StratumnはブロックチェーンのHerokuを目指す―通貨取引以外のアプリ開発にも大きなチャンス

2016-03-30-bitcoin-perfecthue

パリを本拠とPaaSのスタートアップStratumnに注目だ。このチームはブロックチェーン・アプリの開発に興味を持つデベロッパー向けにアプリを公開、共有できるプラットフォーム・サービスを開発中だ。

Stratumnを利用すれば、このプラットフォームにさまざまなアプリをアップロードして作動、共有させることができる。アプリはbitcoinのブロックチェーンと通信が可能だ。機能としてはHerokuによく似ている。ブロックチェーン開発者のためのHerokuといえるだろう。

Stratumnは最近、Otium Ventureとエンジェル投資家から67万ドル(60万ユーロ)を調達した。エンジェルには Ledger WalletのCEO、Eric Larchevêqueが含まれる。

本質的にいえば、bitcoinブロックチェーンというのは あらゆるトランザクションをタイムスタンプ付で安全、確実に記録する分散データベース・システムだ。非常に多数の開発者が暗号通貨とはほとんど関係ない分野でbitcoinのブロックチェーンを利用しようとしている。

たとえばStamperyはブロックチェーンのデータベース能力を利用して伝統的な公証人制度を変革しようとしている。このサービスではユーザーの権利、義務などに関わる重要事項について法的に有効な記録が提供される。ブロックチェーン・システムがこうした記録の正当性を保証する。

Stratumnはこうした現状を見て、さらに一歩先に踏み出そうとしている。Stratumnを利用すれば個々のアプリを苦労してゼロから作る必要はない。つまりデベロッパー側でブロックチェーンと通信するための面倒なプログラムを書く必要がなくなる。

この機能を実現するために、Stratumnが開発したのがオープン規格のChainscriptだ。簡単にいえば、Chainscriptはいくつかのデータを保持するJSONファイルを生成する。デベロッパーはStratumn.を通じてこのデータをブロックチェーン・システムに送る。Chainscriptを利用しているアプリはその後ブロックチェーンによるデータの認証を利用できる。

つまり前記のStamperyのようなデベロッパーは、Chainscriptを使ってStratumnプラットフォームの上に独自のアプリを構築できる。Stamperyが目的とする契約関係書類の公証も大きな分野だが、要するにStratumnは暗号通貨取引以外のブロックチェーン・アプリの開発全般にビジネス・チャンスを見出そうとしている。

現在利用されているブロックチェーンで最大のものは言うまでもなくbitcoinのブロックチェーンだ。しかし多くの研究機関や企業は他のブロックチェーンの可能性を探っている。Stratumnはスタートアップとしてもまだごく若い存在だが、もしbitcoin以外のどんなプロックチェーンにも対応できるプラットフォームを開発することに成功すれば、デベロッパーはブロックチェーン分散デーベースの公証能力を生かしたアプリを開発するにあたって大幅に労力を節約できるはずだ。これはブロックチェーンのユースケースとして非常に興味ある展開となるだろう。

画像: Jason Benjamin UNDER A Public Domain LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ブロックチェーンを利用してアーチストが自分の知的財産権を保護するサービスBlockai

blockai-homepage

ブロックチェーンをめぐる議論は、デジタル通貨などお金のことが中心だったが、Blockaiは視点が違う。同社は、写真家などのアーチスト〜クリエイターたちのための、著作権を侵される心配の少ない作品登録サービスとして、ブロックチェーンの利用を考えている。

CEOのNathan Landsはそのサービスを、作品を国会図書館に登録することと、何もしないこととの中間だ、と表現する。厳密にいうと、作品には、それが作られたときから著作権が存在するが、誰かを著作権侵犯で訴えるためには登録が必要なのだ。

しかしLandsによると、サンフランシスコのベイエリア周辺のアーチストたちにインタビューした結果では、自分の作品を国会図書館に登録している人はわずかに10%だった。でも、そのほかの人たちも、登録が必要と感じている。そこでBlockaiの目的は、時間と費用を投じて公式に登録しなくても、一般公開されているデータベース、すなわちブロックチェーンに、自分の作品であるという証拠を作っておこう、というものだ。

Blockaiでは、自分の作品をドラッグ&ドロップするだけで登録ができ、登録証明書をもらえる。そして、誰かがその写真などを作者の許可無く使おうとしたら、そいつに証明書のコピーを送る。

Blockai Certificate

それは、法的にも有効なのだろうか? Landsによると、まだ実際に訴訟が起きたことはないが、Blockaiを使ってブロックチェーンの上に作られた記録は、法廷で十分な証拠になると信ずる、ということだ。そして彼の期待としては、証明書を送ることはInsagramの写真を送ることとは違うから、訴訟に持ち込まなくても効果はある(だろう)。

“創造の証拠を提供する方法としてブロックチェーンは完璧なソリューションだ”、とLandsは語る。“それは恒久的で不変な記録だ。一度記録がそこにできたら、それは永久に存在するし絶対に変えられない”。

有効性について尋ねると、Landsはdigital rights management(デジタル権利管理)の話を持ちだした。それはメディアの共有のされ方を規制する、往々にして面倒な、ときには役立たずのシステムだ。どうやら彼はゲーム業界にいた経験から、厳格なDRMは適正なソリューションではない、しかも画像などでは適用不可能、と確信したのだ。

“未来の理想的なシステムは、普遍的なデータベースがあって、そこで作品の権利を主張でき、 ロイヤルティー支払いのベースにもなる、という方式だ”、とLandsは述べる。“人びとが正しく使えるためには、できるかぎりシンプルなシステムであるべきだ”。

BlockaiでLandsは、その理想の方向へ進もうとしている。同社は、Scott and Cyan Banister(とそのAngelListの仲間たち), Social Starts, Sterling VC, Vectr Ventures, Brian Cartmell, そしてRamen Undergroundらから、54万7,000ドルの資金を調達した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Sonyがブロックチェーンを利用する教育と試験のためのプラットホームを計画中…各人の“教育ID”を共有する場に

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Sonyは、ビットチェーンを利用しようとしている企業の一つだ。ビットチェーンは暗号通貨bitcoinの基盤的技術として有名になったが、Sonyはこれを使って、学生等の学業の成績やテストの点を集中的に共有できるプラットホームを築こうとしている。

同社のSony Global Education事業部が開発したその技術は、ブロックチェーンを使って教育データを格納し、それをほかのサービスやサードパーティとセキュアに共有できる。Sonyによると、この技術で“完全に新しいインフラストラクチャシステム”が実現し、たとえばそれは、就職希望者のテストの結果などを知るための中心的なシステムになり、普遍的な“教育ID”とか、あるいは、LinkedInのような履歴書サイトのよりオフィシャルなものになる。

同社のプレスリリースはこう言っている:

たとえば、試験をして彼または彼女の学業成績が分かると、各企業などはそのデータを共有できるので、各社の就職試験などで再度再々度、個人に対して独自の試験をする必要がなくなる。全システム的に実装されれば、このようなインフラストラクチャは世界で初めてである。

Sonyによると、このプラットホームのポテンシャルが教育機関やそのほかの学習サービスの関心を呼べば、このコンセプトにさらに価値を加えることができる。たとえば、今後の展望としては、大学や高校などのセキュアな参加により、個人の学校での成績や卒業記録などもプロファイルに記録され、求職や、さらに上位の教育機関への応募などにも利用できるようになる。教育以外の、医療や環境、エネルギーなどの分野にもこの技術は応用できる、とSonyは言っている。

これは現時点ではコンセプトにすぎないが、この“新しい教育インフラストラクチャ”の開発が実際に始まるのは2018年以降、と同社は言っている。同社のプランでは、最初は同社主催の’Global Math Challenge’(80あまりの国から15万人あまりが参加する数学テスト)の結果を統合したい、という。今後はさらに、Sonyのそのほかの教育事業も加えていく。しかし、そのより大きな目標は、なかなか魅惑的だ。それは、あなたの資格や教育履歴が共有されるプラットホームなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa