ジョージ・フロイド氏殺害事件への拡大する抗議活動と組織的差別に対するハイテク業界の対応

5月25日、ミネアポリス警察によってGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏が殺害されたのを機に米国全土で抗議行動が始まってから5月31日で4日目を迎えた。この運動は、同様の運命にさらされている信じられないほどの数の米国の黒人が直面してきた広範におよぶ、また組織的な不平等への反応だ。「息ができない」という必死のあえぎ声は、6年前のEric Garner(エリック・ガーナー)氏の死を思い起こさせる。

この週末は暴力が吹き荒れ、写真や動画には、血まみれの抗議者、傍観者、この状況を伝えようと使命感に駆られたジャナーリストの姿が映し出された。ひとつの事件が人々の最大の関心事になるのは、新型コロナウイルス(COVID-19)による死者数が世界最大という遙かに深刻な状況に置かれた今の米国では難しいことだが、ミネアポリス、ニューヨーク、ワシントンD.C.、ロサンゼルス、シカゴ、さらにその他に地域に大きく広がったこの抗議活動は、すでに深い溝で分断されたこの国の最大の関心事として扱われる運命にある。

こうした社会問題に対する態度に波風を立てることに慣れていないハイテク企業とそのCEOは、腫れ物に触るようなこの話題を、どこまで重大に捉えるかを秤にかけ始めている。社会問題への取り組みを公にした経験を持つApple(アップル)のCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏は、彼の会社は多様性から力を得ていると話していた。彼はまた従業員に対して、今こそ耳を傾けるときだと伝えている。

今は多くの人が、何よりも平常に戻ることを、つまり不公正から目を背けていさえすれば快適な現状維持への回帰を願っています。認めたくはないでしょうが、その願望自体が特権意識の表れです。ジョージ・フロイド氏の死は、「平常」な未来よりもさらにずっと上を目指さなければならないことを、そして、平等と公正の最上級の理想に従って生きてゆく未来を構築しなければならないことを、衝撃的で悲惨な形で私たちに示しています。

クック氏は、Equal Justice Initiative(イコール・ジャスティス・イニシアティブ)を始めとする非営利団体への不特定の寄付を行う予定だと話している。さらに6月には、従業員からの寄付金は、すべて倍額にして収めるという。

一方、Twitter(ツイッター)は、企業のロゴを黒と白のバージョンに切り替え、「Black lives Matter」(黒人の命も大切)というハッシュタグをプロフィールに追加した。多様性を訴えるTwitterアカウント「Twitter Together」は、以下の声明を発表した(もちろんTwitterで)。

差別は社会的距離とは違う。パンデミックで恐れと不安が増大している最中ですが、今週は、おそらくそれよりも大きな話題が、またしても注目を集めました。非白人が日常的に直面している根深い人種差別と不平等の問題です。

Amazon(アマゾン)もまたTwitterを通じて次の声明を出した。

私たちの国の、黒人に対する不平等と野蛮な扱いは止めなければなりません。私たちは黒人コミュニティー(私たちの従業員、顧客、パートナー)と連携して、組織的な人種差別と不平等に立ち向かいます。

Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)のCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は自身のアカウントでこうツイートした。

こうした黒人の不当な殺害の容認を止めるには、「何が」必要なのでしょう。どれだけの人が死ねば、どれだけの世代が耐えれば、どれだけの目撃動画があれば事足りるのか? 裁判所や政治家の対応よりも優れたものが私たちには必要です。

アマゾンには、偽善だとする多くの非難がすぐさま寄せられた。数々の問題の中には、長年にわたる従業員の扱いに対する苦情や、警察で使用されているAWSの顔認証などの技術がある。

ACLU(アメリカ自由人権協会)の反応は露骨だ。

結構なツイートだ。警察の横暴を強力に後押ししている顔認証監視技術の販売を止めるか?

アマゾンは、同協会からのこの最新の質問は取り合わない構えのようだ。

マーク・ザッカーバーグ:先週の悲劇は、この国が、尊厳ある生活を送る自由をすべての人に与えられるようになるのは、まだ遠い先のことだと私たちに再認識させた。

Facebook(フェイスブック)の反応も複雑なものだった。従業員は、「略奪が始まれば銃撃が始まる」というトランプ大統領のツイートを残しTwitterと袂を分かつ決断をしたCEOのマーク・ザッカーバーグ氏の判断に怒りの声を露わにしている(CNBC記事)。しかし最近になってザッカーバーグCEOは、1000万ドル(約10億7000万円)を関連非営利団体に寄付し、投稿で次のように述べた。

この戦いを支援するために、Facebookはそのプラットフォームを通じて黒人コミュニティーの平等と安全をもたらすために、さらに努力すべきだと考えています。見るに忍びないものでしたが、ジョージ・フロイドさん殺害の動画Facebookに投稿してくれたDarnella Frazier(ダーネラ・フレイザー)さんに感謝します。これは、すべての人が見るべきものだからです。ジョージ・フロイドの名前を私たちは記憶しなければなりません。同時に、人々の安全を保ち、私たちのシステムが偏見を助長しないよう努力を重ねることもFacebookの勤めであることを明確にしておきます。

Microsoft(マイクロソフト)のCEO、Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏は、LinkedIn(リンクトイン)への投稿で、ミネアポリスの事件と、バードウォッチャーのChristian Cooper(クリスチャン・クーパー)氏と警察がセントラルパークで揉めた先日の事件について簡単に触れている。

私たちのアイデンティティーが、私たちの存在そのものが、この星のすべての人の力の源になっています。そのため私たちには、私たちのプラットフォーム、私たちのリソースを使って組織的な変化を推進させる義務があると思いませんか? これは本当に難しい課題です。ひとつの事件に留まる話ではありません。絶対的に変えなければならない問題に通じる、あらゆる物事が対象です。

また、Snap(スナップ)のCEOであるEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は5月31日、従業員に向けた長い書簡(The Information記事)を発表した。そこにはこう書かれている。

もちろん、あらゆる人の自由、平等、公正を支持した建国の父たちは、ほとんどが奴隷を使っていました。その強化版として、人民により人民のために作られた国は、偏見と不公正と人種差別に立脚しています。この腐った基礎を立て直そうとせず、またすべての人に機会を与えられずにいる問題への対処も怠っている私たちは、人類が進歩する本当の可能性を封じ込めています。そしていつも、すべての人の自由と平等と公正をもたらすという大胆な展望に追いつけずにいるのです。

スピーゲル氏の書簡は、「実に大変に恵まれた若い白人の教育のある男性」である自身との葛藤と、不平等への金銭的な対処法の提案に焦点を当てている。特に彼は、超党派の「Commission on Truth, Reconciliation and Reparations」(真実、和解、償い委員会)の設立と、住居、医療、教育への投資を呼び掛けている。

画像クレジット:Jason Whitman/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Facebook社員がバーチャルストを敢行、トランプ米大統領の投稿に対する会社の態度に抗議

米国時間6月1日、一部のFacebook(フェイスブック)社員がバーチャルストライキを開始した。ジョージ・フロイド氏惨殺に対する抗議に関わるドナルド・トランプ大統領の投稿に対して同社が行動を起こさないことへの抗議だ。ストライキに参加している社員らは、休暇を要求し、メールの自動返信機能を使って自分たちが抗議行動をしていることを送信者に伝えている(The New York Times記事)。その後Facebookはストライキを承認し、参加した社員は有給休暇を使う必要がないと語った。

先週、武器を持たない黒人、フロイド氏を警官が死亡させたことに抗議するデモがミネアポリスで行われている中、トランプ大統領はTwitter(ツイッター)とFacebookの両方に、「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と投稿した。

The Washington Postが書いているように、このフレーズには人種差別の歴史的背景がある。1960年代、マイアミの黒人街で市民暴動が起きた時、白人警察署長が同じフレーズを用いた。

Twitterの対応は、トランプ氏のツイートに、暴力賛美に関わるTwitterの規則に違反した旨の警告を表示することだった。

しかしFacebookは異なるアプローチをとった。同社の対応はなにもしないことだった。

米国時間5月29日、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は同社のポリシーを説明(未訳記事)し、「国の実力行使を巡る議論は認めている、ただし現在の状況はその議論の潜在的限界がどうあるべきかいう重要な課題を呈した」と語った。さらにザッカーバーグ氏は、「市民は政府が武力行使を計画していることを知るべきだとわれわれは考える」と語った。

関連記事:Twitterが「暴力を称える内容」とトランプ大統領のミネアポリスに関するツイートに再び警告

先週、Twitterが大統領のツイートの事実確認を行う決定を下したことを受け、ソーシャルメディア各社を罰する大統領命令(未訳記事)を発令する意志を発表した後、同氏はTwitterのポリシー適用と自社の対応の対照的な違いをFox Newsのインタビューで示した。トランプ氏の大統領命令が、ソーシャルメディアによるコンテンツ管理を制限すると威嚇した同じ日に放映されたそのインタビューで、ザッカーバーグ氏は人々がオンラインで語ったことに対して、テックプラットフォームが「真実の裁定者」になろうとしていることを批判した。

この日のストライキに加えて、Facebook社員らは会社がもっと役職を多様化するよう求める嘆願書を回覧し、もしザッカーバーグ氏が今の立場を変えなければ会社を辞めると宣言する人たちもいた。何人かの社員は会社対してTwitterで発言した。FacebookのPortal(ポータル)設計責任者であるAndrew Crow(アンドリュー・クロウ)氏もそのひとりで、「暴力を賛美し誤った情報を拡散するためにプラットフォームを提供することは、誰であれニュース価値があったとしても認められない」と語った。「私はマークの立場に反対し、変化を起こすために行動する」。

Facebook内部の騒動が外部に漏れるのは比較的まれな出来事だ。ここ数年、ほかのテック大手が政治や思想の相違に関する公然の抗議活動に直面してきたのに対して、Facebook社員は概して団結し、怒りを会社の塀の中に留めてきた。

5月31日夜、プロダクト管理ディレクターのJason Toff(ジェイソン・トフ)氏はツイートで「会社のとっている行動には誇りが持てない」と語った。「話をした同僚の大半が同じ考えだ。我々は声を届けようとしている」と付け加えた。Instagram(インスタグラム)社員のKatie Zhu(ケイティ・チュー)氏は、6月1日に人種間の平等の大義のための募金を行い、「会社がたった今世界に向けて見せていることに失望し、恥ずかしく思っている」とツイートした

Zuckerberg氏は、社内の不満と過激化する抗議者と警察の衝突を受け、米国で人種間の平等のために戦う団体に 100万ドルを寄付した。同社の時価総額は6500億ドルを超える。

「多くの仲間たち、中でも黒人コミュニテーが感じている痛みを理解している」とFacebook広報担当者が声明で語った。「社員たちには経営陣への不満を率直に語ることを推奨する。コンテンツに関してさらに困難な決断を迫られる中、会社はこれからも正直なフィードバックを求めていく」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが人種問題に取り組む団体に11億円を寄付、従業員からは不満の声も

Facebook(フェイスブック)がプラットフォーム上の暴力的な表現や誤情報の監視に不介入のアプローチをとっているちょうどの時に、同社は米国で「人種問題を正そうと取り組んでいるグループ」に1000万ドル(約11億円)を寄付する。同社CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が米国5月31日夜の投稿で明らかにした。

寄付の約束は、警察による残忍な行為に対して米国中で起こっている抗議デモを受けてのものだ。抗議はミネアポリスで警官に殺されたアフリカ系米国人George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死を撮影したビデオがFacebook上で拡散したことに端を発している。

ザッカーバーグ氏の寄付の約束は、何人かの名の知れたFacebook従業員がTwitterの対応と比較して自社の対応に不満を表明した後に出てきた。また、寄付の表明があってから数時間後に多くの従業員がバーチャルストを実行した。

「私はFacebookで働いているが、Facebookの対応は自慢できるものではない」と同社でプロダクト管理ディレクターを務めるJason Toff(ジェイソン・トォフ)氏はツイートした。「私が話した同僚の大半が同じように感じている。我々は声を上げている」。

いくつかのテック企業が抗議デモや直面している組織的な不公平への連帯のメッセージを出した(未訳記事)が、そうした中でザッカーバーグ氏も声明を発表した。

Facebookへの投稿の中でザッカーバーグ氏は、フロイド氏が殺される様子をとらえたビデオがFacebookに投稿された事実に行を割いた。

「人々の安全を守り、また我々のシステムが偏見を増幅させないことを確かなものにするために、Facebookには取り組むべきことがあるのは明らかだ」とザッカーバーグ氏は書いた。「正義と戦う組織は資金を必要としている。よってFacebookは人種問題に取り組むグループに1000万ドルを提供する。地域、あるいは全国的な組織の中でどこがこの資金をいま最も有効活用できるか、公民権アドバイザーや従業員と検討している」。

今回の寄付とは別に、Facebookは人種不平等と戦う組織に「ここ数年毎年」4000万ドル(約43億円)を拠出している。Anand Giridharadas(アナンド・ギリダラダス)氏のような批判家は「Facebookの金庫からの寄付は同社のビジネスモデルが抱える問題や、同社のサービスが誤情報を拡散するという問題を十分に解決できていないという事実をなかったことにはしない」と指摘する。

「ザッカーバーグ氏のお返しは、さほど大きな違いを生まないような取るに足りない寄付ではない。実際は、彼の有害なビジネスモデルに余裕や政治的資本を金で加えることで物事が一層悪化する」とギリダラダス氏は書いている。

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(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領の投稿にFacebookが行動を起こさない理由をザッカーバーグ氏が説明

5月29日午後遅くのFacebook(フェイスブック)の投稿でMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、ドナルド・トランプ大統領と繋がりのあるアカウントの米国市民に対する暴力を賛美するかのような投稿を、Facebookが説明も削除もしなかった理由を説明した。

「われわれはミネソタで起きた抗議運動を論じたその投稿を極めて慎重に観察し、当社のポリシーに違反しているかどうかを検討した」とZuckerberg氏は書いた。「暴力の扇動に関わるわれわれのポリシーは、国の実力行使に関する議論を認めているが、現在の状況は、その議論の潜在的限界を巡る重要な問題を提起するものだと私は考えている。

Facebookの立場は、Twitter(ツイッター)が最近下した決断とは著しい対照をなすものだ。Twitterは CEOJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の承認によって、28日夜にトランプ大統領のツイートを、同社の規則に反する暴力を賛美するツイートであることを示す「公的関心の通知」を利用して非表示にした。「公的関心の通知」は、トランプ氏の書いたテキストに代わって表示され、ユーザーが問題のツイートあ見るためには積極的にクリックする必要がある。

Facebookと同社CEOが、大統領とホワイトハウスに関わるアカウントが発信した誤情報かつ暴力を賛美する恐れのある発言の拡散に対して無干渉の立場をとったことは、批評家の激しい非難を浴びた。批判の中には 同社従業員が発信したものさえあった

「私は恐ろしく耐え難い状況に直面していると言わざるを得ない」とある従業員がFacebookの社内掲示板に書いたものがThe Vergeに引用された。「これは暴力の激化と選挙に向けて市民の不安を呼ぶきわめて高いリスクにつながるものであり、この試練に失敗すれば、歴史はわれわれに好意的な判断をくださないだろう」

Zuckerberg氏はFacebookの立場を擁護し、大統領の投稿に対して行動を起こすつもりはない、なぜなら「国民は政府が暴力を行使するつもりなのかを知る必要があるとわれわれは考えるからだ」と語った。

Facebook CEOの発言は、賛否分かれる議論に対する同社とTwitterの対応の著しい違いをいっそう際立たせた。Twitterは大統領の一連のツイートに「要事実確認」の警告を表示し、暴力ポリシーに違反したとして28日のツイートを警告ラベルで隠した。

「Twitterと異なり、われわれは暴力を賛美する投稿に警告を表示するポリシーを持たない、なぜならもし投稿が暴力を賛美しているなら、ニュース価値があろうが、政治家が発信したものであろうが削除されるべきだからだ」とZuckerberg氏は書いた。

Twitterは同社の決定について、「このツイートは、最終行の歴史的背景、暴力との結びつき、および同様の行動を引き起こすリスクに照らして、暴力の賛美に関するわれわれのポリシーに違反している」と声明で語った。

「われわれは触発された者が暴力行為を犯すのを防ぐために行動を起こしたが、ツイートをTwitter上に残したのは、公共的に重要な現在進行中の出来事との関係を踏まえ、市民がツイートを見られるようにすることは大切だからだ」とTwitterが声明で語った。

おそらくZuckerberg氏が指摘するように、国家による暴力を称賛する発言を認める上でどんな限界があるべきかについて、いずれFacebookは何らかの答えを出す機会があるだう。しかし現時点では、この対応は新たな疑問を生むばかりだ。

Zuckerberg氏の投稿の全文はこちら

画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インスタのARフィルターがますますダイナミックに、音楽に視覚的に応答するなどユニーク

Instagram(インスタグラム)の拡張現実フィルターで、いくつかの新しいトリックが使えるようになった。FacebookのSpark ARプラットフォームの最新アップデートのおかげだ。

Spark ARは、昨年のInstagramの非公開ベータから抜け出して以降、デベロッパーが利用できるARフィルターの機能に関して順調にアップデートを続けている。米国時間の5月27日、FacebookはInstagram上のプラットフォームにいくつかの新機能を追加した。これによってクリエイターは、より複雑なフィルターを作成して、ユーザーの気を引くことができる。作成可能となったフィルターとしては、音楽に視覚的に応答するものや、ユーザーのカメラロールにあるメディアにエフェクトをかけることを可能にするものがある。こうした新機能に加えて、FacebookはAR Stickerと呼ぶテンプレートも提供する。クリエイターがARフィルターを簡単にカスタマイズできるようにするものだ。

新しいAR Music機能を使うと、デベロッパーは音楽に反応するフィルターを作ることができる。音楽としては、直接アップロードされたものだけでなく、Instagramの音楽選択ツールによって選択したものや、バックグラウンドで再生されているオーディオも利用可能だ。これはInstagramにとって、かなり有効なものとなるはずだ。イコライザーのようなスタイルの視覚効果をフィルターに組み込んだり、音楽とARをまとめてストーリーに取り入れることをユーザーに促すからだ。

ギャラリー選択ツールをInstagramのフィルターに導入したことで、ユーザーは既存の写真やビデオを選択して、そこに新たにAR効果を加えることも可能となった。Media Libraryを使えば、古い写真やビデオを利用して、その上にフィルターをかけることができる。一方、Gallery Pickerでは、ギャラリーのメディアに合わせて視覚的フィルターを変形できる。これによって、さまざまなカスタマイズが可能となり、1種類のフィルターでも、ユーザーごとに異なった使い方ができるようになる。

これらが、実際にどのように機能するものかは、今回のアップデートを発表したInstagramのブログで確認してほしい。

Facebookは、同社のすべてのプラットフォームにわたって、拡張現実の未来について大風呂敷を広げてきた。しかしこの数年間は、Facebookアプリ内で、カメラを意味のある機能として利用することにさえ苦労してきた。その方面の開発の成果は、もっぱらInstagramに注がれてきた。ただしそれらは、アプリ内のカメラ機能と視覚フィルターの両方に強く依存したからこそ実現できたものだった。今回のアップデートは、以前にも見たことがあるような気がするものながら、ARフィルター効果の有用性に関する根本的な問題に、部分的にでも対処している。その問題とは、何度も使いたくなるほどダイナミックなものではなかったということ。オーディオに連動するエフェクトの導入と、カスタマイズ機能の向上により、ユーザーの創造力しだいで、何度でも新しい命を生み出すようなフィルターを開発できる可能性を、デベロッパーは手にしたと言えるだろう。

今見てきたSpark AR Studioのアップデートは、すでに利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フェイスブックはLibraのウォレットCalibraをNoviに改名し独立させようとしている

Facebook(フェイスブック)が、独自の暗号通貨プロジェクトであるLibraを発表した際、そこには2つの独立した要素が含まれていた。その1つはLibraアソシエーションで、Libraに関するすべてを監督する非営利団体だ。もう1つはCalibraで、こちらはLibraベースのウォレットを開発するフェイスブックの子会社となる。このウォレットは、WhatsAppやMessengerにも統合される。米国時間5月26日、フェイスブックはCalibraをNoviに改名すると発表した

CalibraをNoviブランドに変更することにより、フェイスブックはいわばLibraプロジェクトがフェイスブックのプロジェクトではないことを明白にしようとしている。フェイスブックは単なるLibraアソシエーションのメンバーであり、その点ではAndreessen Horowitz、Coinbase、Iliad、Lyft、Shopify、Spotify、Uberなど数十の他のメンバーと同じだ。

Libraのブロックチェーンはフェイスブックから独立して運営されることになるが、NoviはDavid Marcus(デイビッド・マーカス)氏が率いる、純然たるフェイスブックプロジェクトだ。同社によれば、Noviはラテン語で「新しい」を意味する「novus」と、「道」を意味する「via」に由来する合成語だという。

Novi最初の製品は暗号通貨ウォレットになるはずだ。独立したNoviというアプリをスマホにダウンロードできるようになるだろう。Noviのアカウントを作成するために、フェイスブックやWhatsAppのアカウントは必要ないが、MessengerとWhatsAppから直接アクセスすることも可能となる。その場合、ボタンをタップしてNoviメニューを表示し、Noviウォレット経由の送金や受け取りの操作ができるはずだ。

Noviではマネーロンダリングや本人確認規則についても、安心して利用できるものにしたいと考えている。Noviにサインアップする際には、公的な身分証明書の写真を撮影しなければならない。Noviでは、匿名による送金は受け付けない。

ただしNoviは、送金が即刻実行されることを保証し、国境を越える送金にも地元での支払いにも、「隠された手数料はない」ことを約束している。これはそもそも手数料が発生しないという意味なのか、発生する手数料を明確にするという意味なのか今のところは不明だ。

Libraアソシエーションは、最近になってホワイトペーパーを更新し、暗号通貨プロトコルに重大な変更を加えた。もはや同協会では、法定不換通貨と証券類のバスケットに紐付けられたグローバルなステーブルコインを開発しようとはしていない。

Libraが発行されると、複数のステーブルコインが流通することになる。それぞれ、USD(米ドル)、EUR(ユーロ)、GBP(英ポンド)、SGD(シンガポールドル)など、単一の法定不換通貨に裏打ちされたものだ。Noviのユーザーあるいは他のLibra対応ウォレットを利用するユーザーはLibraUSD、LibraEUR、LibraGBP、あるいはLibraSGDで送金したり、受け取ったりできるようになる。またNoviは法定不換通貨を暗号資産に変換したり、逆に暗号通貨を既存の法定不換通貨として現金化するための媒介としても機能する。

Noviは、Libraネットワークの稼働に合わせてウォレットをリリースする予定だ。当初はそのサービスにアクセスできる国は限られることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebook Messengerが機械学習で詐欺や偽の友達リクエストを撃退、未成年者を護る

米国時間5月21日、FacebookはFacebook Messengerの新しい機能を発表した。ユーザーを騙そうと狙っている連中を追い払う機能だ。機械学習を利用して、短時間に大量の友達申請リクエストを送っていたり、18歳未満のユーザーにたくさんのメッセージリクエストをしているアカウントを見つける。この機能は、Messengerの検索アルゴリズムの変更により、偽の友達申請が目立って増加している中で発表された。

怪しげな行為が見つかったら、チャットウィンドウがポップアップしてユーザーにその問題を通知し、ユーザーはブロックするか無視するかの選択肢を選べる。この機能は、一部のAndroidユーザーには3月ごろから提供されているが、iOSには来週中に実装される。

この機能の狙いは、詐欺行為となりすましの両方を減らすことだ。特に重視するのが、まだこのプラットホームに接続していない若いユーザーと大人の対話を制限することだ。Facebookの説明では「この新機能は、18歳未満のユーザーに、面識がないかもしれない大人と交流するときは注意するように諭し、メッセージに反応する前に行動を起こす権限を与える」という。

同社によると、この機能はエンドツーエンドの暗号化が導入されてからも有効だ。機械学習の導入以降になるが、その後も人間オペレーターによる怪しげなメッセージのチェックは続けられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが社員半数をリモートワークに、シリコンバレー外に複数の拠点開設へ

Facebookの創業者でCEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は新型コロナウイルス(COVID-19)危機が続く中で社員の生産性と安全性を両立させるため、シリコンバレー外の大都市に施設を建設することを計画している。タウンホール・ミーティングと呼ばれる社内向けビデオストリーミングで、同氏はプロジェクトの概要を明かした。

パンデミックにより社員の大部分が自宅からリモートで仕事をするようになったため、シリコンバレーはゴーストタウン化している。ハイテク大企業多数はシンボルとなってきたシリコンバレー本社の価値を見直しているところだ。

5月21日に同氏は、デンバー、ダラス、アトランタにFacebookの新しい拠点を設置すると述べた。またサンディエゴ、ポートランド、フィラデルフィア、ピッツバーグなど現在オフィスがある都市の周辺を対象にした新規採用に力を入れていくという。同氏は今後10年程度で米国カの社員の半数がフルタイムのリモートワークが可能になると考えている。

同氏はどのような職がリモートワークの対象となり得るかついても詳しく説明した。ハードウェア開発、データセンター運営、採用事業、利用約款策定、他企業との提携などの部門では、その場にいることが必要となるため、物理的なオフィスでの勤務が必要だろうという。

「大都市に住んでいる、あるいはそこに移住してもよいと考えている人々だけを採用の対象と考えていると、多様なコミュニティに属し多様な背景、多様な視点を持つ多くの人々を排除することになる」と同氏は述べた。

ただし、シリコンバレーの外により良い生活環境を探しているFacebook社員には注意すべき点がある。2021年1月1日からFacebookは社員すべての給与を地域化し、社員が住む地域の生活費にスライドさせる調整を行うという。

画像:Justin Sullivan / Staff / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookがインドの女性のために新しい安全機能をリリース、他者を簡単にロックアウト

Facebookはインド国内で新しい安全機能を導入した。これにより、ユーザーは自分のアカウントを簡単にロックすることができるため、プラットフォーム上で友達ではない人が投稿を見たり、プロフィール画像やカバー写真を拡大したりダウンロードしたりすることができなくなる。

同社によれば、この機能は特に女性を対象にしていて、Facebook体験をより細かく管理できるようにするものだという。「インドの人びと、特に女性たちがオンラインプロフィールの保護について懸念を抱いていることを、私たちは深く認識しています」と声明で述べたのは、Facebookインドの公共施策責任者のAnkhi Das(アンキ・ダス)氏だ。

同社によれば、プロファイルをロックするために、数回のタップを行うだけで、複数の既存のプライバシー設定といくつかの新しい対策が、ユーザーのFacebookプロファイルに適用されるという。ユーザーがアカウントをロックすると、友達(FBフレンド)ではないユーザーは、写真や投稿(過去のものも新しいものも)を表示できなくなり、プロフィール写真やカバー写真のズームイン、共有、ダウンロードができなくなる。

「私たちは若い女性たちから、オンラインで共有することをためらっていること、誰かが自分の情報を悪用しているという考えに怯えていることをよく耳にします。Facebookがそうした心配について学び、彼女たちが望む体験を与えることができる製品を構築する努力をしているのを知って、私はとても幸せです。この新しい安全機能は、女性、特に若い女性に対して、自分を自由に表現する機会を与えてくれるでしょう」と声明で語るのは、ニューデリーに拠点を置く女性擁護グループ、Centre for Social Research(社会調査センター)のRanjana(ランジャナ・クマリ)氏だ。

ユーザーは、自分の名前の下にある“…”をタップし、その中にあるLock Profile ボタンと、直後に表示される確認ボタンをタップすることで、アカウントをロックすることができる。

木曜日の発表に先立ち、この機能は既にバングラデシュのユーザーが利用できるようになっていた、とFacebookの広報担当者はTechCrunchに語った。

この新機能は、Facebookが2017年にインドで行った、なりすましとの闘いに対する取り組みの延長線上にあるようだ。そのとき導入されたProfile Picture Guard(プロフィールピクチャーガード)と呼ばれる機能は、ユーザーが自分のプロフィール写真を、友達や友達リストに含まれていない人が拡大したり、共有したりできないようにするものだった

原文へ]
(翻訳:sako)

事業者がFacebookページとInstagramプロフィールから通販が可能に、Shopifyなどとも連携可能に

5月19日から、事業者のFacebookページとInstagramのプロフィールから直接プロダクトをブラウズしたり、購入したりできるようになる。

Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)どちらもすでにeコマースをある程度サポートしている。例えば、FacebookはMarketplace(マーケットプレイス)を展開していて、暗号通貨Libra(リブラ)を通じてさらにあと押しすることは大いにあり得る。一方で、Instagramではユーザーが投稿や広告で取り上げられたプロダクトを購入できる。しかし今回の新たなツールはその上をいき、事業者がひととおりの機能がそろったFacebook Shopを立ち上げることができる。

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでは、これまで以上に消費者が地元のレストランや店の情報を調べるお気に入りのソースとしてFacebookとInstagramのプロフィールを活用することになった。もしお気に入りの店が営業時間を変えたり、オンラインデリバリーやカーブサイドピックアップにサービス提供方法を変更したら、その旨を店側はFacebookやInstagramに投稿する。だから、ページを訪れた人がFacebookやInstagramのアプリを離れることなく商品を購入できるようにしない手はない。

パンデミックによる経済停滞は、Facebookにページを持っていたり広告を出したりしていた多くの零細企業に打撃となり、倒産に至らせていることを心に留めておく必要もある。だからこそFacebookはできる限りの方法でそうした事業者が生き残れるようサポートしている。

5月19日のFacebook Liveセッションで、CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今回の取り組みを、新型コロナウイルスによって苦しんでいる事業者サポートするためのものと表現した。ただ「すべての経済ダメージを帳消しにする」ことにはならないと認めた。

ザッカーバーグ氏はまた、この機能の利便性はパンデミック後も失われないとも指摘した。「オンラインに頼る生活が今後も続き、事業もこれまで以上にオンラインで行われるようになると確信している」。

一方、Instagramのプロダクト担当副社長のVishal Shah(ヴィシャール・シャー)氏は「100万社近くの事業者がすでにサインアップしている大規模でグローバルの機能テストとなる」と筆者に語った。

サインアップしている事業者は無料でFacebook Shopを開くことができる。カタログをアップロードし、取り上げたいプロダクトを選び、それからカバー画像や色のアクセントでカスタマイズする。するとビジターは、プロダクトのブラウズや保存、購入ができる。

Facebookで広告担当副社長務めるDan Levy(ダン・レビー)氏は、購入ごとに「小額の手数料」を徴収するが、主には広告で収益を上げると話した。例えば、ショップは広告やストーリーズで特集されるようにすることもできる。

レビー氏はこれを「ビルド&レンダーのソリューション」と表現し、シャー氏は「ショップはFacebookあるいはInstagramいずれでもしっかり機能する」と付け加えた。消費者がどのようにショップを発見するかだけの違いであり「Facebook Marketplace経由なのか、Instagram上の写真にタグ付けされたプロダクトなのか」ということになる。

同社はまた、Instagram Shopという別のサービスを今夏にも立ち上げる計画だ。Instagram ShopではユーザーはInstagram Exploreから直接プロダクトをブラウズできる。ゆくゆくはアプリのメーンのナビゲーションタブから買い物機能に飛べるようになる。小売業者はFacebook Storeのライブビデオプロダクトで特集したりリンクをはったりでき、消費者はロイヤルティ・プログラムをFacebookアカウントにつなげたりできるようになる。

Facebookは今回の発表で、Shopify、BigCommerce、Woo、Channel Advisor、CedCommerce、Cafe24、Tienda Nube、そしてFeedonomicsと提携することも明らかにされた。

小売業者はFacebook ShopやShopに紐づいている広告の管理でこれらサードパーティのプラットフォームを使うことができる。例えば「Shopifyの小売業者がプロダクトや在庫、注文、配送をShopifyから直接管理しつつ、Facebook Shopsを使ってFacebookとInstagramの中で店のカスタマイズや販売をコントロールできるようになる」とShopifyは説明した。

画像クレジット: Facebook

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(翻訳:Mizoguchi

AI vs ウソと差別的発言、コロナ禍のいまFacebookが抱える大問題とは

FacebookのAIツールは、いまFacebookで吹き荒れている差別的発言や偽情報とユーザーの間に立つモデレーターの役割を一手に引き受けている。同社の研究者は、ミームを装った新型コロナウイルス感染症関連の偽情報や差別発言を特定することで、こうした発言に対する水際対策を講じるための機能をいくつか考え出した。

今は新型コロナウイルス関連の偽情報を検出して排除することが優先事項であることは間違いない。Facebookやその他のソーシャルメディアは、通常の憶測や議論だけでなく、組織的に不和の種をまいたりエセ科学を広めたりするなどの、悪意ある妨害の温床となっているからだ。

「新型コロナウイルス感染症の影響で、サイト全体でユーザーの行動が大きく変わってきている。我々が危険だと感じる偽情報が急増している」とFacebookのMike Schroepfer(マイク・シュローファー)CTOは報道陣の取材に答えた。

Facebookは世界中で数十社のファクトチェック団体と契約している。そうした団体との協力体制がどの程度の効果を上げているのかという疑問はさておき、偽情報はすぐに変異していく傾向があるため、1つの画像やリンクを削除するだけでも複雑な仕事になる。

一例として、次の1つの画像を見てほしい。

これらの画像は、背景、色、書体が同じであることからほぼ同一であるともいえる。だが、2枚目の画像は少し異なっている。オリジナルではなく、誰かがオリジナル画像のスクリーンショットを撮ったものだ。3枚目の画像もほぼ同じだが、文が逆の意味になっている。

あまり洗練されていない画像認識アルゴリズムでは、これらの画像はわずかに異なる部分があるために(生成されるハッシュ値がまったく異なるため)まったく別の画像として認識されるか、圧倒的に類似点が多いためすべて同じ画像として認識されるかのどちらかである。もちろん、人間が見ればすぐに違いが分かるが、この違いを確実に識別できるようにアルゴリズムをトレーニングするのはかなり難しい。それにFacebookでは情報がまたたく間に拡散するため、上記のような同じような画像が数千も存在する状態になることがある。

「我々の目的は、人が見れば同じ画像とみなされるこうした類似画像を同じ画像として検出することだ」とシュローファー氏はいう。「これまでのAIシステムは非常に精度が高かったが、その分、わずかな違いに対して非常に弱い。数ピクセル変更しただけで、別画像と認識してしまい、削除対象から除外されてしまう。そこで我々はこの2年半で、ニューラルネットワークベースの類似性検出システムを構築した。これにより、より広範囲にわたって、こうしたわずかに異なる画像を高精度で特定できるようになった」。

幸いにも、そうした規模での画像解析はFacebookの得意とするところだ。写真を比較して顔やあまり望ましくないものの特徴を検索するためのアルゴリズム基盤はすでに整っている。あとは何を探すのかを教えるだけだ。そうして数年の努力の結果完成したのが「SimSearchNet」だ。SimSearchNetは、最も目立つ(ただし人の目ではまったく気づかないような)特徴を詳しく調べることによって、ある画像に非常によく似た画像を検索および解析するシステムだ。

現在、InstagramとFacebookにアップロードされる1日あたり数十億にのぼる画像はすべて残らずSimSearchNetによって調査されている。

Facebook MarketplaceもSimSearchNetの監視の対象だ。このマーケットプレイスでは、アップロード画像に関するルールをすり抜けようとする人たちが、同じ出品アイテムについて、ほぼ同一だが少しだけ編集した画像(例えばN95マスクの画像など)をアップロードして、削除を免れるようにしている。SimSearchNetでは、色やその他の方法で編集された写真の類似性がチェックされ、(削除対象となっている写真と同一と判定されれば)出品が中止される。

差別的ミームと意味があいまいなスカンク

Facebookが対応に苦慮しているもう1つの問題がヘイトスピーチ、およびそれに準ずる不快表現だ。とりわけAIによる検出が特に難しいことが分かっている領域としてミームがある。

問題は、こうした投稿は画像とテキストの相互作用によって初めて意味を成すことが多いという点だ。テキストだけではまったく問題なかったり意味があいまいだったりしても、画像と組み合わせることで意味が明確になる。それだけではない。画像やフレーズにはそれこそ無限のバリエーションがあり、それによって意味が微妙に変わる(あるいは変わらない)ことがある。次の例をご覧いただきたい。

Facebook上のミーム

これらは悪意のあるミームだがトーンダウンされている。Facebookでよく見かける本当に差別的なミームはこんなものではない

パズルを構成する個々の画像は、コンテキストによって問題ないこともあれば、侮辱的にもなる。こうした善悪を機械学習システムでどのように判別すればよいだろうか?こうした「複合型ヘイトスピーチ」は、AIの動作の仕組みという観点からすると大きな問題となる。既存のAIシステムは言葉を理解し、画像を判別できるが、両者の相互作用によってもたらされる結果を特定するのは簡単ではない。

Facebookの研究者たちによると、このようなテキストと画像の相互作用というテーマに関する研究は驚くほど少ないという。その意味でFacebookの研究は解決策というより探査ミッションのようなものだ。この研究によりFacebookがたどり着いたテクニックは数段階の手順から成る。まず、人に膨大な数のミーム型画像も見てもらい差別的発言かどうかを示す注釈を付けてもらう。次に、このデータに基づいて機械学習システムをトレーニングして、既存のシステムとは決定的に異なるシステムを構築した。

こうした画像分析アルゴリズムはほとんどの場合、テキストと画像を同時に提示すると、まずはテキスト、次に画像という具合に別々に分類してから、両者の関連付けを行う。しかし、その方法には上述のような脆弱さがある。つまり、差別的ミームのテキストと画像を、コンテキストを考えずに別々に見ると、まったく無害なコンテンツであると判別される可能性がある。

Facebookのシステムはテキストと画像の情報をパイプラインの最初の段階で組み合わせて(これを「早期融合」と呼ぶ)、従来の「遅延融合」アプローチとの違いを生み出す。この方法は人の処理方法に近い。つまり、メディアを構成するすべての要素を見てからその意味やトーンを評価するというやり方だ。

この新しいアルゴリズムは現時点ではまだ本格的導入されてはいない。全体的な精度は65~70%程度だ。だがシュローファー氏によると、有効性の評価には「本当に判別の難しい問題」を使っているという。複合型ヘイトスピーチは簡単に判別できるものもあれば、人でも判別が難しいものもある。

システムのミーム判別能力をさらに高めるため、Facebookでは、今年後半に開催されるNeurIPS AIコンファレンスで「差別的ミームチャレンジ」と題するコンテストを実施する予定だ。コンテストは普通、機械学習システムにとって難しいタスクが課題として使われる。そのような新しい問題は研究者たちの大好物だからだ。

FacebookのポリシーにおいてAIが果たす役割の変化

Facebookは、新型コロナウイルス大流行の初期に、AIのモデレーターとしての役割を拡充強化していく計画を発表した。マーク・ザッカーバーグ氏は3月、記者会見で、「1万5000人のモデレーター契約社員が自宅で有給休暇を取っている状態を考えると、『偽陽性』(誤って削除対象にしてしまうコンテンツ)の件数が増えると思われる」と語った。

YouTubeTwitterも同時期にコンテンツのモデレーション作業のAI移行を強化したが、AIによるモデレーションへの依存度が大きくなると、ルールに違反していないコンテンツが誤って削除対象となる可能性があることを警告している。

FacebookはAI化を進める一方で、人間のレビューアの通常出勤を促すことに必死である。ザッカーバーグ氏は4月半ば、社員の通常出勤への復帰スケジュールを明示し、コンテンツレビュアーは通常勤務への早期復帰が最も望まれる「重要職」であると述べた。

FacebookはAIシステムによるコンテンツの削除は行き過ぎる可能性もあると警告しているが、新型コロナウイルス危機の拡大にともない、ヘイトスピーチ、悪質な脅し、偽情報などもサイトで拡散を続けている。Facebookは最近、マスクをしないようにとか、ワクチンが入手可能になっても買い求めないように促す、健康に関する偽情報ルールに明らかに違反した口コミ動画を広めたとして非難されている。

この動画は「Plandemic」という公開予定の偽情報ドキュメンタリーから抜粋され、最初はYouTubeで拡散したものだが、研究者たちはFacebookで活発に活動している陰謀論支持者グループが広くこの動画を共有した結果、ネット上で広く議論される主要な話題となったと見ている。陰謀説がちりばめられた26分間のこの動画は、アルゴリズムで解釈するのが難しいコンテンツの典型例でもある。

またFacebookは火曜、テロリズム、ハラスメント、ヘイトスピーチといったカテゴリ全体にわたるモデレーション作業の詳細を記述したコミュニティ規定違反対応レポートを発表した。今回のレポートにはパンデミックが発生してから1か月分の結果しか含まれていないが、AIによるモデレーションへの移行が進めば、次回は、その成果がより反映されたものとなるだろう。

Facebookのモデレーション作業に関する質問に対し、ザッカーバーグ氏は「パンデミックによって人によるレビューが大変難しくなった。ユーザーのプライバシー保護および社員の精神衛生の保護に関する懸念から、レビューアの在宅勤務は課題が多いが、それでも現在その方向に確実に進めている」と述べた。FacebookはTechCrunchの取材に対し、常勤コンテンツレビュアーの出社勤務については、ごく一部の希望者にのみ許可していると回答した。コンテンツ管理担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏によると、大部分の契約コンテンツレビュアーは在宅勤務が可能となったという。「モデレーション作業では今後も人間の能力が重要な役割を果たすだろう」とローゼン氏は語った。

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Category:AI・人工知能

Tag:Facebook 機械学習 画像認識

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Dragonfly)

フェイスブック、YouTube上で使える体が不自由な人のためのTobiiの視標追跡アプリ

今日までのアプリやサービスには標準のアクセシビリティがなく、通常のスマートフォンやマウス、キーボードなどを使えない人たちのための良質な代替手段がないことが多い。視標追跡(eye-tracking)技術のリーダーであるTobiiは、一連の人気アプリを視線でコントロールできる方法を発明した。

アクセシビリティの専門家であるサードパーティのデベロッパーと協力して同社がこれまでに作り上げたアプリはFacebook(フェイスブック)、FB Messenger、WhatsApp、Instagram、Google(グーグル)、Google Calendar、Google Translate、Netflix(ネットフリックス)、Spotify、YouTube、MSN、そしてAndroid Messagesだ。

これらのカスタムアプリは、Tobiiの視標追跡タブレットであるI-Series、またはTobiiのハードウェアとソフトウェアを使用するWindows PC用だ。

しかしこれまでのユーザーは、これらのサービスのための一般的なウェブインターフェイスを使うか、ネイティブアプリになんらかのレイヤーを追加する必要があった。しかしボタンやメニューなどは視標追跡向けに設計されておらず、小さすぎて操作しづらかったりことも多かった。

ニューバージョンもウェブアプリがベースだが、視標追跡を念頭に置いて設計されているため、大きくわかりやすいコントロールが用意されており、アプリの通常のインターフェイスが右側にある。シンプルな方向を示すコントロールはもちろん、コンテキストやアプリ固有の指定ができるコントロールもある。例えばネットフリックスを閲覧するときは「ジャンル」を使うことができる。

同社は上記写真に写っている1人のユーザーであるDelaina Parrish(デライナ・パリッシュ )に紹介している。彼女はInstagramなどアプリを使ってFearless Independence(怖くない自立)というブランドを立ち上げているが、脳性小児麻痺のため十分にアプリを使いこなせないことがある。彼女はTobiiのプレスリリースで「これらのアプリにアクセスできるようになり、毎日の生産性とコミュニケーションのチャネルが、プライベートと仕事の両方で改善され、多くのことを自分でできるようになりました」と語っている。

障碍者が使える「十分に良い」ツールやインターフェイスと、アクセシビリティを最初から目標として作られたものとの違いを課題評価することは難しい。新しいアプリは、互換性のあるデバイスなら今すぐ利用できる。

画像クレジット: Tobii

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

パンデミック中の買収でフェイスブックが再び独禁法調査の標的に

多くの業界が身動きをとれず損失に動揺するなか、テック業界のビッグプレイヤーたちは、ここでもルールの外にいることを証明しつつある。米国時間5月15日、Facebook(フェイスブック)はGIPHY(ジフィー)を買収する計画を発表した。人気GIF検索エンジンの価値は4億ドル(約430億円)といわれている。

フェイスブックは、GIPHYとは新たな開発およびコンテンツで関係を結びたいといっているが、世界最大のソーシャルネットワークが人気のGIFプラットフォームを欲しがる本当の理由は別にあるかもしれない。Bloomberg(ブルームバーグ)などの報道によると、フェイスブックの真の狙いはGIPHYを競合プラットフォームのユーザー動向を見るメガネとして使うことだという。GIPHYのGIF検索ツールは現在いくつかのメッセージングプラットフォームに組み込まれていて、その中にはTikTok、Twitter、Apple(アップル)のiMessageもある。

2018年にフェイスブックが、Onavoというモバイルアプリの使用を巡って窮地に立たされたことはよく知られている。このアプリはフェイスブック以外のアプリの利用状況を覗き見するもので、アップルのデータ収集に関するポリシーに違反した。その問題が修正された後も、フェイスブックはライバルの動向を見ることに執着するあまり、未成年を含むユーザーに報酬を渡し、ユーザーのモバイル行動をすべて見ることのできるアプリをインストールさせたことをTechCrunchは2019年に暴露した。

議員や規制当局にとって、GIPHYの買収は2種類の警鐘を鳴らす案件だ。1つはテック業界における反トラストに関わるの不正行為の新たな証拠として、もう1つはこの買収が消費者のプライバシー侵害となる可能性だ。

「司法省や連邦取引委員会はこの買収提案を精査すべきだ」とミネソタ州のAmy Kobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員がTechCrunch宛の声明で語った。「フェイスブックのライバルも含め多くの企業がGIPHYの共有コンテンツライブラリーなどのサービスに依存している。そのためこの買収提案に関して私は大変懸念している」。

2020年4月に提案された法案でElizapeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員(民主党・マサチューセッツ州)とAlexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ・コルテス)下院議員は、 大型買収の凍結を求め、巨大企業はパンデミックに乗じて中小会社を買い叩くことで権力基盤を固めようとしているのではないか、と警告した。

ウォーレン上院議員の広報担当者は声明で、フェイスブックのニュースを「巨大企業がパンデミックを利用して権力基盤をさらに広げようとしている」と指摘し、同社の「プライバシー違反の歴史」に言及した。

「ウォーレン上院議員によるパンデミック期間中の大型買収の一時休止計画は必要であり、巨大テック企業を分割する執行者が必要だ」と広報担当者は語っている。

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フェイスブックのこの最新の動きは、UberがGrubhubの買収を計画していることをWall Street Journalが暴露した数日後だった。GrubhubはフードデリバリーでUber Eatsと直接競合する会社だ。

そのニュースは、巨大テック企業の分解を目論んでいた規制賛成派議員たちも驚かせた。下院の反トラスト小委員会委員長を務めるDavid Cicilline(デビッド・シシリーニ)下院議員(民主党・ロードアイランド州)は、この買収を「パンデミック不当利益の最悪事例」と評した。

「本件は買収停止令の緊急度を改めて強調するものである。これは私が同僚議員とともに党によるサポートを強く要請してきたことだ」とシシリーニ氏がGrubhubに関する声明で語った。

パンデミック初期の日々には、テック大企業の反トラスト対する注目はやや薄らいでいたかもしれないが、政府も国民も新型コロナウイルス危機の中でリズムを取り戻すと、それも長くは続かなかった。5月15日のWall Street Journalは、司法省と何人かの州検事がGoogle(グーグル)に対する反トラスト訴訟を準備中で、夏頃には実行する予定だと報じた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがGIFアニメのGIPHYを430億円相当で買収

Axiosによると、Facebook(フェイスブック)は米国時間5月15日に、ウェブ上のアニメGIFの検索エンジンでプラットフォームプロバイダーであるGIPHYを約4億ドル(約428億円)で買収することを確認した。その具体的な条件は公表されていない。GIPHYは現在、共有可能でエンゲージメントの高いコンテンツの中心的な発信源に成長しており、そのアニメーション化されたGIFは、フェイスブックのプラットフォームだけでなくウェブ上のその他のソーシャルアプリやサービスで幅広く利用されている。

特にGIPHYはInstagramに検索機能とステッカー機能を提供しており、今後もその機能を維持していずれはInstagramのチームの一部になるものと思われる。そしてGIPHYは既に行われた統合と今後の統合により、フェイスブックのその他のアプリでも利用できるようになるだろう。人びとは引き続き自分のGIFをアップロードすることが可能で、フェイスブックはGIPHYを自社ブランドで運営し、外部のデベロッパーもGIPHYを利用できるようにするだろう。

フェイスブックによると、同社はGIPHYの技術開発にも追加投資し、コンテンツとエンドポイント開発者レベルの両方で新たな関係を構築していくという。また、GIPHYが受信するトラフィックの50%はInstagram、Messenger、フェイスブック本体、WhatsAppなどフェイスブックのアプリからのものとのことだ。

GIPHYは2013年に創業され、最初は単なるGIFの検索エンジンだった。このウェブサイトの最初の重要な拡張がフェイスブック経由の共有を可能にする機能で、この機能は同社の創業年の後半に導入された。そしてその後すぐに第2の統合としてTwitterでも共有が可能になった。Crunchbaseの最新データによると、GIPHYはこれまでに5回のラウンドで1億5090万ドル(約162億円)を調達している。投資家はDFJ Growth、Lightspeed、Betaworks、GV、Lerer Hippeauなどだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa