アップルがARMベースのMac用独自プロセッサーの開発を正式発表

Apple(アップル)は、米国時間6月22日のWWDCでおそらく最も大きなニュースを発表した。Tim Cook(ティム・クック)氏は同社がデスクトップとラップトップ用の自前のプロセッサーを開発していることを正式に明らかにした。ここ数年噂されていたもので、Intel(インテル)のチップへの依存から脱却しARMベースの独自チップに移行する。

この動きは、ハードウェア生産のあらゆるポイントを可能な限りコントロールしたい同社にとって当然のステップであり、iPhone、iPadそしてApple Watchでの措置に続くものだ。同社はすでにこうしたモバイルデバイス向けに数世代のチップを手がけており、それをMacにも拡大することを決めた。

アップルは同社のSoC(System-on-a-chip)がバッテリーの持ちを犠牲にすることなくさらにパフォーマンスを向上させることができると主張する。本当であれば、かなり素晴らしい変更だ。またグラフィックのパフォーマンス向上とともに、オンボードもモバイルデバイスで提供されているようにセキュリティが強化される。

アップルによると、こうした取り組みにより同社のデバイスが同じプロセッサーアーキテクチャを使うことになり、クロスプラットフォーム操作で大きな利点となる。驚くことではないが、 iOSとiPadOSのアプリを箱から出したばかりのデスクトップで直接扱えるようになることを意味する。同社がmacOSのCatalystで展開してきたものを力強く前進させることにもなるが、ネイティブアプリ同様には機能しないと思われる。

ただ、こうした取り組みにも関わらず、デベロッパーが新旧のMacでアプリを開発しやすくなるように取り組んでいる、とアップルはいう。大半のユーザーがアップグレードするまでしばらく時間があることを考えると、重要な注意点だ。Microsoft(マイクロソフト)も含め、多くのデベロッパーがすでに新たなアーキテクチャを開発中だ。

移行をスムーズなものにするために、アップルはRosettaの新バージョンを投入する。RosettaはマイクロプロセッサーのPower PCからの移行をサポートするプログラムだ。Rosetta 2はアップグレードされていないアプリが新しいプロセッサー上でも作動することを保証する。これらは本日発表されたmacOS 11 Big Surの鍵を握るものとなる。

今回のWWDCでアップルはまた、デベロッパーが新Macに取りかかれるDeveloper Transition Kit(DTK)も発表した。DTKは、システムが実際に使えるようになる前に有利なスタートが切れるようにする強化されたMac Miniのようなものだ。ARMベースのチップを搭載した初のMacは2020年後半に発売され、完全移行には2年かかるとされる。つまり、Intelベースのシステムが今後も一部展開されることを意味する。

アップルはこれまでのモデルのサポートを継続するとクック氏は述べたが、新しいシステムがどのようなものになるかを確かめるまではアップグレードをしばし控えても良さそうだ。新たなシステムについての詳細は示されなかった。しかし、13インチのMacBook Proが新しいシリコンを搭載する初のモデルとなり、再設計されたiMacは2021年初めに投入されることが予想される。

その他にもまだ不明な点は多い。結局、WWDCは目まぐるしいスピードで駆け抜ける洗練されたキーノートだ。詰め込むにも限度というものがある。約束した新チップの処理能力の改善やバッテリーの持ち、実際にそれがどんなものなのかに関しては、アップルはプロダクト発表時に明らかにするようだ。

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(翻訳:Mizoguchi

アップル、Mac搭載CPUをARMベース独自製品「A12Z SoC」に移行

Apple mac A12Z SoC

Apple(アップル)は6月23日、開発者向けカンファレンス「WWDC20」の基調講演において、Mac搭載CPUをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品「A12Z SoC」に変更すると発表した。

 

A12Z SoC

Universal Binary(ユニバーサルバイナリー)をもとにしたUniversal 2(ユニーバーサル バイナリー 2)技術を利用しており、Intel(インテル)向けバイナリーとApple Silicon向けバイナリーを単一のアプリケーション内に同梱するような形態となっている。またRosettaや仮想化技術を利用し、従来ソフトウェアの動作も可能としている。

このほか、iOSアプリなども次期macOS「macOS Big Sur」(ビッグサー)上で動作可能となった。

詳細は追って掲載する。

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アップルが6月22日のオンラインWWDCでMacのARMベース移行を発表か

Bloomberg(ブルームバーグ)は、「Apple(アップル)は早ければ今月下旬にもMacのCPU変更を正式に発表する」と報じた。発表は6月22日からオンラインで開催されるWWDCで行われる可能性もあるということだ。アナリストや業界の噂は何年も前から同社がMacのチップをIntel(インテル)製からARMベースの独自製品に変えようとしているといっていた。

同社はWWDCでこれまで何度もmacOSやiOSなど重要ソフトウェアのバージョンアップの将来計画を発表している。実施に先立ってデベロッパーがソフトウェアを準備するのを助けるためだ。またWWDCは長年にわたって新しいMacBookやiMacなど、多数のMacハードウェアの発表の場となってきた。

ブルームバーグは「ARMベースのMacへの移行計画がここで発表されるなら、デベロッパーへの事前通知になる」と述べている。すぐに利用できるハードウェアの発表ではないが、2021年にリリースされるはずのARMベースのMac向けソフトウェアを準備する時間をデベロッパーに与えるために役立つだろうという。ただしARMベースのMacハードウェアが製造されるのははるか先であるため、発表のタイミングは変わる可能性もあると記事は注意している。

アップルがMacのプロセッサのアーキテクチャを全面的に変更するのはこれが最初ではない。2006年に同社はCPUベースをPowerPCからIntelに変えた。 切り替えが発表されたのは前年、2005年のWWDCだったが、これもデベロッパーに約半年の準備期間を与えるためだった。

ブルームバーグは4月に「アップルはARMベースのMacの販売を来年開始する計画だ」と報じている。アップルはARMアーキテクチャに基づいて、3種類のプロセッサを社内で開発しMacの試作機でテストしているという。同社はARMベースの独自開発のプロセッサをiPhone、iPadなどのiOSデバイスで数世代前から使っている。同社のエンジニアリングの能力は極めて優れており、独自CPUは、Macシリーズで使われているインテルチップよりもはるかに電力効率が高く、ほとんどあらゆる点で優れているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがインドでついにカスタム構成のMacを提供開始、メモリーを16GBから32GBにすると約4.3万円

Apple(アップル)はついにインドの顧客に対し、 iMacやMacBook Air、Mac miniなどMacのカスタマイズ版を注文できるようにした。

これはConfigure-To-Order(CTO) やBuild-To-Order(BTO) オプションなどがすべてのMac製品で選択でき、インドの顧客はコンピュータを購入する際に、メモリやストレージ、より強力なグラフィックカードの追加など、特定仕様を選択することができる。

アップルにとって重要な海外市場であるインドの顧客は、複数の地域で提供されているこの機能を以前から要望していた。これまで同社は、インドでは一部のMac機種のみを提供しており、また特定のアップグレードのオプションを提供していなかった。

興味があれば、最寄りアップル正規代理店に連絡し、さまざまなアップグレードオプションや価格情報、および注文について相談できる。オプションはApple Indiaのウェブサイトにも掲載されている。カスタマイズされたMacは注文から4〜5週間以内に発送される。

「これは非常に大きな変化だ」と、アップルの開発を追跡するPreshit Deorukhkar(プレシット・デオルフカー)氏は語った。「これまで、インドでMacをBTO、またはCTOで入手する方法はなかった。そのため、8GBのRAMを搭載したMac Miniや13インチのMacBook Proなどのベースモデルしか入手できなかった。今回、アップルが正式に選択肢を提供することで、欲しいコンピュータと正規保証を入手できるようになる」。

「コンポーネントのアップグレード価格は、メモリーを16GBから32GBにするために400ドル(約4万3000円)を請求するなどまだかなり高いが、少なくとも選択肢が存在する」と、彼は付け加えている。

アップルは今年、インドでのオンラインストアをローンチし、その最初の直営店のおオープンを準備をしていることを、CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は今年に明かしている。

事情に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによると、同社は新型コロナウイルスのパンデミックに影響されず、今年インドでオンラインストアを開設する予定だという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルが自社設計チップ搭載Macの来年発売を準備中との報道

長らく噂されてきたApple(アップル)のARMチップMac搭載が早ければ来年にも実現するかもしれない。Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。次世代iPhoneに搭載されるSoC(システム・オン・チップ)であるA14のデザインを基にアップルは現在3種のMacプロセッサーに取り組んでいるとブルームバーグには書かれている。ブルームバーグの情報筋によると、初バージョンの処理スピードはiPhoneやiPadのプロセッサーよりもはるかに速い。

アップルのiPhoneとiPad向けのARMベースのAシリーズはこれまで着実に改良されてきた。ベンチマークテストでのパフォーマンスが、Macラインで現在使用されているIntel(インテル)のプロセッサーを常に上回るようになっている。インテルのチップ開発は最近の世代のものでは後退やスローダウンがみられ、アップルが自社開発のARMチップに切り替えるのではとの噂は近年増えていた。

アップル独自のチップを搭載する「少なくとも1種のMac」が2021年のリリースに向け準備中で、チップ製造メーカーでアップルの長年のパートナーである台湾TSMCが製造するとブルームバーグは報じている。Macを駆動させるチップの最初の1つは少なくとも12コアで、内訳は高性能アプリケーション向け8コアと、バッテリーの持ちを良くする低強度のアクティビティ向け4コアだ。これに比べ、アップルがMacBook Airなどに搭載している現在のインテル製のものは4コアで、2コアのものすらある。

当面、アップルは新チップを新たなMacに、ハイエンドなプロレベルのMacにはインテルのチップを引き続き使うとブルームバーグは書いている。これはARMベースのデザインが部分的には高性能ながらも、インテルのチップ技術の最高パフォーマンスには及ばないからだ。ARMチップは一般的に計算処理能力よりバッテリー効率を優先していて、これこそがモバイルデバイスでよく利用されている理由だ。

ブルームバーグの情報筋によると、初のARMチップ搭載MacはmacOSのままで、現在のインテルベースのMacで使われているソフトウェアと互換性を持たせる方向とのことだ。これはアップルが2006年にMacラインでPowerPCベースのプロセッサーからインテルのチップに切り替えたときと似た試みとなる。その当時、アップルは切り替えが2006年から2007年の間に行われると発表していたが、その後2006年末までに出荷される新しいMacすべてがインテルプロセッサー搭載となるよう計画を加速させた。

画像クレジット:Neil Godwin/Future Publishing / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

元NSAの専門家がZoomのMac乗っ取り脆弱性を警告、Zoomからは回答なし

すでにTechCrunchでもZoomのセキュリティー対策が最悪だということは報じているが、さらに悪いニュースが出ている。

新型コロナウイルスの流行の影響で世界では多数の人々がリモートワークに移行し、ビデオ会議アプリのZoomの人気も急上昇している。しかしこの関心の高まりはZoomのセキュリティ対策とプライバシー保護のずさんさに注目を集めることになった。セキュリティ専門家2名がZoomのバグを利用してユーザーのWindowsパスワードを盗む方法を発見したのに続き、別の専門家がMacを乗っ取ることができるバグをさらに2つ見つけ出した。このバグはユーザーのウェブカメラやマイクを任意に操作できるという。

元NSAのコンピュータ専門家でJamfの主席セキュリティー担当のPatrick Wardle(パトリック・ウォードル)氏は、ゼロデイ攻撃に利用できる未発見のZoomのバグ2件をブログに発表した。同氏は4月1日にこの問題をTechCrunchに知らせてくれた。

同氏によれば、この2つのバグはローカルの攻撃者によって利用される可能性があるという。つまり問題のコンピュータに物理的に接触可能であることが必要だ。このバグが利用されると、攻撃者は恒久的に当該コンピュータの制御を握ることができる。つまりマルウェアやスパイウェアを密かにインストールすることができるわけだ。

1つ目のバグは、すでに発見されたバグであるZoomが利用する「いかがわしい」テクニックに便乗する。 これは多くのマルウェアにも利用されているが、ユーザーに気づかれずにアプリをインストールする手法だ。ウォードル氏によれば、Macに物理的にアクセスできる攻撃者は自分が最低レベルの権限しか持っていなくてもバグを仕込んだZoomのインストーラーを仕込み、これを通じてコンピュータのルート(あらゆる作業が可能な管理者権限)を取れるという。

ルートを取った攻撃者は当然macOSそのものを自由に操作できる。これは管理者以外の一般ユーザーにとって立ち入り禁止の区域であり、ユーザーに気付かれずにマルウェアやスパイウェアを簡単にインストールし実行できる。

2番目のバグは、ZoomがMacのウェブカメラとマイクを操作するプログラムの欠陥を利用する。他のアプリと同様にZoomがウェブカメラとマイクを利用するにはユーザーの同意を必要とする。しかしウォードル氏によれば、攻撃者は悪意あるコードをZoomに付加することで、Zoomが持つカメラとマイクへアクセス権を取得できるという。悪意のあるコードを付加したZoomを立ち上げると、攻撃者はZoomがすでに持つアクセス権を「自動的に継承」できる。これにはカメラとマイクへのアクセスが含まれる。同氏はこれを実行するのに成功したという。「別途アクセス権に関するプロンプトは表示されず、付加したコードは音声、動画を任意に記録することができた」と述べている。

同氏はブログでは脆弱性の具体的な詳細を公表していない。Zoomからはまだ修正パッチのリリースはない。またTechCrunchはZoomにコメントを求めているがまだ回答がない。一方同氏は「セキュリティーとプライバシーを重視するならZoomの利用を中止するしかないだろう」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型Mac Proは12月10日に注文開始

1年以上前の6月に開催されたWWDCにて、Apple(アップル)はついに新型Mac Proを発表した。長い待ち時間はようやく終わったが、その発売時期は秋になること以外は明かされていなかった。

しかし、アップルはとうとう潜在的な顧客に向けた事前予約の通知を送り、12月10日から注文が開始されることを明かした。いつ出荷が開始されるのかは不明だが、少なくともクリスマスプレゼントのための引換券を入手することはできる。

新型Mac Proの価格は5999ドル(約65万円)で、Pro Display XDRモニターが4999ドル(約54万円)。また、スタンドの価格が999ドル(約11万円)と極めて高価なことも考慮に入れておいたほうがいいだろう。もちろん、価格がアップルの主要なセールスポイントになったことは一度もない。Mac Proシリーズではなおさらだ。そして同社がクリエイティブな分野に再アピールするなかで、このシステムには一切の妥協はない。

なお、これまでの噂とは異なり、新しいProは前機種と同様に米国製造されると9月にアップルは発表している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ディスプレイ拡張のDuetがAndroidタブをサポート

Sidecarは素晴らしい。ここ数年でApple(アップル)が導入するソフトウェアの中でもお気に入りだ。しかし、この機能がmacOS Catalinaへ搭載されることは、競合製品を開発していたアプリ開発者にとって破壊的なニュースでもあった。我々は以前、Duet DisplayとAstropadにそれぞれの製品への影響について尋ねていた。

Duetの創設者でCEOのRahul Dewan(ラーフル・デワン)氏は当時、「今夏にいくつかの大きな製品をリリースするが、我々は多様であるべきだ」と語っていた。そして、Androidタブレットとの互換性はかなり優先順位が高かったようだ。数カ月間のベータテストを経て、米国時間10月2日、その機能のリリースが発表された。

「我々のユーザは頻繁に、Androidへの対応を要求しており、また今年からは新しいプラットフォームへと製品を拡張できるように、DuetのAndroidへのリリースに取り組んできた」とDuet Displayは伝えている。「我々は何百人ものユーザーを対象に非公開なベータテストを実施し、できるだけ多くのAndroidデバイスで動作する製品を作ろうとしてきた」。

Android版はiPad版と同様に動作し、Androidタブレットをセカンドディスプレイとして使用できる。つまり他のことはおいておいて、はるかに廉価なノートPC用のセカンドスクリーンが入手できるのだ。アプリでは、有線とワイヤレスの両方が利用可能。現行ユーザーは、MacまたはWindowsのデスクトップ版アプリを最新バージョンにアップデートしておく必要がある。

小規模な開発者がSidecarのようにネイティブサポートされた機能に対抗するのは難しいが、Duetが戦いを続けるのはいいことだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルがビデオ会議システムZoomの隠しサーバーを削除するアップデートを静かにプッシュ配信

Apple(アップル)はMacユーザーにサイレントアップデートを配信し、人気のビデオ会議アプリ、Zoomから脆弱性のある部分を削除した。Zoomは、ウェブサイトが本人の許可を得ることなくユーザーをビデオ通話に参加させることができる。

カリフォルニア州クパチーノに拠点を置くテクノロジーの巨人は、このアップデート(現在は公開済み)は、ユーザーがZoomをインストールしたとき密かにMacにインストールされる隠しウェブサーバーを取り除くものだとTechCrunchに説明した。Appleによると、このアップデートにユーザーが介入する必要はなく自動的に配信されるとのこと。

ビデオ会議大手のZoomは、米国時間7月8日にセキュリティ研究者のJonathan Leitschuh氏が発表した公開脆弱性告知の中で、「どのウェブサイトでも、本人の許可なくユーザーをZoom通話に強制参加させることができ、ビデオカメラが有効な状態」であることが公表されたあと、ユーザーから非難を浴びた。「この隠されたウェブサーバーは、ユーザーがZoomをアンインストールした後にも残っている。このためZoomはユーザーの介入がなくても再インストールできる」とLeitschuh氏はコメントしている。同氏は、脆弱性を説明するための概念実証ページも公開した。

Zoomはアプリの修正版を米国時間7月9日に公開した。Appleによると、これによって過去のユーザーも現在のユーザーも、隠しサーバーの脆弱性から守られ、Zoomアプリ自身の機能に影響を与えたり妨害したりすることもない。アップデート後、これまで自動的に開いていた同アプリは、本当に実行したいかどうかをユーザーに確認するようになる。

Appleは既知のマルウェアを退治するために無言でアップデートを配信することがしばしばあるが(アンチマルウェアサービスと似ている)、一般アプリに対して公に行動を起こすことは稀だ。「無防備なウェブサーバーが引き起こすリスクからユーザーを保護するためにこのアップデートを配信した」とAppleはコメントしている。

Zoomの広報担当者であるPriscilla McCarthy氏はTechCrunchに次のように話した。「今回のアップデートをAppleと協力してテストできことをうれしく思う。これでウェブサーバー問題が解決することを願っている。問題解決まで待ってくれたユーザーの忍耐に感謝している」。

全世界の75万社で400万人以上のユーザーが、ビデオ会議にZoomを使っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルにARMの主席CPU設計者が入社

Apple(アップル)はここ数年、製品に使われる部品を製造する際に、サードパーティに依存する必要のない世界を明らかに夢見てきた。ハードウェアメーカーの大手として、自社製チップを採用することで、すでにその方向に着実に歩み出していた。そして最近の雇用は、それをさらに推し進めることになった。

LinkedInのアカウントによると、半導体メーカーARM社での10年間におよぶ勤務を経て、同社の主席CPUアーキテクトだったMike Filippo氏は、先月Appleに入社した。この動きは、Appleのチップデザインの責任者だったGerard Williams III氏が、この3月に退社したことを受けてのものだと見られている。Filippo氏は、その役割に完全に適しているように見える。実質的に世界中どこでも使われているARMの設計に、重要な役割を果たしてきたからだ。彼は、数年間IntelやAMDでも働いた経験を持つ。

ARMは、ブルームバーグ誌に掲載された声明で、Filippo氏の退社を認めている。「Mikeは、長年に渡りARMコミュニティにとって重要なメンバーでした」と同社は述べている。「私たちは、彼のこれまでの努力のすべてに感謝し、今後の仕事がうまくいくことを願っています」。一方のAppleは、この動きをまだ正式には認めていない。

Appleは、できるだけ多くの部品を自社開発しようとしてきた。もうだいぶ前から、Macシリーズ用としてIntelプロセッサの使用を止めるのではないかと噂されてきた。これもまた長い間噂されているARヘッドセットの開発にも、自社製のチップで取り組んでいると言われている。

完全にゼロからの製品開発を社内で遂行することは、単に長年の願望というだけでなく、他社への依存を大きく減らすことにもつながる。しかしこのような展開は、5G iPhoneの発売に向けて、Qualcommとの関係を改善しようという最近の動きとは対照をなすものだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iPadをMacの外部モニター/液タブにするアップル純正Sidecarの脅威

Apple(アップル)は、macOS 10.15 Catalinaに新たな機能を導入する。私に限らず、iPadとMacの両方を持っている人なら、誰でもすごいと認めざるを得ないだろう。この「Sidecar」と呼ばれる機能を使えば、iPadをMacのセカンドディスプレイとして利用できる。有線、無線、どちらでも機能する。さらにApple PencilをサポートするiPadなら、間接的にMacでペンシルが使えるようになる。

WWDC 2019のステージを見た範囲で言えば、何かをインストールしたり、設定したりすることなく、そのままで非常にシームレスに動作するようだ。この機能は、一般的なグラフィックタブレットに対応しているMacアプリも、そのままサポートする。つまり、その分野で非常に重要なAdobe Creative Suiteでも使える。

このような機能は、はっきり言って最初にiPadが登場したときから多くの人が求めていたものだ。しかし、Appleはなぜかそれを無視して純正のソフトウェアで実現してこなかったため、いろいろなサードパーティが独自にそのギャップを埋めてきた。最初に登場したのは、元AppleのエンジニアだったRahul Dewan氏によるもの。培った専門知識を生かして作ったiOSアプリ「Duet Display」だ。これも有線でも無線でも利用可能で、iPadやiPhoneをMacのセカンドディスプレイとして使うことができる。ミラーリングや入力デバイスとしての利用もサポートしている。もちろんApple Pencilにも対応する。他にはAstropadも、iPadをMacのディスプレイとして利用でき、アーティスト向けの入力機能も一通り揃えるなど、ほぼ同様のものとなっている。

ワコムも見逃せない。かなり初期のころから、大半の仕事をデジタルでこなす必要があるプロのアーティストやアニメーターが標準的に選択する製品だった。同社のCintiqシリーズは、ディスプレイに直接書き込めるスタイラスをサポートする高品質の描画タブレットを必要としている人にとって、長い間、ほとんど唯一の現実的な選択肢だった。ただし、それらは非常に高価で、デジタルアーティストとして生計を立てているような人だけが、購入を正当化できるほどのものだった。

ワコムは、Cintiq Proシリーズにおける革新を続けていて、最近になって16インチのCintiq Proを発売した。価格も、以前の製品よりもかなり手頃なものになっている。おそらく部分的には、iPadシリーズのApple Pencilサポートが拡大されたことに対抗したものだろう。もちろんAmazonを探せば、もっと低価格の代替品が豊富に販売されている。

しかしSidecarは、こうしたワコムの製品もそうだが、特に先に挙げたサードパーティ製のiPadアプリにとって脅威となる。誰か他の人のエコシステムに依存した製品を作っている限り、残念ながら避けられないリスクだ。

Appleは、自分たちのコアプラットフォームに組み込むにはあまりに些細な機能だと最初のうちは考えていたものを、後になって取り入れることに躊躇しない会社だ。たとえそれが、自らのエコシステムのパートナーが築いた領域に土足で踏み込むことになるとしてもだ。実のところ、間違いなく消費者に価値を提供し、自分が投資したハードウェアの価値を向上させるものだと感じられる場合には、Appleがそうすることを非難するのは難しい。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoft DefenderがMacにやってくる、MS製セキュリティ対策ソリューション

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間3月21日、Microsoft Defender Advanced Threat Protection(ATP)を、Macでも動くようにすると発表した。これまでは、Microsoft 365に加入するマシンを保護するためのWindows用ソリューションであり、Windowsマシンを安全に保つための、IT管理者の重要なツールだった。名前も、今まではWindows Defender ATPと呼ばれていたが、Macにも搭載されることになったっため、「Windows Defender」という部分を「Microsoft Defender」に入れ替えることを、Microsoftは決定した。

「私たちにとって重要なのは体験です。その上にあるのが人、そして個人がもっと生産的になれるよう手助けすることです」と、MicrosoftのOfficeおよびWindows担当副社長、Jared Spataro氏は語った。「かつてOfficeに対しても同じことをしたように、Windowsのみ、という状態から脱却したのです。それは私たちにとって大胆な行動でした。でも、絶対的に正しいことだったのです。今回の動きも、同じところ目指しているのです」。

同氏は、これはMicrosoftが「常にWindows中心にしたアプローチ」から脱却しつつあることを意味するものだと強調した。彼はこの動きを、OfficeアプリをiPadとAndroidでも使えるようにしたことになぞらえた。「私たちは、すべての端末を安全に保つことを目指しています。それは、このMicrosoft 365の体験が、Windows中心のものだけではないようすることにつながります。それらが目指すのは、同じ方向です」と、Spataro氏は述べた。もちろん彼が言いたいのは、ここで重要なのが、単にMac用のサービスをリリースしたことではなく、いかにしてMicrosoft 365のクライアントに価値を提供できるのか、ということをMicrosoftは検討し直していることだ、という意味だろう。

Microsoft DefenderがMicrosoft 365パッケージの一部であることを考えると、そのユーザーがなぜMacを気にする必要があるのか、という疑問もあるだろう。しかし、WindowsマシンとMacの両方を使い、すでにすべての従業員にOfficeを供給しているような会社はいくらでもある。1つのセキュリティ対策で、その両方のシステムをカバーできれば、IT管理部門の仕事は大幅にシンプルなものとなる。セキュリティ上の脆弱性に対処するのは、1つのシステムだけでも楽な仕事ではないのだから。

Mac版のMicrosoft Defender ATPの発売に加えて、同社はこのサービスで使えるようになる、新たな脅威および脆弱性管理機能の導入も発表した。すでにここ数ヶ月で、Microsoftは、いくつかの新機能を導入していた。企業がセキュリティ上の脅威を予防的に監視し、特定するのを補助するものだ。

「最近、顧客から聞くのは、環境はますます複雑になり、検出される警告の量は、もはや手に負えないものになりつつある、ということなのです」と、Spataro氏は明かす。「これらをすべて解析して、何をすべきか判断するために必要な、何千人もの人員を雇うための予算はまったくないでしょう」。

Microsoftでは、この新しいツールを、自社の機械学習機能と組み合わせ、スレッドの優先順位を決定して顧客に提示し、さらに改善している。

Spataro氏によれば、今回の発表は、Microsoftとしてこれまでにはなかったほど、徐々にセキュリティ企業に変貌しつつあるという事実に行き着くものだろう。「私たちは、みなさんが気付いているより、はるかに大幅な進歩を遂げたと考えています」と、彼は言う。「それは市場の動きに呼応したものなのです」。彼によれば、長いこと顧客から、Microsoftに端末の保護を手助けして欲しいと、要望されてきたという。 顧客も、今やMicrosoftが、Windows中心から、個人中心のアプローチに移行しつつあることに気付いていて、顧客のシステムを広範囲に保護してくれることに期待している、というのだ。そして同時にMicrosoftは、ユーザーから得られる何十億ものシグナルを活用して、顧客を予防的に支援することが可能になると認識している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Duet Display 2はハードウェアアクセラレーションを使って効率アップ

Duet DisplayはiPadをMacのセカンドモニターにするアプリだ。このほど大幅に効率を高めるメジャーアップデートを行った——CPU使用量が減り、本物の外部ディスプレーとして認識されるようになった。

Duet Displayを過去数年間使ってきた人は、改善ではなく改悪となる変化を経験しているかもしれない。ある時AppleがmacOSを改訂してDuet Displayの方法を使えなくしたからだ。

Duet Displayは代替手段としてAirPlayを使うしかなかった。その結果アプリの機能は限られ、上下に黒いバーの入る16:9画面がいくつか使えるだけになった。

しかしそれは過去の話で、Duet DisplayはGPUアクラレーションを活用する方法を発見した。これは、あなたのiPadがmacOS設定にディスプレーとして現れることを意味している。消費電力も小さくなるはずだ。私の経験では通常の外部モニターにずっと近くなった。移動が多く大画面を必要とする人には優れた解決策だ。

Luna Displayはハードウェアドングルを使って同じことをしてきた。Duet Displayはこのアップデートでライバルに追いつこうとしている。

バージョン2.0へのアップデートは無料。iPadとMacの両方に最新バージョンをダウンロードすること。新規ユーザーはDuet Displayを10ドルで購入できる。年間20ドルまたは25ドルの追加料金を払うと、ワイヤレス接続やApple Pencilサポートなどの追加機能が利用できる。

アップデート:Duet DisplayがLuna Displayについてこう言っている:

[誤解のないように言うが、追いついたのではない。うちの方が速いしすべてソフトウェアで価格はほぼ10分の1。つまりLunaは時代遅れだ。]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleのプログレードのビデオ編集ツール=Final Cut Pro X(FCPX)の大きなアップデート

今回のリリースでは、FCPXの多くの部分がより洗練されたものとなっている。中でも最も大きな変更は、さらなる進化を可能にした「ワークフロー機能拡張」だ。これらの機能拡張は、サードパーティのアプリやサービスが、直接FCPXに接続して、ネイティブなインターフェイスと機能を追加できるようにする。

Appleは、以下の3社と協力し、今回のアップデートに合わせて機能拡張を利用可能とした。

  • Frame.io:Frame.ioを使用すると、複数のビデオ制作者の間で、進行中の編集を共有できる。共同作業者は、まとまっていくプロジェクトを見ながら、コメントや、フレーム単位での注釈、思い付いたことを、関連するタイムラインの同期したセクションに書き込むことができる。Frame.ioは、かなり前から、このような機能を独自のアプリで実現していた。この新たなワークフロー機能拡張によって、そうした機能がFCPXに直接組み込まれるので、頻繁にアプリを切り替える必要がなくなる。

  • Shutterstock:撮影するつもりのなかったBロールが必要になった? Shutterstockの機能拡張機能を使えば、ウォーターマークの入った写真/ビデオ/音楽をプロジェクトにドラッグして、仮のものとして使用できる。後でそれらを、ライセンスを受けたウォーターマークのないものに入れ替えるところまで処理してくれる。
  • CatDV:チームとしてCatDVを利用してアセットを扱い、タグ付けしているなら、新しい拡張機能によって、コンテンツカタログに接続し、タグでコンテンツを検索し、プロジェクトに直接取り込むことが可能となる。

FCPXには、以前からプラグイン機能があったが、今回のワークフロー機能拡張は、アプリに組み込まれたインターフェイスと、より密接に結合できるようになっている。サードパーティの拡張機能も、Mac App Storeから直接入手できる。Appleは、新しく用意されたSDKを利用して、誰でもFCPXのワークフロー機能拡張を開発することができるとしている。ただし、今のところは関心のある開発者は直接Appleに連絡するよう求めている。

一方、FCPXには他にも以下のような変更が加えられた

  • 比較ビューアを使用すると、複数のクリップを横に並べて(またはウェブからの参照をドラッグして)色補正やグレーディングの作業が確実にできる。
  • バッチ書き出し機能を使えば、複数のクリップを(あるいは1つのクリップを複数のフォーマットで)同時に書き出すことができる。
  • 新たに開発されたビデオのノイズリダクションエフェクトは、シャープネスを維持したまま粒状感を低減することができる。
  • 想像的なタイニープラネット機能は、360°のビデオを幻想的な球状のビューに変換できる。

Appleはまた、FCPXとは別にApp Storeで販売する2つのアプリ、MotionとCompressorにも同時にアップデートを施した。Motionは、タイトルとトランジションを構築するためのApple製のツールだ。より高度なカラーマネージメントツールを備え、あらゆるグレーディングを適切に調整できるようになった。また、新たなコミックブック調のフィルタや、Final Cutに組み込まれたのと同様のタイニープラネット機能も装備した。Compressorは、ビデオをエンコードして配信するための準備を整えるためのツールとして、Appleが専用に開発したものだ。新しい64ビットエンジンに移行したものの、今のところ32ビットのファイルフォーマットでも動作するようになってる。字幕をビデオに直接焼き込む機能も搭載し、ついにSRTフォーマットの字幕ファイルもサポートした。これは、SRTしか受け付けないFacebookに、FCPXから直接アップロードしたいという人には特に便利だ。

すべてのアップデートは、既存のユーザーには無料で提供される。新規のユーザーには、Final Cut Pro Xは300ドル(訳注:日本のMac App Storeでは3万4800円)、MotionとCompressorはそれぞれ50ドル(同6000円)で販売される。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

macOS mojave登場前にParallels 14をじっくり使ってみた

毎年、この時期にmacOSの新バージョン登場に先駆けて必ずアップデートを発表する米パラレルズ社が、最新版のParallels Desktop 14 for Macを発売中だ。Parallelsは、macOS上でWindowsなど、ほかのOSとそのアプリを実行可能にする、いわゆる仮想化ソフト。ほかにも同様のアプリは存在するが、Parallelsは動作の安定性、速度、UIの完成度などで群を抜いていて、このジャンルのトップランナーと言える。

最近では、分野を問わず、このようなタイミングで定期的に新バージョンをリリースするmacOS用アプリも、ほかにはあまり見当たらなくなった。その意味でも、ParallelsはMacユーザーにとって頼もしい存在だ。

Parallelsの一般的な特徴、新機能、動作条件、価格などについては公式サイトに譲るとして、ここでは実際に最新版を動かしてみながらParallelsならではの機能や、そのメリットを紹介していくことにしよう。

「シームレス」の追求

そもそも現在のMacには、アップル純正のBoot Campがあり、Macの内蔵ストレージのパーティションを分割することで、macOSに加えてWindowsをインストールして起動することも可能となっている。それなのに、仮想化ソフトを利用することに、どれほどのメリットがあるのかという疑問を抱く人もいるだろう。

Boot Campは、MacでmacOS、またはWindowsのいずれかを選んで起動することを可能にする仕組みだ。両OSを同時に使用することはできず、常にどちらか片方だけとなる。また、両者のファイルシステムの違いから、起動しているOSから起動していないOSのパーティションへのアクセスにも制限があり、両者の間には高い壁があるようにも感じられる。そのあたりも含めて、アップル自身のBoot Campサポートが徐々に先細りになっているような雰囲気があることも否定できない。

ひと言で言えば、そのようなユーザーの不満や不安を一掃してくれるのがParallelsだ。Parallelsを使えば、WindowsがいわばmacOSのアプリとして動作する。Windowsは、macOSのファイルシステム上に作成した仮想ディスク上にインストールされ、そこから起動される。Windowsが使用するメモリもmacOSのアプリケーション用のメモリから割り振られる。こうした構成によって、両OSはもちろん、その上のアプリを1台のMacで同時に起動して利用できる。両OS間のファイルの共有も、ドラッグ&ドロップも含めて、自由自在と形容できるレベルに達している。

こうしたParallelsの動作は、あらゆる部分で「シームレス」であることを追求しているように感じられる。そう思わせる特徴を順に見ていこう。

何も手を触れる必要のないWindowsのインストール

初めてParallelsを使用する際には、MacにParallels本体をインストールするのはもちろん、さらにその上に「仮想マシン」を作成する必要がある。その仮想マシン上にはWindowsや、そのほかのOSをインストールすることも必要となる。Parallelsでは、その仮想マシンの作成とOSのインストール作業が、ほとんど文字どおりワンタッチで完了する。

Windowsは、言うまでもなく有料のOSなので、何らかのかたちで購入手続きが必要だ。

01InstallWin10

何も持っていないところから始める場合には、Parallelsのインストール操作の中でMicrosoft Storeからクレジットカード決済でライセンスを購入し、そのままインストーラーのイメージをダウンロードしてインストールできる。すでにライセンスを持っていれば、そのままダウンロードを開始し、インストール後にアクティベーションを実行すればいい。とりあえず試してみたい場合も、ライセンスを持っている場合と同様に進んで、インストールしてひととおりの動作を確認した後に購入を検討することができる。

購入手続きを別にすれば、これらのインストール作業では、何を入力する必要もなく、Windowsのインストール完了まで一度も停止することなく進行する。

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Windowsのユーザーアカウントも、とりあえずはmacOSのアカウントと同じ名前で設定される。必要なら後で追加したり、入れ替えたりすればいい。Windowsの基本的な設定も、すべてデフォルトのままとなるが、このあたりはかなり割り切っている。

いずれにしても、作業の途中で停止して、ユーザーに選択や入力を強いるステップを極力廃した設計は、まさにシームレスを目指したものだろう。

LinuxやmacOSも「ゲストOS」として利用可能

Parallelsでは、Parallels本体がその上で動作するOSのことを「ホストOS」、Parallelsの仮想マシン上で動作するOSを「ゲストOS」と呼んでいる。

ホストOSは、当然ながらmacOSなのだが、この時期にParallelsがアップデートされるのは、毎年秋に登場する最新のmacOSをホストOSとして問題なく利用できるようにするためだ。Parallelsは常にmacOSに先行して登場するので、現時点ではまだ正式版がリリースされていないMojaveに対応することを保証した上で発売している。

Windowsを利用する場合には、もちろんWindowsがゲストOSとなる。ゲストOSとして利用可能なのは、基本的には標準的な「PC」にインストール可能なOSだ。Linux系のOSをMac上で利用するためのもっとも手軽な方法としてParallelsを挙げることもできる。しかしほかにも通常のPCにはインストールしにくいOS、例えばAndroidや、普段はホストOSとして動いているmacOSを、仮想マシン上で利用することも可能となっている。

Windows以外のOSで、無償で入手、利用が可能なものは、あらかじめParallelsが用意している専用のサーバーからダウンロードして、やはりワンクリックでインストールが完了するようになっているものが多い。Linuxでは、Ubuntu、Fedora、CentOS、Debian GNUといった各種のディストリビューションが揃っている。これらのOSと、Android 7については、目的のOSをインストール済みの仮想マシンのイメージをダウンロードして、そのまま動作可能となる。そのぶん、処理は迅速だ。

Parallelsがサーバーで提供する無料OSの仮想マシンの種類は、情勢の変化などによって、入れ替わる可能性がある。例えば、以前はChromium OSも用意されていたが、現在ではサーバーから削除されている。とはいえ、サーバーにないOSでも、PC用のインストーラーを用意すれば、空の仮想マシンに手動でインストールして利用できる場合が多いはずだ。

macOSは、もちろん通常のPCにそのままインストール可能なOSではないが、Parallelsは特別にMac用の仮想マシンも用意している。そのため、使用しているMacのハードウェアの条件に依存することなく、新旧のmacOSが利用できることもある。例えば、次期バージョンのMojaveは、2011年以前のMacモデルはサポートしない。今回テストに使用したiMacは2011年製なので、直接Mojaveをインストールすることはできないが、Parallelsの仮想マシン上にはベータ版をインストールできた。

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逆に、現在のMacにはインストールできないSnow Leopard(サーバー版)などを、仮想マシン上で使うことも可能だ。

なおParallelsでは、別パーティションにインストールされているBoot CampのWindowsを、特別な仮想マシンとして登録して利用することも可能だ。その場合には、通常の仮想マシンでは可能な実行のサスペンド(一時停止)、途中経過をスナップショットして保存する機能、仮想マシンを過去の状態に戻すロールバックなどが利用できないという制限はあるものの、それ以外は通常の仮想マシンとほぼ同様に使える。

OSの違いを極力意識させないアプリケーション環境を提供

Parallelsのシームレスという特徴が最大に発揮されるのは、一般のユーザーにとってもっとも重要なアプリ環境においてだろう。簡単に言えば、WindowsアプリをあたかもMacアプリのような感覚で操作し、利用することができる。Parallelsの最大の目的は、Macでは直接動かすことのできないWindowsアプリを利用できるようにすることにあるのだから、これは最も重要な機能と言える。

デフォルトの設定では、仮想マシンの上で動作するWindowsアプリのアイコンが、MacのDockに表示される。それにより、Macのアプリと区別なく起動や切り替えの操作が可能となる。

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Dockに直接登録されていないアプリも、Dockにフォルダーとして登録されるWindowsのアプリフォルダをたどって起動することが可能だ。これはそのアプリを含む仮想マシンが起動していないときでも選択可能で、その際には仮想マシンのWindowsが立ち上がってから、目的のアプリが起動することになる。Macの環境にもよるが、その動作は目を疑うほど速い。

さらにデフォルトでは、MacのアプリがWindows側からも利用できるような設定になっている。さすがにこれはやり過ぎと感じられる場合が多いだろう。不要なら、設定のチェックボックス1つでオフにできる。

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多彩な動作形態

Parallelsでも、仮想マシンを作成した直後は、仮想マシン上のOSのデスクトップが、macOSの1つのウィンドウとなって動作する。仮想化ソフトにとって、もっとも一般的な動作形態だ。

Parallelsには、その形態の特別な場合として、前バージョンから「ピクチャ・イン・ピクチャ」と呼ばれる動作形態も用意されている。これは縮小された仮想マシンのデスクトップが、macOSの小さなウィンドウに表示される形態だ。

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仮想マシンの動作に応じて、リアルタイムで表示が更新されるのはもちろん、やはり縮小表示されるマウスポインターを使った操作も可能だ。キー入力も通常どおり受け付ける。

また「コヒーレント(Coherent)」と呼ばれる動作形態では、仮想マシンのデスクトップではなく、その上で動作する個々のアプリが、それぞれmacOSのウィンドウに表示される。

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シームレスもここまで来ると、もはやどちらのOSのアプリであるかを意識せずに、個々のアプリの操作に没頭できる。

本物のPCを超える仮想PCならでは使い勝手

Parallelsの仮想マシンは、本物のPCの動作をエミュレートしたもので、その上で動作するソフトウェアに、あくまで仮想の動作環境を提供する。それだけに、本物のPCには真似のできないような使い方も可能となる。

もっともわかりやすい例としては、本物のWindowsマシンでは決して撮ることのできないスクリーンショットを、簡単に撮影することができる。例えばWindowsの起動途中や、OSの不具合でクラッシュして、いわゆるブルースクリーンになった状態では、Windowsの機能を使ってスクリーンショットを撮ることはできない。しかし、macOSのウィンドウの中で動き、macOSのウィンドウを画面全体として表示している仮想マシンなら、macOSの機能を使って撮ればいいだけだ。

こうした機能は、一般のユーザーにはさほど有用ではないかもしれない。しかし、Windowsアプリの開発者やデザイナーにとっては、非常に役に立つことがある。プロユーザーを意識した機能はほかにもある。例えば、フルスクリーンモードでは、Windowsのビデオカードのガンマ設定で表示できる。macOSとWindowsの微妙な色の違いも、1台のMacで比較できるのだ。アプリの動作検証では、複数のバージョンのWindows上での細かな挙動の違いなども、1台のMacで観察できる。仮想マシンが接続されたネットワークについても、送受信の帯域幅、パケット損失、遅延など、自由に設定可能で、劣悪なネットワーク環境でのアプリの動作の検証にも使える。

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さらにParallelsのPro版には、Windowsの標準的なアプリ開発環境Visual Studioのプラグインが付属している。そのプラグインを使えば、Parallels上で動作している複数の仮想マシンをまたいだリモートデバッグが可能となる。特にWindowsのアプリ開発者にとっては、Parallelsを、本物のPCを超えた有力な開発ツールととらえることも可能なのだ。

Parallelsは、あくまで仮想マシンでありながら、本物のPCに引けを取らないどころか、場合によって本物を超える速度と使い勝手を実現している。それこそが、究極のシームレスと言える特徴だろう。特に仮想化ソフトにとってもっとも重要な動作速度の向上は、Parallelsのバージョンが更新されるたびに、より高いレベルを引き上げられてきた。

最新版のParallels 14では、プロセッサーの速度を最大2倍にすると言われているAVX-512命令もサポートした。今のところCannon Lakeプロセッサーを搭載するiMac Proでしか有効ではないものの、今年の秋以降に登場するMacでは、サポートも広がるはずだ。それも含めて、Macの能力や用途を拡張するためにできることには労力を惜しまないというParallelsの開発姿勢が、このアプリの最大の魅力なのかもしれない。

AppleはiPadアプリをMacで動作させるかもしれない

Appleは、同社の各オペレーティングシステムの次期主要バージョンの開発に忙しい —— macOS、iOS、tvOS、およびwatchOSだ。誰もが注目しているのはiOSだが、最も魅力的な新機能はmacOSにやってくるかもしれない。BloombergAxiosの報道によると、AppleはMacでiPadアプリを走らせるらしい。

昨日(米国時間1/30)Axiosは、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当VP、Craig FederighiがiOS 12の改訂計画を発表したことを最初に報じた。通常Appleは、iOSの新バージョンを6月のデベロッパー向けカンファレンス、WWDCで発表する。その後数カ月のベータテストを経て9月に公開される。

Axiosが入手した情報によると、Appleは品質問題を解決するために一部の機能を先送りするという。多くのユーザーがiOS 11のバグに不満を抱いている。例えば、オートコレクトのバグや、メッセージの到着順の乱れ、電卓アプリが正しく計算しない、などの奇妙な現象がおきている。

噂された機能のいくつかが2019年のiOS 13に先送りされたのはこのためだ。ホーム画面のデザイン変更、CarPlayの改善、メール、写真アプリの改訂などだ。

その代わりにiOS 12は磐石なバージョンになることが期待される。新しい機能もあるだろうが、みんなが望んでいたほど多くはない。iOS 12ではペアレンタルコントロールの改善、FaceTimeの改訂などが盛り込まれる予定だ。拡張現実(AR)機能の追加もあるかもしれない。

一部機能の遅れは次期macOSの改訂にも影響を与える。写真アプリの改訂もその一つだ。しかしBloombergが最初に報じたところによると、AppleはiOSアプリをMacで利用できるようにする計画を今も遂行中だという。Axiosはこの計画を確認し、具体的にはiPadアプリがmacOS上で動作するはずだと伝えている。

Mac App Storeに大量の新アプリが加わることで、Macプラットフォームにとって大きな変更になる可能性がある。AppleがこれらのアプリのユーザーインターフェースをMacに最適化するかどうかは不明だ。タッチスクリーンの使い方はマウスとは大きく異なる。しかしiPadアプリのデベロッパーにとってはユーザを大きく増やすチャンスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンタープライズの世界とApple

2010年当時、Appleの顔であった共同創業者スティーブ・ジョブズは、エンタープライズ用途には全く興味がなかった。実際、ジョブズは「私がコンシューマー市場を愛している理由、そしてエンタープライズ市場をずっと嫌ってきた理由は、コンシューマー市場では、私たちは製品を生み出して、それを皆に伝えるべく努力し、その結果皆が自分の意志で選んでくれるからです」。

さらに彼はこう付け加えた「コンシューマー市場では『はい』か『いいえ』の勝負になります。そして、もし十分な数の『はい』を手に入れることができたら、私たちは明日もまた仕事を続けることになります。それがこの市場の仕組みなのです」。

それはジョブズが声明を出した当時には、ものごとの動きを十分正確に反映したものだった。その当時IT部門は、ブラックベリーやThinkPadのような機器を支給して、企業内を厳密に管理していた(当時好きな色を選ぶことはできた ―― それが黒である限り)。しかし2011年に亡くなったジョブズは、「個人の機器を持ち込むこと」(BYOD)や「ITにおけるコンシューマー機器利用」という、彼が亡くなる当時にようやく企業シーンの地平線上に浮かび上がって来ていた、2つの流れを目にすることはなかった。

私は彼なら、この2つの動きを歓迎しただろうと感じている。そしてその流れが、Appleの生み出したモバイル機器、iPhoneとiPadによって、色々な意味で促進されていることに大変満足したことだろう。人びとはそれらのデバイスを自宅で使い、そして徐々に仕事にも使うようになってきた。IT部門はそれを受け容れる他に選択肢はなかった。

この動きはAppleのエンタープライズ進化を促進するのに役立っている。時間が経つにつれ、Appleは、IBM、SAP、Ciscoといったエンタープライズの申し子たちと提携を進めてきた。Appleは、IT部門がそれらの「iデバイス」やMacをより良く管理するためのツールも提供している。そして(私たちが知る限り)エンタープライズを、そのビジネスに実質的に取り込むようになったのだ。

現在の状況は?

Appleのエンタープライズビジネスの規模に関するデータを見つけようとするのは難しい、なぜならその業績報告の中で、彼らがエンタープライズから得られた収益を分離して示すことは、ほとんど無いからだ。とはいえ、ティム・クックが2015年第4四半期の業績報告の中である程度の数字を発表しているので、このマーケットにおける雰囲気を掴むことはできるだろう。

当時クックは「私たちは、過去12ヶ月のAppleの収益のうち、エンタープライズ市場からのものを年間約250億ドルと見積もっています。これは前年に比べて40%多く、将来に向けての成長の大きな柱となることを示しています」と述べている。

2017年6月のブルームバーグのインタビューでは、クックは特定の数字を口にすることはなかったが、エンタープライズ市場を「あらゆるチャンスの母です」と呼んでいた。なぜなら、企業は機器の導入に際しては大量に買う傾向があり、そして社内でのAppleサポートシステムを構築するにつれ、内部ユーザーと会社の製品とサービスのユーザーの両方に向けて、今度はカスタムアプリケーションを提供するために、企業がMacを買うことになり、そのことでエンタープライズ市場の他の部分にも影響が及ぶからだ。

この関係は、ブルームバーグのインタビューでも見逃されることはなかった。「ほとんどの企業では、iOSがモバイルオペレーティングシステムとして好まれています。IOSは素晴らしいプラットフォームです。なぜならビジネスを効率的に実行したり、顧客と直接やりとりをする、役に立つアプリを書くことが容易だからです。現在とても多くの企業がアプリケーションを作成しています。さて、そのアプリケーションを書くのに何を使うでしょう?彼らはMacを使っています。 MacはiOS開発のためのプラットフォームなのです」とクックはブルームバーグに対して語っている。

写真:Justin Sullivan/Getty Images

このマーケットを見るための別の手段がJamfである。JamfはAppleのエンタープライズツールパートナーであり、大規模な組織内でApple機器の管理を行うことを助けている。iPadやiPhoneが登場するよりもずっと早い、2002年に誕生したこの会社は、飛躍的に成長してきた。現在は1万3000社の顧客がいると発表している。その成長の軌跡を眺めてみると、その顧客が6000社になるまでには13年が必要だったが、その後わずか2年半で、顧客の数が2倍以上の1万3000社へと急成長している。

JamfのCEO、Dean Hagerは、TechCrunchに対して「多くの人びとが、Appleはますますエンタープライズに焦点を当てていると言っていますが、実際にはAppleは、企業がもっとユーザーたちに集中できるように助けていて、それによってますます成功しているのです」と語った。「こうしたことは、Appleが人びとが仕事に持ち込みたくなるような素晴らしい製品を作り、実際に人びとが持ち込むことを望んだからこそ始まったことなのです」。

エンタープライズへの道のりをたどる

その個々人の勢いを過小評価することはできないが、一度企業に採用されたなら、AppleはIT部門に何らかの道具を与えなければならなかった。IT部門は常に、ハードウェアおよびソフトウェアのゲートキーパーとしての役割を果たしており、外部のセキュリティの脅威から企業を安全に保護している。

結局のところ、AppleはiPhoneとiPadを使って、エンタープライズグレードのデバイスを構築することはしていなかった。彼らは単に、その当時周囲にあるものよりも、より良く使えるデバイスを作りたかっただけなのだ。人びとがそれを使うことを本当に望み、それを仕事の場に持ち込んできたのは、そうした元々あったゴールの延長線上にあることなのだ。

実際、Appleのマーケット、アプリ、サービス担当副社長であるSusan Prescottは、最初のiPhoneがリリースされたときに同社に所属していて、同社のゴールを認識していた。「iPhoneでは、仕事中も含めて、人々が望んでいると分かっていたことを可能にするために、モバイルを完全に再考しました」と彼女は語る。

AppleのSusan Prescott。写真:Justin Sullivan/Getty Images

アプリとApp Storeという概念と、それを構築するためにあらゆる開発者たちを引き込んだことは、エンタープライズにとっても魅力的だった。IBMとSAPが関わり始めて、彼らはエンタープライズ顧客向けのアプリを構築し始めた。顧客たちは、審査済のApp Storeから、これらのアプリにアクセスすることができたが、これもIT部門にアピールした。Ciscoとの提携により、Ciscoの機器(ほとんどの企業が利用している)を利用しているネットワーク上での、Appleのデバイスに対してのより素早乗り換えが、IT部門にとって可能となった。

2010年のiPhone 4の基調講演では、ジョブズは既に、企業のIT部門にアピールできる種類の機能を宣伝していた。それらは、モバイルデバイス管理や、App Storeを通したワイヤレスアプリ配布などであり、さらには当時人気のあった企業向け電子メールソリューションMicrosoft Exchange Serverへのサポートさえ提供するものだった。

ジョブズは、表面的にはエンタープライズ用途に対して悪態をついていたかもしれないが、明らかに彼の会社のデバイスが、人びとの働き方を変える可能性を秘めていることを知っていた。それまで平均的な労働者には手の届かなかった、ツールとテクノロジーへのアクセスを提供することで、それが実現されるのだ。

Appleはまた、舞台裏では企業ユーザーたちと静かに話し合い、彼らが必要とするものが何かを、iPhoneの初期から、探り当てようとしていた。「早い時期から、私たちは企業やIT部門と協力してそのニーズを把握し、ソフトウェアのメジャーリリースごとに、エンタープライズ向けの機能を追加して来ました」と、PrescottはTechCrunchに対して語っている。

トランスフォーメーションを促進する

組織内の変化を促した要因の1つは、2011年頃にはモバイルとクラウドが統合されるようになって、ビジネスのトランスフォーメーションと従業員のエンパワーメントが促進されるようになったことだ。IT部門が従業員に使いたいツールを提供しない場合でも、App Storeや同様の仕掛けが、従業員たちに自分自身で行うためのパワーを提供した。それはBYODとITにおけるコンシューマー機器利用を促進したが、ある時点でIT部門は何らかの管理を行えることを望むようになった(たとえそれが昔行っていたような管理と同じようなレベルのものではなかったとしても)。

iPhoneやその他のモバイルデバイスは、ファイアウォールの保護の外で働くモバイルワーカーたちを生み出し始めた。電車を待っている間に、すぐにドキュメントを見ることができる。また顧客から次の顧客への移動の間に、CRMツールで更新することもできる。そして空港に行くために車を呼び出すことだってできる。こうしたことの全ては、モバイルクラウド接続によって可能になった。

それはまた、すべてのビジネスの中に、深い変化を引き起こした。とにかくもう、これ以上同じやり方でビジネスを続けることはできないのだ。高品質なモバイルアプリを制作して、それを顧客の前に提示しなければならない。それは企業がビジネスをやる方法を変えてきたのだ。

これは確かに、Capital One(米国の大銀行)が経験したものだ。彼らはもうこれ以上 「昔ながらのやぼったい銀行」ではいられないことと、コンピューティングに関わるあらゆる側面を自分たちで制御することはできないことを認識した。才能ある人材を手に入れようと思ったら、彼らはオープンでなければならない、そしてそれが意味することは、開発者たちに望みのツールを使うことを許さなければならないということだ。Capital Oneのモバイル、Web、eコマース、パーソナルアシスタントの責任者、Scott Totmanによれば、それが意味することはユーザーたちに仕事でもAppleデバイスを使わせるということだ(たとえそれが個人所有のものでも、もしくは会社支給のものでも)。

Capital Oneの従業員たち。写真: Capital One/Apple

「私がここにやってきた時(5年前)、AppleサポートグループはTravisという男性ただ1人でした。私たちは(その当時は)会社内では(それほど広範には)Appleを使っていませんでした」と彼は言う。今日では、4万台を超えるデバイスをサポートするために数十人の担当者がいる。

ニーズが変化しているのは会社内の人びとだけではなかった。消費者たちの期待も同時に変化しており、同社が作成した顧客対応のモバイルツールは、そうした期待に応えなければならなかった。つまり、そうしたアプリデベロッパーたちを会社に引きつけ、快適な仕事ができる環境を提供しなければならなくなったのだ。明らかに、Capital Oneはその点で成功し、組織全体でアップル製品を受け入れてサポートする方法を見出している。

ちょっとした助けを借りながら進む

Capital Oneはいかなる意味でも「特殊例」ではない、しかし、もしApple(の中心)が、今でも消費者向け会社であるならば、エンタープライズ市場を獲得し、大企業のニーズを理解するためには何らかの手助けが必要である。それこそがAppleがここ数年立て続けにエンタープライズに基盤を提供する企業たちとパートナーシップを結んできた理由だ。IBM、SAP、そしてCiscoと契約を締結し、プロフェッショナルサービスの巨人であるAccentureやDeloitteと手を結び、そして直近ではGEとも提携を結んだ。最後の提携は産業IoTマーケットへの足がかりをAppleに与えるものだ。一方GEは、その30万人以上の従業員を対象にiPhoneとiPadを標準として採用し、Macを公式のコンピュータとする。

Moor Insights & Strategyの社長兼主席アナリストのPatrick Moorheadは、こうした提携をAppleにとって健全なアプローチであると見ている。「Appleは自身がコンシューマー企業であることを認識しているので、エンタープライズ戦略を実行するためには、純粋なエンタープライズプレイヤーと提携する必要があります。それぞれの企業がその戦略に異なる要素を追加します。IBMとSAPはモバイルアプリで協力します。Ciscoは、高速ネットワーキングとエッジセキュリティに関してのもの。そしてGEはIoTソフトウェアに寄与します」とMoorheadは説明した。

J Gold Associatesの社長兼主席アナリストのJack Goldは、これらの企業はAppleに対して、エンタープライズ市場への切符を提供していると語る。「彼らはソリューションプロバイダーであって、部品サプライヤーではないのです。彼らとのパートナーシップがなければ、影響力を持つことは難しかったでしょう。パートナーシップを活用することで、コンポーネントベースで競争するのではなく、完全なソリューションレベルで競争することができるのです」とGoldは述べている。

IT部門からの結論はまだ出ていない

Appleは過去10年間にわたって、エンタープライズビジネスと内部および外部のサポートコンポーネントを構築してきたが、彼らがその過程で作り上げたパートナーシップは、単にエンタープライズの世界での信用を得ることだけではなく、彼ら単独では提供が難しかったであろうレベルの成果も提供できるようにした。

「IT部門は、主要なサプライヤと直接仕事をする際に、有利な条件でサポートを受けることに慣れています。Appleの場合にも、本当に大きな企業はそうすることができますが、多くは仲介業者を経由しなければなりません。それは必ずしも悪いことではありませんが、それはAppleにとって、限られた企業リソースを活用する1つの方法なのです」とGoldは述べている。

Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangは、Appleのエンタープライズ顧客にとっての、いくつかの課題を見ている。「Appleを採用する場合に彼らを待つ課題は、Dellのような企業が機器の管理を簡単にしてきたことに対抗して、Appleも同レベルのサービスを提供できるようにしなければならないということです。多くのIT部門にとって、ジーニアスバーに行くように言われることは、妥当な対応ではありません」と彼は語った。

公平を期すならば、AppleはエンタープライズレベルのAppleCareサポートを提供しているが、これは現在パートナーのIBMによって運用されている。Prescottは、Appleはより大きな顧客たちと、彼らの必要とするものを提供できるよう、協力している最中だと語った。「私たちは、顧客の方々が、Appleのデバイスを統合して管理することができるように、直接一緒に仕事をしています。私たちはAppleCareを通じてテクニカルサポートを提供し、Apple at WorkウェブサイトではIT部門の皆さまにリソースとガイドを提供しています。私たちは、エンタープライズ向けの努力を補完するために、世界規模の企業と戦略的に協力し、顧客の皆さまが、そのビジネスプロセスをモバイル中心で再考し始めるためのお手伝いを致します」と彼女は説明した。

Jamfが2016年に実施した調査の中で、携帯電話に関しては、回答者の79%がiPhoneを強く好んでいたという結果は、言及しておく価値があるだろう。

出典: Jamf 2016年調査

この調査は、世界各地の大中小企業の役員、マネージャー、そしてITプロフェッショナル480名の回答をまとめたものだ。調査結果を見れば、IT部門はいまやiPhoneやその他のApple製品をサポートする選択肢を提供せざるを得ないことがわかる。そしてAppleはそれをサポートする方法を見出しつつあるのだ。

スティーブ・ジョブズが2010年にエンタープライズに関してコメントして以来、Appleはエンタープライズで明らかに大きな進歩を遂げてきた。Capital One、Schneider、Lyft、そしてBritish Airwaysなどの事例を見れば、Appleが最大級の企業とも一緒に働くことができることは、既に示されていると言えるだろう。実際、巨大エンタープライズとのパートナーシップは、Appleがエンタープライズ市場での立ち位置を見つけるための役に立っているのだ。

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(翻訳:Sako)
FEATURED IMAGE: JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

Apple、macOSの重大なセキュリティー欠陥を修正するアップデートを公開

AppleはmacOS High Sierraのセキュリティー問題を修正するアップデートを公開した。該当する人は今すぐアップデートすべきだ(Appleは今日中にこのセキュリティーパッチを自動的にプッシュ配信する予定)。このアップデートは、昨日発覚した誰でもパスワードなしで他人のMacにログインできる、という極めて深刻な脆弱性を修正するものだ

アップデートをインストールするには、Mac App Storeを開き、「アップデート」タブをクリックすればよい。リリースノートに「このアップデートはできるだけ早くインストールしてください」と書かれているのが興味深い。Appleは夜遅くまで作業してこの問題を修正した。しかし、そもそも起きてはならないことだった。

このセキュリティー欠陥はHigh Sierraの最新バージョン(少なくとも10.13.1 — 17B48以降)が動作している全Macに影響を及ぼした。ログイン画面または設定パネルのセキュリティー画面で、ユーザー名をrootにしてパスワードを入力しないと侵入できてしまう。TechCrunchで複数の人間が試したところ容易に再現できた。それ以降は自分のものではないコンピューターのすべてを見ることができる。画面共有セッションの中でもこの方法は使える。ハッカーにとって、他人のメールや個人データをアクセスする最高の方法といえる。

このアップデートのリリースノートはごく短い。「認証情報の検証に論理的エラーがあった。検証方法を改善して解決した。」とAppleは書いている。

アップデート:Appleは影響を受けている全ユーザーに対して、本日中にこのアップデートを自動的に送信する。同社は以下の声明を発表した。

「安全性はApple製品にとって最優先課題であり、macOSのこのリリースで問題をおこしたことをお詫び申し上げる。

当社のセキュリティー担当技術者は、火曜日(米国時間11/28)の午後に問題を認識した直後に、このセキュリティーホールを埋めるアップデートの制作に取りかかった。本日午前8:00からアップデートはダウンロード可能であり、今日からmacOS High Sierraの最新バージョン(10.13.1)が動作している全システムには自動的に修正が適用される。

今回の問題を深く反省し、全Macユーザーに対して、脆弱性のあるシステムを公開してまったことおよび心配をかけたことをお詫びする。当社の顧客にとってあってらならないことだった。ふたたびこのようなことが起きないよう、現在開発プロセスを見直している。」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

速報:High Sierra Macに重大バグ――当面Macを放置してはいけない

非常にまずいことになっている。最新版のHigh Sierra — 10.13.1 (17B48)を搭載したMacに誰でもログインできる。ユーザー名のフィールドに“root”と打ち込むだけでいい。これは大問題だ。Appleは数時間のうちにもバグを修正するはずだが…よく聞いていただきたい。このバグが修正されるまでは絶対にMacを放置しておいてはいけない

このバグは設定から簡単にアクセスできる。ユーザーがセキュリティーとプライバシーなど設定の重要な部分を変更しようとしたときに開いてユーザー名とパスワードを打ち込む場所だ。

ハッキングもなにもない。ユーザー名の代わりに “root”とタイプするだけでいい。 パスワードには何も入れる必要はない。ログインボタンを何度かクリックするでログインできる。ただしMacのユーザーはこれを自分のマシンで実験してはいけない。“root”アカウントを作成することになり、その後すぐに削除するのでなければ、悪意ある第三者を利することになる

このバグを発見したのは Software Craftsman Turkeyのファウンダー、Lemi Orhan Erginのようで、Twitterでこのことを警告した。

繰り返す必要もないだろうが、これは最悪のバグだ。ログインに成功してしまえば後はマシンのオーナーとして何でもできる。管理者を追加する、セキュリティーの設定を変える、本来のオーナーを締め出す、とやりたい放題だ。バグが修正されるまでMacを目の届かないところに置いてはならない

われわれが実験したところではどのパネルからでもユーザー名を入力する窓であれば“root”と打ち込みさえすればMacは即座に新しいシステム管理者アカウントを作成するようだ。ただし10.13(17A365)マシンでは動作しない。しかしこちらには各種のつまらぬプレインストールソフトが入っていて悪さをする可能性がある。

当面の対策としては“root”でログインし、なんでもいいからパスワードを設定しておくのがよいだろう。しかしやはり安全なのは誰が触るかわからないような環境にデバイスを放置しないことだ。

われわれはAppleにコメントを求めているが、向こうでも大忙しだろうと思う。進展があればすぐにフォローする。ともあれMacを放置しないよう

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

今日のApple MacBook Proイベントのライブ中継を見る方法はこれだ(日本では木曜午前2時から)

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今日(米国時間10/26)Appleはクパチーノ本社キャンパスでプレスイベントを開き、新しいMacBook Proを披露することが予想されている(キーボードの上に奇妙なミニディスプレイがついていることが既にリークされている)。13インチMacBook Airも改訂されるだろう。10 AM PT(ニューヨークでは1 pm、ロンドンでは6 pm、パリでは7 pm[東京では28日(木)午前2時])から、Appleの全デバイスでイベントを見られる。

AppleはiMacについても話すと思われるが、性能改善以上は期待しないほうがいい。さらには外部レティナ・ディスプレイについても聞けるかもしれない。Macが好きな人にとっては、Mac満載のたまらないイベントになりそうだ。

最新のApple TVを持っている人は、App StoreでApple Eventアプリをダウンロードできる。今日のイベントをストリーミングできる他、昔のイベントも見られる。古いApple TVのユーザーはスイッチを入るだけでいい。Appleが “Apple Evnets” チャンネルを薦めてくるのでそこでイベントを見ることができる。

Apple TVを持っていない人は、AppleのウェブサイトのApple Eventsセクションでライブストリーム中継を見られる。このビデオ中継は、SafariとMicrosoft Edgeでのみ利用できる。有難いことに、macOS、iOS、Windows 10のいずれでも動作する ― SafariかEdgeの動くデバイスを少なくとも一つは持っているだろう。

まとめると、今日のAppleイベントを見る方法は以下の通り。

  • MacまたはiOSのSafar
  • Windows 10のMicrosoft Edge
  • 第4世代Apple TVで、App StoreのApple Eventsアプリ
  • Apple TVの第2、第3世代は、イベント直前にApple Eventsチャンネルがやってくる

もちろん、TechCrunchのライブブログもある。職場を離れられない人や、本誌のコメントを楽しみたい人たちは是非ご覧あれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook