人気C向けアプリはいかにして初期ユーザー1000人を獲得したのか?

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するポッドキャスト「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、D2C企業の話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

元Airbnbのグロース担当のLenny Rachitskyさ(レニー・ラチツキー)さん「How the biggest consumer apps got their first 1,000 users」の記事を直接許可を頂き翻訳しました。レニーさんのコンテンツをもっと読みたい方はぜひ彼のメルマガにご登録ください!Lennyさんの「マーケットプレイスの作り方」の翻訳もしていますので、そちらも気になった方はご一読ください!

C向けサービスがいかにして最初の1000人を獲得するかしっかりまとまってる記事は意外とありませんでした。レニーさんの記事は、実際に創業者のヒアリングを行い、過去インタビューを遡り、Twitterで質問したりした事実に基づく濃密なレポートです。UberやTikTok、Tinder、最近話題のSuperhumanなどの著名スタートアップの学びをシェアしたいと思います。

サマリー

  1. C向けの初期グロースは7つの戦略に分けられる
  2. Product HuntやPinterestは複数使ったが、ほとんどのスタートアップは1つの戦略で成長する。3つ以上使って成功した事例は今のところ見てない
  3. 一番人気な戦略はオンラインでもオフラインでも直接ユーザーに行くこと。スケールしないことをやろう
  4. 戦略を実行するために、ターゲット層を狭く定義づけることが大事
  5. 最初の1000人の獲得と1万人までの獲得方法は変わる

初期ユーザー獲得戦略は以下の7つの戦略となる。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーを活用
  6. PR・メディアを活用
  7. コミュニティを作る

1. オフラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?

■大学キャンパス
Tinder:創業メンバーのWhitney WolfeとJustin Mateenは南カリフォルニア大学で走り回ってフラタニティとソロリティでTinderを紹介してた。ほかの独身の人とつながれる、そして自分に興味があるかを知りたいニーズに合わせられたのでバイラルになった(Jeff Morris Jr.氏)。

DoorDash:初期バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトでパロアルトのレストランメニューにPDFが載っていただけ。社長のTonyとDoorDashチームはチラシを印刷してスタンフォード大学でバラまいた。6ドルのデリバリーフィーで需要があるかを知りたかった。単純にPDFメニューのサイトとチラシで始まっただけ(Micah Moreau氏)。

■スタートアップのオフィス、駅や交通ハブ
Lyft:周りのスタートアップの各社にドアノックをして、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた(Emily Castor氏とBenjamin Lauzier氏)。
Uber:Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain(カルトレイン、郊外向けの通勤列車)駅に行ってリファラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった(Andrew Chen氏)。

■ショッピングモール
Snapchat:CEOのEvanは一人ひとりに見せ始めて、使い方を教えたり、なぜ面白いかを説明した。アプリのダウンロードまで彼が代わりにやってあげていた。ユーザー獲得のために何でもやった。ショッピングモールに行ってSnapchatのチラシもばらまいてた。ショッピングモールで「消える写真を送ってみたいか?」と聞いて、よく断られてた(Billy Gallagher氏、How to Turn Down a Billion Dollars, The Snapchat Storyより)。

■近所のHOA(Home Owner Association、管理組合)
Nextdoor:当時は創業チームは近所のSNSのコンセプトを受けれて検証してくれる場所を探さないと意味がないとわかっていた。どの場所を選ぶかが重要だった。その場所はLorelei(ローレライ)だった。小さく親密なコミュニティであり、カリフォルニア州で最も古い管理組合がある場所だった。すでにコミュニティ内でコミュニケーションの取り合いをする方法があったのでNextdoorに合うと思った。管理組合の上層部に連絡したら話を聞いてくれた(Sarah Leary氏)。

■クラフトフェア
Etsy:米国中に開催されているクラフトフェアに行くことにした。そこで売り手を探しに行った。売り手は買い手をどうやってサイトに誘導させるのをわかっていたので、売り手を囲い込むのが大事だった(Thales Teixeria氏)。

■アップルストア
Pinterest:正直、かなりヤケクソなことをやってた。家の帰り道のアップルストアに入って置いてあったパソコンをPinterestページを表示するようにした。そしてその後にちょっと後ろのほうに行って「へーこのPinterestと言うサイトはバズっているんだなー」と他の人が聞こえるように言ってました(Ben Silbermann氏)。

2. オンラインで直接ユーザーと会う

Key Question
初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?

■Hacker News
Dropbox:CEOのDrewは簡単なプロダクトのデモ動画を2007年4月にHacker Newsに投稿した。そのタイトルは「My YC app: Dropbox – Throw away your USB drive」(僕のYCアプリDropbox:USBドライブを捨てよう)。その動画で初期ユーザーを集めた(John Popel氏)。

■アプリストア
TikTok(Musical.ly):当時はアプリストアに秘策があった。アプリ名をすごく長くできた。そしてアプリストアの検索エンジンはキーワードよりアプリ名にウェイトをかけるのを知ってた。なので、アプリ名を「make awesome music videos with all kinds of effects for Instagram, Facebook, Messenger」にしたら検索からの流入が入ってきた(Alex Zhu氏)。

ProductHunt:初期3000人はProductHunt初日とその1日、2日後で獲得できた。3000人から2万人ユーザーは初期ユーザーが入っている組織のエヴァンジェリストを探し、1対1の関係性を作った。そして2万人以降はPMのシステム(同僚を紹介するたびに5ドルのクレジット、50ドルぶんまで)で獲得(Shahed Khan氏)。

■既存のオンラインコミュニティ
Netflix:ユーザーとつながるためにCorey Bridgesをユーザー獲得するために採用した。彼はライターとしての才能があった。Coreyが気づいたのはDVDオーナーはネットのウェブフォーラムなどで集まっていたこと。そのコミュニティに入り込もうとした。CoreyはNetflix従業員とは名乗らず、映画好きな人として会話に参加したり、友達を作った。そこで、徐々にコミュニティ内のモデレーターや一番リスペクトされてたユーザーにNetflixと言う素晴らしいサイトを宣伝し始めた。ローンチ前から大きく種まきをしてくれてた(Marc Randolph氏、That Will Never Workより)。

Buffer:最初の9カ月はゲストブログ(自社ではないブログ)に書き続けただけで10万人を獲得できた。徐々に上がった感じだった。9カ月間で約150件投稿した。まったく流入しなかったものもあったし、徐々にしか改善されなかった。最適な投稿頻度を見つけるまで時間がかかった(Leo Widrich氏)。

3. 友達を招待する

Key Question
自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?

Yelp:初期ユーザーは自分たちのネットワーク(ほぼ元PayPal同僚)を招待して獲得した。自分たちのネットワークに周りの友達を招待するようにお願いした。スタートアップを経験したメンバーが多かったので、お互い助け合うことに慣れてたのでいろいろ招待してくれた。そこだけで1000人ぐらいまで行った。一人のリファラルネットワークを侮らないことが大事で、招待させるインセンティブや方法を考えるのが大事(Russel Simmons氏)。

Lyft:ウェイトリスト制度を始める前には友達へメールにて招待状を送っていた(Emily Castor Warren氏)。

Facebook:Thefacebook.comは2004年2月4日にローンチした。普通の寮で過ごす夜だった。Mark Zuckerbergがサイトを完成させた時に数名の友達に共有した。その友達が学生寮「Kirkland House」に住んでいる300人が入っているオンラインメールリストに送ることをお勧めした。十数名が入って、その時にはすでにほかの寮にサイトの話が回ってた。夜の終わりには部屋にいた人たち全員が登録したユーザー数をひたすら見ていた。24時間以内で1200〜1500人が登録してくれた(Dustin Moskovitz氏、New Yorkerより)

Quora:Quoraは2010年1月にローンチした時のユーザーは主にAdam D’AngeloとCharlie Cheeverの高校・大学時代の友達が集まっていた。そのおかげで初期Quoraの情報を見ると、Cheeverが育ったペンシルベニア州のピッツバーグでのおいしいレストランなどの情報が多かった。サイトに他の人を招待できる機能を入れてユーザーを増やした(Wiredより)。

LinkedIn:LinkedInのCEOであるReid Hoffmanはプロダクトの初期は成功した友達やつながりに入ってもらった。憧れられるブランドを作るには初期ユーザーの質が重要だと理解してた。成功している会社や人ほど常に次の採用する人材を探しているので、成功した人たちを初期から入れてなければ会社は成功しなかった(Keith Rabois氏)。

Slack:ほかの会社で働いている友達に頼み込んで試してもらってフィードバックをもらった。最初の6社から10社はこう言うかたちで獲得した(Stewart Butterfield氏)。

Pinterest:アプリをローンチした時に友達全員にメールした。最初は誰もサービスの良さを理解しなかったが、ある小さいグループだけ使い続けてくれた。それはアーリーアダプターっぽくなく、一緒に育った友達や知り合いだった。彼らは人生の一環として使ってくれて、家や食べ物写真を上げてくれた(Ben Silbermann氏)。

4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること</h2.

Key Question
・ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
・強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
・ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき

■初期コミュニティを制限、キュレーション
Clubhouse:プライベートテストフライトを見てると面白い(Todd Goldberg氏)。

  • キュレーション(クオリティー担保)
  • 制限・招待制(FOMO: Fear of Missing Out)
  • 早い改善とアップデート(アプリストアのレビュープロセスが必要ない)
  • 初期ユーザーは信頼できるネットワークからのリファラル

Instagram:プロトタイプと検証をしてたときにTwitterフォロワーが多い人に渡したのがよかった。しかもそれはある一定のコミュニティでのフォロワー数が重要だった。そのコミュニティはデザイナー、オンラインウェブデザインのコミュニティだった。我々がフォーカスしている写真やビジュアル要素がこのコミュニティに最もアピールすると思った。彼らがTwitterで共有してくれたおかげで、ほかの人たちは「これはいつローンチして、いつ使えるのか?」と聞き始めて、そのタイミングでローンチした(Kevin Systrom氏)。

Pinterest:最初は招待制のコミュニティだった。初期ユーザーはSilbermannが呼びかけたデザインブロガーだった。呼びかけた人たちにはユニークなアイデアとクリエイティブな人たちにしか招待するなと教えた。そうやって2012年まで招待ベースで伸び続けた(Entrepreneurより)。

■事前登録、ウェイトリスト
Mailbox:iPhone用のメール管理アプリのMailboxがリリースされた時にすでに70万人のユーザーがウェイトリストに登録していた。これはMailboxのサーバーに異常なる負担を与えないためと、需要をより増やすマーケティング戦略だ(Darrell Etherington氏)。

Superhuman:初年度は開発している最中にLP(ランディングページ)を公開した。Squarespaceで作った最小限のダメなLPを2時間だけかけて作り上げた。LPにはメールアドレスしか入れられないようにした。そしてメールアドレスを入れた際には2つの質問が自動送信された(Rahul Vohra氏)。

  1. どのメールブラウザーを使っている?
  2. メールの不満は何?

Robinhood:リリースした際には初期サイトがバズるとはまったく思ってなかった。そのためシンプルなコピーを入れて、登録するためのボタンを押して、メールアドレスを入力してもらってウェイトリストにジョインできるようにした。そしてウェイトリストの何人中、何番目かを表示するようにした。プレスを出すその前の金曜日の夜にウェイトリストの準備をしていた。その次の日の土曜日にGoogle Analyticsを開くと600人ぐらいの同時アクセスユーザー数を見かけた。何が起こったかを見たらほとんどのユーザーはHacker Newsから来ていた。Hacker Newsを見たら3番目にRobinhoodについて投稿されてた(Business Insiderより)。

■既存ユーザーからの招待制
Spotify:2008年にSpotifyがベータ版をローンチ。正式ローンチまでは招待制オンリーで進めていた。Spotifyの初期成長はこの招待制度が鍵だった。Spotifyのグロースをコントロールできたのと、よりバイラルな要素をサービスに与えた。ユーザーは最初に5人の友達に招待できるようにしてた(TNWより)。

5. インフルエンサーの活用

Key Question
ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?

Twitter:以下図が初期ローンチのグラフだ。最初にインターネットでTwitterについてメンションがあったのは7月13日のEvan Williamのブログだったが、その前日に登録が結構入ってたのがわかる。そしてOm Malikの投稿で次の日には250人が登録。まだ600人ぐらいしかいなかったときだった。Evanの人気度とOmの推薦をもとに最初にバズるような状況を作れた(Pete Warden氏)。

Product Hunt:インフルエンサーを見つけた時に私かNathanが個人的にメールを送って、プレスでProduct Huntに言及していたPandoDailyやFast Companyの記事にリンクして我々のストーリーを説明した。マニュアルなプロセスだったが、いい寄稿者を採用するのにいい方法でよりフィードバックをもらえやすい状況を作っていた(Ryan Hoover氏)。

Instagram:創業者は初期ユーザーを慎重に選んでいた。良い写真家、特に高いTwitterフォロワー数のデザイナーを選んでた。その初期ユーザーが最初のトーン、良質なコンテンツを出した最初のInstagramをプロモーションするインフルエンサーキャンペーンと言えるだろう。Jack DorseyはInstagramの一番の営業マンだった。最初は彼の投資が(Instagramの前身のサービスである)Burbnではないアプリに行くことに対してショックだったが、すぐにInstagramをBurbn以上に好きになった。そしてInstagramが2010年10月6日にローンチした時に、Jack Dorseyが共有してくれたおかげですぐにバズった。アップルのアプリストアのカメラアプリの中でいちばんになった(Sarah Frier氏、No Filter: The Inside Story of Instagramより)。

6. PR・メディアの活用

Key Question
プレスやメディアにピッチできる新しく、面白く、そしてユニークなストーリーとは?

Superhuman:プレスをうまく使うのは時代精神的な瞬間に入り込むこと。我々の場合はMailboxがシャットダウンする時だった。私はかなり読まれたM&Aの生き残り方についての記事を書いたが、それはMailboxのシャットダウンと合わせて書いたもの。投稿はMediumで出したが、qz.comにも転載された。時代精神的な瞬間に入り込めた。その記事を書くのに3日間それだけに集中したのと、あと1日記事をいろんな人に共有するのに時間をかけたので、合計4日間フルフルかかった。でもその4日間で5000人の登録が入ってきた(Rahul Vohra氏)。

Product Hunt:FastCompany記事のようにゲスト投稿をテックメディアで書いて認知を得た。初期はプレス・メディアで登録を伸ばすのに効果的だった。TechCrunchを読む人はProduct Huntを見る人と同一だった。さらにProduct Huntでローンチしたいいプロダクトを知り合いの記者に情報を流すようにした。記者の興味に合わせてプロダクトを送り、それについて記事を書いてもらってProduct Huntにリンクしてもらった。しかもそれによってよりクリエイターやアーリーステージの会社に認知を与えてた(Ryan Hoover氏)。

Airbnb:ターニングポイントはコロラド州デンバーで行われた2008年の民主党全国委員会(DNC)だった。Airbnb創業メンバーはイベントのキャパの4倍以上の人が参加すると知っていて、その影響で部屋のレンタルの需要が高まると知ってた。部屋を譲ってもらうのは簡単だったが、知名度がなかったのでその部屋に宿泊してもらうことが難しかった。

それを解決するためにまずは小さいオーディエンスを持っているブロガーに当たった。直感に反するかもしれないが、小さいブロガーがAirbnbについて投稿することによって大きめのメディアが取り上げる必要があると感じた。それがどんどん加速して、最終的には全米に放映するNBCやCBSがAirbnbの創業者をインタビューしていた。

DNCはAirbnbにとってよかったが、結局1週間しか続かなかった。創業者がイベントからのインパクトを最大限に広げられないかとキッチンで座ってたときに、シリアルを売って黒字化するアイデアを思いついた。2人ともデザイナーで名門ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの卒業生だった。嘘のシリアルの「Obama O’s, the Cereal of Change」と「Cap’n McCain’s, a Maverick in Every Box」を考えた。箱のアートは彼ら自身で考え、カリフォルニア大学バークレー校の生徒にお願いして安く箱を印刷してもらった。箱はフラットな長方形で印刷されたので、1つひとつ形を切り取って手作りした。
創業メンバーはいろんなテックブロガーに箱を送り、それについて記事を書いてもらった。その後に一箱40ドルで売った。Obama O’sが売れすぎて、Cap’n McCainを無償でつけるようになった(Pandoより)。

Slack:ベータ版をベータ版と呼ばなかったのは、そうするとサービスがあまりよくないと思われるからだった。チームの過去の経験を活用してプレス戦略を行った。それでSlackを使うリクエストが遅れるようにした。初日に8000人、2週間後に1万5000人まで上がった。ローンチ時のメディアの力は強い(Stewart Butterfield氏)。

Instagram:PR会社を使わずに直接プレスにコンタクトした。これは正しい戦略だったとKevin Systromが語る。いいプロダクトと熱い創業者からピッチするといい記事となる。プロダクトを好きになりそうな人に関しては躊躇なく連絡した。それがうまくいった。New York Timesとかに連絡する意味がないといろんな人から言われたが、NYTは話すだけではなく、直接会いにきてくれた。そして2010年10月にローンチした同日にプレスが出て、サーバーへの負担がハンパなかった(TNWより)。

7. ローンチ前にコミュニティを作る

Key Question
あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Product Hunt:Linkydinkと言うメルマガツールを使ってメルマガとしてスタートした。Product Huntを開発している間にMVP版に貢献してくれる人たちやプロダクト関連の人にモックを共有してフィードバックをもらってた。これは顧客開発のためだけではなく、共有してた人たちにプロダクトに貢献してプロダクトの一部として感じてもらうようにしていた(実際に貢献してくれてた)。その5日後、MVPが完成した。Product HuntのURLをサポーターたちにメールして、周りに共有しないようにお願いした。サポーターたちは自分たちが開発に貢献した感情を抱いてたので、プロダクトにすぐに愛着が生まれた。それで最初の30人を獲得した。週の終わりには100人集まったので、公開できると思った(Ryan Hoover氏)。

Stack Overflow:創業メンバーのJoel SpolskyとJeff Atwoodは過去の経歴のおかげで大きなフォロワーコミュニティを持っていた。お互いのコミュニティに対してプライベートベータ版に招待した。コンテンツが最初からないと微妙に見えるので、招待する前に創業メンバー自らコンテンツを作っていた(Jon氏)。

おさらい

最初の1000人を獲得するには、以下7つの戦略が使われた。

  1. オフラインで直接ユーザーと会う
  2. オンラインで直接ユーザーと会う
  3. 友達を招待する
  4. 取り残されることへの恐れ(FOMO)を作ること
  5. インフルエンサーの活用
  6. PR・メディアの活用
  7. コミュニティを作る

どの戦略にフォーカスするべきか決めるために自分に聞くべき質問は以下のとおり。

  1. 初期ターゲットユーザーは誰で、どのオフラインの場所で集まっている?
  2. 初期ターゲットユーザーは誰で、オンラインのどこで集まっている?
  3. 自分の友達は初期ターゲット層に当てはまるか?当てはまっていれば、サービスに招待したか?
  4. ユーザー生成コンテンツ「UGC」に頼るプロダクト?初期コミュニティはキュレーション型にすることを検討するべき
  5. 強い企業価値があるか?その場合はウェイトリストを検討するべき
  6. ソーシャルなプロダクトか?その場合は既存ユーザーに新規ユーザーの招待させるように検討するべき
  7. ターケット層のインフルエンサーは誰で、どうやって自分のプロダクトについて話してもらえるか?
  8. プレスや¥メディアにピッチできる新しく、面白く、ユニークなストーリーとは?
  9. あとあと活用できるコミュニティを今作れるか?

Q&AプラットホームのQuoraをレイオフが襲う

創業10年のQ&Aプラットホーム、米国マウンテンビュー拠点のQuoraが「ベイエリアとニューヨークのオフィスでスタッフを縮小する」と同社のCEOが米国時間1月23日、サイト上で発表した

投資家たちからそろそろキャッシュフローへの専念を要請されるようになったスタートアップのリーダーの一人としてCEOのAdam D’Angelo(アダム・ダンジェロ)氏は、「『組織を責任性のある方向へスケールする』ために、レイオフと『機構改革』を遂行した」と書いている。

ダンジェロ氏は、レイオフの規模を公表していない。Recodeによると、昨年Quoraは、20億ドル(約2191億円)の評価額で6000万ドル(約65億7500万円)をロックダウンしていた。そのときの社員数はほぼ200名だった。Crunchbaseによると、同社は本日まで2億2500万ドル(約246億円)の資金調達を公表している。投資家は、Benchmark、Peter Thiel、そしてY Combinatorだ。

TechCrunchは現在、同社にコメントを求めている。

ダンジェロ氏は「私たちはバーンレートを持続可能なレベルに下げる必要があり、それによりミッション追求への集中と事業の長期的な成長を可能にしたい。外部資本には依存したくないので、自立と、自分のリソースの細心の管理が、私たちの未来にとって重要である」と語る。

このところ数週間、レイオフの嵐がスタートアップを見舞っている。ソフトバンクのポートフォリオ企業数社に始まり、Mozilla、そして本日は遺伝子検査の23andMeだ。

関連記事:米テック業界で続くレイオフ、遺伝子検査の23andMeでも

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Quoraのユーザー1億人のデータがセキュリティ侵害により遺漏の可能性あり

Quoraによると、セキュリティ侵害により約1億のユーザーのデータが漏洩した可能性がある。今日(米国時間12/3)ユーザーに送ったメールとブログ記事で、CEOのAdam D’Angeloが、金曜日(米国時間11/30)に“悪意あるサードパーティ”がQuoraのシステムに不法アクセスした、と言っている。同社のセキュリティチームと“外部のデジタルセキュリティ専門家”たちが目下、その侵害を調べている、という。警察にも、すでに通報している。

同社は、侵害の根本原因は見つけた、と信じており、“調査は続行中だが対策を講じたし、今後もセキュリティの改良を続ける”、という。匿名のポストに関しては個人情報を保存しないので、匿名のQ&Aは無事だったそうだ。

同社は現在、データが漏洩したユーザーに通知を送っており、またセキュリティ上の配慮として全ユーザーをログアウトしている。また、現在ユーザーが使っているパスワードは、すべて無効化している。この侵害に関するFAQが、ここにある。

Quoraによると、次のようなユーザーデータがアクセスされた可能性がある:

  • アカウントとユーザーの情報、すなわち名前、メールアドレス、IP、ユーザーID、暗号化されているパスワード、個人化データ

  • 下書きを含む公開アクションとコンテンツ、すなわち質問、答、コメント、ブログ記事、賛成票(upvotes)

  • ユーザーが合法的にアクセスしているリンク先のデータ、すなわちコンタクト(連絡先)、住所や性別など層的情報、関心、アクセストークン(現在は無効化)

  • 非公開アクション、すなわち答のリクエスト、反対票(downvotes)、謝辞

  • 非公開コンテンツ、すなわちダイレクトメッセージ、編集提言

同社ヘルプセンターの別記事によると、Quoraは、“いかなるパートナーの財務情報(金銭的情報)も遺漏していないと確信する”、と言っている。同社が決済サービスとして使っているStripeのアクセストークンの一部は“一時的に遺漏した”が、両社の確認によれば、事故以降アクセストークンはまったく使われていないし、財務情報も遺漏していない、という。

Stripeのアカウントのある全ユーザーが、そのアクセストークンをリセットされた。“Stripeからアクセスできる個人の財務情報は遺漏していないと確信する。さらに、いかなる個人的財務情報にも、現在、脆弱性はない”、とQuoraは言っている。

〔以下、Quoraからユーザーに送られた通知の全文:
Dear xxxxxxx xxxxxxx,

We are writing to let you know that we recently discovered that some user data was compromised as a result of unauthorized access to our systems by a malicious third party. We are very sorry for any concern or inconvenience this may cause. We are working rapidly to investigate the situation further and take the appropriate steps to prevent such incidents in the future.

What Happened

On Friday we discovered that some user data was compromised by a third party who gained unauthorized access to our systems. We’re still investigating the precise causes and in addition to the work being conducted by our internal security teams, we have retained a leading digital forensics and security firm to assist us. We have also notified law enforcement officials.

While the investigation is still ongoing, we have already taken steps to contain the incident, and our efforts to protect our users and prevent this type of incident from happening in the future are our top priority as a company.

What information was involved

The following information of yours may have been compromised:

Account and user information, e.g. name, email, IP, user ID, encrypted password, user account settings, personalization data

Public actions and content including drafts, e.g. questions, answers, comments, blog posts, upvotes

Data imported from linked networks when authorized by you, e.g. contacts, demographic information, interests, access tokens (now invalidated)

Non-public actions, e.g. answer requests, downvotes, thanks

Questions and answers that were written anonymously are not affected by this breach as we do not store the identities of people who post anonymous content.

What we are doing

While our investigation continues, we’re taking additional steps to improve our security:

We’re in the process of notifying users whose data has been compromised.
Out of an abundance of caution, we are logging out all Quora users who may have been affected, and, if they use a password as their authentication method, we are invalidating their passwords.
We believe we’ve identified the root cause and taken steps to address the issue, although our investigation is ongoing and we’ll continue to make security improvements.

We will continue to work both internally and with our outside experts to gain a full understanding of what happened and take any further action as needed.

What you can do

We’ve included more detailed information about more specific questions you may have in our help center, which you can find here.

While the passwords were encrypted (hashed with a salt that varies for each user), it is generally a best practice not to reuse the same password across multiple services, and we recommend that people change their passwords if they are doing so.

Conclusion

It is our responsibility to make sure things like this don’t happen, and we failed to meet that responsibility. We recognize that in order to maintain user trust, we need to work very hard to make sure this does not happen again. There’s little hope of sharing and growing the world’s knowledge if those doing so cannot feel safe and secure, and cannot trust that their information will remain private. We are continuing to work very hard to remedy the situation, and we hope over time to prove that we are worthy of your trust.

The Quora Team

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

がん専門医が正しい最新知識を得るためのQ&AサービスTheMednetがシードで$1.3Mを調達

TheMednetはY Combinatorから今年の春にローンチし、最初はがんから始めて、良い処置に関する最新の研究を専門医が調べる手助けをする。同社はこのほど130万ドルのシード資金を獲得して、広く医師たちからの知名度と利用を高めようとしている。

投資家はEndure Capital, Lumia Capital, The Hope Foundation, The Bonnie J. Addario Lung Cancer Foundation, そしてエンジェル投資家のCharlie Cheever(Quora), Jared Friedman(Scribd), Paul Buchheit(YC), Peter He, そしてPeter Pham(Science)らだ。

協同ファウンダーのNadine Housriは放射線腫瘍医、そして弟のCEO Samir Housriは以前本誌に、YCとThe Hope Foundationから助成金や投資を受けたことがある、と語った。

このようなスタートアップが重要なのは、通常医師たちが、小さな狭い人間関係の中でアドバイスの授受をしているからだ。つまり、医師たちの情報ネットワークは、デフォルトではとても小さい。そのネットワークをもっと広く大きくして、何千もの医師たちが情報で助け合うネットワークにする必要がある。そうすれば、良い情報に無縁なままの医師は、減るだろう。

“検査などのデータからがんの処置方針を決めることが多いが、しかしデータは、イコール知識ではない。データは臨床体験や専門知識によってフィルタされ、その結果を患者に適用すべきだ”、とSamirは語る。“私たちは、医師たちを最強の情報ネットワークに接触させ、いろんな大学の研究センターにいるときのように、専門家たちの意見が身近に得られるようにする”。

専門家/専門医の意見を得られる点では、TheMednetはFigure1やUptodateに似ている。でもTheMednetは現状で4000あまりの腫瘍医や、500名のエキスパートを抱えている。そしてこのネットワークを、これまで、アメリカの腫瘍医の25%が利用している。大学のがんセンターの、がん治療の経験のある教授たちも、TheMednetのコンテンツに貢献している。

今度得られた資金は、もっと到達範囲を広げることに使われる。アメリカの腫瘍医のT少なくとも50%に到達することと、そして、医師たちの知識がつねに最新であるようにするために、テクノロジーを利用して情報を正しくキュレートする(整理加工する)ことが目標だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Quoraが今日からセルフサービス型の広告プラットホームを開始、スタートアップ成熟の兆候

Quoraもうすぐ7歳になるが、これまで広告による収益化の歩みは遅かった。

このQ&Aサイトが最初に広告を導入したのは2016年の4月だが、これまでずっと、MulesoftやShopifyなど一部の広告パートナーだけによる非公開ベータにすぎなかった。

これからは、違う。

同社は今日(米国時間5/22)、セルフサービス型の広告プラットホームを一般に公開する、と発表した。同社は約18億ドルの評価額で8500万ドルを調達し、ユニコーンの仲間入りをしてから今日で1か月あまりになる。

広告主は、大でも小でも、テキストベースの広告やモバイルのアプリインストール広告を作れる。どちらもきわめてネイティブに見えて、目ざわりでない。

広告主は、QuoraのQ&Aの分類概念に基づくトピックによるターゲティングができる。たとえば、科学、政治、暗号通貨、などだ。地理別やプラットホーム別(デスクトップ、モバイル)のターゲティングもできる。

Facebookの無限に多いようなターゲティング・オプションに比べると実にささやかだが、ユーザー情報を大量に集めないサイトではトピックや位置、プラットホームぐらいが妥当なオプションだろう。

広告のターゲットを決めたら、広告主は予算を決め、CPC(cost per click)によるリアルタイムのオークションにかけられる。広告主が入札したCPCは、その後広告のパフォーマンスに応じて調節できる。今後Quoraは、コンバージョンピクセルを提供したり、モバイルのアトリビューションパートナーと共同して広告主たちにパフォーマンスとROIの証拠を見せる予定だ。

セルフサービス型の広告プラットホームを展開することは、収益を広告に依存するスタートアップにとって大きな節目だ。広告の営業やターゲティングを手作業でやることがなくなり、広告収入が自力で成長していけるからだ。小企業からの広告収入も、得やすくなる。小企業といえども、“塵も積もれば山となる”のである。

Snapchatも今月初めに、セルフサービス広告プラットホームをローンチしたが、それは創業から約5年半後のことだ。

Quoraのセルフサービス広告は今日ローンチし、それらはここでチェックできる

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ベンチャーキャピタリストは楽じゃない―最悪の敵は他のベンチャーキャピタリスト

ベンチャーキャピタリスト(VC)というのは魅力的な職業に思える。給料は良く、役得も多い。優秀な起業家に会えるし、最新のテクノロジーに触れられる。サンドヒルロードの優雅なオフィスで仕事をし、毎晩フォーシーズンズホテル高級なバーで飲むこともできる。

それではベンチャーキャピタリストという仕事の難しい部分は何だろう?

「ベンチャーキャピタリストの仕事で最悪な点は何?」 というスレッドがQAサイトのQuoraに立っていて、これが興味深い。Mark SusterEthan KurzweilAndrew Parkerなどの大物が回答しているが、私は匿名希望のVCのちょっと風変わりな回答が気に入った。回答者は大手ベンチャーキャピタルで10年間ゼネラル・パートナーを務めているという。

回答者によると、一番難しいのはなんといっても他のVCと渡り合うことだというのだ。他のVCというのは他のベンチャーキャピタルのVCも自社内の他のVCも含む。

内部のパートナー間での駆け引きというのはたとえば「明日の会議で、オレの案件に賛成投票してくれたらお前の案件に賛成してやる」というたぐいのものだ。こういうことをやっているとファンドは平均的な成績しか挙げられない。平均的な成績というのは大金を失うという意味だ。

大手ファンドには大勢のパートナーがいる。その中でゼネラル・パートナーを長年務めるにはそうとうの悪人性が必要とされる。つまり権力を握るために政治的駆け引きをする意思があり、その能力に優れていなければならない。

もちろんすべてのゼネラル・パートナーがそうだというのではない。たいへん立派なゼネラル・パートナーもいる。しかしGPの3分の2はとんでもなく巨大なエゴの持ち主だ。

また匿名氏は「何も役に立つことをしないのにどうしても引退しようとしない上級パートナーも厄介ものだ」と言う。

多くの試練をくぐり抜けて無事にスタートアップの取締役に就任できたとしよう。そこからがまた大変だ。会社に複数のベンチャーキャピタルが投資しており、取締役会に複数のVCが就任したとしよう。彼らはそれぞれ異なる思惑と異なるエゴを持っている。彼らは会社にとって最良のことを考えるのではなく、代表しているベンチャーキャピタルにとって最良のことを考える。

問題はこれで終わりではない。次にはこのファンドに投資しているリミテッド・パートナーを相手にしなければならない。匿名VCによればLPたちは「われわれのエコシステム中で頭がもっとも遅れている連中」だそうだ。彼らは今頃になって「ソーシャルメディアに投資するファンドを作ろう」などと言い出す。投資対象のことなどまるきり理解していないし、理解しようという気もない。

匿名VCはさらにVCというのは「本質的にチームではなく個人プレーで、孤独な仕事だ。一人で出張し、一人で会議の記録を取り、一人でコンピュータに向かうことが多い」という。投資先が期待どおりに成功しなかった場合の苦しさも訴えている。もっとも私に言わせれば、VC連中はテクノロジー業界で勝ち馬を選ぶことで年収50万ドルから200万ドルを得ているのだから、失敗したからといって同情するのは難しい。

しかしこの匿名VCは誰なのか? もし本人の言っていることが事実なら候補者の範囲はかなり狭まる。多数のパートナー、有限責任パートナーを抱える大型ベンチャーキャピタルで10年間ゼネラル・パートナーを務め、他の上級パートナーと権力闘争を繰り返し、かなりの年齢になっているという人物に心当たりは? 

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* 私がいちばん気に入った回答はVCと結婚しているKristine Lauriaからのものだ。「VCの仕事で最悪なのは離婚の危険性が高いこと。なにしろめったに妻のもとに帰ってこない」のだそうだ。これは痛い。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Quora、過去1年間にユーザー数等3倍増

Quoraは成長の数値を公表しないことで知られている。その秘密主義から、多くの人々がQuoraは成長していないのではないかと憶測している。Quoraの中でさえ:Quoraはビジネスとして失敗したのですか?というのが、この記事の下調べのためににサイトを開いた私の目に最初に飛び込んできた質問だった。

その質問への最初の回答で、Quoraの投資家Peter Thielはそんな短期的思考に反論してこう聞き返した。「より的を射た質問は、Quoraの成長率は時間と共に加速しているのか、安定状態なのか、それとも著しく減速しているのかだ」。

そしてもちろん、それについてのQuora質問もある:「答は、Alexaを信じる限り〈ノー〉と思われる。おそらくこれを無視すべきでないだろう」

そして今日(米国時間5/28)、公式ブログで公開されたプロモーション・ビデオによって、われわれはQuoraの成長が加速していることを知った。DAU[日間アクティブ]、MAU[月間アクティブ]、登録ユーザー、回答された質問、投票された質問等、ユーザーに関するあらゆる数字が昨年5月から3倍以上に増えている。このスタートアップはホッケースティック状態にあるとファウンダーのAdam D’Angeloは言ったが、いくら私が懇願しても、一年前の成長グラフがY軸のどこにあったのかは教えてくれなかった。

「なぜ(今も昔も)実数を公表しないのか? ユーザーたちもやかましく要求しているのに」と私は尋ねた。1年間に3倍という数字は何ら恥ずべきものではないが、もしそれが1万DAUの3倍だったら大したことはない。「良い理由が見当たらないから。利用数データはわれわれにとって重要な質やユーザー体験を反映しない」と彼は答えた。

評論家たちがAlexaやCompete等のデータを、Quoraのトラフィックが落している証拠として持ちだしていることについてどう考えるか」と私は聞いた。会社がこうして秘密を貫いていると、人々は成功の指標を外部に求めるものだからだ。「われわれはリアルな数字を持っているので、外部の数字ではなくこれを見ている」とD’Angeloは言う。彼はこの成長がシリコンバレー以外にも広がっていることを明らかにし、Quoraがシリコンバレーだけに集中しているという認識に反論した。「カリフォルニア全部を合わせても利用量の10%に満たない。ニューヨークが最大の都市だ」。

上でリンクされている質問で、Thielは消費者向けスタートアップが超高速成長に集中するのは時代遅れであり、あまりにも表層的な発想だと主張している。

「爆発的に成長している会社では特に、焦点を翌月や翌四半期に絞り、年単位で考えることが少ない。これは時間軸として短かすぎる。オールド・エコノミー的発想は、オールド・エコノミーでのみ働く。テクノロジーや高成長ビジネスにはあてはまらない。しかし、今日のスタートアップ・カルチャーは、10~15年的思考をあからさまに無視しており、抵抗さえする」

そこで私はD’Angeloに、Quoraの10~15年計画は何かと尋ねた。「あなたはビデオの中で会社を売る計画は一切ないと言っていた。投資家らが注ぎ込んだ6100万ドルを10~15年後に正当化するのはどんなビッグチャンスなのか?」

「われわれのミッションは世界の知識を共有し成長させることだ。もしこのミッションを大規模に成し遂げることができれば、あらゆる人にとっての価値を生むことができる」と彼は言う。彼はその価値の例として、この国際宇宙ステーションに関するきっちりと書かれたQuora質問を挙げた。他にも、これこれこれ、特にこれなど、例は無数にある。

ビデオでも意図的に強調されていたように、Quoraは「なんとしても」このミッションを全うすべく、エンジニアリングの製品開発、製品管理、データサイエンス、およびデザインの職務担当者を雇うために積極的に採用を進めている。興味のある人は、ここに求人ページがあるので参照されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi)