumer electronics)は時間の経過を図る「ものさし」としてはよろしくない。そして、正直にいってConsumer Electronics Show(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)はさらによくない。これまで私がCESに行った回数はゆうに2桁に達しているが、だいたいが同じような体験だった。1週間続くニュースとピカピカのガジェットの山。トレーラーやプレスセンター、ホテルの部屋、コンベンションセンター会場などからは、ときとして非現実的なその年のトレンドを決めようとするニュースが飛び込んでくる。

ラスベガス・コンベンションセンターと数多くの博覧会会場とホテルのスイートルームは、善意と計画的陳腐化の亡霊で溢れかえる。それはこの業界の特質だ。今や日常となったデバイスのいくつかは、過去10年にCESでデビューしたものだが、ほとんどの場合、デバイスは現れては消える、そもそも店の陳列棚にたどりつけばの話だが。

CES 2022は奇妙なイベントになりそうだ。その理由はフロアで起ころうとしているどんなことでもなく、世界的にやむを得ない状況によるものだ(ただし、聞くところによるとBackstreet Boys[バックストリート・ボーイズ]のメンバーの1人は自宅のボクシング器具を見せびらかすために登場するらしい)。新型コロナウイルス感染症が蔓延する前の対面カンファレンスの意義を問う声はもちろんある。もっとも、いつだってCESは例外的であり、それはハードウェアが発表されるのと同じ部屋にいることの重要性によるものだ。

関連記事:CES 2022会場出展を断念する企業が続出、オミクロン株感染拡大受け

2020年のパンデミックるによるイベント中止をかろうじて逃れたCES 2021は、オールバーチャルの未来を予見するためのリハーサルだった。その結果はといえば、中途半端なものだった。それに対して、CES 2012にそんな問題は一切なかった。その前数年間の(世界同時不況による)わずかな落ち込みの後、その年の参加者は史上最多の15万3000人を記録した。成長はその後数年間ラスベガスを席巻し続け、2019年には18万2000人と再びピークを迎えた、と主催者であるCTA(全米民生技術協会)は述べている。

2012年のCESは、もはや存在しない形の携帯電話ショーのようだった。Mobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス)を翌月に控え、多くの大物企業はApple(アップル)にならって主力製品を自分たちの時間に発表するようになった結果、CESはかつてのような携帯電話の中心地ではなくなった。しかし、その後の10年間、その空間は別の分野の製品によってすぐに埋められた。中でも最も目立っているのが自動車で、今やショーの中心となっている。

Sprint Corporationの通信機器8T8Rの無線ユニットに接続されたカラーコードケーブル。1つの基地局の8基の受信機と8基の送信機を組み合わせて、SprintのLTE TDD 2.5 GHz回線の性能を向上させる。2014年8月13日水曜日、イリノイ州シカゴのビルの屋上にて。Sprintは7月に6年ぶりの四半期黒字を報告し、予測以上の契約者を獲得してアナリストの売上予測を上回った(画像クレジット:Daniel Acker/Bloomberg via Getty Images)

LTEはCES 2012会場のいたるところにあり、数年前の5G襲来のようだった。CNETは「4G騒動」とまで見出しに書いた。SprintがラスベガスのショーでWimax(ワイマックス)をデモしてから5年、会社はLTEの世界に踏み込む準備を整えた。Sony Xperia S(ソニー・エクスペリアS)が見出しを飾り、初代iPhoneがBlackBerryの時代の終焉の幕開けを運命づけた5年後、Motorola(モトローラ)はDroid 4(ドロイド4)で勇敢にも物理的キーボードを復活させた。

画像クレジット:TechCrunch

しかし、実際のところこのショーは、発表された2種類のLTE対応Windows携帯端末のうちの1台のものだった。HTC Titan II(HTCタイタン2)は、次世代ワイヤレステクノロジーを同OSで採用した最初のデバイスだったが、4.3インチAMOLED(アクティブマトリクス有機EL)ディスプレイ、8メガピクセル背面カメラ、512MB RAMと人目を引くデザインで参加者の興味をかきたてたのはNokia Lumia 900(ノキア・ルミア900)だった。

その1年前、Nokiaの歯に衣着せぬCEOだったStephen Elop(スティーブン・イロップ)氏は、会社の苦悩を氷の海に取り残されて燃え上がる船になぞらえた。Microsoft(マイクロソフト)との提携はNokiaの決断だった。1年後、Nokiaはモバイル部門をMicrosoftに売却した。

QWERTYキーボードにしがみつこうとしたDroid 4の勇気(結局運は尽きたとしても)に似て、Sony(ソニー)のbloggie(ブロギー)は、スタンドアロン型ブロギングカムコーダーの最後のあがきだった。それはCisco(シスコ)が、2009年に当時絶大な人気だったポケットカムコーダーを5億900万ドル(約509億円)で買収したFlip Video(フリップ・ビデオ)事業から撤退してから1年後のことだった。死んでいくカテゴリーの最後の燃えさしを「どうにでもなれ」とばかりに拾うのはSonyに任せた。

画像クレジット:TechCrunch

そして、あのUltrabook(ウルトラブック)があった。このカテゴリーの時代があったとすれば、それはラスベガスでの5日間だった。その年の半ばまでに、カテゴリーの終焉に関する話題はすでに始まっていた。Intel(インテル)が命名し、Copmutex 2011(コンピュテックス2011)で発表されたそのカテゴリーは、最新の薄くて軽い分類だったが、実際のところPCメーカーそれぞれによるMacBook Air対抗の試みだった。

Intelはそのカテゴリーに厳格なガイダンスを設け、薄さ、軽さ、バッテリー寿命などに焦点を当てた。結局、法外なコストと絶え間なく変わるゴールとスペックに加え、スマートフォンとタブレットの台頭によってUltrabookの運命は尽きた。

画像クレジット:TechCrunch

CES 2012では、デスクトップ3Dプリンティングは未来であり、MakerBot(メーカーボット)はその中心だった。ニューヨーク市拠点でオープンソースプロジェクト、RepRap(レップラップ)のスピンアウトだった同社は、ショーの場を利用してReplicator(リプリケーター)を発表した。前機種のThing-O-Matic(シング・オー・マチック)を飛躍的に改善したシステムは、Star Trek(スター・トレック)に由来する名前を擁し、すべての家庭に3Dプリンターをという夢に向かう大きな一歩を感じさせた。

価格、技術的限界、そしてFormlabs(フォームラブス)などのライバルのより高度なテクノロジーの到来によって、この分野の多くの企業が財を失い、結果的にかなりの規模のテック・ハイプ・バブルを明確に示すことになった。1年後、MakerBotは3Dプリンティングの巨人、Stratasys(ストラタシス)に買収された。同社は教育市場向けの3Dテクノロジーに焦点を合わせていた。

いつものことだが、CESはコンセプトであり続ける運命と思われる多数のコンセプトをもたらす。Samsung(サムスン)のSmart Window(スマート・ウィンドウ)も当然のごとくその1つだった。透明な窓型ディスプレイにタッチスクリーンを備えたデバイスは、誰もがあらゆるものを巨大スクリーンにしたがっていると思われた時代に多くの参加者の目を引いたが、CESブースの飾り以上にはなることはなかったようだ。付け加えておくと、それ以来同社は社内インキュベーター「C-Lab」の一環として、人工スマートウィンドウに投資している。なぜなら、繰り返しになるが、消費者エレクトロニクスはこと前進に関する限り、異様なほど繰り返しの多い業界だからだ。

10年がすぎ、CES 2012は成功よりも失敗に見えるかもしれない。たしかに、最も騒がれた製品は、後々最もダメージを受けている。すべての家庭に3Dプリンターもスマート・ウィンドウもまだない。でも、そうだ、LTEはちょっとした成功だろう。

画像クレジット:MANDEL NGAN/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

レトロなおもちゃ電話「チャターフォン」がBluetooth対応で大人気、ただし盗聴器になるバグあり

ノスタルジアという面では、Fisher-Price(フィッシャープライス)の「Chatter Telephone」(チャターフォン)は期待を裏切らない。ホリデーシーズンに向けて、子供たちに昔から愛されてきたレトロなおもちゃがモダンに生まれ変わり、大人向けの新製品として発売された。子供向けにデザインされたオリジナルの玩具とは異なり、近くにあるスマートフォンを使ってBluetoothで通話することができるというものだ。

特別版Chatterは、回転式ダイヤルと、車輪が回転すると上下に揺れるトレードマークの目を備えているが、電話というよりは、ハンドセットを持ち上げると起動するマイク付きのBluetoothスピーカーのようなノベルティだ。

このChatterは長くは販売されなかった。キャンセル待ちが殺到し、あっという間に完売してしまったのである。しかし、英国のセキュリティ研究者たちは、すぐに潜在的な問題を発見した。オンラインの取扱説明書だけでは、設計上の欠陥により、Chatterを使った盗聴が可能になるのではないかと考えたのだ。

サイバーセキュリティ企業Pen Test Partnersの創設者であるKen Munro(ケン・マンロー)氏は、TechCrunchの取材に対し、Chatterには、Bluetooth接続されていない携帯電話からの接続を阻止するための安全なペアリングプロセスが備わっていないという懸念があると語った。

マンロー氏は、彼の懸念を裏づけるための一連のテストの概要を説明した。Chatterは米国でしか販売されておらず、売り切れ状態が続いていたため、TechCrunchは再入荷を知らせるページモニターを設定し、1台購入してテストを開始した。

まず、Chatterの電源を入れてBluetooth接続を有効にし、Bluetoothでスマートフォンとペアリングした後、Bluetoothをオフにして、誰かがそのスマートフォンを持ち圏外に歩いて行ってしまったような状況を再現した。その後、別の携帯電話とChatterを支障なくペアリングし、Chatterのオーディオをリモートでコントロールすることができた。

Chatterを製造しているMattel(マテル)によると、このChatterは「接続が行われない場合やペアリングが一度行われるとタイムアウトします。ごくわずかな時間内でしか発見可能ではなく、デバイスに物理的にアクセスする必要があります」とのこと。私たちはChatterの電源を入れたままにしておき、1時間以上経ってもBluetoothのペアリングプロセスがタイムアウトにならないことを確認した。

マンロー氏はその後、Chatterに接続されている携帯電話に電話をかけたらどうなるか尋ねた。試してみると案の定、Chatterは大きな音で鳴った。そして、今度はChatterの受話器をきちんと戻さずに、もう一度Chatterに電話をかけてみた。受話器が外れた状態で、Chatterは自動的に電話に出て、すぐに受話器のマイクを起動したため、周囲の背景音を聞くことができた。

数年前、Pen Test Partnersは「My Friend Cayla」という子供向けの人形で同様のBluetoothの脆弱性を発見した。この人形は、親の携帯電話が圏外になると、別の人の携帯電話とペアリングされてしまうというものだった。このおもちゃは、アプリに接続すると子どもの発言を記録していたことが判明し、最終的に店頭から撤去された。

Mattelによると、Chatterにはアプリはなく、Chatter Phoneは「名作おもちゃに遊び心を加えて大人向けにした、限定的なプロモーションアイテム」として発売されたとのこと。しかしマンロー氏は、Chatterには安全なペアリング機能がないため、近くにいる人や決意を持った攻撃者に悪用される可能性があること、また、Chatterが子供たちにおさがりとして受け継がれ、知らずにバグを引き起こしてしまう可能性があることを懸念している。

「これがオーディオバグになるには、何も子供たちが操作する必要はありません。受話器を外しておくだけで十分です」とマンロー氏は語った。

今回の調査結果についてコメントを求めたところ、Mattelの広報担当者であるKelly Powers(ケリー・パワーズ)氏は、同社は「セキュリティに全力を尽くしており、これらのクレームを調査する予定です」と述べた。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

Oppo、折り目が目立たない折りたたみスマートフォン「Find N」を発表

折り目は、どうやら避けられないようだ。それは、大きくて高価な折りたたみ式ディスプレイのちょうど真ん中あたりにある。そして、私が折りたたみ式スマートフォンについて投稿するほぼすべての記事で、必ず(そしておそらく当然ながら)最初にコメントするのがその話だ。代替案としても、MicrosoftのSurface Duoのように、2つの個別のディスプレイの間に隙間ができるのは、理想的とは言えない。

Oppoが新たに発表した折りたたみ式スマートフォン「Find N」の「N」は、正確には「No crease(折り目なし)」の略ではないが、これまですべてのレポートでは、初期の数世代の折りたたみ式スマートフォンを取り巻いていた最大の美的不満の1つである折り目の減少が指摘されている。Oppoによれば、標準的な折りたたみ式に比べて「最大80%目立たなく」なっているとのこと。シワの検出は、もちろん見る人の目にもよるが、何よりも画面の光の当たり方に左右される。

しかし、いずれにせよ、この折り目というやつは、画面の中央に切れ込むという点で、ノッチよりもはるかに始末が悪い一種の厄介者となっている。ここで注目すべきは、Oppoが舞台裏でどれだけの努力を重ねてきたかということだ。同社は明らかに、この製品の発表を急がなかった。報道によれば、これはハードウェアメーカーであるOppoが2018年から運営しているプロジェクトの一環として、6世代にわたる社内開発プロトタイプの後に続くものだという。

現在までのところ、折りたたみ式スマートフォンの全体的な状況は明らかに混とんとしており、その一部は自ら招いた失敗である。Samsungは最初の折りたたみ式で市場に出るのが早すぎたというのが大方の意見だが、その後の世代では消費者向けの製品としてより現実的なものになった。まだ普及したと言える製品はない(Samsungには申し訳ないが)ものの、同社が長い道のりを歩んできたことは疑う余地がない。「Galaxy Z Flip 3」は、私がテスト中に初めて「この携帯電話は使える」と真剣に思った製品である。

Huaweiの初代「Mate X」は、何度か使う機会があったときは期待できるものを感じたが、結局この製品も脇に追いやられ、最終的に同社は振り出しに戻ることにした。そうこうしている間に、このハードウェア・メーカーはそれとは別の大きな問題に悩まされることとなった。

一方、Motorolaの折りたたみ式スマートフォン「Razr」は、最初の試みこそ失敗に終わったものの、第2世代ではその失敗のいくつかを修正することができている。

この製品を見たところ、Oppoは待つことによって、そのような落とし穴をいくつか回避しているように思われる。実際のところ、この業界では、何かを最初に作ることが必ずしも有利とは限らない。その過程において、アーリーアダプターを相手に実質的なベータテストが広く行われるということになるのだ。私は残念ながら、先日開催されたOppoの大規模な発表会に参加できなかったが(これについてはRitaがすばらしい取材をしてくれた)、実機を試用した人たちは、同社がこの分野で成し遂げた数々のことを称賛している。

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少なくとも、Oppoが18:9のアスペクト比を採用し、他の折りたたみ式スマートフォンとは異なり、閉じたときには一般的な携帯電話のように見えるようにしたという点からも、同社が多くの適切な決定を行ったということは容易にわかる。閉じた状態ではかなり厚みがあるが、このヒンジはディスプレイを平らに保つために良い働きをしている。画面のサイズは7.1インチと、Fold 3の7.6インチには及ばないものの、このようなデバイスに惹かれる人々のほとんどにとって十分な大きさだと、私には思われる。

この折りたたみスクリーンを、Samsung Displayが開発したことも注目に値する(ただし、Oppoはその上に多くの独自作業を行ったと述べている)。つまり、Oppoがうまくいっても、Samsungは分け前を得ることができるのだ。上げ潮はすべての舟を持ち上げる。もっとも、これらすべての舟が、Samsung製のコンポーネントをその大部分に使用しているのではないかと思われるけれど。

この製品の障害は(そしてそれはかなり大きなものだ)、中国のみで販売されるということだ。Oppoにとって、世界最大のスマートフォン市場は、それだけで十分ということだろう。もちろん、OnePlusが事実上Oppoに吸収された今、おそらくそこに相乗効果が狙えるいくつかの好機があるはずだ。OnePlusが最近、独自の折りたたみ式コンセプトを手がけていることは、多くの人が知るところである。

画像クレジット:Oppo

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

持続可能性の高い携帯電話「Fairphone」、6年前の機種でAndroid 10へのアップデートを実現

オランダのソーシャル企業であるFairphone(フェアフォン)は、ユーザーがハードウェアをより長く使えるように、自分でパーツを交換して修理可能な設計にするなど、家電製品を(より)持続可能で倫理的なものにすることを目指している。同社は今回、6年前に発売された「Fairphone 2」で、Android 10へのアップデートを実施すると発表した。

2015年に発売されたFairphone 2は、当時Android 5が搭載されていた。このモジュール式携帯電話を今でも使っている人は、2022年初頭にAndroid 10(2019年リリース)へとアップグレードできるようになるという。これに先駆け、Fairphoneは米国時間11月23日、このアップグレードのベータテストを開始した。

Fairphoneは、2018年にFairphone 2の製造を終了(サポートは継続)した後、2019年に「Fairphone 3」、2020年に「Fairphone 3+」(3にモジュール式アップグレードを施して3+にすることも可能)をリリース。そして2021年の秋口には、同社初の5G端末である「Fairphone 4」を発売した。同社では、このFairphone 4のサポートを、少なくとも2025年まで続けるとしている。

Fairphone 2のAndroid 10へのアップデートが2022年に行われることを考えると、Fairphone 4のユーザーがソフトウェアのサポートを受けられる期間が2025年までというのは、控えめな見積もりだと思われる。

Fairphoneによると、このAndroid 10へのアップグレードプロジェクトでは、ユーザーコミュニティと協力し、さらにインドのソフトウェア開発者であるBharath Ravi Prakash(バラス・ラビ・プラカシュ)氏がボランティアでオープンソース開発を行ったとのこと。その結果、アップグレードのプロセスを能率化でき、所要時間を短縮することができたとしている。

これによって、前回のFairphone 2のOSアップデート(Android 9へのアップグレード)には18カ月かかったところ、今回は10カ月に短縮された。

その一方で、Google(グーグル)はすでにAndroid 11を2020年に、Android 12を2021年10月に配信している。Fairphone 2のアップグレードが、最新OSのリリースからどれほど遅れているかがわかるだろう。

「当社はAndroid 9のアップグレードから多くのことを学びました。複雑であることに変わりはないものの、Android 10はAndroid 9よりも予測可能でした」と、Fairphoneはプレスリリースに記している。また、同社のソフトウェア寿命&IT部門の責任者であるAgnes Crepet,(アグネス・クレペット)氏の言葉を引用して、次のように書いている。「当社のソフトウェアに対する独自のアプローチは、ユーザーのみなさまにできるだけ長く端末を使っていただくことを可能にします。今回は、Fairphone 2のコミュニティにソフトウェアのアップグレードを提供できることをうれしく思います。このAndroid 10へのアップグレードにより、発売から少なくとも5年間のサポートを提供するという目標を達成するだけでなく、それを上回る7年間のサポートを提供することになります。私たちは常に自分自身と業界の基準を引き上げ、ソフトウェアでさらなる持続可能性に取り組むことが可能であると示していきます」。

Fairphoneの7年というサポート期間は、Apple(アップル)によるiPhoneのソフトウェアサポート期間に匹敵する。しかし、当然ながら、平均的なAndroidベースの携帯電話で期待できるソフトウェアのサポート期間はかなり短く、標準的なAndroidスマートフォンでは、3年程度しかサポートを受けられない。だからこそ、Fairphoneのそれは大きな功績と言えるのだ。

Fairphoneは、ソフトウェア面の寿命という点ではようやくアップルに追いついたところかもしれない。だが、別の点ではすでにクパチーノよりずっと先を行っている。それは、モジュール構造による修理可能性と、消費者に直接スペアパーツを提供することによるハードウェアの持続可能性だ。

米国時間2021年11月17日、アップルは2022年から「Self Service Repair(セルフサービスリペア)」プログラムを開始すると発表した。これは、iPhoneやMacのユーザーにスペアパーツや修理ツールを提供し、自宅で基本的な修理をしてもらうというものだ。

完全なモジュール化を採用するというわけではないものの、これは歴史的に、密閉されて、ばかげているほど薄く、文字どおり糊づけされた箱を好んできたアップルにとって、より持続可能な方向へ踏み出す小さな一歩と言えるだろう。そしてそれは、Fairphoneが長い時間をかけて開拓してきた道である。

画像クレジット:Matt Burns/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モバイルキーボードソフトウェアFleksyがシリーズAで約1.8億円調達、10倍の成長を遂げたキーボードSDK事業を拡大

バルセロナを拠点とするモバイルキーボードソフトウェアメーカーのFleksy(フレキシー)が160万ドル(約1億8250万円)のシリーズAを獲得し、AndroidおよびiOS向けのホワイトラベルSDKのB2Bへの移行を進めている。

今回のラウンドはスペインの資産管理会社Inveready(インベレディ)が主導。また、既存の投資家であるSOSVとSimile Venture Partners(シミールベンチャー・パートナーズ)からも資金提供を受けている。

今回のシリーズAにより、2015年の創業以来のこれまでの総調達額は300万ドル(約3億4200万円)弱となった。

AIキーボードメーカーである同社は、スマートフォンのサードパーティ製キーボードの分野で長く活躍しており、当初は生産性向上に特化したキーボードThingThing(シングシング)を開発していた。その後米国で有名なカスタムキーボードFleksy開発チームがPinterestに買収された後、停止状態となっていた)のアセットを買収し、以来Fleksyの開発に全力を注いでいる。

しかし、コンシューマー向けカスタムキーボードの分野で収益化を図るのは至難の技である。今や単語予測やスワイプ入力などの機能がスマートフォンのネイティブキーボードに組み込まれているため、サードパーティ製のアドオンの価値は低下しているからだ。

また、AppleやGoogleのような大手企業も独特の方法でこの分野で幅を利かせている(例えば、iOSにおける頼りないサードパーティ製キーボードの実装状況によって、ユーザーはAppleのネイティブキーボードから乗り換えられないでいる。また、GoogleのPlay Storeは一時期に不愉快なポリシーを実施していた)。

Fleksyは2020年SDKを発表して以来、カラーチェンジやブランド化などさまざまな方法で適応させることができ、強力な予測機能や文脈に応じたカスタムAIキーボードソフトウェアを必要とする他のアプリメーカーや企業に、同社キーボード技術のライセンス供与を行ってきた。

キーボードSDKは、サードパーティがユーザーをより深く知るために、あるいは自社の販売促進のために使用することも可能だ。

またFleksyがウェブサイトに掲載している、SDKを介してクライアントが実装できる機能としては、キーボードに文脈に応じた広告を埋め込む機能(文脈に応じて製品やサービスを提案し、トリガーを設定して適切なタイミングであらゆるアプリにブランドを表示する機能)や「ショップがキーボードからマーケティング資料、請求書、更新情報、タスクを送信したり、支払いを徴収したりできるようになる」という近日公開予定のCRM機能などが挙げられる。

セキュリティ関連の機能も「近日公開」とされており「データ漏洩や機密情報の流出防止、リスクを抱えた従業員の監視、メッセージの保護、不正行為の防止」などを実現するカスタム機能も完備する予定だという。

このようなB2B戦略と並行して、同社はコンシューマー向けソフトウェアの分野にも注力しており、GoogleのGboard(ユーザーの検索データをGoogleに送っている)のようなソフトウェアとの差別化要因としてユーザーのプライバシーを強く強調している。また最近では「アートキーボード」で顧客の心を掴もうと試みていた。

しかし、同社の重心がB2Bに移行しているというのは明白だ。「Fleksy for Business」のメッセージがウェブサイト全面に押し出され、ディープテックな雰囲気を放つデザインに一新されている。

それでもコンシューマー向けキーボードはコアなファンのためにも、また、ショーケースやテストベッドとしての有用性を考えても残り続けることだろう。

「Google やAppleなどの大手企業が公平に競争してくれないため、消費者分野は厳しいものになっています。そこで私たちは、他の企業が優れたキーボード体験やそれを超えた体験を構築するのをサポートしてライセンス料によって提供するという、収益性の高いニッチな分野を見つけたのです」と、FleksyのCEOであり、ThingThingのCEO兼共同設立者でもあるOlivier Plante(オリビエ・プランテ)氏はいう。「我々が作り上げたものはなかなか簡単に作れるものではないので、こういったデジタル企業にとっては非常に使いやすい製品になっています」。

サードパーティが同社のキーボード技術を使ってユーザーをデータマイニングしようとするのではないかというプライバシーに関する疑問を投げかけたところ「FleksyのSDKは、各企業が独自の原理で成功するために必要なすべてのツールを提供します。Fleksyは技術的な役割を果たしているだけで、クライアント自身のプライバシースタンスには関与していません」と同氏は答えている。

ただし「誤解のないようにいうと、Fleksyのコンシューマー向けアプリは常にプライベートを守ります。その原理を変えることはありません」と付け加えている。

Fleksyによると、同社の技術をライセンス供与している企業は現在「数十社」にのぼり「パイプライン」にはさらに50社が含まれているという。また、SDKビジネスの収益は1年で10倍になったという。

シリーズAの規模が比較的小さかったのは、このような背景があったからだとプランテ氏は考えている。

「現在かなりの収益を生み出しているため、この程度しか必要なかったのです」とTechCrunchに話しており、今シリーズAを調達する理由は「より早く拡大するため」だという。

今回得た資金は、成長、雇用(現在13人のチームを拡大するため)、および顧客ポートフォリオの拡大のために使用される予定だ。

Fleksyにとってキーボード技術のライセンス供与に最適な市場は、現在米国と欧州となっているが、プランテ氏は世界中に顧客がいると考えている。

SDKはまた、デジタルヘルスやフィンテックからゲームまで、幅広い顧客層を惹きつけている。

「あらゆる企業が新たなキーボード体験を探し求めています。ウェブサイトの/solutions/にあるように、これらの業界、さらにはますます多くの業界がFleksy技術によって支えられるようになるでしょう」。

「当社にはさまざまなニーズを持つあらゆるタイプの顧客がいますが、サードパーティのブラックボックスではなく、すべてを自社で構築しているため、顧客に合わせてすべてを修正することができます。これは現在、他の企業では実現できないことです。そのため、例えばデジタルヘルス分野の企業は、技術スタックを完全にコントロールできる収益性の高い企業と提携することができるのです」と同氏。

「Fleksy SDKは、レイアウトや辞書からオートコレクトや予測、センチメントなどを支えるコアエンジンに至るまで、さまざまな方法で変更を加えることができます。これこそがFleksyが選ばれる理由なのですが、将来的には『画面入力と言えばFleksy』という、より大きなビジョンを実現できるよう取り組んでいます」。

シリーズAの資金調達の一環として、InvereadyのIgnacio Fonts(イグナシオ・フォンツ)氏がFleksyの取締役に就任する。

フォンツ氏は声明中で次のように述べている。「私たちは、パーソナル・コンピューティング(携帯電話、モバイル、デスクトップ)デバイスのコントロールポイントの1つであるキーボード技術において、世界的なリーダーの地位を獲得したFleksyチームに参加できることを大変うれしく思います。今回のラウンドにより、ユーザーにはデバイスとの新しい関わり方を、企業には顧客に関する新しい洞察を提供する、非常に魅力的なロードマップの開発を加速させることができるでしょう」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

カリフォルニア大学研究グループがBluetooth機器の40%で居所特定のリスクありとの研究報告、デバイス製造時の問題から

スマートフォンなどモバイルデバイスの位置情報追跡機能はとても便利で、例えばアップルのiPhoneが備えている「探す」アプリ、新型コロナ感染追跡アプリなどで活用されています。ところが、カリフォルニア大学サンディエゴ校のグループによる研究では、こうしたBluetoothハードウェアの40%にセキュリティ上の欠陥になり得る問題を発見したと報告されています。

今回の研究に携わったNishant Bhaskar氏によると、Bluetooth Low Energy(BLE)を使用するモバイル機器は、位置を他のデバイスで検出可能にするビーコンを継続的に送信しているとのこと。これが紛失したときなどに発見してもらうためのカギなわけですが、Bhaskar氏は「残念ながらこの機能のために、悪意ある者が個人のデバイスのBletooth信号を特定して、それを追跡することで常にどこにいるかを知ることができてしまう」と述べています。

理論上は、Bluetooth LEが常にビーコンを発していても、それがどこの誰のデバイスかなどは知ることができないはずです。しかし、研究によるとBluetooth機器の製造工程で発生する精度のわずかなゆれによって、それぞれのデバイスの発するBLE信号にわずかな歪みが乗ってしまい、見分けることができてしまうのだそう。

研究者らは実際にこのわずかな歪みを特定し、人混みの中で特定のデバイスを識別したり、個人の動きを追跡できるかを調査しました。

まず最初はBluetoothの信号用のスニッファーと呼ばれる(決して高価ではない)機器を用い、スターバックスのようなコーヒーショップやフードコートなど人が集まる公共の場で実験をしてみました。スマートフォンは1秒間に数百回ものBluetooth信号を発しているため、スニッファーは簡単にスマートフォンの通信のクセを把握することができるようになりました。次に、チームは162台のスマートフォンからBluetooth信号をかき集めて分析し、うち40%のスマートフォンが群衆の中でも識別できることがわかりました。

別の実験では、人が大勢出入りするドアにBluetooth受信機を設置し、1日に600以上の異なるモバイル機器のBluetooth信号を収集しました。

デバイスの特徴から特定の個人にまで結びつけるためには、どの信号がどのデバイスとリンクしているかまでを何らかの方法で知る必要があります。この実験はそうではなく、どれだけ固有の通信の特徴を観測できるかを調べたとのこと。ただし、理論的には悪意ある者はターゲットとなる人がいつも訪れる喫茶店などに通い、通信を調べれば、いずれその通信の特徴と個人を結びつけることまでできてしまう可能性はあります。

そのため、研究者らが3番目の実験として、仮想のターゲットとなる人物を定め、数十台のBluetoothデバイスの信号の中からターゲットが自宅から出入りする際に発している位置情報の信号を追跡可能なことを確認しました。研究者らは「多くのモバイル機器は、Bluetoothの固有のIDを持っており、このトラッキング攻撃に対して特に脆弱だ」と述べ、さらに「iPhoneはAndroidよりも信号が強く、遠くからでも検出できる。ただしそれは強度だけの話で、信号の独自性についてはメーカー問わずあらゆるデバイスで異なり、あくまで製造上の欠陥に依存している」としました。

また、報告では設定でBluetoothをオフにしても、黙って信号を出し続けるデバイスがあることもわかったとしています。そうなると、特に用心をするにはデバイスの電源そのものをオフにする必要がありますが、それは現実的ではありません。研究者らは、考えられる解決策としては時間ごとにランダムに使用する周波数をオフセットする機能を追加することなどを挙げ、Bluetoothデバイスメーカーが機器に組み込めるような保護のための仕組みを模索しているとしました。

(Source:UC San Diego(PDF)。Via IEEE SpectrumEngadget日本版より転載)

モバイルアプリを直接スマホ上で作成できるiOSネイティブ製品デザインツール「Play」

モバイル環境向けのデザインを行う際、従来の方法では、開発者が1つのプログラムでデザインを行い、別のプログラムでプロトタイプを作成し、さらに別のツールでコラボレーションを行うというように、多くのやりとりが必要だった。

新しいスタートアップの「Play」は、自らを「スマートフォンから直接作成、イテレーション、コラボレーションすることを可能にする唯一のiOSネイティブ製品デザインツール」と位置づけている。従来のソフトウェアでは、同じようなことをするために回避策やハックを要求されると、同社の共同設立者で共同CEOのDan LaCivita(ダン・ラチヴィータ)氏は説明する。

「これは、携帯電話を主な入力デバイスとして使用する唯一のデザインツールです」と同氏はTechCrunchに語った。「スマホからデザイン、プロトタイプ、コラボレーションを行うことができ、プロダクトデザイナーが使用しているメディア上で作成中のデザインを体験する方法を提供する唯一のものです。基本的にコーディングをしなくても、Apple(アップル)のサンドボックスで遊ぶことができます」。

ユーザーは、ゼロから作成するか、Figmaなどのツールからデザインをインポートするかを選ぶことができ、ボタン、カード、ビデオプレーヤーなどの一般的なUIコンポーネントには「Play Library」を、完全に機能するページを素早くカスタマイズして作成するには「Page Layouts」を使用する。また、ライブマップ、AR(拡張現実)、カメラ機能など、iOSのネイティブ機能も利用できる。

ラチヴィータ氏は2019年に、Eric Eng(エリック・エン)氏、Joon Park(ジュン・パーク)氏、Michael Ferdman(マイケル・フェルドマン)氏と一緒に会社を立ち上げた。彼らは全員、前身のFirstbornというスタートアップで一緒に働き、ウェブサイトやモバイル製品を作っていた。

「私たちは、すべてのペインポイント(問題点)を身をもって経験しました」 とラチヴィータ氏はいう。「ジュン(・パーク)が『もっと良い方法があるはずだ』と言ったんです。我々は従来のグラフィックデザインソフトウェアをベースにして開発を続けているのだから、別のツールではなく、入力デバイスとして携帯電話のような別のアプローチが必要なんだ、と」。

PlayはApp Storeで公開されているが、現在はプライベートベータ版で、2万5000人以上がウェイティングリストに登録している。今後数カ月から来年にかけてユーザーを追加していく予定だ。今はフリーミアムモデルだが、2022年にはいくつか異なる価格帯を提供する予定とのこと。

米国時間11月1日、同社はFirst Round Capitalが主導し、Oceans Venturesを含む910万ドル(約10億4000万円)の資金調達を発表した。本ラウンドは、2021年初めと2020年のシードラウンドを組み合わせたものだ。

今回の資金調達は、チームの規模拡大と、2週間前に発表したPlay for iPadのような、顧客からの直接の要望による新製品の開発継続のために使用される。また、最近では、ユーザーが互いにコラボレーションするためのTeams機能も発表した。

創業者たちがFirst Round CapitalのTodd Jackson(トッド・ジャクソン)氏と最初に会ったとき、彼らは資金調達を考えていなかったが「意気投合して関係がうまくいった」とラチヴィータ氏はいう。ベンチャーキャピタリストとしてではなく、チームメイトとして協力してくれるパートナーを見つけたのだ。

ジャクソン氏は、Twitter(ツイッター)でPlayを見つけて興味を持ったという。同氏は、Dropbox(ドロップボックス)やFacebook(フェイスブック)で、同じようなユーザビリティの問題を抱えるデザイナーたちと仕事をしていた。

彼は、デスクトップでしか利用できないツールで長い時間を費やしデザインを構築したり、アニメーションを追加したりしていた友人らにPlayを送った。

「スマートフォンでここまでできるとは思いませんでした」と彼はいう。「1つのことをするのに、1つのデザインツールしかないというメンタルモデルで我々はものを考えがちです。よく、モバイル製品のアイデアの多くは、誰かと共有できないために日の目を見ないという話をします。Playがあれば、そのような状況に陥ることはありません」。

画像クレジット:Play

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルとJioのインド向けカスタム済み格安Android搭載スマホが11月4日発売

現地時間10月29日、Googleとインドの通信大手Jio Platformsは待望の低価格スマートフォンJioPhone Nextを、11月4日に、世界で2番目に大きいスマートフォン市場での販売を発表した。同日はインドの大きなお祭りディワーリーの日でもある。両社によるとJioPhone Nextは6499インドルピー(約9890円)で、初回27ドル(約3080円)の分割払いもできる。

このスマートフォンのOS「Pragati OS」は、「極限まで最適化」されたAndroidで、一連の独自機能がある。たとえば「読み上げ」と「リアルタイム翻訳」はウェブページやアプリ、メッセージ、さらに写真も、表示されるあらゆるテキストに対応し、10種類のインドの言語をサポートしている

「JioPhone Nextにはリッチな機能がたくさんありますが、私が最も感動し、一般のインド人を助けてデジタル生活のレベルを上げると思うのは、インドの言語の統合への寄与です。インド独特の強みは、その言語の多様性にあります。このスマートフォンでは、英語や自分の言語を読めない者でも翻訳してもらえるだけでなく、読み上げてもらうことができます」とJio Platformsを運営するReliance Industriesの会長でマネージングディレクターのMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏はいう。

JioPhone Nextの仕様も公表されている。5.45インチのHDでCorning Gorilla Glass 3で保護されたディスプレイ、チップはQualcommのクアッドコアQM-215チップセットでクロック数は1.3GHz、2GBのRAMと32GBの内部ストレージ(拡張可能)といった構成になっている。デュアルSIM対応で3500mAhのバッテリーを搭載、リアカメラは13メガピクセル、HDRをサポートし、8メガピクセルのセルフィーセンサーがある。

2017年1月5日、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏がインドのカラグプール工科大学で学生と対話。Googleは最近、インドに極めて熱心だ。2020年に同社は、今後、5〜7年間でインドに100億ドル(約1兆1390億円)の投資を行うとと発表している(画像クレジット:Getty Images)

JioPhone Nextは、開発途上市場の大衆に到達しようとするGoogleの最新の取り組みだ。過去およそ10年間に同社は、いくつかの事業を立ち上げている。たとえばAndroid Oneは、ユーザー体験を改善した低価格スマートフォンだった。2017年のインドでのイベントにおいて、GoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、インドのような市場はとても多いが、そのような市場が求めている大衆向けスマートフォンの適正価格は30ドル(約3420円)だと語っている。

「JioPhone Nextは、インドのために設計された手頃な価格のスマートフォンで、インドでは誰もがインターネットが生み出すチャンスを利用できるべきだという信念に基づいている。私たちのチームは全員協力して複雑な技術的課題とデザイン面での課題に取り組んでいます。今後数百万の人たちがこのデバイスを使って自分たちの生活とコミュニティを改善していけると考えています」とピチャイ氏は語っている。

最近のアナリストたちの意見では、JioPhone Nextは世界第2位の大きさであるインドのスマートフォン市場をディスラプトするだろうという。そして2020年で会員が4億以上いる通信企業のネットワークは、FacebookやGoogleなどのイメージの高い投資家から200億ドル(約2兆2790億円)ほどを調達し、この国における支配力を強めた。

JioPhone Nextは当初、9月の第2週にローンチの予定だったが、両社はチップの不足を理由に遅らせた。そして同機は、インドにおよそ3億人いる2Gネットワークから、速いネットワークへアップデート中の人たちが主なターゲットだと、アンバニ氏は2021年前半のイベントで語っていた。

アバンニ氏は10月29日の声明で「パンデミックによるグローバルなサプライチェーンの難局にもかかわらず、GoogleとJioのチームがお祭りにタイミングを合わせてこの画期的なデバイスをインドの消費者に届けたことは喜ばしいことです。私がかねてから固く信じているのは、デジタル革命が13億5000万人のインド人の人生に力を与えるということです。過去には、インターネット接続でそれを成し遂げました。そして今、それを再び、スマートフォンデバイスで実現しようとしている」と語っている。

画像クレジット:Google and Jio Platforms

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】グーグル「Pixel 6 Pro」、ハード面でも真のブレークスルーを達成

家電製品の領域では、ヘイルメリーパス(アメフトで逆転勝利を狙って行ういちかばちかのロングパスのこと)を何度も出すことはできない。それがたとえ大企業であってもだ。例えば、Microsoft(マイクロソフト)の携帯電話に対する長年の思いを見てみよう。かつて圧倒的な強さを誇ったNokia(ノキア)を72億ドル(約8200億円)で買収しても、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)と肩を並べることはできなかった。


初期の失敗を除けば、Google(グーグル)のモバイルハードウェアの野望は、全体的に見てより成功しているほうだ。しかし、Pixelシリーズは、このカテゴリーに費やされたリソースを正当化するのに必要な大ヒットを記録していない。これらのデバイスは、よくいえば、Googleがモバイルソフトウェアや機械学習で取り組んでいるクールなものを紹介するためのショーケースであり、悪く言えば、一種の劣等生のようにも感じられてきた。

スマートフォンのような混雑した分野に参入することは決して容易ではなかったが、同社が波風を立てずに奮闘している姿は、正直なところ奇妙なものだった。また、他社フラッグシップスマートフォンがどれも全体的に非常に優れており、この分野での継続的な優位性が主にこれまでの前進する勢いの結果によってもたらされている場合、これを達成させることは二重に困難だ。さらに面倒なことに、Googleは、真のブレークスルーはすべて「ソフトウェア側」で起こっていると長年執拗に主張してきた。

AppleやSamsungなどがスペック競争に明け暮れるのは時間の無駄だというのは、確かにおもしろい命題だ。確かにその通りだと思うが、少なくとも現状では、ハードウェアに依存しないことは不可能だ。人工知能や機械学習の重要性が増していることは間違いないが、カメラレンズ、ディスプレイ、プロセッサーのすべてが重要であることに変わりはない。少なくとも、今のところは。

Google Pixel 6 Pro

2020年5月、Pixelチームの主要メンバーが会社を去ったことが明らかになった。これは、大きな見直しの一環であり、その再考はさらに進むことになる。2021年の8月には、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOが、同社が4年前から自社製の半導体を開発していることに言及した。Qualcomm(クアルコム)のようなチップメーカーからの脱却は、ヘイルメリーパスを出す(リスクをとる)上で、大きな意味を持つ。そして、それには大きな携帯電話が必要になってくる。

2020年の同時期に発売された「Pixel 5」は、旧来の方法の最後の名残となった。大きな変化は一夜にして起こるものではなく、ましてや主要な家電製品ラインに関しては1年で起こるものでもない。Googleにとっては残念なことに、小規模なリストラのニュースが発売前に流れてしまい、Googleでさえ、より良い時代が来るのはまだ随分先だということを認めざるを得なかった。今回の「Pixel 6」が、Googleの製品ラインを決定するものではないが、何世代にもわたって刺激のない販売を続けてきたGoogleは、物事が正しい方向に向かっていることを証明する必要がある。

その基準からすれば、本モデルは大成功といえるだろう。

Google Pixel 6 Proレビュー

スペックにこだわらないGoogleの姿勢とは対照的に、優れたソフトウェアにはやはり優れたハードウェアが必要だということを証明している。Pixel 6は、決してオーバークロックされた最先端のスペックマシンではないが、適切なハードウェアを与えられたときに、Googleの優れたソフトウェアにどんなことができるのかを示す例となっている。

しかし「Pixel 6 Pro」を手にした瞬間、何かが違うと感じた。この端末は、Pixelの系列というよりも、Samsungの製品のように感じられる。Galaxyシリーズを彷彿とさせるサイズ感と重厚感があり、曲面ガラスのエッジによってその美しさはさらに増している。

発表当日、正直なところ最も驚いたことの1つは、オンラインコミュニティで曲面ガラスについての意見がいかに二極化しているかということだった。今回の発表では、Samsungのようにエッジを用いた機能を盛り込むのではなく、主に美しい外観を重視した使い方がされている。私が耳にした曲面ガラスに対する最大の反論は、携帯電話の両脇をつまんだときに誤ってタッチスクリーンを作動させてしまうリスクだ。この問題に関しては、私は経験していないし、正直なところ、私は全体的に曲面スクリーンには興味がない。

Google Pixel 6 Proレビュー

6 Proのディスプレイは6.7インチで、512ppiのQHD+(3120×1440)OLEDだ。最大リフレッシュレートは120Hzで、大きくて明るいのがいい。一方、スタンダードのPixel 6は6.4インチ、411ppi、90Hzのディスプレイだ。どちらを選んでも間違いではないが、Proはこの点で優れたアップグレードといえる。前面のカメラはピンホールデザインで、デフォルトの壁紙では見えづらくなっている。

また、下部にはディスプレイ内蔵指紋認証リーダーがあり、すばやくロックを解除することができる。ディスプレイはGorilla Glass Victusで覆われており、背面にはGorilla Glass 6が使用されている。背面の上部3分の1は、大きくてはっきりとしたカメラバーで独占されている。デザイン的には気に入っている。競合他社がこぞって採用している標準的な四角いカメラバーからの良い変化だ。

しかし、このカメラバーにはかなりの高さがあるため、背面に置いたときに携帯電話が斜めになってしまう。しかし、標準的なケースを装着することで、この影響はほとんどなくなるだろう。カメラの配置でもう1つ気になるのは、ランドスケープモードで撮影する際に、手の位置を少し気にしなければならないことだ。この点については、私は特に問題を感じなかったしし、もし問題があったとしても簡単に正すことが可能だ。

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カメラバーの上下のガラスにわずかな色の違いがある。これは、Pixelの旧モデルで電源ボタンに採用されていたような、ちょっとした遊び心だ。Googleが、どれも瓜二つの競合製品との差別化を図る方法をいまだ開発し続けてくれていることは明らかだ。ありがたいことに、これはほんの些細なポイントだ。デザイン言語全体は、退屈さと突飛さの間のちょうどよいラインだ。

カメラシステムは、優れたソフトウェアとハードウェアが互いに影響し合うことを示す究極の例といえる。「Surface Duo」と同時にPixel 6 Proをテストしていたのだが、特に光が混ざった状態や光量の少ない状態では、Microsoftのデバイスがしっかりとしたカメラリグを持っているにもかかわらず、(いわば)昼と夜のような違いがでた。

何世代にもわたって独自のカメラシステムを開発してきたことが功を奏したのだと思う。私は、このカメラで撮影できた写真がとても気に入っている。Proに搭載されている4倍の光学ズームもいい感じだ。デジタルでは最大20倍まで可能だが、Googleのコンピュータ写真処理を使っても、すぐに画像にノイズが入るようになってしまう。

標準的なPixelカメラの機能に加えて、いくつかのクールな新機能が搭載されている。「消しゴムマジック」は、Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」ツールと原理的には似ている。不要な背景画像の上に指を置くと、周囲の設定を使ってその部分を埋め、被写体を効果的に「消す」ことができる。しかし、完璧とは言えない。よく見ると、ムラのある部分が見つかるのと、周囲の環境が複雑であればあるほど、一般的に出来栄えは残念なものになる。それでも、アプリに搭載された新機能としては、すばらしい働きをしてくれている。

「アクションパン」も同様だ。この機能は、ポートレートモードと同様に、被写体の背景に擬似的なぼかし効果を加えてくれる。車のような大きくて幾何学的にシンプルな形状のものによく合う。一方、自転車に乗っている人などは、ポートレートのように輪郭周辺部が気になる。「長時間露光」はその逆で、動いているものをぼかし、背景は静止したままにしてくれる。

正直にいうと、私はパンデミックで閉じこもりがちな生活を送っているため、ヒトを撮影する機会があまりなかった。また、2台のカメラと顔検出機能を使って、動いている被写体にシャープな画像を合成する「フェイスアンブラー(顔のぼかし解除)」機能も注目されている。「リアルトーン」機能については、近日中にもう少し詳しく紹介する予定だが、幅広い肌色をよりよく撮影できるようになったことは、大いに歓迎すべきことだ。ただし、この機能も顔検出に依存しているため、問題が発生することもある。

また、Pixelに搭載された一連のテキストツールも印象的だ。私の限られたテストでは、リアルタイム翻訳がうまく機能し、テキスト入力にすばらしい効果をもたらしてくれた。アシスタントの音声入力はうまく機能しているが、音声による絵文字の追加など、時々問題が発生した(おそらく私の発音が悪いのだろう)。また、ドイツ語や日本語に対応した「レコーダー」などの既存の機能に加えて、このような機能が追加されたことは歓迎すべきことだ。

Google Pixel 6 Proレビュー

もちろん、今回のショーの主役はTensorだ。Googleは、現在増えつつあるQualcommの半導体の独占状態を避けて独自のチップを採用する企業の仲間入りを果たした。これは、4年前から計画されていたもので、GoogleがPixelシリーズに今後も力を入れていくことを示す良いサインといえるだろう。今回、同社はPixel 6の新機能の多くが自社製SoCによって実現されているとしている。同社は、最近のブログ記事で次のように述べている。

Google Tensorによって、モーションモード、フェイスアンブラー、動画のスピーチエンヘンスメントモード、動画へのHDRnetの適用など、最先端の機械学習を必要とする驚くべき新しい体験が可能になります(詳細は後述)。Google Tensorは、スマートフォンにおける有用性の限界を押し広げることを可能にし、スマートフォンを画一的なハードウェアから、多種多様なスマートフォンの使い方を尊重し、それらに対応することができるほど大きな知能を持つデバイスへと変えてくれます。

Geekbenchテストでは、シングルコアで1031点、マルチコアで2876点を記録した。これは、Pixel 5の平均値である574と1522を大幅に上回るものだが、Pixel 5はSnapdragon 765Gというミドルレンジのプロセッサーを採用していた。フラッグシップモデルとは言えない。Snapdragon 888を搭載したSamsungの「Galaxy S21」の1093と3715と比較すると、処理能力の点でGoogleの自社製チップにはまだまだ課題があることがわかる。「iPhone 13 Pro」のテストで得られた1728と4604と比較すると、結果はさらに悪くなる。

Google Pixel 6 Proレビュー

バッテリーは、従来のモデルの最大の難点の1つだったが、Googleはこの点を大きく改善した。6には4614mAh、6 Proには5003mAhのバッテリーが搭載されており、Pixel 5の4080mAhからしっかりとアップグレードされている。それがPixel 4からのすばらしい飛躍だった。Googleによると、満充電で24時間使用可能とのことだが、私の適度な使用で26時間ほどもったので、その点では朗報だ。

ここ数年、Pixelのハードウェアと売上は中途半端だったため、Googleは、低迷するモバイル部門を前進させるためのデバイスを本当に必要としていた。これまでの4年間にわたるプロセッサーの開発、6世代にわたるソフトウェア、そしてピカピカの新しいハードウェアが、1つのパッケージにうまくまとめられている。Googleはこれまで、Pixelシリーズは単に新しいAndroidソフトウェアをアピールするだけのものではないと主張してきたが、今回はそれが現実のものとなった。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Pixel 6 / 6 Proでグーグルはスマートフォンラインナップを刷新する

2020年5月、Pixelは1つの時代の終わりを迎えた。Googleのチームは、変革的な未来に向けて前進する一方で、何人かの重要なプレイヤーを失った。それは当然のことだ。Pixelは決して悪いスマートフォンではなく、(長年にわたって苦戦を強いられてきたが)むしろ目立たないスマートフォンだった。しかし、悪いフラッグシップスマートフォンの購入が難しい時代に「なかなか良い」という評価は十分でなものではない。

関連記事:Google Pixel開発チームから二人の主要エンジニアが離脱、チーム内の争いが原因か

世界のAppleやSamsungとの差別化を図ろうとするGoogleの試みは、ほとんど失敗に終わっている。廉価版のAシリーズではそれなりの成功を収めているが、プレミアムメーカーと真っ向勝負するという夢は、今のところ実現できていない。2020年のPixel 5は、製品ラインの刷新に時間がかかるため、ファンが期待していたようなものではなかった。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、先に開催されたバーチャルハードウェアイベントにおいて、Googleはついに「手に取って、もう一度やり直す」ことの意味を私たちに示してくれた。Pixel 6は、さまざまな意味においてGoogleのフラッグシップデバイスの歴史の中で最もラジカルな出発点であり、SamsungやAppleに対抗する同社にとって最も真剣な試みでもある。

Googleは2021年8月に、Pixel 6を初披露したが、それは発表までにまだ3カ月半ほどもあるデバイスとしてはおどろくほど完全なものだった。

ハードウェア部門の責任者であるRick Osterlo(リック・オスターロー)氏は、主にチップや設計、そしてGoogleが自社でチップ「Tensor」を開発し、Qualcommへの依存から脱却しようとしている最新の企業になったという事実について語った。

「AIは当社のイノベーション活動の未来を担うものですが、問題は、当社のミッションを完全に遂行することを妨げるコンピューティングの限界に突き当たっていることです。そこで私たちは、最も革新的なAIと機械学習(ML)をPixelユーザーに提供できるよう、モバイル向けのテクノロジープラットフォームの構築に着手しました。私たちは、Pixel 6を動かすために、独自のSystem on a Chip(SoC)の開発を始め、数年後の現在、それはもうすぐ実現します」とオスターロー氏はいう。

画像クレジット:Google(画像修正済み)

そして、Google TensorはPixel 6と6 Proに搭載されている。私は後者を手にしているが(レビューは近日中)、Pixelシリーズが根本的に新しい方向性にあることがわかる。Googleはこの新しいデバイスで明らかにプレミアムな方向に進んでおり、これまでのどのPixelよりもSamsungなどのデバイスと共通したDNAを持っている。

Pixel 6は、6.4インチのFHD+有機ELディスプレイを搭載しており、その画素数は411ppi。Proでは、6.7インチのQHD+、512ppiにアップしている。これらのディスプレイのリフレッシュレートは、それぞれ90Hzと120Hzで、エッジ部分がカーブしたGorilla Glass Victusカバーで保護されている。

画像クレジット:Brian Heater

一方、背面はGorilla Glass 6で覆われており、上部3分の1には大きくて特徴的なカメラバーがある。ケースに入れていない場合(上の写真)、カメラバーが斜めになっているため完全ではないが、同じ高さになっている。これは、Pixelがポップなカラーの電源ボタンを廃したことで、デバイスにもう少し色味を加えようとするためのものだ。ハードウェアとしてのカメラにフォーカスしたこと事態、Googleにとって新たな試みだ。これまで同社はコンピュテーショナルフォトグラフィーに対して非常に力を入れており、ハードウェアはほとんど問題ではないと考えてきた。将来的には、AIやMLが写真撮影において大きな部分を担うといった説得力のある議論ができるようになるかもしれない。しかし現在のところ、カメラのハードウェアが重要であることには変わりがない。

新Pixelに搭載されているカメラを見てみよう。Pixel 6では50メガピクセルの広角カメラと12メガピクセルのウルトラワイドカメラ、6 Proではそれら2つのカメラとさらに48メガピクセルの望遠カメラを搭載している。望遠カメラは、光学4倍ズーム、または最大20倍の超解像ズームにも対応しているが、コンピュテーショナルフォトグラフィーを使用しても、かなり早く性能は劣化する。一方、前面カメラは、Pixel 6が8メガピクセル、6 Proが11.1メガピクセルで、視野角はそれぞれ84°と94°だ。

画像クレジット:Brian Heater

カメラ機能の詳細については、いくつかの記事で紹介しているが、ここでは両モデルでできることをリストアップする。

  • 消しゴムマジック
  • モーションモード
  • リアルトーン
  • 顔のぼかし解除
  • パノラマ
  • 手動によるホワイトバランス調整
  • ロックされたフォルダ
  • 夜景モード
  • トップショット
  • ポートレートモード
  • ポートレートライト
  • 超解像ズーム
  • モーションオートフォーカス
  • よく撮影する人
  • デュアル露出補正
  • Live HDR+

最も興味深い新機能は「リアルトーン」「モーションモード」「消しゴムマジック」「顔のぼかし解除」だ。最後の「顔のぼかし解除」はその名称のとおり、撮影後に被写体の顔をシャープにする。「モーションモード」は「ポートレートモード」と同様に、動いている被写体にモーションブラーをかける。「消しゴムマジック」は、Photoshopのようなツールを使って写真の背景から不要な被写体を取り除き、その隙間をAIが埋めてくれる。一方「リアルトーン」は、これまでのスマートフォンにはあまりなかった、肌の色に関係なく、被写体をよりきれいに撮影するための機能だ。

画像クレジット:Brian Heater

Pixel 6と6 Proには、ディスプレイ内に設置された迅速な指紋認証リーダーと、Pixelデバイスに期待されるあらゆる種類のファーストパーティソフトウェアが搭載されている。その中には「Live Translate」「Recorder」Androidの新機能である「Material You」が含まれている。Material Youは、壁紙やアプリに一貫した美しさを与えるものだ。前回のI/Oでは、この機能を次のように説明してた。

Material Youは、デザインに対してより人間的なアプローチを探求しています。デザインの感性と個人の好みとの間の緊張感を大切にし、感情から逃げないものです。アプリケーションの機能的な基盤を損なうことなく、Material Youは、あらゆるスタイルに対応した個性的なデザイン、あらゆるニーズに対応し、アクセシブルなデザイン、あらゆるスクリーンに対応する生き生きとしたデザインを目指しています。

関連記事:グーグルがAndroid 12の最新情報を公開、近年最大級のデザインアップデート、新ベータ版配信開始

また、新機能の「Calling Assistance」は、Duplexと同様に、人間とロボットオペレーター間のやり取りを容易にするために設計されている。本機能では、日にちと時間に基づいて、フリーダイヤルの待ち時間を予測して表示する。一方「Direct My Call」は、Googleの文字起こし機能を利用して、ダイヤルパッドに直接入力される音声メニューをテキストで表示する。一方「Hold For Me」は、通話を待ち人間が電話に出たときに通知する機能だ。

また「Assistant Voice」の入力も改善されている。「ねぇ Google、タイプ」というと、アシスタントがテキストを入力してくれる。「Stop」すると機能がオフになり「Send」するとメッセージが送信される。難しい単語を1文字ずつ入力したり、絵文字を入力したりすることもできる。

画像クレジット:Brian Heater

Googleは、従来モデルで発生していたバッテリー問題の一部に対処している。Pixel 6と6 Proには、それぞれ4614mAhと5003mAhのバッテリーが搭載されており、Pixel 5の4080mAhから大幅に増加している(Pixel 4からも大幅に増加)。Googleによると、約24時間の使用が可能で、Extreme Battery Saverモードにするとほぼ約2倍になるとのこと。また、別売のGoogle 30W USB-C Chargerを使ったオンボードの急速充電では、30分間で半分の充電が可能。また、両モデルともQiによるワイヤレス充電にも対応している。

画像クレジット:Brian Heater

Pixel 6は、8GBのRAMと128または256GBのストレージを搭載し、Proは12GBのRAMと128、256GBのストレージを搭載している。Googleはそれでも価格を低く抑えることに成功しており、Pixel 6は599ドル〜(日本では税込7万4800円〜)、Pixel 6 Proは899ドル〜(税込11万6600円〜)となっている。現在、予約注文を受け付けており、10月28日に発売される。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

あらゆる肌色の顔を美しく見せるPixel 6カメラのReal Tone、多様性を広げるAI技術

スマホメーカー各社が写真での顔の写り方に特別な注意を払っているのは、理に適っている。米国時間10月19日、Google(グーグル)が発表した新しいPixel 6には、人間をこれまで以上によく見せるための、AIを搭載した新しいツール群が導入されている。その中でも特に注目されているのが、動く顔のブレを軽減する「Face Unblur(顔のぼかし解除)」と「Real Tone(リアルトーン)」だ。後者は、Googleの新しいTensorチップを搭載したAIによる後処理機能で、あらゆる肌色の顔を可能な限り美しく見せることを目指している。

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スマートフォンで撮影される写真の大半は、自撮りであれ、他撮りであれ、人間が写っている。従来、複数の顔が写っている写真、特に顔の肌色がすべて異なる場合、露出をきれいにするのは非常に難しいとされてきた。新しいPixel 6では、コンピュテーショナルフォトグラフィーのレイヤーが加わり、写真に写っている全員ができるだけきれいに見えるようになっている。Pixelチームは、さまざまなエキスパートのイメージメーカーやフォトグラファーと協力して、ホワイトバランス、露出、アルゴリズムの調整を行った。同社は、これにより、どんな肌色の人でもうまく撮れるようになったとしている。

Googleは、リアルトーンをフォトグラファーが直面している課題に対する決定的な解決策ではなく、同社のカメラシステムの改善そして、1つのミッションとして捉えていると強調している。Googleは、すべての人々、特に有色人種が、カメラによる顔の撮影においてよりよく表現されるよう、多大な資源を投入している。

AndroidチームのAdvanced PhotographyプロダクトマーケティングマネージャーであるFlorian Koenigsberger(フロリアン・ケーニヒスベルガー)氏は、Pixel新機種の発売に先立って行われたブリーフィングインタビューで、次のように述べた。「私の母はダークな肌の黒人女性で、父は白人のドイツ人です。私の人生を通じて、ずっと疑問でした。どうしたらみんながきれいに見える写真が撮れるだろう。新しいカメラは、その道のりの一歩です。Googleの多様性の数値はもはやミステリーではありません。当社には、実体験や、この問題に関してオーセンティックに語ることができる人材という点で、明らかに不足しているものがあると理解していました」。

カメラチームは、フォトグラファー、カラリスト、シネマトグラファー、撮影監督、ディレクターなどと協力して、多様な肌色の人々、特により暗い肌色の人々に照明を当てて撮影する際の課題を深く理解しようとした。中でも、ドラマシリーズ「Insecure(インセキュア)」の撮影監督であるAva Berkofsky(アヴァ・バーコフスキー)氏、フォトグラファーのJoshua Kissi(ジョシュア・キッシー)氏、撮影監督のKira Kelly(キラ・ケリー)氏など、幅広い分野のプロフェッショナルの経験を活用した。

「エスニシティや肌の色だけでなく、さまざまな手法を含め、実に多様な視点を取り入れることに注力しました」とケーニヒスベルガー氏は語る。「カラリストたちは、映像制作の過程で起こるサイエンスとして考えているので、実際に話してみると最も興味深い人たちでした」とも。

Googleのプロダクトチームは、画像処理の専門家たちと協力して彼らにカメラを渡し、混合光源、逆光、室内、1枚の画像に複数の肌色を入れるなど、非常に難しい撮影状況に挑戦してもらった。

「私たちは、特にこのようなコミュニティにおいて、どこが問題なのかを学び、そこからどのような方向に進むべきかを考えなければなりませんでした」とケーニヒスベルガー氏は説明する。「イメージングのプロフェッショナルたちは非常に率直で、我々のエンジニアと直接会話をしていました。私はこの会話の進行を手伝いましたが、技術的な学びだけでなく、この空間で起こった文化的な学びも興味深いものでした。例えば粉っぽさ、よりダークな肌のトーン、質感などのことです。ミッドトーンのニュアンスはさまざまです」。

このプロセスは、カメラの顔検出アルゴリズムから始まる。カメラが顔を見ていることを認識すると、カメラはどのように画像をレンダリングすればうまくいくかを考え始める。複数のデバイスでテストを行った結果、Pixel 6は競合メーカーの製品や旧世代のPixelデバイスよりも一貫して優れたパフォーマンスを発揮していることが、Googleのチームによって明らかになった。

この機能が実際にどのように機能するのか、グローバルな編集(画像全体に同じフィルターを適用すること)を行うのか、あるいはAIが編集パスの一部として個々の顔を編集するのかは、すぐには明らかになっていない。近いうちに、カメラのこの特定の側面が実際にどのように機能するのか、より詳しく調べてみたいと思う。

カメラチームは、この分野での取り組みにより、カメラアルゴリズムを作成するためのトレーニングセットの多様性が25倍になったことを強調している。リアルトーン機能は、カメラアルゴリズムの中核をなすものであり、オフにしたり無効にすることはできない。

画像クレジット:Google

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルが新OS「Android 12」配信開始、セキュリティを改良しよりパーソナルに

世界で最も使用されているモバイルOSであるAndroidは、独自のセールスポイントを確立し、AppleのiOSとの差別化を図るべく、着実な歩みを続けている。Pixel 3以降で利用可能なこの新OSのAndroid 12は、同OSの長所をさらに強化するとともに、いくつかの新機能も追加されている。

誰もが、これまでに製造された他のすべてのデバイスと基本的に同じに見えるスマートフォンを持つようになると、パーソナライゼーションがより重要になる。Google(グーグル)はMaterial You(マテリアルユー)機能をOSに導入し、壁紙を変更すると、Android 12エクスペリエンス全体がその色に合わせて変化するようになった。OSには色抽出アルゴリズムが搭載されているため、すべてが統合され、洗練されて見える。ロックスクリーン、通知、設定、ウィジェット、そしてアプリまで、すべてがパーソナライズ可能だ。Material YouはPixelに先行して搭載され、他のデバイスメーカーの端末にも順次搭載されていく予定だ。

完全にカスタマイズ可能なOSで、あなたのスマホともっとあなたらしく(画像クレジット:Google)

セキュリティとプライバシーは、このOSのもう1つのテーマだ。例えば、Android 12では、スムーズに機能するためにおおよその位置情報しか必要としないアプリから、正確な位置情報をプライベートにしておくことができる。また、アプリがマイクやカメラ機能を使用しているかどうか、ステータスバーに表示される新しいインジケーターで確認できる。さらに、OS全体でカメラとマイクをオフにしたい場合は、クイック設定で新しいトグルスイッチを使ってオフにすることができる。また、忘れていたアプリをロックダウンする機能も追加され、数カ月間使用しなかったアプリの許可を自動的に取り消すことができる。

またこのOSでは、位置情報とBluetoothの関係がようやく切り離された。Googleは次のように述べている。「ワイヤレスヘッドフォンは携帯電話に接続する必要があるが、あなたがどこにいるかを知る必要はありません」。Android 12では、それがようやく可能になった。

Googleは、以前のOSリリースで、Googleレンズのための大量の新しいAndroid機能を導入した。例えば、任意のスクリーンショットで光学式文字認識(OCR)を行うことができるようになった。Android 12では、その機能に加えて「スクロールスクリーンショット 」などの拡張機能が追加されている。画面の端に到達したからといって、スクリーンショットの端に到達する必要はない。新しいスクロールスクリーンショットを使えば、ページ上のすべてのコンテンツを1枚の画像に収めることができる。これは賢い。

新フィーチャーは機能性にとどまらず、Android 12では省電力機能やアクセシビリティの向上も実現している。また、ホットアップデートの導入により、同じアプリのアップデートがバックグラウンドでダウンロード、インストールされていても、そのアプリを使い続けることができる。ポケモンGOを数分間中断しなければいけないことなど、あってはならない。

GoogleのAndroid 12 OSは、米国時間10月19日より対応機種に順次導入される。

画像クレジット:Google

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

Google Pixel 6のカメラはAIでスナップショットをスマート化する

Google(グーグル)の最新のフラッグシップモデルには、スマートブラー、オブジェクト除去、スキントーン露出などの写真をより美しく見せるための自動化されたAIツールが搭載されている。これらが宣伝通りに機能するかどうかは、実際に試してみないとわからないが、Pixelを気にしている人から気軽にスナップショットを撮る人まで、誰にとっても便利な機能となるかもしれない。

そもそも新しいカメラ自体が非常に印象的だ。Pixel 6とPixel 6 Proで共有されているメインのリアカメラは、そこそこの大きさのピクセルウェルとF/1.85相当の絞りを備えた5000万画素だ(デジタル一眼レフカメラのF/1.8ほどの光を取り込むことはできないが、それでも十分だ)。ウルトラワイドの方は、1200万画素とより小さなセンサーでF/2.2なので、圧倒的な画質は期待できない。6 Proには4800万画素の望遠があり、低照度能力は劣るが、4倍相当のズームが可能だ。いずれも手ぶれ補正機能とレーザーアシストオートフォーカスを搭載している。

基本的には、どんな状況でも最高の画質を求めるならメインカメラを使い、光量に自信があるならワイドやズームを使える。新しいカメラの機能はすべてのカメラで使えるようだが、一般的に、最初に良い写真を撮れば撮るほど、最終的な結果も良くなる。

最も簡単なツールは、「顔のぼかし解除」だ。完璧な写真を撮っても、シャープさに欠けることがあるだろう。Pixel Cameraでは、(今では普通の撮影プロセスの一部となった)自動的に常に多重露光撮影を行い、1つのカメラで撮影したメインショットと、別のカメラで撮影した顔の鮮明なショットを組み合わせる。そうするには、ギャラリーにあるシャープではない写真をタップし、「顔のぼかし解除」のオプションがあれば、すぐに実行できる。

画像クレジット:Google

確かに、上の画像のように、ぼやけた写真の中で顔だけがシャープになるのはちょっと変だが、この写真が欲しいのか欲しくないのか、と言われると欲しいと思う。

また、写真のボケに関しては、2つの新しい「モーションモード」を搭載している。1つは「アクションパン」で、背景を「クリエイティブ」にぼかしながら、通過する車などの動きのある被写体を鮮明に捉えることができる。つまり、通常の手持ちのボケではなく、演出されたズームのボケを適用するので、ちょっと「修正された」感じがするが、楽しいオプションだ。もう1つは長時間露光用ヘルパーで、背景をはっきりさせたまま動く被写体にボケを加えるものだ。三脚を使わずにヘッドライトの光を撮るときなどに便利だ。これらは、カメラアプリ内のモーションモードエリアにある。

画像クレジット:Google

「消しゴムマジック」は、最も明らかに「AI」なものだ。写真を撮ったときに、背景に人が入ってきたり、景色の良いところに車が止まっていたりしても、それらの厄介な現実世界の物体を消して、その存在を忘れられるようにしてくれる。ツールをタップすると、遠くにいる人や車など自動的に削除したいものがハイライトされる。さらに、例として挙げられているように、邪魔な丸太やその他のランダムな形状のものも削除できる。ビーチにある流木を消すなんて、本当に?幸いなことに、記憶の穴に捨てるものは選ぶことができ、無理強いされることもなく、認識できないものに丸を付ければ、最善を尽くして処分してくれる。

「スピーチエンハンスメント」は明らかに画像用ではないが、フロントカメラモードでは、デバイスが周囲のノイズを低減し、あなたの声に集中するよう選択できる。基本的にはGoogle版ノイズキャンセリングアプリKrisp(クリスプ)だ。これのような機能があれば、ずっと使っていたいと思うだろう。

「リアルトーン」は興味深い機能だが、危険をともなう可能性のある機能でもあるので、近々詳しく紹介する。Googleはこの機能について次のように説明している。「Googleのカメラや画像製品がすべての肌の色に対応できるようにAWB(オートホワイトバランス)、AE(自動露出)、迷光のアルゴリズムの調整を、画像制作者や写真家の多様な専門家と協力しました」。

確かにすばらしいが、彼らはモデルだ(画像クレジット:Google)

基本的には、彼らの「スマート」カメラのコア機能が、他の肌色よりも特定の肌色でより良く機能したり、より良く見えたりしないことを確認したかったのだ。このようなことは、これまでに何度も起こってきたことであり、10億ドル(約1140億円)規模の企業が何度も失敗することは、屈辱的で恥ずかしいことだ。リアルトーンがうまくいけばいいが、たとえうまくいったとしても、写真の中の人の肌を明るくしたり暗くしたりするだけなのかという多くの人にとってセンシティブな根本的な問題がある。Googleは「この機能はオフにも無効にもできません」と言っているので、よほど自信があるのだろう。我々は、この機能をテストし、開発者や写真家にこの機能について話を聞いてみる予定で、興味深いが複雑なこの分野をより深く掘り下げていく。

これらの機能のうち、どれだけのものがPixelラインの携帯電話以外でも利用できるようになるのか、また、いつ利用できるようになるのかについては、完全には明らかになっていないが、何かわかったらお知らせする。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Yuta Kaminishi)

10月20日午前2時から、グーグルの新型Pixel発表会をライブで観よう

Googleは米国時間10月19日、新しいPixelを発表する予定だ。米国太平洋時間午前10時(日本時間10月20日午前2時)にイベントは開催されるが、その模様はライブストリーミングで観ることができる。

Googleはすでに、Pixel 6とPixel 6 Pro向けの独自「Tensor」チップの発表を明らかにしている。また同社はすでに新機種の詳細を大量に公開している。

Pixel 6は、マットなアルミニウム仕上げで、6.4インチのディスプレイを搭載。Pixel 6 Proは、より大きな6.7インチディスプレイを搭載、ポリッシュ仕上げのアルミニウムを採用します。

カメラについては、通常のPixel 6には2つのカメラセンサーが搭載されるが、6 Proには3種類のカメラセンサーが搭載される。また、これらのスマホの写真を見た人なら、これまでなかったカメラの段差があることをご存知だろう。

しかし、スペックは物語の一部分の一部に過ぎない。チップセットの性能やカメラの機能について、Googleがどのように説明するかが重要になる。今晩のイベントで、そのすべてが明らかになるだろう。

関連記事:グーグルが正式に新スマホPixel 6を公開、専用チップTnsor搭載

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Katsuyuki Yasui)

チップ不足の影響が出始めたスマートフォン売上は6%減

Canalysが米国時間10月15日に発表した新しいレポートによると、今四半期の世界のスマートフォン販売台数は6%減少した。世界的なチップ不足が原因だ。

パンデミックはサプライチェーン全体に深刻な悪影響を及ぼしており、特にチップが大きな打撃を受けている。Canalysの主席アナリストであるBen Stanton(ベン・スタントン)氏によると、メーカーはできる限りの対応をしようとしているが、チップ不足は今のところ正真正銘の障害となっている。

「供給面では、チップセットメーカーが需要と供給のギャップを埋めるために、過剰注文を抑制するために価格を引き上げています」とスタントン氏は述べている。「しかし、それにもかかわらず、2022年に入っても不足はまだまだ解消されないでしょう」とも。

こうしたサプライチェーンの問題の結果、この四半期の市場はどうなったのだろうか?上位の常連メンバーは同じポジションを保ち、Samsung(サムスン)は前年と変わらぬ23%と安定したシェアを維持している。一方、Apple(アップル)は3ポイント増の15%となった。Xiaomi(シャオミ、小米科技)は、前年同期比横ばいの14%で3位を維持している。

画像クレジット:Canalys

特に年末商戦に向けて、メーカーはこのような事態を憂慮しているに違いない。Appleは9月末に新型iPhone 13を発売しており、今回の四半期報告には間に合わなかったが、ホリデーショッピングシーズンに合わせて発売したことは間違いない。チップ不足の問題は、その計画に水を差す可能性がある。SamsungもAppleも、モバイル機器用のチップセットを自社で製造しているとはいえ、各社ともチップ部品不足の影響を受けている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくカメラ機能も向上、税込9万8800円から

その結果、製造コストが上昇し続けている2021年、消費者がコストダウンを実感することはないだろうとスタントン氏はいう。その代わりに、購入インセンティブとして、携帯電話と他の機器をセットにして販売するケースが増えるのではないかと予想している。

「ユーザー側は、2021年のスマートフォンの値引きはそれほど積極的ではないと覚悟しておくべきです。しかし顧客の失望を避けるために、利益率に制約のあるスマートフォンブランドは、ウェアラブルやIoTなどの他のデバイスをバンドルして顧客に良いインセンティブを与えることを検討するでしょう」。

CNBCは14日、家電製品や消費財を製造するHisense(ハイセンスグループ)のJia Shaoqian(賈少謙)社長によると、コンシューマーチップの不足はスタントン氏の予測よりもさらに長く、おそらく2~3年は続く可能性があると報じていた。

画像クレジット:Tim Robberts / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)