WhatsAppで薬の配送サービスを提供するインドのDigi-Prex

インドのスタートアップがWhatsAppのユーザー数を利用したビジネスを開発している。WhatsAppはインドで最も人気があるアプリで、国内に4億人以上のユーザーを抱える。

創業7カ月のDigi-Prex(ディジ・プレックス)はハイデラバードで慢性疾患患者向けのオンライン処方薬局を開いた。患者は処方箋をWhatsAppでDigi-Prexに送信し、Digi-Prexは定期的に薬を患者に送付する。

Digi-Prexのサービスは配達だけではない。薬が必要となる時期を患者自身が管理しやすくしたり、薬による改善が見られるかどうかをDigi-Prexがチェックする。ハイデラバードでこれまで数千人の顧客を集めたと、Digi-Prexの創業者であるSamarth Sindhi(サマース・シンディ)氏はインタビューでTechCrunchに語った。

Digi-Prexは有力ベンチャーキャピタル数社が参加したシードラウンドをクローズした。インドのスタートアップにとって最大のシードラウンドの1つとなった。

Khosla Ventures、Vedanta Capital、Y Combinator、Quiet Capital、SV Angelから550万ドル(約5億9000万円)を調達した。Tinderの創業者であるJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏もラウンドに参加した、とシンディ氏は述べた。

「オンラインで顧客を獲得するのではなく、医師や薬局と協力して顧客にサービスを提供している」とシンディ氏は言う。彼は米ブラウン大学の卒業生であり、インドに戻る前に米国の医療会社で働いたことがある。Digi-Prexは医師や薬局と利益を一部シェアするが、より重要なのは医師や薬局と組むことにより遠隔地の顧客にサービスを提供できるため、顧客の居住地を問わず全ての患者が潜在的な顧客になる点であるという。

Digi-Prexは医薬品販売業者と直接提携しているため低コストで配達できる。一方店頭では割引価格で顧客に薬を販売する。

シードラウンドの資金でインドの10都市に事業を拡大し、患者にとってより使いやすいビジネスモデルを模索するとシンディ氏は説明する。患者が優れた医師へアクセスしたり病気に関するより多くの情報を得られるようなサービスにも取り組んでいる。

Digi-PrexがWhatsAppを配送プラットフォームとして使用していることに驚きはない。「インドに戻ったとき、テキストメッセージを誰も使っていないことに感動した。みんなWhatsAppを使っていた」と彼は言う。

インドで最も人気のあるWhatsAppは、国内で次々にビジネスに利用されている。例えばY Combinatorが支援するVahan(バハン)は、WhatsAppで労働者が物流会社の仕事を見つける支援をしている

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

米ウォルマートが店頭から電子たばこを一掃へ

ウォルマートは、米国の店舗から電子たばこを一掃する計画だ。

「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と広報担当者がメールで明らかにした。「在庫がなくなり次第、販売を終了する」

最初に報じたのはCNBCで、社内文書の内容として報道した。

ウォルマートの動きは連邦規制当局が業界に大きな圧力をかけていることを受けたものだ。当局は全米の電子たばこ関連と疑われる症状への対応に追われている。だが犯人はたばこではなく、THC(大麻の有効成分)が目的の合法性が疑われる製品のようだ。

規制当局や民間の健康関連団体は、10代の電子たばこ使用率が劇的に増加している現状を警戒し、フレーバー電子たばこの禁止に動いている。喫煙がまん延する一部の国では、電子たばこを完全に禁止する初期的な措置を講じている。

関連記事:インドが電子たばこを禁止、若者の健康への懸念を理由に

CNBCによると、ウォルマートは社内文書で「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と通達したという。

今月初め、前ニューヨーク市長で富豪のMike Bloomberg(マイケル・ブルームバーグ)氏の関連慈善団体が、子どもの電子たばこ喫煙を防止するため1億6000万ドル(約172億円)を拠出することを明らかにした。ホワイトハウスも翌日、フレーバー電子たばこのカートリッジ販売を禁止する措置を取ると発表した。

関連記事:トランプ政権が電子たばこの規制強化、フレーバーの禁止も

報道では、保健当局が電子たばこに絡む肺疾患の原因究明を急いでいる。米国で少なくとも530人が電子たばこが原因と疑われる肺疾患にかかっている。米国疾病管理予防センターは9月19日の声明で、これまで7人が関連する疾患で死亡したが、症状の原因とみられる物質や製品は特定されていないと発表した。

この肺疾患はこれまで全米38州で確認された。

ウォルマートは10代のたばこ製品へのアクセスを制限する措置をすでに取っている。今年初めにはたばこ製品の購入年齢を21歳に引き上げた。ティーンエイジャーの間で「大流行」していると規制当局がみる状況への対応だ。少なくとも25%の学生が、自身は電子たばこを喫煙していると答えている。

電子たばこ大手のJuulにとっては悪いニュースだ。同社は2018年12月にたばこ大手のAltria Groupから128億ドル(約1兆3770億円)を調達した。

Juulは市場シェア70%を占める電子たばこブランドとして当局による精査の焦点となっている。FDA(米食品医薬品局)は今月初め、同社のマーケティングの方法に問題があるとして警告を与えた。

Juulは政府が課す規制をすべて順守すると述べた。フレーバー製品に関する連邦規制案に対し同社は「フレーバー製品全体の規制を強化することに全面的に同意する。発効次第、FDAポリシーを完全に順守する」と表明した。

ウォルマートは、この記事執筆時点でTechCrunchからのコメント要請に応じていない。

画像クレジット:EVA HAMBACH / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Canopyがユーザーのプライバシーに配慮したニュースアプリを公開

パーソナライズのテクノロジーにより、一人ひとりのユーザーに応じてアプリのコンテンツがカスタマイズされ、アプリの体験が向上する。しかし同時に、ユーザーのプライバシーは徐々に失われかねない。Canopyという企業はこの状況を変えようとしている。同社は、ユーザーのログインもメールアドレスの提供も求めないパーソナライズのエンジンを開発した。デバイス上の機械学習と差分プライバシーを組み合わせて、アプリのユーザーにパーソナライズされた体験を提供する。この技術の実例として、同社はニュースリーダーアプリの「Tonic」を公開した。

この新しいアプリは、完全にプライベートでありつつ、体験をカスタマイズするためにユーザーの好みを学習し続けていく。しかし、ほかのパーソナライズのエンジンとは異なり、操作や行動の生データはデバイスから出ていかない。したがってCanopyも、コンテンツプロバイダやパートナー企業も、生データを一切見ることができない。

Canopyは次のように説明している。

(生データの代わりに)個人の操作と行動のモデルを差分プライバシー技術で処理して、当社サーバに暗号化通信で送信する。Canopyに送信されるあなたのローカルモデルは、あなたの操作と直接結びつくことは一切なく、代わりにあなたと似た人々の好みの集合を表す。これがほかとは異なる、我々のアプローチのきわめて重大な特徴だ。暗号化のエラーがあった、あるいはサーバがハッキングされたといった最悪の事態が起きた場合でも、このプライベートなモデルは個人を表していないので、誰も、何もすることができない。

もうひとつの大きな特徴は、Tonicはパーソナライズの設定をユーザーが制御できるようにしているということだ。これは、ほかにはあまりない。パーソナライズのテクノロジーを利用したアプリを使ったことがある人なら、おそらく曲、ビデオ、ニュース記事などのおすすめが表示されたが自分の好みとはまったく違うし、自分が本当に好きなものを表してはいないという経験があるだろう。ほとんどのアプリはこのような情報を詳しく説明していないため、なぜそれがおすすめになったのかわからない。

一方、Tonicではユーザーがパーソナライズの設定をいつでも見ることができ、変更やリセットをすることもできる。

Canopyの目標はTonicの公開ではなく、テクノロジーのライセンス供与だ。Tonicの主な目的はパーソナライズのエンジンがどのように動作するかをデモンストレーションすることだが、このアプリにはほかにも注目すべき特徴がある。

Canopyは人間の編集チームを雇用して、ニュースコンテンツを選んでいる。クリックべイトやヘイト記事といったノイズの山を提供しないようにするためだ。ニュース速報や、裏が取れていないような速報記事も提供しない。同社は、緊急性を求めて最新のニュースを追いかけるアプリを作ったのではないという。

Tonicは、情報を知り発想を得るために毎日読むべき記事を幅広い情報源から厳選し、パーソナライズして届けることに力を入れている。デジタルウェルビーイングという観点では、無限のニュースフィードではなく、記事の数は有限であることが重要と考えられる。

CanopyはTonicの公開にあたり、「おすすめを知るためにデジタルの自分を犠牲にするのは、もううんざりだ。それに、エンゲージメントを最大にすることを目的に最適化された無限のニュースフィードや速報、乱暴な記事に代わるものを作りたかった。そこで我々はTonicを開発した」と説明している。

テック企業大手がユーザーデータの不注意な扱いについて調査を受け、ユーザーのプライバシーへの関心が一般に高まっているこの時期に、こうした技術が公開された。例えばアップルは、同社のハードウェアやソフトウェアがユーザーのプライバシーを尊重していることをセールスポイントとして強く打ち出している。

ニューヨークを拠点とするCanopyは、Brian Whitman(ブライアン・ウィットマン)氏が創業した。同氏はEcho Nestの創業者であり、Spotifyの主任サイエンティストだった。CanopyにはSpotify、Instagram、Google、ニューヨーク・タイムズの幹部だった人々もいる。CanopyのシードファンドはMatrix Partnersが主導し、Spotify、WeWork、Splice、MIT Media Lab、Keybaseなどからも投資家が参加して、450万ドル(約4億8000万円)を調達した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

1日70円の傘シェア「アイカサ」が西武新宿線をコンプリート、西武池袋線はどうなる?

Nature Innovation Groupは西武鉄道西武プロパティーズと共同で、東京・新宿〜埼玉・川越を結ぶ西武新宿線全29駅に、傘のシェアリングサービス「アイカサ」を実証実験として導入することを発表した。本日9月22日から利用可能だ。実証実験の期間は2020年9月までの約1年間。

アイカサは昨年12月に東京・渋谷エリアから始まった、1日70円で傘を借りられるサービス。専用アプリのインストールは不要で、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使えるのが特徴だ。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能になる。

傘を借りると1日ごとに70円が加算されていくが、6日以降から1カ月間は420円。ゲリラ豪雨など想定外の雨であっても、コンビニエンスストアで傘を購入するより安価に利用できる。傘の返却は最寄りのアイカサスポットに返却すればいい。決済方法は、クレジットカードのほかLINE Payを選べる。

Nature Innovation Groupはこれまでも、首都圏ではJR東日本や京急電鉄、小田急電鉄などの主要駅と周辺の商業施設、福岡では市と連携して福岡市営地下鉄天神駅や西鉄福岡駅、キャナルシティ博多などにアイカサスポットをエリア展開してきた。

今回の西武ホールディングスグループとの連携は、エリア(面)展開ではなく、沿線(線)展開。起点の西武新宿駅(駅番号SS01)から終着駅の本川越(駅番号SS29)までの各駅にもれなく設置される。西武新宿、高田馬場、鷺ノ宮、上石神井、田無、東村山、所沢、本川越などの主要駅だけでなく、郊外の各駅停車しか止まらない駅にも設置される点に注目だ。

西武新宿線の各駅は、2018年度の1日あたりの乗降人員が最も少ない落合駅(東京都新宿区)で1万2479人、最も多い高田馬場駅(東京都新宿区)で30万4904人。郊外では2万人以上の乗降人員の駅が多く、今回の全駅への設置によって、アイカサを自宅の傘がわりに普段使いできる環境が整う。沿線住民は、いつでも駅で傘を借りられていつでも駅で返せるわけだ。

設置場所と利用可能時間は以下のとおり。改札内にあるアイカサを利用するには、入場券もしくは乗車券が必要となる。

  1. 西武新宿駅:正面口(終日)、北口(7:00~終電車)
  2. 高田馬場駅:早稲田口(初電車~終電車)、BIGBOX口(初電車~終電車)、BIGBOX高田馬場 1F 入り口(月~土10時~21、日・祝10時~20時)
  3. 下落合駅:北口(終日)
  4. 中井駅:改札内(初電車~終電車)
  5. 新井薬師前駅:北口(初電車~上り終電車)、南口(終日)
  6. 沼袋駅:南口(終日)
  7. 野方駅:改札内(初電車~終電車)
  8. 都立家政駅:南口(終日)
  9. 鷺ノ宮駅:改札内(初電車~終電車)
  10. 下井草駅:北口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、南口(終日)
  11. 井荻駅:北口(終日)、南口(終日)
  12. 上井草駅:北口(初電車~終電車)、南口(終日)
  13. 上石神井駅:北口(終日)、南口側コンコース(初電車~終電車)
  14. 武蔵関駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、Emio武蔵関 2F入り口(初電車~終電車)
  15. 東伏見駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口側コンコース初電車~終電車)
  16. 西武柳沢駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口(初電車~終電車)
  17. 田無駅:北口2階EVのりば付近(初電車~終電車)
  18. 花小金井駅:北口1階 EVのりば付近(終日)
  19. 小平駅:北口側コンコース(初電車~終電車)、南口側コンコース(初電車~終電車)
  20. 久米川駅:北口(初電車~終電車)、南口(初電車~終電車)
  21. 東村山駅:改札前コンコース(初電車~終電車)、西口側コンコース(初電車~終電車)
  22. 所沢駅:東口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、西口2階EVのりば付近(初電車~終電車)、西口ペデストリアンデッキ(終日)
  23. 航空公園駅:東口(終日)
  24. 新所沢駅:西口側コンコース(終日)、東口(終日)
  25. 入曽駅:西口(初電車~終電車)、東口(終日)
  26. 狭山市駅:Emio狭山市2Fミスタードーナツ前(初電車~終電車)、西口側コンコース(終日)
  27. 新狭山駅:改札付近(初電車~終電車)、南口(終日)
  28. 南大塚駅:改札前(初電車~終電車)
  29. 本川越駅:西口(初電車~終電車)、蔵のまち口(初電車~終電車)

なお、今回の西武新宿沿線の全駅設置の経緯についてNature Innovation Groupに話を聞いたところ「今回の件はまず西武鉄道から話があり、Nature Innovation Groupから全駅設置を提案したところ実現した。新宿線沿線は小田急電鉄などアイカサの既存スポットとのシナジー効果も考慮して導入することになった」とのこと。

西武鉄道沿線で最も利用客が多い西武池袋線(池袋〜吾野)へのアイカサの導入については「池袋線沿線も今後拡大を前提に検討している」と教えてくれた。さらに現在はLINEプラットフォーム上でのサービス展開だが、今後はより利便性を高めるべく独立アプリの開発を検討しているとのこと。

シードラウンドで破格の約54億円を調達、機械学習技術のVianaiとは?

シードラウンドで5000万ドル(約54億円)を調達できるスタートアップはあまりない。Vianai(ヴィアナイ)は、Infosysのマネージングディレクター兼SAPエグゼクティブだったVishal Sikka(ビシャール・シッカ)氏が立ち上げたスタートアップだ。潤沢な資金と独自のビジョンで機械学習技術の変革を目指す。

今週、Oracle Open Worldで同社はカミングアウトパーティーを開催し、シッカ氏は基調講演で製品のデモを披露した。Infosysを辞めた後の2年間、シッカ氏はAIと機械学習が社会へ与えるインパクトとその実現方法について考えた。AIを取り巻く状況に彼は不満を持っていた。

シッカ氏は1996年にスタンフォード大学からAIの専門分野で博士号を取得しており、AIは未知の領域ではない。当時と比べて変わったのは計算能力の増大とデータ量の増加で、その二つによってAIがビジネスで利用される現在のブームが起きたと彼は言う。企業によるAIと機械学習の導入事例を調べていくと、多くのツールが必要以上に複雑であることが分かった。

コードでぎっしりつまったJupyter Notebookが眼の前にあった。典型的な機械学習モデルからコードをすべて削除すると、モデルの基礎となる一連の数式が浮かび上がってきた。シッカ氏のビジョンは、もっと数学的な視点からモデルを構築するとともに、高度に視覚的なデータサイエンスプラットフォームを一から構築するというものだった。

同社は昨年1年間かけて、新しいソリューションを生み出すべく試行錯誤を繰り返した。念頭に置いたのは探索可能性と説明可能性の2つの基本原則で、データとその分析結果の表示との連携がポイントになる。現在世の中にあるどのモデル構築ツールよりもユーザーが早く目標を達成できるようにその連携をデザインする。

「目指すシステムは、ユーザーが行っていることに正しく反応し、完全に探索可能であると同時に、システムの中で何が起こっているのかを開発者が極めて簡単に検証できるものだ。説明可能性を備えるということは、データとモデルを行き来できることを意味し、データに潜んでいる意味のある何かをモデルを通して理解することだ」とシッカ氏はTechCrunchに語った。

シッカ氏が想定するツールはデータサイエンティストだけが使うのではなく、ビジネスユーザーとデータサイエンティストが共に試行錯誤して答えを探すために使うものだ。求める答えは、例えば顧客の解約率を減らす方法や不正を発見する方法だ。純粋なデータサイエンスだけの世界から使えるモデルは生まれない。モデルはビジネスの成功のためにある。AIを使って企業が成功するために、シッカ氏が必要だと考える唯一の方法は、ビジネスユーザーとデータサイエンティストの両方が膝を突き合わせながらソフトウェアを使って問題を解決することであり、互いの専門知識を生かすことが欠かせない。

これはシッカ氏にとって、解決すべき問題を正しく定義することを意味する。「AIは問題を解決するためにあるが、その前に人間がすべき仕事がある。ビジネスにとって重要性があり、また組織にとって価値のある問題を見分け、明確にすることだ」。

シッカ氏のビジョンは明快だ。人間をAIに置き換えるつもりはないが、AIを使用して人間の知能を高め、人間が直面する問題を解決したい。Vianaiの製品は自動機械学習(AutoML)ではないとシッカ氏は断った。「データサイエンティストの実務を自動化したいわけではない。データサイエンティストの能力を高めたいのだ」。

今回の大型シードラウンドに至ったのは、ビジョンの実現には多額の資金が必要で、しかも前もって調達すべきとシッカ氏が考えていたからだ。調達には自身の評判とコネクションを利用する考えだった。資金を調達してしまえば自分は製品と会社に集中できる。幸運にも彼のビジョンを信じる投資家がいた。初期の事業計画が現実という試練をくぐり抜けることはないにも関わらずだ。シッカ氏は投資家の名前は公表せず、友人や裕福な有名人、機関投資家とだけ言及するにとどめた。Vianaiの広報担当者は、現時点では投資家のリストを公開していないと重ねて断った。

今やVianaiには新しい製品と十分な資金があり、収益性向上の準備は整った。シッカ氏は、究極の目標は収益性であると言う。彼には大規模な組織を経営することもできたが、多くのスタートアップの創業者のように、問題を見つけ、また解決するアイデアもあったため、挑戦せずにはいられなかったようだ。

画像クレジット:iMrSquid / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

富士フイルムの今度のX-Pro3カメラはフィルム写真的機能が山盛り

富士フイルムが近く発売するX-Pro3は、同社の人気のデジカメであるミラーレスのレンジファインダーカメラ(X-Pro2)の後継機で、10月23日の発売日の前にたくさんの情報や写真がリークされた。それは米国時間9月20日に開催されたX Summitイベントでのことで、同社はFujirumorsからたくさんの詳細画像を流し、初めてその革新的なリヤディスプレイのデザインを披露した。

X-Pro3は液晶が背面にある。今のレンズ交換式デジタルカメラの多くがそうだが、でもかなり独特だ。ふつうに使ってるときはスクリーンは隠れていて、表示面をカメラの背中に向けている。そしてそのときのドアの外向きの面には小さなOLEDの「ミニスクリーン」があり、カメラのごく基本的な設定が表示されている。

その小さな背面ディスプレイには、シャッタースピードや絞り、ISO、そしてフィルムシミュレーション(フィルム的色調)やファイルサイズの設定がある。そしてファインダーから見えるものがどんな画像になるか見たかったら、ドアを下に開けると通常の液晶画面になる。そのようにディスプレイが下に見えると、ローアングルの撮影のときにはほぼ真正面に見ることになり便利だ。昔のフィルムカメラに、腰の高さで見られるファインダーがあったように。

  1. shows-film-simulation

  2. X-Pro3-mini-LCD-2

  3. X-Pro3-hidden-LCD

  4. X-Pro3-screen-tilted-down

X-Pro3には電子ファインダーもあるが、でもそれはフィルム写真とデジタル写真の違いに近くて、カメラを使うフォトグラファーはファインダーを使うか、下に開くスクリーンを見ながら腰の高さで撮るかのどっちかだろう。ただしカメラの背面の画面をよく見ると、もっといろんな設定があるのがわかる。

富士フイルムのレンズ交換式デジカメのAPS-Cシリーズは、そのフィルムシミュレーションによりすでに多くのファンを獲得している。それは同社がこれまで提供してきたいろんなタイプのフィルムを真似するから、フィルムシミュレーションと呼ぶのだ。X-Pro3では、そんなフィルム的体験が、最新のデジタル写真技術によりもっと強力にできる。真似するフィルムのタイプにも「Classic Negative」(昔のネガ風)というやつが増えた。

Classic Negative

そして、カメラの骨格はチタンだ。超丈夫だけど超軽い。色は3種類ある。

New X Pro3 colors

まだ価格の発表はないが、もちろんそのほかの詳細とともに10月23日にはわかるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

三菱重工業のH-IIBロケット再打ち上げは9月24日を予定

先週、打ち上げ台上の火災でつまずいた三菱重工業(MHI)が再び、国際宇宙ステーションに備品などを運ぶ補給機HTV-8のミッションに挑戦する。打ち上げは当初9月11日を予定していたが、火災の後始末や原因調査などもあり、新たな打ち上げ日は日本時間の9月24日午前1時30分に決まった(米国東部時間9月23日午後12時半、太平洋時間午後9時半)。

火災は消火されロケットにも積荷にもダメージを残さなかったが、調査によると原因は静電気の蓄積による可能性が極めて高い。静電気の発生は、ロケットエンジンへの推薬補給時に排気口から滴下する酸素によるものと思われる。MHIはすでに対策に着手しており、ロケットと打ち上げ用施設設備は今や完全な機能性があって、二度目の打ち上げへの準備が完了している。

打ち上げに使われるH-IIBロケットはMHIのM-IIシリーズロケットの推力が最も大きい構成で、ISSの備品のほかに、さまざまな学術および商用の顧客のための複数の小型衛星とそのCubeSatランチャーも運ぶ。H-IIBは中心に1基のブースターがあり、エンジンは液体酸素を推薬(推進剤)として使用、そしてロケットの底部にある4基の固体燃料ブースターがさらなる推力を与える。静止遷移軌道への最大積載量は、8200キログラムである。

H-IIBのミッションは、来年あともう一度ある。その後、MHIは完全に使い捨ての打ち上げ機H3に注力する。これは主に商用の顧客の利用を目指していて、中程度のペイロードではコスト的にSpaceXなどの競合相手と互角に勝負できることを目指している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

FacebookはユーザーがゲームやARで遊べる広告フォーマットを拡充

Advertising Weekに先立ち、Facebookは3種類のインタラクティブな広告フォーマットの追加を発表した

まず1番目として、アンケート型の広告が、Facebookモバイルアプリのメインのフィードにも登場する。これは、すでにInstagram(インスタグラム)のストーリーで使われているものだ。2番目は、これまでFacebookとしてテスト中だったAR(拡張現実)広告が、この秋にもオープンベータとなる予定だ。そして3番目は、ゲーム会社に限らず、すべての広告主が、プレイ可能な広告を利用できるようになる。

Facebookは、米国時間9月18日にニューヨーク市で開かれた記者会見で、各フォーマットを披露した。

例えばE!は、あるテレビ番組を宣伝するために、インタラクティブなアンケート型の広告を掲載したところ、ブランドの認知度を1.6倍にすることができた。またVansでは、スケートボーダーのSteve Van Doren(スティーブ・ヴァン・ドーレン)氏を山から滑り下ろすゲーム型の広告を作成したところ、広告の想起率が4.4%上昇した。そしてWeMakeUpは、ユーザーがメークの色調をいろいろ試せるようなAR広告のキャンペーンを実施したところ、商品の購入が27.6%増加した。

Facebookの最高クリエイティブ責任者兼グローバル・ビジネス・マーケティング担当副社長のMark D’Arcy(マーク・ダーシー)氏は、プレイ可能な広告の当初の例は「まさに文字通りのゲームの仕組みが組み込まれ、ゲームによってブランドを拡める」ものに過ぎないが、時間が経つにつれて「あらゆる種類の」さまざまな相互作用が生み出されるだろうと述べた。

またダーシー氏は、アンケート、ゲーム、ARを広告に組み込むことは、新しいアイデアというわけではないと認めつつ、これまでは通常「重い」ユーザー体験であり、実現するには独立したマイクロサイトを用意したりする必要があったことにも触れた。そうしたものをFacebookの真正面に配置することで、同社はそれらを「超軽量で、楽しく、超スケーラブル」なものにしていくのだという。

その結果、より多くの広告主があれこれ試せるようになり、それにつれて、それらのフォーマット自体も進化するのだという。「12カ月後には、もしかすると6カ月くらい後でも、そうした広告を見てみれば、今とはまったく違ったものになっているはずです」。

こうした新しいフォーマットが、ユーザーのデータをどのように扱うのか、心配する人もいるだろう。Facebookチームによれば、アンケートを集計した結果のみが、広告主と共有されるという。個々のユーザーのデータは共有されない。同様に、AR広告を使ってユーザーが作成した画像は、デバイスのカメラロールに保存されるだけで、広告主と共有されることはないとしている。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleが欧州でクリーンなデータセンターに約3600億円投資

Googleは9月20日、30億ユーロ(約3600億円)を投じて欧州でデータセンターを拡大すると発表した。データセンターが環境に優しいものになるとしている。

同社はEUで2007年からこれまで70億ドルを投資した。今回の発表で注目されるのは、単なるデータセンターではなくクリーンエネルギーで稼働する点だ。

新しい投資を発表したブログでCEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、同社がCO2を排出しないカーボンフリーのデータセンターに注力していることを明らかにした。ピチャイ氏は同日、フィンランドのAntti Rinne(アンティ・リン)首相と持続可能な経済開発について協議した。

30億ユーロのうち、6億ユーロ(約720億円)をフィンランドのハミナで投資する。ピチャイ氏はブログで「持続可能性とエネルギー効率の点ですべてのデータセンターのモデルとなる」とした。前日の9月19日には、米国、南米、欧州で合計1600MW(メガワット)となる18の新しい再生可能エネルギー購入についても発表している。

関連記事:Googleは新たに18の再生可能エネルギー関連の契約を発表

ブログでピチャイ氏は、欧州の新しいデータセンタープロジェクトが前日に発表した再生可能エネルギー購入とどう関わるか説明した。

欧州における10の再生可能エネルギープロジェクトの立ち上げにより、弊社が購入する電力のほぼ半分が欧州からになる。電力購入契約によって新たに、ベルギーの洋上風力プロジェクトから、デンマークの5つの太陽発電プロジェクト、スウェーデンの2つの風力発電プロジェクトまで、EUで10億ユーロ(約1200億円)以上のエネルギーインフラ建設が始まる。フィンランドでは2つの新しい風力発電プロジェクトに取り組み、国内の再生可能エネルギー容量を2倍以上に増やす。フィンランドで事業を拡大するのみならず、データセンターのほぼすべての電力消費量をフィンランドのカーボンフリー電力でまかなう。

同社は新しいスキルの習得支援にも投資する。データセンターなどが求める新しい職種で必要とされる高度な技術の習得を促す。同社は欧州でこれまで500万人に実践的なデジタルスキルトレーニングプログラムを無償で提供しており、最近ヘルシンキにもGoogleスキルハブを開設した。

同社がクリーンエネルギーに関して発表したのが地球温暖化ストライキデーだったのは偶然ではない。地球温暖化ストライキデーは、勉強や仕事の手を止めて世界中で企業やリーダーに行動を促そうという日だ。Googleは今回の一連の発表で応えようとしている。

画像クレジット:Fredrik Skold / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

iOS 13のオーディオ共有機能がBeatsヘッドフォンでも来週から使える

オーディオ共有機能は、iOS 13アップデートで使えるようになるうれしい機能の1つだ。この機能により、複数のユーザーが近くにあるデバイスから流れる音楽を共有できるようになる。ヘッドフォンスプリッターを買ったり、あなたのイヤホンの片側を誰かに貸したりといったことの、2019年版のようなものだ。

AirPodsに加えてその他の比較的新しいヘッドフォンでもこの新機能が使えるようになると、Beatsが米国時間9月20日にTechCrunchに教えてくれた。これは、Beatsが数年前にAppleに買収されたことを考えればさほど驚きではない。私が最近愛用しているPowerbeats Proのほか、Studio3 Wireless、BeatsX、Powerbeats3 Wireless、Solo3 Wirelessなど、H1またはW1のチップを搭載するモデルを使用している人にはちょっとしたボーナスだろう。

この機能の使い方は2つある。1つは、ユーザーが2台のiOSデバイスを近くに置き、それぞれに音楽を流す。すると、最初のペアリングプロセスで見られるようなShare Audioのダイアログボックスが現れる。あとはShare Audioをタップするだけでいい。

もう1つは、2つのヘッドフォンを1台のデバイスにペアリングする方法。もしデバイス2台にアクセスしないのであれば、こちらのほうがいいだろう。しかしApple(アップル)の技術を持ってしてもプロダクト間で切り替えるのはちょっとした手間だ。いずれにしろ、長い通勤時にプレイリストをシェアできるというのは素敵なオプションとなる。

この機能は9月23日から利用できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

「YouTubeの作者確認プロセスの改良は失敗」とCEOが認める

ビデオの作者確認のやり方を変えると発表したYouTubeは、それから24時間も経たないうちに、CEOのSusan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏が失敗を認めた。

ウォシッキー氏は「作者とユーザーのみなさま、新しい確認方法でご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。改善するつもりでしたが、うまくいきませんでした。今、みなさまのご心配にお応えして対応を図っておりますから、もうしばらくお待ちください」とツイートした:。

変更の目的は、作者の確認作業がYouTubeからの承認ではないことを明らかにし、単純に作者の本人性(本名など)を告げることだった。YouTubeがヘイトスピーチや間違った情報の拡散を手助けしていると批判されるようになってからは、この区別がますます重要になっていた。それは当時からYouTubeが、このサービスはオープンなプラットホームだと自分を弁護していたからだ。

そこでYouTubeは今後、単純にチャンネル登録者が10万件以上のアカウントに確認のリクエストを認めるのでなく、有名人や有名企業、知名度の高い作者などにフォーカスすることになった。

この新しいポリシーにより、チャンネル登録者が数百万人もいる利用者も含め、多くのYouTube作者が確認ステータスを失うと通知された。当然彼らは、その不幸を広く喧伝した。それは、人気のユーチューバーであるPewDiePieが確認マークを失ったという誤報まで生み出した。

YouTubeが作者確認のやり方を今後どう修正するのか、それはまだわからないし、作者が満足するかも分からない。今のところはYouTubeトップの謝罪があっただけだ。

関連記事: YouTube’s Neal Mohan is coming to Disrupt SF(YouTubeのプロダクト最高責任者ニール・モーハンがDisrupt SFに来る、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ミシガン大学が釘打ち機能内蔵ドローンを開発中

FAA(米連邦航空局)は、ドローンに火炎放射器や拳銃などの武器を装備することに罰則を設けた。でも、ネイルガンは武器だろうか?シューティングゲームのQuake以外でも?そうではないことを望みたい。ミシガン大学のロボット工学者たちが、屋根板を屋根に釘打ちする機構(ネイルガン)を備えたドローンを開発した

大学のドローンテスト施設で撮られたビデオを見ると、離陸した同機は屋根の先端へ接近し、慎重にネイルガンを打ち込み、やや後退してからさらに二度釘を打ち込んだ。

現状は単なるデモンストレーションで、改良の余地は大きい。ドローン自身がカメラを搭載せず、位置を固定したカメラのシステムと近くのマーカーでドローンの位置を知り、次の場所を指示している。

現在のところ開発のごく初期段階だが、いずれはこういったドローンが内蔵カメラなどを使って、次にタッチダウンする場所を見つけるだろう。コンピュータービジョンの技術は今とても進歩しているから、屋根瓦のコーナーを見つけるなんて朝飯前だろう。

いまはまだ、ドローンは自由飛行しているし電動ネイルガンを使っているので、10分ぐらいしか飛べず、数ダースの釘しか打ち込めない。電力を本体外部からケーブルで供給すれば、もっと長く飛べて、しかも強力なエアネイルガンを使えるだろう。

関連記事:That night, a forest flew(山火事の跡地にドローンで植林する、未訳)

ドローンはすでに、いろんな産業で使われている。ビルを検査し、木を植えている。そしてこの実験で、また1つ用途が広がった。屋根葺きは単調でしかも危険な作業だから、エキスパートが監視しコントロールするドローンにやらせるのがベストだろう。

ミシガン大学のMatthew Romano(マシュー・ロマーノ)氏らが書いたこのドローンの研究論文(PDF)は、今年のInternational Conference on Robotics and Automation(ロボティクスとオートメーションに関する国際会議)にも提出された。

画像クレジット:ミシガン大学

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

シリコンバレーが恐れる米カリフォルニア州のプライバシー法

シリコンバレーが戦々恐々としている。

米カリフォルニア州ではあと3カ月強でプライバシー法が変わる。2020年1月1日に発効するカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)だ。ここ数年で最も大きな変更となる。同州の4000万人の住民だけでなくシリコンバレーのすべてのテクノロジー企業が広くプライバシー保護の恩恵にあずかる。

この法律はヨーロッパのGDPR(EU一般データ保護規則)に似ている。消費者に、企業が取得した情報を知る権利、その情報を削除する権利、およびその情報の売却を拒否(オプトアウト)する権利を与える。

カリフォルニア州の居住者にとっては非常に強力な規定だ。消費者は企業が取得した自分の情報にアクセスできる。企業はユーザーに関する驚くべき量のデータを収集している。ケンブリッジアナリティカが良い例だ。Facebookから数百万人のプロフィールページのデータを取得し選挙の結果を左右しようとした。ここ数カ月でGDPRが課した重い罰金を見れば、シリコンバレーのテクノロジー企業はCCPA施行後に多額の罰金が課される可能性を視野に入れる必要がある。CCPAの施行が適用されるのは、法律発効6カ月後だ。

法がシリコンバレーを震え上らせているのも不思議ではない。そうあるべきだ。

米国の大手テクノロジー企業はほとんどがカリフォルニアにあるから、ロビー活動を行いCCPAの弱体化を試みたのも当然だ。GDPRより重い義務を州の新法に入れて欲しくなかったのだ。

大規模なロビー活動にもかかわらず、カリフォルニア州議会はほとんど法案を修正せずに可決した。州内のテクノロジー企業には悔しい結果だったに違いない。

「ケンブリッジ・アナリティカの件を受けて、テクノロジー企業が自らの“非”を認め消費者利益を最優先する方向に舵を切ったと考えるのは早い」と、ACLU(米国自由人権協会)のNeema Singh Guliani(ニーマ・シン・グリアーニ)氏は昨年、法案成立直後に述べた。「連邦規制に従うよう見せかけているが、実際にはトランプ政権と議会を巻き込み州レベルの消費者プライバシー保護を弱めようとしている」。

法律が可決された後、テクノロジーの巨人たちは最後の切札を出した。より包括的な連邦法案の推進だ。

広範なロビー活動を通じて、世の中へ発信するメッセージをコントロールすることができる。連邦法案は、カリフォルニア州の新しいプライバシー法の規定を一部無効にする弱体化された法律だ。連邦法案が通れば、膨大な費用をかけて異なる州の法律を守る努力をせずに済むという面もある。

ちょうど今月、AmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、IBMのGinni Rometty(ジニー・ロメッティ)氏、SAPのBill McDermott(ビル・マクダーモット)氏を含む51人の最高経営責任者のグループが、上級議員へ宛てた連邦法案を求める公開書簡に署名し、「消費者はそれほど賢くないため、居住する州によってルールが異なる場合には、おそらく理解できない」と主張した。

次に、Dropbox、Facebook、Reddit、Snap、Uber、ZipRecruiterをメンバーに含むInternet Association(インターネット協会)も、連邦プライバシー法を推進している。「今が行動する時だ」と同協会は表明した。年末までに同協会がその気になれば、カリフォルニア州のプライバシー法は施行が適用される前に沈められる可能性がある。

テクノロジー企業のCEOや上級幹部で構成する全国的かつ超党派のネットワークであるTechNetも連邦プライバシー法を求めている。どんなプライバシー法であっても「企業は法律を順守すべきだが、同時にイノベーションも追求できる」ことを保証すべきだと主張しているが、その根拠は示していない。メンバーには、Kleiner PerkinsやJC2 Venturesなどの大手ベンチャーキャピタル、Apple、Google、Microsoft、Oracle、Verizon(TechCrunchの親会社)などの大手テクノロジー企業が入っている。

テクノロジーの巨人と通信会社が協力するとき、何か怪しいことが起こっている。だが、誰かをだましているわけではない。

「テクノロジー業界が連邦法案を推進し始めたのが、CCPAを弱体化させようとする試みがカリフォルニア州議会によって否定された直後なのは偶然ではない」と、ACLU北カリフォルニア支部の弁護士であるJacob Snow(ジェイコブ・スノー)氏はTechCrunchに語った。「テクノロジー企業は連邦法を推進して州のプライバシー法を一掃しようとする企てはやめて、2020年1月1日からカリフォルニア州民がCCPAの下でプライバシー権を行使できるよう保証すべきだ」。

CCPAの発効前に議員ができることはほとんどないが、テック大企業の挑戦を止めることはできない。

シリコンバレーのテック大企業とそのロビイストが本腰を入れたら、カリフォルニア州民がCCPAの恩恵を享受できるのは短い間になってしまうかもしれない。ただ、消費者が一度でも勝利を収めたことが慰めになるはずだ。

画像クレジット:ウィキメディアコモンズ

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebookが個人情報侵害の疑いでアプリ数万本との接続を凍結

Facebookは、ユーザープロフィールを不当かつ大量に収集している疑いがある「数万本のアプリ」との接続を凍結したと公式ブログで発表した。

1年前Cambridge Analyticaスキャンダルの後、Facebookの調査チームが個人情報を収集していると指摘したアプリは400件だったから、今回の措置は範囲が大きく拡大されたことになる。2016年の大統領選挙に際して投票先を決めていないユーザー数千万のプロフィール情報がトランプ候補の当選を助けるために用いられた疑いが出ていた。

Facebookは今回凍結したアプリの正確な数については発表していないが、デベロッパーは400社に上るという。

アプリの接続が停止された理由となった利用約款に反する行為の形態は複数だ。Facebookのユーザープロフィールを大量に吸い上げていた場合もあり、個人が特定可能な状態で取得したプロフィールを公開していた場合もある。

Facebookは個人情報の侵害を約款で繰り返し禁じてきたが、ユーザー情報の不当な利用が「これまで公表してきたものだけだったとは確認できなかった」という。過去に公表されたものとしては、韓国のデータ解析企業であるRankwaveによるデベロッパープラットフォームの不当な利用、Facebookによる監査の拒否、myPersonalityのようにクイズを装って400万件以上の個人データを収集していた例などがある。

スキャンダルの発覚によりCambridge Analyticaなど深刻なセキュリティーの侵害を.行ってきた企業の運営は停止されたが、議会、連邦政府当局はさらなる調査を行い、また制裁金を課している。これにはFacebookのLibra暗号通貨プロジェクトから同社のユーザーデータの処理に関する問題などが幅広く含まれる。

Facebookでは「この件に関しては引き続き調査を継続する」としている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

【スタートアップバトルへの道】「一気に全国を捉えるために出場」2018 Finalist / KURASERU #1

通算9回目となる、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。今年は1114日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催が予定されている。そのTC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は916日、本登録は9月末まで

スタートアップバトルの応募はこちらから

連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、KURASERU代表取締役CEOの川原大樹氏。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、出場までの経緯や登壇時の感想などについて話を聞く。

参考のためピッチコンテスト動画を見まくった

KURASERU(クラセル)は2017年10月、兵庫県神戸市を拠点に、介護・福祉専門職の経験を持つ川原氏が創業したスタートアップ。同社が提供するのは、医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーが病院から退院する要介護者のための介護施設探しをする際のマッチングサービス「KURASERU」だ。

川原氏がTC Tokyo 2018 スタートアップバトルへの出場を決めたのは、追加の資金調達を検討していたタイミングだった。「地方のスタートアップだと、メディアに出るチャンスがなかなかなかった。一気に全国を捉えたいと考えたとき、『スタートアップと言えばTechCrunchだ』ということで、2018年7月ぐらいから応募を計画していた」(川原氏)

KURASERU代表取締役CEO 川原大樹氏

KURASERUは神戸市が主催する「KOBE Global Startup Gateway」の第5期に採択され、アクセラレーションプログラムにも参加していた。このプログラムや、2018年6月にKURASERUへ出資した500 Startups Japan(当時。現Coral Capital)の勧めもあり、ピッチイベントには参加するようにしていたという川原氏。TC Tokyoに先立ち、2018年9月には福岡で開催されたB Dash Camp 2018 Fallでもファイナルラウンドに進出、スポンサー賞を受賞しており、「TC Tokyoでも優勝を狙おう」(川原氏)と勢いがついたようだ。

「これまでのコンテストで、動画が公開されているものについては(参考にするために)映像を見まくった」(川原氏)

資料づくりでは、川原氏にとってプレゼンテーションが一番やりやすい流れとして、4つのポイントを押さえるようにしていたという。「Problem、Solution、Market(Potential)、そしてTeamを説明していくと、私にとっては最も伝わりやすい。TC Tokyoでは、この4つのポイントに事業計画とトラクションを加えて、バトルに臨んだ」(川原氏)

専門性の高い事業領域を伝えるため言葉選びを工夫

前述したとおり、TC Tokyoの時点でピッチコンテストは初めてではなかった川原氏だが、「TC Tokyoは別物」と登壇時の印象を振り返る。「しかも初日、グループAのトップバッターで『さあバトルが始まるぞ』という雰囲気の中、登壇することになったこともある」(川原氏)

聴衆はもちろん多かったのだが、川原氏は「ピッチはメチャメチャ練習したので、それほど緊張はなかった」という。一方、審査員に対しては「質疑応答で何を聞かれるか、ということで緊張していた」と話す。本番では滞りなく回答できて「やりきれた」と川原氏は述べている。

プレゼンの持ち時間は、初日の3分間に対して、ファイナルラウンドでは5分間と長くなる。この持ち時間対策については、川原氏は「優勝するつもりで、最初から5分間で練習していた。あとは3分に収めるために『こことここは省略すればいい』という感じで、さほど問題はなかった」と話している。

また、川原氏は「事業の内容が伝わりにくいので、言葉選びでは工夫した」という。「我々の事業領域は専門性が高い。退院時の調整で、医療ソーシャルワーカーが何をしているかなんて、みんな知らないこと。そこをスムーズに説明するために『退院って、ハッピーなことだと思いますよね。でもそうじゃない人もいる。在宅で介護が難しい人は介護施設をセレクトするしかない状況』と、みんなが想像がつきやすい言葉から選ぶようにした」(川原氏)

インタビューの後半では、出場後の社内外の変化や今後の展望などについて聞く。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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ソーシャルギフトのギフティが東証マザーズに新規上場、プラットフォームの拡大、海外展開の加速を目指す

ギフティ代表取締役の太田睦氏

ソーシャルギフトの「giftee」を運営するスタートアップのギフティは9月20日、東証マザーズに新規上場した。初値は公募・売り出し価格(1500円)を25%上回る1880円、終値は初値を9.6%上回る2060円となった。

ギフティは2010年8月設立。2011年3月にCtoCのソーシャルギフトサービスgifteeをローンチ。その後は2014年1月より法人向けに提供開始したオリジナルギフトの販売システム「eGift System」、2016年4月より粗品や景品の配布に使えるデジタルチケット販売サービス「giftee for Business」を展開。2016年5月にはスマホで使える電子地域通貨システム「Welcome! STAMP」を提供開始している。

gifteeの会員数は125万人(2019年6月末現在)、eGift Systemのeギフト発行企業数は70社(2019年6月末現在)。giftee for Business利用企業数は2018年通期で422社だったが、2019は1月から6月(2Q)の累計で371社となった。

「成長のドライバーになっているのはgiftee for Business。法人の企業は従来、紙のギフト券などを郵送で送っていた。URLに置き換えることで、業務効率を高めることができため、活用いただき、伸びてきている」(ギフティ代表取締役の太田睦氏)。

太田氏は当日に開催された記者会見で「今後の成長戦略には、大きくわけて2つの軸がある」と話した。eギフトのプラットフォームを拡大させていくのが1つ目。そして2つ目は、地理的な横展開、すなわち海外展開だ。同社は2018年10月、マレーシアに現地法人を設立。2019年より導入企業を開拓している。

国内においては「eギフトの認知度は、まだまだこれからだ」と語る太田氏。同氏いわく、国内の金券市場は約9000億円、ギフト市場は約10兆44億円。「どちらもeギフトで取り込んでいけるんじゃないかと考えている」(太田氏)。

【増席しました】TC School #16「チームビルディング(3) 〜チームを深める〜」は9月26日19時開催

4月、6月に続き今年3回目となる「TechCrunch School」の開催が9月26日に決定した。TechCrunchでは、例年11月に開催する一大イベント「TechCrunch Tokyo」のほか、テーマを設定した80〜100人規模のイベントであるTechCrunch Schoolを開催している。

申し込みはこちらから

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前回のTC Schoolの様子

9月26日のTechCrunch Schoolは、「チームを深める(エンゲージメント)」をテーマにしたイベントとなり、キーノート、パネルディスカッション、Q&Aの3部構成。

通算16回目となるTechCrunch Schoolの開催まであと1週間となったが、応募多数のためイベントエリア後方の座席を解放して20席ほど増席することになったので、ぜひこの機会に申し込んでほしい。

iSGSインベストメントワークスで代表取締役/代表パートナーを務める五嶋一人氏

キーノートでは、iSGSインベストメントワークスで代表取締役/代表パートナーを務める五嶋一人氏を招き、これまで手がけてきた投資先スタートアップのチーム育成について語ってもらう予定だ。

パネルディスカッションでは、五嶋氏のほか、AI解析で学習時間を短縮するatama+を大手学習塾などに提供している教育系スタートアップatama plusの創業者である稲田大輔氏、製造業向けカタログサイトやマーケットプレイスの運営を手がけるアペルザでCEOを務める石原 誠氏、そしてエン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏の4名で、チーム育成に関わる悩みや問題点を議論していく。

そのあと、来場者を交えたQ&Aセッションを開催する。Q&Aセッションでは、おなじみの質問ツール「Sli.do」を利用して会場からの質問も募集し、その場で回答していく。

イベント会場は、TechCrunch Japan編集部のある東京・外苑前のベライゾンメディア・ジャパンのイベントスペース。Q&Aセッション後はドリンクと軽食を提供するミートアップ(懇親会)も予定している。

atama plusの創業者・稲田大輔氏

アペルザでCEOを務める石原 誠氏

スタートアップの経営者はもちろん、スタートアップへの転職を考えているビジネスパーソン、数十人の組織運営に課題を抱えているリーダーなど幅広い参加をお待ちしている。なお、今回からは申し込み多数の場合は抽選となるので注意してほしい。

TechCrunch School #16概要
チームビルディング(3) チームを深める(エンゲージメント)
開催日時:9月26日(木) 18時半開場、19時開始
会場:ベライゾンメディア・ジャパンオフィス
(東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル4階)
定員:80人程度(申し込み多数の場合は抽選)
参加費:無料
主催:ベライゾンメディア・ジャパン/TechCrunch Japan
協賛:エン・ジャパン株式会社

イベントスケジュール
18:30 開場・受付
19:00〜19:05 TechCrunch Japan挨拶
19:10〜19:40 キーノート(30分)
19:45〜20:25 パネルディスカッション(40分) Sponsored by engage
20:25〜20:45 Q&A(20分)
20:45〜21:30 ミートアップ(アルコール、軽食)
※スケジュールは変更の可能性があります。

スピーカー
・キーノート
iSGSインベストメントワークス代表取締役/代表パートナー・五嶋一人氏

・パネルディスカッション、Q&A
iSGSインベストメントワークス代表取締役/代表パートナー・五嶋一人氏
atama plus創業者・稲田大輔氏
アペルザCEO・石原 誠氏
エン・ジャパン 執行役員・寺田輝之氏
TechCrunch Japan 編集統括・吉田博英(モデレーター)


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既存の建機を後付けキットで自動運転車にするBuilt Robotics

建設機械の自動化を志向しているBuilt Roboticsが、シリーズBのラウンドで3300万ドルを調達したことを米国時間9月19日に発表した。

建設業界は世界的に人手不足だが、Builtの狙いは、一人のオペレーターが同時に複数の自動化建機をコントロールし、自分自身は機械にはできない作業のために何かに乗るというやり方だ。これなら、例えば従来5人のチームを要した現場を1人で担当できるだろう。

Built Roboticsは建機をイチから作るのではなく、あちこちの現場でよく使われている建機を自動化する。同社は、掘削機やブルドーザーやスキッドステアローダーなどに取り付けるキットを売っている。そのキットはライダー(Lidar)やGPSやWi-Fiなどのテクノロジーをマシンの内奥に組み込み、自動化のための脳を与える。あるいは建機メーカー企業がBuilt Roboticsの変換ボックスを買って自社製品に取り付け、マシンが自動運転モードで動いた時間ぶん使用料を払うという方式もある。

操縦者のいない重さ20トンのマシンが、回りの人に注意せずに建設現場を走り回ることは誰も望まない。そこで同社の自動化マシンは、自分のまわりを常時監視する。TechCrunchの4月の記事では、次のように書いた:

建機に搭載された複数のカメラが人の接近を絶えず監視している。何かの不具合で機体が傾き始めたり、地中に何かがあると、センサーがそれを感知し電源を切る。マシンの背後には大きな赤い緊急停止ボタンがあり、またオペレーターのデスクにもワイヤレスの停止ボタンがある。

数カ月前には、Builtを搭載した建機のデモを見た。

今回のシリーズBラウンドは、ヨーロッパの大企業Siemens(シーメンス)の投資部門Next47がリードし、Building Venturesとこれまでの投資家であるFounders Fund、Presidio Ventures、Lemnos、そしてNEAが参加した。これによりNext47のT.J. Rylander(T・J・ライランダー)氏がBuiltの取締役会に入る。

同社は2017年にシリーズAで1500万ドルを調達しているので、調達総額は4800万ドルになる。Builtの共同創業者であるNoah Ready-Campbell(ノア・レディ-キャンベル)氏によると、社員数がここ数か月で倍増し、今では40名近くなっているとのこと。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オンラインショップサービスのBASEが東証マザーズ上場へ、上場日は10月25日

手軽にオンラインショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEが、東証マザーズに上場することが9月20日に明らかになった。上場日は10月25日。発行株式(普通株式)は40万5000株、発行価額の総額は5億6112万7500円、資本組入額の総額は3億3007万5000円、主幹事証券会社は大和証券となる。

BASEは2019年8月にショップ開設数が80万店を突破したことを発表するなど、業績は好調に推移している。

詳細は追って追記する。

任天堂Switch Liteはポータブルゲーム機の極み

まず前置きとして、私の状況について説明させていただきたい。私は、たぶんオリジナルのNintendo Switchのターゲットユーザーからはズレていることを自認している。まず私はテレビを持っていない。高校生のときからずっとだ。そして私は、このしがない仕事のために絶えず旅行している。

こうした条件を考えると、据え置き型とポータブル両用のゲーム機というコンセプトは、明らかに私には合わない。むしろちょっとジャマくさく感じていた。それによって本体が大きく、重くなる。Joy-Con(ジョイコン)は、プレイ中に割としょっちゅう外れてしまう。たまには、コントローラーを本体から外し、背面のスタンドを立て、テーブルモードにして飛行機の座席のトレーテーブルに乗せて使ってみようかと思うこともあった。しかし、そうした機能も、結局は割に合わないと思われるのだ。

「内蔵コントローラー」がゲーム機の機能の1つとしてリストアップされているのも変な感じだが、それはまあ、そういうものなのだろう。

Switch Liteの噂を初めて耳にしたとき、はっきり言って私は興奮した。その情熱は、このゲーム機について書いた以前の記事でも感じていただけたかもしれない。そしてついに、発売の日がやってきた。正直なところ、Switch Liteは私が本当に望んでいたものなのだ。

このLiteは、オリジナルのモデルよりも明らかに小さく、軽い。2つのモデルを比べてみなくても、はっきりと分かるはずだが、念のため、以下の写真で実際に比べて欲しい。

もちろんLiteといえども、ほとんどのスマホよりは大きくてかさばる。スマホでゲームをプレイすることを考えると、Liteにとって手強いライバルとなるだろう。しかし、任天堂は自社製のハードウェアにこだわっている。そして、そうしたこだわりは、オリジナルのSwitchが登場してから3年近くの間、かなりうまく作用し、価値を生み出してきた。任天堂の方針では、常に自社製のハードウェア用のゲームソフトを作ることになる。これはSwitchでも、まったく同じだった。そうした任天堂のオリジナルゲームは、そのままスマホ用として、うまく移植できるとは、とうてい考えにくいのだ。

任天堂は、本体の色のバリエーション設定でも正しかった。以前の記事でも書いたように、私にとって最も難しい選択は、Switch Liteを購入するかしないかではなく、どの色を選ぶか、ということだった。そしてその選択については、任天堂が背中を押してくれた。レビュー用に、ターコイズのモデルを送ってくれたのだ。グレーとイエローのモデルにも、また違った良さがある。しかし、私は個人的にかなりターコイズに傾いている。

ポータビリティは非常に重要だが、デバイスのサイズを小さくすると、どうしても妥協しなければならない部分が出てくる。ドッキングしてテレビに出力する機能が削られたのに加えて、画面サイズも6.2インチから5.5インチに縮小された。解像度は相変わらず、あまりぱっとしない720pだ。画面サイズが小さくなったことは、主にメニューの見やすさに響いている。私のように、ちょっと老眼が入った目には、文字が見えづらい。それはともかく、メニューのUIには、もうちょっと工夫が欲しいところでもある。長いことSwitchを使ってきた人は、ゲームのメイン画面が小さくなったことも気になるかもしれない。もっとも、それにはすぐに慣れるだろう。そもそも、スマホでゲームをするのに慣れた人なら、画面の小ささは気にならないはずだ。

バッテリも小さくなっている。FCCへの申請によると、容量は4310mAhから3579mAhになった。にもかかわらず、オリジナルのSwitchと比べて寿命は伸びている。元の2.5〜6.5時間が、Liteでは3〜7時間は保つとされているのだ。この持続時間の延長は、小さくなって消費電力も少なくなったディスプレイと、電力効率の高いプロセッサの組み合わせによって実現されたもの。ただし、Switchの新しいバージョンは、4.5〜9時間のバッテリ寿命を実現している。オリジナルのSwitchでは、バッテリ寿命の短さが、不満の最大の要因だった。私としては、バッテリ容量も増やし、消費電力を減らすことで、もっと寿命を長くして欲しかったところだが、そうそう何でも思い通りになるわけではない。

Liteには、ヘッドフォンジャックもそのまま残されている。そして、microSDと、ゲームカード用のスロットも健在だ。ゲームの世界では、物理的なメディアも、まだ死んだわけではない。もちろん、本体背面にあったスタンドは取り除かれた。Joy-Conが取り外せなければ意味がないからだ。そしてもう1つ、重要な物理的違いがある。それは、以前の4つに分かれた使いにくい方向キーに代えて、十字キーパッドを装備したこと。実を言うと、私は左のジョイスティックを使って、基本的に何でもするように慣れてきていた。Liteに十字キーが装備されたのは、Nintendo Switch Onlineのライブラリに、ファミコンやスーファミのゲームが追加されたのと、ちょうどタイミングを合わせたものだろう。ただし、Switch用のオリジナルゲームでは、十字キーのメリットは、それほど感じられないかもしれない。この十字キーは、私が想像していたよりも、感触が少し柔らかく感じられる。これも、時間が経てば慣れるはずだ。

ともあれ、Switch Liteの最大のウリは、その価格だ。200ドル(日本では税別1万9980円)というのは、このゲーム機に最適な価格のように思われる。オリジナルのSwithと比べて、ちょうど100ドル(1万円)安い。驚くほど安価な月額4ドル(日本では税込300円)、年額では20ドル(同2400円)のNinteno Switch Onlineと組み合わせて考えても、ゲーム機の寿命を3年として、かなり魅力的な価格設定だろう。

いますぐに、2種類のモデルのどちらかを選べと言われたら、私はほぼ間違いなくLiteを取る。しかし、バッテリー寿命が2時間ほど短いことには、ちょっと悔しい思いがあることも否定できない。もちろん、幸いにして、誰もが私と同じ考えとは限らない。ほとんどの人は、きっと私より普通で、順応性もあり、家にはテレビもあるだろう。その場合、Liteを選ぶということは、Switchの名前の由来ともなった革新的な機能をあきらめることになるわけだ。

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しかし私のように、人生の多くの時間を地下鉄の車両、あるいは飛行機の中で過ごしている人間としては、Liteは、まさに待ち望んでいたSwitchなのだ。そんな人間は、私だけではないと確信している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)