Googleがスタートアップ支援の「Google for Startups Campus」を東京・渋谷ストリームに年内オープン

Google(グーグル)は6月18日、2019年内に「Google for Startups Campus」を渋谷ストリームにオープンすることを発表した。ロンドン、マドリード、サンパウロ、ソウル、テルアビブ、ワルシャワに続き、世界で7番目のキャンパスとなる。

Google for Startups Campusとは、アリーからグロースステージのスタートアップ企業に向けて、グローバルサポートとツールを提供する場所。ワークスペースやコラボレーションスペース、イベントスペースなどが併設される。同社のプログラムに参加するスタートアップはメンター制度も利用可能だ。なおスタートアップの募集は、キャンパス開設後を予定しているとのこと。

渋谷ストリームは、渋谷駅ホーム南部の線路跡地に建設された高層ビルで今秋にグランドオープンを迎える。上層はオフィス階になっており、今秋以降にグーグルの日本法人も六本木ヒルズから引っ越す予定だ。

中国初の自動運転ユニコーン企業Momentaは利益よりもデータを追う

Cao Xudong(曹旭東) は、ジーンズと彼のスタートアップ企業の名前である「Momenta」と書かれた黒いTシャツ姿で路肩に現れた。

昨年、企業価値10億ドル(約109億ドル)を記録し、中国初の自動運転系「ユニコーン」企業となったこの会社を立ち上げる以前から、彼は誰もが羨む生活を送っていたのだだが、自動運転は次なる大きな波だと自分に言い聞かせてきた。

曹は、完全な自動運転車で一発当てようと考えているわけではない。それは20年後の話だと彼は言う。むしろ彼は、半自動運転ソフトウエアを販売し、次世代の自動運転技術に投資するという、地に2本の足を着けたアプローチを取っている。

曹(中国語読みでツァオ)は、中国における人工知能研究者の第一世代のための「士官学校」と噂されるMicrosoftの基礎研究機関Research Asiaで働く機会を得たとき、まだ機械工学の博士課程にいた。彼は4年間以上Microsoftで辛抱した末、退職し、より現実的な仕事に手を付けた。スタートアップだ。

「その当時、学術的なAI研究はかなり成熟していました」と、現在33歳の曹は、Microsoftを去る決意をしたときを振り返り、TechCrunchのインタビューで語った。「しかし、AIを応用しようという業界の動きは始まったばかりでした。2012年から2015年までの学会での波よりも、業界で起きる波の方が大きくて強力なものになると私は信じていました」。

2015年、曹は、政府に納入している顔認証技術などによる高収益のお陰で今や世界で最も価値の高いAIスタートアップとなったSenseTimeに入社した。17カ月の在籍期間中、曹は研究部門をスタッフ0人からスタートして100人態勢の強力なチームに育て上げた。

間もなく曹は、またしても新たな冒険に惹かれるようになった。彼は、結果はあまり気にせず、「何かをやること」に重きを置いているという。その傾向は、名門精華大学の在籍中にすでに現れていた。彼はアウトドアクラブの部員だった。特別にハイキングが好きだったわけではないが、冒険のチャンスに恵まれ、彼と同様に粘り強く大胆不敵な仲間たちが大変に魅力的だったからだと彼は話している。

車ではなくコンピューターを作る

曹は、カメラやレーダーなど、自動運転車でよく目にする装置を取り付けた車に私を案内してくれた。トランクには、目に見えないコンピューターコードがインストールされている。我々は車に乗り込んだ。ドライバーは、Momentaが作成した高解像度のマップからルートを選択した。そして、ハイウェイに近づくなり、自動的に自動運転モードに切り替わった。複数のセンサーが、リアルタイムで周囲のデータをマップに送り始める。それをもとに、コンピューターは走行中の判断を下す。

試験車両にセンサーを取り付けるMomentaのスタッフ(写真:Momenta)

Momentaは車もハードウエアも作らないと、曹は念を押した。その代わりに、頭脳、つまり深層学習能力を作って自動車に自動運転機能を与えるのだという。これは事実上、いわゆるTire2のサプライヤーだ。IntelMobileyeと同じように、自動車部品を製造するTire1サプライヤーに製品を販売している。また、自動車を設計し、サプライイヤーに部品を注文して最終的な製品を製造するOEMとも、直接取り引きをしている。どちらの場合でも、Momentaはクライアントと協力しながら最終的なソフトウエアの仕様を決めている。

こうしたアセットライトなアプローチによって、最先端の運転技術が開発できるとMomentaは信じている。自動車や部品のメーカーにソフトウェアを販売することで、収益を得るだけでなく、たとえば、いつどのように人間が介入すべきかに関する大量のデータを収集でき、低コストでAIをトレーニングできる。

クライアントの企業名は公表しなかったが、中国内外の一流自動車メーカーとTire1のサプライヤーが含まれているとのことだ。数は多くない。なぜなら自動車業界での「パートナーシップ」は、深い資源集約的な協力を必要とするため、少ないほうが有利だと考えられているからだ。我々の認識では、後援者にDaimler AGが含まれている。またMomentaは、このメルセデス・ベンツの親会社が中国で投資した初めてのスタートアップでもある。しかし、Daimlerがクライアントかどうかは、曹は明かさなかった。

「1万台の自動運転車を動かしてデータを集めるとしましょう。その費用は、年間で軽く10億ドルに達します。10万台なら100億ドルです。巨大ハイテク企業であっても怖じ気づく額です」と曹は言う。「意味のあるデータの海を手に入れたければ、大量市場向けの製品を作ることです」。

自動車をコントロールする半自動運転ソリューションHighway Pilotは、Momentaの最初の大量市場向けソフトウェアだ。今後、さらに多くの製品が投入されるが、それには、完全自動駐車ソリューションや、都市部向けの自動運転ロボットタクシー・パッケージなどが含まれる。

長期的には、非効率的な中国の440億ドル(約48000億円)規模の物流市場に取り組みたいと同社は語っている。AlibabaJD.comが開発した倉庫向けのロボットのことはよく知られているが、全体的に中国の物流の効率は、まだ低水準にある。2018年、物流コストは中国のGDPの15%近くを占めていることが発表された。同じ年、世界銀行が発表した、世界の物流業界の効率を示した物流パフォーマンス指標ランキングでは、中国は26位だった。

MomentaのCEO曹旭東(写真:Momenta)

控えめなCEOである曹が語調を強めたのは、同社の地に2本の足を付けた戦略について説明したときだった。その2つセットのアプローチは「閉じた輪」を形成する。これは、同社の競争力について語るときに繰り返し登場した言葉だ。現在と未来の中間を拾うのではなく、Waymoがレベル4(基本的な状況下で人間の介入なしに自動運転できる車の区分)で行ったように、またはTeslaが半自動運転で行ったように、Momentaはその両方に取り組む。それには、収益がロボットタクシーのための研究費となり、現実のシナリオから収集されるセンサーのデータが研究室のモデルに投入されるHighway Pilotのような、利益を生むビジネスが利用される。そして、その研究室で得られた結果は、公道を走る車に供給する技術をパワーアップする。

人間かマシンか

昼間の公道での40分の試乗の間、我々が乗った車は、自動的に車線変更をし、合流し、乱暴なドライバーから距離を取るなどしていたが、ある一瞬だけ、ドライバーが操作を加えた。試乗の終わりごろ、ハイウェイの出口ランプの中央に停車していた危険な車を避けるために、ドライバーがレバーを引いて車線変更を行っている。Momentaはこれを、「インタラクティブな車線変更」と呼んでいる。同社は、これは自動運転システムの一部であり、厳格な定義によれば、人間の「介入」ではないと力説していた。

「人間による運転の介入は、これからも長きにわたって支配的な存在でいるでしょう。あと20年ほどは」と曹は指摘する。車は車内カメラでドライバーの動作を細かく把握しているため、この設定は安全性を一段階高くするとのことだ。

「たとえば、ドライバーが携帯電話に目を落としたとします。すると(Momentaの)システムは運転に集中するよう警告を発します」と彼は言う。

試乗中の撮影は許されなかったが、Momentaが公開している下の動画でハイウェイでの様子を少しだけ確認できる。

人間は、我々が思っている以上に、すでに自動化の範囲に組み込まれている。曹は、他の多くのAI研究者と同じく、最終的にはロボットがハンドルを握るようになると考えている。Alphabetが所有するWaymoは、すでに数カ月前からアリゾナでロボットタクシーを走らせている。Drive.aiのような比較的小規模なスタートアップですら、テキサスで同様のサービスを行っている。

業界にはさまざまな誇大宣伝や流行があるが、同乗者の安全、規制の概要、その他数多くの高速移動技術の問題など、厄介な疑問は残されたままだ。去年、自動運転車による死亡事故を起こしたUberでは、将来の計画が先送りされ、人々の批判を浴びることになった。上海に拠点を置くベンチャー投資会社は、先日、私にこう話した。「人類はまだ自動運転の準備ができていないのだと思う」

業界の最大の問題は、技術的なものではなく、社会的なものだと彼は言った。「自動運転は、社会の法体系、文化、倫理、正義に難題を投げかけている」。

曹も、この論争のことはよく知っている。未来の自動車を形作る企業であるMomentaは、「安全に対する大きな責任を負っている」と彼は認識している。そのため彼は、すべての幹部に、自動運転車で一定の距離を走り、システムに欠点がないかを確認するよう求めている。そうすれば、お客さんが遭遇する前に、社内の人間が欠点に遭遇する確率が上がる。

「この方針があれば、管理職はシステムの安全性を真剣に考えるようになります」と曹は主張した。

中国の蘇州に建つMomentaの新本社ビル(写真:Momenta)

信頼性を確保し、説明責任を明確にできるソフトウェアをデザインするために、Momentaは「システム研究開発のアーキテクト」を任命している。この人物は、基本的に、ブラックボックス化された自動運転アルゴリズムの解析の責任を負う。深層学習モデルは「説明可能」でなければならないと曹は言う。それは、何か不具合が起きたときに原因を突き止める重要な鍵となるからだ。故障箇所はセンサーなのか、コンピューターなのか、ナビゲーションアプリなのか?

さらに曹は、研究開発に多額の資金を投入してはいるが、利益を生もうと焦ってはいないと話している。ただし、ソフトウェア販売の利益が「大きい」ことも認めている。またこのスタートアップは、多額の資金に恵まれている。曹の経歴が投資を惹きつけているところが大きい。同じように、共同創設者であるRen Shaoqing(任少卿)とXia Yan(夏炎)もMicrosoft Researchの出身だ。

昨年10月の時点でMometaは、Daimler、Cathay Capital、GGV Capital、Kai-Fu LeeのSinovation Ventures、Lei JunのShunwei Capital、Blue Lake Capital、NIO Capital、それに蘇州政府を含めた著名な投資企業から少なくとも2億ドル(約217億円)を調達している。蘇州には、高速鉄道の駅のすぐ隣にMomentaの新本社ビルが建つ予定だ。

蘇州を高速鉄道が通過するとき、乗客はその車窓からMomentaの特徴的な新社屋を眺めることができる。数年もすれば、この中国東部の歴史ある街の新たなランドマークになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

Waymoがついに電動CUV車Jaguar I-Paceを公道上で自動運転

1年あまり前にWaymo(ウェイモ)は、同社の自動運転車事業の次の大きな一歩としてJaguar Land Rover(ジャガー・ランド・ローバー)をパートナーとし、その全電動クロスオーバー車であるI-Paceを自動運転化すると発表して業界を驚かせた。

その自動運転のJaguar I-Paceがついに、Waymoの本社のある米国カリフォルニア州マウンテンビューの公道でテストを始めたらしい。米国時間6月17日朝の目撃情報によると、セーフティードライバーが運転席にいる自動運転車Jaguar I-Paceが確かに公道を走行中でWaymoも試験を始めたことを認めた。

Googleの自動運転プロジェクトがAlphabet傘下の企業となったWaymoは、2018年7月に最初の3台のI-Paceを受け取った。それらが、道路のデータを集めるためにサンフランシスコのベイエリア周辺を走っているところが目撃されたが、それは自動運転ではなかった。Waymoの計画では、自動運転のI-Paceは2020年に同社のライドシェア事業に起用される予定だ。

WaymoとJLRの契約によると、最大で2万台のI-Paceが最初の2年間でロボタクシーサービスに利用される。そのパートナーシップの構造はWaymoとFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の関係に似ていて、FCAはハイブリッドミニバンであるChrysler Pacifica(パシフィカ)をWaymoに供給する。

そのミニバンはフェニックスの郊外周辺で、WaymoのテストとWaymo Oneライドシェアサービスの別名になった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米政府がBlueKeep脆弱性を利用したハッキングを実証、Windows 7以前へのパッチ導入待ったなし

米国土安全保障省のサイバーセキュティー部門であるCISAは、BlueKeep脆弱性を利用したハッキングの実験を行い、対象となるデバイスでリモートコード実行ができることを確認した。BlueKeepは旧版WindowsのRemote Desktop Protocol(RDP)のバグを利用した極めて危険な脆弱性だ。

現在、民間機関での研究ではBlueKeepを利用してDoS攻撃ができることが実証されている。つまり狙ったコンピュータをクラッシュさせてしまうわけだ。しかしBlueKeepはそれよりはるかに悪質なリモートコード実行に利用できることが確実だった。そうなれば2017年に世界を大混乱に陥れたWannaCryランサムウェアの再来となる。

CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は6月17日に発した警告で、BlueKeepを利用してWindows 2000を搭載したコンピュータ上のコードを遠隔で実行できることを確認した。

Windows 2000はMicrosoft(マイクロソフト)が発表した脆弱性対策には含まれていないが、CISAの広報担当者によれば「我々は外部の関係者と協力してこの脆弱性を調査している」ということだ。TechCrunchはマイクロソフトにコメントを求めている。

リモートコード実行が可能なマルウェアはまだ現実には使われていない。しかしCISAがアラートを出した以上、同じ効果をもつマルウェアをハッカーが近く作り出せることが確実だ。

マイクロソフトと米政府機関は先月末からBlueKeep脆弱性へのパッチ適用を強く勧告してきた。

BlueKeep(CVE-2019-0708)はWindows 7およびそれ以前のWindowsコンピュータのリモートデスクトップサービスのクリティカル評価のバグで、パソコンだけでなくサーバーにも影響する。ユーザー認証以前に実行可能なので攻撃者はログインの必要がない。攻撃が成功すればデータを盗み出すだけでなく、システム管理者の特権を得ることも可能だ。またワーム化できるので、1台が乗っ取られば同一のネットワークに接続しているすべてのコンピュータに伝染する。

Microsoftは先月末、サポート終了のOSに対してパッチを発行するという異例の措置を取った。しかし100万台ものコンピュータが無防備な状態におかれているという。英国のセキュリティ専門家であるKevin Beaumont氏のツイートによれば 「マルウェアがひとたび組織のファイアウォール内のパソコンに入り込むことに成功すれば被害規模は桁違いに拡大する」という。

NSAは秘密主義で知られるこの組織としては異例の警告を公表し、「脅威が著しく増大している」と述べ、ユーザーにパッチの適用を強く勧告していた。

万一パッチしていないなら今こそすべきだ。

【Japan編集部追記】CISAによれば、影響を受けるシステムは次のとおり。PC向けOSは、Windows 2000、Windows、Vista、Windows XP、Windows 7。サーバー向けOSは、Windows Server 2003、Windows Server 2003 R2、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2。

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滑川海彦@Facebook

Facebookがロボットを学習させるための本物そっくりな仮想の家を提供

AIを搭載したロボットが家の中で人の手伝いをするためには、ロボットは人間の環境で歩き回るための経験を数多く積まなければならない。それにはシミュレーター、つまり本物の家とまったく同じに見えて、同じように機能する視覚的世界が最適な訓練場となる。そこでFacebookは、現在最も先進的と言える、そうしたシステムを開発した。

その名は「Habitat」。Facebookのこのオープンソースのシミュレーターは、数カ月前に軽く紹介されていたが、米国時間6月15日に、CVPR(米電気電子技術者協会コンピュータービジョンおよびパターン認識に関する会議)にシステムに関する論文が提出されたことにともない、完全な内容が公表された。

現実世界を歩き回り単純な作業をさせるだけでも、ロボットを教育するには膨大な時間を要する。そのため、物理的空間で実際のロボットを動かす方法は現実性に欠ける。ある地点から別の地点へもっとも効率的に移動する方法や、引き出しの取っ手を掴んで引っ張り出す方法などを、実際に何度も繰り返し学ばせようとすれば、数百時間、実時間にして何年もかかってしまうだろう。

関連記事:WTFはコンピュータービジョンなのか?(未訳)

そうではなく、ロボットのAIを現実の家に相当する仮想環境に置く方法がある。結果として、基本的に、その3D世界を構築するコンピューターの最大の演算速度でもって超高速に訓練を重ねることができる。つまり、何百何千時間を要する訓練が、コンピューターの高速な処理速度により数分で完了するということだ。

Habitat自体は仮想世界ではなく、むしろシミュレーション環境を構築するプラットフォームだ。既存のシステムや環境(SUNCG、MatterPort3D、Gibsonなど)との互換性があり、利用者が現実世界の何百倍もの速度で効率的に訓練を実行できるよう最適化されている。

しかしFacebookは、仮想世界の最先端をさらに一歩進めたいとも考えている。そして作り出したのが「Replica」だ。これはHabitatのためのデータベースで、キッチン、浴室、ドア、長椅子が置かれたリビングルームなど、家全体を構成するあらゆる部屋の写実的なモデルが保管されている。FacebookのReality Labsが、現実環境の写真撮影と深度マッピングという血の滲むような作業の末に完成させた。

  1. habitat3

  2. replica1

  3. replica2

そこに再現された世界は非常に精細ではあるが、一部にノイズが見られる。とくに天井や手の届かない場所に多い。それはおそらく、AIビジョン・エージェントの動作には関係のない天井や部屋の遠い角などは、細かく再現する必要がないためだろう。椅子やテーブル、廊下を規定する壁などの形状のほうが、ずっと重要だ。

しかし、もっと重要なことは、開発チームが3Dデータに無数の注釈を加えたことだ。3D環境をただキャプチャーすれば済むというものではない。オブジェクトやサーフェイスには、一貫性のある完全なラベルを付ける必要がある。長椅子も、ただの長椅子ではなく、グレーの長椅子で青いクッションが複数置かれている長椅子という具合にだ。エージェントのロジックに応じて、それが「柔らかい」のか、「ラグの上に置かれている」のか「テレビの横」にあるのかなどの情報が必要になったり、ならなかったりする。

HabitatとReplicaは、意味論的ラベルごとにひとつの色で示される。

だが、こうしたラベル付けをしたお陰で、環境の柔軟度が高まり、包括的なAPIと作業言語は、「キッチンへ行きテーブルの上の花瓶の色を教えろ」といった複雑な複数の段階を含む問題をエージェントに与えることが可能になる。

結局のところ、このような支援は、たとえば家の中を自由に歩き回れない障害者を補助するなど、人の助けになることが想定されているが、それにはある程度の機転が利く必要がある。HabitatとReplicaは、そうした機転を養う手助けをするものであり、エージェントに必要な訓練をさせるためのものだ。

以上のような進歩があったとは言え、Habitatは完全に現実的なシミュレーター環境に至るまでの小さな一歩を踏み出したに過ぎない。ひとつには、エージェント自身が現実に即して再現されない点がある。ロボットの身長は高いものもあれば低いものもある。車輪で走行するのか脚で歩くのか、深度カメラを装備しているのかRGBなのか、さまざまだ。不変のロジックはある。たとえば、長椅子からキッチンまでの距離はロボットのサイズが違っても変化しない。しかし、変化するロジックもある。小型のロボットはテーブルの下を潜れるが、テーブルの上に何があるかを見ることができない。

Habitatは、さまざまな仮想ビジョンシステムで物を見る。

さらに、Replicaや、それに類するその他あまたの3D世界では、視覚化されたシーンの中に写実的に環境が描画されるのだが、これらは、物理法則やインタラクティブ性という意味においては、ほぼまったく機能しない。寝室へ行ってタンスの上から2番目の引き出しを見つけるように指示はできるが、引き出しを開けさせることはできない。実際には引き出しは存在しないからだ。そのようにラベル付けされた絵があるだけだ。動かしたり触れたりはできない。

見た目よりも物理法則に力を入れたシミュレーターもある。「THOR」などは、AIに引き出しを開けるといった実作業を教えるためのものだ。これは、一から教えようとすると驚くほど難しい作業になる。私は、THORの開発者2人にHabitatのことを聞いてみた。彼らは、AIが移動や観察を学ぶための非常に写実的な環境を提供するプラットフォームとして、Habitatを口を揃えて称賛した。しかし、とりわけインタラクティブ性が欠如しているために、学べることに限界があるとも指摘していた。

だが、どちらも必要であることは明らかであり、今のところ、それぞれが互いに代わりを務めることはできない。シミュレーターは、物理法則的にリアルになるか、見た目にリアルになるかのいずれかなのだ。両方は無理だ。しかし、Facebookも他のAI研究室も、それを目指して頑張っていることに間違いない。

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(翻訳:金井哲夫)

ポータブルでWi-Fi接続できる育児向け睡眠補助デバイス

メンローパークに本社を置くHatch Baby(ハッチベイビー)が、自信をもって提供してきたのは、スマート育児デバイスたちだ。体重計が組み込まれたおむつ交換台のGrowや、サウンドとナイトライト機能を兼ね備えたRestなどがその例である。

そのHatch Babyが、家族の睡眠分野での存在感を高めるために、今度はRestのアップデートバージョンであるRest+を発表した。

このRest+デバイスには、オリジナル版に存在していたサウンドマシン、ナイトライト、そして起床時刻の機能も変わらず備えられている。しかし、多くの顧客とAmazonからのフィードバックを得て、Hatch Babyはオーディオモニター機能と時計機能を追加した。

オーディオモニター機能は、部屋に入って赤ちゃんを目覚めさせる危険を冒すことなく、親たちが赤ちゃんの様子を知るために必要なものだ。

個人的には、特に数字を読むことができる幼児を持つ人たちにとって、時計の追加も素晴らしいことだと思っている。こうした子供たちは、ベッドを出ることはできる位に成長しているものの、朝4時はまだパパやママは寝ていたい時間だということがわからない。親たちの間で口コミで広がっているアドバイスは、子供部屋に時計を置いて、子供たちにある時刻になるまで部屋を出てはいけないと伝えておくということだ。

それはまた子供たちの健康な睡眠習慣を確立することを助ける。National Sleep Foundationによれば、ほとんどの幼児(1〜3歳)は夜間や昼寝の時間を合わせて、1日に約12〜14時間の睡眠を必要としている。しかし、どんな親でもよく知っているように、赤ちゃんが成長するにつれてベッドに向かいたいと思わせることは難しくなっていく。

Rest+の提供する機能は以下のようなものだ。

  • オーディオモニター
    親たちは自分の部屋から携帯電話を使って子供部屋の様子をチェックできるようになった。他に必要なガジェットはない。
  • サウンドマシン
    親たちは、ホワイトノイズから柔らかな子守唄まで、幅広いサウンドオプションから音を選択できる。犬が吠えていたり、ご近所がパーティーを開いているときには、単純に音量を上げることができる。
  • ナイトライト
    この機能は、熱を発することはない。夜中の授乳時にやわらかく心落ち着く照明や、暗さを怖がる子供たちに明るくて安心できる照明を提供する。親たちや子供たちは、自分の好みに合わせてその色を、虹の色の中から選ぶことができる。とはいえペアレンタルロックを使えば、必要ならば親だけがそれを変更できるようにすることが可能だ。
  • 起床時間
    「緑色」は起床時間を意味する!この機能を使えば、親たちは幼い子供たちに、色が変わって起床時間になるまではベッドの中にいるように(そしてそれまではまだ寝ていていいのだということを)教えることができる。
  • 時計
    Rest+は読みやすい時計を備えているので、忙しいスケジュールの役に立ち、子供たちに数字の読み方を教えることもできる。

これらの機能は、別々に購入した場合には、親たちにはかなりの負担額になる。例えば、Phillips Aventオーディオモニターは、Amazonでは100ドル弱である。それに比べて、Rest+は5つの機能すべてを備えて、たったの80ドルだ(60ドルだったオリジナルのRestデバイスよりは高価だが)。

親たちにとってRest+をより魅力的にするかもしれない他の特徴は、それがWi-Fi接続可能でポータブルであるために、旅行に持っていくことが可能だということだ。

サウンドマシーン、ナイトライト、オーディオモニター、時計を、すべて1つのポータブルなWi-Fi対応デバイスにまとめたことで、子供部屋の貴重なスペースを節約することができ、もう少しだけ睡眠を確保したい多くの親たちにとって必携のデバイスとなるだろう。

Hatch Babyの共同創業者アン・クレディ・ワイス(Ann Crady Weiss)はTechCrunch対して、Rest+はHatch Babyサイトでのみ販売され、親たち(そして子供たち)に対して、より多くの貴重な睡眠時間を与えるための商品群を立ち上げる同社の計画の一部になると語った。彼女は、会社が次に何に取り組むつもりかについては語りたがらなかったが、数カ月のうちには何かを話すことができるだろうと示唆した。お楽しみに!

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(翻訳:sako)

ピザ宅配のZumeが植物由来プラスチックに着目してパッケージ企業を買収

ロボット活用で知られるピザ宅配のZumeが、植物由来のパッケージ資材を開発している南カリフォルニアのPivotを買収した。これに伴い、Zumeは南カリフォルニアに約2000坪の工場を開設する。

実はZumeは、2016年にサトウキビのかすの繊維から製造され利用後に堆肥になるピザボックスを導入して以来、何らかの形でパッケージ業界に関わっていたという。今回の買収で同社は、ボウル、皿、カップ、カトラリーなどにも植物由来の食器の利用を広げる。

同社は来年までに10億個のプラスチックや発泡スチロールの食器を置き換えるという高い目標を掲げている。これは立派な目標だ。食品パッケージのゴミは手に負えないほどの問題で、改善が追いつかずに状況が悪化していると見られる。

ZumeのCEOのAlex Garden氏は今回の発表に関して次のように述べている。「フードデリバリーは食品のシステムを変えている。フードデリバリーは消費者からの需要が高く、そのことが持続可能な世界をつくる力になると我々は信じている。食品パッケージは方程式の中で重要な役割を担っている。重要な消費のデータを表すだけでなく、パッケージの材料が最終処分される農場からの有用な情報にもなるからだ」。

同社は米国で工場をいくつか計画していて、今回の新しい工場がその1つ目だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

英国フィンテックのRevolutがオーストラリアに進出

フィンテックのスタートアップであるRevolutは、初めてヨーロッパ以外の地域に進出する。米国時間6月12日からオーストラリアの一部のユーザーに対してサービスを開始した。

Revolutは以前に米国、カナダ、シンガポール、日本、ニュージーランドなどにも事業を広げる計画を発表していた。

オーストラリアでは、すべての顧客に対して一気にサービスを開始するわけではない。同社は今回のサービス開始をベータリリースと呼んでいて、毎日少しずつ新しいユーザーに広げていく計画だ。現在、オーストラリアのウェイトリストには2万人が登録されている。

また、現時点で利用できるサービスは一部に限られている。暗号通貨の交換、メタルカード、ビジネスアカウントはまだ提供が開始されていない。しかし基本的なサービスとして、口座を開設してカードを入手し、送金と受取をすることはできる。

別の国に進出すると、別の通貨を使うユーザーが加わることになる。家族が別々の国に住んでいる人はRevolutに乗り換えて、オーストラリアと英国、あるいはオーストラリアとヨーロッパの間でお金をやり取りしようとするするかもしれない。

Revolutの口座から別の口座へは即座に送金でき手数料がかからない。受け取ったユーザーは、外貨のまま置いておくか住んでいるところの通貨に両替するかを、アプリで選ぶことができる。

例えば英国ポンドからオーストラリアドルへの両替は、平日に利用し、1カ月に5000ユーロ(約60万円)までなら手数料無料だ。それを超える金額になると、プレミアムまたはメタルの顧客以外は0.5%の手数料がかかる。週末に両替する場合は0.5%加算される。

米国時間6月12日現在、Revolutアプリを使って2000ポンド(約27万円)を両替すると3660.50オーストラリアドルになる。TransferWiseで同じ両替をすると3647.27オーストラリアドルになる。もちろん状況は曜日や金額により異なる。

Revolutのチームは現在メルボルンにいるが、シドニーとパースにチームを置く可能性もある。最終的にはオーストラリアで30人を雇用する予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

コカ・コーラ自販機でLINE PayのBluetooth決済が可能に、Coke ON Pay対応を発表

日本コカ・コーラは6月17日、同社が展開しているCoke ON Pay対応自販機でLINE Payが利用可能になったことを発表した。

飲料ごとに独自スタンプが用意されており、これを集めるのも楽しい

Coke ONとは、日本コカ・コーラが無償配布しているスマホ専用アプリ。このアプリを起動してCoke ON対応自販機にかざしてとBluetoothでのペアリングが完了後、現金や交通系電子マネーで飲料を購入すれば、購入価格に関係なく1本につき1スタンプがもらえる。

Coke ON Payに対応している自販機の位置はアプリで調べられる。白抜きで赤字のPayの文字が入っているのが対応自販機だ。日本コカ・コーラによると2018年10月以降に既存のCoke ON自販機を順次Pay対応に変えていくとのことだが、すべてのCoke ON対応自販機がPay対応になるわけではない

キャンペーンや新製品などで1本につき2スタンプがもらえることもある。期間によって異なるが、月曜の朝8時まで、もしくは12時まで購入するとスタンプが2個もらえるキャンペーンが開催されることもある。

一定歩数を歩くとスタンプが1枚もらえるので、歩けば歩くほどドリンク1本無料チケット獲得に近づく

さらに、スマホ内蔵の加速度センサーと連動しており一定歩数をクリアするともらえるスタンプもある。これらのスタンプが15個貯まると、飲料1本を無料でもらえるのがメリットだ。

Coke ON Pay対応自販機。写真中央の黒い部分にスマホをかざしてBluetoothでペアリングする

Coke ON Payは、このCoke ON対応自販機に決済機能を持たせたもの。通常は飲料の購入に現金の投入や交通系電子マネーをかざす操作が必要だが、Coke ON Pay対応自販機であれば、スマホのCoke ONアプリで商品選びから決済までが可能になる。

Coke ON Payで決済する場合、購入する商品を選んで矢印方向にスワイプするだけで、取り出し口に商品が落ちてくる。なお、15枚のスタンプが貯まった際に付与される1本無料のドリンクチケットを使う場合の操作も同じだ

具体的には、スマホの画面で決済方法を選ぶと、自販機のメニュー画面に切り替わるの商品を選んでスワイプするだけでOK。自販機側のボタンを操作する必要はまったくない。

日本コカ・コーラではこれまでも、クレジットカードや交通系電子マネーで経由のCoke ON Pay決済に対応していたが、今回新たにLINE Payが選べるようになったわけだ。

Coke ON Payは、クレジットカードや交通系電子マネーでの決済にも対応している。6月30日までは、電子マネーで購入すると1本無料のドリンクチケットが1枚もらえる。また、MasterCardのクレジットカードを登録して9月30日までに使うとオリジナルスタンプが2枚もらえる

なお、LINE Pay対応を記念して、6月30日までは初回購入時に50円相当のLINEボーナスが付与されるほか、2回目の購入時にオリジナルデザインCoke ON スタンプ2個もらえるキャンペーンを実施中だ。

キリンビバレッジの一部の自販機ではLINE Payが使える。料金表示部分ではなく、ステッカー部分にスマホかざす必要があるなど、操作方法が少々わかりづらい

LINE Payではこれまでキリンビバレッジの一部の自販機でLINE Pay決済に対応していた。しかし、Coke ON Payとは異なりスマホ側ですべての操作を制御できず、スマホを自販機にかざした状態で、もう1つの手で自販機のボタンを押す必要があった。

キリンビバレッジのLINE Pay対応自販機では、LINEアプリ上で決済を選んだあと、自販機側のボタンで商品を選ぶ必要がある

この操作方法だと、片手が荷物などで塞がっていたり、使えない場合は操作の難易度が高かった。一方、Coke ON Pay自販機では、商品選びから決済までをスマホアプリだけで済ませられる。

電子マネー対応自販機とは異なり、Coke ON Pay自販機はNFCリーダーなどを別途追加する必要がないため、比較的に安価に設置できるのもメリット。全国各地にあるコカ・コーラ自販機でLINE Payが使えるようになることで、キャッシュレスが進みそうだ。

広島発スタートアップstakが目指す変則型サブスクIoT製品の未来

既報のとおり、広島を拠点とする2014年設立のスタートアップであるstak(スタック)は、ソフトバンク系のIoT製品の企画・開発・販売を手がける+Styleと、Amazonで、同名のIoTスマート電球とスマートリモコンの発売を開始した。

同様の製品は数多くある中でstakが特徴的なのは、変則的なサブスクリプションモデルを採用している点だ。販売価格は、stak本体とスマート電球、スマートリモコンを合わせて税込で1万27000円。

中国系の安価な製品に比べると酷だが、国内メーカーがきちんとサポートする製品を買いそろえるよりは安価に導入できる。単価では、stak本体が月額480円、照明モジュールが3500円、リモコンモジュールが2500円となる。+StyleやAmazonの販売価格にはstak本体に対する1年間の利用権が付属しており、480円×12カ月で5760円となる。5760円+3500円+2500円の合計で1万1760円、消費税8%を加えて1万2700円となるわけだ。

stack代表の植田振一郎氏

stack代表の植田振一郎氏は、本体のみをサブスクリプションモデルとした理由について「電球やリモコンをモジュール化することで低価格にして、ユーザーが好きなモジュールを手軽に買えるようにしたかった」とのこと。「一方で、サブスクリプション化した本体を1年間使ってもらうことで開発費を回収でき、2年目からは利益が出る計算」というわけだ。

今後時期は未定なから、蚊取りモジュールのほか、フレグランス、スピーカーといったモジュールの開発も進めているという。「実は、蚊取りモジュールは今夏に出そうと考えていたのですが、先行販売で募集したMakuakeでの支援者は300人弱で、この中のどれぐらいの方に購入してもらえるかわからない。製品として完成しているものの、数人しか買わないプロダクトになってしまうと、その後の経営に大きく響いてきます」と植田氏。

「現在は、Makuakeの支援者からのフィードバックを参考に、ソフトウェア側の改良を進めている」という。具体的には「複数のスマートリモコンで複数のエリアを一括制御する機能や、マルチアカウント機能などの優先順位が高い」とのこと。「当初、stakは一人暮らしのユーザーを想定して開発を進めていたのですが、Makuake支援者の3割ほどが家族と一緒に一軒家で使っていることがわかったんです」と、その理由を教えてくれた。

「stakのアプリでは、GPSなどの位置情報を参照してユーザーが自宅から一定距離離れるとスマートリモコンが自動で照明や家電をオフにする機能があります。しかし家族で使う場合は、一人が家から離れたからといって自動的に家中のスイッチがオフになってしまうと都合が悪い。そのため、ユーザーからマルチアカウント機能が切望されている。

そのほかの構想として、センサーの塊のようなモジュールも出したいとのこと。ジャイロや加速度、環境光など、いまは何に使うか決めていなくてもオーバースペック気味に作っておき、あとからアイデア次第でさまざまなサービスを提供できるものを想定しているという。例えば、加速度センサーやジャイロセンサーを使って地震などの建物の揺れを検知して、家電を制御するといった使い道があるかもしれない。

今後の事業展開について植田氏は、前述のソフトウェアの改良によってまずはstak本体の販売台数を増加を目指すとのこと。「検討しているのがB向けのサービスです。ホテルなどで宿泊客がチェックアウトした際にStakのスマートリモコンで一括制御できれば、人件費や電気代が節約できます。stakはサブスクモデルのため初期導入費用を抑えられます」と語る。

将来的には、stak本体にSIMを内蔵させて、BluetoothやWi-Fiに頼らない制御も実現したいとのこと。リモコンモジュールの機能についても、現在の赤外線制御だけでなく、APIがオープンになっているIoT機器であればアプリの改良でstak側でのWi-FI制御も可能になるそうだ。そして早ければ6月に、GoogleアシスタントやAmazon Alexaによる音声制御にも対応するという。

最後に広島で起業した理由を聞いた。「もともとは東京の別の会社で働いていたのですが、自動車メーカーのマツダがある故郷の広島はものづくりが盛んで、ここで何か面白いハードウェアを作ることができるのではないか」と考えたという。とはいえ地方なので、全国的な露出を考えて、銀座にショールームを持つ+Styleや、全国に配送網を持つAmzonの力を借りて地名度を高めることに決めたそうだ。

広島を含む中国地方のスタートアップ投資については「最近では大手地方銀行がCVCを作るなどして活動していますが、スタートアップが調達できる額は数千万程度が上限と低いのが現状。金融機関側が、地元のスタートアップに数億円を投資するというマインドにはまだ到達していない」とのことだ。

プロジェクト開始から製品リリースまでのリードタイムが長く、価格では太刀打ちできない中国製の類似製品がすぐに追従してくることもあり、ハードウェアスタートアップは起業の難易度が高い。stackのような変則的なサブスクによる収益源の確保が一般に認知・理解され、支援する体制がきちんと整っていくことを願うばかりだ。

Airbnb、「歩いてライオンに会いに行く」などの冒険ツアー事業をスタート

オンライン宿泊サービスのAirbnbが新しい旅行体験プログラムをスタートさせた。「Airbnbアドベンチャー(Adventures)」は、簡単にいえばAirbnbが提供する新しいツアーのコレクションだ。3日から1週間かけ、多くは徒歩で、ありきたりの観光スポット以外の興味深い場所を訪れる。

ケニヤのワイルドライフ・サファリがこうしたエキサイティングなツアーの一例だ。3日のコースのハイライトはナイロビ近郊の野生動物保護センターに泊まり、専門家のガイドで、徒歩で自然の環境で暮らすライオンに会いに行くのだという。キャンプファイヤーを囲んでブッシュティーを飲むなどのアトラクションも用意されている。ツアー料金500ドルには5回の食事、飲み物、テントでの2泊などが含まれている。

これまで提供してきた「体験(Experiences)」とは異なり、こうした冒険ツアーではAirbnbは大規模な旅行代理店ではなく、現地の専門家やツアーガイドと直接提携している。エキサイティングな要素を含むツアーの場合、旅行代理店を介在させることが保険その他事故責任に関して適当でないのだろう。またツアーの安全性を確保するため、Airbnbは第三者機関とも密接に協力しているという。

Airbnbのビジネスの中心はオンラインの短期宿泊先共有サービスだが、「体験(Experiences)」でツアー企画をデビューさせた。Airbnbアドベンチャーはツアー・ビジネスをさらに強化するものだ。ロイターによれば、Airbnbは5億人のユーザーベースを活かして動画ストリーミング事業に乗り出す計画で、サービスは年内にスタートするという。また同社は最近、ビジネス全体の黒字化を達成したと発表している。

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滑川海彦@Facebook

米カーシェアのGetaround、アメリカ・欧州以外の地域での展開も既に視野に

Getaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏

アメリカでカーシェアリング事業を展開するGetaroundは4月、パリに本社を置くDrivyを3億ドル(約325億円)で買収したと発表。Getaroundは2018年8月、ソフトバンク主導のシリーズDラウンドで3億ドルを調達したと発表していた。Getaroundはトヨタの未来創生ファンドからも出資を受けている。

Drivyの買収により、Getaroundは欧州にも本格進出した。500万人ものユーザーを抱え、アメリカとヨーロッパの300を超える都市でサービス展開されるグローバルな企業へと成長を遂げたGetaroundだが、同社の創業者でCEOのSam Zaid氏いわく、Drivyの買収は「アメリカとヨーロッパだけでなく、グローバルを狙える企業になるためのステップ」。

「正式なアナウンスはできない」が、人口の多さなどを考えると、次に展開するエリアがアジアである可能性は「高い」、とZaid氏は話し、日本に関しては、「東京は我々にとって興味深い市場だ」と加えた。Zaid氏は自ら日本に訪れたこともあり、その際には価格設定や車両の配置エリアに疑問を感じたのだという。

Getaroundはp2pのカーシェアリングサービスを展開している。同社は米TechCrunchが開催したDisrupt 2011のピッチバトルの優勝社だ。GetaroundではGetaround Connectと呼ばれる「コネクテッド・カー」テクノロジーにより、スマホで利用可能な車両を探し、鍵を開ける。車両のオーナーから鍵を受け取るなど無駄なアクションは必要ない。Drivyのサービス利用方法も同様だ。

Zaid氏いわく、Getaround最大の特徴は前述のテクノロジーによる「最初から最後まで即時性のある」ユーザー体験。加えて、同氏いわく、「大都市において、他社よりも利用可能な車の数が多い」そうだ。

競合のTUROは56ヵ国の5500以上の都市で利用することが可能できるなど対応エリアの広さは圧倒的。だが、同社ホームページによると、スマホで車両を予約し鍵を開けるTURO Goが利用できるのはロサンゼルスとサンフランシスコのみ。

Getaroundは「ライドシェア、電動キックボードからシェア自転車まで、消費者は『車の所有』から逃れるため、変わりゆくライフスタイルに適した、よりフレキシブルで低価格な選択肢を探している」と説明。

同社によると、現時点で、カーシェアリング市場はレンタカーと比較すると小規模。だが、2025年までには110億ドル規模に成長するポテンシャルがある。また、ヨーロッパはカーシェアリングの世界的な市場の50パーセントに値し、ユーザー数は2020までに1500万人以上、2025までには2300万人ほどの規模に増える見込みだという。

おたく商品のThinkGeekが閉店してGameStopの1セクションに

マニアックなグッズや気の利いたエイプリールフールジョークを愛する人たちに悲報。おたく好みのガジェットや未来志向の周辺機器で知られる20年続いたオンラインショップの「ThinkGeek.com」が姿を消す。

サイトのトップに表示されたFAQによると、ThinkGeekは「閉鎖」するのではないが、われわれの知っていたサイトではなくなる。代わりに、GameStop(2015年に1.4億ドルでThinkGeekを買収した)の中で昔の面影を残して生き続ける。

FAQにはこう書かれている:

2019年7月2日をもって、ThinkGeek.comは親会社のGameStopの中に引っ越します。その後はGameStopのThinkGeekセクションで、かつてThinkGeek.comに見られたユニークな商品の精選されたセレクションを購入いただけます。

「精選された」が重要だ。なぜなら、ThinkGeek.comがカバーしてきたマニアの世界を、GameStop内のいくつかの陳列棚で賄うことは不可能だからだ。マーベルからスター・ウォーズ、ハリー・ポッターからトールキンまで、あらゆるファンたちの好みを一箇所で受け止めてきた。

ThinkGeek.comは(いや、たぶんかつては)探索するのがたのしい店だった。私はそこへ行くと必ず、時間を忘れて次から次へとカテゴリーを渡り歩いてはクリックを続け、スター・ウォーズのTシャツやたぶん必要のないAperture Scienceのグラスを買うためにクレジットカードを差し出すことがしょっちゅうだった。「なんだこれは、ほら見てらん! ほらこれも! これも!」というあの気持がGameStopサイトに生まれる新しいセクションでも感じられることを願うばかりだ。

全米に展開されているThinkGeekの小売店40店舗は営業を続けることも同社は発表した。

最近同サイトは、クリアランス商品の75%オフセールを何度か繰り返してきたが、現在はサイト全体で50%オフのセールを実施して在庫の一掃をはかっているようだ。

そしてなによりも残念なのが、ThinkGeekのエイプリールフールジョークを見られなくなることだろう。多くの会社が、人々の笑いをとろうとやりすぎていると感じられる昨今、ThinkGeekはいつもいい塩梅だった。商品一覧にフェイク製品を混ぜてユーザーを楽しませてくれた。例えば・・・

フォートナイトのラジコンバトルバス:

あるいは、アクバー提督の歌う魚:

あるいは、本当にすばらしいトーントーンの寝袋(あまりの人気にサイトが実際に販売する結果になった):

残念。

6月13日以前に注文した商品の返品は受け付けるとThinkGeekは言っている。また、ThinkGeekギフトカードを持っているひとは、GameStopのオンラインおよび実店舗で利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカン航空が衛星ベースWi-Fiを主要機材に導入完了

機材数と旅客数で世界最大の航空会社であるAmerican Airlines(アメリカン航空)は、同社の主要機材である700機以上のナローボディ機(主に国内線を飛んでいるボーイング737、エアバス319と320)に衛星ベースのブロードバンドWi-Fiの搭載を完了した。衛星とつながったこれらの機材では、個人のデバイスにストリームできる12の無料チャネルが提供され、このサービスはこれまで対象外だった国際便でも利用できる。

快適なビジネスクラス席に座って出発前のシャンパンを飲んだりするのでなければ、旅行の目的はなんであれ、飛行機での旅は実際には楽しくもなければリラックスできるものでもない。ただ、もし機内で仕事を済ませなければならないとしたら、速くて安定したWi-Fiを利用できることは大きな意味を持つ。

今日のアメリカン航空の発表は、今回と同じシステムを全ワイドボディに導入したという昨年あった発表に続くものだ。しかし昨年の導入規模は、ナローボディ機のわずか13%にすぎなかった。

1つ記すに値すると私が考えることは、アメリカン航空は最も古いMD-83をこのサービス導入の対象としていないことだ。MD-83機材ではWi-Fiのアップグレードはこれまで実施されていない。というのも近代的なジェットに入れ替えが進んでいるからだ。

Wi-Fiを使えるようにしている技術に関していえば、アメリカン航空はGogo 2KuまたはViaSat Kaを使った衛星ベースのシステムに頼っている。初期の地上ベースのシステムとは異なり、衛星システムはカバーエリアが広く(海上も含む)、接続も安定しているという明らかなメリットがある。この新しい衛星ベースのシステムではまた、接続スピードがかなり速い。アメリカン航空のライバルの一社であるデルタ航空は保有機材のほとんどを衛星ベースのシステムにアップデート中で、その一方でユナイテッド航空の事情はやや複雑だ。

「旅の体験を高めることは、アメリカン航空の最終目標の一つであり、居間と同じレベルのエンターテイメントと接続性を顧客に提供するために懸命に取り組んできた」とマーケティング・ロイヤルティ・セールス担当上級副社長のKurt Stache氏は述べた。「2年もかからずして主要機材へのブロードバンドインターネットの導入を完了し、機内で過ごしてもらうことを大切にしていると顧客に示すために、我々は今後も業界で新たなスタンダードをつくり続けるだろう」。

アメリカン航空はまた、間もなく主要機材とローカル機材2クラスの各座席に電源コンセントを設置する。競合する他の航空会社と同じように、アメリカン航空もエンターテイメントの座席配備のほとんどをやめて、顧客のスマホやタブレット端末にコンテンツを流す個人デバイスエンターテイメントを採用している。またナローボディ機の大半でもタブレット端末所有者にこのエンターテイメントを提供しつつある。

他社と違ってアメリカン航空はチャットアプリへの無料Wi-Fiは提供していない。一般的な無料Wi-Fiもそうだ。それでも、アメリカン航空を頻繁に利用する人なら、他の航空会社が現在も活用している古いシステムから格段にアップグレードされた安定したWi-Fiを使えるようになるのは嬉しいだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)

米スーパー最大手ターゲットのレジが2日連続でダウン

また今日(米国時間6/16)もTarget(ターゲット)のレジが止まった。

スーパー最大手のレジが2日続けてダウンしたことで、多くの人々がソーシャルメディアで不満をつのらせた。多くの店舗で現金とギフトカード以外受け付けられなかった。土曜日(米国時間6/15)にもTargetのグローバルPOSシステムがダウンし、2時間以上会計できなくなる事故があったばかりだ。

Targetは昨日の声明で、「これは漏えいやセキュリティー関連の問題ではなかった」ことを確認し、「顧客情報の侵害は一切なかった」と発表した。同社は障害の原因を「社内の技術的問題」であると言ったが詳細は明らかにしなかった。

小売業の巨人は2013年のデータ漏えいで1.62億ドル(約176億円)の出費を余儀なくされた。

Targetの広報担当、Jenna Reck氏は声明で次のように語った。

他の多くの企業と同じく、TagetはNCRのシステムをチェックアウトに使用しており、日曜日の午後NCRは同社のデータセンターの一部で問題を発見した。これはTargetのITシステム内の問題ではなかったが、一部の店舗では約90分間カード支払いを処理できなかった。現在問題は解決しており、支払いは通常通り行われている。なお、これはセキュリティー関連の問題ではなく、支払い情報の漏えいもなかったことをお知らせする。土曜日の問題との関連はなかったが、多くのお客様に週末の買い物で不便をおかけしたことをお詫びする。お客様に迷惑をかけないために、今後このようなことが起きないよう不断の努力を続ける所存だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

裁縫を通じてエレクトロニクスを教えるTech DIY

Tech DIYが電子回路をソフトに教えるツールを開発した。Kickstarterで支援募集中のキットは、子供や大人のビギナー向けに「裁縫を使って」エレクトロニクスや電子回路を教える。人形やフィギュア、ブレスレットなどを作り、光らせたり動かしたり音を出したりする。

Tech DIYを作ったJi Sun Lee氏とJaymes Dec氏は、2016年にMaker Mediaから出版された「Tech DIY: Easy Electronics Projects for Parents and Kids」の著者だ。Lee氏は修士論文のテーマとしてテクノロジーの性差別を無くす方法を考えていたとき、布地を使った工作を使ってエレクトロニクスを教えることを思いついた。

ふたりは韓国在住で、Dec氏は私立女子高でものづくりを教える教師、Lee氏は女子大の教授だ。「私はIT業界で長年働いていたが女性社員はほとんどいなかった。私たちは二人ともテクノロジーを教えているが、女性ユーザー向けに作られた教材は非常に少なく、軽視されていると感じていた」とLee氏は言った。

Lee氏とDec氏はプロジェクトに裁縫を利用することにした。女性は大人も子供も布地を使ったクラフトに親しみがあるからだ。布地とエレクトロニクスを組み合わせたキットは、ほかにもLily Pad AdafruitのFloraがすでにあるが、いずれもArduinoを使っていて、マイクロコントローラを制御するために必要なプログラミング知識が初心者には難しすぎる、とLee氏は言った。Tech DIYのキットは小学生から中学生、さらに大人の初心者も対象にしている。基本的な裁縫技術があれば製作が可能で、レベルが上がるごとに複雑になっていく。

Tech DIY's Nightlight Cat Bracelet project

Tech DIY’s Nightlight Cat Bracelet project

Kickstarterでは2種類のキットを支援できる。Joy Kitには5つのプロジェクトがあり、電気、回路、基本的電子部品などを教えるMy Happy Houseという刺繍のサンプルや、モーターを使って動いたり振動したりする枕、Purring Elephantなどが入っている。Awesome Kitは上級者向けで、光センサーとトランジスタを使って暗いところで光るNightlight Cat Braceletや、ソーラーパネルを電源として使うSolar Sun Projectなどがある(プロジェクトの詳しい内容を知りたい人のために、A Silly GhostNightlight Cat BraceletPurring Elephant Braceletの説明書がオンラインで無料公開されている)。

キットには高品質な厚手のフェルトや、LeeとDecが「地球上で最高の導電糸」と呼ぶものなど必要な部品がすべて含まれている。

本稿執筆時点で、Kickstarterのキャンペーンは目標額3万ドルのうち1万8300ドルが集待っており、残る期間は2日を切っている。キャンペーン終了後は、手芸品サイトのEtsyで販売する予定。「Tech DIY: Easy Electronics Projects for Parents and Kids」の出版元であるMaker Mediaは、財政的理由で最近活動を停止したが、書籍はMaker ShedでPDF版が、AmazonでKindle版または印刷版が入手可能だ。

【日本語版注:翻訳時点でKickstarterの目標金額に到達せずプロジェクトは失敗に終わった】

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rivianと登山家Alex HonnoldがEV用バッテリーを再利用したソーラー・マイクログリッド建設で協力

かつては秘密主義だったが11月に電動ピックアップトラックとSUVで公にデビューを果たした自動車メーカーRivianは、自社の中古バッテリーを、プエルトリコでのソーラー・マイクログリッド・プロジェクトに役立てようと計画している。

Rivianは、プロの登山家でドキュメンタリー映画『Free Solo』の主役にもなったAlex Honnoldが創設したThe Honnold財団と手を組み、このマイクログリッド・プロジェクトを進める。HonnoldとRivianのCEO、RJ Scaringeは、土曜、デンバーにてプロジェクトに関する対談を行う予定で、その様子は米山岳部時間で午後6時からストリーミング配信される(訳注:すでに終了しています)。

マクログリッド・プロジェクトは、プエルトリコの中西部に位置する人口2万人の都市アドフンタスで実施される。ここは2017年のハリケーン・マリアによる甚大な被害を受けた地域だ。アドフンタスに拠点を置き、この地域に安価に電力を供給する方法を模索している環境監視団体Casa Puebloも、プロジェクトに参加する。

Rivianは、自動車開発に使用した135キロワット毎時のバッテリーパックを提供してマイクログリッドを支える。今年の始め、RivianとThe Honnold財団のエンジニアがCasa Puebloを訪れた。彼らは、地域の代表者たちを交えて、アドフンタスの中心地でビジネスを展開する数多くの事業所に電力を供給する、地域に適合したシステムの設計について話しあった。

街の中心地を対象としたマイクログリッド・プロジェクトには、2つの目的がある。主電源が使えなくなったときに地元の中核的事業に電気を供給すること。そして、アメリカ全体の平均の2倍にもなるプエルトリコの電気料金を日常的に引き下げることだ。

このシステムは2020年の稼働を予定している。

「再生バッテリーは、再生可能エネルギーの普及を加速させる大きな力になります。このシステムが地域社会で重要な役割を果たすことを想像すると、胸が躍ります。このシステムは、場所の制約、災害復旧、エネルギーの独立性などを考慮して、地域ごとにカスタマイズできるエネルギー貯蓄ソリューションのモデルになるでしょう」とScaringeは話した。

このプロジェクトは、再生バッテリーの広範な利用法を探すという同社の長期計画の第一歩となる。

同社では、そのバッテリーパック、モジュール、バッテリー管理システムを、電気自動車用としての生涯を終えた後も、自動車用充電池から据え置き型充電池へ転換できるよう設計している。モジュール自体は薄型デザインになっているので、再生後は、場所をとらないカスタマイズ可能な装置として応用できる。

Rivianは、ピックアップトラックやSUVといったスポーティーなオフロード車に特化した電気自動車のメーカーだ。同社は2月、アマゾン主導のラウンド投資7億ドル(約760億円)を調達したことを発表した。

この企業は、創設当初、一般の目に触れない形で事業を行ってきた。2009年に設立されたときの社名はMainstream Motorsだった。2011年には社名をRivianに変更し、フロリダを離れた。現在、同社は、ミシガン州プリマス、カリフォルニア州サンノゼとアーバイン、イギリスのサリーに開発部門を分散し、1000名以上の従業員を擁している。また、イリノイ州ノーマルには、約73000坪の工場を構えている。

RivianはR1T電気ピックアップトラックと、R1S SUVを、2020年後半にアメリカで発売する予定だ。その他の地域では2021年から展開が開始される。

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(翻訳:金井哲夫)

アプリ開発からユーザー分析までをSaaSで一気通貫、ヤプリが約30億円を調達

ヤプリは6月17日、総額約30億円の資金調達を実施したことを発表した。

具体的には、Eight Roads Ventures Japan(旧・Fidelity Growth Partners Japan)がリード投資家となり、既​存株主のグロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、そして新たにSMBCキャピタルを引受先とした第三者割当増資と、みずほ銀行、りそな銀行、日本政策金融公庫からのデットファイナンス(金融機関からの借り入れ)。内訳は、第三者割当増資で約22億円、デットファイナンスで約8.5億円。

なお、同社はこれまでグロービス・キャピタル・パートナーズ、YJキャピタル、salesforce.com, inc、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、川田尚吾氏らから約10億円の資金調達を実施していたので、累計調達総額は約40億円となる。

300社超の導入実績があり、解約率は1%以下と好調

ヤプリは、2013年4月設立のスタートアップ。プログラミング不要でスマートフォンアプリの開発・運用を可能にするサービス「Yappli」を提供している。これまで300社以上の企業が導入済みで、解約率は1%以下を維持。売上高は前年比約2倍で成長しているそうだ。また、Yappliで開発されたアプリの累計ダウンロード数は3500万(2019年5月実績)を突破したとのこと。

今回調達した資金は、主にプラットフォームの拡大に必要なプロダクト開発と人材の採用、マーケティング活動へ投資する。マーケティング関連では、機能開発と並行した広告活動へ投資することで顧客基盤の拡大などを目指す。

「日本酒を世界酒に」SAKEスタートアップのWAKAZEが1.5億円を調達、パリに醸造所設立へ

「世界の食卓において醸造酒と言えば、今まではビールかワインのどちらかが一般的だった。そこに第3の選択肢として『日本酒』というものを浸透させていきたい」

そう話すのは2016年1月に設立された“日本酒スタートアップ”のWAKAZEで代表取締役CEOを務める稲川琢磨氏だ。

同社では山形を拠点に「委託醸造」形式で、酒蔵とタッグを組みながら自社ブランド商品の開発・販売をスタート。昨年7月には東京の三軒茶屋で自社のどぶろく醸造所と併設飲食店もオープンし、事業の幅を広げてきた。

「日本酒を世界酒に」というビジョンを掲げるように、当初から海外へ輸出することを前提として「ビールやワインのように、洋食と合わせて楽しめる」独自の酒を開発。今夏にはパリで酒蔵を立ち上げ、現地に本格進出する計画だ。

そのWAKAZEは6月17日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

この資金を活用してパリでの製造拠点の開設に向けた準備を加速するほか、国内事業においても自社製品のサブスクリプションサービスなど新たな取り組みをスタートする方針。人材採用の強化も進めるという。

なお今回WAKAZEに出資した投資家陣は以下の通り。

  • Spiral Ventures Japan Fund1号投資事業有限責任組合
  • ニッセイ・キャピタル9号投資事業有限責任組合
  • 中島董商店
  • 御立尚資氏(ボストン・コンサルティング・グループ 元日本代表)
  • 長尾卓氏(プロコミットパートナーズ法律事務所 代表弁護士)
  • 永見世央氏(ラクスル 取締役CFO)
  • 非公開の個人投資家1名

最初から海外展開を見据え「洋食に合った酒」を開発

WAKAZEでは現在大きく2つのブランドを展開している。1つがワイン樽を活用して熟成させた日本酒「ORBIA(オルビア)」、そしてもう1つが植物やスパイスを入れて風味づけをした新感覚の酒「FONIA(フォニア)」だ。

「日本酒と聞いて、透き通った飲みやすいお酒をイメージされる方も多いかもしれないが、WAKAZEの場合はそれよりも洋食との相性にこだわっている。そのためにオーク樽で寝かせたり、米の発酵中に柚子や檸檬、山椒など和のボタニカル原料を入れて薫りを調和させたり。脂身の多い食事にも合う酸味や甘味が効いた味わい、ワイングラスに注いで楽しめるユニークな香りなどが特徴だ」(稲川氏)

洋食に合わせることを意識しているということは、WAKAZEの各商品ページで相性の良い料理が紹介されていることからもわかる。たとえばフレッシュな酸味と赤ワイン樽由来のフルーティな香りがウリの「ORBIA SOL」は、ポークソテーなど油脂分や味の濃い料理とよく合うそう。シトラス・ハーバル系の爽快な香りが特徴の「FONIA SORRA」は白身魚のカルパッチョなど前菜とのペアリングも楽しめる。

「美味しい日本酒はたくさんあるけれど、海外にも広めようと思った時に、どうしても日本食などシーンが限定されてしまう。現状だと国内向けに作られた商品がほとんどで、それをそのまま海外に出しているケースが多い。自分たちは最初から海外用に洋食に合った商品を作り、同じものを日本でも楽しめますよという発想で取り組んでいる」(稲川氏)

前例もなく上手くいかないことも多いと言うが、常に新たな商品開発を続けていて2019年には日本酒とお茶を混ぜた「FONIA tea」を発売。サクラなどの花をボタニカルとして取り入れた酒を作ったりもしている。

次々と世にない酒を生み出す上で鍵を握っているのが、昨年三軒茶屋に開設した自社のどぶろく醸造所と併設飲食店だ。稲川氏いわく、この場所を使って「スタートアップで言うところの『リーンな体制』や『アジャイル開発のような思想』」で酒を作る。

4.5坪の限られたスペースの中に醸造用のタンクを4つ設置。普通の酒蔵なら数千リットルのタンクで酒を作るが、三軒茶屋の醸造所は200リットルと作れる量はすごく少ない。一方でこの4つのタンクを用いて年間に48回、1年を通して醸造できるのが特徴。これを活かし、まずは少量の新種を高速で作り続ける。

「量が少ないので予約販売でも売り切れちゃうレベルしか作れない。それを逆手に取って、新しい酒をどんどん作りフィードバックを得る。反応が良かったものは山形の委託先の酒蔵で本格的に生産する仕組みだ。このサイクルを回す上で、併設で飲食店を始めたのも大きい。ここでお客さんに試してもらい、直接感想が得られるようになった」(稲川氏)

まずは高速でベータ版を作り、実際にユーザーに触ってもらいながら改善して、筋が良くなったものを正式ローンチするような感覚に近いだろう。稲川氏によると毎回違うレシピの商品を作っていて、去年の夏からカウントすると現在作っているものは25作目くらいになるという。

事業も徐々に軌道に乗り始めているようで、実際に商品の販売をスタートした2017年の販売本数が1万本。2018年には3万本に増え、3年目となる今年は委託醸造と自社醸造を含めて7万本の販売を見込んでいる。

日本酒専門店や百貨店など国内にある約150軒の販売店が主な販売チャネルだが、Amazonや楽天、STORES.jpの自社ページなどオンライン経由の売上も全体の2割ほどを占めるそうだ。

三軒茶屋の店舗では桜を取り入れた製品など“プロトタイプ”段階のものを、一足早く楽しむことができる

寿司屋で飲んだ日本酒をきっかけに、日本酒プロジェクト始動

もともとWAKAZEは2014年にコアメンバーが集まり「週末起業」のような形からスタートしたのが始まりだ。

代表の稲川氏はボストンコンサルティング・グループの出身。前職時代に訪れた寿司屋で飲んだ日本酒に衝撃を受け「このような美味しい酒をなんとしても世界に広めたい」と思ったことが1つのきっかけになったと言う。

WAKAZEで代表取締役CEOを務める稲川琢磨氏

「原体験として(慶應義塾大学在学中に)2年間フランスに留学していた際、海外では日本酒を含めて日本文化のプレゼンスがあまり高くないと感じた。実家がカメラの部品工場をやっていることもあり『日本ではものすごく良いモノが作られているのに、全然世の中に知られていない。日本のいいモノを世界に届けていきたい』という考えは以前からもっていた」(稲川氏)

当時からの付き合いで、後に共同でWAKAZEを立ち上げることになる今井翔也氏の実家が酒蔵であったため、まずはプロジェクトベースでマーケティングや商品開発を手伝うことに。2015年はクラウドファンディングも活用しながら、飲み比べセットなどの企画などを少しずつ進めていた。

その後2016年1月にWAKAZEを正式に法人化し事業を開始。上述した通り、まずは自社で作ったレシピを協力関係にある酒蔵で作ってもらう委託醸造で実績を積み、昨年より自社の醸造所でも商品開発に取り組んでいる。

「自社で醸造所を持ったことが1つのターニングポイントになったのは間違いない。これによって事業が加速しただけでなく、業界からも『WAKAZEはどうやら本気らしい』と見られ方も変わった。『飲む人がワクワクする、独自の面白い酒を作る』という意味でも、自社ですぐに試せる場所があるのは重要だ」(稲川氏)

日本酒の多様性を取り戻す

もちろんそこに行く着くまでにも、ハードシングスの連続だった。これについては稲川氏のnoteに詳しい記述があるけれど、そもそも日本酒に関しては法規制が特に厳しく、新規で免許を取得し醸造所を開設するのがかなり難しい。

この辺りが近年国内でもベンチャーメーカーが増え、新陳代謝が進むと共に盛り上がりを見せているクラフトビールやワインのマーケットとは異なる部分だという。

WAKAZEの場合はどのようなアプローチを取っているのか。面白いのはボタニカル原料を用いたFONIAは清酒ではなく「その他の醸造酒」に分類されるということ。そして「その他の醸造酒」免許は清酒免許と比べて、一定の条件を満たせば新規取得できる可能性が大きいということだ。

創業メンバーの今井翔也氏。WAKAZEの醸造技術担当で、三軒茶屋醸造所の杜氏を務める

WAKAZEでは約2年に渡って委託醸造を通じた実績が積み上がってきていたため、生産要件と販売要件をクリア。加えてその間に今井氏が秋田の新政酒造などで蔵人として修行を積み、酒造りの知識と技術を取得していたことで、2018年7月にその他の醸造酒の製造免許を取得し新たな一歩を踏み出した。

少し時間はかかったが、稲川氏によるとチームも開発体制も徐々にではあるがバランスよくまとまってきたそうだ。

現在、醸造技術担当を務める今井氏はもともと東京大学の大学院農学生命科学研究科の出身。発酵学にも詳しく、新卒で入社したオイシックス(現 オイシックス・ラ・大地)で事業経験もある。また2017年にジョインした取締役COOの岩井慎太郎氏は楽天に7年間在籍。ネット事業に対する知見に加えて、実家が酒屋を営んでいることもあり、酒への熱量も他のメンバーに負けないという。

「日本にある酒蔵の数は、今でこそだいたい1500くらいと言われているが、20年前は約2倍の蔵があり、もっと昔に遡ると数万軒単位で存在していた。その時代は多様性があり、日本酒も今以上に活気があったように思う。『多様性を取り戻す』というのは自分たちの1つのテーマで、それこそ奈良時代の作り方などを取り入れてみるなど伝統的なやり方に原点回帰しつつ、クラフトビールのように新しい産業の考え方も掛け算しながら新しい酒づくりに挑んでいる」(稲川氏)

WAKAZEのメンバー

海外にローカライズしたSAKEで日本酒マーケット拡大へ

そんなWAKAZEはVCやエンジェル投資家から資金調達をして、今後どんなチャレンジを進めていくのか。稲川氏の話では、調達資金の使途は大きく2つあるようだ。

1つは冒頭でも触れた通り、フランスへの進出に向けた準備費用。並行して実施しているクラウドファンディングでもすでに500万円以上を集めているが、今夏を目処にパリで自社の蔵をオープンする計画だ。

ここでは蓄積してきたナレッジを活用しつつも「完全に現地向けにローカライズさせていく」方針。現地の米と水を用い、現地の食事に合わせた味わいの“SAKE”を開発する。パリで自社製造できる仕組みを作ることで、輸送コストや中間マージンを省き、手に取ってもらい安い価格で販売できるのもメリットだ。

「今まで日本の酒が30ユーロで販売されていたところを、半分の15ユーロで提供していくようなイメージだ。現在フランスではワイン市場がものすごく大きいものの、少しずつ落ちてきている。背景にあるのは新しいカテゴリのジンやクラフトビールなど新種の酒が台頭し始めていること」

「日本酒についてもハイクオリティの商品をミドルレンジの価格帯で提供できれば、爆発的に伸びる余地はあると考えている。ヨーロッパだけで数十兆円のワイン市場の半分ほどを占めるとも言われているが、この市場の一部でもリプレイスすることができれば、日本酒のマーケットももっと拡大できる」(稲川氏)

近年日本酒の輸出額は右肩上がりに成長しているものの、日本の「日本酒輸出額」とフランスの「ワイン輸出額」ではまだ大きな差があるという

投資家の1社である中島董商店が現地でのワイン事業を通じて飲食店や小売店とのチャネルを保有しているため、パリでの展開に関しては同社とも協力しながら進める。オープン前ではあるが「すでに何社かから取引の話はもらっている」そうで、将来的には少なくとも数十万本単位の生産設備も作っていく予定だという。

また海外展開と合わせて、日本でもデジタルを組み合わせた新しい取り組みを始める計画。具体的には自社ECサイトの立ち上げや毎月違うお酒を楽しめるサブスクリプション型のD2Cサービスを準備しているほか、広告を含めたデジタルマーケティング領域にも投資をしていくようだ。

「ビールやワインが世界で数十兆円の市場になっているのであれば、日本酒も数兆円規模になる可能性は十分に秘めているし、そこに対してチャレンジしていくのは自分たちの責務だと思っている。そのためにもまずは自社が大きなSAKEメーカーになり、業界を盛り上げていきたい」(稲川氏)

パリ酒蔵のイメージ図

TezLabアプリはテスラ車のためのFitbitだ

Tesla(テスラ)とその世界中の電気自動車群に対する、最も優れたリアルタイムの洞察が、シリコンバレーのテスラ本社以外で得られるとすれば、それはブルックリンの小さなスタートアップ、TezLabのレンズを通してかもしれない。

創業から2年余りが経ったTezLabは、創業者たちがユーザーの転換点であると考えている地点、すなわちついに収益化へと向かうことができるマイルストーンにたどり着こうとしている。そして同社は、その計画を加速することを助けるために、多くの新機能を追加している。

テスラ車を所有していない人にとっては、TezLabという名前はおそらくなじみのないものだろう。だが特定のコミュニティでは、すなわち自分の電気自動車がどのように振る舞っているかを知ることに夢中なテスラ車のオーナーたちの間では、TezLabはおなじみのものだ。

TezLabはテスラ車用の、Fitbitのような無料アプリ。アプリをダウンロードしたテスラ車のオーナーは、自分の車の効率性や総移動距離を追跡することが可能であり、またアプリを使って車両のいくつかの機能を制御することが可能である。例えばドアの施錠や解錠、エアコンの動作などを制御できる。さらにユーザーがマイルストーンを達成したり、タスクを完了すると、バッジを獲得できるといった、ゲーミフィケーションの要素さえ備えている。

同社は、収益化を目的とした長期計画の一環として、新しい機能を追加し始めた

そうした機能の1つとして、Wazeのようにデータをクラウドソーシングを行い、地図上でテスラ・スーパーチャージャーステーション(テスラ車のための充電ステーション)の状況とレーティングを提供するサービスが提供され始めた。以下のビデオは、このスーパーチャージャー機能がどのように機能するかを示したものだ。

スーパーチャージャーのWaze的機能は、同社のより広いクラウドソーシングとソーシャルコミュニティの計画の中では「第1段階」とみなされているものだ。

創業物語

TezLabを開発する6人のチームはHappyFunCorp(HFC)から生まれた。HFCは、モバイル、ウェブ、ウェアラブル、そしてIoTデバイスのためのアプリケーションを顧客から委託されて開発するソフトウェアエンジニアリング企業である。顧客には一連のスタートアップと並んでAmazonやFacebook、そしてTwitterも含まれている。

共同創業者のベン・シッパース(Ben Schippers)氏とウィリアム・シェンク(William Schenk)氏を含むHFCのエンジニアたちは、テスラの技術中心のアプローチと、1つの重要な点に引きつけられた。それはテスラのAPIエンドポイントが外部からアクセス可能だったということだ。

テスラのAPIは技術的には公開されていない。しかしそれは存在していて、テスラ自身が直接提供するアプリケーションが、車と通信して、バッテリ残量を読み取ったり、ドアのロックを行ったりするために使われている。これをリバースエンジニアリングすることで、サードパーティのアプリがこのAPIと直接通信することが可能になる。最近テスラのCEO、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が、APIをサードパーティに公開する件に関して発言を行っている。

「基本的に、サーバーに接続するための配管は既に設置済なのです」とシッパース氏はTechCrunchに語っている。「これが私たちに行動を促すきっかけでした」。

テスラの購入ブームがHFC内で巻き起こった。シッパース氏、シェンク氏そしてたくさんのHFCのエンジニアたちや職員たちがModel 3のようなテスラ車を購入して、今でも所有している。そして最初のTezLabを開発するために35万ドル(約3800万円)の初期資金をHFCは用意した。

データリポジトリ

TezLabはすべてのテスラ車オーナーに使われているわけではない。だがシッパース氏は、アプリはユーザー数のクリティカルマスに近付いていると信じている。毎週200人以上のテスラ車オーナーがこのアプリをダウンロードしており、その割合は加速している、と彼は語った。

Sensor Towerによれば、TezLabはApple App StoreとGoogle Play上で、合計1万6000回インストールされている。この数字はユニークで新しいインストール数を示したものだ。同社は同じユーザーが再インストールした場合や、所有する複数のデバイスにインストールした場合には、重複したカウントは行わない。とは言えそのインストール数は1万8000に近い可能性がある。なぜならアプリのテストを行うオンラインサービスであるTestFlightでも多数登録されているからだ。

比較のために数字を挙げると、テスラは2018年に全世界で24万5506台の車両を出荷している。TezLabはすべてのテスラオーナーが彼らのアプリをダウンロードすることは期待していない。その代わりに、シッパース氏はまずオーナーの10%を狙っている(彼はそれが手の届く目標だと考えているのだ)。そして最終的にはより高いシェアを狙おうとしている。

現在の数でさえ、TezLabはテスラデータの大規模なリポジトリ(貯蔵所)となっている。同社は1日に85万から100万個のイベントを保存していて、その量は増え続けている。シッパース氏によれば、これは1日あたり1 GBを超えるデータに相当する。

「私たちは、車両群が何をしていて、何故それをしているのかに対する大規模な予想を始められる位に、十分なデータ量をシステム内に収集しています」と、HappyFunCorpのCEOであり、TezLabの製品責任者であるシッパース氏は語っている。

tezlab

データは集約され、匿名化されていて、そして公開されていない。また、それらのデータを販売する計画は存在しない。

「データを販売するというビジネスに参入することなく、本当に意味のあるものを開発できると考えています」とシッパース氏はTechCrunchに語った。

もちろん、理論的には、もしテスラがアクセス方法を変えてしまったら、シッパース氏と他のメンバーがTezLabで開発したものは、一夜にして使えなくなってしまう可能性がある。

「テスラは、FacebookZyngaに対して行った仕打ちを、私たちに対して行うことが可能です。もちろん私たちはそれを望んでいませんが」とシッパース氏は語った。

テスラはこの件に関するコメントは拒否している。

TezLabがそのウェブサイト上で公に提供しているのは、その処理データに基づく知見である。例えば、サイトにアクセスした人はだれでも、所有されているモデルの内訳や、平均走行時間、および充電間の平均時間などを知ることができる。

同社がアプリに機能を追加するにつれて、オーナーたちがどのように自分のテスラ車を使用しているかについての理解が深まるに違いない。

舞台裏ではもちろん、TezLabは自社のウェブサイトに表示されるもの以上のものを知っている。それはファントムドレイン問題(人間が使用していないのに充電残量が早く減っていく現象)や、テスラAPIがオフラインになっているかどうか、もしくは充電量が急増しているのかといった状況を素早く検出することができる。また例えばTezLabは、テスラのスーパーチャージャーステーションへの訪問が、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日。5月の最終月曜日)には、2019年の他の日の平均に比べて84%多かったということを発見することができる。

Stravaモデル

データを補足して保存することが、収益化を目指すTezLabの計画の中核だ。より多くの機能が追加されても、アプリは無料のまま提供される。

同社は、ソーシャルフィットネスネットワークであるStravaのビジネスモデルにならうことを計画している。それは機能ではなく容量に対して課金するモデルだ。新しい機能が追加されるにつれて、オーナーたちにとってデータは遥かに価値のあるものになる可能性がある。TezLabはオートパイロット走行の追跡を検討していて、その他にもテスラ車に現在搭載されているセキュリティ機能であるSentry mode(監視モード)で「面白いこと」を行うことも検討中だ。

この夏には、アプリはコミュニティを形成するためのクラブ(これはシッパース氏が特に望んでいる)機能を導入する予定だ。この機能を使うことで、テスラ車のオーナーたちは、例えばノルウェー、ブルックリン、あるいはサンフランシスコといった特定のクラブに参加することができる。それはオーナーが他のオーナーたちを簡単に見つけて会話を行うことができるようにデザインされる。ただしこのクラブに入ることができるのは、テスラ車を所有する人だけだ、とシッパース氏は付け加えた。

テスラに対しては、TezLabのスタッフは自らを「王国の守護者」と位置付けている。結局、彼らの活動すべてが、テスラの成功を助けることになるのだ、とシッパース氏は語っている。

「私たちが参考にしているのは、Fitbitがウォーキングとエクササイズとモチベーションのために行ったことなのです」と彼は言った。「私たちはそれを電気自動車の分野に持ち込みたいのです」。

画像クレジットBryce Durbin

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(翻訳:sako)