FAX受注を自動でデータ化、食材受発注サービス「クロスオーダー」に新機能

飲食店と卸売業者向けの受発注サービス「クロスオーダー」を手がけるクロスマートは1月28日、FAXによる受注内容を自動でデータ化する「FAX-OCR機能」を開発したことを明らかにした。同機能は卸売業者に対して3月1日より提供する。

外食産業における受発注業務はまだまだ属人的かつアナログな領域だ。クロスマート代表取締役の寺田佳史氏によると飲食店の発注方法の約6割は今でもFAXによるものであり、電話注文(通話と留守電)も合わせると「全体の約8割がデジタル化されていない注文だと考えている」という。

アナログな方法は発注側、受注側双方にとって負担が大きい。特に取引先が数百店舗に及ぶような卸売業者では、1日に数百枚のFAXが必要になるケースもあり、専属のスタッフを夜勤で数名雇用しているような企業もある。

主な業務はFAXに書かれた内容を自社のシステムにミスなく転記することであるため、この工程にデジタルを活用できればコスト削減はもちろん、より生産的な仕事をスタッフに任せることもできる。

2019年11月にスタートしたクロスオーダーは、まさにこれらの受発注業務をスマホやLINEを用いて大幅に効率化することが目的だ。寺田氏の話ではリリース約3ヶ月で卸売業者数十社、飲食店数百社に導入が進み、導入企業からの反応も良いそう。その一方でスマホ操作に慣れていないスタッフの多い店舗やスタッフの入れ替わりが激しい店舗など「やり慣れた方法から変えることに抵抗がある方も、一定数いることがわかった」という。

そういった店舗に無理に発注方法を変えてもらうことは、かえって業務効率を悪くしてしまうことにもなりかねない。そこで飲食店のやりかた自体は変えることなく、卸売業者側の受注作業を効率化する仕組みとして開発したのが今回のFAX-OCR機能だ。

この機能によって飲食店からFAXで送られてきた内容を自動でデータ化。従来は人力で行なっていた集計作業や基幹システムへの手入力にかかる手間を削減する。受注ミスが発生すれば追加のコストがかかってしまうため、読み取りに誤りの可能性がある箇所については人の目で確認できるような設計にした。

機能開発にあたっては受発注プロセスを理解するために受注作業を見学・体験し、多くの飲食店や卸売業者ユーザーと一緒に進めてきたそう。OCR技術は今後の改善スピードや機能拡張も見据えて完全に内製で開発。企画からローンチまで約半年を要したものの、精度もかなり向上しててきたためこのタイミングでの発表に至ったという。

同機能はクロスオーダー導入企業に追加費用なしで提供する方針。従来通り飲食店は無料で使うことができ、卸売業者は取引先店舗数に応じて月額の利用料を支払う(従量課金制)仕組みだ。

Googleのモバイル検索をはじめとしたお気に入りツールの劣化に腹が立つ

時間がテクノロジーを発展させる、ということになっている。簡単な原理だ。時間が経てば、人間は新しいより良い技術を生み出し、我々の生活は向上する。ただし、それは反対のことが起こる場合を除く。

Google(グーグル)がそのいい例だ。筆者は最近この問題で文句を垂れた。Googleのモバイル検索を最近使ったことがないのなら言っておくが、これはひどい。新しいYahoo(ヤフー)とオリジナルのBing(ビング)を足して2で割ったような感じで、何か入力するとたいてい膨大な量のゴミを吐き出す。

今朝、「Metallica」とモバイル検索した結果がこれだ。

グーグルのモバイル検索のインターフェースが今よりシンプルで使いやすかった頃を覚えているだろうか。あの頃は、文字どおり、あらゆるユーザーに対してあらゆることを一度に行おうとはしていなかった。

目を背けて木々と話す方法でも学びたくなるようなインターフェースだけではない。広告とユーザーの検索結果との区別を、Googleが事実上放棄したことを今や誰もが知っている(Googleはまさかそれを互換性があるなどと考えているのだろうか)。TechCrunchのNatasha Lomas(ナターシャ・ロマス)は、同社による検索結果デザインの最近の変更を取り上げ、(ユーザーフレンドリーではなく)「ユーザーに敵対的」と表現し、その変更を「ダークパターン(ユーザーを欺くデザイン)の最新事例」だと総括した。

かつてGoogleは、極めて簡潔なデザインと検索結果の高速表示に熱心だったが、現在、ユーザーのためにモバイルで試みていることは度が過ぎている。

Chromeも散々で、しかもさらに悪くなっており、ユーザーを欺いている。だが、これは周知の事実だ。もちろん、これらすべての問題が創業者が去ったのとほぼ同じ時期に持ち上がったのは、まあ驚くにはあたらない。

TweetDeck(ツイートデック)もここに加えたい。むちゃくちゃ遅いし、タイムラグは生じるし、メモリを食う。Twitter(ツイッター)はパワーユーザーが良いコードに値しない馬鹿だと決めつけたようなものだ。ああ、その上、Twitterはユーザーに提供していたクールなフォロワー分析機能をやめてしまう。

ChromeとTweetDeckに続くのは、Slack(スラック)のようなアプリだ。そうしたアプリも時間の経過とともに動きが重くなる。あらゆる開発者は自分が64000(64ではない)ギガバイトのメモリを搭載したコンピューターでコードを書いているから、他人のメモリも同じように多少無駄使いしても構わないと思っているのではないだろうか。筆者の仕事用マシンのショボい16ギガバイトのメモリなんか、神様が許さない。使っているコンピューターの動作も重くなり、よくクラッシュするようになる。どいつもこいつも、すばらしい仕事をしてくれる!

モバイルアプリも糞食らえだ。筆者はスマートフォンを2台持っている。2020年にもなればそれくらい必要だ。その結果、どう使えばよいかわからないアプリにあふれ、息もできない。当然、パスワードマネージャーは2つだ(Oktaともう1つ)。使えるツールがありすぎて、すべての機能を止めてしまいたい。ほっといて欲しい! それができないなら、必要なものだけを見せてくれ。すべてを一度にではなくだ!

とにかく、ゲームはまだかなりいい。バトルロイヤルもの、マイクロペイメントを採用しているもの、あとEAとか、そのあたりを避ければ、だ。

画像クレジットJorg Greuel

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(翻訳:Mizoguchi)

「コービーはLAで愛されていた」テック業界もNBAスーパースターの死を悼む

ロサンゼルスのスタートアップコミュニティも世界と共にNBAのスーパースターで起業家、投資家でもあったKobe Bryant(コービー・ブライアント)氏の死を悼んだ。ブライアント氏は1月26日午前10時前、カリフォルニア州カラバサスでのヘリ墜落で死亡した。

ブライアント氏と同氏の娘で13才のGianna Maria-Onore Bryant(ジアナ・マリアオノーレ・ブライアント)さん、そして他に7人が乗ったヘリはブライアント氏のバスケットボールトレーニング施設Mamba Academyに向かっていた、と報道されている。搭乗者の全員が死亡した。

41才のNBAスターで、オリンピックメダリスト、オスカー受賞者、そして4人の子どもの父親であったブライアント氏はバスケットボールでの偉業で広く知られているが、彼は起業家で投資家でもあり、ホームと呼んでいたロサンゼルスエリアを超えて活動していた。

「コービーはロサンゼルスで愛されていた」。ロサンゼルス拠点のベンチャーキャピタル会社Upfront Ventures(アップフロントベンチャーズ)でマネージングパートナーを務めるMark Suster(マーク・サスター)氏はTechCrunchにあてたメッセージでこう述べた。「彼はスポーツで頂点を極めただけではなく、映画や本、慈善活動でもすばらしかった。LAにとって本当に悲しい日だ」

Crunchbaseによると、ブライアント氏は2013年に、パートナーでシリアルアントレプレナー(連続起業家)のJeff Stibel(ジェフ・スティベル)氏とともにベンチャーのキャリアを開始した。2人はLegalZoom、Scopely、Art of Sport、The Honest Company、RingDNA、FocusMotion、DyshAppそしてRepresentといったロサンゼルス拠点の企業にアーリーステージとレートステージの投資をミックスして行った。

投資会社は2019年、プライベートエクイティファンドPermiraと提携して立ち上げた投資ビークルを17億ドル(約1850億円)規模に拡大した、とUSA Todayは報じていた。

「我々の会社には、偉人は偉人から学ぶという言葉がある。そのため私はさまざまな業界トップのストーリーを読む。しかし、コービーは偉人以上の存在だった。彼は、取り組むと決めた『ゲーム』が何であっても大志を抱いて常に最善を尽くした。バスケットボールにおいて彼は同世代の中で最も優れたプレイヤーだった。著書で彼はオスカー賞を受け、テックと投資の分野では投資会社を立ち上げ、すぐさま巨額のリターンを得た。BodyArmorへの600万ドル(約6億5000万円)の投資は2億ドル(約218億円)になった」とMAC Venture CapitalのMarlon Nichols(マーロン・ニコルズ)氏は書いている。「彼は努力と才能がマッチした、稀な才能ある人物の1人だった。個人的に私は、彼からゴールに向けて集中すること、身を捧げることを学んだ。コービーはただの偉人を超えたレジェンドであり、世代を超えたリーダーだった。彼は生きている間に1人、見ることができるかどうかというくらいの才能あるリーダーだった」

The Honest Companyの共同創業者Jessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏は訃報に接し、自らの想いをTwitterで表した。またScopelyのオフィシャルTwitterアカウントも同様に想いを共有した。

ロサンゼルス・レイカーズ所属時、ブライアント氏による18回のオールスターゲーム出場やMVP獲得は歴代最多で、チームを5度のNBAチャンピオンに導いた。またShaquille O’Neal(シャキール・オニール)氏とともに2000年代初めのレイカーズ黄金時代を築いた。

「コービーはコートの内外で神から才能が与えられた『mamba mentality(マンバ・メンタリティ)』と呼ばれる無敵の競争心を持った稀有な存在だった。NBAチャンピオンシップやオスカー、VCへの参入、そして何よりも大事な父親としての役目など、彼が集中したものはすべてすばらしい結果を伴った」とUpfront Venturesのゼネラル・パートナーKobie Fuller(コビー・フラー)氏は書いている。「彼を失ったことがあまりにもショッキングで、この世での一瞬一瞬がいかに大事なのか思わずにはいられない。耐えがたいこの困難なとき、私の心はブライアント家とともにある」

ブライアント氏のスポーツにおけるキャリアは有名なものであり、その後のメディアと投資におけるキャリアも成功した一方で、2003年には性的暴行疑惑があった。のちにこの件は和解し、ブライアント氏は謝罪したものの罪は認めなかった。

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(翻訳:Mizoguchi

ドイツのフィンテックN26が急成長、米25万人を含む500万人の顧客を獲得

フィンテック系スタートアップのN26が500万人の顧客を獲得した。その数は2019年だけで250万人以上も増えている。また、2019年6月の時点で顧客数が350万に到達していたことを考えると、同社の成長率は急上昇しているようだ。

これは、2019年上半期に100万人、そして同年下半期に150万人の顧客が増えたことを意味する。

N26が急速に成長している理由の1つは、同社が新しい市場に進出していることだ。N26は以前から、ユーロ圏全域でローンチされている。イギリス、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、リヒテンシュタイン、アイスランド、スイスの居住者も、同社のアカウントを開設できようになった。

そしてN26は、2019年夏にアメリカにも進出しており、Chimeのような地元企業と競合しているにもかかわらず、大きな成長を示している。

過去5カ月の間に、N26はアメリカ国内で25万人の顧客を獲得した。同社はアメリカ国内では、若干異なるモデルで運営されている。N26はホワイトレーベルのパートナーで資金を管理するAxos Bankと提携しており、N26は顧客とその資金のやりとりのすべて担当している。

アメリカの銀行規制は複雑であり、銀行パートナーなしでは新興銀行を全米50州に展開することは難しい。

現在、N26のベルリン、ニューヨーク、バルセロナ、ウィーン、サンパウロの5つのオフィスで1500人が働いている。なお、サンパウロオフィスが存在することからもわかるように、N26はブラジルへの進出を計画している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Spiral Ventures Japanは「Spiral Capital」に、新ファンドを2つ組成、オープンイノベーション支援の専門子会社を設立

Spiral Ventures Japanは1月27日、グループ名称をSpiral Capitalへと変更したことを発表。Spiral Ventures Japan Fund 1号投資事業有限責任組合も、Spiral Capital Japan Fund 1号投資事業有限責任組合へと名称を変更した。

Spiral Capital Japan Fund 1号は、これまで、シンガポール法人Spiral Ventures Pteとの合弁事業であるSpiral Ventures Japanが運営してきたが、同ファンドの投資組み入れが完了したため、次号ファンド以降はSpiral Capitalが単独で設立したSpiral Capital LLPによる運営へと移行、同社グループとSpiral Venturesとの資本関係は解消される。

そしてSpiral Capitalは同日、オープンイノベーション支援のための専門子会社であるSpiral Innovation Partnersの設立、そしてSpiral Capital Japan Fund 2号投資事業有限責任組合の設立を併せて発表した。

Spiral Innovation Partnersでは、物流やその周辺領域のスタートアップへの投資を行うLogistics Innovation Fund投資事業有限責任組合を組成。Logistics Innovation Fundの主なパートナー企業は、セイノーホールディングス。規模は70億円以上で、平均投資金額はアーリーでは1.5億円、ミドル・レイターでは2.5億円を目安とする。LPは現在はセイノーホールディングスのみだが、「今後は、金融機関を中心とする外部のパートナー企業に対して募集を継続する」。

Spiral Innovation Partnersでは、Corporate Venture Capital(CVC)の運営を含む、オープンイノベーションに向けた包括的なサポートプログラムを提供。Spiral Ventures Japan 、そしてその前身である IMJ Investment Partnersは、CCCの「T-Venture Program」、東急電鉄の「東急アクセラレートプログラム」といったアクセラレータープログラムの運営を支援してきたことから得た知見を活かす。

Spiral Capitalの代表取締役、奥野友和氏は「事業会社でCVCを作りたいという需要が、オープンイノベーション・ブームもあり、存在する。我々は『オープンイノベーションに強みを持ってやっている』と言っていたので、前々から、『CVCを作りたいのだが、受託してくれないか』という旨の話をいただいていた」と話す。

現在、SBIインベストメントやグローバル・ブレインなどのVCがCVCの受託運営を行なっているが、需要があるもののプレイヤーは少ない。Spiral Capitalは新たな受け皿となることを目指す。

そして、Spiral Innovation Partnersが運営するファンドは、「特定の企業が自社におけるシナジーの実現を目的として設計、運営する」従来のCVCとは異なり、「特定のセクターの変革を目的」として、Spiral Innovation Partnersが企業と共同で設計し、運営。同社はそのコンセプトを「Sector-focused Venture Capital(SVC)」と提唱している。

奥野氏は「通常のCVCの設立プロセスは、事業会社が起点となり、自社でCVCを作ろうと言った話を決め、コンセプトが決まった上で最後に委託先を決める。この考えをひっくり返した」と説明。

「(事業会社が)VCを最後に決めるのではなく、VCが起点となり、ドメインとパートナー企業を決めていく。単なる受託ファンドではない。我々がスクリーニングをかけた上で、アトラクティブなセクターにフォーカスしているファンドということで訴求する」(奥野氏)

規模が100億円以上のSpiral Capital Japan Fund 2号では、1号に引き続き、X-Techを重点テーマとして、投資を行う。1件あたりの投資金額は、アーリー・ミドルで1から5億円、レイターでは5から10億円を想定。奥野氏いわく、2号ファンドでは「レイターの比率を上げる」。Spiral Ventures Japanはこれまでに、理系学生のための採用プラットフォーム「LabBase」などを提供するPOL、宇宙用作業代替ロボットを開発するGITAIなどに投資を実行してきた。

Spiral Capitalの組織体制の変更に関しても発表があった。元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長および元カーライル・グループ日本共同代表で、これまでシニアアドバイザーとしてSpiral Ventures Japanのファンド運営に関与した平野正雄氏はSpiral Capitalの取締役会長として経営全体により深く関与。そしてSpiral Innovation Partnersの代表パートナーを岡洋氏が務める。

Facebookの怠慢な態度に厳しさを強める欧州

イタリアの公正取引委員会は、Facebookに対して個人データの商用利用についてユーザーに完全に説明できていないことを理由に訴訟に踏み切った。

同時にドイツの裁判所は1月24日、Facebookの個人データとプライバシーの取り扱いに関する問題について消費者団体が国内の裁判所に提訴する権利を認めた。

透明性の欠如

勝訴すれば罰金500万ユーロ(約6億円)となる可能性があるイタリア公正取引委員会による訴訟は、2018年11月にこの規制当局が示した判断に従っている。

そのとき同委員会は、「無料」サービスに登録したことで発生する潜在的な交換価値について、Facebookがユーザーにわかりやすく説明していないことを突き止め、ユーザーの個人情報がどのように商用利用されるかを適切に伝えていないことに対して500万ユーロの罰金を科している。

今回の訴訟に関する広報資料によれば同委員会は、Facebookはホームページから、ある主張 — サービスは「Free and always will be」(ずっと無料)という文言 — が削除されたが、Facebookがユーザーの個人情報でどのように収益を上げているかを「明解かつ直接的に」ユーザーに説明する文章はいまだ見つからないと指摘している。

公正取引委員会は、Facebookの「欺瞞行為」と彼らが呼ぶ活動を禁止し、イタリアのホームページ、Facebookのアプリ、さらにイタリアで登録したユーザーの各個人のページで改正した説明を掲載するよう求めた。

今回の同委員会の訴訟に応える形で、Facebookの広報担当者はTechCrunchに次のように述べた。

私たちは当局の決定を精査しています。昨年、私たちは、Facebookの収入の仕組みをよりわかりやすく説明するために、利用規約を含む複数の変更を行っています。これらの変更は、みなさまにさらなる透明性と、ご自身の個人情報の管理方法を提供するという、私たちの継続的な取り組みの一環です。

昨年、イタリアのデータ保護機関は、Facebookに110万ユーロ(約1億3000万円)の罰金を科した。ケンブリッジ・アナリティカのデータ漏洩スキャンダルに関連したプライバシー侵害に対するものだ。

怪しくも怠慢な態度

別件だが関連ニュースとしてドイツの裁判所は1月24日、Facebookはサービスが「ずっと無料」という宣伝文句を今後も使い続けることができると判断した。サービスの代償として、金銭での支払いをFacebookがユーザーに求めていないことがその根拠だ。

ドイツの消費者権利団体であるvzbvは、Facebookがこの宣伝文句を使うことに反対する訴えを起こした。同プラットフォームはターゲティング広告に利用するためにユーザーの個人データを収集しており、誤解を招くという起訴内容だ。しかし、裁判所はこれを退けた。

だがそれは、この団体がデータ保護関連で提訴した全26件のうちのひとつに過ぎない。ベルリンの裁判所は、その他の多くの訴訟では団体に有利な判決を下している。

中でも注目すべきは、EU全体を対象とした一般データ保護法(GDPR)が施行されるにも関わらず、データ保護関連の法的訴えをドイツ国内の裁判所で起こす権利を同団体に認めたことだ。これは、プライバシーに大変に厳しい市場において、消費者擁護団体とプライバシー権保護団体の戦略的訴訟に道を拓くものだ。

EU加盟国単位でのプライバシー関連訴訟を回避する際にFacebookがよく用いる法的論拠に、Facebookのヨーロッパ本部はアイルランドにあるため他の加盟国の裁判所には司法権がないというものがあるが、それを考えると面白い(GDPRには、国境をまたぐ苦情をトップの規制当局にワンストップで訴えられる仕組みがある)。

しかし、この決定のためにFacebookは例えばFacebookを含む大手アドテック企業はユーザーに同意を強制しているとの2018年5月以来のGDPR違反の訴えに追われ仕事が山積みのアイルランドの規制当局に、個人データとプライバシーに関するあらゆる苦情を押しつけることが難しくなる。

ベルリンの裁判所はまた、Facebookのプライバシー設定と契約条件は同意に関する法律に違反しているとのvzbvの主張を受け入れた。つまり、Facebookのモバイルアプリで初めから有効になっている位置情報サービスや、デフォルトで有効になっているユーザーのプロフィールを検索エンジンにインデックスする設定などだ。

さらに同裁判所は、Facebookの契約条件であらかじめ定式化されている一部の条件は、準拠すべき法的基準から外れていることも認めた。例えば、名前とプロフィール写真が「商用で、スポンサーによって、あるいは関連するコンテンツで」使用されることにユーザーが合意しなければならないことや、将来の規約変更にあらかじめ合意するといった条項などだ。

vzbz法執行チームのHeiko Dünkel(ハイコー・ダンケル)氏は声明の中でこう述べている。「Facebookがそのユーザーの個人情報のずさんな扱いで有罪になったのは、これが初めてではありません。裁判所は消費者相談センターがGDPR違反に対して訴訟が起こせることを明らかにしました」。

我々は、Facebookにコメントを求めている。

画像クレジット:Twin Design Shutterstock

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(翻訳:金井哲夫)

テクノロジーは人類学である

テクノロジービジネスで面白いのは、ほとんどの場合に重要なのはテクノロジーではないことだ。重要なのは人々がどうそれに反応するかであり、それがどんな新しい社会規範をつくりだすかだ。これは、スマートフォンやインターネットが展開期の半ばをはるか過ぎた今日には特にあてはまる。

人々、賢明で思慮深く十分な専門知識と経歴をもつ人々は、AirbnbやUberは失敗する運命にある、なぜなら赤の他人の家に泊まりたい人や赤の他人の車に乗りたい人などいるわけがないからと考えた。人々は、iPhoneは大失敗する、なぜならユーザーは「タッチスクリーンを忌み嫌う」からと考えた。人々は、エンタープライズ用の「サービスとしてのソフトウェア」は成功しない、なぜなら企業幹部はサーバーを自社でもつことにこだわるからと考えた。

その人たちは完全に間違っていた。しかし、注意してほしいのは彼らがテクノロジーを見誤ったのではないということだ(実際、だれもテクノロジーの議論はしなかった)。完全に間違っていたのは、自分以外の人々や自分の社会とカルチャーが、この新しい刺激にどう反応するかだった。彼らは人類学的に間違っていた。

これは、もちろん、あらゆる有力ベンチャー企業や巨大IT企業が、エリート人類学者からなる精鋭チームに多大な予算と自由裁量を与えて幹部チームの直属に置いている理由だ。えっ、違う?実際には、フォーカスグループやユーザーインタビューで、ありえない設定の利用方法や、見知らぬテクノロジーの見知らぬ状況での使い道を質問して、それを彼らなりの人類学的、いや失礼、マーケット・リサーチだと呼んでいる。

冗談、冗談。少なくとも私にはエリート人類学者の精鋭チームがそこまで効果的かどうかわからない。人々が新しいテクノロジーをどのように使うか、それが唯一の変数である時の答えを正確に求めることは難しい。新しいテクノロジーが絶えず変化し進化していく世界に生きているとき、新しいテクノロジーが根付いて広まるポジティブ・フィードバックループが働くとき、そして新しいテクノロジーを最初に20回操作したときに感じることが毎回変わるとき。予測は事実上不可能になる。

そして、そう、苦痛を伴う試行錯誤が、あらゆるところで行われた。UberとLyftも、人々が他人の車に喜んで乗るとは思っていなかった。Uberがスタート当初、現在Uber Blackと呼ばれている電話で呼ぶリムジンサービスだったことや、Lyftには「助手席に乗って、ドライバーとグータッチしよう」というかなり恥ずかしいポリシーがあったのもそれが理由だ。これらはサクセスストーリーだ。企業の墓場には、人類学的予想が大きく外れて、正しい方向転換を素早くできなかった/しなかった会社が山ほど埋められている。

VCやY Combinatorがスタートアップよりはるかに安定したビジネスなのは、それが理由だ。彼らは何十何百もの人類学的実験を並行して進められるのに対して、スタートアップにできるのは1つか2つ、特別速くて3つで、そして死んでいく。

これはエンタープライズビジネスにももちろん当てはまる。Zoomは、信頼性の高い実用的なビデオ会議システムを作れば、企業カルチャーが大成功に導いてくれるという人類学的な賭けだった。「予想外な発見の瞬間」を促す対面の会議が必要だ」という雰囲気がCEOたちの間に立ち込めることは容易に想像できるが、それは多くの大企業がテレワークに否定的で巨大な会社キャンパスを好む、今や古めかしい体質と同じだ。

これはテクノロジーの展開期に限らない。突入期にも独自の人類学がある。ただし、突入フェーズが影響を与えるのは経済の小さなセクターであり、そこにはテクノロジスト自身が主に参加しているので、技術者にとって自分たちの視点に基づいて社会がどう変化するかを見通すことは人類学的に妥当である。

今日極めて高度な技術も、明日にはそうではなくなるというのが多くの人々が支持しているメタ人類学理論だ。これは、恐ろしく非典型的で小規模な暗号通貨コミュニティーで信じられていることでもある。しかし、かつてそれが真実だったとして、果たして今もそうだろうか?それとも、そのパターンから逸脱することが、新しくて大きな社会的変化なのだろうか?私にはわからない。しかし、それを見つける方法はわかる。苦痛を伴う試行錯誤だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

これだけは理解しておきたい!2019年 SEO NEWS振り返り

遅ればせながら…明けましておめでとうございます。SEO NEWS担当の青木です。

今回は「2019年のSEO」を振り返ることを目的に、毎月発行してきたSEO NEWSから注目ニュースをピックアップしていきます。合計14本です。

今回は重要ニュースのみ選定しましたので、年始の業務が落ち着いたタイミングで改めて2019年のSEOニュースを振り返っていただき、施策の選定等に役立ててもらえると幸いです。

あとは、今年からSEO担当者になる(なった)方にもおすすめです。
ぜひブックマークしていただき、新任の方がいましたら教えてあげてください。

※毎月発行しているSEO NEWSはこちらからダウンロードできます。

1月 Googleしごと検索の導入

Google仕事検索が日本でも導入されました!

参考:求人情報  |  Search  |  Google Developers

ひとこと

アメリカでは2017年6月に導入されていた「Google しごと検索(Google for Jobs)」が日本でも1月に導入されました。
これにより「アルバイト」「求人」などの求職系キーワードで検索すると専用の枠(エンリッチリザルト)に求人情報が表示されるようになりました。

Googleしごと検索(2020年1月18日「渋谷 バイト」検索結果) 2020年1月18日「渋谷 バイト」検索結果


また、多くの場合、通常の検索結果よりも上に表示されます。

導入当初はtitleに「駅から◯分!高時給保証」などの煽りが入るなどのガイドライン違反も見られましたが、
最近はそういった違反もかなり少なくなってきたように感じます。不安な方は改めて確認することをおすすめします。

参考:Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA]: 求人情報ガイドラインを守って、より多くのトラフィックを集めましょう

 

すでに実装されている方で流入数を計測できていないという方は、
以下のサイトなどを参考にGoogle しごと検索経由での流入を確認するといいでしょう。
参考:Googleしごと検索流入を簡単にアナリティクスで分析する方法まとめ – ウェブ企画ラボ

2月 Search Console:ドメインプロパティの導入

Google ウェブマスター向け公式ブログから、Search Console の新機能ドメイン プロパティが実装され、プロパティをまたいだデータ集計がしやすくなりました。

参考:Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA]: Search Console の新機能ドメイン プロパティをご紹介します

ひとこと

ドメインプロパティの導入によって、同じドメインのプロトコル(httpおよびhttps)、サブドメイン(sub.example.comなど)、パス(example.com/directory/など)のデータが、
一括で確認できるようになりました(簡単にいうとサイトへの流入をまとめて確認できるということです)。

たとえばこれまで、以下の3つのURLの流入数は1つ1つ登録しなければGoogle Search Consoleで見ることはできませんでした。

https:hogehoge.com
http:hogehoge.com
https:sub.hogehoge.com

しかし今回の機能の導入により、すべての流入をまとめて確認できます。
httpからhttpsに移行し、合計の流入数を見たい方には嬉しい情報です。

サイトを包括的に確認できることで、異変や問題も気づきやすいでしょう。

この機能を使う上での障壁としては、「DNSレコードを使用して所有権を確認する」ことです。
慣れない人からすると、少し大変だと思いますが、「すごく大変!」というわけでもないので、まだ設定されてない方は下記の記事などを参考に試してみてはいかがでしょうか。

参考:ウェブサイト プロパティを追加する – Search Console ヘルプ

参考:サイトの所有権を確認する – Search Console ヘルプ

3月 prev/nextのサポートを数年前から終了していたことを公表

Google Webmastersの公式Twitterアカウントで、以下のような発表がありました。

Spring cleaning! As we evaluated our indexing signals, we decided to retire rel=prev/next.
Studies show that users love single-page content, aim for that when possible,
but multi-part is also fine for Google Search. Know and do what’s best for *your* users!

引用元:https://twitter.com/googlewmc/status/1108726443251519489

ひとこと

改めて要点をお伝えすると、下記がポイントです。

  • Googleは数年前からprev/nextのサポートを終了していた(2019年3月時点)
  • Bingなど、他の検索エンジンで参考にしているケースもある
  • すでに実装している場合でも削除する必要はない

確かに複数ページにわたる記事コンテンツなどでは、対象のキーワードに対し、1ページ目ではなく、2ページ目以降が適切なケースもあります。
最近では検索結果だけでなく、Google Discoverなどでも、2ページ目以降のページが表示されるのを見かけるようになりましたね。

 

▼参考:Google金谷さんのツイート

複数ページにまたがった一連のコンテンツの関係性を示すページネーション(rel=”next” / rel=”prev”)ですが、Google 検索においてサポートを終了しました。『ユーザーは検索をするときに「すべて表示」ページを好む傾向に』ありますが、これまで通り分割していただいても問題はありません。

引用元:https://twitter.com/jumpingknee/status/1108734294661316614

4月 大規模インデックス削除エラーが発生(解消済み)

Google検索でインデックスのドラブルがあり、一部のページがGoogle検索の結果に表示されなくなるバグが起きました。

参考:Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA]: Google 検索でインデックスの問題が発生: その対処法と教訓

ひとこと

「検索結果にいくつかのサイトが表示されなくなった」というショッキングな問題でした。

結局のところ、ウェブマスターにできることは、URL検査ツールよりインデックス状況を確認することくらいでしょう。
この一件の教訓としては、定期的な情報収集の重要性が再認識された点が挙げられます。
また、鈴木健一さんはこの問題について、「海外SEO情報ブログ」で下記のように述べています。

「人騒がせな」と憤る人もいるかもしれません。
ですが、お金を払ってGoogle 検索に登録しているわけではないので、Googleを非難するのはお門違いのようにも思います。
それに、Google 検索だけに集客を依存していると、Googleからの集客がいざ遮断されたときに困窮するという教訓とも言えます。

引用元:Google検索に技術的な問題が発生、インデックス削除されたサイトも。問題はすでに解消 | 海外SEO情報ブログ

5月 その①モバイル検索結果のアップデート

スマートフォンでの検索結果画面の見え方がアップデートされました。

参考:A New Design for Google Search on Mobile

 

スマートフォンでの検索結果画面のアップデート A New Design for Google Search on Mobileより画像を引用し加工

 

ひとこと

モバイルの検索結果にファビコンが出始めたのはこのタイミングです。
今でもファビコン設定がされておらず、地球儀のマークが表示されたままになっているサイトを見かけることがありますが、個人的にはサイトの認識にもつながるので設定はしておくと良いと思います。

 ※PCの検索結果においても、表示させるテストを行っているようです。

そのほかの変更点としては、
「ページのtitleの上にURL(パンくずリスト)が表示されるようになる」
「広告枠のデザインが、通常の検索結果に近いものになる」などがありました。

モバイルの検索結果画面は、今でも大きく変わり続けています。

画像や動画、ページ内リンクなどをうまく活用し、ユーザーに見てもらえるようなリッチな検索結果を目指しましょう。

参考:検索結果に表示されるファビコンを定義する – Search Console ヘルプ

5月 その②GooglebotのアップデートによりJavaScriptを気にかける必要性が減少

これまでGooglebotは最新のレンダリングエンジンにアップデートされました。
今後、レンダリングエンジンは定期的にアップデートされていくようです。

参考: Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA]: Googlebot が常に最新のレンダリング エンジンをサポートするようになります

ひとこと

検索エンジンはJavaScriptが苦手――2019年は、そんな考えが払拭された年であったような気がします。

もちろん、レンダリングはクロールとは別プロセスで実施され、負担であるのは間違いないとは思いますが、「レンダリング時間の短縮」をはじめ1000以上の新機能があり、それらによって個人的にはSEOの観点でJavaScriptがサイトに与える影響を気にかける必要性は減ったと思います。

とはいえ、JavaScriptではリンクの書き方は「a要素」(<a href=”https://example.com/”>~</a>の形)でないと、検索エンジンにリンクと認識してもらえないなど、知っているのと知らないのでは、大きな差になるトピックもありますので、下記の記事などを参考に勉強してみてください。

参考:JavaScript SEO の基本を理解する  |  Search  |  Google Developers

6月 検索結果の多様性を高めるアップデートをリリース

Googleが、検索結果の多様性を高めるアップデートをリリースしました。

Google SearchLiaisonのツイッターアカウントで発表されています。

Have you ever done a search and gotten many listings all from the same site in the top results? We’ve heard your feedback about this and wanting more variety. A new change now launching in Google Search is designed to provide more site diversity in our results….

引用元:https://twitter.com/searchliaison/status/1136739062843432960

ひとこと

要点をまとめると、下記のようになります。

  • 検索結果の多様性のため、検索結果に同一ドメインのサイトから表示するページを2件までにする
  • ここでの同一ドメインとはサブドメインも含める
    ※「https://hogehoge.com」と「https://sub.hogehoge.com/」は同一ドメインとなる。
  • 例外として、表示することによって多様な検索結果になるとアルゴリズムによって判断された場合は、3件以上表示されることがある。

このアップデートにより、「サイト内の同じテーマのコンテンツの有無」や「そのキーワードでサブドメインのページが上位に表示されていないか」など、以前に比べて念入りに確認するようになった方も多いのではないでしょうか。

7月 2019/7/1以降、検索エンジンに認識されたサイトはモバイルファーストインデックス(MFI)をデフォルトに

モバイルファーストインデックスが実装されてから、徐々にモバイル版のクローラーが回ってきています。
Google Search Consoleでモバイルファーストインデックスの通知を受けた方も多いのではないでしょうか。

2019年7月以降は検索エンジンが認識した新しいWebサイトはモバイル版のクローラーがデフォルトになるようです。

参考: Mobile-First Indexing by default for new domains

ひとこと

Search ConsoleでMFI移行の確認がしやすくなるなど、2019年はMFIへの移行がさらに加速した年でした。

ひとつアドバイスをすると、サイトを確認する際はPC版だけではなく、モバイル版を意識するということ。

特に新規でサイトを立ち上げる際、モバイルユーザーがPCユーザーよりも多いと想定される場合は、「モバイルファーストでサイト制作」を心掛けてもいいと思います。
これはSEOのためではなく、実際に使用するユーザーのことを考慮しても、そのほうがいいといえるでしょう。

8月 How-toリッチリザルトが日本のGoogle検索でも導入される

構造化マークアップを行うことによる検索結果のリッチ化は日本でも進んでいます。
8月からはHow-toリッチリザルトが実装されました。

参考:ハウツー  |  検索  |  Google Developers

ひとこと

How-toリッチリザルトの導入が発表されたのは5月のことでしたが、実際に日本の検索結果に出始めたのは8月くらいからでした。

この「How-to」や「よくある質問」は、内容や専有面積からCTRに大きく影響します。そのこともあって、実装された方も多いのではないでしょうか。特に「よくある質問」は、いろいろな検索キーワードで目にします。リンク(aタグ)やリスト(liタグ)などのHTMLコンテンツを使えることもあり、工夫しがいがありますね。

参考:Official Google Webmaster Central Blog [EN]: New in structured data: FAQ and How-to

少し一息

以下の記事は「アルゴリズムアップデートが起きたとしても、従来どおり優れたコンテンツの提供に集中してください」というのはGoogleがアルゴリズムアップデートのたびに話していたことですが、そのコンテンツの品質に関してのアドバイスが掲載されています。もちろん、定量的な話はないのですが、コンテンツを作っていく上で参考になります。

参考: Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと

原文は8月に公開された「Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと」ですが、皆さんはご覧になりましたでしょうか?

参考: What webmasters should know about Google’s core updates

品質評価ガイドラインやE-A-Tについてもふれていますので、2020年になってもこの記事は、定期的に振り返ることを推奨します。

9月 nofollow属性の仕様変更

Official Google Webmaster Central Blog [EN]: Evolving “nofollow” – new ways to identify the nature of links

https://webmasters.googleblog.com/2019/09/evolving-nofollow-new-ways-to-identify.html

ひとこと

これまではリンクにnofollow属性を指定することで、検索エンジンはリンク先ページの評価には利用していませんでした。
しかし今回の仕様変更により、リンク先ページのランキング評価のヒントとしてnofollow属性を利用すると発表しました。
そして、クロール対象、インデックス作成の目的としても、2020年3月1日からヒントとなります(もう少しですね)。
※ヒントとは・・・リンクにnofollowがついていても、検索エンジンは評価対象、クロール対象、インデックス対象にする場合があるということです。

また、同時に新しい属性が2つ追加されました。
sponsored属性は広告、ugc属性はユーザーのコメントなどのユーザーが作るコンテンツに対してのリンクに利用できます。
これらは、設定していないからといって、評価が急激に下がるわけではありませんが、当てはまる際には設定してみてください。

参考:外部サイトへのリンクには漏れなく”nofollow”とか、いい加減やめませんか | SEO HACKS公式ブログ

10月 Chrome79より混合コンテンツ をブロック

混合コンテンツとは簡単に言えばhttpsのページの中にhttpの画像や音声、動画のコンテンツがある状態のことです。
これによりhttpsのページの中で、改ざんされた画像や音声コンテンツが流出する可能性などを懸念し、セキュリティの観点ですべての混合コンテンツをブロックしていることを発表しました。

参考:Google Online Security Blog: No More Mixed Messages About HTTPS

ひとこと

ランキング要素でもある常時SSL化ですが、画像などのリソースはHTTPで配信しているといったケースは今でもあります。

HTTPでリソースを配信していても、HTTPSで読み込むことができる場合は、Chrome側で読み込んでくれるようですが、セキュリティを考え、基本的にはHTTPSで配信するようにしましょう。

まだ、常時SSL化ができていないサイトについては、2020年こそSSL化してみてはいかがでしょうか。

参考:Googlebotが混合コンテンツを読み込まなくなるかも、Chromeのセキュリティ強化はSEOにも影響あり | 海外SEO情報ブログ

参考:ウェブ上での HTTPS 暗号化 – Google 透明性レポート

11月 Search Consoleに速度レポートが登場

これまでPage Speed Insightで1つ1つのページのページ速度を調べていましたが、Google Search Consoleでもページスピードを確認できるようになりました。

参考: Official Google Webmaster Central Blog [EN]: Get faster with the new Speed report in Search Console

速度レポートの概要

Official Google Webmaster Central Blog [EN]: Get faster with the new Speed report in Search Consoleから引用

ひとこと

Search Consoleの速度レポートは、実際にChromeを利用し、サイトを見たユーザーデータにもとづいています。
レポートが悪いからといってペナルティを受けるなどの影響はありませんが、そもそも読み込み速度はユーザー行動に大きく影響するポイントです。
「早いに越したことはなく、0.1秒でも改善されれば良し」の精神で、改善に取り組んでみてください。

2020年はいよいよ5Gが本格的に導入される年ではありますが、読み込み速度は決して通信環境だけでなく、デバイスの問題なども絡みますので、引き続き注力していきましょう。

 参考:速度レポート – Search Console ヘルプ

12月 日本語の検索においてもBERTを導入

BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)とはGoogleが発表した自然言語処理モデルのことです
これにより文章で検索した場合、その検索結果がより検索意図に沿ったものになるようにしています。
アメリカでの検索ではすでに導入されていましたが、12月より日本での導入も発表されました。

参考:https://twitter.com/searchliaison/status/1204152381061107714

ひとこと

検索するユーザーからすれば、検索エンジンの言語理解力が高まることで、今まで以上に検索結果の精度が高まるため、うれしいことだと思います。

ウェブマスターとしては特に対応する必要はないですが、興味がある方は以下の記事を参考にしてみてください。

 

参考:BERTとは何か?Googleが誇る最先端技術の仕組みを解説!Udemy メディア

参考:Google AI Blog: Open Sourcing BERT: State-of-the-Art Pre-training for Natural Language Processing

まとめ

各月、ニュースを1つから2つピックアップしましたが、忘れていたニュースなどはありませんでしたでしょうか?
さて「Googleの人はこう発言しました」といったものまで含めると、毎月SEOだけで何十件もニュースはあります。
そうなると大切なのは取捨選択ですが、そんなに簡単にできることではありません。

だからといって、情報をまったく追わなくなってしまうと、サイトの変更が必要なレベルの情報すら逃してしまうおそれがあります。そうならないためにも、弊社のSEO NEWSやTwitterなどで、最低でも月に1回はSEOの最新情報にふれてみてください。

改めて2019年を振り返ると、「検索結果画面のリッチ化の加速」が一番のトピックだったと思います。

1月のGoogle しごと検索を皮切りに、ホテルや航空券の予約などができるGoogle Travelの表示、モバイルでのファビコンの表示など、数多くの機能が検索結果を賑わしています。

すべて対応できるわけではないですが、ウェブマスター側でもできることはたくさんありますので、2019年にできなかったことは、ぜひ2020年に対応してみてください。

最後になりますが、ナイルは今年も毎月SEO NEWSを発行します。ご興味のある方はこちらよりご登録をお願いします。

これだけは理解しておきたい!2019年 SEO NEWS振り返りナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。

米国の性的メッセージ交換サイトからモデルの個人情報1万件以上が流出

人気のセクスティング(性的メッセージ交換)ウェブサイトが、同サイトで報酬を得ているモデルやセックスワーカー数千人の写真入りIDを流出させた。

米国アリゾナ州拠点のアダルトサイトであるSexPantherは、流出したAWSのストレージバケットに1万1000件以上の個人情報を登録していた。そこにはパスポート、運転免許証、社会保障番号などがパスワードなしで保管されていた。同社によると、これらのデータはユーザーと対話するモデルの年齢確認に使用されていた。露出した個人情報データの大部分には、氏名、自宅住所、生年月日、バイオメトリクス、写真などが含まれている。ほとんどのデータは米国内のモデルのものだが、カナダ、インド、英国から登録されたものもある。

このサイトでは、ユーザーとメッセージや写真、ビデオなどヌードを含む性的コンテンツを交換することで、モデルやセックスワーカーが金銭を得る手段を提供している。露出したストレージバケットには、ほかにもサイトで交換された写真やビデオ10万件以上が保存されていた。

ストレージバケットの所有者が誰であるかはすぐにはわからなかった。TechCrunchは英国拠点の侵入テスト会社で漏洩データの発見や識別の経験をもつFidus Information Security(フィドゥス・インフォメーション・セキュリティ)に協力を求めた。Fidusの調査員らは、露出したデータがSexPantherのものであることを示す証拠を直ちに見つけた。

SexPantherの運用者であるAlexander Guizzetti(アレクサンダー・ギゼッティ)氏にデータの露出を通知してから1時間後、問題のストレージバケットはオフラインになった。「SexPantherは本件をセキュリティー部門および法律部門に伝えて調査を進めている。このような事態を極めて重く受け止めている」とギゼッティ氏はメールで回答したが、ストレージバケットが彼の会社の所有であるかどうかは明確に答えなかった。漏洩データを公開データと突き合わせたところ、本誌は本件で個人情報が露出したモデル数人と連絡を取ることができた。

「確かに私が送ったものです」と、一人のモデルが露出した自身の運転免許証について話した(データの秘密性を鑑み、彼女の名前を公開しないことにTechCrunchは同意した)。問題のバケットにあった彼女の運転免許証の写真を見せたところ、たしかに自分のものだが載っている情報はすでに最新のものではないと語った。「本当の情報を登録した人たちのことを思うと本当に心配です」と彼女は語った。

このわずか1週間前、アダルトウェブカム・ストリーミングサイトのPussyCashで、セックスワーカーの極めて秘密性の高い個人情報が同じように露出していたことを調査会社が発見した。そこでも85万件以上のデータが、保護されていないストレージバケットに無防備な状態で保存されていた。

関連記事

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

猫様専用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版は2月14日リリースへ

RABOは1月27日、同社が開発・販売してる首輪型の猫用バイオロギングデバイス「Catlog」のAndroid版のリリーススケジュールを同社ウェブサイトで公開した。

当初は1月中の配布を予定していたが、開発に遅れが発生し、現在はCatlog HomeおよびPendantデバイスとの連携機能の最終検証を進めているとのこと。新たなリリース予定日は2月14日としている。

Catlogは、猫の行動を24時間記録でき、歩行や走行はもちろん、睡眠や飲食などの状況をスマートフォンで遠隔チェックできるIoTデバイス。首輪型のPendantデバイスと、Pendantデバイスの充電とスマートフォンとの連携などに使うベースステーションであるCatlog Home、スマートフォン用アプリを利用することで、留守時などの猫の行動をある程度把握できる。税別価格は1万4800円。

現在iOSデバイス向けに一般販売しており、ローンチ後約4カ月で約1000UC(Unique Cat)に到達したとのこと。アプリアクセス率(登録したユーザーのうち再度アプリにアクセスしたユーザーの割合)も7日間で90%、30日で78%と高い数値を維持している。同社によると、ノンマーケティングのオーガニックのみで、約4カ月の計画出荷数を1.5週間で達成したという。

クラスがオフィス家具サブスク強化、「交換し放題サービス」で急成長するスタートアップを支援へ

月額400円から使える家具のサブスクリプションサービス「CLAS」を展開するクラスは1月27日よりオフィス家具・什器の「交換し放題サービス」を開始した。

同サービスでは、オフィスや店舗に配置する家具・什器・家電を月額500円から利用・交換できる。現時点でデザイン性の高いチェア、デスク、ソファをはじめ、実用性の高いロッカー、書ける天板を利用したディスカッションテーブル、木目調のホワイトボード、家電、プロジェクターなど50種類以上のアイテムが対象。2020年春には100種類まで拡大する予定だ

最低利用期間は3ヶ月となっていて、それ以降であれば利用期間を自由に設計可能。交換時に配送料がかかるものの、契約金額の範囲内であれば回数や期間の制限なしでアイテムを“交換し放題”である点が特徴だ。

従来のCLASと同様、通常使用の範囲であれば汚れや傷がついてしまったアイテムも無料で交換でき、メンテナンスの費用や手間もない。また家具選定やレイアウト設計に関してはコーディネーターが無料でサポートする。

クラス代表取締役の久保裕丈氏によると、個人向けにはリペアしやすいPB製品を中心に交換し放題の仕組みを作れていたが、法人向けにはできていなかったそう。法人向けPB製品のラインナップが整ってきたことでオフィス家具においても交換し放題が実現したという。

今回のオフィス家具サブスクは、急成長するスタートアップ企業や生産性の高いオフィスづくりを目指す企業のサポートをすることが目的だ。新メンバーがどんどん加入する段階のスタートアップでは、その度に家具の購入やレイアウトの変更、不要になった家具の廃棄などが必要になる。クラスでは家具や什器をサブスク型で提供し、その負担を軽減することを目指す。

また交換し放題であるため“A/Bテスト”のような感覚で何度も家具やレイアウトを変更でき、理想のオフィスづくりに強いこだわりがある企業とも相性が良さそうだ。

「オフィス向け”交換し放題プラン”は、規模の大小は問わず、スタートアップの企業様に体験いただきたいと考えています。スタートアップは、人員の増減、組織体制・カルチャーの変化、短期間でのオフィス移転など、急激な変化が起こります。少ない管理部門と資金で運営しているスタートアップでは、こういった変化に伴うオフィス什器に関する悩みは枚挙にいとまがありません」

「『人員の急激な増減に、什器の調達・廃棄が間に合わない』『購入したはいいけど、移転/レイアウト変更で1年も使わず什器を廃棄する羽目に』『買い替えや廃棄にまつわる手間や初期投資が重たい』『社員のために導入したものの、全く使われない空間がある』こういった一切のお悩みをサービスを通じて解決していきたいと考えています」(久保氏)

交換し放題サービスの事例

CLASは個人を主な対象とした月額500円からの家具レンタルサービスとして2018年8月にリリース。家具のラインナップを増やすだけでなく、家電やベビーカー、観葉植物など家具以外のアイテムにも対象を広げてきた。2019年12月には関西の一部地域への対応もスタートし、提供エリアも拡大中だ。

運営元のクラスでは昨年12月にギークスを含む複数の事業会社などから総額約2億円を調達。それ以前にもANRIやキャナルベンチャーズを始めとした投資家より複数回に渡って資金調達を実施している。

家具のサブスク・レンタルサービスは個人向け、法人向けを含めて、ここ数年で国内でもいくつか新しいサービスが出てきた。TechCrunch Japanでも過去に「airRoom」や「subsclife」、「Kaggレンタル」などを紹介している。

SaaS 21社のIPOから得られた資本効率に関する教訓

安心してほしい、ほとんどのハイテク企業はWeWorkではない

Uber(ウーバー)とWeWork(ウィワーク)が最近盛んに取り上げられたために、メディアの注目は「ソフトウェア主体の」スタートアップの、高いコスト(ハイバーン)に集まっている。とはいえ、ここ数年のテック分野でのIPOのほとんどは、資本効率の高い「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS)スタートアップとして行われているのだ。

SAN FRANCISCO, CA – MAY 10: Adam Neumann Founder of WeWork speaks on stage at the WeWork San Francisco Creator Awards at Palace of Fine Arts on May 10, 2018 in San Francisco, California. (Photo by Kelly Sullivan/Getty Images for the WeWork Creator Awards)

過去30か月間(2017年下半期以降)、米国拠点のVC支援SaaS企業21社がIPOを行った。その中にはZoom、Slack、そしてDatadogなど1が含まれている。私はその21社すべてを分析して、資金調達と収益創出の軌跡をたどった。なお個々の企業の軌跡はこのExtra Crunchの記事で深く掘り下げている。

以下は、そのデータセットからの要点をまとめたものだ。

1. IPOで、調達された資本総額2は、中央値の企業の年間収益予測値(ARR:annual run-rate revenue)3 をわずかに上回っていた

上に示したのは、各企業が上場した時点でのARRと、累積資本の散布図である。ほとんどの企業は、ARRと調達資金が一致することを表す対角線の近くに集まっている。調達された資本金は、しばしば線に接しているかARRよりわずかに高い。

たとえば、Zscaler1億4800万ドル(約162億円)を調達してIPO時点でのARRは1億4600万ドル(約160億円)に達していたし、Sprout Social は1億1200万ドル(約122億円)を調達して、1億600万ドル(約116億円)のARRを達成していた。

データセットとしての企業の収益の間に大きなばらつきがあることを考えると、総額を見る代わりの指標を取り入れると便利だ。なにしろARRを見たときに、SproutSocialは1億600万ドル(約116億円)、Dropboxは12億2200万ドル(約1335億円)と10倍以上の差があったのだ。ARRの倍数として表現された総資本額は、この差異を正規化する。下に示したのは、この指標による分布のヒストグラムである。

分布は約1.00倍から1.25倍に集中しており、中央値の企業はIPOの時点でARRの1.23倍の資本金を得ている。

両端に外れ値が出現している。Domoは、6億9000万ドル(約754億円)を調達して1億2800万ドル(約140億円)のARR、つまりARRの5.4倍という異常値で、これに迫る会社は存在しない。これに対してZoomとDatadogは効率的な方の外れ値だ。Zoomは1億6100万ドル(約176億円)を調達して4億2300万ドル(約462億円)のARRを達成し、Datadogは1億4800万ドル(約162億円)を調達して3億3300万ドル(約364億円)のARRを達成している。

2.キャッシュバーンは資本効率のより正確な尺度であり、調達した資本金額とは大きく異なる場合がある(会社によって異なる)

ある企業がどれくらいの資本金を調達したかは資本効率のストーリーの半分しか語っていない。なぜなら多くの企業が十分な預金残高を保有しているからだ。たとえば、PagerDutyは合計1億7400万ドル(約190億円)を調達したが、公開時には1億2800万ドル(約140億円)の現金が残されていた。また別の例として、Slackは公開前に合計13億9000万ドル(約1519億円)を調達していたが、8億4100万ドル(約919億円)の現金が残されていた。

一部のSaaS企業が、既存の株主への希薄化となるにもかかわらず、当座の現金需要を超えて資本金を過剰に調達しているように見えるのはなぜなのか?

理由の1つは、企業が日和見的であり、市場の状況が良好なときに、実際のニーズよりもはるかに早い段階で資本を調達しているからだ。

もう1つの理由は、目標を達成したいVCがより大きなラウンドを推進していることだろう。たとえば、4億ドル(約437億円)の事前評価を受けた企業が、5000万ドル(約55億円)の現金しか必要としないのにも関わらず、最終的に25%の所有権を持ちたいVCから1億ドル(約109億円)を調達する結果になる場合もある。

これらの諸要因により、調達された総資本から現金残高を差し引いて計算されるキャッシュバーン4の方が、総調達額よりも正確な資本効率指標となるのだ。以下に示したのが、ARRの倍数としての総キャッシュバーンの分布だ。

驚くべきことに、Zoomはマイナスのキャッシュバーンを達成した。つまりZoomは、調達したすべての資本金よりも多くの現金を貸借対照表に載せて公開したのだ。

IPOでの会社のキャッシュバーンの中央値はARRの0.77倍であり、ARRの1.23倍である調達された総資本よりもかなり少なかった。

3.「Rule of 40」の指標でみた最も健全なSaaS企業は、多くの場合最も資本効率が高い

Rule of 40は、SaaS企業のビジネスの健全性を評価するための一般的な経験的法則だ。それが主張しているのは、健全なSaaS企業の収益成長率と利益率の合計が40%以上になるということだ。以下に示したグラフは、21社が「Rule of 40」でどのように採点されるかを示したものである5

21社のうち、8社が40%のしきい値を超えている。Zoom(123%)、Crowdstrike(119%)、Datadog(76%)、Bill.com(56%)、Elastic(55%)、Slack(52%) 、Qualtrics(44%)、そしてSendGrid(41%)という数字になっている。

興味深いことに、キャッシュバーンで測定された資本効率の両端の外れ値は、「Rule of 40」でも同じく外れ値となっている。資本効率が最も高いZoomとDatadogは、「Rule of 40」で最高と3番目に高いスコアを獲得している。逆に、資本効率が最も低いDomoとMongoDBも、「Rule of 40」で最低スコアを獲得している。

実際に「Rule of 40」と資本効率は実際には同じコインの両面であるため、これは驚くようなことではない。企業が利益率をあまり犠牲にせずに高い成長を維持できる場合(つまり「Rule of 40」で高得点)には、同業他社と比べて当然ながら現金の消費量は少なくなる。

結論

これらすべてを、お気に入りのSaaSビジネスに当てはめるためには、いくつかの質問に答えなければならない。調達した総資本金額はARRの何倍だろう?総キャッシュバーンはARRの何倍だろうか?上記の21社と比較した場合、その会社はどの位置に入るだろう?Zoomに近いだろうか、それともDomoに近いだろうか?”Rule of 40″での評価はどのくらいだろうか?それは、その会社の資本効率の良さまたは悪さを説明するのに役立つだろうか?

この記事のドラフトをレビューしてくれたElad Gil(エラド・ギル)とDenton Xu(デントン・スー)に感謝したい。

脚注

1米国拠点のVC支援SaaS企業のみが含まれる。予定されたIPOの直前に買収されたため、公開されはしなかったが、Quatricsを含んでいる。

2IPOに先立つ機関投資を含む。創業者による個人的な資本投資は含まれていない。

3これは、年間経常収益(Annual Recurring Revenue、これもまたARRと略される)ではなく、公開会社の報告要件ではないことに注意してほしい。年間収益予測値は、四半期収益を年換算することで計算される(4倍にするということ)。SaaSの収益は主に定期的なソフトウェアサブスクリプションであるため、両者の指標はSaaSビジネスを厳密に追跡する。

4これは、創業者からの株式買戻しなど、営業とは関係のない現金の利用も含んでいるため、あくまでも単純化された定義である。

5収益成長率は、過去12か月間(LTM)の収益を、その前の12か月間の収益と比べた成長率として計算される。利益率は、非GAAP営業利益率のことで、営業利益に株式ベースの報酬費を加えたものを、過去12か月(LTM)の収益で割ったものだ。

関連記事:資本調達の適切なペースは?(未訳)

【編集部注】著者のShin Kim(シン・キム)は新しいSaaSスタートアップに取り組んでいる最中で、かつ起業家であるElad Gil(エラド・ギル)のスタッフのチーフでもある。以前は、Oak Hill Capitalと J.P. Morganに在籍し、カリフォルニア大学バークレー校でEECS(データサイエンス)の修士号を取得した。

原文へ

(翻訳:sako)

「スタートアップ上場支援は取締役会の多様性が条件」とゴールドマンサックスが表明

米国の大手銀行は、世界で最も強力な組織の1つだ。だが、すべての現役企業と同様に社会的意義を保つにはまだまだ努力の余地がある。例えばMorgan Stanley(モルガンスタンレー)は、もっと多くの直接上場が見たいと言う投資家を支援する機会が増えた。大きな影響力を持つ投資家もいるから、彼らに勝てないなら(そして競争で先頭を走りたいなら)協力したほうがいい。

さて、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)は自社に関して現代を象徴する発表を行った。CEOのDavid Solomon(デービッド・ソロモン)氏は1月23日、CNBCに対して今年からゴールドマンサックスは企業の取締役会に少なくとも1名、多様性(ダイバーシティ)をもたらす人物がいなければ、その企業の上場を支援しないと述べた。

「米国と欧州で7月1日から、少なくとも1人の多様性をもたらす取締役候補がいない限り、企業の上場を支援しない。特に女性を念頭に置いている」と、ソロモン氏はCNBCの番組「Squawk Box」で具体的に述べた。

当然のことながら、この発表をマーケティングにすぎないと見なす向きもあるだろう。取締役会に女性が1人もいない企業の公開は当然受け入れられないし、今やさらに「多様性」に富んでいることが望まれるというのが大方の見方になっている。例えばWeWork(ウィーワーク)は昨年、取締役会全員が男性のまま公開しようとしたが、その後すぐに上場前に「混合」の取締役会にすべきと認識した。ただご存知のとおり、同社がS-1を修正してハーバード大学の教授であるFrances Frei(フランシス・フレイ)氏を最初の取締役会女性メンバーに指名するまでに、上場の見込みはすでに崩れ始めた。

上場前に最初の女性取締役を加えることは、最近ではお決まりになっている。もっと興味深い点は、その発表の時期が上場申請ぎりぎりになって行われるかということだ。

2008年創業のAirbnb(エアビーアンドビー)は、2018年に最初の女性取締役を迎えた。IPOが2020年と仮定すると2年前だ。10年というのは取締役会にダイバーシティを欠いた期間としては長いが、異例ではない。Slack(スラック)の最初の女性取締役であるSarah Friar(サラ・フライヤー)氏は、2017年3月に入社した。昨年の直接上場のおよそ2年前ということになる(2年前の時点で創業8年だった)。同様に、現在創業8年のフィットネス会社Peloton(ペロトン)は、2018年春に初の女性取締役としてPamela Thomas-Graham(パメラ・トーマスグラハム)氏を迎えた。同社は昨年の9月に公開した。

その3社について注意する必要があるのは、従業員レベルで起こっていることだ。Slackは何年もの間、事業の中核に多様性を掲げてきた。Airbnbも、より多様な従業員を雇用するという点で成果を上げている。Pelotonは、最近の「性差別主義者」「ディストピア」広告で物議を醸したが、多様性に富む経営陣を擁している。

ソロモン氏を批判しているわけではない。多様性に関しては、わずかなことの積み重ねが大事だ。だが、もしゴールドマンサックスが銀行のヒエラルキーで本当にその地位を維持したいなら、IPO準備の一環で取締役会に女性や有色人種を加えるよりもはるかに大胆な施策は、従業員に多様性が見られる企業の上場のみを支援することになると思われる。

ここでもっと本質的なことに目を向けてみたい。公開会社の取締役が集まって四半期の数字を確認するのは通常年4回だけだ。確かに重要だし必要なことだ。ただ、戦略的目標が確実に達成され、企業に有益な紹介を行うことを保証するという本来の役割を超えて、業界の取り巻きは取締役に重きを置きすぎている(与えられた仕事からすればあり得ない金額がしばしば支払われる)。

1つのアイデアとして、将来の利益の1%をNAACP(全米有色人種地位向上協会)へ還元する企業のみゴールドマンサックスはその上場を支援すると宣言してはどうか。それだけでゴールドマンサックスは、真に進歩的であることを望んでいる創業者や投資家が見ている中でポールポジションを取ることができる。しばらくの間ゴールドマンサックスは多くのビジネスチャンスを逃すかもしれないが、時間が経てば報われるギャンブルになると推測する。

すでに顕在化しているが現実世界に十分な影響を与えていないプロセスを制度化することは、制度化しないよりは多少なりとも良い。ソロモン氏によれば、驚くべきことだが、米国と欧州で最近上場した約60社の取締役会の全員が白人男性だった。

TechCrunchは1月23日、大手銀行がIPO前の企業に関して独自の公約を行うかどうか確認するため、モルガンスタンレー、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、JPMorgan(JPモルガン)に問い合わせた。いずれも多様性にコミットしていると公言しているが、問い合わせに対するコメントは避けた。

ソロモン氏は以前CNBCに対しこう述べた。「小さな一歩だと思うが、この一歩の方向性を言い換えればこういうことだ。『我々はこれが正しいと思うし、正しいアドバイスだと思っている。また我々は、クライアントが取締役会に女性を迎えるにあたり助けを求めてきたら、我々のネットワークのおかげで、支援できる立場にある』。これは我々がこう自問する1つの例だ。『どうすれば正しいと思うことを実行して、マーケットの進歩に貢献できるのか』」

画像クレジット:Denis Balibouse / Reuters

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(翻訳:Mizoguchi

App Storeが一時ダウン、後に復帰

【アップデート】App Storeは米国時間1月24日の金曜日中に復帰した。

米国時間1月24日の金曜日の正午、Apple(アップル)のApp Storeがダウンした。アップルのステータスページによると、一部のユーザーにおいて現在進行系の問題が発生していた。ウェブサイトによると、アップルはこの問題を調査中だと明かしていた。

ユーザーからは不満の声が上がっていた。Twitter(ツイッター)で少し検索してみると、App Storeでの購入ができないサインインに問題が発生している、あるいはダウンロードが止まっているなどの、ユーザーからの苦情が多数表示されていた。

初代iPhoneの後にローンチされたApp Storeは、それ自体が大きな市場となった。あるデータによると、App Storeは2019年に500億ドル(約5兆4000億円)の売り上げを記録している。そしてアップルは取り引きと売上の一部を手数料として徴収し、収入を上げている。

App Storeはいずれ復活するだろうが、これはアップルとデベロッパーの両者に損失をもたらしている。復帰するまではAndroidスマホを手にするか、散歩でも楽しもう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

「イノベーションのジレンマ」の著者、クレイトン・クリステンセン氏が逝去

世界的ベストセラーとなったビジネス書、「イノベーションのジレンマ-―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」の著者でハーバード・ビジネス・スクールの教授を長く務めてきたクレイトン・クリステンセン氏が昨夜ボストンの病院で亡くなった。67歳だった。

Deseret Newsが今朝報じたところによると、死因は白血病に起因する複合的症状だったという。クリステンセン氏は以前から健康上の問題を抱えていた。30歳で1型糖尿病と診断され、58歳で心臓発作を起こし、ガンも発見されていた。2011年のフォーブスのインタビューでクリステンセン氏は「病気は一時的な障害ではあるが、(リハビりの一環として)現在受けている言語療法は新しいチャンスでもある」とオプティミズムを強調していた。

実際、クリステンセン氏は生涯にわたって自他のために新しい可能性を切り開いてきた。ビジネスの世界でクリステンセン氏が注目されたきっかけはインテル中興の祖とも言われる伝説的経営者、アンディー・グローブ氏が同社にアドバイザーとして招いたことだった。このときグローブ氏は「『イノベーションのジレンマ』は自分がこの10年で読んだベストのビジネス書だった」と語った。グローブ氏自身が「ハイアウトプット マネジメント」を始め優れたビジネス書を多数書いていることを考えるとこれはたいへんな評価だ。

2012年にNew Yorkerに発表された紹介によれば、クリステンセン氏はユタ州ソルトレイクシティの貧しい地区のモルモン教徒の家に生まれた。 2メートルを超える長身を小さな1986年製シボレー・ノバに押し込んで町を移動していたという。

クリステンセン氏は優秀な学生であるだけでなく人望もあり、高校では生徒会長に選出された。ハーバードかイェールに進学したかったが、(モルモン教の)母はソルトレイクシティのブリガムヤング大学への進学を望んだ。

ブリガムヤング大学では経済学を学ぶかたわら2年間休学してフルタイムでモルモン教の宣教師として働いた後、ローズ・スカラーとしてオックスフォード大学に留学し、さらにハーバードビジネススクールで学び、MBAを得た。卒業後はボストン・コンサルティングに就職、数年後にハーバードに戻ってPhD(博士号)を取得して教職に就いた。

クリステンセン氏は生涯で10冊の本を書いたが、なんといっても世界にあまねく知られているのは「イノベーションのジレンマ」だろう。後から考えるとこの本は書かれたタイミングも完璧だった。人々は高機能だが使い方が複雑な高価なプロダクトを捨てて、使い方がはるかに簡単で、多くの場合はるかに安い新しいプロダクトに殺到するようになったのかを解き明かす理論だった。当時、その実例が日々現れていた。ゼロックス、U.Sスチール、DECなどの巨大企業が一夜にして衰退し、アマゾン、グーグル、アップルがビジネスの覇権を握る時代に移った。

もっともNew Yorkerの記事によれば、 クリステンセン氏もときには間違いを犯した。その最大のものは「iPhoneは複雑すぎるので普及しないだろう」という予言だった。

そういう失敗はあっても、アップルの共同創業者でiPhoneを生んだスティーブ・ジョブズ氏はクリステンセン氏のファンだった。 2011年10月、ジョブズ氏の死後数カ月に刊行されたウォルター・アイザックソンの伝記によれば、「イノベーターのジレンマ」は「(ジョブズに)極めて深い影響を与えた」という。

2016年にStartup Grindカンファレンスにおけるクリステンセン氏と著名な起業家、ベンチャー投資家のマーク・アンドリーセン氏の対話はクリステンセン氏のビジョンを理解する上で非常に興味あるものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

モバイルマーケティングのAkiがEyeviewの広告パーソナライゼーション技術を買収

ビデオ広告会社Eyeviewは昨年12月に倒産したが、Aki Technologiesによる買収のおかげでテクノロジーは存続することになる。AkiのCEOであるScott Swanson(スコット・スワンソン)氏は、消費者がオンラインのあちこちでパーソナライゼーションを目にするようになり、今後は広告パーソナライゼーションが急成長すると予想している、と筆者に語った。

スワンソン氏は、Eyeviewのテクノロジーが抜きん出ていると主張する。ビデオにフォーカスし「何百万ものビデオ置換えができ、クラウドに保存もできるから」だ。Akiの既存のプラットフォームと組み合わせることでさらに使い勝手がよくなる。Akiのプラットフォームでは、視聴者が家でくつろいでいるのか用事をしているのかといった「モバイルモーメント」向けのターゲット広告を展開している。

加えて、今回の買収でAkiはモバイル広告だけでなく、デスクトップとコネクテッドTVにもサービスを広げられる。

ディールの詳細は非公表だが、スワンソン氏はテクノロジーの買収に加えてEyeviewの旧クライアント引き込みやEyeviewチームメンバーの雇用にも取り組んでいると語った(これまでのところ15人ほどを採用し、20人を目標にしている)。同時に、スワンソン氏は操業を停止した事業の復活には課題があることも認識している。

「テクノロジーそのものは『退役』となり、撤去され、クラウドにバックアップがとられた」とスワンソン氏は述べた。「買収プロセスが進めば、我々は文字通りコードベースを取り出し、クラウドで再立ち上げする。雇用することは極めて重要だ。なぜならこれは顧客やスタッフを引き継ぐという従来型の買収ではないからだ。我々はそれぞれの顧客に電話をかけ、スタッフを1人ずつ雇用しなければならない」。

Eyeviewは資金を使い果たして従業員約100人を解雇する前に8000万ドル(約87億円)近くを調達していた。一方のAkiは2016年にシードラウンドで375万ドル(約4億円)調達しただけだ。以来、Akiは組織的に成長した、とスワンソン氏は話した。Eyeview倒産のニュースが飛び込んできたのは、デジタルメディアのベテラン、Rob Deichert(ロブ・ダイカート)氏のCEO就任から数カ月後のことだ。

「Eyeviewの事業を停止しなければならなかったのは残念だったが、技術的な資産がAkiで使われることになり嬉しく思っている」とダイカート氏は電子メールで語った。「Akiのビジネスはテクノロジーに倫理的にフィットする」

Eyeviewの不運にもかかわらず、Eyeviewがまだ独立した事業として機能すると自信を持っている、とスワンソン氏は話した。「多くの顧客が結果に満足する事業を展開してきた。そうした客は操業停止になったときがっかりしたようだ」

「選択肢がありすぎる」と広告主が疲れ、「大々的に宣伝する意欲」を失くしているのがアドテック業界全体で見られる問題だとスワンソン氏は指摘する。

「収益をあげ、もう少しテックが使えるようになるために効率的に事業を運営できる企業が主流になる」

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Sonosが古いデバイスのサポート終了に関する方針を変更

スマートスピーカーメーカーのSonosは、サポートを終了する古いデバイスについてのスタンスを明らかにした。同社の最初の発表は批判を受けていた。同社は改めて、ユーザーが所有しているSonosのシステムを2つに分割し、新しい方のデバイスは最新の状態にできるようにすると公表した。

Zone Player、Connect、第1世代のPlay:5、CR200、Bridge、2015年以前のConnect:Ampのサポートが終了することには変わりはない。Sonosは、これらのデバイスのメモリや処理能力は技術的な限界に達したとしている。

永遠に使い続けるわけにはいかないにしても、問題なく動作するスピーカーがだんだん劣化するのは残念だ。例えばSpotifyやApple MusicのAPIが将来的に変更されたら、所有しているデバイスはこれらのサービスとの連携が完全にできなくなってしまうかもしれない。

当初のSonosの発表でさらにひどかったのは、すべてのデバイスのファームウェアを同じバージョンにするために、所有するSonosデバイスのエコシステム「全体」がアップデートを受信しなくなるということだった。新たにSonos Oneを購入しても、ネットワーク上に古いスピーカーがある場合はSonos Oneもアップデートを受信しないと発表されていたのだ。

新たな発表の中で同社は「弊社では、システムを分割することで、新型製品のシステムでは最新機能をご利用いただき、レガシー製品のシステムは現状のままご使用いただくという方法をご提供できるよう取り組んでおります」と述べている。

理想的な対応ではないが、すでに所有しているデバイスを手放さなくてもいいという方針にはなった。Sonosは、古いデバイスには新機能は追加されないものの、セキュリティアップデートやバグの修正は引き続き提供することも明らかにした。

それでも私は、Sonosはデバイスにコンピューティングカードのスロットを追加すべきだと思う。そうすれば、スピーカーごと買い換えなくて済む。メモリやプロセッサが強化されたコンピューティングカードを購入して現在のカードと差し替えればいい。テック企業が環境に配慮しようと考えるなら、モジュール化はきわめて重要になるだろう。

関連記事:スマートスピーカー開発のSonosが古いデバイスのアップデートを打ち切り

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(翻訳:Kaori Koyama)

大手テック企業は暗号化の扉から政府を締め出すべきか

ロイターは1月21日、この問題に詳しい情報筋6人の話として、FBIがApple(アップル)に、ユーザーがアップルのクラウドに保存したiPhoneのバックアップを暗号化する機能を削除するよう圧力をかけたと報じた

iCloudに保存されたバックアップのエンドツーエンド暗号化の計画を断念したのは約2年前だという。この機能が導入されると、アップルを含めデバイス所有者以外の誰かがユーザーデータにアクセスすることができなくなる。実現すれば、法執行機関や連邦捜査官がアップルのサーバーに保存されているユーザーのデバイスデータにアクセスすることがより困難になる。

ロイターは、この機能を削除する決定が下された理由を「正確に特定することはできなかった」としているが、ある情報筋は社内の弁護士を指して「法務部がこの計画を殺した」と述べたようだ。ロイターの報道によると、アップルの弁護士が挙げた理由の1つは、政府がこの動きを「暗号化を防ぐ新しい法律導入の言い訳」として利用することへの懸念だった。

これは4年前に注目を集めた法廷闘争以来となるアップルとFBIの間の攻防だ。FBIは、あまり知られていなかった200年前の法律を持ち出して、米国カリフォルニア州サンバーナーディーノ銃乱射事件の犯人のiPhoneにアクセスするバックドア作成を要求した。その後FBIはデバイスに侵入できるハッカーを見つけたため、アップルに対してFBIが起こした訴訟が法廷に持ち込まれることはなかった。ただ、政府が企業に自社製品のバックドア作成を強要できるのかという法的問題を残すことになった。

この事件が再び議論を巻き起こした。法執行機関が令状を持っていてもデータへアクセスできないようなテクノロジーを開発すべきか。

TechCrunchのマネージングエディターであるDanny Crichton(ダニー・クリシュトン)は、法執行機関が令状を提示するならユーザーデータにアクセスする余地を残すべきだと主張する。セキュリティを専門とするエディターのZack Whittaker(ザック・ウィッタカー)はそれには賛成せず、企業には顧客データ保護を全うする権利があると主張する。

ザック:テック企業には、法的にも道徳的にも、法的手段によって顧客のデータをあらゆる敵から保護する権利がある。

アップルは、単に製品やサービスを販売するのではなく、ユーザーに信頼を売る企業の良い例だ。それは、データを非公開に保つデバイスの能力に対する信頼だ。その信頼がなければ、企業は利益を上げることができない。企業は、エンドツーエンド暗号化によって所有者以外がデータにアクセスできないようにすることが、顧客のデータをハイテク企業自身からも保護する最善、最も効率的、最も実用的な方法の1つであることを見出した。 つまり、ハッカーがアップルのサーバーに侵入してユーザーのデータを盗んだとしても、ハッカーが手に入れるのは読み取れないデータのキャッシュにすぎない。

しかし、過去10年間のリークの事例から、政府が膨大なユーザーデータにアクセスして監視していることが明らかになり、テクノロジー企業は政府を敵、すなわちあらゆる手段を使ってデータ取得を試みる主体だと見なし始めた。企業は、ユーザーに可能な限り堅牢なセキュリティを提供するという実用的なアプローチを取っている。そうして信頼を直接ユーザーの手に委ねることによって、信頼は構築される。

ダニー:テック企業とユーザーの間で信頼が重要であることはザックの言うとおりだ。確かに過去数年間のFacebook(フェイスブック)を巡る状況がそれを裏付けている。また、市民と政府間の双方向の信頼も必要だが、エンドツーエンド暗号化はそれを阻害する。

映画「マイノリティ・リポート」のように、政府が我々の個人データに自由に首を突っ込んで私生活を監視し、未来の犯罪を事前に捜し出すことは誰も望んでいない。しかし、市民の立場からは、我々をより安全にする手段を政府に持たせたいと考えるだろう。そうした手段の例として、疑わしい犯罪を調査、起訴するために裁判所の許可と捜査令状を得て、市民のプライバシーを合法的に侵害するメカニズムが考えられる。

今までは、ほとんどのデータが物理的に存在していたため、このようなチェックアンドバランスを簡単に確保できた。文字が書かれたノートは物理的な金庫に保管でき、裁判官が令状を発行したら、警察はその金庫を探し、必要に応じて中身を確かめるために開けることができる。警察には米国内のすべてのプライベートな金庫を調べることはできなかっため、ユーザーは自分のデータのプライバシーを確保できていた。ただし、特定の状況下で許可を得た場合に限り、警察にはデータを取得するための合理的なアクセス権が与えられていた。

エンドツーエンド暗号化は、必要な司法プロセスを完全に損なう。たとえばiCloudに保存されたデータに対して令状が発行されることがある。容疑者の協力がなければ、たとえそれが警察と当局が捜査の一環として合法的に取得すること許可されたデータであっても、押収できない場合がある。法執行機関にとどまらない。裁判を開始する時の証拠発見プロセスも同様に損なわれる可能性がある。証拠にアクセスできない司法は、公正ではないし正当性もない。

バックドアのアイデアはザックと同様好きではない。バックドアの技術的なメカニズムはハッキングなどの悪意のある行動に適しているように見えるからだ。ただ、法執行機関への合法的なアクセスの付与を完全に否定すると、犯罪を起訴することがほぼ不可能になる可能性がある。双方を両立する方法を見つけなければならない。

ザック:確かに政府が犯罪者を見つけ、捜査し、起訴できるようにはしておきたい。だが、プライバシーを犠牲にしたり、権利を侵害されたくはない。

個人を起訴する負担は政府にある。この点で修正第4条は明快だ。警察は、個人の財産を捜索し押収するために、相当の理由に基づく令状を必要とする。だが、令状は、犯罪に関係する情報にアクセスし、取得する権限にすぎない。データを読み取り可能な形式にすれば、全てを解決する黄金の鍵が手に入るわけではない。

暗号化された携帯電話へのアクセスが本当に難しいと連邦政府が主張するのであれば、精査に耐える証拠を提示する必要がある。政府はこの問題に関して誠実に行動できないし、信頼もできないことはこれまでの経緯で明らかだ。政府は何年もの間、暗号化されてアクセスできないデバイスの数を大幅に水増してきた。また、政府が暗号化デバイスに侵入できる手段と技術をすでに持っている場合でも、デバイスのロック解除のために、アップルなどのデバイスメーカーの支援が必要であると主張している。政府は、ロック解除できない暗号化デバイスによって支障が出た捜査の件数の公表を拒否している。これでは、連邦政府が主張する問題の深刻さを第三者機関が適切に判断することはできない。

しかし何よりも政府は、セキュリティエンジニアと暗号専門家からの批判への反論に繰り返し失敗している。政府の主張は、法執行機関だけがアクセスできるよう設計された「バックドア」が、ハッカーなどの悪意のある攻撃者によって誤用、紛失、盗難、悪用されることはないというものだ。

暗号化はすでに存在する。暗号化の魔神がランプに戻る方法はない。政府は現行の法律が気に入らないなら、法律改正に向け説得力のある主張を打ち出さなければならない。

ダニー:信頼に関する論点に戻りたい。最終的には、信頼の基盤の上に構築・設計されたシステムを望む。個人データがテック企業による金銭的利益のために不当に利用されないこと、個人データが広範囲にわたる市民監視のための政府の大規模データベースに取り込まれないこと、最終的に個人のプライバシーを合理的にコントロールできることが大事だ。

令状が許可するのは、当局による「すでにある」ものへのアクセスにすぎないという点でザックに賛成だ。再び物理的な金庫の例で言うと、容疑者が暗号化した言語でメモを書き、金庫に保管し、警察がそれを開けて取り出しても、エンドツーエンド暗号化されたiCloudから出てくる暗号化されたバイナリファイルと同様、メモを解読できる可能性は低い。

とはいえ、テクノロジーにより、そうした「暗号化言語」をいつでも誰でも利用することができる。30年前には、いつもメモを暗号化している人はほとんどいなかったが、今ではやろうと思えばあなたに代わってスマートフォンに毎回それをやらせることができる。妥当な捜査令状があるすべての捜査は、たとえ法執行機関が通常の業務の過程で必要な基本的情報を取得するだけであっても、多段階のプロセスになる可能性がある。

私が求めるのは、司法制度の中核を守る方法についての、より深い、より実践的な議論だ。違法な捜索と押収からプライバシーを守る一方で、令状に基づきサーバーに保存されたデータ(およびそのデータの中身、つまり暗号を解いたデータ)へ警察にアクセスを許可する方法はないのか。悪意のあるハッキングを受けやすい、文字通り暗号化されたバックドアがなくても、競合する利益のバランスを取ることが可能な技術的な解決策はあるのか。個人的には、公正な正義を実現することが不可能な制度は構築できないと思うし、究極的には望みもしない。

データに関するコメントに関してもう1つ。司法関連の統計データは複雑だ。統計データはあったほうが良いし、議論に役立つことには同意するが、同時に、米国は何千もの管轄区域を持つ分権化された司法制度を持っていることを念頭に置くべきだ。この国の統計能力は殺人件数をかろうじて数えることができる程度で、他の犯罪の件数に関しては言うまでもない。犯罪に関連するスマートフォンに関する証拠の基準についてもそうだが、そうしたデータが手に入ることは決してないだろうから、個人的にはデータが手に入るまで待つという見方は不公平だと思う。

ザック:セキュリティの観点から見ると、柔軟性の余地はない。ダニーが考えるこれらの技術的な解決策は、何十年もの間、あるいはもっと長い間模索されてきた。政府が望むときに個人データに手を突っ込めるという考えは、バックドアと変わらない。安全のために第三者が暗号化キーを保管するキーエスクローも、バックドアと変わらない。安全なバックドアなどはない。どこかで妥協しなければならない。政府が譲歩するか、通常のプライバシー感覚を持った市民が権利を放棄するか。

政府は、小児性愛者、テロリスト、殺人者などの深刻な犯罪者を捕らえる必要があると主張する。しかし、小児性愛者、犯罪者、テロリストが平均的な人間以上に暗号化を使用していることを示す証拠はない

我々は自分の家、町、都市でプライバシーを守るのと同様に、安全に対する権利を持つ。それはトレードオフではない。一部の悪人のために、誰もがプライバシーを放棄する必要はない。

暗号化は、個人の安全や集団としての国の安全にとって不可欠だ。暗号化を禁止したり違法にしたりすることはできない。すでに同じ論点を議論した人々と同様、我々は少なくとも反対する権利に関しては合意する必要がある。

画像クレジット:Bryan Thomas / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ドイツのプロサッカーリーグがAWSと組んでファン体験の向上を目指す

ドイツのサッカーのトップリーグであるBundesliga(ブンデスリーガ)は米国時間1月24日、ゲーム中のファン体験をもっと面白くするためにAWSとパートナーして人工知能を利用すると発表した。

ブンデスリーガなどを運営する上位団体ドイツフットボールリーグ(DFL)のデジタルスポーツ担当執行副社長であるAndreas Heyden(アンドレアス・ヘイデン)氏によると、これはファンがゲームの放送を見ているだけか、それともオンラインの対話性があるかによって異なるかたちになる。

ヘイデン氏は「ファンがもっとエキサイトするようにテクノロジーを使いこなしたい。ファンの参加性(エンゲージ)が増すことによって、ファン体験のレベルを上げ、放送では適切なタイミングで適切なデータを見せ、アプリやWebでは体験を個人化したい」と語る。

それには個人化されたコンテンツを届けることも含まれる。同氏は「今の時代は一般的に、人々の注意力や関心が長続きしないから、ユーザーがアプリを開いたときの最初のメッセージは、その時のコンテキスト(状況)とその特定のユーザーに最も合ったメッセージでなければならない」と説明する。

ファンにリアルタイムで高度な統計データを見せたり、あるいは応援しているチームにとって重要な瞬間にゴールの可能性を予言してもいい。ヘイデン氏によると、それは数字でストーリーを語ることであり、事後データの報道ではないという。

同氏はさらに「テクノロジーを利用して、テクノロジーがなければ不可能だったストーリーを語りたい。人間の記者ならシュートが入る確率を当てることはできないが、AWSならできる」と続ける。

Amazon(アマゾン)のCTOであるWerner Vogels(ヴェルナー・フォーゲルス)氏によると、AWSのプラットホーム上で機械学習などの技術を利用して観戦体験の質を上げ、若いファン層を引きつけることはどんなスポーツにも有効だ。フォーゲルス氏は「次世代のファンが参加性のある熱心なファンに育つためには、ありとあらゆる手段による拡張ファン体験が必須だ」と語る。

同氏によると、テクノロジーがない時代にはそんな体験は不可能だった。「10年前には不可能だったが、今では機械学習を初めAWSが提供している先進的な技術と、それらの急ピッチな成長進化により、スポーツファンにリアルタイムで新しい体験を届けることができる」とフォーゲルス氏。

ブンデスリーガは単なるサッカーリーグではない。売上ベースでは世界第2位のプロサッカーリーグであり、スタジアムへの観客動員数では世界一だ。DFLとAWSの関係は2015年に始まり、そのときヘイデン氏がリーグのオペレーションをAWS上のクラウドへ移行した。本日の発表は、そこからの流れだ。

同氏によると、ほかのクラウド企業でなくAWSを使うことにしたのは偶然ではない。サッカーの大ファンであるフォーゲルス氏はハイデン氏の長年の知己だ。AWSはDFLに入る前から10年以上使っている。本日の発表は、そんな長い関係の延長線上にある。

関連記事:AWS is sick of waiting for your company to move to the cloud(AWSはあなたの会社がクラウドに移行しないことにしびれを切らしている、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インドの宇宙機関は有人飛行に備えて事前に半人型ロボを宇宙に飛ばす

ISRO(Indian Space Research Organisation、インド宇宙研究機関)は、2022年に最初の宇宙飛行士を宇宙に送り出すという有人宇宙飛行の準備に余念がない。それに先立って、今年の後半にはGaganyaan(ガガンヤーン)と呼ばれる周回軌道を回る宇宙船を打ち上げる予定だ。そこには乗員が乗り込むが人間ではない。代わりに1体のロボットが搭乗する。

画像クレジット:MANJUNATH KIRAN/AFP/Getty Images

Times of Indiaによると、それはISROがVyommitra(ヴァイオミトラ)と名付けた「半ヒューマノイド型」のロボ宇宙飛行士で、12月にガガンヤーンが初めて飛行する際に搭乗する。このロボットは、スイッチパネルを操作してカプセルを制御したりするだけでなく、「コンパニオン」としても働くといった広範囲の機能や特徴を備えている。例えば「宇宙飛行士と会話したり、乗員を認識して質問に答える」といったことまでできる。今週の発表会では、自らの言葉で、その能力を紹介していた。

ヴァイオミトラはバイリンガルだ。そのほぼ擬人化された性質によって、実際に人間が座席に固定されて操縦する際に、ガガンヤーンがどのような挙動を示すかといった貴重なデータを、事前に収集できるわけだ。このロボットは、環境の調整や生命維持装置の制御を含めて、乗組員に求められる「すべて」の機能を、確かに実行できる。また、顔に表情を浮かべたり、地上の制御室からのメッセージなどを伝える際には、音声に合わせて唇を動かすこともできる。

これは、宇宙に送り込まれる最初の擬人的なデザインと機能を備えたロボットというわけではない。すでにロシアのSkybotがISSに行ったことがあるし、NASAも、宇宙飛行士を支援し、アシスタントとして働く「Astrobee」と呼ばれるスフェロイド型ロボットをテストしている。しかし、それぞれアプローチは異なっている。ヴァイオミトラの場合は、機能だけでなく容姿も人間に似せようとする明確な意図があり、興味深い存在となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)