約25万円の「Xperia PRO」実機レビュー、ターゲットはYouTuberや報道カメラマン

約25万円「Xperia PRO」実機レビュー、ターゲットはYouTuberや報道カメラマン
開発発表からおよそ1年越しに発売日が決まった「Xperia PRO」。税込で約25万円という価格設定に驚いた方も多いでしょう。

しかし、単なる高性能スマートフォンを求める層に、ソニーモバイルも「Xperia PRO」を売る気は無いようです。それは「Xperia PRO」が、放送や写真のプロフェッショナルに向けて開発された業務用スマートフォンだからです。スマートフォン単体で使うメリットはほとんど無く、αシリーズなどのレンズ交換式一眼カメラやプロ向けビデオカメラと組み合わせて初めて威力を発揮します。

Xperia PRO

Xperia PRO

レンズ交換式の一眼カメラなどと組み合わせて初めて威力を発揮する

レンズ交換式の一眼カメラなどと組み合わせて初めて威力を発揮する

というのも、「Xperia PRO」はスマートフォンとしては珍しくHDMI端子を搭載します。これをレンズ交換式カメラと接続することで、カメラの外部モニターとして利用できます。「Xperia PRO」のディスプレイは長辺だけ見れば4K(3840 x 1644)解像度で、HDR表示かつBT.2020の広色域に対応しており、高性能なモニター画面として利用できるわけです。

カメラの外部モニターとして利用している様子

カメラの外部モニターとして利用している様子

画面をダブルタップで拡大・縮小。細部のピントのズレも大画面で確認できる

画面をダブルタップで拡大・縮小。細部のピントのズレも大画面で確認できる

画面をダブルタップで拡大・縮小。細部のピントのズレも大画面で確認できる

画面をダブルタップで拡大・縮小。細部のピントのズレも大画面で確認できる

画面をダブルタップで拡大・縮小。細部のピントのズレも大画面で確認できる

また、YouTuber向けのユースケースとして重要なのが、高速な5Gや4G通信に対応し、かつ汎用なAndroid OSを搭載する点です。これによって、出先で高級ミラーレスカメラ「α9」で撮影中の映像を、「Xperia PRO」経由でYouTubeにリアルタイム配信できます。

汎用の配信アプリ「StreamLabs」も利用できる

汎用の配信アプリ「StreamLabs」も利用できる

プロカメラマン向けのユースケースとしては、プロスポーツ試合の撮影が挙げられます。従来、カメラマンは撮影した写真をハーフタイムにまとめて、雑誌の編集部や新聞社などに伝送していました。しかし「Xperia PRO」と一眼カメラを組み合わせれば、カメラマンは撮ったそばからリアルタイムで写真を納品できるようになります。報道現場においても速報性の向上に威力を発揮します。

こうしたプロ向けの用途では『安定性』が何より大事。Xperia PROでは数時間にわたる映像伝送も安定してこなせるよう、放熱設計を工夫しています。

本体はα7シリーズなどソニーのミラーレスカメラと質感が共通。まるでカメラを持っているような手触りです。また、筐体に金属ではなく樹脂を使うことで、一般的な消費者向けのスマートフォンに比べて5Gの電波をつかみやすくしているほか、デバイスの4つの側面に配置したアンテナにより、「ミリ波」と呼ばれる、5Gの周波数の中でも特に高い周波数の電波もつかみやすくしていると言います。

筐体の手触りはαシリーズと瓜二つ。樹脂を採用して5Gの電波を透過しやすくしている

筐体の手触りはαシリーズと瓜二つ。樹脂を採用して5Gの電波を透過しやすくしている

基本は一眼カメラなどと組み合わせて使う「Xperia PRO」ですが、本体には「Xperia 1 II」と同等仕様のカメラを搭載します。なお、レンズは本体から飛び出しておらず、むしろ引っ込んでいます。これは、レンズに対する外光の影響を抑える意図をもった設計です。

背面カメラは35mm換算で16mm(広角)・24mm(標準)・70mm(光学3倍望遠)のトリプルレンズ構成

背面カメラは35mm換算で16mm(広角)・24mm(標準)・70mm(光学3倍望遠)のトリプルレンズ構成

SoCにはクアルコムのSnapdragon 865を採用。その後継となるSnapdrgaon 888が登場した今となっては型落ち感が否めませんが、あえて最新SoCではなく1世代古いSoCを搭載したのは、安定性を重視した結果なのかもしれません。

その他、12GBのRAM、1TBまでのmicorSDXC、512GBのストレージを搭載。防水防塵はIP68等級に対応します。FeliCaは非搭載です。

イヤホンジャックもしっかり搭載する

イヤホンジャックもしっかり搭載する

側面の「Xperia PRO」ロゴがカッコいい

側面の「Xperia PRO」ロゴがカッコいい

側面の「Xperia PRO」ロゴがカッコいい

「Xperia PRO」は日本ではSIMフリーモデルとして展開される予定です。販売は、ソニーのインターネット直販サイト「ソニーストア」に加え、銀座、札幌、名古屋、大阪、福岡天神にある実店舗、さらには一部家電量販店でも購入できます。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Xperiaガジェット(用語)スマートフォン(用語)Sony / ソニー(企業)レビュー(用語)

ソニーが初の5Gフラッグシップとなるトリプルレンズ搭載のXperia 1 IIを発表

ソニーは、同社初となる5Gスマートフォン「Xperia 1 II」を発表した。表記はわかりにくいが「エクスペリア・ワン・マークツー」と発音する。

「ソニーほど、エンターテインメント体験をよく理解している会社はありません」と、グループのモバイル通信部門であるソニーモバイルコミュニケーションズの岸田光也社長は述べた。また同社は、5Gセルラー技術の時代にあって「ユニークな位置にあり」、ソニーの広範なコンテンツポートフォリオのおかげで、ターゲットユーザーに「豊富な」体験を提供できると主張した。

「ダイナミックなスピードを必要とする放送業界のプロに対しても、エンターテインメントの強化を求める一般的なユーザーに対しても、Xperia 5Gはユーザーのモバイル体験を次のレベルに引き上げるものです」と、同氏は述べている。

ソニーは、スマートフォンのメーカーというよりも、他のスマホメーカーへのイメージセンサーのB2Bサプライヤーとして重要な位置を占めている。それもあって、Android 10を搭載した今回のフラッグシップ機が、どのようなカメラを搭載しているのか注目された。ちなみに、Xperia 5Gは、「シネマワイド」タイプの4K HDR OLED(解像度は3840×1644ドット)ディスプレイを搭載し、クアルコムのSnapdragon 865チップ(メモリー8GB)を内蔵している。

背面には、16mm、24mm、70mmのの異なる3種類の焦点距離レンズを搭載し、超広角からポートレートまでさまざまなタイプの写真を撮影できる。

これらの背面の3つのレンズには、すべて1200万画素のセンサーが付随する。前面には、8MPのセンサーを内蔵したレンズを備える。今回ソニーは、スマホ用としては初めてツァイス(Zeiss)の手になる光学系を採用した。両社の長期にわたるコラボレーションが、新しいタイプのデバイスにも拡張されたわけだ。

岸田氏はカメラについて、低光量でも動作する超高速のオートフォーカス性能を強調した。最高20コマ/秒で、オートフォーカス、自動追従の連写が可能となったのは世界初だという。これにより、動きの速い被写体もくっきりと撮影できる。

「この新しい連続オートフォーカスは、動いている被写体を追跡し続けます。これのすごいところは、20コマ/秒でオートフォーカスするために、1フレームごとにオブジェクトを3回計算することです。1秒あたりでは60回計算することになります。それにより、まさにその瞬間を捉えることができるのです」と岸田氏は説明する。

「また、5Gのパワーと速度により、こうして切り取られた瞬間を非常に高速、かつ簡単にネットワーク上で共有できるようになります」と付け加えた。

写真撮影に関するもう1つの機能は、AIによるリアルタイムの瞳のオートフォーカスだ。ソニーは、この機能を、おもちゃで遊ぶ猫のビデオ撮影でデモした。つまりソニーは、人間だけでなくペットの顔のデータも使ってAIモデルを訓練したことになる。

また、「Photography Pro」(フォトグラフィー プロ)と呼ばれるインターフェースを採用し、ソニーのミラーレスαカメラのユーザーにも馴染みやすいように設計されている。これにより、フォトグラファーは、同社のハイエンドデジタルカメラと同様の調整機能を使ってパラメーターにアクセスし、撮影条件を調整できる。

ソニーは、ビデオ撮影についても同様に力を入れている。ビデオ編集インターフェースでは、タッチオートフォーカスや、ホワイトバランスのカスタム設定といった機能が利用できる。岸田氏は「これにより「映像作家」がカメラをより簡単に操作できるようになる」と表現した。オーディオキャプチャの音質を高めるノイズリダクション機能も内蔵する。

何よりもうれしいのは、Xperia 1 IIが3.5mmのヘッドフォンジャックを備えていること。オーディオマニアなら、愛用のハイエンドの有線ヘッドフォンを差し込んで、音楽鑑賞に集中することができる。

岸田氏は、DSEE Ultimateと呼ばれるAI技術の採用も取り上げた。DSEE Ultimateは、ストリーミングオーディオも含め、音声信号を「ハイレゾ相当の高音質」にアップスケールにするものだと説明した。「携帯可能なものとして最高の音楽体験を提供します」とのこと。

ゲームについても、Qualcomm Snapdragon Elite Gamingとのコラボレーションにより、PlayStation 4のDualShock 4ワイヤレスコントローラーを使って、モバイル向けに最適化されたCall of Dutyを快適にプレイできるようになっている。一方このデバイスは、4000mAhのバッテリーと、高速ワイヤレス充電機能も搭載してる。

岸田氏によれば、Xperia 1 IIは、この春から出荷を開始する。ただし、ソニーがこのデバイスをどの市場に向けて導入するかはまだ明確ではない。昨年、同社のモバイル部門は、収益性を重視した結果、グローバル市場の大部分に注力するのを止めたと伝えられる

Xperia 1 IIのターゲットは、かなりニッチな購買層となる可能性がある。ソニーと言えども、消費者向けスマホの販売では、サムスンやファーウェイなどの巨人と比べて小さなプレーヤーに過ぎない。しかし、このカメラ技術が、他のモバイルメーカーに提供できるもののショーケースとなることを意図している。

ソニーのモバイル部門は、今回のトップによる発表を、YouTube上の仮想記者会見という形で行なった。同社は、MWC(モバイルワールドコングレス)への参加の取り止めを発表した、最初の大企業だったという経緯がある。

MWCの主催者であるGSMAは、結局今週バルセロナで開催予定だった毎年恒例のモバイル業界イベントのキャンセルに追い込まれた。多くの出展者が、新型コロナウイルスによる公衆衛生上の懸念により、参加の取りやめを表明したからだ。

MWCは通常、4日間で10万人以上の参加者を呼び寄せる。今回のソニーの記者会見は、カメラも、拍手も、歓声もなく、誰もいない部屋でストリーミング再生されているのを見ることになる。それでも、記者が新製品の写真を撮るための時間を確保するために、進行がポーズしたりするのを見ると、なんだか奇妙な感覚にとらわれる。

岸田氏は、別の5Gスマホ、Xperia Proを開発中であることも発表した。プロのビデオ撮影者のためのフラッグシップ機だ。高解像度ビデオのストリーミング性能を向上させる5Gミリ波帯にも対応し、外付けのハイエンドカメラを簡単に接続可能なマイクロHDMI入力ポートも備える。

ソニーはすでに、米国のキャリア、ベライゾン(TechCrunchの親会社のVerizon)と協力して、これから登場する5Gスマホを使い、スポーツイベントのライブストリーミングのテストを完了したことを強調した。

「ソニーが、長年に渡ってプロ用のデジタル映像機器を提供してきた歴史と、専門的な知見は比類のないものです」と、岸田氏は付け加えた。「このように深く、強力な関係を築けるのはソニーだけです。プロによるコンテンツ作成から、5Gのモバイル通信技術まで、エンドツーエンドのソリューションに対して、数十年にもおよぶ経験を活かしています」。

ミッドレンジのスマートフォン、Xperia 10 IIの発表もあった。6インチのディスプレイを搭載し、トリプルレンズカメラと、防水性能を備えている。これも春以降に出荷されることになる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ソニー最新スマホ「Xperia 1」の画面は21:9の超縦長

2年前、話題の中心はアスペクト比だった。最近は5Gと折りたたみ一辺倒だが、ソニーはフラグシップ機のXperia 1に21:9ディスプレイを搭載して長さを追求した。

狙いは、6.5インチのスマートフォン画面をできるだけシスマサイズに近づけて、映画製作者の撮影を再現することだ。スクリーンは4K HDR OLEDで、ソニーが映画用に開発した色再現方式Master Monitorを使用している。

これは、カメラの革新で特徴を出してきたソニーにとって大きな変化だ。もちろん、カメラについても言うべきことはある。この端末は21:9サイズの4K HDRビデオを24 FPSで撮影可能だ。現時点でこのアスペクト比は必ずしも一般的ではないことからユーザーはいつでも別のフォーマットに帰ることができる。

コンテンツに関してソニーはいくつかのプロバイダーと組んでカスタマイズしている。ビデオではNetflix、Amaxon Prime、YouTube、ゲームではGameloft、10 CentのほかFortniteを開発したEpicなど。

発売は春の終わりを予定している、価格は未定。

SonyはXperia 10およびXperia 10 Plusという中級機種も同時に発表した。いずれも21:9画面でサイズはそれぞれ6.0インチと6.5インチ。価格は359ドルと430ドル。米国では3月18日に発売予定。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソニー新スマホ「Xperia XZ2 Compact」に足りないもの

eng-logo-2015スペイン・バルセロナのMWC 2018会場より。ソニーモバイルの新型スマートフォン「Xperia XZ2 Compact」の実機インプレをお届けします。

「Xperia XZ2 Compact」は、5.0インチのフルHD+(2160 x 1080)液晶を搭載した小型高性能スマートフォンです。OSにはAndroid Oreoを搭載します。

左から5.0インチの「Xperia XZ2 Compact」、5.7インチの「Xperia XZ2」

5.0インチと聞くと『小型ではなくなった?』と感じますが、横幅は4.6インチの先代「Xperia XZ1 Compact」と同じ65mm。これは、液晶のアスペクト比が18:9となり、縦方向にディスプレイが伸びたことによるものです。なお、縦方向のサイズや厚み、重量は増しており、XZ1 Compactに比べて身の詰まったずんぐりしたような外観となっています。

<本体サイズ比較>
・XZ2 Compact  135 x 65 x 12.1mm 168g
・XZ1 Compact  129 x 65 x 9.3mm 143g

いざ実機に触れてみると、ディスプレイの視認性の高さに驚きます。18:9の縦長液晶は、画面下にオンスクリーンメニューを表示させてもなお、余裕を持ってWEBやSNSなどのコンテンツを表示できます。

本体デザインも大幅刷新されました。背面が中央部に近づくにつれて盛り上がる形状となり、手のひらによくフィットします。また、背面がガラスの「Xperia XZ2」に対して「Xperia XZ2 Compact」はプラスチック素材を採用し、マットで指紋がつきにくい手触りが魅力的です。

先代の「Xperia XZ1 Compact」と同じ横幅で片手操作も楽

横から見ると、身の詰まったずんぐりとした形状

指紋センサーはXZ1世代までの側面から背面に移動。右手だけでなく左手でも指紋認証を使いやすくなりました。また、イヤホンジャックも廃止されており、音楽を再生する場合はBluetoothからUSB-C端子を経由します。

指紋センサーは背面に移動、イヤホンジャックも廃止された

カメラは4K HDRの動画撮影推し

カメラ機能は詳細に試せていませんが、ソニーモバイルの発表によれば「Xperia XZ2」と同等性能。1900万画素のMotion Eyeカメラを搭載し、0.1秒を3秒に引き伸ばす「920fpsスーパースロー」映像をフルHD画質で撮影できる機能や、スマホ初となる4K HDR撮影にも対応します。

Xperia XZ2 / XZ2 Compactは4KのHDR映像を撮影できる世界で唯一のスマホ

XZ1世代からの進化は小幅な印象を受けますが、意外にも4K HDR撮影が魅力的。従来のSDR映像に比べてハイダイナミックレンジで映像を記録するので、4Kの精細感と合わせて、スマートフォンで撮影したとは思えない鮮明な映像を撮影できるといいます。ブースで流れていた夜中を撮影したイルミネーションの作例では、豆電球の1つ1つの明かりが潰れずに、周囲の暗さとともに鮮明に描写されているのが印象的でした。

また、SDR映像をHDRにリアルタイム変換しながら再生する機能も搭載。ディスプレイもHDR対応なので、過去に撮影した映像も鮮明なHDR画質で楽しめます。

SoCにはクアルコムのSnapdragon 845を採用。これは上位モデルの「Xperia XZ2」や、サムスンの「Galaxy S9」など、各社フラグシップのSoCと同じ。見た目はコンパクトながらも、Androidとしては最上級の処理性能を誇り、動作も非常にスムーズです。

さらに、RAMは4GB、ストレージ容量は64GBと、こちらも「Xperia XZ2」と同等仕様。従来のXperia Compactシリーズは、上位モデルに対してディスプレイ解像度やRAM容量が劣ることが常でしたが、今回は完全に同等仕様となった点で、真のハイエンド・コンパクトを体現しているとも言えます。

ワイヤレス充電、新バイブレーターには非対応

このように処理速度や画面解像度、カメラ性能で「XZ2」と遜色のない「Xperia XZ2 Compact」ですが、1つ残念なポイントがありました。それがワイヤレス充電への非対応です。

ソニーモバイルの染谷氏

上位モデルの「Xperia XZ2」ではQi方式のワイヤレス充電に対応する一方、本機では対応を見送った理由について、ソニーモバイル商品企画の染谷洋祐氏は『価格帯やターゲットのお客様を考慮するなかで、コンパクトには不要と判断した』と説明します。

Xperia XZ2 が対応するワイヤレス充電は慣れると便利だが…

また「Xperia XZ2」の裏の目玉とも言える「ダイナミック・バイブレーションシステム」にも非対応。これは、映像のサウンドに合わせて本体が重低音のようにプルプルと振動し、コンテンツの臨場感を増す機能。YouTubeなどあらゆる映像やゲームアプリで適用できます。

「Xperia XZ2」では、このためにXZ1比で何倍もの大きさの巨大な振動アクチュエーターを実装するなどの力の入れようです。実際に試してみると魅力的な新機能なだけに、ぜひ「Xperia XZ2 Compact」にも搭載してほしかったと感じます。

Xperia XZ2はXZ1比で何倍もの巨大な振動アクチュエーターを搭載するが、XZ2 Compactは非搭載

このように、Xperia XZ2がそのまま小型になったわけではないことに留意する必要のあるXperia XZ2 Compactですが、手に収まる小型でSnapdragon 845の処理性能、4K HDR動画を撮影できる点はやはり魅力的。ハイエンド・コンパクトの有力な選択肢となることは間違いなさそうです。

Engadget 日本版からの転載。

自撮り機能を大幅に向上させたソニーの新スマートフォン。但し目にする機会はないかもしれない

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すでにご存知のこととは思うが、ソニーからミッドレンジのスマートフォンが2台、発表されている。この2台は「ソニーが最も得意なこと」にフォーカスしたデバイスだ。すなわち搭載しているカメラの魅力を前面に押し出すものとなっているのだ。これまたほとんどの人がご存知だと思うが、ソニーはスマートフォン用カメラのトッププロバイダーのひとつだ。大手もこぞってソニープロダクトを採用していて、たとえばAppleのiPhone 6やSamsungのGalaxy S6といったフラッグシップモデルが、ソニー製のカメラを搭載している。

細かな説明はともかく、実物をみてみよう。

Sony Xperia C5 Ultra

スマートフォンでは、背面カメラに比べて劣るスペックのものを前面カメラとして搭載するのが一般的だ。しかしXperia C5 Ultraは背面に1300万画素のカメラを搭載しつつ、前面側にも同じく1300万画素のものを採用しているのだ。レンズは22mmの広角で、自撮りの際に便利に使うことができる。もちろんフロント側にもフラッシュを搭載し、暗い中での自撮りも可能となっている。

カメラ以外についても触れておくと、ディスプレイは6インチだ。64bitで1.7GHzのオクタコアプロセッサーを搭載し、RAMは2GBとなっている。発売開始時期は8月とのこと。

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Sony Xperia M5

M5の方は、C5と同じ前面カメラを搭載しているが、背面カメラのスペックをさらにあげている。背面カメラの画素数は2150万で、4Kビデオにも対応している。こちらの画面サイズは5インチで、M4 aquaに搭載されていた防水機能も備えている。

プロセッサーは64ビットで2.0GHzのオクタコアとなっており、RAMは3GBでバッテリー容量は2600mAhだ。こちらもやはり8月の出荷開始となっているそうだ。

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  4. 17_m5_blk_gold_white_pis.jpg

C5 UltraやM5を目にすることはあるだろうか?

実のところ、ソニーはスマートフォン市場では苦戦を強いられている様子だ。売上台数も昨年比で16.3%の低下となり、この四半期でも大幅な赤字となっている。

ただしこのことは、ソニーが全体的に不調に陥っているということを意味するのではない。プレイステーション4やカメラセンサー分野などの好成績により、7億8000万ドルの利益をあげているのだ。AppleやSamsungのスマートフォンが売れるたびに、カメラセンサー部門の利益が積み上げられるという状況にもなっている。しかしながら、ソニー製のスマートフォン本体が売れていないという現実はある。

Xperia C5 UltraやM5は、今後における「スマートフォンカメラの可能性」を示すものだとは言えるかもしれない。ただ、誰もソニー製スマートフォンを購入せず、その可能性を体感するには、他メーカー(AppleやSamsungなど)の動きを待つ必要がありそうだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

超薄型Xperia Tablet Zは、Sonyの最高傑作タブレットかもしれない


Sonyは奇妙なAndroidタブレットで市場参入に失敗した後、一から出直して違う何かを作るしかなかった。その違う何か、Xperia Tablet Zは、同社の最も平凡なデザインだと言ってもいい。そしてそれは賢明な選択だった。この間違いなく変ではないXperia Tablet Zは、米国での登場に向けて準備中だが、本誌はモバイル・ワールド・コングレス(MWC)会場で、この欲望をそそるほど薄いSonyのタブレットを捕えた。

まず何よりも、もしあなたがミニマリスト的工業デザインのファンならば、大いにこれを気に入るだろう。Sonyの明るい10.1インチ〈リアリティー・ディスプレー〉(1920 x 1200)は間違いなくこのデバイスの顔であり、そこにはSonyロゴと隅の赤外線窓、および見すごしそうな2メガピクセルカメラ以外何もない。ディスプレイはSonyのモバイルBraviaエンジンが駆動していて、これは画面を暗くしないと色がどぎつくなることを意味している。背面は黒いマットの無地で、小さなXperiaロゴと右上隅の8.1メガピクセルカメラだけが見える。さえないと言う人もいるだろうが、「地味」な感じは感触の良さとよく合っている。

Tablet Zはわずか1.09ポンド(494g)で、そのほっそりとしたウェストラインは厚さわずか6.99mmだ。ちなみにiPad miniは、ほんの髪の毛ほど厚い7.22mmだ。重量を極限まで減らすためにSonyはほぼ全面的にプラスチック筺体の採用に踏み切った。そう聞くとちゃちなタブレットの仕様のように感じるかもしれないが、もちろんこのケースにはあてはまらない。非常に軽量であるにもかかわらず、Tablet Zは驚くほど頑丈で高級な手触りだ。端を持ってひねると多少のねじれを感じるので、長い間のうちに何か問題があるかもしれないが、未だ市場にあふれている安っぽいプラスチック製タブレットとは比べものにならない。

Tab Zの防水筺体の中には、4コアSnapdragon S4 Proチップセットおよび2GBのRAMが収められ、私が触っていや殆どの間Tablet Zは遅れを感じさせなかった。モバイル・ワールド・コングレスで数十台ほどのデバイスを一般公開する際、多くの会社はわれわれナードがいじり回しすぎないよう排除しようとする。ここでは違った。私はGoogle Play StoreからQuadrantをダウンロード、インストールして、Tablet Zの実力の片鱗を感じることができた。3回の試行の結果、Tablet Zは7000台前半を維持し最高は7601だった。Nexus 10やAsusのTransformer Pad Infinity TF700は、4000台半ばをさまよっている。

もちろんこれは人工的ベンチマークであり、性能の全体像を表わすものではないが、Xperia Tablet Zがぐうたらでないことは確かだ。

私はたった一つだけ、Xperia Tablet Zに不満がある。SonyがAndroidに被せたカスタムUIだ。古くからの読者ならご存じだろうが私は無垢Androidの支持者であり、Sonyの実装は私に合わなかった。公平を期して言えば、これは他のごちごちゃしたものより軽くて面倒もないので、違う意見もあるだろうが、メニューをたどる際の時々つっかえる感じや、背景画像を設定すると歪む点は問題がある。それでもSonyはこれらを補う気の利いた機能をいくつか追加している。番組案内機能もある万能リモコンアプリや、位置情報付き写真を地球儀に表示する改訂版のギャラリーなどだ。

昨日朝のプレス会見で、Sony Mobileの鈴木国正CEOは、新たな方策として「最先端技術とリソース」をSony Mobileに注ぎ込むことを宣言し、2013年を「ブレークスルーの年」であると自信を持って語った。もちろん実際どうなるかを予言するには早すぎるが、不可能でもない。このXperia Tablet Zは、Sonyにとって稀な(でないことを祈る)原点回帰であり、2013年が同じように吟味されたSony製品であふれることを期待したい。

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[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)