IBM Cloudに長期にわたるが障害発生、同プラットフォーム上の複数サービスもダウン

IBM Cloudが大規模な障害に見舞われており、同プラットフォーム上で運営されている複数のサービスもダウンしている。その中には、人気のテックニュースアグリゲータであるTechmemeも含まれる。

太平洋時間6月9日午後2時30分ごろから、障害の規模が拡大したようだ。これは世界規模の問題であり、ネットワークのトラブルが関係しているようだが、IBMのステータスページは実際には読み込まれておらず、内部サーバエラーを返している。このため、サービス停止の程度や原因は不明だ。IBM CloudのTwitter(ツイッター)アカウントも沈黙しているが、我々はIBM Asperaのステータスページがサードパーティーのサーバーにホストされていることを確認しており、これが世界的なネットワークに関する問題である可能性が高いことを裏付けている。

IBM Cloudは2020年4月にゼロ・ダウンタイムの実現に関する論文を発表しているが、3月にはダラスのデータセンター(DCD記事)で小規模な障害が発生している。

TechCrunchはIBMの広報チームに連絡を取っており、詳細が確認でき次第この記事を更新する予定だ。

アップデート1(太平洋標準時午後5時06分):IBM Cloudが徐々に復旧しているという報告がいくつ寄せられ、また同社のステータスページも復旧しており、当分の間はクラウドサービスの停止が続くことが示されている。

アップデート2(太平洋標準時午後5時25分):IBMはステータスページはさらに情報を追加し続けており、問題の核心にはネットワークにあるようだ。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazon KendraはAIと機械学習で企業内サイトの検索精度を強化

エンタープライズサーチは常に難題だった。目標は社内用のGoogle検索だ。キーワードを入力すると結果の上位に、常に完璧な結果を得たい。でもローカルな検索ではコンテンツが少ないので、満足な結果を得ることが難しかった。

Google(グーグル)にはWorld Wide Webという大きな宇宙があるが、エンタープライズが得る検索結果はもっと小さい。対象が少なければ理想的な結果を得やすいと思いがちだが、事実はその逆だ。データは、多ければ多いほど目的の情報を得やすい。

Amazon(アマゾン)は、エンタープライズサーチでもウェブのような完全な結果が得られるために、機械学習の導入による検索技術のアップデートを目指している。

米国時間5月11日に同社が一般公開したAmazon Kendraは、同社が昨年のAWS re:Inventで発表したクラウドベースのエンタープライズサーチプロダクトだ。自然言語処理の機能があるのでユーザーは単純に質問を入力でき、すると検索エンジンに接続された複数のリポジトリから正確な答えを見つける。

同社はリリース声明で「Amazon Kendraはエンタープライズサーチをゼロから作り直して、ユーザーは正しいキーワードだけでなく本当の質問を入力して、複数のデータサイロ全域を検索できる。そして内部では機械学習のモデルを利用してドキュメントの内容とそれらの間の関係を理解し、リンクのランダムなリストではなくユーザーが求める正確な答を提供する」と説明している。

AWSはこの検索エンジンを、IT、ヘルスケア、保険など主要な業種分野別にチューンアップしている。年内に対応を予定している業種分野は、エネルギー、工業、金融サービス、法務、メディア、エンターテインメント、旅行とホスピタリティ、人事、ニュース、通信、鉱業、食品と飲料、そして自動車だ。

ということは、この検索エンジンは各専門分野の特殊な用語も理解するので、導入したらその日からすぐに使える。また、会社で作るアプリケーションやウェブサイトにKendraを組み込んでもいい。現在では検索入力に必須ともいえる、入力補助機能(先行入力機能)もある。

エンタープライズサーチの歴史は長いが、今回AIと機械学習が加わったことによって、ついにその最終解が得られたと言えるかもしれない。

関連記事:AWS announces new enterprise search tool powered by machine learning(AWSがエンタープライズサーチに機械学習を導入、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自社のクラウドストレージAPIをAmazon S3互換にしてAWSに挑戦するBackblaze

Backblazeは米国時間5月4日、同社のB2 Cloud Storageサービスを、AmazonのS3ストレージサービスとAPI互換にしたことを発表した

Backblazeは、手頃な価格のクラウドバックアップサービスとして業務を立ち上げた。ここ数年はストレージの専門知識を活用して、デベロッパー向けにB2 Coloud Storageというサービスを立ち上げてきた。大手のクラウドベンダーの同様の機能よりも、大幅に価格が安いのがウリだ。B2の料金は、1GBあたりで毎月0.005ドル(約0.5円)から。ちなみにAWSのS3は1GBあたり毎月0.021ドル(約2.2円)からとなっている。

ただしデベロッパーは、ストレージの料金が安いというだけでは、プロ​​バイダーを切り替えることができない。複数の異なるシステムをサポートするには、それなりのコストがかかる。

B2をS3に対してAPI互換とすれば、デベロッパーは単にストレージをBackblazeにリダイレクトするだけでいい。大規模なプログラムの書き換えは必要ない。

「ここ数年、多くの企業が、私たちの驚くほど使いやすいクラウドストレージを愛用してきました。それによって信じられないような成果を達成することができたのです」と、Backblazeの共同創立者でCEOのGleb Budman(グレブ・バドマン)氏は述べた。「今回、既存のツールとワークフローをそのまま使えるようにすることで、より多くの企業が私たちのストレージを利用できるようになることに、いっそうワクワクしています」。

現在のB2の顧客には、American Public Television、Patagonia、Verizon’s Complex Networksといった企業が名を連ねる(編注:VerizonはTechCrunchの親会社であるVerizon Media Groupの盟主)。Backblazeによると、B2サービスには合計で約10万の顧客がいる。今回の立ち上げに最初から参加しているパートナーとしてはCinafilm、ファイル転送およびストリーミングサービスを提供するIBMのAspera、ストレージ専門企業のQuantum、クラウドデータ管理サービスのVeeamなどが含まれている。

「パブリックなクラウドストレージは、ポストプロダクションのプロセスにとって不可欠な要素になっています。最新の機能強化により、ベンダーとしての私たちと顧客の双方にとってBackblazeのB2 Cloud Storageへのアクセス性が向上しました」と、Quantumの製品マーケティング担当上級役員、Eric Bassier(エリック・バシエ)氏は述べている。「新しいS3互換APIを使用して、Backblaze B2をStorNext互換のパブリックなクラウドストレージのターゲットリストに追加できます。それにより、ハイブリッドでマルチクラウドなワークフローを実現するための新たなステップを踏み出すことができるのです」。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

AWSが放送局級のライブ配信が可能になるデバイス「Elemental Link」をリリース

米国時間5月4日、AWSはElemental Link(日本語ページ準備中)を発表した。これはポータブルな動画圧縮、アップロード用ハードウェアデバイスで AWS Elemental MediaLive サービスと組み合わせて誰でも手軽に放送局レベルの高品位なライブ動画配信が可能となる。重さは500g、価格は995ドル(約10万6000円)で、カメラに接続すると動画にリアルタイムで強力な圧縮をかけてAWSのライブ配信サービスにアップロードする。

デバイスはファンレスなので耳障りな作動音はなくカメラの横に置ける。Etherntに加えてビデオ信号の入力用にHD-SDIとHDMのポートがある。LinkはAWSのライブ配信サービス、Elemental MediaLiveにライブ動画を供給するデバイスで、デバイスは接続速度を検出して最適なデータ出力を行う。AWSの管理コンソールからリモートで操作できる。

AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏は発表で「放送局のような環境であれば、専用のハードウェアとエンジニアのチームが極めて高い水準でビデオのキャプチャ、エンコード、ストリーミング、保存を行う。しかし学校の授業、企業のプレゼンやカンファレンス、インディーのパフォーマンス、小規模なスポーツイベントなどでは、ハイエンドのビデオをライブ配信する予算やノウハウがないのが普通だ。高品質な動画を高い信頼性でストリーミング配信するにはこれまでは専用のハードウェアと操作が複雑なソフトウェアのインストールが必要だった」と説明する。

AWSは クライアントにネットワーク局を持つだけなく、最近人気が急上昇しているゲームビデオのTwitch TVの配信もホストしており、ストリーミングの経験は豊富だ。

もちろんLinkデバイスのターゲットは個人のゲーマーではなく高品位で安定したビデオ配信を必要とする企業などの組織だ。AWSのElemental MediaLiveサービスはTwitchのような一般ユーザー向けストリーミングプラットフォームよりは操作は複雑だ。また複数のカメラやパソコンなどビデオソースを切り替えながらライブ配信をしようとすれば、Open Broadcaster SoftwareのOBS Studioのようなソフト、BlackmagicのATEM Miniなどのハードが必要になるだろう。

Linkからインターネット経由でアップされたビデオはMediaLiveが処理し、外部の各種ストリーミングサービスに適したフォーマットで出力することになる。バー氏によれば、AWSはリソースのモデル化テンプレートを提供するCloudFormationを利用して簡単にこの設定が行えるよう準備をしているという。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

パンデミックが吉と出たクラウドインフラストラクチャのベンダーは売上が急増

企業のクラウドへの移行が安定的な動きとして始まっていたのは、COVID-19の影響よりも前からだと言っても過言ではない。それは2019年のRe:inventのキーノートでAndy Jassy氏が言ったように、AWSにとって十分な速さではないかもしれなかったが、でもそれが起きていたことは事実であり、クラウドインフラストラクチャの市場全体が売上の着実な増加を経験していた。

市場の主な選手たちの至近の四半期の決算を見ると、パンデミックと経済の低迷で成長が鈍化した気配もない。むしろそれは、成長に貢献しているのかもしれない。

Synergy Researchが発表した数字によると、クラウドインフラストラクチャの全体の市場規模は2020Q1で290億ドルである。

画像クレジット: : Synergy Research

長年この市場をウォッチしているSynergyのJohn Dinsdale氏によると、パンデミックはささやかながらその成長に貢献している。数字は伸びても企業が無傷であるわけではないが、でも企業がオペレーションをオフィスからシフトしていることも、第一四半期にクラウドの需要が増加した一因と思われる。

Dinsdale氏は、声明で次のように述べている: 「確かに、パンデミックはクラウドのプロバイダーにとっても問題だが、この先の見えない時期にあってパブリッククラウドは、正常なオペレーションを維持しようとして苦労しているエンタープライズに柔軟性と避難場所を提供している。クラウドプロバイダーの売上は目を見張るほどの成長率で伸びており、AWSとAzureを合わせた年商は600億ドルを優に超える勢いだ」。

100億ドルあまりの四半期売上で市場の1/3を支配するAWSが先頭を走り、マーケットシェアでは他の追随を許さない。二位のMicrosoft(マイクロソフト)は59%という急成長を見せ、市場の18%を握っている。数字を公表しないMicrosoftに代わってSynergyの試算によれば、Azureの四半期売上は52億ドルだ。一方Googleは、28億ドルで三位である。

それぞれ国内のマーケットシェアはAWSが32%、Microsoftが18%、Googleが8%だ。これらの比率はかなり安定しているが、しかしMicrosoftはここ数四半期の間に数ポイントを稼ぎ、成長率ではAmazonを上回っている。

関連記事: AWSのQ1は売上は1兆円を突破し年商4兆円超が視界に

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSのQ1は売上が100億ドルを突破し年商400億ドルが視界に

Amazon(アマゾン)のクラウド部門であるAWSは、それ自身単独でも相当成功している。今日(米国時間4/30)の同社の発表では、四半期売上が100億ドルを突破し、このクラウド事業の年商は400億ドルを超える見通しとなった。

それは純利益が前年同期より10億ドル減って25億ドルになったAmazonの決算報告の、明るい側面だ。

多くの企業がAmazonのビジネスの全体を見ようとするが、しかしAWSは2006年にAmazonのサイドビジネスのようなものとして始まり、強力な独自のビジネスへと成長した。ただし、今なお33%の成長率で活発に成長しているが、そろそろ大数の法則が働き始めてやや鈍化してきた。

関連記事: Amazon Q1 beats on net sales of $75.5B but posts net income of $2.5B, down $1B on a year ago…Amazonの2020Q1は売上好調で利益はダウン(未訳)

Microsoftの昨日の決算発表によるとAWSのライバルAzureは59%も成長したが、率ではなくマーケットシェアの絶対額では、先頭馬のAWSが相変わらず強い。

BloombergのJon ErlichmanがAWSのQ1の売上を過去7年ぶん、ツイートで羅列している。それを見ると、AWSの成長のすさまじさがよく分かる:

2014年には、それは年商ほぼ40億ドルのビジネスだった。今年はその10倍近くになり、まだ成長はやまない。市場がまだまだ大きいから成長の余地が十分にある。今はパンデミックとそれによる経済の停滞にみんなが悩んでいるが、実は経済の低迷は企業をクラウド化へ向かわせる強力な動機になる。それまでクラウドを考えもしなかったような企業ですら、迅速な移行を検討する。

パンデミック好機説はすべてのクラウドベンダーについて言えることだが、経済が縮小すればむしろ、これらのベンダーが提供するサービスの需要が高まり、そのため当面の間、成長が続くのだ。

関連記事: AWS is sick of waiting for your company to move to the cloud…AWSは一般企業のクラウド化に未来を賭ける(未訳)

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DevOpsのためのモニタリングと試験プラットフォームのChecklyがシードで2.4億円相当を調達

DevOpsチームのためのモニタリングと試験のプラットホームを開発しているベルリンのChecklyが米国時間4月28日、Accelがリードしたシードラウンドで225万ドル(約2億4000万円)を調達したことを発表した。エンジェル投資家でInstanaのCEOであるMirko Novakovic(ミルコ・ノバコビッチ)氏やZeitのCEOであるGuillermo Rauch(ギジェルモ・ラウフ)氏、Twilioの元CTOであるOtt Kaukver(オット・カウクバー)氏らも、この投資に参加した。

同社のSaaSプラットホームを利用することでデベロッパーは、彼らのAPIエンドポイントとウェブアプリケーションをモニタし、異変の警告を受けることができる。そのトランザクションモニタリングツールを使えば、フロントエンドのウェブサイトの試験を定期的に繰り返し行うことが容易になり、コードは一行も書く必要がない。この試験ソフトウェアはGoogleのオープンソースのPuppeteerフレームワークを使っており、そしてその商用のプラットフォームを開発するためにChecklyはさらに、Puppeteer Recorderというものを開発して、エンドツーエンドの試験スクリプトをローコードツールの中に作り込んでいる。デベロッパーはそれに、Chromeのエクステンションからアクセスする。

モニタリングツールの市場は混み合っているが、Checklyのチームはエンドツーエンドの試験とアクティブモニタリングの組み合わせ、およびモダンなDevOpsチームへのフォーカスが自分たちの強みだと考えている。

創業者のTim Nolet(ティム・ノレット)氏は 「モニタリングの市場の1人の顧客として、それらのツールは90年代にずっと行き詰まりになっていて、チームをJavaScriptでサポートし、DevOpsのチームの中のいろんな役割で使えるツールが必要だと感じていた。自分で作り始めてみてすぐに気づいたのは、モニタリングと同様に試験も重要だということだ。Checklyで開発したのは、顧客が以前からずっと求めていたような新しいタイプのツールだ。評価は口コミですでに相当広がっている。DevOpsのチームに信頼されるプラットフォームというビジョンの今後の構築に向けて、Accelをパートナーにできたことは非常にうれしい」と語っている。

Noletの共同創業者は、TestObject(後にSauce Labsが買収)を創ったHannes Lenke(ハネス・レンケ)氏と、Saucd LabsのEMEA担当営業部長だったTimo Euteneuer(ティモ・オイチューニア)氏だ。

同社によると現在の顧客は約125社で、同社のプラットフォーム上で1日に100万回のチェックを行なっているとのこと。料金は個人デベロッパーなら月額7ドル(約750円)から、小さなチームのためのプランは月額29ドル(約3090円)となっている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウド需要の急増が突きつけるグリーンエネルギーの課題

このロックダウン期間中に、膨大な数の人が仕事でビデオ会議を行っている。しかし、燃料を使う通勤手段をデジタルコネクティビティで置き換えると、個人が2時間のビデオ会議で使用するエネルギーは、4マイル(約6.4km)電車に乗る場合に使う燃料よりも大きなものになる。これに加えて、数百万人の学生が、徒歩ではなくインターネットを使って教室に「通って」いる。

一方、デジタル空間の他の領域では、科学者たちが研究を加速するためにアルゴリズムを猛烈な勢いで展開している。にもかかわらず、ひとつの人工知能アプリケーションのパターン学習フェーズが消費するエネルギーは、1万台の自動車が1日で消費するものを上回る可能性があるのだ。

社会のエネルギー使用を変化させるこの壮大な「実験」は、少なくとも間接的には、ある高レベルの事実セットで見ることができる。4月の第1週までに、米国のガソリン使用量は30%減少したが、全体的な電力需要の現象は7%未満だった。この動きは、実際のところ将来の基本的な傾向を示している。移動用燃料の使用量は最終的には回復するだろうが、真の経済成長は電気を燃料として使うデジタル未来に結びついている。

今回の新型コロナウイルス(COVID-19)危機は、経済が最後に崩壊した2008年のような「大昔」のインターネットと比べて、2020年のインターネットがどれほど洗練され、堅牢であるかを浮き彫りにしている。もし当時、全国でロックダウンが行われていたとしたら、現在在宅勤務している数千万人のほとんどが、解雇された約2000万人の集団に加わっていただろう。また当時だったら、何千万人もの学生や生徒が自宅で学習することも、大学や学校にとって現実的なものではなかった。

アナリストたちは、あらゆる手段での在宅勤務によるインターネットトラフィックの大幅な増加を様々な場所で発表している。デジタルトラフィックを使った手法は、オンライン食料品からビデオゲーム、そして映画のストリーミングまで、あらゆるものに対して急増している。これまでのところ、システムはすべてを適切に処理しており、クラウドは継続的に利用可能で、散発的な問題が発生する程度だ。

新型コロナウイルス危機に際してのクラウドの役割は、ワンクリックのテレビ会議やビデオチャットだけではない。遠隔医療がついに現実のものになった。例えば、症状を自己診断するためのアプリや、X線診断を強化したり、接触者追跡を支援するAIツールがどんどん登場している。また、クラウドを利用することで、研究者は臨床情報の「データレイク」を迅速に作成し、治療法やワクチンを探求するために展開されている現代のスーパーコンピュータの天文学的な能力を活用できるようになった。

AIとクラウドの未来は、新しい治療法のための超迅速な臨床試験はもちろんのこと、実用的な家庭診断や便利なVRベースの遠隔医療とともに、上記のようなことをたくさんもたらしてくれるだろう。そして、ここに述べたことは、医療の一部ではない残り80%の経済で、クラウドが何を可能にするかについてはまだ何も述べていないのだ。

これらの新機能がもたらしてくれるすべての興奮のために、クラウドコンピューティングの背後にある基盤システムは、エネルギーの需要を増やし続けている。エネルギーを節約するどころか、私たちのAIを利用した作業環境では、これまで以上に多くのエネルギーが使用されている。これは、テクノロジー業界が今後数年間で迅速に評価および検討する必要がある課題なのだ。

新しい情報インフラストラクチャ

クラウドは重要なインフラストラクチャである。これにより、多くの優先順位が再構成される。ほんの数カ月前には、ハイテク業界の大企業たちは、エネルギー使用量の削減と運用のための「グリーン」エネルギーの推進についての誓約の公言に対して、お互いに肩を並べていた。もちろん、そうした問題は引き続き重要だ。しかし、信頼性と回復性、つまりシステムの可用性(availability)が今や最優先事項となった。

2020年3月、国際エネルギー機関(IEA)の専務理事であるFatih Birol(ファティ・ビロル)氏は、風力発電と太陽光発電の将来について、外交的な控えめな言葉で次のように語っている。「今日、私たちは、デジタル技術への依存度がさらに高まっている社会を目の当たりにしています」そのことは「政策立案者が極端な状況下での柔軟性のある資源の潜在的な可用性を慎重に評価する必要性を強調しています」。新型コロナウイルスの危機に続くだろう経済的に困難な時代には、「可用性」を確保するために社会が支払わなければならないコストがはるかに重要なものになるだろう。

太陽光および風力技術で 高信頼性の電気を提供することは、依然として法外に高価なものだ。太陽光、風力発電が「グリッドパリティ」(既存電力コストと同等もしくはそれ以下になること)になっていると主張する人びとは、現実を見ていない。データによれば、風力発電や太陽光発電のシェアが米国よりもはるかに高い欧州では、送電網のキロワット時(kWh)のコスト全体が約200~300%高くなっていることがわかる。注目すべきは、消費者の大きな負担を横目に、テック企業を含む大規模な産業用電力需要家は、一般的にグリッド平均からの大幅な割引を受けているということだ。

やや単純化していうならば、大手ハイテク企業がスマートフォンにデータを流すための電気代への支払いが少なくて済むように、各消費者が家庭の電力供給に対して多くのお金を払っていることを意味する(私たちは、今回の危機後の世界で、市民がこの非対称性に対してどれほど寛容であるかを見届けることになるだろう)。

そのような多くの現実は、実際には、クラウドのエネルギー動向が個人的な移動と反比例するという事実によって隠されている。個人的な移動を考えると、消費者は自分の車のガソリンタンクを満たすときに、エネルギーの90%が費やされる場所を、文字通り自分の目で見ている。しかし「接続された」スマートフォンに関していえば、エネルギー消費の99%は遠隔地にあるクラウドの、広大なしかしほとんど目に見えないインフラの中に隠されているのだ。

こうした方面に詳しくない人のために説明すると、クラウドを駆動する貪欲なデジタルエンジンは、人の目に触れない何の変哲もない多数の倉庫規模のデータセンターの中に格納されている。そこには膨大な数の冷蔵庫サイズのラックが立ち並び、そこに置かれたシリコンのマシン群が、私たちのアプリケーションを実行し爆発的に増えるデータを処理している。多くのデジタルの専門家でさえ、そうしたラックのひとつひとつ毎年50台のテスラよりも多くの電力を消費していると知ると驚く。さらにこうしたデータセンターは、グラスファイバーで構成された約10億マイル(約16億km)の情報ハイウェイと、400万基の携帯基地局が作り上げる、さらに巨大な目には見えない仮想ハイウェイシステムを通して、データを送受信する(電力消費のさらに激しいハードウェアを備えた)市場と接続されているのだ。

このようにして、数十年前には存在しなかった、グローバルな情報インフラストラクチャは、ネットワークやデータセンターから驚くほどエネルギーを大量に消費する製造プロセスに至るまで、すべての構成要素を数え上げるなら、現在では年間約2000テラワット時(TWh)の電力を使用するシステムにまで成長したのだ。これは、全世界の500万台の電気自動車すべてが、毎年使用する電力の100倍以上の量だ。

これを個人レベルの話にするなら、個別のスマートフォンが年間で使用する平均電力は、典型的な家庭用冷蔵庫が使用するエネルギーよりも大きいことを意味している。そして、このような見積もりはすべて、数年前の情勢に基づいたものだ。

よりデジタル化される未来は、必然的により多くのエネルギーを使用するだろう

一部のアナリストは、近年デジタルトラフィックは急増しているものの、効率性の向上により、データ中心のエネルギー使用量の伸びは鈍化しているか、あるいは横ばいになっていると主張している。しかし、そのような主張は、拮抗する事実に直面している状況だ。2016年以降、ハードウェア建物 に対するデータセンターの支出が劇的に増えてしているが、そこにはハードウェアの電力密度の大幅な増加も伴っている。

近年、デジタルエネルギーの需要の伸びが鈍化したかどうかとは関係なく、クラウドの急速な拡大が進んでいる。クラウドのエネルギー需要がそれに比例して増加するかどうかは、データの使用量がどれだけ速く増加するか、そしてクラウドの用途に特に大きく依存する。エネルギー需要の大幅な増加は、クラウドの中心的な運用指標 、すなわち可用性を満たすための、エンジニアリングと経済的な課題をはるかに難しいものにする。

過去5年間でその前の10年間全部よりも、広い面積のデータセンターが 建設された。「ハイパースケール」データセンターと呼ばれる新しいカテゴリさえも生まれている。それぞれが100万平方フィート(約9万3000平方メートル)を超える、マシンで満たされた建物のことだ。これらを、1世紀前の不動産用語である「超高層ビルの夜明け」と同じものだと考えて欲しい。しかし、現在の世界には、エンパイアステートビルディング並の大きさの超高層ビルは50棟未満しかないが、地球上には既に約500カ所ほどのハイパースケールデータセンターがある。そして後者は合計すると、6000棟を超える超高層ビルに相当するエネルギーを必要としている。

クラウドトラフィックの成長を推進しているものが何かを推測する必要はない。このリストのトップを占める要因はAI、より多くの動画、特にデータを多用するバーチャルリアリティ(VR)、そしてネットワークの「エッジ」に置かれたマイクロデータセンターの拡大だ。

最近まで、AIに関するほとんどのニュースは、従来の仕事を奪う可能性の側面に焦点を当てたものが多かった。だが真実は、AIは生産性向上を推進するツールの最新版に過ぎない。こうしたツールは、生産性の向上が歴史の中で常に行ったきたことを再現することになる。つまり雇用を拡大し、より多くの人びとのためにより多くの富を生み出すのだ。新型コロナウイルス感染症からの復活の過程では、より多くの雇用や富の生産が必要とされる。だが、それについて話すのはまた別の機会にしよう。現時点では、個人の健康分析やドラッグデリバリーから医学研究や就職活動に至るまで、あらゆる分野の中にAIが果たす役割があることは既に明らかだ。おそらくAIは、最終的には「善い」ものと見なされるようになるだろう。

だがエネルギーに関していえば、AIはデータを大量に使い、電力を大量に消費するシリコンを使用している。そして世界は膨大な数のそのようなAIチップを使用したがっている。一般に、機械学習に費やされる計算能力は、数カ月ごとに倍増している、これはムーアの法則の一種のハイパーバージョンだ。例えば、Facebookは2019年にデータセンターの電力使用量が毎年倍増する主な理由としてAIを挙げている。

近い将来、数週間のロックダウンの最中に、小さな平面スクリーンでのビデオ会議の欠陥を経験した消費者たちが、VRを使ったビデオの時代への準備が整っていることにも期待しなければならないだろう。VRでは画像密度は最大1000倍までに増加し、データトラフィックが約20倍に増加する。進み方は断続的だったが、技術的には準備ができており程なくやってくる高速5Gネットワークは、そうした増加するピクセルを処理する能力を備えている。ただし繰り返しておく必要があるが、すべてのビットは電子であるため、バーチャルリアリティの増加は現在の予測よりも多くの電力需要につながることを意味している。

これに加えて、顧客の近く( エッジ )にマイクロデータセンターを構築する最近の傾向が挙げられる。会議やゲーム用のVR、自動運転車、自動化された製造業、あるいはスマート病院や診断システムなどの「スマート」な物理インフラなどのリアルタイムアプリケーションに、遠隔地のデータセンターからAI駆動のインテリジェンスを届けるには、光の速度は遅すぎるのだ(ヘルスケアにおけるデジタルとエネルギーの密度自身は、既に高く上昇している。病院の単位面積あたりのエネルギー消費量は、他の商業ビルの5倍程度に達しているのだ)。

エッジデータセンターは、この先10年も経たないうちに、10万メガワット(MW)の電力需要を積み上げると予想されている。別の見方をすれば、これはカリフォルニア州全体の電力網の電力容量をはるかに超えている。これらもまた、近年のエネルギー予測のロードマップには載せられていなかったものだ。

デジタルエネルギーの優先順位は変わるのか?

これは関連する質問へとつながる。ポストコロナウイルス時代のクラウド企業は、支出をエネルギー免罪符へと集中させ続けるのだろうか、それとも可用性へと集中させるようになるのだろうか? この場合の免罪符とは、自社施設に対する直接給電以外の場所(海外を含む)に対する、風力、太陽光発電への企業投資のことを指している。それらの遠隔地での投資は、実際には自社の施設に電力を供給していないにもかかわらず、自分たちの施設がグリーン電力であると主張するために「クレジット」されている。

グリーンエネルギーを求める企業が、従来の電力グリッドから物理的に切断して、独自のローカル風力、太陽光発電を構築することを妨げるものは何もない。ただし、それを行って24時間年中無休の可用性を確保することで、施設の電力コストは約400%押し上げられることになる。

購入された免罪符としての電力の現状に関しては、世界の情報インフラは既に世界中の太陽光発電所と風力発電所を合わせた発電量よりも、多くの電力を消費しているということを知っておくと役立つ。したがって、テクノロジー企業にとって(誰にとってもだが)、デジタルエネルギーの使用をすべて相殺するための「クレジット」として購入できる十分な風力、太陽光エネルギーは、もはや地球上に存在しないのだ。

デジタルエネルギーの傾向を研究しているひと握りの研究者は、今後10年間でクラウドによるエネルギー使用量が少なくとも300%増加する可能性があると予測していたが、それは今回の世界的なパンデミックの前のことだ。一方、国際エネルギー機関(IEA)は、その期間における世界の再生可能電力は「単に」倍増するものと予測している。その予測もまた、新型コロナウイルス以前の経済状況下で行われたものだ。現在IEAは、不況がコスト高なグリーンプランへの財政意欲を減らすことを心配している

だが電気を作り出す技術の課題や議論がどうであれ、情報インフラの運営者にとっての優先順位は、ますます必然的に、可用性を重視するものへと移っていくだろう。それは、クラウドが私たちの経済的な健康にますます密接に結びつくようになってきただけでなく、心と体の健康にも関係を持つようになってきたからだ。

そうした可用性の重視が引き起こす変化は、パンデミックと前例のないシャットダウンからの経済の回復の先に、何がくるかについて(グリーンエネルギーへの自らの取り組みが活発になるという意味で)私たちを楽観的にしてくれるはずだ。Microsoft(マイクロソフト)が、新型コロナウイルス以前に出したエネルギーマニフェストの中で、「人類の繁栄を進めることは……エネルギーの賢い利用と表裏一体である」と述べていたことを評価しよう(このマニフェストの中でマイクロソフトはグリーンエネルギーへの大規模な取り組みを表明している)。私たちのクラウドを中心とする21世紀型インフラストラクチャもこれと同じだ。そして、良い結果へとつながるだろう。

【編集部注】著者のMark Mills(マーク・ミルズ)氏は書籍「Digital Cathedrals: The Information Infrastructure Era」(デジタル大聖堂:情報インフラストラクチャ時代)」の著者であり、Manhattan Instituteのシニアフェロー、ノースウェスタン大学のMcCormick School of Engineeringのファカルティフェロー、並びにエネルギーテックのベンチャーファンドであるのCottonwood Venture Partnersのパートナーである。

原文へ

(翻訳:sako)

Linux VMインフラのパフォーマンスを最適化するGranulateが13億円相当を調達

最近の企業は経費節減にますます熱心なため、その波に乗ってイスラエルのアーリーステージスタートアップGranulateは、インフラストラクチャの使い方を最適化する巧妙な方法を提案しようとしている。同社は米国時間4月22日にシリーズAで1200万ドル(約12億9000万円)を調達した。

このラウンドはInsight Partnersがリードし、TLV PartnersとHetz Venturesが参加した。投資に伴う合意により、Insight PartnersのマネージングディレクターのLonne Jaffe(ロン・ジャフェ)氏がGranulateの取締役会に加わる。Granulateによると、これで同社の調達総額は1560万ドル(約16億8000万円)になる。

同社は、オンプレミスでもクラウドでもインフラストラクチャのコストを20%から最大80%カットできると主張している。現在、世界の経済が大波乱に陥っているため、かなり意義のある節約率となる。

Granulateの共同創業者でCEOのAsaf Ezra(アサフ・エズラ)氏によると、同社はLinux仮想マシンについて徹底的な研究を行なった結果、その効率化技術に到達した。6カ月あまりの実験により、ボトルネックを取り除き、Linuxのカーネルが効率を大幅にアップするためにやっていることの利用の仕方を学んだ。

Linuxはリソースの公平性を目指して最適化をしていることが判明しているが、Granulateの創業者たちはその発想を逆転して、公平性ではなく反復性に着目した。多くのファンクションに公平にリソースを割り当てるのではなく、1つのファンクションに集中させる。

「実際のプロダクションシステムでは、マシンの中に大量の反復性がある。ユーザーは、1つのことをしっかりやって欲しいと考えている」と彼は語る。

またエズラ氏は、VMである必要はないと指摘する。コンテナやKubernetesのポッドで十分だという。ここで忘れてならないのは、Linuxに固有のインタラクティビティや公平性はもはや気にしないということであり、むしろ重要なのは、マシンがある特定のものに向けて最適化されていることだ。

「そのプロダクションシステムのユーティリティファンクションが何かを教えていただきたい。すると我々のエージェントが、そのユーティリティファンクションを用いるすべての意思決定を最適化する。つまり、そういう利益を得るために何一つコードを書き換える必要がない」とエズラ氏は説明する。

しかも、そのソリューションは機械学習を利用して、さまざまなユーティリティファンクションがどのように機能しているかを理解し、長期的にもっとパフォーマンスを向上するためのさらなる最適化を提供する。

InsightのJaffe(ジャフィ)氏は、そんなソリューションのポテンシャルと適時性をよく認識している。

「パフォーマンスの高いデジタル体験とインフラストラクチャの低いコストの両立が今ほど厳しく求められている時代はない。Granulateの機械学習を利用する高度に差別化されたプロダクトは、構成管理やクラウドリソースの購入などのレベルに依存していない」とJ声明で述べている。

エズラ氏も、このようなプロダクトが特に今、役に立つことを理解している。「我々は現在、ユニークな立場にいる。我々のプロダクトは現在、人を解雇せずにコストを節約することによって、沈滞期における企業の生存を助ける」と彼はいう。

同社は2018年に創業され、現在は20名の社員がいる。年内に倍増する予定だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

機械学習のモデルの管理を効率化するComet.mlがシードに次いで5億円相当を調達

いろんな仕事の新しいやり方、いわゆるニューノーマルを取り入れていくとき、新しいソフトウェアサービスを導入しようとする企業にとっては、あらゆることのもっと効率的な方法を探すことが何よりも重要になる。機械学習も、その例に漏れない。そこで、より効率的な機械学習プラットホームを作ろうとしているスタートアップComet.mlは今日(米国時間4/22)、450万ドルの新たな資金調達を発表した。

同社は以前、230万ドルのシード資金を調達しているが、今回の投資家もそのときと同じく、Trilogy Equity PartnersとTwo Sigma VenturesおよびFounder’s Co-opだ。

同社の共同創業者でCEOのGideon Mendels氏は次のように語る: 「われわれはセルフホストでクラウドベースの、メタ機械学習プラットホームを提供し、データサイエンスのAIチームと組んで、自分たちの実験とモデルを試行し説明し最適化しようとする彼らの作業を管理する」。

競合他社がどんどん増えている分野だが、Mendelsによると、複数のプラットホーム間を容易に移動できる能力が、同社のいちばん重要な差別化要因だ。

彼はこう説明する: 「われわれは基本的に、インフラストラクチャを特定しない。だから顧客は自分のモデルの訓練を、ラップトップでも、プライベートなクラスターでも、あるいは、あまたあるクラウドプロバイダーのどれかでも、どこでやってもよい。どこでやるかは関係ないし、それらを切り替えてもよい」。

同社のプロダクトにはコミュニティバージョンともっと高度なエンタープライズバージョンがあり、後者はBoeingやGoogle、Uberなどが顧客だ。両プロダクト合わせて、同社プラットホームのユーザーはおよそ1万だ。

Mendels氏によると、Cometはそのプラットホームの人気を利用して、顧客が一般公開しているデータをベースにモデルを構築できた。その最初のものは、モデルが訓練疲労をいつ見せ始めるかを予測した。コメットのモデルはそれがいつ起きるかを当てることができ、データサイエンティストたちに、そのような疲労が通常起きるタイミングよりも30%早く、モデルをシャットダウンするよう合図することができた。

同社は2017年にシアトルで行われたTechStars/Alexaでローンチした。コミュニティバージョンのプロダクトがデビューしたのは、2018年だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SaaSアプリケーションとAWSサービスをデータフローで統合するAmazon AppFlowがローンチ

AWSが今日(米国時間4/22)、Amazon AppFlowローンチした。それはAWSとGoogle AnalyticsやMarketo、Salesforce、ServiceNow、Slack、Snowflake、ZendeskなどなどSaaSアプリケーションとの間の、データの移送を容易にするサービスだ。同様のサービスとしてMicrosoft AzureのPower Automateなどがあり、いずれも何らかのイベントをトリガーとして、一定の時間に、またはオンデマンドでデータの伝送を開始する。

しかし競合製品とやや違ってAWSはこのサービスを、ワークフローを自動化する方法としてよりもむしろ、データ伝送サービスと位置づけている。そしてデータフローは双方向が可能だが、AWSの発表は主に、SaaSアプリケーションからそのほかのAWSサービスにデータを送ってさらに分析する、という使い方にフォーカスしている。そのためにAppFlowには、伝送時にデータを変換するさまざまなツールがある。

AWSの主席アドボケイト(advocate, 製品推奨係)Martin Beeby氏が、今日の発表で次のように述べている: 「デベロッパーはSaaSアプリケーションとAWSのサービスの間でデータを受け渡して分析するために、大量の時間を費やして両者の統合のためのコードを書いている。それはとても高くつく仕事であり、数か月かかることもある。データの要求が変われば、そうやって書いた統合に、さらに高くつく複雑な変更を加えなければならない。技術的リソースが十分にない企業は、アプリケーションのデータを手作業でインポートしエクスポートしているかもしれない。それもまた時間がかかるし、データ遺漏のリスクがあり、人的エラーも入り込む」。

データのフローは、ソースのアプリケーションを呼び出してデスティネーションのAWSサービスに送る場合、AppFlowの料金体系では1フローにつき0.001ドルだ。しかし通常のAWSの使い方では、データ処理のコストもある。それは、1GBあたり0.02ドルからだ。

AWSの副社長Kurt Kufeld氏は次のように言う: 「弊社の顧客は、データの保存や処理や分析はAWSでやりたい、と言う。彼らはまた、サードパーティのさまざまなSaaSアプリケーションも使っていて、AWSとそれらのアプリケーション間のデータフローを管理するのが難しい、とも言っている。Amazon AppFlowは、AWSとSaaSアプリケーションのデータを、オープンで公共的ネットワークであるインターネット上で移動せずに、直感的なわかりやすいやり方で結びつける。Amazon AppFlowを使えば、企業のすべてのアプリケーションに散在する数ペタバイト、ときには数エクサバイトものデータをAWSに持ち込むことができ、しかもそのためにカスタムのコネクターを開発したり、APIとネットワークの接続性を管理する必要もない」。

サポートされているサービスはまだ比較的少なく、ソースが14、デスティネーションが4(Amazon RedshiftとS3、Salesforce、Snowflake)だ。デスティネーションとして、AmazonのストレージサービスS3しかサポートされていないソースもある。

もちろん、統合の数は今後増えるだろうが、今のところはサポートされるサービスがもっと多くなることを、AppFlowのチームの努力に期待したい。

AWSは長年、この市場を競合他社に譲ってきたが、しかしそれでも、AWSの複数のサービス間のサーバーレスのワークフローを作るツールAWS Step Functionsや、複数のアプリケーションをこれもサーバーレスで接続するEventBridgeなどがある。サポートされているサードパーティのソースは、今のところEventBridgeの方が多い。でも名前にEventがあるように、これはAWSでイベントをトリガーすることが主で、アプリケーション間のデータ伝送がメインではない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

クラウドの自由にIaCによるガバナンスを結びつけるEnv0が創業1年半で公開ベータへ

各社におけるインフラストラクチャアズコード(Infrastructure as Code, IaC)のデリバリーに何らかの秩序をもたらしたいと願うEnv0が今日(米国時間4/21)、同社の最初のプロダクトのベータをリリースし、並行して330万ドルのシード資金の獲得を発表した。

Boldstart VenturesとGrove Venturesがこのラウンドを共同でリードし、これにSnykのGuy Podjarny氏など数名のエンジェル投資家が参加した。

同社の共同創業者でCEOのOhad Maislish氏によると、デベロッパーがコードをはやくデリバリーできる能力は祝福でもあり呪いでもある。そしてEnv0は、コードがいつ、どのようにコミットされるかを、ITがある程度コントロールできるようにする。

「企業が今抱えるチャレンジは、クラウドネイティブなやり方の中で、クラウドリソースのセルフサービスと管理との間で適切なバランスを実現することだ。そしてバランスのとり方には可視性と予測可能性と、いちばん重要なクラウドのセキュリティとコストをめぐるガバナンスが必要だ」、とMaislish氏は言う。

同社のプロダクトを使うとユーザー企業は、デベロッパーがコードをデリバリーしてよいタイミングとその費用を定義でき、何でも・いつでも・いくらかかっても主義から脱皮させる。そのためには工程の全体的なコントロールをアドミニストレータに与え、彼/彼女がテンプレートとプロジェクトを定義する。テンプレートは、どのクラウドベンダーにはどのリポジトリーとプロダクトを使うのかを定義し、そしてプロジェクトをテンプレートにアクセスしてよいユーザーに関連付ける。

画像クレジット: Env0

Boldstart Venturesの創業者でマネージングパートナーのEd Sim氏によるとEnv0には、今日の継続的デリバリーをベースとする環境でデベロッパーが必要とするガバナンスとスピードの間の良質なバランスを見つける能力がある。Ed Sim氏は声明でこう述べている: 「Env0は、基本的にセルフサービスであるクラウド環境に統一的なガバナンスをもたらすことによって、これらのニーズのすべてを満たすことのできる、初めてのSaaSソリューションだ」。

今のような経済状況の中でアーリーステージの企業を立ち上げるのは容易ではないが、でもMaislish氏が信じているのは、セルフサービス型の開発をコントロールする方法を提供できる、という同社の独特の位置づけと能力だ。デベロッパーが家で仕事をしていて、ITの視界とセキュリティの外にいる今のような時期は、それがなおさら重要だ。

同社がローンチしたのは18か月前で、これまでずっと非公開ベータだった。そして今日が、公開ベータの初日となる。今の社員数は10名だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Alibaba Cloudが今後3年間で約3兆円をインフラに追加投資

Alibaba Cloudは米国時間4月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対応に適応し、ビデオ会議やライブストリーミングなどのサービスへの需要が高まっていることから、今後3年間でさらに2000億人民元(約3兆円)を同社のインフラに投資すると発表した。

今回の投資はAlibaba CloudのOS、サーバー、チップの技術を、同社データセンターに拡大することに重点を置いている。Alibaba Cloudは現在、アジア、オーストラリア、中東、ヨーロッパ、米国に63のアベイラビリティゾーンを設けている。

Alibaba Cloud Intelligenceの社長であり、Alibaba(アリババ)グループの最高技術責任者であるJeff Zhang(ジェフ・チャン)氏はプレスリリースで「クラウドインフラストラクチャと基盤技術への投資を増やすことで、世界クラスの信頼性の高いコンピューティングリソースを引き続き提供し、企業のリカバリプロセスのスピードアップを支援するとともに、クラウドベースのインテリジェントソリューションを提供して、パンデミック後の世界におけるデジタルトランスフォーメーションをサポートしていきたいと考えている」と述べている。

アリババは2020年2月に発表した直近の四半期決算報告書では、クラウド部門の収益が62%増の15億ドル(約1600億円)だった。Gartner(ガートナー)によると、Alibaba Cloudはアジア太平洋市場におけるトップのクラウドプロバイダーだという。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

クラウドのセキュリティを問題別にプレーブック化したBridgecrewが15億円相当を調達

経済状況が厳しくなると、企業は自動化によってできるかぎりコストを下げようとする。そこで、クラウドのセキュリティを自動化するツールを提供しているアーリーステージのスタートアップBridgecrewは、今日(米国時間4/17)シリーズAで1400万ドルを調達したことを発表した。

Battery Venturesがこのラウンドをリードし、参加したNFXは同社の400万ドルのシード投資家だ。ほかにも、Sorensen Ventures、DNX Ventures、Tectonic Ventures、そしてHomeward Venturesが参加した。数名の個人投資家も、この投資に加わった。これで同社の調達総額は1800万ドルになった。

BridgecrewのCEOで共同創業者のIdan Tendler氏によると、クラウドリソースのプロビジョニングはますます容易になっているけど、それと共にセキュリティは逆にますます難しくなっている。企業のクラウドの利用では、「DevOpsでセキュリティ技術が大きなボトルネックになっていて、DevSecOpsになっていない。クラウドのインフラストラクチャのセキュリティにも問題がある」。あちこちでその実態を見たTendler氏は、Bridgecrewの創業を着想した。

同社が目にしたのは、問題の多くに構成ミスが絡んでいることだ。そして既存のセキュリティソリューションはいろいろあるけど、費用が高い。またそれらのソリューションは、セキュリティの問題を自分で実際に直さなければならない技術者向けにできていない。

そこで同社は、技術者の考え方や仕事の仕方に合ったソリューションをクラウドユーザーである企業に提供したい、と考えた。Tendler氏はこう説明する: 「そのためにやったのは、問題を条文で表すことだ。技術者がやってることを、条文で書き表す。会社のクラウド環境を改善するために彼らがやるべき仕事のすべてを書き出して、プレーブックを作った」。

そんなプレーブックがあれば、個々の具体的な問題も解決しやすくなる。よくあるタイプの問題でなく、新しい問題にぶつかったら、プレーブックを新たに書く。彼によると、問題の90%はかなり一般的で、AWSのベストプラクティスに従うとか、SOC-2基準書のコンプライアンスの問題などが多い。でも技術者が、自分のニーズに基づいて条文を変えてもよい。

Tendler氏によると、同社のプロダクトがオートメーションでコストを下げたいと考えている企業に実際に役に立っているので、社員を増やしたいと考えている。「そしてもっと速く成長したい。ニーズは大きいし、COVID-19でますます多くの企業がクラウド化でコストを下げようとしている。うちは、そんな彼らの前あるバリヤーを減らすお手伝いをして、クラウドのセキュリティのボトルネックをなくしたい」、という。

同社は14か月前に創業して、今では100冊のプレーブックがある。リーンな会社を志向しているので、社員はわずか16名だが、年内に倍増したいと言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のクラウド支出の無駄を削ぎ落とすイスラエル拠点のPileus

米国時間4月15日、正式にローンチしたイスラエル拠点のPileusは、企業のクラウドへの支出をコントロールをサポートする。同社はさらに、個人のエンジェル投資家からの100万ドル(約1億800万円)のシード資金の調達を発表した。

同社のプラットホームは機械学習を利用してユーザーのクラウドの使い方を継続的に学習し、それに基づいて予測や毎日の個人化されたリコメンデーションを提供して、クラウドの使い方が予算内に収まるよう導く。

現在AWSをサポートしているが、Google CloudとMicrosoft Azureにも近く対応する。

そのサービスはユーザーのクラウドの使い方に関するすべての情報を集めて、そこに異状を見つけようとする。クラウドへの支出の詳細なログを記録して詳しいレポートを提供し、またプロジェクトやリソースごとのクラウド支出をダッシュボードに表示する。

こんなプロジェクトを手がけた人はよくご存知と思うが、この種のレポートはその良否をタグに依存している。タグは、個々のプロジェクトやリソースを正確に同定できるものでなければならない。そこでPileusは、タグ付けのポリシーを強制できるタグ付けツールを提供し、タグに高い優先度を置いている。

PileusのCEO Roni Karp(ロニ・カープ)氏は「このソリューションの実現には、何度も徹夜しなければならなかった。Pileusをやっとリリースできることは、とてもうれしいし、多くのクラウドユーザーがこれまでよりも効率的に、クラウドの使い方や費用を理解できるようになってほしい」と語る。

Pileusは現在、30日の無料試用期間中だ。その後は月額180ドルまたは年額800ドルになるが、しかし実際に同社が徴収するのは、同社のサービスによって節約できた金額の1%だ。月額や年額は、あくまでも名目である。

同社が狙う顧客は、個々の企業だけではない。同社はマネージドサービスを提供しているクラウドプロバイダーにも食い込み、彼らの顧客への課金を管理しレポートを作る。カープ氏は「こっちの方が大きな売上になる」と想定している。「今、クラウドベンダーのためのツールにはいいのがない。特に狙うのはAzureだ」と語る。

しかしPileusが狙うこの市場にはすでに、スタートアップに人気のあるCloudabilityを初め先客がいる。しかしカープ氏は、Pileusは機械学習の利用とレポート提出の早さで有利だと見ている。競合他社は結果報告が数週間後というものがざらにあると彼は説明する。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Stackeryがアップデートしてサーバーレスアプリケーションのデプロイがさらに容易に

今年で4歳になるポートランドのスタートアップStackeryは、AWS上のサーバーレスのリソースをデベロッパーがもっと容易にデリバリーできるようにしてくれる。今日同社は、そのプラットホームにいくつかの機能強化を行なった。

サーバーレスのアプリケーションでは、開発チームが一連のトリガーイベントを定義し、そしてAWSのようなインフラストラクチャのベンダーがイベントの実行に必要なだけの無駄のないリソースを提供する。そこでデベロッパーは、アプリケーションを動かすために必要な適正量のリソースのプロビジョニングについて、悩む必要がなくなる。

StackeryのCEO Tim Zonca氏はこう述べる: 「StackeryはAWSのためのセキュアなサーバーレスプラットホームだ。チームがラップトップ上のコーディングから本番のプロダクションへ移行していくとき必要になる、設計と開発のためのツールをわれわれが提供し、彼らが無事にモダンなアプリケーションをデリバリーできるようにする」。

同社がデベロッパーに提供するものを一般化して言うと、それは仮想ホワイトボードだ。その上でデベロッパーはきわめてビジュアルにサーバーレスのアプリケーションを構築でき、そのAWS上での試験とデプロイもできる。Zonca氏によると、今日発表するアップデートは、そのプラットホームにセキュリティとガバナンスを導入するもので、さらにまた、gitを利用するモダンなアプリケーションデリバリーシステムにより、継続的デリバリーのためのツールをフルセットで提供する。

「サーバーレスを作っていくときにデベロッパーが遭遇する、さまざまな落とし穴を埋めることが、うちの仕事だ。そのためにわれわれは一連のベストプラクティスを開発して、アプリケーションの安全なデリバリーを確保する。弊社のプロダクトにはそのための工程が刻印されているので、チームはサーバーレスの世界で、ベストプラクティスについて自分で悩まなくてよい」、とZonca氏は説明する。

同社は顧客がアプリケーションをBitbucket、GitLab、GitHubなどを使ってgitのリポジトリーへ入れていくとき、既知の脆弱性に照らしてコードをレビューする。「弊社には、サーバーレスのファンクションのコードを、既知の脆弱性に対して監査する能力があり、それには、そこらで誰もが使っているような一般的なツールだけを使っている」、とZonca氏は言う。

同社はまた、コードの試験も支援する。サーバーレスのインフラストラクチャは短命なので、コードの試験は難しい。「一時的で短命な試験環境を自動的に動かせるようにして、それを彼らのシステム試験や統合化の試験、ユニット試験などに利用していく。また、人間が実際にログインしてユーザビリティテスト行うときのプルリクエストに結びついた試験環境も提供している」、とZonca氏は自負する。

アプリケーションがすべての試験に合格して、ステージングやプロダクションの環境へデプロイされる用意ができたら、Stackeryはその変更の集まりを自動的に有効にする。すると企業は、最終レビューをしてからデプロイするか、またはチームがセットアップしたすべての不測事態を切り抜けられたら自動的にデプロイさせるか、どちらかを選ぶ。

Stackeryは、2016年に創業された。Crunchbaseのデータによると、これまでに740万ドルを調達している。

関連記事: サーバーレスコンピューティングのモニタリングサービスStackeryが$5.5Mを調達

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GitHubがほぼ全面的に無料化

GitHubが今日、現在無料アカウントにあるものを含め、主な機能のすべてを全ユーザーに対し無料にする、と発表した。つまり、無制限の無料のプライベートリポジトリが人数制限のないコラボレーター全員に対して無料になり、このサービスを商用のプロジェクトに使っているチームも対象になる。また、同社のオートメーションとCI/CDプラットホームであるGitHub Actionsも、月間2000時間まで無料になる。

コードのオーナーのような高度な機能や、SAMLのサポートのようなエンタープライズ機能を使いたいチームは有料プランにアップグレードしなければならないが、それらは今度からは月額4ドルからでTeamsプランのユーザーでも利用できる。それまでは、月額21ドルからのEnterpriseプランのユーザーが月額9ドルで利用できた。

GitHubのCEO Nat Friedman氏は、これが前から予定されていたことで、今のCOVID-19パンデミックに対応した期間限定のプロモーションではない、と強調した。彼は曰く、「これはかなり前から計画されていて、われわれがやりたいと思っていたことだ。途中、(Microsoftによる)買収があったりしたから、やっと今やれるようになった。でもそれは何よりもまず自分たちがやりたかったことであり、いわば待望の結果なんだ」。

言うまでもなく、同社の料金体系は以前からフリーミアムが基本だが、Microsoftに買収されてからは無料アカウントの機能をどんどん増やしてきた。しかしそれほど前のことでなくても、たとえば、最下層のパーソナルGitHubアカウントを有料で使う主な理由は、プライベートリポジトリにアクセスするためだった。でも昨年の1月に同社は、すべての無料ユーザーにプライベートリポジトリへの無制限アクセスを認めた。ただし、コラボレーターは3名に限られていた。

Friedman氏はこう言う: 「GitHubは、プライバシーに金を払う形から機能に金を払う、いわゆるフリーミアムに変わりつつある、と世間では言われていた。でもわれわれの考え方では、地球上のすべてのデベロッパーとチームが自分たちの開発のためにGitHubを自由に使えるようにしたいんだ。そのプロジェクトがプライベートあるかパブリックであるかは関係なく」。

今現在、GitHub上には4000万あまりのデベロッパーがいるが、Friedman氏によると、2025年には1億に達するという。

そこでFriedman氏は曰く、「そうなるとGitHubの事業の形態も抜本的に変わらなければならない。企業として考えるべきは、そのことなんだ。そして誰もが考えるのは、誰でも単純にGitHubを使いたいだけであり、その理由や背景の違いはどうでもいい、ということだ。これからスタートアップを立ち上げる人でも、あるいは大企業の中にいる人でも、GitHubを使う理由や動機は等しく単純だ。クレジットカードとか予算とか、面倒なことに気を使わずに単純にチームを立ち上げたいだけなんだ」。

Friedman氏は、今回の変化は他社からの競争圧力のせいではない、と言う。でも、たとえばGitLabには、CI/CD機能が最初からある強力な無料プランがあり、今やAtlassianのBitBucketにも無料プランがある。ただし後者は、今回大きく変わったGitHubに比べればやや制限がある

Friedman氏の主張では、「今回の変更によってGitHubは、デベロッパーにとって圧倒的に最良の料金体系とアクセス性のある場所になった。すべての競合他社を抜いた、とも言える。だから今や競争が動機というよりも、市場をもっと広げたい、さまざまな市場の、われわれがこれまで知らなかったようなニーズも知りたい、という動機の方が大きい」、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新型コロナが我々をデジタルの未来へ駆り立てた

Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)は「Livin’ In The Future」の中でこう歌った。「We’re living in the future and none of this has happened yet(僕たちは未来に生きている。こんなことはまだ何も起きていない)」。世界は我々の目の前で変化しているようだ。新型コロナウイルスは我々みんなを家に閉じ込め、企業のやり方を一夜にして変えさせた。

BoxのCEOのAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏がTwitterで最近指摘したように、我々はかつて目撃したことのないレベルのデジタルな創造性を、今まさに目にしている。人々はつながりを失わず、我々を引き離しているウイルスに対峙する方法を探している。

レヴィ氏は最近このようにツイートした。「我々が現在見ている創意工夫は驚くほどすばらしい。Airbnbはバーチャル体験を提供し、Chefsはライブの料理教室を実施している。過越の祭はビデオ会議になった。ドライブイン形式のイースターも教会もストリーミングに移行している」。

2月以降の変化を考えてみよう。たった2カ月前の2月だ! 小学校から大学院までの学校が、膨大な数の児童・生徒・学生のためにオンラインにシフトした。メールも使っていなかった教授が急にZoomで教え始めた。

企業はオフィス中心のワークフローから、ビデオ会議そしてSlackやMicrosoft Teams、Google ハングアウトといったクラウドのコラボレーションツールを中心としたワークフローへ移行した。

毎年恒例のカンファレンスが、ラスベガスの派手で華やかなステージからエグゼクティブの自宅へと変更された。契約し、何カ月もかけて準備していたにもかかわらず、企業は急転直下で方針を変えた。そうするしかなかったからだ。選択肢は他にない。

休暇、誕生日、葬儀、記念日、そのほか人生のさまざまな場面に一緒にいられない家族が、突然FaceTimeやZoomで集まり、現在の状況でできる唯一の方法で支え合い、祝い、悼んでいる。デジタルコンテクストの中で。

このような出来事を我々はたくさん目にしている。驚くべきは、シームレスに計画やトレーニングに何年もかけることなく、こうなっているということだ。我々はシンプルにこの新しいデジタルの現実を受け入れている。そうするしかないから。

我々はSaaSのツールとクラウドインフラストラクチャの見事なレジリエンス(回復力、復元力)を活用して、デジタルの世界のパワーを証明している。しかし人間の精神のパワーも見てとれる。今、我々はすばらしい出来事を世界中で目撃している。ちょっと立ち止まって、感謝しよう。おそろしく困難な状況の中、こうしたあらゆるテクノロジーのおかげで我々の経済、教育、感情が維持されていることを、少しの間考えよう。

新型コロナウイルスは、我々をまとめてデジタルの未来へと駆り立てた。それはいつか起きることではなく、今、起きている。企業も人々も、90日という短い期間でデジタルトランスフォーメーションを推し進めた。このクレイジーな状況でポジティブなことを1つ見つけるとしたら、我々はこのデジタルの世界を受け入れ、もう決して後戻りはしないということだ。

画像クレジット:Chris Williams Black Box / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Google CloudでBigtableの小さなワークロードでも動かせる

Cloud Bigtableは長年、Google Cloud上の大きなペタバイト級の分析やオペレーショナルのワークロードを支える、完全なマネージドNoSQLサービスだった。しかし1ノード1時間あたり0.65ドルという料金と、1クラスターあたり3ノード以上というGoogle Cloudの要求により、それは決してお安いサービスとは言えなかった。しかしながら、今日(米国時間4/7)からそれが変わる。これからはBigtableのプロダクションワークロードを、わずか1ノードでも動かすことができる。

Google Cloud BigtableのプロダクトマネージャーSandy Ghai氏が、今日の発表声明で次のように述べている。「Bigtableを、大小を問わず、さまざまなキー-ヴァリューおよびワイドカラムのユースケースの優れたホームにしたい。それは新人デベロッパーでも、古参のエンタープライズでも同じであり、みなさまが自己管理しておられたHBaseやCassandraなどのクラスターの、ランディングページでありたい」。

これによりGoogle Cloudでは、小さなクラスターのレプリケーションによる高可用性と、ワンノードの開発インスタンスとワンノードのプロダクションインスタンスを必要に応じて切り替えることが可能になる。さらにまた、今ではサービスのSLAが、サイズを問わずすべてのBigtableのインスタンスを対象にしている。

このところGoogle Cloudは大企業エンタープライズ顧客の獲得と問題対応に熱心だったから、今回のようにBigtableに小さなワークロードを歓迎する動きは興味深い。でも、初めに一つのノードだけを必要とした企業が、やがて大量のクラスターを必要とするようになったりするから、Bigtableのこれまでの最小要件は小さな企業にとって障壁だった。しかもデータベースは、企業が小さい時期と大きくなってからとで、安易に切り換えるようなサービスではない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

DataStaxがCassandraデータベースのためのKubernetesオペレーターをローンチ

米国時間3月31日、オープンソースのApache Cassandraプロジェクトを支える商用企業DataStaxが、データベースのクラウドネイティブバージョンを動かすために同社が開発したKubernetesオペレーターをオープンソースで発表した。

DataStaxの最高戦略責任者である Sam Ramji(サム・ラムジ)氏が2019年にGoogleから来て最初に取り組んだのが、KubernetesとCassandraに関して顧客、パートナー、コミュニティメンバーの動向をつかむことだったが、そこでわかったのはサポートが驚くほど限定的だったことだった。

一部の企業はKubernetesのサポートを自分たちで構築していたが、DataStaxには自社サポートと呼べるものがなかった。KubernetesはGoogleで生まれ、そして現在、DataStaxはコンテナ化を熱心に推進している。そこでラムジ氏は、顧客がKubernetesの利用を始めやすくするためのオペレーターがDataStaxにあるべきだと考えた。

「オプションとしてコミュニティに提供しているKubeオペレーターの特別な点は、オペレーターをCassandra向けに一般化して、どこでそれを実装しても使えるようにしたことだ」とラムジ氏はいう。

ラムジ氏によると、多くの企業が独自にKubernetesを運用している企業の多くは、それらは各社の固有の要求に向けて独自化されている。それはそれで結構だが、同社がCassandra上に構築しているため、幅広いユースケースにアピールできる一般的なバージョンを開発したいと考えていたという。

Kubernetesでは、オペレーターはDevOpsチームによるパッケージングの仕方、アプリケーションの管理とデプロイの仕方、それを正しく動かすために必要なインストラクションなどの指示を与える。DataStaxが今回作ったオペレーターは、Cassandraを幅広い前提条件で実行するために特別に作成ししたものだ。

Cassandraは強力なデータベースで、他のデータベースがダウンしても動き続ける。そこでAppleやeBay、Netflixなども主要なサービスを実行するために使っている。この新しいKubernetesの実装により、コンテナ化したアプリケーションとしてCassandraを動かしたいという人は誰でも利用できるようになり、Cassandraをモダンな開発領域へと押し上げられるようになる。

同社はまた、新型コロナウイルス(COVID-19)のためデータベースの利用が増えて苦労している技術者を助ける無料のヘルプサービスを発表した。彼らはそのプログラムを「Keep calm and Cassandra on(落ち着いて、Cassandraを動かそう)」と呼んでいる。Cassandraのようなシステムの稼働の維持を任されている技術者をサイトリライアビリティエンジニア(SREs、サイトの信頼性を維持するエンジニア)と呼ぶ。

ラムジ氏の説明によると「この新しいサービスは完全無料のSRE間のサポート通話だ。我々のSREたちは世界中どこからのApache Cassandraユーザーからの電話に対応する。需要増に対応しようとしているCassandraのバージョンは何でもよい」という。

DataStaxは2010に創業され、PitchBookのデータによるとこれまで1億9000万ドル(約206億円)を調達している。

関連記事:DataStax Lands $106M In Series E Funding(未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa