ByteDance傘下のVRスタートアップ「Pico」がQualcommとの関係を強化

中国のVRスタートアップで2021年8月にTikTokの親会社であるByteDanceに買収されたPicoが、エクステンデッド・リアリティ(XR)分野への取り組みをさらに推進するためにQualcomm(クアルコム)と大型提携を結んだ。

PicoのXRプロダクトには今後QualcommのSnapdragon Spacesが活用される。Snapdragon SpacesはXR対応アプリを作る開発者向けにQualcommが提供しているプラットフォームだ。Snapdragon Spacesプラットフォームは、利用者をVRヘッドセットの中でデジタルの世界に没入させるのではなく、開発者がARグラスのエクスペリエンスを構築して既存のスマートフォンで利用できるようにし、ARをユーザーにとっての「2つめの画面」にすることを狙っている。

PicoとQualcommがこれまで近い関係であったことを考えれば、この提携はうなずける。すでにPicoの最新VRヘッドセットであるNeo 3はSnapdragon XR2チップセットを採用している。

QualcommのCEOであるCristiano Amon(クリスティアーノ・アモン)氏はバルセロナで開催されている毎年恒例の大規模モバイル関連展示会のMWCで「これはすばらしいチャンスです。おそらく今後10年間で(XRは)スマートフォンと同等の規模にまで成長し、特にARグラスはすべてのスマートフォンを拡張するものとなるでしょう」と述べた

ByteDanceのCEOであるRubo Liang(梁汝波)氏はリモートのビデオで「人々のエコシステムを作るハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーのロードマップに関して協業できることをたいへん喜んでいます」と述べた

Picoは中国ではVRブランドをリードしているが、Oculusのユーザーへのリーチやクリエイターエコシステムの規模には遠く及ばない。Steamの調査によると、2022年1月にグローバルで使われているVRヘッドセットのシェアはPicoの主要2製品を合わせてもわずか0.3%だ。この市場ではOculus Quest 2とRift Sの2つで60%を占めている。

業界関係者は、資金力のあるByteDanceが親会社であることがPicoのシェア獲得に役立つかどうかに注目している。さしあたり中国では、Picoは中国版TikTokと呼ばれるDouyinに大量の広告を出している。

Qualcommとの提携によってPicoのコンテンツのエコシステムが成長し、開発者の目が中国のXR市場に向くかもしれない。中国では急速に5Gが展開されていることから、XR市場が大きく成長すると予測されている。Qualcommによれば、Snapdragon Spacesは「OpenXRランタイム対応スマートフォンに接続するARグラスに最適化された、顔に装着する初のARプラットフォーム」であるという。Snapdragon SpacesにはUnityやEpic GamesのUnrealなど主力3Dエンジンをサポートする使いやすい開発者向けキットも用意されている。

画像クレジット:Pico

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

ByteDanceが戦略投資チームを再編し中国テック業界がパニック、政府の規制強化への対策か

中国のテック業界にとって、何と目まぐるしい日だったのだろう。TikTok(ティクトック)の親会社ByteDance(バイトダンス)が戦略投資チームを解散し、他社への投資によって積極的に拡大してきた他のインターネット大手に憂慮するようなメッセージを送った。

ByteDanceは2022年初めに「事業のニーズ」を見直し「最重要ではない分野への投資を減らす」ことを決定したと、同社の広報担当者は声明で述べた。

しかし、ByteDanceは外部投資を全面的に中止するのではなく、投資チームを「再編」し「事業の成長をサポートするためにさまざまな事業ラインに統合する」予定だ。

言い換えると、中国のスタートアップデータベース「IT Juzi」によると、これまでに169社に出資した(一部の案件は非公開)戦略投資チームの一部のメンバーは他の事業部門に配置され、そこで投資を継続することになる。

この「再編」は、それでもやはり業界にパニックを引き起こした。ロイター通信は情報筋の話として、中国のサイバー部門を管理する規制当局が「インターネット巨大企業」に投資や資金調達を行う前に承認を得ることを義務づける新たなガイドラインを起草したと報じた。また、一部の中国メディアも同様の規則案を報じた。

ロイターの情報筋によると「巨大企業」とは、ユーザー数が1億人以上、または収益が100億元(約1800億円)以上のインターネットプラットフォームを指すという。これが本当なら、この規則によりTencent(テンセント)から、Alibaba(アリババ)、Pinduoduo(ピンデュオデュオ)、JD.com(JDドットコム)、Baidu(バイドゥ)まで、中国のインターネット大手の多くが、投資活動で監視下に置かれることになる。特にTencentは「中国のソフトバンク」と呼ばれるほど、投資先が豊富なことで有名だ。

驚くべきことに、中国のサイバー分野を管理する規制当局は「インターネット企業のIPO、投資、資金調達に関して噂されているガイドラインは事実ではない」と発表している。さらに当局は「法律に基づき、関連するデマを広げた者を調査し、責任を追及する」とのことだ。

ByteDanceのチーム再編の動機は、確かに外部投資と内部事業の間でより多くの相乗効果を生み出すためかもしれない。確かなことはまだわからない。しかし、インターネット界の寵児に対する中国の独占禁止の措置は、終わりには程遠いようだ。

Tencentは最近、最も重要な盟友である中国のオンライン小売企業JD.comとシンガポールのビデオゲームとeコマース複合企業Seaのかなりの株式を売却した。売却の原因として独占禁止の圧力は挙げられなかったが、中国が最大のインターネット・プラットフォームの独占パワーを鈍らせ続けているとの憶測が飛び交っている。プラットフォームのいくつかは、反競争規則違反でさまざまな額の罰金を受けたが、投資ゲームの停止はより大きな結果をもたらすだろう。問題は、次にくるのはどの企業か、ということだ。

関連記事:Tencentは投資を続けつつも緊密な提携企業の株式を売却、中国政府のご機嫌とりか

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国当局が2021年7月から新作ゲームを1本も承認せず―約1万4000もの関連企業が登記抹消

中国当局が2021年7月から新作ゲームを1本も承認せず、約1万4000もの関連企業が登記抹消

Andrea Verdelli/Getty Images

中国ではビデオゲームの新規ライセンス発行が2021年7月から凍結されており、現在(2022年1月3日時点)までに約1万4000もの小規模なゲーム関連会社が登記を抹消されたと報じられています。

香港メディアThe South China Morning Post(SCMP)によると、中国でゲームのライセンスを担当している国家新聞出版署(NPPA)は7月末以降、新規タイトルの承認リストを発表していないとのこと。これは2018年3月~12月にかけての休止以来(当時も中国ゲーム市場の成長が大幅に鈍化)、中国内で最も長い新規ゲームライセンスの停止となります。

すでに昨年(2021年)9月、中国当局がテンセントやネットイースといった大手ゲーム開発企業を呼び出し、新作ゲームのライセンス発行を停止すると申し渡したことが報じられていました。さらに言えば、中国で18才未満が週に3時間以上ゲームをプレイするのを禁じられた直後のことでもあります。

そのため小規模なゲーム関連企業の多くが事業を閉鎖し、ゲーム業界最大手のパブリッシャーらは海外展開を進めているとのこと。その結果マーチャンダイジングや広告・出版に関わる企業を含む何千ものゲーム関連企業がこの数カ月で廃業し、約1万4000社が登記を抹消される事態となっています。この数字は2020年中に閉鎖された1万8000社から、かなりの加速を示しています。

かたやTikTokを運営するByteDance、オンライン検索大手のBaidu、Tanwan Gamesなどの大手企業は、ゲーム事業に関わる多くの従業員を解雇して損失を縮小。その一方、業界トップのテンセント・ホールディングスとネットイースは海外市場に経営資源を投入していると伝えられています。

たとえばテンセントは子会社のTiMi Studio Groupのもと、シンガポールに新たなビデオゲーム開発スタジオを開設する予定とのことです。TiMi社はモバイルゲームの大ヒット作「王者栄耀」(「Honour of Kings」)や「Call of Duty: Mobile」、「ポケモンユナイト」などの開発元として知られています。

NPPAは今回の停止についての公式な説明も、新規ゲーム承認のプロセスがいつ再開されるかの手がかりも提供していません。

もともと中国でのゲーム規制強化は、習近平主席がゲームを問題視したことから始まっており、さらに最近の国営メディアがオンラインゲームを「精神的アヘンが数十億ドル規模の産業に成長した」と非難したことで加速した経緯があります。中国の国策であり、最高指導者の意向である以上、ゲームへの締め付けを撤回することは困難かもしれません。

(Source:SCMPEngadget日本版より転載)

TikTokをモデレーターが提訴、生々しい動画の審査業務が精神的トラウマに

Bloombergの報道によると、TikTok(ティックトック)のモデレーターが、生々しい動画による精神的トラウマを理由に、同ソーシャルメディアプラットフォームとその親会社であるByteDance(バイトダンス)を訴えたという。提案されている集団訴訟の中で、モデレーターのCandie Frazier(キャンディー・フレイジャー)氏はこれまで、暴力、学校での銃撃、致命的な転落、さらにはカニバリズムなどが映っている動画をスクリーニングしたと述べている。「(結果)原告は睡眠障害に悩み、眠れた時には恐ろしい悪夢にうなされています」と訴状には記されている。

問題をさらに悪化させているのは、TikTokはモデレーターたちに12時間のシフト制で働くことを要求し、1時間の昼食と15分の休憩を2回取ることしか許さないことだという。訴状によると「膨大な量のコンテンツがあるため、コンテンツモデレーターは、1つの動画につき25秒以内の視聴しか許されず、同時に3~10本の動画を観ることになる」とのこと。

TikTokは、Facebook(フェイスブック)やYouTubeを含む他のソーシャルメディア企業とともに、児童虐待やその他のトラウマになるような画像にモデレーターが対処するためのガイドラインを作成した。その中には、モデレーターのシフトを4時間に制限することや、心理的なサポートを提供することなどが盛り込まれている。しかし、訴訟によると、TikTokはこれらのガイドラインを実施しなかったとされている。

コンテンツモデレーターは、ソーシャルメディアに掲載される生々しい画像やトラウマになるような画像の矢面に立ち、ユーザーがそれらを体験しなくて済むようにする役目を背負っている。大手テック企業にコンテンツモデレーターを提供しているある企業は、この仕事が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性があることを同意書の中で認めているほどだ。しかし、ソーシャルメディア企業は、心理的な危険性を考慮して十分な報酬を支払っておらず、メンタルヘルスのサポートも十分ではないとして、モデレーターなどから批判を受けている。2018年には、Facebookに対して同様の訴訟が起こされている。

フレイジャー氏は、他のTiktokスクリーナーを代表して集団訴訟を起こすことを希望しており、心理的傷害に対する補償と、モデレーターのための医療費支援基金を設ける裁判所命令を求めている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

ByteDanceがインドでのEdTech事業から撤退へ

ByteDance(バイトダンス)がインドでのEdTech事業を停止すると、同社はインド時間11月22日に現地チームに通知したと、この件について直接知る2人の情報筋が語った。

この決定は、インドのチームを欧州のEdTechチームと連携させることも検討した、数週間にわたる話し合いの結果であると関係者は述べている。関係者の1人は、全員とは言わないまでも、ほとんどの従業員が解雇されるだろうと述べている。EdTech部門は、インドで30数名を雇用していた。

ByteDanceの主力製品であるTikTok(ティックトック)は、2020年にインドで禁止されたが、同社の少なくとも2つの事業(教育学習アプリのSnapsolveと音楽ストリーミングサービスのResso)は、インドで引き続き運営されている。ByteDanceは、2020年にインドの従業員の多くを削減したが、同国での音楽事業やEdTech事業のために人材を雇用し続けていた。

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しかし、この件に詳しい関係者によると、両ブランドとも国内では控えめな姿勢を貫いており、従業員はこれらの事業について公に話さないように忠告されているという。

Doubtnut(ダウトナット)と競合するSnapSolveは、6年生から12年生(日本の高校3年生)までの生徒が、数学問題の写真を撮ってアップロードすることで、その問題の解き方を見つけることができるアプリだ。Doubtnutには、Sequoia Capital IndiaやJames Murdoch(ジェームズ・マードック)氏のLupa Systemsが出資している。

ByteDanceは、最近では10月の時点でインドのEdTech事業のためにいくつかの新しい職務を掲示していた。同社にコメントを求めたが、回答は得られていない。

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画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Dragonfly)

ByteDanceの社内再編でTikTokの親会社の将来が見えてきた

ByteDance(バイトダンス)は、エンジニアリングからマーケティングサポートまでのリソースを共有する強固なバックエンドを通じてアプリを生産して収益化するという実証済みのモデルにより、「アプリ工場」として長い間評価されてきた。その結果、中国ではDouyinやToutiao、その他の地域ではTikTokなどの人気アプリが誕生した。

その間、同社は自制的なプロダクトを次々と発表し、「フラット」な社内組織を誇ってきた。The Informationがまとめたデータによると、2020年9月時点で、トップのZhang(張)氏は14人の幹部を従えていた。

しかし、会社が繁栄を続けるにつれ、幹部たちは膨れ上がった会社の規模に合わせて構造的な変革が必要だと認識した。その変化が訪れた。TechCrunchが11月2日に確認した内部文書によると、ByteDanceはアプリとオペレーションを6つの新しい「事業部門」に分類する。

注目すべきは、現在TikTokの最高経営責任者であるShou Zi Chew(周受資)氏が、ByteDanceの最高財務責任者ではなくなることだ。周氏は、Xiaomi(シャオミ)でCFOを務めたこともある銀行幹部で、3月にByteDanceのCFOとして入社し、5月にTikTokのCEOに就任した。

CFOに任命された当時、周氏はByteDanceの新規株式公開のために引き抜かれたのではないかという憶測が流れた。

しかし、Ant Group(アント・グループ)が計画したIPOの失敗や、その後のDidi(ディディ)への規制締め付けにより、上場を目指す中国のインターネット企業の見通しは暗くなっている。ByteDanceにとって、もうひとつの、そしておそらくもっと難しい問題がある。それは、同社のどの部門をどこに上場させるかということだ。

ByteDanceの共同設立者であるRubo Liang(梁汝波)氏は、Zhang Yiming(張一鳴)氏の後任として同社CEOに就任した。

新たに設立された6つの事業部門は、ByteDanceの当面の戦略的焦点を示す有益な指標となる。その内容は以下の通りだ。

TikTok:動画共有アプリと、それに付随するビジネス(中国国外でのeコマース事業など)を管理する部門。

Douyin:TikTokの中国版であり、ByteDanceが中国で展開している広告付きコンテンツ事業を統括する独立した事業部門の名称として正式決定した。長時間の動画を配信するXiguaや、同社の人気ニュースアグリゲーターToutiaoもこの部門に組み込まれる予定だ。

Dali Education:Daliは、ByteDanceがオンライン学習分野に進出するために2020年に設けられた。現在は職業学習、教育用ハードウェア(多忙な親が宿題の時間に遠隔で子供の相手をすることができるランプなど)、キャンパス学習の取り組みを統括している。

Lark:職場コラボレーションソフトウェアであるLarkは、SlackとG Suiteを1つにするというByteDanceの野望であり、同社のB2Bへの賭けの一環でもある。

BytePlus:ByteDanceのB2B事業の中で、基本的にはインフラの部分。法人顧客にAIやデータツールを販売する。

Nuverse:ByteDanceのゲーム開発・出版部門で、海外向けタイトルの管理も行う。中国のゲーム会社は、規制による不確実な状況で海外での成長を求める傾向が強まっている。

TikTokのアイデンティティ

TikTokの事業部門が設立されたことは注目に値する。ByteDanceは、TikTokが中国政府と関連しているという懸念が欧米で高まって以来、TikTokを他の中国事業から切り離してきた。TikTokは、すべてのデータを米国に保存し、バックアップサーバーは親会社の本社がある北京ではなく、シンガポールに置いているという。

これらの措置は、米国の規制当局の懸念を和らげるのに十分ではない。TikTokは、米国での初の議会公聴会で厳しい質問に直面し、意味を明確にするよう何度も求められた。

Ted Cruz(テッド・クルーズ)上院議員は、Beijing ByteDance TechnologyがTikTokの「企業グループ」の「一部」であるかどうかについて明確にするよう求めた。これらの文言は、TikTokのプライバシーポリシーで使用されているもので、アプリは「収集したすべての情報を企業グループの親会社、子会社、またはその他の関連会社と共有することがある」と記載されている。

TikTokの担当者は、ByteDanceの中国法人であり、中国政府が今年出資して役員を送り込んだBeijing ByteDance Technologyと、TikTokは「無関係」であると主張した。この文言は上院議員を満足させるものではなかった。

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画像クレジット: Greg Baker / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

Anushree Fadnavis / Reuters

テクノロジー業界のトップらが集う招待制のカンファレンス「Code Conference 2021」で、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが昨年のTikTok買収交渉に関する体験談を回想し「これまでに取り組んだ中で最も珍妙な出来事だった」と語っています。

2020年8月、中国のByteDanceが親会社のTikTokに対して、ドナルド・トランプ前大統領政権はセキュリティと国家安全保障上の懸念があるとして、サービスを閉鎖するか、米国企業へ売却するよう迫っていました。TikTokはいくつかの企業との間で売却交渉を進め、その候補のひとつがマイクロソフトでした。

しかし、最終的に売却先として決定、公表されたのはOracleで、マイクロソフトはそこで手を引く結果に。最終的に、TikTokの売却話はバイデン新大統領がトランプ政権下でのTikTok禁止の大統領令を取り消したことでなくなっています。

一連の出来事に関して、ナデラCEOはCodeカンファレンスの舞台上で「まず覚えておいていただきたいのは、もともとはTikTokが我々のところへ来て買収を持ちかけたのであって、我々がTikTokのところに出向いたわけではないということです」と述べました。TikTokはセキュリティサービスを提供できるクラウドプロバイダーと手を組みたいと考えており、自らマイクロソフトにパートナーになって欲しいと連絡を取ってきたとのこと。

さらにナデラCEOは「トランプ大統領からは当初、TikTokの買収に関しておそらくなんらかの考えがあるように感じられていました。しかしある時期にそれが消えてしまいました」と述べ、「そして、私は交渉から抜けることにしました。奇妙なことでしたが、面白くも感じました」と語っています。

一方、今でもあのショート動画アプリを買いたいかとの問いに関しては、明確な返答は避けました。しかし、マイクロソフトには「クラウドプラットフォーム、セキュリティ技術、そして「コードベースを引き継ぐことができるエンジニア」がいて「最も適した立場」だったとして、取り引きが魅力的だったことを認めました。

(Source:GeekWireEngadget日本版より転載)

TikTokの月間アクティブユーザーが10億人に到達

米国時間9月27日、TikTok(ティックトック)はブログ記事で1カ月の利用者数が10億人になったと発表した。つまり地球上のおよそ7.5人に1人が、ダンスや危険な「牛乳ケースチャレンジ」、さらには実際に役立つ教育コンテンツなどのショートビデオを定期的に視聴していることになる。

比較のためにいうと、Facebook(フェイスブック)は2021年6月に月間アクティブユーザーが前年同期比7%増の29億人であると発表した。しかしTikTokは急激に成長している。2020年7月の月間アクティブユーザーは6億8900万人で、そこから45%増えている。さらにアプリ調査会社のSensorTowerによると、TikTokアプリは2021年7月にFacebookアプリ以外では初めて、全世界で30億ダウンロードを達成した。

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TikTokは明らかに欧米のテック大手に競争を突きつけている。Facebook傘下のInstagram(インスタグラム)は重点分野を抜本的にシフトし、もはや写真共有アプリではないと宣言している。InstagramはTikTokそっくりのリールを強烈に推進しているし、ディスカッションフォーラムのReddit(レディット)でさえショートビデオのフィードの誘惑にひかれている。Instagramはクリエイターに対し、TikTokの透かしが入ったビデオをリールに再利用した投稿は見つけにくくするとアドバイスしている。

TikTokによれば、親会社ByteDance(バイトダンス)の本社は中国だがTikTokの最大のマーケットは米国、ヨーロッパ、ブラジル、東南アジアだという。よく知られているように、近年のTikTokは厳しい規制の問題に直面している。米トランプ前大統領は米国の企業とTikTokとの取引を禁止しようとした。13億6000万人を擁するインドでは2020年以降、TikTokは禁止されている

こうした状況にもかかわらず、TikTokはめざましい成長を見せ続けている。つい最近の2021年8月には、TikTokの親会社であるByteDanceがVRハードウェア起業のPicoを買収し、今後VRに進出していく可能性を示した。FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が1兆ドル(約110兆円)規模のプラットフォームであるFacebookを「メタバース」企業にしたいと考えているのは偶然ではない。みんな、大成功したいようだ。

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画像クレジット:TikTok

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時まで利用できなくする青少年モード追加

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時までは利用できなくする青少年モード追加

China Stringer Network / Reuters

TikTokを運営する中国ByteDanceが、中国版TikTokである「抖音(Douyin)」について14歳以下のユーザー向けに青少年モード(Youth Mode)を追加すると発表しました。このモードではまた、1日の利用時間が40分までに制限されるほか、22時から6時までは利用できなくなります。

青少年モードでは、面白い科学実験や博物館や美術館のコンテンツ、全国の美しい風景に歴史的な知識の解説など、教育向けコンテンツも追加されるとのこと。

なお、Bloombergによると、Douyinとは別にXiao Qu XingあるいはLittle Fun Starという新しいアプリの提供も開始されたとしており、こちらも1日40分などの制限は同じですが、教育向けコンテンツのみを提供しているようです。

中国では、2018年に習近平主席が子供の近視率の増加を憂慮したことから、未成年者のゲーム・インターネット利用を規制する動きが強まっており、直近では、18歳未満のゲーム利用を週に3時間までに制限したばかりです。

週に3時間までの制限と比べれば、1日40分というのは大分軽い制限のようにも思えますが、香港で発行されているSouth China Morning Postによれば、Douyinユーザーのうち、12歳未満は0.34%、13~19歳が4.18%に過ぎず、それほど多くのユーザーには影響しないようです。ただし、Douyinはユーザーの統計データを公開していないため、この数値が正確である保証はありません。

なお、Douyinは、14歳以下のユーザーがこの規制を回避することができるかもしれないと認めており、ログインプロセスの抜け穴を探すバグ発見キャンペーン「DOU to find bugs」も実施しています。

(Source:ByteDanceEngadget日本版より転載)

【中国】政府はテック巨人にもっと社会的責任を負わせたい

TechCrunchチャイナ・ラウンドアップへようこそ&おかえりなさい。中国テック業界の近況と、それが世界の人々に与える影響ついてまとめてみた。

先週、中国ゲーム業界は再び政府の標的となり、未成年プレイヤーに対する世界で最も厳格と思われるルールが施行された。また、中国のテック巨人たちは、社会的責任を取り、束縛のない拡大にブレーキをかけるようにという政府の要請に急いで答えている。

ゲーム制限令

中国政府はこの国の若きゲーマーたちに爆弾を落とした。現地時間9月1日以降、18歳未満のユーザーはゲーム時間が1日当たりのわずか1時間、金曜、土曜、日曜日の午後8時~9時のみに制限される。

この厳格なルールは、未成年に対するすでに締め付けの強いゲームポリシーに輪をかけるもので、政府はビデオゲームが近視の原因であり、精神と肉体両方の健康を害していると信じている。中国が最近、一連の校外学習の制限を発表したことを思い出して欲しい。働く親たちは子どもたちを忙しくさせるのがますます難しくなるというジョークが出回っている。

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新たな規制のいくつかは分析する価値がある。まず、新しいルールを策定したのは国家新聞出版署(NPPA)。同署は中国国内のゲームを承認する規制機関であり、2019年には9カ月間認可を凍結してTencent(テンセント、騰訊)などでゲームの在庫が底をつくことにつながった。

プレイタイムの指針が、ゲームコンテンツの審査と出版ライセンスを発行しているNPPAから出てきたことは興味深い。中国の他の業界と同じく、ビデオゲームは複数の規制機関による承認の対象となっている。NPPAの他、国の最高のインターネット監視機関であるサイバースペース管理局(CAC)、業界標準と通信インフラを司る中華人民共和国工業情報化部がある。

アナリストらは、習近平主席が長を務める中央サイバースペース管理局配下で強大な力を持つCACが、権利を手放したくない他の省庁との官僚的闘争に直面しているところを長年見てきた。これは、裕福なゲーム業界の規制にも当てはまる可能性が高い。

Tencentをはじめとする主要ゲーム会社にとって、新ルールが会社のバランスシートに与える影響は取るに足らない。ニュースが報じられた直後、NetEase(ネットイース)や 37 Games(サーティーセブン・ゲームズ)をはじめとする中国上場ゲーム会社は、未成年プレイヤーは会社売上の1%以下しか寄与していないことをすかさず発表した。

Tencentはこの変更を見越して「中国におけるゲーム売上において16歳未満の占める割合はわずか2.6%、12歳未満はわずか0.3%」であると第2四半期決算で公表している。

こうした数字が現実を反映しているかどうかはわからない。なぜなら子どもたちは、ユーザー登録に大人のIDを使うなどしてゲーム制限を回避する方法を以前から知っているからだ(前の世代が成人の友人からIDを借りてインターネットカフェに潜り込んだのと同様だ)。Tencentや他のゲーム会社は、これらの回避方法を遮断することを約束して、子どもたちにVPNを使って海外版のゲームタイトルを利用するなど高度な技の追求を強いようとしている。いたちごっこは終わらない。

ともに繁栄を

中国はテック巨人の力を削ぎ落とすだけでなく、社会的責任を果たすよう圧力をかけている。ギグワーカーの権利尊重もその1つだ。

先週、中国最高人民法院は「996」と呼ばれる午前9時から午後9時まで週6日働く長時間労働を違法と判断した。この決定は、テック業界のバーンアウト・カルチャーに対する労働者の数年にわたる抗議活動を受けたもので、「996」を実行している企業を列挙するGitHub(ギットハブ)プロジェクトなどが行われてきた。

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一方、勤勉で従順な従業員は、中国テック業界の競争優位性であると言われることも多い。それは、シリコンバレー企業、特に中国をよく知る人々が経営する企業が、この国に支社を設置してテック人材を活用している理由の一部だ。

残業が称賛、許容されていた日々は終わろうとしている。ByteDance(バイトダンス、字節跳動)と同社のショートビデオのライバルであるKuaishou(クアイショウ、快手)は、最近それぞれの週末残業ポリシーを廃止した

同様に、Meituan(メイトゥアン、美団)はフードデリバリー配達員のために強制休憩時間を導入することを発表した。オンデマンドサービスの巨人は、ライダーに過酷な労働時間や危険運転を強要する「非人間的」アルゴリズムで非難を浴びていた。

画期的な試みとして、ライドシェアリングの巨人、Didi(ディディ、滴滴出行)とAlibaba(阿里巴巴集団)のeコマースのライバル、JD.com(ジェイディードットコム、京東集団)は、社員のために労働組合を設置した。ただし、新たな組織が従業員の権利を守るために意味のある影響を持つかどうかは不明だ。

TencentとAlibabaも動いた。8月17日、習近平主席は「共同繁栄」を求める演説を行い、この国の大富豪たちから大きな注目を集めた。

「中国が2度目の100年目標に向かって進むにあたり、人民の幸福は、共同繁栄を促進して党の長期支配の基盤を強化することによって実現すべきです」。

今週TencentとAlibabaの両社は「共同繁栄」を支援するために1000億人民元(155億ドル)を拠出することを宣言した。資金の目的は、地方経済の成長から医療システムの改善まで、中国政府の国家開発目標とよく似ていてうまく連携している。

画像クレジット:Photo by Lintao Zhang/Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTok親会社のByteDanceがVRハードウェアスタートアップPicoを買収

TikTok(ティクトック)親会社のByteDance(バイトダンス)が、可能な分野でFacebook(フェイスブック)を出し抜くことを模索しているようだ。TikTokは世界で最もダウンロードされたソーシャルメディアプリという地位を獲得したが、ByteDanceは今、Pico(ピコ)というVR(仮想現実)ヘッドセットメーカーを買収し、Facebookの挑戦を追随している。

最初にBloomberg(ブルームバーグ)が報じたこの買収についてByteDanceは米国時間8月30日に認めたが、買収価格については明らかにしなかった。Picoは3月の3700万ドル(約41億円)のシリーズBなど、ベンチャーファンディングで中国企業から6200万ドル(約68億円)を調達した。OculusのようにPicoはVRデバイスのためのハードウェアとソフトウェアの両方を手がけている。そしてOculusと違ってPicoの存在感は中国では大きい。PicoはOculusやHTCほどの認知度はないかもしれないが、トップのVRハードウェアメーカーであり、中国の消費者と西欧の法人顧客に販売している。

ByteDance傘下となることで、世界最大のVRブランドの2つが今、ソーシャルメディア企業内に存在している。皮肉にも、ここ数年筆者が話を聞いてきたPicoの北米顧客の多くは、Facebookのデータと広告頼みのビジネスモデルに辟易し、Oculusもやがてその一部になるのではとの懸念から、少なくとも部分的にOculusハードウェアの代わりにPicoのヘッドセットを選んできた。

VRマーケットがしょっぱなから低調であることは誰もが知っているところだが、Facebookはテクノロジーの道を切り開き、従来の投資家の多くが関心を示さなかったエコシステムに近年大金を注いできた。

買収取引条件は明らかではなく(筆者は詮索している)、これがVRにとっての復活のときなのか、あるいは契約市場の兆しなのかは判断しかねる。最も可能性がありそうなのは、ByteDanceが消費者VRブランドの構築に真に関心を持っており、Facebookの失敗から学び、エコシステムへのFacebookの貢献を利用しながら同社の歩みをたどることだ。ByteDanceが中国の消費者マーケットに完全にフォーカスするのか、あるいは同時に米国の法人顧客もゆるく追求するのかは、同社が今後対応しなければならない大きな問題だ。

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画像クレジット:Pico

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

【中国の近況】政府がByteDanceに出資、Amazonの中国販売業者取り締まりは続く

TechCrunchチャイナ・ラウンドアップへようこそ&おかえりなさい。中国テック業界の近況と、それが世界の人々にどんな意味をもつかについてまとめてみた。

先週、中国政府がByteDance(バイトダンス)に資本参加したことで投資家たちの不安は増大した。TikTok(ティックトック)の親会社にして世界最大級の非上場インターネット企業だ。一方でAmazon(アマゾン)による中国販売者の取り締りは続き、中国南部の多くの業者を廃業に追いやり、政府は包括的データ保護法を可決しせ11月に施行される予定だ。

国の資本参加

中国政府による国のインターネット巨人の制御を強める大計画は続いている。今週、The Informationは、ByteDanceの国内事業体が4月に株式の1%を政府関係機関に売却したことを報じた。この取引は企業情報の公開データベースであるTianyancha公式企業登録簿にも記載されている。

この動きは突然起きたのではない。中国政府は非上場テック企業の少数株取得を2017年から考慮していた。当時The Wall Street Journalは、インターネット規制当局が、WeChat(ウィーチャット)運営者であるTencent(テンセント)、Twitter(ツイッター)類似サービスのWeibo(ウェイボ)、YouTube類似サービスのYouku(ヨーク)などの企業の1%株を取得する検討をしていると報じた

2020年4月、China Internet Investment Fund(中国インターネット投資ファンド)の子会社、WangTouTongDaはWeibo株の1%を1000万中国元(1億6900万円)で購入した。Weiboの米国証券規制当局への提出書類による。Weiboはこの書類で、WangTouTongDaの国との関係について言及しなかった。

同様に、ByteDanceは株式の1%を、主要規制機関が指定した3つの団体、China Internet Investment Fund、共産党中央宣伝部が制御するChina Media Group、および北京市政府の投資部門に売却した。

ByteDanceに対する中国政府の動きを受け、米共和党のMarco Rubio(マルコ・ルビオ)上院議員は今週、米国でTikTokをブロックするようジョー・バイデン大統領に緊急要請した。

ByteDanceの少数株を取得することで中国政府がどれほどの力を得るのか正確にはわからないが、Weiboによる投資家への情報開示がいくつかヒントを与えている。

同政府がWeiboとByteDance両方の国内事業体の株を取得していることは注目すべきだ。中国のインターネット企業は、中国本土の事業が契約上の合意を通じて金銭的利益を得られる資格をもつ海外事業体を設立することがよくある。この枠組は変動持ち分事業体(VIE)と呼ばれる。この構造によって中国企業は海外での資金調達が可能になるが、海外投資を制限する中国政府による監視が強まっている。

Weiboは提出書類の中で、出資者である国有企業のWangTouTongdaが、Weiboの国内事業体の3名からなる取締役会の役員1名を指名できるようになり、コンテンツや将来の資金調達に関する特定の要件に対する拒否権を得ると書いている。

ByteDanceも同様の契約を同社の国有出資者と結んでいる可能性が高い。中国政府はケイマン諸島法人の独立海外事業体の子会社であるTikTokの株式は取得していない、とThe Informationは指摘している。これは米国規制当局に多少の安心化を与えるものだが、中国政府による海外中国企業の支配に対する懸念が消えることはないだろう。

実際バイデン政権は2021年6月、ByteDanceとWeChatを禁止したトランプ時代の命令をより精査されたポリシーで置き換え、安全保障上のリスクを生む可能性のある「外国の敵対者」とのつながりについて、商務省によるアプリの審査を必須とした。

TikTokは中国政府へのユーザーデータ引き渡しに関する告発と戦ってきた。ByteDanceは米国で2021年4番目のロビー活動費使用者であり、Amazon、Facebook、およびAlphabetに続いている。中国政府による投資によって、さらに多くの活動費が必要になるだろう。

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窮地のAmazon販売業者

5月に私はAmazonが中国最大級の販売業者数社を、同プラットフォームの規約に違反したとして利用禁止にしたことを報じた。偽レビューやユーザーに肯定的レビューを書かせるために報酬を支払うなどの行為による。厳しい取り締りは中国のオンライン輸出業者をパニックに陥らせ、それはAmazonによる1回限りの不意打ち攻撃ではなく、長引く戦争になった。影響を受けた中国業者の正確な数は明らかにされていないが、業界ウォッチャーのMarkeplace Pulseなどは、7月初め時点で「数百社の」中国販売業者が停止されたと言っていた

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罰せられたアカウントは利用禁止となりされ、Amazonによって商品は差し止められ入金は凍結されている。世界のAmazon販売業者の大半が拠点を置く深圳では、最近だけで数千人が解雇された。深圳のある大規模販売業者のオーナーは、大損害を理由に最近自殺したと知人が伝えた。

取り締りを生き延びた販売業者は、Amazonによる襲撃は「遅かれ早かれ起きたこと」だと語った。私が話した業者のほとんどが同じ意見だった。シアトルの巨人Amazonは現在、価格とランキング操作だけで競争するジェネリック製品ではなく、品質とデザインを求めている。

中国政府もこの事象に注目した。商務部の高官は7月の記者会見で、相次ぐアカウント閉鎖について中国輸出業者を「水から出た魚」になぞらえた。

「世界の法律、文化、ビジネス慣行の違いのために、[中国]企業は海外進出においてリスクと難題に直面しています」と商務省のLi Xingqian(李興乾)対外貿易局長は言った。

「私たちは企業がリスク管理を改善し国際貿易標準を遵守する手助けをします」。一方で同氏は「各プラットフォームにはさまざまな企業による重要な貢献を大切にし、異なる取引相手を十分に尊重する」よう要請した。

データ保護

最後に、中国は先週、包括的なデータ保護法を可決した。同法はテック企業によるユーザーのデータ収集の方法を厳格に制限しているが、国家による監視には影響を与えない可能性が高い。この2020年提起された規制法案は11月1日に発効する。詳しくは以下の記事を参照されたい。

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画像クレジット:Photo by VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ByteDanceのライバルKuaishouが物議を醸した同社の米国向けアプリ「Zynn」を提供終了へ

ByteDance(バイトダンス)のライバルと目されている中国のKuaishou Technology(クアイショウ、北京快手科技有限公司)は、2021年8月末に物議を醸しているショートビデオアプリ「Zynn(ジン)の提供を終了すると中国時間8月4日に発表した。このアプリは米国内でのみ利用可能だった。

2021年7月、月間アクティブユーザー数が10億人に達したと発表した同社は、2020年5月にサービスを開始して以来、論争の的となっていた同アプリを停止する理由については説明していない。

2021年に行われた調査で、Zynnは米国iOS App Storeでのランキングを表面的に向上させるために、ユーザーに謝礼を支払って動画を視聴させていたことが判明した。また、TikTok(ティックトック)のクローンであるこのアプリは、他のアプリから盗用した動画が氾濫していることが報道され、Google Playストアからも削除された。その後、同様の苦情を受けてAppleのApp Storeからも削除されている。

Kuaishouの広報担当者は声明の中で、今回のZynnのサービス停止の決定が他の市場のユーザーに影響を与えることはないと述べている。Kuaishouは、南米(Kwaiアプリとして)や南アジア地域(Snack Videoとして)など、他の多くの市場で同様のアプリを運営している。

2021年初めに香港でのIPOで54億ドル(約5917億円)を調達した同社は「国際市場における当社の戦略に変更はありません」と述べている。

モバイルデータ分析会社App Annieによると、Zynnアプリは米国でユーザーを引きつけることができず、2020年8月には約300万人だった月間アクティブユーザー数(MAU)が、2021年6月にはわずか20万人にまで減少していた(データは業界幹部がTechCrunchと共有したもの)。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

中国ByteDanceの動画編集アプリ「CapCut」が米App Storeランキング1位に

​CapCutのスクリーンショット

中国のアプリが、西洋諸国のGoogle PlayとApp Storeのランキングでトップに輝くのをときどき目にする。それはセルフィー画像加工やカジュアルなビデオゲームなど、世界にアピールしローカライゼーションの手間をそれほど伴わないユーティリティツールだったりする。しかし大半は取るに足らないものでありがちだ。

海外のチャートのトップに躍り出た最新の中国アプリはTikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)からのものだ。CapCutというビデオ編集アプリではユーザーはスティッカー、フィルター、エフェクトを加えられるだけでなく、Ken Burnsエフェクトのように作用するズーム機能の使いやすいグリーンスクリーンファンクション、その他にも多くの機能を搭載している。そのためいつでもアクセスできるFinal Cutのようなアプリになっている。

ユーザーは使用する音楽の代金を心配する必要はない。CapCutはライセンスを取得しているサウンドクリップのライブラリーを備えていて、ユーザーはコンテンツをおもしろくするのにそれらを使うことができる。TikTokは2020年ミュージシャンをスカウトしたり大手レーベルと契約を結んだりといった取り組みを通じて音楽ライブラリーの拡充を図ってきた。

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ByteDanceは最初にサービスを無料提供することでかなりのユーザーベースをひきつけ、そしてユーザーがプロダクトを頻繁に使用するようになった後に収益化モデルを模索するという手法に熟達している。CapCutでも同じアプローチを取っているようだ。

CapCutの中国における姉妹アプリJianyingはDouyin(TikTokの中国版)ユーザーの間ですでに成功している。そして現在、そのパターンが中国外で繰り返されている。TikTokユーザーは、何回かスマホをタップするだけでビデオをスムーズでプロの作品のようなものにすることができるCapCutを利用している。

調査会社SensorTowerによると、CapCutは米国時間5月21日以来、米国のApp Store無料アプリランキング第1位で、米国Google Playでは記事執筆時点で第9位だApp Annieによると、世界33カ国で無料iOSアプリランキング第1位となっている。

CapCutはApp StoreとGoogle Play合わせて世界で計2億5000万回超インストールされ、うち950万回近くが米国のアプリストアでのものだとSensorTowerは指摘する。

CapCutの人気ぶりは中国の写真編集アプリ「Meitu」を彷彿とさせる。Meituは中国ではセルフィー画像加工と同義語になったくらい人気で、しっかりとした忠実な国外ユーザーのベースも持っていた。CapCutとMeituの違いは、CapCutの人気が姉妹アプリTikTokのグローバルな優位性の上に築かれているのに対し、ユーザーの使用頻度を増やすための写真ツールソーシャルネットワークを展開しようというMeituの初期の試みは実現することはなかった。

CapCutはおそらく、クチコミで人気となるByteDanceの最後のアプリではない。TikTokの広大なコンテンツ帝国はビデオ編集、あるいはクリエイターが収益を上げるため、そしてユーザーがお気に入りのインフルエンサーおすすめのプロダクトを購入するeコマースサービスなど、さらに派生していくだろう。

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

「TikTokを創った男」ByteDance創業者の張一鳴氏が2021年末までにCEO退任へ

張一鳴氏と梁汝波氏(画像クレジット:ByteDance)

TikTok(ティックトック)の親会社であり、世界で最も価値のあるインターネット企業の1つであるByteDance(バイトダンス、字節跳動)は中国時間5月20日、共同創業者のZhang Yiming(張一鳴)氏がCEOを退任し、共同創業者のLiang Rubo(梁汝波)氏にバトンを渡すと発表した。

38歳の張氏は、従業員に宛てた社内メモで「長期的な戦略、企業文化、社会的責任」により多くの時間を費やすための移行だと述べている。

張氏は、現在ByteDanceの人事部長であり、大学の同級生でもある梁氏と、今後6ヵ月間にわたって協力し合い、スムーズな移行を図っていくとのこと。なお、張氏は引き続きByteDanceの取締役を務める。

メモを読むと、張氏は、大学を卒業してから2012年にByteDanceを設立するまでの間、将来のことを考える時間が多かったと振り返っている。その結果、機械学習が人々の情報との出会い方を大きく変えるだろうという結論に達し、その考えがByteDanceのToutiao(今日頭条)やTikTokなどのような、アルゴリズムを駆使したコンテンツ配信の基礎となった。しかし、CEOとしての彼は「プレゼンテーションを聞き、承認するか対処し、受動的に決断する」ことに追われていたという。

「イノベーションと成功は、何年にもわたって可能性を探求し、想像することに根ざしています。しかし、未来について本当に洞察力のある人はほとんどいないため、(たいてい)現在や過去の成果をモデルにすることを好みます」と同氏は書き、米国のテック巨人たちをロールモデルとして挙げている。

「人々は電気自動車の成功に舌を巻いていますが、Tesla(テスラ)が設立されたのは18年前で、最初に実験したのはノートパソコンのバッテリーだったことを忘れています。また、Apple(アップル)のソフトウェア管理ツールであるHomeBrewについては知られていますが、1970年代にコンピューターギークたちがHomeBrew ClubでApple I(アップル ワン)について議論していたことを知っている人はほとんどいません」。

また、張氏は自分が理想的なマネージャータイプではないことを認識しており「実際に人を管理するよりも、組織や市場原理を分析し、それらの理論を活用してマネージメント業務をさらに軽減することに興味がある」と述べた。

「同様に、私はあまり社交的ではなく、ネットや読書、音楽鑑賞、可能性を空想するようなひとりでする活動を好みます」とも。

一方の梁氏は、同社の研究開発や、社内でのコラボレーションツールとしてスタートし、後に他の企業に販売される本格的なSaaS製品へと発展したLarkプロジェクトを率いてきた経験から、CEOの責務により適していると思われる。

最近、日常業務から退いたもう1人の著名な中国のテック企業のトップは、Alibaba(アリババ)のライバルであるPinduoduo(拼多多、ピンドゥオドゥオ)の創業者、Colin Huang(コリン・フアン、黄峥)氏だ。黄氏は、EC企業である同社が今後の成長の原動力になると期待している、食品やライフサイエンスの分野に注力するために一線を退いた。

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

ByteDanceのCFOがTikTokの新CEOに就任、両職を兼務

米トランプ前政権がTikTok(ティックトック)に総攻撃をかける中でCEOのKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏が辞任してから8カ月、TikTokの常任のリーダーがようやく決まった。

米国時間4月30日、TikTokは同社の親会社であるByteDance(バイトダンス)に最近CFOとして加わったShouzi Chew(周受資)氏が、ByteDanceのCFOを勤めつつTikTokのCEOも兼任すると発表した。これは大胆な動きだ。米バイデン大統領は前トランプ大統領がこだわったプロジェクトを引き継ぐことに関心がなさそうであるため米政権との争いは最悪の状態を脱したとTikTokが考えていることの表れと見られる。

暫定CEOを務めていたVanessa Pappas(ヴァネッサ・パパス)氏は、今後COOに就任する。

ByteDanceのCEOであるYiming Zhang(張一鳴)氏は報道発表の中で「ショウとヴァネッサのリーダーシップチームが持続的な成長の準備を整えます。ショウは最も早く当社に投資したチームのひとつを率いた経験がありテクノロジー業界で10年にわたって仕事をしてきたことから、当社と業界に関する深い知識をもたらします。ショウはコーポレートガバナンスや長期的なビジネスのイニシアチブなどに力を入れて、チームをさらに深めていきます」と述べた。

周氏は2021年にByteDanceに加わる前はXiaomi(シャオミ)の役員だった。さらにその前はDSTやGoldman Sachs(ゴールドマンサックス)に在籍していた。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokで聴くキャッチーなヒット曲は偽情報キャンペーンの操作とほぼ同じもの

TikTok(ティックトック)でバイラルになるように曲が操作されているというこのBloomberg(ブルームバーグ)の記事を読んで以来、私の頭の中は1つの考えで埋まっている。それは考えと呼べるほどのものでもなく、ノイズというか、印象というか、つまり、

「うわああああああああああああ」。

そう、内側から湧き出てくる悲鳴だ。ソーシャルメディアのアルゴリズムがどれほど深く私たちの欲望、趣味、そして嗜好を乗っ取っているかを理解したと思った矢先に、ガツン!またしても鼻にジャブが突き刺さった。正直言って、これには不意打ちをくらった。ノックアウトされた。

自分がTechCrunchというウェブサイトで働いているのは十分承知だが、あなたがこの話を聞いて少なくともほんのわずかでもラッダイトのように感じないのであれば、何と言ったら良いかわからない。あなたはおそらく「Matrix(マトリックス)」に出てくるキャラクター、サイファーのように、接続されていることを望むのだろう。

それは手厳しいだろうか?いってみれば、企業は企業として振る舞うものだし、大手レコード会社との提携は、サウンドとビデオの短く巧妙なコンビネーションに磨きをかけようとしているソーシャルメディアアプリにとっては、常識的な動きだ。そして、お金を稼いで少しでも有名になるチャンスに飛びついた、多くの大学生や高校生のクリエイターたちにも敬意を表する。

しかし、キャッチーさが武器化されたときに何が可能になるかを考えれば、それほど厳しいとはいえないだろう。わかっているのは以下のとおりだ。インターネット上のミームや政治的スローガン、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)のヒット曲「Savage」など、情報発信の原動力となるのは、内容の真実性や発言者の信頼性ではなく、(1)いかに簡単に覚えられるか、(2)いかに早く会話を盛り上げられるか、という点にある。

そして、驚くなかれ!これらはまさに、音楽プロデューサーが今日最適化している変数だ。Bloombergの記事が強調しているのは(不注意でか意図的にかは不明だが)、ポップスのNo.1ヒットと政治的な偽情報が、美学的にはさほど変わらないということだ。誰もがエンターテイナーなのだ。

さて、Bloombergの記事を最後まで読んでみよう。ByteDance(バイトダンス、TikTokを所有する中国企業)が、米国でのTikTokアプリ禁止の脅しに対抗して、クリエイターを募り、一見すると草の根的な禁止令に対する訴訟を陰で指揮していたことが明らかにされている。それを見て私は思う。なんてこった。アテンションは、この世界で最も貴重なコモディティだ。そして私たちはそれを……ただで手放しているのだ。

(内側から湧き出る悲鳴が聞こえてくる)

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タグ:TikTokソーシャルメディアByteDanceバイラル

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

「TikTok」の親会社ByteDanceはゲーム業界にどう切り込むか

ショート動画アプリ「TikTok」の親会社であるByteDance(バイトダンス)は、ここ数年、広告以外にも収益源を多様化し、数億人のユーザーを収益化する方法を模索している。その中で、ByteDanceはゲームもターゲットとしているが、ゲームといえば中国のインターネット経済において歴史的に「儲かる」ビジネスである。

市場調査会社Newzoo(ニューズー)の調査によれば、中国は世界最大のゲーム市場であり、2020年には408億5000万ドル(約4兆5000億円)の収益を生み出している。米国は369億2000万ドル(約4兆円)で、中国には及ばなかった。

利益が大きい分競争も激しく、ゲーム業界はTencent(テンセント)とNetEase(ネットイース)という2強が長期間市場を支配し、Mihoyo(ミホヨ)やLilith(リリス)のような小さなプレイヤーが躍進しつつある。市場調査会社のAnalysys(アナリシス)の2019年の調査では、Tencentが中国のゲーム市場の半分以上を独占し、NetEaseが約16%、37 Interactive(37インタラクティブ)が約10%を占めており、小規模なライバルたちに残された余地はほぼない。

この中で、ByteDanceは2021年2月、同社のゲーム事業に初めて「Nuversegame」というブランド名を付け、ウェブサイトを開設して邁進している。同社の戦略は、ジャンルを限定しないポートフォリオ、人材の大量採用、実証済みの収益化スキーム、そして国内および海外市場への同時展開である。Kevin Meyer(ケビン・メイヤー)氏は、ByteDanceでの在籍期間は短かったものの、ゲームを含む複数の海外事業を担当した。

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ゲームに関しては「ダビデ」という立場のByteDanceではあるが、「ゴリアテ」に屈する気はないようだ。同社ゲーム部門の幹部の1人であるYan Shou(ヤン・シオウ)氏は、1年前にSNSに投稿した記事の中で次のように書いている。「ゲームはコンテンツビジネスだ。辛抱強く投資を続ければ、独占を打ち破ることができる」。

人材争奪戦

近年、ByteDanceは、BATの元従業員を大量に採用している。BATとは中国でもっとも名の知られた3大ハイテク企業Baidu(バイドゥ)、Alibaba(アリババ)、Tencent(テンセント)の頭文字である。ヤン氏自身も、2015年のByteDance移籍以前は、Tencentで2年以上にわたり戦略を担当していた。変化の激しい中国のハイテク業界において、引き抜きや移籍はよくあることだが、ByteDanceの手厚い待遇は有名だ。将来ByteDanceが上場する際に受け取れるであろう従業員オプションに魅了される技術者も多い。

さらに、AlibabaやTencentは設立から20年以上が経過しており、キャリアアップの余地が限られていることに閉塞感を持つ野心的なスタッフもいるだろう。それに比べて、ByteDanceは設立から9年しか経っていない。北京を拠点とするテクノロジー企業のヘッドハンティング担当者は、ByteDanceはまだ急成長の段階にある、とTechCrunchに話す。

「設立から10年も経過していないというByteDanceの若さと、同社が産み出す新しいビジネスは、こういった技術者が夢を実現するための打ってつけのプラットフォームになる」とヘッドハンターはいう。

ByteDanceはゲーム分野でも積極的に採用活動を行っている。ある関係者によると、2020年のわずか1000人であった同社のゲーム部門の従業員数は、3000人近くまで増加しているという。これらの従業員は北京、上海、杭州、深圳など、中国の主要なハイテク拠点に散らばっており、ByteDance傘下のさまざまなゲームスタジオで仕事をしている。

3000人規模のチームとはどのぐらいの規模だろうか。中国第3位のゲーム会社である37 Interactiveは、2021年1月時点で約4000人のゲームスタッフを擁している(同社幹部談)が、この規模になるまでには10年の歳月を要した。ByteDanceがゲーム事業を模索し始めたのはわずか5年ほど前のことだ。

ByteDanceはこの記事についてコメントを控えている。

ゲームの工場

遅れて参入したメリットもある。Tencentをはじめとする先行企業のゲーム市場への取り組みは、ByteDanceの学習の機会となった。ByteDanceは、手軽なモバイルゲームから、変則的なデザインやテーマを持つインディーズタイトルまで、多様なジャンルを同時に手がけている。市場調査会社Niko Partners(ニコパートナーズ)のゲームアナリストであるDaniel Ahmad(ダニエル・アーマド)氏によれば、この取り組み方こそがByteDanceとTencentの違いである。Tencentは、2000年代にボードゲームやカードゲームに参入した後、徐々に他のジャンルにも進出し、世界最大のゲーム会社となった。

もちろん、最初から多様なポートフォリオを目指すことができるのは、ByteDanceのような資金力のある企業だけだろう。ショート動画アプリ「Douyin」(「TikTok」の中国版)やニュース収集配信サービス「Toutiao」を中心とした広告ビジネスをうまく活用し、70億ドル(約7600億円)以上を自己資本調達してきたByteDanceは、ゲームだけでなく、教育SaaSなどの水平展開にも資金を投入することが可能であった。

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ByteDanceは、他のハイテク企業からの人材の引き抜きに加えて、中小企業を飲み込んで労働力を増強している。公開されている情報によると、2018年以降、同社は少なくとも11社のゲーム会社に投資しているが、そのうち6社は完全買収で、買収した資産や人材は、その後、同社のゲームスタジオに組み込まれている。ByteDanceでは買収による雇用も実績のある手法だ。「Douyin」の立ち上げに貢献したプロダクトマネージャーであるKelly Zhang(ケリー・チャン)氏も、自身の写真共有スタートアップがByteDanceに買収された後に同社に移籍している。

多くのゲーム会社と同様、ByteDanceの収益化スキームは、サードパーティタイトルの配信とオリジナル作品の制作という2つの柱で構成されている。高品質なゲームの開発には時間がかかるが、この収益化スキームにより、ゲーム部門は、自社の作品が金のなる木になることに賭ける一方で、ある程度の収益を得ることができる。カジュアルゲームはレベルアップのタイミングで配信される広告に最適である。複雑なゲームはユーザーのロイヤリティにつながるため、(広告よりも)アプリ内課金で収益を上げる方が自然である。

ByteDanceがライセンスをもつカジュアルゲームの中には、カーレースゲームの「Drift Race」、音楽ゲームの「Yinyue Qiuqiu」、パズルゲームの「Brain Out」など、これまでに中国のiOS無料ゲームのトップ10にランクインしたものがある。これらのコラボレーションはまだ大きな利益を生んでいるわけではないが、ユーザーを引きつけるという点で、同社のトラフィック戦略の実行可能性を証明している。

2019年、ByteDanceは同社のアプリ全体で15億人の月間ユーザーがいると発表した(アプリ間でユーザーが重複することもある)。ByteDanceがゲームをマーケティングする方法の1つは、ユーザーのコンテンツフィードにネイティブ広告を挿入することだ。「動画はインタラクティブで使いやすく、クリックしやすいため、従来の広告よりもはるかに高いコンバージョンを得ることができます」とNiko Partnersのアーマド氏はいう。

広告がユーザーに、スタンドアロンのゲームアプリのダウンロードを促す場合もあるが、DouyinとToutiaoは、WeChatや中国の多くの人気アプリと同様に、プラットフォーム内でサードパーティの「ミニアプリ」をサポートしている。ユーザーはWeChatと同じように、Douyinでもミニゲームをプレイすることができるというわけだ。

月間数億人のユーザーを抱えるByteDanceは、すでにユーザーの嗜好や行動を十分に把握し、どのようなゲームを推奨すればよいかを理解している。理論的には、視聴したり反応したりするユーザーが増えるほど、推奨はより正確になる。

同社のゲーム開発者ハンドブックによると「ByteDanceのアルゴリズムはターゲットを絞った推奨により、ミニゲームをさまざまな形で自動的にユーザーに提示する」「すべてのゲームには、公平かつ平等に、ユーザーに見てもらえるチャンスがある」とのことだ。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:ByteDance中国

画像クレジット:Games published by ByteDance

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(文:Rita Liao、翻訳:Dragonfly)

TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

TikTokの米国事業の売却が強制されるという非常識な話に終止符が打たれると報道されている。TikTokは、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権下での退屈なニューノーマルであるように思われる整然とした、そして合理的な政策立案への移行の犠牲者だ。

2020年秋、当時のDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領政権下で米政府は、Oracle(オラクル)やWalmart(ウォルマート)を含む買い手グループへのTikTok売却を強制することで「ギャングの資本主義」を試みた

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その試みは最初からうまくいかなかった。TikTokの親会社ByteDance(バイトダンス)は米政府を相手取った訴訟のほとんどで勝訴した。成功している外国企業の成長を最も薄っぺらなセキュリティ上の理由で妨害しようと米政府は喜んで政治的資本を注いだようだが、ByteDanceは訴訟という思い切った手段にでた。

そして現在、ウォールストリートジャーナル紙が、この件に詳しい情報筋の話として売却を前に進めようとする米政府の取り組みは「無期限に棚上げされている」と報じた。

しかしながら、TikTokのデータ収集に関する懸念、それからアプリ上のコンテンツを操作・検閲している可能性があるため、TikTokと米国家安全当局の間で協議は続いている。

一方で、国家安全保障会議の広報担当Emily Horne(エミリー・ホーン)氏によると、外国政府による侵入または海外で開発された技術の使用によるデータプライバシーとセキュリティへのあらゆる潜在的脅威を米国は調べている。

「我々が直面しているあらゆる脅威を克服する米国のデータ保障に向けた総合的なアプローチを構築します」とホーン氏はウォールストリートジャーナル紙に述べた。「ここには、中国アプリや米国で提供されている他のソフトウェアによって提起されたリスクも含みます。我々が直面しているリスクの総合理解という観点から、今後数カ月で特定のケースをレビューする予定です」。

2020年、中国企業所有のショートビデオ配信サービスTikTokの米国の投資グループへの売却を強制しようと、当時のトランプ大統領はTikTok禁止を命令した

関連記事:米政府のTikTok、WeChatの排除命令の全文とその背景

そのプロセスの一環で、対米外国投資委員会はByteDanceに米国事業を売却するよう命じている。

TikTokは、米国が大統領選挙で混乱していた2020年11月、ワシントンの裁判所に上訴した。

この裁判はまだ係争中だが、別の連邦裁判所は米政府によるTikTok禁止の一時差し止めを命じた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ByteDanceTikTokOracle売却

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokの親会社ByteDanceが市場独占疑惑をめぐりTencentを提訴、中国の裁判所が受理

中国政府が同国のインターネット大手による独占的な動きを阻止しようとしている中、ByteDance(バイトダンス)がライバルのTencent(テンセント)との戦いを裁判所に持ち込んだ。

TechCrunchがByteDanceの広報担当者に確認したところ、北京の知的財産裁判所(知識産権法院)は、Tencentに対して提起されたByteDanceの訴訟の進行を許可したという。新興のメディア企業ByteDanceは、TikTok(ティックトック)の中国版であるDouyin(抖音)に対するTencentの制限が中国の独占禁止草案に違反していると主張している。Douyinは北京に本社があるのに対し、Tencentの拠点は深圳にある。

Tencentは3年前から、Douyinを同社の主力SNSアプリであるWeChatとQQからブロックしており、ユーザーがDouyinアプリのコンテンツを閲覧したり共有したりすることを禁止している。Tencentの行動は「間違いなく」独禁法草案で禁止されている「市場支配を悪用して競争を排除し、制限することで達成される独占的行動」に該当すると、Douyinは述べている

「当社は、競争は消費者にとってより良いものであり、イノベーションを促進すると信じています。我々の権利とユーザーの権利を守るために、この訴訟を提起しました」。

Tencentはこれに対し、今回の告発は虚偽で悪質な名誉毀損であると述べている。さらに、毎日6億人のユーザーが利用しているDouyinは、WeChatのユーザーデータにアクセスするために違法で反競争的な方法を使っており、同社のプラットフォームエコシステムとユーザーの権利を侵害したとして、ByteDanceを提訴する予定であると主張している。

ByteDanceとTencentは、それぞれがお互いの縄張りを狙っている。ByteDanceは、ソーシャルネットワーキングにおけるTencentの支配に対抗するためにチャットアプリをデビューさせ、Tencentは多数のショートビデオアプリを導入してDouyinの人気に対抗しようとした。どちらも、それぞれの分野で他方の優位性を脅かすことはできていない。

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20年間の比較的緩い規制に続いて、中国政府は中国のインターネット大手の独占的行為を抑制しようとする姿勢を強めていることが、早期の兆候として示されている。

2020年11月には、中国のトップ市場規制当局が初の独占禁止法の草案を発表し、訴訟や調査への門戸が開かれた。12月には、規制当局がAlibaba(アリババ)のプラットフォーム上での独占販売をベンダーに強要したとして、Alibabaに対する独占禁止法の調査を開始した。そして2021年2月になって、北京の裁判所は、反競争的な行為を行ったとして、ファッションeコマースサイトのVipshopに300万元(約4900万円)の罰金を課した。今後数カ月の間に、中国のインターネット大手がさらに独禁法違反で打撃を受けても不思議ではないだろう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ByteDanceTencent裁判中国独占禁止法

画像クレジット:Greg Baker / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)