忘れ物防止タグのTileがComcastとの提携を拡大、Appleとの競争に備える

Bluetoothを使用した忘れ物防止タグのTileは、戦略的投資家のComcastとの2年間に及ぶ提携を拡大する。これによりユーザーは、家の中でどこに置いたか分からなくなった探し物が見つけやすくなる。両社は2018年の初めに提携の意向を発表し、同年後半にはComcastユーザーが「Xfinity X1 Voice Remote(ComcastのTVリモコン)」を使用して紛失したアイテムを見つける方法を導入。そして今回Comcastは、セットトップボックスとxFi Gatewaysをアクセスポイントとして追加する。

両社は本日、一部のComcast X1およびFlexセットトップボックス、xFi GatewaysがTileのネットワークを拡張する機器として使用できるようになることを発表した。Tileによると、これにはxFi Advanced Gatewayのような新しいXfinityデバイスや、Xi5、Xi6、XG1v4デバイスなどが含まれる。

アイテムを紛失した際に、ComcastのボックスがTileデバイスを探すためのアクセスポイントとなるため、Tileのモバイルアプリを補助し、場合によってはアプリの代わりにもなり得ることを意味する。

これはアイテムを探す手段が増えるだけでなく、スマートフォンにTileのアプリをインストールしていない場合や、スマートフォンが手に届く場所にない場合、バッテリー切れの場合などにも役立つだろう。

これまでComcast Xfinityのユーザーは、X1音声リモコンを使用してTileが最後に確認された場所を画面上で確認することができた。今後は、直接Tileを鳴らすだけでなく、FlexセットトップボックスとxFi Gatewayを、家の中で失くしたものを見つけるためのシステムとして使用できる。

Tileのデバイス自体にはさまざまなフォルムがある。キーチェーンやスーツケースタグのような「Mate」、より強力かつスリムで財布などに最適な「Pro」、ノートパソコンや自転車、カメラ、そのほか何にでも使用できる「Tile Sticker」などだ。家の中では多くの場合、Tileは車の鍵や財布、子供のおもちゃなど、どこに置いたのか分からなくなりやすい小さなアイテムを探すために活用されている。

Comcastボックスのサポートに加え、両社は既存のX1リモコン機能を更新し、紛失したアイテムをリモコンから直接鳴らせる新しい機能を追加した。ユーザーが「Xfinity Home、鍵を見つけて」などと依頼するとTileの特徴的なアラームが鳴るため、紛失したアイテムを見つけることができるという仕組みだ。

Comcastとの提携拡大に関する声明の中で、TileのCEOであるCJ Prober氏は「平均的な人は、失くしたものを探すのに1日約15分を費やしています。弊社はComcastと協力して、この煩わしさを軽減することに取り組んでいます。Comcast Xfinityのお客様が、xFi GatewayやX1、Flexセットトップボックスを発見システムとして活用できるようにすることで、Tileのネットワークが強化され、ユーザーが紛失したアイテムをすばやく簡単に見つけられるようになり、日常生活がより便利になることでしょう」と述べている。

Tileによると、現在世界中の195か国で毎日約600万点のアイテムがTileを使って発見されており、紛失したアイテムを見つける成功率は90%に及ぶ。これまでに同社は2600万台のTileデバイスを販売している。

しかし同社は、厳しい競争に向けた準備を整えている最中だ。アップルが、Tileの競合となりうる「Air Tags」をリリースする計画を進めているからである。iOSオペレーティングシステムに密接に統合された同製品には、サードパーティ製アプリには与えられていない特権がある。Tileはアップルの計画に対して攻勢に転じ、米国連邦議会に対して、アップルの行為は反競争的で規制が必要だと主張している

今月、Tileは議会の委員会に対して、アップルが位置情報を「常に許可」するバックグラウンド許可を回復させなかった点を指摘し、アップルが両社の競争紛争を解決することを目的とした約束を反古にしたと述べた。Tileにこのバックグラウンド許可が認められると、サードパーティ製アプリのように位置情報を使用していることを継続的にユーザーに通知する必要のない、アップル独自の「Find My」アプリとより公平な競争を行うことができる。Tileはさらに、アップルは独自のAir TagsでUWB(ウルトラワイドバンド)を使用して位置を特定しやすくする予定だが、Tileのような競合他社にはUWBが公開されないことも指摘している。

規制を求める争いは長期戦になるだろう。さしあたって、Tileが顧客ベースとデバイスの使用を拡大し続けるにはパートナーシップが要となる。

Tileは現在、オーディオ、旅行、スマートホーム、PCのカテゴリー全体で合計20以上のパートナーと提携している。

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

アップルが未発表の忘れ物防止タグ「AirTags」の存在をうっかり証明してしまう

Apple(アップル)がうかつにも、未発表のプロダクトを漏らしてしまったようだ。AirTagsと呼ばれるプロダクトのサポートビデオが、米国時間4月2日にYouTubeにアップロードされた。「How to erase your iPhone」(iPhoneの消し方)というビデオは、iPhoneを工場出荷時の設定にリセットする方法を解説している。1分43秒あたりにユーザーに「Find my iPhone」(iPhoneを探す)の解除方法が出てくるのだが、設定画面には「Enable Offline Finding」(オフラインのデバイスを探す)もあり、その下のテキストにAirTagsの名前がある。

具体的には「オフライン検索を使用すると、Wi-Fiまたは携帯電話に接続していないときに、このデバイスやAirTagsで検索できます。」と書かれている。

これを最初に見つけたのは、鷲のような目を持つブログAppleosophyだ。その後アップルは、ビデオを削除したは、そのコピーはここで見られる。

AirTagsは要するにTileに対抗するアップルの製品で、開発中であることは広く知られている。iOSのコードを分析した人によると、AirTagsはBluetoothで接続する小さな紛失物探し用タイルで、まさにTileと同じくなくした物を見つけるために使う。

両者の違いは、AirTagsの方がiOSと深く統合されていることだ。たとえばそれは、いろんな「〇〇を探す」(Find My〜)アプリの中にあったりする。 Itemsタブの中にそのタグが現れて、なくしやすい、あるいは盗まれやすいアイテムを探すことができる。鍵や財布はもちろん、自転車なども。

MacRumorsの記事によると、タグはコインサイズの電池のCR2032を使っており、交換できるのもTileと同じだ。

もちろん、アップルがTileを真似する意図にTileが気が付かないはずがない。同社は米国時間4月1日の議会のパネルで、アップルの反競争的振る舞いは「悪化した、改善されない」と証言した。その公聴会でTileは、「〇〇を探す」アプリに自己のプロダクトを統合するアップルの計画に言及した。TileなどサードパーティのBluetoothトラッカーには、それができない。また彼らは、バックグラウンドの位置アクセスを頻繁に呼び出さなければならないが、おそらくAirTagsではその必要はないだろう。プラットホームを所有しているアップルは、自社のプロダクトにアドバンテージを与えることができるからだ。

TechCrunchでは現在、アップルにコメントを求めている。

画像クレジット: Apple, via YouTube; MacRumors

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa