パンデミックで浮き彫りになるリモートラーニングビジネスのチャンスと課題

バーチャル科学実験室を提供するエデュテック企業であるLabsterは、米国時間4月14日、カリフォルニア州のコミュニティカレッジネットワークと提携して、そのソフトウェアを210万人の学生が利用できるようにすることを発表した。

California Community Colleges は、国内で最大の高等教育システムであるといわれている。Labsterとの提携は生物学、化学、物理学、および一般科学に向けの130種類のバーチャルシミュレーションを115の学校に提供するというものだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が学校の閉鎖を余儀なくしているために、多くのエデュテック企業たちは、自社のソフトウェアを無料で提供したり、無料トライアル期間を延長したりすることで対応をしてきた。4月14日に発表されたLabsterの提携の中で、新しくて注目に値するのは、現在の情勢がビジネス上の取引にどのようにつながるかを示す、いくつかの最初の兆候を示している点だ。

コペンハーゲンを拠点とするLabsterは、バーチャルSTEM実験室を教育機関に販売している。Crunchbaseのデータによれば、Labsterはこれまでにベンチャーキャピタルから、知られている限り3470万ドル(約37億3000万円)を調達している。Labsterの顧客にはカリフォルニア州立大学、ハーバード大学、グウィネットテクニカルカレッジ、MIT、トリニティカレッジ、そしてスタンフォード大学などが名を連ねている。

実験装置は大変高価であり、予算の制約により各学校は最新のテクノロジーを導入するのに苦労している。従ってこれまでLabsterの提案してきた価値は、より安価な代替案であるということだった(学生がバーチャル実験室で試薬をこぼしても、掃除の手間が省けるが)。

だが、新型コロナウイルスによるパンデミックの拡大を制限するために、世界中の学校が閉鎖を余儀なくされている中で、その訴求ポイントは少々変化した。現在それは科学実験室に代わる唯一実行可能な手段として、自分自身を売り込んでいるのだ。

多くのエデュテック企業にとって、リモート学習の急増は大規模な実験となった。学校がその運営を完全にデジタル化するために奮闘する中で、エデュテック企業たちは、しばしば自社の製品とテクノロジーを無料で提供している。

例えば先週、セルフサービスの学習プラットフォームであるCodecademy、Duolingo、Quizlet、Skillshare、そしてBrainlyは、生徒と教師のためにLearn From Home Club(在宅学習クラブ)を立ち上げた。それに先立ち、Wizeは同社の試験コンテンツと宿題サービスを無料で利用できるようにしている。また、ZoomはK-12スクール(高校以下の学校)にビデオ会議ソフトウェアを無料で提供したが、その結果は功罪の入り交じるものとなった

Labster自身は、全国の学校に500万ドル(約5億3700万円)分のLabsterクレジットを無償で提供した。こうしたリストは枚挙にいとまがない。

Labsterの今回の新しい取引は、今ならエデュテック企業が大きな費用をかけることなく、新しい顧客を確保できることを示している。

LabsterのCEOで共同創業者であるMichael Bodekaer(マイケル・ボデカー)氏は、この取り引きの価格についての詳細は明かさなかった。彼はLabsterが各々の学校と協力して、それぞれが教師のトレーニングとウェブセミナーのサポートにどれだけ投資できるか、または投資したいかの理解に努めたことを明かした。彼はまた、Labsterがこの取り引きから利益を得ていることは認めている。

「私たちはパートナーをサポートするための準備をしっかり整えたいと思いますが、同時に営利組織としてのLabsterが自分たちに給与を支払えることも確実にしたいのです」とボデカー氏は語る。「しかし、繰り返しになりますが、私たちのコストをカバーできる程度までの大幅な割引を提供します」。

他の多くのエデュテック企業と同様に、Labsterにとっての長期戦略は今回のような短期的な措置が長期的な関係へと発展していくように、学校に彼らのプラットフォームを気に入ってもらうことだ。

「会社として維持できる限り、これらの割引を維持するつもりです」と彼は語る。「当初は8月まで割引を行うつもりでしたが、現在は年末まで延長する予定です。状況によっては、さらに延長する可能性があります」。

価格設定はさておき、Labsterそして実際のところリモートラーニングに焦点を合わせたいかなるエデュテック企業にとっても、本当の実現上の困難はデジタル格差(digital divide)だ。ビデオ会議用のコンピューターや、演習用のインターネット接続さえも利用できない学生もいるのだ。

新型コロナウイルスのパンデミックは、リモート学習に必要なテクノロジーへのアクセスが、アメリカ全土でどれだけ不足しているのかを浮き彫りにした。カリフォルニア州では、Googleは支援を必要としている学生たちに、無料のChromebookと10万箇所のWi-Fiアクセスポイントへの無料アクセス権を提供した。

ボデカー氏によれば、Labsterは現在、モバイルデバイス上でのソフトウェアの提供に取り組んでおり、またGoogleと協力して、自社の製品がChromebooksなどのローエンドコンピューターで動作することを確認している最中だ。

「私たちは、ハードウェアにとらわれず、学生がすでに持っているシステムやプラットフォームをサポートしたいと考えているのです」と彼は言う。「持っているハードウェアが障壁にならないようにしたいのです」。

今回の提携によって、210万人の学生がLabsterのテクノロジーにアクセスできるようにはなったものの、その集団の中でコンピューターにアクセスできない可能性がある学生の割合については直接把握されていない。エデュテックにとっての試練そしておそらくその成功は、ハードウェアとソフトウェアの、どちらにも偏らない真のハイブリッドに依存したものになるだろう。

画像クレジット:doyata / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:sako)

グーグルがPixelスマホとChromebook用の独自チップを準備中か

報道によると、Google(グーグル)はApple(アップル)の例に倣ってハードウェア分野を強化するために、将来のスマートフォンに搭載するカスタム設計チップを開発しているという。Axiosの記事によると、グーグルは自社製プロセッサを将来のPixelデバイスに搭載する準備を進めており、その中にはスマートフォンだけでなく、最終的にはChromebookも含まれている。

グーグルによる独自製品への注力は、成功と失敗が入り交じったものだったが、いくつかのPixelスマートフォンは、カメラソフトウェアや写真処理において高い評価を獲得している。しかし、同スマートフォンがこれまでは一般的なQualcomm(クアルコム)製プロセッサを採用してきたのに対し、アップルは長い間iPhone向けに独自のカスタムプロセッサ(Aシリーズ)を設計し続けてきた。AシリーズプロセッサはOSやアプリケーションに合わせてカスタマイズされパフォーマンスを発揮するいう意味で、アップルに優位性をもたらしている。

記事によると、グーグルの独自チップはコードネーム「Whitechapel」と呼ばれており、Samsung(サムスン)と共同開発され、同社の5ナノメートルプロセスが使用されている。内部には8コアのARMベースのプロセッサを内蔵するだけでなく、機械学習とGoogleアシスタントのための専用チップリソースが確保されている。

グーグルはすでにこのプロセッサの最初の動作可能なプロトタイプを受け取っているが、実際にPixelスマートフォンに搭載されるのは少なくとも1年後になるとされており、これはサードパーティ製プロセッサを搭載するPixelが、少なくとももう1世代登場する可能性が高いことを示唆している。レポートによると、チップは最終的にChromebookにも搭載されるが、それにはさらに時間がかかるという。

Aシリーズプロセッサの性能がIntel(インテル)の同等製品をスケールアップし凌駕していることから、アップルがいずれMac製品でも独自のARMベースプロセッサに移行するのではないかとの噂は、何年も前から流れていた。ARMベースのChromebookはすでに存在しているので、もしチップが期待に応えることができれば、グーグル側の移行は容易となるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

インテルとグーグルはChromebookを皮切りに未来に向けた密接なコラボを計画

巨大なチップメーカーIntel(インテル)は、ここ数カ月で戦略の見直しに取り組んでいる。その一環として、モバイルチップ事業をApple(アップル)に売却し、コネクテッドホーム部門の買い手を探していると伝えられている。そして、長年同社のビジネスの中心となってきたPCに対して、これからどのように取り組むべきか検討するという、難しい課題にも取り組んでいる

後者に関する戦略の一部は、今回のCES 2020で大々的に発表された。インテルは米国時間の1月6日、Google(グーグル)とのより強固なパートナーシップによって、Project Athena上で実現するChromebook用のチップと仕様を設計することを発表した。Project Athenaは、昨年初めて発表されたフレームワークであり、設計仕様と技術仕様の両方をカバーするもの。将来の高性能ラップトップを開発することを目的としている。仕事だけでなく、メディアストリーミング、ゲーム、エンタープライズアプリケーションなど、出先でも使えるものを目指す。当然ながらインテルのチップを利用する。

その要求仕様に含まれるのは、指紋センサー、押しボタン、あるいはディスプレイを開くことで即座に起動する「高速ウェイク」、Intel Core i5、または同i7プロセッサー、Ice Lakeベースの設計、バッテリー寿命と充電機能の改善、WiFi 6、タッチディスプレイ、2イン1デザイン、幅の狭いベゼルなど、多岐にわたる。

今回のCESでは、こうしたAthena仕様に基づいて設計された最初のChromebookが、Samsung(サムスン)とAsus(エイスース)から、それぞれ発表された。インテルによれば、さらに多くの機種が登場するという。そしてインテルの基調講演のステージにはグーグルも登場し、このミッションに対する両社のコミットメントが確かなものであることを強調した。

「AthenaをChromebookに導入するために、グーグルとのパートナーシップを深め、さらに前進させようとしています」と、インテルのクライアントコンピューティンググループのEVPおよびGMであるGregory Bryant(グレゴリー・ブライアント)氏は、今日の発表に先立つTechCrunchとのインタビューで述べた。「これらの仕様をデバイスメーカーがうまく活用できるよう、グーグルとかなり密接に協力しています」。

インテルにとっては、Athenaを利用するChromebookのシリーズが登場することは重要だ。というのも、Chromebookは非常に人気が高く、そこにインテルのプロセッサーが喰い込めるようになるからだ。Chromebookを買おうというユーザーは、セキュリティの高さなどを求めてグーグルのサービスにアクセスしたい人や、アプリのエコシステムを利用したいと考えている人だ。

そしてインテルだけでなくグーグルにとっても、Chromebookの仕様を強化することは、収益とビジネスを成長させるという観点から重要なのだ。

「これはグーグルにとって大きな変化です」と、同社のChromeOS担当副社長であるJohn Solomon(ジョン・ソロモン)氏も、発表に先立つインタビューで語っている。「Chromebookは、最初は教育分野で成功しました。しかし、今後18か月から2年の間に、より広い市場を求めて、消費者や企業ユーザーに拡大することを計画しています。そうしたユーザーは、より高い期待を抱き、デバイスの使い方についても幅広いアイデアを持っています。それを考えれば、もっと高いパフォーマンスの提供が不可欠となるのです」。

今回の取り組みは、ちょうど難しい時期に向けてスタートを切ることになった。一般的に言って、最近のラップトップ市場は窮地に追いやられている。全体として、パーソナルコンピューター市場自体も衰退しつつあり、それが今後数年間続くと予測されているからだ。

しかし、インテルとグーグル、そしてその他のハードウェアパートナーによるコラボレーションから生まれてくるようなマシンに関しては明るい希望もないわけではない。IDCは、2イン1デバイスの繁栄を予想している。つまり、キーボードを取り外してタブレットとして使うことも可能なコンバーチブルなPCのことだ。また、超薄型のノートブックも「同期間で全体に5%成長すると予想される」としている。それに対して、2019年から2023年までの期間のPC全体の年間成長率はマイナス2.4%だ。仮に成長するとしても、それほど大きなものは見込めない。

それに比べれば、スマートフォン市場にはまだ強みがある。複数の市場がスマホとしての飽和状態に達し、消費者のアップグレードが遅いなど、あれこれ問題がないわけではないのは事実としてもだ。

こうした状況ををひっくるめて言えば課題があるということ。それゆえインテルは、Athenaのようなプロジェクトを大きく推進させる必要があるわけだ。というのもインテルは、パソコン用のプロセッサーを製造しているため、その命運はPCデバイスと一蓮托生の関係にあるからだ。

今月初めまでは、Athena仕様に適合して開発されたラップトップは、すべてWindows PCで、現在までに25機種を数えていた。しかしインテルは最初から、Chromebookもそのシリーズの視野に入れていることを明言していた。そして、今年の年末までに、Athena仕様のデバイスを75機種まで増やす、つまり2020年中に50機種を追加するつもりでいる。

Chromebookは、他の市場の成長を上回っているように見えるため、インテルにとって注力するのに適した領域と言える。OSとして、いくつかの明らかな欠点があるのも確かだ。Chrome OSは、ネイティブツールの数も少なく、アプリとの統合も弱い「貧弱」なOSと認識されてきた経緯がある。それでもIDCによれば、2019年の第4四半期の成長率は、前年比で19%だった。ホリデーシーズンを加えれば、伸び率はもっと高いと考えられている。そして米国でのChromebookの市場シェアは、NPD/Gfkによれば、昨年11月時点で約27%に達している。

ここで興味深いのは、インテルとグーグルが、ともに成長を目指して採用している協力的なアプローチだ。これはアップルスタイルのモデルで、同社のハードウェアビジネスに垂直的に統合されるもの。それにより、形状と機能に関して、統制のとれた統一的なアプローチを確保している。そこでは、ハードウェアの仕様は、特にアップルが同社のデバイスで動作することを想定する範囲のサービスに対応するように定められている。それは結局、アップル独自のネイティブなサービスやアプリではない範囲でデバイスに関わろうとするサードパーティに対しては、非常に具体的な要求を突き付けることになる。

グーグルは、ラップトップを製造したり、プロセッサーを開発するビジネスを(少なくとも今のところ)展開しているわけではない。またインテルも、プロセッサー以上のものを開発するにはほど遠い状況だ。そのような両社がここで策定したのは、アップルのような垂直統合されたビジネスから得られるものに似た、規律のある仕様だ。

「すべては、最高の製品を開発し、最高の体験を提供するためです」と、ブライアント氏は述べた。

「過去18か月にわたるインテルの支援と、緊密なエンジニアリング上のコラボレーションがなければ、私たちはこれを成し遂げることができませんでした」とソロモン氏は付け加えた。「これは、これまでには見られなかった革新であると同時に、この領域でさらに多くのものが得られるようになるきっかけを示すものなのです」。

そして興味深いことに、ブライアントとソロモン両氏は、Athenaの採用と彼らのコラボレーションが、ラップトップ以外の領域にも拡張する可能性を排除しなかった。

「私たちの仕事は、PCを素晴らしいものにすることです。PCを購入する価値と理由を消費者に提示することができれば、PCを生き永らえさせることができます」と、ブライアント氏は語った。そして、インテルとしては、仕様を進化させ続けていることを付け加えた。

「フォームファクターについて言えば、デュアルディスプレイを搭載したデバイスも可能ですし、さまざまな技術を搭載した、いろいろな形状のデバイスも考えられます」と同氏は言う。「私たちは、本日示したものを拡張し、さらにバリエーションを加えることを目指しています」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国居住者がChromebookを購入するとDisney+が3カ月無料

Googleは、大人気の新しいストリーミングサービス、Disney+のサブスクリプションをオマケに付けて、ホリデーシーズンのChromebookの売上を加速させたいと考えているようだ。米国時間11月25日、Googleは米国に居住する人がChromebookを新たに購入するとDisney+を3カ月間無料で利用できると発表した。

この特典は、2019年11月25日から2020年1月21日まで、Chromebookの購入者が所定の人数に達するまで適用される。2020年1月31日までに特典利用の手続きをする必要がある。

購入者はChromebookのキャンペーンサイトで申し込み、プロモーションコードを受け取る。ChromebookでPlay StoreからDisney+アプリをダウンロードし、アカウントを作成してDisney+のサブスクリプション規約に同意する。そして「Redeem Code」(コードを使う)をクリックして手続きをする。

ここでサブスクリプションの継続に同意していることに注意してほしい。無料の3カ月間だけ利用するつもりなら、自動更新される前にキャンセルする必要がある。

このキャンペーンは、Chromebookの売り上げをテコ入れするためだけのものではない。

マーケティングでこのように協力すれば、ディズニーは短期間で顧客に新しいストリーミングサービスを利用してもらうことができる。また、このような仕組みは、利用者が毎月の費用を支払うサブスクリプションの最初のハードルを下げることにも役立つ。今は無料なのだから。そしてもちろんディズニーは、利用者がキャンセルするのを忘れて支払いをしてくれることを、あるいは無料期間が過ぎても費用を支払う価値を見出してくれることを願っている。

Disney+のサービス開始後、大きなキャンペーンを実施するのはこれが初めてではない。ベライゾン(TechCrunchの親会社)と連携して、Verizon Wirelessの無制限プランを利用する新規および既存の顧客向けに、Disney+を1年間無料で利用できる大規模な特典を提供している。

こうしたキャンペーンはすでに成果を挙げている。

ディズニーによれば、世界中でのサービス開始初日だけで1000万人がDisney+にサインアップしたという。これはCBS All Access + Showtime、ESPN+、HBO NOWなどのストリーミングサービスの利用者より多いとCNBCが指摘している。

Apptopiaの最新の数字によれば、Disney+アプリは今月前半の公開以降、1550万回ダウンロードされた。1日平均100万人以上がサインアップしていることになる。Apptopiaは、アプリ内購入からApp Storeの手数料を引いた売上が500万ドル(約5億4600万円)に達したと予測している。Sensor Towerの分析ではこれらの数字はさらに多く、同期間で1980万インストール、アプリ内購入が2420万ドル(約26億4000万円)と見ている。

ホリデーシーズンを迎え、Googleはサイト上で200ドル(約2万1800円)を切るベーシックモデルから999ドル(約10万9000円)のハイエンドのPixelbookまで、さまざまなChromebookを販売している。Disney+の特典を利用できるのは新品のChromebookの購入のみだ。オンラインの広告で限定的に紹介された再整備品や中古では、この特典は利用できない。

無料期間終了後のDisney+の料金は、1カ月6.99ドル(約760円)だ。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Pixelbook GoはChromebookの存在意義を拡張する

Chromebookが、K-8(幼稚園から中2まで)カテゴリを完全に支配すると予想した人は、ほとんどいなかった。もちろん後から考えれば、なぜChromebookがそんなに成功したのか、容易に分かるような気もする。価格も安く、大規模なソフトウェアの展開や利用制限も容易なので、教室で使うにはぴったりだっというわけだ。2018年だけで1500万台のChromebookが売れたが、その主な推進役となったのは、やはり学校だった。

しかしChromebookのメーカーは、このカテゴリーの製品の将来性を、教室の外に見出そうとしている。Google(グーグル)は、Microsoft(マイクロソフト)がサポートする激安PCとの競争の激化に直面している。また、すでにこのシステムを導入した学校には、まだ更新の時期が来ていない。そのためもあり、メーカーの多くが、学校外の一般的な用途をターゲットにするにつれて、Chromebookの平均価格の上昇が予想されているのも当然だろう。

一方、教室の外でChromebookを販売するのも、楽な仕事ではない。今や2019年なのだから、手頃な価格で処理能力も高いPCはいくらでもある。それも、オリジナルのPixelbookを異質な存在にした理由の1つだ。999ドル(約11万円)という価格は、そのデバイスを高級ラップトップのカテゴリに分類するものだった。そしてChrome OSが、過去数年間で大幅に進化してきたのは確かだとしても、その製品が、いったい誰をターゲットにしたものなのか、ずっと明確になっていなかった。

まったく同じことが、Pixel Slateにも言える。どちらも、十分に優れたハードウェアであり、高級ラップトップのカテゴリにもChrome OSが通用する領域があることを主張できるものだった。Googleは、実際に製品が多く売れることを期待していたのかどうか、疑問にさえ思えてくる。それよりも、Pixelシリーズを生み出すことになった一種のリファレンスデザインを確立することに固執していたのではないか。

Googleの最近のハードウェアイベントは、Chromebookに関する国民投票のようなものだったのかもしれない。オリジナルのPixelbookは、まだ現行製品だが、発売から2年が経過しても、一度もアップデートされていない。それを言い出せば、問題の多いPixel Budsにさえ、後継機が発表されても、なお執行猶予が与えられ、生き延びている。一方、Pixelbookには、Goが登場した。

この新モデルは、少なくともオリジナルのPixelbookの後継機ではない。今年はじめに大幅な値引きを実施していたことからも分かるように、GoogleはオリジナルのPixelbookの在庫を売り切ろうとしている。むしろGoの登場は、Googleが最初の2回では、ちょっと上を狙いすぎたことを、暗に認めているようなものだろう。

Goの649ドル(約7万1000円)からという価格は、人がこのカテゴリーに期待するものと、だいたい一致している。私が以前の記事で、前任機と比較してGoは「低予算」で買える製品だと表現したことについて、反感を買ったことは認める。確かに、低価格と言えるかどうかの基準は、Chromebookと、その他のカテゴリとでは大きく異なるだろう。Googleとしては、そうした概念を無視したいところだろうが、常に価格が、購入を決定する際の重要な要素となっているのは確かだ。

Chromebookでは、製品の価格が200ドル(約2万2000円)を下回ることも珍しくないので、Pixelbook Goは、それでもハイエンドに近い領域のものとなる。そして、あれこれオプションを選択していくと、価格は、そこからどんどん跳ね上がる。実際、現在のGoogleのサイトでは、最高のオプションを指定すると、1399ドル(約15万2000円)にもなる。これは、ほとんどのユーザーにとって、高級ラップトップの領域に踏み込むものだろう。これは、正直なところ、Googleのスマホの戦略とは、まったく合致していない。スマホでは、Samsung(サムスン)やApple(アップル)のようなフラグシップ専門のメーカーに対して、相変わらず低い価格で差別化を図っている。

それはともかくとして、価格だけを比べても、Pixelbook Goは、オリジナルのPixelbookよりも訴求力のある製品だ。しかし、このカテゴリーで何をすべきか確信している会社に、何らかのメッセージを送るようなデバイスではない。Acer(エイサー)のような企業が、教室の外に活路を見出そうとしている中、せいぜいGoは、そうした中間クラスのデバイスにも未来があるという、Googleの自信を誇示するものに過ぎない。

Googleがどこで手を抜いたかは、一目瞭然だ。この製品には、オリジナルが醸し出していたようなプレミアム感が欠如している。オリジナルのPixelbookについても、言いたいことはいろいろある、という人がいるだろう。しかし、それは見栄えのするデバイスだった。しかしGoは、少なくともぱっと見には、他社のChromebookとそれほど違うようには感じられない。高級感のあるガラスとアルミニウムは姿を消し、代わりにつや消しのマグネシウム合金が使われている。仕上げは、かなりプラスチックっぽく見える。

本体の色としては、Googleが独自に名付けた2色が用意されている。「Just Black」と「Not Pink」だ。Googleはレビュー用に前者の色を送ってきた。言ってみれば、ただの黒だ。正直なところ、蓋の角の部分にある白い小さな「G」というロゴによって、多少は救われている感がある。サーモンのような「Not Pink」なら、もうちょっとポップな感じだろう。Googleも、昔のiBookを見習って、もっと多くの色を取り揃えるべきだったのではないかと思う。

このマシンは、たしかにポータブルだ。重量は、フルHDモデルで2.3ポンド(約1kg)、4KウルトラHDモデルで2.4ポンド(約1.1kg)となっていて、オリジナルより少し軽い。その反面、厚さは13.4mmで、オリジナルの10.3mmよりだいぶ厚くなった。数日間、バックパックに入れて持ち歩いてみたが、普段入れている15インチのMacBook Proよりは、背中もずっと楽だった。立体的なストライプのような底面の感触もいい。片手で楽に持ち運ぶことができる。

見た目の問題はさておき、低価格を実現するために、他にも削らなければならなかった部分がある。中でも、もっとも大きなものは、360度ヒンジがなくなったこと。これはかなりコストがかかるものであることが明らかになった。オリジナルのPixelbookの価格を押し上げていた、大きな要因の1つでもある。私自身の用途では、正直なところ、これは大きな損失ではない。オリジナルのPixelbookをテストした際にも、標準的なラップトップとしての使い方以外は、ほとんど出番はなかった。

ただし、クリエイティブなアプリのためにChromebookを購入しようと考えている人は、ペン入力機能の省略と合わせて、この360度ヒンジがなくなったことで不自由を感じるかもしれない。もう少し目立たない省略は、パームレストの前端から後端までカバーしていたトラックパッドが、ベゼルのある普通のトラックパッドになったこと。これにも、製造コストがかかっていたようだ。キーボードは、私から見れば改善されている。宣伝通り、確かに静かだ。キータッチは、かなり柔らかめ。特にMacBook Proなどと比べると、遥かにソフトに感じられる。ストロークも、ラップトップとしては深めで良好だ。

画面サイズは、オリジナルのPixelbookよりも大きくなり、ちょうど1インチ増えて13.3インチとなった。ただし、デフォルトの解像度は、1920×1080(166ppi)となっていて、オリジナルの2400×1600(235ppi)よりも荒くなっている。とはいえ、1399ドル(約15万2000円)出せば、3840×2160(331ppi)の4Kディスプレイのモデルが入手できる。繰り返しになるが、それだけの価格のマシンが、いったい誰を対象としたものなのかは謎だ。

Goも、相変わらず2つのUSB-Cポートを装備する。これは、オリジナルのPixelbookでも批判の的となった部分だったが、Googleはこれについては主張を改めていない。おそらく私は、このマシンの主なターゲット層からは外れるのだろうが、ポートは4つくらいあってもいいと思っている。特に、仕事用に外部モニターや、その他の周辺機器をつないで使いたいと考えているような人にとっては、そうだろう。

プロセッサは、第7世代から第8世代のIntel Coreにアップグレードされた。オリジナルから2年が経過しているのだから当然だろう。ただし、ベースレベルのシステムが採用するのは、i5ではなくm3だ。オプションで、i5、またはi7が選べる。他のすべてのものと同様、アップグレードが用意されている。RAMについても同様。8GBまたは16GBのどちらかを選ぶ。ストレージは、ベースレベルでは、オリジナルの128GBから64GBに縮小されている。最大は256GBだ。クラウドストレージを多用している人にとっては、ストレージ容量の数字はあまり意味がないかもしれない。

Chrome OSには、まだ制約が多い。レビューするたびに、それを前提としなくても済む日が来るのを楽しみにしているが、残念ながら、まだそうなってはいない。教育用としては困ることもないのだろうが、WindowsやmacOSから乗り換えるのは、多くの人にとって茨の道だ。Google Playが利用可能となったことで、使えるアプリはかなり増えた。しかし、スマホ用の画面サイズに限定されずに動くアプリは、まだわずかしかない。

しかも、Chromebook用が存在しないアプリもある。私は、今度の中国への旅に、これを持っていこうかと検討してきた。セキュリティ機能と、12時間持続するバッテリー寿命は、その旅に申し分ない。しかし、Audacityの代わりになるアプリが見つからない。私はいつも飛行機の中で、ポッドキャストを編集しているのだ。これについては、もしお勧めがあれば、読者に提案していただきたいと考えている。

オリジナルのPixelbookがそうだったように、このGoも、自らの存在意義を探求しているデバイスのように思われる。価格が300ドル下がったのは、正しい方向への第1歩だが、Googleははるかに安いサードパーティの製品と競合することになる。私自身、教室の外でChromebookを使うことを推奨する理由を思いつくのに苦労している。手頃な価格のWindowsマシンが、ごろごろしているからだ。おそらく、出張用のセカンドマシンには適しているかもしれない。ただ、そうだとしても、Chromebook特有のユースケースを必要とする人が、どれくらいいるのだろう。

明らかにGoは、教室の外にChromebookの活路を見つけようとしているメーカーを、Googleがリードしようという試みだ。ハードウェア的には魅力的な部分もあるが、Chrome OSが本当に必要としている革命や啓示をもたらすものではなさそうだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Pixelbook Goは教育市場を狙わない、Google純正の低価格版Chromebook

Chromebookは、Googleにとってヒット商品となっている。少なくとも、Googleのハードウェアパートナーにとってはそうだ。低価格のデバイスが市場に溢れ、教育市場については、ほぼ完全に支配している。その一方で、Googleの純正マシンは、そうしたサードパーティの製品とは異なる、独自の路線を歩んできた。

これまでのPixelbookやPixel Slateといった製品には、1000ドルを超える価格が付けられていた。これはGoogleが、Chrome OSの高級路線での可能性を実証しようとしたものだった。それに対してPixelbook Goでは、クラウドベースのOSの長所を、これまでよりもずっと手軽な価格で引き出そうとしている。

関連記事:Googleから約7.5万円のChromebook最新版Pixelbook Goが登場

Goの価格は、649ドル(約7万500円)からで、Chrome OSの基本に立ち返ったような価格設定となっている。ただし、もっとも贅沢なオプションを選択すれば1400ドル(約15万2000円)にもなる。それはともかくGoは、Chromebookのユーザーが、もっと手軽な価格帯の製品を求めていることに目を向けた製品だ。ともあれ、Chromebookの存在意義は、最初からずっとそこにあったのではないだろうか。

もちろん、手頃な価格には妥協はつきものだ。デザインの観点からすれば、オリジナルのPixelbookを非常に興味深いものにしていた、いくつかの特徴を失うことを意味する。もっとも顕著なのは、ラップトップとしても、タブレットとしても使える、コンバーチブルなディスプレイ部分だ。もっと安価なシステムに採用された例もあるものの、なにしろ、360度開くヒンジは、かなりコストがかかる。そうしたヒンジを廃止したため、ペン入力機能は省略された。ただし、タッチ式のスクリーンは維持している。

オリジナルのPixelbookと同様、GoもUSB-Cポートは左右側面に1つずつ、2つしか装備しない。これによって、拡張性はかなり制限される。価格上の制約もあって、これ以上のポートは追加しないことを選択した。Googleから直接聞いたところによれば、Chromebookのコアユーザーのほとんどが、USB-Cポートは2つあれば十分だと言っているという。たぶん、大多数のユーザーにとっては、そうなのだろう。

それ以外の点では、デザインはなかなか凝っている。特に底面は、カラフルで、一面にリブが施されている。デバイスを片手で持ちやすいよう、考慮した設計だ。本体の軽量化もありがたい。気軽にバッグに入れて持ち運べるラップトップとなっている。

キーボードも改善されている。発表イベントの説明でも強調されていたように、音も静かだ。実際には、私はまだかなりうるさい環境でしか使っていないので、どれくらい静かなのかはよく分からない。キーのタッチは比較的ソフトだ。特に、タイルでも叩いているように硬いMacBookに比べれば、違いは大きく、なかなか良い感触を実現している。少なくともその点に関しては、これを自分のメインコンピューターにすることに、何の抵抗もない。

Chrome OS自体も、初期の頃から比べれば、大幅に進化している。特に、Androidアプリが使えるようになっているのが大きい。ただし、より専門的な作業には制限がある。低価格のGoは、その弱点を浮かび上がらせることになる。私の体験では、たとえばオーディオ編集をしようとした際に、問題に突き当たることがあった。

低価格帯を実現するために、エントリーモデルのスペックは低めに設定されている。プロセッサーはCore m3、RAMは8GBだ。CPUは、Core i5や同i7も選択でき、RAMも16GBまで実装できる。もちろん、その分価格は高くなる。そうこうしているうちに、オリジナルのPixelbookの価格帯に重なってしまうことになる。

ところで、オリジナルのモデルの販売も継続されている。2年も前の製品なのに、スペックは変更されていない。とはいえ、新製品も発表された今、いかにも賞味期限切れの感があるのは否めないだろう。

価格だけを考えても、Googleは、オリジナルのPixelbookより、かなり多くのGoを販売しようと考えているのは間違いないだろう。そこは、市場のおいしい部分であり、低価格帯の製品を求めている消費者を引き寄せる領域だ。Goは、すでにChromebookとして成功を収めている、教育市場に的を絞った製品というわけではないだろう。Googleによれば、この価格でも、K-8(幼稚園から中2)の生徒には高過ぎるという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleから約7.5万円のChromebook最新版Pixelbook Goが登場

Googleは、毎年恒例のハードウェアイベントで、米国時間10月15日、純正Chromebookシリーズの最新版、Pixelbook Goを発売すると発表した。価格は649ドル(約7万500円)から。昨年の180度開くヒンジを備えたPixelbookや、2in1のPixel Slateの後を受けたモデルは、ノーマルなラップトップ型に戻った。

Goは、16:9で13.3インチのタッチスクリーンを備え、HDまたは4Kのいずれかの解像度のディスプレイを搭載するモデルを用意する。USB-Cポートを2つ備え、Titan-Cのセキュリティチップも内蔵する。メモリは最大16GBのRAMと、最大256GBのストレージを実装可能。CPUは、インテルのCoreシリーズで、ローエンドがm3、ハイエンドがi7を搭載する。本体の色は黒と「非ピンク」の2種類。予約注文はすでに始まっているが、今のところ選べるのは、黒だけとなっている。「非ピンク」も、近々入手可能となる予定。

底面は波打つような仕上げで握りやすい。従来のPixelbookシリーズよりも静かだとされる「Hush Keys」と呼ばれるキーボードを備える。音について言えば、Goは「オーケーGoogle」に応えるための遠距離用マイクを内蔵している。

「私たちは、薄くて軽くて、しかもけっこう速く、バッテリーも1日中持つようなラップトップを作りたいと思っていました。それはもちろん、見ても触っても美しいものでなければなりません」と、Googleのアイビー・ロス(Ivy Ross)氏は、イベントの発表で述べた。ロス氏はまた、Pixelbook Goは大容量のバッテリーを内蔵するにも関わらず、ボディをマグネシウム製にすることで、軽量化できたと強調した。

MicrosoftのSurfaceシリーズとは異なり、これまでのGoogle製のラップトップは、常にChromebookシリーズのハイエンドを定義する、野心的なデバイスのように思えるものだった。しかし649ドルのPixelbook Goは、この分野におけるこれまでの同社の取り組みとは異なり、明らかに手頃な価格の路線を狙ったもの。やはり、もう少し売れるものにしたいと考えているようだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Chromeセキュリティバグを見つけたらGoogleから報奨金もらえる

バグを見つけたらひと儲けできるかも。Googleは、深刻なバグを適切なチャネルで初めて報告した人に数万ドルの報奨金を出すとしている。

Googleは2010年にChromeのバグ報奨金プログラムを開始した。米国時間7月18日、同社はこのプログラムの報奨金の最高額を2~3倍に引き上げた。

同プログラムの報奨金の額は、バグの深刻さとレポートの詳しさによって決まる。一般に、詳細の記述が少ない「最低限」のレポートよりは「高品質」のレポートの方が報奨金が多い。高品質のレポートとは、そのバグにどのような危険性があるのか、なぜ発生するのか、どうすれば修正できる可能性があるかを記述したものだ。Googleがどのように評価するかは、ここで見ることができる

しかし最低限でも高品質でも、報奨金はこれまでより増える。最低限のレポートの場合、最高額はこれまでの5000ドル(54万円)から1万5000ドル(162万円)になる。高品質のレポートの最高額は、これまでの1万5000ドル(162万円)から3万ドル(324万円)に倍増だ。

Googleが特に力を入れているポイントがある。ゲストモードで動作しているChromebookまたはChromeboxで発生しクイックリブートでは解決しない問題だ。Googleは当初、この種のバグの報奨金を5万ドル(540万円)としていたが、誰からも報告がなく2016年には10万ドル(1080万円)になり、今回は15万ドル(1620万円)になった。

今回はChrome OSに新しいカテゴリーも1つ追加された。ロック画面のバイパスだ。ロック画面を回避できたら(例えばロックされたユーザーのセッションから情報を引き出せたら)、Googleから最高で1万5000ドル(162万円)与えられる。

「Chrome Fuzzer Program」でバグを発見すると報奨金が上乗せされる。このプログラムは、研究者が自動テストを書き、それを大量のマシン上で実行して、そのようなスケールでしか発生しないバグを見つけるものだ。Fuzzer Programで発見されたバグには、そのカテゴリーで通常与えられる報奨金に、さらに500~1000ドル(5万4000〜10万8000円)のボーナスが加算される。

Googleは、2010年のChrome脆弱性プログラム開始以来、500万ドル(5億4000万円)以上の報奨金を出したとしている。2019年2月時点で、バグ報奨金プログラム全体では1500万ドル(16億2000万円)以上を出した

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(翻訳:Kaori Koyama)

Googleが教育者やその他の教室用ツールのためのChromebook App Hubを開始

今年の始めにGoogleは、教師や他のカリキュラム管理者が、教室で使用するための教育ツールやアプリを見つけやすくするためにデザインされたChromebook App Hub(クロームブック・アプリ・ハブ)を構築する計画を発表した。米国時間6月19日、ISTE 2019におけるGoogeの教育発表の一環として同社は正式にApp Hubを立ち上げた。当初のコンテンツは、Epic!、Adobe、Khan Academyなどから提供されている。また同時に、Google Forms、Classroom、Course Kitなどの中の、Quizzesの新機能も公開された。

Googleが以前にも述べていたように、現在教師たちは、レッスンプランを練るために、新しいアイデアやアクティビティを求めてウェブ上を探し回っている。一方、カリキュラムのスペシャリストたちは、教師たちからの特別な要望にうまく応えてくれるものの、要求されたプログラムがその地区の方針を満たしていることを確認することを義務付けられている。

Chromebook App Hubは、教育者たちがアイデアやリソースを発見するための場所を提供し、同時にそれらが教室でどのように実施されるかや、地区の方針を満たしているかどうかを調べられるようにすることで、上記の双方のシナリオにアプローチしようとしている。

GoogleはEdTechTeamと協力して、アプリケーションに関するアイデアを集めたという。

また、非営利団体のSDPC(Student Data Privacy Consortium:学生データプライバシーコンソーシアム)と連携して、アプリ開発者たちが自社製品のデータプライバシーの側面をよりよく考慮できるようにした。こうすることで、各地区は独自のプライバシー要件を満たす適切な解決策を見つけることができる。

「SDPCはChromebook App Hubとの誇らしい協力を通して、学習者の情報を守るべき学校、州、そしてベンダーたちの、重要な側面に関する透明性とオープン性を提供します」と声明の中で語るのは、A4L/SDPCのCEOであるラリー・フルース(Larry L. Fruth II)博士だ。

さらにGoogleは、Family Online Safety Institute(FOSI)ならびにConnectSafelyと、「健康的なデジタル市民権習慣」の育成に焦点を当てたガイドラインの作成で協力している。

立ち上げ時には、Epic!がその子供向け書籍、ビデオ、そしてゲームのライブラリで協力する。Adobeが提供するのはビジュアルストーリーテリングアプリのAdobe Sparkだ。そしてKhan Academyは、数学、文法、科学、歴史、そして標準テストなどのような科目にまたがった、授業の無料ライブラリーを提供する。

もちろん、Cromebookの教室内での価値を高めることが、究極の目的であるため、App Hubのアプリやアクティビティは、Chromebookコンピューター上で実行されるようにデザインされている。

学校や各教室は、デバイスにとっての新しい戦場であり、Google、Microsoft、そしてAppleは、すべてK-12市場でのさまざまな動きに投資している。

例えば、昨年Appleは、Googleに追いつくためにデザインされた新しいiPadを発表し、より多くの学区での採用を狙った。今月初めに行われた開発者会議では、Appleは教育フレームワークClassKitと、教師のための無料アプリSchoolworkの新機能も披露している。

とはいえ、GoogleのChromebookは、そのシンプルさ、価格、およびIT部門向けツールによって、現在の米国のK-12市場で支配的な立場を占めている。 2017年の時点での市場の占有率は、Microsoft Windowsが22%、Appleが19%であるのに対し、Chromebookは58%を占めている。

App Hubの立ち上げに加えてGoogleは、生徒たちが自分の提出課題がどのように評価されるのかを知ることができるように、教師がルーブリックを作成して課題に添付することができるようにする(教師向けの)ベータプログラムを開始した。ルーブリックは、ClassroomとCourse Kit両方で作成することができる。

また、生徒たちが回答を送信するまで移動することができないようにするために、マネージドChromebook上のGoogle Forms内のQuizzesを、教師がロックできるようにするツールも提供された。また、Googleは教師が以前に使われたFormsの中から、新しいFormsの中に質問を取り込んでくる機能を、ほどなく公開するとも語っている。

Googleはまた、アップデートされたGradebookも提供する。これは生徒の進捗状況をより総合的に提供し、さらに教師が成績をClassroomからSchool Information System(SIS)に同期させるプログラムの、早期アクセス版も提供している。早期アクセスベータプログラムは、今年の夏に学校で利用できるようになる予定である。最初のパートナーはInfinite CampusとCapita SIMSだが、更に多くのパートナーの参加が予定されている。

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(翻訳:sako)

GoogleのChromebook App Hubは教育者のための実用性重視のリソースセンター

Googleは米国時間3月4日、教育事業であるGoogle for Educationの拡張として、Chromebook App Hubを発表した。今年後半に立ち上がるこのリソースは、教師などのカリキュラム管理者に、教室で使用するツールやアプリを見つけたり選別するためのセンターのような機能を提供する。

これまで教師たちは、Webをあちこちサーフィンして授業に使えそうなアイデアやアクティビティを見つけていた。また学校のITやカリキュラム担当者は、教師からのアプリのリクエストに頻繁に応えていたが、教師が使いたいと思うプログラムが校区のポリシーに合っているなど、いくつかの要件を満たす必要があった。Chromebook App Hubの存在意義を、Googleはこのように説明している。

一方、エドテックのアプリケーションを作る側も、そのソフトウェアが提供するソリューションに関する情報が、教師や教育者に確実に届く必要がある。

Chromebook App Hubは、そのための場所でもある。それは、アプリのリストと検索機能を提供するだけの従来のマーケットプレースと違って、アプリの具体的な使い方を見せたり教えたりする。

Googleは、教師のためのツールを開発しているEdTechTeamや、そのほかの教育者たちと協力して、「Idea Sparks」(アイデアの火花)というものを作ろうとしている。それは、アプリの使い方の例やコツ、さまざまな状況に応じた多様な教え方、そしてビデオやアクティビティ、役に立つWebサイトなどのリソースへのリンクなどの集まりだ。つまり、単にアプリ/アプリケーションの集合を与えて、さあ選べ、と言うのではなく、それらのアプリケーションを教室で活用するためのさまざまなツールや情報を提供して、教育者たちが(孤立せず)互いに学び合えるようにする。

EdTechTeamの教育者の学習部門のディレクターKate Pettyは、こう説明する。「私の経験では、先生たちはアプリケーションについて、2つの方法で学んでいる。ひとつは、新しい授業のやり方を勉強したとき、そこにアプリも付随している場合。もうひとつは、すばらしいアプリの話を口コミで聞いたとき、それの使い方を知りたくなる場合。Idea Sparksで先生たちは新しいアイデアの火花を見たり触れたりするだけでなく、そこで先生たちが作ったもの…授業アイデアなどを共有する機会と場が提供される」。

Googleはまた、非営利団体Student Data Privacy Consortium(SDPC、児童生徒学生のデータプライバシー協会)と協力して、デベロッパーたちに、アプリケーションが持つべきプライバシー保護機能について啓蒙している。以上のような仕組みで、各校区はApp Hubを検索して自分たちのプライバシーポリシーに合ったソリューションを見つけられるようになる。

App Hubは、アイデアのカテゴリーや、主題、年齢層、学習目標などでも検索できる。

今年後半に立ち上げられるApp Hubの前にも、GoogleはChromebookを教室に持ち込むためのさまざまな事業を展開する。それは、教室で使うために設計された新しいデバイスであったり、ClassroomFormsQuizzesのような、教師のためのブラウザー上のソフトウェア、そしてG Suite for Educationだ。

Googleは今年の年頭に、G Suite for Educationを使っている教育者と児童生徒学生は8000万人、Google Classroomは4000万人、教室の内外でChromebookを使っている者は3000万人、と発表した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google、Chrome OSのインスタントテザリングの対象機種を拡大

GoogleのChrome OSは、インスタントテザリングと呼ばれる自動化プロセスをかなり以前から提供してきたが、これまではGoogle社製のChromebookとNexus 6以降のスマートフォンでしか利用できなかった。Googleは、Chrome OS flagのオプション下での数週間のテストを経て、このほど広範囲にわたるデバイスにも同機能を提供することになった。これでインスタントテザリングは、Chromebook 15機種とスマートフォン 30機種以上で新たに使えるようになった。

インスタント・テザリングが提供する機能は単純明快だ。スマートフォンでホットスポット機能を有効にしてからパソコンを手動でそのホットスポットに接続する(そして終わったときにオフにするのを忘れないように気をつける)代わりに、この機能を一度設定しておくと、ChromebookがWi-Fiネットワークとつながっていない時は、ワンクリックでスマートフォンとつなぐことができる。さらに、使っていない時間が10分を超えるとスマートフォンのホットスポット機能は自動的に切れる。

もちろんテザリングは、携帯電話料金の月間データプランの割当に数えられ、ほとんどの「無制限」プランでさえテザリングで利用できるギガバイト数には上限があるので、この機能を有効にするときには心に留めておく必要がある。

新規に対象となったデバイスの完全リストを以下に貼った。現在広く使われているAndroid携帯とChromebookの多くが含まれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HPの新しいAMD Chromebookの郎報と悲報

郎報:HPがAMD Chromebookを出した。悲報 :使われているチップセットが古い。

HPの新しいChromebook 14を紹介する。これは初めてのAMD搭載Chromebookだ。ただし喜びすぎないように。これは、多くの人たちが待ち望んでいたAMD版Chromebookではない。このChromebookは相当古いAMDチップセットで動いている。

これまで、ChromebookはIntelチップを使ってきた。しかし2018年夏、いずれQualcommとAMDのチップを使ったChromebookが提供されるという噂が広まった。どちらにもIntelに対して独自の優位性がある。Qualcommモデルは、理論的に、常時オンの接続性と長いバッテリー寿命が実現可能であり、一方AMDは、理論的に、優れたグラフィックレンダリング機能をChromebookにもたらすことができる。

このHP Chromebookはどちらでもない。

新しいHP Chromebook 14はAMD Dual-Core A4-9120を搭載している。このチップは2016年6月に発売された。CES 2019で発表された他のChromebookに使われているチップと比べると、このチップは遅く電源管理機能も劣っている。Radeon R4グラフィクスを採用している点はよいのだが、ここでもやはり、旧型チップと組合わさっていることから総合的結果は期待されるほど魅力的ではない。

願わくば、このモデルをきっかけに最新チップセットを使った他のAMD Chromebookが出てきてほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Chromebookが一般採用の増加を目指してWindows 10とデュアルブートになる?

Chrome OSはこれまでの数年間でずいぶん成長した。しかしまだ、多くの人が自分のデスクトップに載せたいと思うほどの、本格的なオペレーティングシステムではない。しかしある報道によると、Googleはこの状況をなんとかしたいらしい。そのためにまず、Windows 10とのデュアルブートを可能にする、というのだ。

XDA-Developersによると、Googleは今、Chromebookの旗艦機とも言えるPixelbookにMicrosoftのハードウェア証明を取らせるべく、積極的に努力している。その“alt OS mode”(代替OSモード)と呼ばれるプロジェクトはコードネームが“Campfire”で、そう遠くない未来にPixelbookに実装される、と言われている。その後は、もっとさまざまなChromebookがそれをサポートする。

どのデバイスが、Microsoftのかつては遍在的だったオペレーティングシステムをサポートするのか、それはまず、システムのスペックに依存する。MicrosoftはローエンドのシステムでもWindowsが動くよう努力してきたが、しかし今のうんと安いChromebookには、ChromeOSとWindows 10の両方を動かせるほどのストレージの余裕はない。ということは、選ばれるのはWindows 10Sか?

その点、Pixelbookはハイエンド機だから、Windows 10がそれに載るのは魅力的だ。Chromebookのハイエンド機でAndroidアプリも動く、とは言っても、まだソフトウェア的には十分ではない。最近、中国への旅でPixelbookを持参したが、優れたノートブックなのに、ソフトウェアの限界で幻滅を感じることがあった。

これらすべてのローンチは、次のPixel 3の発表イベントで行われる、という説がある。最近はリークの数も増えているから、何かでっかいことをGoogleは計画しているのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleは企業の現場労働者たちにも気軽なコンピューターとしてChromebookを使わせたい

Googleの社内には“Grab and Go”〔仮訳: 手に取ったらすぐ使え〕プログラムというものがあって、社員たちは上図のようなセルフサービスのコーナーへ行ってChromebookを勝手に借りて使ってよい。ITの面倒な承認プロセスは要らない。そしてこれからは、ほかの会社でもそれができるのだ。

Chromebookは教育に自分の世界を見つけたが、しかし最近では大企業が、主にブラウザーだけを使う集中管理型デバイスとして、これに目をつけ始めた。つまり学校も企業も、同じようなデバイスを求めていたのだ。

Google社内では、これまで3万名あまりの社員がのべ10万台あまりの貸し出しを利用した。

Googleは他社にも同じことをしてもらいたいが(そして多くのChromebookを使って欲しいが)、現状ではまだ一定のプレビュー事業なので、Googleはまだ、上図のラックのようなものは売っていない。Googleによると、やってみたい企業にはそのためのシステムのオープンソースのコードを提供し、セットアップとデプロイのやり方も教えるそうだ。また、どこかとパートナーしてハードウェアも制作〜提供し、あるいは‘Grab and Go’をサービスシステムとしてセットアップさせるつもりだ。

社内に置かれた‘Grab and Go’のコーナーというかステーションを使いたい社員は、単純にラップトップを一台手に取り、記帳し、使い始めればよい。使い終わったら、返却する。とっても簡単だ。

Google自身がChromebook用のラックを作って売るという、すごい話ではないが、企業にChromebookを売ろう、というプロジェクトではある。とくにねらっているのは、短時間気楽にデバイスが使えればそれでいい、というタイプの現場労働者だ。シフト労働者やリモート労働者も、そんなChromebook族に含まれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PCの売上が6年ぶりに増加、企業のWindows 10リプレースが主な原因

幽霊かもしれない。でもPCはまだ生きていた。調査会社のGartnerによると、全世界のパーソナルコンピューターの売上台数〔推測値〕は、2012年以来初めて、前年比で増加した。2018年第二四半期の総発売台数は6210万台で、前年同期比では1.4%の増だ。報告書は“1年前に比べて若干の成長を経験した”、と述べているが、それに続けて、PC業界の回復を宣言するのはまだ早い、とも言っている。

上位5社のPCベンダーがすべて成長を経験した中で、最大の成長率はLenovoの10.5%だが、これは富士通との合弁事業の寄与が大きい。以下、HPが6.1%, Dellが9.5%, Apple 3%, Acer 3.1%となっている。長年停滞していた業界にしては、良い数字だ。しかしこの報告書からはChromebookが抜けている*。Chromebookは近年のノートブックコンピューターにとって脅威だったが、今回業界は、それ抜きでも成長を記録した。〔*: 報告書原文より: Data includes desk-based PCs, notebook PCs and ultramobile premiums(such as Microsoft Surface), but not Chromebooks or iPads.

Gartnerによると、好調の主因は企業需要の増加だ。消費者市場は依然としてモバイルの増加が続き、PCは減少が続いている。しかし企業セクターの成長も長くは続かないだろう、と同報告書は言っている。

Gartnerの主席アナリストMikako Kitagawaが報告書中で書いている: “企業分野におけるPCの増勢は、Windows 10への置換がピークを迎える2年後以降は弱まるだろう。PCベンダーは、Windows 10へのアップグレードサイクル終了後の企業市場の成長を維持する方策を、探すべきである”。

消費者の多くは今後も身辺にコンピューターを置き続けると思われるが、しかしWebが第二のデスクトップになって以来、カジュアルユーザーのアップグレードサイクルは年々長くなっている。多くの人びとにとって、家にあるコンピューターはChromeブラウザーが使えればそれで十分なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

VMwareとGoogleがパートナーしてChrome OSの管理をWorkspace Oneに導入…アプリケーション環境の完全統一化を目指す

GoogleのChromebookラップトップの良いところは、驚くほどメンテナンス不要であることだ。ブラウザーがOSなので、アプリケーションはクラウドで動く。すべてのアップデートが、自動的に行われる。超簡単だ。

でも、企業などの、いろんなデバイスやOSを使っている環境では、それほど単純でもない。そこでVMwareは今日(米国時間5/9)Googleとのパートナーシップを発表し、Chromebookのアイデンティティとアクセスとポリシー設定のコントロールをメニューに加えることになった。

でも、それはGoogleの仕事では? 確かにそうだが、問題は、大きな企業ではChromebookだけを使ってるわけではない。WindowsもOSXもiOSも、そしてAndroidもあり、というマルチデバイスの環境では、Chrome OSだけでなく複数のOSを横断するポリシー管理が必要になる。VMwareのSVP Sumit Dhawanは、この点を強調する。

しかしそのように複数のデバイスやOSを使っている環境でも、VMwareのWorkspace Oneを使えば、すべてのオペレーティングシステムを横断するアクセスコントロールとポリシー設定、そしてアイデンティティ管理が単一の管理環境からできるようになる。“どの環境もそれぞれ独自の運用形式と管理形式を持っているから、顧客が異種混成的な環境を抱えているときには全体の管理がとても複雑になる。アイデンティティ管理もアクセス制御も、そのままでは一筋縄で行かなくなるのだ”、とDhawanは語る。

ITは複数のシステムを管理しなければならないし、エンドユーザーは複数のシステムやデバイスを行き来しなければならない。“弊社はそんなユーザーに、Workspace Oneで統一的なユーザー体験とIT管理体験を提供している。新たなユーザーデバイスの登録、旧型機の引退、ITとのコミュニケーション、パスワードのリセット、等々の業務を、デバイスの違いを超えて統一的に行えるようになる”、と彼は語る。

このような統合化作業は、デバイス横断的な管理だけにとどまらず、アプリケーションへのアクセスも、Web、クラウド、仮想化アプリケーションといった多様化への対応が必要になる。デバイスが多様であるだけでなく、アプリケーションの提供〜利用形式も多様化する。

VMwareに顧客から寄せられる要望は、Chromebookの単純でメンテフリー、アップデート完全自動化の環境を、そのほかのデバイスや環境にも実現して欲しい、というものだ。“極論としては、顧客は、自分が管理しセキュリティを確保しなければならない環境はChromebookだけでたくさんだ、ほかのいろいろなデバイスや環境のことはいちいち気にしたくない、ということなんだ”。

最近のIDCの調査によると、Chromebooksは企業にも浸透しつつある。2018年にはFortune 500社の25%が、IT部門公認のデバイスとしてChromebookを採用する。VMwareは、顧客企業のそんな要望に応えなければならない。

GoogleのAndroidとChrome担当プロダクトマネージャーRajen Shethによると、VMwareとのパートナーシップは始まったばかりであり、今後はもっと拡大していく。

“今後のChromebookは、クラウドだけでなく仮想化環境にも対応していく。VMwareと協働して、Androidと仮想化の両方に対してChrome OSのアプリケーションを最適化してきた。今は、もっと深い統合化に取り組んでいる。その工程も、始まったばかりだ”、とShethは語る。

Shethによると、両社の究極の目標は、Chrome、Android、仮想化など、いろんな環境のいろんなアプリケーションをChromebook上に持ち込み、上述のメンテナンスフリーなどの単純容易な特徴を共通的に実現していくことだ。そんな全アプリケーション横断的な統一化を、Workspace Oneが可能にする。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftが学校用軽量版、Windows 10 Sを発表――Google Chromebookに対抗

今日(米国時間5/2)、ニューヨークで開催されたイベントで、Microsoftは教育マーケットを取り戻すための大きな発表を行った。 Chromebookに負けつづけきたMicrosoftは、これに対抗すべく、肥大化した機能を思い切って削った軽量のOS、Windows 10 Sを発表した。これは学校現場での利用に焦点を絞ったプロダクトだ。

Microsoftは名指しはしなかったものの、新しく発表されたブラウザ専用OSがChromebookを念頭に置いて開発されたことは間違いない。Microsoftは経済性を武器に世界の教育マーケットで大きなシェアを持っている。しかしアメリカ市場ではこのところChromebookが着実にシェアを伸ばしていた。

複数ユーザーがそれぞれログインできることがChromebookの重要なセールスポイントだ。なんといっても教育用ノートパソコンは大勢のユーザーが使うことになる。公立学校の情報システム担当はこの問題を処理するために頭を悩ましてきた。そこでWindows 10 Sはこの機能を備えることとなった。Microsoftはログイン・アプリを追加し、システム担当が簡単に複数ログイン問題を処理できるようにしている。

ログイン情報はUSBに保存される。システムにUSBを接続すると30秒程度でログインが完了する。何百台ものパソコンのログインを処理しなければならない場合、わずかな時間の節約も大きな影響を与える。

もう一つ重要なのは、Windows Storeだ。このストアからのダウンロードには教師の承認が必要だ。また教師はインストールされたアプリについてもカメラなど多数の機能をコントロールできる。

Windows 10 Sの登場は今年1月に教育マーケットに注力するという発表の際に予告されていた。Windows 10 S対応ハードウェアはAcer、Asus、HP、Dell、東芝その他のサードパーティー製で189ドルから供給される。興味ある点はこうしたハードウェアは発表されたWindows 10 S専用ではない点だ。 学校は独自に10 Sをアップグレードすることができる。そういう次第で、Microsoftは学校に対してOSのアップグレードとOffice 365の利用を1年間無料で約束している。

Windows 10 SはあくまでWindowsの軽量版であり、Chromeの目新しさを欠いているのは事実だ。 しかしMicrosoftはゼロからスタートするのではなく、教育市場における現行の強みを活用することを考えたようだ。【略】

Chromebookはアメリカ以外の市場ではまだ大きな存在とはなっていない。世界的に教育市場で大きな存在であるMicrosoftにはWindows 10 Sを成功させる可能性が十分ある。また教育市場を通じて将来のパソコン・ユーザーたちに強い印象を与え、Microsoft製品の選択に導こうという意図もあるかもしれない。

Windows 10 Sは、アメリカにおける新学年の開始に間に合うよう、この夏に出荷される予定だ。

〔日本版〕イベントの冒頭でサティア・ナデラCEOが登場、インドで祖父が教育を受けられたことが父に教育を受けさせ、結局ナデラ自身が大学で学ぶことを可能にしたと語っている。祖父には兄がいたが教育を受けられなかったために建設労働者として終わったという。Windows 10 Sの紹介は17:20付近から。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

もちろんMicrosoftがChromebookの自己バージョンをそろそろ出さないわけがない

Windows Centralが入手した内部文書が、Windows 10 Cloudのハードウェアの性能を特記している(下図)。噂されていたこの、派生製品的なオペレーティングシステムは、予想では来月ニューヨークで行われる大きな教育関連イベントで披露される。たぶん、そのときのプレゼンでも、このOSをGoogleのChromebookと対比するだろう。

Microsoftのこの種の製品への進出は当然の動きで、同社は、Googleのクラウド製品に完全に支配されているK-12の教育分野に足場を築くべく、苦戦しているからだ。

2000年代にネットブックの短期的なブームがあったときは、長年望まれていた教師と児童生徒の一対一の関係を築くとして、Microsoftにも追い風が吹いたと思われたが、しかしすぐに、タブレットに主役を奪われた。しかしながらさらに最近では、Chromebookがこの種の話題を完全に支配し、学校や校区の購買の決定権を握るIT担当者たちは、コントロールが容易で値段の安いハードウェア〔Chromebook〕に飛びついた。

Microsoftの最近の教育関連の動きには、Surfaceがからんでいる。高値を厭わない私立校などでは依然としてiPadが強いようだが、今度のイベントでMicrosoftは、Surface PhoneやSurface Proを新たに発表して、Surfaceラインの多様化を目指すという噂もある。しかし本誌が情報筋から得た話は、やや違う。

むしろMicrosoftが匂わせているのは、教育用の低価格製品への回帰だ。1月に同社は、Intune for Education日本語〕を立ち上げた。これは、学校をねらった189ドルのWindows 10機をクラウドから管理できる、というサービスだ。5月2日に行われるイベントではほぼ確実に、ハードウェアの性能と管理体系の両方について、Chromebookとのガチンコ対決が行われるだろう。

最近のMicrosoftは教育方面で運に恵まれていないが、でもWord, Excelなどの人気はまだ衰えていないから、同社の再参入を望む声も教育界にはあるはずだ。Googleはクラウド上のプロダクト集合G Suiteで大きく躍進しているが、プロフェッショナルたちのあいだではOfficeのイメージがまだ強い。Windowsというほとんど遍在的なエコシステムがそこに加わるとなれば、この市場の将来も簡単には予言できない。

ただしもちろん、Microsoftが教育の世界に食い込むためには、単純にChromebookのWindowsバージョンを出すこと以上の、もっと大きくて多様な努力が必要だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Acerの新しいChromebookは、199ドルで12時間駆動

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まず、価格については文句なしという人が多いことだろう。新しく発表されたAcerの15.6インチChromebookは、以前のものに比べていろいろとアップグレードしているが、どうしても価格に注目が集まるデバイスとなっている。エントリー価格が50ドル安くなり、199ドルからとなっているのだ。

もうひとつの注目は(Chromebook一般の特徴ではあるが)バッテリーのもちだ。Acerの発表によれば、1度の充電で12時間稼働させることができるとのこと。以前のものよりも3時間も長くなっているのだ。

その他のスペックについてみれば、以前のものとさほど変わらないという印象を持つ。エントリーモデルのディスプレイは1366 x 768で、ストレージは16GB、RAMは2GBとなっている。なお、100GBのGoogleドライブもついてくるようになっている。もちろん高価格モデルではより高いスペックを入手することができる。たとえばディスプレイも最高で1920 x 1080のモデルが用意されている。

主要マシンとしてChromebookを使うのは厳しい面もあるかもしれない。しかし価格を考えれば2台目ないし3台目のデバイスとして、魅力的に感じる人もいることだろう。興味のある人はウォルマートのサイトからオーダーすることができる。

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(翻訳:Maeda, H

HPの新しいChromebookは、バッテリー最大12.5時間持続で、価格は189ドルから

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HPは、第2 ― あるいは第3 ― のノートパソコンを探している消費者にChromebookを売り込むべく、最低価格ながらも機能を盛り込んだ。

4月にChromebook 13を発表したのに続き、HPは新たにChromebook 11 G5を発表した。Chrome OSを塔載したこの新ノートパソコンはいくつか特徴を持つが、中でも注目すべきは価格で、最低189ドルだ。

エントリーレベル機は11.6インチのタッチスクリーンを備え、重さは2.51ポンド。CPUはIntel Celeron N3060で、バッテリーはタッチスクリーン使用時で11時間、未使用なら12.5時間を約束する。

G5の新たにデザインされた筺体は薄く軽く頑丈で(画面にはゴリラガラスを使用)、旅行者にも学生にも向いているが、特に学生は最近Chromebookメーカーが特に力を入れているターゲットだ。

新しいChromebookはHPのパートナーを通じて7月から販売され、店頭では10月から発売予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook