アリアンスペースが初の月へのライドシェアミッションを2023年に提供

ヨーロッパの打ち上げ事業者ことArianespace(アリアンスペース)は米国時間10月22日、国際宇宙会議で月探査に関するいくつかの刺激的なニュースを発表した。同社でCEOを務めるStéphane Israël(ステファン・イスラエル)氏によると、今後打ち上げられるAriane 6ロケットは、4年後に月へのライドシェア・ミッションを行う予定だという。

「我々は2023年までに、Ariane 6による月への最初のライドシェアミッションを提供する予定で、政府や民間の顧客を検討している」 と、イスラエル氏はイベントのステージで語った。

このライドシェアミッションでは、最大8.5トンの貨物を月へと向かう軌道に投入することができる。Israël氏によると、Arianespaceは有人宇宙船の輸送を計画している一方で、Ariane 6による着陸機と探査機を投入し、NASAのアルテミス計画を含めた有人ミッションへの準備を整えられるとしている。

Ariane 6は、現在ArianespaceがESA(欧州宇宙機関)の指示の下で開発中の、2段式の中〜大型ロケットだ。来年には初のテスト打ち上げを行う予定で、2023年には商業ペイロードを搭載した初の月周回軌道ミッションを実施することを目標としている。

Ariane 6がこの目標を達成できれば、月への有人飛行を確実にするだけでなく、インフラを設置して月にとどまり、長期間の生活、活動、研究を可能にするための重要な輸送システムになるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

人が食べる限りなくならない、フードテック投資機会の現在とこれから

この地球上に、食料と農業ほど大きな産業はない。70億人という安定した忠実な顧客数を誇る。実際、世界銀行は全世界のGDPに占める食料と農業の割合を10%と見積もっている。つまり食料と農業は、2019年の全世界のGDP予測88兆ドル(約9500兆円)に対して、およそ8兆円(約960兆円)になる計算だ。

食料に関して言えば、2018年に食料品店やその他の小売店で飲食料に支出された金額、および外食やスナックに支出された金額の総計は、米国内だけで1兆7100億ドル(約184兆7000億円)が記録された。同年、米国人の可処分所得の9.7%が食品に費やされている。そのうちの5%が自宅、4.7%が自宅外での出費だ。経済が大きく変動する中、この割合は過去20年間で一定水準を保っている。

不動の顧客数を誇る食品産業だが、消費者の傾向に起因する、生産、需要、規制において、いまだかつてない難題に直面している。この数年で、消費者の要求と関心が変化した。持続可能性、健康、鮮度への消費者の関心が高まり、食品産業のイノベーションを求める圧力が非常に大きくなっているのだ。

避けられないイノベーション

近年、アグテック分野の革新を進める者たちは世界の食料供給量を増やそうと、大変に面白く斬新なテクノロジーの使い方を生み出している。アグテックのイノベーションは、穀物を守り、生産量を高める。それは、農業システムの構造変革を促し、温室効果ガスの削減、水の使用量の削減、森林伐採の阻止、さらには二酸化炭素の土中への隔離といった重要な持続可能性の目標達成にもつながる。

しかし、これはまだ序の口だ。人が食べなければならない限り(しかも1日に何度も!)、飲食料の技術革新への巨大な投資機会はなくならない。それは、よりよい食品流通、保存、アクセスを通じて、革新的な食材や栄養価の改善による食料エコシステムの健全化をもたらすフードテックだ。

食料の改善にテクノロジーを利用する機会は膨大にあり、その範囲は世界人口の増加にともなう環境破壊を最小化するために不可欠な食料消費方法の改善から廃棄量の削減にわたっている。この巨大な好機を認識したベンチャー投資家たちは、この分野に密着して観察を行っている。PitchBook(ピッチブック)によれば、フードテックへの投資は2008年のおよそ6000万ドル(約65億円)から2015年の10億ドル(約1080億円)以上へと激増している。またCB Insightsによれば、この分野に特化したベンチャー投資家やプライベート・エクイティ・ファンドからの投資は、2015年の223件から2017年の459件へと倍増している。投資総額とイグジットの動きを見てみると、フードテックは今や両方の分野でアグテックを超えている。フードテックセクターの全世界の潜在顧客数が70億人(さらに増加中)であることを考えると、まだまだ規模は小さい。

フードテック投資を牽引する投資家たち

消費者は、自分たちが食べるものに関して神経質になってきている。忙しい仕事と個人の生活を両立させようとすれば、自分たちの食事には利便性を求めたくなる。だが、便利であっても品質は落としたくない。これまでになく人々は、食品に何が含まれているか、原産地はどこか、その収穫と加工の方法は環境に悪影響を与えていないかを気にするようになっている。

数年前、消費者向けパッケージ製品(CPG)の既存メーカーは、消費者の高まる要求に応じようと、こぞって便利で高品質な食品の提供を約束した。しかし、原材料のマージンが低下して企業統合なども重なると、その努力は腰折れとなって多くの企業は方向転換を余儀なくされた。だが門戸は開かれたままだったので、腹を空かせた投資家やスタートアップに新しい波が沸き立つことになった。

現在の消費者が求めるのは利便性と安定性だけではない。簡単に手に入り、食品ロスが少なく、自己ブランドに合致する栄養価の高い食品も求められている。実際、今ほど食品会社が厳しい思いをする時代はないだろう。消費者の需要は、倫理的な信念にまで広がっているが、利便性は決して落としてはならない。しかしその出費傾向を見ると、消費者は、利便性、健康、環境への影響への高まり続ける要求に応えてくれるフードテックイノベーションのためなら、喜んで高い金を払う覚悟でいることがわかる。革新的な食品業者がこの市場の要求を逆手に取れるチャンスは増え続けているのだ!

フードテックの存在

世界的に食事の出前サービス業界には、ベンチャー投資家に支えられた株式非公開のフードテック系スタートアップがもっとも多く存在しており、今では最大のフードテック分野となっている。去年は、フードテックにとって投資額169億ドル(約1兆8300億円)を記録した特別な年だった。Crunchbaseによれば、その年の投資額トップ3は、インドを代表するオンラインレストランマーケットプレイスSwiggy(スウィギー)の10億ドル(約1080億円)、米国の食品配達サービスInstacart(インスタカート)の6億ドル(約650億円)、ブラジルを拠点とするレストランマーケットプレイスiFood(アイフード)の5億9000万ドル(約640億円)だった。

消費者の食事の出前や食品配達サービスに対する食欲は衰えないものの、食事キットサービスのBlue Apron(ブルー・エイプロン)などの大失敗の余波を受けて、投資家たちは警戒感を強めた。その失敗例は、規模の拡大、役に立たない食品特許、サプライチェーンでの腐敗や汚染といった課題を強調している。この失敗により、多くの投資家は、新しいフードテックの未開拓地に目を向けるようになった。

フードテックのこれから

フードテックのイノベーションにより、まったく新しい画期的なアプローチをバリューチェーンに即して提供する3つの重要な分野が誕生した。これらは、食品産業における深刻な問題点に対処する技術的なアプローチを代表するものであり、今後数年で目覚ましい成長を遂げ、投資家の注目を集めることが期待されるセクターだ。

消費者向けフードテック

消費者向けフードテックは、おもに消費者に向けてマーケティングされる技術開発に焦点を当てたフードテック投資の中のセグメントだ。例えば、植物由来の肉、画期的な配送システム、栄養学に基づくテクノロジーなど、消費者の要求を満たすことを目的としている。消費者向けフードテックのイノベーションを進める企業には、代替タンパク質、代替乳製品、栄養キットや食事キットを配送するものなどが含まれる。

オーガニック食品の流行がピークに達し、商品化が始まると、その隙間に新しい食品の流行が始まった。植物由来、肉を含まない、アニマルフリーなど、呼び方はどうあれ、人々は肉を食べないことに熱狂し始めているようだ。肉を使わない肉が登場したというニュースや広告を見ない日はない。

バーガーキングもマクドナルドも、肉を使わないハンバーガーをメニューに加え、トレーダー・ジョーズやホール・フーズといった自然食品スーパーでよく買い物をしている人たちを呼び込むようになった。バーガーキングはImpossible Foods(インポッシブル・フーズ)の製品を、マクドナルドはBeyond Meat(ビヨンド・ミート)の製品を使っている。もうひとつはMemphis Meats(メンフィス・ミーツ)だ。小売大手のIKEA(イケア)で出しているような悪名高いスウェーデン・ミートボールのベジタリアンバージョンの開発を行っている。

それだけではない。代替タンパク質の商品化を目指す企業がいくつもある。細胞培養で卵白を作るClara Foods(クララ・フーズ)、乳製品やナッツを含まないミルクの代替品の開発に特化したRipple Foods(リップル・フーズ)やOatly(オートリー)など。UBSの見積もりによれば、植物由来タンパク質の市場だけでも、現在の50億ドル(約5400億円)以下の規模から、今後10年で850億ドル(約9兆1800億円)あたりの規模にまで拡大するという。年間およそ28%の成長率だ。

一方、Brightseed(ブライトスティード)、Just(ジャスト)、Renaissance Bioscience(ルネサンス・バイオサイエンス)といった企業は、生物学と栄養機能食品の新しい道を開拓し、清潔で小規模、そして持続可能性のある方法での食品やサプリの製造方法を研究している。

業務用フードテック

食品そのものに取り組む企業もあれば、持続可能で健康で革新的なこのニューウェイブの食品を、どのように加工、パッケージング、配送するかに取り組む企業も数多い。業務用フードテックは、食品産業における基本的なビジネスモデルとB2Bの弱点に対処することを目的としたフードテックのサブセグメントだ。これに携わる企業には、加工とパッケージングの革新的テクノロジーや、栄養、ラベリング、製法が改善された新しい、または機能性のある食材に取り組むところが含まれる。

Apeel Sciences(アピール・サイエンセズ)やHazel Technologies(ヘイゼル・テクノロジーズ)などの食品保存技術を開発する企業は、輸送中の食品の質を保ち、食品の無駄をなくす努力を牽引している。そこはイノベーションを待ち望んでいる分野だ。消費者の手に届く前に無駄になる食品は、米国でのすべての食品ロスのうちの40%を占めている。食品ロスの削減は、必要とされる耕作面積の削減にもつながる。

食品加工と品質評価の技術も、このセグメントの先頭に立つ分野だ。例えば、食品調査のスタートアップであるP&P Optica(ピー・アンド・ピー・オプティカ)は、食品の品質評価と異物検出の技術に投資を受けている。そのハイパースペクトル技術には、異物の自動検出による食品の安全性向上のみならず、食肉の等級付けを標準化し、時間をかけて改善できる可能性がある。

乳化剤、甘味料、安定剤、その他の食品添加物などの業務用素材を扱う急成長中のセクターと合わさり、大手食品加工業者が革新的になること、さらにずっと革新的であることを消費者から強く望まれている中で、このセクターも急成長している。Aromyx(アロミックス)などの企業は、味や匂いといった要素を評価することで、調剤、化学、農業、飲食品、PCGなどさまざまな産業で製造工程を強化することができる。

サプライチェーンと調達

メキシコ料理のファーストフード、チポトレの集団食中毒事件やそれに準ずる問題により、食品サプライチェーンの透明化が重視されるようになった。Safe Traces(セーフ・トレーセズ)をはじめとするスタートアップは、食品原産地の新しい追跡モデルを商品化することで、食品のトレーサビリティーを高めようとしている。食品偽装、トレーサビリティー、さらに原産地表示の必要性から、消費者の意識は高まっている。これが、その問題に対処する食品サプライチェーンのイノベーションという強力なビジネスケースを生み出した。消費者の、食品サービスにおける品質、利便性、グルメ商品に関する好みが変化したことで、ファストカジュアルレストランというカテゴリーが誕生し、ファストフード店はそのデリバリーモデルの再考を迫られることとなった。

Finistere Ventures(フィニステア・ベンチャーズ)のポートフォリオにも含まれているFarmer’s Fridge(ファーマーズ・フリッジ)やBingoBox(ビンゴボックス)といったスタートアップは、シェフが厳選した食事やスナックをパッケージ化して、便利な場所に置かれた自動販売機や無人コンビニで販売している。6D Bytes(シックスディー・バイツ)は、AIと機械学習を使い、スムージーなどの健康的な食品をオーダーメイドしてくれる。Starship Electronics(スターシップ・エレクトロニクス)は、地域の店舗やレストランと提携して人々に食品を配達するロボット軍団を提供している。

このセグメントでのイノベーションは、トレーサビリティー、持続可能性、鮮度の改善、食品ロスの削減に焦点が当てられている。例えば、Good Eggs(グッド・エッグズ)とFarmdrop(ファームドロップ)は、新鮮で持続可能な方法で入手した食品を再利用可能な容器で届けてくれる。Full Harvest(フル・ハーベスト)は、食品サプライチェーンにそのままでは捨てられてしまう規格外または余剰作物を利用する、いわゆるShop Ugly(ショップ・アグリー、不格好なものを買うこと)を推奨している。

テクノロジーは、私たちが食べるものがどのように作られ、どのようにパッケージ化され、どのように届けられ、どんな味、食感、匂いがして、どのように再利用されるかに関して、ますます重要な役割を果たすようになる。フードテックへの投資は、より健康的で、より持続可能な食品システムを世界に届けることを期待して、これからも増え続ける。つまるところ、私たちは私たちが食べたもので作られているのだ。

【編集部注】著者のIngrid Fung(イングリッド・ファン)は、Finistere Ventures(フィニステア・ベンチャーズ)のアソシエイト。

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(翻訳:金井哲夫)

LGのセパレート型デュアル画面スマホは米国で11月1日に約7.6万円で発売

今年の夏、ベルリンのIFAで発表されたLGのG8X ThinQは、折り畳み式やデュアルスクリーンの流行に、ひと味違った一石を投じる。Samsung(サムスン)のGalaxy Foldのような完全に折り畳み可能なディスプレイや、まもなく登場するMicrosoft(マイクロソフト)のSurface Duoのようなデュアルスクリーン方式ではなく、このデバイスではアクセサリを使ってもう1つの画面を追加し、表示領域を拡張する。

G8X ThinQは、米国では11月1日に発売される。LG Dual Screenというアクセサリとセットで、非常にリーズナブルな699ドル(約7万5700円)という価格を実現している。このセットは、USB-Cコネクタを利用して、さまざまなタイプのデュアルスクリーンを実現する。つまり、標準的な2画面表示だけでなく、片方をゲームパッドやキーボードとして利用したり、小型のノートパソコンのように使うこともできる。

初期のレビューや使用レポートには賛否両論もあった。セパレート型であるだけに、2つの画面の間にはかなり大きな隙間が空いてしまう。そのため、折り畳み式が得意とする映画の視聴のような用途には使えない。正直なところ、この方式は折り畳み式という形態そのものにコミットしているわけではないが、折り畳み式という言葉への関心の高まりに応えようとしただけのものではないかという気もしてくる。

LGともなれば、折り畳み式に本気で取り組むためのリソースも持っているだろう。しかしこのカテゴリは、それ自体の存在意義を証明するのに、まだまだ時間がかかる。実際問題として、Galaxy Foldが当初あれこれと問題を起こしたり、Huawei Mate Xの発売が延期されたりしているため、他社も二の足を踏んでいるのだろう。

とはいえ、その日のニーズやユースケースに応じて、1画面だけ持って出かけるか、2画面セットで持ち歩くかを選べるという能力については、評価すべき点も多い。Galaxy Foldの場合、閉じた状態で使うには問題がある。画面が小さくなってしまう割に、本体は分厚い。それと比べると、G8X ThinQはずっとフレキシブルだ。また、Snapdragon 855、6GBメモリー、4000mAhバッテリーなど価格に対して立派なスペックを実現している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

シンプルなタスク管理を実現するTodoistが大幅アップデート

Todoistは、自力で立ち上がったIT企業であるDoistが開発した人気の高いタスク管理アプリ。Todoist Foundationsと呼ばれるメジャーアップデートをリリースした。今回のアップデートは、24時間以内に展開されるはずだ。名前が示すように、将来に実現されることになる多くの新機能の基礎を築くためのもの。

とはいえ、すでにいくつかの興味深い新機能が盛り込まれている。Todoistのタスクリストは、もはやチェックボックスの付いた項目がダラダラと続くだけのものではない。プロジェクトの中にセクションを作ることができるようになった。個々のタスクは、1つのセクションから、別のセクションに移動できる。また、中身を表示しておく必要のないセクションは折り畳むことができる。

将来的には、こうしたセクションが、重要な役割を果たすようになるかもしれない。例えば、1つのプロジェクトの中で、あるタスクを達成するための複数のステップを、セクションとして設定するといった機能だ。1つのステップから別のステップに、タスクを移動する際に使える独立したビューを用意するといったものも考えられるだろう。

ラベルについても2種類のカテゴリに分類されるようになった。個人用のラベルと同僚と共有できるラベルだ。

またTodoistは、新たにタスクビューを追加し、1つのタスクに関するものを一元管理できるようになった。モバイル版でもデスクトップ版でも使える。そこでは、期限や優先度を変更したり、コメントを見たり、ラベルを追加したりすることなどができる。この新しいビューの中では、特定のタスクに関連付けられたすべてのサブタスクを表示できるのがいい。

モバイル版だけの改善点としては、クイック追加バーが設計し直されている。このクイック追加機能は、私自身、Todoistの中でも気に入っているもの。例えば「明日午前9時 契約書を送付 @顧客 #仕事」と入力すれば、「契約書を送付」というタスクを、「仕事」というプロジェクトに、指定した期限(明日午前9時)で作成し、「顧客」というラベルを付けてくれる。

新しいTodoistのモバイル版では、クイック追加機能を、より直感的に使えるようにするボタンも追加した。また、込み入ってきていた追加バーそのものも、シンプルなものにしている。現状の追加バーでは、既定の期限、プロジェクト名、担当者を、ボタンで直接指定できるようになった。使用頻度の低い機能を表すアイコンは取り除かれてすっきりしている。

さらにTodoistは、Things 3のような「+」ボタンの機能も取り込んでいる。リストの中の任意の位置に「+」ボタン自体をドラッグ&ドロップすることで、リストのその場所に新しいタスクを追加できる。これは非常に便利な機能だ。

目に見えない部分では、あらゆる処理が高速化されている。そしてTodoistは、アイコンと、アプリのカラースキムも一新した。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Firefox v70はユーザー情報収集ツールの暗躍がひと目でわかるダッシュボードを搭載

Mozillaは米国時間10月22日、7月に導入して9月にデフォルトになったEnhanced Tracking Protection機能(強化版の追跡保護機能)が、これまでにウェブを閲覧しているユーザーを追跡しようとする何千もの企業の追跡リクエストを合計4500億件あまり阻止したと発表した

4500億件はすごい数字だ。さらにMozillaは、Firefox v70でプライバシーに関する個人的なダッシュボードも提供することになった。それを見ると、Firefoxブラウザー上でサードパーティのCookieやソーシャルメディアのトラッカー、Fingerprintingツール(各種ユーザー情報を収集するツール)、暗号通貨の採掘ツールなどがどれだけ暗躍したかがわかる。

プライバシー保護はデフォルトで有効だから、ユーザーが自分で設定などをしなくていい。設定をいじって一部のサイトが壊れてもよければ、デフォルトを厳しいデフォルトにしたり、独自の設定にもできる。

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そんな結果報告ダッシュボードがあることは華々しく宣伝されないが、初めてFirefoxを使うユーザーへのガイドには登場する。見つけるためには、URLバーにある盾のアイコンをクリックする。すると、今見ているサイトに関する情報と、ユーザーのプライバシーレポートへのリンクが出る。

そのレポートは必要最小限の項目だけで、しかも最近の1週間のみの数字だ。複数のマシンにわたって同期しないし、追跡しようとした企業の会社名などはわからない。でも、何社が追跡しようとしたかという数はわかる。image003 1

そのレポートページにはMozillaのFirefox Monitorへのリンクもある。それは、怪しいサイトやページにユーザーのメールアカウントが見つかったら警告する。また、パスワードの管理と同期化のサービスLockwiseへのリンクもある。Lockwiseには、パスワード作成機能や、Firefox Monitorとの統合機能もある。

Mozillaは、Chromeなどに対する自分の差別化要因がプライバシー保護であることを、よく知っている。Chromeを提供しているGoogleはネット広告が主な収入源だから、ユーザーのプライバシー保護に関しては独自のやり方を適用せざるをえない。

それに対してMozillaにはその苦労がない。例えば、Googleは広告収入を維持しながら、ユーザー追跡のためのインフラストラクチャを大きく変えようとしているが、Firefoxとその仲間たちはデフォルトで厳しい設定にするだけでいい。今後、追跡を気にするユーザーが多数派になるか、それはまだわからないが、でも今のところこれがFirefoxの明確なアドバンテージだ。

関連記事:Firefoxがユーザーを追跡から護る機能を強化しパスワードマネージャーをデスクトップに導入

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ビッグデータ分析のDatabricksが430億円調達、バリュエーションは6700億円に

Databricksは多くのオープンソースツールを使って作られたSaaSを提供していて、明らかに事業はうまくいっている。実際、同社は企業向けクラウドの会社として最も急速に成長している1社だとうたっている。同社は米国時間10月22日、4億ドル(約430億円)ものシリーズFラウンドでバリュエーションが62億ドル(約6700億円)になったと発表した。今回のラウンドで、累計資金調達額は約9億ドル(約975億円)に達した。

Andreessen Horowitzのレイトステージベンチャーファンドがラウンドをリードし、新規投資家としてBlackRock、T. Rowe Price Associates、Tiger Global Managementが参加した。こうした機関投資家が参加しているのは興味深い。というのも、レートステージスタートアップとしてDatabricksは将来のIPOを見据えているはずで、そうした投資家をすでに引きつけているのは有利なスタートにつながる。

CEOのAli Ghodsi(アリ・ゴッシ)氏はIPOに関しては無口になるが、IPO自体は確かに彼が進めたい方向ではあるようだ。「我々は急速に成長している企業向けクラウドソフトウェア会社の1社だ。今回の資金調達が示しているように、これは我々が資金への多くのアクセスを持っていることを意味する。売上高はかなりの勢いで伸びていて、知名度も高い。だからIPOは我々が最高活用するものではなく、そう遠くない将来に必ず起こるものだ」とゴッシ氏はTechCrunchに対し語った。

同社は第3四半期のランレートが2億ドル(約220億円)だと発表した。同社は4つのプロダクトから成るプラットフォームを展開して、すべてオープンソースをベースに構築されている。4つのプロダクトは、オープンソースデータレイクプロダクトのDelta Lake、データチームが機械学習の操作ができるようにするのをサポートするオープンソースプロジェクトのMLflow、SparkとPandos向けのマシーンフレームワークをつくるKoalas、そしてオープンソース分析エンジンのSparkだ。

これらのツールすべてのオープンソース版は無料でダウンロードできる。しかし使いこなすのは簡単ではない。DatabricksはこうしたツールをSaaSという形で提供することで収益を上げている。こうしたツールの使用に伴う管理上の悩みを彼らが処理し、ユーザーにサブスクリプションとして課金する。

同社は急成長していて、このモデルはうまくいっているようだ。同社は2月に2億5000万ドル(約270億円)を調達し、バリュエーションは27億5000万ドル(約3000億円)になった。明らかに投資家たちはそれ以降の6カ月の間に投資する余地を見出した。今日の62億ドルというバリュエーションがそれを物語っている。

画像クレジット:Matt Anderson Photography / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Peaceful Morningが2019年版RPAカオスマップを公開

Peaceful Morningは10月23日、RPA(Robotic Process Automation)カオスマップの2019年版を公開した。RPAは、機械学習や人工知能などを活用して事務処理などの業務の自動化・効率化をを図るサービス。同社はRPA関連のオンライントレーニング「UiPathオンライントレーニング」、エンジニアフリーランス支援の「RPA HACKフリーランス」、メディア「RPA HACK」などの事業を手がける企業だ。

同社によるとRPAは普及期に突入しており、MM総研の調査では国内企業のRPA導入率は2019年1月時点で32%になっているとのこと。また、NTTグループが開発・販売するRPAツール「WinActor」(ウィンアクター)は、2018年に導入企業数が3000社を超え、2019年上期で4000社、2019年中に5000社を超える見込みになっているなど、企業での活用事例が増えている。

TechCrunchでは昨年もRPAカオスマップを紹介したが、昨年から大幅にサービスが増加しており、掲載数は63件から128件と約2倍になっている。従来の汎用的なRPAツールだけでなく業界職種に特化した特化型RPAツールが登場したことが増加要因で、具体的にはメディア、人材サービス、コミュニティなどでサービスが新たに登場している。なお連携技術については、AI-OCR(人工知能を活用した文字認識)とRPAを連携した事例が増えているとのことだ。

関連記事:2018年度版「RPAカオスマップ」が公開

Spheroがロボティック学習用のSTEMキットRVRを発売

100万ドル(約1億円)もの資金を集めた今年初めのクラウドファンディングキャンペーンを経て、Sphero(スフィロ)からSTEM/STEAMキットRVRが発売された。米国コロラド州に拠点を置く同社初のKickstarterキャンペーンの一環として2月に発表されたRVRは、あらゆる点でこれまでのSphero製品とは少し異なる。

まずはじめに、Orbotix以来、同社のプロジェクトの大半がリモートコントロールのボールデザインだったが、今回はそうではない。RVRは四輪システムで、それにも増して教育にフォーカスしている最近の動向に沿って、子どもがPythonやJavaScriptのようなランゲージを学習するのをサポートする。

RVRはまた、ロボティックスの基礎を教えるようなものになっている。しかしSpheroが記しているように、それでもRVRは箱から出してわずかな組み立てをすれば走らせることができる。加えて、ユーザーは同社が最近買収したlittleBitsのプロダクト、そしてRaspberry PiやArduinoのようなサードパーティーのボードをUSBポートを通じて搭載できる。

「今年初めにKickstarterでRVRを立ち上げたとき、反響の大きさに驚いた」と共同創業者でクリエイティブ責任者のAdam Wilson(アダム・ウィルソン)氏はリリースで述べた。「メーカー、デベロッパー、そして教師といった人たちが、実際にRVRを手にする前にキャンペーンが成功するようRVRに群がった。RVRはあらゆる年代、そしてあらゆるコーディング能力の人たちにアピールできている。人々がRVRで作るものを見るのが楽しみだ」。

RVRはSpheroのオンラインショップといくつかの小売店で販売されていて、価格は250ドル(約2万7000円)からとなっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

月間100万人が使う就活クチコミサービス「ワンキャリア」にUB Venturesなどが資本参加

⽉間100万⼈が利⽤する就活クチコミサイト「ONE CAREER」を手がけるワンキャリアは10月23日、ユーザベースグループのUB Ventures、PKSHA SPARXアルゴリズム1号、ヘイ代表取締役社⻑の佐藤裕介⽒、ニューピース代表取締役CEOの⾼⽊新平⽒、およびその他個⼈投資家らが資本参加したことを明らかにした。

ワンキャリアにとって外部資本を入れるのは初めてのことで、調達額については非公開。今回の資本参加を通じて各事業会社と事業面での提携を強化し「データとテクノロジーでHRマーケットを変⾰する」取り組みを進めていく。

ONE CAREERは各企業ごとの会社概要や選考情報、就活に関するハウツーコンテンツに加えて、ユーザーによる企業ごとのクチコミやESなどを集約した複合的な就活サービスだ。

これまでのHRマーケットでは基本的に企業側が一方的に情報を提供する構造になっていたが、同サービスでは「実際に選考を受けた学生のクチコミを集めたCGM」というアプローチで情報の非対称性を解消する取り組みを進めてきた。

もちろん以前から「みん就」を始め就活に関するクチコミサイトや掲示板サービスは存在していたし、僕自身も就活生時代に使った記憶がある。ただこれらのサービスは参考になる情報も多い一方で、ゴシップ的な投稿や成否が判断できないような投稿も一定数含まれているのも事実だ。

ONE CAREERでは投稿されたコンテンツを検閲する仕組み(システム側でNGワードを設定、個人情報が記載されている際のアラート、事実に基づかない明らかな中傷コメントの削除など)を通じて、正しい情報が提供されるサービスを目指してきたという。

そうして蓄積された生の声や体験談を軸に企業ごとのスケジュールや選考対策情報、オリジナルの就活関連コンテンツなどを1つのサービス上にまとめることで、就活生が効率よく情報収集できる基盤を構築。就活生にとっては実際に社員に会ったり、インターンに参加したりすることに多くの時間を使えるのが大きなメリットで、この点が支持されユーザーの拡大に繋がっているそうだ。

事業概要や選考スケジュール、選考対策、就活生のクチコミやESなど、選考を受ける際に必要となる情報を集約。インターンや選考情報など募集中のイベントもチェックできる

結果的に現在では東⼤/京⼤就活⽣の9割以上、早慶MARCH就活⽣の7割以上が利⽤し、⽉間利⽤者数100万⼈のアクセスが集まるメディアに成長した。ワンキャリアでは企業側に対してコンサルティングも行なっているが、時価総額ランキングTOP100企業のうち70%が顧客になっているという。

現在同サービスには4万社以上の企業情報や14万件以上の先輩の通過ES/選考体験談/志望動機といった情報、10万件を超える企業説明会やインターンシップのクチコミといったデータが蓄積。今後はこれらのデータとテクノロジーを活用した取り組みをさらに強化していく計画だ。

ワンキャリア代表取締役の宮下尚之氏に確認したところ、まずは年明けに企業の採用課題にアプローチするSaaSの提供を予定しているそう。大枠としては、蓄積してきたデータを基に学生の動向や他社の採用手法・状況、学生からの自社の評価などを把握できるプロダクトになるようだ。

その他、中長期的にはONE CAREER上で学生に対してマッチング度の高い企業をレコメンドしていくような方向性もありえるということだった。

今回タッグを組むユーザベースやPKSHA SPARXアルゴリズム1号(PKSHA Technologyの子会社とスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントが運営)とは具体的な取り組みこそまだ未定とのことだが、当然膨大なデータやコンテンツを効果的に活かしていくことを見据えた上での提携だろう。

ワンキャリアでは調達先とも連携しながら「学⽣と企業の採⽤における意思決定を⽀援するデータプラットフォームの構築」を⽬指していくとしている。

AmazonのFire TVとタブレットにニュースまとめアプリが登場

米国時間10月22日からAmazon(アマゾン)は、米国のFire TVユーザーにニュースまとめアプリを提供する。このアプリは、さまざまなニュース媒体からのニュースをカスタマイズ可能な形でサービスする。それらはCBSやロイター、Sports Illustrated、HuffPost(ハフィントンポスト)などの大手を含めて20社近いが、一部はYahoo系だ。以下が、そのニュースソース。

  • CBS News
  • Reuters(ロイター)
  • Huffington Post(ハフィントンポスト)
  • Bloomberg(ブルームバーグ)
  • Yahoo News
  • Yahoo Finance
  • Yahoo Sports
  • Yahoo Entertainment
  • AOL News
  • Al Jazeera(アルジャジーラ)
  • People
  • Entertainment Weekly
  • Sports Illustrated
  • Cheddar
  • Newsy
  • Wochit

いくつかの大手が欠けている。The New York Times(ニューヨークタイムズ)、The Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)、NPR、CNNなどなどだ。でも、このようなコンテンツの契約は難しい。一部に有料のコンテンツもあるし、速報ニュースなどをスマートアシスタントにどうやって送るのかという問題もある。でもAmazonは「今後はニュースコンテンツの選択の幅をもっと広げる」と言っている。

ユーザーは好みのニュースソースを選び、Alexaにニュースを頼む。Alexa対応のFireタブレットにも、近くこのアプリが載る予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ニューヨーク州のFacebook反トラスト捜査に46人の司法長官が参加

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、Facebookの反トラスト法違反に関する捜査の手を強めている。「Facebookの行為が消費者データを危険にさらし、消費者の選択肢の質を下げ、あるいは広告費用を高騰させているかどうかを究明する」ためだ。

同氏に同調する地方長官は当初8州とワシントンDCだったが、メンバーは増え続けている。米国時間10月22日の発表でジェームズ氏は、新たに31の州およびグアムの司法長官が捜査に参加したことを明らかにした。

「全米の州司法長官と党派を超えた議論を重ねた結果、本日我々はFacebookによる反トラスト法違反の疑いに関する捜査に参加する州、地区、地域の数が大幅に増えたことを発表する」と声明で語った。「今後の捜査に際しては、あらゆる捜査手段を駆使してFacebookの一連の行為が競争を抑制しユーザーをリスクに晒したのかを追求する」。

現在46人の司法長官がジェームズ氏の捜査に参加している。本捜査は、司法省および連邦取引委員会による現在進行中の反トラスト捜査とは明確に区別される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがカリフォルニア州の住宅問題対策に1000億円超を拠出

米国カリフォルニアは、州全体に広がるさまざまな問題のために深刻な住宅難に悩まされている。中でもサンフランシスコのベイエリアが特に目立っているのは、超大企業の存在と高給IT社員らが問題を増幅しているからだ。

一部の巨大IT企業がこうした問題の責任を取るべく、手ごろな住宅提供を推進する組織に資金提供することはいまや珍しくない。シアトルでは、Microsoft(マイクロソフト)とAmazon(アマゾン)が取り組みを発表している。ベイエリアでは、Googleが10億ドル(約1080億円)、10年計画を最近発表し、このたびFacebook(フェイスブック)が同様の行動に出た。

FacebookのCFOであるDavid Wehner(デビッド・ウェナー)氏の ブログ投稿で、同社は手ごろな住宅提供のために10億ドルを用意したことを発表した。「この取組みをきっかけにして2万件の新たな住宅が生まれることを期待している」と同社はコメントしている。

もちろんこれは、カリフォルニア州政府に一括で小切手が送られるという意味ではない。複数のプロジェクトに分割されている。

  • カリフォルニア州:2.5億ドルを、州と連携して「住居が不足」している地域で州保有の余剰土地開発を支援するために投入する。
  • ベイエリア:2.25億ドルの価値のあるメンロパークにあるFacebook所有地を居住地域として提供する。さらに1.5億ドルを手頃な住宅向け投資ファンドであるThe Bay’s Future Fundに提供する。 さらに2500万ドルを、サンタクララおよびサンマテオ郡の労働者向け住宅建築の基金に提供する。
  • カリフォルニア州およびその他の地区:最後の3.5億ドルは、その他の既存の取組みへの「追加投資」のため、およびFacebookのカリフォルニア州外オフィス近くの住宅問題への取組みのために確保される。

カリフォルニア州側は大企業による支援を歓迎していると見られるが、州政府の問題対応失敗の程度を踏まえると、数億ドルレベルの支援ですら焼け石に水だ

「州政府は住宅問題を自力だけで解決できない。Facebookに続く他社の協力も必要だ。現状を打破してこの州が直面している価格危機を乗り越えるためには、民間部門や慈善団体の協力が必要だ」と、ギャビン・ニューサムカリフォルニア州知事が声明で語った。

関連記事:Google announces $1B, 10-year plan to add thousands of homes to Bay Area

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

月額16.8万円からのパーソナルドクター「Wellness」のベータ版提供開始、3500万円の資金調達も

パーソナルドクターサービス「Wellness」(ウェルネス)を運営するウェルネスは10月23日、同サービスのベータ版の提供開始を発表した。同時に、インキュベイトファンドと佐竹義智氏、中島聡氏、藤岡大祐氏、複数の医師を含む個人投資家を引受先とした約3500万円の第三者割当増資の実施も明らかにした。

Wellnessは、身体や心の課題・リスクと向き合い、ヘルスリテラシーを高めて効率的に予防ケアを行うためのパーソナルドクターサービス。健康理解度や課題を踏まえて専用のカリキュラムを考案してくれるほか、日々のオンラインコーチング、週1回のホテルのラウンジや自宅での対面レクチャーなどが受けられる。カリキュラム(プラン)は、月額16万8000円のベーシック、月額29万8000円のスタンダード、月額42万8000円のプレミアムの3種類が用意されている。それぞれレクチャーを受けられる期間と回数が異なっており、ベーシックは約1カ月間でレクチャー計4回、スタンダードでは約2カ月間でレクチャー計8回、プレミアムは約3カ月間でレクチャー計12回となっている。

同サービスは、創業者である中田航太郎氏が自らが医師として働いていたときに感じた患者との意識のズレを解消することを目指して開発されたそうだ。患者の中には、人間ドックの活用法がよくわからず、年齢や生活習慣に応じて適切な検査を受けてない人が多く、その検査結果を正確に読み解くことも難しいという現状があった。Wellnessでは、そういった患者に対して今後の健康を改善するための知識を提供する。具体的には、太っていると自覚している人には人間が太ってしまうメカニズムを解説しつつ、生活習慣に合わせて食事のタイミングや内容を提案してくれる。さらに肥満がリスクになる病気や、体重だけではなく血圧やコレストロールにも配慮した食事についてもレクチャーとコーチングを実施する。

同社では現在、有料カリキュラムを利用する前の無料カウンセリングを実施中だ。医師が専門的な立場かヒアリングして「健康上のリスクや課題」「健康のために知っておくべきこと」の2点をチェック後、専用のカリキュラムを提案してくれる。

肌診断を軸にカスタマイズした美容サプリをサブスク型で提供、「FUJIMI」運営が1.5億円を調達

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリ「FUJIMI」を展開するトリコは10月23日、ポーラ・オルビスホールディングスとXTech Venturesを引受先とした第三者割当増資により1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金を活用してFUJIMIのさらなる販売促進と認知拡大を目指していく計画。ポップアップストアやリアル店舗などオフラインチャネルの開設に加えて、新商品の開発やメディア事業にも力を入れていくという。

トリコは2018年4月の創業。今回の資金調達はプレシリーズAラウンドに当たるもので、今年4月にはXTech Venturesとバルクオム代表取締役の野口卓也氏から3000万円を調達している。

約20問の肌診断で、肌に合ったサプリをカスタマイズ処方

冒頭でも触れた通り、FUJIMIは肌診断の結果を基にユーザー1人1人の肌に合わせた美容サプリをカスタマイズ処方し、サブスクリプション形式で提供する。

使い方は簡単で、ユーザーはオンライン上で「ほおに触れた時の肌の感触は?」「化粧のノリは?」など約20問の質問に答えていくだけだ。FUJIMIではビタミンACE、ビタミンB、コラーゲン、プラセンタなど11種類のサプリを用意していて、肌診断の結果からユーザーごとに5種類をピックアップ。それを1袋5粒入りのパック(1日分)にして、30日分を1箱にまとめて届ける。

料金は1ヵ月分が6400円の定額モデル(単発で購入することも可能)。現時点でユーザー自身がサプリの内容を選ぶことはできないけれど、肌診断をやり直すことでその時々の肌の状態に合わせたサプリを購入することができる。

トリコ代表取締役社長の藤井香那氏によると「くすみや乾燥、ニキビ、シワ、シミなど人ごとに様々な肌の悩みを抱える中で、適切なアプローチができるようにサプリの開発や種類の絞り込みにはかなり時間をかけた」そうで、開発前には120人以上の女性にヒアリングして悩みを研究してきた。

その上で米国ISNFサプリメントアドバイザー資格を持ち、機能性表示食品検定協会の理事を務めるサプリメントの専門家をアドバイザーとして迎え、1万以上ある国内外の肌に関する研究論文などをもとにしながら11種類のサプリを調合。肌診断のアルゴリズムについても同様に専門家の知見を借りながら開発を進めてきたという。

現在のメインターゲットは美容に気を使う30〜40代の女性。年齢と共に肌の状況が変わり、スキンケアの方法もステップアップが必要になる中で「外側だけでなく内側からのケア」に意識を向けている層に訴求をしていく。

「そもそも何を飲めばいいかわからないという人にとっては、肌診断を通して自分の肌に合ったサプリが見つかるのが特徴。美容意識が高く自身でビタミンやミネラルなどのサプリを取っている場合でも、それぞれボトルが分かれているので毎回何箱も開けて飲むのは大変だし、自分に合うものを何種類も試しながら探すのは手間もかかる。FUJIMIでは必要な5粒のサプリを1日分ごとに包装しているので持ち運びやすいし、飲みやすい」(藤井氏)

診断を実施するとその結果に合わせた5つのサプリのほか、肌の状態を示したチャートやアドバイスなどが表示される

今年の4月からスタートしたサービスのためまだまだ認知度は限られるものの、実際に使ったユーザーの翌月継続率は90%以上。参考までに、これまで提供してきたサプリの数は累計で100万粒を超えているそうだ。

トリコではInstagramで12万人以上のフォロワーを抱えるメディア「SkieNa(スキーナ)」も展開していて、同メディアも強化しながらより多くのユーザーにアプローチしていくことを目指す。

今後は新商品の開発やオフライン展開を強化

FUJIMIのアイデアはもともとトリコで美容系のメディアを展開していた時に生まれたものだ。

藤井氏は学生時代に「ヘアラボ」などメディア事業を手がけるアラン・プロダクツ(当時の社名はゴロー、2016年にユナイテッドが子会社化)でインターンをした後、ユナイテッドにジョイン。同社の社内起業支援制度を活用して子会社の代表を務めた経験もある。

トリコのメンバー。前列左から2番目が代表取締役社長の藤井香那氏

自己資本で立ち上げたトリコでは化粧品やダイエット食品、健康食品などの情報を扱うWebメディアから事業をスタート。そのサイトでたくさんの商品の記事を書くうちに「美容への興味が高まる一方で、自分自身が本当に買いたいという商品があまりなかった」ことから、それならば自分で作ってしまおうとFUJIMIの構想が生まれた。

「スキンケアに関する商品は外側からつけるタイプのものが多いが、それだけでは0.02ミリの角質層までしか届かずケアとしては足りないのではないかと体感的に思っていた。ビタミンやオイルといった必要な美容成分を(サプリを通じて)内側から取れることを勉強して、『内側からのスキンケア』は市場としてもまだ空いているし、チャレンジできる余地があると考え開発を進めてきた」(藤井氏)

グローバルで見ると、サプリのパーソナライズD2Cとしてはゴールドマンサックスなどから累計で4000万ドル以上を調達している「Care/of」のようなプレイヤーも出てきていて、トリコでもベンチマークの1つとしているそうだ。

商材としてもパーソナライズ化やECでのサブスクリプションモデルとの相性が良いこともあり、現在のビジネスモデルを採用。構造はシンプルだが、その分プロダクトの設計やデザインにはかなりこだわりを持って作ってきた。

トリコは藤井氏を含めて3人の共同創業者が全員デザイナーで、プロダクトやWebサイトなどのクリエイティブは全て社内のメンバーが担当。「サプリメントについては『ダサい』『胡散臭い』などマイナスなイメージを持っている人もいるが、ビジュアルを変えて『持っているだけで女性のテンションが上がるようなもの』を目指している」(藤井氏)という。

まずは美容領域からスタートし、今後はFUJIMIブランドの商品ラインナップを増やしていく方針。すでに現在の肌診断結果を用いてサプリとは別の商品を提案するための準備も始めている。

またトリコではラインナップの拡大と合わせて、ポップアップストアやリアル店舗の出店などオフラインでの顧客との接点作りも進めながら、強固なブランドの確立を目指していく。

「OEMで工場にお願いして作ってもらっているので、他社が似たような商品を開発することもできる。そういう意味では中長期的に独自のブランドを確立させていくことが重要。今はまだブランドにもなっていないので、まずは今回調達した資金も活用しながらブランド化に繋がるような取り組みに力を入れていきたい」(藤井氏)

ピザ・ハットがZumeの丸い生分解性ピザボックスをテスト中

Pizza Hut(ピザ・ハット)は米国時間10月22日の朝、Zumeの代表的なピザボックスをテスト導入する計画を発表した。現在のところ試験は非常に限定されている。実際にテストが行われるのはアリゾナ州フェニックスの1カ所のみだ。

このピザボックスは、SF Bayのスタートアップにより推進されている、多くの技術のうちの1つである。実際、私がZumeでCEOを務めるAlex Garden(アレックス・ガーデン)氏と最近話したとき、すぐにピザボックスの話になった。

「我々はインターネットを2週間検索し、異なるピザボックスを作っているパッケージ製品の会社を探したが、それほどの数は存在しなかった。またピザボックスはほとんどすべて、同じアイデアを何度も繰り返す少数の会社によって作られていた」とガーデン氏は9月に語った。「それは本当に奇妙なことだった。私たちはスタートアップでルールは存在しない。ホワイトボードにクールなピザボックスを描こう」。

出来上がったプロダクトは十分のように思える。そして、生分解されるように設計されたピザボックスが、ピザハットのような巨大チェーンに最終的に採用された場合には、また状況が異なるだろう。しかし今のところ、その試験は時間的にも範囲的にもかなり限られているようだ。同じ場所は、MorningStar(モーニングスター)による植物性ソーセージの限定版トッピングのテストにも利用されている。

おそらくどちらか、あるいは両方とも、限定的なテストから先に進むだろう。確かに、持続可能な植物性製品と生分解性のパッケージは正しい方向へのステップだ。またZumeは最近、同社のフードトラック技術を小規模なPizzaチェーンにライセンス供与すると発表した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Luge Capitalがカナダのフィンテック投資向けに約92億円を調達

Fintech Growth Syndicate(フィンテック・グロース・シンジケート)が集めたデータによると、カナダ拠点あるいはカナダで操業しているフィンテックのスタートアップ数は831社にのぼる。にもかかわらず、カナダのこの部門を専門とするベンチャーキャピタルファンドは数えるほどしかない。

そのギャップを埋めようとしているのが、モントリオールとトロントに拠点を置き、フィンテックとAIにフォーカスしているベンチャーキャピタルファンドLuge Capitalだ。同社は初めて行う投資と、15万〜200万ドル(約1600万〜2億2000万円)のシード投資計画のために8500万ドル(約92億円)を調達した。

2018年に創業されたばかりの同社を率いるのはDavid Nault(デイビッド・ノールト)氏とKarim Gillan(カリム・ジラン)氏だ。ノールト氏はiNovia Capitalで副社長を務め、ジラン氏はPayPalが買収した送金スタートアップXoomで経営企画の責任者だった。

Luge CapitalにはiA Financial Group、BDC Capital、ケベック州投資信託銀行、Desjardins Group、La Capitale、Sun Life Financial、そしてFonds de solidarité FTQが出資している。あまりないことだが、何人かのリミテッドパートナーがノールト氏とジラン氏に接近し、ファンドを立ち上げたら資金を出す、と言ってきた。そして2人は、カナダで成長中のテックシーンで動いているフィンテック企業をサポートするための資金を調達しようと仕事を辞めた。

Luge Capitalは北米中のスタートアップを対象に投資するが、なかでもカナダのテック企業にフォーカスする。

「フィンテック企業の数は増え続けている」とジラン氏は話す。「これは、資金への新たなアクセスがあるからだと考えている。企業はいま資金を調達でき、大企業はそうしたスタートアップとの提携に意欲的だ」。

Luge Capitalはこれまでに5件の投資を行ない、うち3件のみが明らかにされた。事業者がアプリとユーザーの銀行口座をつなぐのを手伝うFlinks、顧客向けネットサービスや不正利用の検知サービスを金融機関に提供するOwl、そして保険テクノロジー企業のFinaeoだ。

PitchBookによると、カナダのスタートアップには今年30億ドル(約3255億円)近くが投資され、これはこれまでで最多となる。

「カナダのベンチャーはこれからさらに成長するだろう」とジラン氏は語る。「カナダでモデルを確立してから世界展開するという、カナダをまず最初のマーケットとしてとらえているグローバル指向の創業者が今後増えてくるとみている。そうしたダイナミックな動きに伴って、より多くの外部資金がこうしたベンチャーに流入することになるはずだ」

画像クレジット:Luge Capital

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(翻訳:Mizoguchi)

Moonはブラウザ拡張機能でAmazonでのビットコイン支払いを実現

3人で立ち上げたスタートアップのMoonは、Lightning Networkを使用したBitcoin(ビットコイン)、あるいはLitecoinやEther(Ethereum、イーサリアム)によってAmazon(アマゾン)で商品の支払いができる機能を提供する。同社は、Google ChromeやBrave、Opera向けのブラウザ拡張機能をリリースした。

一部のEコマース小売業者では暗号通貨での支払いが可能だが、Amazonは暗号通貨を受け入れていない。一方、Moonは暗号通貨を使って支払いたいユーザーの期待に応えることができる。

ブラウザ拡張機能をインストールすると、MoonはユーザーがAmazonの支払いページにいることを自動的に認識し、独自の支払いウィジェットを挿入する。そして取り引きの前に暗号通貨でいくら支払うかを確認できる。

現在、Moonでは2つの方法で支払いができる。まず、Lightning Network上で動作するBitcoinウォレットで支払いができる。通常のビットコイン取り引きは、ブロックチェーンで確認するのに数分かかることがあるが、Lightning Networkを使用するとLightningノード間で支払いチャネルを開き、高速処理を実行できる。

Moonでは、Coinbaseのアカウントの仮想通貨残高で支払うこともできる。つまり、CoinbaseのアカウントにBitcoin、Litecoin、Etherなどを保持していれば、CoinbaseのAPIを利用して数秒で支払うことも可能だ。

今回の技術では、MoonはAmazonにて前払い価格を使っている。Moonで支払いをすると、このサービスは自動的に暗号通貨を変換し、Amazonのアカウントに入金してその残高で支払う。Moonからの追加手数料はかからない。

Moonは将来的に米国とカナダ以外にもサービスを拡大し、ヨーロッパでもこのブラウザ拡張機能を展開する予定だ。同様に、Moonは他のEコマースサイトにも進出したいと考えている。なお、MoonはEntrepreneurs Roundtable Acceleratorに参加している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

TikTokがインドで教育コンテンツサービスを開始

現地時間10月17日、中国のTikTokはインドで教育プログラムのサービスを開始した。TikTokはショートビデオアプリとして人気だが、世界最大のマーケットのひとつであるインドでコンテンツを増やし、地元当局にアピールしようとしている。TikTokの広報はTechCrunchに対し、このようなプログラムの導入は世界初だと述べた。

世界最大のスタートアップであるBytedanceが運営するTikTokは、インドで多くのコンテンツクリエイターや制作会社と連携して教育用ビデオのプラットフォームを作っていると語った。学校で学ぶ内容の科学や数学から新しい言語の習得まで、幅広いトピックの短いビデオがそろっている。心身の健康のヒントや啓発的な内容もある。

TikTokはインドで1カ月に2億人以上に利用されている。教育プログラムは「インドのデジタルコミュニティにおける学びの民主化」を目指しているとしている(TikTokの今年4月の月間アクティブユーザーは1億2000万人だった)。

VedantuToppr、Made Easy、Gradeupといった教育テックのスタートアップが協力して、TikTok用の教育コンテンツを制作する。ソーシャル企業のJosh TalksやNudge Foundationとも連携してインド全体で5000人を指導する(こうした連携の一部は数カ月前に明らかにされていた)。Josh Talksの幹部は、TikTokでは2カ月足らずでほかのプラットフォームより多い3500万人以上にリーチすることができたと語る。

TikTokのセールス・提携担当ディレクターのSachin Sharma(サチン・シャルマ)氏は、教育分野への進出はユーザーの需要に応えるものだと言う。同氏はニューデリーでの記者会見で、世界的に見て教育ビデオは人気がありエンゲージメントが高いと語った。

シャルマ氏によれば、ここ数カ月で1000万本以上の教育ビデオが制作され、TikTokで共有されて480億ビュー以上を記録したという。同氏は、クリエイターとのパートナー契約に関する財務構造は明らかにしなかった。

低価格のデータ通信とAndroidデバイスの急増によりインドでモバイルビデオ視聴のブームが起きており、インド国内の教育テックの数も増えてオンラインでコンテンツを配信している。

学習アプリを提供している創業8年のスタートアップのByju’sは、ここ数年でカスタマーベースを大幅に増やしている。同社の評価額は57億5000万ドル(約6200億円)で、7月時点のユーザー数は3500万人だ。

教育コンテンツは広告主にとっても魅力がある。教育コンテンツはTikTokが効果的なマネタイズの方法を探るのに役立つだろうとアナリストは見ている。

eラーニングへの進出は、地元当局に対するTikTokのブランドイメージの向上にも役立つだろう。TikTokはこれまでに数回、インドで問題となっている。今年の4月には、ポルノなどの違法なコンテンツを公開し促進しているとしてインドの裁判所がTikTokを禁止した。この禁止措置はその後解除された。

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(翻訳:Kaori Koyama)

最近のiPhoneは不細工

最初に断っておかなければならないが、私はスマホに関してはちょっと保守的だ。みんな私のiPhone SEを小バカにするが、本当はこれこそApple(アップル)がこれまでに作った最高のスマホであり、どこからどう見ても美しい、素晴らしいデザインだと信じている。それに引き換え、iPhone 11 Proは、どうしようもないくらい不細工だ。もっとも、それはiPhoneに限らない。Samsung(サムスン)やGoogle(グーグル)の最新モデルも、まったく不細工には違いない。

いったい新しいiPhoneが、なぜそんなに不細工なのか順に見ていこう。前面も背面も、そして側面もだ。まずは、ノッチから始めよう。もちろん、今回初めてそうなったわけではないが、おそらくこれは、この時代に特有の異体のようなものなのだろう。何年か後に振り返ってみれば、みんな笑ってしまうしかないようなものだと思う。しかし今はまだしぶとく残っている。

多くの人が、さまざまな理由ででノッチを正当化しているのは知っている。少しでも画面の面積を増やすためだとか、キャリアーやバッテリーのアイコンを表示するのにちょうどいいとか、顔認識でスマホをアンロックするためには不可欠だとか、といったもの。

それはそうかもしれないが、やはり不細工だ。

もしノッチがないバージョンが登場すれば、絶対に誰もノッチのあるほうは選ばないはずだ。なぜなら、言うまでもなく、誰が見ても望ましいものではないからだ。もしアップルのエンジニアが、ノッチをなくす方法を見つけていたなら、とっくにそうしていたはず。しかし、まだ見つけていないからそうなっているわけで、エンジニアたちも失望を感じているに違いない。アップルは、そうすることが可能な限り、ノッチをカモフラージュする特別な壁紙で、その存在を隠そうとしている。それはまるで、「そう、これを見たくないのは僕らも同じさ」と言っているようなものだ。

ちょっとの間だけ、忘れていられることもある。しかし頭の中では、その存在が消えない。みんなそう感じている

これは、目触りで不細工な妥協の産物の代表的なもの。誰も頼んでいない機能を実現するために、そうせざるを得なくなってしまった。ユーザーは、自分がそれを気に入っているかどうかさえ、よく分からなくなってしまっている。ノッチは不愉快なものだが、それを見るたびに、デザイナーも悲嘆に暮れているのだと思うしかない。公平を期すために付け加えれば、そうしたことは実際かなり頻繁に起こり得る。私には、昔からのデザイナーの知り合いも多いが、私と同様、彼らは非常に神経質だ。

私は、画面の角が丸いのもあまり好きではないが、それにもいくつかの理由がある。ただ、将来的にはそんなことは気にならなくなると思えるので、それはまあいいとしよう。「宇宙空母ギャラクティカ」に出てくる紙の隅は、みんな切り取られていたのを覚えているだろうか。そういう世界も、そのうちやってくるだろう。

一方、画面をデバイスの端ギリギリまで拡げること自体は、それほど不細工なものではない。しかし、それも精神的には不細工なこと。今や、スマホの前面全体がインターフェイスになっている。もしこれが、ただ画面に表示されるものを見ているだけで、何か操作しようとしているのではないことを分かってくれるなら問題ない。画面の端や角の部分には、それぞれ割り当てられたジェスチャーがあったりするので、それらが起動しないように注意する必要がある。それがうるさいので、PopSocketsのように、スマホの後ろから突き出るグリップを発明してしまった人もいる。それを使えば、画面の端には触れずに持つこともできる。とはいえ、同じような形のものでも、スマホ以外のものを持つように、普通に持てるなら、そのようなアタッチメントはそもそも必要ないのだ。

背面も不細工になった。このカメラの出っ張りは何だ。出っ張りというのは、ちょっと表現が違う。iPhoneのデザインチームは、海事歴史博物館でも見学して、深海ダイビング用ヘルメットを見つけ、これだ、と思い当たり、さっそくそのデザインを採用することにしたのか。船の舷窓のようでもある。スマホを4000尋の深海まで潜航できそうに見せかけるものなのか。そのようなヘルメットは、大きくて、傷だらけの丈夫な真鍮製であれば、本当にクールだ。しかし、薄っぺらで壊れやすい電子部品には似合わない。そこには、大きくて厚みのある四角の枠の中に、一見不規則に配置された円が、全部で5つもある。背面の他の部分はのっぺりとしているので、そこだけが嫌でも目立ってしまう。

SE Photo SEの背面は、前面を裏写ししたようなデザインだ。上端と下端には「ベゼル」もある。上の私の私物のSEの写真を見ても分かるように、上部の黒いベゼルのおかげで、カメラの存在が、ほぼ完全に隠れてしまう。ただ、残念なことに、フラッシュユニットだけは、ちょっと目立っている。このような構造によって、SE全体が切り欠きなどのないソリッドな物体に見える。これで写真が撮れるのが不思議に感じられるくらいだ。カメラのレンズ部分も、背面の表面と完全に同じ高さで、疑似ベゼル部分の色の違いはあるものの、全体が一体の平面のように見える。

iPhone 11 Proの背面は、ほぼ全域が平野だが、カメラアセンブリの部分は、ちょっと高い台地になっている。そしてその上には、3つの独立したカメラの低い火山があり、さらにそれぞれの中にレンズのカルデラがある。そして台地の端の方には、くぼんだマイクの井戸もある。これだけでも、ざっと5種類の高さの異なる面がある。それにより、十数通りの高低差や尾根が生まれる。もちろん、それぞれの標高は、さほど高いものではないが、存在することには違いない。

これがもし、カメラ専用機や、それに類するデバイスなら、出っ張りやくぼみは、設計上不可欠のものとなる。それによって持ちやすくしたり、見ないでも操作できるようにするためだ。しかし、それとこれとは話が違う。iPhoneは滑らかで美しく、手触りも優れていなければならない。このハワイの地形図のような背面は何なんだ。火山の間の汚れを拭き取るのは楽しいだろうか。持ち換えようとして、レンズの縁をテーブルにぶつけてしまうことはないだろうか。

その上、不細工だ。

iPhoneの側面は、前面と背面ほど悪くはないが、SEの時代と比べると、多くを失ってしまった。シンプルな+、−ボタンの形状、適度なグリップを生む、シャープに面取りされたエッジ、側面を左右2本の直線部分と上下2本の弓状の部分に大胆に分割する黒いベルト。これらはすべて金属製なので、何度落としても、SEは驚くほど壊れないし、むしろクールさが増す。

新しいiPhoneの側面は、安物のミニカーのバンパーのような感じに見える。あるいは、ジェリービーンズを細長く引き伸ばしたような質感だ。スイッチ部分は、そこにさらに小さいジェリービーンズが貼り付いているようで、気持ち悪い。

iPhoneについては、これくらいで十分だろう。アップルは、ずっと昔に、良いデザインとは何かを忘れてしまった。そして最新の製品は、あまりに不細工になってしまったので、こうして声を上げずにはいられなかったのだ。

Samsungの製品にも、アップルと同じような問題が多い。最近では、「エッジ・ツー・エッジ」のディスプレイが主流で、みんなこぞって採用している。もちろん、Galaxy S10も例外ではない。しかし、文字通り端から端まではディスプレイになっていない。上端と下端には、細めのベゼルがある。下端部のベゼルの方が、少し幅が広い。こんな指摘をすれば、私がいかに神経質かを公言するようなものだが、そういうものを見ると、イライラせずにはいられない。もしそれが、HTCの古いモデルにあった「アゴ」のように、もっとずっと幅広いものなら、わざとそういうデザインにしているのだろうとも思える。しかし、ほんのちょっとだけ幅が広いというのは何なんだ。単に、ベゼルの幅を小さくすることができなかったというだけだろう。

ディスプレイが、側面に回り込んでいるというのも、製品写真としては見栄えがするのかもしれないが、実際に使ってみていいと思ったことは一度もない。それに何の意味があるというのか。真正面から見る場合以外、なんとなく歪んで見えるし、端に表示されているものを常に見逃しているような感じが拭えない。

さらに酷いのは、上下にはベゼル、左右にはカーブがあるだけでは飽き足らず、正面にもパンチホールが空けられていること。まったく何なんだ!

ここでノッチについて考えてみよう。スマホのデザイナーとして、前面に比較的大きな領域を確保しなければならないとしよう。その際、画面のどの部分には手を付けずに残すかを考えるだろう。アップルの場合、画面上部の左右を残すことにした。少なくともステータス情報を表示するにはぴったり、というわけだ。フロントカメラやFace IDのセンサーの回りに、多少のスペースは残るかもしれないが、そこに細い表示領域を確保してみたところで、何ができるのか。もちろん何もできない。うっとうしいだけだ。そもそも、画面上端の真ん中に表示すべきものなど何もない。それなら、その部分をそのまま切り取って、まとめてノッチにしてしまえ、ということになる。

それに対してSamsungは、カメラを画面の右上に配置することにして、その周りに、ほとんど意味のないリング状の画面を残した。そこには何を表示すればいいのか。何か意味のあるものを表示するには小さすぎるし、無視するには大きすぎる。特にフルスクリーンのコンテンツを鑑賞するような場合には気になる。もし彼らの目標が、ノッチよりも小さく、さらに目障りなものを作ることだったとすれば、その任務は見事に達成された。パンチホールは、S10シリーズではどれも不細工だが、6.7インチのS10 5Gファブレットの幅の広いノッチホールのコンボは、中でももっとも不細工だ。

アイスホッケー場のプレスボックスの窓のように、すべてのリアカメラを横長の窓の中に配置するというのは、大胆なデザインだ。3つの巨大なレンズ、フラッシュ、その他を隠すためにできることは限られている。せいぜい、それらをまとめて背面上部の真ん中に配置し、背景を黒で塗りつぶして、2009年から持ってきたようなクロームで縁取りするくらいしかできない。空港の監視カメラのような感じだ。少なくとも、その下に配置された「SAMSUNG」という大きなロゴと、サイズ的には合っている。なかなか大胆だが、やっぱり不細工だ。

GoogleのPixel 4は、それほど悪くはないが、やはりそれなりに不細工だ。これにあまり時間を割く必要はないだろう。ハロウィーン用のカボチャのオレンジを除けば、どれも似たりよったりだからだ。私は、オレンジ色はだいたい好きだが、これについてはよくわからない。ブラックフライデーの前の週に、Target(ターゲット)のクリアランスセールのワゴンの中に、格安SIM付きで、2つで99ドルで並んでいそうな感じだ。個人的には、この色も悪くないと思うが、子供がアイスキャンディーと間違えて、スマホに噛み付かないかと心配になる。

上下で不均衡なベゼルは、Samsungのものより幅の違いが大きいが、少なくとも意図的なものであることは分かる。Googleは、自分たちのスマホが、本当に頭がいいことを暗に示したかったので、額の部分を広くしたのかも。

私に言わせれば、巨大で不細工なカメラアセンブリの中では、まだPixelはマシな方だと思う。死ぬほど向こうずねを蹴られるのに比べれば、まだ顔を平手で叩かれる方がまだマシ、というようなもの。それに、ダイヤモンド型の配置も気が利いている。正方形っぽい基盤を前提として、Googleのチームの誰かが、カメラモジュール全体を45度回転させるという、なかなか型破りなアイデアを思い付いたことには敬意を表する。技術的に見れば、それによって無駄なスペースが多くなるが、角の丸い大きな正方形の4隅に沿って4つの円を配置するよりは、見栄えもいいというものだ。

もちろん、ずっと大きな角の丸い正方形の中に、3つの円が三角形に並び、その余ったところに2つの円を置いてみただけのようなものより、はるかにいい。やっぱりiPhoneは不細工だ!

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Nvidiaが5Gの波に乗るべく新たな提携とソフトウェア開発ツールキットを発表

Nvidiaは米国ロサンゼルスで行われている今年のMobile World Congress(モバイルワールドコングレス)で、将来のソフトウェアベースの5Gネットワークは同社のチップセットが主役になると売り込んだ。

一連の新しいソフトウェア開発ツールの提供したほか、米国時間10月21日に発表されたネットワーキングのためのEricsson(エリクソン)、クラウドコンピューティングのためのMicrosoft(マイクロソフト)、Kubernetesの専門知識のためのRed Hat(レッドハット)と提携した。Nividiaは通信会社に対して、同社のチップセットは5Gネットワークで可能になるさまざまな新サービスを実現するための最適な基盤になると語った。

5Gアンテナを効果的に使うためにはかなりの数を遍在させる必要があるので、先陣を切ることはチップメーカーにとって非常に重要だ。それを支えるのが、5Gネットワークの「ネットスライシング」(通信会社がセッション毎に容量を増減できる機能)を通信会社が効果的に活用するためのソフトウェア開発ツールキットを提供することがだ。

NvidiaのCEO Jensen Huang(ジェンセン・ファン)氏はコンベンション前の機長講演で、同社のチップセットと新しいソフトウェアを5Gネットワークに組み込むことで、通信会社は新たなサービスを動的に追加することができるようになると語った。同社はCUDA Virtual Network FunctionとCUDA Basebandという2種類のソフトウェア開発キットを開発した。

また、Nvidiaが以前発表したEGXスタックの上で実行されるAerialソフトウェア開発キットは、Kubernetesの新しいコンテナ化ソフトウェア開発パラダイムとともに動作する。

NvidiaのEriccsonとの「協業」はもうひとつの新たな試みだ。Ericssonと組むことによって、Nvidiaは無線エリアネットワークアーキテクチャーをバーチャル化して、低価格、スケーラブルでエネルギー効率のよいネットワークング技術を構築しようとしている。

「Nvidiaとの提携によって、我々は無線アクセスネットワーク全体をバーチャル化する代替ツールを提供するつもりだ」とEricssonの執行副社長でネットワーク責任者のFredrik Jejdling(フレドリク・ジェドリング)氏が語った。

もう1社のパートナーはマイクロソフトで、クラウドサービスのAzureと、Nvidiaのハードウェア、EGZXやビデオ分析ツールのMetropolisとこれまで以上に密に統合する。

「コンピューティングがあらゆる場所に組み込まれている世界では、クラウドからエッジまでカバーする分散コンピューティング基盤が必要になる」とMicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ラデラ)氏が声明で語った。Nvidiaはエッジコンピューティングをマイクロソフトはクラウドサービスを提供する。

クラウドサービスとの密な連携は、自社ネットワーキングサービスを補完するハードウェア会社を探している通信会社に、Nvidiaのハードウェアとソフトウェアツールをアピールするひとつの方法だ。Nividiaのチップセットがデベロッパード相性がいいことを強調することも必要だ。

それを遂行するために、同社はさらにRedHatと組み、新しく発表したNvidia Aerialソフトウェア開発キットを通じて、データセンターや通信基盤のKubernetes採用が加速されることを期待している。

「業界は益々5Gを推進し『スマート・エブリシング』の革命は始まっている。何十億というセンサーとデバイスが世界中に散らばり、新しいアプリケーションとサービスの可能性を生み出している」とファン氏は言った。「我々ばRed Hatと共同で、クラウドネイティブでスケーラビリティーに優れた高性能なGPUコンピューティング・インフラストラクチャーを構築している。NVIDIA EGX Edge Supercomputing Platformを使うことで、スマートフォン革命と同じく、新時代のアプリケーションが次々と出てくるだろう」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook