Google Playのストアがオーディオブックを発売、Assistantと統合で便利機能も

Google Playのストアが今や、オーディオブックを扱っている。Playのストアのことを、AndroidのためのGoogleのアプリストアだ、と思っている人が、多いかもしれない。でもこのストアは前から、ムービーやテレビ番組、雑誌、eブックなども売っている。〔Home, Daydream, Chromecastなどのハードウェアも売ってる。〕

オーディオブックの販売は、45か国9つの言語でサポートされる。

オーディオブックを扱うのは自然な流れのようだけど、これまでなかったことが意外でもある。なぜそんなに時間がかかったのだろう? Google Play BookのプロダクトマネージャーGreg Hartrellはこう説明する: “多くの人が、本をもっとたくさん読みたいと思っているし、とくにオーディオブックは忙しい生活の中で本を‘読む’方法として人気が増している。Play Bookはすでに歴史も長くて、75か国に向けて500万あまりのeブックを提供しているが、最近はオーディオブックへの関心が高く、音楽やポッドキャストなどそのほかのオーディオコンテンツと同格になりつつある。でもいちばん重要なのは、ユーザーの要望がとても大きいから提供を開始する、ということさ”。

オーディオブックはどこでもそうだが、Google Playのストアでも試聴ができ、購入すれば自動的にユーザーのファミリーライブラリの一員になる。つまり、家族の誰もが‘読める’ようになる。

またスマートフォンやGoogle HomeではGoogle Assistantに統合されるから、Assistantに命令して(頼んで)読んでもらえる。また、“著者は誰?”など、その本に関する質問もできる。

Googleのオーディオブックのお値段は、少なくとも現時点では、Amazonと互角だ。人気のタイトルはだいたいどれも10ドル以下で、たとえばMichael WolffのFire & Fury(トランプ大統領の暴露本)は8ドル99セント、John GrishamのThe Rooster Bar9ドル99セントだ。

言語は英語, ドイツ語, スペイン語, フランス語, イタリア語, ロシア語, 韓国語, 日本語に対応。ヨーロッパ、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、およびアジアの計45か国で利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

マラケシュ条約、著作権を制限して視覚障害者の書籍利用を容易に

Child learning to read braille at Bombali School for the Blind in Sierra Leone. | Location: Bombali, Sierra Leone.

視覚障害者にとって、見えることを前提にした書籍や出版物を読むことはそもそも困難だが、コンテンツがアクセス可能な形式で提供されなければ完全に不可能だ。幸いなことに、問題を緩和するための国際的な合意が、今日大きな節目を迎え、年内には発効される運びとなった。

マラケシュ条約は、国連の一部門である世界知的所有権機関(WIPO)が提唱した、国境を越えて知的財産問題を緩和する一連の規則だ。条約は著作権法に例外を設け、点字、オーディオブック、電子書籍等のアクセシビリティー形式による作品の複製を認め、こうした作品の国際流通の制約を緩和する。

障害、ニーズ、利用方法は極めて多岐にわたる。麻痺があったり手を失った人々の要件は、視覚障害者や失読症の人たちとは大きく異なる。

マラケシュ条約は新しいアイデアではない。条約の準備や交渉は10年近く続いた ― 大きな国際合意はあらゆる意味で簡単でないので、それは驚きではない。もちろん、MPAAを始めとする主要な著作権所有団体が反対したことも邪魔をしている ― 例えば、字幕等を制限の対象から外した。

皮肉なことに、米国はこの条約が国際化を進める著作権制限を既に実施している、数少ない幸運な国の一つだ ― そして多くの組織が積極的に推進している。実際、つい昨日(米国時間6/30)、HathiTrust(大学図書館書籍アーカイブ事業)と全米視覚障害者連合は、視覚障害者および読書に不自由のある人々のために1400万冊以上の書籍をオンラインで公開すると発表した。

反対はあるものの、事態は良い方向へと進んでいる。エクアドルとグアテマラが昨日条約に加盟し、今日カナダが続いたことで、マラケシュの重要な20番目の加盟国となり、条約に「効力を生じ」させた。

Representatives from Canada (left), Guatemala (center), and Ecuador present documents to WIPO's Francis Gurry.

カナダ(左)、グアテマラ(中央)、およびエクアドル(右)の代表者が、WIPOのFransis Gurryに書類を提出した。

「マルケシュ条約が広く世界中で受け入れられれば、視覚障害のある人々が、より平等で差別のない方法で書物を利用できるようになる」と、WIPOのFrancis Gurry事務局長はプレスリリースで言った。

条約に効力が生じるということは、WIPOが加盟国に対し、約束を守り条約の規定を実際に法制化するよう促し始められることを意味している。発効日は9月30日だが、10月1日から点訳書が溢れることを期待してはいけない ― 法律が制定され、翻訳と配布のプロセスを監督する組織の選定あるいは設立が必要だ。

たとえゆっくりでも、何もないよりずっと良い。数年以内に、通常の書籍を読むことのできない人々が、今よりずっと簡単に代替手段を見つけられるようになるはずだ。

[情報提供に感謝:EFF

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Playブックス、教科書や料理本の閲覧に便利な「スキムモード」を搭載

たいていの電子書籍リーダーは、本を先頭から最後に向かって読むことを前提に設計されている。小説などは一般に、「読み通す」ことを前提として書かれているのでそれでも良いわけだ。

しかし小説以外の場合はどうなのだろう。たとえば研究レポートや教科書、あるいは料理ガイドのような場合には不便に感じることも多いのではなかろうか。そうした本では、たいてい何度もページ間を行き来するのが普通だろう。読み通すというよりも、前を見て後ろを見て、そしてまた戻るというような使い方をするのが一般的なスタイルだろうと思われる。

そうした使い方を考えて、Google Playブックスには、新しいモードが追加された(訳注:訳者の日本語版についてはまだ確認できていません)。

これは確かにさまざまな可能性をもつ進化だと思われる。機会を見て関連の話題をお伝えしていきたい。取り敢えずはPlayブックスのWhat’s Newを記しておこう。

  • 「スキム」(Skim)モードにすることで、フリップにより無限スクロール風にページ間を移動することができます。
  • 「Quick Bookmarks」にてブックマーク間の移動がより簡単に行えるようになります。200ページも離れたところにある注釈などを頻繁に参照する際に便利でしょう。
  • 書き加えたメモやハイライトしたところを一度に確認し、そこから該当のページにジャンプすることができます。教科書などを読むときにとても便利な機能となります。

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(翻訳:Maeda, H


KindleのeBookでAmazonアカウントに侵入するハック

かなり厄介な欠陥 ― 電子書籍の題名テキスト中でスクリプトを実行できる ― によって、Amazonアカウントのセキュリティーが破られる恐れがある。この欠陥は、過去にパッチされた後最近また現れたもので、電子書籍ファイルにプログラムを埋め込んでおくと、AmazonのKindle用ツールでその本を扱った時に実行される。現在は塞がれているようだが、アプリや他のサイトには影響を与える可能性がある。

このハックは、Kindleストアの “Manage Your Content and Devices”および“Manage your Kindle”ページに侵入する。

詳しくはここに書いてあるが、簡単に言えば本のタイトルに「<script src=”ttps://www.example.org/script.js”></script>」のようなテキストを埋め込むことによって行われる。上に挙げたページでこの種の本を調べると、スクリプトが実行されクッキーが読まれて悪質な改竄が行われる。

殆どの合法的eBookは安全だが、ハッカーはこれを利用して海賊本をターゲットにする可能性がある。研究者のBenjamin Daniel Musslerがこう書いている。

この脆弱性の被害にあう可能性が最も高いのは、電子書籍を信用できないサイト(=海賊版サイト)から入手して、Amazonの “Send to Kindle”サービスを利用して端末に送るユーザーだ。この種の脆弱性はアクティブなAmazonアカウントにアクセスする機会を提供するものだ。

Kindleは、海賊本で(合法な本でも)よく使われるフォーマットである .mobiファイルを読むことができる。Amazon独自の .azw フォーマットは影響を受けない。Musslerは、Kindleのアカウントページにポップアップウィンドウを表示する概念実証用ファイルを作った。このデモ文書は既に無効のようだが ― 私は2度試してみた ― 脆弱性が今も生きていることを示すスクリーンショットがいくつある。

今のところこの脆弱性は殆ど無害のようだが、今後同種のハックが他のアプリやサービスに侵入する可能性はある。というわけで、海賊版や自作電子本をダウンロードする時は要注意だ。

via TheDigitalReader

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


モバイルは途上国の識字率をめざましく向上: UNESCOの調査報告より

UNESCOの最新の報告書によると、モバイルデバイスは途上国における識字率の向上に貢献しうる可能性があり、しかもそれは今では、世界のほぼすべての人口に普及しつつある。それにまた、この件に関しては高価なタブレットやスマートフォンは必ずしも必要なく、むしろeブックリーダーはフィーチャーフォン上のものが多く使われている。

この報告書は、エチオピアとガーナ、インド、ケニア、ナイジェリア、パキスタン、およびインドの計5000名に対するアンケート調査の結果だ。“物理的な本が乏しいところでも、携帯電話は豊富にある。携帯電話は今でも主にごく基本的なコミュニケーションのために使われているが、しかしそれでも、いちばん簡単な携帯電話ですら長文のテキストへのゲートウェイだ”、と述べるこの報告書は、その作成にNokiaが協力している。同社は今でも、売上の相当部分がフィーチャーフォンなのだ。また、アジアとアフリカを対象とするモバイルの読書プラットホーム(無料の)Worldreaderも、この調査に協力した。

発行日が偶然にもWorld Book Dayと同じ日だったこの調査報告は、国連のデータを引用しつつ、世界の60億あまりの人びとが携帯電話を常用しているので、68億と言われる世界の総人口が、可能性としては読むための素材にアクセスできるのだ、と述べている。

回答者の18%は、eブックのプラットホームは携帯のデータ料金が高くて利用できない、と言っている。報告書によれば、Worldreader Mobileはデータを圧縮しているので1000ページの本のダウンロードに2~3セントしかかからないそうだ。データ料金が気になる18%に対して、50%はまったく気にならないと答えている。

携帯を使って読むことに熱心なのは、とくに女性である。携帯で本などを読む機会は、女性が男性の6倍に達する。モバイルで読書をしている人の77%は男性だが、読む時間は女性の方が多くて一か月に約207分、男性はわずか33分だ。調査対象となった親たちの1/3は、携帯電話を使って子どもに本を読んでやる機会がよくある、と答えている。

しかしまだ、おもしろいコンテンツが少ないという問題があり、回答者の60%は、それが携帯電話で何かを読むという行為の障害になっている、と答えている。Worldreader Mobile上のクリック数がいちばん多い人気コンテンツは、一位がロマンス(恋愛小説)、次位が宗教に関する本だ。もっとも多い検索語は、Harry Potter、Romeo and Juliet、Animal Farm、そしてTwilightだった。

Worldreaderは、元MicrosoftとAmazonの役員だったDavid Risherと、スペイン(バルセロナ)のビジネススクールESADEの元マーケティングディレクターColin McElweeが、2010年に創設した。同社の目標は、今年の終わりまでに100万人以上のモバイルユーザに同社の無料のeブックへのアクセスを提供することだ。

写真はWorldreaderのFacebook Pageより。

〔重要な訳注: 原文のコメントによると、携帯上の読書時間一か月207分は、207時間の間違い。…このコメントも、間違いのような気がするが(報告書原文[PDF]のp30(物理ページではp26)を見てください)。〕
〔余計な訳注: 携帯電話の常用による識字率の向上を、読書(既製の長文テキストを受動的に読むこと)のみに結びつけるのは、あまりに短絡的・視野狭窄的ではないでしょうか…。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、紙版書籍購入者に対して無料(ないし安価)での電子本提供プログラムを開始予定

AmazonがKindle MatchBookという新たなサービスについてのアナウンスを行った。Amazonで紙の書籍を購入した利用者に対し、その本のデジタル版を無料ないし2ドル99セントの価格で提供するというものだ。価格は書籍によって決まることになる。本プログラムの対象となるのは、Amazonが書籍販売を開始した1995年から、これまでに購入した本ということなのだそうだ。

このKindle MatchBookプログラムは10月に開始される予定だ。開始までに、対象となる書籍を1万冊以上用意するとのこと。対象となる書籍は徐々に増やしていきたい考えだ。プログラムに参加するか否かは出版社側の判断であり、Kindle版のダウンロード時の価格の選択(無料、99セント、1ドル99セント、2ドル99セント)も出版社側で行う。

「遠い昔のクリントン時代、CompuServeアカウントでログインして、AmazonからMen Are from Mars, Women Are from Venusといった書籍を購入して頂いた方も、(18年たった今になって)Kindle版を非常に安価にダウンロードしてお楽しみいただけるようになるわけです」と、Kindle Content部門のVice PresidentであるRuss Grandinettiが、なかなかユニークな調子でプレスリリースの中で述べている。

ちなみに、メジャーな出版社も、あるいはKindle Direct Publishingで出版している個人であっても、サービス開始時に作品を掲載するための登録を行うことができるようになっている。このサービスは、印刷された本に加えて電子本も入手できる読者にとっては当然メリットがあるものだ。しかしそれだけでなく、出版社側にとっても、新たな販売機会を得るチャンスともなる。18年も前に書籍を購入した利用者に対し、紙版に加えて電子版の購入を促すことができるようになるわけだ。

読者にとっては、電子本の価格は無料であるのがベストだろう(既に持っている本を、さらにお金を出して買うということに躊躇いを感じる人もいるだろう)。しかし電子版の便利さを感じて、たとえ有料であっても購入しようとする人もいるはずだ。個人的には、過去においてもっとAmazonを使って購入しておけばよかったと後悔している。今後は、紙の本が欲しくなったらきっとAmazonを第一候補に考えることだろう。もちろん、そうした客が増えるようにというのが、Amazonの狙いであるわけだ。

(訳注:本稿はアメリカTechCrunchの記事であり、日本に適用される予定があるのかどうかについては確認していません)

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(翻訳:Maeda, H)


Amazonが中古eブックのマーケットプレースを開業へ

[筆者: Victoria Ho]
Amazon-Kindle1

Amazonは、中古のeブックを売ろうとしている。

同社は最近、読者が自分の読んだeブックの所有権を無効にし、Amazonのマーケットプレースに出す方法を発明して、特許を取った

もちろんeブックは傷んだりしないが、その再販とは、そのライセンス(自分だけが読めるという権利)を移転することだ。今でもKindleの本を“貸す”ことはできるから、ライセンスの移転はすでに行われている。貸した本が友だちのデジタルライブラリにある間は、その本はオーナーのデバイス上から消えている。

約1年半前にローンチしたReDigiというサービスもある。同社の指摘によると、Amazonが2009年に申請した特許は再販の技術が同社とは異なり、Amazonの本が新しいデバイスにダウンロードされると、その本は元のオーナーの書棚から削除される。

一方ReDigiの方法は、ユーザの本がReDigiのサーバに“移動”されてから新しいデバイスにダウンロードされる。同社の主張では、この方法なら本の新しいコピーは作られない。オリジナルが移動するだけである。でも私から見れば、それは言い方の違いにすぎない。Amazonの方法でも、本のコピーは終始一つしかない。

しかしそれでも、ReDigiは狼狽していることだろう。Amazonの特許は、ユーザが一度買ったデジタル製品に対する権利を、その製品の全生涯にわたってAmazonが持つ、と言っている。そうすると、ReDigiのようなサードパーティは(その特許に触れるので)中古品マーケットプレースになれない、ということになる。彼らの前途に暗雲が…。

〔訳注: この件の詳細に関心のある方には、原文のコメントを読むことをおすすめします。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))