IoT衛星ネットワークのスタートアップHiberが欧州イノベーション会議基金などから約33.8億円調達

欧州の衛星通信関連スタートアップであるHiber B.V.(ハイバーBV)は、IoT衛星ネットワークの拡大に向けて、EUおよび民間から2600万ユーロ(約33億8000万円)の資金を獲得した。この投資に参加したEuropean Innovation Council (EIC) Fund(欧州イノベーション会議基金)は、欧州委員会のイノベーション助成機関による投資ファンドで、2億7800万ユーロ(約361億円)の「イノベーション基金」を持つ。このEICに加え、オランダ政府が提供するイノベーション・クレジットと既存の株主が共同で資金を提供した。他にもFinch Capital(フィンチ・キャピタル)、Netherlands Enterprise Agency(オランダ企業局)、Hartenlust Groupなどの投資家が出資している。Hiberの衛星コンステレーションは、手が届きにくい場所にある機械やデバイスを追跡・監視する。

同時に、Hiberの共同創業者であるLaurens Groenendijk(ローレンス・グローネンダイク)氏は「他の投資活動」に注力するため、マネージング・ディレクターを退任することになり、Steven Kroonsberg(スティーブン・クルーンスベルク)氏がCFOとして参加、Roel Jansen(ロエル・ヤンセン)氏がCCOに就任したと、同社は声明で述べている。グルーネンダイク氏は、Treatwell(トリートウェル)の共同設立者で最高経営責任者であるとともに、連続投資家でもある。

Hiberの共同設立者であり、最高戦略責任者のCoen Janssen(コエン・ヤンセン)氏は、次のように述べている。「2600万ユーロの資金調達は、Hiberの成功を証明するすばらしいものであり、欧州の『 ニュースペース』分野にとって大きな後押しとなります。それは、世界中の僻地や発展途上地域のすべての人々がモノのインターネットを本当に簡単に利用できるようにするという、我々の目的を実現するための重要なステップです」。

特に、Hiberのネットワークは人里離れた地域にも届くため、食糧生産の損失や油田からの漏出を減らせる可能性がある。

欧州イノベーション会議基金の委員を務めるNicklas Bergman(ニクラス・バーグマン)氏は、次のようにコメントしている。「衛星IoTの分野で欧州チャンピオンになることを目指しているこの非常に革新的な企業を、EICファンドが支援すると発表できることをうれしく思います。このエクイティ・ファイナンスは、HiberがIoTソリューションのための安価でユビキタスなコネクティビティを実現するのに役立つでしょう」。

欧州宇宙機関の管理・制御部門で責任者を務めるElia Montanari(エリア・モンタナリ)氏は次のようにコメントしている。「今回の大きな成功は、宇宙バリューチェーンを推進するEUの主要機関(EIC、EIB、ESA)の提携により、欧州レベルで支えられています」。

カテゴリー:IoT
タグ:Hiber資金調達衛星コンステレーションオランダEU

画像クレジット:Hiber

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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