WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

中国はいま、ライブストリーミングへの新たに関心を示している。新型コロナウイルス(COVID-19)が国中で猛威をふるい、多くの建物が扉を閉ざし、事業者は物を販売するためにオンラインに向かった。そして多くの人がライブストリーミングを受け入れた。現在、我々のモバイルスクリーンの大半を支配しているショートビデオが先行したモデルだ。客の多くがオフラインショッピングを避ける傾向が強まりつつあり、Alibaba(アリババ)やJD.com(JDドットコム)、Pinduoduo(ピンデュオ)のようなeコマースの巨人たちはライブストリーミングに力を入れている。ライブストリーミングを使って顧客は販売事業者とやり取りをし、リアルタイムに注文する。

異端プレーヤーのWeChat(ウィーチャット)もこの動きに加わっている。月間アクティブユーザーが11億6000人のメッセージサービスである大手WeChatは今週、6月のライブストリームショッピングフェスティバル開催で広州市と提携したと発表した。このニュースの前には、習近平主席が経済におけるライブストリーミングeコマースが、特に地方の農産品の販売を促進するうえで重要な役割を果たすとの認識を示していた。

ライブストリーミングeコマースを通じて地方経済を押し上げるために、地方行政がイニシアチブをとるのは中国では初めてのことだ。この取り組みが交易や輸出の中心地である広州市で行われることは驚きではないだろう。グローバルのパンデミックにより中国の輸出は減少していて、当局は国内需要を刺激せざるを得なくなっている。

WeChatのメッセージ以外のほとんどの機能と同様、ライブストリーミングはミニプログラム(またはライトアプリ)インフラ上に構築されている。WeChatによると、この機能には数万もの小売業者が登録されていて、試験期間の間は無料で利用できる。グローサリーや観光、ファッションの小売事業者はこのサービスの恩恵を最も享受できる。例えば、NASDAQに上場している旅行ポータルのCtrip(シートリップ)は、航空会社や旅行アトラクションが大幅割引で商品を売り出しているため、WeChatでのライブ促進で1億元(約15億円)を売り上げた。中国のライフスタイルブランドであるHeilan Home(ヘイランホーム)はライブセッションでの視聴者300万人超を記録した。

「ここ数カ月、オンラインショッピングの需要は新型コロナパンデミックで急増している。ライブストリームを通じた販売は今や事業や生産の再開、消費者の需要刺激の鍵を握っている」とTencent(テンセント)広州のゼネラルマネジャーを務めるGerald Hu(ジェラルド・フー)氏は発表文で述べた。

WeChatがライブストリーミングに乗り出したのは最近だ。この部門が近年盛り上がっていたにもかかわらず、WeChatがライブストリームを同社のオール・イン・ワンプラットフォームに正式に導入したのは2020年2月のこととなる。これは創業者Allen Zhang(アレン・チャン)氏の製品に対するミニマリストで完璧主義的なアプローチのためかもしれない。

結局のところ、WeChatの根幹は知り合い同士間のコミュニケーション促進にある。買い物やゲームといった他の機能は社交生活の延長であり、会話を邪魔するものではなく補足するものだ。人々は友達がWeChatメッセージを通じてシェアしたスナックを購入するかもしれない。あるいはWeChat上のアプリ内ゲームへの参加を呼びかける友達からの招待状を受け取るかもしれない。しかしどれだけの人が30分間もビデオに費やし、その間に重要なメッセージを逃すリスクを負ってもいいと思うだろうか。

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(翻訳:Mizoguchi

夜中に注文して出勤前受け取りも可能、Amazonが米国一部都市での同日配送を高速化

Amazon(アマゾン)は米国時間3月3日朝、同日配送をさらにスピードアップさせる取り組みを発表した。フィラデルフィアやフェニックス、オーランド、ダラスなど米国のいくつかのマーケットに「ミニ・フルフィルメントセンター」と呼ばれる配送センターをマーケット近くに設置した。新施設のあるこれらのエリアでは同日配送にかかる時間をわずか数時間にすることができる。

顧客は、何十ものカテゴリーにわたる「Today by」と記された300万ものアイテムのリストから注文できる。このサービスは現在展開されている同日配達とは少し異なり、注文時に配達時間帯を選ぶようになっている。プライム会員はAmazon.comをブラウジングしながら気になる品がどれくらいの時間で玄関先まで配達されるのかを確認できる。

また新サービスでは、例えば夜の配達を予約するために朝にオンライン注文しなくても、終日買い物ができるようにする。加えてプライム会員は「ひと晩、朝8時までの配達」を選ぶと、真夜中に注文して翌朝に受け取ることもできる。この場合、ドライバーは午前4時半〜午前8時の間にやってくるので、出勤する前に商品が届くこともある。

Amazonはまた、顧客の近くに施設を設置することでドライバーが配達のためにさほど移動しなくてもよくなり、二酸化炭素の排出を減らせるという。これは航空機による輸送も減らすことになり、クラウドソースによるAmazon Flex programを介するなどしてより多くの配達業務の雇用を生み出せる、としている。

同日配達サービスの拡充は、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)といったライバルとの競争で優位に立つためのものだ。両社ともオンライン注文をさばくのに、カーブサイド・ピックアップや配達など客に便利な方法の提供でローカル店舗を活用している。例えばWalmartの店舗は、米国住民90%の10マイル以内にある。これはAmazonに対して競争力のあるアドバンテージだった一方で、Amazonはフルフィルメントセンターの多くを郊外に置いている。顧客の近くに店舗を展開していることは、特にオンライングローサリーで競う際に役立つ。そのためAmazonはWhole Foodsを買収した。

Amazonは2019年、プライム会員向けの配送を2日から1日にすることを約束し、プライム会員向けの配達の遅れをなくすよう取り組んでいると述べた。ローカルマーケットにミニ・フルフィルメントセンターを置くことで、これまでよりもっと早くプライム会員にサービスを提供できるようになる。

Amazonは現在、プライム会員の35ドル(約3750円)以上の購入商品を無料で、35ドル以下の場合は送料2.99ドル(約320円)で同日配送している。既存の同日配送サービスのPrime Nowでは商品2万点のみが対象だ。300万点を取り扱う新サービスにより、商品点数がかなり拡充されることとなる。プライム会員サブスクでは、年間119ドル(約1万2750円)で1000万点ものアイテムを2日配送で届ける。Amazonは2020年2月、サブスク利用者ベースが1億5000万人に増えたとしている。

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(翻訳:Mizoguchi

レビューを書かなくてもいい簡単な製品評価方法をAmazonがテスト中

Amazonが、ユーザーからのフィードバックとして従来のレビューよりも簡単なワンタップ評価(One-Tap Rating)をテストしている。それはレビューを書くほどの時間や元気や関心はないけど、その製品に関する意見を共有したいという人たち向けだ。簡単なものでも、ユーザーからの評価があればほかのショッパーたちは助かる。

ワンタップ評価はその名のとおり、1回タップをして星印の数による評価を残すだけだ。レビューのタイトルや内容を書かなくてもいい。

しかもワンタップ評価は、その製品のページだけでなく、自分のOrders(注文履歴)のところや、ログインしたときのホームページ上にあるお勧め品のところからも実行できる。入力はとても簡単で、星の数で評価してグリーンのチェックマークでそれを確認するだけだ。

ワンタップ評価の星の数が製品の全体的評価の星数の計算に加わるのは、「Amazonで購入済み」の場合だけだ。また、あとからレビューや写真やビデオを加えてフィードバックを充実することもできる。

amazon ratings test

この新しい機能は、なるべく多くの消費者からフィードバックを集めるための手段だ。レビューを書くのは面倒、という人は結構多い。またレビューだけよりは、本当にその製品を買った人からの本当の評価に近い格付けが得られるだろう。最近のレビューには、お金をもらって書いてるのもあるから。

この「よいしょレビュー」は、Amazonのポリシーに反しているだけでなく、出品者や出店者の方でも長年、取り締まりの努力をしてきた。報酬つきのレビューを単純に禁じたり、何度も訴訟罰金、売り手のアカウント停止などの対抗策を講じてきた。しかしそれでもなお、Amazon上の評価を上げることを商売にしている、いかがわしいサービスは後を絶たない。今でも、痩せ薬やBluetoothヘッドフォンなど、異様に評価の高い製品がAmazon上に存在する。

本物の顧客からの本物のレビューだけになれば正しい評価が得られるけど、悪者をレビューの世界から一掃する名案がAmazonにはない。

今度の新しい評価方法は、ウェブとモバイルアプリの両方で、世界中で行われている。現時点では全員ではなくて、一部の消費者がテスト対象になっている。Amazonは、これが実験であること、本格的なローンチでないことを強調している。

Amazonのスポークスパーソンによると「顧客がフィードバックを容易に残せて、しかもショッパーが本物の顧客からの本物の評価を幅広く得られる方法を、目下テストしている」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonプライムデーに便乗する競合店が昨年よりさらに増加して300店超に

Amazonのプライムデーと同じ日に売り出しを開催する便乗リテイラーが今年も含めて増え続けている。今年は始まる前にRetailMeNotが、便乗は250店予測した。しかし米国時間7月16日は、今年の便乗リテイラーが減るどころかさらに増えたため、数字を300店あまりに改めた。

プライムデーの2日目、2019年7月16日火曜日にRetailMeNotは、プライムデー関連の安売りをやっているリテイラーは300店あまりを数えたと言っている。昨日の午後には275店だったが、そのときすでに予想の250店を超えている

2018年のプライムデーには、相乗りリテイラーが194店、その前は119店、そして2016年にはわずか27店だった。

Amazonプライムデー便乗リテイラーの規模は大小さまざまで、売り出しの手法も大型値引きやフラッシュセール、送料無料、そのほかの販促企画などなどさまざまだ。そしてRetailMeNotの記事によると、商品のカテゴリーも、そしてリテイラーとしての業態も、あらゆる種類をカバーしている。

中でもAmazonプライムデーの最大の目玉である送料無料は、多くの対抗売り出しが採用した。送料無料になる下限額をさらに下げたり、会員ではない顧客にも無料を適用したりしている。対してAmazonプライムデーは、プライム会員だけを対象とし、会員を増やすことが売り出しの狙いだ。

売り込みメッセージの中では、いかにもeコマースのお客に受けそうな言葉が多く使われている。多いのは「Cyber」(13%の店が使用)、「Black Friday」を「Black Friday in July」(7月のBlack Friday)のように使うのも多い(後者は32%が使用)。しかし圧倒的に多いのはAmazonのもろコピーで、「Prime」は38%の店が消費者へのメッセージで使っている。

「Prime」の変形を使う巧妙な手口もある。たとえば手芸材料店のJoann Fabricsは「Primo Days」を使っている。化粧品のULTAは「Primer Days」には50%の値引きと言っている。そして家具インテリアのWest Elmは「Reasons to Love West Elm, (Primarily) Today」(今日があるからWest Elmが好き)だとさ。

米国のeコマース市場はすでに、Amazonの売り出しのインパクトを感じている。Adobe(アドビ)によると、大手リテイラーはふつうの月曜日に比べて売上が64%増加したそうだ。そして同社の予想では、2019年のプライムデーは最終的にアメリカのeコマースの総売上を20億ドル(2000億円)あまりに押し上げる。

さて、市場全体や競合店のことは、このようにいろいろわかってきたが、肝心のAmazonにとってこの大売り出しは、彼らの期待どおりにペイしているのだろうか。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オーストラリアの顧客に対する門前払いをAmazonが撤回、税制への抗議よりも年末商戦が重要

Amazonは、同社が6か月前に行った、オーストラリアのユーザーにアメリカのamazon.comサイトで買い物させないという決定を、覆(くつがえ)した。ロイターはこのUターンを、顧客の反発によるもの、と報じている。

7月以降オーストラリアの買い物客は、amazon.comで買い物をしようとすると地元のサイトAmazon.com.auへリダイレクトされた。

同じ時期に、amazon.comからオーストラリアへの配送も停止された。そこで買い物客は、地元の店からしか商品を買えなくなった。

でも今日(米国時間11/22)から、そのブロックはない。

amazon.comの、特定地域に対するこのブロックは、オーストラリアの税制の変更への対抗策だ。その新しい税制では、年商75000オーストラリアドルを超える企業は消費者が輸入する低価格商品に対し10%の商品サービス税(Goods and Services Tax, GST)が課せられる。

このいわゆる‘Amazon税’は、すべての販売品目に対しGSTを払わなくてはならない地元の小売企業にとってAmazonなど海外の大きなeコマース企業が大打撃になる、という懸念に対応したものだ。

この新税制の前までは、海外のリテイラーに関しては1000オーストラリアドル〔11月下旬現在約82000円〕以上の買い物に対してのみGSTが課せられていたので、地元商業者は、それはAmazonやeBayなど海外のコンペティターに対する不当な優遇策だ、主張していた。

GSTの一般化という新税制に対してAmazonは、amazon.comの海外買い物客の締め出しで応じた。でも2017年12月にローンチされたばかりのAmazonオーストラリアのサイトは、品揃えが希薄なので顧客から敬遠された。そのことは、地元企業にとっても打撃になった。顧客はほかのリテールサイトを探すようになり、あるいは、わずかしか買い物をしなくなった。

Guardianによると、Amazonオーストラリアの品目数約8000万に対して、アメリカのサイトには5億種類の品目がある。

6か月後にAmazonは方針を変えた。10%の税金を払うことに決めたようだ。

本誌は今、同社にコメントを求めている。

Amazonのスポークスパーソンはロイターに、顧客からのフィードバックに対応して方針を変えた、と述べている。そして、同社は“低価格商品をオーストラリアに輸出できてなおかつ、地元の法律にも従えるだけの、複雑なインフラストラクチャ”を構築した、とも言っている。

今のところオーストラリアの人がamazon.comから買えるのはAmazon自身が売っている品目だけで、サードパーティの販売者は未対応だ。

このUターンのタイミングに注目しよう。明日(米国時間11/23)はブラックフライデーなのだ。

その日リテイラーたちは、その年のホリデーシーズンの買い物フィーバーに点火するために大規模な安売りを開始する。そして今ではネット上でも、派手なバーゲンが展開される。Amazonも、この爆発的な売上の機会をみすみす見逃すわけにはいかない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Y Combinator出身のJetLensesはコンタクトレンズの低価格化に挑む

Y Combinator出身のスタートアップ、JetLensesは、コンタクトレンズのEコマースサイトの1-800-ContactsやLens.com、大手小売業Walmartなどのネット通販に戦いを挑んでいる。同社の目標は、処方箋の確認や注文の追跡、コンプライアンス、在庫管理などに関わるオーバーヘッドを自動化することでコストを削減し、消費者に還元することだ。

彼らは価格の透明性も約束しているので、チェックアウト時に驚かされることがなく、送料も無料だ。

JetLensesの創業者であるDhaivat Pandyaは眼科医の息子で、ハーバード大学で統計とコンピュータ科学を学んだ。その経歴はこのビジネスにおける市場の非効率性を見つけ出し、新たなソリューションを開発するために役立ったと彼は言う。

「この分野ではエンジニアリングやデータサイエンスがすぐに結果を出し、日々目でみることができる」とPandyaがコンタクトレンズ市場を選んだ理由を説明した。「コンタクトレンズが高価である理由の多くが間接経費による」。

20%近くのケースで、オンラインサイトは顧客の処方箋の確認で問題に遭遇する。たとえば眼科医が診療所を移転したり電話番号やFAX番号が変わった場合などだ。

その結果、スタッフはその医療機関が今も存在していることや新たな連絡先を確認する必要が生じて多くの人的作業が発生する。JetLensesは、既存の医療機関のデータセットに医師情報を保持しているので、新しい電話番号やFAX番号を自動的に検索する。

さらに、処方箋を確認するためのFAXを自動送信し、医者からの応答を処理する。

同社は注文に関わる関わる物流にもデータサイエンスを活用して、どの配送会社が注文を処理するかを決めている。

こうした技術は大型ショッピングサイトではすでに一般的かもしれないが、コンタクトレンズ処方の分野では利用されていなかった、とPandyaは言う。

彼によると、JetLensesの低価格はこうした努力に基づくものであり、単に顧客を引きつけるために値引きしているのではない。

「私たちの利幅は同業他社と基本的に変わらない。単に[レンズを]安く売るためにビジネスを変えないことが目標」

包括的なレビューとは言えないが、私は取材前にJetLensesのオンライン注文を試してみて、ふだん使っている1800Contacts.comと比較した。私のAcuvue Oasys乱視用レンズの6パックがJetLensesでは32.99ドルで、私が通常払っているのが51.99ドルなのでかなり驚いた(1800Contactsは4箱まとめて買えば40ドルのリベートクーポンをくれるが、一度に払うには大金だ)。

JetLensesはメーカーの割引も利用可能で、顧客の眼科保険も適用できる。

ウェブサイトにはやや不安定な部分もあるが、まだ昨秋オープンしたばかりだ。欲しいレンズのブランドを入力して検索する必要があり、リストを閲覧することはできいなどサイトはなにかと使いにくい。しかし、1箱20ドル節約するためなら我慢する価値はある。

コンタクトレンズのEコマーススタートアップはJetLensesだけではない。Hubbleは昨年 7370万ドルを調達して自社ブランドのワンデー使い捨てコンタクトレンズを処方販売している。これはJetLensesの目指していない方向だ。

代わりにJetLensesは、このデータサイエンス技術をほかの処方箋ビジネス、歯科製品や処方箋の必要なクリームなどの分野に適用することを目標にしている。

現在同社は、Y Combinatorのデモデーの後、シードラウンドの資金調達に注力してビジネスのスケーリングを急いでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

現実店舗の「ショールーム」化のリスクは家電以外のあらゆる量販店に及ぶ―Pacedが詳細レポートを発表

Mobile price check

Madrona Ventrue Groupが支援する位置情報分析を専門とするスタートアップ、Placedがいわゆる「ショールーム化」のトレンドが現実店舗に与える影響を詳細に分析したレポートを発表した。このレポートはショールーム化がeコマース企業、特にAmazonに与えるメリットも分析している。ちなみに、MadronaはAmazonに最初期に投資したことで知られている。

Placedの調査はショールーム化について過去最大かつもっとも詳細なものだ。ショールーム化というのは消費者が興味ある商品を手に取ってチェックするためだけに現実店舗に立ち寄り、購入はオンラインですませてしまうという傾向を指す用語だ。昨年、comScoreのU.S. Internetレポートは回答者の35%がショールーム化に相当する行動を取っていると認めた。またショールーム化の傾向は若い層ほど高く、 25-34歳では55%にも上っていた。

今日(米国時間2/27)発表されたPlacedの調査は、今年1月に全米の1万5000人の調査員から得た10億件のデータをベースにしている。comScoreのmobileLensのモニタ・パネルの方が規模は大きいがPlacedのコア・ビジネスは位置情報分析であり、その面で優位に立っている。Placedのモニタ・パネルからの情報や分析ツールはモバイル・アプリのデベロッパーがユーザーの現実世界での振る舞いを理解し、適切なターゲティングを行う上で大いに役立つだろう。

分析結果によれば、ショールーム化によってもっとも影響を受ける可能性がある企業のトップはWalmartとTargetだという。Amazonの顧客のうち、25.2%がWalmartを利用しており、10.7%がTargetを利用している。この順位を下に辿ると、Walgreensm、CVS、BestBuy、Home Depot、Lowe’s、Sam’s Club、Dollar Tree、Costco、GameStop、RiteAid、Kohl’s、PetSmart、RadioShackなどとなる。もちろんAmazonと顧客が重なってだけではショールーム化が進んでいるかどうかは分からない。この点について下で詳しく紹介する。

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女性Walmartがお好みのようだ。利用者の割合が男性より37%多い。Targetはさらに女性に強く 60.5も多い。Best BuyとGameStopは男性優位だ。

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しかし購入状況をみると、Amazonで過去3ヶ月に100ドル以上購入している顧客は、スーパーマーケットよりもCostco(平均より52%多い)やBJs Wholesale Club(47%多い)、Toys R Us(43%多い)のような大型量販店をよく利用する傾向が見られた。

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しかしこの調査でもっとも重要な発見は実物店舗への影響の数字だ。Best BuyとTargetはショールーム化の影響を受けるトップで、BestBuyの顧客はショールーム行動を取る率が平均より20%も高く、Targetでは15%高かった。これらのチェーン店が数ヶ月前から「対Amazon価格保証」キャンペーンを開始しているのはおそらく偶然ではないだろう。

しかし影響を受けているのはBest Buyだけではない―Bed, Bath & Beyond、PetSmart、Toy R Us、Searsその他多くの現実店舗がショールーム化によるリスクにさらされている

Walmartも影響を受けているが、ショールーム行動を取る顧客はBest Buyより10%も低いので比較的安全といえる。Targetよりも15%低い。ショールーム行動を取る顧客の割合が高いハイリスク・グループにはPetSmart (位)、Toys R Us(3位)、Best Buy(4位)、Sears(5位)。しかしながら、危険率で1位となったのは、やや意外にもBed, Bath & Beyond〔寝装品、浴室用品〕で、顧客のショールーム行動の割合は平均より27%も高かった。

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男女比は伝統的なく分のとおりで、男性はBest Buy、The Home Depot〔DIY〕、Lowe’s〔DIY〕の利用が多く、女性はKohl’s〔女性向けアパレル〕、PetSmart〔ペット用品〕、Bed,Bath & Beyond、Marshalls〔アパレル〕、Old Navy〔アパレル〕の利用が多かった。

male vs female chart 2

PlacedはまたAmazon Price Checkアプリを利用しているユーザーの行動を調査している。このアプリは簡単にいえばショールーム行動を容易にするのが目的だ。このアプリのユーザーがもっとも好む現実店舗はT.J.Maxx〔ブランド・ファッション〕だった(注意:これはアプリがこの店舗でもっとも頻繁に使われたことを意味するわけではない。このアプリを利用するユーザーの中でT.J.Maxxがもっとも頻繁に訪問されているということだ)。Costco、OfficeDepot、AT&T Wireless、Toys R Usもこのアプリのユーザーに好まれている。

amazon price check shoppers

レポートにはさらに詳しいデータや分析が掲載されている。全体として大いに興味深い調査だが、欲をいえば、バーコード・スキャン・アプリがどこでどれほど使われているか、また価格チェックアプリの使用がeコマースでの成約率にどれほどの影響を与えるかについても調査、分析が欲しかったところだ。こうした調査は困難だろうが今後の挑戦に期待したい。

一方で、Ipsos MediaCTとIABによる最近の調査は、ショールーム行動は現実店舗での売上増をもたらしているとしている。価格チェックアプリのユーザーは42%がオンラインで購入するが、現実店舗で」購入するユーザーも 30%存在するというのだ。現実店舗の経営者は消費者がこうしたオンラインでの価格チェックを行うことを前提とsちた上で競争力のある価格と対面販売ならではの優れたサービスを提供していくことがもっとも賢明な道だろう。

写真、図版:トップはFourthsource; 他はPlaced

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+