フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

正式発表だ。Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculusを擁するソーシャルネットワーキングの親会社は、17年間にわたって「Facebook」と呼ばれてきたが、社名を新しくした。

Facebookの社名は「Meta」になった。

Facebookの生みの親であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、AR / VRに特化したイベント「Connect」でこの変更を発表し、新しい社名はメタバースを構築するという会社の中核的な野心を表していると語った。

「我々が何者であるか、何を構築したいかを反映するために、当社がMetaになったことを発表できることを誇りに思います。我々の使命は変わりません。人々を結びつけることです。我々のアプリケーションやブランドも変わりません」とザッカーバーグ氏は述べた。「これからは、Facebookファーストではなく、メタバースファーストでいきます」。

この名称変更は、Facebookにとって都合の良い時期に行われた。絶えず自社に対する反発に直面しており、特にここ数週間は元従業員がメディアや政府機関に大量の文書をリークし、Facebookが責任を持ってプラットフォームを構築する上で長年にわたって犯してきた過ちを詳述していた。同社は、数カ月前から社名変更のための準備を進めてきた。これは、同社の最も人気のある製品にまつわる絶え間ないネガティブな見出しから、同社の中核的なブランドを引き離すための努力であり、怒っている消費者を回避するためのもののようだ。

CEOのザッカーバーグ氏は7月、Vergeの記事の中で、Facebookがメタバースにすべてを賭けていることを発表した。これは、1兆ドル(約113兆円)規模の企業にとっては驚きの発表だった。その理由は主に、同社がバーチャルリアリティのハードウェアに多大な資金と労力を費やしてきた一方で、ソーシャルVR製品はほとんど短命という失敗に終わっており、ベータ版のソーシャルプラットフォーム「Horizons」については、1年半以上前に発表して以来、ほとんど何も語っていなかったからだ。

Facebookは8月に、VRで会議ができるように設計されたVRアプリについて、異例の大々的な発表を行った。ザッカーバーグ氏は朝のテレビ番組に出演し、小さなVRアプリの紹介に驚くほどの力を注いだ。

そして同社は9月「責任を持ってメタバースを構築する」というブログ記事の中で「これらの製品が責任を持って開発されることを保証する」ための研究に投資する5000万ドル(約56億円)の基金を発表した。同社は今月、設立間もない「Horizon Worlds」プラットフォームの開発者向けに、1000万ドル(約11億円)の小規模なクリエイターファンドを発表するとともに、メタバースプラットフォームを構築するために、EU域内で1万人もの従業員を雇用する計画であることを明らかにした。

先週のThe Vergeの記事には、Facebookは社名変更を検討しているようだ、とあった。

究極的には、主力事業を最も問題のあるプロダクトから切り離すことは、驚くべき行動ではない。しかしMetaに社名を変更することで、Facebookは自社のコアブランドを何年も先に進んだプロダクトと合わせる必要があり、メインストリームで成功するまでに多くの失敗を経験する可能性がある。Facebookはまだユーザー25億人を抱えるが、メタバース製品のユーザー数はせいぜい数千人程度だ。

テクノロジー業界の最大手企業が名前を大きく変えるのは、前例がないわけではない。Google(グーグル)は2015年に新しい会社組織を導入し、Alphabet(アルファベット)と呼ばれる親会社を設立した。Googleは現在もAlphabetの子会社だが、良くも悪くも、同社やその子会社に関係するものを「Google」と口語的に呼ぶ人が多いようだ。20年近くにわたってブランドを構築し、月間ユーザー30億人近くの製品に育ててきたFacebookも、おそらく同じような扱いを受ける。

Googleは自社の名前との間に距離を置こうとしていたわけではなく、Facebookはブランド変更の理由がまったく異なる。同社のビジネスは急成長を続けているが、2016年のロシアの選挙偽情報から、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような重大なプライバシー侵害、そして現在はFacebookのシビック・インテグリティ・チームの元メンバーで、Facebookの内部告発者となったFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏による進行中の暴露の数々と、そのブランドはここ数年で打撃を受けている。

また、Facebookは現在、テック業界のどの企業よりも規制当局の監視下に置かれていると言っても過言ではない。議員の意見が一致することはめったにない議会で、共和党と民主党はFacebookの拘束を受けない成長、非合理的なビジネス手法、そしてInstagramがティーンエイジャーの精神衛生に悪影響を及ぼすことへの懸念を共有し、嫌悪感を抱いている。

先週行われた上院の公聴会では、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)、YouTube(ユーチューブ)の各ソーシャルメディア企業が、自社のビジネス手法をFacebookと明確に対比させようと躍起になっていた。YouTubeは「安全よりも利益を優先することはない」と断定した。Snapは自社が一定時間後に消えるな会話にフォーカスしていると指摘し、TikTokはティーンエイジャーのユーザーの健康状態を慎重に考慮していると主張した。しかし、Facebookの同業者たちの努力は無駄に終わったようだ。

Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員は「Facebookと違うということは防御にはなりません」と述べた。「障壁は、溝の中にあります」。

原文へ

(文:Lucas Matney、Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

FacebookのザッカーバーグCEOいわく「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」

GLENN CHAPMAN via Getty Images

Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、社内に対して「若年層(young adults)へのサービス提供を進むべき道だとする」よう伝えたと述べています。これは、投資家との第3四半期決算説明会で、ここ数年、若い年齢層(18~29歳)のFacebook利用が減少し、今後それがさらに加速すると予想されることに対する懸念を反映しての方針転換と言えそうです。

これままでのFacebookは「若年層に特化したものではなく、幅広い年齢層に最適なものになるよう調整されている」とザッカーバーグ氏は述べています。そして、ターゲットの変更は高い年齢層の人々のFacebook利用率を下げることになるだろうとも述べました。しかし、結果を天秤にかけて考えれば、方針転換は「正しいアプローチだと思う」として、今後FacebookアプリおよびInstagramアプリに「抜本的な変更」を加え「メタバース」のビジョンを構築するために数十億ドルを投じる構えです。ただ、先日伝えられたFacebookの社名変更については、ザッカーバーグ氏はコメントしませんでした。

再構築には数年がかかると予想され、特にInstagramの変化は動画に力を入れ、特に「Reels(リール)」機能を中心に据えたものに変わるとのこと。これはTikTokの爆発的な普及に対応した動きでもあります。またそのほかに検討されている案としては、グループ機能の刷新、就職支援ツール、ムードフィードなどがあがっています。

一方、Faebookはもう1つの主要な優先事項として「メタバース」のビジョン構築を掲げています。「我々の目標は、メタバースが10億人に到達するのを助けること」だとザッカーバーグ氏は述べ、メタバースが「数千億ドルのEC市場」を生み出す可能性があるとしています。そして、Facebookは財務報告をFacebook、Instagram、Messenger、WhatsAppといった”ファミリー向け”と、AR / VR の開発を担当するReality Labs部門に分けて行うと発表しました。Reality Labsへの投資によって、Facebookは2021年の利益がおよそ100億ドル減少したと述べ、今後数年はAR / VR分野での支出が増えると予測しています。

Facebookは現在、フランシス・ハウゲン氏による一連の内部告発への対応にも取り組んでいると述べています。ザッカーバーグ氏は、報道が組織的に「リーク文書の美味しいところだけを切り抜いて、Facebookの誤ったイメージを広めようとしている」としました。そして「これらの問題が主にソーシャルメディアに関するものでないのを明確にする必要がある」「つまり、Facebookが何をしようと、我々だけでは決して解決できない問題だ」と述べています。

(Source:BloombergThe VergeEngadget日本版より転載)

米国会議員がSnap、TikTok、YouTubeに対して子供と安全に関する公聴会を開催

議会はこれまで、同じ企業の寡黙で場馴れした経営陣たちを何度も何度も呼び出してきたが、今回はハイテク業界の中でも重要な顔ぶれである2つの企業に新たに注目しようとしている。TikTok(ティックトック)とSnap(スナップ)だ。

米国時間10月26日火曜日には、上院の米国消費者製品安全委員会の議員たちが、この2社とYouTube(ユーチューブ)の政策担当者に、それぞれのプラットフォームが脆弱な若いユーザーにどのような影響を与えるかについて質問する予定だ。Facebook(フェイスブック)の内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、自らの正体を明かした直後の2021年10月初旬に、同委員会で同様の問題について証言している。

公聴会の模様は、米国時間10月26日午前7時(日本時間10月26日午後8時)から放映される予定で、Snapのグローバル・パブリック・ポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)氏、TikTokのパブリック・ポリシー担当副社長のMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏、YouTubeで政府関係およびパブリック・ポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)氏が証言を行う。

公聴会は、委員長であるRichard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員(民主党・コネチカット)が主導し、ソーシャルメディアが子どもや10代の若者に与える悪影響に焦点を当てる。ブルーメンソール議員は「FacebookとInstagram(インスタグラム)に関する衝撃的な報道は、若いユーザーに有害な影響を与え、真実性や透明性を欠いることから、ビッグテックによる子どもへのアプローチに深刻な懸念を抱かせるものです」と述べ、Instagramが10代の若者に与える危険性に関する報道を、より広範なソーシャルメディアに結びつけた。小委員会の幹部であるMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー)は、TikTokのプライバシーに関する問題に特に関心を持っていることを示唆している。

摂食障害、ハラスメント、いじめ、オンラインの安全性、データのプライバシーなどのテーマが取り上げられ、小委員会のメンバーが順番に3社のポリシー担当者に回答を求めていくことが予想される。また、この議員グループは、オンライン上の子どもや青少年を保護するための法案についても議論する予定だが、公聴会でどの程度解決案が提示されるかは未知数だ。そうした解決策の候補としては、16歳未満の子どもたちのために新しいオンライン保護を提供するKIDS法(Kids Internet Design and Safety)などがあり得る。ブルメンソール議員と同じ民主党のEd Markey (エド・マーキー)上院議員が、先月この法案を再提出しているからだ。

現在、ソーシャルプラットフォームが関与している社会的危機は、子どもや若者の精神的健康に限られるわけではないものの、共和党と民主党がともに訴えている問題だ。理由の1つは、珍しく双方の政治的主張に重なりが多い、批判対象であることだ。両党とも、テック系の大企業を何らかの形でコントロールする必要があるという点では一致しているようだが、その理由についてはそれぞれ異なる側面を強調している。保守派にとっては、プラットフォームから消去されるコンテンツに関して、これらの企業があまりにも多くの決定権を持っていることを問題視している。一方民主党側は、過激な表現や誤った情報などのコンテンツが放置されてしまうことを心配している。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子ども向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

米国時間10月26日の公聴会では、アルゴリズムが有害なコンテンツをどのように増幅させるかについても検討されるだろう。ソーシャルメディア企業は、通常そのアルゴリズムの仕組みについては秘密にしているため、今回の公聴会は、こうした企業がどのようにユーザーに対してパーソナライズされたコンテンツを提供しているかを、一般の人々が知ることのできる貴重な機会となる。理想を言えば、この2、3年の間に米国議会が開催した、しばしば長く繰り返し行われた技術関連の公聴会を通して、私たちはこの種の事柄について多くのことを学んできたはずだ。しかし無知で無関係な質問をする議員と、何時間もメディアトレーニングを受けて回避術を身につけた技術系幹部の間に通常期待できるのは、いくつかのささやかな新情報だけだ。

今回の公聴会にはFacebookは登場しないが、同社やInstagramに関する最近の情報が、同日に行われる公聴会に反映されることが期待される。証言を行うソーシャルメディア企業3社は、Facebookのリーク文書ならびに、そのデータに関して月曜日(米国時間10月25日)に行われたさらなる報道に対する世間の反応に注目している。

Instagramが10代のユーザーに与えるリスクを認識しているという最初の報道が流れた直後に、TikTokはウェルビーイングガイド、より優れた検索ブロック、センシティブな検索語に対するオプトイン警告などの新しい安全対策を導入した。先週Snapは、家族に焦点を当てた新しい安全ツールを発表し、子どもがプラットフォームを使って何をしようとしているのかを、親がもっと見ることができるようにした。この2つのソーシャルネットワークは、Facebook、Instagram、Twitterなどのプラットフォームに比べて若いユーザーに偏っているため、強固な安全ツールがより必要とされている。公聴会に先立ち、YouTubeは、どのような子ども向けコンテンツが収益化の対象となり得るかについての自社の変更を発表するとともに、子どもを中心としたその他の安全対策についても強調した。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

フェイスブック第3四半期は売上未達、今後AR/VRの売上は新設部門に

米国の大手ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)であるFacebook(フェイスブック)は米国時間10月25日、取引開始後に第3四半期決算を発表した。売上高は290億ドル(約3兆3000億円)、希薄化後の1株当たり利益は3.22ドル(約366円)だった。Yahoo Financeが収集したデータによると、投資家は売上高295億8000万ドル(約3兆3670億円)、1株当たり利益は3.19ドル(約363円)と予想していた。

Facebookの株価は時間外取引で小幅に上昇しているが、これは売上高が予想をわずかに下回ったことに市場がショックを受けていないことを示している。

このサプライズのなさは、Facebookの報告書が、先に発表されたSnap(スナップ)のダイジェストに続いたためかもしれない。Snapは、第4四半期の業績が市場の予想よりもはるかに控えめなものになるとの見通しを示し、収益の伸び悩みの原因としてApple(アップル)とサプライチェーンの問題を挙げた。これを受けて同社の株価は下落した

Facebookは投資家への書簡の中で、売上高315億〜340億ドル(約3兆5850億〜3兆8700億円)と予想する2021年第4四半期のガイダンスを示した。市場予想はFacebookの数字を上回る348億9000万ドル(約3兆9710億円)だ。

Facebookの予想と市場の期待との間のギャップは、今後想定されることからきているようだ。Facebookは第4四半期のガイダンスに関して決算発表に次のように記している。

AppleのiOS 14の変更による継続的な逆風や、マクロ経済および新型コロナ関連の要因を踏まえ、当社の見通しは第4四半期に直面する大きな不確実性を反映しています。また、2020年の年末商戦でQuest 2の販売が好調だったことから、第4四半期の広告以外の収入は前年同期比で減少すると予想しています。

AppleのモバイルOSにおけるプライバシーの取り扱い方法の変更と、それに関連するダウンストリームの影響、および新型コロナウイルス感染症に起因する問題は懸念されていた。

Facebookはまた投資家向けダイジェストで「Facebook Reality Labs(フェイスブック・リアリティ・ラボ、FRL)を独立した部門として分離する」と報告した。「拡張現実や仮想現実の製品やサービスに多大なリソースを費やしてきた」ことを理由に、2つ目の収益カテゴリーを設ける時期が来たと考えているからだ。

次の四半期から、Facebookは2つの部門を持つことになる。1つは「Family of Apps」というくくりで「Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp、その他のサービス」からの収益を計上する。一方、FRLには「消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ関連の拡張現実および仮想現実 」が含まれる。

2つの部門を持つのは構わない。もしかしたら良いことかもしれない。しかし、なぜソーシャルアプリの決算をもっと細かく分類しないのか、とFacebookに問いたい。そうすれば、株主も理解しやすいだろう。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

巨大テック企業が自分に不利になると中小企業の陰に隠れる習性を阻止する「監視キャンペーン」実施

巨大テクノロジー企業は、自社の数兆ドル(数百億円)規模のビジネスを脅かすものがあると、それが波及して自社製品に依存している中小企業を苦しめることになる、という物語を何度も繰り返してきた。

しかし、大企業が長年にわたって展開してきた温かみのある曖昧な逸話とは裏腹に、企業経営者の中には、巨大で不透明な企業に大きく依存することに苦悩する人も多く、物事がうまくいかない時にはほとんど頼ることができない場合も多い。

このような問題を解決するために、ハイテク産業の監視団体であるAccountable Tech(アカウンタブル・テック)は「Main Street Against Big Tech(巨大テック企業に対抗する市井の中小企業)」という新たな啓蒙活動を展開している。この数十万ドル(数千万円)を投じたキャンペーンでは、今週、サンノゼの日刊紙「The Mercury News(ザ・マーキュリー・ニュース)」に全面広告を掲載する他、ソーシャルプラットフォーム上にデジタル広告を流したり、テック企業の宣伝話に背反した中小企業経営者の体験談を紹介するビデオシリーズを継続的に放映するといった活動を行っている。

このプロジェクトは「Main Street Alliance(メインストリート・アライアンス)」「Small Business Rising(スモール・ビジネス・ライジング)」「Institute for Local Self-Reliance(インスティテュート・フォー・ローカル・セルフ・リライアンス)」「American Economic Liberties Project(アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクト)」からも支援を受けている。

Accountable Techの共同設立者であるJesse Lehrich(ジェシー・レーリック)は、TechCrunchの取材に対し「このキャンペーンは、誤解を招く信頼性の低いデータ、隠されたコスト、ルールやアルゴリズムを突然変更して会社全体に大打撃を与えながら、カスタマーサービスも受けさせないといった、巨大テック企業が小規模企業の経営者に与えている数々の害悪を浮き彫りにしています」と語っている。「起業家には、それぞれの言い分があり、声を上げる理由があるのです」。

レーリック氏は、Facebook(フェイスブック)が長年にわたって行ってきた中小企業支援のPRキャンペーンを「信じられないほど皮肉で日和見的」と評しているが、Facebookの一部の社員も同じ考えを持っているようだ。巨大テクノロジー企業のプラットフォームで事業を展開する現実は、中小企業経営者にとって必ずしもバラ色ではない。中小企業経営者は、希薄な関係性しか築けない巨大企業の気まぐれに左右されることになる。

「中小企業の経営者は、完全に大企業のなすがままになるしかなく、正当な評価基準を得ることも、カスタマーサービスを受けることもできません」と、レーリック氏はいう。「これはパートナーシップではなく、搾取です」。

民衆の感情も、無料プラットフォームとはいえ、プライバシーの犠牲や、広告のキャンバスとなるユーザー作成コンテンツの延々と続く流れなど、コストがかかることを広く認める段階に移りつつあるようだ。

小規模な企業は支配的なテクノロジー企業のツールに依存しているかもしれないが、しかし理論的には、新興の競合企業が、これらと同等かそれ以上のサービスを提供することが不可能いうわけではない。「これらの巨大テック企業やそのサービスが『不可欠』なのは、それが唯一の選択肢であることを確実なものにするために、限りない反競争的な行動に携わってきたからです。これが独占や寡占の仕組みです」と、レーリック氏はTechCrunchに語った。

インターネットビジネスが存在するはるか以前の時代に作られた法律を、どのように更新するかで議会が揉めている間にも、巨大テック企業は引き続き市場支配に傾倒し、中小企業もユーザーも現状に甘んじたままに置かれ続けるだろう。

「規制による監視を避けるために、Facebook、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)のような独占企業は、何百万ドル(数億円)もの資金を投じて、自社の企業向け製品が中小企業にとっての生命線であるかのように、議員や一般市民を説得してきましたが、実際はその逆です」と、Accountable Techの共同設立者でエグゼクティブ・ディレクターを務めるNicole Gill(ニコール・ギル)氏は述べている。

「しかし今、中小企業の経営者たちは、自分たちの生きた経験を共有し、巨大テック企業と中小企業の本当の関係を明らかにすることで反撃しているのです」。

画像クレジット:Photo by Gado/Getty Images / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

すべての女性を起業家にするMeeshoの急成長にFacebookとGoogleも投資で対応

GoogleがインドのソーシャルコマースMeeshoに5000万ドルを投資することを検討している。情報筋によると、Meeshoは最近、5億7000万ドルの資金調達ラウンドを完了したばかりだ

別の情報筋によると、Googleはすでにインドで、半ダースあまりのスタートアップに投資しているが、Meeshoにはまだ投資していない。

Meeshoの初期の投資家はFacebookやB Capital、SoftBank、Sequoia Capital India、Y Combinator、そしてElevation Capitalなどだが、コマースサービスとしての特徴は、サプライヤー(メーカーや流通企業)とリセラーと顧客の三者を、WhatsAppやFacebook、Instagramなどのソーシャルメディアプラットホームの上で結びつけるところにある。提示されている製品をリセラーがサプライヤーから買い、それらを顧客に売るときにMeeshoがコミッションを得る。

このプラットホーム上では、リセラーの約80%が女性だ。最初から同社は、女性が無資本で自分のビジネスを始められることを目標にしている。その他のeコマース企業同様、昨年はパンデミックの深刻な被害を被ったが、今ではすっかり回復して、最近では月を重ねるごとに月間売上の記録を更新している。

最近のMeeshoの急激な成長は、インド最大のeコマースであるFlipkartの目にも留まり、真剣な検討が行われたようだ。同社は最近、ソーシャルメディア事業を立ち上げ、そこで仕事をしている二名が私にその情報をくれた。

創業者のVidit Aatrey氏の以前のインタビューによると、今年の4月現在でMeeshoを利用している起業家は1300万名、サプライヤーの数は10万を超えている。それ以降今日まで、同社は3倍に成長した。

舞台は世界で二番目に大きいインターネット市場であり、ここはeコマースがまだ、リテールに大きく食い込んでいない。しかしソーシャルコマースの市場は、昨年の10〜15億ドルから2025年には最大で200億ドルに成長する、とBernsteinのアナリストが先月言っている

その報告書によると、「ソーシャルコマースにはインド全体で4000万以上の小規模な起業家を力づける能力がある。今日では、ソーシャルコマースを使っているセラーの85%が、小さな、オフライン指向のリテイラーであり、彼らはソーシャルのチャネルを利用して新たな成長の機会を開いている」、とある。

Googleは、次の2年間でインドに100億ドルを投資すると公言し、すでにGlanceやDailyHuntなどに投資している。YouTubeは、今年の7月にソーシャルコマースのSimSimを買収した。今月(2021/10)初めにGoogleは、バンガローのネオバンクOpenに投資した

木曜日(米国時間10/21)に要求したコメントに、Googleはまだ応じていない。

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Getty Images

[原文へ]

Facebook Messengerグループビデオ通話に新しいAR体験を追加

Facebook Messenger(メッセンジャー)は、ビデオ通話や同プラットフォームのビデオ会議機能であるMessenger Rooms(ルーム)に、新しい拡張現実(AR)体験を展開している。同社は、新機能「Group Effects(グループエフェクト)」が近日中にInstagram(インスタグラム)にも登場するとしている。

Facebookが、ARエフェクトを共有体験にすることを目指していると言っているように、グループエフェクトは、ビデオ通話に参加している全員に効果がある。ユーザーは、最高のハンバーガーを最も早く作ることを競うゲームなどを含む70以上のグループエフェクトのライブラリからエフェクトを選ぶことができる。

新しいグループエフェクトを確認するには、ビデオ通話を開始するかルームを作成し、笑顔をタップしてエフェクトトレイを開き、グループエフェクトを選択する。そこから、通話に参加している全員に適用されるAR体験を選択することができる。

さらにFacebookは、2021年10月末にSpark AR APIへのアクセスを拡大し、より多くのクリエイターや開発者がグループエフェクトを構築できるようにするとしている。

画像クレジット:Facebook

「グループエフェクトは、友達とつながるための、より魅力的でインタラクティブな方法を提供します。また、クリエイターのコミュニティをサポートし、人々が自分自身を表現する方法を増やすことができます」と同社はブログで述べている。

また、Facebook Messengerは、チャット内でアニメーションを起動する新しい「suggested word effects(メッセージエフェクト)」を展開している。例えば「おやすみ」や「おめでとう」などの単独のメッセージを送信する際に、その言葉に合わせてエフェクトを作成するオプションが表示されるようになった。Facebookは8月に、特別な祝日や内輪のジョークのためにエフェクトを発表したが、今回、この機能を日常的なフレーズにも拡大した。メッセージエフェクトは、すべてのiOSユーザーに提供されており、今後数週間のうちにAndroidでも利用できるようになる。

また、映画「007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公開を受けて、ジェームズ・ボンドの「soundmojis(サウンド文字)」も新たに提供する。また「ケア」をテーマにしたものや、お化けのようなハロウィンテーマなど、新しいチャットテーマも登場する。Facebook Messengerは、ハロウィーンに合わせて4つのお化けの世界のARエフェクトを展開する。

MessengerのグループARは、Facebookが「メタバース」の取り組みを強化している中で登場したもので、共有された仮想体験を作り出すというテーマに沿ったものとなっている。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックはルール違反したグループメンバーに対してニュースフィード内でランクダウンするペナルティを予定

Facebookは、Facebookグループの管理者がオンラインコミュニティをより良く管理・運営できるように、グループ機能のアップデートを地道に行ってきた。最近では自動化されたモデレーション機能の提供 や白熱している議論に関するアラート機能といったリリースや、グループを抑制することを目的とした新しいポリシーの発表などが挙げられる。そして米国時間10月20日、Facebookは新たな2つの変更を発表した。今後は、ルールに違反したグループメンバーに対して、より厳格な措置を講じるとともに、新たな「Flagged by Facebook」(Facebookによるフラグ済)機能を使って削除プロセスの透明性を高めていく。

関連記事:フェイスブックが自動モデレーション機能などのグループ管理者向け新ツール発表

具体的には、Facebookプラットフォーム上のあらゆる場所で、Facebookのコミュニティ基準に違反したメンバーのすべてのグループコンテンツの、ランクダウンを開始するとしている。つまり、Facebook内で悪質な行為を行う者は、たとえグループそのもののルールやポリシーに違反していなくても、グループで共有したコンテンツの優先度がランクダウンしてしまう可能性があるということだ。

なお「ランクダウン」とは、そうしたメンバーが共有したコンテンツをニュースフィードの下の方に表示することを意味する。別名「ダウンランキング」とも呼ばれるこうした措置は、これまでもFacebookが、ニュースフィードへの掲載を減らしたいクリックベイトやスパム、さらには報道機関の投稿に対して、ペナルティを科すために行ってきたものだ。

また、Facebookは、ユーザーがFacebook全体でより多くの違反行為を積み重ねるにつれて、これらのランクダウンはより厳しくなるとしている。Facebookのアルゴリズムは、個々のユーザーに合わせてニュースフィードのコンテンツをランク付けしているため、このようなランクダウン措置がどの程度機能しているのか、あるいは機能していないのかを今後追跡するのは難しいだろう。

また、Facebookによると、このランクダウン措置は現在、メインのニュースフィードにのみ適用され、グループタブ内の専用フィードには適用されないということだ。

同社は、この変更によって特定のメンバーが他者の目に触れる機会が減ることを期待している。そしてこのルール違反に対するペナルティが、ユーザーの投稿、コメント、グループへの新規メンバーの追加、新しいグループの作成を制限することなどを含む現在のグループペナルティに加わると指摘している。

もう1つの変更点は「Flagged by Facebook」(Facebookによるフラグ済)という新機能の登場だ。

画像クレジット:Facebook

この機能により、グループ管理者は、Facebookによって自動的に削除フラグを立てられたコンテンツを、コミュニティに公開する前に知ることができるようになる。管理者はその後、コンテンツを自ら削除するか、Facebookの判断を受け入れるかどうかのためにコンテンツをレビューすることができる。もしFacebookの判断に異議がある場合には、コンテンツを残すべきだと考える理由について追加のフィードバックを添えてFacebookにレビューを依頼することができる。これは、自動モデレーションエラーを取り除く役に立つだろう。グループ管理者が関与してレビューを要求できるようにすることで、不必要な攻撃や削除が行われる前にメンバーを保護できるようになるだろう。

この機能は、コミュニティ基準に違反する投稿があった場合に「グループ管理者に投稿を報告」することができる従来のオプションに似ているが、管理者がより積極的にプロセスに関与できる方法を提供する点が異なっている。

Facebookにとって残念なことは、このようなシステムは、グループが積極的に管理されている場合にのみ機能する。残念ながらいつでもそうだとは限らない。グループに管理者がいたとしても、その管理者がFacebookをやめたり、グループの管理をやめたりした場合に、後任の管理者やモデレーターを任命しなければ、そのグループは大混乱に陥る可能性がある。特にそのグループ規模が大きければ大きいほど。4万人以上のメンバーを抱える大規模グループのあるグループメンバーは、彼らの管理者が2017年からグループ内で活動していないと語る。メンバーはこのことを知っていて、モデレーションがないことを利用して、時には好き勝手なことを投稿する者もいるという。

これは、Facebookのグループインフラがまだまだ未完成であることを示す一例だ。もし企業がプライベートグループのためのプラットフォームをゼロから構築する場合、たとえばコンテンツの削除方法やルール違反に対するペナルティなどのポリシーや手順が、何年もかけて追加されることはないだろう。それらは基盤となる要素だからだ。それなのに、Facebookは2010年に登場したグループ機能の中でとっくに確立されていなければならなかったプロトコルを今やっと展開しつつあるのだ。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

ザッカーバーグ氏がフェイスブックのCambridge Analyticaスキャンダルの被告人に

ワシントンD.C.のKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)のスキャンダルに関連した消費者のプライバシー侵害をめぐり、Facebook(フェイスブック)を相手取った訴訟の被告にMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏を加えた。

ザッカーバーグ氏を訴訟の被告とした理由について、ラシーン氏は「継続中の我々の調査により、Cambridge AnalyticaとFacebookのユーザーデータ保護の失敗に関連する決定にザッカーバーグ氏が個人的に関与していたことが明らかになりました」と述べた。

ラシーン氏は、2018年の提訴以来、同氏のオフィスが「数十万」の文書を再調査し、元従業員から多数の証言録取を行ったと指摘した。

ワシントンD.C.の司法長官は、Facebookが英国の政治コンサルティング会社であるCambridge Analyticaに、Facebookユーザー5000万人超のプロフィールデータを本人の同意なしに収集することを許可していたことが明らかになったことを受け、2018年に提訴した。

ザッカーバーグ氏を被告とする決定は、米国の政府機関が起こした訴訟で初めて、Facebook創業者が個人的な責任を問われる可能性があるという点で注目すべきものだ。

「この訴訟は、ワシントンD.C.の全住民の半数と全米の数千万人のデータを守るためのものです」とラシン氏は話した。「我々は、不正行為を調査する義務を非常に真剣に受け止めており、Facebookも同様にユーザーを保護する責任を真剣にとらえるべきです」。

関連記事:ワシントンDC司法長官がFacebookのCambridge Analyticaスキャンダルを巡り訴訟

画像クレジット:Zach Gibson / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブックの名称が変わる?メタバースにフォーカスした名称への変更を計画中との報道

The Vergeによると、Facebookは、メタバースの構築に注力するために、新しい名称でリブランディングすることを計画しているという。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日に開催される年次カンファレンス「Connect」でその新名称を発表する予定だというが、報道によるとそれ以前に新名称を発表する可能性もある。

ソーシャルメディア以外でも広く知られたいと目論むFacebookは、米国時間10月17日、同社が将来において重要な要素だと考えるメタバースの構築を支援するために、今後5年間ヨーロッパで1万人の雇用を募集する計画を発表している。

また、同社は1カ月前に、ARとVRの責任者であるAndre Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が最高技術責任者に昇格することを発表している。Facebookにはすでに1万人以上の従業員がおり、ザッカーバーグ氏がスマートフォンと同じくらいユビキタスになると考えているARグラスといった消費者向けハードウェアを開発、製造している。

2021年7月、ザッカーバーグ氏は、Facebookの未来はユーザーがその中で生活、仕事、遊べるバーチャルメタバースにあると述べた。

今回のブランド変更は、米上院商業科学運輸委員会で証言した内部告発者Frances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏が流出させた一連の内部文書など、さまざまなスキャンダルでFacebookが批判にさらされている時期に行われることになる。Facebookは、現在も米国政府による独占禁止法の調査を受けている

Facebookの広報担当者は「ウワサや憶測にはコメントしない」と述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

InstagramがCollabs機能、リールの新音楽機能、デスクトップからの投稿などを続々追加

Instagram(インスタグラム)は米国時間10月19日、InstagramのフィードとTikTok(ティックトック)のライバルであるReels(リール)の両方で、今週中いくつかの新機能を展開することを発表した。このクリエイター向けの機能追加により、ユーザー同士のコラボレーション、募金活動、リールでの音楽の有効活用などが可能になる。また、Instagramのデスクトップサイトの使い勝手を向上させ、ついにデスクトップのウェブブラウザから写真と1分以内の動画の両方を投稿できるようにする。

デスクトップからの投稿は以前から要望の多かった新機能で、米国時間10月21日(日本時間10月22日)から全世界のユーザーに提供される。

同社は2021年の夏にこの機能をテストしていたが、多くの人の目には触れていなかった。

画像クレジット:Instagram

その他の新機能は、米国時間10月19日の「Collabs(コラボ)」を皮切りに、1週間を通じて提供が始まっていく予定だ。

InstagramはこのCollabs機能を「テスト」と位置付けているが、フィード投稿とリールの両方を共同制作できるようになると説明している。それを行うために、ユーザーはInstagramのタグ付け画面から、別のアカウントをコラボレーターとして招待することができる。それを相手が承諾すれば、両方のアカウントが投稿やリールのヘッダーに表示され、両者のフォロワーにコンテンツが共有される。Instagramはこのテストを本日発表したばかりだが、同社は7月にこの機能の小規模なグローバルテストを開始しており、多くのInstagramユーザーがすでにアプリ内でこの機能を発見していた。

発表時、Instagramはこの機能にアクセスできるのはごく一部の人に限られると述べ、より広範囲に展開する時期については明らかにしなかった。

Instagramによれば、2人のクリエイターがコラボレーションを選択すると、両方のプロフィールグリッドに投稿やリールが表示され、ビュー数「いいね!」数、コメントスレッドが共有されるという。

また、米国時間10月20日には、Instagramは、非営利団体のための募金活動を行う新しい方法のテストを開始し、作成ボタン(画面右上の「+」ボタン)から直接募金活動を開始できる機能を導入する。このオプションをタップすると「投稿」「ストーリーズ」「リール」「ライブ」を選択する代わりに、非営利団体を選択するオプションが表示され、募金活動リンクをフィード上の投稿に追加することができる。

Instagramは以前から募金活動をサポートしており、2020年にはライブストリーム中に非営利団体の募金活動を行う機能を追加している。しかし、自身のInstagramのプロフィールからすぐに独立したスポットとして募金活動を行う方法は提供していなかった。

この機能は、開発者でありリバースエンジニアでもあるAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルッツィ)氏が、今週の発表に先立ち、9月にはすでに開発中の新しい募金ボタンを発見していた。

他にも、音楽に合わせてリールを楽しむための機能が2つ追加されている。

米国時間10月21日に、Instagramは、リール上で音楽を使って編集したりパフォーマンスを行ったりするクリエイターを支援するための、Superbeat(スーパービート)とDynamic Lyrics(ダイナミックリリックス)という2つの新しいエフェクトを投入する。Superbeatは、ユーザーの曲のビートに合わせて音楽に特殊効果をインテリジェントに適用し、Dynamic Lyricsは、曲の「グルーヴ」に合わせて3Dの歌詞を流れるように表示する、とInstagramは述べている。

これらの新機能は、4月にTikTokが発表した6種類のインタラクティブな音楽効果を追いかけるものだ(そのときTikTokに追加された機能には曲のビートに合わせて視覚効果を加えるものなどもあった)。一方、リールはこれまで、標準のクリエイティブなエフェクトの選択肢が非常に限られており、例えばタイマーや速度調整ツールなどの、基本的なものを超えるライブラリの拡張はコミュニティに頼っていた。

このリール機能は、デスクトップからの投稿機能と同時に提供され、Instagramによると、写真と1分以内のビデオに限定される。同社は今月、長尺動画用のIGTVブランドを廃止したが、いまでも60分までの動画は許可されている。現在では、ストーリーズやリールの動画ではないものは、まとめてInstagram Video(Instagram・ビデオ)と呼ばれている。

関連記事
競争が激化する中、TikTokはクリエイター向けに6つの新しいインタラクティブな音楽エフェクトを発表
InstagramがIGTVブランドを廃止、リール以外のビデオを「Instagram Video」フォーマットに統一

画像クレジット:Instagram

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookアプリの元責任者が内部告発者の議会証言に対して同社を擁護

米国時間10月19日の午後、WSJ Tech Liveイベントで、元FacebookアプリのトップでCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の直属だったFidji Simo(フィジー・シモ)氏が、自分が以前在籍していたソーシャルネットワークを擁護した。Instacartの新CEOになった同氏は、イベントでフードデリバリーの未来について述べたが、質問では、最近のFacebookの内部告発者の議会での証言と、それが喚起した社会的関心についても尋ねられた。

関連記事:グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

シモ氏によると、Facebookが多くの人の生活に与える影響を考えるとセキュリティは重要だが、Facebookが批判を鎮めるために十分なことをやっていないのが心配だ、という。Facebookは世界最大のソーシャルネットワークとして複雑な問題に取り組んでいるにもかかわらず、まだ十分でない、と。

シモ氏は自分が最近離れたFacebookを擁護し「Facebookは、ユーザーの安全のために大金を投じている。また自らの社会的影響についても、業界屈指の詳細な調査研究を行っています。心配なのは、多くの人が『イエス』か『ノー』かの答えを求めることです。実際のところ、この問題は多くのニュアンスを含んでいます」と述べている

内部告発者のFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏によると、ユーザーのエンゲージメントを優先するFacebookのアルゴリズムにより、人間よりも利益が重視されているという。シモ氏が警告するのは、問題がこれまで説明されてきたようにAかBか、人間か利益かといった、単純な二分法ではないということだ。シモ氏の説明によると、Facebookが行ってきた調査研究に基づいて成し遂げるべき変化は、何かのダイヤルを回して、突然、魔法のように問題が消滅するものではない。なぜならFacebookは基本的に、人間性の反映そのものであるからだ。

画像クレジット:Instacart

シモ氏によると、むしろFacebookの本当の問題は、Facebookが何かを変えるたびに、社会に重要な影響が及ぶことと、その在り方だ。そのためFacebookはついでに何かが起こってしまったではなく、Facebookの事業で問題が起こりそうな部分を判断し、そこをを事前に改善することが重要だ。

「トレードオフがあるときは、それは通常、2種類の社会的インパクト間のトレードオフだ」とシモ氏はいう。

彼女が挙げるかなり単純な調整の例は、ユーザーを怒らせるような投稿を事前に判断して、その種の投稿をあまり見せないようにすることだ。

ハウゲン氏が上院で証言したのは、Facebookのアルゴリズムがエンゲージメントを奨励するようになっていることだ。「いいね!」などのインタラクティブなアクションの多い投稿はより広く拡散され、ユーザーのニュースフィードで上位に表示される。しかしハウゲン氏によると、エンゲージメントが「いいね!」やポジティブなリアクションだけでなく、クリックベイトや人を怒らせるような投稿でも起こるため、アルゴリズムはそれらも優先してしまう。その結果、虚偽情報や悪質で暴力的なコンテンツなど、激しいリアクションを喚起するポストが広まる。

しかしながら、Facebook上の怒りはダイヤルを回して音量を下げるように簡単に減らすことはできない。もしそんなことをしたら、別のタイプの社会的インパクトが生じるだろうとシモ氏はいう

シモ氏によれば、そもそも大きな社会運動は怒りがつくり出すため、企業は多くの人の行動を左右するようなインパクトをどうやって変えるのか、という問題を抱えてしまう。

(しかしWSJの記事によると、そのような状況ではなかった。むしろアルゴリズムの加工によって個人の感情的なポストがプロたちの知的なコンテンツより優先されるようになると、発行者や政党などは怒りやセンセーショナリズムに迎合するポストを発表するようになる。記事によると、この問題を修復せよという提案に対しザッカーバーグしは抵抗している)

シモ氏によると「怒り」の問題はほんの一例にすぎない。「実際には、どんな問題でも常に別のタイプの社会的インパクトとのトレードオフになります。そんな状況に、長くいたためわかりますが、それは『社会にとって良いこと』vs.『Facebookにとって良くて利益になること』という単純な問題ではありません。実際の議論は常に、異なる種類の社会的インパクト同士の間にあります。それは私企業にとって非常に扱いづらい議論です」。

「だからFacebookは公的規制を求めているのだ」とハウゲン氏はいう。

「この部分でFacebookが長年規制を求めてきたのも意外ではない。立場を異にする複数の社会的インパクトがあるとき、私企業はどちらか一方の主張を味方することはできない。行司役を担うのは、政府がふさわしい」とシモ氏はいう。

最近増えているエビデンスによれば、Facebookの事業が社会に負の影響を与えていることはFacebook自身も社内調査などで理解している。そんな中でシモ氏は、Facebookを辞めたことを、Facebook内で起きていることが理由だとはしなかった。

むしろシモ氏は「Facebookにいた10年はあまり勉強しませんでした。Instacartへの移籍は、Facebook以外のいろいろなことを学べる良いチャンスだからです」という。

画像クレジット:Porzycki/NurPhoto/Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フェイスブックが暗号資産ウォレット「Novi」の試験運用を米国とグアテマラで開始

Facebook(フェイスブック)が「Novi(ノヴィ)」と名づけた暗号資産ウォレットの小規模な試験運用を開始した。現時点では、米国とグアテマラの限られた人々のみが、Noviにサインアップして、使い始めることができる。

Facebookは、Diem(ディエム)協会の創設メンバーだ。しかし今のところ、Noviでは同協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上にある同協会のステーブルコイン(Diem)を活用するのではなく、代わりにFacebookはPaxos(パクソス)やCoinbase(コインベース)と提携。これによってユーザーは、Paxosの米ドルステーブルコイン「USDP」を送ったり受け取ったりでき、これらの暗号資産はCoinbaseが管理(カストディ)することになる。しかし、これはあくまでも中間段階であり、Facebookはいずれ、USDPをDiemに置き換えることを計画しているという。

Facebookは当初、暗号資産プロジェクトに対して大きな計画を立てていた。同社は「Libra Association(リブラ協会)」と呼ばれる暗号資産の運営コンソーシアムを設立し、これに参加する企業とと協力して、不換紙幣や国債のバスケットに連動するまったく新しいデジタル通貨「Libra(リブラ)」を発行する計画だった。本来であればLibraは、単一の現実世界の通貨ではなく、複数の通貨を混ぜ合わせたものがベースになるはずだった。

しかし、Facebookは多くの中央銀行から強い反対を受けることになった。彼らは、Libraが一部の国で準主権的な通貨になることを恐れたのだ。協会は2020年、その野心を抑えて、単一通貨のステーブルコインに注力することを発表した。

ステーブルコインとは、時間の経過によって変動することがない固定の価値を持つ暗号資産のことだ。例えば、Libra Associationが「LibraUSD」を発行するならば、1LibraUSDは常に1米ドルと同じ価値を持つことになる。

数カ月後、Libra Associationは再びいくつかの変更を発表、LibraはDiemに名称が変わり、協会名も「Diem Association(ディエム協会)」になった。同様に、Facebookのウォレットプロジェクトも
「Calibra(カリブラ)」からNoviにブランドが変更された。しかし、DiemもNoviも、まだ準備は整っていなかった。

関連記事
Facebookの暗号通貨プロジェクトLibraがDiemに名称変更
FacebookはLibraウォレットのCalibraをNoviに改名し独立させようとしている
暗号資産のPaxosがステーブルコインをPAXからUSDPに名称変更

そして今、FacebookはNoviの試験を実際の一部ユーザーを使って始めようとしている。同社はまず、米国とグアテマラ間の送金に焦点を合わせることにした。送金したいNoviユーザーは、Noviアプリをダウンロードしてアカウントを作成し、デビットカードなどの支払い方法を使ってNoviに入金する。

入金された米ドルは、手数料なしでUSDPに変換される。Paxosが発行するUSDPは米ドルステーブルコインで、以前はパックスダラー(PAX)と呼ばれていたが、Paxosは最近、USDPにブランド名を変更した。

USDPはその価値を確保するために、現金および現金同等物によって担保されている。Noviユーザーの資金は、Coinbase Custody(コインベース・カストディ)によって管理される。つまり、CoinbaseがNoviのユーザーのためにUSDPの資金を保管するということだ。

Noviユーザーは、他のNoviユーザーにUSDPを送ることができる。繰り返しになるが、送金にかかる手数料は必要ない。しかし、お店での支払いや家賃の支払いにNoviを使うことはできない。そのためにユーザーは、現金の必要な場所では、Noviの残高を引き出したり、銀行口座に残高を送金したりできる。

しかし、NoviはUSDPをグアテマラ・ケツァルに変換する際に手数料がかかるかどうかについては言及していない。米ドルステーブルコインのUSDPをグアテマラの通貨単位に両替するには、為替レートを選択しなければならず、それにはスプレッド、流動性、その他のさまざまな変数が関わってくるからだ。

また、Noviは展開したいと考えるすべての市場で、フィアット / クリプトのオンランプおよびオフランプ(法定通貨と暗号資産の交換サービスを提供する場)を設けなければならない。

Facebookによれば、これはNoviの始まりに過ぎないという。それは第一に、まずはグアテマラと米国(アラスカ、ネバダ、ニューヨーク、米領ヴァージン諸島を除く)の一部のユーザーにのみ試験的に提供されるということ。そして第二に、FacebookとDiem Associationは、いずれ独自の暗号資産を立ち上げる計画を諦めていないということだ。

「我々のDiemに対するサポートに変更はなく、Diemが規制当局の承認を得て発行できるようになれば、NoviにDiemを導入して運用を開始するつもりであることを明確にしておきたい。私たちは相互運用性を重視しており、きちんと行いたいと考えています」と、NoviプロジェクトのリーダーであるDavid Marcus(デヴィッド・マーカス)氏はTwitterで述べている。

Facebookが暗号資産Libraの発行計画を発表したのは、2019年6月のこと。それ以降、暗号資産のエコシステムは大きく変化した。特に、いくつかのステーブルコインが信じられないほどの人気を博しており、Tether(テザー)とUSD Coin(USDコイン)の流通量は現在、合わせて1000億ドル(約11兆5000億円)を超えている。そんな中で、Diemが既存のステーブルコインに追いつき、新たなユースケースを開拓できるかどうか、興味深いことになりそうだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】Facebook Portal Go、ライバル不在の「携帯性」がポイントのスマートディスプレイ

発売当初から、Portal(ポータル)製品ラインはある大きな疑問に悩まされてきた。Facebook(フェイスブック)がなぜこれを開発したのかということではなく、Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)がスマートアシスタントとディスプレイの分野でそれぞれ先行しているのに、いったいなぜ人々がこれに興味を示すのだろうかということだ。

Facebookサービスとの連携に加えて、Portalの当初の目玉機能は物体検知を利用して対象を追いかける「スマートパンニング」だった。これはクレバーな追加機能だったが、ライバル製品ではなくFacebook製を買うことを正当化するほどのものではなかった。以来、Google、AmazonそしてApple(アップル)さえもそれぞれ独自技術を導入し、Facebookの優位性を失われてしまった。

画像クレジット:Brian Heater

Portal Goは、「なぜ」という大きな疑問に答えるものではないが、ポータビリティー(携帯性)を追加することで、スマートディスプレイの枠にとらわれないFacebookの能力を改めて示している。

正直なところ、ライバルたちはまだこの「ポータビリティー」を採用していないことに驚いている。Amazonは、ポータブルBluetoothスピーカーのTapを少し前に販売終了している。

それ以外だと、同じようなポータブル製品はAlexa内蔵のFireタブレットやサードパーティー製くらいしかない。あるいは、AmazonとGoogleのソリューションは、実質的に、使うつもりの部屋全部にデバイスを置くようにユーザーを説得しているともいえる。個人的には、各メーカーがなぜバッテリー搭載モデルの便利さを認めないのかいつも不思議に思っている。

Goは携帯性を前提につくられており、本体の背面にはハンドルもある。重量はまあまあ軽い(たとえばAppleが発表したばかりのMacBook Proの4.7ポンド[約2.13kg]と比べて)3ポンド(1.36 kg)だ。ところで、持ち歩けるスマートディスプレイが必要な人はいるのか?もちろん、スマートディスプレイを必要とする人以上にはいないが、その柔軟さについてはいうべきことがたくさんある。主として動画のために作られたデバイスにとって、どこへでも持っていけることは間違いなくうれしい。

画像クレジット:Brian Heater

鍵は内蔵バッテリーとワイヤレス充電だ。後者は独自の3ピン充電パッドでケーブルにはUSB-Cプラグがついている。この充電器はプロダクトデザイン上最大の不満かもしれない。Facebookが移動するためにプラグを抜かなくてもよいようにと充電ケーブルをやめた理由は理解できる。しかし、有線でもっと早く充電するオプションがあればもっとよかった。少なくとも、マグネットでピタッと収まる充電パッドは欲しかった。ピンを合わせて充電するのは面倒だ。

画像クレジット:Brian Heater

ディスプレイは10インチのタッチスクリーンで解像度は1280×800。特にいうべき点はないが、リモート会議やFacebookでショートビデオを見るなど、これを使うほとんど人のにとって十分なのは間違いない。これに12メガピクセルの前面カメラと4基のマイクアレイがつく。ここでもこれは、世界が一変しすべてのミーティングがバーチャルなった時に資産を投入したリモート会議システムと比べるものではないが、家族と話したり、ちょっとした仕事の打ち合わせには十分だ。布地で覆われたデバイスの背面には後ろ向きのスピーカーとウーファーが2基内蔵されている。音質はすばらしくはない。少しこもる。日々の音楽鑑賞に使いたいものではないが、いざというときには役立つ。

筐体はほとんどのスマートディスプレイよりも大きめだ。角は丸く、ベゼルは太く、覆っている布地は昨今の家庭用製品では標準的だ。実際このデザインは、EchoかNestスタイルのホームデバイスと子どもをターゲットにした何かとの中間という感じだ。

画像クレジット:Brian Heater

堅牢とはいえないが、ちょっと叩いたりぶつけたりしたくらいなら、おそらくNest Homeより強いだろう。以上の機能に子ども向けの物語コンテンツが加わったPortal Goは、小さな子どものいる環境に向いているだろう。前面カメラには物理的シャッターがついている。もしあなたが私と同じなら、90%の時間、事実上ビデオ通話中以外いつでも、閉じることになるだろう。これでマイクはオフにならないが、ボリュームボタン横の丸いボタンで切ることができる。ボタンを押すとカメラとマイクがオフになり、赤いランプがそのことを示す。

Facebookで通話を始めるのは簡単だ。「hey Portal, call such and such(ヘイ、ポータル、誰々にかけて)」と言えば、名前を表示して意図した人物かどうかを確認する。これこそがこの製品の核心であり、Facebook Messenger(メッセンジャー)を通じて会話することに合わせてつくられたデバイスならではだ。フィルターをかけたり、友だちと一緒にビデオを見たり物語を読んだりすることもできる。このデバイスの強みはこのような体験の共有であり、Facebookのソフトウェアに特化して作られていることだ。

画像クレジット:Brian Heater

シェアできる物語本は祖父母が孫たちとリモートでつながった時に最適だ。Facebook Messenger組み込みのフィルターはまあまあオーケー。おかしな帽子をかぶらせたり、時々声を変えたりできるが、見かけの欠点を隠すようなものではない。良くも悪くも。遅いWi-Fiで調子が悪いことがあり、Facebook Watchのビデオでも同じことが起きた。遅延が見られることもあり、エフェクトが少々損なわれた。

Facebook以外のアプリセレクションは少ない。Spotify(スポティファイ)、Tidal(タイダル)、Dezer(ディーザー)、Pandora(パンドラ)は良い。Goはディスプレイ付きポータブルBlootoothスピーカーとしても使える。私はカメラをオフにして寝室に持ち込み、タッチスクリーンでSpotifyを操作して音楽を聴いた。リモート会議についてはZoom(ズーム)、WebEx(ウェブエックス)、Blue Jeans(ブルー・ジーンズ)などまずまずの選択肢が揃っている。何でもあるわけではないが、そこそこの仕事の会議には対応できるはずだ。

画像クレジット:Brian Heater

リモート会議の具合はいい。実際、その携帯性と組み合わせると、最も有効な使い方かもしれない。主要なスマートディスプレイは、サードパーティー製リモート会議アプリとの互換性が高いが、どこへでも持っていけて、コンセントを探さなくてよいことは、1日中デスクに縛り付けられたくない人にとってはうれしい。

これ以外、アプリのセレクションは最小限だ。ニュースとクッキングのアプリがいくつかある他、YouTubeなどの人気サードパーティ製サービスがブラウザーのショートカットから利用できる。もし、Netflix(ネットフリックス)を見たかったら、ブラウザーでサイトを訪れて見ることができる。最終的にはほとんどのことはそこに落ち着く。もしあなたが、すべてをFacebookアプリ(およびそれがもたらす厄介なことすべて)に捧げている人なら、これはおそらくあなたのデバイスだ。

携帯性に関して言えば、現時点でGoに直接のライバルはいない。この製品はPortalラインについての広い意味の「なぜ」には答えていないが、少なくとも「どこで」には対応している。

画像クレジット:Brian Heater

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックはフィードの投稿をInstagramにクロスポストするテストを開始

Facebookはすでに、InstagramのストーリーズリールをFacebookにクロスポストできるようにしていた。今度はストーリーズとリール以外の新機能をテスト中だ。Facebookは最近、写真やビデオを含むFacebookの投稿をInstagramにクロスポストするオプションを公開した。両方のプラットフォームをアクティブに使っているユーザーは、この機能を使うとアプリごとに1回ずつ同じメディアをアップロードする時間を節約できる。SnapchatやTikTokなどの競合が成長する中で、Facebookは若年層が使うソーシャルメディアプラットフォームとしてのInstagramの人気を維持するために投資しており、クロスポストによってInstagramに多くのコンテンツを簡単に提供できることになる。

Facebookによれば、この機能はまだ正式に発表していないが、10月前半から公開を開始したという。現在、FacebookのプロフィールにInstagramの個人やクリエイター、ビジネスアカウントをリンクしている少数のユーザーに対してグローバルでテストをしていると同社は述べた。

この機能を利用できる場合は、Facebookで投稿を作成するボックスに表示される。投稿を公開する対象を選んだり新規アルバムを作ったりするボタンの横に、新しいオン/オフボタンが現れる。

iOS版Facebookアプリのスクリーンショット

このボタンをタップすると新しい画面が開き、Facebookのこの投稿をリンクしているInstagramアカウントに共有するかどうかを選択できる。画面には、共有のオプションがこの投稿にだけ適用されると書かれている。ここではデフォルトの設定は変わらない。

デフォルトの設定を変更したい場合は、リンクから「アカウントセンター」に移動し、Facebookの投稿をすべてInstagramに自動で共有するかどうかを選択できる。さらに、FacebookのストーリーズをInstagramのストーリーズに自動で共有することもできる(ストーリーズの方は以前から可能だった)。

画像クレジット:iOS版Facebookアプリのスクリーンショット

FacebookはTechCrunchに対し、Instagramの1枚の写真、1本のビデオ、最大10枚の写真のアルバムにクロスポストできると述べた。10枚というのはInstagramのカルーセルが対応している最大枚数だ。GIF、投票、11枚以上の写真のアルバム、フィードの再シェア、テキストのみの投稿、Instagramのフィードには大きすぎるメディアは、現時点ではクロスポストの対象ではない。

Facebookはここ数カ月、同社の複数アプリの連携に取り組んできた。それは複数のアプリを使うユーザー向けのクロスポストだけではない。

同社は2020年にMessengerとInstagram間のコミュニケーション機能を導入してInstagramユーザーがFacebookユーザーとチャットができるようにし、2021年9月にはその逆もできるようになった。Facebookで増えつつあるリアルタイムのエクスペリエンスで活用する「結合組織」の役割をMessengerにもっと持たせようとしているし、FacebookユーザーがMessengerアプリに切り替えずに音声通話とビデオ通話をFacebook上で直接できるようにするテストもしていた。9月には広告プロダクトに関して、単にユーザーに広告を見せるだけでなく、同社のチャットプラットフォームでユーザーが企業にメッセージを送るツールを追加した。例えばユーザーはInstagramの広告をタップしてWhatsAppで企業とチャットをすることができる。

こうしたことにより、コンテンツがどこにあり、誰がどのアプリを使っているかを見分けづらくなるとしたら、それはおそらく意図的なことだ。連携が緊密になるほどFacebookから完全に抜け出すのは難しくなるだろう。コンテンツとコミュニケーションがFacebookの一連のアプリの間を流れるからだ。さらに、将来のどこかの時点で独占的であると判断され、規制によってFacebookを複数の企業に分割することになったとしても、複雑で分けづらい。

Facebookは、グローバルでのテストの期間や機能を広く公開する時期について明らかにしていない。

関連記事
フェイスブックのMessengerがアプリをまたぐグループチャット機能を導入、Instagramとの連携強化
フェイスブックが10周年を迎えたメッセンジャーに新機能追加、リアルタイム体験のための「結合組織」を目指す
広告ターゲティング事業が脅かされつつあるフェイスブック、事業主向けに数々の新機能を発表

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

WhatsAppはチャットのバックアップをクラウド上で暗号化する新機能をついに展開

WhatsAppは、20億人のユーザーにiCloudまたはGoogle Driveに保存されているチャット履歴を暗号化するオプションを提供する新機能の展開をついに開始する。これにより、政府が個人間の私的な会話を入手して閲覧したりするために利用されてきた重大な抜け穴を塞ぐことができる。

WhatsAppは、これまでもユーザー間のチャットを暗号化していた。しかし、ユーザーがクラウド上に保存されたチャットのバックアップを保護する手段はなかった(iPhoneユーザーの場合、チャットの履歴はiCloudに保存され、AndroidユーザーはGoogle Driveだ)。

この抜け穴を利用して、世界中の法執行機関がWhatsApp上の疑わしい個人間の私的な会話にアクセスできていたことが広く報道されてきた。

1日に1000億通以上のメッセージを処理するWhatsAppは、この弱点を解消するために、この新機能をアプリが運用されているすべての市場のユーザーに提供するとTechCrunchに述べている。同社によると、この機能は任意だという(企業が法的規制上の理由からプライバシー機能を搭載しないのは珍しくない。Apple(アップル)の新しい暗号化されたブラウザ機能は、中国、ベラルーシ、エジプト、カザフスタン、サウジアラビア、トルクメニスタン、ウガンダ、フィリピンなど、特定の権威主義体制国のユーザーには提供されていない)。

Facebook(フェイスブック)の創業者兼CEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、エンド・ツー・エンドの暗号化されたメッセージングとバックアップを提供しているこの規模のグローバルなメッセージングサービスとしてはWhatsAppが初めてだと述べている。「プライベートな会話のためのセキュリティをリードし続けているチームを誇りに思う」と、自身のFacebookページへの投稿で綴っている

WhatsAppは2021年9月、少人数のユーザーを対象にこの機能のテストを開始した。同社は、AndroidおよびiOSのWhatsAppユーザーが、チャットのバックアップを暗号鍵でロックできるような仕組みを考案した。WhatsAppは、ユーザーにクラウドバックアップを暗号化する2つの方法を提供するとしている。

WhatsAppのユーザーには、クラウド上のチャットバックアップを保護するための64桁の暗号化キーを生成するオプションが表示される。ユーザーはこの暗号化キーをオフラインまたは自身のパスワードマネージャーに保存するか、暗号化キーを、WhatsAppが開発したクラウドベースの「バックアップキー保管庫」にバックアップするパスワードを作成することができる。クラウドに保存された暗号化キーは、ユーザーのパスワード(WhatsAppは確認できない)がなければ使用できない。

同社はブログで「エンド・ツー・エンドで暗号化された送受信メッセージはデバイスに保存されますが、多くの人は携帯電話を紛失した場合に備えてチャットをバックアップする方法も求めています」と述べている。

この機能は「設定」→「チャット」→「チャットのバックアップ」→「エンド・ツー・エンドの暗号化バックアップ」で利用できる(画像クレジット:WhatsApp)

先月、私たちが書いたように、このような追加のプライバシーを導入する動きは重要であり、広範囲に影響を及ぼす可能性がある。

各国政府の考えは?

エンド・ツー・エンドの暗号化は、世界各国の政府がバックドアを求めてロビー活動を続けているため、依然として厄介な話題となっている。Reuters(ロイター)通信によると、AppleはFBIからクレームを受けた後、iCloudバックアップに暗号化機能を追加しないように圧力をかけられたそうだ。また、Google(グーグル)はGoogle Driveに保存されたデータを暗号化する機能をユーザーに提供しているが、この機能を展開する前に政府に伝えていなかったと言われている。

関連記事
上院の暗号バックドア法案は「米国人にとって危険」だと下院議員が警告
インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

WhatsAppのユーザー数が最大の市場であるインドでは、疑わしいメッセージの「トレース」を可能にする方法を考案することを同社に要求する新しい法律が導入された。WhatsAppは、この新たな義務化についてインド政府を訴え、このような義務化は事実上「新しい形の大量監視 」を義務付けるものだとしている。

英国政府は、暗号化にはあまり関心がなく、最近ではメッセージングアプリに対して、子どものアカウントにエンド・ツー・エンドの暗号化を使用しないよう求めている。他にも、オーストラリアでは3年前に、テック企業が警察や治安機関に暗号化されたチャットへのアクセスを提供することを義務付ける法律が可決され、物議を醸している。

WhatsAppは、この新機能について、議員や政府機関と協議したかどうかについては言及を避けている。

電子フロンティア財団をはじめとするプライバシー保護団体は、今回のWhatsAppの動きを高く評価している。

「FacebookのWhatsAppは、未成年者がメッセージで送信した写真や、ユーザーがiCloudにアップロードしたすべての写真をデバイス上でスキャンする計画を立てているAppleとは対照的に、プライバシー保護の面で勝利を収めています。Appleは、その計画に対するフィードバックを再検討するためにこれを一時停止していますが、長年にわたるプライバシーの落とし穴の1つである、iCloudバックアップが暗号化されていない点を修正することが含まれている兆候はありません」と同団体はいう

「WhatsAppは基準となるハードルを上げており、Appleや他の企業もそれに倣うべきです」。

画像クレジット:Kirill Kudryavtsev / AFP / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、Akihito Mizukoshi)

フェイスブックが米国でポッドキャストやライブオーディオなどを集めた「オーディオ」ハブを公開

Facebook(フェイスブック)はオーディオの取り組みに対する投資を拡大しており、米国でモバイルアプリに新たに「オーディオ」を集めたハブの役割を果たす部分を設けた。ポッドキャスト、Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)、短尺のオーディオと、Facebookで配信されている各種のオーディオフォーマットを1カ所で発見できる。さらに同社によれば、Clubhouse(クラブハウス)のライバルであるLive Audio Roomsをグローバルで利用できるようにし、TikTok(ティックトック)のオーディオ版のような短いオーディオクリップのSoundbites(サウンドバイツ)という新しいプロダクトも公開を開始している。

新しいオーディオハブの初期バージョンは、米国の18歳以上のFacebookユーザーに対してiOSとAndroidで公開がすでに開始されていたが、正式には米国時間10月11日に発表された。Facebookのビデオのハブである「Watch」の上部からアクセスできる。オーディオコンテンツは聴くものであって見るものではないから「Watch」からというのはちょっと違和感がある。

Facebookは、新しいハブを設けたことでクリエイターにとっては自分の番組を見つけてもらいやすくなり、ユーザーにとっては好きなクリエイターのコンテンツを見つけ、知らないコンテンツを発見し、コンテンツを保存して後で聴くこともできるようになるとしている。提供開始時点では、オーディオのセクションにはすでにフォローしているクリエイターのコンテンツの他、パーソナライズされた提案、Facebookで人気のオーディオも表示される。

「オーディオ」ハブは、オーディオコンテンツを聞いたり多くのクリエイターをフォローしたりすることで時間が経つにつれて自分好みにパーソナライズされていくと同社は述べている。

この公開に合わせて、Facebookはオーディオプロダクト全般に関するアップデートも提供する。

2021年春に同社はオーディオの新機能として、ClubhouseのライバルであるLive Audio Rooms、短尺のオーディオプロダクトであるSoundbites、ポッドキャストのサポートを発表した。またSpotify(スポティファイ)との連携で音楽サービスをFacebook上でストリーミングする新しいミニプレイヤーも発表した。

関連記事
フェイスブックが音声関連の新機能を発表、Clubhouse類似機能やポッドキャスト支援ツールなど
フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供
フェイスブックが音声SNS「Live Audio Rooms」とポッドキャスト向け新サービスの提供を米国で開始

Live Audio Roomsは2021年6月に米国の著名人やFacebookグループに対して正式に公開された。それ以降、人々がつながり会話を交わす手軽な手段として機能しているとFacebookはいう。Lil Huddy(リルハディ)、Noah(ノア)、Miley Cyrus(マイリー・サイラス)、アメフトのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)、歌手のBecky G(ベッキー・G)、コメディアンのSherry Cola(シェリー・コーラ)、Mereba Music(メレバ・ミュージック)などがこれまでにLive Audio Roomsを利用した。

画像クレジット:Facebook

Live Audio Roomsは米国以外の著名人やクリエイターと、米国以外を拠点とするFacebookグループにも順次公開されているという。iOSに加えてAndroidにもこの機能が導入され、デスクトップでもLive Audioを聴けるようになって、これまで以上に多くの人が利用できる。

一方、短尺オーディオのSoundbitesは2021年6月から注目のクリエイターなどを対象にテストが実施されている。テストには、コメディアンでベストセラー作家のJosh Sundquist(ジョシュ・サンドクイスト)、女優で社会活動に取り組むライフスタイルインフルエンサーのLolo Spencer(ロロ・スペンサー)、デジタルクリエイターのMolly Burke(モリー・バーク)などが参加している。最近になってテストに参加するクリエイターを増やし、Facebookによれば数週間以内にこれまでより多くの米国ユーザーにSoundbitesが公開される予定だという。

Facebookは、2021年前半に発表したポッドキャストのサポートにも引き続き取り組んでいると述べた。2021年夏に米国のユーザーはポッドキャストを利用できるようになった。最近ではポッドキャストの短いクリップをニュースフィードで共有できるようになり、Androidでは字幕に対応した(iOSでは未対応)。ポッドキャスト制作者はデスクトップとモバイルでFacebookページに自分のRSSフィードを追加できるようになった。ただし、ポッドキャストを聴取できるのは当面米国に限られる。

Facebookはオーディオエクスペリエンスの拡張を続けていると語る。Facebook上の有害コンテンツを自動で特定するなど、同社のコミュニティ規定に違反するコンテンツを見つけて対応するツールの開発に取り組んでいる。さらに同社は、規定に違反するオーディオコンテンツを検知して調整するテクノロジーとプロセスの両方を、学習を続けながら対応させていくと述べた。

このところ、Facebookには大変な日々が続いている。これまでで最長のシステム障害が発生し、米国上院では内部告発者がエンゲージメントベースのアルゴリズム、誤情報に対応する能力の欠如、人間よりも利益を優先する企業としての決定といったFacebookプラットフォームによって引き起こされる害悪について証言したニューヨーク・タイムズでは、Facebookの従業員はこの内部告発者の証言に対して意見が割れていると報じられている。同社はオーディオやライブオーディオに深く関わっていこうとしているが、これは節度を保つのが難しい分野だ。オーディオを安全な環境にするのに必要なテクノロジーを構築できなければ、Facebookはこれまで以上に誤情報が広がりやすいプラットフォームになる危険性がある。

関連記事:フェイスブックの内部告発者が身元を明かし、同社は「安全よりも利益を選ぶ」と発言

画像クレジット:Facebook

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブック監督委員会が上院で証言した同社内部告発者と面会へ

Facebook(フェイスブック)が外部機関として設けた同社のポリシーを検討する委員会が、先に同社に関する懸念を公表した元社員Frances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏と会うことになった。当のFacebook監督委員会による米国時間10月11日の発表によると、その内部告発者が委員会の招待を受け入れたら数週間後にハウゲン氏に会うという。

監督委員会は「委員会のメンバーはハウゲン氏の経験について話し合い、私たちの今後の決定や勧告を通じてFacebookの透明性と説明責任を高めるために役立つ情報を収集できたことに感謝しています」とブログで述べている。

Facebookで仕事をしていた間に学んだことについてFacebook監督委員会に説明するための招待を、私は受けました。Facebookは同委員会に何度も嘘をついているため、その機会に彼らと真実を共有したい。

ハウゲン氏との会合の発表で監督委員会は、彼らが持ち続けている「クロスチェック」と呼ばれるFacebookの秘密のプログラムへの関心に言及している。それは、一部の著名なユーザーがプラットフォームの規則を回避できるプログラムだ。同委員会によると、彼らが特に調べているのは、クロスチェックシステムに関する質問に答えた際、同社が「完全に正直」であったかということと、その所見を10月後期の決算報告書で共有するかという点だ。

The Wall Street Journalがこのプログラムの存在を報じたのは、2021年9月に同紙が連載したFacebookに関する調査記事の中だ。その記事はハウゲン氏が提供した文書に基づいており、同紙上では匿名の情報提供者となっていた。

画像クレジット:Matt McClain-Pool/Getty Images/Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)