歩行者の動き方にも注目する自動走行車の視覚

自動運転車の技術に関する研究で名高いミシガン大学は、歩行者の動作を予想するための進化したアルゴリズムに取り組んできた。それは、歩行者が何をしているかだけでなく、どのように動いているかにも着目するものだ。人間のボディランゲージは、その人が次に何をするのかを予測する際に、非常に重要な意味を持っている。

歩行者に注意を向け、彼らが何をしようとしているのかを予測することは、すべての自動運転車の視覚システムにとって、大きな比重をしめている。人がいることを認識し、それがどこなのかを理解することは、自動車の運転の仕方に、かなり大きな影響を与える。しかし、人がどこそこの領域にいて、あれこれの状態になっているということを認識してラベル付けできる、と宣伝している会社はあっても、歩行者がどのような姿勢で、どう動いているのかを認識できるとしているものはほとんどない。

(参考記事:WTF is computer vision?

そのような視覚のアルゴリズムは、まず人間を識別し、それが数フレームの間に何ピクセル移動するかを調べて、そこから推定するといったシンプルなものでもよいかもしれない(今はまだそうではないとしても)。とはいえ、当然ながら人間の動きは、それよりはちょっと複雑なものだ。

ミシガン大学の新しいシステムは、ライダー(訳注:レーザー光を使ったレーダー)とステレオカメラを利用して、人の動きの軌跡だけでなく、その人の姿勢と歩き方も評価する。人の姿勢によって、その人が車の方を向いているのか、車から離れようとしているのかを判断できる。また、杖をついているのか、電話するためにかがんでいるのかなど、歩き方によって、その速度だけでなく意図も判別できるのだ。

振り返って後ろを見ている人がいた場合、その人は体の向きを変えようとしているかもしれない。もしかすると、交通の流れに割り込んでくるかもしれない。腕を突き出している人がいれば、おそらく誰かに、もしかすると車に、止まれと合図を送っているのだろう。こうした付加的なデータは、システムが動きを予測するのに役立ち、より完成度の高い、不測の事態を考慮したナビゲーションのプランを作成することを可能にする。

重要なのは、1歩の歩行や腕の一振りを捉える、わずか数フレームを調べるだけうまくいくということ。それだけで、より単純なモデルよりも、かなり優れた予測をすることができる。これは、予測の性能にとって大きな違いを生む。というのも、歩行者が障害物の間にいる際には、数フレーム後にもまだ見えているとは限らないからだ。

現状では、ノイズも多く、まだ研究も進んでいないデータによってできることは限られている。しかし、そうしたデータを観測し、その目録を作ることは、それが自動運転車の視覚システムにとって不可欠な機能となるための第一歩なのだ。この新しいシステムの全容は、IEEE Robotics and Automation Lettersのサイト、またはArxiv(PDF)で読むことができる。

画像クレジット:University of Michigan

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

奈良県拠点の南都銀行が着ロボを導入、運搬・輸送業務の負荷軽減を目指す

ATOUN(アトウン)は2月18日、奈良県を拠点とする南都銀行グループに、腰用パワードウェア「ATOUN MODEL Y」を2台納入したことを発表した。同社は、松下電器産業(現・パナソニック)の社内ベンチャー制度「パナソニック・スピンアップ・ファンド」により設立された企業だ。

約20キロの荷物の運搬や輸送の進退負荷を軽減する「ATOUN MODEL Y」

ATOUN MODEL Yは、スタッフが着衣して使うパワードウェア。行内での伝票などの書類保存箱の運搬や、営業店間の100円硬貨袋などの輸送といった業務に使われる。いずれの業務も20キロ程度の荷物を上げ下ろしする作業が発生するため、繰り返しの腰の曲げ伸ばしや中腰姿勢の維持が必要になり、作業者の身体的負荷となっていた。このパワードウェアを使うことで、床面付近から腰の高さでの荷物の持ち上げ下げの際に腰の負担を軽減が可能になる。

南都銀行では2018年10月に全行員とその家族の健康の保持・増進に向けた取り組みを推進する「健康経営宣言」を発表。今回のパワードウェアの導入もその一環とのこと。

VisaとMastercard、米国での取引手数料を値上げへ

Wall Street Journalによると、VisaとMastercardは米国内でのカード取引にかかる手数料の値上げを検討している。VisaとMastercardは売上の大部分を少額の処理手数料から得ている。値上げは小売店やフィンテック企業に影響を与える可能性がある

われわれがクレジットカードやデビットカードで支払うと、店はカードを発行した銀行に少額の手数料を支払う。その銀行はさらに少額の手数料をカードネットワークを運用している会社に支払う。

多くの場合カード発行者とカードネットワークは別の会社だ。たとえば、ChaseはVisaカードを発行しており、カード取引のたびに客から手数料を受け取り、Visaに少額の手数料を支払う。American Expressのようにカードネットワークを運営しつつ自身でカードを発行している会社もある。

WSJによるとMastercardとVisaは4月に手数料を値上げする予定で、Visaはそのことを正式に認めている。1回の取引毎の手数料はほとんど気が付かない程度だが、たちまち累積していく。手数料はVisaどMastercardに巨額の売上を生み出し、大型店舗にとっては大きな出費となる。

これは消費者保護の問題に発展する可能性がある。なぜならこの手数料のために消費者は高い金額を支払う結果になることが多いからだ。VisaどMastercardの交渉相手は主に金融機関だが、その金融機関も手数料の取り分が欲しい。手数料が売り手に波及するのはそのためだ。

売り手は顧客の大部分がカードで支払うことを想定している。その結果全員にとっての価格が上がり、現金で払ってもデビットカードでもクレジットカードでも同じ値段になる。

一般にクレジットカードの手数料は高く、ポイントや特典があるのはそれが理由だ。銀行は手数料が欲しいので有利な特典で客を引きつけようとする。また、手数料は米国の方がヨーロッパよりずっと高く、それは不正行為が多いためだ。偽造を防止するためのチップ・アンド・ピン方式を米国が採用したのはヨーロッパより何年もあとだった。

手数料の値上げは消費者やフィンテック・スタートアップにも影響を与える可能性がある。チャレンジャーバンク(ネット取引主体の新興銀行)の多くは収入源の一つとして手数料に頼ってきた。それはヨーロッパのフィンテック・スタートアップのN26やMonzo、Revolutなどが潜在市場として米国に目をつけている理由でもある。こうして取引手数料の上には大きな産業が出来上がっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

建設職人マッチングのユニオンテック、設立20年目にして米VCから約10億円調達、なぜ?

ユニオンテックは2月18日、シリーズAラウンドとしてDCMベンチャーズを引受先とする9.7億円の第三者割当増資を発表した。大規模な資金調達は、2016年10月のみずほキャピタルからの1億円に続き2回目、同社としては史上最大規模となる。DCMベンチャーズは、米国シリコンバレー発祥のベンチャー・キャピタル(VC)だ。

写真左から、ユニオンテック代表取締役社長の韓 英志氏、同会長の大川祐介氏、DCMベンチャーズでジェネラルパートナーを務める本多央輔氏

設立20年の建設会社が初のシリーズAラウンド資金調達

ユニオンテックは、2000年にクロス職人だった現会長の大川祐介氏がユニオン企画として設立。当初はクロスや床など内装仕上げの工事業を手がけていたが、ショップやオフィスの内装・管理などの空間事業にも進出し、2004年に現社名に変更した。2005年には設計デザイン事業、2009年にはグラフィック・ウェブデザイン事業に進出するなど、さらに事業を拡大。そして2016年には、施工主(ハウスメーカー、設計事務所、工務店)と職人を結びつけるB to Bのマッチングサービス「TEAM SUSTINA」(現・SUSTINA)のサービスを開始。2018年には、個人と職人を結びつけるB to Cの工事マッチングアプリ「CraftBank」の提供を始めた。

ユニオンテックの沿革

同社は2018年9月3日に新体制を発表。代表取締役社長を務めてきた大川氏が代表取締役会長に、代表取締役社長には取締役副社長の韓 英志氏が就任した。韓氏は、リクルートホールディングスでエグゼクティブマネージャーを務め、投資ファンドの設立や海外でのM&Aを手がけていた人物。2018年4月に同社入社後、約9カ月での社長就任となった。

2000年設立で20年目を迎えた同社が、なぜいまごろシリーズAラウンドでの資金調達なのか?代表取締役会長の大川氏と、代表取締役社長韓氏に話を聞いた。

とにかく建設職人の働き方を変えたい

大川氏によると「DCMベンチャーズの人と人脈、そしてなによりもビジョンに共感した」という。今回の資金調達により、DCMベンチャーズでジェネラルパートナーを務める本多央輔氏が社外取締役に就任し、SUSTINAやCraftBankなどのネット事業について協力していく体制が整った。

建設業界の問題点

創業者社長から会長になった大川氏は現在、建設職人の働き方やイメージの改革に取り組んでいる。「建設業界には職人をきちんと評価する仕組みが必要で、ユニオンテックで利用している人事評価システムを他社に開放します」という。同社の職人評価システムは、作業スキルはもちろん、コミュニケーション能力など多岐にわたり、評価ポイントは数十項目におよぶ。この職人評価システムにより「職人は自分の能力を客観的に判断できる。親方は職人の報酬を決める判断材料に使える。そして、第三者からは職人の与信情報にもなる」と大川氏。

大川氏は建設業界の現状について「40〜50代が主力で若手の職人人口が少ない。働き方改革によって若年層の職人を増やしたい」とも語る。建設業界では、施主(発注者)が決めた期間内で工事を終えなければならず、「納期が遅れると賠償問題になることもあり、期日厳守は当たり前。しかし、人手不足や天候不良などの不可抗力もある。そもそもの納期がギリギリだと、ネットなどを駆使して業務を最大限効率化したところで限界があり、結局は職人にしわ寄せが来る。その結果、残業や夜間作業、休日返上などが発生して労働環境がどんどん悪化していく」と大川氏。

このような建設業界の問題点を解決するため、大川氏は2018年に一般社団法人として「日本SHOKUNIN総研」を設立。同団体では、2019年4月に前述の職人評価システムをベースにした建検(建設キャリア検定)を開始、2019年12月に「ベスト職人賞」と呼ぶアワードを開催予定だ。

さらに同団体では、職人同士の定期的なミートアップも実施している。「建設業界ではこれまでも、例えば地域ごとに左官職人の集まりなどは開催されてきました。しかし、ほかの職種の職人と出会うことが少ないので、なかなか仕事が広がらないんです」と大川氏。こういった問題解決のためにミートアップを主催し、建設業界内の異業種人材交流を積極的に進めている。

ユニオンテックとしても、2018年12月にデニム地の新ユニフォームを発表するなど、3K(きつい、危険、汚い)という建設業界のイメージ払拭を目指す。

市場規模は51兆円超、いまアクセルを踏むとき

代表取締役社長の韓氏は「以前(みずほキャピタル)のように金融機関からの調達も考えたが、SUSTINAやCraftBankに先行投資していくうえで長期的なサポートが望めるDCMベンチャーズを選んだ」とコメント。続けて「ユニオンテックの空間事業は年間30数億円の売上があり、現在はそこから出た利益の数億円を毎年ネット事業に投入している。しかし、それではスピードが遅い。建設業界の現状を早急に打破することを目指し、目一杯アクセルを踏むことを決めた」とのこと。DCMベンチャーズは、シードステージ、アーリーステージの投資を中心とするVCで、創業20年を迎える企業に投資するのは異例だ。

「SUSTINAは現在、7000社ほどの大小の建設会社が登録していますが、2019年5月には1万社を目指したい」と韓氏。前述のようにユニオンテックの空間事業の売上は30億円超だが「実はそのうち40%程度が100万円未満の少額案件なんです。そして、資材の発注や職人の招集などは現在でも電話業務が中心なので効率がなかなか上がらない。こうした業務についてもクラウド化による効率化を図りたい」とのこと。

大川氏は「現在のSUSTINAは、急なスケジュール変更や職人不足など『困ったとき』に使われることが多いサービスですが、もっと使いやすいように改良して施工主や職人がいつでも使えるサービスにしたい」とコメント。前述の新ユニフォームの発表時には、建設業界に「カッコイイ」「稼げる」「けっこうモテる」という新しい3K定義への挑戦も宣言。「工事が設計図どおりに進むことはほとんどなく、AIといえども職人の仕事は奪えない」と、建設ラッシュが続く現在における建設職人の重要性を力強く語った。

市場規模51兆円超と自動車業界に次いで巨大な建設業界。仕事は山ほどあるのに、職人が全然足りていない。ユニオンテックは、職人の働き方改革と職人人口の増加を目指し、リアルとネットで事業を推進していく。

建設業界は51兆円超の市場規模

キングジムのタマゴ型リモコン「Egg」は小さくてコンセント不要、どこにでも置けるカワイイやつだった

文具メーカーのキングジムは、2月18日よりクラウドファンディングの「Makuake」で自社製スマートリモコンの支援募集を開始する。TechCrunch Japanは一足先にその実機を手にすることができたので、紹介しておこう。

キングジム製のスマートリモコン「Egg」は、家にあるテレビやエアコンなど、赤外線リモコンに対応した家電をスマートフォンで操作できるようにするためのデバイスだ。デバイスとスマホはBluetooth接続で、事前のWi-Fi設定などは不要。1タップで複数の家電の操作ができる「シーン設定」や、毎日同じ日に家電を起動させる「タイマー設定」などが搭載されている。スマホがEggに近づくと自動で家電が起動する「オートメーション機能」もある。また、IFTTアプリと連携すれば、Amazon Echoなどのスマートスピーカーにも対応させることも可能だ。

 

ただ、Eggの最大の特徴は、デザイン的にも機能的にも「どこにでも置ける」という点だ。Eggはこの手のスマートリモコンにはめずらしく、USBケーブルなどで充電するタイプではなく、電池駆動のデバイス。だから、Eggは置く場所を選ばない。サイズも缶ジュースの半分ほどと小さく、見た目も名前の通り、タマゴ型のシンプルなデザインなのでどんな場所にも馴染む。

たぶん実際にはこんなところに置くことはないが、ヘルシオの上にもちょこんと乗せてみた。

電池を本体に入れるためには、Eggの下側にある蓋を開ければいい。ただ、この蓋を開けるためには小さな溝にコインを差して回す必要があって、そのあとに蓋をパカっと開けるのも、ちょっと固くて一苦労だった。

ちょっと蓋が開けにくいEggだが、スマートホームを気軽に体験するためにはお手頃なデバイスだ。電池を入れ、専用アプリをダウンロードしていくつか設定をするだけで快適なスマートホームが手に入る。Eggは本日からこちらのページで支援の募集を開始。支援価格は7500円からだ。

Uber、2018年Q4売上は30億ドル、営業損失は悪化

今年予定されているIPOを前に、Uberは第4四半期決算で8.65億ドルの損失を記録した。この数字は税制優遇適用後のものであり適用前は12億ドルの損失だった。調整後プロフォーマベースでは、Uberの2018年最終四半期の損失は7.68億ドルだった。

この数字はまがりなりにも改善ではある。2018年第3四半期に同社はプロフォーマ純損失9.39億ドルを記録した。しかし税引前純損失は9.71億ドルと今期より少なかった。いずれにせよUberの大きな損失は今四半期も続いた。

一方Uberの調整後EBIDTA損失は8.42億ドルで対前年比88%増、第3四半期から60%増だった。第3四半期の調整後EBIDTA損失は5.27億ドルだった。この損失増には競争の激化や同社のマイクロモビリティー(二輪車等)への多大な投資が寄与している。

2018年Q4の総受注額(ドライバーに支払う前の収入)は対前四半期比11%増の142億ドルへと伸び、売上は2%増の30億ドルだった。

対前年比で見ると、Uberの総受注額は37%増、売上は24%増だった。しかし、受注額に対する売上の比率は21.3%に減った。これらの数字には東南アジアとロシアは含まれいていない。

  • GAAP 収益:30億ドル
  • 対前年比24%増
  • 対前四半期比2%増
  • 総受注額に対する売上の比率は1.9%減の21.3%

2017会計年度全体と比較すると、Uberの2018年の総受注額は45%増の500億ドルだった。その結果GAAP売上は2017年から43%増の113億ドルだった。EBITDA損失も2017年の22億ドルから18億ドルへと改善(減少)した。まだ損失は大きいが、全体的にはUberが正しい方向に進んでいることを示す良い兆候と言える。

「昨年は当社にとって最高の年であり、Q4にはプラットフォームの定着率で新記録を達成した」とUBerのCFO Nelson Chaiが声明で語った。「2018年に当社のライドシェアリング事業は、サービス提供しているあらゆるカテゴリでトップを維持し、UBer Freightは米国で好調に受け入れられ、JUMPの電動アシスト自転車や電動スクーターは10年以上で運用されている。またUber Eatsは、総受注額ベースで中国以外では最大のオンライン食品配達ビジネスになった。

Uberの2018年Q4、その他の重要数値:

  • 現金および同等物:使徒未指定現金64億ドル(2018年Q3末は48億ドル、2017年Q4は44億ドル)
  • 調整後EBITDA利益率:総受注額の-5.9%(2018年Q3は-4.1%)

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本版インスタカート「Twidy」が日産と提携、共同で大型マンション向けの実証実験へ

写真右端がダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏

買い物代行サービス「Twidy(ツイディ)」を展開するダブルフロンティアは2月18日、日産自動車と同事業における戦略的提携に合意したことを明らかにした。両社では今夏からの共同事業開始に向けて、4月にも実証実験に取り組む計画だという。

Twidyは買い物を依頼したい人(注文者/リクエスタ)と、買い物を代行して商品を届けてくれる人(代行者/クルー)を繋ぐサービスだ。特にキャリアウーマンや子育て中の主婦が注文者として利用するケースが多く、忙しくて自分で買い物に行くことが難しい際などに、“近所のスーパーでの買い物”をクルーに依頼する。

地域に密着していることもあり、最短1時間で自宅に届くスピード感が特徴。サービス上から欲しい商品と希望の日時を選んで選択すれば、自宅まで商品が配送される。配送時間も11時から22時まで対応しているので、夕食の準備をしていて急遽足りないものに気づいた場合などにも使えそうだ。現在はライフ渋谷東店を対象に周辺エリアでサービスを展開している。

Twidyはダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏がアメリカの「Instacart(インスタカート)」をヒントに開発したものだ。将来的にはC2Cの買い物代行(近所の主婦に“ついでに”買い物を依頼できるイメージ)を実現する構想もあるが、スタート時はクルーの作業を商品購入担当と配送担当で分担。前者をダブルフロンティアのパートスタッフが、後者を日経新聞の配達員が担っていた。

今回の日産との協業を通じて、今後Twidyに日産の自動車を組み合わせる形でサービスを展開する計画。共同事業の第一弾「Twidy Mansion(ツイディ マンション)」ではクルーが軽商用車NV100クリッパーを使用して商品を届ける。

大型マンションを対象とするTwidy Mansionでは、これまで分担していた商品の購入と配達を同じスタッフが担う。昨年ダブルフロンティアに出資をしている東京電力グループとタッグを組み(東京電力フロンティアパートナーズから昨秋に出資を受けている)、同グループで抱える電力検針員たちが空き時間を活用してクルーになる。

イメージとしては、対象となるマンションの空き駐車場に車NV100クリッパーを常備しておき、近隣にいる電力検針員がクルーとなって買い物代行作業を担当する形。4月から品川エリアのマンションにて実証実験に取り組む方針で、まずは1日あたり1回の配送を予定しているそう。主に「ワーキングママが仕事先から商品を注文しておくと、帰宅時には自宅に届いている」といった使い方を想定しているという。

Twidy Mansionの概要(画像はダブルフロンティアより提供)

これまでのTwidyが1時間単位で買い物を依頼できていたことに比べると、Twidy Mansionでは配送の時間帯や回数が固定されることで、正直そのメリットが薄くなる気もする。八木橋氏によるとその辺りは実証実験での反応も見ながら今後の方針を決めるとのこと。1回に複数件の商品を届ければ配送料を抑えられるため、従来よりも代行料(現在は注文時に1回あたり430円を払う仕組み)を安くできる可能性もあるということだった。

今回の共同事業では従来のネットスーパー宅配事業で使用されている黒・緑ナンバー車両ではなく、お買い物代行事業の領域とした白・黄色ナンバー車両を活用している。ダブルフロンティアではこの仕組みを全国的に広げることも計画していて、今後各地のパートナー開拓にも力を入れる予定だ。

また日産とも今回のTwidy Mansionに限らず別の形でも協業を見据える。同社ではカーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」などを手がけているが、こうしたサービスとの連携なども考えられそうだ。

声のブログ「Voicy」がTBS、電通、中京テレビなどから7億円調達

声のブログ「Voicy」を提供するVoicyは2月18日、グローバル・ブレインをリードインベスターとする資金調達ラウンドで、約7億円を調達したと発表した。今回のラウンドに参加した投資家は以下の通りだ。

  • グローバル・ブレイン
  • D4V
  • TBSイノベーション・パートナーズ
  • 電通イノベーションパートナーズ
  • 中京テレビ放送
  • スポーツニッポン新聞社

2016年9月にリリースしたVoicyは、「声のブログ」として注目を集める音声メディアだ。インフルエンサーなどが「パーソナリティ」としてラジオのようにアプリに声を吹き込み、それをコンテンツとして公開する。内容としては、日々の生活を日記のように話すものから、他社のメディアコンテンツを声で読み上げるものまでさまざま。チャンネル数は現在約200ほどで、ユーザーはすべて無料でコンテンツを楽しめる。

同社はこれまでに2017年と2018年にそれぞれ2000万円と2800万円のエンジェル出資を受けていて、VCを含む本格的な資金調達ラウンドはこれが初めてだ。Voicyは今回調達した資金を利用して、新サービスの開発やそれに必要な人材の確保を進める。

TechCrunch JapanではVoicyに取材を実施し、今回の資金調達の背景やラウンドに参加した事業会社との連携により目指す世界観などを紹介する記事を近日中に公開する予定だ。

Facebookの災害支援機能で「無事」を反射的にクリックしてはいけない理由

まず断っておかねばならないが、Facebookの災害支援ハブは素晴らしいサービスだ。寄付やボランティアを申し出るために信頼できる場所であり、大規模な災害が起きたときに人々を大いに助けてきた。

しかしそう述べた上で注意を要する点がある。身近で災害が起きてFacebookのセーフティーチェックがオンになったとき、反射的に「無事」をチェックしてはいけない。

安否確認できるのはよいことだが、「世界は危険に満ちており、恐ろしいことが始終起きている」という誤った観念を強化するようなことがあってはならない。こういう考えは問題を解決するのではなく悪化させる。

たとえば、去年の秋、カナダのオンタリオ州オタワ市で竜巻というページが掲載された。実はわたしはオタワ市に住んでいたことがあり、現地に友達が何人もいる。Facebookを見るとトッドとジェニファーは「無事」をチェックしていた。しかしジョーは?ステファンは? 他の連中はどうだったのだろう?

安心してもらいたいが、みな無事だった。実のところ、人口130万のオタワでこの竜巻の結果病院に運ばれたのはたった6人だった。それにカナダで竜巻はしょっちゅう起きている。ちょっと割り算をしてみれば竜巻で被害にあった運の悪いオタワ市民は21万6666人に1人だったとわかる。仮に人口21万6000人の町で1人が負傷したらFacebookは災害安否チェックをオンにするのだろうか?

そんなことをしたらFacebookのユーザーはのべつまくなしに「無事」をクリックし続けねばならない。逆にニュースフィードは「無事」の報告で埋め尽くされてしまう。世界は災害で煮えたぎる魔女の大鍋のように見えてくるに違いない。こういう不注意な考え方をすると「一歩でも外に踏み出せばありとあらゆる予測不可能の危険が待ち受けている」という印象を受けることになる。新しいものごとに挑戦しようとする意欲が失せるかもしれない。少なくとも行ったことのない場所へ行ってみようという気持ちは大きくくじかれるだろう。

われわれの頭脳は恐怖や不安に過敏に反応することはよく知られている。悪いことが起こるであろう客観的な確率よりも、センセーショナルな映像や記事がわれわれの行動を支配する。本当に恐ろしい事象の可能性より、たまたま拡散されてきた過激な画像のほうが強い印象を与える。われわれは悪いことに対して過敏に反応する。仮にニューヨークの地下鉄でテロリストが15人を殺害したらFacebookは安否チェックを立ち上げるに決まっている。

しかし統計的いえばニューヨークでは毎月15人以上が交通事故で死んでいる。しかしFacebookは月末ごと「交通事故に遭わず無事だった」というハブを立ち上げることはない。極端な例に思えるかもしれないが、この仮定では交通事故で死ぬ確率のほうがずっと高いのだ。

つまりこういうことだ。ささいな問題でいちいち「無事」をチェックし、Facebookの友達全員に「無事」を知らせることは、短期的に何人かの友達の不安を軽減するかもしれないが、大局的にみるなら、不必要な不安を煽り、誤った世界認識を拡散する結果を招く結果になりかねないない。

ときとして本当に大規模が起きることがある。そのような恐ろしい事態なら上に述べたようなことはもちろん当てはまらない。その地域で1年間に交通事故で死亡するよりずっと高い確率で死亡するような災害であるかどうかは一つの目安になるだろう。Facebookがそういう本当の災害だけに「無事」をチェックする機能を制限するならこれはたいへん有益な機能だ。誤った不安を拡散しないようFacebookが災害対策関連のアルゴリズムを改善することを期待する。

(日本版)ちなみに東京都の交通事故統計によれば2018年の死者数は143人だった。母数を昼間人口の1600万人とすると、11万2000人に1人の確率となる。全国の交通事故死者数は3532人、日本の人口は1億2649万人だった。最近のベストセラー、『Factfulness』がこのバイアスを取り上げている。TED講演の再生3500万回という著者、ロスリング博士によれば「ジャーナリストは常に記事が注目されることを目指す必要があるため不安を煽る偏向がかかりやすい」という。ソーシャルメディアにもそのまま当てはまるろう。『Factfulness』はKindle版、印刷版とも刊行中。

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滑川海彦@Facebook Google+

3DENが200万ドルを調達、純粋従量課金の都会のリラックススペースを提供

3DENは、同社が呼ぶところの「日中のぽっかり空いた隙間時間」のための場所を提供しようとしている。

その名前”3DEN”(「エデン」と発音される)は、「3番目の場所」 ―― 家でも職場でもない空間というアイデアから来ている(英語の”den”という言葉には、動物の巣や隠れ家といった意味合いがある)。創業者でCEOのBen Silverは、会議と会議の間に空いた45分間を埋めたり、夜行便を降りたばかりでリフレッシュできる場所が必要な場合などに、使うことができるような場所を作り出すことが目標だと語った。

コーヒーショップ、コワーキングスペース、ジム、あるいはホテルなどがそうした機能をある程度提供してくれるだろう。だがSilverは3DENは「様々なサービスを合わせたもの」で、かつそれをとても「安心できる場所に」集めたものになると言う。彼は最もコンセプトが近いものは、会員制クラブハウスだと言う。ただし高額な月極会費を請求する代わりに、3DENはコミットメントを求めず、各訪問に対して30分毎に6ドルの料金を請求するだけになる。

今週初めに私は、ニューヨーク市のハドソンヤード再開発地区のショッピングエリアにある、3DENの最初のスペースに立ち寄った。スペースはまだ工事中だったが、しかし私は電話ブース、プライベートシャワー、そしてリラックスのためのブランコさえ見ることができた。

Silverは、瞑想スペースやCasperの仮眠ポッドも置かれる予定だと話した。そして、たくさんの木々や植物を使った自然に影響を受けたデザインだけでなく、空間の「音響的ゾーニング」を強調した。すなわちある場所は人が集まるためにデザインされる一方、別の場所はより静かで休める場所になるということだ。

したがって、仕事を集中して片付けたり、電話をかけたり、会議を主催することができるし、ただリラックスしてリラックスしたいだけなら、それも可能だ。

Silverによれば、この場所には少数のスタッフは配置されるものの、エクスペリエンスの鍵はテクノロジーだと言う。大部分の取引はスマートフォンのアプリを経由して扱われる。3DENスペースに行きたくなったら、アプリを通してチェックインを行う(それはあなたに現在の混雑レベルを知らせるが、もし満員の場合にはウェイティングリストに入れてくれる)。またシャワーを予約したり、買い物をしたりすることができる。

3DENのコアサービスは、30分毎6ドルの価格の中に含まれる予定だが、他に小売なども行い、訪問したひとは、食べ物や健康/美容製品を買うこともできるとSilverは語った。彼はまた、通常のゲスト価格に加えて、追加の価格モデル(例えば法人会員など)も検討していると語ったが、このスペースを広範囲のビジターたちにアクセスしてもらうことを可能にする、「コミットメントなし」価格の重要性を重ねて強調した。

今回のシードラウンドは、b8taとGraphene Venturesが主導したが、参加した投資家はColle Capital Partners、The Stable、JTRE、InVisionのCEOのClark Valberg、Targetの元最高戦略およびイノベーション担当役員のCasey Carl、およびFirebaseの創業者Andrew Leeである。

3DENの最初のスペースは3月15日にオープン予定だが、Silverはニューヨーク市内のさらに4拠点についても交渉中であると語った。

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(翻訳:sako)

宇宙銛(もり)を配備せよ

気を付けろ、宇宙クジラたちよ。君たちに、その惑星を破壊しかねない巨大なヒレで、脅かされている星の住民たち(人類)が、新しい武器を手に入れて、こうしている間にもテストの真っ最中だ。まあここに示した、その武器の小規模版は、せいぜい軌道上の危険なデブリを除去すること位にしか役立たないが、やがては君たちの、ハイパーカーボンの皮やその中心を貫くだろう。

文字通り宇宙銛(もり)だ(クレジット:Airbus)

しかし、現在の技術で可能なことを超えて憶測することは無責任なので、まずは現時点でこの銛で可能なことを要約しておけば十分だろう。

この宇宙銛(もり)はRemoveDEBRIS(デブリ除去)プロジェクトの一部である。これは宇宙デブリの除去のための手法を考案しテストすることを目指すヨーロッパのプロジェクトであり、複数の団体が参加している。微細なものから壊滅的な可能性のあるものまで、様々な大きさの何千もの障害物(宇宙デブリ)が、私たちの軌道周辺に散らばっている。

宇宙ゴミには様々な大きさや形があるので、それに応じてそれらの厄介なアイテムを取り除く方法は複数存在している。おそらく小さな断片に関しては、レーザーを用いて軌道減衰させていけば十分だろう。だが、より大きなものに関してはより直接的な解が必要とされる。そして、一見すべてが航海起源のように見えるが、RemoveDEBRISは、網、帆、そして銛を備えているのだ。(大砲はないのかって?)

以下の動画では、その3つのアイテム(網、帆、銛)がどのように動作するのかを見ることができる:

この銛は、例えば故障していてその軌道から外れているフルサイズの衛星などの、より大きなターゲットを狙うためのものだ。単純なマスドライバーを使って、それらを地球に向かって押しやることもできるが、それらを捕らえて降下を制御することは、より細心の注意を必要とする技術である。

普通の銛なら、単にクィークェグやダグー(2人とも「白鯨」に登場する銛撃ち人)のような者たちによって投げられるだけだが、宇宙では少々事情が異なる。残念だが、EVA(宇宙船外活動)ミッションのために、銛撃ち人を召喚するのは現実的ではない。そのため、全体を自動化する必要がある。幸いなことに、プロジェクトはターゲットを識別し追跡できるコンピュータビジョンシステムもテストしている。それがあれば、あとは銛をターゲットに向けて発射して巻き取れば良い。これが今日衛星によって実証されたことだ。

Airbusが設計したこの小さな装置は、クジラに撃ち込む銛(トグリング・ハープーン)のような動作をする。撃ち出されるとターゲットに突き刺さって回転し、抜けにくくなる。明らかにこれは一度きりの使用を想定されたデバイスだが、特に大きくはなく、一度に複数の軌道上に迎撃用に展開することができる。一度ターゲットを巻き取ったあとは、帆を開くことによって(上記のビデオにも示されている)、再突入を早めることもできる。推進力をほとんど、またはまったく使用せずに、すべてを行うことができるため、運用は非常に簡単になる。

明らかに、これは宇宙クジラたちにとってはまだ脅威ではない。だがいつか私たちは、それらのモンスターたちを仕留めるのだ。

(注)宇宙クジラ(starwhale)という呼びかけは、STEAMのゲームであるSTARWHALの名前にインスパイアされたもの

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(翻訳:sako)

Uber、運転手数の制限でNY市を告訴

Uberがニューヨーク市を相手取って訴えをおこした、とVergeが報道した。Uberは、ドライバーの数を制限する同市のルールをひっくり返したい。昨夏、NY市はドライバーへの新規ライセンス発行を12カ月間、一時的に停止する法案を承認した。

UberとNY市の戦いは数年に及ぶ。NY市の市長Bill de BlasioはUberを規制する法案に何年も賛成してきた。そしてNY市議会はようやく新ルールを2018年8月に可決した。もちろんUberは規制に猛反対してきた。採決の前は、ヘビーユーザーに電話をかけて地元選出の議員にUberのサポートを依頼するよう、お願いしさえした。

議員たちが、ドライバー制限になぜ賛成なのか、その理由はいくつかある。まず1つは、UberやLyft、その他の配車サービス企業によってマーケットが急に大きく変わり、タクシーライセンスを持っている人が苦しんでいる現実がある。ライセンスの価値は大きく下がり、そうしたライセンスを取得するのに大枚をはたいたドライバーたちは経済的困難を抱えている。

2つめに、配車サービスが交通混雑を引き起こしているということだ。UberのユーザーたちはUberを利用するようになって車を所有しなくなった。同時にUberは、地下鉄やバス、自転車といった他の多くの交通機関にも取って代わっている。

交通機関の使用パターンの変化に加え、NY市では多くのドライバーが運転しながら、次の乗車を待っている。こうした客の乗っていない車が道路を塞いでいる。

3つめに、こうした変化に伴う経済的な理由がある。Uberはドライバーと乗客をマッチングするマーケットプレイスだ。規制は、タクシードライバーに対してほど配車サービスドライバーに対しては厳密ではない、という事実をUberは利用しようとしている。そうしてUberは、必ずしもマッチできるわけではないのに、多くのドライバーを受け入れることができるわけだ。結果としてUberは賃金を下げるためにマーケットの不均衡をならすことができる。

新法案の採決の一部として、NY市は配車サービスドライバーの最低賃金も決定した。今後この最低賃金は消費者に跳ね返ることになるかもしれない。しかし多くの人が、インフラ投資と交通渋滞という点で多くの問題を生み出している公共交通機関から遠ざかってきた。

ニワトリ卵の状態だ。もし誰も地下鉄を利用することに興味を示さなかったら、より良い地下鉄システムは期待できない。そして信頼できるものにするための十分な投資がなければ、地下鉄に頼る人は見込めない。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

真の検証のススメ:あなたのスタートアップが評判倒れにならないために

米国市場への参入を望んでいるイスラエルの起業家たちに最初に尋ねることの1つは、自社の製品やサービスが狙っている市場でどのように受け入れられているのかを、私たちに説明してもらうことだ。どのようなフィードバックを受け取っているのか?潜在的顧客層は、チームが売っているものを熱望しているのだろうか?

より広いビジョンと初期の製品自体に対する検証が、意欲的な起業家にとっては、重要な位置付けでなければならない(訳注:本記事の「検証」はValidationの訳である。すなわち「目的に対して妥当であるかを確認する行為」のことで、特に「市場における妥当性の検証」を指している)。会社が正しい軌道に乗っているのか、それとも間違った道をたどって時間を無駄にしているのかを知るための唯一の方法が、製品をテストして具体的なフィードバックを得ることなのだ。ただし、自社の成功の為には、積極的な市場検証がいかに重要であるかを理解している経験豊富な創業者であっても、間違った方向の検証を追いかけることに気を取られてしまうことがしばしばある。

すべての検証が等価なものではない。創業者にとって、意味のある検証と、自身を気持ちよくさせる以上の意味がない虚栄心に満ちた「勝利」とを区別することは非常に重要なのだ。偽りの検証はいたるところにあるからだ。以下に紹介するのは、創業者たちが注意する必要のある、いくつかの良くある罠である。

すべての顧客が同じというわけではない

創業者は、市場に参入する時点で勧誘しようとする顧客数が多すぎないか、あるいは少なすぎないかには注意深くなければならない、もしそれが最終的に狙っている市場セグメントではないとしてもである。もし初期の顧客層が、最終的に獲得したい顧客層と異なる場合は、その初期の顧客たちが求めることや、彼らが提供するフィードバックによって、短期的な目標が歪められ、ビジネスを誤った方向に進めてしまうだろう。

外に出て潜在的な顧客からの現実的で具体的なフィードバックを得ることを恐れないのが、最高の企業や創業者というものだ

これは特に、米国の外からやってくる企業の場合によく見られるものだ。スタートアップたちはそのホームマーケットで顧客の長いリストを保持しているが、その顧客たちは米国の顧客とは同じニーズを持っているかも知れないし、そうではないかもしれないのだ。しかし、こうしたスタートアップたちが自国から外へと拡大する「準備」を整えようとして、彼らはその製品を投資家たちや異国の顧客に売り込むために大変な苦労をすることになる。なにしろその製品は自分たちの狭いマーケットで検証されただけの馴染みの薄いブランドなのだ。多くの場合、初期の顧客たちは、より大きな米国市場での競合的な製品に触れたことがないか、そもそも解決しようとしている問題が異なっているために、スタートアップに対して誤ったメッセージを送ってしまう。

顧客を確保することは、あらゆるスタートアップの成功にとって明らかに重要であり、スタートアップが初期にどのように自らを売り込むかを決めるのに役立つ。それでも創業者は、そうした顧客の系統をきちんと文脈の中で捉えることができなければならない。そして長期的なビジョンを前方の中心に備えておかなければならないのだ。正しい属性の顧客があなたの製品を検証するまで、その製品は本当に検証されたとは言えないのだ。

大企業とのパイロットプロジェクトは?

大企業たちは、次の成長段階を推進するための、次世代最先端技術を常に模索している。これこそが、イスラエルのような、AI、IoT、サイバーセキュリティなどに関する豊富な才能を擁する国が、企業イノベーションラボの設置を多く受け入れている理由だ。

一見したところでは、これはイスラエルの起業家にとって素晴らしいことに思える。なぜなら、それは彼らに世界最大の企業たちへの露出とアクセスを与えてくれるからだ。だがそうしたグループとの近さやフィードバックが全てではない。これらのイノベーションラボの多くは、地元のスタートアップたちを、そのプログラムへ受け入れている。これは、特に初期の段階では明らかに、創業者たちにとってエキサイティングなものになる可能性がある。その大企業はやがて、集まったきたスタートアップと、その製品のテストを行うパイロットプログラムの実施を狙うだろう。もちろんそれはスタートアップにとって有益なものである。しかし、この1社だけの顧客を獲得しても、将来の成功が保証されるとは限らないし、真の意味で製品が検証されるわけではない。

大企業とパイロットプロジェクトを実施できることは、素晴らしい機会ではあるものの、勤勉な創業者ならその他のパイロットの可能性も追求しなければならない。第1に、パイロットプログラムは必ずしも実際の採用につながるわけではないので、創業者たちは全ての卵を1つのカゴに入れてしまうことは避ける必要がある。第2に、ただ1社の大口顧客から創業者たちが受け取るフィードバックは、顧客セグメント全体を代表するものではないかもしれないのだ。単に1つのイノベーションハブの中にいるだけでは、長期的な成功のためには充分でないことはよくある。

スタートアップの友人全員がうちの製品はクールだと言っているのだが…

これは明らかに危ないことのように思えるかもしれないが、相変わらずあらゆる場所で見かけることができる。初めて創業を行った者は、自信過剰に陥りやすく、自分たちや自分たちの製品に対する良い評判を過剰に受け取りやすい。シリコンバレーのような非常に混み合った市場では、圧倒的な数の新しいスタートアップが生み出されているため、冷静で偏りのないフィードバックを得ることは困難である。

「あなたの製品は素晴らしい」と言われることは、単に嬉しいだけでなく、盲目的な中毒を引き起こす可能性がある

これは特に、自社の製品や特定のテクノロジの検証を始めたばかりのスタートアップに、よく当てはまる。「よくわからないな」と言う相手へのアプローチを恐れて、自分の聞きたいフィードバックばかりを追いかける創業者を見かける。そうした肯定的なフィードバックはしばしば、他の起業家から寄せられるものだ。だがそうした起業家たちは、テクノロジーの一部に感心してはくれるが、明らかに本当の顧客としてそれを買って使ってくれるわけではない。

間違った人たちからのフィードバックを自ら求めることによって、創業者たちは、市場の中で望まれること望まれないことをはっきり告げてくれる潜在的な顧客層の声を直接聞くことなく、製品の間違った側面に焦点を当ててしまう。

1000万ドルを調達できた。これは価値が認められたってことでは?

VCからかなりの額のラウンドを得ることさえ、偽りの勢いをつけてしまうことがある。このトピックについては多くのことが書かれて来たが、特定の分野の起業家たちにとっては、多額の資金を調達することが、いままでになく容易になっている。これまでにないほど、多くのシード基金が存在している。シード段階とシリーズA段階における評価額と取引額は上昇を続けている。これが本当に意味していることは、1つのスタートアップに対する成功/失敗の賭けが、会社のライフサイクルの早い段階で行われているということなのだ。

あるVCが企業への投資を決定したからといって、そのスタートアップが約束の地に到達したということは意味しない。VCはあなたの顧客ではないのだ。そして彼らが提供する資金はビジネスを発展させるためには重要なものである一方、対象とする市場に売り込めるかどうかの真の検証の代わりにはならないのだ。

勝ったぞ!

創業者は、表彰や広報活動が自社の事業に与える目に見える影響を、誤解したり過大評価したりしがちだ。起業家たちが、これまで勝ち抜いたコンペのことや、どんなトップ10リストに含まれているかを自慢してくるのは、見慣れた光景である。誤解しないで欲しいのだが、表彰されることそのものが悪いわけではない。それはスタートアップへ人材をひきつけて採用する役にたつだろう。しかし創業者は、その御利益には限度があることを認識しなければならない。真の検証には役立たず、往々にして投資家や潜在的な顧客がスタートアップを評価する際には、意味がないことがほとんどなのだ。

検証への道のりには、いくつかの潜在的な罠がある。起業家がゴールから目をそらしたならば、罠に落ちるのは簡単だ。「あなたの製品は素晴らしい」と言われることは、単に嬉しいだけでなく、盲目的な中毒を引き起こす可能性がある。外に出て潜在的な顧客からの現実的で具体的なフィードバックを得ることを恐れないのが、最高の企業や創業者というものだ。もしそれをしていないのならば、単に自分のビジョンを狂わせる可能性がある偽の検証の影響を受けやすくしているだけのことなのだ。

画像クレジット: VLADGRIN (opens in a new window)Shutterstock

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(翻訳:sako)

血液検査を数分に短縮するバイオテックAIスタートアップSight Diagnosticsが278万ドルを獲得

イスラエルの医療機器スタートアップSight Diagnosticsは、AI技術による高速な血液検査技術に278万ドル(約3億0700万円)のシリーズC投資ラウンドを獲得した。

同社はOLOと呼ばれるデスクトップ型装置を開発した。患者の血液をそのまま垂らしたカートリッジを手で挿入すだけで、解析が行われるというものだ。

この新規資金は、同じくイスラエルに拠点を置くベンチャーキャピタルLongliv Venturesと、多国籍コングロマリットCK Hutchison Groupのメンバーからもたらされた。

Sight Diagnosticsによれば、とくにに技術的、商業的拡大を支援するシリーズC投資を求めていたと言う。この分野のCK Hutchison Groupのポートフォリオには、ヨーロッパとアジアの1万4500件以上にのぼる健康、美容関連企業が含まれており、Sight DiagnosticsのOLO血液検査装置の市場開拓ルートは確保された形だ。

このラウンドに含まれるの他の戦略的投資家には、医療系慈善事業家でNicklaus Children’s Health Care Foundation(ニクラウス子ども医療基金)の理事でもあるJack Nicklaus2世、医療系インパクト投資家Steven Esrick、そして匿名の「大手医療機器メーカー」も含まれている。

Sight Diagnosticsはさらに、この装置を「世界の主要市場」に送り込むための戦略的パートナーも探していると話していた。

共同創設者でCEOのYossi Pollakは、声明の中でこう話している。「私たちは、次世代の診断によってすべての人の健康を増進させるという私たちの社命を心から信じてくれる、そしてとりわけ重要なこととして、金銭的支援を超えた大きな価値を与えてくれる個人または団体を探しました。すでに私たちはヨーロッパ全域での手応えを感じていますが、世界の主要市場でOLOを展開してくれる戦略的パートナーも増やしたいと考えています」

同社はまた、今年中に「ヨーロッパのいくつもの国」で、消費者が実際にOLOを利用できるようになることを期待しているという。

シリーズCには、OurCrowd、Go Capital、New Alliance Capitalといった投資会社も参加している。2011年に創設されたばかりのこの医療技術系スタートアップは、昨年にシリーズAとシリーズBを獲得したばかりなのだが、今日までに500万ドル(約5億5525万円)以上を集めた。

「私たちはヨーロッパの、とくにイギリスとイタリアの有望な顧客の協力を得て試験を行ってきました」と、共同創設者Danny LevnerはTechCrunchに話してくれた。「ヨーロッパは、パイロット試験、つまり大手顧客の所有する施設で現実的な条件のもとで行った細かい臨床評価が、市場の受け入れにつながる土地です。こうすることで、ユーザーはこの装置ならではの性能を体験でき、それが大量の初注文につながり、やがては広く普及することになります」

この資金は、アメリカの規制をクリアしてOLOの認可の得るために、米食品医薬品局(FDA)で実施中の一連の審査を通すための活動にも使われている。現在は、規制当局に資料を送り審査を待っている状態だと、Levnerは話していた。

「2018年12月、アメリカの3つの臨床現場での試験を完了し、今月末にFDAにデータを送ることになっています。私たちの望みは、510(k)FDA申請を行い、CLIA(臨床検査改善修正法)認証を受けた研究室での使用を可能にして、続けてCLIA免除手続きによって、すべての診療所で使えるようにすることです。私たちはアメリカでの試験結果に大変に満足しています。1年以内に510(k)FDA申請が通ると期待しています」と彼は話した。

「現在調達した資金を元に、まずイギリス、イタリア、北欧諸国を皮切りに、ヨーロッパ市場での商品化にフォーカスしてゆきます」と彼は言う。「アメリカでは、腫瘍学と小児科に新しい市場を探しているところです」

投資は、OLOで対応できる血液検査の範囲を広げるための研究開発にも使われる。

以前、彼らはTechCrunchに、その装置を、血液検査のポートフォリを管理できるプラットフォームに発展させたいと語っていた。血液検査を重ねることで、「個別の医院の検証」を経て、個人の結果が蓄積されるというものだ。

最初のテスト用OLOでは完全血球算定(CBC)が行われ、機械学習とコンピュータービジョン技術を使って、患者の指先から採取した1滴の血液の高解像度写真のデジタル化と解析が装置内で実行される。

それは、静脈血を採取して遠くの検査施設で解析を行うという今の方法に取って代わるものだ。OLOによるCBCは、ほんの数分で完了すると宣伝されている。OLOなら専門家でなくても簡単に実行できるという。血液検査は、専門機関に外注し、解析結果を数日間待つというのが現状だ。

研究開発の側では、Levnerは、OLOで白血病や鎌状赤血球貧血などの血液の疾患の診断を行うといった「膨大な可能性」を感じているという。

「指先から血液を少量だけ採るという低侵襲な検査方法のため、新生児スクリーニングにもOLOが使える可能性があります」と彼は言う。「そのため、次なる喫緊のステップは、新生児スクリーニングのための検査手順とアルゴリズムを確立させることです」

Lenverが私たちに話したことによると、パイロット試験では「オペレーターと患者の高い満足度」も認識できたという。「この試験で際立っていたのは、OLOの指先から血液を少量だけ採取する方法が好評だったことです」と彼は話す。

ひとつ注意すべき点として、Sight Diagnosticsがまだ、OLOの臨床試験に関する論文審査の結果を発表していないことがある。昨年7月、論文審査のある雑誌での論文掲載が保留されていることを、彼らはTechCrunchに伝えている。

「審査を経た論文の出版に関して、私たちはイスラエルでの臨床試験の結果と、アメリカで終了したばかりの臨床試験結果を組み合わせて、より確実な内容にしようと決めました」というのが現在の同社の話だ。「アメリカのFDAの認可を得てから、論文に集中しようと考えています」

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(翻訳:金井哲夫)

Amazon、電気自動車Rivianの資金調達7億ドルを主導

3カ月前に初の製品となる車2種をデビューさせた電気自動車メーカーのRivianは、Amazonが主導するラウンドで資金7億ドルを調達した。

このニュースは、GMとAmazonが電気自動車への投資の話し合いをしているというReutersの報道に続くものだ。

「我々は、電動交通の未来についてRivianが描いているビジョンに感激した」とAmazonのワールドワイド・コンシューマー担当CEO、Jeff Wilkeは声明で述べた。「RJはプロダクトのポートフォリオとテクノロジーをマッチさせることで、素晴らしい組織をつくった。そのようなイノベーティブな企業に投資できることに興奮している」。

Rivianは、設立以来ずっと鳴りを潜めていた興味深い会社だ。創業者でCEOのRJ Scaringeが2009年にMainstream Motorsとして設立し、2011年に社名をRivianに変え、フロリダを後にした。現在、同社は米国内4カ所の開発拠点と英国のオフィスに従業員750人超を抱えている。従業員のほとんどは、拡張力のある自動車サプライチェーンに近いミシガンにいる。

Rivianはまた、カリフォルニア州のサンノゼとアーバインにも拠点を置いていて、そこではエンジニアが自動運転車のテクノロジーに取り組んでいる。Rivianは、三菱自動車がDiamond-Star Motorsというジョイントベンチャーをクライスラーと立ち上げ、 Eclipse、Plymouth Laser、Dodge Avengerなどを生産していたイリノイ州ノーマルにある工場を2017年に買い取った。

Rivianはここ数年間活動的ではあったが、大きなカミングアウトは昨年11月のLAオートショーだった。その際、電気で走るR1TピックアップとR1S SUVを発表した。フレキシブルなスケートプラットフォームを使ったこ米国内顧客への納車は2020年後半に始まる見込みだ。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

マリオットの情報流出、自分が被害者かどうか確認できるようになる

世界最大のホテルチェーン、マリオットはスターウッド・ホテルズの情報流出問題に関し、被害にあっているかどうかを顧客が自分で確かめられるようにする。

マリオットは、“宿泊客が暗号化されないまま流出したパスポート情報の中に自分のものが含まれるか、自分のパスポート番号を調べられるメカニズム”を準備したことをTechCrunchに明らかにした。この措置は、昨年明らかになったデータ流出で500万件ものパスポート番号が暗号化されない状態で盗まれたことを認める先月の発表に続くものだ。

セキュリティ会社OneTrustが提供するチェッカーでは、ユーザーは名前、電子メールアドレス、パスポート番号下6桁といった個人情報を尋ねられる。

マリオットは、昨年9月に明らかにした情報流出で“最大3億8300万人の宿泊客”の名前、住所、電話番号、生年月日、性別、電子メールアドレス、予約情報などを含むデータが盗まれた、としている。その後、暗号化された2000万超のパスポート番号と、860万もの支払いカード情報が盗まれていたことも明らかになった。クレジットカードに関しては盗まれたもののうち情報流出の時点で35万4000のカードが有効だった、と昨年9月に明らかにしている。

市民向けにチェッカーを使えるようにすることは、情報流出以来、この大規模な事件のマリオットの対応の中では前向きなものだ。マリオットは初期対応を誤り、多くのセキュリティ専門家が自腹でギャップを埋めるために介入した。

チェッカーはすぐに結果を表示せず、ユーザーは返事を待つ必要がある。それがどれくらいかかるのか、マリオットは明らかにしていない。自分が情報流出の被害にあっているかどうかを調べるのにサードパーティーに自分のデータを提出しなければならないというのは、ある種皮肉ではある。個人情報を提出するというのは文字通り、情報流出の被害にあった人が最もしたくないことだ。しかし、それが今私たちが暮らす社会であり、そうであるというのは最悪だ。

チェッカーの使用は自己責任で。

イメージクレジット: Getty Images

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

今度はドバイの空港がドローンで機能停止

今朝(米国時間2/15)、ドバイ国際空港が、近傍を飛行するドローンを目視したため約30分、フライトを閉鎖した。出発便は午前10時13分から午前10時45分まで“ドローンと疑われるアクティビティ”のため停止したが、到着便は着陸できた。

空港のソーシャルチームはTwitterで状況をアップデートし、“無許可で飛行するドローンはUAEの法律により有罪になると当局は警告した”、と述べている。

[無許可ドローンによる30分弱の遅れののち常態を回復した]

DXBはつねに、世界で旅客数の最も多い空港のトップスリーに入っている。2018年には、同空港は8800万人あまりの旅客を数えた。最近世界の空港は一連の恐怖を経験したが、その中には個人のドローンが商用空港の至近を飛行したケースもある。昨年のホリデーシーズンの最中には、ロンドンのガトウィック空港が同様の懸念で1日半閉鎖した。

このようなアクティビティの増加によりドローンのメーカーの対応も求められ、法律によるドローンの規制を求める声も大きくなっている。

DXBによると、同社は地元当局と連携してこの事件に対応している。“ドバイ空港は適正な機関と密接に協力して空港運用の安全を確保し、顧客へのいかなるご不便をも最小化すべく努力している”、と同空港はThe New York Timesに載った声明で述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AsteroidはAR開発のためのインターフェースエンジンを開発中

われわれが今日のコンピュータと対話する際には、マウスを動かし、トラックパッドを撫でて、画面をタップする。しかし、マシンがそうした操作にうまく反応しないこともよくある。人間がどこを見ているのかセンスするのはどうだろう? その微妙なジェスチャーによって、ユーザーが何を考えているのかを伝えるのだ。

Asteroidは、将来のインターフェースが、生体を直接センスしたデータをはるかに多く取り込むことになる、という考えを提唱して、デベロッパーの期待を集めている。そのチームは、macOSおよびiOS用のノードベースのヒューマン・マシンインターフェースエンジンを開発した。それにより、デベロッパーはインタラクションを定義して、Swiftアプリケーションにインポートできるようになる。

「新しいヒューマン・マシン・インターフェース技術について興味深いのは、ユーザーが今日『ダウンロード』できるのと同じくらい『アップロード』できるようになるかもしれないという希望です」とAsteroidの創設者Saku PanditharatneはMediumへの投稿に書いている。

その開発環境に注目を集めるために、彼らはクラウドファンディングのキャンペーンを始めた。それにより、今日市販されているバイオセンサーによって可能となるユーザー体験の深さを確認するための材料を提供する。Asteroidは、ハードウェアのスタートアップになりたいとはまったく思っていないが、インタラクション設計の即戦力となるツールにはどのようなものがあるのかを、そのキャンペーンによってデベロッパーに広く示すことができる。

こんな開発キット、そんな開発キット、そしてあんな開発キットもある。トータルパッケージを求めて参加した開発者は、山ほどの電子部品やケースといったハードウェア素材を受け取る。それらを工夫して組み合わせ、インターフェースのソリューションを開発するのだ。450ドルのキットには、視線追跡、脳・コンピュータインターフェースのための電極、そしてモーションコントローラを組み立てるための電子部品などが含まれている。参加者は、200ドルの視線追跡キットを単独で購入することもできる。それはすべて完全に実用本位のもので、Asteroidがハードウェアを売って大儲けできるというわけではまったくない。

「長期的な目標は、できるだけ多くのARハードウェアをサポートすることです。独自のキットを作成したのは、実験室の外には適切なものが豊富にあるとは考えていないからです」と、PanditharatneはTechCrunchに語った。

これらのマニアックなハードウェアを見ると、当分はなんだか趣味の仕事のように思われるかもしれない。しかし、いくつかのAR/VRデバイスには、視線追跡機能が組み込まれていて、ほとんどの市販のVRデバイスより1世代進んでいる。それに、脳・コンピュータインターフェースシステムが組み込まれたハードウェアなど、他ではほとんど見ることはないだろう。Asteroidは、スマートフォンのカメラとマイクだけでも、彼らのエンジンは十分に機能すると言っている。とはいえ、開発キットがそれなりによく売れているのは、多くのデベロッパーが特定のハードウェアを対象に開発しているわけではないということを示している。人間が世界に対処している方法とよく絡み合うように、インターフェースがもっと成長することに期待して、実験を続けているのだ。

Panditharatneは、この会社を設立する前は、OculusとAndreessen Horowitzに勤めていた経験を持つ。そこで彼女は、ARとVRの将来に焦点を合わせて、多くの時間をつぎ込んでいた。 Panditharatneは、Asteroidは200万ドル以上の資金を調達した、と語ったが、まだその資金の出所を詳細には明らかにしていない。

同社は、彼らが始めたIndiegogoキャンペーンから2万ドルを集めることを目指しているというものの、その真の目的は明らかに売り込みであり、自社のヒューマン・マシンインタラクションのエンジンを多くの人に知ってもらうためのものだろう。Asteroidは、その製品の順番待ちリストに加わるためのサインアップを、サイト上で受け付けている。

画像クレジット:Bernhard Lang

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

企業のAI利用の前進と成長を助けるPeltarionが$20Mを調達

SpotifyやSkype、King、TrueCaller、Googleなどの元役員たちが創業したスウェーデンのPeltarionが今日(米国時間2/14)、シリーズAで2000万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたEuclidean Capitalは、ヘッジファンドの億万長者James Simonsのファミリーオフィスだ。これまでの投資家FAMとEQT Venturesも参加し、このラウンドで同社の調達総額は3500万ドルになる。

もちろん、今の世の中、AIプラットホームに不足はない。そんな中でPeltarionは、“オペレーショナルAI”と同社が呼ぶものに特化している。そのサービスは、データの前処理からモデルの構築、それらのプロダクションへの導入など、企業がAIを利用する場合のあらゆる局面を支援するエンドツーエンドのプラットホームだ。このすべてがクラウドで動き、デベロッパーはグラフィカルなユーザーインタフェイスから自分のモデルの構築と試験を行なう。これに関しとくに同社が強調するのは、Peltarionのユーザーは低レベルのハードウェアやソフトウェアをいっさい扱う必要がなく、ひたすらモデルの構築にフォーカスできることだ。

PeltarionのCEOで協同ファウンダーのLuka Crnkovic-Friisは次のように説明する: “オペレーショナルプラットホームの上でAIシステムを構築しデプロイすると、そのスピードはTensorFlowなどの業界標準のツールを使った場合に比べて桁違いに速い。所要人員もはるかに少ないし、AIの高度な専門知識も要らない。それによって、これまでよりもずっと多くの企業がAIを運用でき、問題解決と変化の創成に集中できるようになる”。

しかし企業の選択肢がとても多い今の時代に、わざわざ無名に近いPeltarionを選ぶ理由はあるだろうか? Crnkovic-Friisはこう語る: “うちのクライアントのほぼ全員が、特定のクラウドプロバイダーへのロックインを心配している。ストレージやコンピューターを使うだけならどのプロバイダーも似たようなものだし、他のプロバイダーへの移行もできる。しかし彼らがとても心配しているのは、AWSやGCP、Azureなどのプロバイダーが提供しているさまざまな高レベルのサービスだ。それらが、完全なロックインを作り出す”。

もちろんPeltarionは、そのプラットホームがユーザーをロックインしない、と主張する。また、他のプラットホームは、個々の企業のオペレーションのヘルプではなく、自らの商用製品としてのAIサービスを作るためにAIの専門技術を大量に使っている、という。確かに同社の言うとおり、大手テクノロジー企業以外では、多くの企業がAIのスケーラビリティで苦戦している。“彼らはスターティングブロックの上で止まってしまう。二つの大きなバリヤがあるので、走り出せない: 未熟なパッチワーク的技術と、スキルの不足だ”、とCrnkovic-Friisは述べる。

同社は新たな資金を、開発チームの増員と、コミュニティやパートナーと協働できるチーム作りに向けていく。また、アメリカなどそのほかの市場における成長にも、充てていきたい、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonの第二本社撤回でNYCは何かを失ったのか

意地悪で押しの強いニューヨーカーたちに付き合うよりも、第二本社計画を撤回することをAmazonは選んだ。そして事の推移を見守っていた人たちは、ニューヨーク市(そして地元の政治家)は抵抗したから損をしているとほのめかしている。

彼らは間違っている。

ニューヨーク市の現在の失業者率は4.3%で、国平均の3.9%より高いが、それでもおかしい数字ではない。Amazonの2万5000もの雇用(高給の仕事だ)を生み出すという約束は、この失業率の数字を少なくするかもしれない。しかしそうした創出される職にニューヨークやクイーンズの住民が就けるというはっきりとした保証はない。そうした職が、他の地域からやってくるAmazon社員に流れるかもしれないことを示す動きもある。

Amazonが第二本社をニューヨークに置くということが発表される前からAmazon社員はクイーンズ地区の不動産を購入し始めていた。

ニューヨークにオフィスタワーを建設するためにAmazon(世界で最も時価総額の大きな企業の一つだ)に何十億ドルもの税制上の優遇措置を与えないなんてニューヨーカーは馬鹿だ、という反応は、この国が市民の利益より企業の利益を優先していることの表れだ。

商業をAmazonに引き渡すことなしにニューヨークが地元経済を浮揚させるためにできることはある。クイーンズにオフィスを構えるためのインセンティブはニューヨークにすでにあるのだ。

さらに重要なことに、クイーンズの住人はAmazonがやってくることで周辺が様変わりするのではないかというもっともな懸念を抱いていた。

地元の政治家が誇張しない、というわけではない。ニューヨークの政治は汚職、収賄、ゆすり、おかしな駆け引き(私は交渉の場にはいなかった)と全く無関係ではない。しかし、どちらの側にも“過ちがあった”とは言えるだろう。

長期的にはAmazonはニューヨークの経済に恩恵をもたらしていただろう。そしてAmazonの幹部は地元住民の懸念に耳を傾け、成功例となっていたかもしれない。

というのも、Amazonがニューヨークの経済にとって有益になる確固とした理由があるからだ。第二本社をニューヨークに置くというニュースが発表されたあと、Noah SmithはBloombergに以下のように書いている。

Amazonはロングアイランドシティに設けるオフィスの資産税を払うだろう。また、法人税も払う。これは利益に基づいてではなく、資本ベースでだ。従業員、特に高給取りの従業員はニューヨーク市に個人の所得税も払う。もちろんそうした税金のいくらかは、市がAmazonに約束したインセンティブと相殺される。インセンティブは最大20億ドルで、Amazonが何人雇うか、いくつ建物を建設するかによって変わる。そうしたインセンティブは、企業の投資をひきつけるのには役に立たない。しかし長期的には、ニューヨーク市が第二本社から得る税収はおそらくコストをかなり上回るものとなるだろう。

しかも、ここには、周辺のビジネスや不動産価値へのAmazon効果は含まれていない。他のテクノロジー企業はAmazonがいるためにクイーンズに移ってきたがるだろう。従業員はラテからMRIに至るまであらゆるものを購入するのにお金を使う。第二本社が地元に及ぼす経済効果は年間170億ドルとの予測もある。その数字を半分に割ったとしても、そして推測が楽観的だったとしてもクイーンズの経済効果は最初の費用をすぐに取り返すだろう。これは、たとえば悪のささやきがあったウィスコンシン州のFoxconn工場とはまったく異なる(編集部注:Foxconnはトランプ大統領との話し合いの結果、工場計画を復活させた)。

そうした恩恵は本当だろう。しかし、雇用や支出が地元経済、住宅、交通、そして新住民の需要のある行政サービスに及ぼす影響を考えたとき、ニューヨークのような市にとってその恩恵がどれだけのものになるのか、を測るのは難しい。

シアトルやサンフランシスコが直面している住宅危機はまさしく、テクノロジー企業が急激に成長するとき(そこに富が伴うとき)どうあって欲しいのか行政が注意しなければならないことを示すものだ。

いずれにせよ、米国の都市はテック企業により急激に様変わりしている。テクノロジーが国の経済をデジタルを持てるものと持たざるものに二分したように、テクノロジー企業は持てる都市と持たざる都市を作り出している。

ブルッキングス研究所のMark MuroとRobert MaximはUS NewsとWorld Reportで下記のように指摘している。

学者は、熟練労働者への偏見もあり、テックが都市のヒエラルキーを変えるかもしれないと何年も疑いの目を向けてきた。10年以上前、研究者のPaul Beaudry、Mark Doms、Ethan G. Lewisは、パーソナルコンピューターを最も初期に素早く導入した都市では、相対的賃金が最も早く増加するとの考えを示した。いまや、我々が行なった調査も含め、デジタルテクノロジーが都市経済の成長に大きく貢献し、デジタルテクノロジーの大きなインパクトによりボストンやサンフランシスコのようなスーパースター都市が他都市を大きく引き離しているというさらなる証拠がある。

プリンストンのエコノミストElisa Giannoneは最近、1980年からの都市における賃金の変化をまとめて発表した。そこには、熟練したテック労働者とテック産業集合化の面で恩恵が増大したことが反映されている。同様に、ブルッキングスの研究でもかなりデジタル化された都市、往々にして沿岸のテックハブである数少ない都市はさらにデジタルになり、成長や収入でも抜きん出ていることがわかった。我々が“全てのデジタル化”と呼ぶものは、アメリカの経済情勢の不均一をさらに悪化させている。

ナッシュビルにオペレーション・センターを設けるというAmazonの判断は地元にはるかにポジティブな結果をもたらす、と評価するのは簡単だ。

しかしアメリカの都市をミスコンテストのようなスタイルで競争させ、都市が数十億ドル企業をなだめるのに懸命になるのは、実に不快だ。

地元コミュニティの怒りをかうことなく都市でいかに発展するかという例としては、Googleがいかにニューヨークで発展しているかが良い参考例になる。Googleはニューヨークに1万4000もの雇用をさらに生み出そうとしていて、ウェストサイドのキャンパス拡張に10億ドルを投じることも約束した。

見たところ、Googleはニューヨークの、あるいは他都市からやってくる人材争奪で存在感を増している。それは、ニューヨークが戦略上重要だからだ。Amazonのニューヨーク本社を撤回するという決定はそうした人材へのアクセスを失うだけでなく、他のテック企業がニューヨークに進出する機会を逸することになり、またはローカル企業にとっては優勢を維持することを意味する。

なので、ニューヨークの地元テックコミュニティがクイーンズに次のAmazonをつくることで2万5000もの雇用を提供し、それを達成するためにコミュニティとうまくやっていくことを祈るばかりだ。

最近、デモクラシーは神を金に取って変えた宗教のようだ。Amazonの追い帰しは、ニューヨークが少なくとも市民の責任を方程式のどこかに盛り込んだことを表している。

イメージクレジット: David Ryder / Getty Images

原文へ 翻訳:Mizoguchi)