GMの自動運転車技術子会社Cruiseが商業化に向けデルタ航空元幹部を採用

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転車技術子会社であるCruise(クルーズ)は米国時間1月8日、デルタ航空の元最高執行責任者であるGil West(ギル・ウエスト)氏を採用し、早期の商業化へ動くと語った。

2020年にデルタ航空を引退したウエスト氏は、Cruiseの最初の最高執行責任者となる。この発表は、Cruiseが自動運転車の公道でのテストを人間の安全オペレーターの同乗なしで開始してから1カ月以上経った後に行われた。テストはまだサンフランシスコの限られた地理的エリアと市内の混雑の少ない地域の1つで実施されている。だがそれでも同社にとっては1つのマイルストーンであり、乗車に対し料金を請求できる商業ベースのシェアードサービスの開始許可を確保するために必要なステップと見られている。

ウエスト氏は、年間160億ドル(約1兆6600億円)の予算を持つ巨大なグローバルオペレーションを12年以上動かした経験を携えてCruiseにやって来た。同氏は在職中、デルタの1株当たり利益を前年比15%以上増加させ、ノースウエスト航空との合併統合を主導した。

2018年までGMの社長(未訳記事)で、現在はCruiseのCEOを努めるDan Ammann(ダン・アマン)氏は、ウエスト氏の大企業でのカスタマーエクスペリエンス、オペレーション、安全性での実績が「Cruiseに完璧に合っています。私たちは自動運転技術の商業化への旅を始めるからです」と述べた。

Cruiseは2019年末までにいわゆる「無人」車両を使用した商用サービスを開始する(未訳記事)ことを目指していたが、そのスケジュールを後ろ倒しにした。他の自動運転車会社数社が自動運転車を利用した配車サービスの立ち上げの計画を延期した後の決定だ。Cruiseは、商用サービスを開始する新たな予定日をまだ発表していない。最初の商用サービスはサンフランシスコで提供される。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドとT. Rowe Price & Associatesが投資するCruiseは数百台の自動運転車を保有しているが、ほとんどの場合、まだ人間のセーフティオペレーターが同乗している。Cruiseは2020年11月、5台の自動運転車を使用して無人運転テスト(人間のセーフティオペレーターが運転席にいないテスト)を開始した。同社の残りの車両は、人間の運転手が同乗するこれまでのテスト向けであり、その一部は地域のフードバンクに商品を配達するために使われている。

カリフォルニア州の自動運転車のテストを規制する機関であるカリフォルニアDMVは2020年10月、Cruiseに対しサンフランシスコ内の特定の道路で運転手が同乗しない5台の自動運転車をテストできる認可を与えた。Cruiseは2015年以来、安全ドライバーが同乗する自動運転車をテストする許可を保有している。

Cruiseは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から自動運転車による州内での乗客輸送に関して許可を取得した。CPUCは2020年末に規制を変更し、適切に認可を受けた企業が自動運転によるシェアライドの料金を請求することを認めた。

CPUCのウェブサイトの情報によると、CruiseはCPUCからの認可適格のために、30日間無人運転をテストしたというデータを提示する必要がある。

ウエスト氏はその30日間が終了したときに採用される。同氏はCruiseのすべての商業運営を担当する。その中には数百台の車両の管理と顧客サービスが含まれる。

「Cruiseは生活を変え、輸送の現状を打破する方法をリードしています」とウエスト氏は声明で述べた。「私の生涯で、自動運転への移行ほど運輸業界での大きな変化はありません。私はこのような機会のためにキャリア全体を作り上げてきました」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Cruise自動運転

画像クレジット:Cruise

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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