マッチング系アプリの決済に関するオランダにおけるアップルの罰金総額が約68億円に

出会い系アプリの決済方法に関してオランダで独占禁止法上の命令を受けたApple(アップル)に対する罰金の額は、継続的なコンプライアンス違反で規制当局が10回連続で毎週500万ユーロ(約6億8000万円)を科して5000万ユーロ(約68億円)となり、(現時点では)最大額に達した。

しかし、消費者市場庁(ACM)は現地時間3月28日、Appleが前日に直近の提案を修正したことを受け、修正提案は「出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずだ」と述べ、より前向きにとらえている。

完全な詳細を受け取り次第、当局は市場のフィードバックを求め、提案が受け入れられるかどうか早急に決定すると述べた。しかし、その評価にどれくらいの時間がかかるか、また修正案自体の詳細については、何ら情報を提供していない。また、修正案が受け入れられないと判断された場合、Appleはさらなる罰則を受ける可能性があるとも警告している。つまり、すでに数カ月に及ぶこの騒動は、まだ終わらないかもしれない。

Appleによるこれまでの提案は、当該開発者に不合理な摩擦をもたらすとしてACMによって拒否された。

3月28日発表された声明の中で、オランダの規制当局は次のように述べている。「ACMはAppleの今回の措置を歓迎します。修正された提案は、App Storeの利用を希望する出会い系アプリのプロバイダーにとって決定的な条件となるはずです。最終的な条件についての提案を受け取った後、ACMはそれを市場参加者に提出し、協議を行う予定です。ACMはその後、Appleがこれらの確定条件を実施する際に、出会い系アプリにおいて代替の支払い方法が可能であるべきというACMの要件を遵守しているかどうか、できるだけ早く判断を下す予定です」。

「先週末までは、AppleはまだACMの要件を満たしていませんでした。そのため、10回目の罰金を支払わなければならず、Appleは最大5000万ユーロの罰金を支払わなければならないことになります」と付け加えた。「Appleが要件を満たしていないという結論に達した場合、ACMはAppleに命令遵守を促すために、定期的な罰金支払いを条件とする別の命令(今回はより高い罰金となり得る)を科す可能性があります」。

TechCrunchはAppleに対応を問い合わせている。

ACMの命令は2021年までさかのぼるが(しかしAppleによる法廷闘争により、報道は制限された)、オランダの出会い系アプリが希望すればデジタルコンテンツのアプリ内販売を処理するのにApple以外の決済技術を使用できるようにするというACMが命じた権利の付与をめぐる世論戦は1月から続いている。

この件は、ACMがこのような命令を出す権限を与えられている欧州の小さな1つの市場内のアプリのサブセットという、ほとんど滑稽なほど小さなものに見えるかもしれない。一方で、デジタル市場法(DMA)として知られる汎EUデジタル競争法の改正が進行中で、ビジネスユーザーに対するFRAND(公平、妥当、差別のない)条件、相互運用性要件の組み込み、自己参照のような反競争的行為の禁止など、ゲートキーパーである大手の「すべきこと」と「すべきでないこと」といった領域における行動基準を前もって定義することで、近い将来、最も強力なプラットフォームがEU圏内でどのように活動できるかを再構築しようとしている。

つまり、ACMの命令は、今後予想されるEUの大きな要求の縮図を垣間見せている。

DMAはAppleのApp Storeにも適用される可能性が高い。そのため、オランダのケースはEU内で高い関心を集めているが、これは少なくとも今秋以降、欧州委員会がゲートキーピングプラットフォームの事前監視に切り替える際に、執行上の大きな課題を突きつけるものだからだ(EU機関は先週、DMAの詳細について政治的に合意したが、正式な採択はまだ先だ)。

市場改革の下では、欧州委員会が科すことのできる罰則の規模はかなり大きくなり、違反が繰り返される場合には全世界の年間売上高の20%にも達する。したがって、プラットフォーム大手にとっては無視できない体制となりそうだ。

もう1つの重要な変化は、DMAが積極的に行動し、EUの競争規制当局が変更を命じる前に数カ月あるいは数年かけて遵守していないことをを証明する必要がなく、最初から遵守を求めるようになることだ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

出会い系アプリ決済めぐる独禁法違反でアップルがオランダで9回目の罰金、当局に新たな提案も

Apple(アップル)は、出会い系アプリに関連する独占禁止法上の命令をめぐり、オランダで再び罰金を科された。この命令は、AppleのiOS向けアプリ内決済APIしか使えないよう縛るのではなく、開発者が希望すればサードパーティーの決済技術を利用できるようにすることを求めている。

消費者市場庁(ACM)は1月以来、命令を継続的に遵守していないとしてAppleに対し一連の罰則を(週ごとに)科している。

今回で9回目となる500万ユーロ(約6億7000万円)の罰金により、この問題に関するAppleに対する罰金総額は4500万ユーロ(約60億円)に達した(来週までに再び規制当局を満足させられなかった場合の最大総額は5000万ユーロ[約67億円]だ)。

Appleはこの間の一連の罰金に対して、規制当局が明らかに異なる(反対の)見解を示しているにもかかわらず、命令を遵守していると主張している。

ACMは、Appleの対応を失望するもの、かつ不合理なものとし、Apple以外の決済技術を使用してアプリ内決済を処理する法的資格を得ようとする開発者に、単にそうすることを容易に選ばせるのではなく、不必要な障害を作り出していると非難している。

この争いは何週間も続いていて、また新たに罰金が科せられたにもかかわらず、Appleによるシフトの兆しがあるかもしれない。ACMによると、Appleは現地時間3月21日に「新しい提案」を提出した。ACMはその合否を決定するために精査しているとした。

「我々は今、これらの提案の内容を評価するところです」とACMの広報担当者は声明で述べた。「そうした状況下で、さまざまな市場参加者と話をする予定です。この評価をできるだけ早く完了させることが目標です」。

ACMは、Appleがこの修正されたコンプライアンスオファーで提案している内容の詳細を明らかにしていない(そして当局はより詳細な情報の求めには応じなかった)。

「先週末まで、AppleはまだACMの要件を満たしていなかったことに留意すべきです」と広報担当者は付け加えた。「そのため、同社は9回目の罰金を支払わなければならず、同社が支払わなければならない総額は現在4500万ユーロに達しています」。

Appleにもこの展開についてコメントを求めたが、本稿執筆時点では回答はない。

更新:Appleはコメントを却下した。

ACMの独禁法命令はオランダ国内でのみ適用され、アプリの一部(出会い系アプリ)にのみ適用されるため、テック大手の壮大でグローバルなスキームの中ではかなり些細なことに見えるかもしれない。しかし、国の規制当局とプラットフォームの巨人の間の綱引きは、欧州連合(EU)でかなりの注目を集めている。つまり、この法執行は、政策立案者が主要な競争改革の最終的な詳細を打ち出す中で注視されている。

EUは、デジタル競争政策(デジタル市場法、通称DMA)の長年の懸案であった改革を完結させようとしている最中であり、これは最も強力な中間インターネット・プラットフォームのみに適用される予定だ。

AppleはDMAの下で「ゲートキーパー」に指定されることがほぼ確実であるため、これは関連性がある。DMAでは、デジタル市場をよりオープンで競争しやすいものにすることを意図した、反トラスト法遵守の積極的な体制が導入されることになる。例えば、プラットフォームがアプリケーションを交差結合することを禁止、あるいはロックインを強制し、同時に相互運用性のサポートやサービスの切り替えを義務化する。つまり、Appleは今後、同様の(実際にははるかに広範な)汎EU反トラスト法に基づく命令に直面する可能性があり、第三者に対してどのように行動しなければならないか(してはならないか)を規定されることになる。

EUの反トラスト部門を統括し、デジタル政策立案を主導するMargrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)委員は2022年2月の講演でオランダの事例を取り上げ、Appleが同意できない競争法の判決に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを「本質的に」好んでいると非難している。また、AppleのApp Storeにおけるサードパーティアクセスに関する義務について「……DMAに含まれる義務の1つになるだろう」と警告している。

この来る汎EU法は、重大な効力を持つ。世界の年間売上高の最大10%の罰金を科すことができ、またゲートキーパー解体を命令する構造的救済を適用することによって、欧州連合が組織的なルール違反に対応することができる。

したがって、DMAの対象となるハイテク企業にとっては「遵守 vs 拒否」の計算は罰則を「ビジネスを行うためのコスト」として帳消しにできる場合にのみ可能であり、再起動したEU競争体制の下では根本的なバランス再調整を模索することになる。500万ユーロ、あるいは5000万ユーロの罰金で事業運営に影響を与えることはできないが、数十億ユーロ(数千億ユーロ)にもなり得る罰金は、法的要件を回避し続けることによって、規制当局が解体用ハンマーを手にせざるを得なくなるリスクと背中合わせで、コンプライアンスとはまったく別次元の話のようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アムステルダムApple Store人質立てこもり犯、約260億円相当の暗号資産を身代金として要求も警察突入時のケガで死亡

アムステルダムApple Store人質立てこもり犯、約260億円相当の暗号資産を身代金として要求も警察突入時のケガで死亡

LAURENS BOSCH via Getty Images

2月22日、オランダ・アムステルダムのApple Storeで発生した人質立てこもり事件は、銃を持った犯人が身代金として2億ユーロ(約260億円)相当の暗号資産を要求していました。しかしその後人質は逃げ出し、警察のロボットが飲料水を届けるよう装って近づいた際、油断した犯人に対して警察がパトカーで突入、跳ねられた犯人は逮捕翌日に死亡しました。

アムステルダムの警察署長フランク・パウ氏によると、犯人から逃げ出した人質の行動が膠着していた事件の突破口になったとのこと。パウ氏は「彼のとっさの判断がなければ、長く面倒な夜になっていたかもしれない」と人質を称賛しています。

ランサムウェアが企業や公的機関のPCネットワークを侵害した際にシステムに耐する身代金として暗号資産を要求するのはよくあることですが、生身の犯罪者が生身の人質を取った際に現金ではなく暗号資産を要求する事件もたまに発生しています。

たとえば2017年にウクライナで発生した英暗号資産取引所のCEO誘拐事件では、100万ドル(約1億1500万円)相当のBitcoinと引き換えに人質は解放されたものの、犯行グループはそのまま逃げおおせています。

いくら巨額になっても持ち運びに困らない暗号資産は、現実世界の人質立てこもり・誘拐犯にとっても身代金として都合が良いものです。かつて映画やドラマなどでよく見かけた、札束をバッグに詰め込んで逃走するような泥棒は、いまや絶滅危惧種なのかもしれません。

(Source:ReutersEngadget日本版より転載)

EUのデジタル政策責任者、オランダの反トラスト命令を無視するAppleに苦言

欧州連合(EU)のデジタル政策責任者Margrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)氏は、Apple(アップル)が、出会い系アプリがアプリ内コンテンツを販売する際にサードパーティの決済技術を利用することを認めるよう求めたオランダの反トラスト命令の遵守を回避するために、意図的に罰金を支払うことを選択していると指摘し、同社を非難した。

Appleは現地時間2月21日、オランダで5回目の罰金500万ユーロ(約6億5000万円)を支払った。この問題に関して同社がオランダの競争当局からこれまでに科された罰金総額は2500万ユーロ(約32億円)に達したが、依然として命令は遵守されていない。

米国で2月22日に行われた講演で、EUの競争部門を率いるヴェスタガー氏は、デジタル政策の重要な柱である今後導入されるデジタル市場法(DMA)に言及した。この法律は、最も強力で中間的な技術プラットフォーム(別名「ゲートキーパー」)に事前ルールを適用する。同氏はまた、支配的プラットフォームによる不正行為と積極的に戦い、デジタル市場の公正性を回復するために、EU議員が課す予定の「すべきこととしてはならないこと」のリストを効果的に執行することが喫緊の課題であることも示唆した。

「一部のゲートキーパーは、時間稼ぎをしたり、規則を回避しようという誘惑に駆られるかもしれません」と同氏は警告した。「オランダにおけるAppleのこのところの行為は、その一例と言えるかもしれません。私たちの理解では、Appleは、サードパーティが同社のアプリストアにアクセスするための条件に関するオランダ競争当局の決定に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを基本的に望んでいるようです。そしてそれは、DMAに含まれる義務の1つにもなります」。

ヴェスタガー氏の発言について、TechCrunchはAppleに問い合わせている。

また、デジタル領域で市場規制が成功する可能性を最大限に高めるために、テック大企業に対して事前の競争ルールを適用するというEUのアプローチと足並みを揃えるか、少なくとも支持するよう米国の議員に訴える前に「コンプライアンスを確保するためには、欧州委員会が十分なリソースを有することを含め、効果的な法執行が鍵となります」とヴェスタガー氏は述べた。

「ゲートキーパーに関する私たちの取り組みが、他の地域にも同じように刺激を与えればと思っています」と同氏は語った。「例えば日本、英国、オーストラリアでは現在そうなっています。米国では、いくつかの法案が議会と上院で進行中ですが、それらは私たちの提案と多くの特徴を共有しています。これは、世界的なコンセンサスが得られていることを意味し、非常に心強いことです」。

往々にして法案は議会や上院を通過しない。しかし、EUは、米国の議員たちが団結してデジタル競争改革を実現させることを望んでいると明確にしている。

ヴェスタガー氏はまた、貿易・技術評議会や「これらの問題に対する共通のアプローチを見つけるために再構築された大西洋横断パートナーシップ」と同氏が呼ぶものについて言及し「私たちのデジタル法案の影響は、EU域内と同様に域外で起こることに左右されます」とも述べた。

「特に競争政策に関しては、新しいTechnology Competition Policy Dialogue(技術競争政策対話)を立ち上げましたが、これは私たちの長年の協力の伝統に基づくものです」とも指摘し、次のように付け加えた。「EUと米国は、最終的にまったく同じ法律を制定することはないかもしれないが、市民を保護し、市場を公正かつオープンに保つためのデジタル政策の策定に関しては、同じ基本的ビジョンを共有していることがますます明らかになってきています」。

つまりここではっきりとしているのは、DMAがデジタル市場の不均衡を是正する有効な手段になるとEUは確信していないということだ。そして、世界で最も強力なテック企業を規制するためには、米国を含むグローバルな対応が必要であり、実際にこれらの企業の多くは米国に本社を置いていているため、米国も含まれなければならない。

そのためヴェスタガー氏は、米国の聴衆を前に、DMAが「客観的かつ非差別的」であることを強調し、欧州が米国のテック企業のみを罰するような規則を考案して保護主義的であるという非難に対抗しようとしている。

「執行機関としての信頼性と自由で開かれた貿易へのコミットメントの両方が、関係する企業がどこの国に本社を置いているかに関係なく、平等に取り組むことを求めています」とヴェスタガーは訴えた。「ゲートキーパーは、欧州市場における規模やリーチに基づいて指定されることになります」。

欧州連合がテック企業に対してデータ保護規則を強力かつ統一的に執行することに失敗し続けていることも、ここで示唆されているようだ。米国はもちろん、包括的な連邦プライバシー法をまだ整備していない。

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、アムステルダムでの店舗人質事件で従業員と顧客の安全を確認

アムステルダムのAppleの店舗で発生した人質事件で、同社は「この恐ろしい経験の後、すべての従業員と顧客は安全である」と述べている。同社は、まだ調査が進行中であることを付け加えた。

「我々は彼らの例外的な仕事と継続的な調査のための地元の法執行機関に感謝したい。私たちのチームと顧客は、本日、迅速な行動を取り、信じられないほどの強さと決意を示しました。私たちは、このような困難な状況下で、彼らがお互いに示したサポートとケアにとても感謝しています」とAppleの広報担当者は声明で述べている。

ロイターの報道によると、男が少なくとも1人を数時間にわたって人質にしていた旗艦店内の人質事件を警察が解決した数時間後に声明は出されている。地元アムステルダム警察のツイートによれば、膠着状態の際、住民は屋内にとどまり、人気エリアから離れるよう促されたという。

AP通信によると、数時間後、銃を持った犯人が店内から逃亡し、警察がクルマなどを使い阻止したとのこと。

警察はオランダ語のツイートで「人質犯がApple Storeから出ていることを確認できた。その男は路上に横たわっており、ロボットが爆発物がないかを確認している。武装した警察官が遠くから彼を制圧している。人質は無事だ」と述べている。

警察は、銃撃犯の潜在的な動機について公にコメントしていない。AP通信によると、地元放送局AT5は、人質を取った犯人は武装強盗をしようとしていたのではないかとの見方を示している。

世界中に500以上の店舗あるApple Storeが犯罪の現場になるのは今回は初めてではない。2021年夏には、アトランタでの10代の若者の2人が、店の警備員を銃撃した疑いで逮捕された。その数カ月後には、マンハッタンのApple Storeの警備員が、入店時のマスク着用を客に伝えた後に刺されるという事件も起きている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルに5回目の罰金、出会い系アプリの決済めぐりオランダ独禁当局との対立続く

オランダの競争当局は、決済技術および同国の出会い系アプリに関する独占禁止命令に遵守しなかったとして、Apple(アップル)に科した罰金を再び引き上げた。

5回目の罰金として500万ユーロ(約6億4900万円)が科せられたことにより、Appleは2500万ユーロ(約32億3700万円)の支払い義務を負うことになり、命令に従っていないとみなされ続ければ、最大で5000万ユーロ(約64億7200万円)に達する可能性がある。このような状況の中、同社は、解決策を提示するどころか障壁を作り続けていると、いら立ちを隠せない様子の規制当局から非難された。

消費者市場庁(ACM)は、声明で次のように述べている。

過去1週間の間に、AppleからACMの要求を満たすような新たな提案は得られませんでした。そのため、Appleは5回目の罰金を支払う必要があります。つまり、すべての罰金の総額は現在2500万ユーロ(約32億3700万円)となります。

「当庁はAppleに対し、どのようにすればACMの要求事項を満たすことができるかを明確に説明しました。ですがこれまでのところ、Appleは真剣な提案をすることを拒否しています。特に、12月24日にACMの要求が裁判所で支持されたことを考えると、Appleの態度は遺憾です。Appleのいわゆる「ソリューション」は、独自の決済システムを利用したいと考えている出会い系アプリ業者にとって、あまりにも多くの障壁を設けています。

「Appleが支配的地位にある企業であることはすでに確立されました。それには、同社サービスの購入者、さらには社会全体に対する責任が伴います。Appleは、自社のサービスを利用すのに妥当な条件を設定しなければなりません。その文脈において、Appleは同社の支配的地位を濫用してはなりません。Appleの規約は購入者の利益を考慮したものでなければなりません。

規制当局の広報担当者は、先週の提案が「不合理」であると判断されて以来、Appleが新たな提案を行っていないことを確認した。

「Appleがこの命令に従うことを期待しています」と同担当者は付け加えた。「それができなければ、定期的な罰金支払いの対象となる、別の命令を下す機会となります」。

ACMからの最新の罰金に対するコメントをAppleに求めているが、同社の広報部門はここ数週間、罰金や告発の件数が増えていることから、これからの問題に備え静かにしているようだ。

Appleに収益の大部分を渡さずにデジタルコンテンツを販売したいと考えている一部のアプリからの苦情を取り締まろうとする、欧州の(小さな)一国の競争規制当局と、自らのエコシステムのコントロールを維持しようとする巨大プラットフォーム企業との間での争い。これは、EU(およびその他の区域)がデジタル巨人に対して、厳しい事前規制とそれに見合った罰則を採用(および施行)した場合にどうなるか、今後のはるかに大きな戦いを予見させるという点で有益だ。

例えば、導入が急がれているEUのデジタル市場法(DMA)案では「ゲートキーパー」と判断されたプラットフォームが、事前に設定された運用上の義務のリストに違反していた場合、全世界売上高の10%を上限とする罰金などの制裁措置が講じられる可能性がある。

そうなればAppleの場合は、2500万ユーロ(約32億3700万円)ではなく、2500億ユーロ(約32兆3700億円)に近い罰金が科せられることになる(クパチーノにとって、軽く見ることがより難しくなるのは確かだ)。

それでも、規制当局が、リソース豊富なテック巨人を自分たちの思うように踊らせようとするのは至難の業であることは明らかだ。

ACMの苦情に対するAppleの対応は、規制当局が不公平だと判断したからといって、儲かる収入源を簡単に放棄する気はないことを示しており、同社は代わりに事業を再構成して、ほぼ同じ手数料を取るための新しい方法を見つけることで、それに対抗しようとしている(Appleは、サードパーティの決済技術を利用するオランダの出会い系アプリに対して、App Storeの標準的な手数料30%に対して、売上の27%の手数料を請求すると述べている)。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

収益に影響を与えるような規制上の制限を回避することに大きなインセンティブを持っている、高速なイテレーションを武器とするテック巨人を取り仕切ることは、我々がこれまで見てきたように、果てしない遅延に負けてしまいがちなゲームだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Den Nakano)

テスラ、オランダのSuperchargerネットワークをすべてのEVに開放

Tesla(テスラ)は現地時間2月14日、同社製以外の車両の所有者がオランダのすべてのSupercharger(スーパーチャージャー)ステーションで電気自動車(EV)を充電できるようになったと発表した。

この措置は、2021年11月に10カ所のステーションで開始されたパイロットプログラムの拡大だ。CEOのElon Musk(イーロン・マスク) 氏はもともと、同年夏にSuperchargerネットワークを他のEVに開放することに関心を示していた。

他の自動車メーカーとは異なり、Teslaは広大な独自ネットワークを運用していて、これまでは他自動車メーカーのEVがSuperchargerの充電器を利用することはできなかった。Teslaが2012年に構築を開始したこのネットワークは、現在、全世界に3万カ所のSuperchargeステーションを有している。

Teslaのパイロットプログラムは、オランダとフランス、ノルウェー、ベルギーなど欧州の一部のステーションで、Tesla車両以外のEVのドライバーにTeslaのアプリを使って充電させるもので、同社はまだPlugShare(プラグシェア)など他のEVステーションプラットフォームと統合していない。

Teslaは、自社製車両にしか装着できない独自のプラグを使用しているため、試験ではCCS(コンバインド・チャージング・システム)対応車のみがアクセス可能だ。Superchargerには2本のケーブルがあり、Tesla製以外の車両はCCSコネクタを使用することができる。このコネクタはすべてのクルマに合わないかもしれず、その場合、ドライバーはカスタマーサポートセンターに問題を報告することになる。

同社によると「幅広い車種の充電をサポートするために発生する追加費用と、これらの車種に対応するためのサイトの調整」のため、Tesla製以外のEVはTesla施設での充電を享受するために、より多くの料金を請求される可能性がある。とはいえ、ドライバーが充電メンバーシップを購入すれば、1kWhあたりの充電価格は下がるかもしれない。

Teslaは「拡大する前にエクスペリエンスをレビューし、混雑を監視し、フィードバックを評価する」ために、一部の拠点から始めると述べた。将来設置される施設については、利用可能な容量がある場合にのみ、Tesla製以外の車両に開放される予定だ。

オランダには欧州で最も多くのEV充電ステーション(7万5000基)があり、Teslaがこのパイロットをさらにテストする上で競争的な環境となっている。ウェブサイトによると、Teslaはオランダにステーション33カ所を展開していて、18の新しいステーションが「近日オープン予定」だ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、オランダのデートアプリの決済に関する命令で再び罰金を食らう

デートアプリの支払い方法をめぐって、オランダでApple(アップル)の反トラスト法違反が続いている法案が、さらに500万ユーロ(約6億6000万円)増えて1500万ユーロ(約19億8000万円)になったことを同国の消費者保護・市場監督局(Authority for Consumers and Markets、ACM)が認めた。

このペナルティは消費者保護・市場監督局の命令に関わるもので、それによるとAppleは同国のデートアプリがデジタルコンテンツを販売した場合、その代金の支払いに関して、Appleに手数料をもたらすApple自身の決済インフラの使用を強制するのではなく、サードパーティの決算プロバイダーの使用を容認しなければならない。

iPhoneのメーカーであるAppleは2021年以来、オランダの命令に逆らい、控訴を続けてきた。しかし2022年1月、最初のコンプライアンスの締切とペナルティ執行の脅威が近づくにともない同社は、アプリがApple以外の決済技術に接続することに合意し、オランダのApp Store上にあるデートアプリに限り、2つの「オプション的資格」を導入するとした。それによりアプリは、命令が指示しているように別の決済処理の選択肢をユーザーに提供できる。

しかしAppleの1月のコンプライアンスの主張を、ACMはただちに無効として罰金を科した。どうやら規制当局は、Appleが命令のすべての要求に従うことをためらっている点を問題にしたようだ。

ACMの命令に対するAppleの抵抗に関する裁判所命令は、まだ一部しか公表されていないため、消費者保護・市場監督局は、現在、言えることに限界があると述べている。

一方、Appleは命令に逆らうことをPRに活かそうとしている。そして1月の声明では「複数の決済サービスを使えることによりユーザー体験が損なわれ、プライバシーとデータのセキュリティに新たな脅威が作り出される」と主張している。

自分たちのデートアプリにApple以外の決済技術を使いたいと思っている開発者にAppleが提供した情報も、できる限りその決定に二の足踏ませようとしている。つまりAppleの主張では「ユーザーはApp Storeの機能の一部を使えなくなり、そのような販売方法によって発生する返金や購入履歴やサブスクリプションの管理といったサポートの欠如により、ユーザー自身がそれらの責任を負うことになる」という。

の新たな打撃でAppleは、Apple以外の決済技術を使うデートアプリからの販売に関しては27%の手数料を課すと発表した。これはAppleが通常、アプリ内購入に課している30%とほぼ同額だ。

つまり、標準料金のわずかな割引と、カスタマーサービスの責任、および技術的な諸経費を追加するだけでは対象となるアプリの収益が増えるとは思えない。これは、Appleが、ローカル開発者がサードパーティの決済システムを使用することをできるだけ難しく、そのハードルを高くしようとしていることを示唆している。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

しかしこれは、Appleのアプローチが偽りのコンプライアンスを選択することであることを意味している。ACMの命令の字面ではなくその精神に反して、同社は外部決済を使うことを開発者にとってほとんど魅力のないものにしている。しかしながらACMの最新のペナルティは、Appleが規制当局が命令で強制していることの中核にさえ達していないことを示唆している。

懸案のコンプライアンス問題の詳細を尋ねたところ、競争当局は、Appleが完全な情報を提供していないと答えた。これはおそらく、Appleがコンプライアンスに従っているかどうかを正しく評価できないと感じていることを意味する。

「ACMは、Appleが定期的な違約金支払いを条件とする命令を遵守するために既に実施したとする変更について、Apple自身からまだ何らの情報も受け取っていません。当該命令に基づき、Appleはこれを行うことが要求されています。Appleは、そのような情報を適時に、また完全な形で提供していないため、Appleは引き続き同命令に定められた要件を遵守していないことになります。そのため、Appleは3回目の違約金を支払わなければならず、Appleが支払わなければならない総額は現在1500万ユーロに達しています」と広報担当者は述べている。

「Appleのウェブサイトに掲載されている情報だけでは、同社が定期的なペナルティ支払いを条件とする命令で定められた実質的な要件を遵守しているかどうかを評価することはできない。ACMは、Appleの行動と行為に失望しています。私たちは、Appleが最終的にACMの要求事項を遵守することを望んでいます。しかも、これらの要件は裁判所によって支持されています」と付け加えた。

Appleにコメントを求めたが、本稿を書いている時点では返事はない。

金儲け主義の巨大企業にとって、比較的小さな欧州の単一市場のアプリのサブセットなど大した問題ではないかもしれないが、同社のApp Store手数料モデルは現在、世界中の開発者からの苦情や規制の圧力にさらされている。

つまり、Appleは市場ごとに足を引っ張り、現地の開発者に複雑さと疑念をもたらし、一般的にこのプロセスを遅くて辛いものに空回りさせるよりも、App Storeの中核的な収益モデルを切り崩すような大規模で意味のある変更をすばやく行うことの方が、ビジネスにとってはるかに大きなリスクとなると考えているだ。

ACMによると、Appleのノン・コンプライアンスの罰金は毎週上昇し、最大の5000万ユーロ(約66億円)に達するまで上がり続ける。しかしそれは、時価総額2兆8170億ドル(約325兆円)の企業にとってポケットの小銭であるため、この問題を困難で不快なものにし続けても問題ない。

とはいえ、ヨーロッパの市場の一部は現在、競争法の改定に取り組み、テクノロジー大手からの途方もないチャレンジに対応しようとしている。たとえばEUのDigital Markets Actは、インターネットのいわゆるインターネットの「門番たち」のための先取り的ルールの提案だ。またドイツの、すでに法律として成立した規則は「すべての市場で重要な意義を持つ」プラットフォームに対する権力の迅速な介入について定めている。現在、その対象企業はGoogleだ

ドイツ連邦カルテル事務局はAppleのApp Storeの捜査に関してオープンな手続きをとっているが、こちらも同社のやり方が競争に関するローカルな限度を超えそうなときは、規制のギアをさらに上げるだろう。

英国でも、競争保護促進のためのリフォームが進んでいる。こちらも議会の判断で「大きな市場ステータス」を持つとされるテクノロジー大手に対する特別法を導入できる。

このように各国の議会は、気に入らないルールを単純に無視しようとするプラットフォームをターゲットとする権力を急速に強化している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

裁判所の命令により、マッチングアプリの開発者はオランダでApple(アップル)のアプリ内課金システムを使用する必要はなくなった。また、これらの課金決済はAppleによって処理されないため、Appleはデジタル購入の際に通常の30%の手数料を取ることはない。しかし、サードパーティの決済システムを利用する開発者は、依然として手数料を支払わなければならない。Appleは27%の手数料を請求する予定だ。

オランダの反トラスト法問題を把握していない人のために説明すると、オランダ消費者市場庁はもともと、Appleが非常に特殊なケース、つまりマッチングアプリ開発者が販売する「superlike」や「boost」といったデジタルコンテンツでオランダの競争規則に違反していると指摘していた。

これは、Appleのアプリ内課金システムにとって、別の新たな脅威となる。韓国では、デジタル決済に関する新法に基づき、Appleはサードパーティーの決済システムを認めることに同意した。また、米国と欧州では、いくつかの訴訟が進行中だ。

オランダに関しては、Appleは外部決済を認めることはユーザーの利益にならないと主張し、反トラスト法に基づく決定について上訴している。

「これらの命令がユーザーの最善の利益になるとは思えません。当社はACM(消費者市場庁)の決定を受け、高等裁判所に上訴しました。これらの変更がユーザーの体験を損ない、プライバシーとデータセキュリティに新たな脅威をもたらすことを懸念しています。一方、当社は本日開始する、義務付けられた変更を行う義務があり、近日中にさらなる情報を提供する予定です」と同社は1月に述べた。

オランダの競争当局は、Appleが裁判所命令に従う最初の期限を過ぎていることからすでに500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科しており、同社に選択の余地はあまりない。

Appleは現地時間2月4日、マッチングアプリの開発者がオランダで代替決済システムを利用する方法を説明するドキュメントページを更新した。これはかなり技術的なものに関する文書で、開発者がどのように代替支払いオプションを提供できるかを説明している。

しかし、Appleがアプリ開発者に手数料を請求する予定であることも書かれている。基本的に、Appleが取引を扱わないため、開発者はApp Storeの手数料を3%カットされる。しかし同社は、提供するさまざまなサービスに対して27%の手数料を請求することは、まだ正当だと考えている。

ACMの命令に従い、サードパーティのアプリ内決済プロバイダをリンクアウト、または使用する権利を付与されたマッチングアプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払うことになります。Appleは、付加価値税控除後のユーザが支払う価格に対して27%の手数料を請求します。これは、決済処理および関連する活動に関連する価値を除いた率です。開発者は、サードパーティの決済プロバイダーによって処理された売上について、オランダの付加価値税(VAT)など、適用される税金の徴収と送金に責任を負います。

アプリ開発者は毎月、App Storeでホストされているアプリに関連するデジタル売上を報告する必要がある。その後、Appleは27%の手数料の請求書を送付する。

つまり、開発者はAppleの決済システムを回避することで、追加でかなりの収益を得ることはない。しかし、それだけではない。サードパーティの決済システムには技術的な費用もいくらか発生する。

マッチングアプリではよくあることだが、複数の国にユーザーを持つアプリ開発者の場合、同じアプリのバイナリを提出することはできない。開発チームは、オランダ語のアプリとオランダ語ではないアプリの2種類のバイナリをまとめて提出しなければならない。

Appleは、サードパーティの決済システムを使用することを可能な限り難しく、高価にしたいと考えている。ほとんどの開発者は、Appleのアプリ内課金APIを使い続ける可能性がある。

「Appleのアプリ内課金システムを使い続けたいマッチングアプリの開発者は、そうすることができ、追加で何かを行う必要ありません」とAppleは書いている。

しかし、それは同社がただ時間を稼いでいるように感じられる。App Storeは依然として、さまざまな管轄区域で独占禁止法の厳しい監視下に置かれている。Appleは、最初の裁判所命令や競争促進的な改革を回避する方法を見つけるだろう。しかし、規制当局が本当にAppleのアプリ開発者向け手数料を下げたいのであれば、もっと賢くなるはずだ。

 画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

オランダのEdTechのStudytubeがトレーニングマーケットプレイスSpringestを買収、シリーズBで約34.5億円調達

オランダのオンライン学習プラットフォームStudytube(スタディチューブ)は、ヨーロッパの研修予約マーケットプレイスSpringest(スプリングエスト)を買収した。同時に、Energy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ、EIP)と既存投資家のVerdane Capital(バーデン・キャピタル)が主導する3000万ドル(約34億4900万円)のシリーズB投資ラウンドを終了した。買収の条件は明らかにされていない。

Studytubeは、SaaS型マーケットプレイスを通じて、中堅・大企業にオンライン学習・開発プラットフォームを提供し、サードパーティプロバイダーからコースを提供している。

Springestを加えることで、StudytubeはT-Mobile(Tモバイル)、Vattenfall(バッテンフォール)、Aegon(エイゴン)、NS、Eneco(エネコ)、STORK(ストーク)など30以上の顧客を獲得し、さまざまな業界の300以上の中堅・大企業を抱えることになるという。また、ドイツ、ベルギー、北欧、英国にも進出する。Studytubeは現在アムステルダム、ベルリン、ハリコフの各オフィスで働いている180人以上の従業員を抱えており、まもなく北欧にオフィスを開設する予定だ。

今回の投資ラウンドは、欧州での人員増強とさらなる戦略的買収のために実施される予定だ。

StudytubeのCEOであるHomam Karimi(ホーマン・カリミ)氏は「Springestの買収により、当社のポートフォリオは瞬く間に8000以上の学習プロバイダーに拡大し、25万以上のオンラインおよびオフラインの学習製品を提供するようになりました。2021年には、合計5000万ユーロ(約65億8600万円)相当の学習製品が、当社のマーケットプレイスを通じて調達されました」。と述べている

SpringestのCEOであるRuben Timmermans(ルーベン・ティマーマンス)氏は「Springestは、企業とその従業員に、最も包括的なヨーロッパのトレーニングデータベースを提供します。我々のデータベースとStudytubeのオンライン学習・開発プラットフォームを組み合わせることで、Springestを利用する組織は、コースの検索、予約だけでなく、組織の学習・開発を1カ所で簡単に整理、管理、提供することができます」。と語る。

EIPのヨーロッパマネージングパートナーであるNazo Moosa(ナゾ・ムーサ)氏は「ヨーロッパのEdtech市場は、シングルポイントソフトウェアソリューションで混雑しています。Studytubeは、学習管理システム、学習体験プラットフォーム、統合オーサリングツール、学習マーケットプレイスからなる、完全に統合された学習プラットフォームを提供した初めての企業です。このため、Studytubeは他の成功したシングルポイントソフトウェアソリューションを統合するのには最適な企業となっています。優れた製品への絶え間ない注力とともに、StudytubeはヨーロッパのEdtech分野における勝者の1人になると信じています」。と語っている。

Studytubeは、Docebo(ドシーボ)、LearnUpon(ラーンアップオン)、Cornerstone(コーナーストーン)、Go1(ゴーワン)と競合している。

カリミ氏は「Studytubeの学習管理システムは、詳細なレポート、資格管理、複雑なビジネスプロセスの簡単な自動化など、完全に包括的であるため、競争力があるのです。このため、ヘルスケアのようなコンプライアンス重視の分野にも対応できます」と私に教えてくれた。

「直感的な学習体験と同時に、スマートレコメンデーションとソーシャルラーニングを活用しています。他の多くのLMS(学習管理システム)は、ユーザーエクスペリエンスのこの側面を忘れていることが多く、彼らはインスピレーションを与えるためではなく、学習を管理するためだけに作られています」と述べている。

画像クレジット:Studytube team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

オランダの競争当局は、同国の出会い系アプリがサードパーティの決済技術を利用できるようにするよう求めた命令に従わなかったとして、Apple(アップル)に500万ユーロ(約6億4000万円)の罰金を科した。

来週までに当局が求める要件を満たさなければ、同社はさらに500万ユーロの罰金が科される可能性があり、その後も毎週、数カ月にわたって、この命令に関連して最大5000万ユーロ(約64億円)の罰金が課される可能性がある。

この罰金は、オランダの監視機関である消費者・市場庁(ACM)が2021年に出した命令に関連するものだ。当局はAppleが独占禁止法に違反していると判断し、出会い系アプリプロバイダーに押し付けている条件を見直すよう命じていた。

独占禁止法上の問題となっているのは、デジタルコンテンツの販売にApple独自のアプリ内決済インフラ(別名IAP API)を使用することを義務付けるApp Storeの規約で、AppleはこのAPIを通じて手数料を徴収している。

Appleの規約では、出会い系アプリが代替決済システムを利用することも禁止している。

当局は、出会い系アプリがアプリ内で他の支払い方法に言及することをAppleが禁止していることも問題視した。

ACMは1月24日、Appleが命令に従っておらず、出会い系アプリに関する規則を命令に沿うよう修正しなければならないと発表した。

「出会い系アプリのプロバイダーがApp StoreでApple以外の決済システムも利用できるようにしなければならない。加えて、出会い系アプリのプロバイダーは、アプリ外の決済システムを参照できなければならない」と発表にはある。

現在も続くAppleの違反の全容は、明確に述べられていない。しかし、重要なのは、Appleが求められていることをまだ行っておらず、実際に出会い系アプリのプロバイダーが他の決済システムを利用できるようにしていないことのようだ。

オランダ当局はまた、出会い系アプリのプロバイダーがApple以外の決済インフラを利用することを難しくするためにAppleが構築したと示唆する障壁を批判している。

「Appleはいくつかの点で要件を満たしていない」とACMは書いている。最も重要なのは、Appleが条件を見直さなかったことであり、その結果、出会い系アプリのプロバイダーはいまだに他の決済システムを利用できないでいる。現時点では、出会い系アプリのプロバイダーは、単に「関心」を表明することしかできない。

「加えてAppleは、出会い系アプリのプロバイダーがサードパーティの決済システムを利用することに対して、いくつかの障壁を設けた。これもACMの要求と相反する。例えば、Appleはアプリプロバイダーに対して、アプリ外の決済システムを参照するか、代替の決済システムを参照するかの選択を迫っているようだ。これは許されない。プロバイダーはどちらの選択肢も選ぶことができなければならない」。

ACMは2021年に下した決定で、出会い系アプリに対する条件を修正する必要があるとAppleに伝えた。しかし、TechCrunchが報道したように、Appleは差止命令を求め、命令への対応を遅らせることに成功した(命令の一部はまだ封印されたままだ)。

また、同社はこの命令の適用を1月中旬まで遅らせることもできた。

Apple以外の決済インフラで処理されたデジタルコンテンツの販売について、同社はオランダの出会い系アプリから依然として手数料を徴収する意向があることが先週明らかになった。開発者向けサポートノートには「ACMの命令に従い、リンクアウトまたはサードパーティのアプリ内決済プロバイダーを使用する資格を与えられた出会い系アプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払う」と記されている。

本稿執筆時点では、その主張はAppleの「StoreKit External Purchase Entitlement」(ACM命令に言及している)に関する投稿にまだ掲載されている。そして、封印されたままの命令の一部は手数料に関係している可能性がある。しかし、詳細を確認することはできていない。

Apple以外の決済システムを使用するアプリにも手数料を課すことができるというAppleの主張について、TechCrunchは先週ACMに問い合わせたが、当局の広報担当者は回答を却下した。「裁判所が支持し、公表を許可した命令の部分しか言及できない」とのことだ。

一方、Appleのサポートサイトは、Apple以外の決済手段を導入するための明確なプロセスを提供する代わりに、関心のあるデベロッパーに「developer interest form」を紹介するにとどまっている。

説明文も「間もなく」詳細情報が提供される、という曖昧な表現にとどまっている。

オランダの出会い系アプリが代替決済手段を導入するための手続きの実装遅れによってAppleに500万ユーロの罰金が発生した(そして増えている)。

もちろん、数百万ドル(数億円)の罰金、あるいは5000万ユーロ(約64億6000万円)の罰金でも、Appleは騒ぎはしないだろう。

しかしいま、App Storeの規約に対する複数の競争法上の苦情や調査はAppleにとってはるかに大きな懸念となっている。これらはアプリ内課金で徴収する手数料を攻撃していて、EU英国アジア米国ではデベロッパー向けの契約条件について当局が調査し、命令が出されているところもある。

短期的には、そして(または)AppleがApp Storeの競争に関する苦情をなくすような実のあるグローバルな競争改革の提案をしない場合、各市場 / 地域の規制当局がAppleの規約の評価に注意を向けるため、iOSアプリ開発者のための規制のパッチワークが迫っている。

差し当たり、iOSアプリの競争と価格設定に関する消費者と開発者の勝利は、しぶしぶもたらされる可能性が高く、苦労して勝ち取るもののようだ。

しかし、Appleの契約条件の事前規制は現在多くの市場で検討されており、その明確な目的は、行動修正を加速させることにある。つまり、故意に遅らせるという戦略は、将来的にもっと高くつくことになりそうだ。

ACMの罰金についてAppleにコメントを求めている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

持続可能性の高い携帯電話「Fairphone」、6年前の機種でAndroid 10へのアップデートを実現

オランダのソーシャル企業であるFairphone(フェアフォン)は、ユーザーがハードウェアをより長く使えるように、自分でパーツを交換して修理可能な設計にするなど、家電製品を(より)持続可能で倫理的なものにすることを目指している。同社は今回、6年前に発売された「Fairphone 2」で、Android 10へのアップデートを実施すると発表した。

2015年に発売されたFairphone 2は、当時Android 5が搭載されていた。このモジュール式携帯電話を今でも使っている人は、2022年初頭にAndroid 10(2019年リリース)へとアップグレードできるようになるという。これに先駆け、Fairphoneは米国時間11月23日、このアップグレードのベータテストを開始した。

Fairphoneは、2018年にFairphone 2の製造を終了(サポートは継続)した後、2019年に「Fairphone 3」、2020年に「Fairphone 3+」(3にモジュール式アップグレードを施して3+にすることも可能)をリリース。そして2021年の秋口には、同社初の5G端末である「Fairphone 4」を発売した。同社では、このFairphone 4のサポートを、少なくとも2025年まで続けるとしている。

Fairphone 2のAndroid 10へのアップデートが2022年に行われることを考えると、Fairphone 4のユーザーがソフトウェアのサポートを受けられる期間が2025年までというのは、控えめな見積もりだと思われる。

Fairphoneによると、このAndroid 10へのアップグレードプロジェクトでは、ユーザーコミュニティと協力し、さらにインドのソフトウェア開発者であるBharath Ravi Prakash(バラス・ラビ・プラカシュ)氏がボランティアでオープンソース開発を行ったとのこと。その結果、アップグレードのプロセスを能率化でき、所要時間を短縮することができたとしている。

これによって、前回のFairphone 2のOSアップデート(Android 9へのアップグレード)には18カ月かかったところ、今回は10カ月に短縮された。

その一方で、Google(グーグル)はすでにAndroid 11を2020年に、Android 12を2021年10月に配信している。Fairphone 2のアップグレードが、最新OSのリリースからどれほど遅れているかがわかるだろう。

「当社はAndroid 9のアップグレードから多くのことを学びました。複雑であることに変わりはないものの、Android 10はAndroid 9よりも予測可能でした」と、Fairphoneはプレスリリースに記している。また、同社のソフトウェア寿命&IT部門の責任者であるAgnes Crepet,(アグネス・クレペット)氏の言葉を引用して、次のように書いている。「当社のソフトウェアに対する独自のアプローチは、ユーザーのみなさまにできるだけ長く端末を使っていただくことを可能にします。今回は、Fairphone 2のコミュニティにソフトウェアのアップグレードを提供できることをうれしく思います。このAndroid 10へのアップグレードにより、発売から少なくとも5年間のサポートを提供するという目標を達成するだけでなく、それを上回る7年間のサポートを提供することになります。私たちは常に自分自身と業界の基準を引き上げ、ソフトウェアでさらなる持続可能性に取り組むことが可能であると示していきます」。

Fairphoneの7年というサポート期間は、Apple(アップル)によるiPhoneのソフトウェアサポート期間に匹敵する。しかし、当然ながら、平均的なAndroidベースの携帯電話で期待できるソフトウェアのサポート期間はかなり短く、標準的なAndroidスマートフォンでは、3年程度しかサポートを受けられない。だからこそ、Fairphoneのそれは大きな功績と言えるのだ。

Fairphoneは、ソフトウェア面の寿命という点ではようやくアップルに追いついたところかもしれない。だが、別の点ではすでにクパチーノよりずっと先を行っている。それは、モジュール構造による修理可能性と、消費者に直接スペアパーツを提供することによるハードウェアの持続可能性だ。

米国時間2021年11月17日、アップルは2022年から「Self Service Repair(セルフサービスリペア)」プログラムを開始すると発表した。これは、iPhoneやMacのユーザーにスペアパーツや修理ツールを提供し、自宅で基本的な修理をしてもらうというものだ。

完全なモジュール化を採用するというわけではないものの、これは歴史的に、密閉されて、ばかげているほど薄く、文字どおり糊づけされた箱を好んできたアップルにとって、より持続可能な方向へ踏み出す小さな一歩と言えるだろう。そしてそれは、Fairphoneが長い時間をかけて開拓してきた道である。

画像クレジット:Matt Burns/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが初めてスーパーチャージャーネットワークを他のEVに開放

Tesla(テスラ)は、オランダで10カ所のSupercharger(スーパーチャージャー)をTesla車以外の電気自動車(EV)に初めて開放するパイロットプログラムを展開中だ。

Tesla以外のEVユーザーがスーパーチャージャーを利用するには、まずTeslaのアプリをダウンロードしてアカウントを作成する必要がある。Teslaのオランダのウェブサイトによると、そこから「Charge Your Non-Tesla」を選択し、場所を検索して支払い方法を追加すれば充電することができる。

Tesla以外のEVを運転するドライバーは、完全シームレスな充電体験ができるわけではない。Teslaドライバーはプラグを差し込んだり外したりするだけでよいが、Tesla以外のドライバーは、充電の開始と停止をアプリで指示する必要がある。また、Teslaドライバーは電気料金が変わらない一方で、Tesla以外のドライバーには「多数の異なる車への充電に対応し、他ブランドの車に適するようにするための追加コスト」が発生するという。

このパイロットプログラムに参加できるのは、CCS規格接続のEVのみだ。米国では、Teslaのスーパーチャージャーは独自のコネクタを使用しているが、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は7月の第2四半期決算説明会で、北米の充電拠点でアダプターを販売・提供し、これにより米国でネットワークがオープンになる可能性を示唆していた。

今回の試験運用で「経験を積み、ローダーでの流れを監視し、ユーザーからのフィードバックを収集する」とTeslaはウェブサイトで述べた。同社は、ドライバーに10カ所の拠点を通常通り利用するよう呼びかけているが、これは同社のメーンユーザーがどのような影響を受けるか、適切なデータを得られるようにするためだと思われる。また、Tesla以外の車がテスラ車よりも遅く充電される場合、充電時間が遅くなることの影響も今回の試験では測定するようだ。

マスク氏は以前から、同社が「Non-Tesla’s Supercharger Pilot」と呼んでいるこのようなプログラムをいずれ導入する可能性を示唆していた。7月には、年内にTesla以外のユーザーにもネットワークを開放することを認めており、今回のパイロットはまだ始まったばかりのようだ。同社はウェブサイトで「近い将来」プログラムに参加する国を追加する、と述べている。

Teslaのスーパーチャージャーネットワークは2万5000台以上の急速充電器を有し、自動車メーカーが所有・運営するネットワークとしては世界最大だ。

「より多くのドライバーにEVへの乗り換えを促すために、スーパーチャージャーネットワークをTesla以外のEVにも開放することを常に目指してきました」とTeslaは話す。

同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリーノ)氏は7月の決算説明会で、Tesla以外のEVにスーパーチャージャーネットワークを開放することで、全体的に電気代が安くなるかもしれない、と説明した。

「ネットワークの利用率を高めることでコストが削減され、顧客のために充電料金を下げることができます。そして、ネットワークの収益性が高まり、ネットワークをより早く拡大することができます」と述べた。「何としてでも、ネットワークのキャパシティを引き続き積極的に拡大し、充電速度を向上させ、イーロンが述べたようにダイナミック・プライシング(変動料金制)を用いて充電施設の混雑を防ぐための旅行計画ツールを改善していきます」。

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

MITの研究者による自動運転の水上タクシーが、アムステルダムの運河で初航行

確かに、自動運転の水上タクシーが実用化されている都市は多くないが、アムステルダムはそのうちの1つになるかもしれない。先に、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)とSenseable City Laboratory(センサブル・シティ・ラボラトリー)の研究者たちは、自律的に航行する完全自動運転型のロボットボートを初めて進水させた。彼らはこのボートを「Roboats(ロボート)」と呼び、現地時間時間10月28日、運河で初航海を行った。

このボートは5人が十分に乗れるほどの大きさで、開発チームは廃棄物の回収や商品の配送などの、人間が操縦するボートで行っている作業にも使えると考えている。映画「Blade Runner(ブレードランナー)」から出てきたようなこの船は、バッテリーで駆動し、ドックに収まっている時にはワイヤレスで充電できる。チームの主張によれば、10時間の運行に十分な電力を搭載しているという。

自律的に進路を決定し、物体への衝突を避けるために、ロボートはLiDARと360度の視界を可能にする多数のカメラを使用している。ナビゲーションは、一般的な自動車のカーナビと同じように、GPSを使って現在地から目的地までの安全なルートを把握する。

アムステルダムの運河を順調に航行中のロボート(画像クレジット:Roboat)

「認識機能、ナビゲーション、制御システムの精度と信頼性が向上し、ラッチングも可能な近接接近モードなど新機能の導入や、 自動船位保持システムが改善されたことにより、今やこのボートは現実世界の水域を航行できるようになりました」と、MIT教授でCSAIL所長のDaniela Rus(ダニエラ・ルス)氏は語る。「ロボートの制御システムは、ボートに乗っている人の数に適応します」。

ロボートの設計で賢明な点の1つは、ユニバーサルプラットフォームを採用していることだ。これはバッテリーや推進システムの収容と併せて多目的に使用できる船体で、トップデッキを交換することによって、さまざまな用途に合わせて活用できる構造となっている。

「ロボートは24時間365日、船長がいなくても業務を遂行できるため、都市にとって大きな価値があります。しかし、安全上の理由から、レベルAの自動運転に到達することが望ましいかどうかは疑問です」と、プロジェクトの主任研究員であるFábio Duarte(ファビオ・ドゥアルテ)氏は語る。「陸にいるオペレーターが、コントロールセンターから遠隔操作でロボートを監視するシステムになるでしょう。1人のオペレーターが50台以上のロボートを監視することで、円滑な運用が可能になります」。

Roboat.orgでは、この技術が作動している様子を見ることができる。

画像クレジット:Roboat

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オランダ裁判所がUberドライバーは従業員と判断、Uberは控訴の意向

Uber(ウーバー)がドライバーの雇用ステータスをめぐる欧州での裁判でまたも敗訴した。オランダのアムステルダム裁判所は、Uberドライバーは自営の請負業者ではなく従業員であるとの判断を示した。

アムステルダム裁判所はまた、ドライバーにはオランダの既存の労働協約が適用されるとの見解も示した。この労働協約はタクシードライバーに関係するもので、賃金要件を定め、傷病手当などの福利厚生をカバーしていて、この協約を満たすためにUberがコストの増大に直面することを意味している(一部のケースでは過去にさかのぼってドライバーに給与を払う責任が生じるかもしれない)。

裁判所はUberに費用の5万ユーロ(約650万円)の支払いも命じた。

配車サービス大手のUberは、アムステルダムで4000人のドライバーを同社プラットフォームに抱える。

乗客とタクシーサービス提供者を結びつけるテクノロジープラットフォームにすぎず、ドライバーは「書面上」自営業者だというUberの慣習的な主張をアムステルダム裁判所は却下した。

裁判官は、ドライバーによって提供されるサービスの性質と、ドライバーがどのように働き、稼ぐのかについてUberがアプリとアルゴリズムを通じてコントロールしている点を強調した。

欧州の最高裁判所は2017年に、Uberは輸送サービス事業者であり、地域の運送法を遵守しなければならない、と裁定した。なので、あなたが今回デジャブ感に陥るのはもっともだろう。

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オランダでの訴訟は2020年に全国労働組合センターFNVがおこし、6月末に審問が始まった。

9月13日の声明文で、FNVのバイスプレジデント、Zakaria Boufangacha(ザカリア・ボウファンガチャ)氏は次のように述べた。「判決には我々が何年もの間主張してきたことが書かれています。Uberは雇用主であり、ドライバーは従業員です。ですので、Uberはタクシー業界の労働協約に従わなければなりません。また、こうした種の事業運営は不法であり、ゆえに法律が強制されなければならないという国際司法裁判所へのメッセージでもあります」。

Uberには今回の判決に対するコメントを求めている。記事執筆時点で返事はなかったが、ロイターによると、Uberは控訴する意向であり「オランダでドライバーを雇用する計画はない」と述べた。

【更新】Uberは控訴することを認め、広報担当は「控訴によってアプリを使うドライバーへの影響はありません」としている。

Uberの欧州北部事業を担当するゼネラルマネジャーであるMaurits Schönfeld(マウリッツ・ショーンフェルド)氏は次のように述べた。「ドライバーの圧倒的多数が独立事業者であることを望んでいて、今回の判決に失望しています。ドライバーは、働くかどうか、いつ、どこで働くかを選ぶ自由を手放したくはありません。ドライバーの利益のために当社は控訴し、その間、引き続きオランダでのプラットフォーム労働を改善させます」。

Uberは英国で、何年にもわたる雇用分類をめぐる一連の裁判で敗訴してきた。そして2021年2月、最高裁判所で同社の敗訴が確定した。

判決を受け、英国ではドライバーを労働者として待遇するとUberは述べたが、論争は続いている(労働時間の定義などをめぐって)。5月に同社は、英国の労働組合を認めると初めて述べた。

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しかしながら欧州のあちこちでUberは雇用訴訟を続けていて、プラットフォーム労働の規制緩和を求めて欧州連合の議員らにロビー活動を行っている

プラットフォーム労働を改善する方法を見つけたい、とEUは述べている。ただ、汎EU「改革」がどのようなものになるかはまだ判然としていない。

欧州委員会はプラットフォーム労働の代表者に質問してきた。

「ロビー活動に巨額を投じていること、EUレベルでさらに多くのリソースを投入していることは明白で、デジタル労働プラットフォームは明らかに懸念されるものです。Uberももちろん含まれますが、こうした企業はプラットフォーム労働に関する政策への影響を及ぼすためにロビー活動しているグループへの新たな基金の設置で協力しています」とアムステルダム大学でデータ権を研究しているJill Toh(ジル・トー)氏は判決後にTechCrunchに語った。

「Uberはカリフォルニア州でのProp 22キャンペーンで巧みに法律を修正し、欧州では他の企業とともに同じことをしようと企てています。プラットフォーム労働者規則に関係する2つの協議で委員会はテック企業とだけ話していて、労働組合や他のプラットフォーム労働の代表者と会合を持っていません」。

「こうしたことは非常に問題があり、ECの協議がプラットフォーム労働について方向を示す結果になれば特に懸念されるものです。全体としては、勝訴は労働者にとって重要ですが、欧州委員会に及ぼす企業パワーや影響力、こうした判決への公的執行の欠如の問題は残っています」とトー氏は付け加えた。

【更新】欧州委員会の広報担当はTechCrunchに対し、デジタル労働プラットフォームを通じて働いている人のための労働条件をどのように改善するかについての第2ステージの協議はまだ継続中(9月15日まで)だと述べた。

「協議の結果次第で委員会は2021年末までに提案を進める意向です」と広報担当は付け加えた。

「協議第2ステージの目的は、欧州でのデジタル労働プラットフォームの持続可能な成長をサポートしつつ、プラットフォームを通じて働いている人々がどのようにしてまともな労働条件を確保するか、ソーシャルパートナーの意見を集めることです。こうした意味で、ソーシャルパートナーは、雇用ステータス分類の促進や、労働と社会保護の権利へのアクセスといった分野で、EUレベルのイニシアチブとなる可能性のある内容について意見を求められます」。

広報担当者はまた、欧州委員会が加盟国での動きを注視しており、加盟国の分析作業を考慮している、とも付け加えた。画像クレジット:JOSH EDELSON/AFP / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

さらば履歴書、リモートワーク化が進む中、スキルテストで人材採用するサービスTestGorillaが人気

2020年のパンデミックに際して、各企業は体制を立て直すために奔走したが、その中で1つのことははっきりしていた。リモートワークへの移行が誰もが予想していたよりも早く始まったということだ。それにともない、企業が新しい人材を採用する方法も根本的に変わった。そこでの問題は、危機的状況の中で、マネージャーたちが手間をかけて履歴書を選別するのか、それとも履歴書よりもスキルを評価することが急いで求められることになるのかということだ。

あるスタートアップが、この状況を上手く利用する決意を行った。

オランダのHRテックスタートアップのTestGorilla(テストゴリラ)が、短いスキルベースのテストで人材を採用する方法を生み出した。この方法を使えば、見栄えのよい履歴書が生み出す無意識のバイアスを取り除くことでスキルのない者を目立たせてしまうことを防ぐことができ、一方スキルはあるものの十分な要件を満たさない者を採用することを防ぐこともできる。

同社によれば、その賭けは成功し、9カ月後にはNHS(英国国民保健サービス)、ソニー、PepsiCo(ペプシコ)、Bain & Company(ベイン&カンパニー)などをはじめとする1500社以上の顧客を獲得したという。

このたびTestGorillaは、SaaS専門のVCであるNotion Capitalが主導し、Partech、Jeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏のNext Play Ventures、Indeed(インディード)の共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォレスター)氏、Peakon(ピーコン)の共同創業者であるPhil Chambers(フィル・チェンバース)氏、Justworks(ジャストワーク)の共同創業者であるIsaac Oates(アイザック・オーツ)氏らが参加したシード資金調達ラウンドで、1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。

TechCrunchの知るところ、このラウンドでは熱い争奪戦が繰り広げられ、複数の個別オファーを受けた後、わずか2週間でクローズした。

連続企業家のWouter Durville(バウター・ダフィール)氏とBain & Companyの元パートナーであるOtto Verhage(オットー・ハファーハ)氏が立ち上げたTestGorillaは、リモートから、認知能力、ソフトスキル、特定の仕事に対するスキル、カルチャーフィット、モチベーション、言語能力などを評価する。履歴書によるスクリーニングを置き換えることで、同社は採用プロセスにおける無意識のバイアスを取り除く手助けをする。

TestGorillaの共同創業者であるバウター・ダフィール氏は、電話で私にこう語った「私たちがバイアスをなくせるのは、採用をデータに基づいて行っているからです。わたしたちがお勧めしているのは、ただ履歴書を眺めて、その中に書かれた有名ブランドの名前や、その人の顔写真や、その人とのつながりなどを見るのではなく、私たちのテストを使って、仕事の成功につながると思われる、認知能力や企業文化に合う性格といった、さまざまな項目をテストするということです。そして、すべてのデータに基づいて自動的にソートし、お客さまの目の前にすべての候補者をベストからワーストまで並べて表示し、誰をその先の採用プロセスへと進ませるかを決定していただくのです」。

Notion CapitalのジェネラルパートナーのJos White(ジョス・ホワイト)氏は次のようにいう「これはすばらしい投資です!ほとんどのVCが参加を希望した、競争率がとても高いラウンドでした。彼らは、より民主的で、よりグローバルで、究極的には仕事の成功を予測するために非常に適したプラットフォームを使って、文字通り採用プロセスを大変革しようとしています。企業は人材の激しい争奪戦を繰り広げていますが、手にしている武器は小型ナイフだけなのです。TestGorillaは、新しい人材プールを切り拓き、障壁を取り除き、候補者と企業がお互いを見つけられるようにします。当社はこのラウンドを主導していますが、エンジェル投資家たちは文字通りHRテック業界の有力者たちです。なぜなら、彼らはこの会社が採用の未来を示していて、企業が直面している多くの課題に対処していることを理解しているからです」。

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カテゴリー:HRテック
タグ:TestGorillaオランダ資金調達人材採用

画像クレジット:TestGorilla

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

大学生向けノート共有ネットワークを提供するStuDocuがユーザー数1500万人突破

オンラインで学ぶにしても、直接授業を受ける場合でも、教えられたことを記憶し、応用するための主要な手段として講義で優れたノートを取ることの重要性をすべての生徒が十分に認識しているだろう。アムステルダムを拠点とするスタートアップのStuDocuは、学生が作成した最良の授業ノートを集めて共有するためのプラットフォームで収益性の高い大型ビジネスを構築してきたが、このほど5000万ドル(約54億6000万円)の資金調達を発表した。

シリーズBはフランスのベンチャーキャピタルPartechによるもので、StuDocuがクリティカルマスを獲得しようとする中で行われた。同スタートアップによると、同社のユーザー数は現在、60カ国2000校の大学で1500万人に達しているという。このスケールで注目すべきなのは、規模の大きさだけでなく、同社はかつてはほとんど自己資金で運営を行っており、その間に達成されたという事実だ。PitchBookCrunchbaseの報告によるこれまでの調達額は150万ドル(約1億6400万円)程度となっているが、CEOのMarnix Broer(マルニックス・ブロアー)氏によると、Piton Capital、Peak Capital、Point Nine Capitalなどの既存投資家から1000万ドル(約10億9200万円)弱の資金を密かに調達してきたという。

2020年の新型コロナウイルス感染症の影響下の生活において、EdTech分野で注目されたのは、従来の物理的環境と比較しても遜色ない(あるいはそれ以上の)学習をリモート環境で可能にする技術だった。ストリーミング体験の改善、スクリーンを介した指導アプローチの向上、体験を管理するツールなどだ。StuDocuの事業はどちらの型にも適合するが、ある意味では、学習に関連するより基本的なアプローチ、すなわち授業中に座ってノートを取るということへの回帰でもある。

それが、4人の学生が協働してStuDocuとして最初に作り上げた環境だった。

StuDocuが拠点を置くオランダでは、学部での評価の多くが期末試験の成績に基づいており、ノートの価値はさらにいっそう大きくなっているかもしれない。

CEOのマルニックス・ブロアー氏は、友人のJacques Huppes(ジャック・ハプス)氏、Lucas van den Houten(ルーカス・ヴァン・デン・ホーテン)氏、Sander Kuijk(サンダー・クイーク)氏とともに、まだ学生だった2013年、インターネットとクラウドソーシングの力を活用する機会を見出した。大学で同じコースを学ぶ学生たちがオンラインでつながり、コースからのメモをアップロードして互いにやり取りすることで、スムーズに協力し合うことを可能にするものだ。

(ハプス氏は同社の積極的な職務からは離れてアドバイザーとして活動しており、他の2人は引き続き同社に在籍しているとブロアー氏は述べている)

初期の製品は「完全に無料」で、デルフトの大学だけでなく他の多くの学校でユーザーを集めるほどの人気があったと同氏は語る。その後、創業者たちは卒業を目前にして「ある程度の収益が必要だと判断」し、そのコンセプトを堅持しつつ、自分たちのツールをビジネスにすることに目を向けた。

数回のイテレーションを経て「フリーミアムモデルでできる限り自由を保とうと最終的に考えました」とブロアー氏。StuDocuの場合、ドキュメントの閲覧数、ダウンロード数、推薦度で集計したデータをもとに全ドキュメントの上位20%を構成し、それらをプレミアムとしてラベルづけする。「そうすることで、自分のドキュメントをアップロードする他に、プレミアムにアクセスするために少額の購読料を支払うという選択肢がユーザーに生まれる」。逆にいうと、サイト上のドキュメントの80%は無料のままだ。

StuDocuはまた、同社のプラットフォームにいくつかの技術を組み込んで、詐欺師や不正を企てる者への対策に役立てている。プレミアムコンテンツを判断するための指標となるユーザーはプレミアムユーザー自身に限られており、彼らはサイト上のプレミアムコンテンツがどのようなもので、何がそうでないかを知ることはなく、さらには、StuDocuのより本格的なユーザー、ヘビーユーザーである可能性が高い。

「最高品質のドキュメントを上位に保持し、残りは別に蓄積しますので、ユーザーはすばらしいノートだけを体験できるようになります」と同氏は説明する。「ただし、多少のアップロードのゴミがあっても損をしないことはわかっています。無料でアクセスできるようにするもので、そうなるべきではありません。結局のところ、これはコミュニティであり、質を高く保つことができると信じています」。さらに、宝くじやその他の特典を利用して、ドキュメントを見直すよう奨励している。

また、ユーザーが投稿しているものが、白紙のドキュメントだったり、関係のないランダムな文章だったりするものではなく、目の前にあるテーマに関する実際のメモであるかどうかを判断するために、資料をスキャンする手段も拡大している。さらにブロアー氏によると、先ごろ締結されたAlgoliaとの検索に関する業務提携により、大学やコース単位で検索して資料を探すのではなく、より詳細な文書検索が可能になるという。

これは多くのユーザー生成コンテンツサイトが抱えている問題、つまり圧倒的多数がクリエイターではなく消費者であるという課題を解決するのに役立つ魅力的なビジネスモデルだ。ブロアー氏は、現在ユーザーの約15%が有料サービスを利用しており、15%がコンテンツのアップロードによってアクセスし、70%が無料サービスを利用してアップロードはしていないと概況を語った。

StuDocuは、自分たちのために作ったツールから段階的にビジネスを構築することを通して「スクワットで働く」ことから、インターンと一緒に小規模で低コストのスペースを利用すること、そしてブロアー氏がいうところの「普通のオフィス」へと発展してきたという。

他にも多くのEdTech企業が、生徒たちが互いに学習を手助けできるプラットフォームを提供する可能性を見出している。Brainlyも欧州(具体的にはポーランド)の大手企業で、ノートではなく、学生が互いに助け合って宿題の質問に答えるという、Cheggと類似したコンセプトを確立した。オーストラリアのNexusNotesも、メモを集めるためのプラットフォームを構築している。Academiaはノートだけでなく研究論文も対象としている。Docsityはクラスノートと論文の両方に焦点を当てている。StudySmarterも欧州を拠点にしており、ノート機能に加えて、学習の進歩をかたち作るためにAIを活用している。

おそらく最も類似性が高く、StuDocuの最大の競合である米国企業Course Heroは、現在の評価額が約11億ドル(約1200億円)とされている(注目すべき数字だが、StuDocuは評価額を公表していない)。

「私たちは世界をリードする企業であると認識しています」とブロアー氏は語り、コースやノートのカタログ全体で30以上のローカル言語をサポートしていることを示した。

「数百万人にのぼる学生を支援し、膨大な数のドキュメントを保有していますが、同時に私たちは自らをハイパーローカル型マーケットプレイスと捉えています」と同氏は付け加えた。「同じ法学コースにいる300人が、お互いにコミュニケーションを取り、知識を共有できるようになりました」。

今回の資金調達は、ハイパーローカルコンセプトをより広範囲に拡大するだけでなく、来るべき支援がより大きな影響を与え得る機会を利用するという、興味深い試みになるだろう。

例えば英国では、他の年齢層に比べて、大学より下の年齢層の高校生(14歳以上)が多くなってきている。彼らの大多数は、2つのセットの試験に備えるために勉強している。GCSEは11年目(通常16、17歳)に、Aレベルは13年目(18、19歳)に受験する。どちらも極めて限定的な科目に基づいており、文字通り国全体が共同で学ぶという非常に特殊なカリキュラムに準拠している。つまり、個々の学校や教師が異なったアプローチをとったり、良い教え方をしたり、悪い教え方をしたりしても、最終的にはすべての生徒が指定科目で同じ試験を受けることになる。

これはStuDocuのような企業にとって興味深い機会である。大きなユーザーネットワークを構築することができ、その結果、貢献度の高い強力なノートの割合は少なくて済む(より多くのユーザーが同じ素材を必要とするため)。このモデルは他の地域でも採用されており、ブロアー氏によると、StuDocuはこの種の市場でテストを進め、徐々に拡大してきているという。

標準化されたテストが方程式の一部ではなかったとしても、学生は、エッセイの執筆などの他の種類のコースワークに使用するために、または単に学習を続けながら知識を保持するのに役立つように、より良いノートを必要とすることが考えられる。現在約2億人が大学教育を受けており、この前提において多様性を見出す機会は多いと言えるだろう。

また将来的には、多くの教授が学生に講義用のノートを提供することを考慮すると、大きな領域となるコース教材を構築するために大学とより緊密に協力する可能性もあるかもしれないが、ブロアー氏は、多くの場合教授はまだそうしたことを実行していないため、当面は学生とそのニーズに焦点を当てるとしている。

StuDocuの資金調達に投資家が参加しているのは、これまでに述べたすべての理由からだろう。

PartechのゼネラルパートナーであるBruno Crémel(ブルーノ・クレメル)氏は声明の中で「StuDocuはすでに世界中の何百万人もの学生を支援しているプラットフォームであり、教育を誰もが利用しやすいものにするというミッションのもと、この才能あるチームとパートナーになることを喜ばしく思います」と述べている。「StuDocuのチームに出会ったとき、私たちはそのデータ駆動型の文化と、学生たちがそのサービスをとても気に入っていることに非常に感銘を受けました。ブロアー氏とそのチームがStuDocuのグローバル展開を加速させ、学生たちが学習目標を達成するのを支援する革新的な方法をさらに開発してくれることを楽しみにしています」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:StuDocu資金調達アムステルダムオランダ大学生

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

IoT衛星ネットワークのスタートアップHiberが欧州イノベーション会議基金などから約33.8億円調達

欧州の衛星通信関連スタートアップであるHiber B.V.(ハイバーBV)は、IoT衛星ネットワークの拡大に向けて、EUおよび民間から2600万ユーロ(約33億8000万円)の資金を獲得した。この投資に参加したEuropean Innovation Council (EIC) Fund(欧州イノベーション会議基金)は、欧州委員会のイノベーション助成機関による投資ファンドで、2億7800万ユーロ(約361億円)の「イノベーション基金」を持つ。このEICに加え、オランダ政府が提供するイノベーション・クレジットと既存の株主が共同で資金を提供した。他にもFinch Capital(フィンチ・キャピタル)、Netherlands Enterprise Agency(オランダ企業局)、Hartenlust Groupなどの投資家が出資している。Hiberの衛星コンステレーションは、手が届きにくい場所にある機械やデバイスを追跡・監視する。

同時に、Hiberの共同創業者であるLaurens Groenendijk(ローレンス・グローネンダイク)氏は「他の投資活動」に注力するため、マネージング・ディレクターを退任することになり、Steven Kroonsberg(スティーブン・クルーンスベルク)氏がCFOとして参加、Roel Jansen(ロエル・ヤンセン)氏がCCOに就任したと、同社は声明で述べている。グルーネンダイク氏は、Treatwell(トリートウェル)の共同設立者で最高経営責任者であるとともに、連続投資家でもある。

Hiberの共同設立者であり、最高戦略責任者のCoen Janssen(コエン・ヤンセン)氏は、次のように述べている。「2600万ユーロの資金調達は、Hiberの成功を証明するすばらしいものであり、欧州の『 ニュースペース』分野にとって大きな後押しとなります。それは、世界中の僻地や発展途上地域のすべての人々がモノのインターネットを本当に簡単に利用できるようにするという、我々の目的を実現するための重要なステップです」。

特に、Hiberのネットワークは人里離れた地域にも届くため、食糧生産の損失や油田からの漏出を減らせる可能性がある。

欧州イノベーション会議基金の委員を務めるNicklas Bergman(ニクラス・バーグマン)氏は、次のようにコメントしている。「衛星IoTの分野で欧州チャンピオンになることを目指しているこの非常に革新的な企業を、EICファンドが支援すると発表できることをうれしく思います。このエクイティ・ファイナンスは、HiberがIoTソリューションのための安価でユビキタスなコネクティビティを実現するのに役立つでしょう」。

欧州宇宙機関の管理・制御部門で責任者を務めるElia Montanari(エリア・モンタナリ)氏は次のようにコメントしている。「今回の大きな成功は、宇宙バリューチェーンを推進するEUの主要機関(EIC、EIB、ESA)の提携により、欧州レベルで支えられています」。

カテゴリー:IoT
タグ:Hiber資金調達衛星コンステレーションオランダEU

画像クレジット:Hiber

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ビル・ゲイツ氏が勧める合成肉の開発に取り組むオランダのMeatableが約51億円調達

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏の近著「How to Avoid a Climate Disaster」について語った最近のインタビューの中で、Microsoft(マイクロソフト)とBreakthrough Energyの創業者で世界長者番付第3位の同氏は、温室効果ガスの排出を抑制するために世界の最富裕国の市民は同氏がいうところの合成肉が完全に使われている食事に切り替えるべきだと啓発した。

ゲイツ氏の要望は、アムステルダムからテルアビブ、ロンドン、ロサンゼルス、バークレー、シカゴに至るまであちこちで設立されたスタートアップや上場企業の動きと合致する。

実際、人工肉マーケットで最も資金潤沢な企業の2社はオランダで創業された。そこでは、4700万ドル(約51億円)の新規資金調達を発表したばかりの新興企業MeatableMosa Meatに挑んでいる。

Meatableは2023年までに欧州当局から最初のプロダクトの承認を得て2025年までに商業販売することを目指している。

同社の今後の道のりは長い。というのも、ゲイツ氏はMIT Technology Reviewとのインタビューで「細胞レベルで取り組んでいるMemphis Meatsなどもありますが、それが経済的なのかはわかりません」と認めた。

経済性の他にも、消費者が人工肉に進んで切り替えるかどうかという問題もある。サンフランシスコ拠点のJust FoodsやテルアビブのSupermeat など一部の企業はすでにいくつかのレストランで培養細胞から作られたチキンパテやナゲットを販売している。

Meatableのテクノロジー責任者Daan Luining(ダン・ルイニング)氏によると、こうしたプロダクトは細胞テクノロジーの全潜在能力を生かしていない。「ナゲットとチキンバーガーが登場しましたが、当社は全筋肉組織に取り組んでいます」と同氏は述べた。

この分野へのかなりの新規参入、そしてそうした企業が調達した資金は、企業が大規模生産時のコストと放し飼い肉代替品の質とのバランスを取りながら綱渡りできれば、いくつかの勝ち抜いた企業のためにチャンスが広がっていることを指している。

「当社のミッションは地球の人々のためのタンパク質提供でグローバルリーダーになることです。豚肉や牛肉の定期的な摂取の削減は環境や土地管理に影響を及ぼします」とルイニング氏は話した。「当社が使っているテクノロジーでは、異なる種を扱うことになります。最初に当社は気候変動やプラネタリーヘルス(地球全体の健康)に最大の影響を及ぼす動物にフォーカスします」。

目下、Meatableにとって価格が問題だ。同社は現在、1ポンド(450グラム)あたり約1万ドル(約108万円)で肉を生産しているが、競合他社と違って全肉を作っていると同社は話した。そこには、肉を構成する脂肪や結合組織が含まれる。つまり肉だ。

従業員35人と新たに調達した資金で、同社は研究・開発から食料生産企業に移行しようとしている。欧州において最大の食品バイオテクノロジー企業の1社であるDSMのような戦略的投資家がサポートするだろう。Vertex Pharmaceuticalsの会長Jeffrey Leiden(ジェフリー・リーデン)博士や、Bill and Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の元エグゼクティブディレクターで、最高メディカル責任者を務めたIlluminaを去った後にJuno Therapeutics、GRAIL、Mindstrong Healthを創業したRick Klausner(リック・クラウスナー)博士といったエンジェル投資家もサポートするはずだ。

Meatableの直近のラウンドに参加した機関投資家にはGoogle Ventures創業者Bill Maris(ビル・マリス)氏の新ファンドSection 32、既存投資家のBlueYard CapitalAgronomicsHumboldtTaavet Hinrikus(デビッド・ヒンリクス)氏が含まれる。

Meatableの最初の商品はおそらく人工の豚肉製品になるだろうが、オランダのトップ大学の1つが立地するデルフトにある施設を拡張し、牛肉製品の登場もそれほど遅くならなさそうだ。

「(Meatableは)すばらしいチーム、そして地球が直面している世界の食料不安の問題をめぐる困難を解決することができる画期的なテクノロジーを持っています」とクラウスナー氏は述べた。「Meatableは持続可能な方法で効率的に生産された肉の主要な選択となるための正しい成分を持っています」。

カテゴリー:フードテック
タグ:Meatable資金調達培養肉オランダ

画像クレジット:Getty Images under a NICOLAS ASFOURI/AFP/Getty Images license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

アムステルダム裁判所がAirbnbレンタル全面禁止措置は「法的根拠なし」と覆す

旅行者に人気の都市、オランダ・アムステルダムの3つの中央地区で住宅所有者が不動産をバケーションレンタル用に貸し出すことを禁止した当局による措置は、裁判所が法的根拠がないと裁定して覆された。

アムステルダム当局はAirbnbのような観光客プラットフォームが住民の生活の質に及ぼす影響にかかる懸念に対応していた。

アムステルダム市ウェブサイトのアップデートでは、現地時間3月16日から不動産所有者はバケーションレンタルが2020年7月1日から完全に禁止されていた3つの地区でホリデーレンタル認可を申し込むことができるとある。

市当局は、裁判所の裁定を精査中であり「明らかになり次第なるべく早く」ページを更新する、と述べている。

アムステルダムの当局は2020年夏、協議プロセス後に住民からの幅広い支持を得て、ブルグワレン・アウデ・ゼイデ地区、ブルグワレン=ニーウェ・ゼイデ地区、グラハテンゴルデル=ザイト地区のバケーションレンタルを禁止する措置を取った。

観光客向けのレンタルの急成長が住民の生活の質に影響を及ぼしていると当局は述べた。

当局は以前、市内の他の地区でバケーションレンタルを管理するための認可システムも導入した。このシステムでは、レンタルの上限を年間30日、1つのレンタルにつき最大4人まで、と制限している。

そして認可には「宿泊客は迷惑を一切起こさない」という条件も付いている。

裁判所の裁定を受け、3つの地区にも認可システムが適用される。

アムステルダム市中央地区でのバケーションレンタル禁止に対し、Airbnbや他のプラットフォームを通じて不動産を貸し出していた住宅所有者の利害を代表する組織(Amsterdam Gastvrij)は訴訟を起こした。原告者たちは住宅法2014条にはホリデーレンタル禁止の法的根拠がないと主張した。

アムステルダム裁判所はこの訴えに同意し「認可システムは完全な禁止を含むことはできない」と判決で述べている

「認可の条件に合う人は誰でも、原則として認可を申し込むことができます。完全な禁止は不動産の権利とサービスの自由な移動の大きな侵害であり、かなり特別な事情でのみ正当化される手段とみなされます」と強調した。

Airbnbの広報担当は、禁止に対する訴訟に同社は関与していなかったが、結果を注視しているとTechCrunchに語った。

ただ、裁判所の裁定は市当局が「生活の質」の考慮を含められる認可システムへの新たな条件の追加を法改正で可能にする余地を残している。

裁判所はまた、生活の質を管理するために認可システムを活用する別の手段として、既存の法律の下に導入されている宿泊提供できる日数の基準をともなう割り当て制度の可能性を提案している。さらには、市当局に地区制で不動産に(観光ではなく)居住目的を強制できるかもしれない、とも提言した。Airbnbなどでの活動を制限するための政策ツールとしてアムステルダム当局がさらに検討できる選択肢があるということになる。

同時に裁判所の裁定は、住宅供給(そして住宅価格)と居住者の幅広い生活の質が、オーバーツーリズム(もちろん新型コロナウイルスパンデミックに関係する継続中の旅行制限で現在は問題となっていない)と対立しているようなエリアへのレンタルプラットフォームの影響を規制しようという試みおいて欧州の都市が直面している問題も明らかに示している。

近年、欧州の主要観光都市の多くが、バケーションレンタルプラットフォームをめぐる不満を公にしてきた。2019年には「登録制度、そしてプラットフォームに載せている不動産ごとのレンタルデータの提供で当局に協力するよう、プラットフォームに対する強力な法的義務」を求めて公開書簡を欧州委員会に出した。

「都市は公共の利益を守り、さまざまな方法で短期ホリデーレンタルの悪影響を排除しなければなりません。多くの迷惑、不安感、近所の『観光地化』は住民が欲するものではありません。ゆえに、当局は地域の状況に応じた独自の規制を導入する可能性を持っているべきです」とも書き、EUの議員に規制の再考を支持するよう促している。

その後欧州委員会は主要バケーションレンタルプラットフォームと限定的なデータ共有の取り決めを発表し、その際「バランスの取れた」P2Pレンタルの開発を促したいと述べた。

2020年オランダ政府はバケーションレンタルプラットフォームへのデータアクセスに関してさらに行動をとるよう欧州委員会に圧力をかけた。オランダ政府は、Digital Services Act (DSA、デジタルサービス法)として知られるデジタルサービスを包括する汎EU規則の予定されてい大幅なアップデートで対策を含むよう求めている。

現在、EUの共同立法過程にあるDSA案は不法な商品やサービスを取り締まるためのプロセスの標準化を広く対象としている。つまり、バケーションプラットフォームを、不法なバケーションレンタル(例えば不動産が必要な認可なしに宣伝されているなど)に関連するデータ共有のような分野に含ませることもできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Airbnbオランダ

画像クレジット:Aleksandar Nakic / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi