元Snap社員が会話型コマースのスタートアップWhymが4.9億円調達

元Snapの社員たちが作った会話型のコマースサービスWhymは、モバイルデバイスからの買い物をもっと簡単にしようとしている。チェックアウトのフォームに長々と記入したり、決済カードの詳細を手で入力する代わりに、Whymでは1回のタップでApple PayやGoogle Pay、あるいは単なるテキストメッセージでチェックアウトを終えることができる。同社は、一般消費者製品や健康グッズ、美容製品などで成功し、このほど430万ドル(約4億9000万円)のシード資金獲得を発表した。

ラウンドはDeciens Capitalがリードし、DNX VenturesやReciprocal Ventures、Unusual Ventures、Chaos Ventures、Magic Fundらが参加、またSequoiaやLightspeed、Canaan Partnersらも小額を投資した。さらにStripeやPayPal、Venmo、Microsoft、Salesforce、Google、Facebook、Twitter、TikTok、Snapchat、Uber、Airbnb、Red BullそしてSpotifyなどの創業者や役員からのエンジェル投資もある。

同社は2017年にCEOのKelly Nyland(ケリー・ナイランド)氏とCOOのRhenee Bartlett(レニー・バートレット)氏が創業した。2人はともに、Snapに在籍していた。ナイランド氏はSnapの消費者プロダクトとマーケティングのトップとして、SnapのARサングラスSpectaclesの市場開拓戦略をつくった。バートレット氏はSpectaclesのイベントマーケティングとパートナーシップを担当。Whymの創業に加わりエンジニアリングのVPになったRyan Hornberger(ライアン・ホーンバーガー)氏は、彼のスタートアップであるScan, Inc.が買収されたあとSnapで働き、SnapchatのSnapcodeの基本を作った。

画像クレジット:Whym

Snapにいたときナイランド氏は、ユーザーの多くが、毎日、DM(ダイレクトメッセージ)の画面からSnapを利用し始めることに気づいた。そこで彼女は同社に、アプリ機能の一部として、ブランドと消費者がSnapの上で直接コミュニケーションできるようにしたらどうか、と提案した。

「その経験から、未来のソーシャルショッピングではメッセージングがとても重要だと確信しました」とナイランド氏はいう。

Whymのチームは、メッセージングとコマースを一体化して、テキスト(SMS)やDMのスレッドでショッピングができるようにすれば、ソーシャルショッピングの新しいかたちになると確信し、2018年にベータでローンチした。それによりブランドは、テキストメッセージで「買い物行動に対する応答」ができるようになった。

その後、Whymは小さな店を提供し、それをテキストによるキャンペーンと組み合わせて、その場で商品を買えるようにしている。テキストのやり取りで色やサイズなどを指定することができ、チェックアウトもできる。ブランドはソーシャルメディアやメッセージングアプリで、他の場所のリンクを宣伝してもよい。それを、リンクインバイオやスワイプアップ(Instagramのリンクステッカーなど)、メッセージングアプリなどで展開できる。

画像クレジット:Whym

消費者は、これまでのようにモバイルサイトをあちこちクリックしなくても、簡単かつ迅速に精算できる。小さな店に行ってカートをカスタマイズし、それからApple PayやGoogle Payをタップして買い物が終わる。Whymは初期のようにテキストでチェックアウトもできるが、今後は消費者の電話番号を使う方法も導入する。つまり2022年から、消費者は商品を選んで電話番号を入力すると、それだけでその商品に対する関心や近く買う意思を示せる。従来のようにウェブサイトのリンクを送ったり、スクリーンショットを撮ったりしなくてもいい。

今後は、Whymが顧客にユニバーサルカートを提供して、いろいろなブランドから買い物できるようにし、またブランド側はユーザーに、案内メッセージを送れるようにする。

「中心的な業種は、新進気鋭のD2Cブランドや美容、ウェルネスなどとなります。リピートの多いブランドを重視したい。Whymにできることは顧客のカートを個別一対一で再構築して、そうしたブランドのための「買い物によるリプライ」(リプライの一環として購入アクションがある)を作っていくことです。そのためにはバックグラウンドでテキストメッセージングのパワーを利用して、ブランドと消費者に生じるリピート購入体験を自動化していきます」とナイランド氏はいう。

Whymを利用しているブランドは今数百社で、1回のオーダーにつき3%+10セント(約11円)の手数料を払っている。今同社は年間総取引額が5000万ドル(約56億8000万円)から2億5000万ドル(約284億円)という高級で高額なブランドに注力し、段階的な料金制を導入しようとしている。まだ、そのレートは発表されていない。

自分のブランドをWhymに統合したい人は、その処理の一部始終をセルフサービスでできるが、約10分間かかる。同社の営業チームが、Whymのデモをしたり、Whym統合や最初のキャンペーンを手伝ってくれる。

現在、同社は社員が50名ほどで、今回の資金は新しいブランド顧客の開拓とプロダクトの機能強化に充てる。新しい機能の多くは、顧客の要望によるものだ。これまでWhymは、700万ドル(約8億円)を調達している。

画像クレジット:skaman306/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターが一部ユーザーのアプリデザインを変更し「スペース」を中央のタブに、音声チャットルームに注力

Twitter(ツイッター)はアプリをアップデートして、音声チャットルームのTwitter Spaces(スペース)をユーザー体験の中心に据えようとしている。米国時間6月3日、Twitterは一部ユーザーのモバイルアプリで、Twitter Spacesのタブをメインのナビゲーションバーにレイアウトした(最初はiOSから)。これによりTwitter Spacesはバーの中央に位置することになり、検索の拡大鏡と通知のベルの間に置かれる。Spacesが他のタブを追いやってしまうことはないため、バーのアイコンの数は4つから5つへと増える。

まだこのアップデートを確認できないユーザーもおり、最初はSpacesのベータに協力したユーザーの内約500名に対して、この通称「Spaces discovery tab(Spacesディスカバータブ)」が6月3日から展開される。

Twitterによると、このタブはSpacesがユーザーがフォローしている人たちによって、現在ホストされていることを示すが、タイムライン上部のFleetラインのようには表示されない。むしろそのディスカバータブはSpacesをもっとビジュアル的に表示し、今後のSpacesについてツイートしたときに出るプロモーションカードに似たものになる。

画像クレジット:Twitter

TechCrunchへの説明でTwitterは、Spacesがどれだけ楽しくても、専用のスペースがないためそのライブのイベントを見つけたり追跡することが難しい。新しいタブは、それを変えるものだという。

タブの中では、現在アクティブなSpacesが、その名前やホスト、現在の参加者なども含めもっと詳しくわかる。またこのタブの中でユーザーは、スケジュールされているSpacesのリマインダーを管理し、それらが始まるときに通知が届いたり、Twitterにフィードバックを送ってもっと参加したいSpacesを教えたりできる。

アプリ研究者であるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏がTwitterのアプリ改訂プランを知り、Spacesがナビゲーションバーに来ることがわかったのは、2021年5月のことだ。

現状ではフォロワー数が600名以上のユーザーがSpacesの主催を認められているが、今回タブがローンチしてもそれは変わらない。しかしSpacesに関するTwitterのプランはもっと大きく、今度のディスカバー機能で見つけやすくなったスケジュール上のSpacesだけでなく、チケットがあるイベントや、共同主催イベント、アクセシビリティの改善なども予定されている。

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Clubhouseが全世界でAndroidアプリを提供、日本では5月18日から

Spacesをナビゲーションバーに直接置けば、Twitterの音声チャットルームは強調されることになり、これまでのようにTwitter版Clubhouseに関心のないユーザーに無視されることも少なくなる。現在、Clubhouseもアクセスが拡大している。Androidでデビューした後、Clubhouseはすでに200万のAndroidユーザーが参加したと発表した。

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一方Twitterは、これまでSpacesを試用したユーザーの数を、ホストについてもエンドユーザーについても公表していない。

今回のローンチと並行して、TwitterはHome Timeline(タイムライン)からの誰かのプロフィール画像のまわりに紫のリングを表示するといったこれまでテストしたSpacesの他の機能も展開するだろう。

現在、プロフィール写真はブルーのリングで強調され、タップするとそのユーザーのFleets(フリート)へ飛ぶ。しかし紫のリングでは、そのユーザーが現在、Spacesでアクティブかどうかがわかる。さらにそのユーザーのプロフィールをタップすれば、そこに参加できる。これにより、いつものように自分のタイムラインをただスクロールしているときでも、Spacesを見つけやすくなる。

Twitterによると、この新しいSpacesのタブは、ベータテストに参加した人たちでテストした後、より多くのユーザーで展開されえることになっているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterTwitter Spaces音声ソーシャルネットワーク

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

DisneyとDiscoveryの元幹部が「ストリーミングサービスのClassPass」Struumを今春ローンチ

Disney(ディズニー)とDiscovery(ディスカバリー)の元幹部たちが手を組み、今春、Struum(ストゥルーム)と呼ばれる新しいストリーミングサービスを立ち上げる。これは、ClassPass(クラスパス)モデルをストリーミングの分野に適用することを狙っている。つまり、ストゥルームの計画は、小規模な動画配信サービスからコンテンツを集め、独自のサブスクリプションで提供するというものだ。

ストゥルームのアイデアは、創業者のLauren DeVillier(ローレン・デヴィリアー)氏(Discovery Ventures(ディスカバリーベンチャーズ)の元プロダクト責任者)、Eugene Liew(ユジーン・リュー)氏(Disney+(ディズニープラス)の元プロダクト・テクノロジー担当副社長)、Paul Pastor(ポール・パスター)氏(Discovery Networks(ディスカバリーネットワークス)の元戦略・収益・オペレーション担当執行副社長)、そしてThomas Wadsworth(トーマス・ワズワース)氏(Walt Disney Imagineering(ウォルト・ディズニー・イマジニアリング)の元先進プロダクト開発責任者)によって生み出された。

このサービスは、ディズニーの元CEO、Michael Eisner(マイケル・アイズナー)氏から同氏の投資会社Tornante Company(トルナンテ・カンパニー)を通じて支援を受けている。また、動画サービスの運用技術を提供するFirstlight Media(ファーストライトメディア)も、この新しい取り組みに投資し協力している。3番目の投資会社、Gaingels(ゲインジェルズ)はLGBTQ+の創業者や支持者の支援に力を入れている企業だ。

2020年のNielsen(ニールセン)のデータによると、現在、ストリーミング動画配信の分野は、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、Amazon Prime(アマゾンプライム)、Apple TV+(アップル・ティーヴィープラス)、YouTube(ユーチューブ)、HBO Max(エイチビーオー・マックス)、ディズニープラスなどの大規模なサブスクリプション企業で合計75%のシェアを占めており、市場は飽和状態にある。それにもかかわらず、ストゥルームのチームは、同社のサービスには可能性があると考えている。

ストゥルームは、まだ250を超えるニッチなサービスや専門サービスから成るロングテールが存在するため、コンテンツライブラリを成長させ、同社のパートナーが潜在的な顧客とつながれるよう支援できると主張する。

しかし、それを実現するためのモデルは、クラスパスサービス(地元のジムやスタジオのフィットネスクラスを試すことができる仕組み)に大きくインスパイアされており、ストリーミングビジネスとしてはユニークなものだ。

「私はクラスパスのヘビーユーザーで、このモデルがとても気に入っています。そして、このモデルを使って、この集約型のサービスを提供するというアイデアについていろいろ考え始めました」とデヴィリアー氏は説明する。同氏が言う「スペースと表現方法を見つけようとしている」ストリーマーという、十分なサービスが提供されていない市場に対応するための方法について、この創業者たちは話し合っていた。

ストゥルームは、ストゥルームのアプリでさまざまなサービスを提供し、利用者には月額でサブスクリプション料金を請求することで運営する。しかし、アプリ内でコンテンツが使い放題になるのではなく、クラスパスとジムの提携の仕組みと同じように、利用者にはコンテンツの試用や利用に使うことができる「クレジット」が一定数与えられる。

そして利用者が、あるサービスのコンテンツに日常的にアクセスしていることをストゥルームが把握した場合、そのサービスから直接コンテンツを利用するよう提案する。利用者は、ストゥルームアプリ内から直接そのサービスに加入することも選択できる。

つまりストゥルームは、パートナーのコンテンツをホスティングするだけでなく、パートナーの顧客獲得エンジンとしても機能する。

利用者にとっては、特定の番組や映画を見るためだけに、さまざまなサービスに加入して退会するといったことを繰り返す必要がなくなる。また、コンテンツプロバイダーにとっては、独自のスタンドアロンのサブスクリプションアプリを立ち上げなくても、視聴者を獲得することができる。

ストゥルームは、サブスクリプションから収益を得て、コンテンツパートナーと共有する。パートナーには、パスター氏が「意欲的なティアワン」と表現するブランドが含まれるだろう。それは現在、新しいストリーミング視聴者を探している従来の有料テレビ業界のプロバイダーかもしれない。また、バーティカルメディアブランドや、現在は広告付き動画配信(AVOD)サービスを運営しているが、サブスクリプション型動画配信市場に参入したいと考えている企業も含まれる可能性がある。

画像クレジット:Struum

同社は既に、まだ名前を挙げていない30程度のストリーミングパートナーと契約を結んでいて、その結果、現在2万を超えるテレビシリーズ、映画、短編映画を確保した。これらのコンテンツは、Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)アーキテクチャ上で動作する、ファーストライトメディアと共同で構築されたプラットフォーム上で提供される予定だ。

このスタートアップの共同創業者たちは、ストゥルームの準備にそれほど長く携わってきたわけではなく、2020年の初頭、米国で新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが始まる直前にチームを結成したに過ぎない。外出を控える大勢の人々が自宅で楽しく過ごせるように動画サービスを利用したため、パンデミックによって必然的にストリーミング市場の成長が加速した。このおかげで、ストゥルームは、スタートアップの立ち上げまでの時間を短縮できた。

「Zoom(ズーム)を介して会話をすることで、投資家やコンテンツパートナー、タレントなど、24時間から48時間程度で人を紹介してもらうことができ、プレゼンを行うために国内を飛び回ったりロサンゼルスの街中を車で移動したりする必要がありませんでした。そういう意味では、かなりスムーズに事業を加速させることができました」とパスター氏は語る。

ストゥルームは、リモートワークが一般的になったことで、拠点のロサンゼルス以外の場所でも人材を採用できるようになった。現在10人のチームには、米国の他の地域はもちろん英国にもスタッフがいて、近い将来、パンデミックが終わっても、遠隔地に分散したオペレーションを継続することを目指している。

ストゥルームは、数百もの小規模なサービスに散らばって配信されている未利用のコンテンツが、人目に付かないまま大量に放置されているという、昨今のストリーミング業界の問題を的確に認識している。しかし、この問題に対処するために取っているアプローチ(クラスパスのようなサブスクリプション/クレジットモデルの下でコンテンツを集約すること)が原因で、ストゥルームのサービスはAVODプロバイダーとの競争に引き込まれることになる。利用者はネットフリックスなどのサービスで観たいものを見つけられないときに、ストゥルームやAVODプロバイダーのサービスでコンテンツを探すのである。そして、ここに競争が生まれる。

つまり、ストゥルームが直面している課題は、テレビを見ることに関する習慣を本質的に変えるよう利用者に働きかける必要があるということだ。

「現在、こうした習慣はたいてい、まずネットフリックスをチェックして、次にアマゾンをチェックするといったものでしょう」とパスター氏は説明する。「そして利用者は、家族向け番組、またはより大人向けのコンテンツを見たいかによって、第3の選択肢としてディズニープラスやエイチビーオー・マックスでコンテンツを探します」と同氏は続ける。

「目指しているのは、これらの要素を集約し、ストゥルームが3番目か4番目の選択肢となることです。ストゥルームでは、1つのサブスクリプションを管理するだけで他のサービスをすべてチェックできるのです」とパスター氏は付け加えた。

ストゥルームは立ち上げ後、集約モデルの別のメリットである顧客データを迅速に活用して、コンテンツライブラリを最適化し、将来のパートナーシップの指針とすることを計画している。

「非常に戦略的な背景から形成されたアプローチを取ってきました。利用者の声に耳を傾けるという指針にも従っています。それはディスカバリーやディズニーのブランドの歴史にも通じるものであり、すぐ目先の重点課題でもあります」とパスター氏は語る。

ストゥルームは春にウェブ、モバイル、テレビのプラットフォームに対応したサービスを開始する予定だ。また、グローバルな展開も、その先に見据えている。

関連記事:動画配信サービスCBS All Accessの後継Paramount+が米国・カナダ・中南米で2021年3月4日開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:動画配信

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

Twitterが学術研究者向けの新しいAPIプラットフォームを公開

米国時間1月26日、TwitterはAPIプラットフォームの新たなプロダクトトラックを公開した。これは同社がTwitter APIを根底から再構築している取り組みの1つだ。このトラックは学術研究者のニーズに応えようとするもので、Twitterのアーカイブに広範にアクセスできツイートの検索に関する制限が緩和される。これにより研究者はTwitterプラットフォーム上で公開された会話の履歴すべてにアクセスできるようになる。

研究者はこれまでにリリースされアクセスできるようになっているTwitter API v2のすべてのエンドポイントに加え、詳細なフィルタリング機能も利用できるようになる。

具体的には、アーカイブ全体の検索エンドポイントを利用してTwitter上のすべての発言にアクセスできる。開始時刻と終了時刻のパラメータを使って時系列で絞り込むこともできる。

画像クレジット:Twitter

研究者に対しては、Twitter API v2で取り出せるツイート数の月間の上限も大幅に引き上げられる。APIアクセスのベーシックレベルでは上限は50万ツイートに設定されているが、アカデミックリサーチトラックのベーシックレベルでは当初の上限が1000万ツイートとなる。この上限は最近の検索、フィルタリングされたストリーム、アーカイブ全体の検索、ユーザーのツイートおよびメンションのタイムラインのエンドポイントに適用されるとTwitterは説明している。

アカデミックリサーチトラックではユーザーのデータを正確に取得できるよう、他では利用できない演算子も利用できる。現時点では$ (キャッシュタグ)、bio、bio_name、bio_location、place、place_country、point_radius、bounding_box, -is:nullcast、has:cashtags、has:geoの演算子がある。

研究者はフィルタリングされたストリームのエンドポイントを利用する際に、スタンダードトラックでは上限25のところ、最大1000のコンカレントルールを追加することもできる。最近の検索のエンドポイントに関するクエリは、スタンダードトラックでは最大512文字のところ1024文字となる。

アクセスレベルが引き上げられるため、アカデミックリサーチのプロダクトトラックを利用したい人は最初に申請する必要だ

申請できるのは修士課程の学生、博士号取得希望者、ポスドク、学術研究機関か大学で学部または研究の職に就いている人。明確な研究目的があり、調査によって得られたTwitterデータの利用、分析、共有に関する具体的な計画を示す必要がある

さらに、アカデミックリサーチのプロダクトトラックで使用したデータは商用目的では一切使用してはならないとTwitterは注記している。

画像クレジット:Twitter

学術研究者はTwitterのAPIが2006年に公開されたときからこれを活用し、さまざまなテーマの研究にデータを利用してきた。例えば、公衆の会話を混乱させようとする国や政府の動き洪水と気候変動新型コロナウイルス(COVID-19)に関する姿勢と認識オンラインでの健全な会話を促進する取り組みなどの研究に利用されてきたとTwitterは説明する。

しかしTwitter APIの初期バージョンでは研究者にとってデータを利用しやすくすることにはならず、TwitterはAPI v2でこの問題に対応しようとしてきた。

これまでTwitterは研究者に対して、学術研究専用のウェブサイト、他者の研究の再現と検証をしやすくする開発者ポリシーの更新、2020年4月に公開されたCOVID-19ストリームエンドポイントのような特化したエンドポイントなどを提供してきた。しかしAPI v2以前は、研究者がTwitterの制限を回避する方法を見つけ出すのではなく研究に本当に役に立つツールを作れるようにする配慮は不十分だった。

アカデミックリサーチのプロダクトトラックは2020年10月にプライベートベータのテストが開始されていた。現在は幅広く公開され、無料で利用できる。

Twitterによれば、今回のアカデミックトラックも含めプロダクトトラック全般に関してさらに高いレベルのアクセスを将来的に追加する計画だという。今回公開されたものよりもさらに多くのデータを必要とする研究者にとっては、高レベルのアクセスが可能になれば研究の役に立つだろう。またTwitterは、年間を通じて開発者が消費するデータ量に対応できるようアクセスを柔軟にすることも検討しているという。

関連記事:TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterAPI学術研究

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

Plexがレトロゲーム専門のストリーミングサービス「Plex Arcade」をローンチ

近年ストリーミングに事業を拡大したメディアソフトウェアメーカーのPlex(プレックス)はまたもサービスを拡大する。同社は米国時間1月26日、ゲームストリーミングサービスを立ち上げた。Microsoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のような企業のゲームストリーミングと違い、立ち上がったばかりの「Plex Arcade」は、最も売れているゲームやリリースされたばかりのものではなくレトロゲームにフォーカスしている。リリースにあたり、同サービスでは「Asteroids」「Centipede」「Missile Command」「Adventure」「Ninja Golf」などを含む30のゲームを提供している。

ゲームストリーミングは、Plex社内インキュベーターであるPlex Labsからのスピンアウトで、同社にとってはレトロゲーム分野への転換というよりも情熱的な意味合いが大きいとのことだ。ゲーム提供のためのテクノロジーはすでに95%構築済みだったため、チームはユーザーにとってサプライズとなるよう、またPlexの幅広いエンターテイメントプラットフォームになるという基本的な使命を拡大する方法として、ゲームストリーミングサービスにまとめることにした。

Plexにゲームを追加するというアイデアは実際には何年もの間温められてきた、と同社は話す。しかし特に2020年は個人の関心、そして気晴らしの必要性というアイデアにチームは惹かれていた。

画像クレジット:Plex

Plex Arcadeは、新たなパートナーParsec(パーセク)のサポート、そして同社の低遅延ストリーミング技術によって構築されたとPlexは話す。これらのサポートがあったからこそ、フルに楽しめるゲームライブラリーができあがった。

ゲームライブラリーを作るにあたり、Plexはクラシックゲーム作品のカタログのライセンス使用でAtariと提携した。

現在利用できるゲームは次の通りだ。

  • 3D Tic-Tac-Toe
  • Adventure
  • Alien Brigade
  • Aquaventure
  • Asteroids
  • Avalanche
  • Basketbrawl
  • Centipede
  • Combat
  • Dark Chambers
  • Desert Falcon
  • Fatal Run
  • Food Fight (Charley Chuck’s)
  • Gravitar
  • Haunted House
  • Human Cannonball
  • Lunar Battle
  • Lunar Lander
  • Major Havoc
  • Millipede
  • Missile Command
  • Motor Psycho
  • Ninja Golf
  • Outlaw
  • Planet Smashers
  • Radar Lock
  • Sky Diver
  • Sky Raider
  • Solaris
  • Super Breakout

プロジェクトには提携とライセンスの費用がかかっているため、Plex Arcadeは無料で追加されるわけはない。

Plex Pass会員(Plexの月4.99ドル、約520円のプラン)はそれとは別に月2.99ドル(約310円)で利用できる。Plex Passの会員でない人は月4.99ドルで利用できる。7日間の無料トライアルもある。

Plex ArcadeはWindowsまたはMacで動く。つまりLinux、NASデバイス、NVIDIA Shieldでは利用できない。一方、ゲームプレイはiOS、Android(モバイルまたはTV)、tvOS、Chromeウェブブラウザに限定されている。

またユーザーのデバイスで使えるBluetoothまたはUSBのゲームコントローラーをサポートし、Chromeベースのゲーミングでは、キーボードも使用できる。またPlexは、最も快適なプレイ体験のためにSony DualShock 4あるいはXbox Oneコントローラーを推奨している。

画像クレジット:Plex

サービスの拡大について、同社はしばらく様子見というスタンスだ。サブスクというかたちで興味を引きつけたら同社はさらなる拡大を検討するだろう。

Plex ArcadeはPlexユーザーにとって増えつつあるエンターテインメントオプションのラインナップに追加された最新のものだ。

過去数年、Plexはホームメディアコレクションを整頓するツール以外にもサービスを拡大し、ユーザーがアンテナあるいはウェブ経由ストリーミングされるテレビを視聴したり、音楽ポッドキャストを聴いたり、広告が入る映画やテレビニュースなどを見たりできるようにした。

こうした取り組みはユーザー成長という点でゆっくりと成果をあげている。2017年のPlexの登録ユーザー数は1000万人だった。数年後には1500万人になり、今や2500万人とのことだ。

Plex Arcadeはすでに利用できる

関連記事:ストリーミングサービス運営のPlexが共同視聴機能を提供、同社ライブラリやユーザーコンテンツを楽しめる

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Plexレトロゲーム

画像クレジット:Plex

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(翻訳:Mizoguchi

iMessageなど15種のメッセージをまとめて送受信できるPebble創業者が開発したアプリ「Beeper」

数十年前、Trillian(トリリアン)と呼ばれるソフトウェアプログラムは、インターネットユーザーがICQ、AIM、MSN Messenger(MSN メッセンジャー)など複数のIM(インスタントメッセンジャー)ネットワークと1つのウィンドウでやり取りする方法を取り入れた。

現在、Pebble(ペブル)の創設者で Y Combinator(Yコンビネータ)のパートナーであるEric Migicovsky(エリック・ミンコフスキー)氏は、このコンセプトを再検討しているが、今回は現代のチャットアプリケーションへのアクセスを集中化することに焦点を当てている。

新しく立ち上げられたアプリ「Beeper(ビーパー)」を通じて、ユーザーはWhatsApp(ワッツアップ)、Telegram(テレグラム)、Signal(シグナル)、Instagram(インスタグラム)、Twitter(ツイッター)のDM、Messenger(メッセンジャー)、Skype(スカイプ)、Hangouts(ハングアウト)などを含む15種類のメッセージングサービスに接続することができ、さらにはちょっとした裏ワザを使えばiMessage(アイメッセージ)にも接続することができる。

ミンコフスキー氏は、スマートウォッチの先駆的企業だったPebbleが、Fitbit(フィットビット)に買収される前、同社で働いていた時にユニバーサルチャットアプリのアイデアを最初に思いついたという。

「本当はPebbleでiMessageを送信できるようにしたかったのですが、iMessageのAPIがないため、その方法を見つけることができませんでした」と、ミンコフスキー氏は説明する。しかし、同氏は2年前にMatrix(マトリクス)というプロトコルを知り、Beeperのアイデアが頭に浮かんだという。「BeeperのすべてはMatrixの上に構築されています。Matrixはオープンソースの暗号化されたメッセージングプロトコルです」と、同氏はいう。

ミンコフスキー氏はMatrixのことを、ほとんど「ハッカーのもの」と表現しているが、開発者の間では、Matrixの人気が出始めていると、同氏は考えている。Matrixは基本的に、開発者が「bridge(ブリッジ)」を使用して他のチャットネットワークに接続することができるAPIを提供している。このブリッジと呼ばれるソフトウェアを介して、1つのメッセージングサービスから別のサービスへ、メッセージを送受信できる。

「私はそれを知ったとき、『Matrixを使ってTrillionを作ることができるんじゃないか』と思いました」と 、ミンコフスキー氏は語っている。

画像クレジット:Beeper

ミンコフスキー氏は、Matrixのチャットルームで知り合ったMatrixのコントリビューターであるTulir Asokan(チューリル・アソカン)氏と、サイドプロジェクトとしてBeeperに取り組み始めた。

Beeper(以前はNovaと呼ばれていた)をすべての異なるチャットアプリで動作させるために、彼らは各アプリをつなぐ「ブリッジ」を構築しなければならなかった。このコードはオープンソースで、Gitlab.com/Novaでも公開されている。

「どんなコードを実行しているかを知ることは、人々にとって非常に重要だと我々は考えています。だから、すべてオープンソースなのです。人々はそれを調べることができます」と、ミンコフスキー氏は述べている。「そのおかげで、人々はサービスへのアクセス料として月額10ドル(約1040円)をBeeperに支払う必要もなくなります。自分たちが何をするのかわかっていれば、自分たちのサーバーでブリッジを動かすことも可能です」。

Beeperでは、すべてのメッセージングプラットフォームごとにそれぞれ独自の設定が必要だが、iMessageを動作させるのが最も複雑だった。その解決策は次のように、控えめにいっても少々ややこしい。

それは実際、Beeperがユーザーに古い脱獄済みのiPhone 4S(iPhone 4Sは安いので)を送付し、それをブリッジとして機能させるというものだ。iPhoneにインストールされたコードは、iMessageが保存されているデータベースファイルを読み書きする。iPhoneはメッセージを自分の秘密鍵で暗号化し、Beeperのネットワークを介して送信するため、Beeper(会社)は、ユーザーが送信したメッセージを読み取ることはできない、とミンコフスキー氏はいう。

このプロセスによりAndroid、Windows、LinuxのユーザーもiMessageを使うことができるようになる。しかし、BeeperがiMessageを利用できるようにした方法はこれだけではない。常時接続のデバイスを持っているMacユーザーは、iPhone 4Sを使う代わりに、Beeper Macアプリをインストールしてブリッジとして機能させることもできる。

ミンコフスキー氏は、Apple(アップル)による強制シャットダウンや訴訟を恐れていないという。

「彼らに何ができるでしょうか?」と、ミンコフスキー氏は修辞疑問文で尋ねた。

Appleが何らかの方法で、Beeperがユーザーに脱獄済みのiPhoneを提供することを阻止したとしても、同社は顧客をコミュニティサイトのCraigslist(クレイグスリスト)にリダイレクトし、そこで同社から古いiPhoneを手に入れるようにすることができる。一方、ソフトウェア自体はオープンソースであり、ユーザーの自宅のiPhone上で実行されている。だから、実際にBeeperがiMessage自体に「ハッキング」しているわけではない。

「メッセージングの自由という現在の状況を考えると、Appleが自分たちのユーザーとケンカを始めるのは正気の沙汰ではないと思います」と、ミンコフスキー氏は付け加えた。さらに同氏は、欧州委員会がGDPR(EU一般データ保護規則)と同じように、すべての企業が他のプラットフォーム向けにメッセージングをオープンにすることを義務づける法案に取り組んでいることに注目する。

「この法案が通れば、法的にBeeperが行うようなことをする人をブロックできなくなります」と、ミンコフスキー氏は指摘した。

画像クレジット:Beeper

Beeperはもちろん、iMessageのロックダウンを突破しようとすることに注力した最初のスタートアップでもなければ、唯一のスタートアップでもない。たとえばAirMessageweMessageのように、過去には他のアプリがこれを試みてきた。しかし、これらのアプリは限られた適用に留まっている。また、チャットアプリケーションを一元化しようとしているのも、Beeperだけではない。Texts.comも同様のシステムを開発している。

そうはいっても、Beeperの登録者数は、ミンコフスキー氏が予想していたよりも多かったと同氏はいう(具体的な数字は明らかにしなかったが)。その結果、ユーザーの登録に時間がかかっているという(そのため、我々は実際にBeeperを使用できておらず、その使い勝手や要望などは語ることができない)。

競合他社と比べて、Beeperが優位に立つ可能性があるのは、何が優れたユーザーエクスペリエンスになるのかを理解していることだろう。Pebbleは最終的に、200万本以上のスマートウオッチを販売した

Beeperは現在、検索、スヌーズ、アーカイブ、リマインダーなどの機能を備えており、MacOS、Windows、Linux、iOS、Androidで動作する。

長期的には、他のチャットアプリのようにテキストやメディア、ステッカー、絵文字を共有するだけでなく、それ以上のことができるプラットフォームを、ミンコフスキー氏は構想している。チームは、人々がBeeperの上に、より多くのツールやアプリを構築できるプラットフォームを作ろうとしている。それはGmailのプラグインのようなシステムだ。たとえばユーザーがチャット内からカレンダーにイベントをスケジュールできるツールや、あるいはClearbit(クリアビット)のように、特定のユーザーとの最近のメッセージを複数のプラットフォームにまたがって表示できるツールも可能かもしれない。

ミンコフスキー氏は、Beeperの開発資金の詳細についても言及しなかったが、Beeperは彼にとって次のステップ、つまり新しい会社としてそこで働く可能性があるのではないかと尋ねると、「そうなるかもしれません」と答えた。

「今のところ、私はYC(Yコンビネータ)での時間を楽しんでいます。すばらしい仕事です。YCで一緒に働いているすべての企業から刺激を受けています。ベンチャーキャピタルの仕事の一部は、クールなものを作り上げてそれを起ち上げたすべての起業家たちと話をすることです。私は少し嫉妬しています」と、同氏は認めた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:メッセージチャットツールオープンソースBeeperPebble

画像クレジット:Beeper

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Pinterestがアイシャドウを購入前に試せるバーチャルメイク機能を発表

Pinterest(ピンタレスト)は米国時間1月22日、オンラインショップの買い物客が新しいアイシャドウをバーチャルで試用できる拡張現実機能を発表した。当初はLancome(ランコム)、YSL(イヴ・サンローラン)、Urban Decay(アーバンディケイ)、NYX Cosmetics(ニックス コスメティックス)などのブランドの約4000種類の製品を画面上で試すことができる。

Pinterestによれば、この「AR Try on(日本では「バーチャルトライ」)」機能は、既存の「Pinterest レンズ」と呼ばれるカメラで撮影した画像から検索する技術や、検索結果をさまざまな肌の色から選択する機能、そしてコンピュータビジョンを使ったおすすめ機能を活用しているという。また、同社はデータパートナーであるModiFace(モディフェイス)の技術も取り入れており、顔認識によってデジタル化されたパラメーターを元に、選択したアイシャドウがModiFaceのデータベースでマッピングされ、高画質なレンダリングが行われる。

これがPinterestによる最初のバーチャルメイク機能というわけではない。同社は1年前に口紅のAR Try onを開始している。この機能を使ってバーチャルで試用できる口紅の色は、現在では1万色にまで拡大しており、Estée Lauder(エスティローダー)、bareMinerals(ベアミネラル)、Neutrogena(ニュートロジーナ)、NARS(ナーズ)、Cle de Peau(クレ・ド・ポー)、Thrive Causemetics(スライヴコーズメティックス)、NYX Professional Makeup(ニックス プロフェッショナル メイクアップ)、YSL Beautét(イヴ・サンローラン・ボーテ)、Lancôme(ランコム)、Urban Decayなどのブランドによる4800万枚の「ピン」から見つけることができる。Kohl’s(コールズ)などの小売店も、消費者にリーチするためにAR Try onを利用している。

今回新たに導入されたアイシャドウのAR Try onでは、色や価格帯、ブランドなどの条件で商品検索結果を絞り込むことが可能だ。気に入ったものを見つけたら、すぐに購入したり、ボードに保存したり、関連ボタンを使って似たような色合いのピンを探すことができる。

画像クレジット:PInterest

アイシャドウへの拡張は、ユーザーが単に個々の色を試すだけでなく、より多くのフルメイクを試すことができるようになったことを意味する。Pinterestによれば、トグルで口紅とアイシャドウを切り替えて、一度に複数の製品を試すことができるようになったという。ModiFaceのアプリや、YouCam メイクSephora(セフォラ)のVirtual Artist(バーチャルアーティスト)Ulta(ウルトラ)のGLAMLab(グラムラボ)などのARビューティーアプリが登場したことによって、ARを使ったバーチャルメイクアップ体験はここ数年で人気が高まっている。また、L’Oréal(ロレアル)はウェブサイト上で「Live Try-On」を提供したり、Facebookと提携してバーチャルメイクアップをソーシャルメディアに導入している。Target(ターゲット)のオンラインストアも、バーチャルメイクアップを提供している。

さらに最近では、GoogleがARバーチャルメイクアップの分野に参入。当初はYouTubeで一部の美容インフルエンサーが自分の動画にARを使った化粧品の試用を組み込むことができるという、限定的な機能の提供を開始したが、2020年12月にはModiFaceと提携し、Google検索でバーチャルメイクアップ機能を導入。ARを使った化粧品の試用体験を本格的に取り入れた。

しかし、今回のPinterestによる新たな発表は、視覚的な検索技術とバーチャルメイクに関しては、再びGoogleより先行したことを意味する。PinterestではGoogleよりも多い口紅の試用を提供するだけでなく、今では製品分野までも拡大し、アイシャドウのバーチャル試用も可能になったのだ。

Pinterestによると、このAR Try on機能は、ビジュアルなショッピング体験を創造し、顧客の意思決定プロセスの早い段階でリーチしたいと考えているブランドに無料で提供されているという。同社はショッピングを含む広告を通じて収益を上げ続けており、AR機能それ自体で儲けたり、AR Try onで購入に結びついた製品の売り上げから利益の一部を求めることはしないという。

「AR Try onのような機能を導入して、Pinterestをショッピングに利用しやすくすることで、このプラットフォームはPinners(Pinterestユーザー)にとってさらに魅力的で実用的なものになり、その結果、広告の利用率やクリック率が増える可能性があります」と、広報担当者は説明している。また「Try onのような有機的な機能や、製品のピンを作成するためのカタログの取り込みによって、ブランドがサイト全体のアクセス数を引き上げ、それが我々の収益戦略を補完することになるのです」と、広報担当者は指摘している。

PinterestがAR Try on機能にアイシャドウのサポートを加えたことは、時勢にかなっている。一部の美容ブランドの売り上げは、新型コロナウイルスによって落ち込んでいる。マスクを着用する際に隠れてしまう唇に口紅を使っても意味がないため、特にリップスティックの販売が激減しているのだ。代わって現在の美容トレンドは、目を強調することにシフトしており、明るく大胆な色のアイシャドウや、ワイルドなフローティングアイライナー大きな付けまつ毛などに注目が集まっている。これはもちろん、ソーシャルメディアに投稿する写真を撮影する時の効果も狙ったトレンドだ。

Pinterestによると、実際にこのAR機能は潜在的な顧客に購入を決断させている傾向が見られるという。2020年のPinterestの調査によると、ユーザーはAR Try on体験の利用を始めると、平均6色の口紅をバーチャル試用し、それから購入意思を示す可能性が、通常のピンと比べて5倍に増えたという。

新しいアイシャドウのAR Try onは、米国では1月22日より、iOSとAndroid向けアプリのPinterestレンズで利用できる。

関連記事:YouTubeのAR機能でビデオを見ながら仮想メイクを試せる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinterestネットショッピング拡張現実化粧

画像クレジット:Pinterest

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(翻訳:TechCrunch Japan)

動画配信サービスCBS All Accessの後継Paramount+が米国・カナダ・中南米で2021年3月4日開始

2020年、ViacomCBS(バイアコムCBS)は、2019年のViacomとCBSの合併にともなうコンテンツラインナップの拡大をより良く反映させるために、同社のCBS All Access(オールアクセス)ストリーミングサービスが近日中にParamount+としてリブランドされると発表していた。米国時間1月19日、同社は米国でのParamount+のローンチ日を2021年3月4日に決定したと発表した。またラテンアメリカ、カナダ、北欧諸国を含む他の国際市場のローンチ日も公表した。

ラテンアメリカ市場では2021年3月4日にサービスが開始され、カナダでは同時にCBS All AccessからParamount+へとリブランドされる。ただし、カナダでは2021年後半までラインナップが拡充されないという。北欧地域では3月25日にサービスが開始され、その後、オーストラリアでは「2021年半ば」にサービスが開始されるとのこと。

ViacomCBSは2020年初めから、CBS All Accessの拡張であるこの新しいストリーミングサービスは、現在CBS All Accessでストリーミングされている複数の「Star Trek(スタートレック)」シリーズや「The Good Wife(グッド・ワイフ)」のスピンオフ作品「The Good Fight(ザ・グッド・ファイト)」などの増えているオリジナルコンテンツのコレクションを含め、同社の有名シリーズや大規模なコレクションを配信できるようになる、とリブランド計画を宣伝していた。

また新サービスはNFL、NCAAやPGAなどのスポーツリーグの試合中継や、CBSN地方局のニュースのライブ配信も継続して行うという。

2020年、ViacomCBSはさらに「The Godfather(ゴッドファーザー)」の製作過程を描いたオリジナル限定シリーズ「The Offer」、Taylor Sheridan(テイラー・シェリダン)氏が製作したCIAのスパイドラマ「Lioness」など、新サービスのために計画された他のオリジナル作品も発表した。また、過去40年間に焦点を当てたVH1の「Behind the Music」のリメイク版、フィクションのヒット番組「Criminal Minds(クリミナル・マインド FBI行動分析課)」を元にした実話の犯罪ドキュメンタリー「The Real Criminal Minds」、BETの「The Game」のリバイバルなども含まれている。

Nickelodeon(ニコロデオン)の「Spongebob Squarepants(スポンジ・ボブ)」から派生した新しい子供向けオリジナルシリーズ「Kamp Koral」を含む子供番組も拡大される。そして、映画「The Spongebob Movie:Sponge on the Run(スポンジ・ボブ:スポンジ・オン・ザ・ラン)」もビデオオンデマンド購読を通し配信されるという。

CBS All Accessは完全なリブランドに先立ち、BET、CBS、Comedy Central、MTV、Nickelodeon、Paramount PicturesといったViacomCBSが所有するブランドのコンテンツを取り入れ、3万以上のエピソードや映画を視聴できるようにすることを目標に、すでにラインナップを拡大していた

ViacomCBS は、Paramount+を独立した配信先にする計画を立てているが、他のストリーミングサービスにもコンテンツのライセンスを与えている。2020年に新たに統合された会社としての最初の1年間で、ViacomCBSはComcast(コムキャスト)、Dish(ディッシュ)、Verizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社)、Nextstar(ネクストスター)、Meredith(メレディス)、Cox(コックス)、Sinclair(シンクレア)と受託放送契約を結び、YouTube TV(ユーチューブTV)とHulu(フールー)とは増分収益に関する契約を締結した。YouTube TVとHuluは、それぞれのラインアップにViacomCBS所有のチャンネルを6つ以上追加し、その結果、価格を引き上げている。

Paramount+は CBS All Accessの既存の技術プラットフォーム上に構築されているため、初日から前身と同じプラットフォーム(TV、ウェブ、モバイル)での配信が可能になる。

現在、CBS All Accessの加入者数は約800万人と推定されており、Disney+(7300万人以上)やHBO Max(1260万人の「アクティブユーザー」)などの新しいライバルよりもはるかに少ない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ViacomCBSParamount+動画配信

画像クレジット:Paramount+

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(翻訳:Nakazato)

AIを利用したリアルタイム音声文字起こしサービスOtter.aiがGoogle Meetでも利用可能に

すでにZoomでオンラインミーティングやウェビナーの録音に使われているAIを利用した音声文字起こしサービスのOtter.ai(オッターエーアイ)は米国時間1月21日、Google Meetのユーザー1億人超へのサービス提供を開始した。しかし今回の場合、Otter.aiはChromeウェブブラウザエクステンションとしてライブでインタラクティブな文字変換とビデオキャプションを行う。

インストールすると、Google Meetのコール中に「Live Notes」パネルがChromeウェブブラウザ上卯で直接起動し、Google Meetインターフェースの横に表示される。パネルは移動させることができ、ミーティングが行われている間スクロールできる。

ユーザーは、オンラインミーティングのライブで翻訳されるテキストを同時進行で確認することができる。さらに文字サイズの調整や、ミーティング終了後に翻訳されたテキストの保存・共有も可能だ。

こうした機能は、事業者がコミュニケーションのミスを減らすのに利用でき、特に英語の話し言葉を理解するのに苦労している非ネイティブにとって役立つ、とOtter.aiは話す。ライブミーティングのコンテンツもより扱いやすくなる。

音声を文字起こししたものはミーティング終了後に共有できるため、ミーティングに参加しなかった人もミーティング内容をキャッチアップできる。これは家事や育児で、いつもの業務ができないこともあるパンデミックによるリモートワーク時代に需要が高まって機能ものだ。

文字起こしされたものは後に画像やハイライトを追加するなど編集でき、キーワード検索をかけることもできる。

加えて、ユーザーはカスタムボキャブラリーをサポートするOtter.aiのライブキャプション機能を使うことも可能だ。Google Meetではすでに他のライブキャプショニングの選択肢もあるが、他サービスとの違いは、Otterのシステムではミーティングが終わった時にコラボ可能な翻訳テキストを作成できることだと同社は指摘する。一方、他のシステムはミーティングの間のみライブキャプションを提供する傾向にある。

新機能を使うには、ChromeユーザーはOtter.aiのChromeエクステンションをChromeウェブストアからインストールし、Otter.aiのアカウントにサインインする。ベーシック、プロ、ビジネスプランのすべてのOtter.ai顧客が新機能を利用できる。

過去にOtterは、無料プランの顧客を有料プランに引きつけようとZoomでのサービス提供に踏み切ったが、今回のGoogle Meetサポートでも同じことを試みたいようだ。Otterの有料プランでは、1カ月あたりの録音できる時間が多く、音声起こしのために音声と動画のインポート、さまざまなエクスポートオプション、高度な検索機能、Dropboxのシンク、追加のセキュリティ対策などさまざまな機能が用意されている。

新型コロナウイルスパンデミックにともなうオンラインミーティングへの移行により、事業は好調だ。同社は2020年4月、2500万ものミーティングの音声文字変換を行い、売上高ランレートは2019年末に比べて倍増した、と述べている。2020年のOtter.aiの売上高は前年の8倍だった。これまでに同社は1億超のミーティング、3000億分を文字起こしした。

関連記事:Zoom会議のリアルタイム文字起こし機能をOtter.aiが提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Otter.aiGoogle Meetビデオ会議文字起こし

画像クレジット:Otter.ai

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(翻訳:Mizoguchi

YouTubeが全ユーザー向けにハッシュタグ・ランディングページを公開、ハッシュタグをクリックで表示

YouTubeは以前からハッシュタグの利用に積極的に取り組んできたが、今回ユーザーがハッシュタグでコンテンツを効率よく発見できるようにする新機能を公開した。従来はYouTubeでハッシュタグをクリックするか、ハッシュタグを含むURLを直接入力すると、関連する多数のコンテンツが返ってきたが、中にはハッシュタグが使われていない動画もあった。YouTubeが公開した新しい「ハッシュタグ・ランディングページ」はこの状況を変えた。

アップデート後はハッシュタグをクリックするとそれを実際に使っている動画だけを含む専用ランディングページが表示される。YouTubeによれば「最高の動画がトップとなるようソートされている」という。ただし、このアルゴリズムはまだ改善が必要だろう。新しい動画と古い動画が奇妙に入り混じっているし、カテゴリーによってはインド製のコンテンツがむやみにたくさん表示される。

今のところYouTubeのハッシュタグ機能はFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSのハッシュタグ検索ほど高度ではない。SNSの検索では投稿時期も考慮され最新のコンテンツが上位に表示される。現在のYouTubeのハッシュタグ検索では、「観たい動画を即座に見つける」(これがそもそもの狙いだったが)のはまだ難しいかもしれない。しかしクリエイターにとってはハッシュタグの有効な活用法を検討するための便利なツールとして役立つはずだ。

たとえば「#interiordesign」というハッシュタグをクリックすると8400のチャンネルと2万9000本の動画が含まれる非常に混雑した場所に連れていかれる。これに対して「#interiordesignlivingroom」のようなニッチなハッシュタグならチャンネル、動画は100未満だ。ユーザーが動画を探すために頻繁にハッシュタグを使用し始めた場合、ターゲットを絞ったタグを使ったほうが発見される確率が高まるわけだ。

画像クレジット:YouTube(スクリーンショット)

YouTubeのハッシュタグ・ランディングページを表示するには動画の説明欄のハッシュタグをクリックする(検索欄でのハッシュタグ検索ではないので注意)。あるいはyoutube.com/hashtag/*****のURL形式でアドレスを入力するとそのハッシュタグのページに直接アクセスできる。(例えばyoutube.com/hashtag/beauty)

この機能のテストで、YouTubeが以前にブロックするとしていたQAnonや#stopthestealなどの選挙関連動画などの物議を醸す用語のハッシュタグページがないことがわかった。

ハッシュタグ・ランディングページ機能は2021年1月初めにYouTubeのコミュニティフォーラムで発表された。ここでYouTubeは「コンテンツをグループ化し、ハッシュタグを使用して動画を見つけやすくする機能」を準備していると説明していた。

今週、YouTubeはCreatorInsiderチャンネルで新機能は「全ユーザーに100%公開された」と強調した。ただしこの動画では「ハッシュタグ検索で新しいランディングページにアクセスできる」としていたが、現在のところそうなっていない。ハッシュタグ・ランディングページはデスクトップ、モバイルの双方で利用できる。

【Japan編集部】YouTubeのハッシュタグは、日本語もサポートしている。

関連記事:ユーチューバーに最適な高品質フリーミアム音楽プラットフォームUppbeatがサービス提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTubeハッシュタグ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeが全ユーザー向けにハッシュタグ・ランディングページを公開、ハッシュタグをクリックで表示

YouTubeは以前からハッシュタグの利用に積極的に取り組んできたが、今回ユーザーがハッシュタグでコンテンツを効率よく発見できるようにする新機能を公開した。従来はYouTubeでハッシュタグをクリックするか、ハッシュタグを含むURLを直接入力すると、関連する多数のコンテンツが返ってきたが、中にはハッシュタグが使われていない動画もあった。YouTubeが公開した新しい「ハッシュタグ・ランディングページ」はこの状況を変えた。

アップデート後はハッシュタグをクリックするとそれを実際に使っている動画だけを含む専用ランディングページが表示される。YouTubeによれば「最高の動画がトップとなるようソートされている」という。ただし、このアルゴリズムはまだ改善が必要だろう。新しい動画と古い動画が奇妙に入り混じっているし、カテゴリーによってはインド製のコンテンツがむやみにたくさん表示される。

今のところYouTubeのハッシュタグ機能はFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSのハッシュタグ検索ほど高度ではない。SNSの検索では投稿時期も考慮され最新のコンテンツが上位に表示される。現在のYouTubeのハッシュタグ検索では、「観たい動画を即座に見つける」(これがそもそもの狙いだったが)のはまだ難しいかもしれない。しかしクリエイターにとってはハッシュタグの有効な活用法を検討するための便利なツールとして役立つはずだ。

たとえば「#interiordesign」というハッシュタグをクリックすると8400のチャンネルと2万9000本の動画が含まれる非常に混雑した場所に連れていかれる。これに対して「#interiordesignlivingroom」のようなニッチなハッシュタグならチャンネル、動画は100未満だ。ユーザーが動画を探すために頻繁にハッシュタグを使用し始めた場合、ターゲットを絞ったタグを使ったほうが発見される確率が高まるわけだ。

画像クレジット:YouTube(スクリーンショット)

YouTubeのハッシュタグ・ランディングページを表示するには動画の説明欄のハッシュタグをクリックする(検索欄でのハッシュタグ検索ではないので注意)。あるいはyoutube.com/hashtag/*****のURL形式でアドレスを入力するとそのハッシュタグのページに直接アクセスできる。(例えばyoutube.com/hashtag/beauty)

この機能のテストで、YouTubeが以前にブロックするとしていたQAnonや#stopthestealなどの選挙関連動画などの物議を醸す用語のハッシュタグページがないことがわかった。

ハッシュタグ・ランディングページ機能は2021年1月初めにYouTubeのコミュニティフォーラムで発表された。ここでYouTubeは「コンテンツをグループ化し、ハッシュタグを使用して動画を見つけやすくする機能」を準備していると説明していた。

今週、YouTubeはCreatorInsiderチャンネルで新機能は「全ユーザーに100%公開された」と強調した。ただしこの動画では「ハッシュタグ検索で新しいランディングページにアクセスできる」としていたが、現在のところそうなっていない。ハッシュタグ・ランディングページはデスクトップ、モバイルの双方で利用できる。

【Japan編集部】YouTubeのハッシュタグは、日本語もサポートしている。

関連記事:ユーチューバーに最適な高品質フリーミアム音楽プラットフォームUppbeatがサービス提供開始

カテゴリー:ネットサービス
タグ:YouTubeハッシュタグ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TikTokがQ&A機能をテスト中、ファンからの質問にクリエイターはテキストと動画で効果的な回答が可能に

人気ショートビデオサービスのTikTokは、クリエイターが視聴者の質問に効果的に回答できる新機能を追加する。TechCrunchの取材に対し同社は、テキストと動画を利用できるQ&A機能をテストしていることを認めた。この機能は動画、ライブストリーム(TikTok LIVE)の双方をサポートしている。ただし現在のところ、利用できるのはテストにオプトインした一部のクリエイターに限られるという。

Q&Aはクリエイターがソーシャルメディアを通じてファンを獲得するための最も有力な方法だ。Instagram StoriesやSnapchat傘下のYOLOといったソーシャルアプリ、さらに小規模なスタートアップでも特に人気がある分野だということが実証されている。

事実、TikTokでもQ&Aがユーザー体験の大きな部分を占めている。ただしこれまではファンからの質問に対しクリエイターは新しい動画の投稿でコメントに返信してきた。ビデオとテキストを併用した回答は単なる短いテキストよりも詳細は情報を与えることができる。クリエイターはこうした動画で背景や意味を説明し、コンテキストを明確化することもあれば、トロルや荒らしに反撃している場合もあった。そのためTikTokのコメント欄は、TikTokという文化とトレンドを形作る上で非常に大きな役割を果たすようになった。

またQ&Aはクリエイターがライブストリーミングの際にファンと交流するためのチャンネルとしても重要だ。しかし現在のライブチャットのインターフェースではクリエイターは大量の質問やコメントに手際よく回答するのが難しい。

クリエイターが現在ファンとの交流をどのように処理しているかを検討する中で、新機能のアイデアが生まれたという。現在の「動画でコメントに返信する」機能と同様に、Q&Aではクリエイターは視聴者の質問に直接、動画で回答できる。動画のコメントフィールドに「Q&A」ボタンが表示される場合、ユーザーははボタンをタップするだけでコメントを「質問」に指定できる。またプロフィールページのQ&Aリンクから直接質問を送信することも可能だ。

クリエイターの立場からいえば、Q&A機能はファンの質問をすべて1カ所に集約してくれるため、回答プロセスが大幅に効率化される。

クリエイターが受け取る質問の数に制限はないが、もちろんすべてに返信する必要はない。

TikTokのQ&A機能は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が最初に発見した。ナバラ氏は新機能がユーザーのプロフィールにどのように表示されるかなどの実例をスクリーンショットで撮って公開している。

TikTokはTechCrunchの取材に対して「テスト期間中新しいQ&A機能を利用できるのはアカウントを公開しているクリエイターで、フォロワーが1万人以上あり、設定からこの機能にオプトインした場合のみ」だと回答した。判明しているテスト参加者には、2020年にTikTokが発表したCreative Learning Fundプログラムのセーフリストに登録されたクリエイターも含まれている。

TikTokは「Q&A機能は現在世界でテスト中であり、今後数週間でクリエイターアカウントを持つより多くのユーザーに公開することを目指している」と述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokショートビデオ

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ユーチューバー向け高品質フリーミアム音楽プラットフォームUppbeatがサービス提供開始

新しい音楽プラットフォームUppbeat(アップビート)は、YouTuber(ユーチューバー)やその他のコンテンツ制作者たちが、制作する動画に使用できる高品質の無料音楽を、簡単に見つけられるようにすることを狙っている。このシステムは、アーティストに公平な補償を行いながら、複雑な著作権処理を行えるようにデザインされている。既存の無料音楽プラットフォーム、たとえばYouTube(ユーチューブ)のオーディオ ライブラリやクリエイティブコモンズから提供される動画用音楽などに代わるものを提供することが目的だ。

このスタートアップのアイデアは、約6年前から運営されているまた別の音楽ライセンス企業である英Music Vine(ミュージックヴァイン)の共同創業者であるLewis Foster (ルイス・フォスター)氏とMatt Russell(マット・ラッセル)氏によるものだ。

2020年、2人の創業者たちは、これまでとは毛色の少し違うクリエイタースペース製品に取り組む機会が増えていることに気づいた。

「私たちはYouTuber、ストリーマー、ポッドキャスターといったクリエイタースペースが巨大化していることに気がついたのですが、こうしたタイプのユーザーのために、良い仕事をしている音楽プラットフォームがなかったのです」とフォスター氏はいう。「そこで私たちは、クリエイターにとって完璧な音楽リソースとはどのようなものかをじっくり考えてみたのです。それがUppbeatを作るきっかけになりました」。

彼らは2020年9月からUppbeatのウェブサイトの開発に着手し、英国時間1月11日に公開した。

クリエイター側の視点でみた場合、Uppbeatが重視しているのは、特にYouTubeを中心とした著作権処理に対する面倒を取り除くことだ。

現在は、もしあるYouTuberが動画の中の音楽に対して著作権を主張されると、収入が失われる原因となり得る。YouTubeは、この問題に対処するために、何年にもわたってコンテンツIDマッチシステムへの新機能追加や変更を行ってきたが、依然として問題は残されている。

「もしあるYouTuberが著作権の主張を受けたら、(YouTubeは)そのYouTuberの動画の収益を停止することが可能です。そして、YouTubeの問題処理システムを通して解決を行った場合には、最長で30日もかかることがあるのです。これがYouTuberにとって、かなり大きな不満なのです」とフォスター氏はいう。

だがUppbeatの音楽を使えば、ほぼ瞬時に著作権処理が行われる。

画像クレジット:Uppbeat

Spotify(スポティファイ)と同様に、Uppbeatのウェブサイトはフリーミアムモデルを活用している。クリエイターは、まず無料アカウントを手に入れることができる。このアカウントでは、およそ1000曲ほどのカタログの約半分にアクセスが可能で、毎月10回までダウンロードを行うことができる。一方、有料プランでは、カタログへのフルアクセスが可能で、ダウンロード制限もない。

無料ユーザーはYouTube動画の概要説明にクレジットを追加するだけで、著作権処理主張をクリアすることができる、一方、有料ユーザーは承認済みリスト(ホワイトリスト)に追加されるので、この余計なステップを省くことが可能だ。

無許諾使用を撃退するために、音楽トラックはフィンガープリントを取られているため、著作権の主張は継続して可能だ。しかし同社によれば、その解決は何日も何週間もかかるものではなく、5分程度で処理が行えるものだという。Uppbeatシステムは、動画の説明文をチェックして必要なクレジットを確認したり、その有料ユーザーのリストと照合することで、権利請求をクリアする。これはすべて自動化されていて、それもスピードアップにつながっている。

画像クレジット:Uppbeat

一方、アーティストに対しては、彼らの音楽が利用された場合には、たとえそれが無料ユーザーによる利用でもUppbeatが支払いを行う。

有料サブスクリプションや、もうすぐ始まる広告からの収入は、個別のダウンロード数に比例して、毎月アーティスト間で分配される。

「アーティスト側の視点から見ると、平均的には、有料側のトラックから無料側のトラックと同じ金額を稼ぐことになります」とルイス氏はいう。「つまり無料で利用されていても、お金がもらえるということです」と付け加えた。

また、トラックを閲覧したり、音楽を聴いたりする際に再生される音声広告で収益化も行う(とはいえ、これは有料プランを推進するための時限的な措置だ)。

Uppbeatのカタログも見やすい構成だ。音楽がジャンル別、テーマ別、スタイル別に整理されていて、YouTuberが必要とする音楽やビートの種類を示すカラフルな列の中に配置されている。たとえばバックグラウンドで使用するためにカスタマイズされた音楽や、inspiring(インスピレーションを与える)、calm(穏やかな)、happy(楽しい)、dramatic(ドラマチック)といった、さまざまな雰囲気に対応するトラックが用意されている。数カ月後にはSFX(効果音)のカタログも追加される予定だ。

UppbeatはMusic Vineを通じたプロデューサー、作曲家、ソングライターといった既存の音楽業界のつながりが、他の無料音楽サービスよりも高品質の音楽トラックを入手するのに役立つと考えている。

現在のところ、このスタートアップはMusic Vineからの収入での運営を行っているが、フォスター氏によればVCからの打診もあったという。創業者たちは、当面はほとんどの部分の所有権を、社内で維持したいと考えている。

Uppbeatは、紹介プログラムと利益分配スキームの両方を実験している。後者は、Uppbeatへ新規顧客を連れてきたYouTuberに対して、2年間はその顧客からの収益を完全に手渡すようにするというものだ。

「私たちは多大な犠牲を払っています」とフォスター氏は認めている。「しかし私たちは、Uppbeatを早くリリースしてYouTuberの間で有名になればなるほど、(その収益を)共有できてハッピーになることができると考えています。大きな民間投資を行うのではなく、YouTuberコミュニティ内でそうした収益共有を行うことはクールなアイデアだと思っているのです」と彼は指摘する。

同社はまた、何人かの大規模YouTuber向けの収益共有も検討している、とフォスター氏は付け加えた。

現在Uppbeatは、英国のリーズを拠点に、従業員8名とフリーランサー12名で構成されるチームだ。

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タグ:Uppbeat音楽YouTuber著作権

画像クレジット:Uppbeat

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(翻訳:sako)

アップルが新進気鋭のポッドキャスト製作者に光を当てる「Apple Podcasts Spotlight」発表

Apple(アップル)は米国時間1月19日、米国の新進気鋭ポッドキャストクリエイターにスポットライトを当てることを目的とした「Apple Podcasts Spotlight(アップル・ポッドキャスト・スポットライト)」と呼ばれる新しい編集プログラムを発表した。Appleの編集チームは、毎月新しいポッドキャストの製作者を選んで特集を組み、彼らをApple Podcastsアプリの画面で目立つ位置に表示して、ソーシャルメディアやその他の場所でプロモーションを行う。

これによって、App Storeがおすすめアプリやゲームのセレクションを画面上部に大きなバナーで紹介するのと同じように、ポッドキャストクリエイターはより多くのリスナーにリーチすることができるようになる。

最初のスポットライトクリエイターは、ポッドキャスト「Celebrity Book Club」のホストを務める映画監督のChelsea Devantez(チェルシー・ディヴァンテス)氏。毎週金曜日には、チェルシー氏と、脚本家のEmily V. Gordon(エミリー・V・ゴードン)、女優のGabourey Sidibe(ガブーレイ・シディベ)、 Ashley Nicole Black(アシュリー・ニコル・ブラック)、Lydia Popovich(リディア・ポポビッチ)などの特別ゲストが集まり、「badass celebrity women(イカしたセレブ女性たち)」の思い出について話し合うと発表されている。

この番組のアイデアは、1年前にJessica Simpson(ジェシカ・シンプソン)の回顧録を読んでいたデヴァンテス氏が、Instagram(インスタグラム)でその要約を紹介したことから始まった。フォロワーからの反響を受けて、彼女はこのコンセプトをポッドキャストに発展させた。

今後のエピソードでは、アカデミー賞にノミネートされた脚本家でプロデューサーのEmily V. Gordon(エミリー・V・ゴードン)が、Drew Barrymore(ドリュー・バリモア)の自叙伝「Little Girl Lost」について語り、女優のStephanie Beatriz(ステファニー・ベアトリス)がCeline Dion(セリーヌ・ディオン)の自叙伝「My Story, My Dream」について語り、モデルで女優、歌手でもあるLeighton Meester(レイトン・ミースター)がシンガーソングライターのCarly Simon(カーリー・サイモン)のアルバム「Boys in the Trees(男の子のように)」について語る。そしてバレンタインデーの特別エピソードでは、チェルシーとTikTokスターのRob Anderson(ロブ・アンダーソン)が、Burt Reynolds(バート・レイノルズ)とLoni Anderson(ロニ・アンダーソン)の相反する離婚の回顧録を読む予定だ。

「Apple Podcasts Spotlightは、非凡な声を持つクリエイターに光を当てることで、リスナーが世界最高の番組を見つけるためのお手伝いをします」と、Apple Podcastsのグローバルビジネス責任者であるBen Cave(ベン・ケイブ)氏は、今回の発表について声明で述べている。「チェルシー・ディヴァンテス氏は、Celebrity Book Clubという番組で、私たちが知っていると思っていたセレブリティについて、リスナーが新たな視点を得られるように、楽しくて活気のある空間を創り出してきました。私たちは、チェルシーとCelebrity Book Clubを、Spotlightの第1回目のセレクションに認定することができてうれしく思います。また、チェルシーのようなクリエイターを毎月リスナーに紹介していくことを楽しみにしています」と付け加えた。

Appleによると、今後のSpotlightのクリエイターはポッドキャストの様々なジャンル、フォーマット、地域の中から選ばれ、毎月発表されるという。また、これまであまり採り上げられたことのないインディペンデントなポッドキャストにも、しばしば焦点を当てていくそうだ。コンテンツは選考に先立って質を確認するためにプレビューされるが、ポッドキャストのサイズやリーチについては特に問わない。

基本的に、Spotlightのクリエイターは最初の週に向けて発表されるが、具体的な日にちは祝日や大きな文化イベントなどに合わせて流動的だ。たとえば次のSpotlightのセレクションは2021年2月中旬に発表される。

Spotlightのクリエイターは、Apple Podcastsの「ブラウズ」タブの上部に掲載され、Apple Podcastsのソーシャルメディアアカウントを通じて宣伝される。アプリ内での特集は、クリエイターが「スポットライト」を浴びている間はずっと継続される。

Appleによれば、特集されるクリエイターとApple独自のチャンネルでコラボレーションすることもあるという。今後は米国の主要都市での屋外広告など、Appleが運営するチャンネルでもプロモーションが行われるようになる。

今回の新しい編集プログラムのニュースが発表されたのは、テクノロジー業界メディアのThe Information(インフォメーション)が、Appleはポッドキャストのサブスクリプションサービスの導入を計画していると報じた直後のことだった。Appleが取り組んでいるポッドキャストプラットフォームの拡大は、Spotify(スポティファイ)やSiriusXM(シリウスXM)、Amazon(アマゾン)などの競合企業にとって脅威になるだろうと、その記事には書かれていた。

Apple Podcastsはまだ市場をリードしているが、SpotifyはAnchor(アンカー)、The Ringer(リンガー)、Gimlet Media(ギムレットメディア)、そして最近ではポッドキャスト広告会社のMegaphone(メガフォン)といったポッドキャスト企業に8億ドル(約831億円)以上を費やし、Appleに追いついてきている

一方、SiriusXMはポッドキャスト管理・分析プラットフォームのSimplecast(シンプルキャスト)、アドテックプラットフォームのAdsWizz(アズウィズ)、ポッドキャストアプリのStitcher(ステッチャー)を買収した。取り残されないように、アマゾンは数週間前、ポッドキャストネットワークのWondery(ワンダリー)を買収すると発表した。

Appleによると、このプログラムの大きな目標は、クリエイターのオーディエンス増加を支援するだけでなく、ポッドキャスト全般に新しいオーディエンスを迎えることだという。

ポッドキャストの人気は高まっているが、Edison Research(エジソン・リサーチ)によると、米国では1カ月あたりの集計でポッドキャストを聴いている人の数はわずか37%にすぎないという。つまり、現時点では、米国の人口の大多数に人気のあるアクティビティにはほど遠いということだ。Appleがサブスクリプションサービスを導入して効率的にポッドキャストを収益化するためには、まず定期的にポッドキャストを聴く人の数が増えるように働きかける必要がある。

このプログラムが後日、米国以外の地域にも拡大するかどうかについて、Appleは明らかにしなかった。

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タグ:Appleポッドキャスト

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Netflixがテレビアプリでテスト中の「シャッフル再生」を2021年前半に全ユーザーに公開へ

Netflixはユーザーがサービスを隅から隅までスクロールして時間を無駄にせず、観たい番組をすぐに発見するための方法を常に探ってきた。同社は最近テストを続けていたシャッフル再生を世界のユーザーに公開すると発表した。シャッフル再生は視聴体験の効率化に焦点を当てた機能であり、同社によればテストで高い人気を得たという。

Netflixは米国時間1月18日に2020年第4四半期の決算報告を発表し登録ユーザーが2億人を超えと発表した。同社はその中で新機能の開発についても簡単に説明している。「ユーザーがタイトルをブラウズせず、少ない候補から選択してすぐに見たいビデオを視聴できるようにする」という部分がこの新機能のテストを指している。決算報告ではまた「この機能は2021年前半に世界中のすべてのユーザーに公開される」と述べている。

NetflixはTechCrunchの取材に対して、このテストは、シャッフル再生を指していると確認した。我々は2020年8月にこのテストを報じている。同社によれば、この機能の名称はまだ正式に決定されていないというが、我々はとりあえず「シャッフル再生」と呼んでおく。

シャッフル再生ではホーム画面のユーザープロフィールの下に大きなボタンが表示される。クリックされるとパーソナル化のアルゴリズムが起動し、ユーザーが気に入る可能性の高いコンテンツがランダムにプレビューされる。これには視聴中や視聴リストに保存したタイトルに加えて、過去に視聴したコンテンツに似たタイトルなどが含まれる。

スマートテレビのNetflixアプリのサイドバーナビゲーションにもこれに似た機能があるが、名称は以前の「Play Something(いろいろ再生)」ではなく「シャッフル再生」に変更されていることがわかった。

テレビのNetflixアプリでホーム画面を下にスクロールしていくとある時点で「シャッフル再生」というオプションの説明と左サイドバーの「シャッフル再生」を指す赤い矢印が表示される。

Netflixはいきなりシャッフル再生を始めるのではなく「何を見ようか迷ったらこちらへ」 と表示し、まず仕組みを説明する。

画像クレジット:TechCrunch

すでに触れたようにシャッフル再生ボタンはすでに一部のユーザーのスマートテレビ用Netflixアプリに表示され、テストが行われている。

Netflixは投資家への説明で「シャッフル再生に対するユーザーの反応は好意的だった」と述べている。実はソーシャルメディアの投稿ではこの機能に対する評価は明らかに賛否両論だった。同社は、少数のユーザーのツイートではなく、Netflixのメンバーをこの機能を実際にどれほど利用したかというもっと確実性の高いデータに基づいて決定を下したのだろう。

またNetflixの説明によれば、シャッフル再生はTVデバイスでのみテストされており、ウェブやモバイルなどのプラットフォームではまだテストされていないいう。またこれまでにシャッフル再生にオプトインしたユーザー数のパーセンテージを明らかにすることも避けた。

シャッフル再生は、Netflixがユーザーのビデオの選択を効率化する試みの最新例だ。

2019年にNetflixは人気番組をクリックしてランダムなエピソードの再生を開始できるシャッフルモードをテストした。これは、ユーザーが「The Office(ジ・オフィス)」や「Friends(フレンズ)」といった人気シリーズのエピソードをランダムに視聴したい場合には好都合な機能だが、Netflixはどちらのシリーズも最新版の配信権を手放している

Netflixはログイン画面やスクリーンセーバーで番組を宣伝するなどしてきた。しかし「プレビュー自動再生はうるさい」というユーザーの苦情に応じて、2020年にプレビュー再生をオフにする方法を追加した。

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タグ:Netflix

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

行方不明の愛犬を探すアプリ「Shadow」をZocdoc創設者が起ち上げる

米国では毎年、約1000万匹のペットが行方不明になっており、そのうちの数百万匹は施設で保護されているが、認識票やマイクロチップがないために飼い主と再会できない場合がある。新しいモバイルアプリ「Shadow(シャドウ)」は、その中でもとりわけ愛犬とはぐれてしまった飼い主を助けるため、ボランティアネットワークとAI技術の組み合わせを活用して、この問題に取り組むことを目指している。

このスタートアップ企業は、米国中の動物保護施設や救助団体と協力して、現在収容している犬の写真を収集し、これにTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)などのソーシャルメディアプラットフォームから収集した写真で補完する。

Shadowによれば、行方不明になった犬の写真と、近くの保護施設やウェブから収集した写真を照らし合わせるために、AI技術を使用しているという(Shadowの競合であるFindapetは、これが真実ではないと主張。Shadowのアプリが手動の一致判定システムに依存していることは明らかだと述べている。Shadowはコメントを求められている)。

画像クレジット:Shadow

一致する写真が見つからない場合、Shadowは、その犬がいつどこで行方不明になったかに基づいてプログラムで検索半径を設定し、犬の飼い主が次のステップとして取ることができる他のアクションを提案する。

技術的なマッチングプロセスが可能性のある一致を逃した場合に備えて、アプリには保護施設からすべての写真を直接表示したり、他のShadow ユーザーと協力して、たとえば近所に「迷い犬」のチラシを貼るようなクラウドソーシング活動を支援することなどが含まれる。

このアプリでは、ボランティアのネットワークを頼りにしており、ボランティアの人々が保護施設の写真を確認したり、行方不明の犬を探すために使われているソーシャルメディアサイトで犬の写真を拡散したりといった活動を行ってくれる。犬の飼い主はアプリ内で謝礼をアピールすることもでき、捜索に協力してくれる人のモチベーションを高めることができる。

現在では、Shadowに協力するボランティアユーザーの数は3万人を超えるまでに成長しており、また、ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)、ニューヨークとロサンゼルスのアニマルケアセンター、ダラスのシェルターシステムなどの団体と提携している。

画像クレジット:Shadow

Shadowは無料で利用できるが、マッチングに成功して犬が見つかったときに仮想チップという仕組みで利益を得ている。また、ユーザーには10ドル(約1040円)でInstagram広告をアプリ内で購入する機能も提供している。これはShadowが広告のビジュアル素材を提供し、広告購入プロセスと配置プロセスを飼い主に代わって管理する。

かつてZocdoc(ゾックドック)を創設したCyrus Massoumi(サイラス・マスーミ)氏によって設立されたこのスタートアップは、数年前からステルスモードのような状態で活動を続け、現在では地元ニューヨークをだけでなく、全米20州76郡で犬探しサービスを提供している。

またマスーミ氏がZocdocから退社した際の状況が、複雑だったことには触れておくべきだろう。2015年11月の取締役会中に、マスーミ氏の共同創業者とCFOが彼を会社から追い出すための陰謀を画策したと、マスーミ氏は詐欺を主張し、裁判を起こしたのだ。訴訟では、当時のZocdoc内部における争いが詳細に述べ立てられた。ニューヨーク最高裁判所の判事は最近、この訴訟を棄却している。この棄却により判決が確定したわけではないが、現在のところ新たな訴訟は提起されていない(追記:判決では、法律上この訴訟はニューヨークではなく、デラウェア州に提出する必要があるとして却下された。マスーミ氏のコメントによれば、同氏は再提訴を計画しているという)。

これに先立ち、Zocdocは若い男性従業員がそこで働く女性に不適切な発言をすることでストレスを与える、いわゆる「bro culture(ブロカルチャー)」を発達させたと、Business Insider(ビジネスインサイダー)から非難されていた。これは、#MeToo運動が大きく台頭する前のことで、それ以来、企業が職場でこれらの問題にどのように対処するかに影響を与えてきた。

マスーミ氏は、この記事の内容に書かれているとおりだったという主張に異を唱えている。同社には当時300人の営業担当者がいたが、同氏は不適切な行為をした人がいたかもしれないことに同意する一方で、それらの行為に対する同社の対応は適切に処理されていたと考えている。

「この疑惑はZocdocで完全に調査され、価値がないことが判明しました」と、マスーミ氏はTechCrunchに語り、Zocdocは同氏がCEOだった間、繰り返し「最高の職場」として認識されていたと付け加えた(マスーミ氏が疑惑をかけられたことはないが、最終的にはCEOに責任があるということになる)。

現在のShadowは、異なる体質であることを主張している。チームは12人で、製品とエンジニアリングチームの3分の2は女性だ。Zocdocの投資家の中には、マスーミ氏を再び支援するために戻ってきた人もいる。

このスタートアップ企業には、Founders Fund(ファウンダーズファンド)、マスーミ氏とIndiegogo(インディーゴーゴー)の創業者Slava Rubin(スラヴァ・ルービン)氏のファンドであるHumbition(ハンビション)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)、firstminute Capital(ファーストミニット・キャピタル)などのエンジェルが資金を提供している。

Zocdocの複雑な歴史をよそに、Shadowが行っている現在の仕事は、多くの人々が気にしている問題を解決している。何百万人ものペットの飼い主が、場所の問題からいつまでも動物を飼うことができなくなり、ペットを保護施設で安楽死させている。一方で、迷子ペット探しのメッセージをソーシャルメディア上で配布する現在のシステムは、それらの投稿の多くが見られているとは考えにくい。特に多くの人が集まるSNSには、それだけ大量の「ペットを探しています」という投稿が溢れているからだ。

画像クレジット:Shadow

Shadowは2018年に、地元のニューヨーク地域で活動を開始した。その最初の年、600匹の犬を飼い主と再会させた。次の年には2000匹、3年目には5000匹の犬を再会させた。現在では1万頭近くの犬が飼い主と再会を果たしている。

それらの半分以上は、新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから行方不明になった犬たちだ。新たにペットを飼い始めた人が増え、ペットと外で過ごす時間が増える間に犬とはぐれてしまったのだ。

マスーミ氏は、友人の愛犬シャドウ(この犬の名前が会社名の由来となった)が行方不明になった時に、Shadowを起ち上げる着想を得たと語る。この友人は、誤った手掛かりを辿ったり、彼を助けようとする人々とつながりを持ったりしながら、愛犬を見つけるのに1カ月以上かかったという。

「こんなことが世界では年に1億回くらい起きているのだろうなと私は思いました。ペットを愛する人々にとって、家族の一員がいなくなったのと同じことです」と、マスーミ氏は説明した。「これは私がすでに医療の分野で解決してきた問題と似ているように思えました。人々は医者に会いたがっていて、医者も患者に会いたがっているのに、両者を結びつける中心的な方法がないだけです」と、彼はいう。

もっと広範囲で、人々が実際に関心を持っている問題を解決するためにテクノロジーが有効に活用できないかと彼は考えた。

「誰もがやっているようなことに人間性を注入するようなテクノロジーがもっと必要だと思います。それが私たちがやっていることの核心だと思います」と、マスーミ氏は語る。

ShadowのアプリはiOSとAndroidで無料でダウンロードできる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shadowペット

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(翻訳:TechCrunch Japan)

選択だけで簡単に作れるブランド向けコラボ動画プラットフォームのCapsuleが2.1億円を調達

ブランドを対象とした動画Q&AプラットフォームCapsule(カプセル)は、パンデミックの中で消費者へのリーチに苦しむ企業のニーズへ、直接対応するものとして2020年に誕生した会社だ。この度、同社はプレシード資金の200万ドル(約2億1000万円)を調達した。このラウンドはArray Venturesが主導し、Bloomberg Betaや他のエンジェルも参加している。

このスタートアップを創業したのは、元々アニメーションGIFキャプチャツールでソーシャルネットワークのPhhhoto(フォート)を作ったチームだ(残念ながらPhhhotoは、最終的にはInstagramによるクローン機能のBoomerangに負けてしまったが)。Phhhotoは2017年に停止し、チームは体験型マーケティング事業であるHypno(ヒプノ)に取り組むために方向転換を行った。新会社はライブイベントや体験会を主催するブランドと、その顧客がつながる手段を提供する活動を行ってきていた。Hypnoはブランドに対して、インタラクティブな操作を可能とした、撮影装置やカメラプラットフォームのようなものを提供した。

だが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、ライブイベントは干上がり、Hypnoのビジネスは実質的に殺されてしまった。しかし、Hypnoが一緒に仕事をしてきたブランドたちは、今でも同じニーズを持っていた。ただ、違うやり方で顧客にアプローチしなければならなくなったのだ。

画像クレジット:Capsule

それがCapsule(カプセル)が誕生した理由だ。2020年に立ち上げられたこのスタートアップは、Q&Aセッションをホスティングするための完全なプラットフォームを提供している。ブランドはテンプレートを選び、キャンペーンに合わせてロゴ、色、ボタン、背景、URLを変更してカスタマイズを行う。いわば簡易ウェブ構築サイトであるSquarespace(スクエアスペース)の動画Q&Aフォーマット版のようなものだ。

そしてブランドは、消費者向けの質問や問いかけを、短い動画応答のかたちで作成することができる。一方このQ&AのURLは、たとえばソーシャルメディアといった企業が選択した方法で配信できる。また、「カプセル」をウェブサイトに埋め込むことができる新機能も登場した。

Q&Aに対する消費者の反応は、最終的な製品のために収集整理される。この技術をさらにおもしろくしているのは、この映像をCapsuleが組み立てる方法だ。

Capsuleは音楽やグラフィック、プリロールやポストロールなどの要素を追加して、瞬時に自動的に動画を処理し、まるで専門的に編集されたように見える動画を生み出す。このスタートアップは、カラー、オーディオ、グラフィック、ダイナミックタイプなどのミキシングを自動化する独自のJavaScriptベースのプログラミング言語を使用している。顧客がやらなければならないことは、自分が望む動画の種類を選択だ。たとえばエネルギッシュな感じのものとか、より落ち着いたものといった選択を行う。

現在、Capsuleはそのライブラリを拡大し、約20種類の基礎テンプレートを提供するようになった。しかし、それぞれ色、スタイル、さらには音楽を変更することで編集することができる。その過程で直接アップロードしたり、またはCapsuleが提供する多数のロイヤリティフリーの音楽を使うことが可能だ。

Capsuleの共同創業者Champ Bennett(チャンプ・ベネット)氏によれば、プラットフォームの柔軟性により、さまざまなユースケースが生まれているという。同社の最初の顧客は、Hypnoが対応していたライブイベント関連の顧客だったが、すぐに新しい顧客たちが製品を採用し始めた。

「既存のお客さまからも、突然押し寄せた新しいお客さまからも、私たちのプラットフォームがさまざまな文脈で役に立つという声がすぐに寄せられ始めました」と彼は説明する。「たとえばUGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーンや、事業プロモーションのためのソーシャルコンテンツ、知名度向上、製品レビューや体験談、さらには見た目がもう少しプロフェッショナルな感じのコンテンツを高速に作成する方法を探していたクリエイターの方にさえお使いいただいています」とベネット氏はいう。

立ち上げ時には、CapsuleはNetflix(ネットフリックス)のような企業やOkayAfrica(オーケーアフリカ)のような組織に利用されていた。それ以来、Google(グーグル)、Samsung(サムスン)、Salesforce(セールスフォース)、Deloitte(デロイト)、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)などの大規模な組織内のチームや、Paloma Health(パロマ・ヘルス)などの中小企業を含む、何百もの顧客企業と契約を結んできた。米国慰問協会(USO)もCapsuleを使用している。

こうしたブランドたちや多くの組織が、企業が製品やサービスをマーケティングする上で重要な方法になりつつあるオリジナルの短編動画コンテンツを作成するためのツールを強く求めている。Capsuleによると、動画のクリックスルー率は静止画に比べて2~3倍であることを示しており、95%の企業が対前年比の動画支出が増加していると報告しているという。

パンデミックの影響で動画コンテンツの既存需要は加速したが、各ブランドは動画のスケールアップは難しいという課題に直面していた。

「徐々にブランドが動画を作成する方法をハックするケースが増えています」とベネット氏はいう。「その方法の1つが社員、創業者、パートナー、インフルエンサー、ブランドのファンなど、立場を問わず組織内外のさまざまなクリエイターに接触し、ブランドのためのコンテンツ作りに参加してもらうことです」と彼は続ける。「私たちはこれをコミュニティ・ジェネレーテッド・コンテンツと呼んでいます。まあユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツの一種のようなものです。コンテンツはどこからでもくると考えています」。

Capsuleは、Array VenturesのゼネラルパートナーであるShruti Gandhi(シュルティガンジー)氏との協力を望んでいたのだという。なぜなら彼女はエンジニアリングのバックグラウンドを持っており、コア技術を非常に深く理解していたからだ。彼女はまたニューヨークのBloomberg BetaにCapsuleのチームを紹介したが、そのチームもまた、Capsuleが何を作っているのかをすぐに理解してくれたとベネット氏はいう。

今回の追加資金で、Capsuleはプロダクトデザイナーを雇用し、コンテンツの推薦投票機能などの、新たなコラボレーション機能を開発していく予定だ。

長期的には、同社のプラットフォームによって、より多くの人が動画制作に関わることができるようになると同社は考えている。

「企業内には、動画コンテンツを作成できる、実に様々な人材がいることがわかりました。単に作成するためのノウハウを持たないだけなのです。彼らはビデオ編集者ではなのですから」とベネット氏はいう。「ということで、私たちが実際にやっていることは、大小を問わず、あらゆるビジネスの中に存在する創造的な可能性を引き出すことなのです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Capsuleショートビデオ資金調達

画像クレジット:Capsule

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(翻訳:sako)

Thimbleはロボティクス・キットとZoom授業による自宅学習で子どもたちにSTEMスキルを教える

パンデミックの間、自宅学習に縛り付けられている子ども持つ親たちは、バーチャル授業で失われた手を動かす実践学習を行う新たな活動を探さなければならなかった。ニューヨークを拠点とするエドテックのスタートアップThimble(シンブル)は、STEM(科学、技術、工学、数学)学習が行えるキットをサブスクリプションで提供し、この問題に対処している。これに参加した子どもたちは、送られてくるロボットや電子回路などのプロジェクト実習用キットを使って学べるほか、ライブのオンライン授業を受けることができる。

Thimbleは2016年、Kickstarter(キックスターター)のプロジェクトとして始まった。そのとき、STEM教育向けロボティクスとプログラミングのキットは45日間で30万ドル(約3100万円)の資金調達に成功している。翌年、そのキットの販売が、おもにニューヨークの学校に向けて開始され、授業や放課後の課外活動で使われるようになった。それから数年が経過し、Thimbleは顧客ベースを、ニュヨーク、ペンシルベニア、カリフォルニアのおよそ250の学校に拡大し、キットの販売と、教師向けトレーニングを提供してきた。

しかし、COID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックにより、Thimbleの事業の方向性が一変した。

「多くの学校がパニックモードでした。何が起きているかもよくわからず、そのため予算もしばらく凍結されていました」と、Thimbleの共同創設者でCEOのOscar Pedroso(オスカー・ペドロソ)氏は話す。彼は教育畑の出身だ。「私たちがトップの顧客と見なしているところでも、『いや、今はそれどころじゃない。学校を閉鎖することになりそうだ』と言うのです」

ペドロソ氏は、学校ではなく子どもの保護者に直販するよう、すぐに方向転換すべきだと悟った。

写真クレジット:Thimble

4月ごろに、同社は切り替えを断行した。実質的に、初めてB2C市場に参入したことになる。

現在同社は、サブスクリプション型のサービスを保護者に提供している。それには、15種類のSTEMプロジェクト学習用キットと、教育者によるライブ授業などのカリキュラムが含まれる。ひとつのキットは3カ月かけて送られてくるが、もっと早く手に入る迅速なプログラムもある。

最初のキットは、たとえばドアベル、キッチンタイマー、作曲ツールといった単純な電子回路の作り方を子どもたちに教えるエレクトロニクスの基礎編。キットは、子どもたちの興味と、もっとやりたいという気持ちを持続させるために、「即座に成功」を体験できるようデザインされている。それが、Wi-Fiロボット、小型ドローン、光るLEDコンパス
、自分でDJ遊びができるシンセサイザーといった将来の高度なキットにつながってゆく。

写真クレジット:Thimble

子どもたちのエレクトロニクスやロボティクスの実践学習を支援するこれらのキットは、どの家庭でも使えるが、サブスクリプション登録者のおよそ70パーセントは、すでにロボットや電子回路の工作に慣れている子どもを持つ家庭だとペドロソ氏は話す。残りの30パーセントは、これを使ってロボティクスやエレクトロニクスの概念を子どもに教え、興味を示すかどうかを確かめたいと考えている家庭だ。また利用者の約40パーセントが女の子だという。

個別にDIY工作を行うのに比べて、月額59.99ドル(約6200円)というサブスクリプションは高価だが(1年契約なら月あたり47.99ドル:約5000円)、毎週1時間のZoomを使ったライブ授業が含まれているためでもある。Thimbleには、プロジェクトの教え方の専門家というだけでなく、情熱的でエネルギッシュで、子どもが問題を抱えていたりイライラしているとわかればすぐに手を差し伸べる、子どもたちを惹きつける授業が行えるパートタイムの講師が揃っている。5人いる講師のうち2人が女性。2カ国語を操り、スペイン語で授業できる講師も1人いる。

授業中は、1人の講師がプロジェクトの進め方を教える間、別の講師がチャットルームを担当し、授業に関する子どもたちからの個別の質問に応じる体制になっている。

ひとつのライブ授業は15〜20人の子どもを対象にしているが、もっと少人数のグループのためのパッケージも用意されている。これは、ホームスクーリングの「ポッド」などのグループで利用されている。

写真クレジット:Thimble

「私たちは、ポッドから、そしてマイクロスクールから意見を聞くようになりました」とペドロソ氏は話す。「そこでは、つながりを持った保護者たちが、同じクラスで子どもたちを学ばせたいと望んでいます。そうしたグループでは、概してもっと親密な授業やカスタマイズが求められます」と彼は言う。

これに対応したサブスクリプションは月額270ドル(約2万8000円)と高くなるが、グループの保護者たちで折半できるため、家庭ごとの費用は安くなる。顧客ベースのほとんどが個別の家庭だが、全体のおよそ10パーセントがこのプランを利用している。

Thimbleはまた、子どもへの資金援助でサブスクリプション費用をさらに安くできるよう、一部の市場のコミュニティーや非営利団体とも協力している。こうした機会は、利用が可能になったときに、学校、ニュースレター、その他の販促方法を通じて知らされる。

サブスクリプションに方向転換してから、Thimbleは顧客ベースの再構築を行い、現在は有料顧客数が1110件を数える。だが一部には初期の価格設定のまま継続されているものもあるため、Thimbleは事業規模を拡大する必要がある。

Kickstarterの他にも、その年Thimbleは資金調達を行い、ボストンのLearnLaunch、ワシントンD.C.のHalcyon、コロラドのTelluride Venture Acceleratorなど複数のアクセラレーターの協力を得て事業を進めている。

ピッツバーグのJoel Cilli(ジョエル・チリ)氏と共同創設したこのスタートアップは、現在、100万ドル(約1億300万円)のシードラウンドで60パーセントほどの調達を行っているが、現時点の詳細は明らかにされていない。

画像クレジット:Thimble

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(翻訳:金井哲夫)