新型コロナが我々をデジタルの未来へ駆り立てた

Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)は「Livin’ In The Future」の中でこう歌った。「We’re living in the future and none of this has happened yet(僕たちは未来に生きている。こんなことはまだ何も起きていない)」。世界は我々の目の前で変化しているようだ。新型コロナウイルスは我々みんなを家に閉じ込め、企業のやり方を一夜にして変えさせた。

BoxのCEOのAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏がTwitterで最近指摘したように、我々はかつて目撃したことのないレベルのデジタルな創造性を、今まさに目にしている。人々はつながりを失わず、我々を引き離しているウイルスに対峙する方法を探している。

レヴィ氏は最近このようにツイートした。「我々が現在見ている創意工夫は驚くほどすばらしい。Airbnbはバーチャル体験を提供し、Chefsはライブの料理教室を実施している。過越の祭はビデオ会議になった。ドライブイン形式のイースターも教会もストリーミングに移行している」。

2月以降の変化を考えてみよう。たった2カ月前の2月だ! 小学校から大学院までの学校が、膨大な数の児童・生徒・学生のためにオンラインにシフトした。メールも使っていなかった教授が急にZoomで教え始めた。

企業はオフィス中心のワークフローから、ビデオ会議そしてSlackやMicrosoft Teams、Google ハングアウトといったクラウドのコラボレーションツールを中心としたワークフローへ移行した。

毎年恒例のカンファレンスが、ラスベガスの派手で華やかなステージからエグゼクティブの自宅へと変更された。契約し、何カ月もかけて準備していたにもかかわらず、企業は急転直下で方針を変えた。そうするしかなかったからだ。選択肢は他にない。

休暇、誕生日、葬儀、記念日、そのほか人生のさまざまな場面に一緒にいられない家族が、突然FaceTimeやZoomで集まり、現在の状況でできる唯一の方法で支え合い、祝い、悼んでいる。デジタルコンテクストの中で。

このような出来事を我々はたくさん目にしている。驚くべきは、シームレスに計画やトレーニングに何年もかけることなく、こうなっているということだ。我々はシンプルにこの新しいデジタルの現実を受け入れている。そうするしかないから。

我々はSaaSのツールとクラウドインフラストラクチャの見事なレジリエンス(回復力、復元力)を活用して、デジタルの世界のパワーを証明している。しかし人間の精神のパワーも見てとれる。今、我々はすばらしい出来事を世界中で目撃している。ちょっと立ち止まって、感謝しよう。おそろしく困難な状況の中、こうしたあらゆるテクノロジーのおかげで我々の経済、教育、感情が維持されていることを、少しの間考えよう。

新型コロナウイルスは、我々をまとめてデジタルの未来へと駆り立てた。それはいつか起きることではなく、今、起きている。企業も人々も、90日という短い期間でデジタルトランスフォーメーションを推し進めた。このクレイジーな状況でポジティブなことを1つ見つけるとしたら、我々はこのデジタルの世界を受け入れ、もう決して後戻りはしないということだ。

画像クレジット:Chris Williams Black Box / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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