中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

全人代開催のタイミングで作業コラボのNotionが中国で突然利用禁止に

バリュエーションがこのほど20億ドル(約2150億円)に到達した急成長中の作業コラボツールNotion(ノーション)は米国時間5月25日、同社のサービスが中国で使用できなくなっているとTwitter(ツイッター)で明らかにした。

ノートやwiki、タスク、チームコラボを統合したオールインワンのプラットフォームを利用しようと、生産性アプリのNotionは中国を含め世界中のスタートアップやテックワーカーを引きつけてきた。サンフランシスコで創業されて7年になるNotionのアプリは、2004年にサービス展開を始めたEvernote(エバーノート)の手強いライバルとして広く認識されている。

Notionは「状況を注視しており、引き続き随時アップデートする」と述べたが、使用禁止となったタイミングは、中国の全人代開催と明らかにかぶっている。全人代は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックのために2カ月遅れで5月22日に開幕した。中国で鍵を握る全人代の開催前後は通常、インターネット規制や検閲が厳しくなる。

Notionにコメントを求めようとしたが、すぐさまコンタクトを取ることができなかった。

中国で利用できるようになったものの現地の法律が適用されていないNotionや他のアプリにとって、突然の弾圧はほぼ予想されていた。中国のサイバーセキュリティ監視機関はNotionのノートシェアの自由な状態を問題あり、と判断したのだろう。一部のユーザーはNotionの使い勝手の良いデスクトップバージョンを個人のウェブサイトに変更しさえした。もしNotionが中国で存在感を維持しようとするなら、中国における全コンテンツ制作プラットフォームに適用されるのと同じ規制に従う必要がある。

例えばEvernoteは2018年に合弁企業を立ち上げ、Yinxiang Bijiというブランド名で中国版をリリースした。Yinxiang Bijiでは機能が制限されていて、ユーザーデータが中国内に保存される。

作業コラボアプリの競争

App Annieのデータによると、中国で禁止になる直前の5月21日に、Notionは中国内のAndroidストアで最もダウンロードが多い生産性アプリになった。ダウンロード急増は、Notionが主な機能を個人ユーザーに無料で提供すると決定したことを受けてのものだ。また、Notionにそっくりだとしてデベロッパーコミュニティの間で議論が巻き起こった中国の模倣アプリHanzhou(寒舟)とも関係しているようだ。

Hanzhouの幹部で、以前ByteDanceが支援する書類コラボアプリShimoで働いていたXu Haihao(徐海豪)氏は、5月22日付の謝罪投稿の中で「Notionをベースにプロジェクトを展開した」と認めた。

「我々は初めから間違っていた」と徐氏は書いた。「しかし私は誰かを傷つけるつもりはなかった。(Notionの)テクノロジーから学ぼうという意図だった」。解決策として、Hanzhouは開発とユーザー登録を停止する、とした。

中国の最大のテック企業の一部は、職場生産性の業界を狙っている。新型コロナウイルス危機で最近にわかに需要が高まっている分野だ。Alibaba(アリババ)のDingtalk(ディントーク)は2019年8月に、1000万超の企業と2億人以上の個人ユーザーが同プラットフォームに登録したと述べた。Tencent(テンセント)のWeChat Work(ウィーチャット・ワーク)は2019年12月までに250万社とアクティブユーザー6000万人がサービスを利用したと明らかにした。

関連記事:生産性プラットフォーム運営のNotionが個人向け無料アカウントの機能制限を大幅に解除

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(翻訳:Mizoguchi

2億近いユーザーを抱えるBilibiliは中国のYouTubeになりつつある

中国のビデオストリーミングサイトBilibiliは、かつて若者のサブカルチャーの聖地と見なされていたが、ユーザーの高年齢化およびコンテンツの多様化により、着実にメインストリームになっていった。NASDAQに上場している同社は、第1四半期に前年同期比で70%の成長を記録し、月間アクティブユーザーは1億7200万に達した。同社は今は、TencentとBaiduが運営しているビデオサービスであるiQiyiと肩を並べている。

ユーザーの1日の滞留時間は87分間という記録的な長さになったが、それはおそらく新型コロナウイルス(COVID-19)による在宅命令が延長されたためだろう。

同四半期にTencent Videoは1億1200万のサブスクライバーを報告し、iQiyiは1億1890万を集めた。ほぼ全員が有料ユーザーだろう。対照的にBilibiliは、MAUのわずか約8%が有料ユーザーだ。

しかしBilibiliの成長要因は独特だ。Tencent VideoとiQiyiがNetflixのようにプロが制作した商業的コンテンツ中心であるのに対して、BilibiliはYouTubeのようにユーザーが作成したコンテンツが中心だ。クリエイターの数は毎月146%増えており、現在は180万で彼らが提出するコンテンツ数は毎月490万本だ。上位のクリエイターの中には、なんとCommunist Youth League of China(中国共産主義青年団)がいる。

Bilibiliはゲームやアニメファンのフォーラム、または中国版の最新のYouTubeだと思ってるかもしれないが、AlibabaとTencentがバックについてからは、1億3000万の愛国的な若者たちにもサービスを提供している。Youth LeagueはBilibiliの上位から7番目のクリエイターで、下のグラフに示すように、いいね!の数では最高だ。ここやその他の国が公認しているサイトにはウイルス関連の陰謀説が氾濫し、反アメリカ的な感情を煽っている。

Bilibiliは収益化の方法も独特だ。若いユーザーが多くてモバイルゲームのプラットフォームという性格もあるので、Q1の売上の半分はビデオゲームだ。その他の売上源は、ライブのブロードキャストにおける仮装アイテムの売上、広告収入、そしてBilibiliにショップがあるコンテンツクリエイターの売上だ。

ユーザーは順調に伸びているが、Bilibiliは今期、損失が7610万ドル(約82億円)に増えている。前年同期の2738万ドル(約29億5000万円)と比べて急激な増加だ。その原因としては、新型コロナウイルスによる商品配送の遅れが挙げられている。

しかしそれでも、同社の現金準備はSony(ソニー)からの4億ドル(約431億円)の巨額投資もあって11億3000万ドル(約1217億5000万円)と厚い。Sonyは両社間のアニメとゲームのシナジーに期待している。また、長年のライバルだったAlibabaとTencentはこのところ共同投資の事案が増えており、Bilibiliもその対象のひとつだ。

同社のCFOであるFan Xin(ファン・シン)氏は決算報告の席で「弊社のキャッシュフローはプラスであり、損失よりも大きい。全体として弊社の財務状態は健全である」と述べている。

画像クレジット:Bilibiliホームページのスクリーンショット

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

中国はいま、ライブストリーミングへの新たに関心を示している。新型コロナウイルス(COVID-19)が国中で猛威をふるい、多くの建物が扉を閉ざし、事業者は物を販売するためにオンラインに向かった。そして多くの人がライブストリーミングを受け入れた。現在、我々のモバイルスクリーンの大半を支配しているショートビデオが先行したモデルだ。客の多くがオフラインショッピングを避ける傾向が強まりつつあり、Alibaba(アリババ)やJD.com(JDドットコム)、Pinduoduo(ピンデュオ)のようなeコマースの巨人たちはライブストリーミングに力を入れている。ライブストリーミングを使って顧客は販売事業者とやり取りをし、リアルタイムに注文する。

異端プレーヤーのWeChat(ウィーチャット)もこの動きに加わっている。月間アクティブユーザーが11億6000人のメッセージサービスである大手WeChatは今週、6月のライブストリームショッピングフェスティバル開催で広州市と提携したと発表した。このニュースの前には、習近平主席が経済におけるライブストリーミングeコマースが、特に地方の農産品の販売を促進するうえで重要な役割を果たすとの認識を示していた。

ライブストリーミングeコマースを通じて地方経済を押し上げるために、地方行政がイニシアチブをとるのは中国では初めてのことだ。この取り組みが交易や輸出の中心地である広州市で行われることは驚きではないだろう。グローバルのパンデミックにより中国の輸出は減少していて、当局は国内需要を刺激せざるを得なくなっている。

WeChatのメッセージ以外のほとんどの機能と同様、ライブストリーミングはミニプログラム(またはライトアプリ)インフラ上に構築されている。WeChatによると、この機能には数万もの小売業者が登録されていて、試験期間の間は無料で利用できる。グローサリーや観光、ファッションの小売事業者はこのサービスの恩恵を最も享受できる。例えば、NASDAQに上場している旅行ポータルのCtrip(シートリップ)は、航空会社や旅行アトラクションが大幅割引で商品を売り出しているため、WeChatでのライブ促進で1億元(約15億円)を売り上げた。中国のライフスタイルブランドであるHeilan Home(ヘイランホーム)はライブセッションでの視聴者300万人超を記録した。

「ここ数カ月、オンラインショッピングの需要は新型コロナパンデミックで急増している。ライブストリームを通じた販売は今や事業や生産の再開、消費者の需要刺激の鍵を握っている」とTencent(テンセント)広州のゼネラルマネジャーを務めるGerald Hu(ジェラルド・フー)氏は発表文で述べた。

WeChatがライブストリーミングに乗り出したのは最近だ。この部門が近年盛り上がっていたにもかかわらず、WeChatがライブストリームを同社のオール・イン・ワンプラットフォームに正式に導入したのは2020年2月のこととなる。これは創業者Allen Zhang(アレン・チャン)氏の製品に対するミニマリストで完璧主義的なアプローチのためかもしれない。

結局のところ、WeChatの根幹は知り合い同士間のコミュニケーション促進にある。買い物やゲームといった他の機能は社交生活の延長であり、会話を邪魔するものではなく補足するものだ。人々は友達がWeChatメッセージを通じてシェアしたスナックを購入するかもしれない。あるいはWeChat上のアプリ内ゲームへの参加を呼びかける友達からの招待状を受け取るかもしれない。しかしどれだけの人が30分間もビデオに費やし、その間に重要なメッセージを逃すリスクを負ってもいいと思うだろうか。

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(翻訳:Mizoguchi

中国が新型の長征5号Bロケットで次世代乗員カプセルのデモ飛行

中国が新型の長征5号Bロケットを利用した、次世代宇宙船の実証ミッションを打ち上げた。これは、中国の次世代宇宙ステーションの部品の打ち上げにも使用される、新型の長征ロケットの最初の打ち上げでもある。

今回のミッションでは、中国で最新のロケット射場となる文昌(ウェンチャン)から、乗員を乗せない宇宙船が打ち上げられた。長征5号Bは推進力を高める4つのブースターを装備した10基のエンジンを搭載したロケットで、中国にとってこれまでで最も強力なロケットだ。このロケットは第2段がなく、大型のペイロードを地球低軌道に運ぶために特別に設計されている。これはまさに、同国が2022年までの建設を計画している宇宙ステーションの組み立てに必要なものだ。

乗員カプセルは低軌道で短期間の実証ミッションを行うが、現時点では飛行証明の準備段階だ。最終的には、軌道上の宇宙ステーションとランデブーし宇宙飛行士を送り込むために中国が現在使用している宇宙船の神舟と代わることになる。現在は3人乗りだが、最終的には一度に最大6人を輸送することができ、また最終的には月まで宇宙飛行士を運ぶことも可能になる。

これは中国の宇宙開発にとって重要なミッションであり、現在進行中のNASAによる商業有人ミッションと比較すると興味深い。アメリカは5月27日にSpaceX(スペースX)の商業宇宙船が宇宙飛行士を乗せて初のデモ打ち上げを行うという、大きなマイルストーンに近づいている。また同社のCrew Dragonは、構成によって最大7人の乗員を輸送できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

WeWorkの共同創業者アダム・ニューマン氏がソフトバンクを権力濫用で訴える

WeWorkの共同創業者Adam Neumann(アダム・ニューマン)氏は米国時間5月4日に起こした訴訟で、ソフトバンクグループがその権力を濫用していると非難している。訴えによると、ソフトバンクグループはWeWorkの30億ドル(約3200億円)の株の公開買付けに関して契約に違反し、信認義務にも違反したとされる。

その訴訟はデラウェア州エクィティ裁判所に提出され、2020年4月にSpecial Committee of WeWork(WeWork特別委員会)が起こした訴訟との一本化を求める動議も含まれている。どちらの訴訟も、ソフトバンクグループと同社のビジョンファンドによる、WeWorkの株を購入契約の取り消しにフォーカスしている。

ソフトバンクグループは4月1日に、WeWork株の30億ドルの公開買付けオファーを撤回し、新型コロナウイルス(COVID-19)の事業への影響と完了条件の不備をその理由とした。具体的に同社が合意が破談した原因として挙げたのは、規制当局による調査が未了であり、WeWorkに対する訴訟が増えていること、そして中国における合弁事業の再編成の失敗だった。

ソフトバンクの上級副社長であるRob Townsend(ロブ・タウンゼンド)氏は、声明で「ソフトバンクはこれらの原告に法的利益のない主張に対して断固として自己を防衛する。アダム・ニューマン氏も署名した我々の合意の下では、ソフトバンクには公開買付けを完了する義務がない。その公開買付けでは、10億ドル(約1070億ドル)の株を売ろうとしていたニューマン氏が最大の受益者であった」と語っている。

2019年10月には、ニューマン氏が保有する非公開株の一部と、ベンチャーキャピタルのBenchmark Capitalおよび企業の社員である多くの個人の株を買い取る契約が交わされた。それによりニューマン氏は、10億ドル近くを受け取るはずだった。

WeWorkとニューマン氏は、会社のコントロールをソフトバンクに与えたが、訴状によると後者は価格を大幅に下げて所有権の増大を図っていた。

訴状は次のように述べている。 「ソフトバンクはその権利者としての立場を濫用して、ニューマン氏と株主と数百名の社員に対し既に授権されていた利益を支払う約束に背いた。ソフトバンクは、約束を破棄するための秘密裏の行動で、投資家たちが一部の権利の放棄をしないよう、かつ中国の合弁契約が完了しないよう圧力をかけた」。

さらにソフトバンクの公開買付け終了の決定には同社の財務状況が影響していると主張している。「法的アクションを起こせるのはWeWorkの特別委員会のソフトバンクがコントロールしている理事会のみであり、既に同理事会が訴訟を起こしているのにこのような決定をしたことは権力の濫用だ」という。

そして訴状では「実際にソフトバンクグループとソフトバンクビジョンファンドは彼らのWeWorkに対するコントロールを濫用し、特別委員会の法的に意義のある訴訟をかき消そうとしている」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国のQ1スマホ出荷台数は前年同期比18%減、新型コロナが直撃

さらに厳しい数字がCanalys(カナリス)から発表された。同社は2020年第1四半期の世界のスマートフォン出荷台数が前年同期比13%減となったと発表したばかりだが、中国に関してさらに悪い数字を明らかにした。世界最大のスマホマーケットである中国でのQ1スマホ出荷台数は前年同期比18%減だった。やはり新型コロナウイルス(COVID-19)が原因だ。

中国は新型コロナ流行に最初に苦しんだ国であり、第1四半期に打撃を受けたことが示されている。最初の感染例は2019年11月中旬にさかのぼり、その後の感染拡大は中国国内の購買行動と、多くが中国を拠点とするグローバルサプライチェーンに大きな影響を及ぼした。7260万台という出荷台数は2013年以来最低だ。

もちろん、この数字はもっと悪いものになっていた可能性もある。新型コロナが問題となる前に伸び悩んでいた業界にとって18%減というのはかなりのものだが、スマホは「必要不可欠なプロダクト」というこのところの位置付けによってさらなる落ち込みから救われた、とCanalysは話す。

「『重要な』アイテムというスマホのステータスにより、パンデミック禍でのマーケットのさらなる落ち込みに歯止めをかけた」とCanalys副社長のNocole Peng(ニコール・ペン)氏は声明で述べた。「Q1のパフォーマンスはまた、スマホ流通のためにしっかりと確立された中国のeコマースチャンネル、さらには2週間の中国全土移動禁止後に中国企業が素早く事業を再開できたという事実にも支えられた。残念ながら、世界の他の主要マーケットでは同じようにいっていない」。

それでもアナリストは、スマホマーケットが中国でリバウンドできるかについては「慎重」になっている。多くの国がまだ新型コロナ渦中にある世界のマーケットについてはなおさらだ。

画像クレジット:Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

インドの第1四半期スマホ出荷は4%増、年間見通しは10%減の予想

グローバルのスマホ出荷台数が停滞あるいは落ち込むなかで、インドは四半期ごとに成長し、この10年間で最も成長著しいスマホマーケットの1つとなっている。しかし世界第2位となったインドのスマホ市場でも、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が出始めている。

調査会社Counterpointが米国時間4月24日に明らかにしたところによると、インドのスマホマーケットは3月31日までの四半期で前年同期比4%増と控えめな成長となった。例年、スマホメーカー数社が新製品を投入し、アグレッシブな販促計画を発表する1月と2月にスマホの出荷は増える。

しかしCounterpointによると、3月の出荷は前年比で19%減となった。同社はインドのスマホ出荷台数は2020年には10%減となるとみている。2019年は前年比8.9%増、2018年は同10%増だった。

Counterpointはまた、2020年3月に発令されたインドのロックダウンが国内のスマホ産業をかなり低迷させていて、元に戻るには7、8カ月かかるかもしれないと指摘している。現在のところ、インド国内で販売が許されているのはグローサリー製品に限られている。

Counterpoint Researchでシニアリサーチアナリストを務めるPrachir Sing(プラチア・シン)氏は、インドにおいて新型コロナイスルによる影響は3月中旬まで比較的軽微だったと指摘した。「しかし、人々が今後の不透明性や完全なロックダウンを予想して貯蓄に走るようになってから経済活動が落ち込んだ。そして、ほぼすべてのスマホ製造が一時停止となった。その上、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の維持)の影響で、例えロックダウンが解除されても工場の生産能力は低いだろう」と述べている。

2020年第1四半期はインド国内で3100万台のスマホが出荷された。マーケットシェアをみると、中国スマホメーカーのXiaomi(シャオミ)がトップで30%を占めた。同社にとってもインド市場は過去2年以上にわたって最大のマーケットだ。

Vivo(ビボ)のシェアは2019年同期の12%から17%に増えた。かつてインドマーケットを席巻していたSamsung(サムスン)はマーケットシェア16%で今や第3位だ。Apple(アップル)はこのところの勢いを維持し、前年同期比78%増と力強い成長をみせた。価格が600ドル(約6万4000円)以上の高級スマホ部門の55%を占めている。

インド国内にある100カ所以上のプラントが1日に70〜80万台のスマホを組み立て・製造し、そうしたスマホの一部は海外に輸出される。しかしロックダウンにより製造は中止されており、2020年に業界は30〜40億ドル(約3200〜4300億円)超の損失を被る可能性がある。

「我々はよくインドと中国を見比べる。しかし中国の工場はあらゆるレベルでオートメーション化されているが、インドはそうではない」とCounterpointのシニアアナリストTarun Pathak(タラン・パサク)氏は今週初めに述べた。

スマホの売上が2月に38%減となった中国では既に回復がみられる。Xiaomiは2020年3月に、同社のスマホ工場が既に稼働率80%になっていることを明らかにした。Counterpointによると、2月の世界のスマホ出荷台数は14%減だった。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

テスラのライバルPolestarが2020夏発売する初EVの米国価格は約640万円

Volvo(ボルボ)のスピンアウト電気自動車ブランドPolestar(ポールスター)は、同社初の電気自動車(EV)の米国でのベース価格が当初考えていたよりも低い5万9900ドル(約640万円)になると明らかにした。

高パフォーマンスの電動ファーストバック車Polestar 2は、3年前に再スタートを切った同ブランドから最初に発表されたEVだ。かつてVolvo Carsの高パフォーマンスブランドだったPolestarは2017年にパフォーマンスEVブランドとして立ち位置を変えた。目的は、エキサイティングで楽しい運転となる電気自動車を作ることだ。このニッチな分野はTeslaが最初に切り開いて以来、同社が独占している。

Polestarの車は低めの価格や税制上の優遇措置、顧客がオンラインで購入できることなどから、米国マーケットへの参入を成功させる上で有利な立場にある、とPolestar USAの責任者Gregor Hembrough(グレゴール・ヘンブロー)氏は述べている。カリフォルニアやニューヨークなどを含むいくつかの重要なマーケットでも、米国での販売価格はインセンティグが適用される額を下回っている。

PolestarはPolestar 2についてここ数カ月間、情報を小出しにしてきた。そのうちの1つが欧州での価格で5万8800ユーロ(約680万円)〜となる。同社は4月23日に、顧客に提供するさまざまなオプションの価格も明らかにしており、パフォーマンスパックが5000ドル(約54万円)、ナパ革インテリアへのアップグレードが4000ドル(約43万円)、20インチのアロイホイールが1200ドル(約13万円)だ。

Polestar 2はTesla(テスラ)のModel 3の競合相手になると見込まれる。この2つの車両の価格は7500ドル(約80万円)の税額控除を受けられる米国のインセンティブが考慮されなければ同様ではない。Polestar 2はインセンティブの対象だ。一方、Teslaは既に20万台販売済みのためこれ以上連邦税のインセンティブを受けることはできない。

インセンティブなしでみるとPolestar 2のベース価格は、Model 3パフォーマンスバージョンの5万6990ドル(約610万円)〜を上回る。

Polestarは2020年夏にも発売を開始する見込みだが、それまではどのようにModel 3に対抗するのかわからない。

Polestarは、ファーストバック車のテックと高パフォーマンスのスペックで消費者を引きつける狙いだ。最大出力408馬力、最大トルク487ポンドフィートそして欧州WLTP基準で航続距離292マイル(約470km)を生み出す78kWhのバッテリーを搭載する。EPA基準での航続距離はまだ発表していない。

Polestar 2のインテリア。 Google(グーグル)のAndroid  Automotiveオペレーティングシステムを搭載する。

Polestar 2のインフォテイメントシステムはAndroid OSで作動し、その結果、GoogleアシスタントやGoogleマップ、GoogleプレイストアなどのGoogleサービスが搭載されている。Android Autoと勘違いしないで欲しい。こちらはOS上で提供されるインターフェースで、Android OSはLinuxで動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムを模倣したものとなる。しかしスマホやタブレットを動かす代わりに、Googleは車で使用できるように手を加えている。

Volvo Car Groupと中国のZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団)が共同所有するPolestarは、新型コロナウイルス(COVID-19)による外出禁止命令が解除されたら、Polestar Spaceというショールームをオープンさせる計画だ。最初のショールームは米国西海岸とニューヨークで2020年夏にお目見えする、と同社は話している。Polestar 2は50州で購入またはリースできるようになる見込みだ。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

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(翻訳:Mizoguchi

MITが布に織り込んで洗濯機で洗濯できる常時健康モニタリング用センサーを開発

MITが開発した新しいタイプの軽量センサーは、布のような曲げられる素材に組み込める。たとえばそれをアスリートのウェアに織り込めば、体温や心拍数、呼吸数などのバイタルを常時モニタできる。また洗濯機で洗えるし、外から見て目立つものが何もない。あるいは織り込まずに取り外せるようにすると、複数の衣類で使える。

このセンサーの研究プロトタイプはスマートフォンと通信でき、最終的には中国のパートナーが量産する。応用分野は健康産業のほかに、宇宙飛行士の生命兆候を知るなど宇宙での利用も考えられる。MITのこの研究は、NASAとMITメディアラボの宇宙探究計画も出資しているが、ポテンシャルが圧倒的に大きいのは地球上での利用だ。とりわけ、COVID-19に悩まされている今は、将来のもっとコントロールの幅が広がったバージョンが、ヘルスケアの分野で多用されるだろう。

中でもとくにこれは、定常的なモニタリングと医師の診察を必要とする慢性病患者にとって費用効果が高くて容易な方法であり、多くの場合手作業で一貫性を維持することが難しかった記録の作成と維持を助けるだろう。記録の更新を人間の手や遠隔医療に頼るのではなく、患者自身がバイオメトリックデータの安定的なストリームを、治療をモニタしているヘルスケアのプロフェッショナルに提供できる。そしてそのプロセスを自動化すれば、患者と介護者の両方がつねに最新の状態情報をリアルタイムで提供し取得できる。

遠隔医療はCOVID-19のおかげですでに需要が急増しており、患者もヘルスケアのプロフェッショナルも共に、COVID-19の感染リスクを下げながらヘルスケアのニーズを継続的に管理する方法を求めている。とくに重要な対象は、慢性病や既往症を抱える弱者だ。

アメリカのプライマリーケアのスタートアップForwardなどは、すでにこの方式を実験している、。それは、バイオメトリックのセンサーを自宅にいる患者に配布してモニタするやり方だ。インターネットに接続されるセンサー(コネクテッドセンサー)を作っているKinsaも、匿名のバイオメトリックデータを集積するやり方に価値を見出している。それはセンサーのデータをマッピングしてCOVID-19の拡散の兆候、とくに地域における発熱の広がりを調べようとする。

衣類に埋め込まれるウェアラブルなセンサーは、前にも試みられ、製品化されたこともある。でも今回のMITのバージョンは、もっとも着用のなじみが良く、邪魔にならず、快適だ。将来、健康データの常時モニタリングによってパンデミックのもっと良質なモデリングが可能になれば、まさにこのセンサーがイノベーションの最先端として注目されるだろう。

画像クレジット: MIT

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ポルシェが完全電気自動車タイカンのさらなる廉価版を準備中

ポルシェは現在、完全電気自動車Taycan(タイカン)スポーツセダンの3種類のバリエーションを生産している。その基本価格は10万5000ドル(約1100万円)強から、18万5000ドル(約2000万円)までの範囲である。

Car Magazineに掲載されたポルシェR&Dの責任者Michael Steiner(マイケル・シュタイナー)氏に対するインタビューによれば、現在ポルシェは、より安い後輪駆動バージョンを導入する準備をしているようだ。シュタイナー氏によるとTaycan Turbo S 、Taycan TurboそしてTaycan 4Sのラインに加わるこの新しいバージョンは、より小型のバッテリーを搭載し、全輪駆動を必要としない中国のような市場で販売されるということだ。

ポルシェは、このTaycanの謎めく4番目のバリエーションについて、TechCrunchに対しては具体的な詳細を提供しなかった。メーカーは、将来の製品については語らないとした上で「電気化の取り組みは3種類のTaycanだけに止まるものではありません」とだけ付け加えた。

ポルシェは何年にもわたる準備期間と10億ドル(約1080億円)以上の初期投資を投入し、2019年9月に最初の完全電気自動車2種を投入した。それらはTaycan Turbo SとTaycan Turboで、それぞれ18万5000ドル(約2000万円)と15万900ドル(約1600万円)に設定された。

そしてそのわずか7週間後には、完全電気自動車の3番目のバージョンであるTaycan 4Sを発表した。

4Sを含むすべてのTaycanは、同じシャーシとサスペンション、永久磁石同期モーターその他の同じ特徴を備えている。4Sはハイエンドバージョンよりも軽く安価で、少し遅いバージョンだ。

標準の4Sはこれまでのところ最も安いTaycanで、納車代金を含めた基本価格は10万5250ドル(約1100万円)だ。標準の4Sには、79.2kWhのバッテリーパックと、482馬力(360 kW)を発揮する一対の電気モーターが搭載されている。発進制御を有効にすると、馬力は562に跳ね上がる。

また4Sには、ベース価格に6580ドル(約71万円)を加えたパフォーマンスバッテリープラスバージョンもあり、それは93.4kWhのバッテリーとデュアル電気モーターを搭載し、最大563馬力(420kW)を発揮することができる。どちらの4Sモデルも最高速度は時速155マイル(時速約249km)で、時速0マイルから時速60マイル(時速約97km)まで3.8秒で到達する。

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(翻訳:sako)

Alibaba Cloudが今後3年間で約3兆円をインフラに追加投資

Alibaba Cloudは米国時間4月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対応に適応し、ビデオ会議やライブストリーミングなどのサービスへの需要が高まっていることから、今後3年間でさらに2000億人民元(約3兆円)を同社のインフラに投資すると発表した。

今回の投資はAlibaba CloudのOS、サーバー、チップの技術を、同社データセンターに拡大することに重点を置いている。Alibaba Cloudは現在、アジア、オーストラリア、中東、ヨーロッパ、米国に63のアベイラビリティゾーンを設けている。

Alibaba Cloud Intelligenceの社長であり、Alibaba(アリババ)グループの最高技術責任者であるJeff Zhang(ジェフ・チャン)氏はプレスリリースで「クラウドインフラストラクチャと基盤技術への投資を増やすことで、世界クラスの信頼性の高いコンピューティングリソースを引き続き提供し、企業のリカバリプロセスのスピードアップを支援するとともに、クラウドベースのインテリジェントソリューションを提供して、パンデミック後の世界におけるデジタルトランスフォーメーションをサポートしていきたいと考えている」と述べている。

アリババは2020年2月に発表した直近の四半期決算報告書では、クラウド部門の収益が62%増の15億ドル(約1600億円)だった。Gartner(ガートナー)によると、Alibaba Cloudはアジア太平洋市場におけるトップのクラウドプロバイダーだという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テスラが中国マーケット向けロングレンジ後輪駆動式Model 3の生産を開始

Tesla(テスラ)は今、上海工場で電気自動車Model 3のロングレンジ後輪駆動(RWD)バージョンを生産し、販売している。同社は中国政府から1カ月前に許可を得ていた。

この動きはマイルストーンではないかもしれないが、同社が現在、米国で同バージョンを生産していないことを考えると特筆すべきことだろう。また、中国ではModel 3ベーシックバージョンの方を多く販売するという当初の計画からのシフトともなる。

Teslaは、上海工場で初めて生産された標準レンジプラスのバージョンとロングレンジRWDバージョンを紹介している中国のウェブサイトをアップデートした。この変更についてはBloombergが最初に報じた。ロングレンジRWDバージョンのインセンティブ適用後の価格は36万6550元(約560万円)からで、納車は6月に始まる見込みだ。

標準レンジプラスのモデルは、自治体の助成が適用される前だと32万3800元(約500万円)からとなっている。

ウェブサイトによると、標準レンジプラスのModel 3はフル充電で276マイル(約444km)走行できる。ロングレンジRWDのModel 3の航続距離は415マイル(約668km)だ。これらの距離は、欧州が数年前にWLTPに代わって採用した新欧州ドライビングサイクルに基づいている。実際の航続距離はもっと少ないだろう。

画像クレジット: Tesla / スクリーンショット

Teslaは、2019年末に上海工場での標準レンジプラスModel 3のRWDバージョンの生産をスタートさせた。初の納車は1月初めに始まった。同社は中国のポートフォリオへのロングレンジRWDのModel 3追加について、3月に産業大臣から許可を得ていた。

今後TeslaはModel Yも上海工場で生産する計画だ。

画像クレジット: Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Microsoft Teamsのビデオ通話の利用は3月に1000%増加

COVID-19のパンデミックで在宅勤務が一部の企業ではデフォルトになり、そして当然のことく、Zoom、Google Meet、Teamsなどのビデオチャットツールの利用が急増している。ZoomとGoogleからはすでにアップデートがあったが、今日(米国時間4/9)はMicrosoft(マイクロソフト)からの報告が、在宅勤務が増えたことへのTeamsのユーザーの適応ぶりを伝えている。

さかのぼって3月16日に同社は、Teamsを使う会議が9億分に達した、と報告した。そして今度は、それから1か月足らずで、3月31日のたった一日で27億のミーティングを記録した。それらのミーティングでは、ビデオカメラを使うユーザーもこれまでより多かった。全体として、カメラを使ったユーザーは今回の危機が始まる前に比べて倍増し、Teamsのビデオ通話の数は3月に1000%以上増加した。

会議以外にも生産的な仕事はあるはずだが、とにかくTeamsによる会議の数としては膨大な数だ。

ビデオの利用率を国別に分類すると、ノルウェーとオランダがトップで、60%の通話がビデオを使っている。アメリカでは、38%だ。その差は高速ブロードバンドの普及率の差だ、と同社は言っている。

またこの報告によると、ユーザーが一日にTeamsを使う時間も増えている。3月には、人びとが初めてTeamsを使った時間と最後に使った時間の間には平均で1時間あまりの増加が見られるが、でも同社によると、それは必ずしも仕事をする時間がそれだけ増えたのではない、という。仕事以外の個人的用途や、コンピューターを点けたままほかのことをしている、と報告は主張している。

企業がリモートワークに使っているサービスが何であれ、興味深いのはこの危機が終わった後にそれがどれだけ定着するかだ。中国では一部の従業員が仕事に復帰しつつあるが、Microsoftのこの報告では、それでもTeamsのDAUは増加が続いている。しかし一方では、正常に戻ったら利用がたちまち落ちる国や地域もきっとあるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

米政府がチーム・テレコムを正式組織化、通信インフラ事業への中国資本監視を強化

「チーム・テレコム」というのはシンプルな名前だが、国家安全保障関係の記事にうってつけの謎めいた響きがある。

チーム・テレコムはこれまで非公式なワーキンググループだ。この目立たないグループは国防省、国土安全保障省、司法省(管轄下官庁を含む)の担当者がFCC(連邦通信委員会)と協力して米国の電気通信インフラのセキュリティの評価と管理を行ってきた。

我々が知る範囲でいえば、グループの主な目的は、主要な通信インフラの所有権をモニターし、疑わしい勢力(つまり中国、ロシアなど)の手に渡らないようにすることだ。

2019年、Mark Harris(マーク・ハリス)氏はチャイナ・モバイルが米国市場への参入を申請してから却下の決定が出るまで7年以上も待ちぼうけの状態に置かれていたとExtra Crunch(有料)に寄稿している。

政府がチーム・テレコムを正式組織に格上げしたことにより。こうした非公式の取り扱いは過去のものとなった。新しい大統領行政命令はテレコム事業の許認可、買収、合併などFCCへの申請をチーム・テレコムの審査を正式なプロセスとして組み込んだ。

設置されたグループは「米国テレコムサービス分野における外国勢力参加評価委員会(Committee for the Assessment of Foreign Participation in the United States Telecommunications Services Sector)」というたいへん長い名前で呼ばれる(CAFPUSTSS?)。

委員会は「米国のテレコム事業への外国勢力の参加によって引き起こされる公益上の懸念の有無を国家安全保障および法執行の立場から評価することによってFCCを支援する」ものとされた。

チーム・テレコム同様、新しい委員会は司法長官、国防長官、国土安全保障長官で構成され、司法長官が委員長を務める。「委員会が処理する申請内容は米国政府の諜報責任者である国家情報長官に伝達され、分析を受ける」とされる。

7年間棚晒しという場合もあったチーム・テレコムとは異なり、新体制では審査のタイムラインにも基準が設けられた。行政命令によれば、当初の決定までが120日間、委員会が懸念を抱き追加審査の必要を認めればさらに90日間延長される。

FCCのAjit Pai(アジット・パイ)委員長は、短いコメントを発表し「大統領がチーム・テレコムのレビューを公式化し、これによって各省庁の専門家の評価が迅速にFCCに提供されるるプロセスを確立したことを高く評価する」と述べた。FCCは、オバマ政権時代の最後に提案され、それ以降継続しているチーム・テレコムに関するFCCとしてのルール作りを完了する予定だ。

チーム・テレコムの改革は、米国に対する外国勢力の投資全般を監視する組織であるCFIUS(対米外国投資委員会)の改革に準じたものだ。当初は諸官庁を横断する非公式なワーキンググループだったが、2018年に議会が改革法案を可決した後、2020年初めにCFIUSは正規の組織に改組された。

今回の改革で光ファイバーやモバイルネットワークなど米国の通信インフラの整備、拡張に関する事業の予測可能性が増すことは確かだが、同時に米国市場参入を図っていた中国などの事業者にとってはハードルがいっそう高いものとなるだろう。 事実、FCCは「China Mobile(チャイナ・モバイル)の(米国市場参入)申請を却下したことで2019年に示されたように、FCCは外国の脅威から我が国のネットワークを保護するために行動することを躊躇しない」と声明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが最新iPadにマイクの物理切断機能を追加

Apple(アップル)は最新のiPadに、ハードウェア的にマイクを切断するセキュリティ機能を導入した。

マイク接続のハードウェア切断機能は、ハッカーがマルウェアや悪意のあるアプリを使ってデバイスの周囲を盗聴することを、より難しくするのが目的だ。

この機能はアップルのセキュリティチップ 「T2」 により、2014年に初めてMacに導入された。このセキュリティチップにより、ユーザーがMacBookのディスプレイを閉じると、確実にマイクがデバイスから物理的に切り離される。そのためマルウェアがルートレベルのデバイス権限を持っていたとしても、近くの会話を盗聴されることを防げる。

アップルはサポートガイドで、同社の最新iPadにも同様の機能が存在することを認めた。「Made for iPad」の認定を受けたケースが取り付けられ、その蓋が閉じられている場合、マイクが物理的に切断される。

つまりこれは、アップルのデバイスにおけるマルウェアの存在を実質的に認めているということだ。まれではあるが、ここ数年でMacやiOSデバイスを標的とした攻撃が相次いで確認されており、同社は拡大するハッカーによる攻撃に対抗するため、バグ発見の報奨金を増額した。2019年にアップルは、中国がウイグル自治区で迫害を受けている少数民族のイスラム教徒が持つiPhoneに侵入するために利用していた多くの脆弱性を修正した。

またアップルは、iOSまたはiPadOSのバージョン13.4で動作するすべてのアプリを「data vault」でサンドボックス化し、アプリが許可なくデータにアクセスすることを防止すると述べた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米国政府がZTEを贈収賄容疑で捜査中

ZTEの米国政府との闘いは、中国の大手スマートフォンメーカーHuawei(ファーウェイ)ほど目立ったものではない。しかし、同社はここ数年にわたり問題を抱えている。NBCが最初に報じ、その後にThe Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)が確認した今回の報道は、ZTEが贈収賄容疑で捜査されているという。

この問題はZTEが米国の対イラン制裁違反の罪を認めた、2017年の米国政府との和解に端を発している。同社は、数百万ドル相当の機器を約6年間に渡ってイランに出荷したとして、8億9200万ドル(約960億円)という巨額の罰金を科された。

TechCrunchはこの件を米司法省に問い合わせたが、最終的にコメントは拒否された。現在、ZTEからの正式な回答を待っているところだ。また同社はNBCに対して、以下の一般的な声明を出している。

ZTEは、法律上およびコンプライアンス上の義務を果たすべく全力で取り組んでいる。弊社のリーダーシップチームの最優先事項は、ZTEをグローバル市場で信頼できるビジネスパートナーにすることで、チームは誇るべき偉大な業績を上げてきた。これ以上のことをZTEがコメントするのは、適切ではないだろう。

模範的な解答だ。一方、今回の調査の詳細やスケジュールはまだ明らかになっていない。ZTEは罰金を科されたが、贈収賄容疑がその事前か事後かに関わらず、米国政府によるさらなる調査から除外されるわけではない。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

テスラは米国でのソーラータイルルーフ導入設置数を増やし中国とヨーロッパ市場を狙う

Tesla(テスラ)は、サンフランシスコのベイエリア地区における同社のソーラータイルルーフ(ソーラーパネルを内蔵する屋根用瓦)の設置件数をこれまでよりもさらに増やして、最終的にはヨーロッパと中国に展開したいようだ。一連のツイートでそう述べたCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社がこの製品の三度目となる改良製品を10月にローンチして以降初めて、かなり具体性があるアップデートを提供した。

ソーラータイルルーフはテスラがソーラーグラス(Solarglass)と名付けた製品で、ニューヨークのバッファローにある同社工場で作られている。マスク氏はツイートの中で、4月にはバッファローの工場でメディアや顧客を集めて見学集会をやりたい、と述べている。工場の中を見せてくれるらしい。

TechCrunchはこれまでの設置総件数など、ソーラーグラスの詳細情報を求めたが、まだ返事はない。回答が届き次第次第、この記事をアップデートする。

ユーザー:ベイエリアの設置工事はいつ始めるのか。
マスク:工事はすでに開始している。

ユーザー:ヨーロッパはいつ始めるのか? 巨大な市場だが。
マスク:ヨーロッパと中国は近くスケジュールを発表する。

4カ月前にマスク氏は、設置工事の開始を数週間後と言い、各週の設置件数を1000件に増やしたい、とも語った。

テスラのソーラータイルルーフは見た目には普通のタイルと変わらないが、ソーラーパネルにもなっている。同社がこのソーラータイルルーフを初めて披露したのは2016年で、その後改良を重ねてきた。初期二世代の製品は試験的設置を行い、その予約受け付けを2017年に開始した。

10月の決算報告でマスク氏は、ソーラータイルルーフの製品としての完成を告げ、バージョン3はついに本格展開が可能だ、と言っている。

最初のソーラールーフタイルは表面の粗い黒いもののみだが、マスク氏はそのほかの色や仕上げの製品をできれば年内に提供したい、と言った。

ユーザー:カラーやタイプのバラエティはないのか。たとえばヨーロッパに多いテラスハウスの景観を損ないたくない。
マスク:そのとおりだが、最初は目の粗い黒だけだ。今後は土色や複雑な模様も展開する。

テスラのWebサイトにある予想価格では、発電量10kW、面積200平米弱で減税折込前が4万2500ドル(約467万円)だ。国の政策減税8550ドル(約94万円)を折り込むと、実質3万3950ドル(約373万円)になる。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

DJIが地上でもトップを狙う、カメラ搭載オフロード車の特許を出願

DJIはカメラドローンにおいて圧倒的にトップに位置する企業だが、地上を走る移動型カメラでは、トップと呼べる企業はほとんど存在しない。後者では、むしろブランド不在な状況だ。そこでDJIは、そのすき間を自らうめる気なのかもしれない。同社は最近、スタビライザーを搭載したカメラを持つ小型のオフロード車で特許を出願した。

DJIの中国における特許を最初に見つけたのはDroneDJ(ドローンDJ)だが、図によると小型のオフロード車はかなり本格的なもので、太いタイヤとカメラとジンバルがスタビライザーに搭載されている。上図からもわかるように、カメラの取り付け台はスプリングと気圧装置で衝撃から保護されている。突然の動きでも、カメラはぶれないのだろう。

この図は、製品の概念を示すものとしては複雑過ぎる。本物の設計図面に手を加えただけかもしれない。そうだとしても、すぐに市場に出てくるとは限らない。しかし、DJIの技術者たちが実際に取り組んでいる本物のプロジェクトであることは確実だろう。

空を飛ぶドローンで十分なのに、なぜ地上用のドローンが必要なのか? ひとつの理由はバッテリー寿命だ。空を飛ぶドローンは、空を飛ぶからこそ運用時間が短い。さらに重いカメラやレンズがバッテリー寿命の短さに貢献する。ドローンが上空からの視点を諦めて地上を走ることにしたら、もちろん運用時間は長くなる。

さらに重要なのは、地上を走るドローンはおそらく空撮が不可能な場所でも利用できることだ。安全点検のために、施設や機器装置の内部や下を走らせることができる。住宅の点検もその例のひとつだ。また、人がいるところでは離陸と着陸を頻繁に繰り返すドローンは危険で使いづらい。

おそらくDJIは蓄積されたドローンの経験から、市場にはたくさんのニッチが存在していること学んだのだろう。しかもドローンの普及によって人々は、どんなところでも自動ロボットで撮影できるはず、と考えている。たとえばDisrupt Berlinで優勝したScaled Robotics(スケールロボテックス)は、骨が折れる建設現場の点検を自動化する。

関連記事: Scaled Robotics keeps an autonomous eye on busy construction sites…建設現場を自動運転で監視するロボット(未訳)

実のところ、DJIにはすでにRoboMaster S1という地上型ロボットがある。それは教育玩具に近いものだが、その使われ方の中には今回の地上型ドローンの開発のヒントになったものが、きっとあるのだろう。

この小さな車が本当に市販されるのか、それはまだわからないが、カメラを搭載した小さな自動運転車が、家やオフィスで本格的な仕事をこなす可能性を、本気で考え始める契機にはなるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ヒュンダイが自動運転車によるロボタクシーサービスをカリフォルニアで試験運用

韓国・ヒュンダイの電動自動運転機能を搭載するクロスオーバーSUV車であるKonaの一群が、中国の自動運転企業であるPony.aiの自動運転システムを搭載し、米国ニューヨーク拠点のライドシェアプラットホームであるViaを利用して、来週から公道上で乗客の送迎を開始する。

そのロボタクシーサービスはBotRideと呼ばれ、11月4日からカリフォルニア州アーバインの公道で営業する。完全な自動運転車ではなく、人間のセーフティードライバーが常時運転席に座る。しかしカリフォルニア州でのライドシェアのパイロット事業は例が少ない。これまで自律車を用いたライドシェアサービスの営業が許可されたのは、AutoX、Pony.ai、Waymo、Zooxのわずか4社だ。

乗客がスマートフォンのアプリから乗車をリクエストすると、近くの場所を指示されるので、そこで待っていると拾ってくれて、またそこで降ろしてくれる。このようなライドシェアの仕組みはViaのシステムが動かし、そしてこのプラットホームは、同じ乗客による同じルートの複数回の乗車を狙っている。そのための予約や乗客と車の割り当て、QRコードによる車の特定などはViaのプラットホームが扱う。Viaの事業には二つの面があり、シカゴやワシントンD.C.、そしてニューヨークでは一般消費者対象のシャトルサービスを運用している。そして今度のロボタクシーサービスでは、クライアントが自分のプラットホームで自社のシャトルを展開する。

ヒュンダイによるとBotRideは、今後の完全な自動運転に備えてユーザー体験を検証することが目的だ。その「今後」がいつのことなのか、それは未定のようだ。しかしいつであれ、今回のパイロット事業はそれに向けての重要な足がかりだ。

Coverage area of Hyundai robotaxi pilot

現代自動車(Hyundai Motor Company)の事業開発部長であるChristopher Chang(クリストファー・チャン)氏は「同社はBotRideを利用して自動運転のライドシェア環境における消費者行動を研究する」とコメントしている。

「BotRideのパイロット事業は、今成長途上にある新しいモビリティー事業の展開と最終的な商用化のための重要なステップだ」と同社の高度製品戦略担当マネージャーであるDaniel Han(ダニエル・ハン)氏は語っている。

BotRideはヒュンダイというよく知られた名前が頭に付く。しかしPony.aiとViaの技術的貢献度も極めて大きい。Pony.aiは自動運転車の世界では新人だが、すでに17億ドル(約1847億円)の評価額で3億ドル(約326億円)を調達しており、トヨタやヒュンダイと提携している。

中国とカリフォルニアで操業しているPony.aiは従業員が全世界で約500名、2016年の後半にSequoia Capital ChinaとIDG Capital、およびLegend Capitalの投資で創業された。

同社はまた、カリフォルニア州自動車局から公道上の自動運転車のテストを許可され、カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)からこれらの車のライドシェアサービスでの利用を許可された数少ない自動車企業グループのひとつだ。CPUCの規則により現在のところPony.aiは乗車に対して課金できない。

画像クレジット: Hyundai/Pony.ai

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa