“人”を軸にイノベーションが生まれるエコシステムの構築へ、スローガンが1.9億円を調達

スローガンの経営陣と投資家陣。前列右から2番目が代表取締役社長を務める伊藤豊氏

人材採用支援を軸に、新産業を生み出すエコシステムの構築を目指すスローガンは4月24日、XTech Ventures、ドリームインキュベータ、一般社団法人RCFを引受先とした第三者割当増資により総額で1.9億円を調達したことを明らかにした。

2005年の創業期よりベンチャー企業の採用支援をメインの事業としている同社だが、近年は若手経営人材向けのコミュニティメディア「FastGrow」やフィードバックに特化したクラウドサービス「TeamUp」など新たな事業にも取り組んできた。

同社の目標はこれらのサービスを繋ぎ合わせることで、新産業やイノベーションが生まれるエコシステムを作ること。スローガンで代表取締役社長を務める伊藤豊氏いわく今回の調達は「共創パートナーを増やすことが大きな目的」で、調達先との連携も見据えながら事業を加速させていきたいという。

なお先に開示しておくと、僕は2011年から2012年にかけて数ヶ月ほどスローガンの京都支社で学生インターンとして働いていたことがある。

2016年の外部調達を機に単一事業からの脱却へ

現在もスローガンの核となっているのが、スタートアップやベンチャー企業などの新産業領域に対して人材を供給する採用支援事業だ。

Goodfind」ブランドを中心に学生インターンから新卒採用、中途採用までの各層でサービスを展開。人材紹介に加えてメディアやイベント、コンサルティングを通じて事業を成長させてきた。

僕がインターンをしていたのもまさにそんなフェーズだったので、ベンチャー企業の採用支援に注力している人材系ど真ん中の企業という印象が強い。少なくとも当時はベンチャーキャピタルなどから出資を受けてエグジットを目指す「スタートアップ」のイメージはなかった。

そんなスローガンにとって1つの転機とも言えるのが2016年8月に実施した初の外部調達だ。

「ベンチャー向けのHR事業という単一領域で約10年にわたってサービスを展開していたが、本気で『新事業創出エコシステムを構築すること』を目標に掲げるのであれば、そもそも自分たち自身が新事業を作れないとダメだという考えもあった。外部から資本を入れることで経営体質を変え、会社として本格的にギアチェンジをしていくきっかけとなったのが2016年の資金調達だ」(伊藤氏)

その際はエス・エム・エス創業者の諸藤周平氏が立ち上げたREAPRA Venturesのほか、社員持株会や数名の個人投資家から1.4億円を調達。そこから既存事業のアップデートに加え、別軸の新サービスが複数生まれることになる。

HR領域のSaaSやコミュニティメディアが成長

フィードバックの仕組みを変えるTeamUpはまさに前回のファイナンス以降にリリースされたプロダクトだ。

もともと社内でインターン生のマネジメントをしていた中川絢太氏が一度会社を離れ、再度戻ってきた際に自身が感じていた課題を解決するツールとして立ち上げたのがきっかけ。スローガンでは同サービスの運営に特化した新会社チームアップを2016年10月に設立し、起案者でもある中川氏が代表を務める。

「(中川氏のアイデアと)当時会社として抱えていた問題意識がちょうど合致した形。採用支援を頑張ってクライアントが優秀な人材を採用できたのは良かったけれど、それ以降のフォローや人材育成のサポートまでは十分にやりきれていないという課題を感じていた」(伊藤氏)

プロダクトとしては360度フィードバックと1on1ミーティングにフォーカスしたニッチなSaaSで、目標管理やOKRの要素を入れる話も出たが、それを捨てて機能を絞り込み開発してきた。スプレッドシートやエクセルに記録していたような情報をクラウド上で効率的に管理できる仕組みを提供することで、営業開始から1年半の間に有料課金社数が100社を超えるところまで育ってきているそうだ。

同じく2017年4月にスタートしたFastGrowも独立した事業部で社内スタートアップ的に運営している。

若手経営人材向けにスタートアップやイノベーションに関する題材を扱った取材記事や考察記事を配信。コンテンツを届けるメディアとしての役割をベースにしつつも、コミュニティとして会員向けのイベントなども定期的に実施している。

最初はてっきりGoodfindにユーザーを送客するためのオウンドメディア的にスタートしたのかと思っていたのだけど、当初から1事業としてグロースさせる目的でスタート。企業がスポンサードする記事広告や有料イベントなどを通じてビジネスとしての土台は積み上がってきているそうで、すでに単月では黒字化も達成しているという。

投資家のXTechともFastGrowを通じて関係性を深めてきたそうで、1月には起業家向けのブートキャンプを実施。1泊2日で13万円の合宿費用がかかる本格的なイベントだが、なかなかの反響だったようだ。

「もともとスローガン自体がベンチャー領域を対象に、マス向けというよりもある程度限られた層の企業・人材に対してどれだけ質の高いサービスを提供できるか追求してきた。FastGrowに関しても根本は変わらない。すでにメディア自体はいろいろなものがあるので、立ち位置を明確にするためにもニッチな層に対して良質なコンテンツを届けることを重視している。最初は本当に事業として成立するのかという声もあったが、思っていた以上に軌道に乗っている」(伊藤氏)

パートナーとの連携で新産業創出エコシステムの強化目指す

前回ラウンドから約2年半、社内で新規事業の創出に向けて取り組んできたことが徐々に成果に結びつき始めた中での今回の資金調達。スローガンでは調達した資金やパートナーとの連携も通じて、新産業が生まれるエコシステムの強化に向けた取り組みを加速させる。

創業時から手がけてきた採用支援領域(キャリアマッチング創出)を軸にしつつも、イノベータ人材自体を増やすための場所としてFastGrowにさらに力を入れる。また企業内でのイノベーションを支えるサービスとしてTeamUpを含む複数プロダクトを手がけていく計画だ。

基本的には上の図の右側にはTeamUp同様に特定のシーンに合わせたプロダクトが複数マッピングされるようなイメージ。反対に左側の部分ではたとえば「FastGrow ◯◯」のような形で、事業を拡張していく構想を持っている。

伊藤氏の中では将来的にFastGrowが1つの大きな基盤に育っていく考えのようで、このコミュニティをより強固なものにしていきたいとのこと。中長期的には月額課金制の有料コミュニティやスクール、法人向けの研修など、オンラインとオフラインを融合させたサービスも検討する。

また複数事業の共通基盤として、Goodfindを始め各サービスで蓄積されたデータや知見を基にイノベータ適性を可視化できるテクノロジーの研究開発も進める方針。研究開発ラボのような機関の設立も考えているようだ。

「Goodfindは就活時や転職活動時など、その時々で使うユーザーが多い。一方でFastGrowはユーザーと日常的に接点を持ち続けられるコミュニティとしてポテンシャルが高いと思っている。現時点では人材採用領域が売上のほとんどを占め、ようやく他の事業が育ち始めた段階。ただ新産業創出エコシステムの構築に向けて、前回の調達から確実に前進できている」(伊藤氏)

今回同社に出資するXTech Venturesやドリームインキュベータのインキュベーション部門は起業家やスタートアップだけでなく、大手企業とのネットワークも豊富。社会事業コーディネーターとして活動するRCFは政府や自治体、大学との繋がりもある。

「本当の意味で新産業創出のエコシステムを作っていく上では、大企業やパブリックセクターと連携していく必要がある。(今回の調達先は)スローガンに足りないパーツを持っているので、その力を借りながら雇用市場における社会課題の解決やイノベーションの創出に取り組んでいきたい」(伊藤氏)

GithubやStack Overflowを毎日モニタして企業が求める人材を探すHireSweet

エンジニアの雇用は非常に面倒な仕事なので、最近はその面倒な部分を人工知能にやらせようとする企業がとても多い。中でもここにご紹介するフランスのHireSweetは、あなたの会社への求職など考えたこともなかった人びとの中に、候補を見つけようとする。

HireSweetはGitHubやStack Overflowなど、技術者たちが多く集まるプラットホームやコミュニティをスキャンして、求める人材を探す。同社が調べるのは、プロフィールの内容などもっぱら非定型データで、それらからデベロッパーをそのスキルやプロジェクト、適応能力などで分類する。そして毎日ユーザー企業の人事部に、選んだ候補のプロフィールを送る。

同社との会話を開始するには、まず同社サイトにあるテンプレート使ってメールを書き、それを送る。あとは、待てば海路の日和あり、毎日同社からの報告を待って、採用候補を選ぶ。

GitHub上で活動が活発なエンジニアは優秀な人が多いけど、彼らは必ずしも新しい仕事を探していない。しかしHireSweetはそこを一歩踏み込んで、ユーザー企業がそんなエンジニアを引き抜けるよう、努力する。

求職者との面接の前にGitHubのリポジトリやStack Overflowへの回答の投稿を調べる企業は多い。でも、それらの調べる作業は、その企業が自分でやろうとすると、たいへんである。

しかしHireSweetは、車輪の再発明をしているのではない。同社は、時間がかかって非効率なプロセスを自動化サービスに変える。それだけでも、良い候補が見つかる確率は高くなる。

同社は最近180万ドル(150万ユーロ)を、Global Founders Capital, Kima Ventures, Bpifrance, TheFamily, およびDavid Bizer, Yannis Yahiaoui, Yves Weisselbergerのようなエンジェルたちから調達した。

HireSweetの今の主な顧客は、Doctrine, eFounders, Deezer, Nokia Health, Sqreen, CallDeskなどだ。今はフランスの企業が多いが、ゆくゆくはアメリカおよびその他のヨーロッパ各国にも顧客を見つけたいと思っている。得られた資金は、そのため…顧客開拓…に使う予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Terminalは海外オフィスを開きたい会社の負担を軽くする

半島に閉じ込められたサンフランシスコ市内での、求人フラストレーションから、Terminalは誕生した。これは海外の人材を活用したい企業のためのプラットフォームだ。まずはカナダのキッチナー、モントリオール、そしてバンクーバーのキャンパスを皮切りに、このスタートアップはこの先世界のグローバル人材が集まる都市に、物理的な旗をできるだけ多く掲げることを目指している。

Terminalは、8VCのJoe Lonsdale、AtomicのJack Abraham、そして元EventbriteのDylan Serotaによって運営されている。そのビジョンは、海外進出のためのターンキーソリューションの提供であり、業務内容としては、技術者の募集と採用から、オフィススペースの提供、書類仕事、そして給与の支払いまでが含まれている。

意図的に、Terminalは対象を、プラットフォームの利点を享受できる会社と、Terminalの用意するオフィスで働くことができるエンジニアだけに限定している。そうした参加の制限を行なう中で、最高の会社と最高のエンジニアを集めることで、Terminalはそのブランド価値を最大化しようとしている。

米国の現在窒息している移民ポリシーを背景に、Terminalはタレントの橋渡しを狙っている。例えば、カナダのエンジニアたちは、ベイエリアでは必要な6桁(10万ドル以上)を上回る給与は要求していない。そしてウォータールーやモントリオールといった町は、有力な大学を擁しており、わざわざベイエリアに引っ越さずともシリコンバレーのスタートアップの経験を積むことを欲している、健康なエンジニアたちも大勢抱えている。

現在多くの企業たちが、最高の国際的才能を確保しようと、カナダでのオフィス開設を行っている。中でもUberFacebookは、不足しているAIと機械学習の人材獲得を狙って、新しいオフィスを最近カナダに開設したばかりだ。Terminalはスタートアップたちを支援するために、有名ハイテク企業から、こうしたリクルーターたちを引き抜いている。

世界には豊富なリソースがあると言っても、小さな会社の文化にとって、国際展開はストレスである。意図をもって成長し、管理できないほど分散したチームは作らないことが肝心だ。

「最初期のころには、会社は1箇所にまとまっているべきです。そして2箇所になり、さらに大きくなって行きます」とLonsdaleは断言する。 「私はスタートアップが、それぞれ少人数しかいないオフィスを、3箇所以上持つべきだとは思いません」。

Terminalの共同創業者たちは、次にオフィスを開く新しい都市について積極的に検討している最中だ。これは資本集約的な活動である。Abrahamは特定のファンディングについては言及しなかったが、同時にグループが十分な資金を手元に持っていることを指摘した。

「私たちは現段階ではイグジットの計画は持っていません」とLonsdaleが付け加えた。「長期的には、そうしたことが必要になるでしょう。そこで私たちはこれを資産として構築しています。会社がどのような投資家たちを迎え入れるかに依存しますが、私たちは投資家たちに通常の流動資産を取得して貰えるようにできます」。

Terminalの15人のフルタイム従業員たちは、これまでに100人のエンジニアのリクルートに成功している。これは従来のリクルーティングファームの3倍の速度だ。Terminalは採用成功人数1人あたりの請求を行い、さらに従業員の給与額に応じて一定の割合で手数料を受け取る。これは業界の標準的なビジネスモデルではあるが、Terminalの請求する割合は高めに設定されている。これはそのサービスアプローチが、物理的なオフィススペースの提供と、バックオフィスサポートを含んでいるためだ。

Terminalの初期顧客は、8VCとAtomicのポートフォリオから選ばれた顧客たちだ。Sequoia、Lightspeed、そしてNEAといった投資ファームたちが、そのポートフォリオの中で国際的な存在感の獲得に興味のある会社たちのために、Terminalと共同でリクルート作業を進めている。最終的にはこれらのVCたちは、Terminalを活用したいスタートアップたちの取捨選択を助けることになるだろう。

原文へ
(翻訳:sako)

Steve Wozniakが教育プラットホームWoz Uでテクノロジー布教者として第二の人生をスタート

Appleの協同ファウンダーとしてSteve Jobsと共に世界を変えたSteve Wozniakが今日(米国時間10/13)、Waz Uというものの創立を発表した。

リリースによるとWoz Uは、学生とその学生を雇用することになる企業両方のための学習プラットホームだ。Woz Uはアリゾナで立ち上がるが、今後はオンラインだけでなく物理的な学習拠点を全世界30以上の都市で展開したい、としている。

最初のカリキュラムは、コンピューターのサポートのスペシャリストとソフトウェアデベロッパーの育成を目的とする。今後はデータサイエンスやモバイルアプリケーション、サイバーセキュリティなどにもカリキュラムを広げていく。

Woz Uの構想は、教育のプラットホームであると同時に、テクノロジー企業のための求人〜教育訓練〜雇用のプラットホームでもあることだ。後者のために企業には、カスタム化されたオンサイトのプログラムと、会員制のカリキュラムを提供する。さらにK-12の児童生徒も対象にして、学区単位のSTEAM教育*プログラムにより人材を育成/発見し、テクノロジー方面のキャリアを育てていく。〔*: STEAM; Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics〕

さらに今後のWoz Uはアクセラレータ事業も導入し、テクノロジー方面の優秀な人材を起業の段階にまで育てていく。

発表声明でWozはこう言っている:

目標は、学生を長年の学費ローン返済で苦しめることなく、雇用に結びつくデジタルスキルを習得させることにある。人びとが往々にしてテクノロジー方面のキャリアの選択を避けるのは、自分にはできないと思い込むからだ。しかしそれは、誰にでもできる。ここでは、誰にでもできることを証明したい。私の全人生は、テクノロジーによってより良い世界を築くことに捧げられてきた。そのためにつねに、教育を尊敬してきた。そしてこれからはWoz Uで、新たなスタートをきりたい。それが今、やっと始まったのだ。

Woz Uは、自分にはテクノロジーのどの分野が向いているかを知るためのアプリを提供する。それによって、自分のカリキュラムを決めればよい。

料金については、まだ発表がない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookが人材募集サイトと提携し求人広告を増やす

Facebookは、オンライン求人市場における自社の野望を隠すつもりはないようだ。同社は、SNSを使った求職活動の促進において業界を支配するLinkedInの牙城に迫る。今日(米国時間9/28)、Facebookはその過程における次の一歩を踏み出した。

今日、FacebookはZipRecruiterと機能連携する。ZipRecruiterは、従来の求人掲示板や、 LinkedIn、Google、Twitterなどのウェブサイトに、企業の求人広告を掲載するアグリゲーションサイトだ。Facebookの目的は、自社の20億人の月間アクティブユーザーをターゲットに、Facebook上の求人広告の数を増やすためだ。

Facebookは今年初めに求人広告の取り扱いを開始し、その後にメンターを探す人と指導する人を繋ぐプラットフォームなどといった、キャリアに焦点を当てた機能を増やすことに関心を示していた。

今回の展開もその方向性と一致している。今まで、Facebookを人材募集に使いたい企業は、Facebookから直接、自社のFacebookページに求人広告を掲載する必要があった。

FacebookがZipRecruiterなどと提携したことで、人材を募集する企業は、今やチェックボックスにレ点を入れるだけで、Facebookや様々な求人掲示板に求人広告を掲載できるようになる。ZipRecruiterなどのアグリゲーションサイトは、このような求人掲示板をまとめており、例として、ZipRecruiterは何百もの求人掲示板を網羅している。

Facebookの求人広告プロジェクトマネージャーGaurav Dosiは、今朝の人材業界のカンファレンスで、この新しい機能連携について発表を行う予定だ。

Facebookのこの動きは興味深い。なぜならこれは、Facebookが求人広告機能のさらなる量と利用方法を求めているだけでなく、自社の力だけでは目的を達成できない可能性があると理解したことを示している。結果としてより対立を生まない、ユーザーフレンドリーな姿勢に至った。

「アメリカの中小企業の40%は、予想以上に人材採用が難しいと答えています。これら中小企業がアメリカ国内の半分近くの労働者を雇用していることを考慮すると、厳しい問題です」とFacebookがTechCrunchに送った声明の中でDosiは語った。「Facebookの目標は、地元の仕事を見つける時や、適切な人材を雇用する時の手間を省くことです。ZipRecruiterとの提携は、このような人々や企業のため、その一連の作業をさらに簡単にする方法の一つです」。

Facebookはこの提携の詳細についてはコメントを控えた。しかし、TechCrunchが理解しているところでは、ZipRecruiterが主な提携先であるものの、独占契約ではなく、Facebookは他の企業とも協力しているようだ。

また、この取引は人材業界全体がいかに細分化されているかを浮き彫りにしている。

「アメリカには4万以上の求人サイトがあり、歴史ある優良企業も気を引くために求人欄で競い合っています」とZipRecruiterの共同創設者兼CEO Ian Siegelは語る。「そのため、Facebookが参入して、1つの求人サイトになるとは言っても…やり方は1つだけではありません」。

しかし、うまくやってのければ、Facebookにとって大きなチャンスになるとSiegelは付け加えた。

SNSは、求人広告において一般的に非常に大きな成果をもたらす。理由の一つは、従業員の人脈を活用することができ、その繋がりから応募する人は一貫した関心を持つ傾向にあるからだ。「SNSは質の高い候補者を送り込んでくれます」とSiegelは言う。「現在の従業員の人脈から来た人たちの質は、保証することが可能です」。また、求人情報におけるノイズが少ない。「その人たちとは、仕事だけではなく、幅広い話題を通して交流しているので、非常に自然な繋がりだと感じます」。

さらにSiegelは、ZipRecruiterを介して広告を出稿する企業の多くはFacebookとの機能連携を求めていたと話す。SiegelとFacebookはどちらも、どちらがこの機能連携を持ちかけたかについてはコメントを控えた。

ZipRecruiterは2014年、1回だけ資金調達を実施している。調達額は6300万ドルだった。今後さらなる資金調達を予定しているかに関しては、Siegelはコメントしなかった。

 

[ 原文へ ]
(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

Google検索がWeb上の求人情報を再整理厳選して紹介、ユーザーによる多様な職種基準やフィルタリングも可能

【抄訳】
職探しはだんだん容易になっている。今日(米国時間6/19)はGoogleが、検索に職探しの機能を導入して、主な求人サイトや求人ページのすべて… LinkedIn, Monster, WayUp, DirectEmployers, CareerBuilder, Facebookなどなど…で仕事を探せるようにした。企業のホームページ上にある求人リストのリンクも、検索結果のページに載る。

これからは、いろんな求人サイトを次々と訪れて、各所に重複があったり、大量の無関係な求人を見る徒労から解放される。

この機能はデスクトップとモバイルの両方で使えるが、今のところ英語のみだ。検索ワードとしては、“jobs near me”(近くの仕事)とか“writing jobs”(書く仕事)などなどと入力し、職探しウィジェットから大量の検索結果を見る。そこからさらに、たとえば“フルタイム(or正規雇用)のみ”などの条件で結果を絞り込む。特定の職に関する情報をクリックに次ぐクリックで掘り下げていくと、GlassdoorやIndeedで企業の格付けを見ることもできる。

仕事を業種や位置、求人情報掲載日、雇用主などでフィルタできる。これでよし、というクェリが完成したら、それに通知機能を付けて、今後の新たな求人をお知らせしてもらえる。

【中略】

その膨大なリストが無駄に膨大にならないために、同じ求人情報の重複は事前に排除されている。そして求人情報のカテゴリー分類は、機械学習のアルゴリズムが行う。既存の求人求職サイトが情報にすでにマークアップを付けていることも多いから、検索はそれも参考にする。しかし求人情報の検索に関しては、SEOは機能しない。求職者に大量の情報、すなわち多くの選択肢を提供することが目的だから、SEOによって結果の上位に出ることをねらっても無意味である。

仕事が見つかったら、その会社の求人ページへ行って応募する。複数のサイトが最終的なクェリにマッチしたときは、もっとも完全な求人ポストの企業へ連れて行く。このようなランク付けは、なるべく詳細で完全な求人情報を企業側に書いてもらうための、インセンティブでもある。

そして実際の応募フォームを書いて入力するときは、Googleはいっさい手を出さない。そこから先は完全に、求職者自身の仕事だ。

Googleがユーザーについてすでに知ってること(例: 釣りが好き)は、職のフィルタリングに用いられない。釣りが好きでも、漁船や釣り船の仕事にありつきたいわけではないからね、たぶん。

Googleは、MonsterやCareerBuilderなどのサイトと直接競合したいわけではない、と明言している。だから現状では、求人者が直接、Googleの職探し機能の上へ自分の求人情報をポストする機能はない(やれば儲かりそうだけど!)。この部門のプロダクトマネージャーNick Zakrasekは曰く、“うちは、うちが得意なことだけをする。つまり、検索をね。既存の求人求職サイトに、繁盛するきっかけを与えたい”。それ以上のものはGoogleの操舵室に存在しない、と彼は付言した。

Monster.comのCTO Conal Thompsonも、声明文でこれと同じことを言っている。“Google検索の職探し機能はうちのやり方と連携しうるもので、いずれにしても(Google検索のこの機能ががあろうとなかろうと)求職者はWeb全域に仕事を探し、検索基準を磨いて自分のニーズに合う情報を見つけるのだ。求人情報の内容や形式は、検索を意識して変えなければならない部分はあるだろう。最大の問題は、今現在SEOに依存しているサイトやページだね”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

再教育こそが新しい人材獲得戦略――テック企業に学ぶ社内教育のメリット

【編集部注】執筆者のPercia SafarはWorkRampのファウンダー。

アメリカ中の企業が、新たなデジタルディスラプションの波に身構えている。昨年だけでも、Amazonは販売スタッフのいないスーパーを立ち上げ、マクドナルドは全てのレジをセルフサービス式のキオスクに置き換えることを決め、さらにCaterpillerは自動運転トラクターの開発に向けて投資を始めた。

AIや機械学習、自動化技術といった新時代を担うテクノロジーを活用して、テック企業が上記のような変化を推し進めるかたわら、これらの先進的なテクノロジーの登場によってこれまでにないほどの数の仕事が失われようとしている。

世界経済会議は、2020年までに製造業やカスタマーサービス関連の業務を中心に500万件もの仕事がなくなると予測している。その一方で、技術的なスキルを持つ人材の需要は満たされることなく増え続けている。特にコーディングのスキルを要する仕事の数は、市場全体と比較しても1.5倍の速さで増加中だ。

より多くの業界で電子化が進み、テクニカルな人材に対する需要が膨れ上がる中、その状況は悪化の一途を辿っている。例えばAT&Tは、28万人もの社員のクラウドコンピューティングやモバイルに関連したスキルを向上させようとしている。もはや彼らはSprintやVerizonだけでなく、GoogleやAmazonとも競合関係にあるのだ。

この状況を受けて、テック業界では既存社員の再教育という新たな施策を打ち出す企業が出始めた。もちろん、コンピューターサイエンスの授業や職業訓練校への投資も長期的にはとても価値があることだが、直近の問題を解決する上で再教育には一定の効果がある。イノベーションの最前線に立つためには、技術だけでなく人材に関してもシリコンバレーのやり方を採用するのが得策と言えそうだ。

求人票を再教育で代替する

これまで企業は、給与や福利厚生を充実させることでテクノロジー人材をひきつけようとしてきた。彼らがテクニカルな職種の給与を吊り上げるあまり、今では給与水準が上位25%の求人の約半数でコーディングスキルが求められているほどだ。そのため、待遇を良くすることでテクノロジー人材を獲得しようとしている企業も、なかなか空いたポジションを埋められないでいる。技術的なスキルを持つ管理職にいたっては、誰かを雇用するまでに平均で100日以上もかかると言われている。

そこで、人材獲得にさらに大金をつぎ込む代わりに、求める人材を自分たちで生み出すための新たな施策を打ち出す企業が誕生し始めた。Boxでセールスエンジニアリング担当VPを務めるMatt Nortonは、ソリューションエンジニアを探す上で1番良い場所は、一般的な人材市場ではなくBoxのカスタマーサポート部門だということに気づいた。

「カスタマーサポートのスタッフをエンジニアとして再教育したことで、空いたポジションをより速く埋められただけでなく、カスタマーサービス部門ですばらしい仕事をしてくれていた社員が持つ、組織やプロダクトに関する知識の流出を防ぐことができました」とNortonは説明する。社内のスタッフが空いたポジションを埋められるようになったことで、他のチームも採用上の問題を軽減でき、これまでよりもスピーディーに人員の増強ができるようになったとNortonは考えている。

他にも、これまで存在しなかったスキルを育むために、新しい教育プログラムを開発した企業が存在する。例えば、Flexportは先進的なソフトウェアで物流業界を変えようと決めたとき、同社の複雑なテクノロジーと何十億ドルという市場規模を誇る物流業の両方をよく知る人材を見つけなければいけなかった。

Flexportの共同ファウンダーでCEOを務めるRyan Petersonは「単に人材市場で条件に合う人を見つけようというわけにはいきませんでした。両方の知識を持ちあわせた人など当時いませんでしたからね」と説明する。

彼らは古風な考えの残る業界を変えようとしただけでなく、従来の社員教育の在り方まで変えようとしたのだ。そのため、Flexportの設立から間もない頃のPetersonは、社員が技術的なスキルを学びつつ運輸業のプロにもなれるような教育方法の開発に多くの時間を費やしていた。

「このハイブリッドなスキルを社員が身に付けてくれたからこそ、私たちは10〜15倍も成長することができたのです」と彼は話す。各業界のトップ企業も技術的な変化の波を乗り越えるために、Flexportのように機知に富んだトレーニング方法を開発すべきだ。

さらに社員の教育やスキルアップに力を入れることで、企業は採用活動時に他社と差別化を図ることができる。エドテックスタートアップのGuild Educationは、Chipotleのような企業をターゲットに社員向けの教育プログラムを統合し、福利厚生の一環としてトレーニングを提供するための手助けを行っている。

「企業が人材の獲得・引き留めに注力する今、新しいスキルを学んだり、キャリアを前進させたりできるような場を社員に与えるのが、何よりも競争力のある福利厚生なのです」とGuild Education共同ファウンダーのBrittany Stichは説明する。彼女は今後教育プログラムが福利厚生の一部として、健康保険や確定拠出年金(401k)と同じくらい一般的になると考えている。というのも、30歳未満のアメリカ人の61%が、キャリアのある地点で新しいスキルを身につけなくてなくてはいけなくなると考えているのだ。

人材市場にいないような人をゼロから育てるにしろ、既存の社員に新たなキャリア上のチャンスを与えるにしろ、さまざまな種類の企業が社員の再教育を人員増強のためのツールとして利用し始めている。

21世紀の新しい労働力

医療業界で言えば患者が病院を訪れる必要がなくなり、小売業界で言えば実店舗の存在意義が薄れるなど、シリコンバレーの企業が仕事の消失の一端を担っているのは間違いないが、同時に彼らはデジタル経済で求められる人材を育てるための新しい教育方法をつくりだそうとしている。他の業界の人たちもすぐに気付くことになるだろうが、新しい時代を生き抜くためには最先端のテクノロジーを開発して、ディスラプティブなビジネスモデルを考案するだけではなく、社員教育や人事制度にも力を入れていかなければならないのだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

企業が大量のフリーランサーを効果的に管理できるプラットホームShortlistが$1.5Mを調達

フリーランサーの管理は、今でもほとんどの企業が、Excelのスプレッドシートを全社的に共有して行っている。Shortlistは、単一のプラットホーム上でフリーランサーやフリーの契約社員と彼らへの支払いを管理できるようにして、その仕事をもっと効率化したい、と願っている。2015年にMartin Konrad(CEO)とJoey Fraiser(COO)が創業した同社は今日(米国時間6/6)、150万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。その投資家はImpulse VC, FundersClub, Alchemist Accelerators、そしてCiscoのイノベーション部門のVP Maciej Kranzなど数名のエンジェルたちだ。

ユーザーから見てShortlistの実体は、会社が自分のニーズに応じて作ったフリーランサーたちのリストだ〔例: 上図〕。Shortlistは大企業の顧客が多くて、彼らは多くの場合大量のフリーランサーとフリーの(独立系の)契約社員を常時抱えている。ただし同社は、中小企業の顧客も少なくはない。

Konradによると、契約社員の数は年々増加している(いわゆるギグ・エコノミー(gig economy)が社会問題になったりしている)。しかし、ほとんどの企業が、彼らを有効に管理するためのツールを持っていない。Shortlistは、フリーランサーの新規採用から、そのバックグラウンドチェック、担当プロジェクトの決定、仕事の割り振りなどの処理を自動化する。

同社の現在の顧客の中には、Publicis Groupe, CBRE, Hays, Roche, AKQA, Western Governors Universityといった有名どころもいる。Konradによると、現在多い業種はメディア、コンテンツ制作プロダクション、高等教育などだ。現在、毎月前月比で20から30%の増加率で顧客は増えている。同社のプラットホーム上で彼らが管理している契約社員の数は、25000人を超えている。

今回新たに得た資金は製品開発、中でもそのプラットホームの経費と給与の管理の部分の改良に充てたい、とKonradは語る。ただし請求書や報酬の支払いの管理、税務関係の書式、タイムシート(出退勤時間記録)、フリーランサーたちの仕事効率のチェック、などの機能は、今でもすでに揃っている。

現時点では、契約社員を募集して雇うのは個々の顧客企業の仕事だが、今後はShortlist自身がフリーランサーたちのマーケットプレースの機能を持った方が良さそうだ、とKonradは考えている。

同社は最近、B2B専門のアクセラレーターAlchemistを卒業した。そのおかげで、Shortlistが、将来顧客になりそうな多くの企業に紹介され、また投資家も見つけることができた。現在、同社の社員は15名で、これまで230万ドルの資金を調達している。

Shortlistの利用は、フリーランサー/独立系契約社員の数が1000名未満、社内のユーザー数が100未満なら無料だ。フリーランサー自身やベンダーのアクセスも、当然無料だ。有料のエンタープライズプロダクトになると、シングルサインオンや、カスタムブランドとそれらの統合化、そして支払いや税の書式(フォーム)などの機能が提供される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業のWebサイトのための“救急医派遣サービス”Loremが$1.1Mを調達、問題への即対応が自慢

中小企業がWebサイトを作りたければ、Squarespaceなどの使いやすいツールを利用できる。でも、でも稼働時運用時に技術的な問題にぶつかったら、どこを頼ればよいのか?

ニューヨークのLorem Technologiesは、そんな空隙を填(う)めようとする。CEOのSam Wilcoxon(上図右)によると、企業はサイトの構築とカスタマイズと問題修復のための、技術と知識がないだけでなく、そんなときに相談できて、助けてくれる人を見つける方法を知らない。

Loremでは、ユーザーが“instant help”ボタンを押してニーズを説明すれば、1分以内に、その問題に適したフリーのデベロッパーやデザイナーを紹介してくれる。企業はチャットや音声でその人たちと話をし、見積もりを取り、自分のサイトへの一時的なアクセスを与える。そのために使用するLoremのプラグインは、目下WordPressとSquarespaceのWebサイトをサポートしている。

WilcoxonによるとLoremは、小さくて早く済む仕事専門で、単価は5ドルから500ドルぐらい、多くは100ドルにもならない仕事ばかりだ。いちばん多い仕事は、Webサイトの壊れた部分の修理や、CSSやJavaScriptによるサイトのカスタマイズ、そのほかのサービス(Google AnalyticsやMailChimpなどなど)の統合などだ。なお、Loremという名前は、穴埋めテキストの“lorem ipsum”に由来している〔日本語〕。

同社の目標は、企業がWebサイトの開発やデザインでヘルプが必要なとき、必ず訪れるサービスになることだ。今現在で、ユーザーの42%が二度以上利用するそうだから、幸先の良いスタートと言える。

協同ファウンダーのCharlie Fogarty(上図左)によると、Loremはユーザーに紹介するフリーの技術者やデザイナーを全員、厳格に検査している。だめな人を紹介すると、Loremの評価を落とし、自殺行為に等しいから。

“いい人にいい仕事をしてもらうと、気分もいいからね”、と彼は語る。

一方フリーの人たちから見ると、営業のようなことをしなくても仕事にありつく、というメリットがある。仕事が発生すると、Loremからの連絡がWeb上ですぐに来る。

Loremは最近、アクセラレーターTechstars Bostonを卒業した。110万ドルのシード資金を、Flybridgeがリードし、Founder Collectiveとエンジェル投資家たち(Constant ContactのファウンダーRandy ParkerやWordPressプラグインW3 Total Cacheの作者Frederick Townesなど)が参加するラウンドで調達した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターンへの支払いが最も良いのはこの会社たちだ

もう5月だ。ということはハイテク企業のインターンシップの決定を行なう窓口が、急速に閉まりつつあることを意味する。Glassdoorが2017年の募集シーズンのデータを反映して、匿名化された給与データを分析し、 2017年の最高賃金インターンシップのレポートを作成した

私たちはそのデータの中からハイテク企業を抽出してみた。並み居る大規模ハイテク企業の中でもFacebookは群を抜いており、そのインターンに対する1ヶ月の平均賃金は8000ドルだった。それを年間賃金に換算すると、9万6000ドルということになる。言うまでもなく、その数字は相当に大きなものだ。

Glassdoorのリストに欠けている、ハイテク企業の主要なカテゴリの1つは、スタートアップだ。DropboxやSnapのような企業は、業界で最も高い給料を支払っていることで知られている。Glassdoor自身のデータによれば、これらの企業は月額9000ドル以上を提供している可能性があり、その場合は年額換算で10万8000ドル以上ということになる。

Glassdoorのレポートを見るときに念頭に置かなければならないことの1つは、すべてのインターンが同じ仕事内容ではないということだ。インターンがコーヒーを淹れたりコピーをとったりしている姿は想像しやすいが、Facebookのような会社は、スタンフォード大で機械学習の博士論文に深く取り組んでいるPh Dの学生たちにインターンシップを提供している。そのような学生たちは、学部のコンピュータサイエンス専攻学生よりも、はるかに高い賃金を要求する。「ソフトウェアエンジニアリングインターン」の募集は、主にこれに向けられたものだが、ここに挙げた数字のいくつかは、何人かの特異値によって膨らんでしまっている可能性もある。

リストを構成している企業のほとんどは、サンフランシスコやニューヨークのような生活費が高い都市に位置している。場合によっては、インターンは完全なパッケージの一部として住居の提供を他の手当と一緒に受けることができる。この場合には夏期賃金の実質額がさらに上昇することになる。

  1. Facebook – 平均月額:8000ドル
  2. Microsoft – 平均月額:7100ドル
  3. Salesforce – 平均月額:6450ドル
  4. Amazon – 平均月額:6400ドル
  5. Apple – 平均月額:6400ドル
  6. Bloomberg – 平均月額:6400ドル
  7. Yelp – 平均月額:6400ドル
  8. Yahoo – 平均月額:6080ドル
  9. VMware – 平均月額:6080ドル
  10. Google – 平均月額:6000ドル
  11. Nvidia – 平均月額:5770ドル
  12. Intuit – 平均月額:5440ドル
  13. Juniper Networks – 平均月額:5440ドル
  14. Workday – 平均月額:5440ドル
  15. Adobe – 平均月額:5120ドル
  16. MathWorks – 平均月額:5120ドル
  17. Qualcomm – 平均月額:5040ドル

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: PETER DAZELEY/GETTY IMAGES

Facebookで職探し―、LinkedInの牙城を崩す新機能

facebook-vs-linkedin

Facebookは、これまでLinkedInが注意を払ってこなかった2つのグループをターゲットに、種々の求人機能をローンチしはじめた。彼らがターゲットにしているグループとは、単純労働者と積極的に職探しをしていない人たちだ。昨年TechCrunchがテスト中にあったのを報じたこの機能によって、FacebookはLinkedInの成長を妨げるばかりか、彼らから広告収益の一部を奪うことになるかもしれない。

新機能を使えば、ビジネスアカウントを持っている企業は、Facebookページのステータスアップデート機能を使ってフィード上に求人票を投稿できるほか、「Jobs」タブにもその情報を掲載できる。一方求人票を見たユーザーは、「Apply Now(今すぐ応募)」ボタンを押せば、Messengerを通じてその仕事に応募できる。応募にかかる時間をできるだけ短くするため、応募者の名前や写真は、Facebook上の情報から自動的に抽出されるようになっている。この機能は、アメリカとカナダの全てのビジネスアカウントで順次利用できるようになる予定だ。

jobs-desktop-mobile-experience

Facebookは求人票を広告としてフィード上に流すことで、新機能から収益をあげることもできる。さらにユーザーが求人票をシェアしたり、仕事を探している友人を求人票にタグ付けしたりするようになれば、企業は採用プロセスを効率化できるようになる。

Facebookで広告・ビジネスプラットフォーム担当ヴァイスプレジデントを務めるAndrew “Boz” Bosworthは、同社が「ユーザーが普段の生活の中で、もっとFacebookを有効活用するにはどうすればいいか」というのを考えていたと話す。そんな中Facebookは、小企業が採用に悩んでおり、ほとんどの人が現状の仕事に満足していたとしても、もっと給与が高くて良い仕事があれば転職する気があるということに気付いた。

これはLinkedInが満たせていないニーズだ。同社のサービスは、中規模以上の企業で高いスキルが求められる仕事を積極的に探している人たちの間では人気を博している。

しかしパートタイムの仕事やアルバイトを探している人にとって、学歴や履歴書を重視するLinkedInの仕組みはハードルが高いと考えられている。しかもLinkedInは、一度にたくさんの仕事に応募したいと考えている人には向いていない。その上、現在仕事をしていない人や、転職先を積極的に探していない人には、そもそもLinkedInを訪れる理由がないかもしれないのだ。

一方、LinkedInがターゲットにしていない人や、彼らを採用したいと考えている企業は毎日Facebookを利用している。そして投稿や広告という形で求人票が色んな人のフィード上に広まることで、転職を考えていなかった人にもその情報が伝わる可能性もある。さらに「Apply Now」ボタンのおかげで、ユーザーはいつも通りFacebookを使うような感覚で、簡単に求人へ応募できる。

16344637_1831852097027364_8648633785480380416_n

しかしこの機能にはひとつ問題がある。職探しをしている人の中には、雇用主がソーシャルメディアを通してバックグラウンドチェクをすることを恐れている人もいるのだ。Facebook経由の応募によって、雇用主は以前よりもバックグラウンドチェックをしやすくなるかもしれない。

この点についてBozは、新機能に関する調査を行ったところ「驚くほど好評」だったと話す。高いスキルが求められる、有名企業の人気ポストへ応募するような人は、ソーシャルメディアを使ったバックグラウンドチェックを恐れているかもしれないが、「カジュアルな職探しをしている人は、空いているポジションに片っ端から応募しています」と彼は言う。

最終的には求人に関する情報をユーザーの教育水準や職歴に応じて分類し、関連性の高い情報を表示することも検討しているとFacebookは話す。さらに同社が本機能を改良していけば、求人票を出している企業の社員や、求人票を見ている人が、自分の友だちでその仕事に合いそうな人を紹介できるようになるかもしれない。また求職者からの応募を受け取るチャンネルとしてのMessengerの人気が高まれば、採用担当者が応募情報をうまく処理するためのツールのニーズも高まってくるだろう。

facebook-jobs-applications

とはいえ、とりあえず今のところのFacebookの作戦は、(Microsoft傘下の)LinkedInがこれまで放置していた人に対して求人情報を届けるということだ。「求職者の3分の2は現状何かしらの職に就いています」とBozは話す。「彼らは良い情報が入ってきたら反応しますが、自分からいつも仕事を探しているわけではありません」

LinedInは採用に主眼を置いたソーシャルサービスとしてはナンバーワンかもしれないが、そのユーザー数は4億6700万人と、Facebookの18億6000万人には遠くおよばない。さらにFacebookのユーザーは何らかの目的で毎日Facebookを利用しているため、新機能のおかげで自分でも気づいていなかったような夢の仕事に関する情報をたまたま目にし、実際に応募することになるかもしれない。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

安定雇用による再犯率低下を目指して刑務所内でプログラミング教育を展開するThe Last Mile

アメリカの刑事司法がぶっ壊れていることは、今や公然たる事実だ。全国で220万人の人が刑務所や拘置所にいるアメリカは、刑務所/拘置所人口が世界最大だ。本誌がトークショウ・コンテンツBullishを提供するのは昨年の5月以来久しぶりだが、今回はTransmedia CapitalのゼネラルパートナーでThe Last Mileの協同ファウンダーChris Redlitzに、テクノロジー業界が刑事司法の改革のために果たすべき役割について聞いた。The Last Mileはサンクエンティン刑務所の中にあって、入所者に起業の心得やプログラミングを教えている。

“アメリカの刑務所の大きな問題は、出所しても仕事がないため、累犯率(再犯率)が60%以上もあることだ。彼らは、前と同じことをして、刑務所に舞い戻ってくる”、とRedlitzは語る。“彼らが、雇用してもらえるスキルを身に付けることがきわめて重要だから、刑務所でプログラミングを教えることにした。プログラミングは、雇用者がもっとも求めるスキルのひとつだからだ。したがって、学習者のモチベーションも高い”。

The Last Mileはこれまで、出所者のテクノロジー企業への就職のお世話もしてきたが、その多くは初期段階のスタートアップだ、とRedlitzは語る。

“今の刑務所は、大きな人材プールでもある”、とRedlitzは述べる。“この事業を始めてから分かったのは、才能や資質はあるのに道を踏み外してしまった人が、とても多いことだ。だから、すこし教育訓練を施せば、彼らは雇用されうるし、今日のテクノロジー企業に多くの価値を加えることができる”。

SlackのCEO Stewart ButterfieldとFacebookのCEO Mark Zuckerbergがサンクエンティンに来て、The Last Mileの事業に参加している人びとを見ていった。“彼らはここで行われていることをよく理解したから、求職者が刑務所を出たばかりの人であると分かっても、もう驚かないだろう”、とRedlitzは言う。この二つの企業はまだThe Last Mile出身者を一人も雇用していないが、感触としては彼らは前向きだったそうだ。

“まだまだ時間はかかる”、とRedlitzは語る。“現状は、理解と納得の前の議論の段階だ。でも将来的には良い結果になることを、確信している”。

先週トランプ大統領は、刑事司法に関する三つの大統領令を発令した。それらは、防犯体制の強化と、暴力団の取り締まり、そして警官への暴行の罰則強化だった。でも、刑事司法の仕組み全体をコントロールできるのは連邦政府だけなのに、これらの大統領令の具体的な中身と効果が現状では曖昧だ。でも、トランプのやることの中にThe Last Mileにネガティブな影響が及ぶものはない、と Redlitzは考えている。

“嬉しいことに、刑務所人口のうち連邦の管轄下にあるものはわずか10%だ。多くは各州の司法の下にあり、そしてカリフォルニア州はわれわれがやっていることを積極的に支持している。知事のJerry Brownも個人的に支持してくれているから、トランプ大統領になって何かが悪い方へ大きく変わる、とは考えられない”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

世界のソフトウェア技術者たちは、いま幾ら稼いでいるのか?

cola-salaries

ハイテク従事者のための求職プラットフォームを提供しているHiredの、データサイエンスチームが、新しい研究を発表した。そこにはサンフランシスコ在住のソフトウェア技術者の収入が、米国の他の都市や世界のそれに比べて高いにも関わらず、生活が段々苦しくなっている様子が示されている。

28,000件のインタビュー要求と、Hiredプラットフォーム上で5000社以上の企業から4万5000人の求職者に提供された仕事に基き、Hiredのデータチームはベイエリアのソフトウェア技術者の平均年収は、13万4000ドル(2月10日時点で約1500万円)であると算出した。これは国内のどのソフトウェア技術者よりも高額だ。これに続くのがシアトルで、エンジニアに対し平均で12万6000ドルを支払っている。ボストン、オースティン、ロスアンゼルス、ニューヨーク、およびワシントンD.C.を含む他のハイテクハブでは、ソフトウェア技術者たちは、平均11万ドルから12万ドルの年収を受け取っている。

しかし高額のサラリーが、「シリコンバレー」や特にサンフランシスコの、驚愕すべき額の家賃や、高騰する生活費に対して十分かと言えば早計だ。実際、HiredのリードデータサイエンティストであるJessica Kirkpatrickによれば、生活費を加味すると、今やサンフランシスコはソフトウェア技術者たちにとって、最も賃金の安い場所の1つなのである。彼女の分析によれば、オースティンの技術者の平均年収である11万ドルは、テキサスの広大な州都での使い勝手を考えると、ベイエリアの技術者に換算して19万8000ドルに相当する。同様のことはオーストラリアのメルボルンでも成り立つ。ここではソフトウェア技術者は相対的に低額の10万7000ドルを受け取っているが、サンフランシスコでの給与に換算すると15万ドルに相当する。

実際に、Hiredによれば、サンフランシスコ以外のマーケットの「求人候補の多く」が、移住候補者を引き寄せ雇用しているということだ。Kirkpatrickによれば、オースティンでは、求人の60%はテキサス州外の人びとによって満たされている。

(新しい都市に移住しようとする候補者たちは、多くの場合、地元の候補者たちよりも(Hiredによれば)給与が高くなるということにも留意すべきだ。特に、ヨーロッパ、カナダ、そしてアジア市場でこれは顕著で、驚くべきことに非地元候補者たちは、地元候補者たちに比べて、57%も高い収入を得ることができる場合があるのだ)。

偏見がもたらす給与差

Hiredの研究では、16の主要都市におけるデータサイエンティストやプロダクトマネージャーの給与とその時系列に沿った変遷といった、他のデータも探求されている。しかし、私たちの強い興味を惹くのは、給与や雇用慣行に対する偏見の影響に焦点を当てた、また別のセクションだ。これはHiredがおよそ1年前から、求職候補者から集め始めたボランタリーなデモグラフィックデータで、候補者の属性が求める給与と、受け取った給与にどのように影響しているかを分析したものだ。

もちろん、偏見は目新しい話ではない。実際、求人サイトであるIndeed.comによって火曜日にリリースされた調査結果によれば、ハイテク分野における米国の労働者の4分の1は、人種、性別、年齢、宗教、性的嗜好に基づく差別を感じていると述べている。女性回答者の約29%が差別を経験したと述べているが、男性回答者の場合は21%である。一方、白人従業員の22%が差別を感じているのに対し、アジア人と非白人の従業員は32%が差別されたと述べている。

Hiredの新しい調査が明らかにしたのは、偏見が日常の出来事だけでなく、給与にも反映されているということだ。そのデータによれば、例えば、黒人のソフトウェア開発者たちがエンジニアリングロールに応募して11万5000ドルを受け取るのに対して、同レベルの経験を持つ白人候補者たちの場合は12万5000ドルを受け取っている。

ラテン系とアジア系のソフトウェア技術者たちでも、平均してこの数字は白人に比べて少し低い。平均してそれぞれ12万ドル、12万2500ドルとなっている。

また若い候補者も、熟練候補者よりは低額になる傾向があるが、年齢に対する給与のピークは45歳で、その先は低下が始まっている。特に、Hiredプラットフォーム上では、25歳から30歳の求職候補者は、平均して10万2000ドルを得ることになることに対し、45歳の求職者は14万ドルを得ることになる。しかし、50歳から60歳の間の候補者の場合、給与は13万ドルへと低下する。

「その理由の一部は、(高齢の従業員は)旧式の技術に対して訓練を受け専門化しているからですが…」とKirkpatrickは語る。「しかし同じような職種を探す場合でも、この傾向は同様なのです」。45歳を超えた技術者たちは、加齢に対する対価を支払うことになる。

1つ興味深い捻れが観察されている。雇用する企業は多様性の価値に気が付つつあるようなのだ。すなわち、黒人候補者は白人候補者よりも明らかに低い給与を受けるものの、プラットフォーム上では黒人候補者の人気は高く、白人候補者よりも高い確率で雇用されるのだ。

Hiredによれば、残念ながら、ラテン系やアジア系候補に対しては、これは成り立っていない。

完全な報告はここで読むことができる。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

リアルタイムで人事評価 ー ReflektiveがシリーズBで2500万ドルを調達

Having a meeting over a cup of coffee

年末年始の休暇も終わり、多くの会社で一年で最も嫌な出来事が起きようとしている。人事評価のことだ。Reflektiveは苦痛に感じる人が多いこのプロセスを、社員の日常のワークフローに組み込みつつ、もっと気軽でやる気を失わないようなリアルタイムの評価システムに置き換えようとしている。2015年にAndreessen Horowitがリードインベスターを務めたシードラウンドで360万ドルを調達した同社は、2016年にもLightspeed Venture Partnersを中心とするシリーズAで1300万ドルを調達していた。

そして本日、ReflektiveはシリーズBでさらに2500万ドルを調達したと発表した。シリーズAに続き、今回もLightspeedがリードインベスターを務め、Andreessen Horowitzもラウンドに参加していた。

現在TwilioやBraintree、Thumbtack、CreditKarma、Digital Ocean、Udacity、Nutanixなどが、Reflektiveのサービスを利用している。総顧客数は約200社にのぼり、昨年の70社から大幅に増加した。この成長スピードや、これまで大企業に勤めたことがある人であれば誰でも共感できるようなサービス内容で、Reflektiveは投資家の注目を集めている。

ReflektiveのCEO兼ファウンダーのRajeev Beheraは本日の発表の中で、同社に興味を持っている投資家は多数いたが、最終的にLightspeedのNakul Mandanを中心とするインサイドラウンドを行うことに決めたと語った。

「LinkedInやGlassdoorが存在する今、各業界のトップ企業にはやる気のない社員を放っておく余裕はありませんし、彼らは事務処理のような人事制度ではなく、本当に人材開発に重きを置いた制度を必要としています」とMandanは声明の中で語った。「そこでReflektiveは、マネージャーと社員が互いにリアルタイムでフィードバックを送り合い、各企業のミッションに沿って個々の能力を伸ばせるような素晴らしいシステムを開発しました。彼らの凄まじい成長や輝かしい顧客リストが、Reflektiveのソリューションがトップ企業の心をうまく捉えているということを物語っています」

もちろんReflektiveと同じパイを狙っている企業は他にも存在する。BetterWorksZingHRSynergita以外にもそのような企業はたくさんあるが、それぞれのプロダクトは違う機能を備えていたり、評価・リテンションプロセスの異なる箇所に力を入れていたりする。

Beheraによれば、Reflektiveは今回の調達資金を使って、社員からの継続的なフィードバックや連絡を促進すると共に、ひとりひとりに合った方法でリアルタイムに社員のエンゲージメントを高めるような新しいプロダクトを開発していく予定だ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アメリカの大学生が有名テック企業のインターン・新卒給与実態調査を実施

Man taking money from wallet

ひどく給与の低いインターンシップから、在シリコンバレー大企業の伝説的なサインボーナスまで、待遇に関するさまざまな情報が飛び交っているため、求職者はテック業界での自分の価値をうまく把握できないでいる。特に初めて就職する人にとってはなおさらだ。

Purdue Universityでコンピューター・サイエンスを専攻している学部生のJesse Collinsは、自らの手でその実態を明らかにしようと決心し、今日のテック業界のジョブオファーや有給インターンシップの内容を調査するため、学部生や最近大学を卒業した人からデータを収集した。

そしてCollinsは、この調査の中間集計を今週こちらのGoogle Spreadsheet上で発表したのだ。この表には、色々と面白い情報が含まれている。

例えば、これまでに集まった19人の回答者の情報によれば、Facebookの平均初任給は年間10万9526ドルで、ここにサインボーナスとして平均7万9737ドルもの大金が加わる。なおこの給与は、iOSディベロッパーやフルスタックディベロッパー、ソフトウェアエンジニア、ネットワークエンジニアといったテクニカルな職種が対象となっている。

また、31人の回答者によると、Googleにおけるテクニカルな職種の平均初任給は、年間10万7000ドル+2万7327ドルのサインボーナスとなっている。

さらに22人の回答者の情報を平均すると、Microsoftの初任給は年間10万7455ドル+2万6591ドルのサインボーナスだった。

自己申告の給与とボーナスの情報を職種別に見てみると、ソフトウェアエンジニアやディベロッパーは、UXデザイナーやセールスエンジニアに比べて、年間何万ドルも多い給与を受け取っている。

また、公務員の給与は民間企業の給与に比べてかなり低いと思われているが、Collinsの調査によれば、行政機関のテック部門で働くエントリーレベルのエンジニアやディベロッパーの給与は、シードステージやシリーズAのステージにあるスタートアップで働く同職種の人よりも実は少し高い。

ここで忘れてはいけないのが、FacebookGoogleのような一部の大企業は、学部・院生両方に対してインターンシップのポジションを用意しているほか、博士号取得者や職歴のある人をエントリーレベルの職種で採用している可能性もあるということだ。これが、高額な年収やインターンシップの給与に反映されている可能性がある。

Collinsは昨年からこの調査に取り掛かりはじめ、就職やインターンが決まった人たち対して、オファーの内容や、学歴や性別といった個人情報の一部を聞いて回った。

「私は、職探しや給与交渉全般に関する情報を、もっとオープンにしたいと思っていました。また、調査結果が人種バイアスや男女の給与格差といった問題を防ぐきっかけになればと考えていたんです」と彼は話す。

中間集計の結果によると、最近大学を卒業してテック系のエントリーレベルの仕事に就いた女性は、平均して同じ状況の男性よりも高い給与を受け取っているようだ。女性回答者の平均年収は10万5000ドルから14万2674ドルだった一方、男性回答者の平均は9万9767ドルから10万5000ドルだった。

しかし同じ調査から、株式や給付金、サインボーナス、年俸など全てを勘案しても、Facebook、Google、Twitterに新卒で入社した女性の給与は、男性よりも低いということが分かっている。

さらに女性の採用数は男性よりも少なく、性別を明記した回答者のうち、新卒でテック系の仕事についた女性の割合は14%だった。

Collins以前にも、テック業界でどの仕事にどのくらいの給与が支払われているかに関する調査を行った人は存在する。

特筆すべき例としては、ハーバード大学で経済学を教えるClaudia Goldin、インターンシップにフォーカスした調査をU.C. Berkeley在籍中に開始した20代のソフトウェアエンジニアRodney Folz、さらにLinkedIn、CareerBuilder、Glassdoorといったリクルーターや求職者を顧客に持つ企業などが挙げられる。

自分のことを機械学習と統計オタクと表現するCollinsは、前述のスプレッドシートは最終版ではなく、これまでに集まったデータだけではテック業界の給与やバイアスに関する一般的な結論を導くことはできないと読者に注意を促している。

また、データは回答者が自己申告したもので、給与は地域ごとの物価を反映していないほか、Collinsは雇用主である企業とデータの照合を行っていない。

2016 New Grad & Internship Offer Dataと名付けられたこの調査では、大学生と最近の卒業生を対象として、ジョブオファーやインターンシップに関する情報を提供してくれる回答者を引き続き募集している。

TechCrunchは、給与やその他の情報の妥当性を確認するため、調査で名前の上がった数々の企業とコンタクトをとったので、何か新たな情報を受け取り次第、この記事をアップデートしていく予定だ。なお、Facebokの広報担当者からは、従業員の待遇に関してはコメントしないという旨の連絡を受け取っている。

一方Collinsは、Purdue University卒業後に、Curalateのシアトルオフィスでフルタイムのソフトウェアエンジニアとして働くことになった。しかしプレスインタビューの中で彼は、自身の給与を開示する求めには応じなかった。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

人材サービス・テクノロジーのイノベーションの歴史

gettyimages-601929590

【編集部注】執筆者のMichael Overellは、RecruitLoopのCEO兼共同ファウンダー。RecruitLoopは、企業がスマートな採用活動を行えるよう、人材サービス企業のオンラインマーケットプレイスを運営している。

「今を理解するためには、過去について知らなければならない」- カール・セーガン(Carl Sagan)

2016年は人材業界にとって大きな分岐点となる。同業界で最も有名なテック企業3社のうち、LinkedInとMonsterが買収され、CareerBuilderも売りに出されている。さらにMicrosoftが人材業界に華々しく参入し、多額の資金を持った既存プレイヤーは横からその様子を眺めている。

そしてその余波は、企業のファウンダーや投資家、サービスプロバイダーから求職者にまで届き、業界全体に影響を与えている。では私たちにはどんな変化が起きるのだろうか?

この記事では、歴史的な観点から人材業界の情報を整理していく。業界が過去20年間でどのように変わってきたかというフレームワークを提示することで、ファウンダーや投資家、人材業界で働く人に、現在進行中の大きなトレンドを理解してもらうと共に、今後の活動の参考にしてもらうのが目的だ。

変化の波

人材業界はディスラプションを起こすには格好の標的だ。何千億ドルものお金が毎年使われている一方、非効率的なビジネスモデルで多くの人が苦しんでいる。しかし何千ものスタートアップが何十億ドルという資金を調達しているにも関わらず、構造的な業界刷新の様子は一枚の紙の上にまとめることができる。

そして根本的な採用活動の流れは、テクノロジーの変化にも関わらず、驚くほど変わっていない。今日でも20年前のように、候補者集めをした後に面接などの選考プロセスを踏み、誰かがそのプロセスを管理しているのだ。

以下のフレームワークでは、3つの変革期に沿った人材業界の重要な変化が描かれている。矢印は変化の”方向”を表しており、どこから新しいモデルが誕生したかが分かるようになっている。例えば、求人情報サイト(Indeedのようなサービス)は2000年過ぎに誕生し、オンラインの求人掲示板を大きく変えた。

unnamed-4

出典: RecruitLoop

このフレームワークでは、人材業界のバリューチェーンが一般化されており、業界全体に影響を与えていない何千ものスタートアップやイノベーションについては省略されている。そして、新たなビジネスモデルが誕生しても、それ以前のものが使い続けられている場合もある(求人掲示板はいまだに広く使われている)。しかしこの図を見れば、いつどのように有名企業が誕生したのかという文脈を掴むことができる。

詳細に入る前に、過去20年間に起きたイノベーションは全て水平方向(左から右)に起きており、その影響はバリューチェーンの各ステップにとどまっていることに注目してほしい。

2016年中にこの状況が全て変わろうとしている。

人材業界のバリューチェーン

現在の人材業界を形作っている大きなトレンドの話をする前に、まずは、バリューチェーンの各ステップを特徴付けるビジネスモデルや企業について見ていきたい。理解を促すために、ここでは人材採用のプロセスが、候補者探し、プロセスの追跡、プロセスの実行、という3つのステップに簡素化されている。

候補者探し

unnamed-3

全ては新聞からはじまった。候補者を探したい企業は、紙の新聞の広告スペースにお金を払っていたのだ。これはシンプルで効率的な一方、値の張る手段だ。そこでインターネットが登場する。

第一波:オンライン求人掲示板。オンライン求人掲示板は1990年代後半に誕生し、新聞や印刷メディアからユーザーを奪っていった。MonsterCareerBuilderCraigslistが代表例で、彼らは雇用主と求職者両方のために、求人広告や求人検索を完全に作り変えたのだ。そして、明らかにディスラプションのターゲットとなっている一方で、求人掲示板はいまだにアメリカの雇用の10〜15%を支えている。

第二波:能動的・受動的な候補者。2000年代半ばにはソーシャルネットワークによって、求職者が能動的・受動的というふたつのカテゴリーにわけられた。求人掲示板は能動的な候補者のためのものだったが、広告主が獲得・購入できるトラフィックの量が限られていた。そこでIndeedは、他のウェブサイトの求人情報をまとめることに商機を見出し、”ペイパークリック”の求人広告を導入した。その後求人情報まとめサービスは、能動的な候補者探しの主要なモデルになり、現在でもアメリカの社外からの雇用の58%を支えているほか、2012年にはこのサービスに可能性を感じたリクルートがIndeedを買収した。

2016年は人材サービス・テクノロジー関連企業にとって別れ目の年になるだろう。

しかし、この期間を特徴づけた企業はLinkedInだった。LinkedInは候補者の情報をオンラインに移行させることで、受動的な候補者探しという新たなカテゴリーを生み出したのだ。今ではある人が求人に応募したかどうかに関わらず、誰でもその人の情報を確認できる。これまで人材紹介会社は、”自分たちの”データベースを利用することで、雇用主よりも多くの情報を握っていた。しかしそんな時代は終わりを迎え、必要なスキルやツールを持っている人であれば、誰でも候補者の情報を手に入れられるようになったのだ。

第三波:企業のブランディングと候補者探索ツール。求人掲示板モデルは、企業のレビューという出処の違うデータの登場によって、すぐにその地位が危ぶまれることになった。Glassdoorは、ユーザーが生み出すコンテンツの力をExpediaやYelpから学び、その手法を応用して人材業界に参入した。その後すぐにIndeed風のまとめサービスが追加されると、Glassdoorは最速の成長スピードを誇る求人サイトへと進化し、アメリカの求職者の約50%が就職活動中に一度はサイトを訪れるほどになった。

それと同時に、全く新しいツールやテクノロジーの誕生によって、受動的な候補者探しも採用活動のひとつの形として認められるようになった。この時期の最も重要なイノベーションが、ウェブ上のさまざまなサービスに登録されている候補者の情報をまとめた人材サーチエンジンだ。Connectifier(現在はLinkedInの子会社)やTalentBin (現在はMonsterの子会社)のほか、数十という数の企業が今もシェアを争っている。

プロセスの追跡

unnamed-2

採用管理システム(ATS=Applicant Tracking System)は、採用活動向けのCRMだ。ほとんどの企業は、時代遅れの使いづらいテクノロジーから抜け出せずにおり、現在使っているシステムは好きではないが、必要に駆られてしかたなく使っている。

第一波:オンプレミスATS。ATSは1990年代に、ソフトウェアの注目カテゴリーとして現れた。その頃に使われていた他のソフト同様、ATSは顧客のサーバーにインストールされ、企業での利用を前提としていた。その代表例がTaleoで、同社はその後上手くSaaSモデルへと(第二波で)移行し、結局Oracleに19億ドルで買収された。そしてTaleoは今でもATS市場のシェアの36%を握っている。

第二波:Saasへの移行。2000年代初頭に起きたソフトウェア全般のSaaSへの移行を受けて、”ウェブファースト”のATSという新しいカテゴリーが誕生した。JobviteiCIMSといった新たなプレイヤーがシェアを拡大していく一方、OracleやSAPといった規模の大きな既存のプレイヤーは、人材関連ソフト一式を揃えるために買収活動を加速させた。

第三波:新種の誕生。その後顧客が求めるものに変化が起きた。当時のエンタープライズ向けソフトは、効率性や魅力に欠けていたのだ。そして、ユーザーフレンドリーでモバイルファースト、他のシステムとの連携が可能で技術的負債の無い、新しい種類のATSが誕生した。ここ数年だけでも、1億ドル以上がGreenhouseLeverSmartRecruitersWorkableといった新たなプレイヤーに流れ込んでいる。今でもこの分野では激しい競争が繰り広げられており、勝ち抜くためにはイノベーションと積極的な営業・マーケティングを組合せていかなければならないだろう。

プロセスの実行

unnamed-1

20年間におよぶテクノロジーの変遷にも関わらず、いまだに採用活動の予算のほとんどは、社内外の人材サービスにつぎ込まれている。

人気の”革新的なリクルーター(disrupting recruiters)”という考えにも一理あるが、そこには3つの重要な要素が欠けている。(a)社内外を問わず誰かがツールを利用して採用プロセスを管理しなければいけないということ。(b)人材サービス企業にもさまざまな種類や専門があるということ。(c)人材サービス業自体で既に大きなイノベーションやディスラプションが起きているということ。

第一波:人材サービス企業にとっての”ゴールドラッシュ”。1990年代から2000年代半ばは、人材サービス業を営む企業にとってのゴールドラッシュだった。自分たちが所有しているデータから生まれた情報の非対称性を利用して、企業からお金をとることができたのだ。この頃は、さまざまなプレイヤーが人材業界に参入し一攫千金を狙っていた。多くの人材サービス企業は、ルールがほとんどないような売上重視の環境に社員を置き、その結果、企業のオーナーは金持ちになり、中には上場する企業までいた。

第二波:インハウスとRPO。2000年代半ばから後半のあいだに、ゴールドラッシュの影響を受けてふたつの相反するトレンドが生まれた。ひとつめは採用活動の内製化で、LinkedInの人気やその他のテクノロジーの誕生によって、多くの企業が外部の人材サービス企業への支出を減らし、自分たちで採用活動を管理しはじめた。この頃に、企業内の採用チームへの移行という大きなトレンドが誕生し、それまで人材サービス企業で働いていた採用担当者の多くが別の企業に移っていった。彼らは新しい環境でも”採用活動”を行っていたが、サービスを提供する企業は1社だけで、多くの場合以前よりも安定した環境に身を置くことができた。

そしてふたつめが、採用活動のアウトソース(RPO=Recruitment Process Outsourcing)だ。採用活動の内製化と同じ時期に、多くの企業が、採用機能全体をアウトソースすることで、採用チームの生み出す価値を安価に得られることができると気付いたのだ。例えばRandstadに買収されたSourcerightや、ADPに買収されたTheRightThingのように、この分野で早くから活躍していた企業は、既存の人材サービス企業に吸収されることになった。そして現在この分野のリーダーとなっている独立系の企業には、プライベート・エクイティ・ファンドから多額の資金が集まっている。例えばCieloWilsonHCGには、それぞれKKRとFrontier Capitalが投資している。RPOは現在30〜40億ドル規模の市場へと発展し、さらに毎年10%も成長している。しかし一般的にRPOは高くつくことから、主な顧客は採用ボリュームの大きな大企業に限られる。

第三波:専門化と個人事業主の登場。過去5年間の技術的なイノベーションの結果、採用担当という仕事が再形成されていった。候補者をみつけだしてコンタクトをとる際の技術的な部分にフォーカスした候補者探し専門の企業が、人材サービス企業とは別のカテゴリーとして誕生したのだ。それと同時に、個人事業主で採用活動を請け負う人たちが現れ、社内と社外の間の境界線がぼやけだした。採用サービス(および候補者探し)を提供する個人事業主は、新しいツールやプラットフォームを使いながら、柔軟な価格設定(時給、プロジェクトベース、成約ベースなど)で、今ではさまざま方法を用いてビジネスを展開することができる。その結果、雇用主である企業は、コストを下げるとともに採用活動の柔軟性を高めることができるようになった。

次の波

上記のトレンドが収束し、2016年は人材サービス企業にとって別れ目の年となる。次の波が人材業界を襲おうとしているのだ。2016年は統合の年になるだろうか?イノベーションの年になるだろうか?その両方だろうか?以下に、人材業界の今後10年以上を形作っていくであろう問いと共に、既に起きつつある4つの変化をまとめた。

大手企業の新規参入

Microsoftは260億ドルでLinkedInを買収し、積極果敢に人材業界へ参入していった。両社の事業統合には時間がかかることが予想されるが、この買収は業界全体に広く影響を与えることになるだろう。Microsoftの影響で、他の大手企業も人材業界への参入に興味を示すことになるのだろうか?

SalesforceやGoogle、FacebookもLinkedInの買収を検討していたことは周知の事実だが、特にSalesforceは長い間人材関連テクノロジーに興味を持っていた。Microsoftの参入によって、彼らの気持ちはくじかれてしまうのか、それともさらに高まるのか?

さらにその他にもOracle、SAP、IBMといった”忘れられた”巨大企業が存在する。彼らは豊富な資金力を持ち、人材業界での競争における本命である一方、人材関連テクノロジーにおける次のイノベーションの波に乗り遅れる可能性もある。

彼らのような巨大企業や、他の企業はどのように人材業界へ参入することができるだろうか?

バリューチェーンに沿った垂直統合

Randstad(世界第2位の人材サービス企業)は、Monsterを買収することで、世界で1番カバー範囲の広い人材サービスのポートフォリオを構築しようとしている。これが大型垂直統合の初めて例というわけではなく、以前既にリクルートグループがIndeedを買収していたが、RandstadとMonsterの事業統合の可能性を考えると、最も影響力のある垂直統合になりえる。

なお、垂直統合は他の分野でも起きている。

求人の枠を超えて投資を行っている、求人掲示板を運営する大手企業の例が以下だ。

  • CareerBuilder – ATS企業を買収予定
  • Monster – RPO企業を買収予定
  • SEEK – 新サービスの開発および新サービスへの投資

さらに、テクノロジーとサービスを混ぜ合わせたモデルが誕生している。

  • Hired – 人材サービス業とテクノロジープラットフォームの掛け合わせ
  • Indeed Prime – 怪しいほどHiredに似たIndeedの新サービス

さらにATS企業は、事業領域の拡大や統合を行うことで、採用活動全体を管理しようとしている。

既存の人材サービス企業や旧来のビジネスモデルは、垂直統合型のモデルとどのように戦って行けばいいのだろうか?

ソリューションの細分化

業界リーダーの間では合併や統合が進んでいる一方、人材関連のソリューションを提供するスタートアップの数は爆発的に増えている。以前に比べて、ずっと簡単かつ安くテック企業を始められるようになったことから、人材市場はファウンダーや次なる目玉を狙う投資家で溢れかえっているのだ。

unnamed

新しいスタートアップが提供しているソリューションの多くは、事業というよりも一機能のように感じられ、彼らはそのうちピボットもしくは撤退することになるだろう。また、人材業界で働いている人や人材サービスの利用者にとっては、サービスの種類の多さから、雑音を断って本当に採用活動の助けとなるサービスをみつけだすのが、今まで以上に難しくなっている。

今後スケールしそうな新しいテクノロジー・イノベーションとは何だろうか?

人材サービス企業の専門化

採用活動や候補者集め、ヘッドハンティングなどを行う旧来の人材サービス企業が、テクノロジーを利用したソリューションと競合することで、彼らの利益が減少する恐れがある。そのため、多くの企業が価格設定やビジネスモデルを変更しつつある。1番の手立ては、業界や地域、採用プロセスの段階に応じて専門性を高めていくことだろう。

逆に多方面でサービスを提供している企業は苦しむことになるだろう。冒険ができない既存プレイヤーも置いてけぼりにされてしまう。技術的な統合が進み、競争が激化している環境では、多くの企業がそこから撤退するか消え去る運命にあるのだ。

既存の人材サービス企業は顧客を保って利益を守るため、どのように差別化を図れば良いのだろうか?

この記事では上記の問いに対する答えは提示しない。本記事の目的は、あくまで人材業界の歴史的な文脈や、現在業界を騒がせている主要なトレンドをまとめることなのだ。ただ一つ言えるとすれば、2016年は人材サービス・テクノロジー関連企業にとって別れ目の年になるということだ。

あなたにはどのような影響があるだろうか?

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

採用プロセスのゲーミフィケーション

WE ARE HIRING, vector. Card with text in hands. Message on the card WE ARE HIRING, in hands of businessman.  Isolation on background. Vector illustration flat design style. Template.

【編集部注】執筆者のRyan Craigは、University Venturesのマネージング・ディレクター。

約800万人のアメリカ市民が職を求めている一方、およそ600万件の求人が未だ掲載されていることを考えると、労働市場にはまだテクノロジーの力によって良い意味でのディスラプションが起きていないと言って良いだろう。

実際のところ、多くの企業がテクノロジーのせいで採用活動が以前より難しくなっていると感じている。というのも、全求人の約85%がオンライン上で公開され、それぞれに何百人もの応募者が殺到しているが、彼らの大部分が似通った資格(=学歴)を持っており、違いを見出すのが困難なのだ。そんな状況で採用担当者は、採用管理システム(ATS)がキーワードをもとにフィルタリングした、使えなくはないが極めて不正確な候補者リストに頼らなければならない。

ATSのフィルタリングを経た候補者の数が、例えば20〜30人だとした場合、同じくらいの数のフォールスポジティブ(誤検知)やフォールスネガティブ(見逃し)が発生している可能性が高い。つまり雇用者と応募者どちらにとっても、採用ゲームは負け戦の感があるのだ。

その影響を1番受けているのが、人員不足が深刻でかつ旧来の経歴や学歴に基いたフィルタリングが機能しづらい業界だ。コーディング業界はその2つを併せ持った典型例だと言える。各企業は新たな採用チャンネルや判断要素を探し出し、候補者数を増やしたり、より効率的に候補者を選別したりしようとやっきになっている。そこでCodinGameやCodeFightsといった企業が、ゲーミフィケーションを通じて採用活動の楽しさや喜びを取り戻そうとしている。

これまでインターネット上で、Uberのエンジニアよりうまくコーディングができるか尋ねられたことはあるだろうか?これがCodeFightsの叩きつける挑戦状だ。サンフランシスコを拠点とし、設立から2年が経った同社は、候補者の経験を問わず、アルゴリズムデータベースフロントエンドなど、数十種類の分野に渡る何千件ものコーディングチャレンジを提供することで、採用プロセスにゲーム要素を取り入れようとしている。

候補者は、ボットや他の候補者を相手に時間制限ありのコーディング対決ができるほか、Code Arcadeで自分のペースに沿ってスキルを磨くこともできる。チャレンジや対決、(”チャレンジ達成によるドーパミンの連鎖”に起因した)即座に得られる満足感など、通常のビデオゲームでも重要な要素を備えたCodeFightsには、候補者を教育すると同時に、彼らを集めてフィルタリングする目的がある。

そしてゲームで好成績を残した候補者は、じょうご状の採用プロセスを回避することができる。その証拠にCodeFightsによれば、通常の採用プロセスでは30人に1人しか採用されないのに対し、CodeFightsを経由した候補者の5人に1人が採用されている。

image003

どうやら候補者側も他の候補者を飛び越えられる仕組みを気に入っているようで、CodeFightsの発表によれば、先月の総チャレンジ数は150万件におよび、利用者の数も前クォーター中は毎月倍々ゲームで増加していた。

採用プロセスのゲーミフィケーションによって、企業はこれまでの学歴や経歴に基いた採用をやめることができる。特にコーディングの分野では、General AssemblyGalvanizeのようなブートキャンプの急激な台頭が示す通り、旧来の学校は企業側の需要についていけていないことから、新しい採用プロセスが必要とされている。

その結果、候補者はどの学校に行ったかではなく、何ができるかを基に評価されることになる。この新鮮で公平な評価体系が採用されれば、今よりも多様な候補者が集まる可能性が高い。なお、CodeFightsを通じて採用活動に参加した候補者のうち、80%は有名大学を出ておらず、サンフランシスコやニューヨークといった主要テック都市以外の出身だ。

さらに今までのCodeFightsを経た候補者のうち30%が女性で、これはシリコンバレーの平均の3倍だ。CodeFightsのサービスによって、トランスジェンダーの人もエンジニア職に就くことができた。またUber・Asana・Dropbox・Thumbtack・Evernoteといった企業が、これまでにCodeFightsを通じて社員を獲得してきた。

そして採用プロセスのゲーミフィケーションによって影響を受けるのが、コーディング業界だけというのは考えづらい。CodeFightsのファウンダー兼CEOのTigran Sloyanは、客観的に測ることのできるスキルが必要な業界において、ゲーミフィケーションこそが未来の人材募集・選定の手段だと信じている。彼の言う業界には、会計や財務など規制下にある、もしくは免許制になっている認定試験の必要な業界全てが含まれている(医療業界も例外ではない!)。

その他にも、デザインのように即座には客観的な評価ができないものの、クラウドソーシングによってパフォーマンスについての正確な評価が比較的迅速にできるような業界もその対象だ。「30年前であれば、経歴をスキルと読み換えても問題ありませんでしたが、高等教育を終えた後の人に対してもさまざまな機関やソースから素晴らしい教材が提供されている今では、その常識は通用しません。私たちは21世紀中に経歴主義に別れを告げ、スキルベース採用の時代へ入っていくことを祈っています」とSloyanは語る。

CodeFightsのようなゲームが私たちの強みに関する情報を今後形作っていく、というのは想像に難くない。さらに、学校を卒業して仕事を探しはじめるまでには、皆そのようなゲームに取り組みはじめているだろう。大学を卒業したばかりの人が過去10年間にこなした宿題の量を考えてみてほしい。もしも全ての宿題がゲーム化されていれば、その学生は膨大な数の差別化された強みを持って、終わりのない候補者の列を飛び越えることができていたばかりか、そもそもちゃんと宿題をやっていただろう。

CodeFightsと違って、宿題からは即座に満足感を得られなければ、対決や新たな発見もない。そのため、高等教育やそれ以後の教育サービスを提供する組織は、今後コースワークや宿題をゲーム化していくことになるだろう。

採用プロセスがゲーム化するにつれて、テクノロジーが採用活動のハードルを下げていくことが予想される。そして企業と候補者は、採用ゲームがもはや負け戦(=The Crying Game)ほど悲しい(もしくは予想外な)ものではないことに安堵のため息をもらすことだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

PinterestがGoogle出身のイメージサーチの専門家を、エンジニアリングヘッドとして迎えた

pinterest

Pinterestは、Googleのイメージサーチのヘッドを務めていたLi Fanを、エンジニアリングの新しいヘッドとして雇用したと発表した。

Pinterestの最も特徴的な技術は、検索によるものか従来のフィードに由来するものかに関わらず、写真内のオブジェクトを検索し、その技術を使って利用者に最も相応しいコンテンツをランク付けて表示するというものである、そうしたプロダクトを検索するユーザーは、ほぼ間違いなくそれを購入したいと考えている。それが意味することは、利用者の関心と商用プロダクトの両方に対して、提示されるプロダクトが重要だということだ。

Pinterestの商取引に対する野望が拡大するにつれ、このことはますます重要になっている。ユーザーに写真内のオブジェクトを検索する機能を提供すれば ‐ たとえユーザー自身が撮影したものであっても ‐ それは購入にとても興味のあるプロダクトへと彼らを導いてくれる。その意味で、Pinterestのビジュアルサーチ(Pinterest自身が他のものより素早く抜きん出たものになろうとしてきたもの)はマーケティング担当者にとって、ユーザーを購入の瞬間により引き寄せるために使える最高のツールの1つになりつつある。

PinterestのエンジニアリングのヘッドのLi FanPinterestのコンテンツのほとんどはビジネスから来ている、プロモーションコンテンツだったりユーザーが単にプロダクトをサービスに対してまとめて投稿したものだ。その結果、マーケティング担当者が自身のプロダクトを様々な状況 ‐ ランダムに見たり、検索したり、保存して購入したり ‐ 下でユーザーの前に提示することを助ける幅広い宣伝ツールを、Pinterestは用意している。

またPinterestは、プロダクトを宣伝するマーケティング担当者と、Pinterestユーザーの両方を対象にして、ビデオに焦点を当てた新しい一連のツールも提供し始めている。驚くことではないが、それらの製品のコアコンポーネントとして、動画内の要素に対するビジュアルサーチツールが開発され続けている、そしてビジュアルサーチの専門家でスタッフを強化し続けることが、そうした努力への鍵となるだろう。

同社のエンジニアリングの前ヘッドだったMichael Lopp(2014年6月入社)は、 今年初めの4月中旬に同社を去っている 。過去数年間で去って行ったのはLoppだけではない。同社のモバイルならびにプロダクトエンジニアリングのヘッドとして10ヶ月働いたMark Smallcombeの例もある

Fanは過去8年ほどGoogleでシニアエンジニアの役割を果たしたが、その前はBaiduの検索担当副社長だった。

ということで、最終的にこの人事は驚くようなものではないのだ。しかし興味深いのは、表向き静かな1年を過ごしてきた後で、Pinterestがとても積極的な買収と雇用に乗り出したように見えることである。同社は最近InstapaperHighlightの開発チームを獲得した、沢山のより小さな会社に関しては言うまでもない。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

シリコンバレーでは、スタートアップ経験が履歴書代わりになりつつある

WE ARE HIRING, vector. Card with text in hands. Message on the card WE ARE HIRING, in hands of businessman.  Isolation on background. Vector illustration flat design style. Template.

編集部:筆者のSaeid FardはCrunch Network Contributorで、Sokanuのデジタル・デザイナー兼プロダクト担当。

エンジニア5人とその仲間が集まってエンジェル投資をいくらか募り、スタートアップを設立したと思ったら、ほとんどもしくは全く収益もないまま1000万ドルで売却。一体どういうことなんだ? ありがちな解釈ならば、ITバブル、思慮のない”アクハイヤー”(買収による人材獲得)、あるいは不合理な共同幻想ということになるだろう。

しかし、もう少し大きな視点から見れば、たとえば超一流の人材が報酬を得る方法が根本的に変化したとか、何か別の現象なのかもしれない。

約10年前、最後のITブーム以前には、最も優秀な新卒学生はウォール街でキャリアをスタートしたものだった。今日では、ますます多くの新卒者が、アメリカの新たな経済的中心地であるシリコンバレーに照準を合わせている。そこでは理想主義や「世界を変えてやろう」というカルチャーを押し出してはいるものの、実際にはウォール街と同様、優秀な若手を魅了する金と権力への約束がまん延している。

両者の似通った点はそれだけではない。テクノロジーの世界でも、成功は売上規模と短期での投資回収にかかっている。何十億ドル規模のヘッジファンドの運営陣は、5~6人程度のことが多いのと同様に、2~3人のエンジニアで何十億ドルも生み出すプロダクトを開発することができる。これら2つの産業はどちらも労働効率が非常に良い。よく言うように、優秀なエンジニア1人は、良いエンジニア10人分に匹敵するのだ。

効率の追求は、一流の人材を獲得するための巨額のインセンティブにつながり、その結果、皮肉にも使えない人材を高い費用で雇ってしまうことになりがちだ。今こうして技術革命の黎明期にあるシリコンバレーは、いうなれば「開拓時代の西部の荒野」のようなものだ。大企業が生き残りと長期的な市場シェアをかけて戦いを繰り広げる世界では、どの人材を雇うかはずっと先まで影響をもたらし続ける重要事項だ。

しかしテクノロジー業界は金融業界とは異なり、価値ドライバー、つまりエンジニアやデザイナー、その他プロダクト担当者を評価し、能力に見合った報酬を出すのはもっと難しい。MBA用語的に言えば、これはバンカーやトレーダーがレベニューセンター(収益に責任を負う部門)なのに対して、エンジニアとデザイナーがコストセンター(費用だけが集計される部門)であることが原因だ。金融業ならば社員の純益への貢献は簡単に評価が可能で、スター社員を見分けたければ「いくら儲けたか見せてみろ」と尋ねれば済む。

一方でエンジニアの場合、プロジェクト全体への貢献や、プロジェクトの成功が事業の存続にどれだけ貢献したかをはっきりと測るのは困難だ。トレーダーの場合なら、先の取引で上げた利益がその人材の価値になる。では「インフラストラクチャ分析チーム在籍の某エンジニア」の価値は一体どれだけだろうか。

どの人材を雇うかは、ずっと先まで影響をもたらし続ける重要事項だ。

テクノロジー業界は、いまだにエリート人材への報酬はどうあるべきかを模索中だ。なぜなら、これまでにコストセンターが業界全体の収益に対して影響力をふるったことなどなかったからだ。たとえば製薬業界の場合でも、事業の命運はプロダクト(の研究開発)にかかっている。しかし製薬関連でスタートアップを立ち上げる手間とコストは一般に高すぎるため、ガレージで何かを作るようなことは不可能だ。その結果、研究開発チームの貢献度は高くても、経営側に対する発言力は高くはならない。

こうした事情と背景は、興味深いインセンティブ・システムを創りだした。雇用側は一流の人材を確保したいし、高額な報酬も喜んで支払う気でいるが、情報の非対称性とエリート社員の持つ交渉力の問題がある。世界中のGoogleのような企業は、業界トップレベルのプログラマーになら法外な金額を支払うことができるし、実際にそうするだろう。しかし、たとえばスタンフォード出の新卒学生の場合になると能力自体は測定不能なので、その人材が今後トップ・プレイヤーになるかは「予測」しかできない。しかし少なくとも、100万ドルの契約金を正当付けるだけの説得力がないことは明らかだ。

テクノロジー業界では、頭が良くて野心のある若手へのインセンティブは、従来の労働モデルと同列に考えることはできない。大手企業に入社して、実力を証明したり、自分の価値が認められるよう社内政治に精を出したりすることに何年もの年月を費やしたとしても、本来桁外れであるべき報酬が十分に支払われない可能性も高い。だが代わりにスタートアップを立ち上げて成功すれば、一生分の給料をものの数年で稼ぐこともできるだろう。

スタートアップの評価は、売上のような従来型の指標に依存しないことも特徴だ。なぜなら、そもそもスタートアップというものは、事業やプロダクトとしての成熟など全く意図していないからだ。最高のケースでは、もっと大きな企業の製品ラインナップにニッチなプロダクトとして加わり、営業チームが代わりに広めてくれる。最悪のケースでも、その人材がプロダクト開発ができることの証明にはなるだろう。スタートアップでの経験は「生きた履歴書」となり、採用時には履歴書と実力のギャップを縮めてくれるだろう。

このようにして、スタートアップは人材市場の空洞を埋めはじめている。「スタートアップを立ち上げる」という行為そのものが、自分は雇われる価値があると証明し、自らが創出した価値をさらに増幅するための影響力を得る手段になるのだ。企業側としても、人材の過去の実績そのものは入手できなくても、だれかが何年もかけて開発したプロダクトと、それを生み出した頭脳を活用する権利は獲得できることになる。

では、スタートアップがたどる最も一般的な道のりとはどのようなものだろう? 率直に言うなら、それは「失敗」だ。さまざまなサクセス・ストーリーはあっても、大成功を収めるビジネスはほんの一握りだ。加えて、どのスタートアップも口をそろえて自社の使命や世界の変革のようなことを振りまくけれども、ファウンダーの多くはただ単に何百万ドルかを稼いで、自分のエゴと財布を満たしたいだけなのだ。

注目を浴びる大ヒット・ビジネスのたどった道のりだけを見てスタートアップの価値を判断したならば、シリコンバレーで起きていることの多くは正気の沙汰には見えないだろう。けれども一部のスタートアップを人材市場にとっての「機能の追加」として捉えるなら、少しは理にかなっているかもしれない。

画像提供: ANASTASIIA_NEW/GETTY IMAGES

原文へ

(翻訳:Ayako Teranishi / website

Atlassianのユーザー企業はJIRAから直接フリーランスを求人できる…Upworkの統合で

atlassian-white-blue

Atlassianの主力製品であるプロジェクト管理サービスJIRAが、JIRAから直接簡単に、フリーランスのマーケットプレースであるUpworkに求人をポストできる機能を今日(米国時間8/25)ローンチした。

JIRAとBitbucketの成長策担当Sean Reganによると、“どの企業も、会社の外には優秀な人材がたくさんいるからね”、という。しかしどの企業も、小さなスタートアップはとくに、そのとき必要な人材(しかも優秀な人材)がたまたま社内にいることは珍しい。JIRAがUpworkを統合したことにより、これからは、JIRAでボタンをクリックすれば、求人の書式がUpworkのマーケットプレースへ自動的に提出される。

Reganによると、この機能は技術者でないファウンダーにとっても便利だ。フリーランスの人にプロジェクトの最初のバージョンを作ってもらって、その後、本格展開する、というやり方を選べる。“プロジェクトが順調に動き出して資金調達もシリーズBぐらいまで行ったら、人を雇ってもいい。でも最初から多くの人を雇うと、墓穴を掘ることになるね”、と彼は主張する。

video-1-1280

UpworkのCEO Stephane Kasrielも、この考え方に賛成だ。彼によると、小企業は機能リクエストやバグフィックスのバックログをたくさん抱えて、身動きできなくなってしまうこともある。そんなとき、フリーランスが助っ人になってくれるだろう。彼曰く、AtlassianとUpworkがJIRAをめぐってパートナーするのはこれが初めてではない。Upworkのクライアントはすでに、JIRAのチケットをUpworkのアカウントにリンクして、フリーランスの空き時間を利用できる。またUpworkのメッセージング機能を利用して、フリーランスがBitbucketにコードをチェックインしたときアップデートを受け取れる。

KasrielとReganの両人が挙げるおもしろいアイデアは、大企業も今ではフリーランスの起用のメリットに目覚めつつあり、しかもソフトウェア開発だけでなく、アドミン的な仕事でもその傾向がある。だから、“うちらのパートナーシップ(のようなもの)の効用に、そのうち大企業も気づくだろう”、というのだ。そのためにはもちろん、両社の知名度の向上も必要だ。

当面、Upworkの統合を利用できるのは、AtlassianがホストしているJIRAの上のみだ。Reganは、そのうち自社ホストのバージョンでも利用できるようにしたい、と言っている。しかしJIRAは中小企業のユーザーが多いから、大企業への浸透はそう簡単ではないだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))