新Macbook―Appleが未来を探検するのはユーザーへの裏切りではない

Appleの新MacBookの入出力は3.5mmのオーディオジャックの他にはUSB-Cポートがひとつ用意されているだけだ。一部からはAppleのユーザーに対する裏切りだという非難の声が上がっている。不満の原因はポートがひとつしかないことの他に、電力消費の抑制によりファンレスのロジックボードを実現するため、非力なIntel Core Mチップセットを採用したことにも向けられている。 暴動も起きかねない怒りを招いているようだ。

しかし事実は、新MacBookは「少し早目に到来した未来」そのものに過ぎない。しかもAppleユーザーには新MacBook以外にも十分な選択肢があるのだ。

新MacBookは中身も外見も徹頭徹尾、エンジニアリングのショーケースだ。それはしかしすべてのAppleユーザーにとってこれがベストの製品だということを意味しない。新MacBookは特定のユーザーを念頭に置いてデザインされている(そうしたユーザーの数が将来大きく増えていくことを予期しているのだろう)。いずれにせよ新MacBookはiPadをメインのコンピュータとして使って満足しているユーザーを対象にしている。パソコンのトレンドとiPadの記録的成功を考えれば、十分に有利な賭けといっていいだろう。

Core Mプロセッサーでは動画などメディアの編集ツールとしては力不足だろうが、Apple自身もパワーハウスだとは主張していない。MacBookは、日常使う速くて軽いマシンだ。サイではなくカモシカだ。Appleにはもっと強力なマシンがたくさんある。フォースタッチを採用した新しい13インチのRetina MacBook Proなどはその一例だろう。

12インチのMacBookは価格的にも上位機種ではない。現行のMacBook Airは価格帯は1300ドルから上だ。1299ドルのMacBookだけがAppleのノートパソコンであれば、さまざまな不満にもある程度理由があることになるが、事実はそうではない。

実際にテストしてみた上で言うのだが、MacBookには欠点として非難される面を大きく上回る使い勝手のメリットがある。どんな製品の購入の場合でもそうだが、消費者は自分の利用習慣に照らして製品のメリットとデメリットを比較検討しなければならない。そのことに文句を言う筋はあるまい。

プロダクトデザインでのAppleの強みは、ユーザー価値を最大にするタイミングでテクノロジーを採用する的確な判断にある。たとえばAppleはNFCの採用を急がず、マス普及の条件が整ってきた段階で装備した。逆にTouch IDやThunderboltの場合はライバルに先駆けていち早く採用した。USB-Cは後者の新たな例で、Appleのポート簡素化のデザイン戦略の一環をなすものだ。

私が愛用している12インチ、G4 PowerBookの側面を見てみよう。左側は月の表面のように穴だらけだ。右側には光学ディスクドライブが鎮座している(そして重さは新MacBookの2倍以上で、おまけにファンもある)。ほとんどのユーザーはこのずらりと並んだポートを日頃利用していない。それどころかポートの正確な名称さえ知らないだろう。

新MacBookの価値は、ユーザーの日々のニーズをどれだけ満たせるかによって最終的に判断される。テクノロジー・メディアではCore Mプロセッサーでは写真の編集も満足にできないという主張がなされているが、その根據はCore Mのベンチマークの数字に基づいた推測に過ぎない。IntelのTurbo Boostテクノロジーはこうした人工的なベンチマーク環境とは相性が悪く、紙の上の性能は低く出がちだ。またベンチマークは現実のユーザー体験の代替にはならない。

新MacBookはパーソナル・コンピューティングにおける一つのパラダイム・シフトを象徴するプロダクトだ。しかしAppleはそれぞれのユーザーの利用ケースに対応できる豊富なプロダクトラインを用意している。Appleユーザーは別に新MacBookを選ぶことを強制されているわけではない。それに今は大声で不満を述べているユーザー層にしても、実際に使ってみればトレードオフは想像していたほど大きいものではなかったと気づくに違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


新型MacBookのトラックパッド、実際には動いていない

Appleの新しいMacBookに関する記事をたくさん読んでる人はすでにご存知と思うが、まだ知らない人も多いようなので、ちょっと書いておこうと思う。

新型機のトラックパッドは、まったく動きません。

‘クリック’すると物理的には‘クリック’感はあるし、音もする(下のアホな写真は、ぼくがその音を聴いているところ)。でもそれは、完全なイリュージョンだ。

下にいくつかの振動モーターがあって、それらがフォースフィードバックの機能を担(にな)っている。フォース(force, 力)と呼ばずに、触覚(haptics)と呼んでいるアプリケーションもある。このフィードバックがあるため、指は正常なトラックパッドの正常なボタンを押したと錯覚する。このフィードバックはラテラルフォースフィールド(lateral force field, LFFs, 横方向の力の場)と呼ばれる現象に依存しており、それによって人間は振動を触感として経験する。そのため、人はクリックできる面や、その深さ(z軸方向)すら感じる。この新しいトラックパッドのForce Touch機能のせいで、これまでよりも深いクリック感を経験し、よりリアルなタップ感を得る。そうやって、リアルな感触があるのにもかかわらず、トラックパッドはまったく動いていないのだから、不気味ですらある。

でも実際にやってみれば、正常なクリックとまったく変わらない、という感想を持つ人がほとんどだろう。実際に押した感触が得られるのだから、それで十分だ。しかもこの方式には、感度を調節できるという利点もある。つまり、クリックをトリガするために必要な圧力を、はっきり分かるぐらい変えられるのだ。筋萎縮症や指が神経痛の人などは、助かるだろう。

本誌のライターCatherine Shuは、“このトラックパッドは反復運動損傷の人にも良さそう。私は手根管症候群(CTS)になって、トラックパッドを親指の側面でタップしてたときがあったけど、そうするとほかの指が痛くなるのよ”、と言った。

LFEsを利用して触覚的なフィードバックを作り出す方法を研究した初期の研究者の一人、Margaret Minskyは、1995年に”Computational haptics : the Sandpaper system for synthesizing texture for a force-feedback display“(フォースフィードバックのディスプレイで触感を合成するシステム)と題する博士論文を書いている。それを読めば、Appleの未来のスクリーン技術がすこしは分かるかもしれない。Minskyは実際に、この方法を使って、触感をシミュレートするディスプレイを作ったのだ。

WSJの今朝の記事では、Appleは将来、iPhoneにもForce Touch技術を導入して、スクリーンが押された圧力を検出する、と言っている。タップの確認や、文脈的クリック、より深い対話モデル、それにホバリングのステートなどが、未来のUIの要素になるのだろう。Appleなら、何が現れたって不思議ではないけどね。その記事はユーザからのフィードバックに言及していないが、ユーザの頭の中も混乱しているのだろうな。相当、複雑な話だから。この巧妙な振動技術のおかげで、MacBookの上の静止したガラスがクリック感を与えてくれるのなら、同じことがiPhoneでできてもおかしくはない。

やがて、触感を与えるステッカーや、ユーザを実際に突っつくFacebookのpokeが、未来のインターネットに氾濫するのかな。

WSJの記事を説明するためにアップデートした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


ポートが1つの新MacBook、ACにつないでiOS機器を充電するには別売りのアダプタを利用

Appleは本日、新しいMacBookをアナウンスした。いかにもAppleらしく、「全く新しい」スタイルが採用されている。充電、データのインプット、およびビデオ出力を、すべてひとつのUSB-Cポートで行うというスタイルだ。MacBookをACにつなぎながら、同時にiPhoneを充電したい場合にはどうすれば良いのだろう。もちろん対策は用意されている。Apple製の別売りアダプターを購入するのだ。

新しいMacBookのUSB-C用にさまざまなアクセサリーが用意されている。通常のUSBを使いたいのなら2200円のアダプターを購入する。Digital AV MultiportアダプターおよびVGA Multiportアダプターはいずれも9500円だ。MultiportアダプターにはUSBポートおよびUSB-Cポートも搭載されている。

間違いのないように書いておこう。新MacBookでは、アダプターなしにiOSデバイスを充電することはできない。AppleがUSB-C Lightningケーブルをリリースする可能性もあるわけだが、今のところは2200円のアダプターを使う以外に選択肢はない。

Appleはしばしば、利用者の都合を無視する形で「未来」に突き進んでいくことがある。1998年にはiMac G3からフロッピードライブおよびシリアルポートを失くしてしまった。FirewireおよびCD-ROMドライブを捨て去ってしまったこともある。

今回の「単一ポート化」も「未来」への一歩だということなのかもしれない。確かにポートをひとつだけにすれば、シンプルかつエレガントになるだろう。ただ、ノートパソコンの使い方としては、ACから電源供給しながら外部モニタにつなぎ、そして他のデバイスの充電をするというのは「基本的」な用途だと思うのだ。消費者のニーズを無視した「進化」だと思うのだが、どうだろうか。

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(翻訳:Maeda, H


Zoltは、小さな小さなMacBook充電器。スマホとタブレットも同時に充電可能


もしあなたが、MacBookと一緒にあの嵩張る白いケーブルと充電器を持ち歩くの嫌になっているなら、Zoltが荷物を軽くしてくれる。99ドルの小さな7.5 x 3.3 x 3.3 cmの八角柱には、USBスロットが3つと30ドルの超薄型MagSafeケーブルをつなげば最大70ワット必要なMacBookを充電できる。この春にZoltが出荷されれば、コンピュータ、スマートフォン、そしてタブレットの充電器を同時にこれで置き換えることができる。

Zoltは現在79ドルのディスカウント価格で予約できる。[訳注:米国外への出荷時期は未定]

ではいったいなぜ、ZoltはAppleより小さな充電器を作ることができたのか? CEOのDinesh Ramanathanは私に、37の特許と特殊な半導体と電流スイッチング技術を組み合わせることによって、Zoltをより効率良くすることがてきたと語った。なぜZoltを作ったのかを尋ねたところ、Ramanathanは、リュックの中で絡まっていた大きなアダプターを指して、「ああなることが多すぎるから」と言った。

様々な充電端子のおかげで、Zoltは殆どのノートパソコン、タブレット、スマートフォンを同時に充電することができる。Zoltの回転式ACプラグと細長い形状によって、殆どのコンセントやテーブルタップの差し込み口に納まる。出荷された暁には、同じく小型の充電器Dartがライバルになる。

Zoltは、Appleノートパソコンの最大機種を充電するパワーは持っていない。MacBook Air、MacBook、MacBook Pro 13’は充電できるが、85ワットのPro 15’、17’、あるいはRetinaには使えない。45ワットのMacBook用充電器の重さ半分のZoltが、小型機種を持ち歩くのをずっと楽にすることは間違いない。Acer、Asus、Compaq、Dell、Gateway、HP、IBM/Lenovo、MSI、Samsung、およびToshibaとも互換性がある。そしてZoltは、現在Appleから正式に承認を受ける準備をしている。

果たしてZoltが純正アダプターと同じ速さで充電できるのか、またUSBのように薄いZolt MagSafeケーブルの使い心地がどんなものか、出荷が待たれるところだ。しかし、もしZoltが約束を果たすことができれば、ノートパソコンの標準アダプターはデスクに残して、Zoltを持って出かけられるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


iPadをセカンドディスプレイ化したい人にはOne Designの「Mountie」がおすすめ

MacBookやiMacをモバイル環境で利用する際、一層効果的に2画面化を実現することができるようになりそうだ。One Designの産みだしたMountieを使えば、MacBookないしiMacのベゼル部分を利用して、iPadやiPhoneをセカンドディスプレイとして装着することができるのだ。しかもMountie本体は上着のポケットや、ノートPCケースのアクセサリ収納用ポケットに入れておくこともできる。

もちろんこうした機能を持つガジェットは他にもある。ただ、Mountieこそデザイン的に最も優れたものだと言って良いのではないかと思う。ラバー状の内張りにより、取り付けるモバイルデバイスを傷つけてしまうこともない。それでいて、どのような組み合わせであっても、デバイス同士をしっかりとクリップしてくれる。作業中に緩んで落ちてしまうようなこともなさそうだ。また、縦長の接続部設計で、繋いだデバイスがぐらぐらと揺れて不愉快に感じてしまうこともなさそうだ。

Mountieというのはカナダの騎馬警察の名前と同じなので親しみはある(筆者はカナダ出身だ)。しかし2週間前なら、Mountieの情報を得ても見過ごしていたかもしれない。だが、iPadやiPhoneを「実用レベル」のセカンドディスプレイとして活用するDuetなどの登場もあり、改めて注目すべきデバイスジャンルになっているように思う。ぜひとも(広告のようになってしまっていることはお詫びしよう。ただ、性能的に本心からお勧めできるガジェットなのだ)Mac系モバイル利用者の方々におすすめしたいと思う。

個人的には、移動先でマルチディスプレイを使えないというのが、大いに生産性を下げる原因となっていた。しかしこのストレスはMountie + Duetでずいぶん軽減されるだろうと思う。USBで接続するMimoモニターのようなものが出始めた頃からパフォーマンス面やポータビリティの面で不満を感じてきた。本記事で取り上げているMountieのようなガジェットでマルチスクリーンを実現できる時代を夢見ていたわけだ。15インチのレティナMacBookに9.7インチのiPad Airを組み合わせるのは、ひとつの「最適解」であるように思うのだがどうだろうか。

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(翻訳:Maeda, H


Appleの新たな製品戦略

このところAppleは、主要な発表サイクルを中断し、過去の仕様改訂とは異なるやり方でデバイスやバージョンを変更することに熱心だ。Tim Cookの下市場のトレンドに応じ、製品提供の最適化に向けられた新しい時代の軽量な改訂だ。それは様々な意味で、サプライチェーンの達人らしい動きだ。

“新しい” iPad、iMac、MacBook、iPod

Appleが今年実施した製品サイクル間の変更は数多い。2月のレティナMacBook ProとAirの改訂は、新しいプロセッサーの導入もあり、特段変わったものではなかった。同社は長年Mac製品ラインの内部スペック強化を続けている。しかし、128GBの第4世代iPadVESAマウント付きiMac、そして背面カメラのない新16GB iPod touchは、Appleの一般的製品サイクルの運用から大きく外れていた。

いずれの変更も、少なくとも普段Appleが新ハードウェアを送り出す時と比べると、ひそやかに発表された。せいぜいプレスリリースが出るだけで、今日発売されたiPod Touchにいたってはオンラインストアが変更されただけだ。それでもメディアはこれらの変更に群がるが、微々たる改訂は正式なイベントに値するほどの大きな出来事ではない。しかし、こうした変更は継続的な改善を約束する証しであり、Appleの製品発売サイクルに対する考え方の劇的変化につながるかもしれない。

最適化

Tim CookはかつてAppleのCOOとして、Appleがサプライチェーン史上最も効果的で効率の良いサプライチェーンを構築した実質的立役者だ。それは、Appleが倉庫にいるだけの在庫を殆ど抱えることはなく、製造過程における誤りが劇的に減少し、そうした改善と取り組みの結果、利益率を高く維持し続けていることを意味している。Cookは、今でもこの領域の最適化のかなりの部分に関わっているに違いないが、彼がそのスキルを、製造プロセスに留まらず、Apple製品そのものに適用することは十分理にかなっている。

上に挙げた製品の改訂は、それぞれが特定の最適化を意図したものだ。iPadでいえば、ストレージの拡大は、Surfaceをはじめとする他社の新規参入製品に対抗し、教育やエンタープライズ分野への適応性を高める。iMacは、前世代と比較して大きな欠点の一つとしてレビュワーから指摘されていた点を改善し、再びビジネスユーザーをターゲットにした。そしてiPod Touchは、同社の製品ラインアップの隙間を埋め、サプライチェーンを単純化し、デベロッパーがスクリーンサイズにデザインを最適化しやすくした。

柔軟性

Appleの製品に対する新しいアプローチは、柔軟性の拡大を反映したもののようだ。Cookが指揮をとる前と比べて、発想がより変化に富むようになった ― たとえわずかであっても。以前商品を買った怒れる人々への対応という問題は残る。4ヵ月前にiPadを買った人は新モデルを見て判断を誤ったことを後悔するかもしれない。しかし大部分においてこれらの改訂は、潜在ユーザーを拡大することを意図した個別の変更であり、既存ユーザーを遠ざけるものではない。こうした精度の高いリフレッシュが続く限り、製品開発に対するこの修正されアプローチからAppleが得るものは多いだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)