人気のスター発掘番組「アメリカン・アイドル」がリモート出演にiPhoneを活用

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによって、多くの伝統的業界が数年前に思いもよらなかったほど、創造的で柔軟になることを強いられている。ほとんどの国民が在宅し、ソーシャルディスタンスを守る中、テレビ局はコンテンツを確保するために消費者向けテクノロジーに目を向けている。

制作会社とタッグを組むテック企業の代表格がApple(アップル)で、iPhoneベースの機器をプロデューサーや番組ホストの手に届けている。例えば、Parks and Recreation(パークス・アンド・レクリエーション)再会スペシャルや、Conan O’Brien(コナン・オブライエン)とジミー・ファロン(Jimmy Fallon)のレイトナイト・ショウ、そしてプライムタイムのタレント発掘長寿番組であるAmerican Idol(アメリカン・アイドル)などだ。

ABCが制作する同番組のプロデューサーは、参加者と審査員の自宅にホームスタジオ機器を送り、シーズン終盤の放映分を撮影している。システムはカメラ3台の構成で、iPhone 11 Pro 3台、三脚とリングライトからなる。制作チームは、自宅から安全な距離をおいてカメラ設定の補助と編集が可能だ。

ピンチの時いかにスマートフォンが役立つかを見せつける絶好の機会を得て、当然大喜びのアップルは以下のようなコメントを出している。

「家で過ごす人たちが大好きな番組を待ち焦がれていることを私たちは知っています。アメリカン・アイドルのチームとともに制作に関われることは大きな喜びです。iPhoneが手のひらサイズで放送品質のビデオを可能にする独自のソリューションを提供することで、制作スタッフや出演するタレントは自宅で安全にいることができます」。

数多くのテレビ、映画の制作会社が、コンテンツ作成でのスマートフォン利用を模索している。ほとんどの場面で、近いうちにスタジオ機器に取って代わることはありそうにないが、進行中のパンデミックは、スタジオでのスマートフォン利用が主流になる大転換のきっかけにになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

シャオミやサムスンが新型コロナで停止していたインドでのスマホ生産を再開へ

Xiaomi(シャオミ)、Vivo(ビボ)、Samsung(サムスン)、Oppo(オッポ)、その他のスマホメーカーは、インド州政府からデバイス製造・組み立ての部分的再開が許可された。世界第2位のスマホ市場であるインドのデバイス製造プラントは2020年3月下旬から停止していて、国のロックダウンはまだ続いている。

スマホメーカーは、製造オペレーションを再開させる許可を得たと話したが、労働者数を制限しての操業など、いくつかの規制はまだ残っている(連邦政府は5月初めにスマホ生産再開を許可したが、規制を緩和できるだけ地域の状況が安全かどうかは最終的に州政府が判断する)。

連邦政府は5月初めに、スマホ生産再開を許可する数日前にロックダウンを2週間延長した。しかし、3月下旬に全土に厳重な外出禁止令を出してから停止していた経済活動を復活させるため、一部の規制を緩和している。

今週初め、連邦政府はeコマース企業や配車サービス会社に、グリーンゾーンとオレンジゾーンでの営業再開を許可した。これらのゾーンは新型コロナウイルス(COVID-19)感染が深刻でない地域で、全733地方のうち82%がグリーン、そしてオレンジとなっている。

Snapdragon 865で作動するスマホ Mi 10を含むさまざまなデバイスをインドで展開しているXiaomiは、需要に応えるための在庫は最大3週間分しかない、と5月初めに述べていた。

Xiaomiの副社長Manu Kumar Jain(マヌ・クマール・ジャイン)氏は5月8日、スマホメーカーとしてインドで2年にわたってトップシェアを占めている同社が、アーンドラ・プラデーシュ州にある契約企業Foxconn(フォクスコン)の施設で操業を再開すると述べた。

この件に詳しい情報筋は、Apple(アップル)の委託企業Wistron(ウィストロン)はバンガロールで操業を一部再開したとTechCrunchに語った。

インドで第2位のスマホメーカーであるVivoは、生産能力の30%で再開すると話した。同社の広報担当は「従業員3000人程度で生産を再開するだろう」と述べた。

Vivoと同様、Oppoもグレーター・ノイダにある施設で生産を再開し、従業員3000人がローテーションで作業すると話した。2018年に世界最大のスマホ工場をインドに開設したSamsungもその施設での操業を再開することを明らかにした。

「5月7日に工場は一部再開し、今後段階的に稼働率を上げていく。従業員の安全と健康が最優先事項であり、政府のガイドラインに沿った工場内の衛生とソーシャルディスタンシング(物理的距離の維持)を確認した」とSamsungの広報担当は話した。

新型コロナはいくつかの事業にかなり深刻な影響を及ぼしている。調査会社Counterpointによると、4月のインドでのスマホ販売はゼロだった。Counterpointはまた、インドのスマホ出荷台数は今年10%減を予想している。参考までに2019年のスマホ出荷は8.9%増、2018年は10%増だった。

上位スマホメーカーはすべて、インド政府の税優遇を受けるために自社プラントを設けるか、パートナー企業に委託してインドでスマホを生産している。

画像クレジット: Karen Dias / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが新型コロナ検査検体回収キットを開発する企業に約10億円提供

Apple(アップル)は同社の高度製造支援基金であるAdvanced Manufacturing FundからCOPAN Diagnostics(コパン・ダイアグノスティック)に1000万ドル(約10億円)を提供した。同社は、米国の病院向けに新型コロナウイルス(COVID-19 )診断のための検体回収キットを製造している。今回の資金は、米国拠点の製造業の開発と成長をサポートするためにアップルが設けた基金から拠出される。これは注目に値する。というのも、同基金はこれまでアップルのサプライチェーンに直接つながっている企業の支援に使われてきたからだ。

今回の支援ではアップルは、COPAN Diagnosticsの設備や材料の確保も手伝っている。例えば、新たな高度設備のデザインをアップルがサポートした。支援金は、COPANがキットの供給をもっと増やせるよう、南カリフォルニアにある生産施設を拡大するのにも使われる。アップルによると、同施設の現在のランレートは週7000キットほどだが、7月までに週100万キット超に増やす。こうした取り組みにより米国内で新たに50人ほどを雇用することにもなるとアップルは述べている。

COPANは診断業界ではパイオニアで、2003年にはフロックドスワブ(DNAサンプル採取に特化して設計された綿棒)を開発した。現在は、世界で広く使われているウイルスを含む臨床検体の輸送媒体を生産している。アップルからの投資は、COPANの専門を生かしつつ主に生産拡大に使われる。米国における広範な新型コロナウイルス診断のボトルネックになるのを防ぐべく急増する診断キット需要に対応しようと、アップルが達成し得る驚異的な生産量に近づけられるような生産体制にする。

アップルはグローバルの新型コロナ危機との戦いに多くのリソースを向けている。ここには寄付、保護具の提供、症状チェックアプリとGoogle(グーグル)との提携のもとに今後リリースされる濃厚接触の通知ソフトウェアのためのソフトウェア開発リソースが含まれる。今回の高度製造支援基金からの資金提供は、Appleがさまざまな方法でパンデミックに取り組めるということを示す新たな例となる。

画像クレジット: Apple

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(翻訳:Mizoguchi

アップルのWWDC20は6月22日開幕、初のオンライン開催

話は3月にさかのぼるが、テック企業が次から次へとオンライン限定の年次イベントを発表する動きにApple(アップル)も加わった。世界中のイベント開催者が深刻化するパンデミックによる新たな現実を受け入れようとする中で、Apple上級副社長のPhil Schiller(フィル・シラー)氏は当時、「デベロッパーコミュニティに新たな体験をもたらし、世界中の数百万のデベロッパーにリーチする画期的な方法になる」ことを約束した。

アップルは米国時間5月5日朝、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の維持)と外出禁止の最中に開催されるWWDCがどのようなものになるか情報を出した。年次開発者会議は6月22日に開幕する。既に示されていたように、イベントは iOS、iPadOS、そしてMacOSのデベロッパー向けのオンラインセッションで構成される。全デベロッパーが、Apple DeveloperアプリとApple Developerウェブサイトを通じて無料でカンファレンスに参加できる。物理的に集うことが制限されているためではあるが、こうした形でアップルがイベントを開催するのは、過去30年で初めてのことだ。アップルのサイトからアクセスできるようになることに、サンノゼマッケンナリーコンベンションセンターはもちろん青ざめているだろう。

プレスリリースの中で、シラー氏は不透明な時代に新たな方式を導入することについて、またもやポジティブな発言をしている。「WWDC20は世界の2300万人超のデベロッパーコミュニティが集う、これまでで最大規模のものになる。Appleプラットフォームの未来を学ぶために6月に1週間にわたって前例のない方法で開催される」と述べた。「グローバルのデベロッパーコミュニティと6月にオンライン上で顔を合わせ、デベロッパーがこれまで以上にすばらしいアプリやサービスを創造するのをサポートすべく現在取り組んでいる新たなツールを共有するのが楽しみだ」。

詳細はイベントが始まる半月ほど前に明らかになる見込みだ。アップルはまた、優秀者がWWDCノベルティをもらえるSwift Student Challengeを5月16日まで開催する。新型コロナウイルス(COVID-19)のために再調整された多数の他のイベントのように、アップルのような大企業のものであっても多少の不具合はあるかもしれない。そうだとしてもオンラインファーストの会議が、新型コロナの脅威が落ち着いた後に特例ではなく常態になるかどうか興味深いところだ。

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(翻訳:Mizoguchi

AppleとGoogleが新型コロナ暴露通知アプリのサンプルコード、UI、詳細なポリシーを公開

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、最初のバージョンのExposure Notification(暴露通知)APIの開発者向けに、さらなるリソースの提供を開始した。このAPIは、両社が制作した開発ツールだ。アップルとグーグルは、公的保健機関が新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が診断された患者との接触の可能性を個人に知らせる、クロスプラットフォームの通知手段の開発に取り組んでいる。

第1バージョンのExposure Notification APIは、Contact Tracing(接触者追跡)APIと呼ばれていたものを、その実際の用途と目的を正確に表現しようとAppleとGoogleが名称を変更したものだが、iOSとXcodeのベータ版アップデートとともに先週公開された。そして米国時間5月4日、開発例となるUIアセット、iOSとAndroidのサンプルコードなどを含む開発者向けの新しいサンプルリソースがアップルとグーグルから公開された。これらは、公的保健機関がアプリ開発をすぐに始められるよう、開発の出発点としてデザインされている。

同時にアップルとグーグルは、新しいポリシーも発表した。これには、このAPIを使ったアプリの使用が承認されるように開発者が留意すべき、以下のような要件が含まれている。

  • これは公式な政府の保健当局によって作成され、または同局が使用するためものであり、その使用は新型コロナウイルス感染症対応に限定される。
    実際に使用する前に、当APIの実際の使用についてユーザーの同意を求めなければならない。
  • テストの陽性結果などの情報を、アプリを運営をする公的保健当局が公表する以前に、本人の同意を求めなければならない。
  • 暴露通知に必要な最低限の情報のみを収集し、新型コロナウイルス感染症対応のためのみにそれを利用すること。すなわちこれらのアプリが広告やその他の目的にその情報を利用することを明示的に禁ずるものである。
  • アプリは、特定の地理位置情報データを提供するデバイスの位置情報へのアクセス、およびアクセスの許可を求めることができない。公的保健当局から既に公開されている位置情報を利用するアプリについては今後も提供を続けるが、それらの情報を利用するいかなるアプリも、新しいExposure Notification APIへのアクセスをグーグルとアップルは認めない。
  • 効率性を高めるために細分化を避けるようデザインされているため、1つの国にアプリは1つと定めるが、国が地域や州などに分割されている場合、アップルとグーグルは当該保健当局と積極的に話し合い、最善の方法を探ることとする。これは基本的に国が州ごとに異なるアプリを使用したいとアップルに申し出た場合、アップルは複数アプリを許可し、その国のストアに掲載されるようにすることを意味する。また、これらは州ごとの暴露通知メカニズムが他州にまたがり連携できるか否かという点において、柔軟に対応する。

両社は、2020年5月末の一般消費者に向けた公開バージョンのAPIのリリースに先立ち、ソフトウェアおよびソフトウェア開発キットのアップデートのペースを今のまま保持するとも話している。アップルとグーグルは、APIの消費者向けリリースの時期を「5月中旬」に予定している。最終的な予定として、2020年末までには、システムレベルの機能として暴露通知をリリースするという。

以下の写真で、両社のサンプルUIリソースを見ることができる。これらは、アプリが完成した場合の通告方法、設定画面、その他の外観の案を示すものだ。もちろん、公衆衛生当局(または開発を請け負った者)が作るアプリごとに多少の違いは生じるだろう。

  1. 04-COVID-19-Exposure-Notifications-Settings-Android

    暴露通告の設定
  2. 02-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Positive-Result-Android

    公的保健機関サンプルアプリの陽性報告の流れ
  3. 02-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Positive-Result-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの陽性報告の流れ
  4. 03-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Exposure-Notifications-Android

    公的保健機関サンプルアプリの暴露通告の流れ
  5. 03-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Exposure-Notifications-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの暴露通告の流れ
  6. 04-COVID-19-Exposure-Notifications-Settings-iOS

    暴露通告の設定
  7. 01-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Onboarding-Android

    公的保健機関サンプルアプリの登録画面
  8. 01-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Onboarding-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの登録画面

アップルとグーグルは、独自に接触者追跡アプリの開発に取り組み、それを機能させるためにiOSとAndroidの特定の部分にアクセスしたいという数多くの公的保健当局からの要請に応えて、この前例のない共同事業に乗り出した。両社は、ユーザーの身元がわからないように、また地理的位置情報衛星のサービスが受けられない屋内を含むあらゆる環境でもシステムが確実に機能するように、地理的位置情報データではなく、Bluetooth識別子を使うという基準のもとで協力し合うことを決めている。

保健当局は、自分が受けたテストの結果に紐付けられた一意のコードの入力をユーザーに求めるようにもできる。それによりユーザーは、陽性の診断が、自己判断や保健当局が新型コロナウイルス感染症診断用として認可していないテストに基づくものではなく、公式なテストで認められたものであることが確認できる。

グーグルとアップルが提示したサンプルの参照アプリケーションは、一般ユーザー向けに公開されることはない。あくまでも開発者限定だ。だが両社とも、新型コロナウイルス感染症に適時に対応するアプリの開発者の努力を支援するために、完全なソースコードを含んだ参照アプリケーション全体を開発者に提供している。

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(翻訳:金井哲夫)

新13インチMacBook Pro登場、シザー構造のMagic Keyboardと第10世代チップ搭載

MacBook Airや16インチMacBook Proに続いて、Apple(アップル)の13インチMacBook Proのキーボードが大幅に改良された。最近MacBookを購入した人にとってはアップグレードする十分な理由にはならないかもしれないが、優柔不断な人たちの背中を押してくれるかもしれない。

さらに魅力的なのは、全般的にスペックがアップグレードされていることだ。新しい第10世代のIntel(インテル)プロセッサ(最上位モデルで2.3GHzの4コアのCore i7にアップグレード可能)は、グラフィックス速度が向上し(アップルによれば最大80%)、16GBのメモリは32GBにアップグレード可能だ。ストレージ容量も2倍になっており、標準構成は256GBかつ最大4TBにアップグレード可能だ。システムはIntel Iris Plusグラフィックスを搭載し、6K解像度のApple Pro Display XDRをサポートしている。

セキュリティチップのT2も搭載されており、ストレージ暗号化機能のSecure Enclaveなど、セキュリティが強化されている。システムの大部分は前モデルと類似しており、4ポートのThunderbolt 3、USB-Cポートと13インチのRetinaディスプレイを搭載。なお、小型のMacBook Proが14インチにアップグレードされ、大型モデルの15インチから16インチへのアップグレードに追従するという噂は外れた。

キーボードの話題に戻ろう。個人的にしばらく前から新型MacBook Airを使っており、新型13インチMacBook Proにも同様のキーボードが搭載されたのは喜ばしいニュースだ。改良されたMagic Keyboardは以前のモデルと比べて明らかにキーストロークが長くなり、タイピングしやすく、また故障も少なくなる。これらは、前モデルで不評だった点だ。

アップルはバタフライ構造キーボードの改良に数年を費やした後、結局はシザー構造のキーボードに戻った。そして、キーボード上部にTouch BarとTouchIDが搭載されている(訳者注:物理ESCキーの搭載もうれしいポイントだ)。

アップデートされた13インチMacBook Proは本日からオンライン上で注文が可能。価格は13万4800円、学生・教職員向けは12万3800円)からだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SteamVRのサポート対象からmacOSが外れる、利用者はわずか4%

Valveは、同社の仮想現実プラットフォームのmacOSサポートを廃止する。Valveの社員が、同社が運営するSteamVRフォーラムに情報を投稿した。それによると「SteamVRはmacOSのサポートを終了し、WindowsとLinuxに専念することにした」という。

Apple(アップル)は、2017年6月に「Metal for VR」を導入し、Valveとのパートナーシップを強調した。当時ValveはVRを1つのプラットフォームとして推進しており、ViveシステムについてHTCと協力関係にあった。それが2020年になると、Valveはハイエンドのヘッドセットを独自に用意し、待望のゲームタイトル「Half Life:Alyx」(ハーフライフ・アリックス)もリリースした。

これは、実際にはゲーマーよりも、開発者に対する影響が大きい。macOSをサポートしているゲームはほとんどなく、アップルの最高スペックのノートPCであるMacBook Proでさえ、OculusやSteamVRの最小限の仕様要件を満たしていないのが実情だ。Uploadが指摘するように、Valveの最近のハードウェア調査では、そもそも同社のプラットフォームを利用するゲーマーのうち、わずか4%しかmacOSを使っていないことが判明している。つまり実際のゲーマーのうち、Macを持っているVRユーザーはほんのひと握りというということになる。

macOS上でVRコンテンツを開発しているゲームデベロッパーは、おそらく1台のマシンで開発とテストができるというメリットを享受していた。アップルがMac ProやiMac Proのような高額な機材を、プロ向けに積極的に売り込んでいる状況で、主要なソフトウェアプラットフォームがその梯子を外すような決定をしたことは、決して好ましいものではない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新型コロナの不確かな未来を前にiPhoneの売上が減少

すでに聞いた話だったらご容赦願いたい。Appleのデバイス売上は打撃を受けているが、サービスは好調だ。長年同社のハードウェア製品ラインを支えているiPhoneは、Q2の売上が289.6億ドルと前年同期の311億ドルを下回った。iPadとMacも落ち込んだ

同社はCOVID-19(新型コロナウイルス)の高まる脅威による週末需要の落ち込みをすでに警告していた。今年2月Appleは、パンデミックが世界のサプライチェーンと中国の需要の両方に影響を与えるだろうと指摘した。「中国の全直営店舗と多くの提携店が閉鎖している。開いている店舗も営業時間を短縮しており、来店数は非常に少ない」と当時Appleが語っていた。

関連記事:アップルのQ2売上は新型コロナの影響で対前年比横ばい

中国の生活面は平常に戻ったが、ウイルスは世界のほとんどの部分に大打撃を与えている。Appleの拠点である米国は、新型コロナ感染者数で世界最多を続けている。

CEO Tim Cook(ティム・クック)氏が、第3四半期のガイダンスを発表しなかったが、プレスリリースでは力強い言葉を使ったのも当然だろう。「新型コロナによる前例のない世界的影響にも関わらず、サービス部門は史上最高、ウェアラブルは四半期最高の売上を達成して、Appleが今四半期に成長できたことを誇りに思う」

ウェアラブルは実際伸びている。この部門にはHomePodなどのホーム・アクセサリー製品も入っており、前期の51億ドルから63億ドルに増えた。強力なApple WatchとAirPods製品群のおかげで成功は続きそうだ。サービス部門も115億ドルから133億ドルへと順調に伸びている。自宅で過ごす時間が増えている今、Apple MusicやApple TV+などのサービスにユーザーが目を向けることが期待できるのでこの分野は安定している。

関連記事:次期iPhoneの発売は新型コロナの影響で1カ月遅れか

スマートフォンの未来は依然として険しい。最近同社はiPhone SEを発売して、1000ドルを超える値札にたじろいでいた消費者にアピールした。もちろんAppleだけではない。ここ数年スマートフォン業界全体が打撃を受けており、それは新型コロナがやってくるずっと前からだ。

Appleも他社も、5Gの到来による需要増に期待していたが、パンデミックのおかげですべてが宙に浮いている状態だ。5G iPhoneの発売もサプライチェーン問題によって一月遅れになる可能性がある。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルのQ2売上は新型コロナの影響で対前年比横ばい

米国時間4月30日、Apple(アップル)は第2四半期の収支決算を報告した。投資家の予測を上回ったものの、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは同社のビジネスに大きな影響を与え、iPhone、iPad、Macの売上は前年同期から減少した。時間外取引でのアップル株に大きな変化はない。

同社はQ2の売上が583億ドル(約6兆2500億円)だったことを発表し、投資家が予測していた545.4億ドル(約5兆8480億円)を上回った。この数字は対前年比1%増に当たる。

2月に同社は、前回の決算報告で示したQ2ガイダンスを修正し、新型コロナウイルスパンデミックの影響によって以前の予測を達成できないだろうと語った。630~670億ドル(約6兆7550億円〜約7兆1840億円)としていた売上予測の数値は変更しなかった。アップルは今回の発表でQ3に向けてのガイダンスを公表しなかった。

同社の1株あたり利益は2.55ドルで、投資家予測の2.26ドルを超えた。アップルは同社の株式買い戻しプログラムを500億ドル増額し、配当を6%引き上げることも発表した。

iPhone、iPad、およびMac部門の対前年比売上は減少し、「ウェアラブル、ホーム、アクセサリー」部門だけが上昇した。ハードウェア全体では前年同期より減少した。iPhoneの純売上高は289.6億ドル(約3兆1050億円)で、2019年Q2の310.5億ドル(約3兆3300億円)を下回った。

波乱の3月を終え、多くのテクノロジー株が4月に好調を取り戻している。アップルは世界のハードウェアサプライチェーンの複雑さゆえに、広告主導の他社よりも困難な状況にある。

「世界中のアップルチームと、この困難な時期に強い回復力を発揮した当社のビジネスと財務の実績を誇りに思う」と同社CFO(最高財務責任者)のLuca Maestri(ロカ・マエストリ)氏が声明で語った。

画像クレジット:Denise Taylor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

忘れ物防止タグのTileがComcastとの提携を拡大、Appleとの競争に備える

Bluetoothを使用した忘れ物防止タグのTileは、戦略的投資家のComcastとの2年間に及ぶ提携を拡大する。これによりユーザーは、家の中でどこに置いたか分からなくなった探し物が見つけやすくなる。両社は2018年の初めに提携の意向を発表し、同年後半にはComcastユーザーが「Xfinity X1 Voice Remote(ComcastのTVリモコン)」を使用して紛失したアイテムを見つける方法を導入。そして今回Comcastは、セットトップボックスとxFi Gatewaysをアクセスポイントとして追加する。

両社は本日、一部のComcast X1およびFlexセットトップボックス、xFi GatewaysがTileのネットワークを拡張する機器として使用できるようになることを発表した。Tileによると、これにはxFi Advanced Gatewayのような新しいXfinityデバイスや、Xi5、Xi6、XG1v4デバイスなどが含まれる。

アイテムを紛失した際に、ComcastのボックスがTileデバイスを探すためのアクセスポイントとなるため、Tileのモバイルアプリを補助し、場合によってはアプリの代わりにもなり得ることを意味する。

これはアイテムを探す手段が増えるだけでなく、スマートフォンにTileのアプリをインストールしていない場合や、スマートフォンが手に届く場所にない場合、バッテリー切れの場合などにも役立つだろう。

これまでComcast Xfinityのユーザーは、X1音声リモコンを使用してTileが最後に確認された場所を画面上で確認することができた。今後は、直接Tileを鳴らすだけでなく、FlexセットトップボックスとxFi Gatewayを、家の中で失くしたものを見つけるためのシステムとして使用できる。

Tileのデバイス自体にはさまざまなフォルムがある。キーチェーンやスーツケースタグのような「Mate」、より強力かつスリムで財布などに最適な「Pro」、ノートパソコンや自転車、カメラ、そのほか何にでも使用できる「Tile Sticker」などだ。家の中では多くの場合、Tileは車の鍵や財布、子供のおもちゃなど、どこに置いたのか分からなくなりやすい小さなアイテムを探すために活用されている。

Comcastボックスのサポートに加え、両社は既存のX1リモコン機能を更新し、紛失したアイテムをリモコンから直接鳴らせる新しい機能を追加した。ユーザーが「Xfinity Home、鍵を見つけて」などと依頼するとTileの特徴的なアラームが鳴るため、紛失したアイテムを見つけることができるという仕組みだ。

Comcastとの提携拡大に関する声明の中で、TileのCEOであるCJ Prober氏は「平均的な人は、失くしたものを探すのに1日約15分を費やしています。弊社はComcastと協力して、この煩わしさを軽減することに取り組んでいます。Comcast Xfinityのお客様が、xFi GatewayやX1、Flexセットトップボックスを発見システムとして活用できるようにすることで、Tileのネットワークが強化され、ユーザーが紛失したアイテムをすばやく簡単に見つけられるようになり、日常生活がより便利になることでしょう」と述べている。

Tileによると、現在世界中の195か国で毎日約600万点のアイテムがTileを使って発見されており、紛失したアイテムを見つける成功率は90%に及ぶ。これまでに同社は2600万台のTileデバイスを販売している。

しかし同社は、厳しい競争に向けた準備を整えている最中だ。アップルが、Tileの競合となりうる「Air Tags」をリリースする計画を進めているからである。iOSオペレーティングシステムに密接に統合された同製品には、サードパーティ製アプリには与えられていない特権がある。Tileはアップルの計画に対して攻勢に転じ、米国連邦議会に対して、アップルの行為は反競争的で規制が必要だと主張している

今月、Tileは議会の委員会に対して、アップルが位置情報を「常に許可」するバックグラウンド許可を回復させなかった点を指摘し、アップルが両社の競争紛争を解決することを目的とした約束を反古にしたと述べた。Tileにこのバックグラウンド許可が認められると、サードパーティ製アプリのように位置情報を使用していることを継続的にユーザーに通知する必要のない、アップル独自の「Find My」アプリとより公平な競争を行うことができる。Tileはさらに、アップルは独自のAir TagsでUWB(ウルトラワイドバンド)を使用して位置を特定しやすくする予定だが、Tileのような競合他社にはUWBが公開されないことも指摘している。

規制を求める争いは長期戦になるだろう。さしあたって、Tileが顧客ベースとデバイスの使用を拡大し続けるにはパートナーシップが要となる。

Tileは現在、オーディオ、旅行、スマートホーム、PCのカテゴリー全体で合計20以上のパートナーと提携している。

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(翻訳:Dragonfly)

新iPhone SEはこんな時代だから求められる「安かろう良かろう」なスマホ

正直にいって、iPhone SEについて何かとの比較の会話をするのは難しい。このデバイスはiPhone 11と同じ様相を呈しているが、iPhone 11とは別ものだ。

iPhone SEは廉価版だ。Apple(アップル)のほかのラインアップに照らしてこのデバイスを徹底比較しても、iPhone SEの潜在的ユーザーのほとんどにとってはさほど重要ではないだろう。

iPhone SEはシンプルにお買い得なのだ。本当に。本当に素晴らしいスマホだ。ホームボタンなしというスタイルに慣れてしまった私にはそんなに魅力的には見えないが、多くの人にとっては素晴らしいスマホになることは間違いない。そして、この廉価版を発売するタイミングも良い。今、アップルの最新技術を搭載したiPhoneが399ドル(日本では税別4万4800円)から購入できるのは大きい。

iPhone SEをひと言で説明するとしたら「iPhone 11の機能を持ったiPhone 8」だろう。そしてその言葉は、まさに的を射ている。アップルが「スペア」部品でスマホを生産していることにはいささか肩をすくめたくなったが、親愛なる読者の皆さん、その話題についてあなたがどれだけ熱くなるかどうかは、あなたがスマホにどれだけのお金を費やせるのか、そして、カメラの品質やスマホのサイズを皆さんがどの程度重視するかによるのだろう。

それではレビューを始めよう。

サイズ感

小さめだが、小さすぎではない。4インチのスマホが欲しいならその望みはかなわないが、すっきりとした軽量薄型で取り出しやすいのは確かだ。これが重要要素なら、最新の中身が搭載されたこのスマホ一択だと思う。

実をいうとしばらく前に、ポケットデバイスとしてiPhone SEを買ったのだが、私は4インチのスマホではきちんと入力できないことがわかった。

新しいiPhone SEはその点は問題ない。私にとっては4.7インチが正確に入力できる最低ラインだ。もちろん手が小さい人は関係ない。小さい手の持ち主なら逆にiPhone SEは少し大きすぎると感じるかもしれない。だが現在の他のiPhone同様、実質的に小さくできている。

iPhone SEにはTouch IDが登場する。偶然にも我々の多くがしばらくマスクをつける生活になってしまった中、Face IDは自然とその有効性が限定されてしまう

ホームボタンを押すのはとても変な気分だ。iPhone Xのずば抜けた耐久性とスワイプ可能なインターフェイスの実用性が無視されたかたちだ。スワイプ操作はとても自然でやりやすかったので、その動作を変えるのは容易ではない。Touch IDデバイスから乗り換えるのなら大丈夫だが、iPhone Xなどから機種変更する場合は慣れが必要だ。

iPhone 8でわかっているので、デザインについては他には特にいうことがない。持った感触も良くモダンだ。

バッテリー寿命テストを入念に行う時間はなかったが、一見したところ大丈夫そうだ。インデックス付けやその他のバックグラウンド動作のせいで、最初の数日は特に見極めが難しい。また新しいiPhone SEはIP67等級を備えている。つまり水深1mまでの水中に最大で30分間耐えることができる。これは最初のSE以来、iPhoneの事故による破損を最も減らすことに成功した機能の1つだ。

カメラ

iPhone SEに搭載されているのは単眼カメラで、現在のラインアップと比較すると珍しいものだ。焦点距離28mmの広角レンズ搭載シングルカメラが搭載されている。焦点距離は最近のiPhoneに見られるものよりも少々長くなっている。最近のiPhoneのほとんどは焦点距離26mmだ。つまり、写真の画角が主流のラインアップよりも少々狭くなる。iPhone XRのような望遠レンズはついていない。

iPhone SEはiPhone 11と11 Proのまったく新しい画像処理技術が最適化されたかたちで搭載されている。A13プロセッサのISPとニューラルエンジンがさまざまな方法でiPhone SEをサポートしている。現在、写真はそのほとんどがコンピューター数学で作られていることを考えれば特にそうだ。

iPhone 11の画像処理技術を採用しているため、望遠レンズがないという欠点があったとしても、iPhone SEのカメラは市場に出回るスマホカメラでも優れているほうだ。この画像処理技術を採用していなかったら画像の品質に関してはもっと「古い」感じだったと思う。ただ昨今は、ほとんどの写真がレンズやセンサーよりむしろCPUやGPUで処理されている。

私のテストでは、iPhone SEのカメラはiPhone 8よりも大分向上していることが証明され、iPhone XRよりも多くのポートレートモードが使える。追加モードでは、背景から被写体を切り抜くことに重点を置いている。こうした機能はニューラルエンジンの能力(高頻度、低リフト機械学習タスク専用のA13のチップの一部)に直結し、セグメンテーションのマスキングやセマンティックレンダリングを実行する。

また、映画のような安定感で、拡張ダイナミックレンジ4K/30fps動画と4K/60fps動画を録画できる。

ただし、iPhone11の画像処理技術を採用することによるの最大のメリットは、強化されたSmart HDR機能だ。この機能についてはiPhone 11のレビューで説明している。これにより、明るいハイライトから影のディテールまで、幅広い色調範囲のディテールが向上する。iPhone SEがiPhone 11と同等の画像処理デバイスになることはないが、普通のスナップ写真を最高の出来にすることはできる。

鮮明度、演色、ダイナミックレンジに関していえば、「先代」iPhone SEをはるかに凌ぐ。また、iPhone 8よりも明らかに優れている。アップル製品のラインアップの中でiPhone 8はすぐにSEに取って代わられるだろう。

デバイスのダウングレードを考えている方には、ほぼすべての点においてiPhone 11 Proの画像品質にはかなわないことをはっきりとお伝えしておく。まあこれは予想どおりである。iPhone 11 ProはSEよりもはるかに高額なデバイスだ。

iPhone SEにはナイトモードがない。このため暗がりでの写真はiPhone 11よりも明らかに劣る。リアカメラに光学手ぶれ補正が採用されているので多少の助けにはなるが、撮影が難しい状況下では上位機種と同等のパフォーマンスは望めない。

その他のほとんどの方向性でカメラの性能が良いことを考えれば、おそらくはこれが写真撮影という点においてiPhone SEではなくiPhone 11を勧める最大の理由だ。そのような会話になったらばの話だが。ただ、多くの人がiPhoneをメインのカメラとして使っていることを考えると、iPhone 11を持っていて損はないと思う。どんなものであろうと、iPhoneで撮影する写真に満足している方はSEで大満足だろう。技術面やパフォーマンスが強化され、驚愕的とまではいかなくても安定の光学的フロントエンドが実現されている。つまりは「そういうこと」だ

画面

私はiPhone XRよりもiPhone SEの演色を好む。カタログ上ではLiquid RetinaディスプレイとRetina HDディスプレイは同様のパフォーマンスを実現するとされているが、私はXRの色調があまり気に入らない。True Toneをオフにして同じ輝度だと、iPhone SEのほうがもっとニュートラルな暖かさがあり、iPhone XRは寒色寄りのスペクトルになっている。

こうした観察は文字通り所見であって裏付けはない。アップルがiPhone SEで採用しているパネルは特別なものではない。 いつものiPhoneのように普通に「素晴らしい」。iPhone 11 ProのOLED画面は言うまでもなくブラックレベル、色、色調の切り札だ。

iPhone XRとiPhone SEの画面の主な違いは、XRの「端から端まで」のラップアラウンドディスプレイとSEのより標準的な長方形ディスプレイだろう。それと、「タップしてスリープ解除」も違いの1つだ。

XRとSEではピクセル合計数が32%違うというのは、私のテストでは全然気にならなかった。同じ326 PPIなのもそんなに驚くことはない。

ジェスチャー機能については、「タップしてスリープ解除」が本当に恋しい。この機能があるiPhoneを使っていた人にとって、タッチするだけでスリープ解除して画面表示できないことは利便性で一歩後退となる。SEへのダウングレードを考えている人は、この機能がなくなることを踏まえてほしい。

この機能のないiPhoneからの変更なら問題ないが、そうでなければきっと恋しくなるはずだ。

エントリーを円滑に

iPhone SEは、アップルのエコシステムへのエントリーというこれまで最も摩擦があったセクションを円滑にした。以前までのアップルは、転売される中古デバイスか、家族から譲られるお下がりを廉価版モデルへの入り口の「穴埋め」に使っていたが、iPhone SEは最初から自分のものにできる製品になっている。実際、価格に対して素晴らしい価値がある機種だ。

この低価格設定は、純粋に実用的な多くの面を通じて確認できる。安価でアップルのデバイス価格設定表のギャップを埋めるものだ。アップルが最後に手頃な価格帯の商品を発売したのは、2013年の補助金提供時代のiPhone 5cだ。アップルは実質的には「低価格スマホ」戦略にコミットしていなかったので、iPhone 5cは実際に入り口問題の解決の役には立たなかった。同社はみんなが望むローエンドのスマホの代わりに、iPhone 5ユーザー向けのアップグレードパスとして比較的ハイエンドなスマホを発売したのだ。

そしてとうとう今回「低価格」iPhoneがどのように機能するか確認することができる。

アップルの役員たちはこの「低価格」という言葉は嫌いだろうが、私の気に入ってる英国の慣用句に「cheap and cheerful」(価格が安い上に品質も良い)というものがある。そしてiPhone SEはまさにそのとおりなのだ。魅力的で低価格で使いやすい。デバイスにとっては悪くないタグラインだ。

ただ、アップルにとってのメリットは何だろうか?iPhone XRやその他のデバイスの価格を下げることは長い目で見てやる価値があるのか?

同社にとってのiPhone SEのアピールを完全に理解するために、考慮点を箇条書きにしてみた。

2018年、アナリストのHorace Dediu(ホレス・デディウ)氏は、アップルがiPhoneの「長持ち」戦略を重視しているようだと言及した。この戦略では、販売台数よりも用途とユーザーを優先する。これは同社が出荷台数データの報告を停止し、サービスカテゴリーについての指標値が急上昇した際に強化された。

つまり、アップルがiPhoneを長期的に循環させるほど、個別の売り上げは低くなるが、そのエコシステムに人々を長く留まらせておけるようになる。これはすべて、アップルがしきい値を高くするよりも入り口を広げる方法でさらに多くの利益を得ているという事実につながる。iPhone SEはアップルの新しいオーディエンスを広げる。iPhone SEは、iPhoneを初めて使うユーザーや、若者が最初のデバイスとして購入したり、現在予算を切り詰めている人にとって最適なスマホだ。

近代的なスマホ時代にアップルが低価格市場へ参入するのはこれが初めてのことだ。それだけでなく、同社がサービスビジネスに舵を切ってから最初のiPhoneとなる。アップルは、デバイス市場が飽和期に突入するいま、すべてのiPhoneが他社のビジネスやアップルの他部門のビジネスになくてはならないものになると見たのだ。

iPhone SEはアップルのエコシステムに人々を呼び込み、定着させ、人々はこの先何年もアップルのサービスカテゴリーにお金を落とすようになる。デバイスを何年も所有して機種変更することがなくてもだ。

重大な市場混乱で消費者の大きな購入が目立たない中、 アップルは本当のニーズに対応できるiPhone SEの投入タイミングを完璧に見極めた。エントリーへの壁はさらに低くなり、消費者はこの購入がこの先2~5年間、アップルのソフトウェアサポートに完全バックアップされること、そしてアップルが他社よりもはるかに優れたセキュリティとプライバシー保護の実績があることを知っている。自粛生活が続く現在、こうしたポケット機器は人と繋がり、健康で安全に暮らす最善な方法についての情報を提供してくれる。

スマホは、誰もがいつでも、どこからでも情報ネットワークにアクセスするためのデバイスとなり、それは一般的なものとなった。その間、スマホはさまざまな社会病の原因として指差される役割を引き受けてきた。ささいなことに執着しつづけ、人々を怠け者にするような技術の開発にばかり熱をそそいでいると言われることもあった。そうした方程式は今、すべて塗りつぶされている。親たちが自粛生活中のスマホやPCの利用について考え直しはじめたように、ソーシャルメディアは生活を自慢するためのもののではなく、正気を保つための重要なツールになった。また、もしかしたらスマホは、我々と本当の孤立の間にある唯一の防波堤なのではないかと気づかされることにもなった。

iPhone SEはまたとない時期に現れ、アップルはこうしたメリットを幅広いオーディエンスが受けられる機会をつくりだしたのだ。

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(翻訳:Dragonfly)

マスクを取らなくてもiPhoneをアンロックできる機能をアップルが開発中

Face IDは素晴らしい技術だが、新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延により世界中の人がマスクをするようになってからは無用の長物になってしまった。

もちろんApple(アップル)は人々の悩みを知っていた。

ユーザーの報告によると、iOS 13.5の最新のデベロッパーバージョンには、マスクを取らなくてもiPhoneを簡単にアンロックできる、ちょっと微妙な機能がある。

TwitterでRobert Petersen(ロバート・ピーターセン)氏とGuilherme Rambo
ギルヘルム・ランボ)氏が共有したビデオでは、マスクを検出したFace IDがパスコード入力画面へジャンプする。それは、1日に何十回もアンロックする人、つまり我々全員にとって便利であるだけでなく、マスクを取らないからウイルスに触れないという点でもありがたい。

iOS 13.5ベータに搭載されているアップルの新しいFace IDアンロック機能(提供:Guilherme Rambo)

この機能が最終的にiOSの正式バージョンに載るのか、それはまだわからない。しかし、確実に載るであろう機能は、アップルとGoogle(グーグル)が共同開発した濃厚接触追跡APIだ。これを利用して国の公衆衛生機関などが、ユーザーが新型コロナウイルス感染者に接触したことを、プライバシーを侵さずに見つけるアプリを作ることができる。

iOS 13.5のリリースは数週間後に予定されている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルが全米の新型コロナ検査施設をマップに追加

Apple(アップル)は、同社のマップアプリに全米の新型コロナウイルス(COVID-19)検査施設を追加した。全50州とプエルトリコが対象だ。この更新によって病院、診療所、救急施設、一般開業医、薬局などに加えて、専門の新型コロナ検査場など、検査が可能な場所の位置が表示されるようになる。さらに、位置を検索したときの目的地候補として新型コロナ施設が優先的に表示される。またアップルは、新型コロナ危機の中で人々がどのように都市を移動しているかを示す、Mobility Trends(移動傾向レポート)サイトも更新した。

マップアプリのアップデートは先週9to5Macが発見している。検査施設の提供者がデータベースに位置を追加するためにアップルが作ったポータルを通じてわかった。追加情報は既に有効になっており、パンデミックのためにカスタマイズされた優先検索オプションに追加されている。他には食料品店、フードデリバリー、薬局、病院、救急施設などが優先検索対象になっている。

移動傾向レポートは地域指定が改善され、米国、カナダで週単位での検索ができるようになり、地域の地元での呼び名が検索結果に追加され、世界中の人が目的の場所を見つけやすくなった。米国では、対象になる都市が追加されている。

アップリはこのデータを公開することで、政府や交通機関、都市などがパンデミックによる影響の理解を深めるとともに、ソーシャルディスタンスや自宅待機などの行動がどれだけ守られ、どれだけ効果を生んでいるかに関する情報を提供するために役立てることを期待している。このデータは、ユーザーがマップアプリで検索した目的地情報に基づいているが、アップルのマップには既にプライバシー対策が講じられているため、検索情報と共に個人情報が収集されることはない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

次期iPhoneの発売は新型コロナの影響で1カ月遅れか

2020年4月発売された低価格iPhoneはなかなかの評判だ。しかし、次のメインモデルを見るのは先のことになるかもしれない。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは世界経済にさまざまな波及効果を及ぼしており、もちろんサプライチェーンも例外ではない。

米国時間4月27日午前、ウォール・ストリート・ジャーナルは、iPhone 12をはじめとする新製品は予期せぬ問題の影響を受けている可能性があると報じた。Apple(アップル)は新製品の「生産強化を進めている」が、アジアにおける製造と「世界的な消費者需要の低下」が問題だと同紙は伝えている。

これまでにも延期を示唆する同様の報道がいくつもあり、フラグシップ機の発売は例年の9~10月から12月にずれ込むだろうとする記事もあった。今回の報道では、新iPhoneの発売は11月頃になる可能性が強いとされており、これはiPhone Xの時とほぼ同時期だ。当然ながらアップルは、本件についてコメントしていない。同社は発売している製品の供給問題についてもめったにコメントすることはなく、数カ月先の製品となればなおさらだ。

関連記事:Review: Apple’s cheap and cheerful iPhone SE

アジアはパンデミックの影響を最初に受けた地域であり、ビジネスが平常通りに戻ったように見える部分もあるが、現在も問題は続いている。それに加えてアップルは(どの会社も)、パンデミックと自宅待機命令による消費者の欲求、要求の変化にも取り組まなくてはならない。この状態は多くの地域で夏まで続くとみられている。

さまざまな事情が組み合わせさってスマートフォン需要を鈍らせ、メーカーを苦境に立たせている。新型コロナ以前、アップルは同社初の5G端末への期待による需要の高まりを予測していたに違いない。しかし今となっては、予想外を予想しておくのが最良の選択になりそうだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サンフランシスコ地域の外出禁止命令は5月末まで延長

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによりサンフランシスコ周辺の7郡に出されていた外出禁止命令は5月末まで延長されることとなった。ベイエリア7郡の命令は住民700万人と数千の企業に影響を与える。

アラメダ、コントラコスタ、マリン、サンフランシスコ、サンマテオ、サンタクララの各郡(カウンティ)およびバークレー市の公衆衛生責任者は、共同声明で今週末に新しい外出禁止命令を出すことを発表した。新命令では「少数の低リスク活動」に関する規制が緩和される。

現在の外出禁止命令は5月3日で失効するため、以降の自治体の対策は新しい命令とともに今週後半に発表される。7郡はシリコンバレーの全域を含むためApple、Facebook、Google、Salesforce、Twitter、Tesla、Uberの本社を含め、多数のスタートアップ企業、テクノロジー企業が集積している。

共同声明は「我々の地域には700万人が住んでいる。地域の人々の努力と犠牲のおかげで、新型コロナウイルス感染の拡大を遅らせ、地元の医療体制の崩壊を防ぐ上で大きな成果を挙げてきた。これは多数の人命を救っている。しかしながら、現段階では、この達成を失わないよう集団的努力を継続することが極めて重要となっている」と述べている。

公衆衛生責任者は2020年4月27日に「新たな入院患者数は横ばいとなったが、コミュニティを安全に再開するためにはさらに多くの作業が必要だ。規制の解除が早すぎると感染者は再度大幅に増加するリスクがある」と警告した。

また当局は新型コロナウイルス対策とその進捗状況を追跡するための広範なツールをリリースする計画を発表している。これらは州の他の地域で利用されているツールに準じたものだという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Apple Watchのデザイナーが5周年を機に誕生秘話明かす

Apple(アップル)に20年間在籍したImran Chaudhri(イムラン・チョウドリ)氏は、iPhoneやiPad、Macなど同社の最も象徴的な製品ラインの多くを手がけてきた。同氏は2017年に同社を去ったが(そして2週間前にマイクロソフトのHoloLensチームに所属した)、米国時間4月24日、彼は5回目の誕生日を迎えたApple Watchの誕生について興味深い洞察を提供している。

チョウドリ氏のツイートは、Apple Watchの誕生についての楽しい事実の宝庫だ。当時のアップルをフォローしていた人にとっては大きな驚きではないかもしれないが、Apple Watchの初期プロトタイプは、腕時計のバンドにiPod nanoを取り付けたものだった。

スマートウォッチ市場に本格的に参入する5年前、アップルは四角いタッチスクリーンを搭載したiPod nanoを発表した。そして初代Pebbleが登場する3年前、既にスマートウォッチの可能性が検討されていた。アクセサリーメーカーはすぐにこれに便乗し、タッチスクリーンのミュージックウォッチとして機能するリストバンドを発表した。この第6世代の製品は、最終的には人気デバイスの基盤となったのだ。

チョウドリ氏は次のように語る。

私はiOS 5をまとめ、IDチームに通知センターとSiriがどのようなもので、将来的にはどのようなものになるのかを見せるために書き留めた。これをSteve(故スティーブ・ジョブズ)と共有することはできず、iOS 5の直後に彼を失った。

その他の興味深い点は以下のとおりだ。

  • ソーラーのウォッチフェイスは「イスラム教徒がラマダンを観察する際に、太陽の位置を素早くすばやく確認し、その時間との関係をすべての人が理解できるように」設計された。
  • 蝶のアニメーションは本物の蝶(死んではいたが)を使って作成された(そのうちの1つは現在、彼の家に飾られている)。
  • タッチ機能は当初は「E.T.(エレクトロニック・タッチ)」と呼ばれていた。
  • デジタルタッチの描画機能は、シャウドリ氏のグラフィティアーティスト時代にインスピレーションを受けたものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

欧州が新型コロナ対策の接触トレース技術におけるプライバシー保護でAppleとGoogleにAPI変更要求

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染リスクを測るため、Bluetoothベースで接近度を追跡するいわゆる「プライバシー保護」規格を、EUの科学者や技術専門家が協同して開発している。またこの構想に基づき、彼らはAppleとGoogleに対して両社のAPI変更を要求している。

4月1日に発表されたPEPP-PT(汎欧州プライバシー保護接近度追跡)は、国境を越えたデジタル介入の足並みを揃えるために、接触追跡アプリの開発者に対して、スマートフォンユーザーのデータを標準化された方法で処理することを求めるものだ。また、新型コロナウイルスの流行が原因で勢いを増しつつある位置追跡ツールによる過度なプライバシー侵害のリスクを減らすことを目的としている。

米国時間4月17日、7カ国の国営アプリにPEPP-PTのアプローチを採用されることが明らかとなった。さらに40カ国の追加参加について話し合いが設けられている(アップデート参加が明らかとなったスイススペインは、同国はその実施を集権化することについて否定している)。

PEPP-PTのHans-Christian Boos(ハンス・クリスチャン・ボース)氏は「現在、多数の政府と話し合っているところです。一部の国は、国内のアプリをPEPP-PTの原則とプロトコルに基づいて製作すると公言しています」とウェブ会見の中で語っている。

「既に、7カ国が本構想に同調することが決定しています。また、参加に向けた話し合いを40カ国と様々なレベルで行っています」と同氏はいう。

ボース氏は、これら政府の一覧を公表すると述べたが、本記事の執筆段階では、まだ目にする機会は得られていない。私たちはPEPP-PTのPR会社へ情報提供を既に申し入れており、入手次第、本記事を更新する予定である。

また彼は「欧州の複数の国を巻き込むという今回の手法はうまくいきました」とも述べる。「政府はこれまでになかった素早さで決定を下しています。参加に向けて40カ国以上が話し合う今、私たちが扱う対象はもはや欧州だけに止まりません。プライバシーの保護をモデル化する、そして議題の中心に挙げることが私たちが強調したいことであり、この構想を他の地域にも広げられると確信しています」。

同会見に参加したイタリア政府の技術革新およびデジタル変革省でCTOを努めるPaolo de Rosa(パオロ・デ・ローザ)氏も、イタリアのアプリがPEPP-PTに基づき作成されることを認めている。

ローザ氏は「我が国は近日中にアプリを完成させます。もちろんこのモデルに基づいたものです」とだけ述べ、それ以外の詳細は控えている。

PEPP-PTの中核を成す「プライバシー保護」方針は、位置情報データを収集しないシステムアーキテクチャを使用していることに基づいている。その代わり互いに接近するデバイスは、匿名化されたIDを共有する。感染リスクが発生しと後にシステムが判定した場合、この匿名IDを使用して各個人へ通知が送られる。個人の接触情報がアップロードされるのは診断結果が出た後で、その後にそれまでに接触した他のデバイスへと通知が送られる。

PEPP-PTのスポークスマン兼コーディネーターを務めるボース氏は、2020年4月初頭に行なったTechCrunchの取材で、TechCrunchに対してプロジェクトが中央管理型と分散型の両方のアプローチに対応することを伝えている。前者では、IDは信頼できるサーバー(公衆衛生担当の政府機関が管理するサーバーなど)へアップロードされる。後者では、IDは各デバイスで管理され、そこで感染リスクも計算される。バックエンドサーバーは、情報をデバイスへ送信する役割のみを受け持つ。

この分散型システムにおいてAppleとGoogleは協調してサポートを行うとされている。このことが発表されたのはPEPP-PTの発表直後のこと。この2社のサポートにより、近日公開予定のAPIとシステム全体に利用されているBluetoothベースの接近度トラッキングによって、感染者の接触者トレーシングが可能となる。

世界人口の大多数を今回の構想に巻き込むために必要なのは、このわずか2社の協力を取り付けることだけだ。両社の参加によって、テクノロジーを利用した方法で新型コロナウイルスに対抗するという分散型の接触者トレーシング構想は大きく前進することとなった。

先日欧州議会で可決された決議案も、分散型の接触者トレーシングを後押しするものだ。

欧州議会は加盟国に対して「人々がセキュリティとプライバシー保護の両方のための基本的なプロトコルを確認できるように。また、アプリケーションのコード自体を公開し、政府が主張するような形で本当にアプリケーションが運用されているかを確認できるように、接触者トレーシングアプリの機能を完全に透明化する」よう働きかけている(委員会も、分散化を望んでいることを以前に示唆している)。

しかし、少なくとも7カ国の政府(およびPEPP-PTの主張によればその他多数)を含むPEPP-PTの支援者は、「プライバシー保護」の中央管理手法をあきらめていない。支援者の一部は、これを「疑似分散型」と呼んでいる。ボース氏は本日、AppleとGoogleの間で、両社のアプローチを変更できるかどうかの話し合いが行われていることを発表した。

現時点のAndroidとiOSでは、接触追跡アプリが分散型インフラを使用しない場合、バックグラウンドでBluetooth追跡を実行することはできない。これは、プラットフォーム側で一般のアプリがBluetoothへアクセスする方法を制限しているためである。つまり、そうしたアプリのユーザーが接近度追跡を機能させるためには、アプリを常に開いてアクティブにしておかなければいけないことを意味する。これではバッテリーの駆動時間が短くなってしまう。

また、Apple-Googleの共同モデルで採用されたリレーサーバーモデルが原因で、接触追跡データを中央管理に置くと(意図的な)制限もかかる。

「AppleとGoogleが歩み寄り、OSのレイヤーを開放してくれたことに感謝します。言い換えれば、Bluetooth測定と暗号化処理、およびそうしたタスクのバックグラウンド実行を常に安定して実行させるというOSの真の機能が使えるようになりました。モバイルエコシステムの巨人2社と、彼らが提供したプロトコルに注目してみれば、特に各国の政府側の観点から、話し合える余地は大いにあります」とボース氏はいう。

「PEPP-PTからも、いくつか話し合いたい点があります。私たちは選択肢を求めています。また、モデルの実装についても選択肢が必要です。両社のプロトコルの上へさらに中央管理型または分散型のプロトコルを作成しなければならないのであれば、どちらの利点も活かせずに終わるでしょう。話し合うべき内容は多くあります。しかし、彼らの決断とは別に、ハイテク業界で働く人々の多くはAppleとGoogleがこうした話し合いで非常にオープンな態度をとることを知っています。今はまだ、対立する時期ではありません。話し合いは継続しており、何らかの合意が得られる見通しです」。

AppleとGoogleへPEPP-PTが依頼した変更が具体的に何なのかは、はっきりしていない。私たちはウェブ会見の最中に詳細を訪ねたが、回答を得られなかった。しかし当グループと政府の後援者はテクノロジーの巨人の姿勢を崩し、Bluetoothの接触情報を中央の管理によってグラフ化し、全国の新型コロナウイルス対策組織へ配信しやすくすることを目指している。

現時点でAppleとGoogleのAPIは、サーバーレベルで接触情報のマッチングをブロックするよう設計されている。しかし、政府(またはその他の組織)が制約を回避して一部のデータを中央管理する方法は、まだ残されている可能性がある。

私たちはPEPP-PTがいう話し合いについて、AppleとGoogleに問い合わせた。本記事の執筆時点では、どちらの回答も得られていない。

イタリアと同様に、ドイツとフランスの政府も、PEPP-PTを支持して国営アプリを作成すると示唆している。これはつまり、もしAPIを変更する圧力が効かない場合は、かつてのAppleとFBIの対立と同じように、EUの巨大な加盟国たちとテクノロジーの巨人との対決が始まる可能性があることになる。

今回のエピソードでもう1つ重要な点は、PEPP-PTが依然としてプライバシーとセキュリティの専門家から激しい批判を浴び続けていることである。さらには、他の組織が開発中の「DP-3T」と呼ばれる分散型接触トレーシングプロトコルに言及した文章がPEPP-PTのウェブサイト上から削除されたことで、この批判はさらに勢いを増している。

また、CoindeskはPEPP-PTのウェブサイト上の記述が何も発表がないまま編集されていたことを指摘した。

DP-3Tの支援者は、PEPP-PTがいまだにレビュー用のコードやプロトコルを公開していないことを繰り返し問い詰めており、PEPP-PTを「トロイの木馬」とまで揶揄している。

PEPP-PT構想に参加し、かつDP-3Tを設計したETH ZürichのKenneth Paterson(ケネス・パターソン)博士は私たちの問い合わせに対して、連合が「Gapple(Google + Apple)」からどのような約束を取り付けようとしているのかについて明らかにしなかった。

彼はメールのやりとりでこう答えている。「彼らがシステムがどんな仕組みで動作するのか未だ明言していないため、(AppleとGoogleのシステムに対する変更について)何を求めているのか、私には何もいえません」。

4月17日にボース氏は、PEPP-PTのウェブサイトからDP-3Tへの言及が削除されたのは間違いだったと表明した。彼はこの事態を「コミュニケーションの失敗」が原因だとしている。彼はまた、PEPP-PTは規格化された技術を組み合わせた中に、DP-3Tの分散型プロトコルを含めることに今でも興味がある、と述べている。このため既に不明瞭な両組織の違いは、また新たに線引きされ続ける見通しである(また、プレスからボース氏へのメールは現在、Hering Schuppener社によってふるい分けされているのも興味深い点である。同社は、危機管理のPRを含む広報サービスを販売するコミュニケーション企業である)。

ボース氏はDP-3Tの排除に関して「遺憾に思います」と述べる。「実際は、一般社会に普及しているのと同じレベルで、様々な選択肢を用意したいと考えていました。それらの選択肢は今でも存在しており、その仕事に従事する同僚やその他の方々には深く感謝しています」。

「暗号化技術のコミュニティではこの話題の議論が活発に続いており、プロトコルを改善するのはいつでも望ましいため、私たちもそうした議論を奨励しています。私たちが見失ってはならないのは、ここで話し合うべきなのは暗号化についてではなく、伝染病の対策である点です。基盤となる転送レイヤーでプライバシーが守られる限り、政府はどんな選択肢もとれるためそれで十分でしょう」。

ボース氏はまた、PEPP-PTは米国時間4月18日午後に、ついに何らかの技術文書を公開すると語った。最初の発表から3週間後、しかも金曜の晩に発表することを選択したことになった。その後、7ページの「高レベル概要」文書がGitHubのこのリンクへ掲載された。しかし、レビュー用のコードにはほど遠い内容である(アップデート:このリンクはその後消去された)。また同時に、彼はジャーナリスト達に対して、細かい技術にこだわるのではなく新型コロナウイルスと戦う「大局」に注目するよう依頼している。

米国時間4月17日のウェブ会見では、PEPP-PTを支援する科学者の一部が、感染リスクを追跡する代替としてBluetoothがどの程度有効なのか、テストする方法を語ってくれた。

オックスフォード大学のビッグデータ研究所でナフィールド医学科教授および病原体力学のシニアグループリーダーを務めるChristophe Fraser(クリストフ・フレーザー)氏は、伝染を追跡するためにBluetoothの接近度データを使用する基本原理を説明し、次のように述べている。

「私たちが開発しているアルゴリズムは、各個人が互いに接近して過ごした累積時間に注目しています。目標は、スマートフォンの接近度データから、伝染の可能性を予測することです。理想的なシステムは、感染リスクが最も高い人々で必要な隔離を減らし、また感染のリスクがない人々へは、例え接近があったことが記録されていても、通知することはありません。

もちろん、それだけでは完全なプロセスとは言えません。しかし、この画期的なアプローチの重要な点は、情報や通知の正確度を検証できるようになることです。そのため、誰が通知を受け取り、そのうちどれだけの人が感染したのか、実際に把握できなければなりません。また、接触したと特定された人々のうち、どれだけの人がまだ感染していないのかも把握する必要があります。各システムに応じて様々な方法で検証を行うことは可能ですが、この手順を外すことはできません」。

フレーザー氏の話を踏まえると、デジタル介入の効果を評価することが不可欠となるはずだ。評価を発表することで、公共衛生の管轄機関が接触情報のグラフへより広範にアクセスできるようになる。ここでDP-3Tの分散型プロトコルでは、アプリのユーザーが疫学者や研究グループへ自発的にデータを共有することを明白に選べることに注目する必要がある。共有すれば、研究者は感染者と有リスクのユーザーとの交流を記録したグラフを再構築できる(言い換えれば、接近度グラフへアクセスできる)。

またフレーザー氏は次のようにも語っている。「数百万人に影響を与える隔離要請などの介入を行うのであれば、通知を出した時点での最大限の科学的な根拠、または入手可能な限りの証拠を提供することが本当に重要となります。それらの証拠を集める中で、ウイルスの感染についての理解が深まっていきます。実際、アプリの検証を行えばより深まるため、情報のフィードバックを受け取ることは不可欠でしょう」。

ボース氏によれば、現在テストや参照用に使用されているPEPP-PTに沿って作成されたアプリは、いずれも国家レベルの公衆衛生機関とはつながっていない。ただし、彼はイタリア企業の衛生システムへ接続してテストを実施する試験的なケースを挙げている。

彼は「バックエンドとアプリケーションのビルダーを提供しました。またプロトコルとサンプルコードを提供し、測定科学の内容など、多くの情報を提供しています。AndroidとiOSで、既に稼働しているアプリケーションが存在します。国家の衛生システムへ統合されていないだけです」と語っている。

PEPP-PTのウェブサイトは、Vodafoneなど構想を支援する数々の企業「会員」を掲載している。また取り組みを主導していると伝えられる、ドイツのFraunhofer Heinrich Hertz通信研究所(HHI)など、数カ所の研究機関も掲載されている。

HHIの取締役であるThomas Wiegand(トーマス・ウィーガンド)氏も、4月17日の会見に参加していた。注目すべきことに、彼はDP-3Tのホワイトペーパーの著者の1人でもある。しかし、GitHubの文書履歴によれば、4月10日に彼はREADME(前文)と著者一覧から削除されている。この変更に対しては何の説明も行われていない。

記者会見でウィーガンド氏は、暗号化とデジタル権利について活動する多数のコミュニティから反感を得るであろうと発言した。彼は、新型コロナウイルス接触追跡に用いる暗号化システムについての議論を「余興」とし、彼が欧州の「開かれた公共の話し合い」と呼ぶものが「欧州人である私たちをこの危機から救う可能性をなくすであろう」だという懸念を表明した。

彼はまたこう述べている。「私は単に、この問題の困難さを皆に理解してもらいたいだけです。暗号化はシステムを構成する12のブロックの1つにしか過ぎません。つまり、いったい何のためにここで集まっているか、皆さんに振り返っていただき、見直して欲しいのです。私たちはこのウイルスに勝利しなければなりません。さもなければ、もう一度ロックダウンが繰り返され、より深刻な問題が生まれるでしょう。皆さん全員にそれを考えていただきたいと思います。一丸となって協力すれば、ウイルスに勝てる可能性はあります」。

ウェブ会見では、利用されたZoomのチャットが人種差別的なスパム発言で乱されたことで、さらに不穏な空気が漂うことになった。ボース氏は会見を開始する直前に「技術に明るい人々から、Zoomはセキュリティに不安があるため使用するべきではないと聞きました。セキュリティとプライバシーについての構想を発表する場には合わないツールでした」と話した。

「残念ながら、同僚らの多くがこのツールだけを使っていることがわかったので、Zoomが改善するのを待つか、別のツールを使用する必要があります。もちろんZoomへデータをリークするのは私たちの意図することではないですから」。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

インドの第1四半期スマホ出荷は4%増、年間見通しは10%減の予想

グローバルのスマホ出荷台数が停滞あるいは落ち込むなかで、インドは四半期ごとに成長し、この10年間で最も成長著しいスマホマーケットの1つとなっている。しかし世界第2位となったインドのスマホ市場でも、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が出始めている。

調査会社Counterpointが米国時間4月24日に明らかにしたところによると、インドのスマホマーケットは3月31日までの四半期で前年同期比4%増と控えめな成長となった。例年、スマホメーカー数社が新製品を投入し、アグレッシブな販促計画を発表する1月と2月にスマホの出荷は増える。

しかしCounterpointによると、3月の出荷は前年比で19%減となった。同社はインドのスマホ出荷台数は2020年には10%減となるとみている。2019年は前年比8.9%増、2018年は同10%増だった。

Counterpointはまた、2020年3月に発令されたインドのロックダウンが国内のスマホ産業をかなり低迷させていて、元に戻るには7、8カ月かかるかもしれないと指摘している。現在のところ、インド国内で販売が許されているのはグローサリー製品に限られている。

Counterpoint Researchでシニアリサーチアナリストを務めるPrachir Sing(プラチア・シン)氏は、インドにおいて新型コロナイスルによる影響は3月中旬まで比較的軽微だったと指摘した。「しかし、人々が今後の不透明性や完全なロックダウンを予想して貯蓄に走るようになってから経済活動が落ち込んだ。そして、ほぼすべてのスマホ製造が一時停止となった。その上、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の維持)の影響で、例えロックダウンが解除されても工場の生産能力は低いだろう」と述べている。

2020年第1四半期はインド国内で3100万台のスマホが出荷された。マーケットシェアをみると、中国スマホメーカーのXiaomi(シャオミ)がトップで30%を占めた。同社にとってもインド市場は過去2年以上にわたって最大のマーケットだ。

Vivo(ビボ)のシェアは2019年同期の12%から17%に増えた。かつてインドマーケットを席巻していたSamsung(サムスン)はマーケットシェア16%で今や第3位だ。Apple(アップル)はこのところの勢いを維持し、前年同期比78%増と力強い成長をみせた。価格が600ドル(約6万4000円)以上の高級スマホ部門の55%を占めている。

インド国内にある100カ所以上のプラントが1日に70〜80万台のスマホを組み立て・製造し、そうしたスマホの一部は海外に輸出される。しかしロックダウンにより製造は中止されており、2020年に業界は30〜40億ドル(約3200〜4300億円)超の損失を被る可能性がある。

「我々はよくインドと中国を見比べる。しかし中国の工場はあらゆるレベルでオートメーション化されているが、インドはそうではない」とCounterpointのシニアアナリストTarun Pathak(タラン・パサク)氏は今週初めに述べた。

スマホの売上が2月に38%減となった中国では既に回復がみられる。Xiaomiは2020年3月に、同社のスマホ工場が既に稼働率80%になっていることを明らかにした。Counterpointによると、2月の世界のスマホ出荷台数は14%減だった。

画像クレジット: Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

アップル/グーグル共同開発のコロナウイルス接触者追跡APIの最初のバージョンが来週リリース

Apple(アップル)のCEO Tim Cook氏と欧州委員会の単一市場担当委員Thierry BretonThe氏の会話によると、AppleとGoogleが共同開発しているクロスプラットホームな接触者追跡APIは来週から使用できる。Breton氏が彼のオフィスで共有した写真には、彼とCook氏のビデオ会話の様子が写っており、また彼がLes Echosに語ったところによると、AppleのCEOは、公衆衛生当局のためにアプリを作るソフトウェアデベロッパーがその接触者追跡APIを利用できるのは4月28日からだ、と述べた。

AppleとGoogleは4月10日に、両社がiOSとAndroidの両方のモバイルデバイスで動く接触者追跡システムで協働していると発表し、そのオプトインのネットワークがユーザーの実際のID情報とは無関係なランダムなIDにより、COVID-19の検査で陽性と確認された人と接触した可能性を 通信する、と詳しく説明した。それは、個人のプライバシーを保護するために位置データを決して集めない分散システムで、AppleとGoogleは、そのAPIを使って作られたいかなるアプリも、それらがユーザーベースの最遠のリーチを持ちうるために、プロジェクトで協働することを選んだ。

その接触者追跡システムの展開は二段階で行われる。最初に、APIがデベロッパーにとって可利用になる…それが来週起きることだ。この段階は最初、5月中旬を予定していたが、Breton氏とCook氏の会話を聞いたかぎりでは両社はそのスケジュールを早めたようだ。ソーシャルディスタンシング措置の変様や緩和をいついかにして行うべきかを正しく知るためには、接触者追跡が喫緊に必要だから、このスケジュール変更は理にかなっている。

計画の第二段階は、接触者追跡システムのアップデートをOSのレベルで行うことだ。オプトインはデバイス上で管理され、AndroidもiOSスマートフォンもどちらも、このイン・アウトの切り替えにより、ローカルな追跡行為に参加できるものでなければならない。しかもそれは、公衆衛生当局の特定のアプリの有無とは無関係でなければならない。ただしAppleとGoogleが行なったQ&Aセッションによると、接触者の可能性を通知する公衆衛生アプリのダウンロードとインストールを示唆するプロンプトが出るのは構わない。それによってユーザーは、信頼できるソースから、次にどうすればよいか関する追加的情報を取得できるだろう。

なお、この第二段階は今年後半の展開になる。でもAPIの最初のバージョンの到着がこれだけ早まったことは、これをなるべく早く市場に出したいとする両社の意欲と努力の表れだろう。おそらく、相当多くの技術者をつぎ込んでいると思われる。

現在開発中またはすでに実装された接触者追跡システムはたくさんあるが、共通の技術による相互乗り入れ通信が可能で、もっとも人気の高い複数のモバイル機種間の幅広い参加の機会が開けることは、そんなシステムが実際に効果的でありうる大きなチャンスになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アップルが自社設計チップ搭載Macの来年発売を準備中との報道

長らく噂されてきたApple(アップル)のARMチップMac搭載が早ければ来年にも実現するかもしれない。Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。次世代iPhoneに搭載されるSoC(システム・オン・チップ)であるA14のデザインを基にアップルは現在3種のMacプロセッサーに取り組んでいるとブルームバーグには書かれている。ブルームバーグの情報筋によると、初バージョンの処理スピードはiPhoneやiPadのプロセッサーよりもはるかに速い。

アップルのiPhoneとiPad向けのARMベースのAシリーズはこれまで着実に改良されてきた。ベンチマークテストでのパフォーマンスが、Macラインで現在使用されているIntel(インテル)のプロセッサーを常に上回るようになっている。インテルのチップ開発は最近の世代のものでは後退やスローダウンがみられ、アップルが自社開発のARMチップに切り替えるのではとの噂は近年増えていた。

アップル独自のチップを搭載する「少なくとも1種のMac」が2021年のリリースに向け準備中で、チップ製造メーカーでアップルの長年のパートナーである台湾TSMCが製造するとブルームバーグは報じている。Macを駆動させるチップの最初の1つは少なくとも12コアで、内訳は高性能アプリケーション向け8コアと、バッテリーの持ちを良くする低強度のアクティビティ向け4コアだ。これに比べ、アップルがMacBook Airなどに搭載している現在のインテル製のものは4コアで、2コアのものすらある。

当面、アップルは新チップを新たなMacに、ハイエンドなプロレベルのMacにはインテルのチップを引き続き使うとブルームバーグは書いている。これはARMベースのデザインが部分的には高性能ながらも、インテルのチップ技術の最高パフォーマンスには及ばないからだ。ARMチップは一般的に計算処理能力よりバッテリー効率を優先していて、これこそがモバイルデバイスでよく利用されている理由だ。

ブルームバーグの情報筋によると、初のARMチップ搭載MacはmacOSのままで、現在のインテルベースのMacで使われているソフトウェアと互換性を持たせる方向とのことだ。これはアップルが2006年にMacラインでPowerPCベースのプロセッサーからインテルのチップに切り替えたときと似た試みとなる。その当時、アップルは切り替えが2006年から2007年の間に行われると発表していたが、その後2006年末までに出荷される新しいMacすべてがインテルプロセッサー搭載となるよう計画を加速させた。

画像クレジット:Neil Godwin/Future Publishing / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi