Facebook社員がバーチャルストを敢行、トランプ米大統領の投稿に対する会社の態度に抗議

米国時間6月1日、一部のFacebook(フェイスブック)社員がバーチャルストライキを開始した。ジョージ・フロイド氏惨殺に対する抗議に関わるドナルド・トランプ大統領の投稿に対して同社が行動を起こさないことへの抗議だ。ストライキに参加している社員らは、休暇を要求し、メールの自動返信機能を使って自分たちが抗議行動をしていることを送信者に伝えている(The New York Times記事)。その後Facebookはストライキを承認し、参加した社員は有給休暇を使う必要がないと語った。

先週、武器を持たない黒人、フロイド氏を警官が死亡させたことに抗議するデモがミネアポリスで行われている中、トランプ大統領はTwitter(ツイッター)とFacebookの両方に、「略奪が始まれば、銃撃も始まる」と投稿した。

The Washington Postが書いているように、このフレーズには人種差別の歴史的背景がある。1960年代、マイアミの黒人街で市民暴動が起きた時、白人警察署長が同じフレーズを用いた。

Twitterの対応は、トランプ氏のツイートに、暴力賛美に関わるTwitterの規則に違反した旨の警告を表示することだった。

しかしFacebookは異なるアプローチをとった。同社の対応はなにもしないことだった。

米国時間5月29日、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は同社のポリシーを説明(未訳記事)し、「国の実力行使を巡る議論は認めている、ただし現在の状況はその議論の潜在的限界がどうあるべきかいう重要な課題を呈した」と語った。さらにザッカーバーグ氏は、「市民は政府が武力行使を計画していることを知るべきだとわれわれは考える」と語った。

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先週、Twitterが大統領のツイートの事実確認を行う決定を下したことを受け、ソーシャルメディア各社を罰する大統領命令(未訳記事)を発令する意志を発表した後、同氏はTwitterのポリシー適用と自社の対応の対照的な違いをFox Newsのインタビューで示した。トランプ氏の大統領命令が、ソーシャルメディアによるコンテンツ管理を制限すると威嚇した同じ日に放映されたそのインタビューで、ザッカーバーグ氏は人々がオンラインで語ったことに対して、テックプラットフォームが「真実の裁定者」になろうとしていることを批判した。

この日のストライキに加えて、Facebook社員らは会社がもっと役職を多様化するよう求める嘆願書を回覧し、もしザッカーバーグ氏が今の立場を変えなければ会社を辞めると宣言する人たちもいた。何人かの社員は会社対してTwitterで発言した。FacebookのPortal(ポータル)設計責任者であるAndrew Crow(アンドリュー・クロウ)氏もそのひとりで、「暴力を賛美し誤った情報を拡散するためにプラットフォームを提供することは、誰であれニュース価値があったとしても認められない」と語った。「私はマークの立場に反対し、変化を起こすために行動する」。

Facebook内部の騒動が外部に漏れるのは比較的まれな出来事だ。ここ数年、ほかのテック大手が政治や思想の相違に関する公然の抗議活動に直面してきたのに対して、Facebook社員は概して団結し、怒りを会社の塀の中に留めてきた。

5月31日夜、プロダクト管理ディレクターのJason Toff(ジェイソン・トフ)氏はツイートで「会社のとっている行動には誇りが持てない」と語った。「話をした同僚の大半が同じ考えだ。我々は声を届けようとしている」と付け加えた。Instagram(インスタグラム)社員のKatie Zhu(ケイティ・チュー)氏は、6月1日に人種間の平等の大義のための募金を行い、「会社がたった今世界に向けて見せていることに失望し、恥ずかしく思っている」とツイートした

Zuckerberg氏は、社内の不満と過激化する抗議者と警察の衝突を受け、米国で人種間の平等のために戦う団体に 100万ドルを寄付した。同社の時価総額は6500億ドルを超える。

「多くの仲間たち、中でも黒人コミュニテーが感じている痛みを理解している」とFacebook広報担当者が声明で語った。「社員たちには経営陣への不満を率直に語ることを推奨する。コンテンツに関してさらに困難な決断を迫られる中、会社はこれからも正直なフィードバックを求めていく」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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