16年間のご愛読ありがとうございました。

以前よりお伝えしていたように、本日3月31日をもってTechCrunch Japanは記事の更新を停止します。これまで16年という長い間ご愛読いただいた読者のみなさまに感謝をお伝えしたいと思います。

今後、TechCrunch Japanがスタートアップに関する情報を読者のみなさまに提供することはなくなりますが、もちろん、日本のスタートアップ業界は今後も成長を続けていくでしょう。そこでみなさまには最後のお願いがあります。すでにご存知の方も多いとは思いますが、元TechCrunch Japanチームの平野武士氏が率いるBRIDGE(ブリッジ)は、TechCrunch Japanのようにスタートアップに関する様々なニュースを日々伝えています。また、元TechCrunch Japan副編集長の岩本有平氏が率いるDIAMOND SIGNAL(ダイアモンドシグナル)は、スタートアップやその起業家を深堀りした記事を配信しています。スタートアップだけではなく、大手企業の情報も含めて知りたいという方々には、藤井涼氏が編集長を務めるCNET(シーネット)もおすすめです。読者のみなさまにはぜひ、今後もこれらのメディアを通じて日本のスタートアップに関する情報に触れ、スタートアップや起業家のみなさんを応援していただきたいと思うのです。2006年にTechCrunch Japanが生まれたことでスタートアップ業界に関心のある人が増え、そして、閉鎖したあともその数が減らないとすれば、それこそがTechCrunch Japanが存在した意味となるからです。私たちチーム一同にとってそれ以上に嬉しいことはありません。

最後になりますが、TechCrunch Japanチームを代表して、皆様に御礼申し上げます。本日まで16年間、長い間ご愛読いただき本当にありがとうございました。

【レビュー】アップルStudio DisplayのNano-textureガラスは効果大、Windowsでも使ってみた

Mac Studioと「Studio Display」。セットだとやっぱりかなりバランスのいい組み合わせだ

Mac Studioと「Studio Display」。セットだとやっぱりかなりバランスのいい組み合わせだ

3月18日、Mac Studioとともに発売されるのが「Studio Display」だ。

Mac Studioと組み合わせることを強く意識した商品だが、もちろんほかのMacと組み合わせて使うこともできる。

各種機能のクオリティはどうなっているのか、Mac Studioとの組み合わせだけでなく、Windows PCにつないで使ったときの動作も含めて検証してみた。

Nano-textureガラスは効果大、5Kを生かすなら有用

Studioディスプレイにはいくつかのモデルがあり、購入時にカスタマイズするのが基本となっている。ディスプレイとしての仕様は表面加工以外同じで、スタンドなどの仕様変更が中心だ。

基本はアンチグレア加工の「標準ガラス」で、傾きを変えられるスタンドが付いている。

そこに、より微細な表面加工で反射を防ぐ「Nano-textureガラス」を使ったモデルがあり、さらに「傾きと高さを変えられるスタンド」、そして「VESAマウント」から選ぶ。

Appleの購入ページより。スタンドは3種類から選ぶ

Appleの購入ページより。スタンドは3種類から選ぶ

今回テストしているのは「Nano-textureガラス」を使い、スタンドは傾きだけを変更できるタイプのもの。これでも価格は24万2800円なので、相当に高価なディススプレイである。

今回使っている「Nano-textureガラス」採用モデル。かなり強く光を当てても、反射はこのくらい

今回使っている「Nano-textureガラス」採用モデル。かなり強く光を当てても、反射はこのくらい

サイズは27インチ。解像度は5K(5120×2880ドット)だが、ミニLEDなどを使った「ローカルディミング」は行なっていない。トップ輝度は600nitsで、いわゆる10ビットカラー対応となっている。

27インチなのでパッケージサイズはかなり大きい。上に置いているiPad Air(10.9インチ)と比較するとイメージが湧きやすいだろう

27インチなのでパッケージサイズはかなり大きい。上に置いているiPad Air(10.9インチ)と比較するとイメージが湧きやすいだろう

パッケージから取り出すのも一苦労。この辺はiMacにも通じる

パッケージから取り出すのも一苦労。この辺はiMacにも通じる

まず使って感じたのは、Nano-textureガラスの効果の高さだ。

いわゆるアンチグレアだと色が拡散する効果が出てしまい、精彩感と発色が落ちやすい。そのため、テレビにしろディスプレイにしろ、「光沢仕上げ+薄膜の反射低減コーティング」というものが多いのだが、仕事で使う場合、反射はない方が疲れにくい。

Nano-textureガラスによるコーティングは、精彩感・発色を落とすことなく反射をほぼ感じられないレベルへと軽減してくれる。

MacBook Pro 14インチと並べて。光沢仕上げのMacBook Proとは、映り込みの状況が全く違う

MacBook Pro 14インチと並べて。光沢仕上げのMacBook Proとは、映り込みの状況が全く違う

実のところ、輝度の突き上げを含めたHDR感では、ミニLEDを使っている14インチMacBook Proのディスプレイの方がいい。発色は同等だと思う。

だが、どこから見ても反射がない、画面が消えてもおっさんが映り込まないという点では、圧倒的に快適だ。

画面を表示した上で、斜めから。Studio Displayは映り込みなくすっきり見えるが、MacBook Proだとそうはいかない

画面を表示した上で、斜めから。Studio Displayは映り込みなくすっきり見えるが、MacBook Proだとそうはいかない

このコーティングは汚れがあると効果が落ちる。一方、表面に傷をつけても効果が落ちるため、柔らかく、汚れが落ちやすいもので拭く必要がある。

そのため、このモデルには「Apple ポリッシングクロス」が付属する。1980円と高価であることから「しんじゃのぬの」なんて皮肉で呼ばれたりもする、あれだ。Appleはこの布で拭くことを強く推奨している。

付属の「Apple ポリッシングクロス」。ネタにされがちだが、とても使いやすく、品質が良いクロスだ

付属の「Apple ポリッシングクロス」。ネタにされがちだが、とても使いやすく、品質が良いクロスだ

今回初めて使ってみたが、確かに非常に使いやすく、手触りも良かった。

とはいえ、同様のマイクロポリッシングクロスはもっと安く売られているので、追加で買うのは好き好きかと思う。まあ、Nano-textureガラス版のStudio Displayを使っているなら、積極的に使っていくべきなのだろう。なにしろ付属していて、サポート対象なのだから。

カメラやマイクを内蔵、接続は「USBデバイス」として

Studio Displayはただのディスプレイではない。昨今のビジネス向けディスプレイのトレンドを反映し、「多機能化」している。

上部・下部にはスピーカーが内蔵され、上部中央にはカメラとマイクが入っている。

上部・下部にはスピーカーのための穴が。音はかなり良い

上部・下部にはスピーカーのための穴が。音はかなり良い

上部中央には12メガピクセルのカメラとマイクが。ノッチはない

上部中央には12メガピクセルのカメラとマイクが。ノッチはない

インターフェースはThunderbolt 4の入力が1つだが、そこからUSB Type-Cが3つつなげられる。入力のためにつないだ端子からは96Wでの電源供給も行える。すなわち、MacBook Proなら電源ケーブルを接続する必要がないわけだ。

本体を横から。電源は本体中央につながる

本体を横から。電源は本体中央につながる

3つのUSB Type-C端子と、Thunberbolt 4端子がある。ディスプレイに接続するときにはThunberbolt 4端子を使うので、1入力になる

3つのUSB Type-C端子と、Thunberbolt 4端子がある。ディスプレイに接続するときにはThunberbolt 4端子を使うので、1入力になる

重要なのはカメラやマイク、スピーカーの存在。macOS側から見るとわかりやすい。

カメラやスピーカー、マイクはそれぞれ「USBデバイス」として接続され、OS側から利用可能になっている。だから、色々なアプリから特に意識することなく使える。

macOSのサウンド設定から。マイクやスピーカーはUSBデバイスになっているのがわかる

macOSのサウンド設定から。マイクやスピーカーはUSBデバイスになっているのがわかる

macOSのサウンド設定から。マイクやスピーカーはUSBデバイスになっているのがわかる

以下の動画は、Mac版のZoomから「センターステージ」を使ってみたものである。自分の動きに合わせ、きちんとフレーミングが追従しているのがわかるだろう。

これらの制御には「A13 Bionic」が使われており、実質的に、ディスプレイの中に独立したデバイスが組み込まれているような構造になっている。A13 Bionicが入っているといってもiPhoneやApple TVの機能を持っているわけではなく、各デバイスの制御用SoCとして使っている形のようだ。

音もいい。空間オーディオ楽曲を再生すると「広がり」をしっかり楽しめる。ただし、低音は強いがちょっと響きすぎるところもあり、その辺は好みが分かれるかも、と感じた。

Windowsにもつながるが、フル機能は生かせず

と、ここで気になる点が一つ。

USBデバイスとしてつながっているということは、Mac以外につないだらどうなるのだろうか? AppleがサポートしているのはMacとiPadだが、Windows PCをつないだらどうなるのだろう?

答えは「意外と普通に動く」。

Thunderbolt 4端子でつなげば、Windows PCでも普通にディスプレイとしては使える

Thunderbolt 4端子でつなげば、Windows PCでも普通にディスプレイとしては使える

デバイスマネージャーから見ると「デバイス方向センサー」が動いていないが、カメラもマイクもスピーカーも、一般的なデバイスとしてつながり、利用できる。表示ももちろん問題ない。

デバイスマネージャーを表示してみた。カメラやマイク、スピーカーはUSBデバイスでつながっているが、「デバイス方向センサー」が動いていない

デバイスマネージャーを表示してみた。カメラやマイク、スピーカーはUSBデバイスでつながっているが、「デバイス方向センサー」が動いていない

Windows版のZoomでもカメラとして認識できた。ただし、「センターステージ」は動かない

Windows版のZoomでもカメラとして認識できた。ただし、「センターステージ」は動かない

すべての機能が動いているわけではない。

「センターステージ」はWindowsでは動いていないし、Siri連動も当然使えない。また、今後ファームウエアのアップデートがあっても、サポート外のWindows PCからアップデートできるとは限らない。

サポート外なので、このくらい動けば御の字……というところではないだろうか。

HDMI非対応で「1入力」をどう見るか

全体的にみて、Studio Displayは好ましい製品だ。画質も良く、音もいい。デザインも、Mac Studioと合わせて使うのにちょうどいい。

一方で、今のPCディスプレイのトレンドを考えると、ちょっと不満な点もある。

入力が実質1系統である、という点がまず気になる。特に、HDMI入力がない点だ。

PCディスプレイやテレビだと、複数のデバイスをつないで切り替えて使ったり、同時に2出力で画面を分割したり、という機能があるが、それはできない。

輝度は高く発色もいいが、HDRには弱い。そもそもの想定として、HDR編集には、より高価な「Pro Display XDR」や、ミニLED搭載のMacBook Pro、iPad Proを……ということなのかもしれないが、これだけ高価な製品なので、ちょっともったいない。

HDRや複数入力にこだわらなければ、Studio Displayはとてもいい製品だと思う。ただし、この価格を許容するなら、だが。もちろん、この価格相応に、長く使えるディスプレイではある。

(西田宗千佳。Engadget日本版より転載)

メルセデス・ベンツが2023年型SUV「EQS」のインテリアを公開

4月19日の正式デビューに先駆け、メルセデス・ベンツは2023年型SUV「EQS」のインテリアを初公開した。写真からわかるように、メルセデスはインテリアデザインを一新したわけではない。これまでと同様、最も目を引くのは、フロントキャビンの幅一杯に広がる56インチのMBUXハイパースクリーン(オプション)だ。12.3インチの有機ELディスプレイが組み込まれ、車の走行中に助手席で映像コンテンツを視聴することができる。ドライバーがディスプレイを覗き込んだことを車載カメラが検知した場合、自動的に画面が暗くなり、ドライバーの視線を道路に集中させる。

メルセデス・ベンツ 2023年型SUV EQSのインテリアキャビン

キャビンには、ウッドとレザーの両方が取り入れられて、「ラウンジのような雰囲気」が演出されている。顧客は7種類の色の組み合わせでインテリアをカスタマイズすることが可能だ。また、オプションで3列目シートと電動調整式の2列目シートを提供することで、EQS SUVは最大7人の輸送を可能にする。その他の注目機能には、ドルビーアトモスサウンドシステムや、花粉やホコリの侵入を防ぐHEPAフィルターを組み込んだエアフィルターシステムなどがある。

また、メルセデスは米国時間3月16日、アラバマ州ビブ郡に新たに開設する電池工場でSUVのEQS(およびSUVのEQE)用電池を製造し、最大600人の雇用を創出すると発表した。同社は、アラバマ州タスカルーサ近郊に昔からある工場で同車の組み立てを行う予定だ。

画像クレジット:Mercedes-Benz
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(文:Igor Bonifacic、翻訳:sako)

中国で初めて新型コロナ迅速抗原検査キットが一般向けにネット販売

中国は、新型コロナウイルス感染者数がここ数日で2年ぶりの高水準に達したことを受け、一般の人が迅速抗原検査キットを利用できるようにする。JD.com(JDドットコム)やMeituan(メイトゥアン、美団)などのオンラインマーケットプレイスは現在、深センに拠点を置く遺伝子大手BGIなど政府公認のメーカーによる家庭用検査キットの予約注文を受け付けている。また、全国のドラッグストアでも販売される予定だ。

過去2年間、中国は「ゼロコロナ」封じ込め政策を掲げて感染者数を抑えてきたが、より感染力の強いオミクロン変異種によってこの戦略はますます試されている。中国はこれまで、感染者の特定を分子・核酸検査の一種であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査のみに頼ってきた。これは、市販の代替検査として迅速抗原検査を採用している欧米諸国とは異なる。

PCR検査は抗原検査よりも正確だと広く認識されているが、医療従事者が検体を採取し、検査機関に送って結果を得る必要がある。それに比べ、抗原検査は自宅で実施でき、1時間以内に結果が出る。

中国の医薬品規制当局は現地時間3月12日、新型コロナ抗原検査の製品5種を承認した。これは、中国の国家衛生委員会が、公的検査の選択肢として抗原検査を追加したと発表してわずか1日後のことだ。

自己検査キットの導入は、中国がゼロコロナ戦略をすぐに緩和するというシグナルにはならない。保健当局は、迅速検査は新型コロナ感染の早期発見を支援することを目的としており、PCR検査は症例確認の基準として残っていると述べている。

家庭用検査キットはせいぜい、過剰なPCR検査体制にかかるプレッシャーを軽減するのに役立つ程度だ。中国の地方当局は通常、都市で数件の局所的な感染例が発生すると、大がかりなPCR検査を命じる。人口密度の高い地域では往々にして、住民は検査を受けるために何時間も並ばなければならない。PCR検査の結果は、携帯電話で国の「健康コード」にデジタルで同期され、それがないと集合住宅、レストラン、オフィスビル、公共交通機関から締め出されることになる。

中国がこの自己検査キットの使用をどのように規制するかはまだわからない。例えば、住民が自宅で陽性結果を確認した場合、自発的な地元当局への通知を政府はどのように保証するのだろうか?少なくとも、政府の予備的な指示では、自宅での検査は「関連行政部門」によって監視されることになっている。

画像クレジット:Diptendu Dutta / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

医療機関向け治療用アプリを手がけるCureAppの「高血圧症向け治療用アプリ」が薬事承認取得、ソフトウェア単体で日本初

医療機関向け治療用アプリを手がけるCureAppの「高血圧症向け治療用アプリ」が薬事承認取得、ソフトウェア単体では日本初

医療機関向けの治療用アプリを開発するメドテック企業CureApp(キュア・アップ)は3月9日、本態性高血圧症のための治療用アプリの薬事承認を取得したと発表した。薬だけに頼らず、アプリで生活習慣を修正するデジタル療法を実現する「高血圧症治療用アプリ」誕生の第1歩になるとのこと。ソフトウェア単体での薬事承認は国内初であり、高血圧領域における治療用アプリの薬事承認了承は世界初だという。これは、自治医科大学内科学講座循環器内科学部門との共同研究によるもの。

原因がはっきりしない本態性高血圧症の治療には生活習慣の修正が重要となるが、患者の価値観や意欲、生活環境に左右されるため継続が難しく、医療機関は介入しにくい。そのため、患者の70%は降圧目標が未達成もしくは未治療の状態だという。

このアプリは、そうした課題に対処するべく、患者ごとに個別化された治療ガイダンスを提供する。血圧と生活習慣の記録から、その人に合わせた食事、運動、睡眠などに関する情報を示すことで行動変容や継続的な生活習慣の修正を促し、正しい生活習慣の獲得をサポートすることで治療効果をもたらすことを目指している。患者の生活習慣の修正状況は、医師用アプリで医師が確認できるため、診療の質の向上も期待できる。

CureAppは、「アプリが病気を治療する効果を持つ」と考え、「治療アプリ」の開発を行っている。2020年8月には、ニコチン依存症治療アプリとCOチェッカー「CureApp SC」が薬事承認を取得し、保険適用になっている。現在は、非アルコール性脂肪肝炎向け、アルコール依存症向け、がん患者支援、慢性心不全向けの各治療アプリの開発に取り組んでいる。

急成長するウガンダのスタートアップ、Y CombinatorとGoogleも魅了

現在アフリカ大陸におけるスタートアップ・エコシステムは、ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、エジプトのBig 4(ビッグフォー)が支配している。多額のベンチャーキャピタルやその他の投資を受けている国々だ。

しかし、この状況は大陸の他の国々からも注目すべきスタートアップが出現し、投資家がビッグ4以外にリスクを分散すべく新たな機会を探すようになって徐々に変わりつつある。

ウガンダは、アクセラレータのY Combinator(ワイコンビネーター)や、早期および成長期のスタートアップを対象に昨年10月設立されたGoogleの5000万ドル(約57億円)アフリカ投資ファンドといった著名なテック・プログラムに波紋を起こしている国の1つだ。

2021年12月、ウガンダのマルチ・サービス・デジタル決済プラットフォーム、SafeBoda(セーフボーダ)は、Googleの同ファンドから投資を受けた大陸で最初のスタートアップになった。さらに、この国で最初にY Combinator(2022年冬)に入ったスタートアップとなったフィンテックのNumida(ニュミダ)も上流階級に仲間入りした。NumidaはアフリカからY Combinatorの冬学期に入った15番目のスタートアップとして、シリコンバレー投資家の眼鏡にかなう機会を得た。

「すばらしく大きな会社を作り成功した人たちとつながりをもち、フィードバックを受けられることは、私たちのステージにとっては特に、かけがえのない機会です」とNumidaの共同ファウンダー・CEOのMina Shahid(ミナ・シャヒド)氏が、YC参加に関するTechCrunchのインタビューで語った。

Numidaの星は、昨年初めてシードファンドで230万ドル(約2億6000万円)を獲得して以来、輝き続けている。同スタートアップはウガンダの零細企業にリスクベースの融資を提供しており、迅速なビジネスローンの需要の高まりによって、開業以来月々30%成長している、とシャヒド氏は語る。

Numidの与信限度額は3500ドル(約40万円)だが、小企業に対する金額は増額され、利息は借り手のリスク特性に基づいて決められる。同フィンテックは今年中にガーナに進出する計画だ。

ファンディング

上記2件の大型発表以外にも、ウガンダのテック業界は繁栄を続けており、モビリティ、Eコマース、Eヘルス、クリーンテック、フィンテックなどの分野に次々とスタートアップが出現し、あらゆるタイプの投資家をひきつけている。ウガンダは昨年アフリカで大規模な株式ファンドを受けた15か国の1つだったと、Partech(パーテック)のレポートが報告している。

昨年12月、ケニアで運用する資産金融会社、Tugende(ツゲンデ)は、1700万ドル(約19億円)の債務投資を獲得した。同年はそれ以前に、Mobility 54 Investment SAS、豊田通商のベンチャーキャピタル子会社、およびCFAOグループなどの著名な投資家から360万ドルのシリーズA拡張ラウンドを完了している。2012年にMichael Wilkerson(マイケル・ウィルカーソン)氏が設立したTugendeの主要製品は、ウガンダで人気の輸送手段であるバイクタクシーの「リースして所有する」プランだ。ほかにもボート、自動車、販売器具などの収益を生む資産を購入するための融資を行っている。

しかし2021年、Mobility 54はDOB EquityとInfraCo Africaと共に340万ドル(約3億9000万円)を電動バイクのスタートアップ、Zembo(ゼンボ)に投資した。Zemboはウガンダの首都、カンパラでバッテリーの充電・交換ステーションも運営しており、この国の電動バイクの普及の高まりから期待できるビジネスだ。

スタートアップのEnsibuuko(エンシブーコ)も昨年、FCA Investmentsから100万ドル(約1億1500万円)のシード資金を調達した。Gerald Otum(ジェラルド・オータム)氏が2014年に設立した同社独自のデジタル・インフラストラクチャは、信用組合や貯蓄団体の業務自動化を支援する。

現状、この投資ブーム最大の受益者はモビリティとフィンテックといえるだろう。モビリティ・テックでは、東アフリカの国々で人気の輸送形態であるバイクタクシー分野に注目が集まっている。

現在ウガンダの首都、カンパラだけで20万台以上のバイクタクシーが走っていると推定されている。当地では住民が慢性的交通渋滞を回避するために利用している。Bolt(ボルト)、Uber(ウーバー)、SafeBodaといったマルチサービス・アプリは、オートバイのライドシェアリングやデリバリーの市場ですでに活用されている。

ウガンダのEコマース業界も急成長している、と同国の情報通信技術省による2021年の調査結果が示しており、この分野の収益は2025年までに4億2100万ドル(483億円)へと倍増し、ユーザー浸透率は29.1%になると予測している。企業の中には(例えばSafeBoda)、この分野の上昇に乗ずるべく戦略計画を修正しているところもある。

SafeBodaはここ数年、シングル・サービス・プロバイダーから、統合マルチ・サービス・スーパーアプリへと戦略を転換し、ライドシェアリング、オンライン・ショッピング・デリバリーおよび決済(代金支払い、送金授受)サービスを提供している。 Gojek(ゴジェック、GoToが支援するスーパー・アプリ)もナイアガラで利用可能で、他の市場にも目を向けている。

「私たちは東アフリカ以外でも通用するグローバル・プロダクトを作っています」とSafeBodaの共同ファウンダー・CEO、Ricky Rapa Thomson(リッキー・ラパ・トムソン)氏が最近のインタビューで本誌に語った。

一方、ウガンダのテック・エコシステムの成熟と、この国の若者たちとスマートフォンの普及に合わせて、アフリカ大陸全体から何十社ものスタートアップが新たな成長への道を求めてこの国に進出している。
2021年10月、ガーナ発の成長著しいEヘルス・スタートアップで最近3500万ドル調達したmPharma(エムファーマ)がウガンダ市場に進出し、同国最大の医薬品小売業、Vine Pharmace(バイン・ファーマシー)の株式の55%を買収した。ケニアのB2Bマーケットプレイス、Marketforce(マーケットフォース)とSokowatch(ソコウォッチ)およびEコマース・プラットフォームのCopia(コピア)は、ナイジェリアのMaaS(マース、サービスとしてのモビリティ)スタートアップ、Treepz(トリープズ)と組んで、すでにカンパラで運用を開始している。ほかにも、ケニアの物流スタートアップ、Amitruck(アミトラック)をはじめ何十という企業がこの市場を狙っている。

ウガンダは今年注目すべき国の1つである。この国では、世界最長のCOVID学校閉鎖を含むロックダウンが解除されたことを受け、あらゆる分野の活動が再開した。

画像クレジット:mathisworks / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルはロシアでの広告販売を停止しマイクロソフトは販売と営業の全体を停止

先週のロシアのウクライナ侵攻と隣国への侵略行為の継続に対し、テクノロジー業界からのさらなる応答としてGoogle(グーグル)とMicrosoft(マイクロソフト)は、どちらもロシアでの販売を停止していると言われる。

私たちの理解ではGoogleが停止したのは同社自身の広告の販売で、それは昨晩(米国時間03/03)始まって、その後の数時間で展開された。そのニュースは今朝、ロイターが報じた。

それはGoogleが初めてではなく、その前にSnapとTwitterもロシアでの広告の販売停止を発表した。ただし広告事業の規模は、Googleの方が相当大きい。

Googleが行うのはロシアにおけるすべての広告の停止であり、検索広告とYouTubeとディスプレイ広告のすべてが含まれ、停止は直ちに実行される。すなわちロシアの人たちは、広告のないGoogleのサービスやアプリを見ることになる。

ただし自国で独立のジャーナリストが前例のない弾圧に遭っているときであっても、ロシア以外の国では広告は健在で、ロシアの広告主がそのスペースを買うことは普通にできるし、それらの国で広告は普通に掲載される。

つまり、ロシアの出版物がGoogleの広告ネットワークを利用して国外で広告を掲出し、コンテンツの収益化を追求することは十分に可能だ。一方今朝ロシア議会で議決された法律により、軍に関する「不正な」情報を拡散した記者は最大で15年の懲役になる。

関連記事: Airbnbがロシアとベラルーシでの全業務を停止

一方Microsoftも、ロシアでの販売停止を発表した。今日のブログで同社は、「ロシアでのMicrosoftのプロダクトとサービスの今後のすべての販売を停止する」と言っている。

これには、Bingの広告やその他のMicrosoftのサービスも含まれるのだろう。目下本誌は、その確認を求めている。

そのブログ記事でMicrosoftの副社長Brad Smith氏がこう言っている: 「さらにまた私たちは、合衆国と欧州連合および連合王国と緊密に協力して、ロシアにおける弊社事業の多くの側面を、政府の制裁に準ずる形で停止しつつある」。

Googleの広告販売の制限という、対象の限られた動きは、同社が火曜日(米国時間03/01)に発表した措置の拡張だ。そこでは「情報の質の向上」という言葉が使われ、しかもそれは2月24日の早朝にロシアの侵攻が始まった直後、そしてヨーロッパの指導者たちがまる一日を費やして、ロシアの偽情報に対して断固たる行動を採るようテクノロジープラットホームに圧力をかけた直後のことだった。

最初Googleは、クレムリンにつながったメディアであるRussia Today(RT)とSputnikのYouTubeチャンネルをヨーロッパで禁じるつもりだったが、すぐにそれは、その二つのメディアのアプリを同じくヨーロッパではPlay Storeから外すことになった。それは、二つのメディアのYouTubeチャンネルに対する全EU的制裁が、法的有効になる水曜日(米国時間03/02)よりも前だった。

その前には、「ロシアの国営メディアがわれわれのプラットホームを利用して収益化を図ることの無期限停止」を発表していた。すなわち、RTのようなメディアはGoogleのプラットホームから広告収入を得たり、広告を買ったりすることができない。

しかしGoogleが今日確認したのは、特定メディアではなくロシア全域的に、広告の販売を凍結することだ。

広告販売の停止について、Googleの広報はこう説明している:

尋常ならざる情況に鑑み、私どもはロシアにおけるGoogleの広告を停止します。状況は急速に進化しておりますので、今後も引き続き適切な時期にアップデートを共有いたします。

現時点では、有料の消費者向けサービスやGoogle Playのアプリ販売など、広告以外の販売は停止しない。また、ロシア人が検索やマップ、YouTubeなどの情報サービスにアクセスすることも従来どおり可能だ。

ロシアがウクライナに侵攻して以来、Googleからの発表は細切れ状態だが、危機の進展に伴い一貫性のある対応を編み出すことが、Googleにとっても難しいからだろう。

それに対しMicrosoftは、もっと決定的だ。今週初めには、ロシアの「国が支援する偽情報」を狙った各種措置の包括的なパッケージを発表し、そして今日はそれを総括的な販売禁止に拡張した。

今週初めには、Apple(アップル)もロシアでの製品の販売を停止すると言い、Apple Payなど一部のサービスも制限した。また同社のApp Storeからは今週、RTとSputnikを全世界的に外した。ロシア市場だけは例外だ。

Facebookの親会社であるMetaの出方は、よくわからない。侵攻が始まったときこのソーシャルメディア大手は、RTとSputnikの降格など一連の制限を発表したが、本稿を書いている時点(米国時間03/04)では、このアドテックの大手でもある同社は、ロシアにおける広告の販売を停止していない。これについても、本誌は一応質問状を提出した。

もちろん、デジタルサービスへのアクセスという点では、ロシア人が今直面している難儀は私企業による禁止だけではない。ロシアの銀行に対する広範な制裁によって、同国では、一部のテクノロジーサービスへのアクセスも困難になっている。

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: NurPhoto/Getty Images

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マイクロソフト、ロシアでの新規販売を全面停止

ウクライナ侵攻を受けてロシア市場から製品を撤退させるハイテク企業は、Apple(アップル)だけではない。Microsoft(マイクロソフト)は、ロシアにおけるすべての製品とサービスの新規販売を「停止」し、米国、英国、欧州連合(EU)の制裁を尊重すべく、ロシアでのビジネスの「多くの業務」を停止している。この動きの数日前に、Microsoftは自社のプラットフォーム上でロシアの国営メディアを制限し、またウクライナの副首相は同社にロシアのXboxアカウントをブロックするよう要請した。

Microsoftは、この撤退は事実上必要なことだととらえている。Brad Smith(ブラッド・スミス)社長によると、このような「具体的な措置」が最も大きな影響を与え、ウクライナの状況の進展に応じて「追加の措置」が取られることになる。Windowsの生みの親である同社は、ロシアによる侵攻を「不当で、いわれのないものであり、不法」とし、ロシアのウクライナに対するサイバー攻撃を特定し、それに対抗する努力を指しながらロシアを明確に批判していた。

Microsoftの動きは、ロシアのテックの使用に大きな影響を与える可能性がある。Windows、Office、そしてMicrosoft 365やAzureといったサービスなど、多くの国でそうであるように、ロシアでもMicrosoft製品はコンピューティングにおいて重要な役割を担っている。既存のユーザーがアクセスできなくなることはないかもしれないが、新しい製品を購入したり、サブスクリプションを更新したりする必要がある人にとっては問題となる可能性がある。Microsoftに、このことがロシアのPCベンダーにどのような影響を与えるか尋ねた。ベンダーがWindowsベースのコンピュータを販売する場合はライセンスが必要だ。

正確な影響がどうであれ、販売凍結はGoogle(グーグル)、Meta(メタ)、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)などハイテク企業による一連の締め付けに続くものだ。ロシアはこれらの行動に対して必ずしも屈することはないだろうが、同国には明らかに協調した圧力がかかっている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

イーロン・マスク氏とテスラにはティム・クック氏が必要だ

同じ物語が何十年も演じられている。

スタートアップは偉大な個性のリーダーの下で開花し繁栄する。すぐに停滞が訪れる。会社の焦点は、無限に続く新製品を販売することから、顧客の要求を満たすものを作っていることの確認へと移り変わっていく。幸福な期間は終わり、新しい時代は、一貫して高品質な製品を大規模に出荷するために必要な退屈な日々から始まる。

ある時点で、あらゆる会社にTim Cook(ティム・クック)が必要になる。今、その会社はTesla(テスラ)だ。

たった今、Teslaの階層に明確な後継者はいない。もし、CEO(兼テクノキング)のElon Musk(イーロン・マスク)氏が潮時と判断して彼の別の会社か音楽活動に焦点を移すと決めたら、引き継ぐ人間は誰もいない。Teslaはマスク。すべては彼の手に導かれている。

マスク氏は広報部門を解体し、会社のニュースとTwitter経由で発信している。ファルコン・ウイングドアをModel Xに採用したのは彼の土壇場のアイデアだった。彼はほぼ完全自動化された自動車工場を作れることを頑なに貫いた。Teslaの車とサービスの購入を暗号資産で支払うしくみも実装し、後に取りやめ、また再び導入した。

マスク氏は、会社のほとんどの新規事業を自身が推し進めているのは、「そうしたいからではなく、しなければならないから」だと公に認めている。こうした深いレベルの関わりは、会社の創成期には有効だ。しかし、会社の未来が良質な製品をつくることにかかっているのであれば、1人の人物がすべてを支配していることは破滅的と言える。

[デーブ、君がファンなのは知っている、でもそれは愚問だ。私がプログラムを進めているのは、そうしたいからではなく、しなければならないからだ]

たとえば、マシンを作るマシンを作るという決断は、Model 3の生産を何ヶ月も遅らせ、CEO言うところの「生産地獄(production hell)」をもたらした。マスク氏は、完全自動に近い工場を作るのは間違いだったことを最終的に認めた。Model 3の生産はあの決断のために遅延した。

今のTeslaが好調であり、四半期黒字を達成し、出荷台数の新記録を打ち立てていることは事実だ。吉報にはそれ相応の問題がついてくる。1人の人間が成長する組織をこと細かく管理していると、生産の拡大とともに発生する問題に対処しきれなくなる。ある時点で、信頼された人たちに自分たちが仕事を成し遂げ、かつ問題を制御し、報復を恐れることなくCEOの思い付きのアイデアを阻止できる機会が与えられる必要がある。

たった今、Teslaは過去数ヶ月に発行した複数のリコールの対応に追われており、製造問題に見舞われている車のレポートに今も悩まされている。加えて、新型車(サイバートラックを含む)の出荷は少なくとも来年まで延期された。これらは、CEOが、個々に動くことのできるチームの力を借りて取り組むべき問題だ。

そして、あの一連のツイート。あまりにも多くのツイートがある。

マスク氏のTwitterでの存在に対する評価は二分されている。ブランドに害をもたらしている恐れも大きい。Teslaに広報部門というものはない。あらゆる情報が、Tesla公式アカウントまたはマスク氏から流れ出す。それは悪くはない、もしCEOの個人アカウントが標的となってTeslaを所有していることによる多くの利益を引き出すのであれば。実際にはそうではなく、それはミームと悪い冗談と侮辱とおべっかへの返信と政治色の強い見解と、それにときたまTeslaのニュースが入り混じったものだ。

CEOとして、Twitterで誰かをヒトラーと比較し、それが会社に悪影響を与えないと考えることはありえない。

会社のために、TeslaはCEOの次の気まぐれより先の未来を見据える必要がある。マスク氏が舵をとっていない時期のことを。最良の状態が、Appleで起きたことだろう。

長年、AppleのビジネスはCEO、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と深く撚り合わされていた。彼は会社を倒産の瀬戸際から引き上げ、率いるチームと共に、スマートフォン革命の一端を担った長続きする会社を作り上げた。ジョブズ氏なくしてAppleはなかった、と言って間違いない。しかし、企業は永久に1人の人物ではありえない。

ティム・クック氏は、1998年にワールドワイド・オペレーションズ担当上級副社長としてAppleに入った。具体的には、会社全体の日常業務を取り仕切る役割だ。2011年、かれはスティーブ・ジョブズが亡くなる前にCEOに指名された。クック氏の指揮の下、会社は売上と利益を2倍以上に伸ばした。クック氏に、ジョブズ氏のような虚勢やビジョンはない。代わりにクック氏は、自分の仕事を全うする賢い人々を雇い、Appleが利益を上げ良質の製品を届け続けることに専念した。

Teslaにはティム・クックが必要だ。この自動車メーカーには、おならの音やビデオゲームなどの楽しい機能を作り続けながら、自動車を予定通り問題なく顧客に出荷できるリーダー(あるいは訓練中のリーダー)が必要だ。Teslaは、この先ずっと、顧客がサービスセンターをいつでも呼び出し、タイムリーに車を交換できるしくみを確実に維持していく必要がある。否が応でも、追いかけてくる他の自動車メーカーがよろこんでModel 3オーナーに求愛して自社のEVを売り込むだろう。

会社の売上は好調だが、適切な育成がなければ、Tesla EVの優位性はいつでもライバルに取って代わられる。マスク氏は実際、育てるタイプではない。彼のルールの下、新車出荷台数は史上最高を記録しているが、今も製造品質に関わる問題の報告を受け続けている。これは数年前に解決すべきだった問題だ。

最近の報告によると、Teslaは冗長なステアリング・コントローラーを付けずに車を出荷しており、そのことを顧客に伝えていない。このコントローラーは、車がFSD(フルセルフ・ドライビング)対応になった際に必要になる。この種の判断は顧客の忠誠心を損ない、購入を考えている人たちを遠ざける。

現在の顧客がTesla車の問題に遭遇した時、未だにサービスを受けるためには不十分な伝達や長い待ち時間とイライラがともなう。修理を終えた顧客は、自分たちの経験をTwitterでシェアしようとするが、マスク氏にへつらうフォロワーたちから攻撃を受けて終わる。マスク氏自身でさえ扱いきれていない連中だ。

そしてリコールがある。過去数年、Teslaは米国幹線道路交通安全局の強い要請を受けて、FSDのソフトウェア問題に関する数々のリコールを発行した。Model 3とModel Yの予告なくブレーキが作動する問題、シートベルト警告音の不具合サスペンション問題、Model SおよびModel Xのパワーステアリング・ボルト腐食等々だ。最近では、Teslaが追加した機能が後に削除された例もある。このリコールがいちばん厄介だ。

どの自動車メーカーにもリコールはつきものだが、安全ではないとされたために元に戻さなければならなかったメーカーはあまり聞かない。マスク氏の下でTeslaは、路上走行中、ドライバーが望んだ音を外部スピーカーで鳴らてる機能を推奨した。歩行者への警告音を邪魔する可能性のある機能だ。さらに同社は、自動運転中に一時停止標識を通過(停止ではない!)させるアップデートを配信した。そして、運転中にメイン情報スクリーンでビデオゲームをプレイできる機能を削除するよう言い渡されなくてはならなかった。

一連のリコールについてマスク氏は、NHTSAは「たのしみ警察」だとツイートした。もちろん実際には同機関は安全警察であり、Tesla、および市民の一番の関心事は、自動車メーカーがNHTSAと協力して、道路を全員にとって安全に保つことであり、近隣を走りながらハンプティ・ダンスを流したいTeslaドライバーを喜ばすことではない。

マスク氏、Tesla、そして顧客にとって最善のシナリオは、誰かがCEOと何年か一緒に働き、社内と取締役会の信頼、そして何よりも大切なのは顧客の信頼を築き上げていくことだ。マスク氏を取り巻く個人崇拝は、マスク氏がこの人物をリーダーとして心から受け入れることを必要としている。そうすればマスク氏が会社を去るかCEOを辞任した時も、崇拝者の気持ちも和らぐだろう。

マスク氏が、所有する会社を完全支配するのをやめた前例はある。彼はSpaceX(スペースエックス)のCEOではあるが、経営責任はプレジデント兼COOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏と分け合っている。SpaceXについてツイートするのはマスク氏でも、ショウを演出しているのはショットウェル氏だ。彼女は、カンファレンスやイベントでSpaceXを代表することの最も多い幹部でありStarlink(スターリンク)計画のビジョンと戦略を明確に述べる最適の人材であるが、会社の外向きの顔であるだけではない。プレジデント兼COOとして、ショットウェル氏は日々の実務をこなしている。もしマスク氏がCEOを降りると決めたなら、ショットウェル氏には後を引き継ぐ用意がある。

SpaceX、取締役会、米国政府、および提携企業にとって、それは救いの源だ。宇宙旅行を1人の人間に賭けるのは、恐ろしい博打だ、なぜならいずれその人はいなくなるのだから。

残念ながら、Teslaとマスク氏はひとつである。一般に知られている限り、現時点でプランBはなく、何かあった時、駆動装置とエネルギー工学担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏がCEOを引き継ぐかもしれないことくらいだ。後継者育成計画が進められている可能性はある。しかし、透明性なくしてその計画を遂行することは混乱を呼ぶだけであり、株価に壊滅的打撃を与えかねない。

マスク氏は現在Teslaを動かしており、われわれの知る限り、今後も末永く続くだろう。しかし、彼は永遠には存在しない。仮に存在したとしても、蓄積された彼の不幸がついには会社に到達しない保証はない。社員のため、株主のため、そして顧客のためには何か計画が必要であり、即座に行動する必要がある。

画像クレジット:Britta Pedersen-Pool/Getty Images / Getty Images

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSのミニデータセンターLocal Zonesが32増えて計48に

レイテンシーは多くのワークロードにとって重要だ。それでも大手のクラウドプロバイダーは主なデータセンターを電気が安くて税の優遇幅の大きいところに作りがちだ。しかし最近では、この問題に対する新しい取り組みとして、AWSのLocal Zonesのようなプロジェクトを見かけるようになった。これらは人口集中地区に隣接した小さなデータセンターで、レイテンシーの低い接続を必要とするゲームやビデオストリーミング、機械学習の推論などのアプリケーションに、基本的なクラウド機能を提供する。

本日(米国時間02/16)AWSは、昨年のre:Inventカンファレンスでの予告に次ぐ最初の16のLocal Zonesを大きく拡張して32を加え、合計48とした。

これら30の新しいゾーンは以下26か国の各都市にある: アムステルダム、アテネ、オークランド、バンコク、ベンガルール、ベルリン、ボゴタ、ブリスベン、ブリュッセル、ブエノスアイレス、チェンナイ、コペンハーゲン、デリー、ハノイ、ヘルシンキ、ヨハネスブルグ、コルカタ、リマ、リスボン、マニラ、ミュンヘン、ナイロビ、オスロ、パース、プラハ、ケレタロ、リオ・デ・ジャネイロ、サンチアゴ、トロント、バンクーバー、ウィーン、 ワルシャワ。これまでのLocal Zonesは、すべて米国である。

そのメリットは、これらの都市のユーザーのアプリケーションに一桁ミリ秒のパフォーマンスを提供できることだ。

AWSのインフラストラクチャサービス担当副社長Prasad Kalyanaraman氏は今日の発表でこう言っている: 「クラウドのエッジが広がっているので、今ではほとんどどこでも利用できます。合衆国のAWS Local ZonesはAWSの数千の顧客が利用して、彼らの業界向けに特別に設計され顧客のユースケースに合った低レイテンシーのアプリケーションを最適化できています。最初の16のLocal Zonesは大成功でしたから、それをもっと多くの場所に拡張して、同じ能力を求めておられる顧客のみなさまが、クラウドサービスのエッジを新しい場所へプッシュしていくお手伝いをいたします。AWS Local Zonesは今では世界中の30を超える新しい場所で利用でき、顧客に強力な新しい能力を提供して、世界中の数億のエンドユーザーが数ミリ秒以内でクラウドサービスをご利用いただけるようにしてまいります」。

関連記事: コンピュートリソースをエンドユーザーの近くに置くAWS Local Zonesが2022年から新たに30以上立ち上げ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services/Getty Images

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ディスカウント販売は危険だ、取り扱いに注意

かつて私はスタートアップをいくつか立ち上げ、いつも給与の支払いに苦労していた会社も経営していた。一度ならず、期間限定ディスカウント・セールが会社を救った、しかし、よく計算してみると、大幅値引き販売は、銀行残高を改善するかもしれないが、損益にとっては壊滅的であることがわかる。

みんなディスカウントが大好きだ。価格が20%下がれば、安い買い物ができる。顧客にとってこんなにわかりすいものはない。しかし、店やスタートアップにとって、計算結果はよろしくない。順を追って見てみよう。

あなたは小さな輸入ビジネスをやっているとしよう。安い小物を買ってきて、しゃれたブランドをかぶせ、Instagram(インスタグラム)の広告と型破りなライフスタイルのイメージで顧客を引きつける。その商品を5000個買うと、Alibaba(アリババ)なら1つあたり9ドル(約1000円)で買える。これはお買い得だ。よくやった!

5000個注文して輸入する。この時点で4万5000ドル支払い、配送にあと1500ドル、輸入税に10%を払い、そこで仕入れた商品の9%が動かないことを知る(これはAlibabaなのだ)。ラッキーなことに、まるでマジックのように、顧客に配達して交換や返金のために送り返してもらう前に、あなたはこのことを発見した(としよう)。

In any case, taking off the units that didn’t work, and the total spend of $51,000, each of the working 4,550 units cost you $11.21 each. Let’s take a look at the cost breakdown:

いずれにせよ、動かないものはよけ、総支払額は5万1000ドルなので、動作する4550個は1つあたり11.21ドルになる。コストの内訳を見てみよう。

この商品は19.99ドルで売れる、とあなたは考える、かなりの利幅だ。あとはこの商品を19.99ドルで売りまくるだけだ。これを1つ売るごとに、あなたは8.78ドルの利益を得る。素晴らしい、おめでとう、自慢していい。

もちろん何らかの広告を打つ必要がある。新規顧客1人を3ドルで手に入れる方法がわかった。それは〈すばらしく〉魅力的であり、もちろんあなたの利益を食いつぶす。

数カ月後、売上は著しく落ち始める、それは別の人々が市場に参入したからだ。〈心配無用〉とあなたは考える、〈いくつか秘策があるから〉。そして、ディスカウントというナイフを取り出す。まず、10%ディスカウントをやってみる。かなりうまくいった。これで〈大金〉が入った。しかしもちろん、ライバルたちはすぐ後に迫っているので、いっそう頑張ることを決意する。まず25%ディスカウントから。次に40%ディスカウント。すると・・・

顧客にとっては、ありがたいばかり。〈彼ら〉が見るのはこれだけだ。

顧客は価格が下がっていることに気づく。これはすごい!みんな狂ったように買う。

ある時点で、あなたはなにかに気づく。価格をほんの少し下げただけなのに、前より全然儲かっていない。何が起きているのか? さて、思い出してほしいのは、ディスカウントは販売価格にタダで与えてるものではなく、ディスカウントは自分の利益から与えているということだ。その他のコストは何も変わっていない。

数字を注意深く見てみると、なぜディスカウントがそれほど素晴らしいアイデアではなかったことに気づくだろう。確かに、19.99ドルから14.99ドルへの値下げは、5ドルの違いにすぎない。しかし、あなたの利益は5.78ドルから0.78ドルへと急降下する。これはビジネスとは言えない。

もちろん、物理的製品の物流が伴わなければ、製品コストの変化は上のグラフほど劇的ではない、しかし、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)ビジネスでさえ、コストはかかる。カスタマー・サポート、サーバー費用、等々。価格を下げる前には、自分の売上原価(COGS、Cost Of Goods Sold)を知っておかねばならない。

ただし、これはディスカウントを決してやってはいけない、という意味でもない。倉庫に製品があって、支払いが迫っているとき、在庫を清算して支払いすることは、倒産するより理にかなっている。もしかしたら古い在庫を処分したいのかもしれないし、新しいお客さんにサービスしたいのかもしれないし、新規顧客を獲得しようとしているのかもしれない。どれも理にかなっている。しかし、ディスカウントすることが、収支にどう影響するかは常に念頭に置く必要がある。スプレッドシートを取り出し、計算をして、うっかり無意味な利幅で商品を売らないようにすることだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

エンジニアの満足度を重視して生産性を上げるパフォーマンス管理ダッシュボード「Okay」

雇用主が「大辞職時代」における労働者の減少を何とかしようと模索し、在宅勤務の従業員をつなぎとめようとする中、Okay(オーケー)の共同創業者兼CEOであるAntoine Boulanger(アントワン・ブーランジェ)氏は「ナレッジワーカーにとって、生産性と従業員満足度の区別がなくなってきている」ことから、同社の定量的かつ共感的なマネジメント手法への需要が伸びているという。

TechCrunchでは2年前、エンジニアリングマネージャーが効果的で積極的に従事しているチームを率いるためのエンジニアリング可視化ツール「Okay」を紹介した。当時Okayは、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)から220万ドル(約2億5000万円)の新規資金を調達したばかりだった。ブーランジェ氏は、共同創業者のTomas Barreto(トーマス・バレット)氏とともに、Boxでの出会いをきっかけにOkayを立ち上げたと語っていた。

「この2、3年で見られたのは、完全にリモート化されたチームをどのように管理すればよいのかという、人々、マネージャー、チームにとっての移行期でした」とブーランジェ氏は付け加えた。「人々は、より多くの可視性を求めており、チームで何が起こっているのかを理解したいと考えています。パンデミック初期には会議が増えましたが、人々はさまざまなことに慣れ、今はオフィスに戻ろうとする中で、同じような移行が再び起きています」。

Okayの一連のツールは、社内で構築されたツールの大部分を置き換えることを目的としており、エンジニアが生産性を感じて仕事に取り組めない原因となっている、中断された作業や不十分なツーリングの状況を把握できるようにする。同社の製品は、Googleカレンダー、GitHub、PagerDuty、CircleCIなどのソフトウェアを含む、企業の既存ツールと統合することができる。

過去1年間で、SourcegraphやmParticleなどの顧客を含め、売上と顧客数が約10倍に増加した。これは、アウトプットを測るのではなく、開発プロセスのボトルネックを特定することに焦点を当てた、エンジニアリングの生産性に対するアプローチによるものだとブーランジェ氏は考えている。

この勢いをさらに加速させるために、Okayは新たに440万ドル(約5億円)の資金を調達した。今回はKleiner Perkins(クライナー・パーキンス)が主導し、Stripe(ストライプ)のCEOであるPatrick Collison(パトリック・コリソン)氏、Plaid(プレイド)、Brex(ブレックス)、Instacart(インスタカート)の幹部らが参加した。

今回の資金調達は、統合オプションの数の拡大、新機能の追加、人材採用などに充てられる。ブーランジェ氏は、より大きな企業をサポートすることを目指している。同社が注力しているのは数百人のエンジニアを抱える企業がいる市場だが、いずれは数千人のエンジニアを擁する企業をサポートできるようにしたいとのこと。

同氏はこうも語っている。「複雑なデータを扱う製品の構築に3年を費やしたため、シニアチームにはこれに取り組んでもらい、お客様とのパートナーシップを築いてきました。エンジニアリングチーム、市場参入のための努力、そしてデザインをさらに倍増させたいと考えています。興奮しているエリアの1つは、クエリを共有する方法を確立し、社内の誰もがデータを共有できるようにすることです」。

画像クレジット:Okay

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

人気クリエイターがファンに素に近いリアルな姿の写真を有料で公開するアプリ「Roll」

米国時間1月18日、新アプリRoll(ロール)が発売された。このアプリはクリエイターがファンに対して、より素に近いありのままの姿を公開し、それにより簡単にお金を稼げるようにするというものだ。すでに、Instagram (インスタグラム)の親しい友達向けストーリーやSnapchat(スナップチャット)のプライベートアカウント、Discord (ディスコード)の秘密サーバーへのアクセスを通し、メインのページに載せるほど作り込まれてはいないものの、やはりそれなりに外向けでブランド力のあるものを公開することで一部のクリエイターは課金を行っている。こういったものではクリエイターのPatreon(パトレオン)が介されているが、Rollはこの戦術を合理化し、すべてをRollアプリで完結できるようにしている。同アプリはiOSとAndroidで利用可能だ。

「お気に入りのクリエイターのカメラロールにアクセスできる、というのが弊社の謳い文句です」と創業者兼CEOのErik Zamudio(エリック・ザムディオ)氏はいう。「購読したファンは他では決して見ることのできないクリエイターのコンテンツを見ることができるのです。クリエイターはこれにより、最もリアルな自分自身を表現できるのではないでしょうか」。

もちろん、実際にクリエイターのカメラロールにアクセスできるようになるわけではない。そんなことが起きたらそれこそ大問題である。Rollはクリエイターがよりカジュアルな方法でファンとつながりながら、お金を稼ぐ機会を提供しようとしているのである。ソーシャルメディアへの投稿が仕事だとしても、カメラロールにあるものすべてをアップロードしているわけではない。上手くできたオムレツの写真、失敗した自撮り、気に入ったミームのスクリーンショット、散歩中に見かけた変なものなどさまざまな写真が存在し、こういった写真は慎重に計画されたInstagramのグリッドにはフィットしなくとも、Rollのようなプラットフォームではその魅力を発揮するかもしれない。本物のカメラロールと同様、Rollの投稿に「いいね!」を付けたりコメントを付けたりすることはできない。

クリエイターはRollで月額5ドル(約570円)から50ドル(約5700円)の間で課金することができ、収益の80%を受けとれる仕組みだ。ザムディオ氏によるとほとんどのクリエイターが5ドル程度の課金を選んでいるが、より専門性の高いコンテンツを作っているクリエイターなら高めの価格設定でもいけるだろう。例えばTikTok(ティックトック)のシェフが特別なレシピを動画で紹介すれば、月に数枚の舞台裏写真を投稿する人よりもより高い料金を請求することができるはずだ。OnlyFans(オンリーファンズ)のような競合他社とは異なり、Rollはアダルトコンテンツを許可していない。

携帯電話でRollのアカウントを開いている人気クリエイターのタナ・モジョ氏(画像クレジット:Roll)

ローンチ時には約20名のクリエイターが登録されているが、クリエイター向けポータルを一般公開するまでの間、毎週10〜15名のスターを追加していく予定だという。現在、ミュージシャンのDillon Francis(ディロン・フランシス)氏「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」の俳優Noah Schnapp(ノア・シュナップ)氏の他、Tana Mongeau(タナ・モジョ)氏、Sommer Ray(ソマー・レイ)氏、Stassie Karanikolaou(スタッシー・カラニコラウ)氏などのソーシャルメディアパーソナリティ、そしてユーチューバーのDavid Dobrik(デビッド・ドブリック)氏などが登録されている。

ドブリック氏が写真ベースのソーシャルスタートアップに関わるのは今回が初めてではない。ドブリック氏は後にDispo(ディスポ)となったアプリDavid’s Disposable(デビッズ・ディスポーザブル)を共同設立したことがある。ザムディオ氏をはじめとするRollのスタッフ3人もDavid’s Disposableの構築に貢献したのだが、ザムディオ氏はアプリがDispoにリブランドされる直前の2020年半ばに退社しており、また同氏や同僚が去った理由については回答を避けている。

2021年3月に発売され、大きな話題となったアプリDispoだが、そのわずか1週間後、Insider(インサイダー)がドブリック氏のYouTubeいたずらグループ「Vlog Squad」のメンバーに関する性的暴行疑惑を報じた。ドブリック氏のチャンネル用にグループセックスに関するビデオを撮影しているときに起きたこの暴行疑惑。Vlog Squadの元メンバーで黒人のSeth Francois(セス・フランソワ)氏はドブリック氏のビデオで経験した人種差別についてまとめたYouTubeビデオを投稿し、ドブリック氏のセットで性的暴行を受けたとも話している。Insiderの記事が掲載された直後、ドブリック氏はDispoの役員を退任している。

このような論争の中、Dispoの初期の投資家であるSpark Capital(スパーク・キャピタル)、Seven Seven Six(セブンセブンシックス)、Unshackled(アンシャックルド)などは、アプリへの投資から得られるであろう利益を全額、性的暴行の被害者のために取り組む団体に寄付することを約束した。ドブリック氏はさまざまなブランドとの契約を失ったものの、YouTubeの登録者数は1880万人から1830万人に減少しただけで、今でも週に3本の動画を投稿し、それぞれ約600万から1000万回の再生回数を記録し続けている。そして今回再びドブリック氏が消費者向けテクノロジーに舞い戻るわけだが、この物議を醸したユーチューバーは、Dispoの共同創業者には違いないものの、RollにとってはRollアプリを利用するクリエイターの1人に過ぎないとザムディオ氏は伝えている(同社の宣伝コンテンツにも登場する)。

「Rollをサポートしてくれた大物クリエイターは、デビッドが初めてではありません」とザムディオ氏はTechCrunchに話している。「これは絶対に誤解されたくないことですが、デビッドがDispoを辞めて今ここで別のことをやっている、というようなことではないのです。彼は創業メンバーの1人ではありません」。

後に、ザムディオ氏はさらにメールで詳しく説明してくれた。「デビッドはクリエイティブで賢い人物です。他のすばらしいクリエイターとともに、彼を起用できることをうれしく思います。私たちは全メンバーを対等な立場で見ており、彼らの意見を大切にしています。デビッドはDispoに関わっていたので、Dispoと関連付けられるのは当然かと思いますが、前にも伝えたように彼は(創設者やチームメンバーではなく)単にRollのクリエイターです」。

DispoとRollはありのままの投稿を促すという点で似たDNAを持っている。Dispoでは使い捨てカメラの性質を真似て、翌朝まで撮った写真を見ることができない。ただしDispoがソーシャルネットワークであるのに対し、Rollはクリエイターのマネタイズプラットフォームである。

「David’s Disposableが大成功した後、私たちはクリエイターエコノミーの世界を掘り下げるようになりました」とザムディオ氏はTechCrunchに話している。「そして多くのクリエイターと親しくなり、彼らが経験していることをより深く知るようになるにつれ、みんながコンテンツを有料化したいと考えていることがわかったのです」。

これまでRollは、Airwing Ventures(エアウィング・ベンチャーズ)のDan Beldy(ダン・ベルディ)氏が率いるエンジェル投資家ラウンドで50万ドル(約5700万円)を調達している。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

【コラム】DEIプログラムが機能していない理由

企業はしばらく前から、DEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性)を備えた職場環境の確立に努めてきたが、一昨年からの一連の出来事は、インパクトのあるDEIの取り組みにおいて大半の組織がいかに未熟であるかを浮き彫りにした。

新型コロナウイルス感染症の影響で米国全体の失業動向が大幅に悪化した後、Center on Budget and Policy Priorities(予算・政策優先度センター)は2021年10月、黒人とラテンアメリカ系の労働者が白人労働者に比べて大幅に低い雇用回復率に直面していることを報告した。2021年8月の失業率は、白人労働者の4.5%に対し、黒人労働者は8.8%、ラテンアメリカ系労働者は6.4%であった。

この回復率は民族性に限定されない。2021年中の女性の失業率は男性よりもはるかに高かった。Oxfam International(オックスファム・インターナショナル)の報告によると、パンデミックにより世界中の女性が少なくとも8000億ドル(約91兆円)の収入を失っているという。この数字は衝撃的であり、過小評価されているグループに対してより持続可能で包括的な労働環境を提供するという観点において、全面的に大規模な変革が必要であることが示されている。

成功するDEIは、文化的に多様なワークフォースを実現することに留まらず、ビジネスの成功にとって必要不可欠な要素になっている。2020年にMcKinsey(マッキンゼー)は、多様性に富む企業が多様性に欠ける企業を収益性で上回る公算がこれまで以上に高まっていることを確認し、DEIが企業の業績に重大な影響を与えていることを裏付けた。

しかし、進展は遅い。その理由は何であろうか。企業は、多様な労働文化を支えるための公平で包括的な構造を整備することなく、多様性を優先している。実際のところ、真に多様ななワークフォースを生み出すには、すべての従業員をサポートする公平で包括的なイニシアティブにコミットすることが前提となる。いかにチームが多様であっても、公正なプログラムと包括的な環境を提供しなければ、DEIの取り組みはうまく機能しない。

企業はアプローチを再考し、多様性の前に公平性と包括性を置くように優先順位を再設定して、DEIではなくEIDの取り組みを構築する必要がある。

なぜ公平性が優先されるのか

筆者は黒人女性として、採用やチーム作り、また現在のセキュリティテクノロジー企業での多様性への取り組みの主導など、従業員体験に注力するキャリアを過ごしてきた経験から、職場における人種差別意識や不公平な扱いがどのようなものかを直接知っている。企業は、多様ななワークフォースを支えるための基本的な方針やプログラムを用意せずに、自分たちの組織に筆者を招き入れ、多様性を高めようとしてきた。

自分のような人々に機会を見出そうといくら手を尽くしても、彼らが成功するために必要なリソースと環境の提供なくしては、それは決して十分なものとはなり得なかった。差別に関する苦情はしばしば却下され、支援要請は黙殺された。入社したばかりで将来に期待していた新入社員は、すぐに職場環境に幻滅してしまう。こうした失敗において欠落していた共通項は、多様性の欠如ではなく、公平性を重視していなかったことだ。

従業員体験チームと多様性リーダーの両方にとって、公平と平等を区別することが重要になる。DEIのイニシアティブに公平性を組み込むためには、各人がそれぞれの役割に異なる一連のニーズを持っていることを認識する必要がある。平等とは、すべての人に同じ資源を与えることを意味するが、公平性の概念は、個々の従業員が同僚と同じレベルの成功を収めることができるように、それぞれのニーズに合った資源と機会を与えることに帰結する。

企業がDEIへのアプローチ方法を再構築する上でまず問うべきことは、多様な人材の育成と維持につながる、公平で包括的な基盤をどのように構築するかである。

賃金格差の解消

報酬分析を実施することは、公平性を受け入れ、すべての従業員が同じ雇用機会と給与にアクセスできるようにするための第一歩となる。歴史的に見て、賃金と機会の公平性は過小評価グループには得難いものとなっており、ほとんどのDEIイニシアティブで大きな障害になっている。最近まで、多くの企業は報酬分析さえ行っておらず、いうまでもなく、組織全体にわたる給料レンジや賃金水準の透明性も提供していなかった。

組織の進捗状況を追跡し、弱点を特定するために、総合的な分析を毎年実施すべきである。報酬分析を適切に実施することで、人種、性別、年齢にわたって、組織の賃金の公平性を明らかにできる。

真に公平なシステムは、民族や性別に関係なく、公正な賃金を提供する。これは、企業が依然として苦戦している領域である。PayScale(ペイスケール)が2年前に実施した調査では、白人の男性が1ドル(約114円)稼ぐのに対して、黒人の男性は87セント(約99円)、ラテンアメリカ系の男性は91セント(約104円)であった。男女間の賃金格差はさらに大きく、2021年の女性の収入は男性の84%だった。Pew Research(ピュー・リサーチ)によると「2020年に男性が稼いだのと同じ収入を得るには、女性は42日間余分に働く必要がある」という。

黒人や有色人種は白人と同等の賃金を、女性は男性と同等の賃金を得られるように、賃金格差をなくすことが第一の目標になる。

それは人材の不足ではない、ビジョンの欠如である

筆者がDEIについてよく耳にする抵抗材料の1つは、企業は多様性の向上に努めているが、多様な人材を見つけることができない、というものだ。多くの場合、その主張は人材の不足に言及し、特にテクノロジー業界、つまり技術的能力によって定義される役割に向けられている。しかし、人材不足は誤った前提であり、実際に起きていることは雇用側のビジョンの欠如である。

企業は早い段階で採用活動を誤った基準に集中させ、経験年数や特定のスキルセットを過度に重視している。このアプローチは、多様な人材の採用に効果を発揮しない。過小評価グループの多くは、特定のスキルを習得するための十分なトレーニングや役割の継続につながる機会を与えられていないのである。

レジリエンス(回復力)、クリエイティビティ(創造性)、アンビション(野心)といった適切な特性を有する候補者は、その仕事を行うために必要な技術的能力を短期間で習得する鋭敏性を備えていると考えられる。企業は、独自の経験と生得的な強みがその人を価値ある候補者にしていることを理解し、経験年数を超えて目を向けられるような採用活動を意識的に行う必要がある。

もちろん、これが空いている役割のすべてに当てはまるわけではないと思うが、トレーニングや学習の機会のための道筋があるなら、チームは「完璧な」候補者という考えに広がりを持たせることで、多様性の目標に向けて本格的な前進を遂げることができるだろう。

ERGが鍵となる理由

インパクトのある変革を始める前に、組織の既存の文化と、そこに存在するギャップを明確に理解しておく必要がある。報酬分析は重要なステップではあるが、もう1つの鍵となる取り組みは、従業員リソースグループ(ERG:employee resource group)を通じて自社の人材をサポートするシステムを構築することだ。

あらゆる属性に基づいたERGが存在し得る。女性、黒人、ラテンアメリカ系の従業員、LGBTQの従業員など、これらはほんの数例にすぎない。そしてERGにより、組織全体に多大な支援をもたらすことが期待できる。

成功するERGは、包括性イニシアティブのバックボーンとして機能し、仲間意識を生み出し、従業員に安全で快適な空間を提供して、その体験を共有できる環境を実現する。ERGは、組織内の過小評価グループへの充実した奉仕に貢献するだけでなく、他の文化や人生経験に対するリーダーシップの認識を高めることにも寄与する。

仲間意識を醸成し、個人的な問題やデリケートな問題に関する堅牢な対話の場を提供することを目標とするならば、ERGは不可欠である。彼らは包括性を奨励するとともに、従業員の定着率を劇的に高めることができる。効果的なERGを通じて、従業員のニーズに対する組織の認識はより明確になり、従業員の士気、生産性、職務満足度の向上に役立つイニシアティブに基づいた組織行動が発展していく。

従業員が自分の仕事についてどう感じているかを知りたいなら、彼らに尋ねよう

DEIの取り組みにおけるギャップを見つけることは、企業の規模にかかわらず難しい課題である。よく言われるように、自分が知らないことは自分では分からない。ここでは、従業員調査が大きな違いをもたらすと考えられる。より効果的なDEIプログラムの構築と、従業員体験の成果の向上に役立つ、実質的なデータを発掘できるだろう。

毎月、四半期ごと、あるいは年次の従業員調査を実施することで、従業員満足度に関する深い洞察が得られる。組織の特定のレベルで認識されていないギャップが明らかになり、問題をはらむ事柄への対処を可能にし、DEIの取り組みを拡充させる新しいプロセスの創出につながっていく。

社内調査は非常に有益なツールであり、従業員のモチベーションを高める洞察力のあるデータを提供してくれる。結果を追跡し、進捗を測定し、ベースラインを評価することは、あらゆる大規模プロジェクトに不可欠な要素であるが、労働文化と永続的なDEI構造へのシフトを目指す場合には特に重要だ。

もちろん、リーダーシップからの賛同がなければ、このいずれもうまく機能しない。総合的なDEIソリューションを導入する前に、あるいは積極的な変革に真剣にコミットする準備が整っている場合はEIDを導入する前に、組織の経営幹部が参画している必要がある。真に公平で、包括的で、多様な組織を構築するために、ビジネスリーダーは、これらのイニシアティブが自分たちにとって何を意味するのか、また、これらのイニシアティブを組織にどのように反映させたいのかを明確に示すべきである。

リーダーシップのサポートを得たら、公平な賃金と雇用機会から始めて、持続可能なDEIプログラムの活性化を図る。そこから、安全で快適な空間の構築に着手し、人々が自分らしさを表現できる環境を整える。包括的な作業環境により、従業員は独自の人生経験と多様なバックグラウンドを組織に持ち込むことができ、ひいては、より幅広いオーディエンスとつながるための企業の展望と能力が広がりを見せていく。これらの取り組みが揺るぎなく定着した後は、多様な従業員を惹きつけるのみならず、高い定着率を維持する雇用戦略を展開していくことができるであろう。

成功するEIDプログラムを作り上げることは、家の建築に似ている。装飾を加える前に、まず、頑丈な基礎と壁を用意することが必要である。

編集部注:Candice Bristow(キャンディス・ブリストー)は、Expel Inc.のEIDおよび採用担当ディレクター。

画像クレジット:melitas / Getty Images

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(文:Candice Bristow、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】映画「マトリックス レザレクションズ」はテクノロジーをうまく解釈、描いているが駄作

この年末に公開されている「Matrix(マトリックス)」の新作は、ちょっとした失敗だったように思う。アクション、キャラクター、テンポ、ビジュアルなどは、ほとんどの面でしくじっていた。だが意外な点で成功していた。テクノロジーと私たちの関係について、説得力のある内容を提示している。

(この先「The Matrix:Resurrection(マトリックス レザレクションズ)」のネタバレがあるのでご注意を)

私たちの住む世界は現実ではない、というオリジナルの「マトリックス」の前提は、独創的とはいえなかった。だが、それを深くSF的にアレンジしたもの、つまり、シミュレーションを使った大衆受け狙いの「ターミネーター的ロボカリプス」は、説得力があり、上々の出来だった。当時、スマートフォンは存在せず(それゆえ、スマートフォンへの不健全な依存もなかった)、ロボットは初歩的、AIはまだSF的で、ソーシャルメディアといえばICQとチャットルームという時代であった。「Oh, blessed ignorance(無知は幸いだ)」。

つまり、恐怖や脅威がテクノロジーから生まれるというのは、表面的な見方にすぎない。人類を生きた電池に変えてしまったのが、たまたま機械だったというだけだ。結局のところ、パラノイア(極度の心配性)が不安に思ってきたのは、(秘密結社)イルミナティが世界の真実を隠しているということであり、その考えは何世紀も前にさかのぼる。

「レザレクションズ」は違う。「マトリックス」が公開後の20年間で出現したスマートフォン、AI、ソーシャルメディアなどは、単に影響力のあるテクノロジーというだけにとどまらず、それらによって可能になるものと、それらがもたらす新たな恐怖の両方において、この時代を特徴づけた。

画像クレジット:Warner Bros Pictures

「レザレクションズ」が描く根本的な脅威は、完全な欺瞞ではなく、標的を定めた偽情報だ。これはおそらく、現代における最も明白で差し迫った危険だ。その解決策は、これまでのシリーズで示されてきたように、単にベールを突き破ることではなく、純粋に、人間らしく、他者と調和し、対話しながら生きることだ。

映画の冒頭で主人公たちが置かれた状況は、私たちが陥るかもしれない罠を象徴している。オリジナル3部作がゲームのシリーズとしてメタ的に再構成されていることは、初めのうちは説得力がある。それは、半分は真実であって、嘘よりも説得力がある。称賛されながらも、仕事面でも創作面でも行き詰まったネオは、ゲームを現実として認識してしまう不健康な状態を治すためにセラピーを受けている。トリニティは、最も抵抗の少ない道として快適な日常を過ごしている。そして(新)モーフィアスは、逃れられないエコーチェンバーの中で生きている。

こうしたアイデアを、ソーシャルメディアに内在する最も悲惨な脅威である自己欺瞞、ドゥームスクローリング(悪いニュースばかりをネットで探すこと)、過激化と結びつけるのはまったく難しいことではない。ここでの「機械」は影響を及ぼす機械だ。その機械は、機械の考えが私たち自身の考えだと思わせるのだ。

これはもはや「これは現実の世界ではない」というより「私の考えは本当は私自身の考えではない」ということなのだ。自分自身の考えでないなら、誰の考えなのか。その問いに答えれば、あなたは抑圧者を見つけることができる。

他でも、私たちは「自分で考える」というアプローチに失敗していることがわかる。現実世界という「外側」で、人類は行き詰っている。革命的なオリジナルのモーフィアスはいなくなり、新しいリーダーは終末的な脅威に直面し、リスク回避のために足踏みしている。前進するために必要な大胆な行動をとることができない、非力な政府の姿が目に浮かぶ。

倉庫の中には、たとえ不格好であっても、Mervを完全に拒絶する、ある種のネオフォビア(シャレで、意図的に)的ブーマーのメンタリティーがあるのだ。「私たちには優雅さがあった、スタイルがあった、会話があった、これは違う、ピーピーピー! 芸術も、映画も、本も、すべて優れていた! オリジナリティが大事だった!」。彼は、偉大だと思われていた過ぎ去った時代に戻りたがっている。泣き虫で屈辱的な野蛮人が、自分の適応能力のなさをテクノロジーのせいにしているのだ。

そして最後に、機械たちの内戦の存在がある。持続不可能でありながら止められず、自分自身を食べ始めてしまう。

「レザレクションズ」が進むべき道として提示するのは、ある意味で陳腐な「みんなで力を合わせよう」だ。しかし、その背後にある意味が、目的を持ったメッセージでそれ自体を豊かにしている。共通の敵は本来テクノロジーに関わるものだが、テクノロジーそのものではない。もしあなたが自分自身の心の牢獄に閉じ込められているのなら、脱出は幻想だ。

この映画で重要なポイントは、私たちが自らのために採用したプログラミングを拒否すること。それが、ハイテクな敵が悪意により意図的に作ったものであれ、自己反省の欠如によってより自然にたどり着いたものであれだ。

共存こそが私たちの進むべき道であり、そのためには相手に対する自分自身の先入観を疑わなくてはならない。人間と憎き機械が共存できるとは、ネオにとっては衝撃的だ。政治的な側面から深読みするのはやめよう。筆者は、これが超党派主義の寓話だとは思わない。むしろ、映画で使われた新しい用語について考える。彼らはロボットではなく「synthient(シンシエント)」だ。これは愉快な混成語で、若干手を加えることにより、代名詞と表示の問題を反映している。ジェンダーの様相は連続している。意識がそうでないと言えるだろうか。

「レザレクションズ」では他者との共存こそが唯一の現実的な道だ。ロボットと人間がこの星を共有しなければならない「現実世界」においても、AIさえも自分の役割と主体性を押しつぶされるように管理されて息苦しくなる「マトリックス」においてもだ。

最後に必ずやってくる「愛はすべてに勝つ」という瞬間とその後の大げさなアクションシーンの後、最後の対決が1つの視点を提供した。人間に自らを縛る縄を与えた「アナリスト」は、その方が人間は幸せになれるという。ネオとトリニティは、人々が自ら選んでその上を走っているとされる、テクノロジーのトレッドミルが機能するのは、真のつながりと真の喜びを妨げるように設計されているからこそだという。

独我論的な野蛮人や楽天的な受動的リーダーシップとは程遠く「レザレクションズ」は人々が自由に学び、成長できる包摂的で協力的な世界を支持する。なぜなら、人々を無知にし、分裂させていたツールと実体は、光とつながりをもたらすものと同じだからだ。

アクション映画としては、Lana Wachowski(ラナ・ウォシャウスキー)監督の作品はめちゃくちゃで、崩壊寸前だ。(筆者は口直しに「コマンドー」を観た)。しかし、そのあやしい出来映えはともかく、この映画が描く混乱こそがメッセージなのだ。この映画には、私たち自身と現代のジレンマが不穏なほど正確に描かれている。監督は、私たちが、世界をではなく、自らが課した限界を疑えば、もっと多くのことができると思っている。その信念が、監督が提案する「赤いピル」なのだ。

画像クレジット:Warner Bros Pictures

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイキが話題のNFTスタジオ「RTFKT」買収、先に開催されたTC Tokyo 2021にも登壇

Nike(ナイキ)は、さらに暗号コレクターグッズの世界に踏み込み、NFTスタジオであるRTFKT(アーティファクトと発音する)を買収することを発表した。

今回の買収発表は、同スタジオにとって非常にタイムリーだ。RTFKTは現在、ここ1カ月で最も話題になったNFTプロジェクトの1つ、アーティストの村上隆氏とのコラボレーションによる「CloneX(クローンX)」アバターを手がけている。CryptoSlamによるとこのプロジェクトでは、3週間前に行われた最初のドロップ以来、すでに6500万ドル(約73億8000万円)近い取引が行われているという。

買収の条件は明らかにされていない。このスタートアップは、2021年5月にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)が主導して800万ドル(約9億1000万円)のシードラウンドを実施し、評価額は3330万ドル(約37億8000万円)とされていた。

RTFKTの共同設立者であるBenoit Pagotto(ブノワ・パゴット)氏は、声明でこう述べた。「これは、RTFKTブランドを構築するためのユニークな機会であり、私たちが愛するコミュニティを構築するために、Nikeの根本にある強さと専門知識の恩恵を受けられることを嬉しく思います」。

12月初め、Adidas(アディダス)は、NFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」とのパートナーシップを発表した。

RTFKTは、独自のNFTドロップを開発するだけでなく、他の暗号クリエイターと協力して、CryptoPunksやBored Apeなどの他のNFTプロジェクトのイメージを利用した物理的な靴などのアイテムをデザインしていた。

画像クレジット:RTFKT

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

Anakinの価格設定ツールでeコマースは競争力を強化

Y Combinatorの新卒であるSaaSのAnakinが、このほど200万ドルを調達して、eコマースの企業が競合他社の価格設定をリアルタイムで見られるソフトウェアの、開発を継続していけることになった。

Mohit Prateek氏とRashmi Bala氏は昨年9月に同社を創業し、3月に公式にローンチして、eコマースのストアやブランドが、他の企業の価格設定や商品やトレンドのデータを利用して自社の売上を伸ばすサービスを提供している。社名はもちろん「スター・ウォーズ」のキャラクターだが、CEOのPrateek氏によると、あの映画の活力よりもむしろ、知名度に魅力を感じて社名に選んだ。

両人はそれまで、FlipkartやTruefitPriorのような、人工知能とeコマースが交差するような企業にいた。

とくにPrateek氏は、Flipkartにいたときにたまたま、さまざまな地理的場所や流通チャネルにまたがってSKUを最適化する大きなチームで、価格設定の問題に取り組んでいた。その後彼は退社して別のスタートアップを作ったが、いろんなeコマース企業から価格設定に関する質問を受け続けていた。そんな電話の数があまりにも増えたとき彼は、前に一緒に仕事をしていたBela氏に会い、会社を作らないか、と持ちかけた。

Prateek氏は語る: 「顧客は、会社を作る前からいたんだ。彼らに売るようなプロダクトはなかったけど、彼らに助言をする私がいた」。

彼らの技術はこうだ: A社がトマトに値段を付けて売っていると、ほかのみんなが自分たちのトマトを同じように値付けをして、顧客がA社ではなく自分のところから買うように仕向ける。

ベストプライスを勘で決めるのではなく、Anakinは競合他社の何百万ものSKUの価格設定の管理を店頭在庫のデータなどを利用しながら行い、そこから得られたインサイトをリアルタイムで提供して、リテイラーが売上を増やせるようにする。Anakinのユーザー企業は、平均して12%、売上を増やしている。

Anakinは最初、食料品店を対象にし、今ではフードデリバリーやライドシェア、旅行などに手を広げている。顧客の名は明かさないが、中には大企業もいるそうだ。

シードラウンドの前に同社はすでに黒字だった。そのラウンドは必要なかったが、現状で二人だけのAnakinをはやく大きくし、対象国も業種ももっと広げたい、と考えている。

現在同社は、サンフランシスコとシンガポールとインドにオフィスがある。今回の資金は、Y CombinatorとHOF Capital、Austen Allred、ACE & Company、Integrity, Pioneer Fund、そして一群のエンジェル投資家たちから確保した。

Prateek氏によると、今Anakinの売上は毎月24%伸びていて、10か国あまりで利用されている。今回の投資は社員増と対象国の拡大に当てる予定だ。また、製品開発や対象カテゴリーの多様化、そしてセルフサービスツールの制作も行いたい。

「創業はCOVIDのさなかだったから、閉鎖になるのが怖かった。でも、家族経営のような店でも、うちのサービスを使えばAmazonと互角に競合できるんだ」、と彼は言っている。

関連記事: Who’s building the grocery store of the future?(未訳、有料記事)

(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Anakin/Anakinの共同創業者Mohit Prateek氏とRashmi Bala氏

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LinktreeがShopifyとパートナーしてユーザーが自分の店を載せられるようになった

「link in bio」※サービスとして人気のLinktreeがShopifyに統合して、ユーザーが自分の企業やお店や商品を直接、そのプラットホーム上で宣伝できるようにした。この統合によりLinktreeのユーザーはShopifyのお店をLinktreeの上にもローンチでき、商品やサービスを見せて売上を増進できる。(※: link in bioは「自己紹介(bio)の中のリンク」の意、ソーシャルメディアなどの自分のプロフィールの中にLinktreeを介して複数のリンクを張れる。)

この機能はLinktreeのユーザーには無料で、LinktreeとShopifyのパートナーシップにより、クリエイターが成長し、グローバルなオーディエンスに接続できる。

ユーザーが自分のShopifyのアカウントをLinktreeでリンクすると、宣伝する商品やコレクションを自分で選べる。また、ShopifyのコレクションをLinktreeにリアルタイムで同期できるので、Shopify上で行った変更が自動的にLinktreeに反映する。最大で6つの商品を表示できるほか、さまざまなコレクションやストアの複数のリンクを置ける。

Linktreeの共同創業者でCEOのAlex Zaccaria氏は、声明でこう述べている: 「ShopifyをLinktreeの今でも拡張を続けている機能性の仲間としてお迎えできることは、とても嬉しい。これによってユーザーはショッピングを合理化し、オーディエンスとの接続を増し、それにより購入を増やすことができる。Linktreeは、クリエイターが利用しているプラットホームをもっと多く統合して、彼らのオンラインビジネスに貢献したい」。


画像クレジット: Linktree

Linktreeによると、同社のShopifyとのコラボレーションは、最近行っているクリエイターのための一連の取り組みの一環だ。そのコラボレーションは、PayPalとパートナーしてから数か月後のことで、そこでは3月に立ち上げた「Commerce Links」ツールにより、Linktree上で直接決済ができる。Commerce Linksを使うと、ユーザーは新しいブラウザーやタブを開かなくても自分のLinktreeのプロフィール上で直接、決済ができるようになる。

また同社は最近、音楽のリンクを自動的に集めるSonglink/Odesliを買収し、それをLinktreeの新しい機能である「Music Link」に統合している。すべてのストリーミングサービス上の同じ曲やアルバムを表示するから、ユーザーは好きなプラットホームからそれを聴ける。

2016年生まれのLinktreeは今では、複数の「link in bio」プラットホームと競合している。それらはShorbyやLinkin.bio、Beaconsなどだ。3月にLinktreeは、4500万ドルのシリーズBを発表した。この資金調達ラウンドは、Index VenturesとCoatueが共同でリードし、以前の投資家であるAirTree VenturesとInsight Partnersが参加した。

(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Linktree

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ByteDanceの社内再編でTikTokの親会社の将来が見えてきた

ByteDance(バイトダンス)は、エンジニアリングからマーケティングサポートまでのリソースを共有する強固なバックエンドを通じてアプリを生産して収益化するという実証済みのモデルにより、「アプリ工場」として長い間評価されてきた。その結果、中国ではDouyinやToutiao、その他の地域ではTikTokなどの人気アプリが誕生した。

その間、同社は自制的なプロダクトを次々と発表し、「フラット」な社内組織を誇ってきた。The Informationがまとめたデータによると、2020年9月時点で、トップのZhang(張)氏は14人の幹部を従えていた。

しかし、会社が繁栄を続けるにつれ、幹部たちは膨れ上がった会社の規模に合わせて構造的な変革が必要だと認識した。その変化が訪れた。TechCrunchが11月2日に確認した内部文書によると、ByteDanceはアプリとオペレーションを6つの新しい「事業部門」に分類する。

注目すべきは、現在TikTokの最高経営責任者であるShou Zi Chew(周受資)氏が、ByteDanceの最高財務責任者ではなくなることだ。周氏は、Xiaomi(シャオミ)でCFOを務めたこともある銀行幹部で、3月にByteDanceのCFOとして入社し、5月にTikTokのCEOに就任した。

CFOに任命された当時、周氏はByteDanceの新規株式公開のために引き抜かれたのではないかという憶測が流れた。

しかし、Ant Group(アント・グループ)が計画したIPOの失敗や、その後のDidi(ディディ)への規制締め付けにより、上場を目指す中国のインターネット企業の見通しは暗くなっている。ByteDanceにとって、もうひとつの、そしておそらくもっと難しい問題がある。それは、同社のどの部門をどこに上場させるかということだ。

ByteDanceの共同設立者であるRubo Liang(梁汝波)氏は、Zhang Yiming(張一鳴)氏の後任として同社CEOに就任した。

新たに設立された6つの事業部門は、ByteDanceの当面の戦略的焦点を示す有益な指標となる。その内容は以下の通りだ。

TikTok:動画共有アプリと、それに付随するビジネス(中国国外でのeコマース事業など)を管理する部門。

Douyin:TikTokの中国版であり、ByteDanceが中国で展開している広告付きコンテンツ事業を統括する独立した事業部門の名称として正式決定した。長時間の動画を配信するXiguaや、同社の人気ニュースアグリゲーターToutiaoもこの部門に組み込まれる予定だ。

Dali Education:Daliは、ByteDanceがオンライン学習分野に進出するために2020年に設けられた。現在は職業学習、教育用ハードウェア(多忙な親が宿題の時間に遠隔で子供の相手をすることができるランプなど)、キャンパス学習の取り組みを統括している。

Lark:職場コラボレーションソフトウェアであるLarkは、SlackとG Suiteを1つにするというByteDanceの野望であり、同社のB2Bへの賭けの一環でもある。

BytePlus:ByteDanceのB2B事業の中で、基本的にはインフラの部分。法人顧客にAIやデータツールを販売する。

Nuverse:ByteDanceのゲーム開発・出版部門で、海外向けタイトルの管理も行う。中国のゲーム会社は、規制による不確実な状況で海外での成長を求める傾向が強まっている。

TikTokのアイデンティティ

TikTokの事業部門が設立されたことは注目に値する。ByteDanceは、TikTokが中国政府と関連しているという懸念が欧米で高まって以来、TikTokを他の中国事業から切り離してきた。TikTokは、すべてのデータを米国に保存し、バックアップサーバーは親会社の本社がある北京ではなく、シンガポールに置いているという。

これらの措置は、米国の規制当局の懸念を和らげるのに十分ではない。TikTokは、米国での初の議会公聴会で厳しい質問に直面し、意味を明確にするよう何度も求められた。

Ted Cruz(テッド・クルーズ)上院議員は、Beijing ByteDance TechnologyがTikTokの「企業グループ」の「一部」であるかどうかについて明確にするよう求めた。これらの文言は、TikTokのプライバシーポリシーで使用されているもので、アプリは「収集したすべての情報を企業グループの親会社、子会社、またはその他の関連会社と共有することがある」と記載されている。

TikTokの担当者は、ByteDanceの中国法人であり、中国政府が今年出資して役員を送り込んだBeijing ByteDance Technologyと、TikTokは「無関係」であると主張した。この文言は上院議員を満足させるものではなかった。

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画像クレジット: Greg Baker / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

TC Tokyo 2021:オトクな超早割チケットは10/18まで。お買い求めをadminお忘れなく

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TechCrunch Japanが毎年開催しているスタートアップとテクノロジーの祭典、「TechCrunch Tokyo(TC Tokyo)」を今年も開催する

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超早割チケットは、当日のライブ視聴、ネットワーキング機能の利用、スピーカーとのオフトークが行われる予定のサブステージへの入場権がついて、価格は2500円だ。今後発売される通常チケットよりもかなりお値打ちなので、ぜひこの機会に購入を検討して欲しい。超早割チケットプレミアムは、上記に加えてアーカイブ視聴特典付きとなっている。価格は3500円だ。

今年のTC Tokyoに参加してくれるスピーカーは特設サイトなどで随時発表中だ。ぜひチェックしてみてほしい。

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