量子コンピューターで解読不可能な耐量子計算機暗号の早期実用化に向け、ソフトバンクとSandbox AQが提携

量子コンピューターで解読不可能な耐量子計算機暗号の早期実用化に向け、ソフトバンクとSandbox AQが提携

ソフトバンクは3月23日、量子コンピューターでも解読されない暗号方式「耐量子計算機暗号」(PQC)の実用化に向けて、量子テクノロジーとAIを活用したSaaSソリューション企業Sandbox AQと日本での共同実証実験に関するパートナーシップ契約を結んだ。これによりソフトバンクは、米国立標準技術研究所(NIST)が進める「耐量子計算機暗号標準化プロジェクト」で最終候補と代替候補に選ばれたPQCアルゴリズムを使った検証を行い、標準化を見据えたPQCの早期の実用化を可能にするという。

今日のインターネットでは、クレジットカード情報や個人情報などの機密情報は、公開鍵暗号(RSA暗号や楕円曲線暗号)と呼ばれる技術で通信内容が暗号化されているが、今後普及すると見られている量子コンピューターを使えば、瞬時にして解読されてしまう恐れがある。そこで、量子コンピューターに耐性のある暗号方式としてPQCが研究されている。PQCは秘匿だけでなく認証(デジタル署名)にも適用でき、ソフトウェアで実装できるためインターネットとの親和性が高く、既存の通信デバイスでの利用が想定されている。

しかし、そのPQCアルゴリズムの国際標準規格化を進めているNISTは、最終候補となるアルゴリズムの絞り込みを行うラウンド3の段階まで達しているものの、決定は2024年を待たなければならない。そこでソフトバンクはこの提携により、標準規格が定まる前に、Sandbox AQの協力で候補となった複数のPQCアルゴリズムを使い、2022年の夏までに5G、4G、Wi-Fiなど様々なネットワークでPQCアルゴリズムを検証し、ネットワーク、マシン、ユーザーの観点から性能評価・検証を行うことにした。こうすることでソフトバンクは、いち早くその商用ネットワークにPQCを実装し、利用者を量子コンピューターを使った攻撃から守ることができるようになるとしている。

Sandbox AQのCEOジャック・ハイダリー氏は、ソフトバンクは「こうした脅威が完全に出現する前に、自社のネットワークやオンラインプロパティーにPQCアルゴリズムを導入することで、競合他社よりも1歩先を行くことになると信じています」と話している。

NFT総合マーケットLINE NFTが4月13日開始―吉本興業など17コンテンツと提携・Web3への入口を目指す

LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCは3月23日、NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」(記事執筆現在はティザーサイト)を4月13日より開始すると発表した。ローンチラインナップとして、吉本興業など計17コンテンツと提携しており、エンターテインメントやスポーツ、ゲーム、アーティスト、アニメ、キャラクター、イベントの7ジャンル100種類以上のNFTを販売する。今後はソフトバンクやZホールディングスのグループ企業などとの協業を通じ、さらなる拡大を目指す。

ローンチ時に販売されるNFTのラインナップは、吉本興業ホールディングスによる人気芸人のネタをNFT用撮りおろした限定NFT動画「よしもとNFT劇場」、歌手や俳優として活躍するNissy(西島隆弘)の今後の活動と関連したNFTやLINE用のヨッシースタンプのNFTなどを予定。

昨今、海外のNFT市場が爆発的に広がり、国内でも多くの企業がNFT事業に参入している一方、NFTは、購入までのハードルの高さやNFTを保有する価値・意味が十分に理解されていないという課題がある。

これに対してLINE NFTでは、月間9000万人が利用するLINEからNFTを購入(一次流通)およびユーザー間で取引(二次流通)できることに加えて、その先にあるNFTを持つことによる楽しみを感じられるような場を提供するという。また今後は、LINE NFTにより誰でもNFTにアクセスできる環境を提供し、Web3への入口をユーザーに届けることを目指す。

LINE NFTで購入したNFTは、LINEアカウントですぐに登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」で保管可能。自分のNFTをLINEの友達と交換したり送り合ったりできる。また、キャンペーンプラットフォーム「LINEで応募」といったLINEの他サービスとの連携も進めることで、購入特典やキャンペーン景品などにNFTを付与する機会を増やす。LINEのプロフィールにNFTを設定可能とするほか、現在国内で約600万セット以上が発売されているLINEスタンプにおいて、NFTを活用する予定。

今後の展開としては、ソフトバンクやZOZO、Zホールディングスと協業し各社が提供する各種サービスと連携を予定。ソフトバンクとは、同社提供の動画配信サービス「バスケットLIVE」での動画NFTを取り扱う予定。また同社コンテンツ配信サービス「5G LAB」とも技術的な連携を深めてxR技術を活用した立体感・臨場感のあるNFTの検討を進めているという。加えてNFT購入時の決済手段としてPayPayの導入も検討中。「ヤフオク!」にNFTを出品・落札できるよう準備している。

ZOZOとは一部のファッションブランドとのNFT販売を予定しており、ファッション領域におけるNFTの協業を検討。

「LINE GAME」「LINE MUSIC」「GYAO!」といったエンターテインメントサービスを運営するZホールディングス傘下のZ Entertainmentと連携し、動画やライブ配信といったエンターテインメント領域におけるNFT事業の推進を図る。

GMが自動運転の子会社「Cruise」のソフトバンク株を買い取りへ

General Motorsが、自動運転技術の子会社であるCruiseの持ち株を増やそうとしている。

米国時間3月18日の夜、同社は、Softbank Vision Fund 1のCruiseの持ち株を21億ドル(約2500億円)で取得すると発表した。またGMは、同ファンドが以前2018年に行ったコミットメントに代わり、Cruiseに対して13億5000万ドル(約1610億円)の追加投資を行う。

この発表の6週間前にCruiseは、一定の制約のある自動運転のロボタクシーサービスをサンフランシスコの公道で開始した。それはSoftbankにとっては、以前の13億5000万ドルの追加投資の約束を実行に移すすべきタイミングだった。

なぜ今、ソフトバンクが売却に踏み切ったのか、その理由は明らかではない。GMの広報担当者は、同社の出資比率が高まることで、クルーズの株主構成がシンプルなものになるだけでなく、GMとクルーズがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すために最も価値のある道を追求するための最大限の柔軟性を提供することができると述べている。

GMのCEOで会長のMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、これにより株主の価値が増大するという。

「GMがバランスシートの強みを生かし、Cruiseへの出資を増やし、当社の統合的な自律走行車戦略を推進する機会を得たことを発表できることを非常にうれしく思います。私たちの投資は、長期的な株主価値を創造するための特別な機会であると引き続き信じています」とバーラ氏は声明で述べた。「私たちの投資ポジションの拡大は、Cruiseの株主構成を簡素化するだけでなく、GMとCruiseがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すための最も価値ある道を追求するための最大の柔軟性を提供します」。

GMの出資比率が高まることで、同社がCruiseをスピンオフさせたり、株式公開に踏み切ったりするといった可能性もある。GMは、短期的な計画としてIPOがあるかどうかについては明言しなかった。しかし同社の広報担当者は、GMが前進する際には「株主のために価値を創造するあらゆる機会を検討する」という。GMは、将来におけるCruiseのIPOを否定していないと広報担当者は付け加えた。

CruiseのCEOであるKyle Vogt(カイル・フォークト)氏の発表によると、GMの投資の増加に加えて、同社は反復性のある流動化機会プログラムをローンチした。それは、人材獲得および引き止めるための「目の前の人参」の1つだ。フォークト氏によると、このプログラムは従業員に流動性を与え、同社の上場に際してはIPOに参加しなくても株価上昇による利益が得られるようにするというものだ。

このプログラムでは、現在と過去の社員が権利の確定した株式の任意の量を、各四半期に売ることができる。フォークト氏によると、買うのはGMまたはその他で、その価値はサードパーティーの金融企業が会社の業績や財務予測、マーケットの条件、関連する取引や資金調達案件、そしてマーケットにおける他社との比較などによって決まる。

「私たちの技術のデプロイとスケールが順調であれば、従業員持ち株の価値は上がるはずだ」とプログラムを発表するブログ記事でフォークト氏で述べている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

外食産業の労働力不足を狙い配膳ロボットを手がけるBear Roboticsが約96億円調達

数年前からフードロボットのスタートアップ企業を追いかけていて最も興味深いことの1つは、下ごしらえから配達まで、各社が自動化を目指しているさまざまな作業を見ることだ。ベイエリアに拠点を置くBear Robotics(ベア・ロボティクス)は、ロボットをカウンターの前に連れ出そうとしている唯一の企業というわけではないが、近年、最も注目を浴びる企業の1つとなっている。

Bearは、日本でより多くのレストランに同社のシステムを導入しようとするなど、最近の展開で成功を収めている。これには、同社に出資しているSoftBank(ソフトバンク)の後援や、日本では労働力不足が続いているという事情がある。日本は以前から、高齢化社会の中で事業を継続させるための方法としてロボットに注目しており、近年の新型コロナウイルス感染流行がそのニーズを加速させた。一方、米国では、同社はChili’s(チリズ)、Compass Group(コンパス・グループ)、Denny’s(デニーズ)、Marriott(マリオット)、Pepsi(ペプシ)と提携している。

同社のビジネスモデルが、ソフトバンクから多大な信頼を得ていることは間違いない。ソフトバンクは最近、ロボットに対してさらに強気になっており、2020年にはBearのシリーズAを主導した。そして米国時間3月15日、新たな投資家としてIMMが、Cleveland Avenue(クリーブランド・アベニュー)などの既存投資家とともに、同社の8100万ドル(約96億円)のシリーズBを主導するために参入した。この最新のラウンドにより、Bearの資金調達総額は、これまでに約1億1700万ドル(約139億円)に達している。

Bearは、全自動化にははっきりと慎重な姿勢を示している。同社はこれまで、レストランが人間の給仕スタッフに取って代わるのではなく、それを補うための手段として自社を位置づけてきた。これは、同社の機械がロボット・ウェイターというよりも自走型テーブルに近いものであり、A地点からB地点まで注文を載せて運ぶだけという事実が一因であることは間違いないだろう。

「数年前に自分のレストランを始めたことで、私はその難しさを身をもって知りました」と、創業者兼CEOのJohn Ha(ジョン・ハー)氏はリリースで語っている。「そこで私は、レストランの良さを失うことなく、繰り返しの作業を自動化する方法はないものかと考えました。だから私たちはServi(サーヴィ)を作ったのです。これは、お客様、従業員、そして経営者の体験を向上させることを目的としたソリューションです。他の企業が仕事を完全に自動化しようとしている一方で、私たちは毎日この業界を支えている利害関係者のために、仕事の未来を向上させようとしているのです」。

Bearによると、同社のServiロボットは、これまでに総計33万5000マイル(53万9100キロメートル)を移動して、2800万食を配膳してきたとのことだ。

画像クレジット:Bear Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソフトバンク、米国の黒人やラテン系、ネイティブアメリカンなど多様な起業家を支援するエバーグリーンファンドを発表

日本のコングロマリットSoftBank(ソフトバンク)が米国時間3月14日、同社には米国の黒人やラテン系およびネイティブアメリカンを対象とする、上限を定めないエバーグリーンファンドを発表した。ファンドはSoftBankの1億ドル(約118億円)のマイノリティ向けOpportunity Growth Fundを継続するものであり、それは「人種的公正」が大きく叫ばれるようになった2020年に創立された。

同社によるとこの取り組みは24時間で立ち上がり、現在ではそのすべてが70社に投資されている。最初のポートフォリオ企業は55%が黒人の創業者、40%がラテン系、5%が黒人でラテン系の創業だった。ただし、いぜんとして男性が圧倒的に多く、SoftBank Opportunityのポートフォリオのわずか13%が黒人女性による創業だが、それは全国の率より高くてもまだ同等とはいえない

Opportunityで創業した企業の中で4社は評価額が10億ドル(約1184億円)を超え、2社がエグジットした。ポートフォリオ企業の半数は、初期投資の後、別のラウンドを調達している。このような活気が、同社がその取り組みを継続する理由の一部だろう。換言すれば、(当然ながら)それは実際に効果を上げている。

残る疑問は、なぜSoftBankが歴史的に見過ごされてきた起業家を支援するのに、対象の特定された明確で強力なシグナルとなる資金ではなく、エバーグリーンファンドに目を向けたのかだ。同社には、数字の危惧はない。わずか4カ月前にSoftBankは、ラテンアメリカの企業に30億ドル(約3550億円)ほどの資本を投じた。

エバーグリーンファンドは終了日のない開放的な構造だ。そのため企業は、実現したリターンから際限なく資本をリサイクルし、複数のステージにまたがって投資したり、オーナーの異なる株式に投資したりできる。この場合SoftBankが計画しているのは、アーリーステージのスタートアップシーンへの再投資で、最近のTiger Globalの例に似ている

これらの企業にSoftBankが投資した総額は一定の額ではないので、このような投資がもたらすインパクトを計るのは難しい。SoftBankはForbesに、このファンドのデビュー時には行わなかったほどのより多くの資本を展開したいという。またTechCrunch宛のメールで同社は、1年あたり20〜30社の、それぞれ30万〜70万ドル(約3600〜8300万円)の投資を行い、継続ファンドとしては100万〜500万ドル(約1億1800万〜5億9200万円)を確保するという。

元SoftBankのCOOだったMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏は、Opportunityファンドを構想し立ち上げた本人だが、彼以外にマネージングパートナーのShu Nyatta(シュウ・ニャッタ)氏や、TechSquareの創業者でPindropの会長でもあるPaul Judge(ポール・ジャッジ)氏、TaskRabbitのCEOであるStacy Brown-Philpot(ステイシー・ブラウン-フィルポット)氏らも参画した。クラウレ氏は報酬をめぐる争いで同社を去り、今はニャッタ氏がOpportunityファンドを率いて、マネージングパートナーのCatherine Lenson(キャサリン・レンソン)氏とBrett Rochkind(ブレット・ロックキンド)氏を投資委員会に加えた。

画像クレジット:Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか5G対応のiPhone SE(第3世代)が、3月18日に発売となる。日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱うが、今回はUQモバイルやワイモバイルといったサブブランドも同時に発売する。

速報:新 iPhone SE (第三世代)発表。初の5G対応・A15で高速化・バッテリー駆動時間延長

各キャリアとって、5G対応のiPhone SE(第3世代)は待望といえるだろう。5Gにおいては日本は世界から普及が遅れていると指摘されている。

2020年3月に3キャリアで5Gが始まったものの、これまで特に盛り上がることなく2年が経過してしまった。5Gエリアは、4G周波数帯を転用することで、広がりを見せている。しかし、5G対応スマートフォンが爆発的に売れることもなく、地味に普及している状態に過ぎない。

菅政権の圧力により、料金値下げが注目され、オンライン専用プランなど小・中容量プランが世間の注目を浴びた。キャリアとしては5Gスマートフォンに乗り換えてもらい、データをバカスカ使ってもらうことで、ARPUをあげ、さらに使い放題プランへの乗り換えを促したいというのが本音だ。

KDDI高橋誠社長は「5Gスマートフォンユーザーは4Gスマートフォンユーザーより2.5倍もデータトラフィックが多い」と語る。

iPhone SE(第3世代)が普及すれば、それだけデータ通信を多く使うユーザーが増え、結果として、キャリアの通信料収入の回復が見込まれるのだ。

今回のiPhone SE(第3世代)、5G対応と言ってもSub-6のみの対応となる。アメリカではiPhone 12シリーズ、さらにはiPhone 13シリーズはミリ波に対応していた。ベライゾンなどがミリ波の展開に積極的であったため、アップルとしてもiPhoneでミリ波の対応を余儀なくされたようだ。一方で日本で売られているiPhone 12シリーズやiPhone 13シリーズはSub-6のみの対応だ。

アメリカで売られるiPhone SE(第3世代)もSub-6のみであり、ミリ波には非対応だ。

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか
画面サイズが4.7インチと筐体がコンパクトなiPhone SE(第3世代)であるため、ミリ波のアンテナなどが入れずらかったのかも知れない。また、本体が小さく手で全体を覆いやすくなりがちのため、ミリ波は受信しづらくなる可能性もある。

「なぜ、アップルはiPhone 12と13ではミリ波に対応したのにiPhone SE(第3世代)ではミリ波対応を見送ったのか」が気になって、取材を進めたところ、どうやら「アメリカでも4G周波数の転用が進んでいたり、Cバンド(3.7G~4.2GHz帯)の導入が見えてきたから」というのが理由にあるようだ。

ベライゾンは5Gスタート時には、ミリ波を中心にエリア展開を行っていた。しかし、その場合、5Gに期待される通信速度は出るものの、エリア展開の広がりは期待できない。そこで、ベライゾンではDSS(Dynamic Spectrum Sharing)という技術を投入し、4G周波数帯に5Gを混ぜるかたちでサービスを提供し、エリアを広げた。ミリ波の5Gほど通信速度は出なく、むしろ4Gよりも遅くなる傾向があるのだが、それでもエリアを広げたいという狙いがあった。

さらに昨年末から今年頭にかけて、一部報道で、アメリカのCバンド(3.7G~4.2GHz帯)が話題となった。

ベライゾンとAT&Tが共同でCバンド周波数の競売に共同で809億米ドルを出資。Cバンドによるサービスを開始しようとしたら、米国連邦航空局に警告を受けて、サービス開始時期の延期をせざるを得なくなったというものだ。Cバンドが民間航空会社の用いる高度計と干渉し、航空機運航に影響を及ぼす可能性を指摘されたのだ。

今後、Cバンドが本格運用できれば、そこそこ高速でありながら広いエリアで5Gサービスの提供が可能となる。

こうした背景からアップルとしてはiPhone SE(第3世代)で無理してミリ波に対応しなくてもいいという判断が下ったようだ。

ただ、先日、スペイン・バルセロナで行われたMWC22では、クアルコムのプレスカンファフェンスで「5G mmWave Accelerator Initiative」が紹介され、そこにはNTTドコモやVerizonの名前があった。世界的にミリ波の活用を盛り上げていこうというわけだ。

NTTドコモでは4Gユーザーが多く、4G周波数を5Gに転用するのが難しい。そのため、4G周波数帯の転用には消極的で、5G用に割り当てられた周波数帯でのサービス提供を重視している。また、楽天モバイルの三木谷浩史会長は「ミリ波は(日本で)うちだけががんばっているが、海外でミリ波を使っている人は本当にデータの使用量が多い」と語る。楽天モバイルのように従量制の料金プランを提供しているところは、一刻も早く5G、しかもミリ波で提供することでARPUをあげて収益を確保したいというのが本心だったりする。

メーカーとしてはミリ波対応といった面倒くさいことはせず、Sub-6だけで5G対応をしておきたい。一方で、キャリアとしてはミリ波対応であれば(ミリ波の基地局を設置しなくてはいけないが)ARPUの上昇が期待できる。

今秋、発表されるであろうiPhone 14シリーズは、日本でもミリ波対応はあり得るのか。アップルとキャリアの間で駆け引きが行われているかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

NVIDIAがArmの買収を断念、Armはリーダーが交代し株式公開を模索

NVIDIA(エヌビディア)によるArm(アーム)の買収案件は見送られると、両社とArmのオーナーであるSoftBank(ソフトバンク)米国時間2月8日に発表した(PDF)。SoftBankとNVIDIAは、Armの買収に向けた取り組みを止めることで合意したのだ。

これにともない、Armでは大きなリーダーシップの交代も行われる。同社の現CEOであるSimon Segars(サイモン・シーガーズ)氏が同日付けで退任し、ArmのIPグループ社長であるRene Haas(レネ・ハース)氏(元NVIDIA VP兼コンピューティング製品事業本部長)がその任につくことになった。

買収が見送られたため、Armは買収の代わりに株式公開を模索しているという。現在の計画では、今後12カ月以内にIPOが実現する予定だ。

Financial Timesは、米国時間2月8日未明、この買収が破綻したと最初に報じた

今日の発表の直前にハース氏が私とのインタビューで語ってくれたように、シーガーズ氏が会社を去るという決断は、非常に個人的な選択であった。「彼は会社を上場させることと、その他諸々のために必要な時間とエネルギーが、自分のキャリアのこの段階において、自分が手を挙げたいと思えるものではないと判断したのです」とハース氏は語った。「だから、彼は退任することになりました。私が彼の後を継ぐことになります」と語った。

「レネは、上場再挑戦を目指すArmの成長を加速させるために最適なリーダーです。過去30年にわたるサイモンのリーダーシップ、貢献、そしてArmへの献身に感謝します」とSoftBank Group(ソフトバンクグループ株式会社)の代表取締役社長兼執行役員会長兼CEOの孫正義氏は述べている。

ハース氏は、今日のArmのビジネスがかつてないほど強力であることを指摘した。

「私たちは、この会社の次の章にとても熱意と興奮を感じています。というのも、この会社の業績は絶好調だからです。【略】Armのビジネスはかつてないほど好調で、収益性も高く、SoftBankに参加する前では見たことがないレベルです。しかし、おそらくもっと重要なことは、SoftBankに入る前と比較して、事業の多様化が進んだことです。クラウドやデータセンターのような分野でより強力な企業になり、自動車のような市場でもより強力な企業になり、IoTやメタバースといった将来の市場にも大きな機会があります」と彼は語った。

ハース氏は、NVIDIAとSoftBankの決断についてこれ以上コメントしない一方で、ついに取引が破綻したが、リーダー交代の話し合いはもっと前から始まっていたことを認めた。

「買収が成立しなかったことは残念ですが、同時に、今後の展望に非常に期待しており、次の章の開始が待ち遠しい」と述べている。それが具体的にどのようなものになるのか、ハース氏はまだ明言していないが、CPUやGPU市場への進出や、AI分野での取り組みを継続することに言及した。「これまでやってきたことを継続し、それを実行することが本当に重要になります。というのは、我々はビジネスを成長させる方法に関するレシピを提示し、それをぜひ継続したいからです」と語っている。

NVIDIAのCEOであるJensen Huang(ジェンスン・ホァン)氏も、これとほぼ同じことを言っている。「Armには明るい未来があり、我々は今後数十年間、誇りあるライセンシーとして彼らをサポートし続けるでしょう」と彼は声明で述べている。「Armは、コンピューティングにおける重要な変遷の中心にいます。私たちは1つの会社にはなりませんが、Armと密接に連携していきます。マサが行った多大な投資により、Arm CPUがクライアントコンピューティングだけでなく、スーパーコンピューティング、クラウド、AI、ロボティクスにまでその領域を拡大できるよう、Armを位置づけています。Armが次の10年で最も重要なCPUアーキテクチャになることを期待しています」と語った。

ある意味、今日の発表はサプライズではない。米連邦取引委員会が、合併後の企業が「NVIDIAのライバルを不当に弱体化させる」ことができるとして、合併を阻止するために提訴すると発表した後、BloombergはNVIDIAが計画を断念する準備をしていると報じていた。Armの本社がある英国でも、EUの反トラスト法規制当局と同様に、ここ数カ月で合併の障害にぶつかっていた。

結局、GPUとAIアクセラレーター市場を支配し、事実上すべてのスマートフォンやIoTデバイスを動かすチップのIPも所有するNVIDIAは、あらゆる警鐘を鳴らすことになったのだ。両社はおそらく、規制当局のプロセスを通過させるために、取引内容を大幅に変更するか、あるいは断念せざるを得なかっただろう。

NVIDIAがこの巨大買収計画を最初に発表したのは、2020年9月のことだった。当時、NVIDIAのCEOであるジェンスン・ホァン氏は、これによって自社が「AIの時代に向けて素晴らしく位置づけられた企業」を作ることができると主張していた。

この間、NVIDIAとArmの首脳陣は公の場で、この取引が最終的に規制当局の審査を通過する、と楽観的な姿勢を崩さなかった。何らかの反発があることは承知の上で、両社は常にこの取引の完了に多くの時間を費やし、発表から18カ月後の2022年3月を完了予定日としていたのである。しかし、ここ数カ月、両社はこの期日を逃すことになると認めていた。彼らはまた、2022年9月というちょっとした期限もあり、それを過ぎるとSoftBankは12億5000万ドル(約1443億円)の解消手数料を保持することになっていた、取引がなくなった今、SoftBankはいずれにしてもそれを保持することになったのである。

画像クレジット:SAM YEH/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

NVIDIAへのArm売却断念、そして2022年度中にArmの再上場を目指すと発表したソフトバンクグループの孫正義社長は決算会見で、売却断念に至った経緯などを説明しました。

孫社長のコメントは下記の通りです。

「1年半前、コロナがこれからどのくらい地球上に災難をもたらすかわからないような状況で、我々は4.5兆円の資金化プログラムを発表しました」

「その一環として、Armを手放すことを意思決定したわけですけども、まあ泣く泣く意思決定したわけですね」

「でも、単純に手放したくはないので、売ったような買ったようなということで、Armを急成長しているNVIDIAと合体させて、我々がNVIDIAの筆頭株主になれれば、ArmとNVIDIAがくっつけばまさに鬼に金棒という状況になりますので、チップの世界で、圧倒的世界最強の会社ができると。その筆頭株主に我々はなるんだという願いで、ArmのNVIDIAへの売却を契約したわけです」

「しかしその後ですね、なんとGAFAに代表される主要なIT業界の企業が、こぞって猛反対。そしてアメリカ政府もイギリス政府もEUの国々もこれに猛反対という状況になりました」

「通常は独禁法で合併を阻止しようとする際、同じ業界、たとえば車のエンジンを作ってるA社とエンジンを作っているB社が合併しようとすると、マーケットシェアが大きくなりすぎるということで、独禁法で止められるということなんですが、NVIDIAとArmは全く違ったものを作っている。言ってみればエンジンとタイヤくらい違うわけですね」

「この違う事業をやっている2社の合併を独禁法で阻止するというのは、独禁法が始まって以来初めてのケースで、我々も驚いたわけですけども、なぜそれほど止めなければいけなかったのかというと、それは各国政府やGAFAに代表されるような企業が、それほど止めなければいけないというくらい、ArmがIT業界、シリコンバレーの殆どの企業がArmを直接あるいは間接的に活用している、欠かす事のできない最重要カンパニーの1つということなんですね」

「そして今日、さきほど、Armの売却を中止するということでNVIDIAと合意に至りました」

「NVIDIA側からしても、合併は今でもしたいという気持ちはたいへん強く、最後までその気持ちは大変強いという状況でしたが、これほど各国政府が合併を阻止する強い動きに出ましたので、これ以上は承認を得る努力をしても認められないだろうということで、合併を諦めるということで、NVIDIAと我々が合意にいたったわけでございます」

2022年度内に再上場めざす

「まあ我々としては、(Armの再上場は)プランBということになりますが、もともと我々がArmを買収したのが2018年で、そして5年後くらいの2023年ぐらいに再上場するということを、買収当時から実はコメントしておりました」

「我々はArmを買収して一旦非上場会社にしたわけですが、そこからもう一度新しいArmの製品群に先行投資をし、(新しい製品群の)準備が整ったところでもう一度再上場する、その期限はだいたい2023年くらいだと買収した当日から言っておったわけですが、ちょうどその時期に達したと。2022年度という2023年3月末までですから、ちょうど2023年になります」

「当初から思っていた期限で、再上場させるということで、もともとのプランに戻ろうということであります。NVIDIAとの合併という意味ではプランBになりますが、もともとオリジナルの案なのですから、むしろこちらがプランAなのかもしれない」

Armの黄金期がやってくる

孫社長はその後、2021年度にAWSがArmアーキテクチャを採用するなど、スマートフォンだけでなくクラウドにもArmの採用が進んだことを強調。

ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す
そして今後はEV、メタバースで爆発的にArmの需要が増えるとしたうえで「第2のソフトバンクの成長の鍵になるのがArmだ。Armが戻ってきた。これから黄金期を迎える」とし「NVIDIAとのディールも成功した欲しかったが、むしろこっちも悪くない。振り返ってみたらこっちのほうが良かったと思うようになるんじゃないか」「Armは半導体市場最大のIPOになる」とコメントしました。ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指すソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

──なぜArmの急成長を見込んでいるのに再上場させるのか

孫社長:Arm株の25%はビジョンファンド1が持っています。ここには外部の投資家がいます。彼らのためにも上場株としての価値を作るのは我々の使命の1つ。2つ目の理由は、社員に十分なインセンティブを与えるため。エンジニア中心の会社ですから、彼らの労に報いるために、上場株のさまざまなストックオプションを提供していきたい。また、これから社会のインフラを担うようになるために、できるだけ透明性のある経営とするためにも上場するのが適切だろうと考えた。

──Armはどこで再上場させる?

孫社長:米国のNASDAQを目指している。

──Armはもともと英国の会社だが、なぜロンドンではなく米国での再上場を考えているのか

孫社長:Armの利用者は大半がシリコンバレー。また投資家もArmについて非常に高い関心を持っていると聞いている。そういう意味では、ハイテクの中心である米国のNASDAQが一番適しているのではないか。おそらくハイテクの中心のNASDAQに再上場すると思っているが決定ではない。

Engadget日本版より転載)

ローコードでサードパーティサービスを統合するプラットフォームDigibeeがシリーズAで約28.7億円調達

ローコード統合プラットフォームDigibeeは、今、すべての同類のプラットフォームが行っていると思われること、つまり資金調達を行う。米国時間2月3日、同社はSoftBank Latin America Fundが主導するシリーズAラウンドで2500万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、ブラジルのKineaG2D Investmentsも参加している。

2017年に登場したDigibeeは、企業がコードを一切触ることなく、統合ワークフローを簡単に構築・展開できるようにするものだ。同じことを喜んでやってくれるプラットフォームは他にもたくさんあるが、Digibeeが他と異なるのは、統合を構築するだけでなく、その統合を再利用可能なビジネスロジックにすることにも重点を置いているサービスである点だ。1年前、同社は「Capsule(カプセル)」と呼ばれる組織全体で共有できる共通の統合機能のパックを発表した。

画像クレジット:Digibee

現在の顧客には、Accentureやブラジルの証券取引所B3、小売チェーンのCarrefourなどがいる。

「私たちは、グローバル企業のデジタル化の旅を支援しています。これにより、企業は経済的に高額な初期費用なしに成長・拡大することができ、人材はビジネスの推進に専念できるようになります。私たち自身は、米国と世界各地に拠点を設け、世界で最も革新的な企業を顧客にしていきたい」と、Digibeeの共同設立者兼CEOであるRodrigo Bernardinelli(ロドリゴ・ベルナーディネッリ)氏は語る。

同社によると、今回の資金調達は、米国での市場開拓戦略の支援に使う予定だという。

「私たちのプロダクトは、競合他社よりもはるかに優れたシステム統合の課題を解決しており、多国籍の顧客は私たちにグローバルな事業展開を求めています。そのためには、各ターゲット市場で優秀な人材を採用する必要がありました」と、ベルナーディネッリ氏はいう。

また、同社は事実上すべての機能において、従業員数を急速に増やす計画であることも明かした。

SoftBank Latin America Fundのアーリーステージ投資担当マネージングパートナーであるRodrigo Baer(ロドリゴ・ベア)氏は、次のように語る。「Digibeeへの投資に、とてもエキサイトしています。同社は、統合の費用という問題に挑戦しています。それは、ソフトウェア経費の50%以上を占めることもあります。それでも、企業は統合化によって、自他複数のシステムを接続してデジタルトランスフォーメーションを実現できます。Digibeeの営業力はワールドクラスのものなので、そのソリューションを市場化していく能力があります。これにより彼らのプロダクトは、グローバルなプレイヤーに育ちます」。

画像クレジット:Ed Peeters/EyeEm/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国のスマート製造業に注力するAInovationが香港でIPOを申請、李開復氏やソフトバンクも支援

中国では、人工知能に金銭を支払う顧客を見つけようとする情熱が続いている。中国のコンピュータビジョンと機械学習のスタートアップ企業で、Kai-Fu Lee(カイフ・リー、李開復)氏のSinovation Ventures(シノベーション・ベンチャーズ)とSoftBank(ソフトバンク)が出資するAInnovation(エーアイノベーション、創新奇智)は、中国の巨大な製造業を自動化しようとしている。設立からまだ4年しか経っていないこのスタートアップは、香港で株式公開の申請を行っており、その目論見書では、今後数年のうちに中国の産業お青写真で重要な位置を占めるスマートマニュファクチャリングの商業的実行可能性を垣間見ることができる。

2010年代、SenseTime(センスタイム)やMegvii(メグビー)などのコンピュータビジョン企業は、中国の公的なセキュリティのインフラに顔認証技術を提供することで、大成功を収めた。しかし、競争によって価格が下がり、監視技術をめぐる米国の制裁による圧力が強まるにつれ、中国の初期のAIスタートアップ企業は多角化を模索している。SenseTimeは教育分野に進出し、Sinovation Venturesの支援を受けるMegviiは無人倉庫保管ソリューションを事業に加えた。

関連記事:米小売大手が中国企業の防犯カメラを店舗から撤去、人権侵害を指摘される

AInnovationは、AIアプリケーションの分野では若い企業に入る。目論見書によると、IBM、SAP、Microsoft(マイクロソフト)での経験を持つCEOのXu Hui(シュー・フイ)氏が共同で設立したこのスタートアップは、2021年9月までの9カ月間に、収益の半分を製造業の顧客から得ているとのこと。同社のコンピュータビジョンモジュールとカスタマイズされたサービスは、溶融した鉄の輸送(写真)、自動車の生産ラインにおける異常の検出、半導体製造での欠陥発見などの場面で使用されている。

収益の3分の1は金融サービスによるもので、残りは小売業、通信業、その他の産業から得ている。

AInnovationのような企業は、研究室で機械学習モデルを実行する博士号取得者を雇うだけでは不十分だ。文字通り自ら身体を動かし、実際に顧客の工場を訪問して、鉄鋼メーカーや衣料品メーカーにとってどのような自動化が最も良い利益を生むのかを学ぶ必要がある。そこで同社は、主要なパートナーである大手製鉄グループのCISDIおよび国有建設会社のChina Railway No.4(中鉄四局集団有限公司)と、それぞれ2つの合弁会社を設立した。

AInnovationのコンピュータビジョン技術を用いてネジの欠陥を検出する(画像クレジット:AInnovation)

AInnovationはまだ、スマートシティの先行企業ほどの収益を上げていない。2020年の売上は4億6200万元(約83億2000万円)だったが、SenseTimeは同年に34億元(約612億円)を得た。しかし、AInnovationは急速に成長している。2021年9月までの9カ月間で、その収益は5億5300万元(約99億6000万円)に達し、2020年の合計額を上回った。

とはいえ、課題もある。1つは、同社がいくつかの重要な顧客に大きく依存していることだ。2019年と2020年に同社が5つの大口顧客から得た収益は、それぞれ約26%と31%を占めている。

中国の初期のAI参入企業が顔認識に集まったのには理由がある。そのほとんどがソフトウェア事業であるため、儲かるからだ。例えばSenseTimeの利益率は、2018年の約57%から2020年には70%以上に上昇した。

AInnovationも、かつてはソフトウェアファーストの企業だった。目論見書によると、同社の売上総利益率は、2018年には63%だったが、2019年には31%、2020年にはさらに29%まで急落している。これは、同社がソフトウェアの販売を中心としていたビジネスから、より多くのハードウェア部品を含む統合ソリューションに軸足を移したことが原因だ。ハードウェアは一般的に材料費がかさむ。また、収益性が低下したのは、顧客基盤を拡大するために「競争力のある価格で提供」したためだという。AIビジネスでは、データがその燃料となる。

どちらもまだ不採算事業である。AInnovationは、2019年に約1億6000万元(28億8000万円)、2020年に約1億4400万元(25億9000万円)の調整後純損失を計上している。これに対してSenseTimeは、同時期に10億元(約180億円)、8億7800万元(約158億円)の調整後純損失を計上している。

中国の製造業の各分野は、簡単に数十億規模の市場機会となる。問題は、AInnovationが持続的な成長と健全なビジネスモデルへの道を見つけることができるかどうかだ。

Bloomberg(ブルームバーグ)による事前の報道によると、AInnovationの株価は仮条件レンジ下限の1株あたり26.30香港ドル(約385円)で設定されているという。この価格であれば、同社は香港でのIPOによって約1億5100万ドル(約172億円)を調達することになる。

画像クレジット:AInnovation

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NVIDIA、Arm買収を断念か、ソフトバンクによる上場計画の噂も

Bloombergの情報筋によると、NVIDIAは400億ドル(約4兆5560億円)でのArm(アーム)買収について、規制当局の承認取得がほとんど進んでおらず、内々に買収を断念する準備を進めているという。一方、Armの現オーナーであるソフトバンクは、買収の代替案としてArmを上場させる計画を進めているようだ、とこの件に詳しい別の関係者は述べている。

NVIDIAは2020年9月にこの買収を発表し、CEOのJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏は「AIの時代に向けてすばらしい位置にいる企業が誕生する」と宣言した。Armの設計は、Apple(アップル)、Qualcomm(クアルコム)、Microsoft(マイクロソフト)、Samsung(サムスン)、Intel(インテル)、Amazon(アマゾン)といった企業によってほぼ全世界でスマートフォンなどのモバイル機器にライセンス使用されている。

買収発表後すぐに反発が始まった。Armが拠点を置く英国は2021年1月に買収に関する反トラスト調査を、11月にはセキュリティ調査も開始した。米国では、データセンターや自動車製造などの産業における競争を「阻害」するとの懸念から、FTC(連邦取引委員会)が買収を阻止すべくこのほど提訴した。また、他の規制当局が買収を阻止しなければ、中国が買収を阻止すると報じられている、とBloombergの情報筋は話す。

我々は、最新の規制当局への提出書類で詳細に述べられている見解、すなわちこの取引はArmを加速させ、競争とイノベーションを促進する機会を提供するとの見解を引き続き持っている。

Intel、Amazon、Microsoftといった企業が、規制当局にこの取引を中止させるのに十分な情報を与えたと、情報筋は話している。これら企業は以前、NVIDIA自身がArmの顧客であるため、Armの独立性を保つことができないと主張した。つまり、Armのライセンス取得者のサプライヤーと競合社の両方になる可能性もある。

このような厳しい逆風にもかかわらず、両社は依然として買収を進める姿勢にある。NVIDIAの広報担当者Bob Sherbin(ボブ・シェルビン)氏はBloombergに対し「我々は、この取引がArmを加速させ、競争とイノベーションを促進する機会を提供するという見解を引き続き持っています」と述べた。ソフトバンクの広報担当者は「当社はこの取引が承認されることを変わらず望んでいます」と声明で付け加えた。

後者のコメントにもかかわらず、ソフトバンクの一部の派閥は、特に半導体業界がこれほど熱狂していることから、買収の代替案としてArmのIPOを推進していると伝えられている。また、NVIDIAの株価が買収発表後2倍近くに上昇し、実質的な買収価格が上昇していることから、買収を継続したいとの考えも一部にはあるようだ。

最初の契約は2022年9月13日に失効するが、承認に時間がかかる場合は自動更新される。NVIDIAは、この取引は約18カ月で完了すると予想していたが、今となってはこの期限は非現実的のようだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

NIMSとソフトバンク、現行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度を大きく上回る500Wh/kg級のリチウム空気電池を開発

NIMSとソフトバンク、現行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度を大きく上回る500Wh/kg級のリチウム空気電池を開発

a:ALCA-SPRINGでの研究により開発したリチウム空気電池用独自材料。b:NIMS-SoftBank先端技術開発センターで開発したセル作製技術。c:500Wh/kg級のリチウム空気電池の室温での充放電反応を本研究で初めて実験的に確認

国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)は12月15日、現行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度(Wh/kg)を大きく上回る500Wh/kg級のリチウム空気電池を開発し、室温での充放電反応を実現したことを発表した。また、サイクル数でも世界最高レベルであることがわかった。NIMSとソフトバンク、現行のリチウムイオン電池の重量エネルギー密度を大きく上回る500Wh/kg級のリチウム空気電池を開発

リチウム空気電池は、理論上の重量エネルギー密度が現行のリチウムイオン電池の数倍という「究極の二次電池」であり、ドローンやEV、家庭用蓄電池などへの応用が期待されている。しかし現実には、セパレーターや電解液といった電池反応に直接関与しない材料が重量の多くの割合を占めるため、実際にエネルギー密度の高い電池の製作は困難だった。

そこでNIMSは、ソフトバンクと共同で、2018年に「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」を設立し、リチウム空気電池の実用化を目指した研究を続けてきた結果、独自材料の開発に成功。この材料群をリチウム空気電池のセル作製技術に適用したところ、実際にエネルギー密度の高い電池を作ることができた。

今後は、リサイクル寿命の大幅な増加をはかり、リチウム空気電池の早期実現を目指すという。

ソフトバンクにさらなる悪いニュースが、クラウレ最高執行責任者と給与をめぐる争いの報道

今に始まったことではないが、今週のソフトバンクはひどく、最悪で、良くもない、非常に悪い週を送っている。実際、同社は、大胆な賭け、社内のいざこざ、険悪なビジネス関係、あるいは瀬戸際から何度も立ち直る能力など、極端なことで知られているが、いくつかの新しい動きは、克服することが不可能ではないにしても、特に難しいと思われる。

その最たるものが、米連邦取引委員会(FTC)が米国時間12月2日に起こした、チップメーカーNVIDIA(エヌビディア)による、チップ技術のライセンス供与を行う英国企業Arm(アーム)の買収を阻止するための訴訟だ。FTCはこの買収によってNVIDIAがコンピュータ技術を過度に支配することを懸念している。

FTC競争局の局長Holly Vedova(ホリー・ベドバ)氏は、訴訟に関する声明の中で「明日の技術は、今日の競争的で最先端のチップ市場を維持することにかかっています」と述べている。「この提案された取引は、チップ市場におけるArmのインセンティブを歪め、合併会社がNVIDIAのライバルを不当に弱体化させることになります」と説明している。

ソフトバンクにとっての問題は何か。この取引が頓挫すれば、ソフトバンクにとっては数百億ドルの損失となるかもしれない。同社は、2016年7月に現在創業21年のArmを320億ドル(約3兆6200億円)で買収した後、400億ドル(約4兆5120億円)の現金と株式の取引でNVIDIAに売却した。これは思うほど良い取引ではない。NVIDIAの株価は急速に上昇し続けており、Bloombergが12月3日に指摘したように、その400億ドルの取引はその後、740億ドル(約8兆3475億円)の取引に膨れ上がっている。

ソフトバンクにとってはまったくの災難ではないかもしれない。この取引は、発表されたときから規制当局の精査を受けることが予想されていたので、ソフトバンクはすでにこの非常にありそうな可能性を織り込んでいたかもしれない。また、NVIDIAはFTCの訴訟に異議を唱えるとしている(ただし、FTCに勝てる見込みはなさそうだ)。それに、チップ関連のものはいま、すべて需要がある。

しかし、Armが他の買い手にとってどのような価値を持つかははっきりしない。一方、ソフトバンクがこの会社の株式を公開することを決めた場合、その価値はNVIDIAが支払った金額の半分近くになる可能性があるとBloombergは推定している。これは、フィラデルフィア証券取引所半導体インデックスのメンバーが現在享受している平均的な時価総額対売上高比率の9.9倍に基づいている。

その一方で、ソフトバンクは報酬をめぐって重要な幹部を失う危機に直面している。12月3日午後に掲載されたニューヨーク・タイムズの記事によると、ソフトバンク創業者兼CEOである孫正義氏の右腕だと広く信じられているソフトバンクの最高執行責任者Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏は、報酬をめぐって会社との長期戦に巻き込まれているという。

実際、タイムズ紙の取材に応じた4人の関係者によると、クラウレ氏は今後数年間で報酬20億ドル(約2256億円)という要求が通らなければ、ソフトバンクを辞める覚悟だ。ソフトバンクは、その代わりにせいぜい数千万ドル(数十億円)程度の報酬を考えているようだ。

さらなる詳細を求められたソフトバンクの広報担当者は、次のような声明を送ってきた。「ソフトバンクとマルセロ・クラウレ氏は、当社でのクラウレ氏の役割と報酬について積極的に話し合っています。マルセロはソフトバンクの重要な幹部であり、2017年の入社以来、多くの重要な取り組みをサポートしてきました。ソフトバンクはこの件についてこれ以上コメントするつもりはありません」。

ソフトバンクにとっては大きな損失となりそうだ。クラウレ氏は同社のために多くの役割を担っている。例えばAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏を追い出した後のWeWorkの暫定CEOを務め、現CEOのSandeep Mathrani(サンディープ・マトラニ)氏の採用にも貢献した。クラウレ氏はまた、多様性に焦点を当てたSoftBank Opportunity FundとSoftBank Latin America Fundという2つの組織のトップでもある。これらの組織は、最近のソフトバンクの大型投資のほとんどを担っている(TechCrunchは9月のDisruptでクラウレ氏にソフトバンクの積極的な中南米戦略について話を聞いた)。

同氏はまた、ソフトバンクから離脱する多くの人の中で最も注目される人物の1人だ。今月初め、Bloombergは、ソフトバンクの報酬に対する「風変わりな」アプローチ(同規模のライバル企業よりもはるかに少ない報酬)が、2020年3月以降の7人のマネージングパートナーの辞任につながったと指摘し、唯一のシニアマネージングパートナーであるDeep Nishar(ディープ・二シャール)氏は先週、General Catalystにマネージングディレクターとして入社することを発表した。

ソフトバンクは悪化の事態から立ち直ってきたが、現在は特に脆弱なようだ。先週、孫氏はソフトバンクグループが中国政府のハイテク産業の取り締まりで500億ドル(約5兆6400億円)超の損失を出したことを明らかにし、同社の株価は大幅に下落している。この2つの新たな、そして非常に公然とした動きによって、同社に対する投資家の信頼を高めることはより困難になりそうだ。

画像クレジット:Riccardo Savi / Stringer

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクがプライベート5G商用化のための研究施設「AI-on-5G Lab.」をNVIDIAと合同で開設

集英社がXR事業開発課を新設し「集英社 XR」開始、NianticとLightship ARDKでパートナーシップも

ソフトバンクは11月10日、5Gの仮想化無線ネットワークvRANとMECが融合した環境でAI技術などのソリューションの実証や技術応用を行う研究施設「AI-on-5G Lab.」を、NVIDIAと合同で開設すると発表した。これより、プライベート5G向けのソリューション開発や、完全仮想化されたプライベート5Gの商用化を推進するという。

vRAN(virtualized Radio Access Network)とは、モバイル機器とインターネットとをつなぐ親局の専用ハードウェアの仕事を汎用コンピューター内のソフトウェアで仮想的に行う仕組み。MEC(Multi-access Edge Computing)は、マルチアクセス・エッジコンピューティングの略で、端末の近くにサーバーを分散配置するネットワーク技法のことをいう。これらを利用することで、事業所などが独自の5Gネットワーク、つまりプライベート5Gを構築できるようになる。「AI-on-5G Labs.」は、そうしたシステムをAIで最適化・自動化し、普及を目指そうとしている。

またvRAN普及のメリットとして、通信機器を汎用サーバー上にソフトウエアで構成することによるコストダウンをはじめ、通信以外の様々なアプリケーションを構成する役割を同時に提供可能な点を挙げている。例えばプライベート5Gを導入している工場において、通信を行っていない夜間帯に、MECに集積された情報をAI学習するための資源として活用することで、工場の生産性向上を図れるという。

この研究施設では、ソフトバンクが2018年から共同研究を行ってきたNVIDIAのGPUなどのハードウェアが使われ、それを用いてvRANとMECの機能を統合し、さまざまな検証が行われる。具体的には、ソフトバンクが提供するプライベート5G上で、NVIDIAのハードウェア、基地局の仮想化、AI処理のミドルウェア、アメリカのネットワークソフトウエアプロバイダーMavenirが提供する仮想化無線信号処理ソフトウェアとコアネットワークのソフトウェア、台湾のFoxconnの物理的アンテナを用いて完全仮想化プラットフォームを構築する。これを使って、プライベート5Gのユースケースの商用化に向けた検証を行うとのことだ。

またソフトバンクは、「6Gに向けた12の挑戦」として、ベストエフォートからの脱却、モバイルのウェブ化、電波による充電などといった目標を示しているが、その中の「AIのネットワーク」の開発検証を「AI-on-5G Labs.」で行うと話している。

ソフトバンク出資のインドの格安ホテル予約サービス「Oyo」がIPO申請、最大約1290億円調達へ

Oyo(オヨ)は公開市場を探索する準備が整ったようだ。創業8年のインドの格安ホテル大手である同社はインド証券取引委員会にIPO申請の書類(PDF)を提出した。書類によると、同社は11億6000万ドル(約1290億円)の調達を模索する。

グルガーオンに本社を置くOyoは、ホテル経営者にデジタル予約・決済の導入、部屋の最適価格の決定、サードパーティ予約サービスの統合をサポートするオペレーティングシステムを提供している。同社は新規株式の発行で9億4200万ドル(約1045億円)を調達することを目指していて、残りは既存株の販売(セカンダリー取引)で調達する。

SoftBank(ソフトバンク)は1億7500万ドル(約194億円)超相当の株式を売却する計画だとOyoはIPO申請書類で説明した。同社は3億3000万ドル(約366億円)を借金返済にあてる。同社はつい最近、負債で6億6000万ドル(約732億円)を調達していた。

主な投資家にSoftBank、Airbnb、Lightspeed Venture Partners、Sequoia Capital India、Microsoftなどを持ち、直近の評価額が96億ドル(約1兆650億円)だったOyoは、個人投資家から何を得ようとしているのか詳細を明らかにしていない。しかし今週初めにTechCrunchが報じたように、わかっていることがある。OyoはIPOで評価額120億ドル(約1兆3312億円)を目指している。そして同社の若い創業者、Ritesh Agarwal(リテッシュ・アグルワール)氏は自身の持分を売却しない。

10月1日の仮目論見書提出は、近年海外マーケットでかなり野心的に事業を拡大してきたものの、そうした取り組みにブレーキをかけて方向を修正したOyoにとって大きな転換だ。

他のホスピタリティー・旅行業界の企業と同様、Oyoもパンデミックで大打撃を受けた。新型コロナウイルスの拡散を抑制しようと、一部の国はロックダウン措置を取ったため、売上高が60%減った時期もあったと同社は明らかにした。

同社の2021年3月までの会計年度の総収入は6億ドル(約665億円)で、5億2800万ドル(約585億円)の赤字だった。

ただ、同社の主要マーケットがここ数四半期に経済活動を再開したため、同社は直近の数カ月で急速な回復の兆しを見せている。仮目論見書の中で、4つのマーケット(インド、インドネシア、マレーシア、欧州)が同社の総売上高の約90%を占めると明らかにした。

Oyoはまた、このところホテルとの関係を簡素化してきた。同社は現在ホテルを所有せず、その代わり15万7000を超えるパートナーと協業し、そうしたパートナーがホテルやリゾート、住宅を運営するのをサポートしている。パートナーに最低保証も約束していない。

ソフトバンクが現在45%超の株式を保有するOyoのストーリーは、アグルワール氏がラージャスターン州でより良い教育を受けようと故郷を後にしたところから始まる。同氏は頻繁にデリーに住む友人を訪ね、友人の家や安いホテルに宿泊した。そして10代後半で通っていた学校を退学したとき、同氏は格安ホテルが毎晩部屋を埋めるのに苦労しているのに気づいた。

そしてアグルワール氏は、ホテルのリノベーションを自身にさせるようホテル経営者を説得し、将来の手数料と引き換えに企業に販促を始めた。これは同氏が過去の会話で語ったことだ。

この取引は、成功したことがすぐさま証明された。そして、マーケットで無視されてきた部門にフォーカスするために、アグルワール氏がテクノロジーを使ってサービス拡大を模索することにつながった。

Oyoのサービス

これがOyoの始まりだ。同社はすぐに成功し、PayPal共同創業者Peter Thiel(ピーター・ティール)氏の財団からの共同出資をひきつけるほど急速な成長だった。

Oyoはまず市場をリードする地位を築き、それから事業を拡大した。東南アジア、欧州、中国、米国から始めた。同社の積極的な拡大は部分的には成功で、部分的には失敗でもあった。欧州と東南アジアではいうまくいっているが、中国と北米のマーケットに参入するのは同社が思った以上に難しいことがわかった。

事業拡大の最中に、27歳のアグルワール氏は同社に7億ドル(約776億円)を投資した。同氏は、この投資に先立って、自身の持分を10%から30%に引き上げるためにRA Hospitality Holdingsという企業を通じて20億ドル(約2219億円)を使う計画だと発表した。アグルワール氏と同氏の持ち株会社のOyoの持分はいま32〜33%だと仮目論見書にはある。

Oyoのアプリは1億回超ダウンロードされ、従業員の70%がインド国内居住だと同社は仮目論見書に書いた。そして同社は、2019年12月時点で獲得可能な最大市場規模は短期滞在施設5400万軒だととらえている。

「インド、インドネシア、マレーシアでは、2018年と2019年にOYOプラットフォームに加わったホテルの2019年の業績は、同規模の他の独立経営ホテルを上回りました。OYOプラットフォームに加わってから12週間後、OYOで稼働しているホテルの2019年の売上高は、インド、インドネシア、マレーシアにおける同規模の独立経営ホテルの推定平均売上高の1.5〜1.9倍でした。欧州では、OYOで稼働している民泊施設の売上高は2019年に、個人で運営している施設の推定平均売上高の2.4倍でした」と仮目論見書にはある。

Oyoの事業についての知見が得られる2枚の興味深いスライドが仮目論見書にあった。

OYOで稼働しているホテルと比較対象の独立経営ホテルのコロナ前の平均売上高(米ドル、2019年)

Oyoはフード、小売、ホテル、旅行事業においてインドで2番目に大きいロイヤルティプログラムを展開している

この記事にはCatherine Shu氏も協力した。

画像クレジット:Akio Kon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アルファベットが気球ネット企業Loonの特許を一部ソフトバンクに譲渡、飛行データはオープンソース化

Alphabet(アルファベット)のLoonは、高高度気球を飛ばして対象地域にセルラーネットワークを提供するという、成層圏でのムーンショットだった。このプロジェクトは、気球が自律的に航行し、1つのエリアに長時間とどまることができる技術を開発するなど、多くの新境地を開拓したが、最終的には終了した。現在、AlphabetはLoonのアセットを分割しており、その多くは業界の他の企業に無料で提供されたり、重要なパートナーや戦略的投資家に引き渡されたりしている。

ソフトバンクはこのプロセスで、知的財産を手にする企業の1つとなる。日本のテレコム大手である同社は、Loonが保有する成層圏での通信、サービス、オペレーション、航空機に関する約200件の特許を取得し、自社の高高度プラットフォームステーション(HAPS)事業の開発に活用するという。ソフトバンクはかつて、Loonのパートナーとして「HAPSアライアンス」を設立し、業界の発展に貢献してきた経緯がある。ソフトバンクのHAPS事業は自律型グライダーを中心に展開していたが、通信用のペイロードをLoonの気球にも搭載できるように適応させた。ソフトバンクはLoonの投資家でもあり、2019年にはAlphabet傘下にあった同社に1億2500万ドル(約139億2000万円)を出資している。

Loonの閉鎖によって、ある種の利益を得ることになったもう1つの企業がRavenだ。Ravenはもう1つのパートナーであり、Loonが運用していた高高度気球の製造に特化した企業だ。同社は、気球の製造に特化した特許を取得する。

落雷がLoonのハードウェアに与える影響を実験室で検証(画像クレジット:Alphabet)

Loonの残りの研究内容の大部分は、成層圏の科学と産業の技術水準を向上させるために一般に公開される。Alphabetは、GPSやセンサーのデータを含む、Loonの約7000万kmの飛行データをオープンソースとして提供している。また、気球の打ち上げ、飛行中のナビゲーション、気球の管理など、270件の特許および特許出願について、権利を主張しないことを表明している。成層圏気球の専門家を目指す人々や一般大衆のために、Loonは同社の経験をまとめた本を出版した。この本は以下に埋め込まれた無料のPDFから入手できる。

このプロジェクトをICARUSと比較して論じたくなるところだが、Alphabetのムーンショットには最初から一定レベル以上の失敗の可能性が織り込まれているため、それほど適切な比較ではない。また、これらのIPやデータがすべて公開されることは、科学界にとっても非常に良い結果となるだろう。

画像クレジット:Alphabet

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

KDDIがイーロン・マスク氏率いるSpaceXのLEO衛星通信サービスStarlinkをau通信網に採用

KDDIがイーロン・マスク氏率いるSpaceXのLEO衛星通信サービスStarlinkをau通信網に採用

KDDIは、イーロン・マスク氏率いるSpaceXの地球低軌道(LEO)衛星通信サービス「Starlink」(スターリンク)を、au基地局のバックホール回線(基地局と制御局・交換局などのコア網設備を結ぶ伝送路)に利用する契約を締結したと発表しました。

この契約によって、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島嶼地域、災害対策においても、auの高速通信を提供をめざします。2022年度をめどに、全国1200か所から順次導入を開始します。

「Starlink」は、従来の静止衛星に比べて地表からの距離が65分の1と近いため、衛星から低遅延かつ高速な通信を実現するサービスです。すでに地球低軌道衛星を1500基運用しており、βユーザーは10万人を抱えています。

KDDIは、光ファイバーに接続した通常のau基地局に加え、Starlinkをバックホール回線としたau基地局を導入し、山間部や島嶼のエリアを補完することで、日本中どこでもauの高速通信を利用可能とすることを目指します。KDDIがイーロン・マスク氏率いるSpaceXのLEO衛星通信サービスStarlinkをau通信網に採用

この提供に先立ち、KDDIは総務省より実験試験局免許の交付をうけ、Starlinkの衛星通信と地上のインターネット網を接続するゲートウェイ局を山口衛星通信所に構築しました。現在、品質と性能を評価するため、SpaceXと共同で一連の技術検証を行っています。

地球低軌道(LEO)通信をめぐっては、ソフトバンクが低軌道通信衛星OneWebと成層圏にソーラー発電の電気飛行機を用いて浮かべた携帯基地局の組み合わせによって、過疎地域のエリア化を目指しています。また、楽天モバイルは低軌道衛星からスマートフォンに直接電波を飛ばすAST Space Mobileに出資し、宇宙から日本全域100%のエリアカバーの実現を目指しています。

SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」、端末出荷数が早くも10万台に到達
楽天モバイル、宇宙に携帯基地局 日本全土をエリア化する「スペースモバイル計画」22年開始めざす

(Source:KDDIEngadget日本版より転載)

ブラジルでペット用品やサービスをオンライン販売するPetloveが165億円調達、ソフトバンクも出資

サンパウロを拠点とするペット市場向け商品・サービスのデジタルプラットフォームPetlove&Co(ペットラブ・アンド・カンパニー)は現地時間8月30日、Riverwood Capitalがリードする資金調達ラウンドで約7億5000万レアル(約165億円)を調達したと発表した。

このラウンドは、Petloveがこれまでに調達した金額の約2倍に相当する。同社は、インターネット黎明期である1999年に創業した際、PetSuperMarketとしてスタートした。現在では、ペット用品やサービスを幅広く提供するオンラインストアの運営を続けている。

Crunchbaseによると、今回の資金調達ラウンドには、Tarpon、SoftBank(ソフトバンク)、L Catterton、Porto Seguro、Monasheesも参加した。同社の調達総額は2億2580万ドル(約248億円)となった。2020年1月以降だけでも、Petloveは1億9200万ドル(約211億円)以上を調達した。同社は最新のラウンドで、どの程度のバリュエーションで資金を調達したのか明らかにしていない。だが、全体として2020年の売上は前年比65%増だったとしている。

PetloveのCEOであるTalita Lacerda(タリタ・ラセルダ)氏は、今回の新たな資本を、配送能力強化を目的とした物流ネットワークのさらなる拡大に一部使用すると述べている。特に、注文から4時間以内に商品を届けることができるエクスプレスデリバリーサービス「Petlove Já」を他の地域にも拡大する予定だ。このサービスは現在、サンパウロやベロオリゾンテなど、ブラジルの一部の都市でのみ提供されている。

今回の資金調達は、サブスクリプションプログラムの拡大にも充てられる。これはブラジル初の試みであり、同社の主力サービスの1つだとラセルダ氏は話す。同氏によると、パンデミックの際には、このサービスが「大幅に成長」し、同社の取扱量の75%に達したという。

「ブラジルのペット市場は世界最大級であり、同国の消費者は、高いレベルで顧客中心主義を実行するデジタルネイティブな製品やサービスをますます求めるようになっています」とRiverwood Capitalの共同創業設立パートナー兼マネージングパートナーであるFrancisco Alvarez-Demalde(フランシスコ・アルバレス・デマルデ)は書面で述べた。

同社は、最近のDogHeroとの統合、VetusとVetSmartの買収、Porto.Petの立ち上げなどを経て、進化・成長してきた。

「当社は、この急速に拡大する市場において、すべてのステークホルダーのニーズを満たすために、ますます包括的で包摂的なプラットフォームを構築しました」とラセルダ氏はいう。

Petloveによると、ブラジルは総消費額で世界第4位のペット市場だという。Instituto Pet Brasilによると、ブラジルのペット市場の総売上高は2020年に400億レアル(約7700億円)を突破し、前年比13.5%増となったが、Petloveは65%増を達成した。同国のペット所有率は全体的に高く、米国では50%がペットを所有しているのに対し、ブラジルでは60%だ。

PitchBookによると、Petloveは400人以上の従業員を抱えている。

SoftBank Latin America Fundのブラジル担当兼オペレーティング・パートナーであるAlex Szapiro(アレックス・サピロ)氏は、Petloveが「ラテンアメリカ最大のエコシステムの形成」に貢献したことを「このセグメント、そして小売業全体において、最も並外れたものの1つ」と評した。

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画像クレジット:Petlove

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

ソフトバンクG孫社長が中国への投資は「しばらく様子見」、IT大手締め付けに「いずれバランスを取り戻すと信じている」

AI革命を掲げ、多くの中国ハイテク企業に投資しているソフトバンクグループの孫正義社長は8月10日の決算会見で、中国当局のIT大手締め付けについて『長い目でみれば、どこかでもう一度バランスを取り直すと私は信じている』とコメントしました。

孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

時価純資産におけるアリババの割合はビジョンファンドの伸長で低下していると説明

また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

Engadget日本版より転載)

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タグ:Alibaba / アリババ(企業)Ant Group(企業)ソフトバンク / SoftBank(企業)ソフトバンク・ビジョン・ファンド / SoftBank Vision Fund(企業)Tencent / テンセント(企業)Didi Chuxing / 滴滴出行(企業)Baidu / 百度(企業)Meituan / メイトゥアン(企業)中国(国・地域)日本(国・地域)

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孫社長は『6月末を過ぎたあたりで、中国の問題が出てきました。DiDiが上場した直後や、フルトラックアライアンスも上場直後でしたね。その後、アリババもテンセントもバイドゥもメイトゥアンも、中国のハイテク株は今受難のときであります。しかし、長い目で見ればですね、業績は伸び続けているわけですから、もう一度バランスを取り直して、株価も持ち直すと私は信じております』とコメント。

また『世界のAI技術の革新の中心は2つあって、米国と中国であると思っています。ですから、今後とも中国におけるAI技術そしてビジネスモデルの革新はどんどんと続いていくんだろうと強く信じております』と述べました。

一方で投資活動については『新たなさまざまな規制等がはじまっておりますので、どのような規制がどのような範囲で行われるのか、そしてそれが株式市場にどのような影響を与えるのかを、もう少し様子を見てみたい』とし、中国企業への投資は当面見合わせる方針を示しました。

加えて『我々が中国政府の動きに反対しているとか、そういうことは全く考えてませんし、中国の将来性について疑念を抱いているかというと、それも全く違います。ただ、新たな規制、新たなルールが今はじまろうとしているばかりですから、もう少し様子が固まるまで、我々としては様子を見てみたいと。おそらく1年2年すれば、新たなルールのもと、新たな秩序がもう一度しっかり構築されると私は信じておりますので、その状況がはっきりしてくれば、中国での投資活動を活発に行うということは十分に可能性としてはありますが、ここしばらくは様子を見てみたいということです』とも付け加えました。

また、ソフトバンクグループの時価純資産(NAV)の多くを占めるアリババについては『依然として売上1.3倍増くらいが続いていますし、直近もそれが衰えずに伸びておりますので、アリババの株価もいずれ回復すると私は信じております』と述べた一方、「直近ではNAVに占めるアリババ株の割合はソフトバンク・ビジョンファンドを下回っている」とも述べ、アリババ一本足打法とみなされる状況を脱却しつつあるとも強調しました。

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また、ビジョンファンドにおける中国企業への依存度については、ビジョンファンド1・2のトータルでは『2021年7月末の時価ベースで23%』としたものの、2021年4月以降の新規投資では11%に留まっていることも明かしました。

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