Visaがアーティストやミュージシャンを対象としたNFTプログラムを開始

クレジットカード大手のVisa(ビザ)は、小規模事業者をデジタル経済に取り込むため、NFT(非代替性トークン)クリエイタープログラムを開始した。

Visaの暗号資産(暗号資産)部門責任者、Cuy Sheffield(クイ・シェフィールド)氏はTechCrunchに「過去1年間、NFTのエコシステムが急速に成長しているのを目の当たりにしました。NFTが新しい形のeコマースを表していると考えています」と語った。

小規模事業者の頭の中は、従来の「家族経営の実在店舗」から、デジタルに特化した企業を立ち上げ、NFTのような新しいツールを活用したいクリエイターや起業家による他の独立したビジネスへと進化していると、シェフィールド氏は述べた。

1年間の集中プログラムであるVisa Creator Programは、アーティスト、ミュージシャン、ファッションデザイナー、映画制作者などのクリエイターを集め、NFTを使ったビジネスを構築できるようにする。

シェフィールド氏は、初回のプログラムではクリエイターの数に上限はなく、すべてのメンバーがVisaの顧客やメンターの幅広いネットワークにアクセスできるようになる、と述べた。

「大規模な業者やブランドは、どうすれば参加できるかを毎日尋ねています」と同氏は語った。「我々にとってNFTが非常にエキサイティングなのは、人々がビジネスを構築し、オンラインで販売するための参入障壁を低くしてくれると考えているからです」。

従来の物理的な商品の販売方法は多くの物流をともなうため、中小企業や個人が競争し、規模を拡大するのは難しかった。「NFTは、クリエイティブな人、アーティスト、才能のある人が、デジタルな方法で完全に商品を生産することを可能にします」とシェフィールド氏は話す。

元メジャーリーガーで、現在はAkuのアーティストであるMicah Johnson(マイカ・ジョンソン)氏は、この初回プログラムの参加者の1人だ。Visaは2021年10月にパートナーシップを発表したが、その時はジョンソン氏がプログラムに参加していることは明かしていなかった。

ジョンソン氏のAku NFTは、同氏が甥から「黒人の宇宙飛行士ってあり?」という質問を聞いて作ったキャラクターをベースにしている。

同氏の10部構成のコレクションは、スパゲッティとミートボールに覆われたヘルメットから、シンプルでスマートな白いヘルメットまで、さまざまな要素を身につけた黒人男性の宇宙飛行士のポージングで構成されている。Aku NFTのウェブサイトによると、価格は1790〜3万7000ドル(約22万〜450万円)だ。

ジョンソン氏は「NFTがアーティストを可能にすることを身をもって体験しました」とTechCrunchに語った。「私はこのアイデアと使命感を持って、文字通り自宅のガレージで絵を描いていましたが、それを世界的な企業に成長させることができたのです。NFTがなければ、今の私の立場はないでしょう」。

Visaは暗号資産コミュニティと無縁ではなく、過去12カ月間、暗号資産の擁護者だった。2021年8月に人気のCryptoPunkのNFTを購入したことで話題になったが、シェフィールド氏はこの購入が同社の唯一のNFTにはならないだろうと述べた

NFTの収集以外にも、Visaは暗号資産チームを増強し、2021年12月には顧客やパートナーがこの分野への深入りを検討できるよう、暗号資産アドバイザリー業務を開始した。

「(NFTは)商取引を再構築し、新たな機会を創出することができる基本的な原始ツールだと考えています。しかし、どのように進化していくのかについては、まだ多くの疑問があります。どのブロックチェーンを使えばいいのか。どのようにして目立つのか。どのような方法で顧客にアプローチするのか。そして、クリエイターが我々から学ぶことができると思うのと同じくらい、我々は彼らから学びたいのです」とシェフィールド氏は話した。

同氏によると、Visaは今後、これらの暗号資産技術にどっぷりと浸かって商取引の未来を追いかけたいと考えている。「我々はNFTに非常に興奮しています。NFTが多くの異なるネットワークにまたがって存在すると考えているので、すべての(NFT)マーケットプレイスがVisaカードを受け入れることができるようにしたいのです」。

次のステップはどうなるか。Visaは、オンラインで何かを購入するのと同じくらいNFT購入を簡単にしたいと考えている、と同氏はいう。

「現在のNFT購入体験はかなりハードルが高く、取引所に行って暗号資産を買い、それを別のウォレットに移すという複数のステップが必要です。新しい消費者がこの分野に参入するのは非常に難しいのです」と同氏は指摘する。

このプログラム以外にも、クレジットカード会社は、消費者にとってNFTをより購入・アクセスしやすくするための方法を検討している。消費者がこの分野に参入しやすくするためにVisaが取り組んでいる「数々の取り組み」があるが、シェフィールド氏は今後同社がNFTに特化した製品やサービスを発売する時期については明かさなかった。

「小規模事業と商業は、世界中の町や近隣のコミュニティを構築する上で本当に重要な役割を担っています。地元の理容店やパン屋には、親しみやすい顔があります。そして今、私たちが目にしているのは、クリエイターが商業とNFTを利用して、共通の信念や理想を持つ人々が集う、志の高いコミュニティを世界中に築きつつあるということです」。

画像クレジット:hapabapa / Getty Images

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(文:Jacquelyn Melinek、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルが支援する印Glance、NFTを推進するためにゲームプラットフォームGambitを買収

Google(グーグル)の投資を受けているGlance(グランス)が、モバイルゲーム製品の強化と同社のZ世代ユーザー層にNFTを提供開始することを目指し、インドのGambit(ギャンビット)を買収したことがTechCrunchによって確認された。

広告大手InMobi(インモビ)グループの共同創業者であり、GlanceのCOOであるPiyush Shah(ピユシュ・シャー)氏はこの買収を確認したが、取引の財務条件については言及を避けた。同氏はTechCrunchのインタビューで、この買収により、Jio Platformsも出資している同社はライブゲームショーやNFTベースのインセンティブをユーザーに提供し、ゲーム体験を豊かにすることができると述べている。

携帯電話メーカーと提携し、メディア、エンターテインメント、ニュースのコンテンツを携帯電話のロック画面に表示するGlanceは、最近、ゲームに注力している。4億台以上の端末で利用されているこのスタートアップは、2021年、同社のプラットフォームでカジュアルゲームを試験的に導入し、すぐにユーザーの間で受け入れられた。

近年、より若い企業であるRoposo(ロポソ)やShop101を買収したGlanceは、小規模な企業を買収し、Glanceのプラットフォームを広げながら提供するサービスを大幅にスケールアップすることで知られている。

「毎月約1000万人の人々が、Glanceでゲームのライブ配信を視聴しています。そこで我々が考えたのは、このプラットフォームでライブゲームショーも行うにはどうしたらいいか、ということでした」とシャー氏はいう。

NFTは、ユーザーにとって無数のメリットをもたらすと彼はいう。「デジタル仮想資産を所有することで、ユーザーがゲーム内で強いキャラクターを構築できるといった実用的な利点があると同時に、これらのNFTはNFTマーケットプレイスや取引所で出品・取引され、ユーザーの収益や所有に貢献することができます」と同氏は述べている。

シャー氏は、GlanceのWeb3の推進はまだ初期段階であることを指摘し、スタートアップがNFTを立ち上げるためにどのブロックチェーンを使用しているか、また提携を予定している組織について明らかにすることを避けた。しかし、Glanceは9カ月以上にわたってこの分野を評価してきたという。

同スタートアップは、ゲーマーやインフルエンサー、他のゲーム会社と提携する予定だという。同社プラットフォーム上のNFTは、ゲームのマイクロモーメントと高次元仮想アバターをキャプチャする、と彼は付け加えた。

「これによりクリエイター、ストリーマー、デベロッパーは、アセットやNFTベースのゲーム制作を通じて収益化を図るとともに、ゲーマーに好まれるユニークな体験を提供できる可能性があります」と、このスタートアップは述べている(Glanceは、インドの現地規制を理由に、Nostragamusを運営する設立6年のGambitが提供するファンタジースポーツの導入は回避する)。

Gambitの共同創業者であるYashashvi Takallapalli(ヤシャシヴィ・タカラパッリ)CEOは、声明で「GlanceとGambitの強みを組み合わせ、すべての人に合ったゲームが存在するという信念のもと、今後1年間でGlance Gamesの月間アクティブゲーマー数を2倍にすることを想定しています」と述べている。

Glanceは約17億ドル(約2076億円)の評価を受けており、Web3に進出するインドの最新の大手企業となる。

ファンタジースポーツ大手のDream11は、NFTスタートアップRarioの30〜40%の株式を約1億ドル(約122億円)で取得する方向で交渉中だと、この件に詳しい関係筋は述べている(インドの新聞Economic Timesは、先にこの取引の詳細を一部報じた)。Sequoia Capital Indiaが支援するNFTスタートアップFanCrazeは、ICCとの独占提携を維持しており、今週初めには資金調達ラウンドで1億ドル(約122億円)を調達したと発表している。

インドのゲーム開発会社SuperGamingは2月、暗号資産取引所WazirXの共同創業者であるSiddharth Menon(シッダールト・メノン)氏と提携し、TegroというWeb3ゲームマーケットを立ち上げた。

画像クレジット:

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

NFT総合マーケットLINE NFTが4月13日開始―吉本興業など17コンテンツと提携・Web3への入口を目指す

LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCは3月23日、NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」(記事執筆現在はティザーサイト)を4月13日より開始すると発表した。ローンチラインナップとして、吉本興業など計17コンテンツと提携しており、エンターテインメントやスポーツ、ゲーム、アーティスト、アニメ、キャラクター、イベントの7ジャンル100種類以上のNFTを販売する。今後はソフトバンクやZホールディングスのグループ企業などとの協業を通じ、さらなる拡大を目指す。

ローンチ時に販売されるNFTのラインナップは、吉本興業ホールディングスによる人気芸人のネタをNFT用撮りおろした限定NFT動画「よしもとNFT劇場」、歌手や俳優として活躍するNissy(西島隆弘)の今後の活動と関連したNFTやLINE用のヨッシースタンプのNFTなどを予定。

昨今、海外のNFT市場が爆発的に広がり、国内でも多くの企業がNFT事業に参入している一方、NFTは、購入までのハードルの高さやNFTを保有する価値・意味が十分に理解されていないという課題がある。

これに対してLINE NFTでは、月間9000万人が利用するLINEからNFTを購入(一次流通)およびユーザー間で取引(二次流通)できることに加えて、その先にあるNFTを持つことによる楽しみを感じられるような場を提供するという。また今後は、LINE NFTにより誰でもNFTにアクセスできる環境を提供し、Web3への入口をユーザーに届けることを目指す。

LINE NFTで購入したNFTは、LINEアカウントですぐに登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」で保管可能。自分のNFTをLINEの友達と交換したり送り合ったりできる。また、キャンペーンプラットフォーム「LINEで応募」といったLINEの他サービスとの連携も進めることで、購入特典やキャンペーン景品などにNFTを付与する機会を増やす。LINEのプロフィールにNFTを設定可能とするほか、現在国内で約600万セット以上が発売されているLINEスタンプにおいて、NFTを活用する予定。

今後の展開としては、ソフトバンクやZOZO、Zホールディングスと協業し各社が提供する各種サービスと連携を予定。ソフトバンクとは、同社提供の動画配信サービス「バスケットLIVE」での動画NFTを取り扱う予定。また同社コンテンツ配信サービス「5G LAB」とも技術的な連携を深めてxR技術を活用した立体感・臨場感のあるNFTの検討を進めているという。加えてNFT購入時の決済手段としてPayPayの導入も検討中。「ヤフオク!」にNFTを出品・落札できるよう準備している。

ZOZOとは一部のファッションブランドとのNFT販売を予定しており、ファッション領域におけるNFTの協業を検討。

「LINE GAME」「LINE MUSIC」「GYAO!」といったエンターテインメントサービスを運営するZホールディングス傘下のZ Entertainmentと連携し、動画やライブ配信といったエンターテインメント領域におけるNFT事業の推進を図る。

Web3のデジタルIDスタートアップ、Unstoppable Domainsが約1211億円のユニコーン評価額で資金調達を交渉中

ブロックチェーンのネーミングシステムプロバイダーとして人気のUnstoppable Domainsが、10億ドル(約1211億円)の評価額で資金調達ラウンドを実施する交渉をまとめていると、この件に詳しい3人の関係者がTechCrunchに語った。

同スタートアップは、Draper Associates、Coinbase Ventures、Protocol Labs、Naval Ravikantを含む多くの新規および既存投資家と、新たな資金調達ラウンドで約6000万ドル(約72億6300万円)を調達すべく交渉していると、検討中かつ非公開であるため匿名を希望した情報筋は語った。

このラウンドはまだクローズしていないので条件が変わる可能性がある、と彼らは注意を促している。同社は米国時間3月22日にはコメントを控えた。

Unstoppable Domainsは、人々が暗号のためのユーザー名を作成し、分散型デジタルIDを構築するためのサービスを提供している。同社は、特定のTLDを持つドメインを5ドル(約605円)という低価格で販売しており、これまでに210万以上のドメインを登録する手助けをしてきたと、そのウェブサイトで述べている。提供する人気のTLDには、.crypto、.coin、.bitcoin、.x、.888、.nft、.daoなどがある。

Amazon(アマゾン)のAWS、Uber(ウーバー)、Slack(スラック)などの企業で働いたメンバーを含むUnstoppable Domainsは、分散化された各ドメイン名をEthereumブロックチェーン上のNFTとして鋳造し、オーナーにより広範なコントロールと所有権を与えている。

ドメイン名を持つことで、ユーザーは無意味に長いウォレットアドレスを友人や企業とわざわざ共有する煩わしさから解放される。

Unstoppable Domainsはまた、OpenSea(オープンシー)、Coinbase Wallet(コインベースウォレット)、Rainbow Wallet、Chainlink、Brave browser、ETHMailなど140以上のアプリケーションと統合されている。90以上のDAppsが、EthereumとPolygonのためのシングルサインオンサービスである同社の製品「Login with Unstoppable」をサポートしており、暗号コミュニティを苦しめる経験の1つに対処している。

投資家へのピッチデッキで、同スタートアップは「分散WebのCoinbase」を構築しようとしていると述べた。その幅広いサービスのおかげで現在では、ENS、Solana Bonfida、Tezos、Handshakeと競合している。

同社は24万人以上の顧客を集め、2021年は5300万ドル(約64億1800万円)の収益を計上したと、2人の情報筋が語っている。また、利益も出ているという。TechCrunchが入手したピッチデッキによると、同社は2022年、企業と提携して自社のTLDを立ち上げる予定だという。

画像クレジット:Unstoppable Domains

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(文:Manish Singh、翻訳:Den Nakano)

Bored ApesのNFTスタートアップYuga Labs、約4836億円のモンスター評価額でシードラウンドを調達

NFTに懐疑的な人々が嫌いがちな数百万ドル(数億円)もする「サルのJPEG」メーカーYuga Labsは、Andreessen Horowitzから40億ドル(約4836億円)の評価額で4億5000万ドル(約544億円)の資金調達をしたと米国時間3月23日に発表した。

Bored Apes Yacht Clubを運営するこのマイアミのNFT企業は、これまで資金調達を行っていなかったが、以前からNFTブームの主要企業を支援しようとするVCからの注目を集めていた。このラウンドにはAnimoca Brands、LionTree、Sound Ventures、Thrive Capital、FTX、MoonPayなどの投資家も参加している。

Yuga Labsはその地位をますます強めている。2022年2月初め、同スタートアップはLarva Labsから人気のNFTプロジェクトCryptoPunksとMeebitsの資産を買収したことを発表した。また同社は、創業者と幹部が実質的な出資を行っているApeCoinを立ち上げたばかりでもある。このトークンは、取引初日に数十億ドルの時価総額を集めた。Yuga Labsは間もなく、この勢いを「Otherside」と呼ばれるメタバースの独自バージョンにつなげようとしており、他の多くのNFTプロジェクトのアバターも統合する予定だ。

関連記事:Bored ApesのNFTプロジェクトに公式の「ApeCoin」トークンができた

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(文:Lucas Matney、翻訳:Katsuyuki Yasui)

なぜWeb3の富裕層は現金ではなく暗号通貨を寄付しているのか

ロシアとウクライナの戦争が激化する中、暗号資産は海外の寄付者がウクライナを支援するのに不可欠なツールとなっている。このような状況下での暗号資産による募金活動の成功は、暗号資産保有者が慈善活動の目的を支援するためにコインを手放すという、2022年大流行した広範なトレンドを反映している。

世界中の慈善団体が、ウクライナを支援するために暗号資産による寄付を募っている。人気の暗号資産寄付プラットフォームEndaoment(エンダオメント)は、2月下旬の戦争勃発以来、ウクライナを支援する慈善団体が200万ドル(約2億4000万円)超を集めたと明らかにした。また、別の暗号資産非営利プラットフォームThe Giving Block(ザ・ギビング・ブロック)もすでに150万ドル(約1億8000万円)もの暗号資産による寄付を受けておりキャンペーンのウェブページによると、United Way Worldwide(ユナイテッド・ウェイ・ワールドワイド)やSave the Children(セーブ・ザ・チルドレン)などさまざまな認定非営利団体を支援するウクライナ緊急対応基金に2000万ドル(約24億円)を暗号資産で集めるキャンペーンを3月19日に発表した。

暗号資産を寄付のツールとして活用しようとしているのは、非営利団体だけではない。主要な暗号資産取引所との提携の詳細を説明している新しいウェブサイトによると、ウクライナ政府はすでにBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Tether(テザー)、Polkadot(ポルカドット)、その他の暗号資産で5400万ドル(約64億円)超を集め、主に軍資金として活用している。ウクライナ政府のデジタル変革省は、暗号資産を通じて寄付を呼び込む取り組みの先頭に立っており、新しいパートナー企業はこれらの寄付をフィアット通貨に換えてウクライナの中央銀行に送るのを支援するとウェブサイトにはある。

ウクライナ侵攻は、確かに暗号資産を寄付するきっかけとなったが、この仕組みは2021年にあらゆる種類の慈善活動で人気が急上昇した。

米国を拠点とする501(c)3非営利団体への暗号資産寄付を促進する非営利団体のEndaomentは、プラットフォーム上での寄付額が2021年に25万3000ドル(約3000万円)から2800万ドル(約33億円)へと100倍になった。The Giving Blockも、年次報告書によると、2021年の寄付額が6900万ドル(約82億円)超となり、前年比1558%増と急増した。

こうしたことから疑問が湧く。寄付者はなぜ現金ではなく暗号資産をおくることを選ぶのだろうか。

The Giving Blockの共同創業者でCEOのPat Duffy(パット・ダフィー)氏は、税制優遇措置が重要な動機付けだとTechCrunchに語った。

「もしあなたが何か慈善的なことをしたいと思っていて、価値を認められた暗号資産を持っているなら、その暗号資産は最も税優遇措置を受ける寄付の方法です」とダフィー氏は話した。

米国を拠点とする寄付者にとって、501(c)3団体に暗号資産を寄付する場合と、ウクライナのような外国政府に寄付する場合とでは、大きな違いがある。前者は寄付者に有利な税優遇措置がとられることが多く、後者はそうではない。

法的に認められた非営利団体に現金を寄付すると、寄付者は税控除対象となり、慈善団体に寄付した分だけ支払うべき税金を減らすことができる。暗号資産や株式などの資産を寄付することは、現金で寄付するよりもさらに有益だ。というのも、税控除に加えてもう1つの重要な税優遇措置を受けることができるからだ。

通常、暗号資産保有者が利益を確定するために、価値が上がった後にコインを売却した場合、その利益の最大37%をキャピタルゲイン税として支払わなければならない。しかし、コインを寄付すれば、キャピタルゲイン税を支払う必要はない。この2つの税優遇措置は、デジタル通貨の価値が上がり続けることを期待してできるだけ多くのデジタル通貨を保有したいと考える暗号資産保有者が、現金を寄付する代わりに実際に慈善団体にコインを提供することを望む理由の1つだ。

資産寄付の手段として人気があるのが、ドナー・アドバイズド・ファンドだ。暗号資産やその他の資産、現金を専用口座に拠出することで、即時税控除を受けることができ、時間の経過とともに価値を高めることができる。口座保有者は最終的に自分の裁量で口座内の資金を非営利団体に振り向けることができ、すべての資金をすぐに使用する必要はない。Fidelity(フィデリティ)の慈善寄付部門、Endaoment、The Giving Blockは、暗号資産を受け入れることができるドナー・アドバイズド・ファンドを提供している。

ダフィー氏は、税優遇措置は暗号資産を提供する寄付者の取引を促進かもしれないが、暗号資産による慈善活動の唯一の動機ではないと指摘した。暗号資産の寄付者は、株式や現金を寄付する寄付者よりも多額を寄付する傾向があると付け加えた。

「暗号資産に関わっている人、特に暗号資産を扱い始めたばかりの人は、最先端にいること、世界を変える何かの一部になることに関心を持っています」とダフィー氏はいう。

暗号資産分野のトレンドと同様に、アイデンティティとコミュニティの感覚が参加促進の中心的な役割を担っている。精通した慈善団体は最終的に寄付された暗号資産を使う前にフィアット通貨に変換しているが、この文化的な現象を利用している。

「暗号資産ユーザーのためのスペースをもうける非営利団体は、他の団体を凌駕しています」とダフィー氏は話した。

セーブ・ザ・チルドレンのような大きな非営利団体は、そのリソースと規模から、暗号資産寄付プログラムを構築することができたが、多くの中小規模の慈善団体は、このオプションを追求していない。暗号資産の寄付は、慈善事業全体のごく一部に過ぎない。Giving USAによると、米国の慈善団体は2020年に寄付者から推定4700億ドル(約56兆円)超を受け取った。

米国証券取引委員会のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)委員長を含む規制当局は暗号資産が詐欺や不正行為と関連していることを指摘しており、非営利団体は関与することをためらっているのかもしれない。また、暗号資産による寄付の受け入れに対応する技術やインフラが整っていない団体もある。

インターネット上で強固なプレゼンスを持たない零細の非営利団体はときに、暗号資産の受け入れは「宝くじ」のようなものだと考える、とダフィー氏は話した。同氏は、このような考え方に注意を促し、オンラインプレゼンスを持たない非営利団体は、暗号資産の統合を構築する前に「基本に忠実であるべき」だと述べた。

EndaomentとGiving Blockの年次報告書によると、両プラットフォームで2021年最も多く寄付に使われた暗号資産はEthereumだった。Ethereumは、他の暗号資産を抜いて、2021年に両プラットフォームで最も寄付された暗号資産となり、以前から人気のあったBitcoinやChainlinkをも上回った。

暗号資産の寄付はコインだけにとどまらず、NFT(非代替性トークン)の慈善プロジェクトも寄付者の間で人気を博している。例えば、人気NFTアーティストのPplpleasrは、Endaomentのプラットフォームを利用して、自身のアート作品の収益をStand with Asians Community Fundに寄付した。それぞれの年次報告書によると、EndaomentとThe Giving Blockのプラットフォームでは、合わせて約2000万ドル(約24億円)のNFTによる寄付が行われた。

特にNFTは、非営利団体にとって長期的な寄付の流れを生み出す可能性を秘めている。Solana(ソラナ)ベースのNFTマーケットプレイスMetaplex(メタプレックス)は、寄付APIスタートアップChange(チェンジ)との統合により、自社プラットフォームのクリエイターがNFTの販売を通じて定期的なロイヤルティ支払いで事前活動を支援することを可能にしている。

Web3のクリエイターは、NFTの寄付を「自分の作品を通して遺産を残す」機会だと考えていると、Changeの共同創業者Sonia Nigam(ソニア・ニガム)氏はTechCrunchに語った。

「これは、従来の慈善事業ではなく、クリエイターの実用化に関するものです。スマートコントラクト技術によって、インパクトが製品自体に宿り、そして永続的に寄付することができます」とニガム氏は語った。

「NFTのコレクションが始まると、彼らは、例えばすべての二次販売のうち2%を気候変動との戦いにずっと提供するという目標を設定します。そうすれば、再販のたびにクリエイターの初志が失われることはないため、クリエイターにとってエキサイティングなものになります。非営利団体にとっては、定期的な寄付のルートを確保することは常に第一の目標です」。

2021年は暗号資産による寄付が牽引してきたが、特に3月のウクライナ支援のための迅速な資金動員は、暗号資産コミュニティが他のものを支援するための触媒となる可能性がある。

TechCrunch Disrupt SF 2017に登場したヴィタリック・ブテリン氏(Ethereum考案者)

ロシア出身のEthereum共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は先週、暗号資産投資家Katie Haun(ケイティ・ハウン)氏のチームが主催したTwitterスペースの会話で、最近の支援キャンペーンによって開かれた可能性について語った。

「(ブロックチェーンと暗号資産分野の)本当に中核となる多くの人々は、自由を支持し、より民主的な組織化の方法をサポートし、人々が基本的なものとして平和的に自分の個人的および経済的生活を持つ能力を一般的にサポートしたいと考えてその分野にいると思います」とブテリン氏は述べた。

ウクライナでこうした権利が侵害されるのを見て、暗号資産コミュニティの関心が高まったと同氏は語り、このような意識の高まりは、著名な暗号資産プロジェクトに携わる多くの人がウクライナ人であることが一因だと分析している。

ウクライナを支援するための暗号資産寄付キャンペーンの成功は、暗号資産が「非常に迅速に資金を集めることができるかなり優れた手段」であることを実証したと同氏は付け加えた。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウクライナ大統領、暗号資産を合法化する法律に署名

ウクライナ議会は1カ月前、暗号資産を合法化する法案を可決し、Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)などの暗号資産の規制と管理の枠組みを準備した。そして現地時間3月16日、同国のVolodymyr Zelenskyy(ウォロディミル・ゼレンスキー)大統領は、法案「暗号資産について」に署名し、規制された暗号資産マーケットを運営するための法的枠組みを確立した。

「議会は暗号資産に関する法律を採択しました。数日のうちに大統領が署名して法制化されると思います。ですから、我々はできるだけ暗号資産に友好的であろうと努力しています。そして、戦時中もこの努力を続けています」と、ウクライナの副首相兼デジタル変革担当大臣のMykhailo Fedoro(ミハイロ・フェドロフ)氏は3月15日、TechCrunchのインタビューに答えている。

Cointelegraph(コインデレグラフ)やCoindesk(コインデスク)などデジタル資産に特化したメディアの報道によると、暗号資産取引所やデジタル資産を扱う企業はウクライナで合法的に活動するために政府への登録が必要となり、銀行は暗号資産企業向けの口座開設を許可されることになる。

この法律はまた、デジタル資産に関する国の政策を決定し、暗号を扱う企業にライセンスを発行し、金融監視機関として機能する権限をウクライナの国家証券市場委員会に与えると伝えられている(実際には、ウクライナの議会は2021年9月に暗号資産を合法化する法律を可決したが、ゼレンスキー大統領はその後すぐに暗号資産を管理するための新しい規制機関を立ち上げる余裕はないとして法案を否認した)。

もしあなたが、ウクライナでは暗号資産はすでに合法だったと考えていたのなら、それはあなただけではない。ブロックチェーン分析企業のChainalysisによると、正式な規制がなくても、2020年秋までにウクライナ人、ロシア人、ベネズエラ人は(この順で)デジタル通貨のアクティブな小売ユーザーの仲間入りを果たしていた。

当時、Chainalysisの調査責任者は「本当にテックネイティブな人口」や「勤勉なスタートアップ環境」など、いくつかのトレンドがウクライナを上位に押し上げているとCoindeskに語った(Coindeskはまた、東欧は他の地域よりもサイバー犯罪活動が盛んで、これも多くの取引量を牽引する役割を果たした可能性が高いと述べている)。

ロシアがウクライナに侵攻し、兵士と市民を同様に殺害し始め、人口4200万人の国から推定300万人が脱出するようになってから数週間、ウクライナは数千万ドル(数十億円)相当の暗号資産による寄付を受け、法律として成立したばかりの規制の種類は新たな緊急性を帯びてきている(NPRはポーランドに逃れたウクライナ難民、およそ180万人をワルシャワの人口にたとえた)。

新しい法律が施行されたことで、ウクライナ初の暗号資産取引所であるKuna(クナ)は、もはや同国が寄付金を暗号資産を扱っているサプライヤーに直接使うことを支援するだけに限定されず、暗号資産を切望されているフィアット通貨に変換することができる。一方、ウクライナはバハマに拠点を置く取引所大手FTXとも提携し、ウクライナの戦争活動を支援する暗号資産による寄付をフィアット通貨に換え、ウクライナ国立銀行に預けることができるようになった。

具体的には、Coindeskが3月14日に報じたように、FTX、KunaそしてとEverstakeというステーキングプラットフォームはウクライナ政府当局と提携し、Aid for Ukraineというユーザー向けの寄付サイトを立ち上げ、Bitcoin、Ether、Tether、Polkadot、Solana、Dogecoin、Monero、Icon、Neoで「自由のために戦っている人々を支援するため」の寄付を受け付ける。

世界中からの資金調達に関しては、暗号資産による寄付がカギを握っている。「我々は5500万ドル(約65億円)を集めることができました。そして、そのすべてはウクライナ軍の要望に充てられました」と、フェドロフ氏は15日にTechCrunchに語った。

Everstakeが指摘したように、この取り組みが「公的金融機関への暗号資産による寄付のリードを提供した最初の暗号資産取引所の例」であることが事実かどうかはわからないが、最初の1つであることは間違いないだろう。

確かに、ほんの数カ月前にニューヨーク・タイムズ紙でウクライナが「The Crypto Capital of the World(世界の暗号資産首都」という見出しで紹介されたときにウクライナ当局が期待していたようなことは起こっていない。

ウクライナのデジタル変革省の副大臣Alex Bornyakov(アレックス・ボルニャコフ)氏は想像を絶する事態が起こる前の11月に、記事の取材で「暗号資産企業にとって世界トップの権威の1つになる、というのが狙いです」と語った。

「我々は、これが新しい経済であり、未来であり、そして我々の経済を後押しするものだと信じています」。

画像クレジット:Vasenka Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

Bored ApesのNFTプロジェクトに公式の「ApeCoin」トークンができた

最速成長中の暗号資産スタートアップ界にあっても、Yuga Labs(ユガ・ラブズ)は特別に爆発的な一年を過ごした。

NFT(非代替性トークン)プロジェクト、Bored Apes Yacht Club(BAYC、ボアード・エイプス・ヨット・クラブ)を運営する同スタートアップは、2021年4月にスタートしたばかりながら、たちまちのうちに時価総額で最大価値のNFTプロジェクトになった。現在ある1万枚の画像の最も安いものでも、暗号資産のEthereum(イーサリアム)で24万ドル(約285万円)相当の価値がある。同社は評価額50億ドル(約5942億円)で銀行から資金調達する計画だと報じられているが(広報担当者は金額についてのコメントを拒んだ)、Yuga Labsは将来を見据えて、大きな話題となったApeCoin(エイプコイン)をベースにしたPay-to Earn(P2E、遊んで稼ぐ)ゲームのために新たな提携を結ぶことを明らかにした。

数百万ドル(数億円)のサルの画像やMonkey Moneyは、将来シリコンバレーVCの注目を一手に引き受けるものにはなりそうもないが、Yuga Labsは、新しいゲームとトークンが、自分たちの知的財産に基づく主要な暗号経済のきっかけになることを期待している。そしてYugaは先週、Larva labs(ラーバ・ラブズ)から資産を買収した結果、高い評価のCryptoPunks(クリプトパンク)やMeebits(ミービッツ)などを獲得して、自社のNFTコレクションをさらに拡充した。

関連記事:Yuga LabsがCryptoPunksのNFTコレクションの権利をクリエイターLarva Labsから取得

このエコノミーを立ち上げるためには、規制遵守を確実にするための特別な法的工作が必要だ。SEC(証券取引委員会)は、NFTプロジェクトとは概して距離をおいているが(ただしまったくというわけではない)、無記名証券のように振る舞うトークンを売っている暗号スタートアップ各社は、以前から取り締まり対策に余念がない。

そういうわけでYuga Labsは非常に注意深く、公にはトークンの公開から自らを切り離している。代わりにトークンは、このNFTプロジェクトとつながりのある諮問委員会メンバーからなる、ApeCoin DAO(エイプコイン・ディー・エー・オー)と呼ばれる組織が発行するが、メンバーの中にはYuga Labsの社員も役員いない。APE Foundation(APEファウンデーション)と呼ばれる組織も作られ、ApeCoin DAOの決定事項を監視する。さらに、DAOはBAYCプロジェクトの公式ブランディングも扱う。これはYuga Labsが、Boared Apesの青いロゴの1/1(One of One) NFTという形で「gifting(贈呈)」するものだ。

ここまで読んでややこしいなと思った人へ、2022年の暗号資産の世界へようこそ。

ApeCoin DAO諮問委員会のメンバーには、Reddit(レディット)共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、FTXのAmy Wu(エィー・ウー)氏、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)のMaaria Bajwa(マーリア・バジュワ)氏、Animoca(アニモカ)のYat Siu(ヤット・スー)氏、Horizen Labs(ホライズン・ラブズ)のDean Steinbeck(ディーン・スタインベック)氏らがいる。

トークン所有者は、DAOの決議に投票することが可能で、委員会が「コミュニティの決定を実行する」と広報担当者はいう。Yugaは公式にはEthereumベースのトークンを発行しないが、同社およびBAYCプロジェクトの設立メンバーは、同トークンの総供給高の1/4近くの所有者となり、Bored ApesとMutant ApesのNFT所有者は、合わせてトークン総割当高の15%を受け取る

Yuga Labsの広報担当者は、Apeトークンが、Coinbase(コインベース)、FTX、eToro(イートロ)、Kraken(クレークン)、OKX、Gemini(ジェミニ)、Binance(バイナンス)およびBinance USを含む主要交換所で「近々」取引が開始されるという。Yugaの幹部は誰1人としてインタビューに応じることがなく、会社はApeCoin DAOとYuga Labsの関係についてそれ以上の詳細を明らかにすることも拒んだ。

10億APEコインの割当状況の詳細は以下の通りだ。

  • 8%がBored Apes Yacht Clubの創業者チームへ
  • 16%がYuga Labsチームへ(そのうち総トークン供給高の1%に当たる部分はJane Goodall Foundation Legacy Foundationに寄贈)
  • 14%が「創立貢献者」へ。これはYugaのパートナーおよび出資者からなると思われる
  • 15%がBored Apes and Mutant Apesコレクションの所有者へ
  • 47%が今後DAOの「エコシステムファンド」の一部として提供される。

画像クレジット:BAYC

このトークンが実際、何をするのかについて全貌はまだ明らかではないが、ApeCoinがYuga Labsが開発中のタイトルでゲーム通貨として使われることはわかっている。タイトルには、サンフランシスコ拠点のゲームスタジオ、nWay(エンウェイ)と共同開発している未発表タイトルも含まれる。nWayは、Power Rangers(パワーレンジャーズ)、WWEなどの会社から知的財産をライセンスして、バトルゲームをいくつか公開している。

名前のないそのタイトルは、play-to earnと呼ばれる暗号ゲーム機構を活用すると見られ、ユーザーはタイトルをプレイするために注ぎ込んだ時間と努力に応じてトークンを獲得する。この仕組みは、「Axie Infinity」というゲームが普及にひと役買っていて、同ゲームでは2021年数十億ドル(数千億円)の取引があり、親会社のSky Mavis(スカイ・メイビス)が30億ドル(約3563億円)の評価額で資金調達することにつながった。

新タイトルは2022年中に公開される、とYuga Labsはいう。

このタイトルが、2021年末発表されたAnimoca Brands(アニモカ・ブランズ)と共同提供されるplay-to-earn型ゲームタイトルに加えてリリースされるというのは興味深い。同社はさらに、Animocaの既存タイトル「Benji Bananas」でもApeCoinを利用できるようにすると話した。

The Block(ザ・ブロック)の記事によると、同社は別にMetaRPGというゲームタイトルも計画していて、いくつかのNFTプロジェクトと互換性があるという。さらには2022年中にバーチャル土地の販売にも手を広げる計画があり、これらの取り組みによって2022年の純売上は4億5500万ドル(約540億円)に達すると同社は予測している。

NFTは2021年に爆発的ヒットとなり、すでに主要テック企業からの支持も取り付けている。Twitter(ツイッター)はNFTプロフィール写真の限定的サポートを開始し、Facebook(フェイスブック)は最近Instagram(インスタグラム)にNFTを組み込む計画を表明し、Stripe(ストライプ)はNFTのための暗号サポートを開始した。

関連記事:マーク・ザッカーバーグ氏、InstagramにNFTを近々導入すると発言

NFTは、消費者の強固な反発も招いており、特にゲーマーの間では、NFTが実際にはゲームのオーナーシップを民主化することはなく、むしろマイクロトランザクション(少額取引)を加速することを恐れている。他に、NFTの発行にともなうブロックチェーン操作のエネルギー依存の高さから、環境への影響を懸念する人たちもいる。

Yugaのゲーミング業界への参入が、BAYCブランドの成長戦略の一大要素であることは間違いないが、ブロックチェーンゲームは未だに明らかなニッチであり、同社はこれを拡大することを望んでいる。

「Bored Ape Yacht Clubがどこまで大きくなるのかわかりませんが、それは私が大きくなると思っていないという意味ではありません。むしろ私は、できるなら、Yugaがビッグになることで私たちがユニークで特別なものをたくさん作れるようになり、より大きなコミュニティにさまざまな形で話ができるようになることを願っています」ととYugaのCEOであるNicole Muniz(ニコール・ムニス)は、2022年2月に行われたD3 Networkのインタビューで語っている。

画像クレジット:BAYC

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マーク・ザッカーバーグ氏、InstagramにNFTを近々導入すると発言

Meta(メタ)は、メタバースの中で暗号資産をマイニングして欲しいと思っている。

SXSWで行われた対談で、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が、Instagram(インスタグラム)にNFT(非代替性トークン)を「近いうちに」導入する予定であることを明らかにした。MetaのCEOで創業者のザッカーバーグ氏は詳細について多くを語らなかったが、Instagramのチームが技術的な課題を解決すれば、アプリにNFTを統合することが可能になると示唆した。

ザッカーバーグ氏はShark Tank(シャーク・タンク)のDaymond John(デイモンド・ジョン)氏との対談で「近いうちにNFTをInstagramに導入することに取り組んでいます」と述べた。「今日ここでは、正確な発表はできませんが、今後数カ月の間に、お手持ちのNFTを取り込めるようにして、できれば環境の中でNFTの鋳造(ミント)もできるようにしたいと思っています」。

2021年12月には、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モッセリ)氏が、より多くの人々にこの技術を提供することを目標に、NFTを「積極的に探求」していることを認めていた。モッセリ氏はInstagramのストーリーで「私たちが遊べるおもしろい場所だと思うし、できればクリエイターを助けたいのです」と語っている。

計画はすでに始まっていた。2021年の夏、Instagramは「Creator Week」(クリエイターウィーク)という招待制のバーチャルサミットを開催したが、その招待状にはイベントが「NFTクリエイターのためのプライベートイベント」だと書かれていたのだ。

InstagramのNFTへの関心は、親会社であるMetaの、デジタル商品で満たされ利益を生み出す、相互接続された仮想世界の大きなビジョンと一致している。ザッカーバーグ氏は「Metaverse(メタバース)でアバターが着ている服がNFTとしてマイニングされ、異なる場所へ持ち運べるようになればいいと思います」と語った。

今回のNFTの計画は、Metaの計画を追ってきた人たちにとっては、それほど大きな変化ではないが、この技術を嫌うクリエイターにとっては、この統合は大いなる悩みのタネになるだろう。

Twitterは2022年初めに、プレミアムユーザーがNFTプロフィール写真を使えるようにした。この統合はMetaが今回示唆したものよりも簡単なものだ。しかしJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏の暗号資産宣伝と、Twitter上での既存NFTコミュニティの間では、そのNFT機能はInstagramのものよりも親しみを持たれているだろう。

また、Metaがこれまで提供した暗号世界での実績は、控えめ目に言っても不完全だ。中央銀行や規制当局の逆風にさらされた同社は、独自の暗号資産に関する壮大な計画を縮小し、業界を揺るがすイノベーションという当初の宣言とは似ても似つかぬものにした。

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画像クレジット:Alexander Koerner/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

Yuga LabsがCryptoPunksのNFTコレクションの権利をクリエイターLarva Labsから取得

Bored Apes Yacht Club(ボアード・エイプス・ヨット・クラブ)のメーカーであるYuga Labs(ユガ・ラボ)は米国時間3月11日「CryptoPunks(クリプトパンクス)」と「Meebits(ミービッツ)」のNFT(非代替性トークン)コレクションの権利を、クリエイターのLarva Labs(ラルバ・ラボ)から取得したと発表した。

Bored ApesとCryptoPunksは、時価総額で最も価値の高い2つのNFTコレクションであり、合計すると現在の価格で少なくとも36億ドル(約4200億円)以上の価値があると言われている。Yuga Labsは過去数カ月、資金調達の交渉を行っていると噂されていたが、正式な発表は一切していない。

今回の買収の条件は発表されていない。

CryptoPunksとMeebitsのNFTはコミュニティのメンバーたちが所有しているが、キャラクターの知的財産権は長い間、プロジェクトのクリエイターが所有していた(そしてそれが物議を醸してきた)。今回の発表で、Yuga LabsはこれらのNFTの完全な商業利用権を、個々の所有者に与えることを示唆している。著作権を完全に譲渡するわけではないものの、これはLarva Labsよりも一歩進んだ、所有者が長く望んでいたことだ。

今日はビッグニュースをお知らせします。Yugaは、CryptoPunksとMeebitsのコレクションを@LarvaLabsから取得しました。そしてまず最初に、そのNFTを保有しているみなさんに完全な商業権を与えます。私たちがBAYCとMAYCの保有者にしたのと同様に。

Yuga Labs

「私たちは長い間、CryptoPunksと、このプロジェクトの創設者であるMatt(マット)とJohn(ジョン)の仕事を賞賛してきました。彼らはNFTとより広範な暗号資産の世界を前進させてきました。私たちは彼らが築いたブランドを、Yugaで築き上げる未来に引き継ぐことを光栄に思います」と、Yuga LabsのTwitter(ツイッター)アカウントからのツイートには書かれている。

CryptoPunksプロジェクトは、2017年にユーザーが無料で請求できた1万枚のNFTから始まった。それは最も初期のNFTプロジェクトの1つであり、最も影響力のあるプロジェクトの1つであると、一般的に考えられている。2020年後半になると、このピクセル画のポートレートの価格は急騰し始め、最も希少なものは数百万ドル(数億円)、最も安価なものでも現在20万ドル(約2350万円)近い価格で取引されている。2021年5月、Larva Labsの創業者たちはMeebitsという後続プロジェクトをリリースし、一次販売では発売から数時間で数千万ドル(数十億円)の売上を記録した。

Larva Labsの創設者たちは、現段階でプロジェクトからほぼ完全に手を引くことになった。Yuga Labs はブログ記事で、同社から423のCryptoPunksと1711のMeebitsも買い取ったと詳述しており、Larva Labsの創設者たちには、今回の買収に含まれなかった彼らのジェネレーティブアート・プロジェクトである「Autoglyphs(オートグリフィス)」に加え、CryptoPunksとMeebitsをそれぞれわずか数個ずつ、残しているだけだと述べている。

Bored Apesプロジェクトのコミュニティを積極的に構築するため、Yuga Labsはより意欲的な道を歩み、パートナーシップを明らかにした。

「これは、しかし、Larva Labsが買収されたというわけではありません。【略】私たちが次に取り組むものについては、準備が整うまでお話することはありませんが、しかし概して私たちは、私たちが最も得意とすること、つまり奇妙な新しいものを作る仕事に戻ることに興奮しています」と、Larva Labs創業者たちのブログ記事には書かれている。

画像クレジット:Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース空間・現実世界でNFTを誰もが活用し価値を発揮できるプラットフォーム開発を目指すSuper Massive Global(スーパー マッシブ グローバル)は3月10日、シードラウンドとして、第三者割当増資による1億1000万円の資金調達を2月18日に行ったことを発表した。引受先はCBCなど合計8社。2021年にZero-Tenなどから2回にわたる資金調達を受けており、累計調達額は2億5000万円となった。今回調達した資金は、プラットフォーム開発とパートナー企業との業務環境の整備にあてる。

2020年9月設立のSuper Massive Globalは、「バーチャルと現実の境界線を無くす」ことをビジョンに掲げるスタートアップ企業。同社は、国境や人種・性別・文化、そして空間を超えて企業とユーザーといった誰もが楽しく生活をしながら収入や権利を持つことができる「Play to Earn」という世界観の実現を目指しているという。

そのために、メタバース空間内でNFTを発行し、現実世界また誰でも活用可能とすることで、企業・個人どちらも収入を得られる新たなプラットフォームの開発を進めている。

ホワイトハウスが暗号通資産に関する大統領令を発表

バイデン大統領のホワイトハウスが米国時間3月9日に、暗号資産の規制に関する新しい大統領令を発表しました。大統領令は基本的に、政府が消費者保護のバランスを取りながら、米国がこの分野のイノベーションのための空間であり続けることを保証する計画について幅広い戦略を打ち出している。

政府の強力な介入を懸念していた業界人にとって、この大統領令の言葉遣いは、バイデン政権が包括的な短期の改革には関心がなく、むしろ暗号資産産業の国防にとっての含意の調査と観察で全省庁が確実に歩みを揃えることを重視していると映るだろう。

ホワイトハウスが発行したファクトシートでは「デジタル資産の登場で、世界の金融システムと技術の最前線における米国のリーダーシップを強化する機会が生じている。しかしそれはまた、消費者保護と金融の安定性、国防そして気候の危機に関する重要な意味も持っている」と述べている。

この大統領令のプレスリリースは、7つの主要目標を詳しく挙げている。

  • 米国の消費者と投資家と企業を保護する
  • 米国と世界の金融の安定を保護し内在的なリスクを軽減する
  • デジタル資産の不法な使用による金融と国防の不法なリスクを軽減する
  • テクノロジーと経済的競争力における米国のリーダーシップを増進し、世界の金融システムにおける米国のリーダーシップを強化する
  • 安全で誰もが利用できる金融サービスへの公平なアクセスを振興する
  • 技術の進歩を支援しデジタル資産の責任ある開発と利用を確保する
  • 米国の中央銀行デジタル通貨(U.S. Central Bank Digital Currency、CBDC)の検討

暗号資産技術の投資家はこぞって安堵の吐息を漏らしたかもしれないが、この分野に対して厳しく批判的だったElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏などは、納得しなかったかもしれない。最近ウォーレン氏は業界を批判し、特に暗号資産の環境への影響と、いわゆるステーブルコインの発行者とDeFi(分散化金融)のエコシステムのプレイヤーに対する緩い規制がもたらす、投資家のリスクへの注意を促している。

この大統領令に関するホワイトハウスのコミュニケーションは概して、特定のコインやプロジェクトへの言及を、Bitcoinの価格の乱高下を除いては避けているようだ。またDeFiやNFTのような、特定の技術分野への言及もない。

一部の業界人が特に気にしていたのは、裕福なロシアのエリートが制裁を逃れるために暗号資産を利用して取締りを招くことだが、報道陣向けの説明会に登場した某政府高官は「特にロシアでは、暗号資産の利用が、我々がロシア経済全体およびその中央銀行に科した一連の金融制裁に対する有効な回避策になることは考えられない」とそのその可能性を否定した。。

今回の大統領で特に目立つのは、いくつかの政府省庁に対して公式に、国定の暗号資産(CBDC)の開発に関する調査研究の開始を指示していることだ。これについてホワイトハウスの高官は「この調査研究は、国際的な参加と競争性に関して我々が今後開発するフレームワークとともに、世界の金融システムにおける米国の重要な役割を私たちが確実に保全することを支えるだろう」と述べている。

ホワイトハウスによると、バイデン大統領はこの大統領令に本日、米国時間3月9日に署名する。

画像クレジット:撮影:Al Drago/Bloomberg, Getty Imagesより/Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

イーサリアム互換ブロックチェーン構築クラウドなどを手がけるG.U.テクノロジーズがプレシリーズAで2.6億円の追加調達

イーサリアム(Ethereum)互換ブロックチェーン構築クラウドサービスなどを手がけるG.U.テクノロジーズは3月8日、プレシリーズAとして第三者割当増資による2億6000万円の追加調達を実施し、総額3億6100万円の資金調達を完了したと発表した。

引受先は、Coral Capitalと自然キャピタル。調達した資金は、NFTなどWeb3種の領域、エンタープライズ・ブロックチェーン領域、ステープルコインなどフィンテック領域におけるソリューション提供へ向けた開発強化にあてる。

G.U.テクノロジーズは、金融やフィンテックのバックグラウンドを持つ稲葉大明氏と、ウェブブラウザーLunascape創始者の近藤秀和氏が、親会社G.U.Labsで進めていたブロックチェーン研究の成果を元に、2020年10月にスピンアウトする形で設立したスタートアップ。

同社は、独自のイーサリアム互換Layer2ブロックチェーンを構築できるソリューション「G.U.Blockchain Cloud」、DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」を提供。Lunascape Wallet Extensionは、Google Chrome拡張機能として利用する。また、ブロックチェーン関連の情報サイト「G.U.net」も運営している。

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

DApps対応のイーサリアム用ウォレット「Lunascape Wallet Extension」

今後は、エンタープライズ向けのイーサリアム互換Layer2コンソーシアム・ブロックチェーンの運営をはじめ、Web3時代を見据えたステーブルコイン、DeFi、NFTを含む様々な実証実験を提携企業と進める。また、顧客のブロックチェーンビジネスを支援するためのインフラやツール提供、コンサルティングや開発支援を強化していく予定。

YCが支援するBlocknomは「東南アジアのCoinbase Earn」を目指す

Y Combinator(Yコンビネーター)の2022年冬バッチに参加したBlocknom(ブロックノム)は「東南アジアのCoinbase Earn(コインベース・アーン)」になることを志す暗号資産稼ぎプラットフォームだ。同社は米国時間3月4日、Y Combinator、Number Capital(ナンバー・キャピタル)、Magic Fund(マジック・ファンド)からプレシード資金として50万ドル(約5800万円)を調達したと発表した。

Blocknomの共同設立者であるFransiskus Raymond(フランシスカス・レイモンド)氏とGhuniyu Fattah Rozaq(グニュ・ファタ・ロザク)氏によると、このアプリはユーザーに、年率最大13%の安定した高利回りの利息を得るための安全な方法を提供するという。同アプリは暗号資産インフラ企業のFireblocks(ファイアブロックス)と提携しており、ユーザーはいつでも手数料なしでお金を引き出すことができる。

2人の創業者は、新型コロナウイルス感染流行が始まった頃、2020年にオープンソースプロジェクトに取り組んでいるときに出会ったという。「ウイルス感染が流行している間に、私たちはインドネシアで暗号資産市場が活況であることに気づきました。その一方で、私たち2人はすでに暗号資産投資家でした」と、レイモンド氏はTechCrunchに語った。

「しかし、ユーザーと話してみると、誰もが取引でうまくいっているわけではないことがわかりました」。2人はDeFi(分散型金融)が安定的で高利回りの暗号資産による利得方法であることに気づいたものの、インドネシアには競合する製品がなかったため、自分たちで作ることにした。同社がDeFiで提携しているパートナーは、Compound(コンパウンド)、AAVE(アーベ)、Terra(テラ)、Cake(ケイク)などだ。

Blocknomにサインアップすると、銀行口座を持つユーザーはStablecoins(ステーブルコイン)を預金することができる。Stablecoinsは従来の銀行預金と最も同等であるため、新しい暗号資産ユーザーがアクセスしやすいように、同社の創業者たちが選んだ。

レイモンド氏によると、Blocknomが投資アプリと異なるのは、Stablecoinを保有して長期的に保持することを推奨している点であるという。

画像クレジット:DBenitostock / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウクライナへの暗号資産による寄付金、政府基金の使われ方

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ウクライナの公式Twitterアカウントは寄付を募るべく、ここ数日、暗号資産ウォレットのアドレスを共有している。筆者が以前書いたように、ウクライナのデジタル変革省の広報担当者が「これらのアカウントは国が所有するもの」と確認したように、共有しているウォレットアドレスで受け取った寄付はウクライナ政府が管理している可能性が高いようだ。

関連記事:暗号資産の寄付、ウクライナはどう活用するか

しかし、これらの暗号資産による寄付の目的は何なのか、その資金で何を購入するのか。ブロックチェーンの性質上、ある時点までは暗号資産取引を追うのは簡単だ。ブロックチェーンエクスプローラーに公開アドレスを入力すれば、入出金取引のリストを見ることができる。

例えば、Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーンでは、ほとんどの送金はキエフに拠点を置く暗号資産取引所のKuna(クーナ)に向かっている。

「Kuna.ioはウクライナの資金調達を技術面でサポートしています」とKunaの広報担当者は2月28日に電子メールで筆者に述べた。「すべての資金は安全で、要請に応じて政府に送られています」。

しかし、一度資金が取引所にアップロードされると、追跡が難しくなる。そこで、筆者はKunaの創業者Michael Chobanian(マイケル・チョバニアン)氏にいくつか質問した。チョバニアン氏は、暗号資産寄付のセットアップにおけるKunaの役割と、ウクライナ政府の動機について詳しく教えてくれた。

同氏は、寄付に関する情報を共有するためにこのほどTwitterアカウントを作成したことを認めた。「その通り、私のアカウントです。最近作りました。Twitterは主に英語のコミュニティなので、ここではTwitterはあまり人気ではありません。しかし世界に発信しなければならないので、アカウントを作りました」と語った。

キエフ時間3月2日午後12時に、同氏は2枚のスクリーンショットを公開した。「ウクライナの暗号資産基金」(Twitterで@Ukraineが共有したウォレットアドレスだ)には3100万ドル(約35億8000万円)超が集まり、別の基金には1700万ドル(約19億6000万円)ほどが寄せられている。

「私たちは2つの基金を持っています。まず、自分たちの基金を立ち上げ、それがうまくいっているのを政府が見ました。そしてデジタル変革省から、政府基金を立ち上げるのを手伝って欲しいと打診がありました。そこで、政府基金も作ったのです」とチョバニアン氏は語った。

それぞれのファンドのアドレスは異なるチャネルで共有されている。「現在、私たちは2つの基金を持っています。Twitterにあるのが政府基金で、Telegram(テレグラム)や他のソーシャルメディアにあるのがKuna基金です」と付け加えた。

ウクライナの軍事費の資金源

チョバニアン氏が「政府基金」と呼ぶものは、現在もKunaが管理している。しかし、同氏によると、Kunaは政府の代理で動いており、暗号資産アセットについては発言権がない。

「私たちは技術のプロバイダーです。基本的には、これらの基金の暗号資産銀行として機能しています。私たちは資金を集め、その資金がクリーンであることを確認します。その後、支払いや通貨の要件に応じて、変換するか、直接支払うかします」と同氏は語った。

「この基金は、軍隊のためのものです。変革省の助けを借りて、大部分が軍によって運営されています。そして、輸入される特殊品にお金が使われています。それらの特殊品は軍や特殊部隊に直接送られます。具体的には何を買っているのでしょうか。明らかな理由で、言えません。政府が実際に何を買ったかを公表するかどうかはわかりません。明らかに秘密だからです」と同氏は述べた。

Telegramやその他のソーシャルネットワークで共有されているKunaのもう1つの基金は、目的が少し異なる。「私の基金では、ドローンを買い、ガソリンを買い、人々に食事を提供し、キエフやハリコフといった最も危険な場所から人々を避難させるための輸送費などに使っています」とチョバニアン氏は説明した。「私たちは正規軍にも供給していますし、政府から銃を受け取って戦っている普通の人々にも供給しています」と付け加えた。

暗号資産での物資購入

興味深いことに、暗号資産はインターネットを通じて資金を調達するためだけに使われているわけではない。Kunaは、これらの暗号資産をすべて不換通貨に変換してはいない。

「どこにいくら支払うのか、暗号資産を受け取って喜ぶ人がいるかを理解するまで、暗号資産のままにしています。支払いの90%は暗号資産のみで行っています」とチョバニアン氏は述べた。

しかし、誰かが不換通貨で支払われる必要がある場合、Kunaは暗号資産を換えて銀行口座に送金することができる。「我々は暗号資産、ユーロ、そしてドルで支払っており、資金のニーズを満たすために必要なあらゆる種類の取引を行っています」と話した。

画像クレジット:Sergey Bobok / AFP / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】すべての自律分散型組織が「自律的」あるいは「分散型」というわけではない

Web3、NFT、DeFi、トークンの成長を背景に、機関投資家はDAOと呼ばれる別の暗号資産構造の活用方法にも注目している。インターネット上のコミュニティ活動の新しいモデル構築に向けられたものだ。

DAOすなわち自律分散型組織は、2022年においてとても奇妙な場所に位置している。

この暗号資産の集合体は、理論的には、スマートコントラクトとブロックチェーンの透明性に支配されている構造化されたキャパシティの中で、グループが意思決定と運用を行えるように設計されている。だが、最近登場してきたDAOは、分散化と自律性の両方に対するさまざまなコミットメントを有しており、互いに判然としない様相を呈している。DeFiプロトコルのようなテクノロジーの自律的なガバナンスメカニズムとして、DAOをどのように利用できるかに焦点を当ててきた向きが存在する一方で、DAOを使って、NFTプロジェクトのロードマップに関する集団的な決定を行っているところもある。また別の一派は、この構造が単に、Discord(ディスコード)やTelegram(テレグラム)のグループチャットに暗号資産の宝庫を追加する新しい方法であると考えている。

実際のところ、DAOとは何かを厳密に定義している人はほとんどいない。つまり、新しい組織にとっては、暗号資産に興味のある人のDAOに対する理解を促すとともに、DAOの創設者候補がその構造を最大限に活用できるようにする余地が残されている。「標準的」なDAOとはどのようであるべきかという包括的な定義の難しさは、オポチュニティの広がりを際立たせるものに他ならないとこの分野の創設者たちは口にする。

「結局のところDAOは、個人向けのテクノロジーとは対照をなす、集合的なテクノロジーです」と、Syndicate(シンジケート)の共同創設者であるWill Paper(ウィル・ペーパー)氏は先にTechCrunchに語っている。「DAOは企業の次の進化ともいえるでしょう。発言(voice)と離脱(exit)の両方を自らの基盤にエンコードするものです」。

TechCrunchは、a16z(Andreessen Horowitz、アンドリーセン・ホロウィッツ)が支援するSyndicateが、完全なコンプライアンスを実現する暗号資産の「投資クラブ」サービスを立ち上げたことについて記事にした。そのスマートコントラクトのネットワーク上で、ユーザーは、友人たちと一緒に投資する永続的で安定した構造を構築することができる。

ベンチャー支援を受けたスタートアップの数々が、多様なレベルのブロックチェーン依存性を備えた新世代のDAOを支援することに目を向け始めている。その余勢を駆ったDAOの創設者たちは、これらのツーリングスタートアップが築いたスマートコントラクトに依拠しつつ、自分たちのプラットフォームを使って規制のハードルに対処できる。

DAO専門のアナリティクスファームであるDeepDAOは、現在4100を超える数のDAOを追跡調査している。2016年に「The DAO」と呼ばれる初めてのDAOが設立されて以来、これらのグループは大きく進化してきた。

「それは非常に特殊で限定的なユースケースでした。The DAOのコンセプト全体に着想を与え、この業界を始動したのです。今では第2世代のDAOが、この言葉をまったく別のものとして使っています。彼らはDEOについて、所有権を記録するシステムとしてブロックチェーンを使用する組織、という捉え方をしています」と、Superdao(スーパーダオ)の創設者Yury Lifshits(ユーリー・リフシッツ)氏は述べている。「ブロックチェーン上で誰が所有しているかを定義する組織はDAOであるため、ガバナンスがスマートコントラクトによって定義される必要はなく、ガバナンスが分散化されるということもありません」。

Superdaoは、SignalFire(シグナルファイア)がリードした1050万ドル(約12億1140万円)の資金調達ラウンドを1億6000万ドル(約184億5930万円)の評価額で完了した。

ベンチャーキャピタリストたちは、DAOに向けたブロックチェーンインフラストラクチャを構築するスタートアップを支援している。一方で、Andreessen Horowitzのようなファーム、またVariant(バリアント)やParadigm(パラダイム)などの「暗号資産ネイティブ」ファンドは、徐々にDAO自身を支援するようになってきており、多くの場合、最初の立ち上げと運用を目的に構築したバックエンドインフラストラクチャの製品化も視野に入れている。

「DAOはボタンをクリックするだけで起動できるソフトウェアにすぎないという事実は【略】ですが、何千人、何万人もの人々、最終的には何百万人あるいはそれ以上の数の人々に触媒作用を及ぼします。そのすべてが資本を結集してアイデアを集約し、共通の目的のために協働するのです【略】私たちはこれを、Web3と暗号資産が何であるかの最も純粋なビジョンとして捉えています」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤヒア)氏は、PleasrDAO(プリーズアダオ)への投資にともなうインタビューでTechCrunchに語った。

SyndicateやSuperdaoは、DAOのインフラ分野におけるベンチャー支援プレイヤーたちの一例にすぎない。Utopia(ユートピア)、Tally(タリー)、Colony(コロニー)、Layer3(レイヤー3)のようなスタートアップも、新しい機会を顕在化するという約束のもと、VCからの資金を獲得している。その中には、人々がより迅速にDAOを形成するのを支援するところもあれば、まずユーザーがDAOを発見する手助けをすることを優先するところもある。

ツーリングスタートアップが着目している最大の領域として、DAOが米国規制への準拠を確保すること、LLCとして法人化すること、あるいはDAOが目指しているものに整合する適切な構造を追求することなどが挙げられる。暗号資産富裕層のバイヤーが協力して投資を行ったり、スタートアップをグループとして支援するような投資DAOは、米国内で課題に直面しており、認定されていない投資家の間で共同投資グループ向けに展開される、かなり明確なルールに対処している。

「私の予測では、投資DAOは米国外では今後も繁栄し続けると思いますが、米国では法制度がかなり強固であり、SPVやローリングファンドという点では比較的堅実なオルタナティブが存在しています」とリフシッツ氏は語る。「米国の投資DAOが従来型の投資ビークルに勝てるかどうかは微妙です」。

1000人超の会員を抱えるOrange DAO(オレンジ・ダオ)のような大規模な投資グループは、より従来型の投資ビークルとして構成された別のベンチャーファンドとDAOの活動を緩やかに結び付ける、一層複雑な構造に依存している。

BitDAO(ビットダオ)、Uniswap(ユニスワップ)、Lido(リド)などの大規模なDAOは、DeFiのプールされた投資機会に焦点を当てている。一方で、DAOの信奉者たちは、クリエイターやアーティストが自分の作品を収益化する方法から、将来の近所のHOA(管理組合)の運営方法に至るまで、Web3ネイティブの構造はあらゆるものを再形成する、という無限の機会を見出している。コンプライアンスは常に進化し続ける課題を提示しているが、DAOツーリングスタートアップにつきまとうこの地雷は、DAOが潜在的な脅威についてユーザーを教育するということに貢献してきた。それは、暗号資産スタートアップやDAOがますますメインストリームのユーザーベースを引きつけようとしている時に、一層重要になるであろう。

「私が参加していたDAOでは、誤って数百万ドル(数億円)相当のトークンを不適切なアドレスに送信してしまい、永久に失われてしまったことがありました」とペーパー氏は語る。「私たちはユーザーを支援するために多くの保護策を用意していますが、提供する保護策と柔軟性との間には常にトレードオフが存在しています」。

画像クレジット:BlackJack3D / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

暗号資産の寄付、ウクライナはどう活用するか

ウクライナ政府の公式Twitterアカウントは現地時間2月26日、2つの暗号資産ウォレットアドレス(ビットコインウォレットアドレスとイーサリアムウォレットアドレス)を共有した。「ウクライナの人々とともに立ち上がろう。現在、暗号資産による寄付を受付中。ビットコイン、イーサリアム、USDT」と@Ukraineは書いている。

しかし、これらのウォレットを誰が所有し、運用しているのかを確かめることは難しい。公開アドレスは、文字と数字の羅列にすぎないからだ。ウォレットの所有権を譲渡することは可能なので、厳密には誰のものでもない。

このようなツイートに対する最初の論理的な反応は、細心の注意を払って行動すべき、だ。これらのウォレットが政府のメンバー、政府機関、政府に代わって非公式に暗号資産の寄付を促進している政府外部の人物、または政府のメンバーのふりをしている人物によって運営されているかどうかは不明だ。

しかし、ウクライナ政府がこれらのウォレットアドレスで受け取った資金を管理している可能性は、低いというよりも高いと思われる理由がいくつかある。まず、このツイートは削除されておらず、つまり@Ukraineが悪用されている可能性はおそらく排除される。もし誰かがアカウントを乗っ取ったのであれば、政府の公式アカウントを運営している人たちは比較的早くこのツイートを削除しているはずだ。

次に、ウクライナの副首相兼デジタル変革大臣であるMykhailo Fedorov(ムィハーイロ・フョードロフ)氏をはじめとして、他の人々がこれらのウォレットアドレスを共有した。「ウクライナの人々とともに立ちあがろう。暗号資産の寄付を受付中」とフョードロフ氏は書いている

3つ目は、ウクライナのデジタル変革省の広報担当者が、@Ukraineのツイートが本物であることを確認したことだ。「これらのアカウントは国のもので、特別な暗号資産基金を作りました」と電子メールで筆者に述べた。

そして、多くの人がすでにこれらのアドレスに暗号資産を送っている。この点では、ブロックチェーンエクスプローラーに公開アドレスを入力するだけで、入出金取引のリストを見ることができるので、把握するのは簡単だ。

本稿執筆時点では、Etherscanでイーサリアムウォレットに約6800件の入金があったことが確認できる。同様に、ビットコインのウォレットアドレスに関連する取引は7000件超ある。

人々は153BTCと2230ETHを送り、現在それぞれ629万ドル(約7億2200万円)と627万ドル(約7億2000万円)の価値がある。また、一部の寄付者はUSDTやUSDCといったイーサリアムベースの暗号資産を送った。

暗号資産コミュニティの一部のメンバーも、独自の資金調達活動を開始したことは注目に値する。Michael Silberling(マイケル・シルバーリング)氏はDune Analyticsにダッシュボードをつくり、@Ukraineが支援するイーサリアムウォレットアドレスだけでなく、他のコミュニティ主導のプロジェクトに対する暗号資産寄付も追跡している。

取引に関しては、キエフに拠点を置く暗号資産取引所であるKunaに、すでに多額のETHが送金されている。

「Kuna.ioはウクライナの資金調達に技術的なサポートを提供しています」と、Kunaの広報担当者は電子メールで筆者に語った。「すべての資金は安全で、要請に応じて政府に送られています」。

Kunaの創業者Michael Chobanian(マイケル・チョバニアン)氏は主にTelegramで発信してきたが、最近自分のTwitterアカウントを作り、寄付の詳細を共有した(Kunaのチームは、このアカウントが正規のものであることをメールで確認した)。

チョバニアン氏は、資金調達活動の進捗状況の共有を始めた。

まだ未解決の懸念がいくつかある。暗号資産はどの通貨と交換されるのか? そして、これらの資金はどのように使われるのか?

TechCrunchはウクライナ政府に資金に関するより詳細な情報を求めている。また、Kunaのチョバニアン氏にも連絡を取ったが、執筆時点では返答がない。

つまり、この話題については、もっとフォローする余地がある。しかし、暗号資産ウォレットのアドレスが書かれた1つのツイートが、いかに数時間のうちに世界中から寄付者が集まる大規模な資金調達キャンペーンになったかは、すでに興味深いものだ。

画像クレジット:Ismail Ferdous / Bloomberg / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国政府はドル支配を維持するためにステーブルコインを受け入れなければならない

TechCrunch Global Affairs Projectとは、ますます複雑に絡み合うテクノロジー分野と世界政治の関係性を検証するためのプロジェクトである。

繁栄しているWeb3業界に懐疑的な人々は、さまざまな理由でWeb3を攻撃している。ワシントンで反響を呼んでいる批判の1つは、デジタル通貨は米国の現行の通貨制度、ひいては米ドル自体をも弱体化させ得るというものだ。

しかし、デジタル資産が伝統的な金融サービスを破壊したことは否定できないとしても、それらは決してドルの敵ではない。実際、デジタル資産の一種であるステーブルコインは、世界的な米ドルの支配を強固にするポテンシャルを有している。しかし、米国がステーブルコインのポテンシャルに乗じようとするなら、政策立案者や規制当局は規制に対して慎重なアプローチを取らなければならない。

ステーブルコインは、長期にわたって安定した価格を維持するように設計されたデジタル資産である。他のデジタル資産とは異なり、価格は多くの場合、米ドルなどのフィアット通貨に連動している。Facebookが2年前に独自の「Libra(リブラ)」ステーブルコインを立ち上げようとして以来、ステーブルコインも実質的に進化してきた(あまり評判の良くなかったこのプロジェクトは後にブランド名を「Diem(ディエム)」に変更した)。

Facebookは当初、Libraを単なる1つの通貨ではなく、フィアット通貨や証券で構成されたバスケットに連動させる新しい通貨として設計した。政策立案者らはLibraを世界中で批判し、世界の金融安定を脅かし、データのプライバシーを悪用し、金融政策を弱体化させる可能性があると指摘した。Donald Trumpドナルド・トランプ)前大統領は、Libraは「存続性も信頼性もほとんどない」とし、アメリカで「唯一の真の通貨」はドルだと述べた。

現在に早送りすると、ステーブルコインはドルと特別な関係にあるため、ドル支配を脅かすのではなく拡大する可能性がある。しかし、その可能性は、十分な米国の政策立案者がステーブルコインの有望性を理解し、イノベーションを阻害するのではなく促進する合理的な規制を通過させることによって初めて実現される。

ステーブルコインの指数関数的成長

ステーブルコインの市場は2019年12月の50億ドル(約5739億円)から、2021年12月には1580億ドル(約18兆1350億円)を超えるまでに成長している。

この成長の理由の1つは、現在の金融テクノロジーに対するステーブルコイン固有の優位性にある。例えば、ステーブルコインは、取引コストがほとんど、あるいはまったくかからずに、世界中の誰にでも瞬時に転送することができる。

ステーブルコインのインパクトの具体的な例として、移住労働者による使用を考えてみよう。一般的に、労働者は伝統的な金融機関を通じて母国に送金する。このプロセスには数週間を要し、平均して従業員の給与の7%に相当する送金手数料や変換手数料がかかる。一方、ステーブルコインを使えば、移住労働者は賃金をほぼ無料で即座に母国へ送ることが可能になる。

ステーブルコインは米ドルの需要を増加させる

主要なステーブルコインはすべて米ドル建てであるため、世界中で指数関数的に採用されていることから、米ドルによる支配を拡大する重要なオポチュニティが米国にもたらされている。一方、Circle(サークル)のような主要なステーブルコイン発行体は、米ドルと短期米国債で準備金を保有している。これにより、米ドルの需要が増加し、世界中のバイヤーがドルを入手しやすくなる。これらの発展は、米国がこの新テクノロジーに対する消費者の関心を利用するのに他のどの国よりも有利な立場にあることを示している。

ステーブルコイン市場では、ネットワーク効果により米ドルが裏付けとなったステーブルコインの既存の人気が高まっていることから、米ドルに対する過大な需要が維持される可能性が高い。これは特に、政府がハードカレンシーへの国民のアクセスを制限しているアルゼンチンのように、米ドルに対する需要が満たされていない国で当てはまる。

米国にとって何が問題なのか?

そのポテンシャルにもかかわらず、十分に練られていない規制は、海外でこの業界が隆盛する中、米国のステーブルコインセクターをつぶしかねない。ブロックチェーン企業の規制が明確ではないことから、米国の創業者たちはすでに、シンガポールやポルトガル、ケイマン諸島など、より明確かつ / またはより寛容な規制が適用される法域に事業を移すことを余儀なくされている。顕著な例として、米国で最も有名な投資顧問会社の1つであるFidelity Investments(フィデリティー・インベストメンツ)は、規制当局が米国で同様のオファーを認可していないことを受けて、カナダでBitcoin(ビットコイン)ETFをローンチしている。

さらに、最近可決されたインフラ法案には、非現実的なデジタル資産税の報告義務が含まれており、このままではブロックチェーン企業がオフショアに移転する傾向が強まることになる。政策立案者は、超党派の「Keep Innovation In America Act(米国のイノベーションを維持するための法案)」などを通じて、これらの要件を修正しようとすることでこの脅威に対応しているが、時機を逸している可能性がある。

特にステーブルコインについては、政策立案者は分裂している。ステーブルコインに関する最近の上院銀行委員会の公聴会は厳しい論調だった。上院議員らはLibraへの懸念の多くを挙げ、各種のステーブルコインに対する理解や関心の欠如を示した。一方、超党派の議会委員会は2021年12月初旬の重要な公聴会でステーブルコインへの熱意を示し、オブザーバーを驚かせた。同様に驚きをもって受け止められたのが、米連邦準備制度理事会のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長が同月に述べた「ステーブルコインは、適切に規制されれば、金融システムの有用で効率的な消費者サービスの一部になり得る」というコメントだった。

米国でステーブルコインのイノベーションを維持するためには、政策立案者や規制当局はイノベーションを阻害しない明確なガードレールを業界に提供する必要がある。規制は、分散型積立金のようなイノベーションを通じて成長する可能性を制限することなく、安定性と透明性を確保すべきである。

政策立案者は、米国と競合できない国に対してステーブルコインがもたらし得る負の外部性についても考慮に入れる必要がある。ステーブルコインは、独裁的で腐敗した政府を市民が無力化するのに役立つ一方で、弱い通貨を持つ友好国の通貨統制を同様に弱体化させる可能性がある。

もし米国が、意図的に、あるいは不注意にステーブルコイン発行体を追い払うなら、オフショア産業と外国政府は喜んで市場シェアを奪うだろう。

外国の発行体はすでに、ユーロやカナダドルなど他の通貨でステーブルコインをローンチしている。米ドル建てのステーブルコインの需要は今後も続くだろうが、米国の不合理な規制が業界をオフショアに追いやった場合、米国は米ドルの準備金と透明性に関する要件を設定するための影響力を失うことになるだろう。

中国、南アフリカ、韓国、スエーデンなどは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)として知られる各国の中央銀行が支援するステーブルコインを試験的に導入することで、米国よりも積極的に安定コインの開発と促進に取り組んでいる。CBDCが消費者の間で普及するかどうかは定かではないが、特にプライバシーへの懸念から、現在米国が享受しているステーブルコインの支配を侵食する可能性がある。

世界的な通貨競争がここにあり、急速に拡大している。それを受け入れない国は取り残されるであろう。米国も例外ではない。

編集部注:本稿の執筆者Connor Spelliscy(コナース・ペリスシー)氏は、政策とガバナンスに焦点を当てたブロックチェーン研究者。DAO Research Collectiveを設立し、米国とカナダでブロックチェーン擁護団体を共同設立した。

画像クレジット:dem10 / Getty Images

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(文:Connor Spelliscy、翻訳:Dragonfly)

Web3サイト構築デベロッパーの事実上の標準プラットフォームを目指すAlchemyの評価額が約1兆2760億円に

共同創業者ジョー・ラウ氏とニキル・ヴィスワナータン氏(画像クレジット:Alchemy)

Web3はどうやら一時的な流行ではないようだ。その証として、米国時間2月8日にブロックチェーンインフラストラクチャースタートアップAlchemy(アルケミー)が2億ドル(約232億円)のシリーズC1資金調達ラウンドをクローズした。これで同社の企業価値は110億2000万ドル(約1兆2760億円)となった。

ご存知ない方のために簡単に説明しておくと、Web3とは、ブロックチェーンを基盤とする分散型ウェブのことだ。簡単にいうと、AlchemyはAWS(Amazon Web Services)がインターネット上で実現したことを、ブロックチェーンとWeb3上で実現しようとしている。

この巨額の資金調達で驚くべきことは、Alchemyが比較的短期間で企業価値を上げることに成功した点だ。2021年10月、2億5000万ドル(約290億円)のシリーズCラウンドをクローズした時点で、同社の評価額は35億ドル(約4060億円)だった。2021年4月下旬、8000万ドル(約92億円)のシリーズBラウンドをクローズした時点の評価額は5億500万ドル(約580億円)だった。つまり、Alchemyの評価額は2021年10月から約3倍、2021年4月(9カ月ほど前)からは何と19.8倍にも跳ね上がっている。これを月当たりの上昇額に換算すると約11億ドル(約116億円)となる。この会社を5年前にアパートから始めた2人の若者にとって悪くない額だ。

Alchemyの既存投資家であるLightspeed Venture Partners(ライトスピードベンチャーパートナーズ)と新規投資家で未公開株式投資会社のSilver Lake(シルバーレイク)が今回のラウンドを共同で主導した。これでAlchemyの2017年創業時点からの総調達額は5億4550万ドル(約580億円)に達する。注目すべきは、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)、Coatue Management(コーチュー・マネジメント)、DFJ、Pantera(パンテラ)、Lee Fixel’s Addition(リーフィクセルズアディション)といった以前の投資家たちも全員、今回の投資ラウンドに参加した点だ。

Alchemyの目標は、ブロックチェーン上または主流のブロックチェーンアプリケーション上に製品を構築しようとしている開発者向けに開始点を用意することだ。Alchemyの開発者用プラットフォームは、インフラストラクチャを構築するための複雑な作業やコストを排除し「必須の」開発者用ツールを用いてアプリケーションを改善することを目的としている。Alchemyは2020年8月にサービスの提供を開始した。

それ以来、高収益企業Alchemyは自社のプラットフォーム上で急成長を遂げた。Alchemyの内部事情に詳しい筋によると、同社のユーザーベースは、今回のラウンドをクローズした時点を基準としても約50%拡大しているという。

「基本的に、暗号資産の領域で急成長している重要な企業はほとんど、Alchemyを導入しています。ですから、同社に投資するのは暗号資産領域全体の指数銘柄を買うようなものです」と同筋の1人はいう。「Alchemyは暗号資産業界全体を支えているのです」。

Alchemyは正確な総売上を公開していないが、同社のプラットフォーム上に構築されたチームの数は10月の資金調達ラウンド終了後から3倍以上に増えていると回答している。また、Alchemyプラットフォーム上で実行されたオンチェーントランザクションは年換算で1050億ドル(約12兆円)になるとしており、10月時点で公表された450億ドル(約5兆2000億円)の2倍以上に相当する。その一方で、同社は「無駄のないスリムな」経営を維持している。2021年の始めの時点で、同社の社員数は13人だった。現在でも50人に満たない。社員1人あたりの評価額は歴史的に見ても最大の部類に入るだろう、と共同創業者兼CEOのNikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナータン)氏は確信している。

暗号資産業界はこの1年、さまざまな浮き沈みを経験した。Alchemyは、そうした暗号資産業界における不安定な時代の最中に急成長を達成した。

「ターゲットとする市場が激しく変動していても、依然として成長を続けているときは、何か特別なことを見出したということだと思います。そして、それこそまさにAlchemyで起こっていることです」とライトスピードのパートナーAmy Wu(アミー・ウー)氏はいう。「当社に匹敵するような急成長を遂げた例は過去にもありません。ですが、Microsoft(マイクロソフト)のような永続的な企業の成長の軌跡を見れば、Alchemyが今度どの程度成長するのかもわかると思います」。

Alchemyの急成長は、Web3エコシステム全体が急成長していることの証だと言ってもよいだろう。

過去12カ月間だけでも、Alchemy上に構築されたNFTマーケットプレイスでアーティストに支払われたロイヤルティの額は15億ドル(約1740億円)を超えており、そのうち10億ドル(約1160億円)は過去3カ月だけの合計だという。

ヴィスワナータン氏によると、Alchemyは前回調達した資金にはほとんど手を付けていないという。だが、Web3がこのように急速に進化している状況では、それに応じて成長するために必要なランウェイを確保する必要がある。

「Web3はまだ初期段階です。dot.com時代には、生まれたばかりのベビーインターネットについてさまざまな期待や興奮がありました。今、我々は本物のインターネットを手にしています。Web3はまだベビーフェーズです」とAlchemyのCTO兼共同創業者Joe Lau(ジョー・ラウ)氏は語った。

「コンピューターを見れば分かるとおり、インターネットがコンピューターに取って代わることはありませんでした」と同氏は付け加える。「インターネットはただそれまで不可能だった機能を追加しただけです。Web3はWeb2に取って代わるものではなく、Web2の機能とエクスペリエンスを拡張するものです」。

これだけの利益を上げ急速に成長しているにもかかわらず、Alchemyは数億ドル規模の資金調達を続けている。これは基本的に、Web3の急速かつ広範な利用と成長に追随するためだ、と2人の創業者はいう。

「当社は企業やスタートアップの成長を支援できる最適なポジションに位置していたいと考えています」とラウ氏はいう。「2021年は、Alchemy上でサービスを開始したチームが10億ドル(約1160億円)企業になり、世界中の何百万人というユーザーたちをサポートするのを目の当たりにしてきました。当社はまだスタートを切ったばかりですが、今後も顧客の支援とサポートを続けられるようにしたいと思っています」。

ツイッター上ではWeb3とWeb2.0についてさまざまな議論が繰り広げられているが、ヴィスワナータン氏とラウ氏は両者間にそれほどの敵対関係があるとは思っていない。

「どのようなテクノロジーでも初期段階では、誰もがそのテクノロジーを理解し把握しようとします。90年代半ばのインターネットを見て人々は『遅すぎる。電子メールを使う理由などない』と言っていました」とラウ氏はいう。「しかし、実際にはテクノロジーが向上し今では誰もが当たり前のように使っています。ですから我々は、今から10年後、15年後にどのようになっているのかを考えるようにしています」。

確かに今、何千という新しいWeb3組織が立ち上げられ短期間でスケールしている。だがその一方で、数百の確立されたWeb 2.0企業がその戦略を転換して、Alchemyを導入してWeb3を取り込もうとしている。さらには数万のデベロッパーたちがブロックチェーンを使った新しいツールやサービスを構築している。

「今、AlchemyはデベロッパーがWeb3上で開発を行うための事実上の標準プラットフォームになっています」とヴィスワナータン氏はいう。「我々は本当にワクワクしています。2022年、状況は加速度的に変化して、Web3はマニアが使う周辺テクノロジーではなくなり、誰もがWeb3で実現された製品を無意識に使うようになると確信しているからです」。

Alchemyは、OpenSea(オープンシー)、Adobe(アドビ)Dapper Labs(ダッパーラボ)、Crypto Punks(クリプトパンクス)を始め多数の大手企業で基盤テクノロジーとして導入されている。Alchemyでは、コンピュートユニットに対して課金する。つまり、顧客は使用しているコンピュートユニットの数に応じてAlchemyに料金を支払う。

「当社はWeb3は誰もが利用できなければならないと考えています。それには、ブロックチェーンテクノロジーを介してアイデアを実現する信じられないほど創造的なデベロッパーたちを支援するのが一番です」とラウ氏はいう。

画像クレジット:Alchemy

シルバーレイクの共同創業者Egon Durban(エゴン・ダーバン)氏は「Web3はインターネット上で大きな革命をもたらす」と確信しているとTechCrunchにメールで回答してきた。

「この市場がもたらすビジネスチャンスは巨大です。Alchemyはテクノロジーの歴史上、最速で成長している企業の1つとして、この変革を推進し民主化するインフラストラクチャを構築し、AWSがインターネットで実現したことをWeb3開発の現場でも実現することでWeb3のパワーをすべての人にもたらそうとしています」とダーバン氏は付け加えた。

この3カ月間で、Alchemyは、Web3開発スキルの習得を目指す人のためのオープンな教育リソースであるWeb3 Universityの立ち上げも主導した。また「初期のWeb3ビジネスの加速度的な成長を支援する」という目的でAlchemy Ventures(Alchemyベンチャー)も創設した。現時点で、このベンチャーファンドに1000万ドル(約11億6000万円)を配分しており、この額は今後増える見通しだ。これまでにも、Royal(ロイヤル)、暗号資産取引所FTX(最近の評価額は320億ドル(約3兆7000億円))、Genies(ジーニーズ)、Matter Labs(マター・ラボ)、Arbitrum(アービトラム)など、このファンドから何件か投資を行っている。これらの企業の一部はAlchemyの顧客でもある。

「2021年はデベロッパーがWeb3を主流テクノロジーに昇格させ、数百万人に変革をもたらすビジネスが生まれた年でした」とヴィスワナータン氏はいう。「2022年は、さまざまな場所でデベロッパーのニーズを満たすために、Web3への取り組みを強化し、Web3の潜在能力が簡単に解き放たれるようにしたいと考えています」。

Alchemyは新たに調達した資金で社員数を増やし、年末までに200人ほどの規模にする予定だ。同社はこれまで、高い実績を持つ人材を採用することに重点を置いてきた。例えば10月時点の同社の社員27人のうち、22人は自身でも起業した経験のある人たちで「複数の社員が数百人規模の会社を経営した経験がある」という。

暗号資産企業に基盤テクノロジーを提供するために最近資金を調達した企業はAlchemyだけではない。1月には、暗号インフラストラクチャ企業Fireblocks(ファイアブロックス)が、6カ月でその評価額を約4倍の80億ドル(約9285億円)にまで高めている。また、2021年12月には、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)がチェーン横断インフラプロバイダーRouter Protocol(ルート・プロトコル)の410万ドル(約4億7000万円)のラウンドを実施している。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

Coinbase、第4四半期決算で予想を上回るも年明けの低迷を受け株価は沈む

米国の暗号資産取引大手Coinbase(コインベース)の株価は、米国2月24日の2021年第4四半期決算発表後、当初は急騰したが、投資家がすぐに売却したため9%も下がり、史上最低水準のすぐ上で推移している。

同社は決算年度最後の四半期で投資家の期待を上回った。しかし「暗号資産の変動性と暗号資産価格の低下」を理由に、Coinbaseは2022年第1四半期に小売月間取引ユーザー(専門用語でMTU)と総取引量が減少すると予想していると述べた。

Coinbaseの第4四半期

2021年第4四半期のCoinbaseの総収入は25億ドル(約2888億円)で、前年同期の5億8510万ドル(約676億円)から増加した。同社の売上高の大きな伸びは、収益性の大幅な向上につながり、純利益は2020年第4四半期の1億7680万ドル(約204億円)から、2021年第4四半期には8億4020万ドル(約970億円)へと大幅に増えた。また、2021年第4四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、希薄化ベースで3.92ドル(約452円)だった。

投資家は、収益19億4000万ドル(約2240億円)、1株利益1.85ドル(約213円)を予想していた。しかし、Coinbaseの収益と利益に関する予想は、決算発表に向けてかなり幅があったことに留意する必要がある。Yahoo Finance提供のデータでは、収益予想は11億9000万〜24億4000万ドル(約1374億〜2818億円)だった。

企業財務の数値的な要点はさておき、暗号資産の世界に関連してCoinbaseの四半期から何を得ることができるだろう? たくさんある。以下のチャートは、豊富な情報を含んでいる。

個人投資家の取引量は、機関投資家の取引量に比べれば、まだ少ないことがみてとれる。しかし、個人投資家がCoinbaseの取引収益の大部分だけでなく、同社の総売上高の大半も生み出していることに留意して欲しい。取引量が少ないにもかかわらず、2021年第4四半期の個人投資家の取引は21億8500万ドル(約2524億円)の収益に相当し、一方で機関投資家の取引は9080万ドル(約104億円)の収益にとどまった。

話をさらに進めると、Coinbaseにおける取引量と取引収益を生み出すという点において、Bitcoin(ビットコイン)が優位に立つ時代は明らかに終わった。取引量と取引収益でEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンに並んだにすぎない。そして、最後に、上のチャートから、取引量と収入の両面で他の暗号資産の台頭がうかがえる。暗号資産の世界は、時としてたった2つのブロックチェーンとその関連プロジェクトを中心に回っているように見えるが、Coinbaseの収益のストーリーはまったく異なる様相だ。

なぜ株価は下がっているのか?

Coinbaseは予想を打ち砕き、巨額の利益を計上し、前年同四半期から大きく成長した。では、なぜ株価は下がっているのだろう。答えは簡単だ。市場は、あなたが何をしたかよりも、あなたが何をしようとしているかに関心がある。言い換えれば、ガイダンスは、堅調だった過去の業績を切り捨てることができる。

Coinbaseが第4四半期決算を発表する前に、市場は2022年第1四半期の売上高16億9000万ドル(約1953億円)、1株当たり利益1.55ドル(約179円)を予想していた。同社の見通しは、これらの予想を達成しないかもしれないことを示していたのだろうか?

Coinbaseが投資家に語った、これまでの2022年第1四半期の見通しは以下の通りだ。

  • これまでの総取引高は2000億ドル(約23兆円)で、直近の四半期の取引高を大幅に下回るペースで推移しているようだ(上のチャート参照)。
  • 第4四半期を下回る「サブスクリプションとサービスの売上高」は、上記のデータポイントとともに、Coinbaseが2021年第4四半期と比較して2022年第1四半期に売上高ベースで急激に縮小するという事実を強調している。

今後に目を向けると、Coinbaseは年間平均小売MTUが500万から1500万という膨大な範囲に着地すると予想している。そして「ユーザーあたりの平均取引売上高」が「2021年以前のレベル」にまで減少すると予想している。投資家は成長しないストーリーを好まず、またCoinbaseは成長を約束しなかった。

TechCrunchは同社の決算をさらに掘り下げる予定なので、お楽しみに。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi