Waymoが無人ロボタクシーサービスをサンフランシスコの従業員に提供

Alphabet(アルファベット)の自動運転部門のWaymo(ウェイモ)は米国時間3月30日、サンフランシスコの従業員に完全自律走行車による乗車の提供を開始したと発表した。

Waymoは、プレシディオからキャンドルスティックポイントの最奥部まで広がる「サンフランシスコの初期サービス領域」内で、乗客だけが乗り込む運行を開始し、そこから徐々に拡大していく予定だ。

このニュースの約1カ月前には、同社はカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から許可を取得後、人間のオペレーターを乗せたロボタクシーの乗車でベイエリアの住民に課金し始めると発表した。また、8月にはWaymoのTrusted Testerプログラムが始まった。このプログラムでは、サンフランシスコの人々が登録して、やはり人間のオペレーターを乗せたWaymo Driver搭載の全電動自動車ジャガーIペースを無料で呼び出すことができるようになった。

サンフランシスコは、Waymoとその最大のライバルであるGM(ゼネラルモーターズ)の自動運転子会社Cruise(クルーズ)との間で、ある種の戦場と化している。Cruiseは2022年2月上旬、自社の完全自律走行の配車サービスの一般提供を開始したが、乗車料金を徴収するためには、まだCPUCの許可を得る必要がある。Waymoは、最終的にドライバーレス乗車で課金するための許可をすでに申請しているかどうかについては明らかにしなかった。

ただし、アリゾナ州フェニックスでは、CruiseはWalmart(ウォルマート)と共同で自律走行配送の試験運用を行っている。最近その試験運用は拡大されたものの、Waymoはロボタクシーの優位性を確立している。同社は2016年からフェニックスでテストを行っており、2020年にはそこで完全自律走行の公共配車サービスを導入した。サービスを通じて毎週数百回の乗車を提供している。

Waymoは2022年3月30日、フェニックスでのルーツを深め、Waymo Driverが最近自律走行距離50万マイル(約80万キロメートル)を達成したイーストバレーからダウンタウンに拡大することも明らかにした。これまでと同様、同社は自律走行スペシャリストを運転席に乗せての乗車をまず自社従業員に提供し、その後、同社のTrusted Testerプログラムを通じて一般の人々にもサービスを開放する予定だ。

Waymoの共同CEOであるDmitri Dolgov(ドミトリ・ドルゴフ)氏は声明で「安全で堅牢、かつ汎用性のある自律走行ドライバー、すなわちWaymo Driverを構築し、その能力と性能を地域や製品ラインの間でうまく移行させることに我々は注力しています」と述べた。「これまでの経験から、第5世代Driverをサンフランシスコですばやく、そして自信を持って展開することができたのと同じように、サンフランシスコとフェニックスのイーストバレーでの経験の組み合わせは、何百万マイルの実走行に基づき、何十億マイルのシミュレーション走行によって後押しされ、すでにフェニックスのダウンタウンでの当社の進歩を導き、完全自律配車サービスの将来の拡張のための準備となっています」。

Waymoは、現時点ではサンフランシスコとフェニックスでの保有車両数は共有しないと述べた。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMが自動運転の子会社「Cruise」のソフトバンク株を買い取りへ

General Motorsが、自動運転技術の子会社であるCruiseの持ち株を増やそうとしている。

米国時間3月18日の夜、同社は、Softbank Vision Fund 1のCruiseの持ち株を21億ドル(約2500億円)で取得すると発表した。またGMは、同ファンドが以前2018年に行ったコミットメントに代わり、Cruiseに対して13億5000万ドル(約1610億円)の追加投資を行う。

この発表の6週間前にCruiseは、一定の制約のある自動運転のロボタクシーサービスをサンフランシスコの公道で開始した。それはSoftbankにとっては、以前の13億5000万ドルの追加投資の約束を実行に移すすべきタイミングだった。

なぜ今、ソフトバンクが売却に踏み切ったのか、その理由は明らかではない。GMの広報担当者は、同社の出資比率が高まることで、クルーズの株主構成がシンプルなものになるだけでなく、GMとクルーズがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すために最も価値のある道を追求するための最大限の柔軟性を提供することができると述べている。

GMのCEOで会長のMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、これにより株主の価値が増大するという。

「GMがバランスシートの強みを生かし、Cruiseへの出資を増やし、当社の統合的な自律走行車戦略を推進する機会を得たことを発表できることを非常にうれしく思います。私たちの投資は、長期的な株主価値を創造するための特別な機会であると引き続き信じています」とバーラ氏は声明で述べた。「私たちの投資ポジションの拡大は、Cruiseの株主構成を簡素化するだけでなく、GMとCruiseがAV技術の商業化と潜在能力を最大限に引き出すための最も価値ある道を追求するための最大の柔軟性を提供します」。

GMの出資比率が高まることで、同社がCruiseをスピンオフさせたり、株式公開に踏み切ったりするといった可能性もある。GMは、短期的な計画としてIPOがあるかどうかについては明言しなかった。しかし同社の広報担当者は、GMが前進する際には「株主のために価値を創造するあらゆる機会を検討する」という。GMは、将来におけるCruiseのIPOを否定していないと広報担当者は付け加えた。

CruiseのCEOであるKyle Vogt(カイル・フォークト)氏の発表によると、GMの投資の増加に加えて、同社は反復性のある流動化機会プログラムをローンチした。それは、人材獲得および引き止めるための「目の前の人参」の1つだ。フォークト氏によると、このプログラムは従業員に流動性を与え、同社の上場に際してはIPOに参加しなくても株価上昇による利益が得られるようにするというものだ。

このプログラムでは、現在と過去の社員が権利の確定した株式の任意の量を、各四半期に売ることができる。フォークト氏によると、買うのはGMまたはその他で、その価値はサードパーティーの金融企業が会社の業績や財務予測、マーケットの条件、関連する取引や資金調達案件、そしてマーケットにおける他社との比較などによって決まる。

「私たちの技術のデプロイとスケールが順調であれば、従業員持ち株の価値は上がるはずだ」とプログラムを発表するブログ記事でフォークト氏で述べている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Cruiseとウォルマート、自動運転車による配送の試験地域拡大を計画中

GM(ゼネラルモーターズ)の子会社で自動運転車の開発を手がけるCruise(クルーズ)は、アリゾナ州でWalmart(ウォルマート)と共同で行っている自動運転配送の実証実験を拡大する計画を持っていることを、同社の政府関係担当シニアマネージャーが最近行われた州議会議員との公開ミーティングで明らかにした。

Cruiseは現在、カリフォルニア州における商用ロボットタクシーの試験的運用と、最終的にはサービス開始に向けて、力を入れているところだ。しかし、一方で同社は、ウォルマートとの限定的な実証実験プログラムの一環として、アリゾナ州で電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の自動運転車を数台運用している。

現在、この自動運転配送の実証実験は、スコッツデール近郊のソルトリバー・ピマ・マリコパ・インディアン・コミュニティの敷地内にあるウォルマートの1店舗のみで行われており、これらの自動運転走行車には、すべて安全のために人間のオペレーターが乗車している。Cruiseのシニア・ガバメント・マネージャーを務めるCarter Stern(カーター・スターン)氏は、今月初めに開催されたアリゾナ州上院交通委員会で、同社が2022年内に最大で8カ所のウォルマート店舗に拡大することを計画していると語った。

画像クレジット:Walmart

「まずはアリゾナで引き続き成長を見届けた後、国内の他の地域にも拡大していきます」と、スターン氏は、プログラム拡大の意思を語った。Cruiseはアリゾナ州で100人以上の従業員を雇用しており、その中には同社の自動運転車をグローバルで監視するチームも含まれている。このグループが増員されることになる見込みだが、スターン氏は、いつ、どのくらい雇用を拡大するかという数字やスケジュールについては、明らかにしなかった。

スターン氏が提供したこのコメントからは、Cruiseのアリゾナ州における活動と、今のところ同社の唯一の収入源であるウォルマートとの試験運用契約について、貴重な洞察を得ることができる。

Cruiseはサンフランシスコで自動運転車の運用を展開しているものの、カリフォルニア州公益事業委員会から適切な許可を得られていないため、今のところ同州で送迎サービス(あるいは配送でも)の料金を請求することはできない。なお、Cruiseは現在、San Francisco Marin Food Bank(サンフランシスコ・マリン・フード・バンク)とSF New Deal(SFニューディール)と提携し、無料の配送サービスを提供している。同社はTechCrunchに、これまでに11万3000件の配達を完了したと述べている。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行と課金に必要な許可のほぼすべてを取得している。同社はカリフォルニア州自動車局から「運転手付き」および「運転手なし」の自動運転車を試験・展開するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人を乗せることができるものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可も申請しているのだが、まだその許可は受けていない。

今月初め、Cruiseはサンフランシスコで無人ロボットタクシーのサービスを一般公開した。今のところ、このサービスは無料で、一般からの予約申込みをCruiseのウェブサイトを通して受け付けている。同社は以前、一般の申込者がサービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。

Cruiseの無人運転サービスは、当初は午後11時から午前5時まで利用可能となっている。Cruiseはシボレー・ボルトの自動運転車をサンフランシスコの至る所でテストしているが、無人運転の乗車サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定されている。

画像クレジット:Walmart

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

CruiseとWaymoを追う中国の自律走行車企業AutoXがサンフランシスコでテスト開始へ

米国とお膝元の中国の両方で事業展開する自律走行車企業AutoX(オートエックス)は、最大のライバル企業が商用化に向け忍び寄っているサンフランシスコに進出する。

2016年からサンノゼ広域圏で車両のテストを行ってきたAutoXは、ロボタクシー事業を開始し、サンフランシスコにオペレーションセンターを建設する計画を明らかにした。このセンターでは、車両のハウジング、メンテナンス、充電のほか、車両が現地で収集したデータの処理、センサーのキャリブレーションなどを行う予定だ。Professor Xとも呼ばれる、AutoXのCEOであるJianxiong Xiao(ジアンション・シャオ)博士によると、同社はサンフランシスコのローカルチームを構築するために採用を行っているとのことだ。

AutoXはまず、同社の最新の第5世代AVプラットフォームと冗長ドライブバイワイヤシステムを搭載したハイブリッド車のFiat Chrysler Pacifica(フィアット・クライスラー・パシフィカ)を用いて、人間の安全オペレーターが運転席に乗り込んでのテストを始める予定だ。同社はすでに、カリフォルニア州自動車局(DMV)から、人間の安全オペレーターが乗り込んでの試験が可能な「ドライバー付き試験許可証」と、人間の安全オペレーターなしで試験が可能な「ドライバーレス試験許可証」の両方を取得している。しかし、AutoXのドライバーレス試験許可は第3世代の車両に対するものであり、またエリアがサンノゼに厳しく限定されているため、同社はサンフランシスコの最新システムを使ったドライバーレス試験も行うために、DMVにその許可の拡大をリクエストする必要がある。

Dongfeng Motor(東風汽車)の支援を受けているAutoXは、サンフランシスコでのテストのためにいつドライバーなしにする予定かは明言しなかったが、サンノゼでのドライバーレステストは継続すると述べた。

AutoXは、Cruise(クルーズ)やWaymo(ウェイモ)といった企業が実際に商業運転を開始している中で、サンフランシスコに進出する。Cruise、WaymoどちらもDMVから車両配備の許可を得ており、自律走行車を使った運行で課金することができる。Cruiseはまだ、ロボットタクシーサービスの料金を請求する前に、カリフォルニア州公益事業委員会から最終的な許可を得る必要があるが、General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下の同社は、ドライバーレスの配車サービスを一般向けに開始する際に、投資家のソフトバンクから13億5000万ドル(約1564億円)を追加で調達したばかりだ。

DMVが2日に発表した年次離脱報告書によると、Waymoは2021年にカリフォルニア州の公道で230万マイル(約370万キロメートル)の自律走行を行っており、これは競合他社を大きく上回っている。そして、Cruiseが人間のセーフティドライバーの有無にかかわらず、約90万マイル(約144万キロメートル)を走行して2位だった。

同データによると、安全オペレーター付きで約5万マイル(約8万キロメートル)しか走行していないAutoXは、自社車両のドライバーレステストを一切報告していない。とはいえ、AV開発企業は、プライベートコースやクローズドコースで行ったテストを報告する必要はない。

AutoXはカリフォルニア州に車両44台を保有しているとのことだ。DMVのデータによると、2021年にAutoXの自律走行テストに使用されたのは全車両のうちわずか6台だった。同社は、新型コロナウイルス感染症の影響でテストの規模を縮小したことが原因だとしているが、2022年は再び強化する。

また、AutoXは中国でも大規模な事業拡大を図っており、1000台のロボタクシーを広州、上海、北京、深センの各都市に配備しているという。同社はロボタクシーの乗車回数は公表していない。

AutoXは、計算プラットフォームや各種センサーを含むフルスタックハードウェアの自社開発能力を頻繁にアピールしている。このような技術の開発に加え、サンフランシスコでの事業拡大や中国でのロボタクシーの増車などを考えると、相当な額の資金が必要になる。

同社が最後に公に発表した資金調達は2019年のシリーズAで、この投資によりAutoXの総調達額は1億6000万ドル(約185億円)となった。参考までに、AutoXの中国における競合他社のほぼすべてが2021年に資金調達を行っている。Momenta(モメンタ)は12億ドル(約1390億円)、Pony.ai(ポニーエーアイ)は11億ドル(約1274億円)を調達し、WeRide(ウィーライド)は5カ月の間に6億ドル(695億円)超を、比較的若い企業のDeeproute.ai(ディープルートエーアイ)は2021年9月時点で3億5千万ドル(約405億円)を調達している。

AutoXがなぜ少ない資金でこれだけの事業を行えるのかという疑問に対して、シャオ氏はTechCrunchに、確かに今後数カ月のうちに資金を調達しようとしているが、これまでの投資家からの支援に加え、ロボタクシーサービスに対する中国の巨大市場に頼っていると語った。

画像クレジット:AutoX

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

GMの子会社で自動運転技術を手がけるCruise(クルーズ)は、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)から13億5000万ドル(約1546億円)の新たな投資を受け、商用化に向けてさらなる一歩を踏み出す。同社は米国時間2月1日、無人運転のロボタクシーサービスを、サンフランシスコの公道で一般向けに公開すると発表した。

ソフトバンクは以前、Cruiseが商業的に展開する準備を整えた時点で、当初の9億ドル(約103億円)に加えて13億5000万ドルを追加投資すると約束していた。

Cruiseは公式ウェブサイトを通じて一般からの乗車申し込みを受け付けている。今のところ、乗車料金は無料だ。同社は2月1日のブログ記事で、予約申し込みに参加した一般の人々は、サービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。同社の広報担当者によると、1月27日に乗車を終えた友人や家族の少人数グループがいたが、彼らは今朝まで秘密保持契約の下にあったという。

Cruiseの広報担当者によると、無人運転サービスは当初、午後11時から午前5時までとなっているという。夜間の運転は、最もインパクトを与えられる場所から始めて、そこから計画的に拡大していくという戦略の一環であるとのことだ。Cruiseは「Chevy Bolt (シボレー・ボルト)」の自動運転車をサンフランシスコ市内で走らせてテストする。ただし、この無人運転サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定される。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行および課金に必要な許可をほぼすべて取得している。カリフォルニア州自動車局からは、運転手付き車両と運転手なしの車両をテストおよび運用するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人の乗車を許可するものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可証も申請しているが、こちらの許可はまだ取得できていない。

画像クレジット:Screenshot

この数週間、Cruiseの従業員が、安全のための人間の運転手が乗車していない無人運転車に乗っている様子を撮影した動画を投稿している。GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、最近になって乗車した。

同社では、社員が一般の人を指名できるようにしており、すでに何人かの人が乗車しているという。Cruiseはこのプログラムを「Cruise Rider Community(クルーズ・ライダー・コミュニティ)」プログラムと名付けている。社員から指名された人や、乗車予約を申し込んだ人は、最初の一般乗客となるパイプラインに組み込まれるという。

Cruiseは、Dan Ammann(ダン・アマン)CEOの突然の退任を受けて、このサービスの一般公開に踏み切った。同社の共同設立者であるKyle Vogt(カイル・ヴォクト)氏が、現在はCTOと同時に暫定CEOを務めている。

画像クレジット:Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMは2020年代半ばまでに自律走行車の個人向け販売を目指す

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は「2020年の中盤」までに個人向けの自律走行車を販売すると、同社のMary Barra(メアリー・バーラ)CEO兼会長は米国時間1月5日に行われたCES 2022の基調講演で述べた。

同社は、自動運転子会社Cruiseが最初にロボットタクシーサービスを開始することを期待しているが、バーラ氏は個人向けAVも追求していると述べている。

「私たちは今後、消費者が期待する安全性と品質、そして複数の道を同時に追求することで、現在のオーナーシップ体験を変える最先端の自動運転車技術を使って、完全自動運転車技術を個人の移動手段にまで広げる機会を探しています。GMとCruiseは、重要な技術的専門知識と経験を獲得しており、個人向け自律走行車の小売販売で市場最速になるよう取り組んでいます。実際、私たちは2020年代半ばまでに、初のパーソナルな自律走行車を提供を目指しています」。

バーラ氏が個人向けAVの目標に言及したのは、これが初めてではない。バーラ氏は2021年5月の決算説明会で、自動運転子会社Cruiseの技術を活用して、個人向けAVを販売するアイデアを探っていることを初めて明らかにしている。

GMが支配的な株式を保有するCruiseは、密集した都市部で動作し、人や荷物の可能性が高いシャトルバスになる共有の電気自律走行車に取り組んでいる。同社は、サンフランシスコの公道でその技術をテストし、2021年末には従業員にドライバーレス(つまり人間なし)の乗り物を呼べるようにした。このサービスは、まだ一般には公開されていない。

どのような車両が自律走行するのか、さらにはGMが自律走行をどのように定義しているのか、そしてCruiseがこの取り組みにまだ関与しているかどうかは、正確にはわかっていない。Cruiseは、商業用ロボットタクシー事業を立ち上げようとする一方で、独自の経営陣の激変を経ている。

2021年12月、CruiseのCEOだったDan Ammann(ダン・アマン)氏が突然会社を去り、内部関係者は彼を追い出したと主張している。自律走行車の共同設立者で、同社の初代CEOだったKyle Vogt(カイル・フォークト)氏が暫定的にその役割を引き継いでいる。フォークト氏はCruiseの社長兼CTOを務めてきた。GMによると、Northrop Grummanの元会長兼CEOでGMの取締役を務めたWesley Bush(ウェスレイ・ブッシュ)氏がCruiseの取締役に就任するという。

詳細はわかっていないが、重要なピースが1つ明らかになった。バーラ氏はそのタイムラインを設定された。

画像クレジット:スクリーンショット

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Katsuyuki Yasui)

GMの自動運転部門Cruiseがロボタクシーを「どのように」実現するのかを発表

米国時間11月4日の夜、Cruise(クルーズ)の自律走行技術の詳細について語ったエンジニアたちがTesla(テスラ)の名前を口にすることはなかった。あるいはそうする必要もなく、明確なメッセージが伝えられたのだ。

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転部門であるCruiseが、極めて詳細な技術および展開ロードマップを発表した。これは高度な運転支援システムを搭載した車両を含め、人間が運転するどんな車両よりも安全で拡張性の高い自律走行車を同社がいかにして構築してきたかを誇示することを目的としたものである。

イベントでCruiseが自社の技術をアピールしていたのはもちろんだが(当然のことながら才能ある人材のリクルートのためでもある)、同時にこのイベントは自律走行車全般についての議論の場ともなっていた。木曜日に登壇したエンジニアやプロダクトリーダーらは、シミュレーションの利用方法や独自のチップなどのハードウェア開発、アプリや車両の設計などさまざまな要素を紹介してくれた。

「Under the Hood」とブランディングされたこのイベントは、2021年10月に開催されたGMの投資家向け説明会でCEOのDan Ammann(ダン・アマン)氏が、Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)の改良版を皮切りに、数年後には各目的に合わせた自律走行車Origin(オリジン)を何万台も展開して、商用のロボットタクシーや配送サービスを開始する計画を明らかにしたことを受けて開催されたものである。

Cruiseはカリフォルニア州で商業配送サービスの認可を取得したばかりで、さらにドライバーレスのライドヘイリングとして課金できるようになるにはまだもう1つ別の許可が必要だ。それでもCruiseはコストを十分に削減して、迅速にスケールアップしていくことができると考えている。

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その方法は以下のとおりだ。

システムの検証だけではなく、スケールアップのためにシミュレーションを利用する

Cruiseはシミュレーションを多用しており、それは安全性を証明するためだけでなく新しい都市で何百万マイルものテストを行うことなくスケールアップするためでもある。

同社は進出する都市の地図を作成する必要はあるものの、車線変更や道路閉鎖など、必然的に起こる環境の変化に合わせて都市を再マッピングする必要はない。Cruiseが新しい都市に進出する際には、まずWorldGenと呼ばれる技術を使用する。これは「予測できないような道から細部に至るまで」都市全体を正確かつ大規模に生成するもので、これによりエンジニアが新しいオペレーションデザインの領域を試すことができるのだと、Cruiseのシミュレーション部門の技術戦略リーダーであるSid Gandhi(シド・ガンジー)氏は話している。つまりWorldGenは未来のシミュレーションが行われる舞台となるものなのである。

最適な環境を作り上げるため、Cruiseは24の異なる時間帯の明るさや天候などを考慮し、さらにはサンフランシスコに設置されたあらゆる街灯の光を体系的に測定した。

「高忠実度の環境とプロシージャルに生成された都市を組み合わせることで、新しい都市に向けて効率的にビジネスを拡大することができます」とガンジー氏は話す。

そして次に同氏は道路上で自律走行車が収集した実際の事象を、編集可能なシミュレーションシナリオに変換する「Road to Sim」の技術を紹介した。これにより、すでに見たシナリオと比較してテストすることで自律走行車が逆行しないようにするという仕組みである。

「Road to Simでは、知覚から得られる情報と、何百万マイルもの実走行から得られたヒューリスティックな情報を組み合わせて道路データから完全なシミュレーション環境を再現します。シミュレーションができたら、実際にイベントのバリエーションを作成し、車両や歩行者のタイプなどの属性を変更することができます。これは、AV開発を加速させるテストスイートを構築するための、非常に簡単で非常に強力な方法です」。

Cruiseが実際の道路状況で収集できていない特定のシナリオのためにはMorpheusがある。Morpheusは地図上の特定の場所に基づいてシミュレーションを生成できるシステムで、機械学習を利用して必要なだけパラメータを自動入力し、何千もの特殊なシナリオを生成してそれに対して自律走行車をテストするというものである。

「特殊な状況の解決に向けての実地テストは減少傾向にあります。なぜなら滅多に起こらないイベントを適切にテストするために何千キロもの距離を走らなければならず、拡張性に欠けるからです。そのため私たちは、大規模なパラメータ空間をスケーラブルに探索してテストシナリオを生成する技術を開発しているのです」。

テストシナリオには、他の道路利用者が自律走行車に反応する様子のシミュレーションも含まれている。Cruiseのこのシステムはノンプレイヤーキャラクター(NPC)AIと呼ばれており、これは通常ビデオゲーム用語なのだが、この文脈では複雑なマルチエージェントの行動を表現するシーン内すべての車や歩行者を指している。

「Morpheus、Road to Sim、NPC AIの3つの機能が連携することで、まれに発生する困難な事象に対してより確実なテストを行うことができるようになりました。これにより、現在ある特殊な問題を解決できるだけでなく、将来の類似した問題も解決できるという確信を得ることができました」。

ガンジー氏は、合成データを生成することで、Cruise の自律走行車が特定のユースケースをターゲットできるようになると述べ、特に緊急車両の識別や相互作用について言及した。これは、ADAS(先進運転支援システム)のAutopilotが緊急車両との衝突を繰り返しているとして連邦政府の監視下に置かれているTeslaを意識したものに違いない。

「緊急車両は他の種類の車両に比べて稀ですが、極めて高い精度で検出できる必要があるため、当社のデータ生成パイプラインを使用して救急車、消防車、パトカーのシミュレーション画像を数百万枚作成しています。我々の経験では、ターゲティングした合成データは道路データを収集する場合よりも約180倍速く、数百万ドル(数億円)も安くなります。また、合成データと実データを適切に組み合わせることで、データセット内の関連データを1桁以上増やすことができます」とガンジー氏は説明している。

自社開発の2つのカスタムシリコンチップ

10月に開催されたGMの投資家説明会にて、CruiseのCEOであるアマン氏は、Originの計算能力に多額の投資を行い、今後4世代にわたってコストを90%削減し、利益を上げられるようにするという計画を説明した。その際アマン氏は、コスト削減のためにカスタムシリコンを自社で製造するという意向には触れたものの、そのシリコンを使ってチップを製造するということについては表明していない(TechCrunchは予測していたのが)。しかし11月4日、OriginプログラムのチーフエンジニアであるRajat Basu(ラジャット・バス)氏はこの説を実証してくれた。

「当社の第4世代コンピュートプラットフォームは、社内で開発したカスタムシリコンをベースとする予定です。これは当社のアプリケーションに合わせて作られたもので、フォーカスを可能にして処理能力を向上させるとともに、ピースコストと消費電力を大幅に削減しています。コンピュートは安全性の観点からも重要なシステムであり、冗長性が組み込まれています。それに加えて毎秒10ギガビットのデータを処理するAVシステムでは、かなりの電力を消費することになります。当社のMLHチップを使うことで複雑な機械学習パイプラインをより集中的に実行することができ、それにより性能を落とさずにエネルギー効率を上げることができます」とバス氏は説明している。

CruiseのAIチームは2つのチップを開発している。センサー処理チップは、カメラ、レーダー、音響などの各種センサーのエッジ処理を行うもので、2つ目のチップは、ニューラルネットワーク専用のプロセッサーとして設計されており、AIチームが開発した大規模なマルチタスクモデルのような機械学習アプリケーションをサポートし、加速するものである。バス氏によれば、この機械学習加速装置(MLA)チップは、特定のクラスのニューラルネットやMLアプリケーションを解決するのにまさに適したサイズであるという。

「これによりパフォーマンスを極めて高いレベルで維持することができ、当社にとって付加価値のないことをするためにエネルギーを浪費しないようにしています。複数の外部ホストと組み合わせることも、スタンドアロンで動作させることも可能で、最大25Gまでのシングルイーサネットネットワークをサポートし、総帯域幅は400Gに達します。今回量産を開始するMLAチップはほんの始まりに過ぎません。今後時間をかけて消費電力を抑えながら、さらなる高性能化を進めて参ります」。

Cruiseのエコシステム

今回のイベントでCruiseが明らかにしたのは、成功裏にスケールアップするために必要な自律走行車技術だけでなく、未知のシナリオに遭遇したときの自律走行車の判断を検証するリモートアシスタンスオペレーターやカスタマーサービスの他、人々が実際に乗ってみたいと思う車両、カスタマーサポートや事故対応などを効率的かつ容易に処理できるアプリなど、エコシステム全体を考えているということである。

Cruiseのプロダクト担当副社長であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏は同イベントで次のように述べている。「研究開発を愛される製品へと進化させるためには、人工知能やロボット技術以上のものが必要です。安全な自動運転車というだけでは不十分であり、これは長い道のりの最初の一歩に過ぎません。何百万人もの人々の日常生活に取り入れられるような競争力のある製品を構築し、拡張するためには、安全な自動運転という基盤の上に多数の差別化された機能やツールを構築する必要があります。こういった機能をどのように実装すべきかは、特に安全性の問題にまだ頭を悩ませている企業にとっては明白ではないでしょう」。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

Cruiseがサンフランシスコで無人運転ロボットタクシーサービスを開始

ゼネラルモーターズの自動運転子会社であるCruise(クルーズ)の従業員は、これからサンフランシスコで運行される人間の運転手が同乗しない自動運転車の初めての乗客になる。一部の一般客も乗ることができるが、運賃はかからない。

Cruiseの共同創業者であり、CTOかつ社長のKyle Vogt(カイル・ボークト)氏は、ドライバーレス自動運転車(AV)に初めて乗車した様子をTwitterで紹介している。

ボークト氏は「月曜日の夜11時頃、私たちは初めて中に誰も同乗していない状態でAVを発車させました」とツイートしている。「これまでは、人間が運転席や助手席に座って実験していたので、これは初めての試みでした。街中を巡航しながら、乗車リクエストを待つようになります。午後11時20分、私はCruiseのアプリを使って、最初の乗車を行うタクシーを呼び出しました。数分後、(「サワードウ」という名前がついている)Cruise AVの1台が私の目の前にきて停車した。車内には誰もいなかった。”start ride”(走り出す)ボタンを押すと、AVはスムーズに車線に入っていきました」。

ボークト氏はその夜、さらに5回乗車リクエストを行ったという。Cruiseがカリフォルニア州自動車局から取得した「ドライバーレス運行許可証」の規定によれば、午後10時から午前6時までの間、最高時速30マイルでしかドライバーレス運行ができないため、乗車は夜間にならざるを得なかったのだ。クルーズは10月初旬にこの許可を取得したが、これにより、人間が乗っていない車両の運行が可能となり、配達サービスに対して料金を請求することができるようになったが、乗客を乗せるタクシーサービスには課金することができない。

Cruiseが人間を同乗させない今回の最初の運行を始めたのは、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏が、Cruiseが2022年までにドライバーレスのタクシーサービスや商用配送運転を開始することをGMは確信していると述べてから約1週間後のことだった。Cruiseは、ロボットタクシーサービスに課金するために必要な、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)からの最終的な許可への申請をまだ行っていない。それまでは、サワードウをはじめとする人間の同乗しないAVに乗ることができるのは、Cruiseの社員と無料乗車の一般市民だけだ。

Cruiseは、特定の一般人も乗れることを認めているが、誰が乗れる資格があるのかは明らかにしていない。またCruiseは、このドライバーレスサービスをまだ一般人には公開していない。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

CruiseとWaymoがサンフランシスコでのロボタクシーサービス開始の許可を得る

カリフォルニア州自動車局が、General MotorsのEV/AV部門であるCruiseと、Alphabet傘下のWaymoに、有料で展開される自動運転サービスの認可を発行した。

米国時間9月30日にCruiseは「driverless deployment permit(ドライバーレス展開許可証)」を受け取った。これは、フロントシートに安全ドライバーがいない状態で提供されるサービスで料金を受け取ってもよい、というものだ。Waymoの「drivered deployment permit(運転者同席許可証)」は、自動運転の間に関しても課金してよいが、ただし前席に運転者が必要だという意味だ。どちらも理論的には自動運転のデリバリーサービスに課金できるが、ロボットタクシーサービスの課金許可には一歩遠い。その最後のハードルは、カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission、 CPUC)の許可が必要だが、サンフランシスコにおける商用ライドシェアの立ち上げ日限についてはWaymoもCruiseも明言していない。

カリフォルニアの路上で自動運転車をビジネスにしようとしているのは、彼らだけでなない。2020年の12月には、州の公道上での商用の自動運転サービスに関して、自動運転デリバリーのNuroがカリフォルニア州自動車局から許可をもらう最初の企業になった

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自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

CruiseとWaymoはそれぞれ2015年と2014年から公道上で安全ドライバーありの自動運転車をテストしている。そして2020年10月からと2018年10月からは、安全ドライバーなしでやっている。Cruiseはまた、カリフォルニアで6月に乗客ありの自動運転走行を許可された。そこで同社は過去数カ月、社員に無料乗車を提供している。8月にWaymoは、サンフランシスコでTrusted Testerプログラムを開始した。それによりサンフランシスコは、安全ドライバーありで無料の、自動運転電動Jaguar I-Paceをシェアできる都市の1つになった。

Cruiseは最新の認可により、その自動運転のChevy Boltベースの車隊をサンフランシスコの一部の公道上で午後10時から午前6時まで最高時速30マイル(約48.3km)で商用サービスに使用できる。Waymoはその小型自動運転者の車隊をサンフランシスコとサンマテオ郡の一部の公道で時速65マイル(約104.6km)m、時間制限なしで運用できる。どちらも、雨や薄霧の中でも走行可能だ。

ベイエリアでの商用サービスやデリバリーサービスの開始の計画については、両社とも口をつぐんでいる。2020年11月にCruiseとWalmartはアリゾナ州スコッツデールと提携して前席に安全ドライバーを乗せた配達を開始した。Waymo Viaのローカルデリバリー事業も、2020年1月からアリゾナ州フェニックスで操業しているが、それは訓練されたオペレーターが同乗して、UPSやAutoNationのようなクライアントにサービスを提供している。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

カリフォルニア州は2030年までに自動運転車のゼロエミッション化達成を義務化

2030年から、カリフォルニア州で運用される小型車の自動運転車はゼロエミッションでなければならない。SB500はGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)カリフォルニア州知事は、米国時間9月23日に署名した法律で、温室効果ガスの排出削減を目的に、内燃機関の新車販売を制限するための最新の取り組みとなる。ニューサム知事は2020年に、2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を事実上禁止する大統領令に署名した。同年、同州の大気資源局は、2045年までにカリフォルニア州で販売されるすべての新型トラックの排出量をゼロにすることを義務づけている。

Cruise(クルーズ)のグローバル・ガバメント・アフェアーズ部門の責任者であるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、Engadgetに寄せた声明の中で、「これが業界標準となることを確実にするためのカリフォルニア州のリーダーシップに感謝します。AV業界は、都市における温室効果ガスの排出量削減をリードする素地があり、そのために私たちは当初から電気自動車やゼロエミッションの車両を運行してきました」という。Cruiseは、自律走行型配送サービスのスタートアップであるNuroを含むEmission Zero Coalitionへの参加を通じて、SB500を支援した。

環境保護庁によると、2019年以降、米国の温室効果ガスの唯一最大の排出源は運輸部門であり、その半分以上を小型車が占めている。しかし、現在、カリフォルニア州の道路を走る約1500万台の自動車のうち、自律走行車はごく一部に過ぎない。さらに、カリフォルニア州で完全自律走行型タクシーサービスをテストしている代表的な企業であるCruiseWaymoは、電気自動車ハイブリッド車だけで車両を運用している。今回のカリフォルニア州の動きは、自律走行車が将来的に大きな汚染源となることを防ぐためのものであり、特に完全自動運転のタクシーサービスが通勤者の間で人気になれば、その危惧は現実のものとなる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿者。

画像クレジット:Screenshot/GM

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Cruiseがカリフォルニアの農家から購入する太陽光発電を電気自動車や自動運転車の動力源に

General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下で自動運転車を開発するCruise(クルーズ)は、カリフォルニア州セントラルバレーの農場から太陽光発電電力を調達する「Farm to Fleet」という新たな取り組みを始めた。San Francisco Chronicle紙が最初に報じたところによると、Cruiseは、Sundale Vineyards(サンデール・ヴィンヤーズ)とMoonlight Companies(ムーンライト・カンパニーズ)から再生可能エネルギー・クレジットを直接購入し、サンフランシスコで運行するすべての電気自動車の電力供給に活用しようとしている。

Cruiseは先日、サンフランシスコで人間のセーフティーオペレーターがいない試験車両で乗客を運ぶ認可を取得した。また、GM Financial(GMフィナンシャル)から50億ドル(約5500億円)の融資枠を受け、電気自動車や自動運転車など数百台のCruise Originを購入し、商用化に向けた動きを加速させている。今回のカリフォルニア州の農家との提携は、再生可能エネルギーの導入を進めるカリフォルニア州にとって有益であることは間違いないが、Cruiseは慈善事業を行っているわけではない。

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California Independent System Operator(カリフォルニア独立系統運用機関)はこの夏、電力需要が高まり、停電を起こす可能性のある熱波を想定し、米国西部の電力会社にメガワット単位での販売を呼びかけた。電力供給は、干ばつや停電、新しいエネルギー源の導入の遅れ、水力発電の減少などにより、すでに予想を下回っている。Cruiseが計画している大幅な台数の増加にカリフォルニア州の送電網が対応するには、送電網を強化するしかないようだ。しかし、Cruiseは、エネルギー源を確保するだけではなく、より高い目標を持っていることを明言している。

Cruiseの広報担当Ray Wert(レイ・ワート)氏はTechCrunchの取材に対し「私たちが都市やコミュニティのために正しいことをし、交通手段を根本的に変えていくことが目的です」と述べた。

環境保護団体「Nature Conservancy」の報告書によると、カリフォルニア州の農家は干ばつに悩まされており、農地を太陽光発電所に変えることにより気候変動の目標を達成できる可能性がある。だからこそCruiseは、セントラルバレーの農家に今アプローチすることに意味があると考えたのだ。

「Farm to Fleetは、都市部の交通機関の二酸化炭素排出量を急速に削減すると同時に、再生可能エネルギーに取り組むカリフォルニアの農家に新たな収入をもたらす手段です」とソーシャル・アフェアーズ&グローバル・インパクト担当副社長のRob Grant(ロブ・グラント)氏はブログで述べた。

Cruiseは、クリーンエネルギーのパートナーであるBTR Energy(BTRエナジー)を通じて、農家に対し合意した契約料金を支払っている。同社はコストを公表していないが、他の形態の再生可能エネルギー・クレジット(REC)を使用した場合と比べて、支払う金額は大きくも小さくもないとしている。RECは、再生可能エネルギー源が1メガワット時の電力を発電し、それを送電網に渡すと生成される。Cruiseによると、Sundaleは20万平方フィート(約1万9000平方メートル)の冷蔵倉庫に電力を供給するために、2メガワットの太陽電池容量を設置し、Moonlightは選別・保管施設に合計3.9メガワットの太陽電池アレイと2つのバッテリー貯蔵システムを設置しているという。これらの農場からクレジットを購入することで、Cruiseは電力使用量のうち特定の量が再生可能エネルギーで賄われていることを証明できる。RECは一意であり追跡できるため、どこから来たのか、どのようなエネルギーを使ったのか、どこに行ったのかが明確になる。Cruiseは、農場から購入するRECの数量について明らかにしていないが、同社のサンフランシスコの車を動かすのに十分な量だと述べている。

「太陽光発電の電力は同じ送電網を通っています。Cruiseは農場のソーラーパネルで発電された再生可能エネルギー・クレジットを購入しますが、最終的にそれはなくなります」とワート氏は話す。「カリフォルニア州大気資源局に四半期ごとに提出するデータにより、車両の充電に使用した電力量に相当する数のRECを償却しています」。

また、CruiseはBTRエナジーと協力し、アリゾナ州での事業に必要なRECの供給を確保している。同州での事業には、Walmart(ウォルマート)との配送試験も含まれる。

カリフォルニア州では低炭素燃料基準が定められており、輸送用燃料の炭素強度を低減し、より多くの低炭素代替燃料を提供することを目的としているため、完全に再生可能な電力を使用することはCruiseにとって有益だとワート氏はいう。同社はすべてのEV充電ポートを自社で所有・運営しているため、電力の炭素強度スコアとエネルギー供給量に応じてクレジットを生成することができる。Cruiseはこのクレジットを、二酸化炭素排出量の削減や法規制の遵守を求める他の企業に販売することができる。

Cruiseは、実用性だけでなく、業界の標準を確立し、再生可能エネルギーの需要を創出することで、より多くの人々や企業に再生可能エネルギーの創出を促すことを目指している。

グリッド分析を行うスタートアップであるKevala(ケバラ)のCEOのAram Shumavon(アラム・シュマボン)氏は、今回の提携について、Cruiseを賞賛すべきだと述べている。

「Cruiseが認めようとしているのは、同社が消費する電力に関する炭素強度であり、それを何らかの形で相殺しているということです」とシュマボン氏はTechCrunchに語った。「炭素会計にはスコープ3と呼ばれるカテゴリーがあり、サービス提供に必要なサプライチェーンが実際にどれだけの炭素を含んでいるのかを把握しようとするものです」。

シュマボン氏は、商業活動の炭素強度を定量化することで、企業はその説明責任を果たすことができ、供給者には自然エネルギーからの供給を求めることで、変化を促すことができると述べている。例えば、ある自動車メーカーは、アルミニウムを供給する会社に、石炭発電ではなく水力発電のある地域からのみ調達するよう依頼することができる。これにより、自動車メーカーの炭素強度を下げることができる。

「輸送部門は温室効果ガス排出量の40%以上を占めています。そのため、我々は2月に『クリーンマイル・チャレンジ』を発表し、自動運転業界の他の企業に、毎年何マイルを再生可能エネルギーで走行しているかを報告するよう呼びかけました」とワート氏は話す。「他の企業が我々に追随することを期待しています」。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMの自動運転車子会社Cruiseがカリフォルニア州で無人運転車に客を乗せることが可能に

GMの自動運転車子会社で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、マイクロソフト、ホンダも出資しているCruise(クルーズ)は、ハンドルを握る人間の安全管理者がいないテスト車両で乗客を運ぶ許可を取得した。

この許可証は、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)がドライバーレス・パイロット・プログラムの一環として発行したもので、自動運転車メーカーが商業的な運用を開始する前に満たさなければならない規制要件の1つだ。この許可証は重要だ。Cruiseは許可証を取得した最初の会社となった。しかし、この許可証に基づくテスト用の自動運転車では乗客に料金を請求することはできない。

「カリフォルニア州で乗客向けの商用サービスを開始するためには、カリフォルニア州DMV(車両管理局)とCPUCの両方から商業許可証を発行してもらう必要があります。私たちは本日、カリフォルニア州PUCから、乗客の輸送をテストするためのドライバーレス自動運転サービス許可証を最初に受け取ったことを光栄に思います」と、Cruiseの政府担当ディレクターであるPrashanthi Raman(プラシャンティ・ラマン)氏は、TechCrunchに対してメールでの声明で述べた。

自動運転車のテストと最終的な運用開始を決定する規制機関は、CPUCとカリフォルニア州DMVの2つ。カリフォルニア州DMVは、安全運転者の有無にかかわらず、自動運転車のテストを監督する。約55社が安全運転者付きの自動運転車のテスト許可を取得した。人間が運転しないドライバーレス・テスト許可証は、カリフォルニア州で商用のロボットタクシーや配送サービスを開始しようとする企業にとって新たなマイルストーンとなり、必要なステップとなっている。AutoX、Baidu、Cruise、Nuro、Pony.ai、Waymo、WeRide、Zooxは、DMVからドライバーレス許可証を取得した。

DMVでの最後のステップは、Nuroだけが達成した運用開始許可だ。この許可により、Nuroは商業規模での運用が可能になる。Nuroの車両は乗客を乗せず、貨物だけを積載できるため、CPUCの許可プロセスを回避できる。

CPUCでは「Drivered」と「Driverless」という許可証があり、いずれも企業に自動運転車へ客を乗せることを許可する。Aurora、AutoX、Cruise、Deeproute.ai、Pony、Voyage(Cruiseに買収された)、Waymo、Zooxなどが「drivered」の許可を得た。Cruiseはドライバーレスの許可証を最初につかんだ企業だ。

将来的に、ロボットタクシーでシャトルバスを運行し、乗客に乗車料金を請求したいと考える企業は、DMVとCPUCからこれらの許可をすべて取得しなければならない。

「CPUCの自動運転車乗客サービスパイロットプログラムにおける最初の無人運転許可証が発行されたことは重要なマイルストーンです。自動運転車は、個人のモビリティニーズを解決し、道路の安全性を向上させ、州内の商品を持続的かつ効率的に移動させることで、交通システムやコミュニティを変革する可能性を秘めています」と、Genevieve Shiroma(ジュヌビーブ・シロマ)コミッショナーは声明で述べた。「自動運転車の効果的な運用開始は、車両の製造、メンテナンス、サービスのビジネスモデルを変革し、カリフォルニア州の労働力に新たな雇用と産業を創出することにもつながります」。

CPUCは2020年、長い規制上の手続きをパスすれば、許可された企業が自動運転車によるライドシェアサービスを提供し料金を請求できる2つの新しいプログラムを承認した。この決定は、自動運転車業界がCPUCに対し何カ月にもわたって働きかけた結果だ。業界は、無人運転車による料金徴収とライドシェアの提供を可能にする規則変更を検討するよう働きかけてきた。

CPUCによると、Cruiseは最終的にパイロット版に参加する他の企業とともに、ドライバーレス自動運転車乗客サービスを提供する車両の運行状況について、四半期ごとに報告書を提出しなければならない。また、ドライバーレス運行における乗客の安全を守るための計画をまとめた乗客安全計画を提出しなければならない。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMの自動運転子会社Cruiseがドバイでのロボタクシーサービス事業を契約、2029年まで独占

Cruise(クルーズ)が、そのロボタクシーの可能性をサンフランシスコ以外にも広げた。GM(ゼネラル・モーターズ)の自律走行車子会社で、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Microsoft(マイクロソフト)、Honda(ホンダ)の支援も受けている同社は、2023年にドバイでロボタクシーサービスを開始する契約を結んだ。

ドバイでのロボタクシーサービスには、ハンドルやペダルのない、高速道路での走行を前提としたシャトル型自動運転EV「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」が使用される。2020年1月に発表されたOriginは、GMが製造する。

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Cruiseはドバイを拠点とする現地法人を新たに設立し、その新会社が車両の導入、運用、メンテナンスを担当していく。

RTA(Roads and Transport Authority、ドバイ道路交通局)の長官兼理事会長であるMattar Mohammed Al Tayer(マタール・モハメド・アル・ターイル)氏によると、ドバイの自動運転交通戦略の一環として、まず限られた台数の車両でサービスを開始し、2030年までに4千台の車両に拡大する計画だという。これらのロボタクシー、そして最終的にはサービスは、限定地域で徐々に導入され、その後、他の地域に拡大される予定だ。

ドバイのSheikh Hamdan bin Mohammed(シェイク・ハムダン・ビン・モハメド)皇太子は、Cruiseとの契約について「2030年までにドバイにおける交通手段の25%を自動運転による移動に変えることを目指す、自動運転交通戦略(Dubai Autonomous Transportation Strategy)の実現に向けた大きな一歩」と述べている。

重要なのは、Cruiseが少なくとも向こう数年間はドバイを手中におさめるという点だ。今回の契約に基づき、Cruiseは2029年まで、ドバイにおける自動運転タクシーおよびライドヘイリングサービスの「エクスクルーシブ・プロバイダー」となる。アル・ターイル長官は、Cruiseの選定は軽々しく行われたものではなく、複数年にわたる包括的なプロセスを経て行われたと述べている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転開発のCruiseが同業Voyageを買収、ロボタクシー商業化へ前進

Udacity(ユーダシティ)のスピンアウトで自動運転車開発のスタートアップVoyage(ヴォヤージュ)がCruise(クルーズ)に買収された。発生期にある産業における統合が続いていることを示す取引だ。

金銭的条件は開示されなかった。Voyageの総勢60人のチームはCruiseに加わり、Voyageの共同創業者でCEOのOliver Cameron(オリーバー・キャメロン)氏はプロダクト担当副社長に就任する。Stellantisと呼ばれるVoyageのFCAとの提携はCruiseによる買収がクローズすれば解消となる。

2017年創業のVoyageは、CruiseやArgo AI(アルゴエーアイ)、Waymo(ウェイモ)、Aurora(オーロラ)といった資金潤沢な企業に比べると零細だった。しかしその規模、そしてわずか5200万ドル(約56億7400万円)の資金調達にもかかわらず、キャメロン氏はVoyageを際立たせた。同社は2つの高齢者居住コミュニティでの事業展開でよく知られている。Voyageはカリフォルニア州サンノゼの4000人が暮らす退職者居住地域と、フロリダの12万5000人が暮らす広さ40平方マイル(約103平方キロメートル)の高齢者居住地域The Villagesでテストを行い、乗車を提供した。

「Voyageのアプローチは、移動のための足を最も必要とする人、つまり高齢者にモビリティを戻すプロダクトを提供するために当社の限られたリソースを活用するというものでした。この目標に向けて当社は大きく前進しました。コミュニティ周辺で数えきれない高齢者(最高齢者は92歳!)に移動手段を提供しました」とキャメロン氏は買収を発表するブログに書いた。「いまCruiseで我々は、ゆくゆくは高齢者だけでなく自動運転サービスの恩恵を受けるあらゆる年齢層の人々にサービスを提供するための十分なリソースを持つことに興奮しています」。

Voyageは2つの高齢者居住地域での事業からすぐさま撤退したりはしない。しかしながらCruiseは、同社が注力しているのはサンフランシスコでの商業事業であることをTecCrunchに繰り返し述べた。Cruiseはタイムラインを示さなかったが、テストや高齢者居住コミュニティでの事業展開はいずれ終了を余儀なくされる。

プロダクト担当副社長というキャメロン氏の役割は、Cruiseがサンフランシスコで商業ロボタクシーサービスを立ち上げる計画に近づいていることの表れだ。Cruiseはハードウェア、ソフトウェア両方のエンジニアを数百人雇ったが、ロボタクシーユーザーの忠実な基盤を構築するのに顧客を獲得する必要がある。キャメロン氏は新たな役割でCruisの自動運転サービスのために顧客との接点をじっくりと考えることになる。

同氏は米国時間3月15日朝のツイートで、CruiseとVoyageの合体を「すばらしい結婚」と表現した。Cruiseが「最も高度な自動運転テクノロジー、ユニークな自動車企業パートナー、初の専用自動運転者を持っている」と指摘した。「Voyageと当社の顧客サービス第一のチームで、我々はともに革新的な自動運転プロダクトを提供します」。

Cruiseは車両開発を進めるための資金を持っている。2021年初め、同社は新規ラウンドで20億ドル(約2180億円)を調達して評価額は300億ドル(約3兆2740億円)となり、投資家ならびにパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わったと明らかにした。Cruiseがテクノロジー商業展開に近づくなか、GM(ゼネラル・モーターズ)とホンダ、他の機関投資家もさらに資金をCruiseに注入した。

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タグ:CruiseVoyage買収自動運転ロボタクシー

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

Cruiseは新たなエクイティラウンドで20億ドル(約2080億円)を調達し、評価額は300億ドル(約3兆1200億円)に上昇した。また、投資家およびパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わった。

GMやホンダなどの機関投資家も、Cruiseの自動運転技術が商用化に近づいているとして追加で投資した。

Microsoftの資本も重要だが、少なくとも両社の見方によればこのパートナーシップはCruiseにとって対等で長期的な価値がある。長期にわたる戦略的パートナーシップの下で、CruiseはMicrosoftのクラウドおよびエッジコンピューティングプラットフォームであるAzureを利用して自動運転ソリューションを大規模に商用化する予定だ。

自動運転車を手がける企業が商用化、つまり自社の技術を広く提供することを目指すとなると、堅牢なクラウドコンピューティングプラットフォームが必要だ。人や荷物を運ぶ多くの自動運転車を運用すると膨大な量のデータが生成され、自動運転車企業にとってはクラウドサービスにかかるコストが増大する。

CruiseとMicrosoftのパートナーシップは、両社にメリットをもたらすことを狙っている。Cruiseはクラウドサービスを低コストで利用でき、Microsoftは(まさに自動運転車のような)機械学習とロボティクスを実用化し大規模に展開するために必要なワークロードを扱うエッジシステムのテストを実施できる。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は発表の中で「デジタルテクノロジーの進化は私たちの仕事や生活のあらゆる面を再定義しています。人やモノの動きについても同様です。CruiseとGMが選んだクラウドとして、私たちはAzureのパワーを活かして両社が成長し自律輸送の主流となるよう支援していきます」と述べている。

米国時間1月19日の発表によれば、パートナーシップはGMにもおよぶ。Microsoftは今後GMのパブリッククラウドプロバイダーとして、GMがデジタル化の取り組みを加速しデジタルサプライチェーン全般にわたって業務を効率化するよう支援する。

パートナーシップによってCruiseは電動自動運転車の商用化を加速できる。また、GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「GMは2025年までに全世界で30車種の電気自動車を投入し、新たなビジネスやサービスを創造して成長するにあたって、クラウドコンピューティングの果たす役割はますます大きくなると認識しています」と述べた。

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タグ:CruiseGM資金調達MicrosoftAzure

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(翻訳:Kaori Koyama)

GMの自動運転車技術子会社Cruiseが商業化に向けデルタ航空元幹部を採用

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転車技術子会社であるCruise(クルーズ)は米国時間1月8日、デルタ航空の元最高執行責任者であるGil West(ギル・ウエスト)氏を採用し、早期の商業化へ動くと語った。

2020年にデルタ航空を引退したウエスト氏は、Cruiseの最初の最高執行責任者となる。この発表は、Cruiseが自動運転車の公道でのテストを人間の安全オペレーターの同乗なしで開始してから1カ月以上経った後に行われた。テストはまだサンフランシスコの限られた地理的エリアと市内の混雑の少ない地域の1つで実施されている。だがそれでも同社にとっては1つのマイルストーンであり、乗車に対し料金を請求できる商業ベースのシェアードサービスの開始許可を確保するために必要なステップと見られている。

ウエスト氏は、年間160億ドル(約1兆6600億円)の予算を持つ巨大なグローバルオペレーションを12年以上動かした経験を携えてCruiseにやって来た。同氏は在職中、デルタの1株当たり利益を前年比15%以上増加させ、ノースウエスト航空との合併統合を主導した。

2018年までGMの社長(未訳記事)で、現在はCruiseのCEOを努めるDan Ammann(ダン・アマン)氏は、ウエスト氏の大企業でのカスタマーエクスペリエンス、オペレーション、安全性での実績が「Cruiseに完璧に合っています。私たちは自動運転技術の商業化への旅を始めるからです」と述べた。

Cruiseは2019年末までにいわゆる「無人」車両を使用した商用サービスを開始する(未訳記事)ことを目指していたが、そのスケジュールを後ろ倒しにした。他の自動運転車会社数社が自動運転車を利用した配車サービスの立ち上げの計画を延期した後の決定だ。Cruiseは、商用サービスを開始する新たな予定日をまだ発表していない。最初の商用サービスはサンフランシスコで提供される。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドとT. Rowe Price & Associatesが投資するCruiseは数百台の自動運転車を保有しているが、ほとんどの場合、まだ人間のセーフティオペレーターが同乗している。Cruiseは2020年11月、5台の自動運転車を使用して無人運転テスト(人間のセーフティオペレーターが運転席にいないテスト)を開始した。同社の残りの車両は、人間の運転手が同乗するこれまでのテスト向けであり、その一部は地域のフードバンクに商品を配達するために使われている。

カリフォルニア州の自動運転車のテストを規制する機関であるカリフォルニアDMVは2020年10月、Cruiseに対しサンフランシスコ内の特定の道路で運転手が同乗しない5台の自動運転車をテストできる認可を与えた。Cruiseは2015年以来、安全ドライバーが同乗する自動運転車をテストする許可を保有している。

Cruiseは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から自動運転車による州内での乗客輸送に関して許可を取得した。CPUCは2020年末に規制を変更し、適切に認可を受けた企業が自動運転によるシェアライドの料金を請求することを認めた。

CPUCのウェブサイトの情報によると、CruiseはCPUCからの認可適格のために、30日間無人運転をテストしたというデータを提示する必要がある。

ウエスト氏はその30日間が終了したときに採用される。同氏はCruiseのすべての商業運営を担当する。その中には数百台の車両の管理と顧客サービスが含まれる。

「Cruiseは生活を変え、輸送の現状を打破する方法をリードしています」とウエスト氏は声明で述べた。「私の生涯で、自動運転への移行ほど運輸業界での大きな変化はありません。私はこのような機会のためにキャリア全体を作り上げてきました」。

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(翻訳:Mizoguchi

GMの子会社Cruiseが運転手なしの自律走行車公道テストをサンフランシスコで開始

SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、Honda(ホンダ)、T. Rowe Price & Associates(ティー・ロウ・プライス)から支援を受けているGMの子会社で、自律走行車を手がけるCruise Automation(クルーズ・オートメーション)は、サンフランシスコの公道で、同社が完全なドライバーレス車と表現する車両の走行テストを開始した。

サンフランシスコのサンセット地区で、同社初の公道におけるドライバーレス走行を行ったCruiseのDan Ammann(ダン・アマン)CEOは、それを「ひどく退屈なもの」そして商業サービスへの「謙虚な一歩」と呼んでいる。

「走行自体は非常に自然で、予測可能でした。従ってそれは一種の退屈であったといえます。しかし、すべてが正しく行われました」と、アマン氏は米国時間12月9日に記者団との電話会見で語った。「そして私達の目標は、その同じ経験をできるだけ早く、安全に、多くの人々が利用できるようにすることです。それは無人運転のクルマに乗れるようになることかもしれないし、あるいは自動運転の配達を実現することかもしれません」。

12月9日に、最初の走行試験の様子を収めたビデオを公開した。サンフランシスコのサンセット地区を走るクルマの運転席には誰も乗っておらず、安全のために助手席に人間のオペレーターが乗っていたことを、ビデオは示している。

Cruiseの完全自律走行車のテストは、限定されたエリアで行われており、そこは間違いなくサンフランシスコの中でも単純な環境の1つだ。下のビデオを観ればわかるように、テストは夜、あまり混雑していない地域で行われた。とはいえ、それは2019年末までに商用サービスの開始(未訳記事)を目指していた同社の進歩を示すものである。

業界の中には助手席に安全オペレーターを乗せていることや、「より簡単な」ジオフェンスで制限された狭いエリアで始めたことを取り上げ、但し書きが必要だと指摘する声もある。Cruiseによると、これはほんの始まりに過ぎず、最終的にはドライバーレスのテストエリアを拡大し、時間をかけてより複雑な環境を追加していき、安全のためのオペレーターを車両から取り除くことも視野に入れているという。

「我々はこれが技術競争であると同様に、信頼競争であることを認識しています」と同社の広報担当者であるMilin Mehta(ミリン・メータ)氏は電子メールで述べている。「それを考えると、自律走行の許可証の使用を始める際には、助手席に安全のためのオペレーターを乗せることになるでしょう。このオペレーターは緊急時に車両を停止させることができますが、標準的な運転操作にはアクセスできません。最終的には、この安全オペレーターは完全に取り除かれることになります」。

Cruiseは2020年11月、5台の自律走行車を使ってドライバーレステストを開始した。同社の他の車両は、人間のドライバーを乗せて通常のテストに使用され、その一部は地域のフードバンクに物資を届けるために使われる予定だ。

カリフォルニア州で自律走行車のテストを規制する機関であるカリフォルニア州陸運局は10月、サンフランシスコ市内の特定の道路で、運転手なしで5台の自律走行車をテストする許可をクルーズに発行した。クルーズは2015年より、人間のドライバーを運転席に乗せて自律走行車のテストを行う許可を得ている。

クルーズは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から、州内で自律走行車による乗客輸送を行うための許可を得た。しかし、適切な許可を得た企業がドライバーレス車両を利用した乗客に料金を請求できるように、CPUCが規制を修正したのは11月に入ってからだった。

許可証を取得するためのハードルは以前よりも高く、現在では政府の承認を得るためのプロセスも必要になっている。業界の中には、不必要な官僚主義が加わり事業の展開を2年以上遅らせる可能性があるという主張もある。

政府の承認手続きは別にして、CPUCのウェブサイトの情報によると、CPUCの許可を得るためには、クルーズは30日間ドライバーレス走行をテストしたというデータを提出しなければならないという。

AutoX、Nuro、Waymo、Zooxもカリフォルニア州でドライバーレス車をテストする許可を得ている。Waymoは同社が「完全自律モード」と表現している機能を、カリフォルニア州の公道で、人間のドライバーを運転席に乗せずにテストしているが、まだ人間のオペレーターを車両から外すには至っていない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Cruiseがドライバーなし自動運転車の公道テスト認可をサンフランシスコ州から取得

GM(ゼネラル・モーターズ)傘下の自動運転開発Cruise(クルーズ)は、ドライバーが乗り込まない車両のサンフランシスコでの公道テストをカリフォルニア州当局から許可された。同社にはソフトバンク・ビジョン・ファンドやホンダ、T. Rowe Price & Associatesが出資している。

カリフォルニア州の自動運転車両を監督するDMV(車両管理局)は、認可によりCruiseは自動運転車両5台をドライバーを乗せずにサンフランシスコ内の特定の道路でテストできる、と述べた。同社はセーフティー・ドライバーが乗り込む自動運転車両のテストを2015年に取得している。

「この許可を取得するのは当社が初めてではありません。しかし米国の主要都市の道路で用いる初の会社になります」とCEOのDan Ammann(ダン・アマン)氏は10月15日、同社のブログに書いた。「今年末までに当社はサンフランシスコの公道で、ガソリンを使用せず、ハンドルを誰も握っていない車を走らせる予定です。安全を維持しながらドライバーを不要にすることは自動運転車にとって真のベンチマークであり、また化石燃料を燃やすことは交通の未来を構築することにはならないからです」。

アマン氏は、ドライバーレスの許可が出たことは控えめだが同社にとってマイルストーンだと表現した。同社は自動運転に6年取り組んでいる。

「この取り組みは注意を引くものではないかもしれません。目にするのは街中を静かに自動で動く車だけです。スピードもそう出しません。衝突もしません。静かに走行するだけです」と同氏は書いた。「しかし実際にサービスは立ち上がっていませんが、我々の壮大な計画です。サンフランシスコのカオス的でごちゃごちゃした通りが我々の発射場です。Cruiseのミッションに何年も心血、汗、涙を注いできた場所です。そして200万マイル(約320万キロ)のテスト走行をした場所で、実際に初めて道路走行を行います。自律的に走行する電動車両が、世界で最も運転が難しい都市を走るのです」。

運転席に誰も乗り込まないことを意味するドライバーレスの認可にはいくつかの制限がある。Cruiseの車両は日夜問わず時速30マイル(約48キロ)以下で道路を走行すること、濃い霧や大雨の時はテストしないことなどが条件だ、とDMVは述べた。ドライバーレスの認可を申し込む企業は保険あるいは500万ドル(約5億円)の債券、車両がドライバーなしで走行できること、連邦政府自動車安全基準をクリアしていること、あるいは国家道路交通安全局の除外、SAEレベル4もしくは5をクリアしていることを証明する必要がある。

Cruiseはカリフォルニアでドライバーレス認可を受けた5番目の企業だ。他にはWaymo、AutoX、Nuro、Zooxが認可を取得している。DMVによると、現在60社がセーフティドライバー付きでの自動走行車両のテスト許可を持っている。

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タグ:Cruise、自動運転

画像クレジット: Cruise

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(翻訳:Mizoguchi