ソニー新スマホ「Xperia XZ2 Compact」に足りないもの

eng-logo-2015スペイン・バルセロナのMWC 2018会場より。ソニーモバイルの新型スマートフォン「Xperia XZ2 Compact」の実機インプレをお届けします。

「Xperia XZ2 Compact」は、5.0インチのフルHD+(2160 x 1080)液晶を搭載した小型高性能スマートフォンです。OSにはAndroid Oreoを搭載します。

左から5.0インチの「Xperia XZ2 Compact」、5.7インチの「Xperia XZ2」

5.0インチと聞くと『小型ではなくなった?』と感じますが、横幅は4.6インチの先代「Xperia XZ1 Compact」と同じ65mm。これは、液晶のアスペクト比が18:9となり、縦方向にディスプレイが伸びたことによるものです。なお、縦方向のサイズや厚み、重量は増しており、XZ1 Compactに比べて身の詰まったずんぐりしたような外観となっています。

<本体サイズ比較>
・XZ2 Compact  135 x 65 x 12.1mm 168g
・XZ1 Compact  129 x 65 x 9.3mm 143g

いざ実機に触れてみると、ディスプレイの視認性の高さに驚きます。18:9の縦長液晶は、画面下にオンスクリーンメニューを表示させてもなお、余裕を持ってWEBやSNSなどのコンテンツを表示できます。

本体デザインも大幅刷新されました。背面が中央部に近づくにつれて盛り上がる形状となり、手のひらによくフィットします。また、背面がガラスの「Xperia XZ2」に対して「Xperia XZ2 Compact」はプラスチック素材を採用し、マットで指紋がつきにくい手触りが魅力的です。

先代の「Xperia XZ1 Compact」と同じ横幅で片手操作も楽

横から見ると、身の詰まったずんぐりとした形状

指紋センサーはXZ1世代までの側面から背面に移動。右手だけでなく左手でも指紋認証を使いやすくなりました。また、イヤホンジャックも廃止されており、音楽を再生する場合はBluetoothからUSB-C端子を経由します。

指紋センサーは背面に移動、イヤホンジャックも廃止された

カメラは4K HDRの動画撮影推し

カメラ機能は詳細に試せていませんが、ソニーモバイルの発表によれば「Xperia XZ2」と同等性能。1900万画素のMotion Eyeカメラを搭載し、0.1秒を3秒に引き伸ばす「920fpsスーパースロー」映像をフルHD画質で撮影できる機能や、スマホ初となる4K HDR撮影にも対応します。

Xperia XZ2 / XZ2 Compactは4KのHDR映像を撮影できる世界で唯一のスマホ

XZ1世代からの進化は小幅な印象を受けますが、意外にも4K HDR撮影が魅力的。従来のSDR映像に比べてハイダイナミックレンジで映像を記録するので、4Kの精細感と合わせて、スマートフォンで撮影したとは思えない鮮明な映像を撮影できるといいます。ブースで流れていた夜中を撮影したイルミネーションの作例では、豆電球の1つ1つの明かりが潰れずに、周囲の暗さとともに鮮明に描写されているのが印象的でした。

また、SDR映像をHDRにリアルタイム変換しながら再生する機能も搭載。ディスプレイもHDR対応なので、過去に撮影した映像も鮮明なHDR画質で楽しめます。

SoCにはクアルコムのSnapdragon 845を採用。これは上位モデルの「Xperia XZ2」や、サムスンの「Galaxy S9」など、各社フラグシップのSoCと同じ。見た目はコンパクトながらも、Androidとしては最上級の処理性能を誇り、動作も非常にスムーズです。

さらに、RAMは4GB、ストレージ容量は64GBと、こちらも「Xperia XZ2」と同等仕様。従来のXperia Compactシリーズは、上位モデルに対してディスプレイ解像度やRAM容量が劣ることが常でしたが、今回は完全に同等仕様となった点で、真のハイエンド・コンパクトを体現しているとも言えます。

ワイヤレス充電、新バイブレーターには非対応

このように処理速度や画面解像度、カメラ性能で「XZ2」と遜色のない「Xperia XZ2 Compact」ですが、1つ残念なポイントがありました。それがワイヤレス充電への非対応です。

ソニーモバイルの染谷氏

上位モデルの「Xperia XZ2」ではQi方式のワイヤレス充電に対応する一方、本機では対応を見送った理由について、ソニーモバイル商品企画の染谷洋祐氏は『価格帯やターゲットのお客様を考慮するなかで、コンパクトには不要と判断した』と説明します。

Xperia XZ2 が対応するワイヤレス充電は慣れると便利だが…

また「Xperia XZ2」の裏の目玉とも言える「ダイナミック・バイブレーションシステム」にも非対応。これは、映像のサウンドに合わせて本体が重低音のようにプルプルと振動し、コンテンツの臨場感を増す機能。YouTubeなどあらゆる映像やゲームアプリで適用できます。

「Xperia XZ2」では、このためにXZ1比で何倍もの大きさの巨大な振動アクチュエーターを実装するなどの力の入れようです。実際に試してみると魅力的な新機能なだけに、ぜひ「Xperia XZ2 Compact」にも搭載してほしかったと感じます。

Xperia XZ2はXZ1比で何倍もの巨大な振動アクチュエーターを搭載するが、XZ2 Compactは非搭載

このように、Xperia XZ2がそのまま小型になったわけではないことに留意する必要のあるXperia XZ2 Compactですが、手に収まる小型でSnapdragon 845の処理性能、4K HDR動画を撮影できる点はやはり魅力的。ハイエンド・コンパクトの有力な選択肢となることは間違いなさそうです。

Engadget 日本版からの転載。

投稿者:

TechCrunch Japan

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