本が本でなくなる日

Hachette vs. Amazonの戦争があり、Kindle Unlimitedが登場、そんな中で、出版者であることと、ライターであること、そして読者であることの意味が、今非常に悩ましく問われようとしている。Laura MillerがSalonに書いた優れた記事は、“自費出版本の熱心な読者たちは、アメリカ中のぬかるみ*の中を歩きまわることに合意した”、と言っている。それは、今やAmazonが、誰でも壁に糞を投げつけてよいと言っているので、われわれ読者はそれらの糞が壁に張り付くか床に落ちるかを確認しなければならない、という意味だ。〔*: slush pile, 愚作の持ち込み原稿の山。〕

でも、現実はこうだ: われわれが知っていた本の姿は、変わりつつある。本は、雑誌や新聞と同じ運命をたどりつつある。 散文テキストの分厚い塊は価値を失いつつあり、人びとがそれに対して払う価格も下がっていく。たとえばKindle Unlimitedがスタートしたとき9歳の息子に、好きな本を何でもダウンロードして読みな、と言った。彼はHarry Potterなどの長編フィクションには見向きもせず、すぐさまMinecraft関連の大作をダウンロードしたが、それはしかし私が見ればRedditのMinecraftギャグを本の形に集めたようなものだ。“それは本じゃないよ”、と彼に言ったが、今や、それが、本なのだ。

Amazonは積極的に、われわれの本に対する考え方を変えようとしている。前世紀には、出版社は限られた数の作品を、“安い”製品を作ることが善とされる経済システムの中で生産し、配布した。紙とボール紙で作られた本(ハードカバーの本、ペーパーバックでない本)は、高級品のように売られた。売れ残りは砕かれてパルプになり、新本として売られることはなかった。そして、古書市場というニッチの市場ができあがった。

そして今や、eブックの登場により、ハードカバーの本の価値は大幅に減価した。しかも、大手出版5社は、本をおかしな、新しい方法で売るはめになった。その形は、サンドイッチに似ている。彼らは大量の本を売るが、それらはAmazonのUnlimitedのMinecraftストアで売られるような本だ…セレブの伝記、料理本、政治的暴言集、などなど。それらの厚いパンにはさまれた薄い具の部分が文学書だが、その売上の大半はStephen Kingなど少数の人気作家に依存している(とよいのだけど)。昔の文学書ジャンルの、厚いハムだった部分は、今や干からびた薄いカルパッチョだ。

出版人たちは、口癖のように、自分たちは大きな付加価値を提供している、と言う。それには同意しよう。彼らのところには、偉大なる編集者と、優れたアーチストと、有能なPR部員がいる。歴史的には、大手出版社は文化の司祭であり、言葉の大法官だった。人類の知的生活に仕える執事でもあった。でも彼らの強大な権力も、必勝とは言えない。最近友人が立派な本を有名出版社から出して、1年で750部売れた。ぼくはIndiegogoとAmazonを利用して、自分のインディー本を同じ期間に数千部売った。ぼくも、出版社と心中すべきだっただろうか? 全国の書店まわりをやって、サイン会もして、Jon StewartがホストするDaily Showで自分の本を宣伝すべきだったか? それもいいけど、ぼくは死なずに生き延びたい。

Amazonは、金目当てでHachetteやそのほかの取次と喧嘩しているのではない。Amazonは、有料コンテンツを配布するための新しい市場を自分が支配するために、彼らを蹴落としたいのだ。もちろん、そのコンテンツの要(かなめ)が、eブックだ。

今では、ブログというものがある。ブログ記事と本は、本質的に異なっている。本は長いし、完璧な編集作業を要するし、製作に長時間かかる。良い本を作るためには、時間をかけるか、またはエキスパートたちのチームに良い仕事をさせるか、だ。でもインディーのライターには、コピーエディタ(原稿整理編集者)を雇うほどのお金がない。だからインディー作品のクォリティには、今後も疑問符がつく。

でも、ブログはどうか。これまでは、とにかく早く書いて早くお金をもらうライターといえば、ジャーナリストだけだった…自称ジャーナリストも含めて。でも今では、MediumやWordPressなどのソフトの上で出版が行われるので、平均的なライターたちが早く書いてわりと早めにお金をもらえる。彼らには、コンサルタントなどの副業もある。対して、大手出版社や大手マスコミだけを相手にしているジャーナリストは、今や泥の中でもがいている。誰しも、昔からやってきたことしか、できない。コピーエディタがしっかり手を入れた記事、事実をチェックされて、ジャーナリズムの黄金律と呼ばれるThe New York Timesに載った500語の力作を、懐かしむのもよい。ぼくもTimesに記事が載ったことがあるが、でもあそこの人たちは、たしかに優秀だけど、ここTechCrunchやTMZやBuzzfeedやJoeの釣りブログなどで仕事をしている人たちと比べて、とくに良いとか悪いということはない。違いは、NYTはかつて強力であり、その記憶の残像のおかげで世界中の寄稿者のネットワークが維持されていることだ。でも、ぼくたちみんなは、TMZもEngadgetもBuzzfeedも、短編記事でマネタイズしてきた。NYTがそれをやって生き延びることは、まずできない。

そして、かくして出版産業は衰退していく。なんとか生きていけるインディーのライター1000人に対して、大きく稼ぐ者が数十名、そして大手出版は対応を誤る。音楽産業のように派手な無様(ぶざま)さにならないのは、大手出版による、印刷物による、堅牢な本の顧客が、ある程度は残るからだ。でも、彼らが時代に取り残されることは、間違いない。Kindle Unlimitedはインディーライターが好きな読者層を獲得し、Amazonはインディーの本を値引きしてでも売るが、大手出版5社は逆に彼らに対し大手いじめ屋になる。そして、Bezosが勝つ。

ぼくはライターであり、書くことが好きだ。書いたものは、読んでほしい。Laura Millerがぬかるみと呼んだライターや作品も、そこらにたしかにある。でも、それはかまわない。ここ10年ほどは、ブログにも色とりどりのぬかるみやジャングルがあった。しかし今では大手インターネットメディアの傘下に入ったものと、多数の小さなインディーに両極している。インディーの出版にも、同じことがやがて起きるだろう。それは避けられないことだし、Amazonはそういった動きのすべてから稼ぐつもりでいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


コミュニティ関連機能を充実し、ブログプラットフォームとしての成長を目指すSETT

今や、ブログというのも「古臭いメディア」と思われているところもありそうだが、これから発展していく面もあるのだと考えている人も多い。

Dustin CurtisのSvbtleEv WilliamsのMediumも、ブログや、長期に渡って通用するコンテンツのためのプラットフォームを進化させたいと考えている点では共通している。5年前にBloggerはミニブログや、Tumblrにその座を譲ったが、今になって別の動きが胎動していると考えているわけだ。

ミニブログ化の方向に大きく動いた振り子が戻ってきて、改めてより長い記事やメディアを掲載するためのプラットフォームを求める動きに繋がっているのかもしれない。

そのような中、生まれてきたSETTは「コミュニティ」に重きをおいたブログプラットフォームだ。「コミュニティ」を機能を充実していることから、新たにブログを始めた人も、すぐに対象となるコンテンツに興味を持つ読者を獲得することができる。また長くブログを続けている人は、ハイレベルな読者と意見の交換を楽しむことができる。

コンテンツのフィード機能やWYSIWYG編集などは、今日では当然のことなので取り上げる必要もなかろう。SETTではそうした機能に加えてSETTコミュニティの中で生じるトラックコメントやプライベートメッセージなどを、簡単に把握しておけるようになっている。

SETTに記事を投稿すると、サービスで用意しているワード・マッチングシステムを利用して、既存利用者の投稿内容と比較するようになっている。そこで近い内容に興味を持つ人に対してブログを紹介してくれるわけだ。紹介されてくる記事を読んでみれば、また次々に関連記事を読むことができるようになっている。

SETTのアイデアは、ブロガー活動を続けてきたTynan(ずっとファーストネームだけで活動している)とTodd Icetonから生まれたものだ。IcetonはNutshell Mailのディベロッパーとして活躍してきた。同社はメールマーケティング界の巨人であるConstant Contactにより買収されている。

Tynanは、6年間のブログ活動を通じて、新規参入にあたっての数々の「壁」を認識するに至った。

「ブログを始めたばかりの人にとって、コミュニティの一員となることが非常に難しいことなのです」と述べている。

SETTはまずこの敷居を低くしようとしているわけだ。コミュニティ機能の他にも、ワンクリック購読システムなども導入している。話題が広がりそうな個別記事への購読登録も行えるようになっていて、その場合は新たなコメントが投稿されたときなどに通知を受け取ることができる。

またコミュニティ内にて、ディスカッションを行うこともでき、このディスカッションエリアでは、誰がオンラインなのかを確認したり、あるいはどの投稿が最も読まれているのかなどを確認することもできる。

SETTでは、ベータ段階で100内外のアクティブブログが開設され、以降サイト数は増え続けている。500 Startupsが出資しているフィットネス系スタートアップのFitcracyの共同ファウンダーであるDick TalensなどもSETTを利用している。

SETTは月間12ドルから99ドルのプレミアムアカウントにより収益をあげている。価格差は画像のホスティングスペースや購読者数の上限、カスタマーサポートの差によるものだ。

もちろんブログ関連のサービスは他にもたくさんある。しかし、たとえばSvbtleはコメント投稿に弱さがあるとTynanおよび共同ファウンダーのToddは言う。2013年の現在、モバイルファーストでもないブログサービスというのを古臭く感じる人もいると思う。しかし彼らによれば、内容を革新することにより、ブログプラットフォームへのニーズをまだまだ掘り起こすことが出来るとのことだ。

「ブログ環境に苛立ちを感じている人は多いでしょう。ただそれはWordpressのような環境が、大きな変更もなく10年以上も続いてきたからなのです。そろそろ新しいことを始める必要があります」と、Tynanは主張している。

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(翻訳:Maeda, H)


Evernoteのノートブックをブログ化するPostach.io、ベータ版にてサービス提供中

EvernoteのDevcupと呼ばれるハッカソンにも参加しているPostach.ioがなかなか面白い。Evernoteのノートブックをコンテンツ・マネジメント・システムとしてブログを構築するものだ。提供しているのはバンクーバーのInput Logic。サービスを提供し始めて4週間ほどだがEvernoteともマネタイズについて話をしつつ、また投資家からの資金も獲得している。

Input Logicの設立は2年前のこと。UIデザイナーのShawn AdrianとプログラマーのGavin Vickeryの2名が、まずはソフトウェア開発会社として立ち上げた。そして見積書の自動作成を行うQuoteRobotの提供を開始し、その他にも契約書作成ツールなどを開発した。チームはフルタイム2名を含めて5名となり、Nest、Michael Kors、スキーリゾートのMt. Washingtonなどに、システムの提案から開発など、種々のIT系サービスを提供してきた。

しかし、今後はPostach.ioに注力していきたいと考えているのだそうだ。

Adrianによれば、本人もVickeryも当初はEvernoteを使っていなかったらしい。多くの人が使っているのは知っていたが、どちらかと言えば冷めた見方をしていたわけだ。しかしFull Stackのパートナー(この度Input Logicに20万ドルの投資を行った)であるLance Traceyの勧めにより、活用法を探ってみることにした。

「使ってみるうちに可能性に気付かされ、とくに開発担当のGavin Vickeryが深くめり込んでいくことになったのです」とAdrianは言っている。

そして両名はQuoteRobotのドキュメントなどをEvernoteで管理するようになった。そうするうちに、ドキュメントの管理ツールとしてのみではなく、直接にパブリッシュ(公開)する仕組みを作れないものかと考えるようになった。Vickeryも、自身のブログ記事を全てEvernoteで作成管理していた。直接に公開できる仕組みを作れば話が早い。そう考えたわけだ。

そんなわけでPostach.ioが生まれることとなった。

これまでにさまざまなCMSを使ってきた経験を活かし、簡単なブロギングシステムに必要とされる機能をすべてPostach.io上に実装した。たとえばテーマのカスタマイズ、RSS(Atom)のフィード機能、Disqusを利用したコメントシステム、マルチメディアコンテンツへの対応などは当然に実現されている。Evernoteに保存できるもの(画像、音声、ビデオ等)はすべて、コンテンツとして活用できるようにもなっている。

現在のところ利用できるテーマは数件程度であり、シンプルで必要最小限のものとなっている。今後は本体の機能を追加していくとともに、たとえばEvernote FoodやHelloなどの利用者のために、適したテーマを開発するなどしていきたい考えだ。機能的には、各種ソーシャルネットワークとの連携や、ウィキ機能、あるいはコミュニティ機能なども実現したいと考えている。こうした機能があれば、自分のコンテンツをいろいろな方法でアピールすることができるようにもなる。

Postach.ioを使うには、アカウントを取得してEvernoteと連携させるだけだ。連動するノートブックを指定して、保存アイテムに「published」のタグを付ける。すると当該アイテムがブログ上で記事として公開されることとなる。Evernoteの日付指定を利用して、予約投稿を行うこともできる。

ブログはyourname.postach.ioといったサブドメインで公開される。但し、プレミアム版で独自ドメインで運用することもできるようにしていく考えだ。

プレミアム版についてはまだ詳細は未定で、独自に有料版を展開していくのか、あるいはEvernoteの利用者をEvernote Premiumに転換させるアフィリエイトシステムを活用すべきかを考えている。現在のところはプロダクトの機能を充実させ、そして利用者を拡大させることに注力しているわけだ。ちなみに4月にプロダクトの発表を行なって以来、1500名の利用者を獲得しているそうだ。

言うまでもなく、競合となるブログプラットフォームは数多く存在する。Tumblr、WordPress、あるいはBloggerのような大手もあるし、Medium、Svbtle、そしてPosterousからのデータ移行を狙ったPosthavenなど、新たに登場してきたものもある。このような中、Postach.ioとしては、既に多くの利用者を集めているプラットフォームを活用するという方向性にて、差別化できるものと考えている(そうした考えを持っているのはPostach.ioだけではない。Everblogや、あるいはこちらのIFTTTレシピなども同様な狙いを持つものといえよう)。。

「Evernoteを活用する場合、コンテンツがEvernote上にあるという安心感もあります」とAdrianは述べている。「たとえば私たちのサーバーが雷に打たれて使えなくなるようなことがあっても、利用者の方々のコンテンツデータが失われてしまうようなことはないわけです」。

使ってみたいと思う人は、こちらでサインアップすることができる。

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(翻訳:Maeda, H)


4月30日のPosterous閉鎖を前に、Tumlbrへ記事を移行するJustMigrateがサービス開始

JustMigrate logoPosterousが4月30日に閉鎖されてしまうのを受けて、Posterousへの投稿をライバル関係にあったTumblrに移行するサービスが公開された。

サービスの名前はJustMigrateで、Posterousがブログにてサービスの停止をアナウンスした、まさにその日にアナウンスされた。利用にあたってはPosterousのURLを入力し、そしてTumblrでオーソライズを行う。それで準備は完了だ。複数のTumblrブログを運営している場合は、メインのブログでアクセス許可を行うと、どのブログにインポートするのかを選択するページが表示されるようにもなっている。

Posterousの記事が100件までなら無料で移行できる。250件までの記事を移行する場合は10ドルだ。そして500記事を移行したい場合には25ドルという価格設定になっている。但しTumlbrのAPIでは、1日に250本までの記事ないし75枚までの写真しか投稿することができないようになっているので、記事/写真本数が多数ある場合には複数日に渡って移行するように、JustMigrate側で調整されるようだ。

サービスを構築したのはインドの5人組からなる3Crumbsだ。これまではモバイルショッピング用のアプリケーションなどを作っている。共同ファウンダーのSiddarth Menon曰く、ハッカソンの最中にPosterousの移行ツールを作ろうというアイデアが出てきたのだとのこと。3Crumbsは自己資金により運営されている。今回の移行ツールで多少の売り上げをあげて、本業のショッピングアプリケーションの方に資源を回したいと考えているのだそうだ。

ちなみに、サービスがアナウンスされてから1日もたたない段階で、150件のブログから移行申し込みがあったのだとのこと。Menonによると、前New York Timesのデザインディレクター兼Mixelの共同クリエーターであるKhoi VinhもPosterousにブログを持っていて、こちらは既に移行されたそうだ。

JustMigrateは、サービスについての情報が広まるにつれて、移行申し込みが増えてくるだろうと予測している。ちなみにPosterousは2011年の段階で1230万件のブログを運営しているとアナウンスしている。そのほとんどは個人運用によるものだ。

今回のサービスインのアナウンスは、これ以上ないほどにタイムリーなものだと言えるだろう。昨年3月にTwitterによる買収を発表した際、PosterousのファウンダーであるSachi Agarwalは、サービス終了の際には前もって利用者に通知するとしていた。また、その際にはTumblrやWordpressへの移行ツールも用意するとしていた。

実際のところ、Posterousは以後、移行ツールなどについてのアナウンスを行なっていない。12月になって、記事をひとつのZipファイルにまとめてダウンロードすることができるようにしたのみだ。移行ツールが用意されないことに不満の声は高まっていた。そもそもPosterousが多くの利用者を獲得したのはTumblr、Wordpress、Bloggerなどのブログから記事を移行するツールをリリースしてのことだったのに、いざ自分が閉鎖するときになるとなんの対応もしてくれないに等しいことになってしまったのだ。

但し、Posterousの最新ブログ記事には、WordpressやSquarespaceがインポート用のツールを用意しているとは書いてある。Posterousがいよいよシャットダウンする前になら、こうしたツールを使うことも考えられるだろう。

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(翻訳:Maeda, H)