ドローン動画「A World Artists Love」のアニ・アコピアン監督が語る制作秘話

「ドローンはカメラ」とAni Acopian(アニ・アコピアン)氏は率直に切り出した。「空を飛べる。空飛ぶスーパーカメラなわけ!私は、ドローンの敏捷で魔法のような性能を駆使したフィルムやテレビ番組を見たり、鳥瞰撮影のような定番ではない形でドローンを使うのが大好きなんです」。

ロンドンのレコードレーベルであるAWAL(Artists Without a Label、レーベルを持たないアーティスト)のために彼女が監督し制作したこの1分間の動画「A World Artists Love」(アーティストが愛する世界)は、無人航空機の潜在的な表現力に敬意を表すものになっている。机の上から飛び立ち、ガラス戸から外に出て、階段を通過して、車の中を通り向ける。レストラン、空のプールで遊ぶスケートボーダー、廃車置き場、庭のプールでのパーティーなどを見て回る。社会的距離の確保によって我々全員を夜行性の変人にしてしまう前の、太陽燦々の南カリフォルニアの陽気な映像だ。

ワンカットで撮られたように見えるが、じつは複数のカットをつなぎ合わせている。単独で見ても素晴らしい5つのショットを1本につなげた、まさに編集の魔法だ。ドローン・パイロットRobert McIntosh(ロバート・マッキントッシュ)氏の功績も大きい。彼は、2012年、Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)監督作品「Pretty Sweet」にも、自作ドローンを使った撮影で参加している。

重さ120gのこのドローンは、GoPro Hero 6(ゴープロ・ヘローシックス)のカメラ部分を取り出して組み立てられた。カメラは、レーシング用ドローンに組み込まれて配線されている。その結果、手の平サイズの繊細なバッテリー寿命は3〜5分というドローンが出来上がった。だがこの小ささによって、4K映像を撮影しながら非常に敏捷に飛び回れる性能が得られた。マッキントッシュ氏はレース用のFPV(一人称視点)ゴーグルを装着し、撮影監督のEric Maloney(エリック・マロニー)氏からの無線による指示に従い、ドローンをゆっくり飛ばした。

アコピアン監督によれば、撮影とは現場スタッフの機転を必要とする作業であり、60人のエキストラを使うシーンともなれば、なおさらだという。それぞれのエキストラには、個別に動きが与えられている。カメラの広角レンズに映り込まないよう遠く離れた場所から監督が拡声器で送る指示に従い、彼らは演技する。

「出演者を配置し、ドローンの飛行経路の交通を遮断してのリハーサルを事前に行うことは不可能でした」と彼女。「なので最大の難関は、毎朝、違う場所に集まるごとに、ドローンの飛行経路、出演者の配置や動き、視覚効果用マーカーを調整して、そこから日が沈む2時間前までにできるだけリハーサルを重ねるということでした。何かうまくいかないことがあれば、やり方を変えました。シーン全体がまったく撮影できないというリスクを避けるためです」。

どのシーンも、当然のことながら、何テイクも撮影された。最高15テイクというシーンもあった。さらに、繊細な小型ドローンは何度か墜落を経験したが、それでもほとんど損傷はなかった。

「みんなが凍り付いた事故がありました。パーティーの参加者がケーキをぶつけられるシーンです」とアコピアン氏。「女優が一歩後ろに下がったんです。そこはドローンの通り道でした。ドローンは彼女の髪の毛に絡んで停止しました。幸いにも彼女は無事で、髪の毛を少し切るだけでドローンを引き離せました。そして担当者が20分ほどでドローンを修理して、20分後、そのシーンを撮り直しました。彼女は2回、顔にケーキをぶつけられることになったんです。本当のヒーローよ」。

撮影が終わると、動画はマッキントッシュ氏が開発した画像安定ソフトウェアであるReelSteady(リールステディー)で処理された。このソフトウェアは、3月にGoProに買収されている。その後、視覚効果専門のAlpha Studios(アルファ・ステューディオズ)がシーンをつなぎ、1本の継ぎ目のわからない作品に仕上げた。

「最初は、すべてのシーンのトランジションを完全に境目なく、わからなくしようと考えていたのですが、場所や機材の関係でトランジションを定形化する必要がありました。そこで私たちは、ひとつのショットをどこで終えるか、そして次のショットをどこから始めるかをAlpha Studiosと緊密に作業し決めていきました」と、プロデューサーJeremiah Warren(ジェレマイア・ウォーレン)氏は話す。「Alpha StudiosのKaitlyn Yang(ケイトリン・ヤング)は現場の視覚効果責任者ですが、そのトランジションのポイントを決める要の人物でした。彼女のチームが、ポストプロダクションで視覚効果を使いシーンの融合を行ったからです」。

その結果、ドローンはお決まりのショットだけを撮るものではないことが、そしてその過程で奥深い物語をもたらしてくれることが、美しく端的な形で示された。

「ドローン撮影の未来は明るいと私は感じています。一目でいかにもドローンっぽいと思わせることなく、その他の方法では難しい斬新なカメラの動きをもたらすものとしてドローンが使われるようになるでしょう」とアコピアン氏。「高く飛ばす必要はないんです。ドローン、とくにレース用のFPVドローンには、記憶を呼び起こすときの感じを美しく再現してくれる、流れるような感覚があります。もっと多くの人がこれを試して内的体験を再現してくれるようになれば、新しい物語の手段が生まれるだろうと私は期待しています」

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(翻訳:金井哲夫)

トランプ大統領の投稿にFacebookが行動を起こさない理由をザッカーバーグ氏が説明

5月29日午後遅くのFacebook(フェイスブック)の投稿でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、ドナルド・トランプ大統領と繋がりのあるアカウントの米国市民に対する暴力を賛美するかのような投稿を、Facebookが説明も削除もしなかった理由を説明した。

「われわれはミネソタで起きた抗議運動を論じたその投稿を極めて慎重に観察し、当社のポリシーに違反しているかどうかを検討した」とZuckerberg氏は書いた。「暴力の扇動に関わるわれわれのポリシーは、国の実力行使に関する議論を認めているが、現在の状況は、その議論の潜在的限界を巡る重要な問題を提起するものだと私は考えている。

Facebookの立場は、Twitter(ツイッター)が最近下した決断とは著しい対照をなすものだ。Twitterは CEOJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の承認によって、28日夜にトランプ大統領のツイートを、同社の規則に反する暴力を賛美するツイートであることを示す「公的関心の通知」を利用して非表示にした。「公的関心の通知」は、トランプ氏の書いたテキストに代わって表示され、ユーザーが問題のツイートあ見るためには積極的にクリックする必要がある。

Facebookと同社CEOが、大統領とホワイトハウスに関わるアカウントが発信した誤情報かつ暴力を賛美する恐れのある発言の拡散に対して無干渉の立場をとったことは、批評家の激しい非難を浴びた。批判の中には 同社従業員が発信したものさえあった

「私は恐ろしく耐え難い状況に直面していると言わざるを得ない」とある従業員がFacebookの社内掲示板に書いたものがThe Vergeに引用された。「これは暴力の激化と選挙に向けて市民の不安を呼ぶきわめて高いリスクにつながるものであり、この試練に失敗すれば、歴史はわれわれに好意的な判断をくださないだろう」

Zuckerberg氏はFacebookの立場を擁護し、大統領の投稿に対して行動を起こすつもりはない、なぜなら「国民は政府が暴力を行使するつもりなのかを知る必要があるとわれわれは考えるからだ」と語った。

Facebook CEOの発言は、賛否分かれる議論に対する同社とTwitterの対応の著しい違いをいっそう際立たせた。Twitterは大統領の一連のツイートに「要事実確認」の警告を表示し、暴力ポリシーに違反したとして28日のツイートを警告ラベルで隠した。

「Twitterと異なり、われわれは暴力を賛美する投稿に警告を表示するポリシーを持たない、なぜならもし投稿が暴力を賛美しているなら、ニュース価値があろうが、政治家が発信したものであろうが削除されるべきだからだ」とZuckerberg氏は書いた。

Twitterは同社の決定について、「このツイートは、最終行の歴史的背景、暴力との結びつき、および同様の行動を引き起こすリスクに照らして、暴力の賛美に関するわれわれのポリシーに違反している」と声明で語った。

「われわれは触発された者が暴力行為を犯すのを防ぐために行動を起こしたが、ツイートをTwitter上に残したのは、公共的に重要な現在進行中の出来事との関係を踏まえ、市民がツイートを見られるようにすることは大切だからだ」とTwitterが声明で語った。

おそらくZuckerberg氏が指摘するように、国家による暴力を称賛する発言を認める上でどんな限界があるべきかについて、いずれFacebookは何らかの答えを出す機会があるだう。しかし現時点では、この対応は新たな疑問を生むばかりだ。

Zuckerberg氏の投稿の全文はこちら

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

PayPayがオンライン診断のオンライン決済に対応、調剤薬局の服薬指導にも使える

コード決済サービスを提供するPayPayは6月1日、ビデオ通話を利用したオンライン診療や服薬指導に対する支払いをPayPayで決済できるようになったことを明らかにした。

オンライン診療はこれまで一部の診療科目の再診でしか認められていなかったが、新型コロナウイルスの蔓延に伴う感染防止の観点から、厚生労働省が特例的に初診でのオンライン診断を認めている。現在は特例とはいえ、将来的には一般化する確率が高いだろう。

具体的には、PayPay加盟店の医療機関や調剤薬局は、ビデオ通話を通じて診察や服薬指導を行ったあと、画面越しに患者に向けてオンライン診療専用のPayPayのQRコードを提示することで、その場で決済可能になる。

年商10億円未満の医療機関や調剤薬局は、オンライン決済システムの導入の開発費や初期費用がかからず、決済システム利用料も2021年9月まで無料で利用できる(2020年4月1日以降新たに加盟店になる年商10億円以上の法人の場合は有料)。患者側が注意したいのは、決済できるのはPayPay残高のみで、PayPay経由のクレジットカード払いには対応していない点。

同社では現在、既存加盟店向けにオンライン診療用QRコード決済の利用申し込みページを設けているほか、PayPayを導入していない医療機関や調剤薬局に向けて新規加盟店申し込みページも用意している。

なお、PayPayでは一部の医療機関で対面診察の支払いに対応しているが、現金決済以外の手段を用意していない医療機関はまだまだ多く、キャッシュレス化はあまり進んでいない。個人経営の医院やクリニックなどはクレジットカードの高い手数料を嫌って現金オンリーにしているところも多く、高齢者や子供連れの母親が診療費を現金で持ち歩く必要があるのは防犯上も好ましくない。入院費などは数万円から数十万円と高額になることも多いのだ。

PayPayには今回のオンラインの診療や服薬指導のオンライン決済はもちろん、手数料無料期間の延長などの施策を駆使して中小医療機関へのPayPayの導入と積極的に進め、キャッシュレス化を劇的に進めてほしいところだ。

1日70円傘シェアのアイカサが西武池袋線・池袋駅〜飯能駅に配備完了、新宿線に続く快挙

傘を1日70円、1カ月最大420円でレンタルできる「アイカサ」のサービスを提供しているNature Innovation Groupは6月1日、西武鉄道沿線のアイカサスポットを拡充したことを発表した。西武鉄道と同社グループの不動産会社である西武プロパティーズと共同で、西武池袋線の池袋駅〜飯能駅までの全駅と、豊島線の豊島園駅にアイカサスポットが設置される。なお、アイカサのサービスは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で現在はサービスを休止しており、サービス再開は6月8日となる。

西武池袋駅の改札内に設置されるアイカサスポット

西武鉄道ではすでに、新宿線の西武新宿駅〜本川越駅の全29駅にアイカサスポットが設置されており、今回池袋線の全31駅中の26駅に拡充されることになった。ちなみに、飯能駅以西の駅(東飯能駅、高麗駅、武蔵横手駅、東吾野駅、吾野駅)は西武秩父線とセットで運転されており、西武池袋駅始発や東京メトロ経由の電車は、西武秩父行きの特急電車「Laview」と土日祝に西武秩父と元町・中華街を直通運転するS-TRAINを除くと、大半が小手指、急行電車などは飯能が終着駅だ。

2020年3月14日に実施されたダイヤ改正以前には、土日祝のみ西武池袋線、西武秩父線を経由して秩父鉄道の三峰口駅・長瀞駅まで直通する池袋駅始発の快速急行が運行されていたが、現在は秩父鉄道に直通する電車は飯能駅始発に変わっている。なお、飯能駅からはスイッチバックして東飯能以西に向かうため、先頭車両が最後尾車両となる。

以上の状況を踏まえると、アイカサは西武池袋線の通勤路線を実質制覇したと言えるだろう。

そして今後期待されるのが、西武池袋線から他社路線への波及だ。池袋線は練馬駅から池袋方面へ向かう東方向で西武有楽町線に分岐し、小竹向原駅を経由で東京メトロ副都心線・有楽町線に直通する電車が多い。さらに有楽町線は、西の終点である和光市駅で東武東上線と接続しているほか、朝夕には終点の和光市駅を経由して東武東上線の川越市駅や森林公園駅まで直通する電車もある。さらに東京メトロ副都心線は渋谷駅で東急東横線と直通しており、その東急東横線も横浜駅で横浜高速鉄道みなとみらい線に直通している。

首都圏の鉄道各路線では、JR東日本、京浜急行電鉄本線、小田急小田原線、都営地下鉄三田線・新宿線などの一部の駅でアイカサスポットの導入実績があるものの、東京メトロや東武鉄道、東急電鉄の各駅には本格展開していない。ただし東急については、2019年5月に東横線・田園都市線渋谷駅の地下1階にある外国人観光客向けの観光案内所に試験導入されたことはある。

西武池袋線への導入をきっかけにして首都圏の鉄道網にサービスを拡大していくことを大いに期待したいところだ。

新型アイカサスポットでは、掲示されているQRコードを読み取るか専用のスマートフォンアプリとのBluetooth通信による認証で傘の利用や返却が可能になる

アイカサは2018年12月に東京・渋谷エリアから始まった、1日70円で傘を借りられるサービス。専用アプリのインストールは不要で、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使えるのが特徴。アイカサスポットに用意されているQRコードをスマートフォンで読み取るか、スマートフォンの専用アプリをかざすことで傘の解錠が可能になる。2020年5月28日時点でのアイカサの登録人数は9万4417人、2020年6月1日時点でのアイカサスポット数は500カ所と。なお専用アプリは、6月8日のサービス再開に併せて登場する予定だ。

同サービスでは傘を借りると1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降から1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニエンスストアで傘を購入するより安価に利用できる。傘の返却は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。

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創業百数十年の老舗食堂から生まれた飲食向けデータ分析ツール開発のEBILABがパーソルから約1億円を調達

飲食や小売向けの店舗データ分析ツール「TOUCH POINT BI」を開発するEBILABは6月1日、パーソルグループのパーソルイノベーションから約1億円を調達したことを明らかにした。

EBILABでは同じくパーソルグループでクラウド型モバイルPOSレジ「POS+」を手がけるポスタスと2020年2月に業務提携を締結済み。今後はパーソルイノベーションやポスタスとの連携を通じて販売やマーケティング面を強化するほか、飲食・小売業のデジタル変革の支援に向けた新プロダクトの開発なども検討していくという。

TOUCH POINT BIは飲食店や小売店が保有する「店舗にまつわるあらゆるデータ」を一元的に収集し、可視化するプラットフォームだ。たとえばPOSレジサービスと連携することでユーザー自身が何も入力することなく売上データを自動で収集。期間別の売上や客数のほか、顧客の年齢層、入店時間別の来客比率、メニューごとの売上比率など店舗分析に不可欠な情報をダッシュボード上に表示する。

同サービスに繋げるデータはPOSレジに限らず幅広い。天候データと紐づけることで天気や気温が店舗の状況にどのような変化をもたらしたのかを数字で把握することもできるし、店舗に設置したネットワークカメラによる「画像解析AI」機能を活用してレジシステムだけではわからなかった顧客の属性や行動を掘り下げて分析することもできる。

また過去に蓄積してきたデータを用いた「来客予測AI」もTOUCH POINT BIの1つの特徴だ。未来の来客数が予測できることによってあらかじめ発注・仕入れを最適化し食品のロスを減らせるほか、オペレーションを効率化して料理の提供時間を短縮することも可能。「45日予測」機能は早い段階でシフトや休暇を調整する際にも役立つ。

「ユーザー側で画面設計の手間がないというのが大きな特徴。これまでためてきた知見やノウハウを元に最初からベストプラクティスを提供するという考え方で、飲食や小売の現場で必要とされる項目を最初の段階で揃えている。ユーザーは導入時にポスベンダーと連携さえしておけば自動でデータが収集されるので、業務の節目に自ら入力しなくてもデータを軸とした店舗運営ができる」(EBILABでCTO兼CSOを務める常盤木龍治氏)

TOUCH POINT BIがユニークなのは、なんと言ってもこのサービスが三重県伊勢市にある創業百数十年の老舗食堂「伊勢ゑびや大食堂」の“自社ツール”として生まれたものである点だろう。長い歴史を持つ同店舗ではデータ解析の力で勘に頼らない店舗経営への移行を目指すべく、TOUCH POINT BIの前身となるツールを自社で開発した。

これが1つのきっかけとなり2012年に1億円だった売り上げは2018年に5倍近くの4.8億円まで拡大し、利益ベースでは約10倍増加。現場では来客予測システムの効果によって米の廃棄を70%ほど削減することに成功したほか、人員の稼働をうまく調整することでスタッフが休暇を取りやすい体制を実現することにも繋がった。

「多くの飲食店ではそもそもデータを使った分析などをしていないか、やっていてもエクセルなどを使って特定の人に依存する形になっているところが多かった。後者の場合、担当者が変わってしまうとまたゼロから仕組みを構築しなければならない。結果的にデータではなく勘や経験頼りでしかビジネスが回らない状態に陥ってしまい、ロスも発生するし販促も成果に繋がらないという状況が様々な店舗で起きている。もし数字を基にして根拠を持って考えられるような仕組みが作れれば、もっと確度の高い形で経営ができるのではないか。そんな思想から生まれたプロダクトだ」(ゑびや代表取締役でEBILABの代表も務める小田島春樹氏)

2018年6月にはゑびやのシステム部門をEBILABとして分社化。同時にTOUCH POINT BIという形で正式にプロダクト化し、飲食店を中心とした小売事業者へサービス提供を始めた。現在もEBILABはゑびやと同じく伊勢市に本社を置き、沖縄市に構える同社のInnovationLabのメンバー達とリモート環境でプロダクトの開発に取り組む。

飲食店向けのシステムを開発しているIT企業はいくつもあるが、実際に飲食店を運営しているところは稀だろう。TOUCH POINT BIにはドッグフーディングの形で「実際にゑびやで試してみてハマった機能」が散りばめられていて、もしかしたらこの開発体制こそがEBILAB最大の強みと言えるかもしれない。

同サービスの利用料金はデータを分析するための「店舗分析BI」が1店舗あたり月額1万9800円、そこに来客予測AIも加えた上位プランが月額2万9600円(導入費用は別途必要)。地方のSMBなどでも導入しやすいように「多くの店舗が毎月かけているWeb販促費などの範囲内で使えて、実際に効果が実感できるサービス」を目指したという。

現在は約160社が導入しているが今の所は大手デベロッパーの案件なども多いそう。今後は当初のターゲットとしていた全国のSMBへの展開を進めるべく、スマホベースで来店予測や日々の進捗管理ができるサービスの開発や販売・マーケティングの強化を進める。

冒頭でも触れた通り、パーソルイノベーションおよびポスタスともその方向で連携を強めていく計画。ポスタスと共同で2月より提供をスタートしている「POS+BI powered by EBILAB」を2022年までに1万店舗へ展開することを目指すほか、中長期的には双方のアセットを活用しながら新サービスや飲食・小売事業者のためのデジタルソリューションの企画開発などを共同で行なっていく計画だという。

トヨタからRAV4初のプラグインハイブリッド車が430万円を切って米国で今夏登場

昨年11月にトヨタ自動車が、クロスオーバーSUVに分類される2021年型RAV4 Primeを発表したときに大きな注目を浴びたのは、新型車が一見矛盾する2つのゴールを達成したからだ。それはトヨタにとって最も燃費のいい最もパワフルな車だった。

そしていま、基本仕様価格が4万ドル(430万円)を切ることで称賛を受けている。米国時間5月29日にトヨタは、シリーズ初のプラグインハイブリッド車であるRAV4 Prime SEの最安基本価格が3万9220ドル(約422万円)になることを発表した。これは配送手数料1120ドル(約12万円)を含んだ価格だ。

このプラグインRAV4は、全輪駆動とスポーツ仕様サスペンションを備える。メーカー推定の純EVモード航続距離は42マイル(67km)と他社のプラグインSUVを上回る。トヨタは混合航続距離は1ガロンあたり94マイル(40km/リットル)相当であることも発表した。EPA(米国環境保護庁)の公式データはまだ得られていない。

新型車は4気筒2.5リッターのガソリンエンジンを搭載し、電動モーターと合わせて302馬力を出力、0-60マイル(時速約100km)を5.8秒程度で加速する。

プラグインRAV4は2車種用意される。トヨタはRAV4の全モデルにアクティブセーフティー(予防安全)システムとして、歩行者を検知する衝突回避システム、全速度範囲動的レーダークルーズコントロール、操舵支援付き車線逸脱警告、自動ハイビーム、車線維持支援、道路標識支援などを装備している。

低価格版のSEには、18インチ塗装済みアルミホイール、暖房付きフロントシート、パワーテイルゲート、3kw車載充電器、Amazon Alexa対応の8インチタッチスクリーンを備え、GoogleのAndroid AutoおよびAppleのCarPlayに対応する。後方左右からの接近車警告付きブラインドスポットモニターなどの高度な支援機能もいくつか搭載している。

1665ドル(約18万円)のアップグレードで「ウェザー&ムーンルーフ」パッケージを購入すれば、加熱ステアリングホイール、雨検知ワイパー、解氷機能などが追加される。

高級車のXSEは4万2545ドル(約460万円)からで、ツートンカラー仕様で黒のルーフと選んだ色を組み合わせられる。19インチのツートンカラー・アルミホイール、パドルシフト、ワイヤレス充電、9インチタッチスクリーンなど高級感を醸し出している。

もちろんアップグレードもいくつかあり、ダイナミック・ナビゲーションとJBLスピーカーシステムを加えるマルチメディアシステムが一例だ。XSEの最高級アップグレードは5760ドル(約62万円)で、ウェザー、オーディオのほか、ヘッズアップディスプレイ、パノラマムーンルーフ、デジタル・リアビューミラー、サラウンドビュー・カメラ、4ドアキーレスエントリーなどのプレミアム機能を追加できる。

RAV4 プラグインハイブリッド車は、この夏に米国内のディーラーに登場する予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

支出管理SaaS「Leaner」運営のリーナーテクノロジーズが3億円を調達

リーナーテクノロジーズは6月1日、プレシリーズAラウンドで3億円を調達した。第三者割当増資による調達で、引受先はインキュベイトファンドとCoral Capital。資金調達に併せて既存サービスのフルリニューアルも実施する。

同社は、支出管理プラットフォーム「Leaner」を開発・運営している2019年2月設立のスタートアップ。Leanerは、企業活動にかかわる各種コストを管理可能なSaaSで、会計データをアップロードするだけで支出を費用別に分類してくれるのが特徴だ。費目ごとの金額を他社と比較することも可能だ。

フルリニューアル後は、以下の新機能が利用可能となる。

  • ダッシュボード機能:間接費管理にかかわる重要指標を一元管理
  • スコアリング機能:コストの管理水準のスコアリング
  • 分析機能の強化:コストを組織別、取引先別などで詳細分析
  • 案件管理機能:取引先との契約更新や切り替え交渉の案件管理
  • 契約管理機能:契約書情報の登録で自動更新や見直し時期を管理
  • レポート機能:レポート形式でデータを社内共有可能

なお同社では、リニューアルを記念して初期費用無料キャンペーンを6月30日まで展開する。同社の問い合わせ窓口で受け付けている。

関連記事:200兆円の間接費市場を変えるコスト削減SaaS「Leaner」ローンチ、5000万円の資金調達も

もう「変態」とは言わせない、実用性を備えた2画面ノートに進化したASUS ZenBook Duo

ASUS(エイスース)は5月7日、キーボード奥に12型ディスプレイを搭載した14型ノートPC「ASUS ZenBook Duo」を発売した。台湾最大のPC、PC周辺機器、スマートフォンメーカーである同社は、2018年6月5日に「Project Precog」と名付けられた2画面ノートPCのコンセプトモデルを発表したあと、翌2019年5月27日にデュアル4KノートPC「ASUS ZenBook Pro Duo」を発売。今回紹介するDuoは、2画面ノートPCというコンセプトはそのままに、軽量、長時間駆動、低価格化が図られている。筆者は今回本製品を個人的に購入したので、主に使い勝手にスポットを当ててレビューしていこう。

ASUS ZenBook Duoの直販価格は税別14万9819円から

CPU、メモリ、ストレージの異なる2モデルをラインアップ

Duoには、Core i5-10210U、メモリ8GB、ストレージ512GBで直販価格14万9819円のUX481FL。Core i7-10510U、メモリ16GB、ストレージ1TB、
直販価格17万9819円のUX481Fの2モデルがある。筆者が今回購入したのは後者のモデルだ。

CPUはCore i5、ストレージは512GBでも構わなかったのだが、写真の現像や動画の編集時にはメモリを16GB搭載していたほうがいいと考え、上位モデルを購入した。

Core i7版Duoはベンチマークソフト「CINEBENCH R20.060」でのスコアは1416pts。CPUに第9世代(Coffee Lake Refresh)のCore i9-9980HKを搭載しているPro Duoが3094ptsだったので、Duoはその約46%のパフォーマンスということになる

Duoは、Pro Duoの外部GPUであるNVIDIA GeForce RTX 2060より性能が低いNVIDIA GeForce MX250を搭載しているが、バトルロイヤルゲームのPUBG Liteの低負荷設定であれば快適にプレイ可能だ

処理性能とディスプレイ品質を下げてバッテリー駆動時間を大幅向上

DuoとPro Duoのもう1つの大きな違いはディスプレイ。Pro Duoは15.6型UHD(3480×2160ドット)の有機EL+14型UHD(3840×1100ドット)のTFTカラー液晶であるのに対して、Duoは14型フルHD(1920×1080ドット)のTFTカラー液晶+12型フルHD(1920×1080ドット)のTFTカラー液晶という構成になっている。解像度はもちろんのこと、輝度、色域、コントラスト比はPro Duoのほうが上だ。

しかし、CPU、外部GPU、ディスプレイのグレードを落としたおかげで、バッテリー駆動時間はPro Duoの約5.3時間(Core i9)、5.5時間(Core i7)に対して、Duoは約13.9時間(Core i7)、約14.3時間(Core i5)と大幅に延長されている。また、重さもPro Duoの約2.5kgに対してDuoは約1.66kgと大幅に軽量化。つまり、DuoはPro Duoの廉価版というよりも、モバイル特化版というほうが正確な表現だと思う。

Pro DuoとACアダプターの合計の重さは実測約3.24kg、DuoとACアダプターの合計の重さは実測約1.94kg。
DuoはACアダプターごと毎日持ち歩いても苦にならない重さだ

モバイルディスプレイの出番が激減する2画面ディスプレイ環境

Duoの2画面ディスプレイの使い勝手は個人的に非常に気に入った。筆者が記事を書くときには資料を見ながら作業することが多いが、セカンドディスプレイに表示しておけば参照しやすい。これまで外出先で長時間作業するときにはモバイルディスプレイを接続していたが、Duoならその出番をかなり減らせそうだ。

ディスプレイを開いた瞬間にデュアルディスプレイ環境を利用できるのがDuoの最大のメリットだ

また「ながらブラウジング」が非常に快適。メインディスプレイにウェブ記事、セカンドディスプレイの左にミュージックビデオ、その右に気になるSNSのタイムラインなどを表示しておけば、どの情報・コンテンツにも素早くアクセスできる。

もちろん外部ディスプレイや、スマホやタブレットを並べることで同じような環境を構築できるが、14型ノートPCの設置面積でこれだけ広大なデスクトップ環境を確保できる点に大きな価値があると思う

暗く見えるセカンドディスプレイ、USB PD非対応は残念

基本的にDuoをかなり気に入っているのだが、大きな不満が2つある。1つ目はセカンドディスプレイが暗く見えること。セカンドディスプレイは斜めから覗くので暗く見えるのは仕方がないが、それを踏まえてもっと輝度が高い液晶パネルを採用するべきだったと思う。

セカンドディスプレイに合わせてメインディスプレイの輝度を下げるという解決方法もあるが、それでは本末転倒だ

2つ目かつ最大の不満点がUSB Power Deliveryに対応していないこと。そのため長期間Duoを持ち出す際には専用ACアダプターを携帯しなければならない。ACアダプターやモバイルバッテリーはひとつに絞りたいので、次期モデルでは必ずUSB Power Deliveryに対応してほしい。

DuoのACアダプターは比較的コンパクトだが、2020年に発売されたノートPCでUSB Power Deliveryに対応していないのは残念すぎる。これを理由に買うのをやめようと思ったほどの不満点だ

もう「変態」とは言えない実用性を備えた2画面ノートPC

MacBook Proにもキーボード面にTouch Barというタッチ対応ディスプレイが搭載されているが、Duoのセカンドディスプレイはそれとは比べものにならないほど大きい。コンセプトが異なるものを比較する意味はないが、あえて実用性、応用範囲で比べるとDuoのほうが上だろう。

タッチパッドをキーボードの右に配置している点が変則的だが、メインのモバイルノートPCとして使い始めて数日が経過したいま、まったく違和感なく利用できている。もう「変態」とは言えない実用性を備えたDuoは、モバイル用途に特化した2画面ノートPCとして現時点で唯一無二の存在だ。

SpaceXのCrew Dragon宇宙船がISSとのドッキングに成功

米国時間5月31日にEndeavor(エンデバー)と名付けられたSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船はISS(国際宇宙ステーション)に計画どおり無事ドッキングした。これにより商用有人宇宙飛行が可能であることが実証され、新しい時代の幕が開いた。SpaceXにとって初の有人宇宙飛行のテストパイロットに選ばれたのはNASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の二人の宇宙飛行士だ。民間企業が開発した機体で人間が宇宙に出たのはこれが史上初となる。

ドッキングは、Crew Dragon搭載のコンピュータによる自動制御で終始行われた。SpaceXのコンピュータシステムは、打ち上げ当初から地球帰還まですべてのプロセスをコントロールする。なおCrew Dragonは、ISSに新たに設置されたドッキングアダプタを利用できるよう設計されていた。旧システムはカナダ製のためにCanadarm-2と呼ばれるロボットアームをISS側で操作して宇宙船を捕獲して引き寄せる必要があったが、 新しいアダプターでは宇宙船が自動操縦でドッキングできる。

両宇宙飛行士を載せたCrew Dragonは、5月30日に米東部夏時間午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)に米国フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センターから打ち上げられた。当初の予定は27日だったが悪天候のために延期されていたものだ。「Demo-2」と呼ばれるミッションはNASAとSpaceXによる商用有人飛行の可能性を実証するためのCrew Dragpmの打ち上げとして2回目だったが、実際に宇宙飛行士が搭乗したのはこれが最初だった。

今回のISSとのドッキング成功で、ミッションの前半は成功したといえる。 SpaceXは有人宇宙船を予定どおり軌道に乗せ、宇宙ステーションにドッキングさせる能力があることを示すことができた。また宇宙船のマニュアル操縦のテストにも成功している。

ISSのドッキングアダプターのハッチは米東部夏時間5月31日午後0:37(日本時間6月1日午前1時22分)に開かれ、Crew Dragon側のハッチも直後の午後1:02(日本時間6月1日午前1時47分)に開かれた。ベンケンとハーリーの両飛行士はISSに移乗して米国人2人、ロシア人1人のISS側クルーの歓迎を受けた。今後数週間にわたって両飛行士は、実験・研究など通常のクルー業務に従事する。その後はCrew Dragonに戻ってISSから離脱、地球へ帰還してDemo-2ミッションを完了させることになっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

宇宙空間でのCrew Dragonの手動操縦に初成功、同じ操縦をシミュレータで誰でも試せる

NASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)宇宙飛行士はSpaceXの宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)を手動操縦することに成功した。この宇宙船は5月30日にケープカナベラルから発射された後、全自動でISS(国際宇宙ステーション)に向かった。Crew DragonのミッションはISSへのドッキングから軌道離脱、地表帰還まですべてコンピュータ制御によってコントロールされる。しかし自動システムになんらかの不具合が発生したときには宇宙飛行士は機体を自ら操縦しなければならない。

今回のテストは史上初の宇宙で機体を手動操縦する試みだった。Crew Dragonが定期的に運行される有人宇宙船として認証されるうえで手動操縦機能はカギとなる重要部分だった。

Bob Behnken(ボブ・ベンケン)とハーリーの両宇宙飛行士はSpaceXの新しい宇宙服を脱いでからテストに取りかかったが、これも当初からの計画どおりの行動だった。Crew Dragonのキャビンは与圧されており、ドッキングの過程に入るまで宇宙服を着用している必要がない。キャビンには動きまわるスペースが十分にあるし、宇宙服を着けていないほうが操縦も容易だという。

マニュアル操縦ではハーリー飛行士がタッチスクリーンを通じてカプセルに LVLH(機内からの垂直水平操作)を行うことも含まれていた。この場合の高度は地表からの距離だという。つまりCrew Dragonの操縦は現在の航空機の操縦に極めて近いものとなっている。微小重量環境ではあっても地球が「下」に位置するわけだ。

ハーリー飛行士が手動操縦操作を行う間、自動システムが操作をオーバーライドすることがないようコンピュータに指令が送られた。ただしドッキングを含めミッション全体をコントロールするコンピュータシステムを無効化して実際にCrew Dragonを動かす指令は送られなかった。

ハーリー飛行士は今回のミッション中に2種類のテストを実施する。1つは「遠距離操作」でISSから十分に離れた空間での操縦だ。 もう1つはこれと反対に宇宙ステーションの近傍での「近距離操作」だ。

両宇宙飛行士と同じシステムを読者も使ってみることができる。宇宙船を持っていなくてもOKだ。ブラウザからSpaceXが作成したISSドッキン・シミュレータを開くだけでいい。やはりそう簡単な操作ではないが、予想したほどには難しくない。これはインターフェースのデザインが非常に優れているからだと思う。

【Japan編集部追記】シミュレータはほとんどのブラウザに対応している。高精細度のISSの画像の中央部にひし形のオーバーレイでドッキングステーションが示される。画面左下に進行方向、右下に姿勢のコントロールがあり、タッチないしマウスクリックで入力する。反応は小さくかなり遅れて出現する。

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(翻訳:滑川海彦Facebook

ソフトバンクがリードするラウンドでDiDiの自動運転開発子会社が540億円調達

中国の自動運転分野の競争が過熱している。中国でUberのような配車サービスを運営するDiDiは5月29日、自動運転子会社による5億ドル(約540億円)という巨額調達を発表した。中国の自動運転業界で行われる1回の資金調達としては最高額となる。今回のラウンドは既存投資家であるソフトバンクがリードした。同社はUberにも出資してきたスタートアップ支援企業だ。

本ラウンドはソフトバンクの2つ目のビジョン・ファンドを通じてのもの。1つめのビジョン・ファンドがWeWorkへの投資に失敗したことなどから巨額の損失を出した(未訳記事)ため、2つめのビジョンファンドは資金調達が進んでいないとされている。

中国最大の配車サービスプロバイダーであるDiDiはかなりの量の交通データを持っており、にロボタクシー開発において明らか優位だ。ロボタクシーは長期的にはドライバー不足問題を解決するかもしれない。しかし同社がこの分野に進出したのは遅かった。2018年、北京で行われた自動運転車テストの走行距離ランキングで同社は第8位で、検索大手Baiduにははるかに及ばない。Baiduは2018年のテスト走行距離の90%超を占めた(未訳記事)。

それ以来、DiDiはBaiduに追いつこうとかなり積極的に取り組んできた。昨年8月に同社は設立3年の自動運転部門を、R&D、バリューチェーンを伴うパートナーシップの構築、未来的テクノロジーの政府への売り込みに専念できるよう、独立企業としてスピンオフ(未訳記事)した。今やチームは中国と米国に計200人のスタッフを抱える。

とある業界観測筋は「ロボタクシーは必要な操作スキル、テクノロジー、政府のサポートがすべてそろったときにのみ現実のものとなる」と筆者に語った。

Didiは業務の効率化で有名だ。安全で快適な乗車の確保はなかなかの成果だ。同社の経営陣はAlibaba(アリババ)の有名なB2Bセールスチームの出身で、同チームは地上作戦能力があることから「アリババの鉄の部隊」としても知られる。

テックを受け持つ子会社のCEOはBaiduの技術マネージャーだったZhang Bo(チャン・ボー)氏、テクノロジー最高責任者は自動運転ソフトウェア会社のAptivから昨年移ってきたWei Junqing(ウェイ・ジュンチィン)氏だ。

自動運転子会社はまた、Didiのモビリティ業界における幅広いリーチの恩恵も受ける。たとえば、Didiのスマート充電ネットワーク、車両メンテナンスサービス、保険プログラムを自動運転車両にも活用すべく取り組んでいる。

今回調達した資金で同社の自動運転子会社は安全性を向上させることができる。2件の死亡事故を起こした後、安全性は同社が最も注力するところとなった。またR&Dやロードテストを通じて効率性も高められる。そして資金調達は企業間協力を深め、中国内外でのロボタクシー展開を加速させることにもつながる。

このところ同社は「D-Alliance」のもとに相乗作用を求めて既存車メーカーとの協業を進めている。D-Allianceには31社超が名を連ねる。いくつか挙げると、The Lincoln Motor Company(リンカーン)、日産、Volvo(ボルボ)、 BYDの車両に自動運転技術を搭載した。

同社は中国の主要3都市とカリフォルニアでの公道テストのライセンスを取得済みだ。自動運転車両を使っての配車サービス利用客ピックアップを上海で数カ月のうちに開始することを目標としている、と同社は昨年8月に語った。昨年8月時点で中国と米国でのロードテストの走行距離は30万kmに達している。

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(翻訳:Mizoguchi

TikTokの未来を知る、TikTokが米国市場でも伸びている理由(その3)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」がnoteに投稿した記事を、内容別に3つの記事に分割・転載したものだ。第1部第2部も併せてチェックしてほしい。

TikTokの次の動きは?

TikTokの未来を知るには、Douyinの機能を見るのが一番いい。クリエイター向けのアプリなので、TikTokは今後クリエイターのマネタイズに注力すると思われる。米国ではまだベータ版だが、今後リリースされる機能は動画内のEC機能。DouyinではAlibabaのTaobaoと連携して動画ショッピングが可能になっている。

米国ではFacebookがShopifyと最近Shopsをローンチ。ByteDanceはこれを見てもしかしたら米国ではローンチ日を早めるかもしれない。最近では寄付用のステッカーをリリースしたが、これで少しずつユーザーにアプリ内で決済することや、クリエイターに投げ銭する行為を慣れさせることを目指している。投げ銭はライブ配信でよく見かけるが、ByteDanceもTikTok内でライブ配信を始めている。

TikTokはインフルエンサーマーケティングの価値を理解しているので、去年あたりからCreator Marketplaceをリリース。

まだベータ版だが、今のところSquareなどが使って自社プロダクトをプロモーションしているらしい。今後はセルフサーブの広告管理ツールを出すらしい。これをリリースすると、ByteDanceは唯一の中国含め全世界の広告セルフサーブプラットフォームとなる。

今後はブランドやクリエイターにAIで作られたコンテンツやエフェクトのレコメンドをするかもしれない。もしくはARフィルターを第三者が開発できるようにオープン化する可能性もある。最終的にはクリエイター向けの動画、音楽、EC、ポッドキャスト、解析、フィンテックなど、クロスプロダクトツールが出来上がるかもしれない。

TikTokを活用した新プロダクトのローンチ

ByteDanceは間違いなくTikTokのユーザー、コンテンツ、そしてAIアルゴリズムを活用して新しいプロダクトをリリースする。彼らの採用スピードを見るとそれが明らかだ。

ユーザーと直接関係性を作り、そのネットワークを活用して新しいプロダクト、もしくはよりハイマージンなプロダクトを売り込む。これは特に新しい施策ではない。SNSですとFacebookがInstagramとFacebook Messengerで同じようなことをやっていた。過去記事でも話したが、ディスニーもDisney+の大赤字事業を活用してクルーズ船やディズニーランドへの年間パスを売り込もうとしているのと同じ。

TikTokはデータ収集ツールや広告のマネタイズプラットフォームだけではなく、トップオブファネル、いわゆるユーザーにリーチして他のプロダクトを売り込めるプラットフォームとしても認識しなければいけない。実際に中国ではTikTok内でByteDanceの新しいメッセージアプリのDuoshanをプッシュしてた。

これからTikTokが出しそうなプロダクトを以下まとめた。

ロングフォーム動画

2019年中旬ぐらいからDouyinは15分動画のアップロードを数名のクリエイターにテストし始めた。ByteDanceは過去にVineのクリエイターが後々YouTubeへ移行したことを知っているので、それを避けるためにロングフォーム動画も試しているはず。

ByteDanceはNetflixの類似プロダクトであるXigua Videoを中国で運用している。現在は5500万DAUで、1日の平均試聴時間は70分。

Netflixは一部データを活用してユーザーが何を見たいかを分析して映画やテレビ番組を制作しているため、TikTokも同じことをやり始めてもおかしくない。最近だとXigua自体がBBCやPBS、そして子供番組の出版社などからコンテンツを獲得し始めている。そして直近では元Disney+のトップであるKevin Mayer(ケヴィン・メイヤー)氏をTikTokの新しいCEOとして採用。メイヤー氏はDisney+を1年もたたずに5000万ユーザーまで伸ばし、過去だとMarvel、Lucasfilm、Pixar、21st Century Fox、Club Penguin、Maker Studiosなどの買収を担当した。ByteDanceがこの領域に入るのはほぼ間違いないはず。

映画や著名IPの獲得もそうだが、TikTokはもしかしたら次世代メディアやZ世代に流行っているBratやCrypt TVの買収に取り掛かるのが面白いかもしれない。そしてTikTok自体がインハウスのスタジオを作ってクリエイターと一緒に番組を作ることはやってもおかしくない。個人的にはこれはQuibiが本来やるべきことだと思っている。

音楽ストリーミング

実はByteDanceはインド、インドネシア、ブラジルで自社ストリーミングアプリのRessoを既にリリースしている。TikTokとSpotifyのUIを組み合わせたものとなる。こちらもTikTokと同様、コメント、制作、コンテンツ共有を強調していて、直接TikTokに投稿できるようにしている。そして歌詞を他社プラットフォームより強調しているのがポイント。TikTokはミーム・曲の文化をユーザーの頭の中に叩き込みたいので、音楽からミームを作るために歌詞からインスピレーションを与えるために歌詞を前に出している。

引用:Routenote

TikTokはさらにユーザーから好きな音楽のデータを取得できるし、さらにTikTokでよく聞く音楽をRessoに誘導させることもできる。今後は中国でも流行っているカラオケ・ライブ配信アプリなどもTikTok内に入れたりして、Spotify、Apple、WeSing、Kugouなどの競合と対抗する可能性もある。
今後TikTokが音楽のレーベル会社を作ってもおかしくない。

ゲーム

ByteDanceはゲーム市場に入り込むことについてはかなり発言している。ここ数年にかけて数社のベーム開発会社を買収していて、ByteDanceのゲーム部門は1000人以上の従業員がいる。中国の旧正月時期の人気ゲームの3つがByteDanceからのゲームだった。そして3月に日本でも「ヒーローズコンバット」をローンチして1週間ほどアプリストアで1位だった。

ユーザーをソーシャル領域で囲い込んでゲームを売り込む戦略はTencentと非常に似ている。ByteDanceとしてはToutiao上のユーザーの多くがゲームをプレーしているのが分かっている。中国で最もスマホゲームの広告費を使う会社トップ100のうち、63社は広告予算の半分以上はToutiao上で使っている。こうなるとByteDanceは将来アプリ内課金、アプリ内広告、そしてセルフサーブ広告ネットワークを全部自社で保有するかもしれない。

フィンテック

中国ではスーパーアプリが流行っている中、その中でもフィンテックが最もマネタイズできるポイントだと思っている。中国ではないが過去だとスーパーアプリを目指しているGrabのCFOもGrabのフィンテック事業は本業である配車サービスの20倍の市場だと発言している。ByteDanceも同じく、個人・法人ローン、保険、ウェルス・マネジメント商品を2,00万人のユーザーに提供している。今後も決済やスマホのウォレットを提供してもおかしくはない。


教育

この領域はByteDanceのかなり重要なプライオリティになっている。今年だけで教育関連で1万人採用すると発言している。実際に何をするかは噂にしか出てないが、学校用のハードウェア、AI家庭教師、家庭教師ポータル、そして有料授業などの話が出ている。過去には中国の学生と海外の英語を教える先生をマッチングするサービスのGogokidをリリースしているが、トラクションがあまり伸びてなかった。初期従業員で元ToutiaoトップのChen Lin(チェン・リン)氏は次の1億人DAUのプロダクトを探すことを命じられていて、それが教育かメッセージにあると言われている。

メッセージ

Tencentは競合プロダクトをWeChatや自社のAndroidアプリストアのYingYongBaoをブロックすることが有名。ByteDanceのSnapchat類似プロダクトのDuoshanも初月で500万ダウンロード達成したときにブロックされた。ByteDanceはDuoshan以外に今年新しくリリースしたFlipchatなどでメッセージ領域に入れるかを試している。

引用:Techcrunch

最近だと米国のTikTokではアプリ内で他のユーザーにメッセージするように勧められていて、Douyinでは知らない人と一緒にゲームをプレーする機能も作っているので、メッセージはかなり興味があるように見える。

ニュースフィード

ByteDanceはニュースフィード系のプロダクトをこれからも試してFacebookやTwitterにプレッシャーを与えにいくと思われる。Toutiaoもそうだが、それ以外にはTopBuzz、News Republic、インドネシアのBaBe、インドではHeloなど。さらにインドではDaily Huntに投資して、2016年にはRedditを買収しようとしていた。キャッシュもかなり持っているので、今後はMusical.lyと似た形で買収からのユーザー獲得戦略に入るかもしれない。

エンタープライズ/B2Bソフトウェア
2019年にByteDanceはSaaSプロダクトのFeishuをローンチした。Feishuチームは1700人いて、Slack、Microsoft Teams、Google Suiteの競合プロダクトである。メール、チャット、ビデオ会議、カレンダー、クラウドで資料のストレージなどの機能が含まれている。

ByteDanceはFeishuを最初は社内用に使っていた。ByteDanceは珍しく中国市場ではなく、米国、ヨーロッパ、日本を初期マーケットとして挙げている。プロダクトの優位性はユーザーが読みやすいように自動翻訳、他国との時差調整を簡単にできる仕組み、そして立替申請を簡単にできるようにしているとのこと。

その他
ByteDanceはインドと米国でデータセンターを2019年から運用始めている。これは自社プロダクトようかもしれないが、もしかしたらクラウドホスティングサービスのリリースを考えているかもしれない。クラウドサービスとSaaSソフトウェアだと完全Microsoftの領域に入ってくる。そしてさらにライブ配信、検索、EC、電子書籍なども考えられる。検索を作ればGoogleのように検索とYouTubeのループを作れる。さらに2019年には中国で安いAndroidスマホをリリースした。これは「ByteDance OS」を作ろうとしているかもしれない。過去にはFacebookなども試して失敗した。

結論

ByteDanceはGoogle、Facebook、Instagram、Snapなどの競合に最もなり得るサービスかもしれない。過去にはあり得なかった中国と米国・世界の市場を取りに行けて、デジタル広告でマネタイズできている。しかもいまだにTikTokからちゃんとマネタイズが出来ていないのに140億〜200億ドルの売上を保てている、非常にパワフルな会社である。

この会社を作り上げられたのは創業者が考えたソーシャルグラフが必要ない、SNS、コンテンツ・広告アルゴリズム、そしてTikTokにおいては画期的なUI。このループは今のところ、ほとんどの会社は止められなさそうだ。そして裏側ではどんどんプロフィールデータ、ソーシャルグラフ、興味グラフ、コンテンツグラフをデバイスIDごとにデータ収集している。このエンジン、グロースサイクルを聞くと恐怖感しか思い浮かばない。

もちろんTikTokの人気度が下がってダメになるかもしれない。ByteDanceのほかのプロダクトもまったく上手くいかないかもしれない。ただ、万が一TikTokがダメになっても、TikTokで育った世代が期待する編集方法、ストーリーの伝え方を見るべき。ジャンプ、ワイプ、音楽を利用したトランジションが今までの動画とは圧倒的に速い。間違いなくTikTokの影響で今の若手層のコンテンツ・エンタメに対しての価値観、期待値が変わった。この次世代ユーザーが次の消費者になると考えると、今のうちにTikTokに入り、何に引き寄せられているかを調べるべきであると思っている。いまだとTikTokは、Z世代のプラットフォームだけではなくミレニアル世代にも入っている。この層に何かしらのプロダクトやサービスを売り込みたい人にとって、TikTokを見なければいけないプラットフォームになっている。

引用記事
The Rise of TikTok and Understanding Its Parent Company, ByteDance(Turner Blog)
Old Town Road: The Best Entertainment Case Study of 2019(Medium)
Here Are The Songs That Went Totally Viral On TikTok In 2019(BuzzFeed News)
TikTok’s Underappreciated Wins (from a former Yik Yak employee(Zack Hargettブログ)
The 10 Ways TikTok Will Change Social Product Design(The Information)
TikTok Top 100: Celebrating the videos and creative community that made TikTok so lovable in 2019
(TikTok)
Songs Are Becoming Hits on TikTok Before They’re Even Released(Rolling Stone)
Why Fintech May Be the Future of Ridehailing for Grab, Uber(Fortune)
TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent(South China Morning Post)
ByteDance’s move into gaming is already paying off(Abacus)
四处挖人,字节跳动横扫教育圈(36Kr)
・Bytedance tiktok Douyin viamakershort video china regulation cyberspace administrationBytedance launches consumer lending app on Android(TechNode)
TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent(South China Morning Post)
TikTok Owner’s Plan: Be More Than Just TikTok(The Wall Street Journal)
Introducing TikTok Donation Stickers with British Red Cross and Help Musicians(TikTok)
China’s Bytedance is buying Musical.ly in a deal worth $800M-$1B(TechCrunch)
The popular Musical.ly app has been rebranded as TikTokThe Verge)
China’s $11 Billion News Aggregator Jinri Toutiao Is No Fake(Forbes)
Chamath Palihapitiya – how we put Facebook on the path to 1 billion users(YouTube)
Memers are Taking Over TikTok(The NewYork Times)
Inside the New York City Bodegas Going Viral on TikTok(The NewYork Times)
The Original Renegade(The NewYork Times)・The owner of TikTok is reportedly in talks with major record labels to launch a music streaming service(Business Insider)
TikTok’s Videos Are Goofy. Its Strategy to Dominate Social Media Is Serious(The Wall Street Journal)
TikTok Owner’s Value Exceeds $100 Billion in Private Markets(Bloomberg)
Musical.ly’s Alex Zhu on Igniting Viral Growth and Building a User Community | #ProductSF 2016(YouTube)

優れたUIとオンボーディングで成功、TikTokが米国市場でも伸びている理由(その2)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」がnoteに投稿した記事を、内容別に3つの記事に分割・転載したものだ。第1部第3部も併せてチェックしてほしい。

スマホ版YouTubeであるTikTokの特徴的なUI

TikTokはいまだと誰でも聞いたことはあるアプリになった。2019年6月時点では15億人のMAU、その年の10月にはDAUで10億人を超えるとTikTok米国代表が話していた。ユーザーを考えたUI判断とかなりアグレッシブなグロース戦略でここまで来た。

動画ファーストなUIと簡単なオンボーディング
TikTokのUIで一番重要なのは最初の動画ファーストなインターフェース。アプリをロードした瞬間からプレーし始めてユーザーをアプリへ引き寄せるコンテンツを先出しすること。

まず象徴的なのはアカウントを作成する必要がないこと。新規ユーザーとして登録する際には、最初に何に興味があるかを指定するだけ(しかも選ばなくてもいい)。以下がその様子で、約10秒でオンボーディングが終わる。これは2014年のYik YakのUIと似ている(Yik Yakはロケーショントラッキングの許可と通知の許可だけ)。すぐにコンテンツを楽しめるように、わざと最小限のオンボーディングにしている。

TikTokは裏側でデバイスID別に裏アカウントを作っている。そのため、ほとんどのTikTokユーザーはアカウントを作らずコンテンツを見ている。できるだけ大きく動画を見せて、必要があるボタン(プロフィールページ、いいね、コメント、共有)のアイコンだけ出している。Toutiaoのようにアプリ内の行動を見てデータプロフィールをTikTokが作っている。他社のサービスも同じようにアルゴリズムを使ってコンテンツを提供しているが、TikTokとのUIを比較するとどちらがデスクトップベースで作られ、どちらがスマホベースで作られたがわかる。

Instagramでさえスクリーンスペースを無駄にしている。上記の動画、もしくは広告を見ると、スクリーンの100%のTikTok、16%のWeChat、31%のInstagramのどちらをユーザーは選ぶか?

ショートフォーム動画
TikTok上のコンテンツは短い。もともと15秒のリミットがあった(中国のDouyinでは2分まで伸びた)。スマホでは短めのコンテンツが好まれるので、それ専用のプロダクトを作るとUI/UX、ユーザーの期待値も変わる。アテンションスパンが短くなっている中、10分のYouTube動画でも見られなくなっている。有名YouTuberのDavid Dobrikも3分〜5分動画の方がパフォーマンスがいいと発言している。このロングフォームコンテンツからショートフォームのトレンドは多くの人が感じていると思う。

ショートフォーム動画は制作と消費の摩擦を減らしている。いま現在はほとんどのTikTok動画はクリエイター1人で作っていて、1日複数の動画を投稿している。2018年のByteDance広告主向けの資料によると34%のユーザーは毎日コンテンツをアップしているとのこと。

引用:AdAge

これがロングフォームコンテンツであればスマホで撮影と編集はせずに、チームで撮影を行うことが多い。TikTokクリエイターは自分自身でコンテンツを編集しているため、視聴者を理解するためにTikTokコミュニティに入り込んで自分自身でコンテンツを消費しなければいけない。

そしてコンテンツを消費するユーザー側からするとショート動画だからこそコミットしなくてもいい。すぐに始まり、すぐに終わる動画は最悪でもたったの15秒の無駄。各動画は最後のほうにきちんとクライマックスを用意して、もし一部見られなくてもデフォルトで動画がリプレイするので何回も見てしまう。TikTokは裏では各動画の視聴長さ(どこまで見たのか)や複数回見たときはアルゴリズム上かなり高い評価をつける。

短い動画のため、他社サービスより圧倒的なスピードでデータ収集ができて、それでよりアルゴリズムを改善できる。10分間のYouTube動画の時間帯でTikTokでは40個の15秒動画のデータを取得できる。下記データを見ても他のSNSと比較すると圧倒的な差があることがわかる。

引用:Digiday

TikTokの一番近い競合はYouTubeだが、YouTubeはテレビやデスクトップ向けのコンテンツ。実際に2020年3月では1億人はYouTubeをテレビで見ていた。そしてYouTube、Twitter、Instagram、TikTokの1セッションあたりの消費されるコンテンツ量を見るとすごい。

そして今後ショートフォームの動画の間に広告を入れられることを考えると、かなりマネタイズポイントがあると思われる。

The InformationでもTikTokの特徴的なUIをうまくまとめている。

TikTokは「ソーシャルではないSNS」

TikTokのすごいところは、これだけ大きいSNS企業なのにソーシャルグラフを必要としていないところ。Facebookは10日以内で7人の友達が「マジックナンバー」と言われていたり、TwitterやInstagramも人気になるにはフォロワーが重要。逆にTikTokは、友達、フォロワー、アカウントですらいらない。人ではなく、完全にアルゴリズムがコンテンツ、タグ、そして動画内のアクションやものを把握しながらユーザーの視聴履歴、見直した動画、いいね、コメント、共有、視聴後の行動をすべてモニタリングしている。a16z(Andreessen Horowitz)パートナーのConnie Chen(コニー・チェン)氏が言うように、TikTokは初めてC向け商品の中でAIがプロダクトであること。これは過去のFacebookなど、ユーザーとその周りのユーザーのインタラクションを元に作られたアルゴリズムとはかなり違う。

このアンチソーシャルなアプローチはもしかしたら他社プラットフォームと比べて、より長持ちできる施策かもしれない。ほとんどのSNSは友達やフォロワーが増えるとプロダクトのバリューが下がる傾向にある。以前SNSについて説明した記事でもソーシャルメディアからステータスメディアへ進化する話をした。そのフォロワーや友達の概念がそこまでないTikTokはもしかしたら有利なポジションにあるかもしれない。
実際の事例を見てみよう。ハリウッド女優のジェニファー・ロペスのTwitterとTikTokのフォロワー数は、

  • Twitter:4,400万人
  • TikTok:280万人

だが、

  • TwitterにアップしたTikTok動画:100万再生回数
  • TikTokにアップしたTikTok動画:1790万再生回数

とTwitterのフォロワー数が多くてもTikTokのほうがバズった。

TikTokの拡大戦略

チェン氏が言うように、TikTokは初めてC向け商品の中でAIがプロダクトであること。これは過去のFacebookなど、ユーザーとその周りのユーザーのインタラクションを元に作られたアルゴリズムとはかなり違う。計画的な拡大戦略をとっていた。

まず、スマホで最も優れたショートフォームの動画編集ツールを作った。簡単にクリッピングしたり、フィルター、音楽を追加できるようにした。そして他社プラットフォームへ簡単に共有できるようにした。そこでTikTokがとった戦略は動画をTikTokからエクスポートする際には必ずTikTokで投稿すること、そしてエクスポートされた動画は必ずTikTokのウォーターマークが自動的に付けられたこと。それによって、もともと動画編集ツールとして使ってたクリエイターはTikTok上でファンがつき始めたらTikTokで投稿することに注力してくれるようになる。

さらにInstagramのように鍵がかかったアカウントが存在しないこと。Instagramコンテンツを共有したが、そのアカウントが鍵がかかったアカウントだったのでコンテンツが見られない不満はある。TikTokは全世界に公開しているので、そこを気にすることはない。

そしてクリエイターをプライオリティーと置くようにした。クリエイターにはTikTokスタッフからのサポート、どう言うコンテンツを投稿するべきかのメールを送ったり、TikTokスタッフと1対1のデモ、TikTokクリエイターコミュニティ用のイベントやコラボ企画を勧めたりもしている。しかもスマホを安定させるためのスマホスタンドも送ってくれるらしい。以下クリエイター向けのイベントがどのようなものかを見せている動画だ。

初期では各SNSの有名インフルエンサーを囲い込むようにオペレーションチームが託された。うわさによるとTikTokに投稿してもらう代わりにお金を払ったと出ているが、実態はわからない。中国ではセレブにお金を払ってDouyinの初期コンテンツを作っていた。タレントショーのオーディション動画や、Michael Korsとのイベントパートナーシップを行なってグロースした。中国では他のプラットフォームの動画を勝手にとって自社プラットフォームにアップしたも言われている。そして米国とヨーロッパに入るためにMusical.lyを10億ドルで買収。ByteDanceとMusical.lyは同じ株主がいたため、その株主が間に入ってM&Aを仲介したと言われている。

そしてTikTokクリエイターにすぐにソーシャルキャピタルを与えられたのが重要なポイント。過去だと各プラットフォームの初期ユーザーが一番ソーシャルキャピタルを獲得できる仕組みになっていた。TikTokだとフォロワー数関係なく、前コンテンツをプロモーションする。TikTokでは既存のクリエイターに十分なソーシャルキャピタルを与えながら新規ユーザーにも割り当てられるようにしなければいけなかった。Musical.ly創業者で現在TikTokのプロダクトのトップを務めるAlex Zhu(アレックス・チュー)氏はこのプロセスを新しい国を作るように例えている。

このソーシャルキャピタルのアロケーションを計画的に割り振るためにはTikTokとしてはショートフォーム動画、アルゴリズムからのコンテンツディスカバリー、フォロワーに重きをおかないこと、ソーシャルグラフを使わないこととオンボーディングを最小限にすることが重要だった。

SNS事業含め、ビジネスの多くではよりユーザーにリーチできる会社が長期的に勝つ。リーチがなければより良いプロダクトで勝ちに行くのが大まかな戦略だ。TikTokはプロダクトのイノベーションでより大きいユーザーベースにリーチできるようにした。Twitterだと何か投稿したときに基本的にフォロワーが見てくれるため、フォロワー数が少ないほど広がるチャンスが少ない。TikTokはフォロワー数を無視しているため、よりコンテンツが広がる仕組みを作っているからこそ、みんなが使いたがる。これはInstagramがSnapchatをコピーしてStories機能を追加した時と同じ。SnapchatよりInstagramでフォロワーが多かったクリエイターはSnapchatではなくInstagramでStoriesを投稿し始めた。クリエイターは多くのユーザーに一気にリーチするのが目的なため、TikTokに行く理由はわかる。

TikTokがコンテンツの共有を強調するのもリーチを広げるため。動画が2回ループするとシェアするアイコンが緑になる(日本の場合はLINEのアイコンが出る)。そこをタップすると他社プラットフォーム含めて共有できるように見せている。TikTokはモバイルウェブ対応もしていて、友達から受けた動画はかなり高い確度で見てくれると確信している。しかもこのオフプラットフォームで共有するとTikTokは裏側でそのデバイスID別にソーシャルグラフを作れて、将来的にSNSを作る際には役に立つデータを取得できる。

引用:TikTok

そして最後の拡大戦略は圧倒的なマーケティング。2018年から2019年にかけて、1日3000万人のユーザー獲得とPRに使ったと言われている。他社プラットフォームを資金を溶かしたケースも多々ある。

2018年ではGoogle広告で3億ドル、インドだけで毎月1000万ドル使っていた。2019年Q1ではFacebookのAndroid版アプリでは見られた13%の広告はTikTokだった。ピークは2018年9月で、Facebook配下のプラットフォームで米国で見られた広告の22%はTikTok関連だった。

引用:Reuters

しかもこのようなインフルエンサー動画もTikTokのウォーターマークを入れてTikTokを告知してくれていた。

Instagramのユーザー数はTikTokの2倍、合計利用時間はTikTokが上

初期のTikTokの米国の新規ユーザーの30日リテンションの数字は10%と言われていた(だいたい20%が「良い」アプリと分類されるが、SNSだともっと高いケースが多い)。これはおそらく最初のターケティングの問題でもあった。徐々に改善してアプリ調査会社のApp Annieによると2019年初旬では28%〜40%の間にまで上がっていたらしい。

ByteDanceは多額の資金を使って多くの批判を受けたが、これも1つのネットワークを作る戦略である。InstagramもFacebookフィードを活用したからこそ新規ユーザー獲得ができた。以下グラフのように、50〜75%のInstagramダウンロードはFacebook買収のあとに来ている。特に買収直後のグロースはFacebookから来たユーザーが多かったのは間違いない。

引用:MacStories

ByteDanceはFacebookみたいなプラットフォームがなかったので、ハイマージンな広告ビジネスが生む70億ドルの売上とソフトバンク・ビジョン・ファンドからの30億ドルの出資を受けて似たようなことを資金力で解決できた。

そして他社プラットフォームのグロースが遅まっている中、TikTokのユーザー数と平均利用時間が爆発的に伸びている。このグラフを見ると、明らかにInstagramのダウンロードに影響を及ぼしている。

さらに2019年1月と2020年4月の米国での月次のリーチ数を見ると、Instagramの広告プラットフォームは1.2億人でフラット。

引用:DataReportal

いまのところ、FacebookやInstagramのユーザー成長率を見て投資家は心配ではなさそうだが、今後は変わりそうだ。App Annieのデータを見ると、米国のユーザーはInstagramはTikTokより2倍のユーザーがいるのにもかかわらず、合計利用時間はTikTokのほうが上回っている。ComScoreもTikTokの利用時間が2019年10月から2020年3月で93%増したと報道している。そして過去半年では利用時間が倍増したとも報道がある。

引用:eMarketer

TikTokのダウンロードも2020年Q1でかなり加速している。しかも去年末あたりから広告費用を下げると発言しているので、もしかしたらコストを下げながらユーザー獲得ができているかもしれない。

引用:Techcrunch

TikTokの成長振りは2019年のVidCon(米国で毎年開催される多ジャンルのオンラインビデオテクノロジー会議)でも明らかだった。いつもYouTubeインフルエンサーが行くイベントとして知られていたのが、2019年はTikTokインフルエンサーが評判だった。そして全TikTok関連のセッションは満員にお客さんが入っていた。

TikTokのYouTube 2.0へのカギは「音楽」と「ミーム」

SNSを始める際にはだいたい、コンテンツの消費と制作の摩擦を減らす新しいコンテンツ制作ツール、もしくはコンテンツフォーマット、さらにはクリエイターにソーシャルキャピタルを与えられるように仕組みが必要。うまくいけばグロースサイクルが作られ、ネットワーク効果が生まれる。TikTokのグロースサイクルは数字を見るだけでもきちんと回っているのがわかる。

YouTubeは動画フォーマットの大きな成功事例で動画市場では大きなプレーヤーとして存在しているが、YouTubeのプロダクトは横型動画向け、いわゆるデスクトップとテレビ向けのプロダクトで、YouTubeクリエイターはスマホで動画編集をしない。このスマホファースト(縦型)、尚且つショートフォームの動画プロダクトにギャップがあった。このニーズを表しているのがSnapchatとInstagram Storiesだった。

そして米国ではミーム文化が進んでいて、今では若手層がミームをコミュニケーションツール、時にはニュース情報を得るためのものとなっている。ミームの特徴としてはリミックスされることが多くて、一つのミームがリミックスされるほどより世の中で受け入れられているミームとなっている。例えば映画ロード・オブ・ザ・リングから生まれた人気ミームの「One does not simply」をGoogleで検索してもこれだけのバージョンが出てくる。

引用:Google検索

Instagramが公開したデータによるとミーム投稿はミームではない投稿と比べて7倍以上シェアされる。そしてReddit上では新しいミームの人気度を予測するスレッドまで出てきている。

引用:Reddit

TikTokは2つのトレンドに乗っかって成長してきた。それはミームとAirpods。Musical.lyを統合した時には最初はMusical.lyで人気だったリップシンク系のユースケースが多かった。2018年中旬から下旬でTikTokアプリを見ると、元々のMusical.lyコンテンツからVineっぽいコンテンツに進化していくのが見えた。そして使ってたGen Zはミレニアル世代が好む「完璧」なインスタ映えとは違く、より皮肉なジョークやリアルなものを好んでいたため、TikTokがフィットした。

Vineに近しい部分は多かった。Vineも若手層が皮肉なジョークを共有し合う場、そしてリミックスする場でもあった。

そしてVineユーザーのリミックス文化をスケールさせられたのがTikTok。TikTok(Musical.ly)のリップシンク編集ツールを使うと同じ音楽で動画をリミックスできるようにした。TikTokの重要なUIの1つとして、動画内の曲ベースで検索が可能なところがある。これはどの他社プラットフォームも出していない(一瞬Vineも同じような機能を出したが、すぐにシャットダウンした)。

タイミングも重要だった。TikTokが米国で人気になり始めていたときにはAirPodsが爆発的に売れ始めていた。2017年にはApple(アップル)は1600万個のAirPodsを売り、2018年には3500万個、2019年は6000万個、2020年には1億個売ると言われている。AirPodsユーザーは音声付きのミームを聞くのに最適なユーザー層だった。それで生まれたのが音声ミーム。音声ミームの初期の有名事例はAdele(アデル)の「Someone Like You」という曲だ。

その他TikTokのミーム活用法について知りたい方は、以下のポッドキャストでTIkTokが作り上げたミームからのソーシャルコマースの話「#22 TikTokから生まれたOK, Boomerって?」を聞いてほしい。

Lil Nas XとアーティストのTikTok活用方法
Musical.lyのルーツが音楽にあった中、TikTokもそこを強調した。TikTok上で人気になった多くのミームは音楽ベースでもあった。その中で最も有名なのはやはりLil Nas X(リル・ナズ・X)の「Old Town Road」だ。

17週間連続でBillboard Hot 100の1位にランクイン。しかしこれはたまたまTikTokでバイラル化して伸びたのではなく、Lil Nas X自身がTikTokのリミックス文化を活用して伸ばした。

Lil Nas Xは音楽のキャリアをやるために大学を中退した。中退したものの新しい曲作りにフォーカスしなかった。まずはTwitter上で友達作り、ミームをひたすら投稿してフォロワー数を3万人まで伸ばした。フォロワー数を伸ばした後に自分の音楽の投稿をすればバズると思っていたが、そんなに簡単に行かなかった。

面白いミームを投稿すると2000リツイートされるが、歌を投稿すると10リツイートぐらいしかもらえない(Lil Nas X)

それを見たLil Nas Xは戦略を変えて、SoundCloudのURLを出すのではなく、ミームに合わせた歌のプロモーションを考えた。

短く、キャッチーで、面白くなければいけなかった(Lil Nas X)

その結果が「Old Town Road」。踊っているカウボーイと合わせてフォロワーに共有した。

その動画がバイラルになったので、Lil Nasはこれで新しいプレイブックを作った。

  • Old Town Roadに合わせた
  • 短いバイラル動画
  • 曲のリンクは動画の下にリンクする

Twitterで広がり始めた曲がついにTikTokまで、そして爆発的に伸びてBillboardのカントリー・ミュージックカテゴリーに載った。

Lil Nas Xはカントリー・ミュージックのカテゴリーの競争率がほかと比べて低いと知っていて、わざとカントリー・ミュージックとリストしていた。その1週間後にBillboardがカントリー・ミュージックではないと判断し、ランキングから取り除いた。この判断がLil Nas Xにとって良い展開だった。これによって全米でニュースになり、2週間後にはBillboardの全体ランキングで1位になった。

この勢いをさらに加速するためにLil Nas Xは、次に音楽業界のスターとOld Town Roadのコラボ(リミックス)曲を出した。Billboardのちょっと変わったルール上で、リミックス曲はオリジナル曲の再生回数としてカウントされる仕組みになっていた。

リミックス曲が出るたびに何百万と再生回数が増え、Old Town Roadのランキング首位を堅持した。そして17週間後にはマライア・キャリーの記録を破った。5カ月前まで大学中退で銀行口座がマイナスだったと考えると、すごい成長だ。

Lil Nas X自身もこれはラッキーなことではなく、計画性がちゃんとあってここまで伸びたものとのこと。その一例、Old Town RoadがTwitterでバズり始めた1つのきっかけが、1人の男性が馬の上に立ちながら馬が走っている動画だ。この動画はいろんなバージョンが出てきたが、すべての動画はOld Town Roadが音声となっていた。

一番最初のこの動画は2018年12月24日に投稿されていた。そのTwitterユーザーになぜその動画を作ったかと聞いたところ、Lil Nas Xが彼にDMを送ってそのアイデアを提案したとのこと。しかもその動画を見て曲を検索すると知っていたLil Nas Xは、YouTubeとSoundCloud上で曲のタイトルを変更し、バイラル動画で入っている歌詞を追記したのだ!

TikTokでもLil Nas XはTikTokを活用してチャレンジを作り、さまざまなユーザーがOld Town Roadに合わせてミームを作り始めていた。

そして2018年からTikTokから生まれた人気曲が出てきたが、今はアーティスト側がリリース前にTikTokに曲の一部を出してバズらせている。ネットで有名ダンサーのToosieがDrakeから直接連絡もらって、まだタイトルが付いてない曲の一部を渡され「ダンスを考えてくれないか?」と聞かれた。

それで出来上がったのが「Toosie Slide」で、それを踊るチャレンジが出てきた。

最終的にTikTokでヒットして、Drakeが音楽配信アプリで公開した。

これはDrakeだけではなく、多くのアーティストが一部公開をしてTikTokで流行らせてから公開する流れになり始めている。

TikTokは徐々にリップシンクからミーム、そして今ではコメディー、教育(チュートリアル)、アートなどさまざまなコンテンツに広げている。コンテンツ領域を広めるとターゲットユーザー層も拡大するし、TikTokにとってはユーザーの興味グラフを作れるようになる。これはByteDanceが今後YouTubeやほかのSNSと対抗に戦うためには重要な要素となる。

引用記事
The Rise of TikTok and Understanding Its Parent Company, ByteDance(Turner Blog)
Old Town Road: The Best Entertainment Case Study of 2019(Medium)
Here Are The Songs That Went Totally Viral On TikTok In 2019(BuzzFeed News)
TikTok’s Underappreciated Wins (from a former Yik Yak employee(Zack Hargettブログ)
The 10 Ways TikTok Will Change Social Product Design(The Information)
TikTok Top 100: Celebrating the videos and creative community that made TikTok so lovable in 2019
(TikTok)
Songs Are Becoming Hits on TikTok Before They’re Even Released(Rolling Stone)
Why Fintech May Be the Future of Ridehailing for Grab, Uber(Fortune)
TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent(South China Morning Post)
ByteDance’s move into gaming is already paying off(Abacus)
四处挖人,字节跳动横扫教育圈(36Kr)
・Bytedance tiktok Douyin viamakershort video china regulation cyberspace administrationBytedance launches consumer lending app on Android(TechNode)
TikTok owner ByteDance scores video game hit in Japan, sharpening rivalry with Tencent(South China Morning Post)
TikTok Owner’s Plan: Be More Than Just TikTok(The Wall Street Journal)
Introducing TikTok Donation Stickers with British Red Cross and Help Musicians(TikTok)
China’s Bytedance is buying Musical.ly in a deal worth $800M-$1B(TechCrunch)
The popular Musical.ly app has been rebranded as TikTokThe Verge)
China’s $11 Billion News Aggregator Jinri Toutiao Is No Fake(Forbes)
Chamath Palihapitiya – how we put Facebook on the path to 1 billion users(YouTube)
Memers are Taking Over TikTok(The NewYork Times)
Inside the New York City Bodegas Going Viral on TikTok(The NewYork Times)
The Original Renegade(The NewYork Times)・The owner of TikTok is reportedly in talks with major record labels to launch a music streaming service(Business Insider)
TikTok’s Videos Are Goofy. Its Strategy to Dominate Social Media Is Serious(The Wall Street Journal)
TikTok Owner’s Value Exceeds $100 Billion in Private Markets(Bloomberg)
Musical.ly’s Alex Zhu on Igniting Viral Growth and Building a User Community | #ProductSF 2016(YouTube)

成功の原点はToutia、TikTokが米国市場でも伸びている理由(その1)

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」がnoteに投稿した記事を、内容別に3つの記事に分割・転載したものだ。第2部第3部も併せてチェックしてほしい。

自己紹介

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、次世代SNS企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

過去4年間で世界で最も勢いがあるアプリ「TikTok」。AirPodsやMeme(ミーム)文化が爆発的に伸びていた流れに乗っかったのは確かだが、それ以外にも自社のUI判断やグロース戦略でここまで成長できた。そして何よりもソーシャルグラフが必要のないSNS、コンテンツベースのアルゴリズムを作ったのは過去に存在しなかったこと。そんなTikTokの裏で、運営元であるByteDance(バイトダンス)の最初のサービスであるToutiaoから実際にTikTokのインフラが作られていた。

今ではByteDanceの時価総額が1000億〜1400億ドルになっていると言われている。

2017年11月にBytedanceは当時米国で次世代SNSだったMusical.lyを10億ドルで買収。2018年8月にMusical.lyとTikTokを1つのアプリとして統合。そのすぐ後に30億ドル調達して時価総額が750億ドルまで上がった。当時はほとんどの人から高すぎる時価総額と言われていたが、いま見ると間違ってはなかった。

ByteDanceの2019年の数字を見ると160億〜200億ドルの売上で、2018年から2倍になっている。そして中国のデジタル広告市場のシェアが22%(2017年にはたったの5%)。

引用:Technode

しかもこの160億~200億ドルの売上の5%しかTikTokから来ていない。TikTokはこれから広告プラットフォームとして伸びるので、今後の成長率が加速する可能性もある。今年で創業8年目のByteDanceはTencent(テンセント)、Twitter、Facebook、Snap、Googleの8年目よりも圧倒的に売上が伸びている。

それでは、ByteDanceの凄さの始まりであるToutiao、TikTokなどの他社サービスへの拡大、Musical.lyを買収して米国市場へ参入、そして今後の展望について紹介していこう。

今回の記事の多くはGelt VCで働くTurner Novak(ターナー・ノバック)氏のブログ「The Rise of TikTok and Understanding Its Parent Company, ByteDance」から引用している。興味がある読者はぜひ彼のメルマガや記事をチェックしてほしい。もちろん本記事は、ノバック氏から許諾を得たうえで翻訳・公開している

ByteDanceの初プロダクトはToutiao(今日頭条)

ByteDanceが作った最初のプロダクトは2012年8月にリリースしたJinri Toutiao(ジンリー・トウティァオ)。類似サービスとしては、Facebookの友達のコンテンツがないニュースフィードが一番近いかもしれない。同社はJinri Toutiaoでハイパーターゲティングしたコンテンツや広告をユーザーに提供していた。2018年中旬の2億人DAUがピークで、1ユーザーは1日平均74分使っていた。これはFacebook、Instagram、Snapchatの約2倍の利用時間だ。

引用:Y Combinator

ローンチと初期グロース
創業者の張一鳴(Zhang Yiming)氏は2008年にアイデアを思いついたらしい。当時はMeituan創業者である王興(Wang Xing)氏と一緒にSNSサイトHainei.comを運用していた。Hainei後も張氏はいくつかの会社を作った。彼の経歴を見ると、OTAサイトのKuxanのCTO、Twitter類似サービスfanfouのCEO、不動産リスティングポートあるサイトの99FangのCEOなど。そして大学生時代でもエンタープライズ向けソフトウェアを作り、その後にMicrosoft Chinaで勤務していた。

Toutaioローンチ時の中国のスマホニュース市場は、国がコントロールしていたSinaやSohuなどのメディアやポータルサイトしかなく、デスクトップ向けの長めのテキストコンテンツが多かった。Toutiaoの初期プロダクトは中国のウェブメディアのひたすらクローリングしてスマホ用にフォーマットし直してコンテンツを提供していた。一時期コンテンツの広告も自社広告に変更するまでのこともやっていたらしい。

初期のToutiaoのグロースは、中国版TwitterであるWeiboのインフルエンサーが広げてくれた。Toutiao自体はかなりアグレッシブなプッシュ通知やユーザーにコンテンツ共有を勧めたりした。その結果、90日で1000万ユーザーまで成長できた。新規ユーザーがSinaもしくはWeiboアカウントでログインした際にはまずToutiaoはそのユーザーの趣味・興味あるものや友達の情報をスクレーピングした。そしてユーザーの利用データ(どうタップやスワイプをしたのか、どのタイミングで戸惑ったのか、記事のかける時間、コメント、場所、時間など)をトラッキングして、そのデータを基にユーザーに合わせたコンテンツを提供。これは今のTikTokにも存在する手法だ。

そしてコンテンツのタイトル、カバー写真、記事の長さまでかえるようにした。さまざまな変更をした結果、80%と恐るべし読了率を得られて、それがユーザーの生涯のリテンションレート(Lifetime Retention Rate)を45%という圧倒的に高い数字を初期に達成できた。しかも編集チームを使わず、完全自動化していたため、コストを抑えながら良いプロダクトを作ることができた。

批判とサービスの進化
もちろん多くの大手メディア企業はToutiaoが嫌いでToutiaoを常に訴訟バトルの間に入っていた。TikTokでも起きているが、Toutaio記事の引用元がわからなかったケースが多々あった。さらに記事のフォーマットをToutiaoが変更した時にアプリがクラッシュした。最終的にはToutiaoはユーザーに他社サイトへの誘導を許したが、多くのメディアのほとんどのトラフィックがToutiaoから来ていたのは間違いない。2014年にWeiboのトラフィックが落ち始めた際に、Toutiaoの1億ドルのシリーズCラウンドに参加してトラフィックを流してもらうように約束した。

そしてToutiaoは出版社やキュレーターに直接Toutiaoアプリでコンテンツ制作を依頼して、代わりレベニューシェアを渡した。うまく行き始めた瞬間にToutiaoはすぐにパートナー制作記事へシフトし始めた。2017年には120万人の外部クリエイターと提携していた。最終的にTencent、Alibaba、Baidu、その他スタートアップは中国で似たニュースプロダクトをリリースするが、Toutiaoでうまくマネタイズできていたクリエイターがほかのプラットフォームへ変更する意味がなかった。実際にToutiaoのビジネスモデルはかなりハイマージンで、2015年では2億2000万ドルの売上で黒字化できていたと言われている。

そして徐々にToutiaoは、記事にコメント機能、フィードに写真や就職情報、フィットネス・音楽・ポッドキャストアプリを開けられるボタン、生配信番組、インタラクティブなQ&Aチャネル、そしてNetflix類似の映画視聴プラットフォームXiguaを追加。2018年には他の中国テック企業と同じようにミニプログラムをリリース。第三者にToutiao上でアプリを開発してリリースできるようにした。レストラン、スーパー、薬局のデリバリーアプリが開発された。Toutiao内でも常に新しいアプリを開発して市場のリアクションを試していた。2カ月以内でパフォーマンスがなければシャットダウンするようにしていた。

そしてToutiaoはアプリ内に動画を入れるように注力していた。Facebookと同じように動画フィードの広告を入れられるようになった。初期はスマホ広告に投資し始めていた大手ブランドと交渉していた。ブランド側としては、BaiduやTencentよりToutiaoの広告プロダクトの方がハイパーターゲティングができるため、主要客により簡単いリーチできると思い締結した。そのターゲティングのパフォーマンスが高かったからこそ、2019年7月時点のMeituanの広告費用の85%はByteDanceサービス(Toutiao、Douyin)で使っていた。

Toutiaoはアルゴリズムとディトリビューション基盤とした新規サービス
Toutiaoのフォロワーを使わず、ユーザーの行動をベースにコンテンツ・広告をレコメンドするエンジン、そしてToutiaoによって多くの中国人へリーチできる配信プラットフォームを活用して2016年9月にDouyin(初期はA.meと呼ばれていた)、2017年にはTikTokの2つのショートフォーム動画アプリをリリース。動画アプリをリリースすることによってToutiaoの動画広告在庫が増えるのと、ユーザー層が男性に偏っていたのを変えて女性ユーザーへリーチできるだけでなく、EC要素を入れられるアプリとなった。

それ以外に重要点としては2018年にToutiaoがピークに達していたことをByteDance側も理解していたこと。今後の成長のためには、別のプロダクトから来なければいけないことを理解していた。

引用記事
The Rise of TikTok and Understanding Its Parent Company, ByteDance(Turner Blog)
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Here Are The Songs That Went Totally Viral On TikTok In 2019(BuzzFeed News)
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(TikTok)
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China’s Bytedance is buying Musical.ly in a deal worth $800M-$1B(TechCrunch)
The popular Musical.ly app has been rebranded as TikTokThe Verge)
China’s $11 Billion News Aggregator Jinri Toutiao Is No Fake(Forbes)
Chamath Palihapitiya – how we put Facebook on the path to 1 billion users(YouTube)
Memers are Taking Over TikTok(The NewYork Times)
Inside the New York City Bodegas Going Viral on TikTok(The NewYork Times)
The Original Renegade(The NewYork Times)・The owner of TikTok is reportedly in talks with major record labels to launch a music streaming service(Business Insider)
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TikTok Owner’s Value Exceeds $100 Billion in Private Markets(Bloomberg)
Musical.ly’s Alex Zhu on Igniting Viral Growth and Building a User Community | #ProductSF 2016(YouTube)

東工大発バイオインフォマティクススタートアップのdigzymeが3000万円を調達

コンピュータを用いた酵素探索技術によって有用化合物のバイオ生産を後押しするdigzymeは5月29日、ANRIやReBoostなどを引受先とする第三者割当増資により総額約3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

digzymeは昨年8月に当時東京工業大学の博士課程3年生だった渡来直生氏(代表取締役CEO)が立ち上げたバイオインフォマティクス領域の大学発スタートアップだ。バイオインフォマティクスとは生命科学で得られた情報をコンピュータを使って解析していく分野を指すが、同社ではその中でも酵素の遺伝子を探索する技術を開発してきた。

渡来氏によると酵素とはある物質を別の物資に変換する能力を持つ分子のこと。酵素は遺伝子から作られているためその情報が変われば別の機能を持つ酵素を作ることができ、実際に自然界の中にはたくさんの酵素が存在している。

ただ酵素遺伝子は1200万種類以上あると推定されている一方で、既知の酵素触媒機構は1000程度、反応化合物は1万程度であり、すべての酵素遺伝子のうち正しく機能分類されているものはほんの10%程度にしか過ぎないそう。未知の酵素の中から目的に合うものを地道に実験的に確認していくのはコストの観点でも困難なため、そこにITを活用する余地が大きいという。

digzymeでは化学反応を扱うCheminformaticsと遺伝情報を扱うGenomicsを組み合わせることで「未知の遺伝子群から目的の酵素遺伝子を掘り当てる技術」を開発。その技術を軸にバイオ生産に取り組む化学メーカーや製薬メーカーをサポートする。

バイオ生産の特徴は、有機化学生産や直接抽出法といった他の有用化合物の生産方法に比べて安全安価であること。その反面、反応柔軟性の低さや開発コストの高さが課題となってきた。要は「1回できてしまえば合成コストや環境負荷を抑えられメリットが大きいが、作るまでが難しい」(渡来氏)そうで、digzymeのチャレンジはそのギャップをコンピュータによる酵素探索技術で埋めていくことだ。

現在は複数の大手企業と有用化合物生産に向けた共同研究を始めている段階。まずは受託事業からのスタートとなるが、ゆくゆくは化学メーカーと協業して自ら新しい成分を作っていくところまで取り組む計画だ。

digzymeでは今回調達した資金を活用して組織体制を強化し、プロダクト開発や協力企業の開拓を進める。今後は自社のコア技術の一部を「digzyme Moonlight Cloud」として無料提供する予定で、ユーザーが検索フォームに任意のターゲット化合物を入力すれば、原料候補の化合物との間を結ぶ推定反応経路が得られる仕組みを作っていくという。

英国Uberがドライバー向けアプリに他のギグワークを探せる機能を追加

新型コロナウイルス(COVID-19)による危機で配車サービスの売上はもろに影響を受けている。そうした事態を受け、ドライバーが収入を補えるよう、英国Uberはドライバーが一時的に他の企業で働く機会を探すことできるWork Hubを立ち上げた。

Work Hubはドライバー向けのアプリ内にあり、そこにはサードパーティーのプロバイダーからの仕事が表示される。配達に車を使うものも含め、新型コロナウイルスの蔓延で配車サービスの需要が減ったために収入面で影響を受けているドライバーに他のギグワークを提供する。

Uberは同様の機能を4月から米国でも提供している。ドライバーは12社ほどが扱っている求人に応募でき、EatsやFreight、WorksUberなどUberの他部門の仕事も請け負える。

英国では、ローンチ時は3社のみと外部サプライヤーが少ない。そしてUber内部のギグワークはなしだ。「5月29日から英国のドライバーは『何千』もの『臨時の求人』と、他社での『フレキシブルな収入を得る機会』にアクセスできる」とUberは述べた。その他社とは、まずはデリバリー会社のHermesとYodelだ。リクルーターのAdecco Groupはドライバー向けのU.K. Work Hubを通じて臨時仕事も提供している。

「さらに提供できる労働機会を増やすため、新たなパートナー企業を今後も加え、リストを増やしていく。アップデートがないかDriverアプリを定期的にチェックしてほしい」とUberはWork Hub立ち上げ発表のブログ投稿に書いた。

新型コロナウイルスの蔓延でグローサリー配達の需要が急増し、同社はすでに英国のドライバーにオンラインスーパーマーケットOcadoの配達業務に登録するよう電子メールで推奨している。しかし今回はWork Hubを介しての正式な呼びかけだ。そして「案内済みのOcadoの配達業務にも追加で『何千もの』求人が追加される」としている。

ドライバーがこの厳しい時を切り抜けられるよう、なぜ英国UberがドライバーにUber Eatsの業務を選べるようにしないのかはわからない。英国では自転車やバイクを使う配達人が多く、EatsとUber配車サービスの労働はさほどかぶらない。加えて、通りに車が増えることを歓迎する都市はない。ということで欧州のドライバーにEats業務に就かせたくない複数の理由があるのだろう。

「新型コロナウイルスと闘っている間も、ドライバーは社会を動かしつづけるために必要不可欠な業務を行っている。しかし人々の移動が減ったため、ドライバーたちは収入を得る別の方法を必要としている。Work Hubでドライバーは他の企業で収入を得る機会を見つけることができる。他企業の業務を請け負うときは、Uberではフレキシブルに働ける」とUberの欧州北部・東部を統括するゼネラルマネジャーJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏は声明で述べた。

Work Hubの取り組みは、パンデミックで減ったUberでの収入を他のギグワークで補うようドライバーに勧めるという意図のようだ。そして「正社員の職を探すことは勧めていない」と皮肉屋の人は言うだろう。それでも、正常が戻り配車サービス事業が復活すれば、Uberは所有する車でギグワークをしてくれるドライバーを要する。

米国と英国以外のマーケットでは、オーストラリア、チリ、コスタリカ、カナダ、メキシコ、ポルトガル、南アフリカのドライバー向けにWork Hubを立ち上げている。

この機能は危機の中で生まれたものだが、Uberはこれより前に臨時の仕事を扱う分野に参入済みだ。昨年、Uber Worksというシフトの業務を探せるアプリをシカゴで立ち上げた。同社は、収入を得る機会を広げるための手段としてドライバーに提供するWork Hubは長期雇用のためのものと位置付けていて、今後も展開を続けると話した。

画像クレジット: Getty Images

“新型コロナウイルス

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが初の有人宇宙飛行に成功、歴史にその名を刻む

米国時間5月31日、SpaceXはNASAのDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベーンケン)の二人の宇宙飛行士を、Falcon 9(ファルコン9)ロケットを使用してCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船に乗せて宇宙へ運び、人類史上の新たな歴史を作った。Demo-2と呼ばれる今回の打ち上げは、Crew DragonとFalcon 9の人間評価プロセスにおける最後のデモンストレーションミッションだ。このミッションを完遂すれば、通常の人の輸送に使用できることが証明される。なお当初は先週水曜日の5月27日に打ち上げが計画されていたが悪天候のために中止され、今回に仕切り直しとなった。

原文へ

(翻訳:Hiro Yoshida@pylori1971

Ciscoがソフトウェアサービス部門充実のためインターネット監視ソリューションのThousandEyesを買収

Ciscoが2017年にAppDynamicsをIPOの直前に37億ドル(約3989億円)で買収したとき、同社はネットワークハードウェア専門というルーツを超えてソフトウェアのモニタリングにも進出するという明確なシグナルを出していた。米国時間5月28日の午後、同社は別の監視会社を買収する意向を発表した。今回はインターネット監視ソリューションのThousandEyesとなる。

CiscoはTechCrunchからの質問に対して買収価額を明かさなかったが、CNBCの報道などによるとほぼ約10億ドル(約1080億円)だという。それが正しければ、同社は2社のモニタリング企業に約47億ドル(約5070億円)を払ったことになる。

CiscoのTodd Nightingale(トッド・ナイチンゲール)氏は買収を発表したブログ記事で、「インターネットのユーザー体験に関してThousandEyesが提供しているデータは、大量の在宅勤務者によりインターネットの負荷が著しく増加している現在、これまで以上に重要なものだ」と語っている。

ThousandEyesはこれまでずっとインターネット接続の状況を監視しており、Ciscoのその他のモニタリング技術とうまく適合するはずだ。「ThousandEyesはその名のとおり何千ものエージェントをインターネットの全域に展開しており、他に類がないほどインターネットをよく理解しており、エージェントの増加によりますますインテリジェントになっている」とナイチンゲール氏は述べていうる。

さらにナイチンゲール氏は「ThousandEyesの能力をAppDynamicsのアプリケーションインテリジェンスのポートフォリオに組み込むことによって、エンタープライズとインターネットとクラウドのすべてにわたる可視性を強化できる」という。

ThousandEyesでは、共同創業者でCEOのMohit Lad(モヒト・ラッド)氏が典型的な買収話を語っている。自力でやるよりも大企業の一員である方が成長が速いといった話だ。「Ciscoの一部になることを決めたのは、我々に現在以上のポテンシャルがあるからだ。それをもっと速く実現し、真の意味でのThousandEyesのレガシーを生み出す可能性があるからだ」とラッド氏は書いている。

なお、今回の買収に限らず、ここ10年間におけるCiscoの大型買収戦略は、同社のコアであるネットワーキングハードウェアの事業を補完する総合的なソフトウェアとサービスへの広範な移行の動きの一環だ。

まさに同じく5月28日に、Synergy Researchがネットワークのスイッチやルーターの売上を公表したが、あまりぱっとしない。企業はパンデミックの間じっと身を潜めていたため、ネットワークのハードウェアもあまり買わない。そこでQ1の数字は7年ぶりに下がった。Synergyの場合それは、このカテゴリーの総売上の10億ドル(約1080億円)の減となる。

Ciscoは市場の大半を支配しているが、当然のようにソフトウェアサービスへの移行を続けている。それは、市場のこのような変化に対応するためのリスクヘッジだ。今回の買収もそのアプローチの上に成り立っている。

ThousandEyesは2010年に創業され、Pitchbook Dataによると2019年2月までで、6億7000万ドル(約722億円)の事前評価額で1億1000万ドル(約119億円)あまりを調達している。

関連記事:Cisco snaps up AppDynamics for $3.7B right before its IPO…CiscoがIPO直前のAppDynamicsを$3.7Bで買収(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

【照明編】自宅のビデオ会議環境をグレードアップする方法

良い照明なしには、良いビデオを撮ることは決してできない

自宅のビデオ環境を最大限に活用するため本シリーズ。今回の記事は、この環境における方程式の中で最も重要だがあまり理解されておらず、かつ実践されることも少ない、最重要ポイントの1つである照明(ライティング)に焦点を当てる。実際のところ、多くのトレーニングや専門知識、さらには機器さえも必要とするものではないのだが、照明こそがほとんどのビデオ会議において、動画の品質を低くしてしまう最大の原因である可能性がある。ということは、照明がきちんとできているかどうかで、セミナーやスピーチ、そしてリモートブロードキャストでの登場に際して、語っている自分が相手によく知っている人物のように見えるのか、それともあまり自信を持たせてくれそうもない人物に見えるのかの違いが生まれかねないということである。

ライティングの基本

わずかな作業で、お金もかけずにライティングを大幅に改善することができる。その秘密とは周囲に注意を払い、存在する光源に対してカメラの配置を最適化することだ。部屋の天井灯やランプだけでなく、窓などの自然光源についても考慮して欲しい。

理想的には、最も明るい光源がカメラの後ろ(可能な場合はその上方)に配置されるように、自分自身を置くべきだ。また、画像を吹き飛ばしてしまうような強烈な光源が、自分の後ろにこないようにしなければならない。もし昼間で大きな窓があるなら、壁に背を向けて窓に向かってみよう。また可動式ライトや頭上にランプがある場合は、それを自分の顔に向いたコンピューターの後方上部に移動するか、あるいは位置が固定された光源(例えば天井灯)を使って同じ効果を得るために、可能なら自分自身の位置を動かそう。

理想として最良の結果を得るためには、明るい光源はカメラの後方少し上部に配置する必要がある。

そうした光源がまぶしいと感じるかもしれないが、ウェブカメラ上では均一で鮮明な画像になるはずだ。ほとんどのウェブカメラには、照明に関係なく最良の結果を生み出そうとする自動バランス機能があるが、ソフトウェアでできることは限られている。特にMacBookに組み込まれているウェブカメラのようなローエンドのカメラを使う場合には、照明の物理的位置を最適化することで、大きな恩恵を得ることができる。

これはダメな例。背後に明るい光源があると、顔が見えにくくなり、背景が吹き飛んでしまう。

レベルアップする簡単な方法

基本以上にステップアップする最良の方法は、優れたビデオ照明の基礎のいくつかを学ぶことだ。繰り返しになるが、これも必ずしも何かの購入を必要とするわけではない。既存の持ちものを創造的に利用するといった簡単やり方もある。

カメラも後方に自分の顔に向けて一番強い光源を置くべしという、上記のアドバイスに加えて、2点もしくは3点照明の原則の採用で、さらに洗練された結果を得ることができる。これを実践するためには特別なライトは必要ない。利用できるものを使って、最適な効果を得るよるにそれらを配置すればよいだけだ。

  • 2点照明

非常に基本的ながら効果的なビデオ照明の設定の1つには、顔を写すカメラの後方あるいは並行した位置に、2つの照明を置いて顔に向けるというやり方がある。ただし最大の効果を得るには、それらを自分の顔の正面から当てるのではなく、横に置いて自分の顔に向けて角度をつけることだ。

適切な2点ビデオ照明設定のために、照明を配置するやり方の簡単な図。

これら2つのライトの一方を、もう一方よりも明るくできれば最高だ。これにより顔に当たる照明に、微妙な影と奥行きが加わり、よりすばらしくプロフェッショナルな見え方になる。前述のように、使用する光源の種類は特に問題ではないが、両方が同じ色温度になるようにすることをお勧めする(通常の家庭用電球の場合、電球色、白色または昼光色などと表現されているものだ )、また光源がそれほど強力でない場合には、光源をより近くに配置してみよう。

  • 3点照明

2点照明に似ているが、3番目の光源を自分の後方のどこかに追加したものだ。この追加の光源は、放送インタビューの照明設定で使用され、被写体にわずかなハロー効果をもたらす。これにより、自分を背景から分離することがさらに容易になり、より奥行きがあり、プロフェッショナルな見え方になる。理想的には下の図に示すように、それをカメラのフレーム外に配置し(大きくて明るい光がレンズに直接当たらないようにしたい)横にずらした位置に置く。

3点照明の設定では、背後に3つ目のライトを追加することで、被写体の分離とポップさがさらに増す。

この種の設定の柔軟性上げたい場合には、Philips Hue電球を光源に使用することで、簡単に行える。光源の色温度と明るさを一緒に、または個別に調整して、このような配置を最大限に活用することができる。最新のHueのランプは、使用しているフレームレートに応じて、ビデオに奇妙なちらつきを生じさせる可能性があるが、ビデオを30fpsで出力すれば問題に対処できるはずだ。

プロらしくやる

どんな光源を使用してもビデオびライティングを改善できるが、やはり専用のビデオライトが最良の結果を生み出す。たくさんのビデオ通話、バーチャルトークそしてストリーミングを真剣に計画している場合には、より良い結果を得るために、専用のハードウェアに投資することを検討する必要がある。

エントリーレベルであれば、Amazonで十分に機能し、優れた価値を提供する選択肢をたくさん見つけることができる。例えばNeewerから提供されているこのようなフル照明キットは、1つのパッケージで2点照明の設定に必要なすべてを提供してくれる。これらは照明が初めての場合には敷居が高いように思えるかもしれないが、設定は非常に簡単だ、実際には色温度(ケルビンで測定される)と、それがビデオキャプチャ機器の画像出力にどのように影響するかについて少し学ぶだけで十分だ。

もう少しお金を投資したい場合には、Wi-Fi接続やリモートコントロールなどの追加機能があるより良い品質のライトを入手することができる。私が見つけたホームスタジオでの使用に最適な万能ビデオ照明はElgatoのKey Lightだ。これには199.99ドル(約2万1500円)のKey Lightと、129.99ドル(約1万4000円)のKey Light Airの2種類がある。キーライトはより大きく明るい最大出力があり、テーブルやデスクに取り付けるための頑丈なクランプマウントが付属している。一方、Key Light Airはより小型で持ち運びやすいが、最大設定における光量が少なく、底が重くなっているテーブルトップスタンドが付属している。

Key Lightのどちらのバージョンも、非常に暖かい白(2900K、電球色)から明るい白(7000K、昼光色)まで調整できる光源を備えており、コンピューターまたはモバイルデバイスから、リモートコントロールのためにWi-Fi接続することができる。Elgatoのハードウェア制御用のStream Deckにも簡単に連携する。輝度は高度に調整可能で、特にマルチマウント拡張キットなどの追加のアクセサリをはじめとする数多くのマウントオプションがある。

それぞれのKey Lightに標準的な三脚マウントがたくさん用意されており、高品質で耐久性のある構造と、ネットワーク接続された制御機能を備えているため、これらの照明はどんなスペースでも簡単に使うことができる。それらが発する光の質も良く、必要な効果を生み出すために、希望に合わせれそれらを調整するのも非常に簡単であることから、照明のプロと初心者の両方に最適だ。

空間にアクセントを

被写体に対する照明に加えて、ホームスタジオ全体をより視覚的または魅力的にするために、さまざまな種類のアクセント照明を検討してもいい。繰り返すが、いくつかのオプションはあるが、もし家のインテリアにもなってくれるものを探していて、それが家をスタジオセットのようにしないほうがいいのなら、Hueのコネクテッド照明システムのよりグレードの高いものをチェックしてみて欲しい。

たとえば、Hue Playライトバー はすばしいアクセント照明だ。2個のフルカラーコネクテッドRGBライトが同梱されたツーパックを購入することができる。これらを機能させるには、Hueハブが必要だが、もしハブをまだ持っていない場合には、2個のライトとハブを同梱したスターターパックを購入することもできる。私はクッション、椅子、その他の家具の後ろに簡単に隠すことができるこれらを気に入っている。これらは、特にメインビデオ照明以外の空間照明を消してしまった場合に、光で彩られたすばらしいアップライト効果を演出してくれる。

効果を最大に引き出したいときには、これらをPhilips Hue Signeのフロアランプまたはテーブルランプと組み合わせることを検討して欲しい。Signeシリーズは底が重いベースに取り付けられた長いLEDライトで、選択した任意の色の強くアクセントのある光源を提供する。これらを他のHueライトと同期させて一貫した光景を作り上げたり、さまざまな動的効果のために色を混ぜたり最大化したりすることができる。

これはビデオにおいて被写体と背景の分離に役立ち、標準的な背景よりもはるかに洗練されているように見える。特に高品質のカメラを使用しているときに、ぼかし効果と組み合わせるとその効果は顕著だ。副次的な利点としては、ビデオを(撮影するのではなく)観ているときに、映画やビデオの再生に同期させることで、これらのライトを使って本当にクールなホームシアター効果を演出できる。

もし照明の設定には満足しているものの、他の可能性も探っているのなら、私たちのオリジナルのガイド記事オーディオの品質に目を向けたマイクの記事も読んでみて欲しい。

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(翻訳:sako)

山火事のシーズンが近づく中、AIが衛星画像を使って危険な地域を教える

地球温暖化と天候パターンの変化でここ数年の米国は壊滅的な山火事に苦しめられた。そしてこの、本来なら普通の自然現象は、きわめて予測不可能で深刻な災害になった。そこでスタンフォード大学の研究者たちは、機械学習と衛星画像を利用して危険な乾燥地域を調べ予報する方法を見つけた。

これまでの、山火事になりやすい森林や低木地帯の検査方法は、手作業で枝や葉を集め、その水分を調べた。それは正確で信頼できる方法だが、きわめて労働集約的で大規模な調査は難しい。

しかし幸いにも最近は、その他のデータソースを利用できる。欧州宇宙機関(European Space Agency)の人工衛星センティネルとランドサットは、地表の画像を大量に集めており、それらを詳しく分析すれば山火事のリスクを評価するための二次的なデータソースが得られる。しかもこの方法なら、木の枝の棘に刺される心配もない。

衛星画像を利用する観測方法は以前から存在するが、人間の目で判断するため極端にサイト固有の結果になりがちだ。つまり、場所によって分析方法が相当異なっている。棘の心配はないが、広い面積の調査は難しい。スタンフォードのチームが利用した新しい方法では、センティネル衛星の「合成開口レーダー」を利用して森林の林冠を貫き、その下の地表の画像を見る。

スタンフォードの生態水文学者Alexandra Konings(アレクサンドラ・コーニングス)氏はニュースリリースで「私たちの大きな突破口は、これまでよりもずっと長い波長を使う新しいタイプの衛星に着目したことです。それによって森林の林冠のずっと深いところの水分を観測できるようになり、それは燃料水分の含量を直接表しているのです」と語っている。

チームは2016年から定期的に集めたこの新しい画像を、米国林野局が手作業で計測したデータと共に機械学習のモデルに与えた。これによってモデルは、画像のさまざまな特徴と地上の測定値との相関を学習した。

次に彼らは、そうやって得られたAIエージェントに、彼らがすでに答を知っている古いデータで予報をさせ、テストをした。結果は正しかったが、そのほとんどが低木地帯で、それは米国の西部で最も多いバイオームであり、山火事になりやすい植物相でもある。

プロジェクトの結果をこの対話的なページで見ることができる。西部全域の1年の各時期における、モデルから得られた乾燥度の予報を示している。消防士にとって具体的に役に立つ、というものではないが、でも同じモデルに最新のデータを与えれば、今後の山火事シーズンに関する予報ができ、当局が延焼をコントロールし、危険な地域や安全性に関する警報をするための、情報に基づく決定ができるだろう。

研究結果は、Remote Sensing of Environmentに載っている。

画像クレジット: スタンフォード大学

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa