抗うつ剤における30年ぶりの大進歩、米食品医薬品局がエスケタミン点鼻薬を承認

米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は米国時間3月5日、新しい抗うつ剤の承認を発表した。ケタミン誘導体エスケタミン(esketamine)を用いるこの抗うつ剤は、うつ病治療の歴史において数十年ぶりの大きな進歩だ。

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)がSpravato(スプラバート)という名前で発売するこの薬は、経口抗うつ剤と併用する点鼻薬(ないし鼻腔噴霧剤)で、そのほかの治療法に反応しない患者を対象とする。スプラバートはProzac(プロザック)以来久しぶりの、FDAが承認する重要な抗うつ剤だ。これまでの抗うつ剤に比べて副作用が少ないとされるプロザックが発売されたのは30年以上前で、それはほかの薬に比べて即効性がある点でも注目された。

FDAがケタミンを麻酔薬として承認したのは1970年だが、どんな用途にせよ、エスケタミンを承認するのはこれが初めてだ。ケタミンはレクリエーション薬として人気があったが、医師は、抗うつ剤などの治療法に反応しない患者に何年も前から、適応外として処方してきた。FDAの諮問委員会は、14対2(棄権1)で2月に承認した。

FDAによるエスケタミンの承認には但し書きがあり、それはリスク評価軽減戦略(Risk Evaluation and Mitigation Strategies、REMS)のもとに使用しなければならない。その流通と配布の方式は制限され、安全性への重視により薬物による鎮静化や人格解離を避けるとともに、濫用や誤用の可能性のある配布を行ってはならない。患者はその点鼻薬を自分で投与するが、それは医師の診察室や医療機関においてのみ許される。スプラバートを家に持ち帰ってはならない。

スプラバートの有効性は、3回の短期治験と1回の長期治験で評価された。各4週間の短期治験のひとつでは、ときには2日以内に、プラセボ(偽薬)との対比でスプラバートと経口抗うつ剤の組み合わせが「統計的に有意な効果」を示した。ほかの2回の短期治験は、効果が既定の統計的試験の規準を満たさなかった。

長期治験では、安定化し二つの医薬の組み合わせを継続した患者が、経口抗うつ剤とプラセーボの点鼻薬を投与した患者に比べて再発までの時間が「統計的に有意に長かった」。

画像クレジット: Janssen

〔訳注: ネット上に散在する情報によると、ケタミンやエスケタミンはいわゆるドラッグの一種としてその健康被害が懸念されている。したがって、個人的な入手や使用を試みるべきでない。〕

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AmazonのComprehend Medicalサービスは機械学習を利用して患者の記録から有意な医療データを取り出す

【抄訳】
Amazonが、機械学習を利用して患者の記録から重要なデータを取り出し、病院などのヘルスケアプロバイダーや研究者たちの費用節約や治療方針の決定、臨床試験(治験)の管理などを助ける新しいサービスを立ち上げた。AmazonがAmazon Comprehend Medicalとよぶこのサービスの発表は、火曜日(米国時間11/27)に、The Wall Street Journalがそれを報じた直後に行われた。

このクラウドソフトウェアはテキスト分析と機械学習を組み合わせて、処方や注記、面談の音声、検査の結果、などから成る患者の記録を読む。これらの記録がデジタイズされてComprehend Medicalにアップロードされると、診断や処置、薬の処方、そして症状などに関する情報が拾い上げられてまとめられる。

〔参考記事: Amazon Comprehendとは…「Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる」〕

Amazonの最近のヘルスケアへの進出としては、オンラインの処方箋サービスPillPackを10億ドル近くで買収したことや、Amazonの社員のヘルスケアを改善するための、Berkshire HathawayとJP Morgan Chaseとのジョイントベンチャーが挙げられる。これらにより同社は、最近ますますヘルスケアにフォーカスしているそのほかの大手テクノロジー企業の仲間入りをしている。

たとえば今年初めにAppleは、iPhoneのユーザーが自分の病院の医療記録を見られるための機能をiPhone上に導入した。またGoogleは最近、大手医療法人Geisingerの前CEODavid Feinbergを雇用して、検索やGoogle Brain, Google Fit, Nestなど多岐にわたるGoogleの各事業部門が抱えるヘルスケア企画の、一元化と全体的な指揮を彼に委ねた。

今日の発表声明の中でAmazonはこう言っている: “これまでは、この情報を見つけるために長時間の手作業を要し、しかもそのために、高度な技能を持つ医療エキスパートによるデータ入力や、情報を自動的に取り出すためにデベロッパーのチームがカスタムのコードとルールを書く必要があった”。そして同社の主張によるとComprehend Medicalは、患者の記録の中に“医療の状態、解剖学的専門用語、医療検査の詳細、治療内容、処置”、などを正確に見つける。一方、患者は、このサービスを利用して自分の治療のさまざまな側面を管理し、通院のスケジュールや薬の処方、保険の適用の判断などを明確に把握できる。

【後略】
●データは暗号化され、どこにも保存・利用されないのでプライバシーの問題はない。
●すでにいくつかの大手製薬企業や医学研究所がComprehend Medicalを試験的に導入し、とくに治験の適正な実施に必要な膨大な量のデータ作業の省力化や迅速化などに貢献している。“これまで数時間を要したデータ作業が数秒で終わる”そうである。

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セラノスがついに解散へ(WSJ報道)

Theranosがついに永遠に消滅する。Wall Street Journalの調査が同社の血液検査テクノロジーに疑問を呈してから3年近くたっての出来事だ。WSJによると、同社の劇的な墜落は ベストセラー書籍となり、Theranosファウンダー・CEO Elizabeth Holmesにジェニファー・ロペスが扮する映画も作られたが、会社から株主あてにメールが送られ、このたび正式に解散し、残った現金を近く無担保債権者に返還する旨が書かれていた。

Holmesは6月にTheranos前社長のRamesh “Sunny” Balwaniと共に有線通信不正行為の謀議2件、および実際の有線通信不正行為9件で告発されたあとCEOを辞任した。

HolmesどBalwani共に不正行為の罪で証券取引委員会(SEC)に訴追された(刑事責任はSECによる民事告訴とは別に扱われる)。SECは訴状で、両者は「長年にわたり巧妙な詐欺をはたらき、会社の技術、事業、および財務状況について誇張しあるいは虚偽の申述を行った」結果、同社は投資家から7億ドル以上の資金を調達することが可能となったと述べた。

HomesとSECは示談に至り、Holmesは50万ドルの罰金を支払い、今後10年間上場会社の幹部または役員になることを禁止された。さらにHolmesは詐欺行為で得た株式1890万株を返却し、Theranosの議決権を放棄させられる。

TechCrunchはTherenos広報アドレス宛にメールを送り、コメントを求めている。

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Y Combinator出身のJetLensesはコンタクトレンズの低価格化に挑む

Y Combinator出身のスタートアップ、JetLensesは、コンタクトレンズのEコマースサイトの1-800-ContactsやLens.com、大手小売業Walmartなどのネット通販に戦いを挑んでいる。同社の目標は、処方箋の確認や注文の追跡、コンプライアンス、在庫管理などに関わるオーバーヘッドを自動化することでコストを削減し、消費者に還元することだ。

彼らは価格の透明性も約束しているので、チェックアウト時に驚かされることがなく、送料も無料だ。

JetLensesの創業者であるDhaivat Pandyaは眼科医の息子で、ハーバード大学で統計とコンピュータ科学を学んだ。その経歴はこのビジネスにおける市場の非効率性を見つけ出し、新たなソリューションを開発するために役立ったと彼は言う。

「この分野ではエンジニアリングやデータサイエンスがすぐに結果を出し、日々目でみることができる」とPandyaがコンタクトレンズ市場を選んだ理由を説明した。「コンタクトレンズが高価である理由の多くが間接経費による」。

20%近くのケースで、オンラインサイトは顧客の処方箋の確認で問題に遭遇する。たとえば眼科医が診療所を移転したり電話番号やFAX番号が変わった場合などだ。

その結果、スタッフはその医療機関が今も存在していることや新たな連絡先を確認する必要が生じて多くの人的作業が発生する。JetLensesは、既存の医療機関のデータセットに医師情報を保持しているので、新しい電話番号やFAX番号を自動的に検索する。

さらに、処方箋を確認するためのFAXを自動送信し、医者からの応答を処理する。

同社は注文に関わる関わる物流にもデータサイエンスを活用して、どの配送会社が注文を処理するかを決めている。

こうした技術は大型ショッピングサイトではすでに一般的かもしれないが、コンタクトレンズ処方の分野では利用されていなかった、とPandyaは言う。

彼によると、JetLensesの低価格はこうした努力に基づくものであり、単に顧客を引きつけるために値引きしているのではない。

「私たちの利幅は同業他社と基本的に変わらない。単に[レンズを]安く売るためにビジネスを変えないことが目標」

包括的なレビューとは言えないが、私は取材前にJetLensesのオンライン注文を試してみて、ふだん使っている1800Contacts.comと比較した。私のAcuvue Oasys乱視用レンズの6パックがJetLensesでは32.99ドルで、私が通常払っているのが51.99ドルなのでかなり驚いた(1800Contactsは4箱まとめて買えば40ドルのリベートクーポンをくれるが、一度に払うには大金だ)。

JetLensesはメーカーの割引も利用可能で、顧客の眼科保険も適用できる。

ウェブサイトにはやや不安定な部分もあるが、まだ昨秋オープンしたばかりだ。欲しいレンズのブランドを入力して検索する必要があり、リストを閲覧することはできいなどサイトはなにかと使いにくい。しかし、1箱20ドル節約するためなら我慢する価値はある。

コンタクトレンズのEコマーススタートアップはJetLensesだけではない。Hubbleは昨年 7370万ドルを調達して自社ブランドのワンデー使い捨てコンタクトレンズを処方販売している。これはJetLensesの目指していない方向だ。

代わりにJetLensesは、このデータサイエンス技術をほかの処方箋ビジネス、歯科製品や処方箋の必要なクリームなどの分野に適用することを目標にしている。

現在同社は、Y Combinatorのデモデーの後、シードラウンドの資金調達に注力してビジネスのスケーリングを急いでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

子どもの言語障害の早期発見を機械学習が支援、家庭でスマホで検診ができる

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言語障害の検診は早めに、しかも複数回やれ、と言われる。でも、すべての子どもをタイミングよく検査できる設備と要員が完備している地域は、そう多くない。しかし、ここでご紹介するMITの研究結果が正しければ、少なくとも基本的な検査は、自動化され、家庭でもできるようになるだろう。

サンフランシスコで行われたInterspeech カンファレンスで、同校のコンピューター科学者たちが、その新しいテクニックを説明した。まだ開発の初期的な段階だが、かなり期待を持てそうだ。

神経の障害のために、会話(発話と相手の言葉の理解)がうまくできない子どもたちは、ある種のテストで一定のパターンを示す。それは、複数の画像を見せ、それらについてお話をさせるテストだ。休止や、特定の時制や代名詞でのつまづき、そういった小さなことが、深刻な問題の指標であることもある。

院生のJen GongとJohn Guttag教授が作ったそのシステムは、まず、子どもたちのそんなお話の録音を多数、機械学習システムに聞かせる。そのデータ集合を細かく分析することによって、システムはいくつかのパターンを学習する。それらは、健常者のパターン、発達障害に顕著なパターン、初期の言語障害を示すパターン、などだ。それらは、これまでの研究で確証されているパターンなので、問題はない。

専門教育を受け、訓練を積んだ専門家に代わるものではないが、でも専門家をアプリに詰め込むことはできない。システムは、現状で精度も実用レベルに達しており、どんなスマートフォンからでもできる検診なので、障害の早期発見早期治療に貢献するだろう。

でも、まだまだやるべきことはある。

“大量の良質なデータにより、今後ともシステムを訓練していく必要がある”、とGongは述べている。“子どもたちの発達過程はきわめて多様だから、健常と障害の両方について、いろんな子どもたちのデータを集めることが、システムのより良質な判断力を育てる”。

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パーキンソン病患者の状態を終日チェックするウェアラブル(+補助アプリ)XEED、徐々に投資家の関心が集まる

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物のインターネットや、とくにウェアラブルは、その誇大な約束にまだ達していないと思うが、パーキンソン病で苦しんでいる人たちの助けにはなるようだ。ペンシルベニア大学工学部の二人の学生が、その可能性を追究するために会社を興した。会社の名前を、XEEDという。

その二人、Sade ObaとAlfredo Munizはヒューストン出身、子どものころからご近所同士で、大学に入る前から、テクノロジーを保健医療方面に活かすことに関心があった。パーキンソン病の治療にウェアラブルが使えるのではないか、という考えは、大学入学後に芽生えた。Obaは機械工学、そしてMunizは電気工学専攻だ。

“二人ともロボット工学を主に勉強しているので、家庭用の移動するスマートホームロボットに関心が向いた”、とObaは言う。“しかし最初に作った製品があまり受けなかったから、専門家にアドバイスを求め、センサーの数を大幅に減らして、人の動きを追跡する用途に特化した”。

パーキンソン病には、間欠的な震えが伴う。それは薬や物理療法でコントロールできるが、震えがいつ起きるか分かればもっと良いし、また患者の、病院へ行くこと以外の行動も知りたい。

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XEEDのブレスレットふうのウェアラブルはユーザーの手足を終日チェックし、震えが起きる時間や震えの強さを知り、またユーザーの自発的な動きの範囲も分かる。そのデータは介護者がアクセスするだけでなく、スマートフォンのアプリに送られて、いろんなアドバイスをしたり、またユーザーが自分の症状改善の進歩を知ったりする。

Obaは大学で作ったビデオの中で、“患者はスマホアプリの情報から、日常の生活や活動の何をどう変えるべきかを理解する”、と言っている。

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データは、患者個人と物理療法士と医師が利用するが、蓄積されてデータベースに入ると研究者のためにも役に立つ。

“今は三つ目のプロトタイプを設計している段階だ”、とMunizは言う。“プロトタイプは50作り、それを小さなグループで2週間テストする。実際に彼らはどんな着け方をするのか、LEDの表示は役に立っているか、充電を忘れることはないか、アプリのどこをどう変えるべきか、などなどをチェックするんだ”。

だんだん完成に近づいているようだが、最終的にはFDAの認可が必要だ。そのお役所では、彼らの製品が医療補助具として評価される。本格生産までまだ道のりは遠いが、小規模な研究はもちろん続けられる。

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二人は昨年、大学の起業支援制度“イノベーション学長賞”により、20万ドルの資金を獲得した。だから、まだまだ当分、研究開発を続けられる。

“数社の投資家も関心を示しているから、ピンチになったら頼ろうと思う”、とMunizは語る。“でも今は、NSFNIH(SBIR)の助成金が欲しいね”。

XEEDは、地元のパーキンソン病リハビリセンターとパートナーしている。今月の終わりごろには、支援などに関してMichael J. Fox Foundationとの話し合いを持つ予定だ。〔Michael J. Foxはパーキンソン病の闘病生活で有名。〕

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3Dプリンター製のオーダーメイド車椅子がロンドンのデザインウィークに登場

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あらゆる移動手段プラットフォームの中でも、車椅子はかなり固定的だ。鉄とアルミニウムのフレームがレザーかビニールのクッションを支え、様々な設定は必ずしも個々のユーザーの条件に合っていない。ロンドンのデザイン会社が2年をかけて解決策を作った。利用者の体型とニーズに正確にフィットする3Dプリント車椅子だ。

その車椅子、GO(別の3Dプリント車椅子プロジェクトであるHU-GOと混同しないように)は、ロンドンのデザイン会社、Layerのディレクター、Benjamin Hubertが考案した。

「これは、殆ど見過ごされてきた家内工業のようなもの」とHubertがTechCrunchのインタビューに答えて言った。「確立しつつある技術や価格の下がった技術を使うことによって、様々な怪我や障害、体型に合わせるための問題を解決する機会が数多く生まれる」。

GOは、単に3Dプリント可能な包活的デザインではない。Layerは、3Dデザイン会社のMaterialiseと組み、一から十までカスタマイズできるプロセスを開発した。ユーザーの体を実際にスキャンし、ニーズを評価する。その情報は仕様に沿って作られる一体型シートへと合成される。

例えば、背中の中位置に脊椎損傷のある人は、追加の支持と高い背もたれが必要で、片足を失くした人には、重心のずれを考慮する必要がある。あつらえのシートは、椅子の上で長い長い時間を過ごす人たちに、より快適な体験をもたらすに違いない。

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「これは非常に繊細なユーザー基盤のニーズに答えるために、非常に微妙な調整が必要になるこのような製品にとって、非常に有効な解決策だ」

シート(大型の装置でプリントされる ― デスクトッププリンターでは作れない)とフットレスト(耐久性のために焼結アルミで作られる)だけがカスタムデザインされる。それ以外は市販のパートを使うことによってコストを下げ修理を容易にしている。

GO-Gloves-2同社は車椅子利用者と会話をして、得られたフィードバックに基づいてデザインしている。GOは、車椅子バスケットボールにはまだ対応できていないが(「あの椅子は戦車のようなもの」とHubertは言う)、それでもプレーヤーには助言を求めている。

ヘビーユーザーから一つ改善点が示唆された。通常車輪のハンドリムは円柱状の金属製だ ― シンプルで耐久性があるが、手で把むのには最適ではなく、エルゴノミクスの悪さからストレス傷害を起こすことがある。Layerは「BMXバイクのグリップ」並みの生地でリムを覆い、これを使うための専用グローブも作った。

製造プロセスは、生体計測が終った後、ユーザーがアプリでオプションパーツやプリントカラーを選ぶことで完了する。Layerは、注文から2週間で車椅子を出荷できると言っている。他のカスタマイズ方式よりはるかに待ち時間が短い。

現在GOはまだプロトタイプ段階で、今月ロンドンで行われるClerkenwellデザイン週間に展示される。Hubertによると、デザインはほぼ完了しているが、現在国民健康サービスと、ヨーロッパのFDA相当機関による監査を受けている。しかし、医療提供者や車椅子メーカー、スポーツ会社等は既にこのデザインに興味を持っている、と彼は付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

高校生が3Dプリントで作った‘ミニ脳’バイオリアクターがジカ熱の研究を加速

A "mini-brain" infected with Zika. The red-dye indicates vulnerable progenitor cells.

ジカ熱に感染した”ミニ脳”。赤の染色は感染した弱い前駆細胞を表す。

あなたのこの夏の計画はなんだろう? 1000個の”mini-brain(s)”(ミニ脳)を検査できるバイオリアクターを設計することでは、たぶんないだろう。バイオリアクターの設計ですら、ないかもね。でもニューヨークの高校生Christopher Hadionoは、それをやった。そして彼の、3Dプリントで作った強力で効率の良いマシンが今、話題になりつつある。

Hadionoがこのマシンを作ったのは、ジョンズ・ホプキンス大学の神経科の教授Hongjun Songの研究室で夏季のインターンをやっていたときだ。SpinΩと名付けられたそのマシンは、Songらが最近の論文で示しているように、安上がりでしかも多芸だ。

ミニ脳そのものは、前からある。それは幹細胞から生成した神経細胞の小さな集まりで、それらを、あたかも発達中の脳であるかのように実験できる。完全ではないが有益であり、多ければ多いほど、良い結果が得られる。

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Hadionoのバイオリアクターのほとんどの部分は、ふつうの3Dプリンターで作れるが、ほかに、実験に必要な精密部品も必要だ。400ドルぐらいでできるから商用製品の2000ドルに比べると安いが、それだけでなく、ずっとコンパクトだから、栄養液の必要量も少ない。かなりの低コストで、標準の培養器の中にそれまでの10倍もの数のミニ脳を置ける。

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Song教授がSpectrum News誌の、自閉症治療技術に関する記事の中で、こう語っている: “ショックだった。バイオテクノロジー専攻の学部学生ですら、これほどのものは作れないだろう”。

Songはそのデバイスをいち早く使ってみた。彼ら研究者たちが専門誌Cellに発表した論文には、SpinΩそのものの工学的詳細(とプリントファイル)だけでなく、ジカ熱の感染と小頭症の関連性をより明白にすると思われる実験も紹介されている。

そのほかの研究室もSpinΩに関心を示し、独自に自作中だ、とSongは述べている。興味を示しているメーカー企業も数社ある。ご心配なく、それは今でもHadionoの作品であり、特許の申請も彼の名前で行われている。

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医療系スタートアップのメドレーが三井住友海上、MRT、グリーから3億円を調達

メドレーのメンバーら。左から2番目が石崎氏、3番目が
5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

医療系スタートアップのメドレーは6月30日、三井住友海上キャピタル、MRT、グリーおよび個人株主を引き受けとする総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

今回メドレーに出資したMRTは、外勤紹介サービスの「Gaikin」、転職紹介サービスの「career」(いずれもMRTのコーポレートサイトで提供)、医局向けサービス「ネット医局」、ヘルスケア情報サイト「GoodDoctors」など、医療従事者向けのサービスを展開している。今後は、ジョブメドレーとGaikinのサービス連携、医師や医療従事者のネットワーク拡大、新サービスの共同開発を進めるとしている。

メドレーは2009年の設立。代表取締役の瀧口浩平氏は家族のがん治療の経験から、医療現場の効率化、情報の非対称性といった課題に気付き、それを改善すべく医療領域で起業した(同士は学生時代にも一度起業しており、これが二度目の起業となる)。

同年11月には医療・介護業界専門求人サイトの「ジョブメドレー」の提供を開始。2015年2月には瀧口氏と小、中学校時代からの友人である医師の豊田剛一郎氏を代表取締役医師として招聘。あわせてオンライン病気事典「MEDLEY」を公開した。また、2015年にはグリー傘下で介護施設の口コミサイト「介護のほんね」を提供していたプラチナファクトリーを株式交換により子会社化している。

同社にはこれまでにウノウ創業者でメルカリ代表取締役の山田進太郎氏やアトランティス創業者の木村新司氏といった個人投資家のほか、East Ventures、インキュベイトファンドなどが出資している。

社員数は現在約60人。役員を中心に、東大医学部卒業生も4人在席している。「2009年に創業した時は、医療分野をやりたいエンジニアなんかいなかった。だここ最近はApple Watchでヘルスケア情報が取得できるようになったりして、医療領域に注目が集まってきている」(瀧口氏)

医療情報の提供、「生半可な気持ちでやっていくつもりはない」

今回の増資を受け、メドレーでは前述のMRTとの協業に加えて、オンライン病気事典MEDLEYおよび医療系人材の求人サイトジョブメドレーのサービス開発を加速するとしている。

MEDLEYでは、医師や医療従事者が執筆する情報を、220人の専門医が校正。一度掲載された情報についても逐次アップデートするという体制を取っているそうだ。「病気を調べるときにパッと思い浮かぶ病気のサイトにしたい。将来的には疾患の基礎情報からQ&Aまでを網羅する。医者1人1人も時間が限られている。診断したあと、(MEDLEYの)URLや印刷物を渡して『聞きそびれ』をなくすようなものにしたい」(豊田氏)。

ここ最近では医療情報サイトもいくつか出ているが、その一部は、情報の信頼性に不安をおぼえるものも少なくない。例えば、ある医療情報サイトで「子宮肉腫」という項目が「良性の腫瘍」と説明されているのだが、実際は「良性の子宮筋腫と間違いやすい、悪性の腫瘍」なのだそう。競合サイトでこういった生死に関わる情報が正しく扱われていない背景を踏まえて豊田氏は前述のコンテンツチェック体制を強調。「サービスを生半可な気持ちでやっていくつもりはない」と語る。

またジョブメドレーも売上は伸びており(グラフを見せてもらったが、金額自体は非公開とのこと)、「採用決定数も競合比較で多くなっている」(瀧口氏)のだそう。

将来的には、遠隔医療分野を支援、効率化するサービスの提供も予定しているという。こちらも具体的な話は非公開ということだったが>、豊田氏いわく「医療は『サイエンスとアート』なんて言われることがある。そのサイエンスの部分をシステムに置き換えて、アート、つまりコミュニケーションなどのために医師が時間を使えるようにしたい」とのこと。

低価格のスマート補聴器メーカー、iHearが日本のブラザー他からシリーズCで500万ドル調達

iHear Medicalはユーザーが自分でカスタマイズ可能な低価格補聴器を開発しているメーカーだが、シリーズCのラウンドで500万ドルの資金を調達したことを明らかにした。このラウンドは上海を本拠としててメディカル機器を中心に投資しているLighthouse Capitalがリードし、日本の大手メーカー、ブラザー工業とアメリカのAmeritas Holding Companyも参加している。

2009年に創立されたiHear Medicalが調達した資金は合計780万ドルとなった。

TechCrunchはこの3月にiHearがIndiegogoで補聴器のクラウドファンディング・キャンペーンを開始したときに紹介している。このキャンペーンではユーザーの状態に合せて調整できるiHearのオンライン診断サービスが受けられる補聴器が199ドルから入手できた。

iHearのファウンダー、Adnan Shennibによれば、iHearは来月にFDAの認可を得られる見通しで、Indiegogoで予約された分の出荷準備は整っているという。Series Cの資金により、2015年の第2四半期までに生産販と販売チャンネルの拡大を拡大する計画だ。これにはiHear自身によるオンライン・ストアの開設も含まれる。またAmeritas保険がパートナーとなり加入者への販売も行われる。その後2016年にはiHearはアジア市場に参入するという。

iHearの目標の一つは、4000万人と言われる聴覚機能に問題を抱えるアメリカ人に手頃な価格で補聴器を提供することだ。アメリカでは聴覚障害のある成人の75%から80%が保険でカバーされないため補聴器をもてないでいるという。iHearは特にこのような層をターゲットにするという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


3Dプリントしたチューブが気道に障害のある赤ちゃんの命を救った

新テクノロジーが得点を挙げた。緊急気道確保のためのチューブを3Dプリントして埋め込む手術によって1年8ヶ月の赤ちゃんの命が救われた。C.S.Mot小児病院の医師たちは赤ちゃんの気道の異常を画像によって確認した後、100個の部品からなる小さいチューブを3Dプリンタで出力し、気道にレーザー手術で埋め込んだ(下のビデオ)。

当初の診察ではこの赤ちゃんは病院を生きて退院できない可能性が十分あるということだった。重症の気管気管支軟化症で、気管がつぶれているために呼吸困難を引き起こすのだ。

医師でミシガン大学の教授であるGlenn Green博士と協力者でエンジニアリングの専門家、Scott Hollister博士は3D出力されたステントを気道に埋め込む手術の緊急承認をFDAから得た。「ステントが装着されると同時に初めて肺が自発的に呼吸を始めた。驚くべき効果だった。これで大丈夫だと分かった」とGreen博士は語る

「生体適応プラスティックはこの目的には理想的だった。成長に伴って気道が正常に発達するまでに2年から3年かかる。その頃にはこの材料は生体に溶け込んで消滅してしまう」とHollister博士は説明する。

最近の3Dプリント技術の話題といえば探知できないプラスティックの銃の話ばかりだが、このテクノロジーが人道的な目的のために使われて成果を挙げている実例を見られるのはうれしいことだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


3Dプリントしたチューブが気道に障害のある赤ちゃんの命を救った

新テクノロジーが得点を挙げた。緊急気道確保のためのチューブを3Dプリントして埋め込む手術によって1年8ヶ月の赤ちゃんの命が救われた。C.S.Mot小児病院の医師たちは赤ちゃんの気道の異常を画像によって確認した後、100個の部品からなる小さいチューブを3Dプリンタで出力し、気道にレーザー手術で埋め込んだ(下のビデオ)。

当初の診察ではこの赤ちゃんは病院を生きて退院できない可能性が十分あるということだった。重症の気管気管支軟化症で、気管がつぶれているために呼吸困難を引き起こすのだ。

医師でミシガン大学の教授であるGlenn Green博士と協力者でエンジニアリングの専門家、Scott Hollister博士は3D出力されたステントを気道に埋め込む手術の緊急承認をFDAから得た。「ステントが装着されると同時に初めて肺が自発的に呼吸を始めた。驚くべき効果だった。これで大丈夫だと分かった」とGreen博士は語る

「生体適応プラスティックはこの目的には理想的だった。成長に伴って気道が正常に発達するまでに2年から3年かかる。その頃にはこの材料は生体に溶け込んで消滅してしまう」とHollister博士は説明する。

最近の3Dプリント技術の話題といえば探知できないプラスティックの銃の話ばかりだが、このテクノロジーが人道的な目的のために使われて成果を挙げている実例を見られるのはうれしいことだ。

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