WeWorkの共同創業者アダム・ニューマン氏がソフトバンクを権力濫用で訴える

WeWorkの共同創業者Adam Neumann(アダム・ニューマン)氏は米国時間5月4日に起こした訴訟で、ソフトバンクグループがその権力を濫用していると非難している。訴えによると、ソフトバンクグループはWeWorkの30億ドル(約3200億円)の株の公開買付けに関して契約に違反し、信認義務にも違反したとされる。

その訴訟はデラウェア州エクィティ裁判所に提出され、2020年4月にSpecial Committee of WeWork(WeWork特別委員会)が起こした訴訟との一本化を求める動議も含まれている。どちらの訴訟も、ソフトバンクグループと同社のビジョンファンドによる、WeWorkの株を購入契約の取り消しにフォーカスしている。

ソフトバンクグループは4月1日に、WeWork株の30億ドルの公開買付けオファーを撤回し、新型コロナウイルス(COVID-19)の事業への影響と完了条件の不備をその理由とした。具体的に同社が合意が破談した原因として挙げたのは、規制当局による調査が未了であり、WeWorkに対する訴訟が増えていること、そして中国における合弁事業の再編成の失敗だった。

ソフトバンクの上級副社長であるRob Townsend(ロブ・タウンゼンド)氏は、声明で「ソフトバンクはこれらの原告に法的利益のない主張に対して断固として自己を防衛する。アダム・ニューマン氏も署名した我々の合意の下では、ソフトバンクには公開買付けを完了する義務がない。その公開買付けでは、10億ドル(約1070億ドル)の株を売ろうとしていたニューマン氏が最大の受益者であった」と語っている。

2019年10月には、ニューマン氏が保有する非公開株の一部と、ベンチャーキャピタルのBenchmark Capitalおよび企業の社員である多くの個人の株を買い取る契約が交わされた。それによりニューマン氏は、10億ドル近くを受け取るはずだった。

WeWorkとニューマン氏は、会社のコントロールをソフトバンクに与えたが、訴状によると後者は価格を大幅に下げて所有権の増大を図っていた。

訴状は次のように述べている。 「ソフトバンクはその権利者としての立場を濫用して、ニューマン氏と株主と数百名の社員に対し既に授権されていた利益を支払う約束に背いた。ソフトバンクは、約束を破棄するための秘密裏の行動で、投資家たちが一部の権利の放棄をしないよう、かつ中国の合弁契約が完了しないよう圧力をかけた」。

さらにソフトバンクの公開買付け終了の決定には同社の財務状況が影響していると主張している。「法的アクションを起こせるのはWeWorkの特別委員会のソフトバンクがコントロールしている理事会のみであり、既に同理事会が訴訟を起こしているのにこのような決定をしたことは権力の濫用だ」という。

そして訴状では「実際にソフトバンクグループとソフトバンクビジョンファンドは彼らのWeWorkに対するコントロールを濫用し、特別委員会の法的に意義のある訴訟をかき消そうとしている」と述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。