AWSが放送局級のライブ配信が可能になるデバイス「Elemental Link」をリリース

米国時間5月4日、AWSはElemental Link(日本語ページ準備中)を発表した。これはポータブルな動画圧縮、アップロード用ハードウェアデバイスで AWS Elemental MediaLive サービスと組み合わせて誰でも手軽に放送局レベルの高品位なライブ動画配信が可能となる。重さは500g、価格は995ドル(約10万6000円)で、カメラに接続すると動画にリアルタイムで強力な圧縮をかけてAWSのライブ配信サービスにアップロードする。

デバイスはファンレスなので耳障りな作動音はなくカメラの横に置ける。Etherntに加えてビデオ信号の入力用にHD-SDIとHDMのポートがある。LinkはAWSのライブ配信サービス、Elemental MediaLiveにライブ動画を供給するデバイスで、デバイスは接続速度を検出して最適なデータ出力を行う。AWSの管理コンソールからリモートで操作できる。

AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏は発表で「放送局のような環境であれば、専用のハードウェアとエンジニアのチームが極めて高い水準でビデオのキャプチャ、エンコード、ストリーミング、保存を行う。しかし学校の授業、企業のプレゼンやカンファレンス、インディーのパフォーマンス、小規模なスポーツイベントなどでは、ハイエンドのビデオをライブ配信する予算やノウハウがないのが普通だ。高品質な動画を高い信頼性でストリーミング配信するにはこれまでは専用のハードウェアと操作が複雑なソフトウェアのインストールが必要だった」と説明する。

AWSは クライアントにネットワーク局を持つだけなく、最近人気が急上昇しているゲームビデオのTwitch TVの配信もホストしており、ストリーミングの経験は豊富だ。

もちろんLinkデバイスのターゲットは個人のゲーマーではなく高品位で安定したビデオ配信を必要とする企業などの組織だ。AWSのElemental MediaLiveサービスはTwitchのような一般ユーザー向けストリーミングプラットフォームよりは操作は複雑だ。また複数のカメラやパソコンなどビデオソースを切り替えながらライブ配信をしようとすれば、Open Broadcaster SoftwareのOBS Studioのようなソフト、BlackmagicのATEM Miniなどのハードが必要になるだろう。

Linkからインターネット経由でアップされたビデオはMediaLiveが処理し、外部の各種ストリーミングサービスに適したフォーマットで出力することになる。バー氏によれば、AWSはリソースのモデル化テンプレートを提供するCloudFormationを利用して簡単にこの設定が行えるよう準備をしているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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