オンデマンド配達のDoorDashが2000品目を扱うデジタルコンビニを米国8都市で立ち上げ

オンデマンド配達スタートアップであるDoorDash (ドアダッシュ)が、家庭用品アイテムや、コンビニエンスストアで目にするような種類の商品を扱うデジタル店舗を開いた(DoorDashブログ投稿)。品揃えはポテトチップス、アイスクリーム、スパイス、地元レストランの包装食品などだ。DashMartという名称のコンビニは米国の8都市で展開されていて、今後数カ月内にさらにいくつかの都市でも立ち上げる。

約2000品目に対応するマイクロフルフィルメントセンターがあり、そこでは従業員が注文を受けて商品を梱包する。そしてDashersと呼ばれる配達員が注文の品を回収しに来て、顧客に届ける。

バーチャル店舗開設は、DoorDashが新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック中に顧客のニーズにこれまで以上に応えようと全米1800店超のコンビニと提携したことを受けた動きだ。

一方でDoorDashは、特にいま世界的な健康危機の最中にあって労働慣行について厳しい調査を受けている。サンフランシスコ地方検事のChesa Boudin(チェサ・ブーダン)氏は、「法に反して従業員を独立請負業者と分別している」とDoorDashを起訴した。訴えの中でブーダン氏は、DoorDashが労働者を誤分類し、そうすることで不平等な労働行為を行ってきたと主張している。

当時のTechCrunchへの声明(未訳記事)の中で、DoorDashはパンデミックの間、労働者に安全備品や遠隔診療などを提供することで労働者をサポートしてきた、と述べた。同社はまた、長い間労働者を独立請負業者と分類し続けてきた。

DoorDashやUber(ウーバー)、Lyft(リフト)、Instacart(インスタカート)が支持するProp 22は今年11月に採決されるが、これはドライバーや配達員を新しい州法の対象外とすることを目的としている。新州法ではドライバーや配達員はW-2従業員と分類している。

ただ、Partnership for Working Familiesによるレポートは、Prop 22への賛成は「経済の成長部門で永久的な下層階級をつくることになる」と主張している。

画像クレジット: Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

IPOを延期した米フードデリバリー大手のDoorDash、シリーズHで約430億円の資金調達を認める

DoorDash(ドアダッシュ)はシリーズHの資金調達ラウンドで、約4億ドル(約430億円)を調達したことを認めた。

米国時間6月18日、資金調達後のDoorDashの評価額が160億ドル(約1兆7000億円)で、約4億ドルのラウンドを予定している(Axios記事)と報じた。DoorDashはTechCrunchに対して、評価額が160億ドルをわずかに下回っていることを明らかにした。今回のラウンドは予想されていたが、取引の最終的な評価額は以前の報道から10億ドル(約1100億円)高くなった。

米国の人気フードデリバリー企業であるDoorDashは、2019年後半に130億ドル(約1兆4000億円)近くの評価額をつけた巨大なシリーズGを含め、これまで積極的に資金調達を進めてきた。同社によると、「T. Rowe Price Associatesの助言による投資家やファンド、アカウント」として説明されている新たな投資家であるDurable Capital PartnersとFidelityが、今回のラウンドを主導した。

DoorDashが個人投資家からさらに資金を調達したことは、2020年においては思いがけない動きだ。同社は今年に入って株式公開を非公開で申請(未訳記事)していたが、計画は新型コロナウイルス(COVID-19)と、それに続く経済不安のために延期された。DoorDashは資本不足というわけではないが、個人投資家からIPO規模の資金を調達することはブランドだけではなく、同社の事業の性質上不可欠だ。

国内のフードデリバリー大手となるDoorDashは、UberのUber Eats、Postmatesのデリバリーサービス、Grubhub-Just Eat Takeawayのハイブリッドサービスと争っている。このような競争の激しい市場は、高い資本要件が要求される。

DoorDashが実際に資金を調達する必要があったのか、また上場を延期する必要があったのかははっきりしない。Vroomのような他の企業は、コアビジネスの収益性が低いようにみえたにもかかわらず、株式公開に踏み切った。もしかすると、DoorDashも近々株式を公開するかもしれない。しかし、新しい資金を使って株式公開を延期した場合、市場はDoorDashをどのように評価するだろうか?

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Uberが新型コロナ禍でさらに3000人解雇、一部オフィスも閉鎖

Uber(ウーバー)は従業員3000人を追加で解雇する。Wall Street Journalが最初に報じている。Uberは45カ所のオフィスを閉鎖し、貨物や自動運転車テクノロジーといった分野の取り組みも見直す。

「難しい決断をしなければならないことはわかっていた。公開会社だからではなく、あるいは株価を守ったり、役員会や株主を喜ばせたりするためではない」とUberのCEO Dara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は5月18日に従業員に送ったメモの中で述べている。TechCrunchはメモの内容を確認した。「世界中の都市にとって必要不可欠なサービスであるという我々の将来のために、何百万という人々や事業者が我々を頼っているという事実のために決断した。成長、拡大、イノベーションを続けるのに新たな資金や投資家に頼ることが今後はないよう、自立性を確立しなければならない」。

米証券取引委員会に提出された書類によると、レイオフの一環として同社は退職給付金やその他の福利給付で1億4500万ドル(約156億円)を従業員に支払い、オフィス閉鎖では最大8000万ドル(約86億円)がかかる見込みだ。

今回のレイオフの数週間前には、Uberはコスト10億ドル(約1074億円)を節約するために従業員3700人を解雇した。新型コロナウイルス( COVID-19)パンデミックの影響で、同社はこれまでに従業員のおおよそ25%を解雇した。

新型コロナで乗車事業はかなりの打撃を受けている。同社によると、具体的には乗車は80%減った。しかしフードデリバリーは絶好調だ。2020年第1四半期のプラットフォーム利用総額は46億8000万ドル(約5024億円)で、2019年同期比52%増と大きく成長した。

「Eatsの成長は加速しているが、社の経費をカバーできるほどではないことをはっきり伝えておきたい」とコスロシャヒ氏はメモの中に書いている。「Rides事業でそうだったように、我々が取っている行動はEatsの収益化につながると信じている。しかし一晩では無理だ」。

一方、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)とBloomberg(ブルームバーグ)によると、Uberはフードデリバリー事業UberEatsを増強するためにGrubHub買収を交渉中だ。WSJの報道では、Uberが2020年初めに買収の話を持ちかけたが、協議はまだ続いているとされている。Bloombergは買収交渉は2020年5月にもまとまる、と報じている。だが、コスロシャヒ氏はメモでは買収については触れなかった。

主要なサービスを整理するという取り組みの中で、Uberは立ち上げて1年も経たないIncubatorを閉じる。またAI Labsもなくし、シフト業務の労働者をマッチングするために2019年10月に立ち上げたサービスUber Worksの代替も探す。

今回の解雇ではドライバーは影響を受けない。ドライバーは現在、従業員ではなく独立請負業者として分類されている。それでも多くのドライバーが新型コロナ禍の中、手厚い保護と社会保障を求めて声を上げ続けている。先週ドライバーたちは、Uberに対し州の失業者保険基金に拠出するよう抗議活動を行った。ドライバーたちはまた、ギグワーカーを独立請負業者として今後も分類することができるようUberがLyftやDoorDashと共に提案した投票の取り組みを断念することも求めている。

画像クレジット: David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

ソフトバンクは大赤字のポートフォリオ企業間の衝突に介入していた

ソフトバンクは、ポートフォリオ企業同志が競争して莫大な赤字を積み上げる現状にとうとう業を煮やし、合併の可能性を探ることも含めて密かに介入をしていた。

ともあれ、米国時間1月30日のFinancial Timesの記事によれば、同社は昨年、UberとDoorDashの合併を取りまとめるようと努力していたという。このときは合併交渉はまとまらなかった。両社ともソフトバンク(ソフトバンク・ビジョン・ファンド1号)から多額の投資を受けており、料理の宅配事業で激しく競い合っている。

Uber Eats2019年第3四半期期の純収入3億9200万ドル(約427億円)に対して、同期の調整済み赤字は3億1600万ドル(約344億円)にも上っている。この赤字の大海に比べるとDoorDashが予測している2019年の通年の赤字である4億5000万ドルでさえ穏当な額に見える。両社が合併すれば赤字幅が圧縮できることは間違いない。株式上場維持路線であろうと非公開化して現在の会社評価額を維持する路線であろうと、現在よりはるかに強い立場で臨めるだろう。

Uberが株式公開後、株価維持に苦しんできたことはよく知られている。現在の株価は公開直後の高値に比べて半額だ。DoorDashも人気を集めたものの最近大型資金調達に成功していない。がっぷり四つに組んだまま競争を続けているこの2社が合併することにはメリットがある。両社が同一の大株主を持っていることを考えればなおさらだ。

カオス状態は他にも

UberとDoorDashはSoftBankのVision Fundからのキャッシュを元手に互いにレンガを投げつけてあっている唯一の例ではない。本日のWall Street Journalの報道によれば、ラテンアメリカではいずれもソフトバンクが大株主である企業間の競争が激化しているという。

ラテンアメリカでUberはライバルのRappiや中国の滴滴出行(Didi Chuxing)などの挑戦を受け激しい値下げ競争に巻き込まれている。しかしここに奇妙な現象がある。この競争者グループの最大株主はいずれも同一の会社、日本のソフトバンクグループなのだ。ソフトバンクはトータルで200億ドル(約2兆1800億円)をこれら3社に投じている。

ユニコーン(評価額10億ドルのスタートアップ)が次々に生まれる前の時代には「1つのベンチャーキャピタルは競争関係になり得る複数のスタートアップに投資してはならない」という金言があった。1つの会社に投資して、同じく自分が投資している別の会社を叩くのを助けるのは道理に合わない。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資はこのルールを無視した結果、南北アメリカ大陸でベンチャー投資の大失敗の見本のような状態に陥った。ちなみに、米国で有名なベンチャーキャピタルであるSequoia CapitalもUberと滴滴出行の双方に投資しているのだが。

これがソフトバンクがDoorDashがUberに統合される可能性を探った背景だ。実現すればすくなくとも頭痛のタネが1つ減るわけだ。しかし次に同社はUberと滴滴出行がライドシェアリングという本業でバッティングする現状をどうにかさばかねばならない。またラテンアメリカでUber EatsとRappiが繰り広げている破壊的競争を止めさせる方策を考える必要がある。

ライドシェアリングと料理宅配の各社をすべて合併させ単一の巨大企業とするのがソフトバンクの立場からの理想だろう。もちろんこんな合併はどこの国だろうと反トラスト法による規制にひっかかかる。それでも赤字と収入を一箇所にまとめれば財務書類を大幅にわかりやすくする効果はあるだろう。

画像:Tomohiro Ohsumi (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

複数レストラン共用のデリバリー専用キッチンをDoorDashがベイエリアにオープン

フードデリバリー大手のDoorDashが、初めての共用業務用キッチンを、米国カリフォルニア州・レッドウッドシティーにオープンし、アサートン、メンロパーク、パロアルトなど、ペニンシュラ(先端にサンフランシスコがある半島)のあちこちの町の顧客にデリバリーとピックアップ(持ち帰り)の新しいオプションを提供する。

これは大きなトレンドの一部であり、Deliverooのようなデリバリーのスタートアップが共用キッチンをオープンすると、そのパートナーのレストランたちは新規開店のための巨費を投ずることなく、デリバリー(出前)の範囲を拡大できる

DoorDashによると、この最初のキッチンを利用するレストランは、Nation’s Giant Hamburgers、Rooster & Rice、Humphry Slocombe、そしてThe Halal Guysだ。

キッチンはパートナーのレストランとの共同設計だ。同社によると、これだけ多様なレストランが1カ所にあると、顧客はユニークなメニューや組み合わせを注文できる。Rooster & Riceにタイ風チキンライスを頼んで同時にHumphry Slocombeのアイスクリームを数パイント(1パイントは約500cc)頼んでもいい。

Rooster & RiceのCFOであるMin Park(ミン・パーク)氏が声明でこう述べている。「うちはルーツがベイエリアだから、食べ物の配達や共有をテクノロジーがどう変えていくかについて、常に関心があった。その意味で、DoorDashが提供するパートナーシップとそのリーチの大きさには感心している。今度レッドウッドシティにオープンするデリバリー専用のキッチンはとても魅力的であり、新しい市場における需要をテストし、新たな顧客と地域に迅速に到達できることはすばらしい」。

ローンチ記念にDoorDashは、年内にはキッチンを利用するパートナーのレストランに、デリバリー料金をいっさい請求しない。

関連記事:DoorDash, now valued at $12.6B, shoots for the moon(ソフトバンクが巨費を投資したDoorDashが早くもシリーズGへ、未訳)

画像クレジット:DoorDash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フードデリバリーのDoorDashが490万人の個人情報流出を確認

DoorDash が先ごろ報じられた個人情報流出を確認した。

フードデリバリーの有力企業は木曜日の公式ブログで顧客、従業員、登録先、合計490万件の個人情報がハッカーに窃取されていたと発表した。同社によればハッキングが起きたのは今年の5月4日で、2018年4月日以降のユーザーにには被害はなかったという。

DoorDashがデータを盗まれたことに気づくのに5カ月もかかった理由は明らかではない。

DoorDashの広報担当であるMattie Magdovit(マッティ・マグドヴィッド)氏は「実際にハッキングされたのはサードパーティーのプロバイダーだったため」と発見の遅れを説明している。このプロバイダーの実名は明かされていないが同氏は、「我々はただちに対策チームを組織し、外部のセキュリティー専門家に詳細の調査を依頼した」としている。

2018年4月4日ないしそれ以前にこのプラットフォームに参加したユーザーは、氏名、メールアドレス、配達先住所、注文履歴、電話番号などが盗まれた。パスワードも流出したがハッシュ化され、ソルトを付加されていたという。

DoorDashによれば、盗まれたカード情報は番号の下4桁の数字だった。幸いカード番号全体、セキュリティーコード(CVV)は安全だった。配達従業員と登録マーチャントは銀行口座番号の下桁を盗まれた。

また約10万人の配達従業員の運転免許情報も流出したという。

ちょうど1年前のいまごろ、DoorDashの顧客多数がアカウント情報がハッキングされたと苦情を申し立てた。当時DoorDashは自社システムが侵入されたことを否定し、カード情報の悪用はクレデンシャルスタッフィングによるものだと主張した。これは一種の総当り法で、ハッカーは他のサイトから流出したパスワードとユーザーのリストを利用し、別のサイトで同じユーザーが同じパスワードを利用しているかどうか試してみるなどの方法による攻撃だ。しかしTechchCrunchが取材した多くのユーザーはパスワードの使いまわしを否定し、「DoorDashのみのパスワードだった」と主張していた。

当時、我々の取材に対し、DoorDashはアカウントがどのような方法で攻撃を受けたのか説明できなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フードデリバリーのDoorDashが「チップ未払金問題は存在しない」と主張

オンデマンドフードデリバリーのDoorDash(ドアダッシュ)が先月、チップの配分方法を変更すると発表したのは間違いなく正しい一歩だった。しかし、一部の労働者はそれだけでは不十分だと主張している。公正な賃金に加えて、彼らは過去のチップの未払金返還も求めている。

DoorDashの発表を受けて、労働団体のWorking Washingtonは重要な質問が残っていると述べた。「2017年以降に会社が不当に受け取った顧客からのチップを、会社は労働者に返還するのか?」。

「過去のチップの未払金問題というものは存在しない。すべてのチップが配達員に支払われてきたし、これからもそうするからだ」。TechCrunchが、DoorDashは過去の未払金を配達員に返還するのかと質問すると、DoorDashの広報担当者は電子メールでそのように答えた。

今年初め、Instacartは従来のチップ配分方法を変更した。Instacartがショッパー(スーパーなどで買い物を代行して対価を得る人)に支払う最低額にチップが含まれていた場合、過去に遡ってショッパーに補償した。一方、DoorDashは、過去のチップの未払金について返還の必要性を認めていない。

「当社がウェブサイトおよびアプリで説明したとおり、配達員が支払いを受けたことを独立した第三者調査機関が確認した。配達員はDoorDashから最低基本賃金と顧客が払うチップの100%を受け取り、それでもなおDoorDashが保証する最低金額に届かない場合は追加の支払いを受け取っている」と広報担当者は答えた。「従来、顧客がチップをほとんどまたはまったく払わない場合、DoorDashが賃金を通じて補填していた。補填は配達員を支援する意図だったが、意図しない結果を招いた。顧客によっては、チップを払おうが払うまいが配達員の収入が変わらないなら、チップを払っても意味がないと感じたようだ。新しい方法では、顧客が払うチップはすべて追加の収入として配達員のポケットに入る」。

さらにDoorDashは、平均すれば、基本賃金と賞与によって配達員が受け取る金額は増えると言う。理想的には、配達員の収入はチップを含めた金額でも増える。

「新しい方法を必ず実行することが極めて重要だと考えている。そのため、同じ独立第三者機関と再び協力して、新しい方法の下で配達員の収入が間違いなく増えるようにする」と広報担当者は述べた。

DoorDashが以前発表したように、新しい支払方針は現在試行中で、フィードバックを受けた後、今月発効する。しかし、DoorDashは新方針発表以来、2020年の住民投票に向けて3000万ドル(約32億円)をロビー活動に投入した。住民投票の内容として想定されるのは、企業が労働者(配達員)に福利厚生を提供し、賃金を保証し、柔軟性を提供するものの、正社員の地位は与えない、というものだ。LyftとUberもそれぞれ3000万ドルを同じロビー活動に投入した。これは、カリフォルニア州でギグワーカー(独立契約者)保護法案AB-5が可決されたことを受けた動きだ。

法案は雇用主にABCテストの適用を義務付け、ギグエコノミーの労働者が最低賃金、労災保険その他の給付を受ける権利を確保する内容だ。この法案は2018年12月に最初に導入され、Dynamex Operations Westとカリフォルニア州最高裁が争った裁判における判決を成文化したものだ。この判例で裁判所はABCテストを適用し、Dynamexが労働者を独立契約者に分類したのは誤りだった判断した。

ABCテストによれば、雇用主が労働者を独立契約者として合法的に分類するには、A. 労働者が雇用主の管理と指示から自由であること、B. 労働者が雇用主の事業の範囲外の仕事を行っていること、C. 雇用主に対して提供した労務と同じ性質の仕事(貿易、職業、ビジネス)に定期的に従事していること、の3点すべてを雇用主が証明しなければならない。

法案はまだ署名・施行されていないが、Gavin Newsom(ガビン・ニューサム)知事は署名するとみられている。今後、DoorDashは独立契約者モデルを強く擁護し続けるはずだ。一方、労働団体のWorking Washingtonはより良い賃金と労働者の保護を主張し続けることが予想される。

画像クレジット:Photo by Tibrina Hobson/Getty Images for Los Angeles Times Food Bowl / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

米国のアマゾンレストラン事業はまもなく終了

アマゾンは11月にロンドンでフードデリバリー事業を閉鎖したのに続き、米国でも運営を終了する。これはプライム会員向けに2015年秋に始まったサービスで、商品や食料品ではなく食事を提供していた。

食事を提供するサービスには競合が多い。米国にはGrubhub、Uber Eats、DoorDash、ロンドンにはDeliveroo(これにはアマゾンが投資した)など、たくさんある。こうした企業はシェアを獲得するために割引をすることもある。一方、アマゾンはフードデリバリーの世界で、シェアにおいても消費者の認知度においても、地位を確立することができなかった。ランチやディナーの料理を注文しようとする人にとって、アマゾンはまっさきに思い浮かぶ名前ではない。また、温かい料理をタイミングよく配達する体制は、アマゾンのメインの事業とは異なる課題があった。

GeekWireが報じたところによると、アマゾンはこの閉鎖と関連して、職場向けランチデリバリーサービスのDaily Dishも終了するという。

アマゾンはフードデリバリーをやめて、成長を続けている食料品配達ビジネスにさらに力を入れるものと考えられる。

TechCrunchはアマゾンの事業終了に詳しい関係筋から情報を得た。アマゾンは米国のAmazon Restaurantsを閉鎖し、6月24日に営業を終了すると認めた。解雇についても示唆し、アマゾン社内で別の仕事に就く社員もいれば、社外での再就職のサポートを受けている社員もいるとした。

アマゾンの広報は次のように述べた。「6月24日をもって米国のAmazon Restaurants事業を終了する。この決定により、アマゾンの一部の社員が影響を受ける。影響を受ける社員の多くはすでに社内の別の仕事が決まっている。今後、社内外のどちらで働く社員にも個別に対応していく」。

アマゾンがフードデリバリーをやめるという決定は、米国時間6月11日のライバル企業の株価にプラスの影響を与えた。Grubhubの株価は5%以上も上がったと報じられている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

DoorDashが移民・難民によるレストランを支援する新プログラム開始

DoorDashは米国時間3月28日、Kitchens Without Borders(国境なきキッチン)という新たなプログラムを開始した。このプログラムは移民や難民である事業主を支援するためのものだ。

まずはサンフランシスコのベイエリアのレストラン10店でのスタートとなる。その10店は、Besharam、Z Zoul Cafe、Onigilly、Los Cilantros、Sabores Del Sur、West Park Farm & Sea、Little Green Cyclo、Afghan Village、D’Maize、そしてSweet Lime Thai Cuisineだ。

これらのレストランを展開する事業主たちはKitchens Without Bordersサイトで紹介されている。またレストランはDoorDashアプリ内でも宣伝され、そして6週間にわたって配達コストが無料になる。

DoorDashの広報は、プログラム開始時の10店は応募のあった60店から選ばれ、プログラムの対象は今後、全米のレストランに広げる、と語った。

今回の新プログラム発表の1カ月前には、DoorDashは新たに4億ドルを調達したと明らかにしていた。DoorDashはまた、ドライバーへの報酬をめぐり今年初めに批判を浴びていた。

ブログへの投稿でCEOのTony Xuは、彼自身このプログラムに個人的な思い入れがある、と言っている。

一つには、私が移民だからだ。私は5才のときに中国からこの国にやって来た。そして私の母は、良い生活を築こうと、そして医者になるという夢を叶えるために中華料理店を営んだ。私は母の横で皿洗い係として働き、この国で成功するというのがどんなものか目の当たりにした。12年以上かけて母は希望していた医者になるためのお金をなんとか貯め、20年来経営しているクリニックを開いた。

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(翻訳:Mizoguchi)

ドア・ツー・ドア配達DoorDash、全米50州をカバー

40億ドルという巨額の会社価値で2.5億ドルの資金調達ラウンドを終えたDoorDashが、新たに6つの地域でサービスを開始した。本日(米国時間1/16)よりアラスカ州アンカレッジ、モンタナ州ビリングス、ボウズマン、およびミズーラ、サウスダコタ州スーフォールズ、ノースダコタ州ファーゴー、ウェストバージニア州モーガンタウンおよびハンチントン、ならびにワイオミング州シャイアンで同サービスが利用可能になり、これで同社は米国全50州にわたって運用する初めてのオンデマンド・フードデリバリー・スタートアップになった。

「過去1年間だけで当社のサービス地域は北米600都市から3300都市へと4倍以上に増え、全米数億人にとってのドア・ツー・ドア配達を民主化した」とDoorDash共同ファウンダー・CEOのTony Xuが声明で語った。

2013年に設立されたサンフランシスコ拠点のDoorDashは、総額10億ドル近いベンチャー資金をSoftBank、Sequoia、Coatue Management、DST Global、Kleiner PerkinsけKhosla Ventures、CRVなどから調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook